説明

追跡監視用カメラ装置及びこれを採用する遠隔監視システム

【課題】広域監視カメラと集中監視カメラを一体として備え、広範囲の領域に亘って全体的な状況の監視と共に、特定領域や対象物の集中監視と追跡をいずれも円滑に行うことができ、直下領域に陰影領域が生じないカメラ装置。
【解決手段】本発明のカメラ装置は、メインフレームと、第1カメラユニットと、第2カメラユニットとを備える。メインフレームは、法線が外側の下方に向かうレンズの設置面を備える。第1カメラユニットは、メインフレームに設置され、光軸が外側の下方に向かうように上記レンズの設置面に配置する広角レンズと、上記広角レンズを介して入射する光を電気的信号に変換する第1イメージセンサーとを備え、監視用カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影する。第2カメラユニットは、第2イメージセンサーを備え、上記メインフレームに対して水平回転及び垂直回転できるように設置される。好ましくは、上記メインフレームは、外周面から外部へ突出しており、その前面が外側の下方に向かう支持突出部を備え、上記広角レンズは、支持突出部の前面に取り付けられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビカメラ装置に関するもので、さらに詳しくは、複数のカメラを備える複合型監視用カメラ装置に関する。なお、本発明は、このようなカメラ装置を採用する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
出入管理や防犯用として監視用カメラ装置を利用した保安/監視システムが広く使われている。銀行、軍事施設、その他の保安が求められる公共施設または業務用の建物は勿論、一般道路や住宅街にも、このような保安/監視システムの設置が拡散する傾向にある。
【0003】
多様な種類の監視用カメラ装置が使われているが、本出願が行われている時点で最も広く使われているカメラ装置の一つは、水平回転(すなわち、パンニング)及び垂直回転(すなわち、ティルティング)とズームイン/ズームアウトが可能なパン/ティルトズーム(Pan−Tilt−Zoom、以下‘PTZ’という)方式のスピードドームカメラ装置である。PTZ方式のスピードドームカメラ装置によると、カメラの水平回転と垂直回転及びズームイン/ズームアウトを遠隔制御することができるため、遠隔地にある運用者が監視領域を変更することもでき、必要に応じて、特定対象のみ追跡しながら集中監視することもできる。
【0004】
ところが、PTZカメラ装置に採用されるレンズは、画角が広くないため、運用者が設定した監視方向によってはカメラ装置が捕らえられない死角地帯が生じることがある。特に、レンズをズームインしてパンニング及びティルティングメカニズムを駆動して特定対象を追跡しながら監視する場合には、追跡対象の周辺を除いては監視が不可能となるという問題点がある。
【0005】
監視範囲を広めるために、例えば、魚眼レンズのような超広角レンズを採択することで、パノラマ映像を確保する固定型カメラ装置もあるが、魚眼レンズを使用するカメラ装置の場合、撮影される映像が丸い形状であって全体的に歪みが酷いだけではなく、特に映像の周縁部ではものを識別することが困難である。このため、魚眼レンズ方式のカメラは、全体的な情況を確認するために使われるだけで、PTZメカニズムと結合して追跡監視するスピードドームカメラ装置には殆ど使われない。
【0006】
パノラマ映像を獲得するためのカメラと集中監視用PTZカメラを結合することで、広い領域に対する監視と特定対象に対する追跡監視を並行するための試みも行われてきた。
【0007】
例えば、特許文献1(発明の名称:二重カメラを用いた侵入者追跡装置及びその方法)に記載された発明によると、魚眼レンズ、凸鏡、または凸鏡/凹鏡の結合体を利用した第1カメラによって室内または監視対象地域に対するパノラマ映像を獲得し、監視対象領域に侵入者が入った場合、侵入者の移動位置を自動で探知した後、第2カメラによって侵入者を追跡しながら侵入者の映像を撮影する。
【0008】
しかし、この文献に記載された二重カメラ装置は、その発明者らが意図したこととは違って、その構造が非常に複雑なため、加工及び組立ての工程数が大きくなるしかない。さらに、第1カメラが二重カメラ装置の下段の中央に備えられているため、第1カメラが第2カメラの視野を塞ぐか、第2カメラの上下左右の動きに妨げとなる。これによって、侵入者が二重カメラ装置の正中央の下方に位置する場合、第2カメラから正確に侵入者を撮影することが不可能である。
【0009】
特許文献2(発明の名称:実時間パノラマビデオ映像を用いた監視システム及びそのシステムの制御方法)には、支持バーの外側の周縁面に複数のコンポーネントカメラを設置して、支持バーの上段にPTZカメラを一体として設置した監視システムが記載されている。この監視システムによると、複数のコンポーネントカメラに撮影された映像を仮想の円筒面に投影して結合することでパノラマ映像を生成し、使用者が選んだ領域または動き客体が感知された領域をPTZカメラによって撮影することとなる。
【0010】
ところが、上記特許文献2に記載された装置は、複数のコンポーネントカメラとPTZカメラが別途に製作されて支持バーの上に設置されるため、装置のサイズが大きくなるだけではなく、設置空間や設置方法による制約が大きくなるという問題がある。なお、このようなシステムにおいて、複数のコンポーネントカメラは、センサーの役割をするだけで、コンポーネントカメラによって獲得した映像から動き客体の連続した動線を把握することは事実上不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2004−0031968号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第2005−0103597号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、広域監視カメラと集中監視カメラを一体として備え、広範囲の領域に亘って全体的な状況の監視と共に、特定領域や対象物の集中監視と追跡をいずれも円滑に行うことができ、直下領域に陰影地域が生じないカメラ装置を提供することをその技術的な課題とする。
【0013】
また、本発明は、このようなカメラ装置を採用して、広範囲の領域に亘って全体的な状況の監視と特定領域や対象物の追跡監視をいずれも円滑に行うことができる監視システムを提供することを他の技術的な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記技術的課題を達成すべく、本発明のカメラ装置は、メインフレームと、第1カメラユニットと、第2カメラユニットと、を備える。メインフレームは、法線が外側の下方に向かうレンズの設置面を備える。第1カメラユニットは、メインフレームに設置され、光軸が外側の下方に向かうように上記レンズの設置面に配置される広角レンズと、上記広角レンズを介して入射する光を電気的信号に変換する第1イメージセンサーとを備え、監視用カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影する。第2カメラユニットは、第2イメージセンサーを備え、上記メインフレームに対して水平回転及び垂直回転できるように設置される。
