逆止弁、逆止弁を備えるポンプ
逆止弁は、筒状の弁座枠と、該弁座枠内に固着されて動作流体が流通する流通孔を有する弁座と、前記弁座の動作流体の流出側にあって前記弁座を開閉する弁体と、を備え、前記弁座枠と前記弁座と前記弁体とが一体にユニット化されていることにより、構造が簡素で、組み立て性がよく、低コスト化を実現できる。また、前述の逆止弁を備えることにより、小型で、耐久性が優れた高性能なポンプを提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、主として弁座、弁体、弁座枠を一体にユニット化してポンプに組み込むことができる逆止弁と、この逆止弁を備えるポンプに関する。
技術背景
従来、動作流体を流動するポンプには、流体流路の抵抗要素として逆止弁が備えられている。特に、ピストンやダイアフラ厶によってポンプ室の容積を変更して動作流体を流動する小型ポンプに採用される逆止弁には、以下の従来技術が提案されている。
第1の従来技術として、動作流体をポンプ室内に吸い込み、そしてポンプ室外に吐出する際の動作流体の制御を行う構造として、動作流体の吸い込み口と吐出口を有するポンプ吸い込み吐出用ユニットと、吸い込み側逆止弁と吐出側逆止弁とを有するポンプ弁座ユニット、ポンプアクチュエータユニットから構成され、ポンプ弁座ユニットが、ポンプ吸い込み吐出用ユニットとポンプアクチュエータユニットとの間にシール材としてのOリングを介して固定される逆止弁と、この逆止弁が備えられたポンプの構造が知られている(特開平10−220357号公報)。
また、第2の従来技術として、流体流路において、動作流体をポンプ室内に吸い込み、そしてポンプ室外に吐出する際、動作流体を一方向にのみ流通させる逆止弁として、弁座と、動作流体の吸入側にあって弁座の開閉を行うボールと、ボールの移動量を制限する開口付きのストッパと、弁座とストッパとを一体に組み合わせる連結部材とを備えた逆止弁が知られており、さらに、逆止弁は、押え部材によってポンプケースに押圧固定されており、この逆止弁を動作流体の吸入側と吐出側に1対備えたポンプも知られている(特開2000−2350号公報)。
さらに、第3の従来技術として、ポンプハウジング内に形成された弁座と、この弁座を開閉するボールと、ボールの移動量を制限するボールストッパと、ボールを弁座に押圧するコイルスプリングとから構成される逆止弁と、この逆止弁が備えられたポンプが知られている(特開2001−173816号公報)。
しかしながら、特開平10−220357号公報に記載の発明では、ポンプ弁座ユニットが、吸い込み側逆止弁と吐出側逆止弁とを備えているため、特に、平面方向のサイズが大きくなるという課題がある。また、ポンプ弁座ユニットが、ポンプ吸い込み吐出用ユニットとポンプアクチュエータユニットとでOリングを介して挟持されて固定されているために、組み立ての際にポンプ室空間広さが一定しないことによるポンプ性能が不安定になるということも考えられる。
さらに、Oリングは、長期間使用するうちにシール性が劣化することが考えられるので、定期的に交換しなければならないという煩わしさや動作流体の種類により耐薬品性を考慮し、Oリングの材質を変える煩わしさが生ずる。
また、ポンプ弁座ユニットは、合成樹脂で成形されており、流体の吸い込み部と吐出部の仕切り部はポンプ室の上方に浮いている構造であるため、アクチュエータが駆動した際に、ポンプ弁座ユニットが変形してポンプ室内の所定圧力が得られないということも考えられる。また、動作流体の流動により弁座が磨耗したり、キャビテーション等により傷がつきやすく、耐久性が充分でないという課題もある。
また、特開2000−2350号公報による発明では、ボールが、弁座とストッパとの間に設けられた空間に備えられ、この空間内を移動することで弁座の開閉を行っているが、ストッパのボールガイド壁とボールとの間の隙間が小さく、接触抵抗によりボールの移動が妨げられることが考えられる。また、弁座の動作流体流出部の座面に急激な開口広さの変化があるため、渦流が発生し、動作流体の円滑な流動が妨げられるというような課題も考えられる。
また、ボールは超硬合金やセラミックスで成形されており、一般の動作流体よりも単位体積当たりの重量が大きいため、ボールが、弁座の開閉のために移動しにくいので、例えば、ダイアフラムを用いた高い周波数で動作流体を流出するような小型のポンプには不向きであるというような課題がある。
さらに、特開2001−173816号公報による発明では、この逆止弁は、ボールが、常時、弁座側にコイルスプリングで押圧され、動作流体の圧力で弁座を開放し、また、コイルスプリングの弾性力で弁座を密閉する構造であるため、流体流入路の流入圧力は、コイルスプリングの弾性力とボールの重量に対して相当な大きさを必要とされ、例えば、動作流体の入り口流路と出口流路のイナータンス値の差で、弁座を開閉するような小型の逆止弁に採用することは困難である。
また、このようなポンプでは、逆北弁内の動作流体の流路には、コイルスプリングが備えられているので、コイルスプリングによって動作流体の流動が妨げられ、さらに、逆止弁から流体流路が急激に曲げられているために、動作流体の流動抵抗が大きくなるという課題もある。
本発明は、これら上記の課題を解決するためになされたもので、構造が簡素で、組み立て性がよく、低コスト化が実現できる逆止弁と、この逆止弁を備えることで、小型で、耐久性が優れた高性能なポンプを提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明の逆止弁は、筒状の弁座枠と、該弁座枠内に固着されて動作流体が流通する流通孔を有する弁座と、前記弁座の動作流体の流出側にあって前記弁座を開閉する弁体と、を備え、前記弁座枠と前記弁座と前記弁体とが一体にユニット化されていることを特徴とする。
この発明によれば、この逆止弁は、少なくとも、弁座と弁座枠と弁体の3部品で構成されているため、構成部品数が少なく簡素な構造であるため、低コストで製造することができる。また、逆止弁が一体でユニット化されているため、逆止弁として単体で性能管理ができ、例えばポンプに組み込んだ際に、逆止弁について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁の性能を得ることができる。また、逆止弁として重要な機能部材である弁体や、弁座の流通孔に触れることなく後述するポンプ等組み込むことができるため組み立て性がよく、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、前述した従来技術のように、逆止弁周辺にシール材としてのOリングを設ける必要がない。Oリングは、長期間使用するうちにシール性が劣化することが考えられ、定期的な交換をしなければならないという煩わしさがあるが、本発明の構造によれば、Oリングの定期的な交換や、動作流体の種類により耐薬品性を考慮しOリングの材質を変える煩わしさもない。
さらに、本発明では、前記弁座が、前記弁座枠及び前記弁体よりも硬度が高い材料で形成されていることを特徴とする。
ここで、弁座の材料としては、例えば、超硬合金等の硬質金属や、セラミックスを採用することができる。また、セラミックスとしては、Al2O3の多結晶燒結材が代表されるが、単結晶材も採用できる。
この発明によれば、これらの材料は硬度が高いため、弁体の開閉によって生ずる衝撃やキャビテーションによる弁座の磨耗や傷が付くことを防止することができる。
また、動作流体の流動による磨耗を防止することができる。これらのことによって、長期間にわたって良好な性能を維持することができる。
また、前記弁体が、固定部と開閉部とから構成されると共に、前記弁座の動作流体が流出する側に備えられ、前記固定部が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする。
なお、ここで弁体の固着手段としては、例えば、溶接、接着、ロウ付け等の接合面固着が採用できる。
このような構造では、弁体が、動作流体が弁座に流入する側に備えられる構造に対して、動作流体の流動抵抗が小さく、円滑な流動を行うことができる。また、弁体の固定部が弁座枠に固着され、弁体自身が移動することがないため、弁座の流通孔を確実に開閉することができる。
また、前記弁座の動作流体の流出側端面と前記弁座枠端面とが略同じ高さに設けられ、前記固定部が前記弁座枠の頂面に固着されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、弁座と弁座枠の端面位置が略同じに設定されているため前述した開閉部と固定部とが板状部材の平板で構成することができ、各部分の形状、寸法が管理しやすいためコストの低減がはかれると共に所定の性能が確保できるという効果がある。
また、前記弁体が、周縁の固定部と、前記弁座の流通孔の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する支持部と、から構成され、前記弁体が前記弁座枠の周縁に設けられた筒状の突出部の内部に装着され、前記固定部が前記突出部を変形させることによって固着されていることを特徴とする。
このような構造によれば、弁体は、弁体の固定部が弁座枠の突出部を変形させることで、例えば、部分的に、または全周をカシメル(部材を変形させて固定する)ことによって弁座枠に固定されているので、少ないスペースで確実に固定することができる。また、弁体の固定部の外周部を固定することで、開閉部や支持部を変形させることなく固定することができる。また、弁体は、弁座枠の突出部内に装着するだけで、平面方向の位置が規制されるために、特別の治具を用いなくても開閉部が確実に弁座の動作流体の流通孔を開閉することができる。
また、前記弁体が、前記弁座枠の周縁部に設けられた突出部の内部に装着され、リング状の固定部材が前記弁座枠の突出部内に圧入されることによって、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、周縁に設けられた固定部が弁座枠と固定部材によって厚み方向に挟まれて固定されるため、弁体に内部応力を生じさせずに固定することができるので、支持部や開閉部が変形されることなく固定することができる。
また、本発明の構造では、前記弁体の固定部の周縁に筒状の突出部が設けられ、該突出部が、前記弁座枠の突出部内に装着され、リング状の固定部材が前記弁体の突出部内に圧入されることによって、前記弁体が、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする。
この構造によれば、弁体に設けられた突出部に前述の固定部材を圧入することで、前記弁座枠の突出部と前記固定部材との間に弁体の突出部が挟着されているので、前述と同様な効果が得られる他、弁体は、周縁部に突出部が設けられることによって、例えば20μm程度の薄板であっても外周部が補強されているので全体が撓みにくく、取り扱いで変形することが少ないという効果もある。
なお、弁体は、プレス加工等で製造できるため、突出部を設けるための加工工程を設ける必要がなく、コストが増加することもない。
また、本発明の構造では、前記弁体の固定部の周縁に設けられた筒状の突出部が、前記弁座と前記弁座枠との径方向間隙に圧入されて狭着されていることを特徴とする。
このような構造によれば、弁体の突出部内に弁座を挿着させ、弁体と弁座とを弁座枠のリング内に圧入することで、前述の固定部材を用いることなく一体化することができる。また、弁座枠には、前述したような突出部を設ける必要がないため、構造をより一層簡素にすることができる。
また、本発明の構造では、前記弁体が前記弁座枠に設けられた凹部の内部において厚み方向に移動可能に装着され、前記弁座枠の凹部周縁に、前記弁体が前記流通孔を開閉可能に支持するリング状の固定部材が備えられていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、弁座枠に設けられた凹部で平面方向の位置が規制されるとともに、固定部材によって厚み方向の動きの範囲が規制されるため、凹部の直径、深さを適宜に設定することで、弁体の流通孔の開閉が適正に行われるように規制することができる。ここで、固定部材は、例えば、弁座枠の凹部周縁に接着、溶接等の面接合手段で固定することができる他、弁座枠の凹部よりも大きな直径の凹部を新たに設け、その凹部にリング状の固定部材を圧入することで固定することができる。
また、前記弁体が、周縁の固定部と、略中央部の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する複数の羽根部と、から構成されていることを特徴とする。
ここで、この構造の弁体は、例えば、羽根部を有する略プロペラ状の形状に形成され、羽根部の形状としては、後進面が弁座方向に、前進面がその反対方向に設けられる。
このような複数の羽根部を備えることで、動作流体が流出されるときは、動作流体は、羽根部の緩やかな曲面の後進面に沿って抵抗が少ない状態で羽根部の間からで流出することができ、また、流通孔を閉じるときは、動作流体が前進面を押すことによって、開閉部で流通孔を閉じることができ、ダイアフラムの小さな動きに追従して流通孔の開閉をすることができる。
また、本発明の構造では、前記弁座に複数の流通孔が設けられ、前記流通孔に対応した数量の前記弁体の開閉部が設けられていることを特徴とする。
ここで、複数の流通孔は、例えば、サークル状、直線状、または並列に設けることができる。
この発明では、弁座に複数の動作流体の流通孔が設けられて、この流通孔を開閉する弁体の開閉部がそれぞれに独立して設けられているが、外周の固定部は一体で形成されているので、逆止弁は、構成部品数を増加することなく構成することができる。例えば、ダイアフラム型のポンプにおいて、ダイアフラムの振幅が10μm程度の場合は、弁体の開閉部の動作範囲は20μm程度であるため、動作流体の流量を多くしたい場合は、流通孔を複数設けることで、流量を増加させることができる。
また、複数の流通孔を一つの開閉部で開閉することもできるが、開閉部のわずかな変形や寸法のばらつきで、各流通孔を全て一様に開閉できないことが考えられ、流通孔に対して独立した開閉部を設けることによって全ての流通孔の開閉が確実に行われるという効果がある。
また、前記弁座の動作流体の流通孔が、長円状に開口されていることを特徴とする。
このような構造では、流通孔が長円状に開口しているので、開口面積を大きく設定することができ、動作流体の流量を増加することができる。
また、前記弁座の流通孔の動作流体の流入口および流出口が、動作流体の流体抵抗を減ずるように滑らかに丸められて形成されていることが好ましい。
さらに、前記流通孔の動作流体の流入口及び流出口の間が、連続した略円弧で滑らかに形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁座の流通孔は、流入口の外部に比べて直径が小さくされることが一般的であるため、動作流体がこの流通孔に流入する、あるいは流通孔内部を流動する際に流動抵抗が増加する。
従って、この発明によれば、流入口、流出口が滑らかに丸められていることによって、動作流体の流通孔に流入するときの流入抵抗を減じ、流出のときに渦流が発生して生ずる流動抵抗を減ずることができる。
さらに、流通孔内部も流入口、流出口に略円弧で滑らかに連続した形状に形成することで、流通孔内部の流動抵抗を減ずることができる。
また、前記弁座の動作流体が流入する側の面が、前記流入口に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されていることを特徴とする。
このような形状にすれば、動作流体が弁座の流通孔内に流入する際の抵抗をより一層減ずることができるという効果がある。
ここで、略円弧の漏斗状とは、その内面形状がU字型ではなく、内面の断面途中が若干膨らむような形状にすることがより好ましい。
前記弁体の前記流通孔の流出口周縁に密接する面が、ドーム状または円錐体状に形成されていることが好ましい。
このような構造では、弁体は、弁座の流通孔の周縁を平面で密接する場合、弁体の形状が簡単で製造しやすく、また、開閉部がドーム状や円錐体状である場合、弁座との接触が線接触になり接触圧力が増し、動作流体の漏れを一層防止することができるという効果がある。
また、本発明の逆止弁は、前記弁座を開閉する弁体がボールであって、該ボールを支持し、動作流体の流通孔が設けられたボール支持部材と、をさらに備え、前記弁座枠と前記弁座と前記ボールと前記ボール支持部材とがユニット化されていることを特徴とする。
ここで、ボールとは、例えば、球体である。