【0015】
好ましい実施例として、上記メインフレームは、外周面から外部へ突出しており、その前面が外側の下方に向かう支持突出部を備える。このような実施例において、上記広角レンズは、上記支持突出部の前面に取り付けられることができる。支持突出部と第1カメラユニットは、メインフレームの外周面で水平的に対称するように複数備えられることができる。
【0016】
好ましくは、メインフレームの外周面には、支持突出部を挿入設置するための凹部が備えられ、支持突出部は、上記凹部に着脱可能に設置される。好ましい実施例において、上記凹部の側壁と支持突出部の側面のうちいずれか一つには回動突起が形成され、他の一つには挿入孔が備えられているため、回動突起が挿入孔に挿入された状態で使用者が支持突出部をティルティングして第1カメラユニットの光軸方向を可変することができる。なお、凹部の側壁と支持突出部の側面のうちいずれか一つには引っ掛け突起が形成され、他の一つには複数の断続孔が備えられ、引っ掛け突起が複数の断続孔のうち一つに引っかかるようになっている。しかし、変形された実施例では、支持突出部をティルティングモータによって駆動して回転させることもできる。
【0017】
好ましい実施例において、第2カメラユニットは、被写体の撮像サイズを調節するためのズーム駆動部と、撮影方向を調整するためのパン/ティルト駆動部と、を備える。そして、カメラ装置は、第1カメラユニットによって獲得した広角映像から動き客体を検出する動き検出部と、第2カメラユニットのパン/ティルト駆動部を駆動して第2カメラユニットが上記動き客体を撮影するように制御する駆動制御部をさらに備える。
【0018】
一実施例において、カメラ装置は、広角映像内の各ピクセルに対するパンニング角及びティルティング角のマッピング情報を保存するルックアップテーブルをさらに備える。このような場合、駆動制御部は、広角映像内における動き客体の位置によってルックアップテーブルを参照してパン/ティルト駆動部を駆動し、動き客体のサイズによってズーム駆動部を駆動することができる。
【0019】
さらに、カメラ装置は、広角映像と第2カメラユニットによって獲得した集中監視映像を組合せて出力映像を構成する映像組合せ部をさらに備えることができる。なお、カメラ装置は、広角映像内にある歪みを補正する歪み補正部をさらに備えることができる。このような実施例において、動き検出部は、歪み補正された広角映像から動き客体を検出し、映像組合せ部は、歪み補正された広角映像と集中監視映像を組合せて出力映像を構成することが好ましい。
【0020】
好ましい実施例において、メインフレームの下段にはドームが備えられ、第2カメラユニットは上記ドーム内に設置される。しかし、変形された実施例では、カメラ装置がメインフレームに対して水平回転できるように設けられる水平回転フレームをさらに備え、第2カメラユニットは、上記水平回転フレームに対して垂直回転できるように設置される。
【0021】
一方、上記他の技術的な課題を達成すべく、遠隔監視システムは、監視用カメラ装置と、上記監視用カメラ装置と電気的に接続される遠隔監視装置を備える。ここで、上記カメラ装置は、メインフレームと、第1カメラユニットと、第2カメラユニットと、制御部と、映像組合せ部とを備える。メインフレームは、法線が外側の下方に向かうレンズの設置面を備える。第1カメラユニットは、メインフレームに設置され、その光軸が外側の下方に向かうように上記レンズの設置面に配置される広角レンズを備え、監視用カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影する。第2カメラユニットは、第2イメージセンサーを備え、メインフレームに対して水平回転及び垂直回転できるように設置される。制御部は、第1カメラユニットによって獲得した広角映像から動き客体を検出し、第2カメラユニットが上記動き客体を撮影するように制御する。映像組合せ部は、広角映像と第2カメラユニットによって獲得した集中監視映像を組合せて出力映像を構成し、上記出力映像を遠隔監視装置に伝送する。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明によるカメラ装置は、第1カメラユニット、すなわち、広域監視カメラと第2カメラユニット、すなわち、集中監視カメラを一体として備え、これによって広範囲の領域に亘って全体的な状況の監視と特定領域や対象物の追跡監視をいずれも円滑に行うことができることとなる。“全体領域の感知”、“集中監視”、“自動追跡”の3段階の監視パターンを順次に、そして同時に行うため、本発明の装置とシステムは“人間の知能と肉眼による監視”に近接した動作を行って完璧な監視機能を具現することができる。
【0023】
なお、動き客体の追跡が中央監視室の遠隔制御装置で行われるのではなく、カメラ装置で行われるため、中央監視室の電源が遮断されたり、遠隔制御装置または通信線にエラーが生じた場合にも、追跡監視が中断することなく行われることができる。
【0024】
広域監視カメラのレンズがハウジングの外周面においてその光軸が外側の下方に向かうように配置されるため、カメラ装置の直下地点を含む近接地域に陰影地域が生じないという効果がある。これと共に、広域監視カメラと集中監視カメラが互いに干渉しないため、各カメラの視野が最大限に確保されることができる。
【0025】
特に、好ましい実施例によると、カメラ装置の体積が小さく、コンパクトな形態を有するため、製造コストが低く設置環境と釣り合って美観を損なわなくなり、監視システムを回避して迂回しようとする潜在的な侵入者にも目立たないという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるカメラ装置の一実施例の斜視図である。
【図2】図1に図示されたカメラ装置の側面図である。
【図3】図1に図示されたカメラ装置の部分分解斜視図である。
【図4】図1に図示されたカメラ装置において第1カメラユニットの方向が変更する過程を示した図面である。
【図5】図1に図示されたカメラ装置の電気的/光学的構成の一実施例を示したブロック図である。
【図6】逆方向伸縮アルゴリズムによる歪み補正過程の一例を示した図面である。
【図7】パノラマ映像の構成例を示した図面である。
【図8】出力映像の一例を示した図面である。
【図9】図1に図示されたカメラ装置と結合して使用するに適合した遠隔監視装置の一実施例のブロック図である。
【図10】図1のカメラ装置の変形された実施例の側面図である。
【図11】図10に図示されたカメラ装置の電気的/光学的構成を示したブロック図である。
【図12】図11のカメラ装置によるパノラマ映像構成の過程を説明するための図面である。
【図13】図1のカメラ装置のさらに他の変形された実施例の側面図である。