この発明によれば、この逆止弁は、弁座と弁座枠とボールとボール支持部材との4部品で構成されているため、構成部品数が少なく、それぞれが簡素な形状であるため、製造が容易で、形状管理もし易く、低コストで製造することができる。また、逆止弁がユニット化されているため、逆止弁として単体で性能管理ができ、例えばポンプに組み込んだ際に、逆止弁について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁の性能を得ることができる。また、逆止弁として重要な機能部材であるボールや、弁座の流通孔に触れることなく、ポンプ等に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、弁座がボールで開閉されるため、開放されているときは、動作流体が、ボールの表面を流動するために流動抵抗が小さく、例えば、板状の弁を用いた場合に比べ、ボールが弁座から離れて流通孔を開放するときに、同じ移動量であっても流通断面積が大きくなるため、流動量を多くすることができる。密閉されているときは、弁座とボールとは線接触となり、接触圧力が大きくなり、確実に密閉できるという効果がある。
また、前記ボール支持部材が、周縁の支持部と略中央に動作流体が流通する流通孔と前記ボールを支持するボール支持部と前記支持部と前記ボール支持部を連結する腕状の連結部と、から構成されていることを特徴とする。
この発明では、ボールを支持しているボール支持部材が、上述のように構成されているので、例えば、金属の板材をプレス等の加工手段で容易に形成することができる。また、ボールは、ボール支持部材の流通孔から中央部を、さらに、連結部の間から周辺部を動作流体によって押し上げられて弁座の流通孔を押圧して密閉するため、動作流体の圧力によって、ボールが移動しやすく、弁座の流通孔の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
また、ボールが弁座から離れて、弁座が開放されているときは、ボールがボール支持部材のボール支持部で位置が規制され支持されているので、小さいスペースで、しかも簡素な形状でボールを適正位置に支持することができる。
さらに、ボールは、移動する際、回転するため弁座との接触位置が其の都度変化するため、弁座との接触位置が変化するので、同じ位置が磨耗することを防止することもできる。
また、前述の構造では、前記ボール支持部に、前記ボールを支持する爪部が突出されていることを特徴とする。
このような構造では、ボールは、ボール支持部に設けられた、例えば、3本の放射状に突出された爪部によって支持されているので、ボールの位置規制を確実に行うことができる。この爪部は、ボールの直径よりも小さい範囲でボールを支持しているため、この爪を設けることによって動作流体の流動を妨げることがない。
また、前述の構造では、前記弁座を開閉する際に、前記ボールと前記ボール支持部材とが同時、または別に移動することによって前記弁座の開閉を行うことが好ましい。
このようにすれば、ボールとボール支持部材、ボール支持部材と弁座枠とは、それぞれ支持はされているが固定はされていない。従って、ボールだけが移動して弁座の流通孔を開閉することも、ボール支持部材でボールを押し上げて流通孔を密閉し、また、ボールとボール支持部材が一緒に移動して流通孔を開放することができる。ボールだけでなく、ボール支持部材も移動できる構造であるために、例えば、ポンプ室の正の圧力をボール支持部材が受け、ボールを押圧することもできるので、流通孔の密閉力を高めることができる。
また、本発明の構造では、前記ボール支持部材のボール支持部に、前記ボールを前記弁座に押圧する弾性部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前述したように、ボールは流通孔を開閉するが、ボール支持部に弾性部が設けられているので、この弾性力でボールを流通孔に押圧し、確実に密閉することができる。この弾性部の弾性力は、例えば、流通孔を開放するときには、ポンプ室の負圧でボールを開放できる程度の大きさに設定されることがより好ましい。
また、この弾性部でボールを常時弁座の流通孔に接触するようにしておけば、ポンプを停止している際に、動作流体が流出すること防止することができる。
また、本発明の逆止弁は、前記ボール支持部材の外周支特部の周縁に、前記弁座枠に設けられた孔の内面に沿って筒状の側面案内部が設けられていることを特徴とする。
このような構造では、ボール支持部材が板状に形成されている場合に比べて、ボール支持部材に筒状の側面案内部が設けられ、この側面案内部が前記弁座枠の孔内面に沿って移動するので、断面方向に傾くことが、なく移動が円滑に行われ、流通孔の開閉を確実に行うことができる。また、このような側面案内部を設けても、逆止弁のスペースを大きくする必要もない。
また、本発明の構造では、前記ボールの密度の平均値と動作流体の密度とが略同じであることを特徴とする。
流通孔を開閉するボールは、動作流体の圧力の変化で移動する。この際、ボールの密度の平均値が動作流体の密度とが略同じとされているために、ボールは、動作流体中において、例えば、ポンプの駆動を停止している場合、ボールは浮遊状態またはそれに近い状態であるので、ポンプを駆動した場合に、動作流体のわずかな圧力変化で移動するため、ポンプの駆動源が圧電素子のような高い周波数で駆動されるような場合、その駆動周波数に同期して移動し、弁座の開閉を行うことができる。
さらに、前記ボールが、中空であることを特徴とする。
ここで、ボールの材質としては、耐久性を考慮すると、鉄系合金、ステンレス合金、銅系合金、アルミニウム合金などの金属や、ガラス、セラミックス、合成樹脂等を採用することができる。
これらの材質でボールを形成した場合、単位体積当たりの重量が大きく、動作流体のわずかな圧力変化では移動しにくいことが考えられる。この際、ボールを中空にすることで、単位体積当たりの重量を減ずることができ、ボールの外殻の厚みをボール材質及び動作流体の材質によって調整することで、前述したような、ボールの単位体積あたりの重量が、ボールがおしのけた動作流体の体積当たりの重量と略同じに設定することができ、前述のような効果が得られる。
さらに、前記ボールの表面に皮膜が設けられていることを特徴とする。
ここで、皮膜としては、超硬合金、ニッケル、クロムやセラミックス等の硬質皮膜が採用でき、被膜成形手段としては、電気めっき法、化学めっき法などの湿式めっき法や、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式めっき法が採用できる。また、ゴム系の軟質材料も採用できる。
このような構造では、流通孔を開閉するボールは、外殻に皮膜が形成されているので、製造のしやすさからボールの材質が限定されても、前述の硬質皮膜を選択した場合、表面の硬度を高くすることができるために、長期間使用しても、磨耗したり、流通孔の開閉の衝撃で傷がつくことが少ないという効果がある。また、前述したようにボールを中空にしても、この硬質皮膜が形成されることでボールの変形を防止することができる。
軟質の皮膜を選択した場合は、弁座のシール性をより高めることができる。
また、前記弁座の流通孔外側が、動作流体が流通する流入口と流出口が滑らかに略円弧で連続して形成され、前記流出口の開口部が、前記ボールの直径よりも大きな直径の円弧で形成されていることを特徴とする。
このように、流通孔の流入口、流出口が滑らかな円弧で連続されているために、動作流体が、弁座を流通する際の流体抵抗を減ずることができる。特に流出口は、ボールで開閉されるので、この流出口の開口部外側がボールの直径より大きい円弧で形成されている場合、ボールがわずかに弁座からはなれたときでも、動作流体が流出する開口断面積が広く確保できるため、動作流体の流出流量を多くすることができ、また、このことによって、ボールが弁座から離れることを促進する効果もある。
また、ボールは、流出口の開口部外側に設けられた円弧の表面に沿って流通孔まで移動して密閉するので、ボールの平面方向位置がわずかにばらついて移動しても、より確実に流通孔を密閉することができる。
さらに、前記ボール支持部材が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする。
ボール支持部材が、弁座枠に固着されている場合、ボールは、単独で流通孔を開閉するが、ボール支持部材が前記弁座枠に固着され、ボールは、ボール支持部材のボール支持部で平面方向の位置が規制されているので、弁座の流通孔に対するボールの位置をより正確に規制することができる。
また、ボールだけが移動する構造であるため、ボール支持部材が移動する構造に比べ、より簡素な構造の逆止弁を提供することができる。
また、前記弁座枠の前記弁座と前記ボール支持部材の間の側面に、内側から外側に貫通する孔が設けられていることを特徴とする。
本発明では、前述したように弁座と弁座枠とボールとボール支持部材とがユニット化されているが、弁座枠の側面に貫通孔が設けられているために、逆止弁単体で、ボールの位置や動き具合をこの孔から検収することができる。
また、動作流体が逆止弁内で詰まった場合などに、例えば、ポンプから逆止弁を取り外して、この孔から洗浄液等を流動させ洗浄することもできる。
本発明のポンプは、ピストンまたはダイアフラムにより、容積が変更可能なポンプ室と、該ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路と、を備え、前記ダイアフラムを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを支持する筐体と、をさらに備え、前記入口流路と前記ポンプ室の間に、請求項1ないし請求項28のいずれかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、このポンプは、前述したような逆止弁を備えているため、小型で構造が簡素で低コストが実現でき、動作流体の流動が円滑に行われ、且つ、耐久性が優れるという効果が得られる。特に、詳しくは後述するが、出口流路のイナータンスが入口流路のイナータンスよりも大きく、弁座に加わる圧力が大きい小型ポンプにおいて前述した効果が顕著である。
【産業上の利用可能性】
本発明の逆止弁は、特にダイアフラム型等の小型ポンプに有効で、このポンプは、プロジェクタ等の電子機器の冷却装置、ウォータージェットメス、流体アクチュエータ、マイクロ液圧プレスのピストンの動力源等に利用することができるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るポンプを示す断面図。
【図2】 本発明の実施形態1に係る逆止弁を示す断面図。
【図3】 本発明の実施形態1に係る弁体を示す平面図。
【図4】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図5】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図6】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図7】 本発明の実施形態1に係る弁座を示す断面図。
【図8】 本発明の実施形態1に係る他の弁座を示す断面図。
【図9】 本発明の実施形態1に係るポンプ室内の圧力とダイアフラムの変位の関係を示すグラフ。
【図10】 本発明の実施形態1に係る入口流路と出口流路における流量の波形の関係を示すグラフ。
【図11】 本発明の実施形態2に係る逆止弁を示す断面図。
【図12】 本発明の実施形態3に係る逆止弁を示す断面図。
【図13】 本発明の実施形態4に係る逆止弁を示す断面図。
【図14】 本発明の実施形熊4に係る弁体示す斜視図。
【図15】 本発明の実施形態5に係る逆止弁を示す断面図。
【図16】 本発明の実施形態6に係る逆止弁を示す断面図。
【図17】 本発明の実施形態6に係る逆止弁の変形例を示す断面図。
【図18】 本発明の実施形態6に係る弁体を示す平面図。
【図19】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す平面図。
【図20】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す平面図。
【図21】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す側面図。
【図22】 本発明の実施形態7に係る逆止弁を示す断面図。
【図23】 本発明の実施形態7に係る弁体を示す平面図。
【図24】 本発明の実施形態8に係る逆止弁を示す断面図。
【図25】 本発明の実施形態8に係る逆止弁を示す平面図。
【図26】 本発明の実施形態9に係る弁体を示す平面図。
【図27】 本発明の実施形態9に係る他の弁体を示す平面図。
【図28】 本発明の実施形態10に係る逆止弁を示す断面図。
【図29】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図30】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボール支持部材の変形例を示す断面図。
【図31】 本発明の実施形態10に係る逆止弁の弁座を示す断面図。
【図32】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボールを示す断面図。
【図33】 本発明の実施形態11に係る逆止弁のボールを示す断面図。
【図34】 本発明の実施形態12に係る逆止弁を示す断面図。
【図35】 本発明の実施形態12に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図36】 本発明の実施形態13に係る逆止弁を示す断面図。
【図37】 本発明の実施形態13に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図38】 本発明の実施形態14に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図39】 本発明の実施形態14に係る逆止弁のボール支持部材を示す断面図。
【図40】 本発明の実施形態15に係る逆止弁を示す断面図。
【図41】 本発明の他の実施形態に係る逆止弁を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明に係る逆止弁、及びこの逆止弁を備えるポンプについて説明する。なお、以下に記載する実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
最初に、本発明の実施形態1について説明する。図1〜図10には、実施形態1の逆止弁及びこの逆止弁が備えられたポンプ10が示されている。
図1は、実施形態1の逆止弁が装着されたポンプの縦断面図が示されている。図1において、ポンプ10は、ポンプ室ユニット100とアクチュエータユニット200とを備えている。
ポンプ室ユニット100は、動作流体が流入される入口流路111と、流出される出口流路117とを備えるポンプ室体101と、ダイアフラム150と、動作流体の脈流を防止する脈流吸収手段としての弾性膜151とから構成されている。
ポンプ室体101は、平面視外形は略円筒形であり、側面一方方向に入口流路111が穿設されたパイプ状の入口接続管110が突出して形成され、入口流路111は、弾性壁室112に流通している。入口流路の先端部は、図示しないチューブ等の外部配管に接続され、動作流体が供給される。入口接続管110の反対側には、出口流路117が穿設されたパイプ状の出口接続管116が突出して形成されている。出口流路117の内側端部は、ポンプ室119に流通しており、他端は、動作流体の吐出口となっていおり、図示しない外部配管に接続される。
入口流路111が流通されている弾性壁室112は、ポンプ室体101の略中央に円筒状の凹みとして形成され、図中、上方の開口部周縁上面121に弾性膜151が密閉固定され、ポンプ室119側の開口部113は、弾性壁室112の内径よりも直径が小さく設定されている。この開口部113とポンプ室119の間には逆止弁50が備えられている。流体抵抗要素としての逆止弁50は、入口流路111から出口流路117に動作流体が流通されるように開放され、または密閉される。
なお、小型で、5kHz程度の一般のポンプより高周波駆動される本実施形態1のようなポンプでは、弾性膜151、弾性壁室112が備えられることが好ましいが、必ずしもなくてもよい。
逆止弁50を挟んで弾性壁室112の反対側に薄く形成された凹みが形成され、ダイアフラム150で密閉された空間がポンプ室119である。
ポンプ室体101は、金属粉体成形(Metal Injection Mold)で形成されている。金属粉体成形のほかに、精密鋳造などで成形することができる。耐薬品性、防錆、構造的強度を配慮した材質として、ステンレス鋼やチタン合金等を採用することが好ましいが、鉄系合金や銅系合金も採用できる。
逆止弁50は、詳しくは後述するが(図2、参照)、弁座60と弁座枠70と弁体80とから構成され一体にユニット化されている。そして、逆止弁50は、開口部113の内壁114に圧入され、密着固定されている。
ダイアフラム150は、ステンレス鋼等の円盤状の薄板で、厚みは20μm程度とされ、外周部がポンプ室119の周縁部に接着、溶接、ロー付け等の固着手段で密着固着されている。
弾性膜151の上面には、弾性膜保護部材としての上板140が載置されたうえ、その外周部を固定螺子155でポンプ室体101に弾性膜151と共に螺合固定される。固定螺子155は、図1では、1個のみ記載されているが、3個または4個平面方向にバランスよく備えられている。弾性膜151は、動作流体が脈動した際に、断面方向に撓んで脈動を吸収するが、上板140の弾性膜151と接する面側には、弾性膜151が撓んでも接触しない範囲の凹みが設けられ、平面方向中央部には、上板140と弾性膜151で密閉された空気を開放するための孔103が設けられている。
ポンプ室体101は、弾性壁室112とは逆止弁50を挟んで反対側の外周に突出された筒部122が形成され、其の端面には、アクチュエータユニット200を固定するための雌螺子が設けられている。筒部122の内側のポンプ室119の開口部には、ポンプ室119のアクチュエータユニット200側を密閉するダイアフラム150が密着固定されている。ポンプ室119のダイアフラム150と接触する壁の角部は、滑らかに丸められている。
この筒部122の内側にアクチュエータユニット200の筐体201が挿着される。
筐体201は、一方が閉塞され,他方が開口された筒形状をしており、筒部202と、筒部外周から外形方向に突出された鍔部203とが形成されている。筒部202がポンプ室体101の筒部122の内側に着脱可能な強度で圧入されている。
筒部202の端部はダイアフラム150を押圧しているが、筒部202の内径は、上台401に接触しない大きさとされ、ダイアフラム150と接触する角部は滑らかに形成されている。ダイアフラム150と接触する内径は、ポンプ室体101がダイアフラム150と接触する部分の内径と略同じである。
鍔部203に設けられた固定螺子205の挿通孔とポンプ室体の筒部122に設けられた雌螺子との間で、固定螺子205によって、筐体01(アクチュエータユニット200)とポンプ室ユニット100とが固定され、ポンプ10が使用できる充分な強度で一体化される。
筐体201の筒部202の内側には、アクチュエータ301が備えられている。
アクチュエータ301は、長手方向に伸縮振動する圧電素子であり、一方の端面には、上台401が固着され、他方の端部は、筐体201の底部209に固着されている。
上台401は、アルミニウム合金製等の比重の小さい材料で形成された円盤であり、アクチュエータ301の固着面との反対側の面が、ダイアフラム150に密接されている。アクチュエータ301は、外部制御回路(図示せず)からバイアス電圧が印加されることで、伸縮振動を行い、伸びたときにダイアフラム150を押して撓ませてポンプ室119の容積を減じ、収縮したときには、元の状態に引き戻し、ポンプ室119の容積を増加させる。
なお、上台401は、アクチュエータの端部面積、形状を適切な設定を行えば、省略することができる。
筐体201の筒部202の側面には、内側から外側に貫通孔204が設けられている。この貫通孔204には、図示しないが、アクチュエータ301にバイアス電圧を印加するためのリード線が挿通される。
ここで、本発明のポンプにおける流路のイナータンスの関係について説明を加える。流路に柔軟部等の圧力変動吸収要素がある場合、イナータンスの算出には圧力変動吸収要素までの流路を考慮すればよいため、入口流路のイナータンスは、圧力変動吸収要素である弾性膜151から逆止弁50までの流路のイナータンスであり、一方、出口流路のイナータンスは、出口流路117のイナータンスである。この2つのイナータンスを比較すると、出口流路のイナータンスは入口流路のものよりはるかに大きくなっている。
次に、実施形態1に係る逆止弁50について説明する。
図2は、本実施形態1の逆止弁50の断面形状を示す。図2において、逆止弁50は、弁座枠70、弁座60、弁体80とから構成されている。弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設された円盤状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている。流入口側は、動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は、動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められているのである。
弁座60の流出側の外周角部には斜面64が設けられ、後述する弁体80との接触面積を適正な大きさに設定すると共に、弁座枠70への圧入を容易にしている。
なお、弁座60は、弁座枠70、弁体80よりも硬度が高い材料で形成され、超硬合金やセラミックス(Al2O3等)が採用される。
弁座枠70は、弁座60が圧入される中心部の貫通孔71が穿設されたリング状に形成され、貫通孔71の動作流体の流入側は、弁座60の図中上面65の高さと略同じ位置から滑らかに丸められて上方が貫通孔71よりも広い斜面72に連続した形状に形成されている。また、この斜面72とは反対側の面の外周部は筒状の突出部74が形成される。弁体80は、この突出部74内に装着され、突出部74内の底部73に溶接、接着等の手段で固着されている。弁座枠70の材料は特に限定されないが銅系合金が採用される。
弁座60の流出口63につながる端面と弁座枠70の底部73とは同じ高さであり、弁体80は弁座60と底部73とに同じ高さで接合されている。
前述したように、弁座60、弁座枠70、弁体80は一体にユニット化され、ポンプ室体101開口部の内壁114に圧入されている。
弁体80は、開閉部81が弁座60を押圧したときに(図中、二点鎖線で示す)流通孔61を密閉し、離れたときに(図中、実線で示す)流通孔61を開放する。
図3は、本実施形態1の弁体80の平面図を示す。図3において、弁体80は薄板の円盤で、中央部が略U字型のスリット82が設けられ、開閉部81と周縁の固定部83とを連続する支持部84で形成されている。
なお、図示しないが、支持部84と開閉部81は、固定部83よりも薄肉に形成されている。固定部83は、固定強度を高め、支持部84、開閉部81は、先述したダイアフラム150の伸縮に追従して開閉駆動がし易くするためである。
弁体80には、材料としてステンレス鋼等が採用される。
弁体80は、図3で示した以外に様々な形状が採用できるが、その変形例を図4〜図6を用いて説明する。
図4は、本実施形態1の弁体80の変形例の一つを示す平面図である。図4において、弁体80は、中央部が略馬蹄系のスリット82が設けられ、開閉部81と周縁の固定部83とを連続する支持部84で形成されている。支持部84は開閉部81よりも細く縊れており、この幅を細くすることで弾性力を調整し、開閉部81の開閉駆動がし易く設定されている。
図5は、本実施形態1の弁体80の他の変形例を示す平面図である。図5において、弁体80は、中央部に開閉部81が形成され、外周のリング状の固定部83と開閉部81とは、放射状に延出された3本の支持部84で連続されている。前述のダイアフラム150に追従して支持部が厚み方向に撓んで流通孔61の開閉を行うものである。
続いて、図5で説明した弁体80のさらなる変形例を図6を用いて説明する。
図6は、弁体80の変形例を示す平面図である。図6において、支持部84の開閉部81と固定部83を連結する途中に曲線が含まれていることが、図5で説明した弁体80との相違点であり、他の形状は同じである。この際、支持部84に曲線部が含まれることで、開閉部81の厚み方向の移動量が多くとれることと、支持部84の弾性係数を小さくし、撓みやすくしたものである。
次に、本実施形態1(図2、参照)に示した弁座60の変形例について図7、図8を用いて説明する。
図7、図8は、本実施形態に係る弁座60の形状を示す断面図である。図7において、弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設された円盤状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている(図中、符号67,68で示す)。流入口側は、動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は、動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められている。
流入口62と流出口63の丸められた部分67,68を連続する流通孔61は、断面方向中央部が細くなるように滑らかな円弧で結ばれた形状で形成されている。これは、動作流体がポンプ室体101の開口部113から急激に細い流通孔61に流入する際に流体抵抗を減ずるためのものである(図1、参照)。
また、流出口63の周縁部には、平面部66から外周部に向かって斜面64が形成されている。平面部66の面積は、弁体80の開閉部81で密着されることと、開放時に動作流体が流出しやすい大きさに設定される。この際、流出口周囲の高さが、均一であれば平面部66は設けなくてもよい。
図8は、図7で説明した弁座60の変形例を示す弁座の断面図である。図8において、弁座60は、上面65(図7、参照)が平面ではなく、流入口62から外周に連続して円弧で結ばれた動作流体の導入部69が形成されている。この導入部69は、図面を視認して漏斗状の形状であり、ポンプ室体101の開口部113から動作流体を流体抵抗を小さくして流通孔61に導くような形状とされる。
なお、この導入部69は、直線の斜面で形成してもよく、これらの形状は、開口部113の直径、流通孔61の関係から適宜選択することができる。
続いて、本発明のポンプ10の駆動動作について説明する。
図9は、ポンプ室119内の圧力とダイアフラム150の変位の関係を示すグラフである。図1も参照して説明する。まず、アクチュエータ301にバイアス電圧が供給されることによってダイアフラム150が振動して、ポンプ室119の容積が連続して変化する。この際、ポンプ10の負荷圧力を1.5気圧としてポンプを運転して、動作流体の吐出流量が多い状態の時のダイアフラム150の変位(μm)、ゲージ圧で示したポンプ室119内圧力(気圧)の波形を示す。ダイアフラム150の変位波形において、波形の傾きが正の領域は、アクチュエータ301が伸びてポンプ室119内の容積が減少している過程である。一方、波形の傾きが負の領域は、アクチュエータ301が収縮してポンプ室119内の容積が増大していく過程である。
ポンプ室119内圧力は、ポンプ室119の容積減少過程が始まると圧力上昇が始まる。そして、後述する理由によって、この容積減少過程が終了する前に、圧力は最大値を迎え減少し始める。さらに、ポンプ室119の容積減少過程が始まると、引き続き圧力は減少し続け、この容積減少過程の途中でポンプ室119内に真空状態が発生し、ゲージ圧で−1気圧の一定値となる。
このときの入口流路111と出口流路117における流量の波形の関係のグラフを図10に示す。ポンプ10を運転した時に順方向(負荷方向)へ流れる流量をグラフ上で正方向としている。
出口流路117の流量は、ポンプ室119内圧力が上昇し負荷圧力を上回ると増加し始める。そして、ポンプ室119内の動作流体が出口流路117から流出し始め、流出量がダイアフラム150の変位によるポンプ室119の容積減少量を上回るポイントでポンプ室119内の圧力は減少し始める。ポンプ室119内圧力が減少し、負荷圧力よりも低下すると出口流路117の流量は減少し始める。これらの流量変化率は、ポンプ室119内圧力と負荷圧力との圧力差を出口流路117のイナータンス値で除した値とほぼ等しい。
【0097】
一方、入口流路111では、ポンプ室119内圧力が大気圧よりも減少すると、その圧力差によって逆止弁50が開き流量が増加し始める。また、ポンプ室119内圧力が上昇し大気圧よりも増加すると減少し始める。これらの流量変化率は逆止弁50が開放されている期間は、前述したことと同様に、ポンプ室119内圧力と入り口流路手前の圧力との圧力差を入口流路111のイナータンス値で除した値とほぼ等しい。そして、逆止弁50の逆止効果によって逆流が防止されている。
従って、前述した実施形態1では、この逆止弁50は、弁座60と弁座枠70と弁体80で構成されているため、構成部品数が少なく簡素な構造であるので、低コストで製造することができる。また、逆止弁50が一体でユニット化されているため、逆止弁50として単体で性能管理ができ、ポンプ10に組み込んだ際に、逆止弁50について、あらためて調整や検収をすることなく安定した性能を得ることができる。また、逆止弁50として重要な機能部材としての弁体80や、弁座60の流通孔61に触れることなく、ポンプ10内に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を提供することができる。
また、逆止弁50の周辺にシーリング部材としてのOリング等を設ける必要がなく、Oリングが、長期間使用するうちにシール性が劣化することによる定期的な交換をしなければならないという煩わしさや、動作流体の種類により耐薬品性を考慮し、Oリングの材質を変える煩わしさもない。
本実施形態1では、弁体80が、弁座60の動作流体が流出する側に備えられ、弁座枠70に固着されているので、弁体80が、動作流体が弁座60に流入する側に備えられる構造に対して、動作流体の流動抵抗になることが少なく、円滑な流動を行うことができる。
また、弁体80は、弁座枠70に固定される固定部83は、他の部分よりも構造的な強度が大きい面積を有し、支持部84は振動が可能な弾性を有する形状に形成され、開閉部81は、弁座60に密着し易い形状や厚みで形成されている。このことから、この弁体80は、それぞれ異なる機能を合わせもちながら一体で形成されているので、製造し易く、また、各部分の形状、寸法が管理しやすいためコストの低減がはかれると共に所定の性能が確保できるという効果がある。
弁座60の流通孔61は、ポンプ室体101の開口部113に比べて直径が小さいため、動作流体がこの流通孔61に流入する、あるいは流通孔61内部を流動する際に流動抵抗が増加する。従って、流入口62、流出口63が滑らかに丸められていることによって、動作流体が流入するときの流入抵抗を減じ、流出のときに渦流が発生して生ずる流動抵抗を減ずることができる。
さらに、流通孔61内部も流入口62、流出口63に滑らかに連続した略円弧状に形成することで、流通孔61内部の流動抵抗を減ずることができる。
さらに、本実施形態1では、弁座60の動作流体の導入部69が、流入口62に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されているために、動作流体が弁座60の流通孔61内に流入する際の抵抗をより一層減ずることができるという効果がある。
また、本実施形態1では、弁座60は超硬合金等の硬質金属やセラミックスなどの、弁座枠70及び弁体80よりも硬度が高い材料で形成されているので、弁体80の開閉によって生ずる衝撃やキャビテーションによる弁座60に磨耗や傷が付くことを防止することができ、さらには、動作流体の流動による磨耗を防止することができる。これらのことによって、長期間にわたって良好な性能を維持することができるという効果がある。
また、本発明のポンプは、アクチュエータ301で高い周波数で振動され、逆止弁50が小型であるため、単位面積当たりの圧力が高圧となるので、前述したような構造の逆止弁50を採用することで、耐久性がすぐれ、且つ、小型で構造が簡素で低コストが実現できるという効果が得られる。
なお、前述した実施形態1では、ポンプ室119の容積を変更する手段としてダイアフラム150を例にあげ説明したが、ダイアフラム以外にピストンを採用したポンプにも、本発明の構造の逆止弁を採用し、同様な効果を得ることができる。
続いて、本発明に係る実施形態2について図面に基づき説明する。
図11は、本発明の実施形態2の逆止弁50を示す断面図である。実施形態2は、実施形態1で説明した逆止弁50における弁体80の弁座枠70への固定構造(図2、参照)を変更したもので、相違点のみを説明する。実施形態1と同じ機能部材には同じ符号を附与している。図11において、弁座枠70には弁座60が圧入されている。弁座枠70の動作流体が流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、この突出部74の高さは、弁体80の厚みよりも高く設定されている。この突出部74の内側に弁体80が装着された状態で、突出部74を弁体80の固定部83を挟んでカシメル(図中、二点鎖線で表示した形状から74Aで示す形状に変形させる)ことによって弁体80が固定される。この突出部74のカシメル範囲は、全周にわたっても良いし、部分的でもよい。
このようにして、逆止弁50がユニット化されて、ポンプ室体101の開口部の内壁114内に圧入される。
従って、実施形態2では、弁体80の固定部83が弁座枠70の突出部74を部分的に、または全周をカシメルことによって弁座枠70に固定されているので、少ないスペースで確実に固定することができる。また、弁体80の固定部83の外周部を固定することで、弁体80の開閉部81や支持部84(図3、参照)を変形させることなく固定することができる。
また、弁体80は、弁座枠70の突出部74内に装着するだけで、平面方向の位置が規制されるために、特別の治具を用いなくても開閉部81が確実に弁座60の動作流体の流通孔61を密閉することができる。
次に,本発明に係る実施形態3について図面に基づき説明する。