【図14】図1のカメラ装置のさらに他の変形された実施例の側面図である。
【図15】図14に図示されたカメラ装置の底面図である。
【図16】図1のカメラ装置のさらに他の変形された実施例の底面図である。
【図17】本発明によるカメラ装置の他の実施例の斜視図である。
【図18】図17のカメラ装置においてメインフレームと第1カメラユニットの連結関係を示した部分分解斜視図である。
【図19】図17のカメラ装置において第1カメラユニットの方向が変更する過程を示した図面である。
【図20】図17のカメラ装置の変形された実施例の斜視図である。
【図21】図17のカメラ装置のさらに他の変形された実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。便宜上、図面において同じか対応する部材については同じ参照番号を使用する。
【0028】
図1と図2を参照すると、本発明の好ましい実施例によるカメラ装置は、大体鐘のような形状を有するメインフレーム10と、上記メインフレーム10の下方に設けられたドーム50とを備える。メインフレーム10のハウジングは、金属または不透明な合成樹脂の材質からなっており、ドーム50は、半透明な合成樹脂の材質からなることが好ましい。メインフレーム10のハウジングの下側には、支持突出部18を介して第1カメラユニット12が設置されている。ドーム50内には第2カメラユニット(図1には図示されていない)が設置されている。メインフレーム10の上段には、カメラ装置を壁面に取り付けるためのブラケット30が設けられることができる。
【0029】
支持突出部18は、合成樹脂の材質からなっており、第1カメラユニット12を空間的に支持し、第1カメラユニット12の方向を決める。好ましい実施例において、支持突出部18は、メインフレーム10のハウジングの外周面の下側に設置され、第1カメラユニット12の集光レンズ14は、支持突出部18の外部へ露出して設置される。特に、第1カメラユニット12の集光レンズ14の光軸がカメラ装置の外側の下方に向かうように、支持突出部18の前面は下側に傾いている。このため、第1カメラユニット12は、カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影することができる。
【0030】
第1カメラユニット12の集光レンズ14は、広角レンズで構成されることが好ましく、魚眼レンズを使用して具現することが特に好ましい。これにより、第1カメラユニット12は、広域監視カメラとして作用する。第1カメラユニット12の魚眼レンズ14とイメージセンサー(図1及び図2には図示されていない)は、支持突出部18内に固定設置される。
【0031】
集中監視カメラとして作用する第2カメラユニットは、メインフレーム10の下側においてドーム50によって限定される空間の内部に設けられる通常のPTZカメラである。PTZカメラは、本発明が属する技術分野において当業者が容易に実施できるため、第2カメラユニットの機構的な構成に関する具体的な説明は省略する。
【0032】
ブラケット30は金属材質からなっており、上下方向に連続して、その下段がメインフレーム10の上部面に結合できる垂直部と、上記垂直部の上段から後方に折り曲がって水平方向に伸びている水平部と、上記水平部の後段に備えられている付着板とで構成される。付着板には複数の溝が形成され、ボルト32によって支持棒(Pole)や壁面に取り付けることができるようになっている。
【0033】
図3を参照すると、支持突出部18は、メインフレーム10において外側または内側で着脱できるようになっている。支持突出部18の側面の下側には回動突起20が形成されている。また、回動突起20の後方には、引っ掛け突起24が突出して形成されている。一方、メインフレーム10の外周面の下側には、支持突出部18を挿入設置するための凹部が備えられている。上記凹部の側壁の下側には、回動突起20に対応して挿入孔22が形成されている。そして挿入孔22の上側の後方には複数の断続孔26A、26B、26Cが形成されている。便宜上、図3では、第1カメラユニット12をカメラ装置の印刷回路基板に連結するための配線は省略して図示した。
【0034】
支持突出部18は、メインフレーム10の内側からまたは前方からメインフレーム10の凹部に挿入して設置されることができる。この際、支持突出部18の回動突起20がメインフレーム10の凹部の挿入孔22に挟まれるようにして、支持突出部18が意図とは違って離脱されることを防ぐとともに、支持突出部18が回動突起20を中心として制限された範囲内で回動できるようにする。そして、支持突出部18の引っ掛け突起24が凹部の内部にある複数の断続孔26A、26B、26Cのうちいずれか一つに引っ掛かるようにして、支持突出部18が回動突起20を中心として任意で回動することを防ぐ。
【0035】
引っ掛け突起24が複数の断続孔26A、26B、26Cのうちいずれか一つに引っ掛かっている状態では、支持突出部18が回動突起20を中心として任意で回動はできないが、引っ掛け突起24と断続孔26A、26B、26Cの引っ掛け状態は、外力によって簡単に解除されることができる。カメラ装置が設置されるとき、または設置されている状態で作業者は、引っ掛け突起24が断続孔26A、26B、26Cから離脱されるようにした後、他の断続孔に食い合うようにすることができる。従って、作業者は、支持突出部18をティルティングして第1カメラユニット12の撮影方向を変更することができる。
【0036】
これを図4を参照して、より具体的に説明する。図4において、実線は、引っ掛け突起24が断続孔26Cに食い合っている状態での第1カメラユニット12の輪郭を示し、点線は、引っ掛け突起24が断続孔26Bに食い合っている状態での第1カメラユニット12の輪郭を示す。作業者が支持突出部18の上側から後方に力を与えて引っ掛け突起24が断続孔26Bに食い合っているのを解除して、引っ掛け突起24が断続孔26Cに食い合うようにすると、それに相応して支持突出部18が上方にティルティングされ、第1カメラユニット12の魚眼レンズ14の光軸は上方に回転することとなり、これによって第1カメラユニット12の撮影方向が変わる。従って、第1カメラユニット12の撮影領域は、空間的にみると上方に、そして地表面からみるとカメラ装置から遠距離に移動することとなる。
【0037】
このように支持突出部18をティルティングすることで、第1カメラユニット12の撮影領域を設置場所の広さや環境に合わせて段階的に変更することが可能となる。
【0038】
図5は、図1に図示されたカメラ装置の電気/光学的構成の一実施例を示したブロック図である。カメラ装置は、第1カメラユニット12及び第2カメラユニット52と、第1及び第2アナログ/デジタル(A/D)変換器39、69と、制御部70と、映像組合せ部80と、インターフェースポート82とを備える。
【0039】