図12は、実施形態3の逆止弁50の断面図を示す。実施形態3は、前述した実施形態1及び実施形態2で説明した逆止弁50における弁体80の弁座枠70への固定構造(図2、図11、参照)を変更したもので、相違点のみを説明する。また、実施形態1または実施形態2と同じ機能部材には同じ符号を附与している。図12において、弁座60は、弁座枠70に圧入されている。弁座枠70の動作流体か流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、この突出部74の内側に弁体80が装着された状態で、リング状の固定部材90が、突出部74の内側に圧入され、弁体80の固定部83が弁座枠70の底部73と固定部材90との間で押圧固定される。
なお、固定部材90の内径は、弁体80の開閉部81の駆動を妨げない範囲の大きさに設定され、ポンプ室119(図1、参照)側は面取りが施されている。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
従って、本実施形態3では、弁体80は、周縁に設けられた固定部83が弁座枠70と固定部材90によって挟まれて固定されるため、弁体80に内部応力を生じさせずに固定することができるので、支持部84や開閉部81が変形されることなく固定することができる。
次に、本発明に係る実施形態4について図面に基づき説明する。
図13、図14には、それぞれ本発明の実施形態4に係る逆止弁50、弁体80が示されている。
図13は、実施形態4の逆止弁50を示す断面図、図14は、その弁体80を示す概略斜視図である。実施形態4は、前述した実施形態2、実施形態3とは弁体80の弁座枠70への固定構造が異なり、他の部分は同じであるため相違点のみ説明する(図11、図12も参照)。図13において、弁座60は、弁座枠70に圧入されている。弁座枠70の動作流体が流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、弁体80の固定部83の外周には、筒状の突出部85が形成されて(図14、参照)、この突出部85内にリング状の固定部材90が圧入されることで弁座枠70の突出部74と固定部材90の間に弁体80の突出部85が押圧固定されている。
なお、固定部材90の内径は、弁体80の開閉部81の駆動を妨げない範囲の大きさに設定され、ポンプ室119(図1、参照)側は面取りが施されている。
また、弁体80の突出部85、弁座枠70の突出部74、固定部材90は、それぞれが組み込まれた状態で、ほぼ同一高さになるように設定されている。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
図14において、弁体80を詳しく説明する。弁体80は、外周部に筒状の突出部85が設けられた容器状に形成され、実施形態1(図3、参照)で説明したような略U字状の開閉部81が設けられている。
なお、弁体80の開閉部81、支持部84の形状は、実施形態1で説明した変形例の形状(図5、図6、参照)のものも採用できる。
続いて、本発明の実施形態5について図面に基づき説明する。
図15は、本発明の実施形態5の逆止弁50を示す断面図である。実施形態5は、実施形態4(図13、参照)と比べ、弁体80の固定構造のみが異なるため、相違点のみを説明し、同じ機能部材には同じ符号を附与している。図15において、弁座60の外周直径と弁座枠70の内径の差は、弁体80の厚みよりもわずかに小さく設定される。弁体80の形状は、実施形態4(図13、図14、参照)で説明した弁体80と同様に外周部に突出部85が設けられているが、突出部85の外径は、弁座枠70の内径よりもわずかに大きく設定され、高さは、弁座60の厚みとほぼ同じである。
この逆止弁50は、まず、弁体80の突出部85内に弁座60を挿入し、それから弁座枠70内に圧入することで一体にユニット化される。または、弁座枠70に弁体80を挿入してから弁座60を圧入することもできる。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
従って、実施形態4、実施形態5ともに、弁体80は、周縁部に突出部85が設けられることによって、例えば20μm程度の薄板であっても外周部に突出部85が設けられることで補強されることになり全体が撓みにくく、取り扱い過程で変形されることが少ないという効果もある。
なお、これらの弁体は、プレス加工等で製造できるため、突出部を設けるための加工工程を設ける必要がなく、コストが増加することもない。
また、実施形態5では、弁体80が弁座枠70と弁座60との間で固定できるため、固定部材が必要なく、弁座枠70も突出部74を設けなくてもよいので、構造が簡単でコスト低減もはかることができる。
なお、弁体80の開閉部81、支持部84の形状は、実施形態1で説明した変形例の形状(図4〜図6、参照)のものも採用できる。
次に、本発明の実施形態6の逆止弁50について図16〜図21を用いて説明する。
図16、図17は本実施形態6及び変形例の逆止弁50、図18〜図21は、この逆止弁50に採用されている弁体80を示している。図16において、弁座枠70は、動作流体が流出される側に弁座60の頂面の平面部66と底面が略同じ面となるように凹部75が形成され、この凹部75の深さは、弁体80が流通孔61を開閉するために必要な断面方向のストロークを確保するだけの深さとされる(図中、弁体80が実線で示した位置から二点鎖線で示した位置まで移動する範囲)。弁座枠70の図中、最下面には、リング状の固定部材90が、固着されている。固定部材90に開設される孔の内側直径は、弁体80の外形よりも小さく、外周直径は、弁座枠70の外形よりも小さく設定される。
これら固定部材90と凹部75とから構成された空間に弁体80が装着されている。
この際、前述したダイアフラム150(図1、参照)の動きに同調して弁体80が断面方向に移動して流通孔61の開閉を行う。
図17は、弁体80の保持構造の変形例を示す。図17において、弁座枠70には、弁体80が挿入される凹部75の図中下段にもう一段凹部75の直径より大きい径の凹部76を設けられ、この凹部76内にリング状の固定部材90が圧入されている。この固定部材90と弁座60との間の空間に弁体80が備えられている。弁体80は、前述したように図中断面方向に移動することができる(図16も参照)。
図18〜図21は、実施形態6に採用される弁体80が示されている。図18において、弁体80は、中央部に略円形の開閉部81、周縁にリング状の固定部83、これら開閉部81と固定部83を連結する放射状に延出された3本の支持部84とから構成されている。この開閉部81の大きさは、流通孔61を密閉するために必要な大きさであり、開放した際に動作流体が流出し易くするために小さいほどよい。また、支持部84も、弁体80の強度が確保できる範囲で細く設定されることが好ましい。
この弁体80は、開閉部81、支持部84、固定部83がそれぞれ同一平面内に形成されている。
図19は、弁体80の他の変形例が示されているが、図19の例は、支持部84が、風車のように円弧放射状に形成されていることが、図18で示された弁体の形状と異なり、多の部位の形状は同じである。
図20は、実施形態6の弁体80の他の変形例の平面図、図21は、図20の矢印方向から視認した弁体80の側面図が示されている。図20において、支持部84は、プロペラ状の羽根部86から構成されている。この羽根部86は、開閉部81と固定部83とを連結し、平面を視認した形状が扇型をしており、その断面形状は図21に示されている。
この弁体80は、固定部83が、弁座枠70の凹部75と固定部材90で断面方向の位置が規制され、羽根部86は、固定部材90及び弁座60に接触しない範囲に設定されている。
図21において、羽根部86は、断面形状が椀状に湾曲されており、弁座60の方向の面が後進面87、その反対側が前進面88とされるプロペラと考えることができる(図16,17、参照)。従って、前進面88へ圧力が掛かると強く弁座60に押しつけられ、流通孔61を閉塞し、後進面87に圧力が掛かかると、弁体80を弁座60から遠ざける方向に押し流通孔61を開放し、動作流体は、後進面87のなだらかな面に沿って円滑に流出される。
なお、図21では、羽根部86の後進面87が、開閉部81、固定部83の上面に突出されているが、開閉部81、固定部83から突出しないように形状を設定することもできる。
従って、実施形態6では、弁体80が固定されていなので、ダイアフラム150の伸縮に追従し易いという効果があり、また、弁体80が開放されたときに動作流体が流出する開放面積が大きくなるため流出量を多くすることができる。
また、弁体80は、弁座枠70に設けられた凹部75で平面方向の位置が規制されるとともに、固定部材90によって断面方向の動きの範囲が規制されるため、凹部75の直径、深さを適宜に設定することで、弁体80の移動量を適正に規制することができる。
弁体80がプロペラ状に形成されている場合(図20、図21、参照)、動作流体が流出されるときは、動作流体は、羽根部86の緩やかな曲面の後進面87に沿って抵抗が少ない状態で羽根部86の間からで流出することができ、また、前述したようなダイアフラム150で流通孔を閉じるときは、動作流体が緩やかな椀状の前進面88を押すことによって、流通孔61を閉じることが効率良く行うことができるので、ダイアフラムの小さな動きに追従して流通孔61の開閉を効率良く行うことができる。
なお、本実施形態6による弁体80は、金属板をプレス等で成形することができるが、合成樹脂等で射出成形すれば、羽根部86の形状をよりプロペラに近い形状に成形することができ、前進、後進の効率をより一層高めることができる。
次に、本発明の実施形態7について図22、図23を用いて説明する。
図22は、本実施形態7の逆止弁50の断面図、図22は、その弁体80の平面図が示されている。図22において、弁座60には、3個の動作流体の流通孔61が穿設されている。流通孔61の形状は、前述の実施形態と同様な断面形状で形成される。また、流通孔61は、平面視三角形をなすように配置される。ここで、弁体80の形状は詳しくは後述(図23、参照)するが、弁座枠70に設けられた突出部74内にそれぞれの流通孔61の位置に開閉部81の位置を合わせて固定されている。この固定構造も前述した実施形態1〜実施形態5に示した固定構造を採用することができる。
図23において、弁体80は、弁座60の流通孔61と同位置に設けられた開閉部81から支持部84が延出され、固定部83に連続されて構成されている。この支持部84は、流通孔61を開閉するために必要な弾性力が得られる範囲で長く設定されると共に、撓む際に、捩じれ等が発生しない形状に形成される。
なお、流通孔61は、図23では、平面視三角形に配置されているが、直線上に配置されてもよく、また、流通孔の数は限定されるものではない。
また、支持部84は、弁体80の中心から放射状に延出されてもよく、流通孔61の配置と、弁体80の大きさ、支持部84の弾性力から適宜選択して設定することができる。
従って、本実施形態7では、弁座60に複数の動作流体の流通孔61が設けられて、この流通孔61を開閉する弁体80の開閉部81がそれぞれに独立して設けられているため、逆止弁50は、構成部品数を増加することなく構成することができる。実施形態1で説明したようなダイアフラム型のポンプにおいて、ダイアフラム150の振幅が10μm程度の場合は、弁体80の開閉部81の動作範囲は20μm程度であるため、動作流体の流量を多くしたい場合は、流通孔61を多く設けることで、流量を増加させることができる。
また、複数の流通孔61を一つの開閉部81で開閉することもできるが、開閉部81のわずかな変形や寸法のばらつきで、各流通孔61を全て一様に開閉できないことが考えられ、流通孔に対して独立した開閉部81を設けることによって全ての流通孔61の開閉が確実に行われるという効果がある。
次に、本発明に係る実施形態8について図面に基づき説明する。
図24、図25には、本発明の実施形態8の逆止弁50が示されている。図24は、本実施形態8の逆止弁50の断面図、図25はその弁体80を矢印方向から視認した平面図である。図24、図25において、弁座60は弁座枠70に開設された貫通孔71に圧入されている。この弁座60の貫通孔71よりも直径が小さい突起軸92が設けられた弁座軸91が、動作流体の流入口側から弁座枠70に圧入されている。
この弁座軸91は、リング状の固定部93と中心にある突起軸92を3本の支持部94が連結されて形成されており(図25、参照)、突起軸92の高さは、弁座軸91が弁座枠70に圧入されたときに、弁座60の頂面の平面部66と同じになるように設定されている。弁座60と弁座軸91が組み合わされることで、弁座60には、リング状の動作流体の流通孔61が形成される。この流通孔61を弁体80で開閉するのである。
図25において、弁体80は、外周に固定部83、中心部に開閉部81、開閉部と固定部とを連続する支持部84から構成されており、開閉部81は、先述のリング状の流通孔61を覆う面積を有する。この際、開閉部81、または弁座軸91と開閉部81との接触面積は、流通孔61を確実に密閉できる範囲で小さい方がよく、例えば、開閉部81の中心部には穴をあけて、余分な接触を防止することが好ましい。
なお、弁体80の弁座枠70への固定は、前述した実施形態の各構造が採用できる。
また、図示しないが、弁座軸91の流通孔95の面積は、弁座60に形成される流通孔61の面積よりも大きくし、流通孔61に充分な動作流体が流入できるようにしている。このようにして一体にユニット化された逆止弁56は、ポンプ室119の開口部の内壁114内に圧入されている。
従って、前述した実施形態8では、流通孔61がリング状に開口しているので、動作流体の流量を増加することができる。
実施形態1で説明したようなアクチュエータとして圧電素子を用いたダイアフラム型のポンプ10のような場合(図1、参照)、ダイアフラムの振幅が小さいので、弁座60に大きな流通孔を設けるより、実施形態7のように小さな流通孔を複数設けるか、本実施形態8のように、リング状の流通孔を設けた方が流体抵抗を削減できポンプとしての効率を高めることができる。
この際、リング状の流通孔としては、弁座60に、弁座軸91のような分割されたリング状の流通孔を形成することができる。この場合は、弁座軸91は不要となる。しかし、弁座60が超硬合金やセラミックスなどの硬質材料が選択される場合は、本実施形態8で示した弁座軸91を用いれば、容易にリング状の流通孔61を形成することができる。
次に、本発明に係る実施形態9について図面に基づき説明する。
図26、図27には、本発明の実施形態9に係る弁体80が示されている。実施形態9は、実施形態1〜実施形態8に示された弁体80の開閉部81と流通孔61との接合関係の変形例を提案したものである。図26において、弁体80の開閉部81にドーム状の突起89が形成されている。この突起89は、弁座60の流通孔61の流出口63に密着して密閉する。
また、図27で示すように、この弁体80の開閉部81には、略円錐体状の突起89を設けることができる。ドーム型か、円錐体型かは、流通孔61の大きさや、得られる押圧力などの条件から選択自在である。
従って、実施形態9のような弁体形状では、弁体80は、開閉部81がドーム状や円錐体状である場合、流出口63との接触が線接触になり接触圧力が増し、動作流体の漏れをより防止し易いという効果がある。また、開閉部81を開放したときには、開閉部の突起89に連続する支持部84と弁座60との距離が平面で接触する場合に比べて大きくなり、動作流体の流出がし易くなるという効果もある。
なお、実施形態1〜実施形態9の中で、弁座枠70と弁体80の固定構造、弁体80の構造、弁座60の構造など、それぞれの最良の形態を示したが、それぞれは、ポンプ10のサイズ、狙いの性能などによって、最適な組み合わせを任意に選択することができる。
また、前述の実施形態7では、弁座60の複数の流通孔61に対応して、弁体80が複数の開閉部81を備えているが、流通孔61に対応した複数の弁体を備えることもできる。
さらに、前述の実施形態1〜9では、弁座60と弁座枠70と弁体80とが一体でユニット化されたが、弁座60に弁体80のサイズ、材質の選択によって、弁座60と弁体80を直接固定してユニット化することができる。
続いて、本発明の実施形態10について図面に基づき説明する。実施形態10は、前述した実施形態1〜9で示した逆止弁の弁体が板部材で形成されていることに対して球体のボールを採用していることに特徴を有し、ポンプ10の基本構成、駆動原理等は前述の実施形態と同じであるので説明を省略する。また、逆止弁の構成部材のうち、前述の実施形態と同じ機能部材には、同じ符号を附与している。
図28は、実施形態10に係る逆止弁50の断面形状を示す。図28において、逆止弁50は、弁座枠70、弁座60、ボール130、ボール支持部材160とから構成されている。
弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設されたリング状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている。流入口側は動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められているのである。
流入口62は、略円弧形状の斜面69が設けられ、この部分は漏斗状に形成され、動作流体を円滑に流通孔61に導入する。
弁座60の流出側の外周面は面取りがなされ、弁座枠70への圧入を容易にしている。
なお、弁座60の材質としては、実施形態1と同様に超硬合金やセラミックス(Al2O3等)が採用される。この弁座60は、弁座枠70の孔71に圧入される。
弁座枠70は、弁座60が圧入される中心部の孔71が穿設されたリング状に形成され、孔71の動作流体の流入側は、弁座60の図中上面65の高さと略同じ位置から滑らかに丸められて上方が孔71よりも広く開口した斜面72に連続した形状で形成されている。
さらに、弁座枠70の筒部の断面方向においてボール130と略同じ位置には、弁座枠70の内側から外側に貫通する孔77が設けられている。この孔77は、逆止弁50内のボール130の状態を検収するために必要な大きさに設定されている。
また、斜面72とは反対側には、孔71の内周部に筒状の突出部74が内側に向かって形成されている。ボール支持部材160は、この突出部74上に配置されている。
このようにして、弁座枠70、弁座60、ボール130、ボール支持部材160はユニット化されて、ポンプ室体101の内壁114内に圧入されている。
ボール支持部材160は、詳しくは後述するが(図28、参照)、中央部に3本の爪部161が形成されており、この爪部161内にボール130が備えられている。ボール130は球体であり、弁座60の流出口63と爪部161の間を移動できる間隙を有しており、流出口63を密閉し、動作流体の流出を阻止し(図中、二点鎖線で示す)、流出口63を開放して動作流体を流動させる(図中、実線で示す)。
図29には、実施形態10のボール支持部材160の平面図が示されている。図29において、ボール支持部材160は、外周が前述の弁座枠70の孔71よりわずかに小さく、突出部74の内径よりも大きいリング状に形成されている(図28も参照)。ボール支持部材160の中央部には、略リング状のボール支持部162が設けられ、このボール支持部162の中央部には動作流体の流通孔163が穿設され、ボール支持部162と外周の外周支持部164とは、3本の支持部165で連結されている。ボール支持部162には、隣り合う支持部165の間から爪部161が放射状に突出され、断面上方に曲げ起こされている(図28、参照)。この爪部161は、ボール130の半球を支えるような形状に曲げ起こされており、ボール130は平面方向には大きく移動しない。
なお、爪部161は、動作流体の流出抵抗を減ずるために、図28で示すように、ボール130の中央よりも下側の範囲までの寸法とすることが好ましい。
従って、図28、図29において、流通孔61を密閉するとき、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163及び支持部165の間の開口部から流動される動作流体によって押し上げられ弁座60の流出口63を押圧する(図28において、二点鎖線で示す)。また、ボール支持部材160も動作流体によって押しあげられて、ボール130を流出口63に押圧する。流通孔61を開放するときは、ボール支持部材160が弁座枠70の突出部74で移動が規制される位置まで移動し、ボール130も爪部161の位置まで移動し、流通孔61を開放し、動作流体は、支持部165間の開口部及び流通孔163から流出される。
次に、図30を用いて実施形態10のボール支持部材160について変形例を説明する(図28、図29も参照)。
図30は、ボール支持部材160の断面を示す。図30において、ボール支持部材160は、外周支持部164の周縁部に弁座60に向かって突出された筒状の側面案内部166が形成されている。
この側面案内部166の外周直径は、弁座枠70の孔71の内周直径よりもわずかに小さく設定されており、孔71の壁に沿って弁座60の方向に移動することができる。なお、側面案内部166以外の爪部161等の形状は、図29で示したボール支持部材160と同じ形状に形成されている。
ボール支持部材160の材質は、特に限定されるものではないが、構造的な強度と、耐食性を考慮してステンレス鋼、軽量化を考慮してアルミニウム合金、合成樹脂等を採用することができる。アルミニウム合金を採用する際は、表面をアルマイト処理などの耐酸化処理を施すことが好ましく、また、合成樹脂等を採用する際は、射出成形が可能なため、爪部161と支持部165との位置関係は自在に選択できる。
続いて、本発明の実施形態10に係る弁座60について説明する。
図31は、実施形態10の弁座60の断面を示す。図31において、弁座60は、中心に動作流体の流通孔61が穿設されており、この流通孔61は、前述したように流入口62、流出口63が滑らかに丸められ、流入口62側は、漏斗状の円弧で連続した斜面69が設けられ、動作流体が流通孔61内に導入されやすい形状に形成されている。流出口63側は、ボール130の直径より大きな直径の円弧を有する窪み63Aが形成され、流通孔61からこの窪み63Aまでが滑らかに連続した形状で形成されている。
図31において、ボール130が、流通孔61を密閉した位置(130A)から開放した位置130Bまで移動したときに、弁座60の窪み63Aからボール130までの平均距離が、この窪み63Aが無い場合に比べ(図示しない)、ボール130が垂直方向の移動距離が同じであっても大きくなる。このことは、動作流体の流動断面積が大きくなると共に、流体抵抗が減少することになる。
続いて、実施形態10によるボール130について、図32を用いて説明する。
図32は、弁座60の開閉を行う実施形態10のボール130の断面図である。図32において、ボール130は、球体であって外殻131、中空部132で構成されている。このボール130は、鉄系合金、ステンレス合金、銅系合金、アルミニウム合金などの金属材料や、ガラス、セラミックス、合成樹脂等の非金属材料を採用することができる。ここでボール130の密度の平均値を小さくするために、中心部を中空にしている。このことにより、動作流体内において、ボール130の単位体積当たりの重量を、ボール130が押しのけた動作流体の単位体積当たりの重量と略同じにしている。
仮に、動作流体が比重1の水として、ボール130の材料を比重7.9の鉄系合金とすると、外殻131の厚みはボール130の半径の約4.5%となる。この外殻131の厚みは、動作流体の比重、ボール材料の比重によって算出される。従って、ボール130の材料が比重4のガラスの場合、外殻131の厚みは、ボール半径の約8.9%の厚みとすればよい。
また、比重1の合成樹脂等を採用すれば、ボール130は、中空部132を必要としない。さらに、比重が大きい動作流体の場合や、前述したポンプの駆動能力(圧力)が充分大きい場合においても中空部を必要としない。
従って、前述した実施形態10では、逆止弁50は、弁座60と弁座枠70とボール130とボール支持部材160との4部品で構成されているため、構成部品数が少なく、それぞれが簡素な形状であるため、製造が容易で、形状管理もし易く、低コストで製造することができる。また、逆止弁50がユニット化されているため、逆止弁50として単体で性能管理ができ、ポンプ10に組み込んだ際に、逆止弁50について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁50の性能を得ることができる。その結果、安定した性能のポンプを提供することができる。また、逆止弁50として重要な機能部材であるボール130や、弁座60の流通孔61に触れることなく、ポンプ10に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、弁座60がボール130で開閉されるため、開放されているときは、動作流体が、ボールの表面を流動するために流動抵抗が小さく、密閉されているときは、弁座60とボール130とは線接触となり、接触圧力が大きくなり、確実に密閉できるという効果がある。
また、ボール130を支持しているボール支持部材160が、図29、図30で示したような形状であるので、例えば、金属の板材をプレス等の加工手段で容易に形成することができる。また、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163から中央部を、さらに、支持部165の間の開口部から周辺部を動作流体によって押し上げられて弁座60を押圧し流通孔61を密閉するため、動作流体の圧力変化によって、ボール130が移動しやすく、弁座60の流通孔61の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
さらに、ボール130は、ボール支持部160に設けられた、3本の突出された爪部161によって支持され、この爪部161は、ボール130の直径よりも小さい範囲でボール130を支持しているので、動作流体の流動を妨げることが少ない状態でボール130を支持することができ、この爪部161でボール130の支持をより確実に行うことができる。
また、ボール130とボール支持部材160、ボール支持部材160と弁座枠70とは、それぞれ支持はされているが固定はされていない。従って、ボール130だけが移動して弁座60の流通孔61を開閉することも、ボール支持部材160でボール130を押し上げて流通孔61を密閉し、また、ボール130とボール支持部材160が一緒に移動して流通孔61を開放することができる。ボール130だけでなく、ボール支持部材160も移動できる構造であるために、例えば、ポンプ室の正の圧力をボール支持部材160が受け、ボール130を押圧することができるので、流通孔61の密閉力を高めることができる。
図30で示されたボール支持部材160では、外周支持部164の周縁に、筒状の側面案内部166が設けられているため、側面案内部166が無い場合に比べて、孔71の内壁に沿ってボール支持部材160が移動するので傾くことがなく、移動が円滑に行われ、流通孔61の開閉を確実に行うことができる。また、このような側面案内部166を設けても、逆止弁50のスペースを大きくする必要もない。
また、ボール130の密度の平均値と動作流体の密度とが略同じとされているために、ボール130は、動作流体中において、例えば、ポンプ10の駆動を停止している場合、浮遊状態またはそれに近い状態であるので、ポンプ10を駆動した場合に、動作流体のわずかな圧力変化で移動するため、ポンプ10のアクチュエータ301が圧電素子のような高い周波数で駆動されるような場合、その駆動に同期して移動し、弁座60の開閉を行うことができる。
また、実施形態10では、ボール130が、中空であるため、密度の平均値を減ずることができ、ボール130の外殻131の厚みをボール130の材料及び動作流体の材料によって調整することで、前述したように、ボール130の単位体積あたりの重量が、ボール130が押しのけた動作流体の単位体積当たりの重量と略同じに設定することができるため、前述したように、動作流体のわずかな圧力変化で移動できるので、本実施形態のポンプ10のような場合、アクチュエータの駆動に同期して移動し易いので弁座60の開閉を高速で、しかも確実に行うことができる。
さらに、弁座60の流通孔61が、動作流体が流通する流入口62と流出口63とが滑らかに略円弧で連続して形成され、流出口63の開口部外側が、ボール130の直径よりも大きな直径の円弧を有する窪み63Aが形成されているため、動作流体が、弁座60を流通する際の流体抵抗を減ずることができる。特に流出口63は、ボール130で開閉されるので、この流出口63の開口部外側がボールの直径より大きい円弧の窪み63Aで形成されている場合、ボール130がわずかに弁座60からはなれたときでも、動作流体が流出する開口断面積が広く確保できるため、動作流体の流出流量を多くすることができ、また、このことによって、ボール130が弁座60から離れることを促進する効果もある。
また、ボール130は、この窪み63Aに沿って流出口63まで移動して密閉するので、ボール130の平面方向位置がわずかにばらついて移動しても、この窪み63Aの表面に導かれ、より確実に流通孔61を密閉することができる。
続いて、本発明に係る実施形態11について図面に基づき説明する。実施形態11は、実施形態10とは、ボールの形態が異なることに特徴を有している。同じ機能部位には同じ符号を附して説明する。
図33は、本発明に係る実施形態11のボール130の断面を示す。このボール130は、実施形態10に記載の逆止弁50(図28、参照)に備えられるボール130の他の実施形態を示している。図33において、ボール130は、中空部132が設けられた球体であり、外殻131の表面に皮膜133が形成されている。皮膜としては、超硬合金、ニッケル、クロム等の金属やセラミックス等の硬質皮膜が採用でき、被膜成形手段としては、電気めっき法、化学めっき法などの湿式めっき法や、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式めっき法が採用できるが、ボール130の材質に合わせて選択される。
また、皮膜としては、ゴム系の軟質材料も採用できる。
皮膜133の厚みは、前述したようにボール130の密度の平均値と動作流体の質量とが略同じにすることが好ましいので、ボール130の材質、外殻131の厚みに合わせて設定されるが、構造的強度を確保するために5μm以上に設定されることが好ましい。
また、この皮膜133は、一層で形成しても、他の材料と組み合わせて多層で形成することもできる。例えば、硬質皮膜の上層に軟質皮膜を被覆することもできる。
従って、実施形態11では、流通孔61を開閉するボール130は、外殻表面に皮膜133が形成されているので、製造のし易さからボール130の材質が限定されても、硬質皮膜を選択すれば、表面の硬度が高いために、長期間使用しても、磨耗したり、流通孔61の開閉の衝撃で傷がつくことが少ないという効果がある。
また、前述したようにボール130を中空にしても、この皮膜が形成されることでボール130の変形を防止することができる。
さらに、ゴム系の軟質皮膜を選択した場合、弁座50のシール性を高めることができる。
続いて、実施形態12について図34、図35を用いて説明する。実施形態12は、実施形態10(図28、参照)で示した逆止弁50に対して、ボールの支持構造が異なるため、この相違個所について詳しく説明する。同じ機能部材、部位には同じ符号を附与して説明する。
図34は、実施形態12に係る逆止弁50を示す断面図である。図34において、弁座60は、弁座枠70の孔71内に圧入され、弁座枠70に設けられた突出部74にボール支持部材160が装着され、弁座60とボール支持部材160の間にボール130が備えられてユニット化されている。この逆止弁50は、ポンプ室体101の開口部内壁114に圧入されている。
図35には、実施形態12に係るボール支持部材160の平面図が示されている。図35において、ボール支持部材160は外周支持部164とボール130を支持するボール支持部162と外周支持部164とボール支持部162を連結する3本の支持部165から構成されている。ボール支持部162の中央部には、動作流体が流通する流通孔163が穿設されている。ボール130は、ボール支持部162と弁座60の間を移動して、弁座60動作流体の流通孔61の開閉を行う。
図34において、弁座60を開放する際には、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163内に一部が挿入された状態で平面方向の位置が規制されている。ボール支持部材160は、弁座枠70の突出部74に当設する位置にある。この状態は、図中、実線で示されている。ボール130が流通孔61を密閉する際は、ボール130が弁座60の流出口63を押圧している。このときのボール130とボール支持部材160は、図中、二点鎖線で示されている。
ボール支持部材160と弁座60との距離は、ボール130が、弁座60を開閉するどの状態であっても流通孔163との係合が外れない距離に設定されており、ボール130が、流通孔163と流出口63との間から逸脱しないような関係である。
従って、実施形態12で示した逆止弁50は、実施形態10で示したボール支持部材160(図29,30、参照)の爪部161が無いため、金属の板材をプレス等の加工手段でより容易に形成することができる。また、ボール支持部材160に設けられた流通孔163は、爪部161がないので大きくすることができ、ボール130の動作流体が押し上げる面積が広くなるため、ボール130が移動しやすく、弁座の流通孔61の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
また、ボール130が弁座60から離れて、弁座60が開放されているときは、ボール130が流通孔163に挿着された状態で位置が規制され、支持されているので、小さいスペースで、しかも簡素な形状でボールを適正位置に支持することができる。
続いて、本発明に係る実施形態13について図面に基づき説明する。