第1カメラユニット12は、電気/光学的に魚眼レンズ14と第1イメージセンサー16とを備える。魚眼レンズ14は、視野角が全方位的に(omnidirectionally)150度以上であり、視野角内の空間から入射する光を集光する。好ましい実施例において、魚眼レンズ14のF値は1.4であって、夜間にも監視機能を行うことができる光量が確保されるようにすることが好ましい。一実施例において、魚眼レンズ14の最大の感知距離は80メートル(m)であり、解像度は3〜5メガピクセルである。第1イメージセンサー16は、魚眼レンズ14によって集光された光を電気的な映像信号(以下、‘第1映像信号’という)に変換する。
【0040】
第2カメラユニット52は、レンズ54及び第2イメージセンサー56と、ズームモータ58、ズームモータドライバー60、パンニングモータ62、パンニングモータドライバー64、ティルティングモータ66、及びティルティングモータドライバー68を備える。レンズ54は前方から入射する光を集光し、第2イメージセンサー56はレンズ54によって集光された光を電気的な映像信号(以下、‘第2映像信号’という)に変換する。ズームモータ58は、レンズ54の焦点距離を可変させることで、ズームイン/ズームアウト機能が具現できるようにし、ズームモータドライバー60は、制御部70からの制御信号に応答してズームモータ58を駆動する。パンニングモータ62は、第2カメラユニット52を水平方向に回転させ、パンニングモータドライバー64は、制御部70からの制御信号に応答してパンニングモータ62を駆動する。ティルティングモータ66は、第2カメラユニット52を垂直方向に回転させ、ティルティングモータドライバー68は、制御部70からの制御信号に応答してティルティングモータ66を駆動する。ズームモータ58、パンニングモータ62、及びティルティングモータ66は、それぞれステッピングモータによって具現されることが好ましい。
【0041】
最適の映像が獲得できるように、第1及び第2カメラユニット12、52は、広帯域反射防止膜(Broadband Anti−reflection Film)を備えることが好ましい。また、昼間は勿論、夜間にも映像の獲得ができるようにするため、第1及び第2カメラユニット12、52は、赤外線遮断フィルター(IR Cut−off Filter)を自動で切り替える自動フィルター切替器(Auto Filter Changer)を備えることが好ましい。
【0042】
第1A/D変換器39は、第1映像信号をデジタルデータに変換して、魚眼映像データを出力する。第2A/D変換器69は、第2映像信号をデジタルデータに変換して、集中監視映像データを出力する。
【0043】
制御部70は、歪み補正部72と、動き検出部74と、座標−角度ルックアップテーブル76と、モータ駆動制御部78とを含む。
【0044】
歪み補正部72は、魚眼映像内にある歪みを補正する。一実施例において、歪み補正部72は、順方向伸縮(Forward Warping)アルゴリズムによって魚眼映像の原本ピクセル値を変形して補正後の魚眼映像内でのピクセル値に対応させる。しかし、他の実施例では、歪み補正部72が逆方向 伸縮(Inverse Warping)アルゴリズムによって補正後の魚眼映像内での各ピクセル値を獲得する。図6は、逆方向伸縮アルゴリズムによる歪み補正過程の一例を示す。先ず、補正後の魚眼映像内での点(x’,y’)に対応する補正前の魚眼映像内での点(x,y)が決められ、点(x’,y’)でのピクセル値g(x'、y')は、点(x,y)でのピクセル値f(x,y)を基に定められる。この場合、Bilinear Interpolationアルゴリズムを共に適用して色誤差を減少させることもできる。さらに他の実施例では、歪み補正部72が別途に設けられていないこともできる。歪み補正が本発明による核心的な技術思想ではないだけではなく、本発明が特定の歪み補正アルゴリズムに限定されるものではないため、歪み補正アルゴリズムに関する具体的な説明は省略する。
【0045】
動き検出部74は、歪み補正された魚眼映像を一定の数のフレーム単位で比較しながら各画素値の変化を判断し、画素値の変化量が一定の基準値より大きいピクセルのグループを動き客体として判定する。なお、動き検出部74は、魚眼映像内にある客体の動き量を検出し、各客体の大体の中心点を抽出する。
【0046】
座標−角度ルックアップテーブル76は、歪み補正された魚眼映像内の各ピクセルに対するパンニング角/ティルティング角のマッピング情報を保存する。座標/角度ルックアップテーブル76の入力値となる補正された魚眼映像位置値は等間隔に設定されることもできるが、非等間隔に定められることもできる。
【0047】
モータ駆動制御部78は、持続的に客体の動きが発生する場合、客体の動き量、すなわち、中心点の移動量と客体のサイズに応じてパン/ティルト/ズーム量を定め、第2カメラユニット52に客体を追跡するように制御する。ここで、監視領域内に動き客体が複数である場合、一定の基準に従って一つ以上の追跡する客体が選ばれる。例えば、複数の動き客体のうち動き量が最も大きい客体が追跡対象として選ばれることができる。この際、追跡監視対象ではない客体に対しても動き検出と動線の把握は持続的に行われることが好ましい。
【0048】
先ず、モータ駆動制御部78は、動き検出部74から追跡監視する動き客体の中心点データを受け、座標/角度ルックアップテーブル76のマッピング情報を参照して動き客体の中心点に対するパンニング角/ティルティング角を決める。モータ駆動制御部78は、決められたパンニング角/ティルティング角に従ってパンニングモータドライバー64とティルティングモータドライバー68とを制御することで、パンニングモータ62及びティルティングモータ66が回転するようにする。また、モータ駆動制御部78は、追跡監視する動き客体のサイズによってズーム倍率を決定してズームモータドライバー60を駆動する。このように、動き客体の位置及びサイズによってズームモータ58、パンニングモータ62及びティルティングモータ66が駆動されることにより、動き客体の追跡監視が可能となる。
【0049】
なお、モータ駆動制御部78は、インターフェースポート82を通じて受信される遠隔監視装置からの制御信号に応答して追跡監視対象を変更することもできる。なお、モータ駆動制御部78は、制御信号に応答してモータドライバー60、64、68を駆動することもできる。
【0050】
映像組合せ部80は、補正された魚眼映像から参照用パノラマ映像を構成し、パノラマ映像と集中監視映像を結合して一つの出力映像を構成する。そして、映像組合せ部80は、上記出力映像を映像信号線、例えば、同軸ケーブルを通じて遠隔監視装置へ伝送する。
【0051】
図7は、パノラマ映像の構成例を示す。映像組合せ部80は、補正された魚眼映像100から一定の領域102のみを選択してパノラマ映像ないし広域監視映像を構成する。この際、補正された魚眼映像100の中からパノラマ映像102として抽出される部分は、カメラ装置で実行されるプログラムによって予め定められることができ、遠隔監視装置の運用者によって変更されることもできる。また、映像組合せ部80は、制御部70からの制御信号に応答して、集中監視映像とパノラマ映像102をフォーマットして出力映像を構成する。図8は、出力映像の一例を示す。この図面において、出力映像の上段及び中央領域には集中監視映像110が表示され、下段にはパノラマ映像102が表示される。一実施例において、集中監視映像110とパノラマ映像102は3:1の高さ比及び広さ比を有するように配置される。