図36、図37は、それぞれ、実施形態13の逆止弁50の断面図とボール支持部材160の平面図が示されている。実施形態13は、実施形態12と比べ、ボール支持部材160にボール130を押圧する弾性部167を設けたものであり、他の構造は実施形態12と同じであるため、相違個所についてのみ説明する。図36,37において、ボール支持部材160には、中央の流通孔163内に舌状に突出した弾性部167が形成されている。他の形状は、実施形態12のボール支持部材160と同じである(図35、参照)。
図36において、ボール130は、ボール支持部材160の弾性部167の弾性力によって弁座60の流出口63に押圧されて弁座60を密閉している(図中、二点鎖線で示す)。この際、弾性部167のボール押圧力は、ボール130が流出口63に接触する程度でもよく、ボール130の弁座押圧力の大部分は動作流体の押し圧力である。この際、ボール支持部材160も動作流体によって押し上げられることが考えられるが、ボール支持部材160は、ボール130と流通孔163の内壁の角が接触する位置まで移動する。このとき、弾性部167は、逆止弁50の外側方向に撓められている。
また、ボール130は、弾性部167を押し下げ、弁座60から離れて流出口63を開放する。この弾性部167の弾性力は、流出口63を開放するときには、ポンプ室119の負圧でボールを開放できる程度の大きさに設定されている。
従って、前述した実施形態13によれば、ボール130は、弁座60の流出口63を開閉するが、ボール支持部160に弾性部167が設けられているので、この弾性力と動作流体の圧力を付加した押圧力でボール130を流出口63に押圧し、確実に密閉することができる。また、この弾性部167でボール130を常時、弁座60の流出口63に接触するようにしておけば、ポンプ10を停止している際に、動作流体が流出すること防止することができる。
続いて、本発明に係る実施形態14について図面に基づき説明する。
図38、図39は、本発明に係る実施形態14のボール支持部材180を示す平面図と断面図である。実施形態14では、前述した実施形態10〜実施形態13のボール支持部材160が板状の部材で有ることに対して、線材で形成されていることに特徴を有し、他の構造は実施形態12(図34、35参照)と同じであるため説明を省略する。図38、図39において、ボール支持部材180は、断面が円形または矩形の線材で形成され、中央部にはボール支持部182が巻回され、両端部は、ボール支持部182を中心に点対称に延出されて巻回された支持部185が形成されている。これら支持部185と、ボール支持部182の上面は、同じ高さとされる。また、ボール支持部182で形成された中心部は、動作流体の流通孔183で、実施形態12で説明したボール支持部材160の流通孔163(図35、参照)と略同じ大きさである。
このように形成されたボール支持部材180は、図示しないが、実施形態12で示したボール支持部材160(図34、参照)と同様に弁座枠70内に装着される。つまり、両端の支持部185が弁座枠70の突出部74に係合支持されて装着されている。
本実施形態のボール支持部材180は、ステンレス鋼やピアノ線等の構造的強度が大きい材料が採用される。また、一般に恒弾性材料と呼ばれる時計のひげぜんまい等に使用されるSPRON材(SPRONは、セイコーインスツールメント株式会社の商標。主成分が、Co、Ni、Crの合金)を採用すれば、より細い線材を使用したボール支持部材180が得られる。
従って、実施形態14によれば、前述した実施形態12と同様な効果が得られる他、ボール支持部材180が細い線材で形成されているため、特に、動作流体が弁座60から流出する際に、動作流体の流体抵抗を大幅に減ずることができる。また、このボール支持部材180が、断面円形の線材で形成される場合、流体抵抗を一層減ずることができる。
このボール支持部材180は、ワイヤーフォーミング等の手段で容易に製造することができ、大型の設備も不要であるのでコスト低減にも効果がある。
さらに、本発明に係る実施形態15について図面に基づき説明する。
図40は、実施形態15の逆止弁を示す断面図である。実施形態15は、ボール支持部材160を弁座枠70に固着したことに特徴を有し、ボール130及び弁座60は実施形態10〜実施形態14で示した構造と同じである。図40において、ボール支持部材160は、実施形態10で示したボール支持部材160(図29に示す)と同じ形状であり、外周支持部164の外径が弁座枠70の弁座装着孔71の内径よりも大きく形成されている。
弁座枠70の動作流体の流出側端部には、ボール支持部材160の位置を規制するためのリング状の突出部74が設けられ、この突出部74内側にボール支持部材160が装着され、弁座枠70とボール支持部材160とが、溶接、接着、等の固着手段で固着されてい。
従って、前述した実施形態15によれば、ボール130は、単独で流通孔61を開閉するが、ボール支持部材160が弁座枠70に固着されており、且つ、ボール130は、ボール支持部材160の爪部161で平面方向の位置が規制されているので、弁座の流通孔に対するボールの位置をより正確に規制することができる。
また、ボール130だけが移動する構造であるため、ボール支持部材160が移動する構造に比べ、より簡素な構造の逆止弁を提供することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の実施形態10〜13では、逆止弁50は、弁座60と弁座枠70とボール130とボール支持部材160とがユニット化されてポンプ室体101に組み込まれていたが、弁座枠70を用いずに直接弁座60、ボール130、ボール支持部材160を組み込むことができる。
図41に弁座枠70を用いない逆止弁50の断面図を示す。ポンプ室体101は、開口部113からポンプ室119に流通する孔が設けられ(図1も参照)、この孔の内壁114の内側にリング状に突出部102が形成され、この突出部102に、前述した図29または図30で示されたボール支持部材160の外周支持部164が支持されている。ボール支持部材160の爪部161の内側にボール130が載置され、弁座60が、前述のポンプ室101の内壁114に圧入されて逆止弁50が構成されている。
このような構造では、前述の実施形態のような逆止弁50がユニット化されていることの効果は得られないものの、弁座60の開閉については、前述の実施形態と同様な効果が得られる。また、構造は、より簡単にすることができる。
また、実施形態15のようなボール支持部材160と弁座枠70を固着する構造に(図40、参照)、実施形態12で示したボール支持部材160(図35、参照)や実施形態13で示したボール支持部材160(図37、参照)を採用することができる。
さらに、前述の実施形態10〜13では、ボール130とボール支持部材160は分離していたが、例えば、実施形態12で示したボール130とボール支持部材160とを接着等の手段で一体に固定し、ボール130とボール支持部材160とが一緒に移動して弁座60の開閉を行うこともできる。
なお、前述の実施形態11では、ボール130は中空の球体としたが、例えば、スチロール系の多孔質の合成樹脂や多孔質セラミックス等の多孔質材料も採用することができる。多孔質材料を採用する場合は、表面に水密性の皮膜を形成する。
このような多孔質材料では、ボール130の軽量化がはかられ、必ずしも中空にしなくてもよいという効果が得られる。
【技術分野】
本発明は、主として弁座、弁体、弁座枠を一体にユニット化してポンプに組み込むことができる逆止弁と、この逆止弁を備えるポンプに関する。
技術背景
従来、動作流体を流動するポンプには、流体流路の抵抗要素として逆止弁が備えられている。特に、ピストンやダイアフラ厶によってポンプ室の容積を変更して動作流体を流動する小型ポンプに採用される逆止弁には、以下の従来技術が提案されている。
第1の従来技術として、動作流体をポンプ室内に吸い込み、そしてポンプ室外に吐出する際の動作流体の制御を行う構造として、動作流体の吸い込み口と吐出口を有するポンプ吸い込み吐出用ユニットと、吸い込み側逆止弁と吐出側逆止弁とを有するポンプ弁座ユニット、ポンプアクチュエータユニットから構成され、ポンプ弁座ユニットが、ポンプ吸い込み吐出用ユニットとポンプアクチュエータユニットとの間にシール材としてのOリングを介して固定される逆止弁と、この逆止弁が備えられたポンプの構造が知られている(特開平10−220357号公報)。
また、第2の従来技術として、流体流路において、動作流体をポンプ室内に吸い込み、そしてポンプ室外に吐出する際、動作流体を一方向にのみ流通させる逆止弁として、弁座と、動作流体の吸入側にあって弁座の開閉を行うボールと、ボールの移動量を制限する開口付きのストッパと、弁座とストッパとを一体に組み合わせる連結部材とを備えた逆止弁が知られており、さらに、逆止弁は、押え部材によってポンプケースに押圧固定されており、この逆止弁を動作流体の吸入側と吐出側に1対備えたポンプも知られている(特開2000−2350号公報)。
さらに、第3の従来技術として、ポンプハウジング内に形成された弁座と、この弁座を開閉するボールと、ボールの移動量を制限するボールストッパと、ボールを弁座に押圧するコイルスプリングとから構成される逆止弁と、この逆止弁が備えられたポンプが知られている(特開2001−173816号公報)。
しかしながら、特開平10−220357号公報に記載の発明では、ポンプ弁座ユニットが、吸い込み側逆止弁と吐出側逆止弁とを備えているため、特に、平面方向のサイズが大きくなるという課題がある。また、ポンプ弁座ユニットが、ポンプ吸い込み吐出用ユニットとポンプアクチュエータユニットとでOリングを介して挟持されて固定されているために、組み立ての際にポンプ室空間広さが一定しないことによるポンプ性能が不安定になるということも考えられる。
さらに、Oリングは、長期間使用するうちにシール性が劣化することが考えられるので、定期的に交換しなければならないという煩わしさや動作流体の種類により耐薬品性を考慮し、Oリングの材質を変える煩わしさが生ずる。
また、ポンプ弁座ユニットは、合成樹脂で成形されており、流体の吸い込み部と吐出部の仕切り部はポンプ室の上方に浮いている構造であるため、アクチュエータが駆動した際に、ポンプ弁座ユニットが変形してポンプ室内の所定圧力が得られないということも考えられる。また、動作流体の流動により弁座が磨耗したり、キャビテーション等により傷がつきやすく、耐久性が充分でないという課題もある。
また、特開2000−2350号公報による発明では、ボールが、弁座とストッパとの間に設けられた空間に備えられ、この空間内を移動することで弁座の開閉を行っているが、ストッパのボールガイド壁とボールとの間の隙間が小さく、接触抵抗によりボールの移動が妨げられることが考えられる。また、弁座の動作流体流出部の座面に急激な開口広さの変化があるため、渦流が発生し、動作流体の円滑な流動が妨げられるというような課題も考えられる。
また、ボールは超硬合金やセラミックスで成形されており、一般の動作流体よりも単位体積当たりの重量が大きいため、ボールが、弁座の開閉のために移動しにくいので、例えば、ダイアフラムを用いた高い周波数で動作流体を流出するような小型のポンプには不向きであるというような課題がある。
さらに、特開2001−173816号公報による発明では、この逆止弁は、ボールが、常時、弁座側にコイルスプリングで押圧され、動作流体の圧力で弁座を開放し、また、コイルスプリングの弾性力で弁座を密閉する構造であるため、流体流入路の流入圧力は、コイルスプリングの弾性力とボールの重量に対して相当な大きさを必要とされ、例えば、動作流体の入り口流路と出口流路のイナータンス値の差で、弁座を開閉するような小型の逆止弁に採用することは困難である。
また、このようなポンプでは、逆北弁内の動作流体の流路には、コイルスプリングが備えられているので、コイルスプリングによって動作流体の流動が妨げられ、さらに、逆止弁から流体流路が急激に曲げられているために、動作流体の流動抵抗が大きくなるという課題もある。
本発明は、これら上記の課題を解決するためになされたもので、構造が簡素で、組み立て性がよく、低コスト化が実現できる逆止弁と、この逆止弁を備えることで、小型で、耐久性が優れた高性能なポンプを提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明の逆止弁は、筒状の弁座枠と、該弁座枠内に固着されて動作流体が流通する流通孔を有する弁座と、前記弁座の動作流体の流出側にあって前記弁座を開閉する弁体と、を備え、前記弁座枠と前記弁座と前記弁体とが一体にユニット化されていることを特徴とする。
この発明によれば、この逆止弁は、少なくとも、弁座と弁座枠と弁体の3部品で構成されているため、構成部品数が少なく簡素な構造であるため、低コストで製造することができる。また、逆止弁が一体でユニット化されているため、逆止弁として単体で性能管理ができ、例えばポンプに組み込んだ際に、逆止弁について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁の性能を得ることができる。また、逆止弁として重要な機能部材である弁体や、弁座の流通孔に触れることなく後述するポンプ等組み込むことができるため組み立て性がよく、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、前述した従来技術のように、逆止弁周辺にシール材としてのOリングを設ける必要がない。Oリングは、長期間使用するうちにシール性が劣化することが考えられ、定期的な交換をしなければならないという煩わしさがあるが、本発明の構造によれば、Oリングの定期的な交換や、動作流体の種類により耐薬品性を考慮しOリングの材質を変える煩わしさもない。
さらに、本発明では、前記弁座が、前記弁座枠及び前記弁体よりも硬度が高い材料で形成されていることを特徴とする。
ここで、弁座の材料としては、例えば、超硬合金等の硬質金属や、セラミックスを採用することができる。また、セラミックスとしては、Al2O3の多結晶燒結材が代表されるが、単結晶材も採用できる。
この発明によれば、これらの材料は硬度が高いため、弁体の開閉によって生ずる衝撃やキャビテーションによる弁座の磨耗や傷が付くことを防止することができる。
また、動作流体の流動による磨耗を防止することができる。これらのことによって、長期間にわたって良好な性能を維持することができる。
また、前記弁体が、固定部と開閉部とから構成されると共に、前記弁座の動作流体が流出する側に備えられ、前記固定部が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする。
なお、ここで弁体の固着手段としては、例えば、溶接、接着、ロウ付け等の接合面固着が採用できる。
このような構造では、弁体が、動作流体が弁座に流入する側に備えられる構造に対して、動作流体の流動抵抗が小さく、円滑な流動を行うことができる。また、弁体の固定部が弁座枠に固着され、弁体自身が移動することがないため、弁座の流通孔を確実に開閉することができる。
また、前記弁座の動作流体の流出側端面と前記弁座枠端面とが略同じ高さに設けられ、前記固定部が前記弁座枠の頂面に固着されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、弁座と弁座枠の端面位置が略同じに設定されているため前述した開閉部と固定部とが板状部材の平板で構成することができ、各部分の形状、寸法が管理しやすいためコストの低減がはかれると共に所定の性能が確保できるという効果がある。
また、前記弁体が、周縁の固定部と、前記弁座の流通孔の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する支持部と、から構成され、前記弁体が前記弁座枠の周縁に設けられた筒状の突出部の内部に装着され、前記固定部が前記突出部を変形させることによって固着されていることを特徴とする。
このような構造によれば、弁体は、弁体の固定部が弁座枠の突出部を変形させることで、例えば、部分的に、または全周をカシメル(部材を変形させて固定する)ことによって弁座枠に固定されているので、少ないスペースで確実に固定することができる。また、弁体の固定部の外周部を固定することで、開閉部や支持部を変形させることなく固定することができる。また、弁体は、弁座枠の突出部内に装着するだけで、平面方向の位置が規制されるために、特別の治具を用いなくても開閉部が確実に弁座の動作流体の流通孔を開閉することができる。
また、前記弁体が、前記弁座枠の周縁部に設けられた突出部の内部に装着され、リング状の固定部材が前記弁座枠の突出部内に圧入されることによって、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、周縁に設けられた固定部が弁座枠と固定部材によって厚み方向に挟まれて固定されるため、弁体に内部応力を生じさせずに固定することができるので、支持部や開閉部が変形されることなく固定することができる。
また、本発明の構造では、前記弁体の固定部の周縁に筒状の突出部が設けられ、該突出部が、前記弁座枠の突出部内に装着され、リング状の固定部材が前記弁体の突出部内に圧入されることによって、前記弁体が、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする。
この構造によれば、弁体に設けられた突出部に前述の固定部材を圧入することで、前記弁座枠の突出部と前記固定部材との間に弁体の突出部が挟着されているので、前述と同様な効果が得られる他、弁体は、周縁部に突出部が設けられることによって、例えば20μm程度の薄板であっても外周部が補強されているので全体が撓みにくく、取り扱いで変形することが少ないという効果もある。
なお、弁体は、プレス加工等で製造できるため、突出部を設けるための加工工程を設ける必要がなく、コストが増加することもない。
また、本発明の構造では、前記弁体の固定部の周縁に設けられた筒状の突出部が、前記弁座と前記弁座枠との径方向間隙に圧入されて狭着されていることを特徴とする。
このような構造によれば、弁体の突出部内に弁座を挿着させ、弁体と弁座とを弁座枠のリング内に圧入することで、前述の固定部材を用いることなく一体化することができる。また、弁座枠には、前述したような突出部を設ける必要がないため、構造をより一層簡素にすることができる。
また、本発明の構造では、前記弁体が前記弁座枠に設けられた凹部の内部において厚み方向に移動可能に装着され、前記弁座枠の凹部周縁に、前記弁体が前記流通孔を開閉可能に支持するリング状の固定部材が備えられていることを特徴とする。
このようにすれば、弁体は、弁座枠に設けられた凹部で平面方向の位置が規制されるとともに、固定部材によって厚み方向の動きの範囲が規制されるため、凹部の直径、深さを適宜に設定することで、弁体の流通孔の開閉が適正に行われるように規制することができる。ここで、固定部材は、例えば、弁座枠の凹部周縁に接着、溶接等の面接合手段で固定することができる他、弁座枠の凹部よりも大きな直径の凹部を新たに設け、その凹部にリング状の固定部材を圧入することで固定することができる。
また、前記弁体が、周縁の固定部と、略中央部の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する複数の羽根部と、から構成されていることを特徴とする。
ここで、この構造の弁体は、例えば、羽根部を有する略プロペラ状の形状に形成され、羽根部の形状としては、後進面が弁座方向に、前進面がその反対方向に設けられる。
このような複数の羽根部を備えることで、動作流体が流出されるときは、動作流体は、羽根部の緩やかな曲面の後進面に沿って抵抗が少ない状態で羽根部の間からで流出することができ、また、流通孔を閉じるときは、動作流体が前進面を押すことによって、開閉部で流通孔を閉じることができ、ダイアフラムの小さな動きに追従して流通孔の開閉をすることができる。
また、本発明の構造では、前記弁座に複数の流通孔が設けられ、前記流通孔に対応した数量の前記弁体の開閉部が設けられていることを特徴とする。
ここで、複数の流通孔は、例えば、サークル状、直線状、または並列に設けることができる。
この発明では、弁座に複数の動作流体の流通孔が設けられて、この流通孔を開閉する弁体の開閉部がそれぞれに独立して設けられているが、外周の固定部は一体で形成されているので、逆止弁は、構成部品数を増加することなく構成することができる。例えば、ダイアフラム型のポンプにおいて、ダイアフラムの振幅が10μm程度の場合は、弁体の開閉部の動作範囲は20μm程度であるため、動作流体の流量を多くしたい場合は、流通孔を複数設けることで、流量を増加させることができる。
また、複数の流通孔を一つの開閉部で開閉することもできるが、開閉部のわずかな変形や寸法のばらつきで、各流通孔を全て一様に開閉できないことが考えられ、流通孔に対して独立した開閉部を設けることによって全ての流通孔の開閉が確実に行われるという効果がある。
また、前記弁座の動作流体の流通孔が、長円状に開口されていることを特徴とする。
このような構造では、流通孔が長円状に開口しているので、開口面積を大きく設定することができ、動作流体の流量を増加することができる。
また、前記弁座の流通孔の動作流体の流入口および流出口が、動作流体の流体抵抗を減ずるように滑らかに丸められて形成されていることが好ましい。
さらに、前記流通孔の動作流体の流入口及び流出口の間が、連続した略円弧で滑らかに形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、弁座の流通孔は、流入口の外部に比べて直径が小さくされることが一般的であるため、動作流体がこの流通孔に流入する、あるいは流通孔内部を流動する際に流動抵抗が増加する。
従って、この発明によれば、流入口、流出口が滑らかに丸められていることによって、動作流体の流通孔に流入するときの流入抵抗を減じ、流出のときに渦流が発生して生ずる流動抵抗を減ずることができる。
さらに、流通孔内部も流入口、流出口に略円弧で滑らかに連続した形状に形成することで、流通孔内部の流動抵抗を減ずることができる。
また、前記弁座の動作流体が流入する側の面が、前記流入口に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されていることを特徴とする。
このような形状にすれば、動作流体が弁座の流通孔内に流入する際の抵抗をより一層減ずることができるという効果がある。
ここで、略円弧の漏斗状とは、その内面形状がU字型ではなく、内面の断面途中が若干膨らむような形状にすることがより好ましい。
前記弁体の前記流通孔の流出口周縁に密接する面が、ドーム状または円錐体状に形成されていることが好ましい。
このような構造では、弁体は、弁座の流通孔の周縁を平面で密接する場合、弁体の形状が簡単で製造しやすく、また、開閉部がドーム状や円錐体状である場合、弁座との接触が線接触になり接触圧力が増し、動作流体の漏れを一層防止することができるという効果がある。
また、本発明の逆止弁は、前記弁座を開閉する弁体がボールであって、該ボールを支持し、動作流体の流通孔が設けられたボール支持部材と、をさらに備え、前記弁座枠と前記弁座と前記ボールと前記ボール支持部材とがユニット化されていることを特徴とする。
ここで、ボールとは、例えば、球体である。
この発明によれば、この逆止弁は、弁座と弁座枠とボールとボール支持部材との4部品で構成されているため、構成部品数が少なく、それぞれが簡素な形状であるため、製造が容易で、形状管理もし易く、低コストで製造することができる。また、逆止弁がユニット化されているため、逆止弁として単体で性能管理ができ、例えばポンプに組み込んだ際に、逆止弁について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁の性能を得ることができる。また、逆止弁として重要な機能部材であるボールや、弁座の流通孔に触れることなく、ポンプ等に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、弁座がボールで開閉されるため、開放されているときは、動作流体が、ボールの表面を流動するために流動抵抗が小さく、例えば、板状の弁を用いた場合に比べ、ボールが弁座から離れて流通孔を開放するときに、同じ移動量であっても流通断面積が大きくなるため、流動量を多くすることができる。密閉されているときは、弁座とボールとは線接触となり、接触圧力が大きくなり、確実に密閉できるという効果がある。
また、前記ボール支持部材が、周縁の支持部と略中央に動作流体が流通する流通孔と前記ボールを支持するボール支持部と前記支持部と前記ボール支持部を連結する腕状の連結部と、から構成されていることを特徴とする。
この発明では、ボールを支持しているボール支持部材が、上述のように構成されているので、例えば、金属の板材をプレス等の加工手段で容易に形成することができる。また、ボールは、ボール支持部材の流通孔から中央部を、さらに、連結部の間から周辺部を動作流体によって押し上げられて弁座の流通孔を押圧して密閉するため、動作流体の圧力によって、ボールが移動しやすく、弁座の流通孔の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
また、ボールが弁座から離れて、弁座が開放されているときは、ボールがボール支持部材のボール支持部で位置が規制され支持されているので、小さいスペースで、しかも簡素な形状でボールを適正位置に支持することができる。
さらに、ボールは、移動する際、回転するため弁座との接触位置が其の都度変化するため、弁座との接触位置が変化するので、同じ位置が磨耗することを防止することもできる。
また、前述の構造では、前記ボール支持部に、前記ボールを支持する爪部が突出されていることを特徴とする。
このような構造では、ボールは、ボール支持部に設けられた、例えば、3本の放射状に突出された爪部によって支持されているので、ボールの位置規制を確実に行うことができる。この爪部は、ボールの直径よりも小さい範囲でボールを支持しているため、この爪を設けることによって動作流体の流動を妨げることがない。
また、前述の構造では、前記弁座を開閉する際に、前記ボールと前記ボール支持部材とが同時、または別に移動することによって前記弁座の開閉を行うことが好ましい。
このようにすれば、ボールとボール支持部材、ボール支持部材と弁座枠とは、それぞれ支持はされているが固定はされていない。従って、ボールだけが移動して弁座の流通孔を開閉することも、ボール支持部材でボールを押し上げて流通孔を密閉し、また、ボールとボール支持部材が一緒に移動して流通孔を開放することができる。ボールだけでなく、ボール支持部材も移動できる構造であるために、例えば、ポンプ室の正の圧力をボール支持部材が受け、ボールを押圧することもできるので、流通孔の密閉力を高めることができる。
また、本発明の構造では、前記ボール支持部材のボール支持部に、前記ボールを前記弁座に押圧する弾性部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前述したように、ボールは流通孔を開閉するが、ボール支持部に弾性部が設けられているので、この弾性力でボールを流通孔に押圧し、確実に密閉することができる。この弾性部の弾性力は、例えば、流通孔を開放するときには、ポンプ室の負圧でボールを開放できる程度の大きさに設定されることがより好ましい。
また、この弾性部でボールを常時弁座の流通孔に接触するようにしておけば、ポンプを停止している際に、動作流体が流出すること防止することができる。
また、本発明の逆止弁は、前記ボール支持部材の外周支特部の周縁に、前記弁座枠に設けられた孔の内面に沿って筒状の側面案内部が設けられていることを特徴とする。
このような構造では、ボール支持部材が板状に形成されている場合に比べて、ボール支持部材に筒状の側面案内部が設けられ、この側面案内部が前記弁座枠の孔内面に沿って移動するので、断面方向に傾くことが、なく移動が円滑に行われ、流通孔の開閉を確実に行うことができる。また、このような側面案内部を設けても、逆止弁のスペースを大きくする必要もない。
また、本発明の構造では、前記ボールの密度の平均値と動作流体の密度とが略同じであることを特徴とする。
流通孔を開閉するボールは、動作流体の圧力の変化で移動する。この際、ボールの密度の平均値が動作流体の密度とが略同じとされているために、ボールは、動作流体中において、例えば、ポンプの駆動を停止している場合、ボールは浮遊状態またはそれに近い状態であるので、ポンプを駆動した場合に、動作流体のわずかな圧力変化で移動するため、ポンプの駆動源が圧電素子のような高い周波数で駆動されるような場合、その駆動周波数に同期して移動し、弁座の開閉を行うことができる。
さらに、前記ボールが、中空であることを特徴とする。
ここで、ボールの材質としては、耐久性を考慮すると、鉄系合金、ステンレス合金、銅系合金、アルミニウム合金などの金属や、ガラス、セラミックス、合成樹脂等を採用することができる。
これらの材質でボールを形成した場合、単位体積当たりの重量が大きく、動作流体のわずかな圧力変化では移動しにくいことが考えられる。この際、ボールを中空にすることで、単位体積当たりの重量を減ずることができ、ボールの外殻の厚みをボール材質及び動作流体の材質によって調整することで、前述したような、ボールの単位体積あたりの重量が、ボールがおしのけた動作流体の体積当たりの重量と略同じに設定することができ、前述のような効果が得られる。
さらに、前記ボールの表面に皮膜が設けられていることを特徴とする。
ここで、皮膜としては、超硬合金、ニッケル、クロムやセラミックス等の硬質皮膜が採用でき、被膜成形手段としては、電気めっき法、化学めっき法などの湿式めっき法や、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式めっき法が採用できる。また、ゴム系の軟質材料も採用できる。
このような構造では、流通孔を開閉するボールは、外殻に皮膜が形成されているので、製造のしやすさからボールの材質が限定されても、前述の硬質皮膜を選択した場合、表面の硬度を高くすることができるために、長期間使用しても、磨耗したり、流通孔の開閉の衝撃で傷がつくことが少ないという効果がある。また、前述したようにボールを中空にしても、この硬質皮膜が形成されることでボールの変形を防止することができる。
軟質の皮膜を選択した場合は、弁座のシール性をより高めることができる。
また、前記弁座の流通孔外側が、動作流体が流通する流入口と流出口が滑らかに略円弧で連続して形成され、前記流出口の開口部が、前記ボールの直径よりも大きな直径の円弧で形成されていることを特徴とする。
このように、流通孔の流入口、流出口が滑らかな円弧で連続されているために、動作流体が、弁座を流通する際の流体抵抗を減ずることができる。特に流出口は、ボールで開閉されるので、この流出口の開口部外側がボールの直径より大きい円弧で形成されている場合、ボールがわずかに弁座からはなれたときでも、動作流体が流出する開口断面積が広く確保できるため、動作流体の流出流量を多くすることができ、また、このことによって、ボールが弁座から離れることを促進する効果もある。
また、ボールは、流出口の開口部外側に設けられた円弧の表面に沿って流通孔まで移動して密閉するので、ボールの平面方向位置がわずかにばらついて移動しても、より確実に流通孔を密閉することができる。
さらに、前記ボール支持部材が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする。
ボール支持部材が、弁座枠に固着されている場合、ボールは、単独で流通孔を開閉するが、ボール支持部材が前記弁座枠に固着され、ボールは、ボール支持部材のボール支持部で平面方向の位置が規制されているので、弁座の流通孔に対するボールの位置をより正確に規制することができる。
また、ボールだけが移動する構造であるため、ボール支持部材が移動する構造に比べ、より簡素な構造の逆止弁を提供することができる。
また、前記弁座枠の前記弁座と前記ボール支持部材の間の側面に、内側から外側に貫通する孔が設けられていることを特徴とする。
本発明では、前述したように弁座と弁座枠とボールとボール支持部材とがユニット化されているが、弁座枠の側面に貫通孔が設けられているために、逆止弁単体で、ボールの位置や動き具合をこの孔から検収することができる。
また、動作流体が逆止弁内で詰まった場合などに、例えば、ポンプから逆止弁を取り外して、この孔から洗浄液等を流動させ洗浄することもできる。
本発明のポンプは、ピストンまたはダイアフラムにより、容積が変更可能なポンプ室と、該ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路と、を備え、前記ダイアフラムを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを支持する筐体と、をさらに備え、前記入口流路と前記ポンプ室の間に、請求項1ないし請求項28のいずれかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、このポンプは、前述したような逆止弁を備えているため、小型で構造が簡素で低コストが実現でき、動作流体の流動が円滑に行われ、且つ、耐久性が優れるという効果が得られる。特に、詳しくは後述するが、出口流路のイナータンスが入口流路のイナータンスよりも大きく、弁座に加わる圧力が大きい小型ポンプにおいて前述した効果が顕著である。
【産業上の利用可能性】
本発明の逆止弁は、特にダイアフラム型等の小型ポンプに有効で、このポンプは、プロジェクタ等の電子機器の冷却装置、ウォータージェットメス、流体アクチュエータ、マイクロ液圧プレスのピストンの動力源等に利用することができるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るポンプを示す断面図。
【図2】 本発明の実施形態1に係る逆止弁を示す断面図。
【図3】 本発明の実施形態1に係る弁体を示す平面図。