【0052】
ここで、出力映像に含まれるパノラマ映像102には、動き客体が存在する部分を示すポインターがさらに備えられることが好ましい。特に、現在追跡監視が行われている客体領域とその他の客体領域のポインターの形態が異なるようにすることもできる。図面において、実線となっているポインターは追跡監視が行われている客体領域を示し、点線となっているポインターは追跡監視が行われていない客体領域を示す。しかし、他の実施例では、追跡監視が行われている客体領域と追跡監視が行われていない客体領域が互いに異なる色で分けられることもできる。
【0053】
再び図5を参照すると、インターフェースポート82は、遠隔監視装置から制御信号を受けてモータ駆動制御部78へ提供する。また、インターフェースポート82は、動き客体の検出の可否及び/またはパンニング角/ティルティング角などの状態情報を遠隔監視装置へ伝送する。インターフェースポート82と遠隔監視装置との間の信号の送受信チャンネルは、例えば、RS−232CまたはRS−485標準に適するように具現されることができる。
【0054】
なお、一実施例において、制御部70と映像組合せ部80は、テキサス・インスツルメンツ社にて商業的に供給するARMコア(ARM926)及びDSPコア(C64+)を使用して具現することができる。また、ARMコア(ARM926)及びDSPコア(C64+)が統合されたDaVinci DM644xデジタルメディアプロセッサーを使用することもできる。しかし、他の実施例では、制御部70と映像組合せ部80が汎用のマイクロプロセッサーまたはマイクロコントローラによって具現されることもできる。
【0055】
図9は、図1乃至図5に図示されたカメラ装置と結合して使用するに適合した遠隔監視装置の一実施例のブロック図である。遠隔監視装置は、制御部94、入力部96、インターフェースポート98、表示部92、及び映像保存部90を備える。
【0056】
制御部94は、入力部96を介して印加される使用者の操作命令とインターフェースポート98を介してカメラ装置から受信される状態情報を基に、プログラムによって予め決められたとおり、装置の全般的な動作を制御する。なお、制御部94は、インターフェースポート98を通じてカメラ装置のパン/ティルト/ズーム駆動を制御するための制御信号を出力する。
【0057】
入力部96は、キーボードと、マウス及び/またはジョイスティックを含み、使用者が映像内から追跡監視する客体の選択、パノラマ映像領域の選択または変更、パン/ティルト/ズーム命令の入力、映像保存機能の設定、及びその他の監視機能の設定ができるようにする。表示部92は、カメラ装置から受信される出力映像をディスプレイし、映像保存部90は、制御部94の制御下で出力映像を保存する。入力部96を介した運用者の操作命令に従って表示部92に表示される出力映像の形式が変更されることもできる。例えば、運用者は、パノラマ映像102のみ表示されるか、集中監視映像110のみ表示されるようにすることもできる。
【0058】
これによって、中央監視室で運用者は入力部96を操作してカメラの時点を上下左右の任意の方向にマニュアル操作することができ、追跡監視客体を変更することもでき、他にも多様な方式で監視システムを任意操作することができる。
【0059】
図10は、図1及び図2に図示されたカメラ装置の変形された実施例を示す。本実施例では、魚眼レンズを採用して広域監視を行う第1カメラユニット212A、212Bがメインフレーム210の外周面の下側でメインフレーム210の上下方向の仮想の中心軸を中心として水平的に対称するように二つ備えられる。また、カメラ装置を固定するためのブラケットが折り曲がった部分が無く直線形になっており、従って、室内の天井に設置されるか、下方に向かう設置面を備える支持棒に適合に設置されることができる。
【0060】
図11は、図10に図示されたカメラ装置の電気/光学的構成を示す。A/D変換器239A、239Bは、それぞれ第1カメラユニット212A、212Bからの映像信号をデジタルデータに変換する。A/D変換器269は、第2カメラユニット52からの映像信号をデジタルデータに変換する。
【0061】
制御部270において、歪み補正部272は、A/D変換器239A、239Bからの魚眼映像内にある歪みを補正する。動き検出部274は、歪み補正された魚眼映像を一定の数のフレーム単位で比較して映像内の動き客体を検出する。なお、動き検出部274は、客体の動き量を検出し、各客体の大体の中心点を抽出する。座標−角度ルックアップテーブル276は、歪み補正された魚眼映像内の各ピクセルに対するパンニング角/ティルティング角のマッピング情報を保存する。
【0062】
モータ駆動制御部78は、座標−角度ルックアップテーブル276を参照して客体の動き量とサイズによるパン/ティルト/ズーム量を決め、決められたパン/ティルト/ズーム量に従ってモータドライバー60、64、68を駆動することで、第2カメラユニット52が客体を追跡するようにする。
【0063】
映像組合せ部280は、二つの歪み補正された魚眼映像からパノラマ映像を構成する。図12は、図11のカメラ装置においてパノラマ映像を構成する過程を示す。映像組合せ部280は、補正された魚眼映像300、310から一定領域302、312のみを選択し、選択された映像部分を水平的に連結してパノラマ映像320を構成する。次いで、映像組合せ部280は、パノラマ映像とA/D変換器269からの集中監視映像をフォーマットして一つの出力映像を構成する。また、映像組合せ部280は、上記出力映像を映像信号線、例えば、同軸ケーブルを通じて遠隔監視装置へ伝送する。
【0064】
図10に図示されたカメラ装置の他の特徴は、図1に図示された装置の特徴と類似であるため重なる説明は省略する。
【0065】
図10及び図11のカメラ装置によると、二つの第1カメラユニット212A、212Bを結合した全体広域監視カメラユニットの水平視野角が2倍に拡張され、これによって第1カメラユニット212A、212Bによって広域監視できる領域が2倍に拡張される。
【0066】
図13は、本発明によるカメラ装置のさらに他の実施例を示す。本実施例によると、メインフレーム410の外周面の下側がその仮想の法線が外側の下方に向かうように傾いている。このような場合、第1カメラユニット412A、412Bは、別途の支持体を必要とせず、メインフレーム410のハウジング外周面の下側に設置されることができる。すなわち、本実施例では、第1カメラユニット412A、412Bの魚眼レンズまたはその保護体がメインフレーム410のハウジングの外周面に固定して設置されることができる。但し、本 実施例においても、第1カメラユニット412A、412Bは、撮影される有効映像においてドーム50によって塞がる部分が最小化されるように設置位置が定められることが好ましい。
【0067】
図13には、第1カメラユニット412A、412Bが二つ設けられたものと図示されているが、変形された実施例では第1カメラユニットが一つのみ設けられても構わない。一方、図13の実施例でも、第1カメラユニット412A、412Bに図3に図示された支持突出部を導入することで、撮影領域を変更することができるということは当然である。
【0068】
図14及び図15は、本発明によるカメラ装置のさらに他の実施例を示す。本実施例では、カメラ装置が別途のブラケット無しで直接天井に取り付けられる形状を有する。カメラ装置は、第1カメラユニット512A、512Bとドーム50が設置されたメインフレーム510の上段に複数備えられている締結部を天井に密着した状態で、締結部に形成されているネジ孔にボルト32またはネジを挟んで天井に締めることで、設置されることができる。
【0069】
図16は、本発明によるカメラ装置のさらに他の実施例を示す。本実施例によるカメラ装置によると、本実施例では、魚眼レンズを採用して広域監視を行う第1カメラユニット612A〜612Cがメインフレーム610の外周面の下側でメインフレーム610のハウジングの上下方向の仮想の中心軸を中心として水平的に対称するように三つ設けられる。本実施例でも、第1カメラユニット612A〜612Cのそれぞれは、撮影される有効映像において、ドーム50によって塞がる部分が最小化されるように設置位置が決められることが好ましい。
【0070】
図16に図示されたカメラ装置によると、第1カメラユニットの視野角がさらに拡張され、これによって広域監視のためのパノラマ映像の構成がさらに容易となり、各第1カメラユニット612A〜612Cが撮影した映像から歪みの激しい周縁部を除くことで、さらに正確かつリアル感のあるパノラマ映像を構成することが可能となる。
【0071】
図17は、本発明によるカメラ装置のさらに他の実施例を示す。本実施例によるカメラ装置は、メインフレーム710と、水平回転フレーム720と、第2カメラユニット730とを備える。
【0072】
メインフレーム710は、大体円断面または多角形の断面の柱状からなっており、その正面の下側には、広角レンズ714を採用する第1カメラユニット712が支持突出部718を介して設置されている。
【0073】
好ましい実施例において、上記第1カメラユニット712は、広角レンズ714の光軸が外側の下方に向かうように設置され、撮影領域がカメラ装置の直下地点を含むこととなる。メインフレーム710の側面の下段には、貫通孔が形成された複数の支持/締結突起716A〜716Cが備えられており、メインフレーム710が設置面に安定して支持されるようにするとともに、ボルト(未図示)によって設置面に固定させることを可能とする。
【0074】
水平回転フレーム720は、メインフレーム710の上でメインフレーム710に対してパンニング、すなわち、水平回転できるように設置される。水平回転フレーム720がメインフレーム710の上で水平回転できるように、メインフレーム710または水平回転フレーム720の内にはパンニングモータが設置され、パンニングモータにはパンニングシャフト(未図示)が動力的に接続され、メインフレーム710と水平回転フレーム720は、パンニングシャフトを介して接続される。
【0075】
第2カメラユニット730は、水平回転フレーム720の上方でティルティング、すなわち、垂直回転できるように設置される。本実施例において、水平回転フレーム720の内にはティルティングモータが設置され、ティルティングモータには水平回転フレーム720を横方向に横切って連続したティルティングシャフト(未図示)が設置される。ティルティングシャフトの両端部にはブラケット732が接続され、第2カメラユニット730は、ブラケット732の上部に固定設置される。
【0076】
パンニングモータとパンニングシャフトの具体的な構成及び接続関係と、ティルティングモータ及びティルティングシャフトの具体的な構成及び接続関係は、本発明が属する技術分野の当業者には周知のものであって、当業者が多様な方式でこれを容易に具現することができるため、これに関する詳しい説明は省略する。
【0077】
第2カメラユニット730の正面には光を透過しながら、レンズを保護することができるように、透明窓734が備えられている。第2カメラユニット730の上部には、ゴミや雪または雨から第2カメラユニット730が保護されるように、軒736が取付けまたは形成されている。第2カメラユニット730の底面の前段部にはワイパーモータ収納入れ738が設置され、その内部にあるワイパーモータには、透明窓734のゴミや雨水を拭くためのワイパー739が接続される。なお、水平回転フレーム720の両側には、夜間のときに前方に照明を照射することができるように、LEDライト740A、740Bが設置されている。
【0078】
第1カメラユニット712に使用される集光レンズ714は、広角レンズで構成されることが好ましく、魚眼レンズを使用して具現することが特に好ましい。第1カメラユニット712の集光レンズ714とイメージセンサーは、合成樹脂の材質の支持突出部718内で一体型に製作され、メインフレーム710から突出するように設けられることが好ましい。本実施例によると、支持突出部718は、第1カメラユニット712の魚眼レンズ714の結合体の方向を決め、この結合体を空間的に支持する。
【0079】
図18を参照すると、第1カメラユニット712の側面の下側には、回動突起750が形成されている。また、回動突起750の後方には引っ掛け突起754が突出して形成されている。一方、メインフレーム710の正面の下側には、第1カメラユニット712を挿入設置するための凹部が備えられている。上記凹部の側壁の下側には回動突起750に対応して挿入孔752が形成されている。そして挿入孔752の上側の後方には、複数の断続孔756A、756B、756Cが形成されている。便宜上、図18では、第1カメラユニット712をカメラ装置の印刷回路基板に連結するための配線は省略して図示している。
【0080】
第1カメラユニット712は、メインフレーム710の内側からまたは前方から上記メインフレーム710の凹部に挿入して設置される。この際、第1カメラユニット712の回動突起750がメインフレーム710の凹部の挿入孔752に挟まるようにして、第1カメラユニット712が意図とは違って離脱されることを防ぐ一方、第1カメラユニット712が回動突起750を中心として制限された範囲内で回動できるようにする。さらに、第1カメラユニット12の引っ掛け突起754が凹部の内部にある複数の断続孔756A、756B、756Cのうちいずれか一つに引っかかるようにして、第1カメラユニット712が回動突起750を中心として任意で回動することを防ぐ。
【0081】
このような状態で、引っ掛け突起754が複数の断続孔756A、756B、756Cのうちいずれか一つに引っかかっている状態では、第1カメラユニット712が回動突起750を中心として任意で回動することができないが、引っ掛け突起754と断続孔756A、756B、756Cの引っ掛け状態は、外力によって簡単に解除されることができる。従って、カメラ装置が設置されるとき、または設置されている状態で作業者は、引っ掛け突起754が断続孔756A、756B、756Cから離脱されるようにした後、他の断続孔に食い合うようにすることができ、これを通じて第1カメラユニット712の撮影領域を変更することができる。
【0082】
これを図19を参照して、さらに具体的に説明する。図19において、実線は引っ掛け突起754が断続孔756Cに食い合っている状態での第1カメラユニット712の輪郭を示し、点線は引っ掛け突起754が断続孔756Bに食い合っている状態での第1カメラユニット712の輪郭を示す。作業者が後方に力を与えて引っ掛け突起754が断続孔756Bに食い合っているのを解除し、引っ掛け突起54が断続孔756Cに食い合うようにすると、それに相当して第1カメラユニット712内にある魚眼レンズ714の光軸は、上方に回転することとなり、それによって第1カメラユニット712の撮影方向が変更される。従って、第1カメラユニット712の撮影領域は、空間的にみたとき上方に、そして地表面からみたときカメラ装置から遠距離に移動することとなる。
【0083】
このように、第1カメラユニット712の方向を変更することで、第1カメラユニット712の撮影領域を設置場所の広さや状況に合わせて段階的に変更することが可能となる。
【0084】
図17に図示されたカメラ装置の電気/光学的構成は、図1に図示された装置のものと類似であるため、これに関する詳しい説明は省略する。
【0085】
図20は、図17のカメラ装置の変形された実施例を示す。本実施例では、魚眼レンズを採用して広域監視を行う第1カメラユニットが支持突出部718A、718Bを介してメインフレーム710の外周面上で水平的に対称となるように前方と後方に二つ備えられる。図20に図示されたカメラ装置の電気/光学的構成は、図10に図示された装置のものと類似であるため、これに関する詳しい説明は省略する。
【0086】
図21は、図17のカメラ装置のさらに他の変形された実施例を示す。本実施例によるカメラ装置は、メインフレーム710と、水平回転フレーム820と、第2カメラユニット830と、LEDライト840とを備える。
【0087】
メインフレーム710は、大体円断面または多角形の断面の柱状からなっており、その正面の下側には、広角レンズ714Aを採用する第1カメラユニット712が設置されている。好ましい実施例において、上記第1カメラユニット712は、広角レンズ714Aの光軸が外側の下方に向かうように設置され、撮影領域がカメラ装置の直下地点を含むこととなる。メインフレーム710の側面の下段には、貫通孔が形成された複数の支持/締結突起716A〜716Cが備えられているため、メインフレーム710が設置面に安定して支持されるようにする一方、ボルト(未図示)によって設置面に固定できるようにする。
【0088】
水平回転フレーム820は、メインフレーム710の上で上記メインフレームに対してパンニング、すなわち、水平回転できるように設置される。水平回転フレーム820がメインフレーム710上で水平回転できるように、メインフレーム710または水平回転フレーム820の内にはパンニングモータが設置され、パンニングモータには、パンニングシャフト(未図示)が動力的に接続され、メインフレーム710と水平回転フレーム820は、パンニングシャフトを介して接続される。
【0089】
第2カメラユニット830は、水平回転フレーム820の側方向において、ティルティング、すなわち、垂直回転できるように設置される。本実施例において、水平回転フレーム820内にはティルティングモータが設置され、ティルティングモータには水平回転フレーム820を横方向に横切って連続したティルティングシャフト(未図示)が設置される。ティルティングシャフトの一端部には第2カメラユニット830が設置され、他端部にはLEDライト840が設置される。これによって、ティルティングモータ及びティルティングシャフトが回転する場合、第2カメラユニット830とLEDライト840が、これに相応して垂直回転することとなる。なお、第2カメラユニット830とLEDライト840がある程度左右のバランスをとっているため、荷重の不均衡による装置の破損を防ぐことができる。一方、第2カメラユニット830の正面には、光を透過しながらレンズを保護することができるように、透明窓832が備えられている。
【0090】
パンニングモータとパンニングシャフトの具体的な構成及び接続関係と、ティルティングモータ及びティルティングシャフトの具体的な構成及び接続関係は、本発明が属する技術分野の当業者には周知のものであって、当業者が多様な方式でこれを容易に具現することができるため、これに関する詳しい説明は省略する。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はその技術的思想や必須的な特徴を変更せずに多様な方式で変形されることができ、他の具体的な形態で実施されることができる。
【0092】
例えば、以上の説明では、第1カメラユニットにおいて魚眼レンズとイメージセンサーを支持しながら、撮影領域を変更することができるようにする支持突出部18が手動で、すなわち、作業者が手で力を加えて回動させる実施例を中心として説明したが、本発明の他の実施例では、このような支持体を、モータによって回動させてティルティングすることもできる。特に、このようなモータの駆動を第2カメラユニットに対するパン/ティルトの制御と類似な方式で遠隔制御することもできる。
【0093】
なお、添付の図面と以上の説明では、カメラ装置の多様な形態上の変更を例示したが、例示した実施例の特徴は、添付の特許請求の範囲の技術思想の範囲内で互いに交差して適用されることができる。
【0094】
他の一方で、以上の説明では、カメラ装置のパンニング/ティルティング駆動がカメラ装置での動き検出を基に自動で行われる実施例を中心として説明したが、変形された実施例では、遠隔監視装置からの制御信号に従ってパンニング/ティルティング駆動が行われることもできる。遠隔監視装置がパノラマ映像内での動きを検出してパン/ティルト/ズーム駆動ができることは当然である。
【0095】
さらに他の一方で、以上の説明では、カメラ装置が広域監視映像においてパノラマ映像の部分を選択する実施例を中心として説明したが、映像の取り捨ての選択が遠隔監視装置で行われることもできる。
【0096】
従って、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なもので、限定的なものではないことを理解されたい。本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出された全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、全方位監視と動き客体に対する追跡監視が必要な全ての応用分野において利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視用カメラ装置であって、
法線が外側の下方に向かうレンズの設置面を備えるメインフレームと、
前記メインフレームに設置され、その光軸が外側の下方に向かうように前記レンズの設置面に配置される広角レンズと、
前記広角レンズを介して入射する光を電気的信号に変換する第1イメージセンサーと、を備えて、前記監視用カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影する第1カメラユニットと、
第2イメージセンサーを備え、前記メインフレームに対して水平回転及び垂直回転できるように設置される第2カメラユニットと、を備えることを特徴とする監視用カメラ装置。
【請求項2】
前記メインフレームが外周面から外部へ突出しており、その前面が外側の下方に向かう支持突出部を備え、前記広角レンズが前記支持突出部の前記前面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の監視用カメラ装置。
【請求項3】
前記第1カメラユニットが前記メインフレームの外周面において水平的に対称するように複数設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の監視用カメラ装置。
【請求項4】
前記メインフレームの前記外周面に前記支持突出部を挿入設置するための 凹部が設けられており、前記支持突出部が前記凹部に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項2に記載の監視用カメラ装置。
【請求項5】
前記凹部の側壁と前記支持突出部の側面のうちいずれか一つに回動突起が形成され、他の一つに挿入孔が備えられているため、前記回動突起が前記挿入孔に挿入された状態で、前記支持突出部をティルティングして前記第1カメラユニットの前記光軸方向を可変することができるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の監視用カメラ装置。
【請求項6】
前記凹部の側壁と前記支持突出部の側面のうちいずれか一つに引っ掛け突起が形成され、他の一つに複数の断続孔が備えられているため、前記引っ掛け突起が前記複数の断続孔のうち一つに引っかかるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の監視用カメラ装置。
【請求項7】
前記支持突出部を前記回動突起の中心軸を基準としてティルティングするための光軸ティルティングモータをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の監視用カメラ装置。
【請求項8】
前記第2カメラユニットが被写体の撮像サイズを調節するためのズーム駆動部と、
撮影方向を調整するためのパン/ティルト駆動部と、を備え、
前記第1カメラユニットによって獲得した広角映像から動き客体を検出する動き検出部と、
前記第2カメラユニットの前記パン/ティルト駆動部を駆動して、前記第2カメラユニットが前記動き客体を撮影するように制御する駆動制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項9】
前記広角映像内の各ピクセルに対するパンニング角及びティルティング角のマッピング情報を保存するルックアップテーブルをさらに備え、
前記駆動制御部が前記広角映像内での前記動き客体の位置に応じて前記ルックアップテーブルを参照して前記パン/ティルト駆動部を駆動することを特徴とする請求項8に記載のカメラ装置。
【請求項10】
前記駆動制御部が前記動き客体のサイズに応じて前記ズーム駆動部を駆動することを特徴とする請求項8に記載のカメラ装置。
【請求項11】
前記広角映像と前記第2カメラユニットによって獲得した集中監視映像を組合せて出力映像を構成する映像組合せ部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のカメラ装置。
【請求項12】
前記広角映像内にある歪みを補正する歪み補正部をさらに備え、
前記動き検出部は、歪み補正された広角映像から前記動き客体を検出し、
前記映像組合せ部は、前記歪み補正された広角映像と前記集中監視映像を組合せて前記出力映像を構成することを特徴とする請求項11に記載のカメラ装置。
【請求項13】
前記メインフレームの下段に設けられるドームをさらに備え、前記第2カメラユニットが前記ドーム内に設けられることを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項14】
前記メインフレームに対して水平回転できるように設けられる水平回転フレームをさらに備え、前記第2カメラユニットが前記水平回転フレームに対して垂直回転できるように設けられることを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項15】
監視用カメラ装置と、前記監視用カメラ装置と電気的に接続できる遠隔監視装置を備える遠隔監視システムであって、
前記監視用カメラ装置が、
法線が外側の下方に向かうレンズの設置面を備えるメインフレームと、
前記メインフレームに設けられ、その光軸が外側の下方に向かうように前記レンズの設置面に配置する広角レンズとを備え、前記監視用カメラ装置の直下地点を含む周辺映像を撮影する第1カメラユニットと、
第2イメージセンサーを備え、前記メインフレームに対して水平回転及び垂直回転できるように設置される第2カメラユニットと、
前記第1カメラユニットによって獲得した広角映像から動き客体を検出し、前記第2カメラユニットが前記動き客体を撮影するように制御する制御部と、
前記広角映像と前記第2カメラユニットによって獲得した集中監視映像を組合せて出力映像を構成し、前記出力映像を前記遠隔監視装置へ伝送する映像組合せ部と、を備え、
前記遠隔監視装置が前記出力映像を表示装置にディスプレイすることを特徴とする遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−519254(P2013−519254A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551072(P2012−551072)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006942
【国際公開番号】WO2011/093574
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512197504)ヨンコック エレクトロニクス、カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】YOUNGKOOK ELECTRONICS,CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1432−10 Seocho−dong,Seocho−gu Seoul 137−070,Republic of Korea
【Fターム(参考)】