【図4】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図5】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図6】 本発明の実施形態1に係る他の弁体を示す平面図。
【図7】 本発明の実施形態1に係る弁座を示す断面図。
【図8】 本発明の実施形態1に係る他の弁座を示す断面図。
【図9】 本発明の実施形態1に係るポンプ室内の圧力とダイアフラムの変位の関係を示すグラフ。
【図10】 本発明の実施形態1に係る入口流路と出口流路における流量の波形の関係を示すグラフ。
【図11】 本発明の実施形態2に係る逆止弁を示す断面図。
【図12】 本発明の実施形態3に係る逆止弁を示す断面図。
【図13】 本発明の実施形態4に係る逆止弁を示す断面図。
【図14】 本発明の実施形熊4に係る弁体示す斜視図。
【図15】 本発明の実施形態5に係る逆止弁を示す断面図。
【図16】 本発明の実施形態6に係る逆止弁を示す断面図。
【図17】 本発明の実施形態6に係る逆止弁の変形例を示す断面図。
【図18】 本発明の実施形態6に係る弁体を示す平面図。
【図19】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す平面図。
【図20】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す平面図。
【図21】 本発明の実施形態6に係る他の弁体を示す側面図。
【図22】 本発明の実施形態7に係る逆止弁を示す断面図。
【図23】 本発明の実施形態7に係る弁体を示す平面図。
【図24】 本発明の実施形態8に係る逆止弁を示す断面図。
【図25】 本発明の実施形態8に係る逆止弁を示す平面図。
【図26】 本発明の実施形態9に係る弁体を示す平面図。
【図27】 本発明の実施形態9に係る他の弁体を示す平面図。
【図28】 本発明の実施形態10に係る逆止弁を示す断面図。
【図29】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図30】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボール支持部材の変形例を示す断面図。
【図31】 本発明の実施形態10に係る逆止弁の弁座を示す断面図。
【図32】 本発明の実施形態10に係る逆止弁のボールを示す断面図。
【図33】 本発明の実施形態11に係る逆止弁のボールを示す断面図。
【図34】 本発明の実施形態12に係る逆止弁を示す断面図。
【図35】 本発明の実施形態12に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図36】 本発明の実施形態13に係る逆止弁を示す断面図。
【図37】 本発明の実施形態13に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図38】 本発明の実施形態14に係る逆止弁のボール支持部材を示す平面図。
【図39】 本発明の実施形態14に係る逆止弁のボール支持部材を示す断面図。
【図40】 本発明の実施形態15に係る逆止弁を示す断面図。
【図41】 本発明の他の実施形態に係る逆止弁を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明に係る逆止弁、及びこの逆止弁を備えるポンプについて説明する。なお、以下に記載する実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
最初に、本発明の実施形態1について説明する。図1〜図10には、実施形態1の逆止弁及びこの逆止弁が備えられたポンプ10が示されている。
図1は、実施形態1の逆止弁が装着されたポンプの縦断面図が示されている。図1において、ポンプ10は、ポンプ室ユニット100とアクチュエータユニット200とを備えている。
ポンプ室ユニット100は、動作流体が流入される入口流路111と、流出される出口流路117とを備えるポンプ室体101と、ダイアフラム150と、動作流体の脈流を防止する脈流吸収手段としての弾性膜151とから構成されている。
ポンプ室体101は、平面視外形は略円筒形であり、側面一方方向に入口流路111が穿設されたパイプ状の入口接続管110が突出して形成され、入口流路111は、弾性壁室112に流通している。入口流路の先端部は、図示しないチューブ等の外部配管に接続され、動作流体が供給される。入口接続管110の反対側には、出口流路117が穿設されたパイプ状の出口接続管116が突出して形成されている。出口流路117の内側端部は、ポンプ室119に流通しており、他端は、動作流体の吐出口となっていおり、図示しない外部配管に接続される。
入口流路111が流通されている弾性壁室112は、ポンプ室体101の略中央に円筒状の凹みとして形成され、図中、上方の開口部周縁上面121に弾性膜151が密閉固定され、ポンプ室119側の開口部113は、弾性壁室112の内径よりも直径が小さく設定されている。この開口部113とポンプ室119の間には逆止弁50が備えられている。流体抵抗要素としての逆止弁50は、入口流路111から出口流路117に動作流体が流通されるように開放され、または密閉される。
なお、小型で、5kHz程度の一般のポンプより高周波駆動される本実施形態1のようなポンプでは、弾性膜151、弾性壁室112が備えられることが好ましいが、必ずしもなくてもよい。
逆止弁50を挟んで弾性壁室112の反対側に薄く形成された凹みが形成され、ダイアフラム150で密閉された空間がポンプ室119である。
ポンプ室体101は、金属粉体成形(Metal Injection Mold)で形成されている。金属粉体成形のほかに、精密鋳造などで成形することができる。耐薬品性、防錆、構造的強度を配慮した材質として、ステンレス鋼やチタン合金等を採用することが好ましいが、鉄系合金や銅系合金も採用できる。
逆止弁50は、詳しくは後述するが(図2、参照)、弁座60と弁座枠70と弁体80とから構成され一体にユニット化されている。そして、逆止弁50は、開口部113の内壁114に圧入され、密着固定されている。
ダイアフラム150は、ステンレス鋼等の円盤状の薄板で、厚みは20μm程度とされ、外周部がポンプ室119の周縁部に接着、溶接、ロー付け等の固着手段で密着固着されている。
弾性膜151の上面には、弾性膜保護部材としての上板140が載置されたうえ、その外周部を固定螺子155でポンプ室体101に弾性膜151と共に螺合固定される。固定螺子155は、図1では、1個のみ記載されているが、3個または4個平面方向にバランスよく備えられている。弾性膜151は、動作流体が脈動した際に、断面方向に撓んで脈動を吸収するが、上板140の弾性膜151と接する面側には、弾性膜151が撓んでも接触しない範囲の凹みが設けられ、平面方向中央部には、上板140と弾性膜151で密閉された空気を開放するための孔103が設けられている。
ポンプ室体101は、弾性壁室112とは逆止弁50を挟んで反対側の外周に突出された筒部122が形成され、其の端面には、アクチュエータユニット200を固定するための雌螺子が設けられている。筒部122の内側のポンプ室119の開口部には、ポンプ室119のアクチュエータユニット200側を密閉するダイアフラム150が密着固定されている。ポンプ室119のダイアフラム150と接触する壁の角部は、滑らかに丸められている。
この筒部122の内側にアクチュエータユニット200の筐体201が挿着される。
筐体201は、一方が閉塞され,他方が開口された筒形状をしており、筒部202と、筒部外周から外形方向に突出された鍔部203とが形成されている。筒部202がポンプ室体101の筒部122の内側に着脱可能な強度で圧入されている。
筒部202の端部はダイアフラム150を押圧しているが、筒部202の内径は、上台401に接触しない大きさとされ、ダイアフラム150と接触する角部は滑らかに形成されている。ダイアフラム150と接触する内径は、ポンプ室体101がダイアフラム150と接触する部分の内径と略同じである。
鍔部203に設けられた固定螺子205の挿通孔とポンプ室体の筒部122に設けられた雌螺子との間で、固定螺子205によって、筐体01(アクチュエータユニット200)とポンプ室ユニット100とが固定され、ポンプ10が使用できる充分な強度で一体化される。
筐体201の筒部202の内側には、アクチュエータ301が備えられている。
アクチュエータ301は、長手方向に伸縮振動する圧電素子であり、一方の端面には、上台401が固着され、他方の端部は、筐体201の底部209に固着されている。
上台401は、アルミニウム合金製等の比重の小さい材料で形成された円盤であり、アクチュエータ301の固着面との反対側の面が、ダイアフラム150に密接されている。アクチュエータ301は、外部制御回路(図示せず)からバイアス電圧が印加されることで、伸縮振動を行い、伸びたときにダイアフラム150を押して撓ませてポンプ室119の容積を減じ、収縮したときには、元の状態に引き戻し、ポンプ室119の容積を増加させる。
なお、上台401は、アクチュエータの端部面積、形状を適切な設定を行えば、省略することができる。
筐体201の筒部202の側面には、内側から外側に貫通孔204が設けられている。この貫通孔204には、図示しないが、アクチュエータ301にバイアス電圧を印加するためのリード線が挿通される。
ここで、本発明のポンプにおける流路のイナータンスの関係について説明を加える。流路に柔軟部等の圧力変動吸収要素がある場合、イナータンスの算出には圧力変動吸収要素までの流路を考慮すればよいため、入口流路のイナータンスは、圧力変動吸収要素である弾性膜151から逆止弁50までの流路のイナータンスであり、一方、出口流路のイナータンスは、出口流路117のイナータンスである。この2つのイナータンスを比較すると、出口流路のイナータンスは入口流路のものよりはるかに大きくなっている。
次に、実施形態1に係る逆止弁50について説明する。
図2は、本実施形態1の逆止弁50の断面形状を示す。図2において、逆止弁50は、弁座枠70、弁座60、弁体80とから構成されている。弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設された円盤状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている。流入口側は、動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は、動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められているのである。
弁座60の流出側の外周角部には斜面64が設けられ、後述する弁体80との接触面積を適正な大きさに設定すると共に、弁座枠70への圧入を容易にしている。
なお、弁座60は、弁座枠70、弁体80よりも硬度が高い材料で形成され、超硬合金やセラミックス(Al2O3等)が採用される。
弁座枠70は、弁座60が圧入される中心部の貫通孔71が穿設されたリング状に形成され、貫通孔71の動作流体の流入側は、弁座60の図中上面65の高さと略同じ位置から滑らかに丸められて上方が貫通孔71よりも広い斜面72に連続した形状に形成されている。また、この斜面72とは反対側の面の外周部は筒状の突出部74が形成される。弁体80は、この突出部74内に装着され、突出部74内の底部73に溶接、接着等の手段で固着されている。弁座枠70の材料は特に限定されないが銅系合金が採用される。
弁座60の流出口63につながる端面と弁座枠70の底部73とは同じ高さであり、弁体80は弁座60と底部73とに同じ高さで接合されている。
前述したように、弁座60、弁座枠70、弁体80は一体にユニット化され、ポンプ室体101開口部の内壁114に圧入されている。
弁体80は、開閉部81が弁座60を押圧したときに(図中、二点鎖線で示す)流通孔61を密閉し、離れたときに(図中、実線で示す)流通孔61を開放する。
図3は、本実施形態1の弁体80の平面図を示す。図3において、弁体80は薄板の円盤で、中央部が略U字型のスリット82が設けられ、開閉部81と周縁の固定部83とを連続する支持部84で形成されている。
なお、図示しないが、支持部84と開閉部81は、固定部83よりも薄肉に形成されている。固定部83は、固定強度を高め、支持部84、開閉部81は、先述したダイアフラム150の伸縮に追従して開閉駆動がし易くするためである。
弁体80には、材料としてステンレス鋼等が採用される。
弁体80は、図3で示した以外に様々な形状が採用できるが、その変形例を図4〜図6を用いて説明する。
図4は、本実施形態1の弁体80の変形例の一つを示す平面図である。図4において、弁体80は、中央部が略馬蹄系のスリット82が設けられ、開閉部81と周縁の固定部83とを連続する支持部84で形成されている。支持部84は開閉部81よりも細く縊れており、この幅を細くすることで弾性力を調整し、開閉部81の開閉駆動がし易く設定されている。
図5は、本実施形態1の弁体80の他の変形例を示す平面図である。図5において、弁体80は、中央部に開閉部81が形成され、外周のリング状の固定部83と開閉部81とは、放射状に延出された3本の支持部84で連続されている。前述のダイアフラム150に追従して支持部が厚み方向に撓んで流通孔61の開閉を行うものである。
続いて、図5で説明した弁体80のさらなる変形例を図6を用いて説明する。
図6は、弁体80の変形例を示す平面図である。図6において、支持部84の開閉部81と固定部83を連結する途中に曲線が含まれていることが、図5で説明した弁体80との相違点であり、他の形状は同じである。この際、支持部84に曲線部が含まれることで、開閉部81の厚み方向の移動量が多くとれることと、支持部84の弾性係数を小さくし、撓みやすくしたものである。
次に、本実施形態1(図2、参照)に示した弁座60の変形例について図7、図8を用いて説明する。
図7、図8は、本実施形態に係る弁座60の形状を示す断面図である。図7において、弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設された円盤状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている(図中、符号67,68で示す)。流入口側は、動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は、動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められている。
流入口62と流出口63の丸められた部分67,68を連続する流通孔61は、断面方向中央部が細くなるように滑らかな円弧で結ばれた形状で形成されている。これは、動作流体がポンプ室体101の開口部113から急激に細い流通孔61に流入する際に流体抵抗を減ずるためのものである(図1、参照)。
また、流出口63の周縁部には、平面部66から外周部に向かって斜面64が形成されている。平面部66の面積は、弁体80の開閉部81で密着されることと、開放時に動作流体が流出しやすい大きさに設定される。この際、流出口周囲の高さが、均一であれば平面部66は設けなくてもよい。
図8は、図7で説明した弁座60の変形例を示す弁座の断面図である。図8において、弁座60は、上面65(図7、参照)が平面ではなく、流入口62から外周に連続して円弧で結ばれた動作流体の導入部69が形成されている。この導入部69は、図面を視認して漏斗状の形状であり、ポンプ室体101の開口部113から動作流体を流体抵抗を小さくして流通孔61に導くような形状とされる。
なお、この導入部69は、直線の斜面で形成してもよく、これらの形状は、開口部113の直径、流通孔61の関係から適宜選択することができる。
続いて、本発明のポンプ10の駆動動作について説明する。
図9は、ポンプ室119内の圧力とダイアフラム150の変位の関係を示すグラフである。図1も参照して説明する。まず、アクチュエータ301にバイアス電圧が供給されることによってダイアフラム150が振動して、ポンプ室119の容積が連続して変化する。この際、ポンプ10の負荷圧力を1.5気圧としてポンプを運転して、動作流体の吐出流量が多い状態の時のダイアフラム150の変位(μm)、ゲージ圧で示したポンプ室119内圧力(気圧)の波形を示す。ダイアフラム150の変位波形において、波形の傾きが正の領域は、アクチュエータ301が伸びてポンプ室119内の容積が減少している過程である。一方、波形の傾きが負の領域は、アクチュエータ301が収縮してポンプ室119内の容積が増大していく過程である。
ポンプ室119内圧力は、ポンプ室119の容積減少過程が始まると圧力上昇が始まる。そして、後述する理由によって、この容積減少過程が終了する前に、圧力は最大値を迎え減少し始める。さらに、ポンプ室119の容積減少過程が始まると、引き続き圧力は減少し続け、この容積減少過程の途中でポンプ室119内に真空状態が発生し、ゲージ圧で−1気圧の一定値となる。
このときの入口流路111と出口流路117における流量の波形の関係のグラフを図10に示す。ポンプ10を運転した時に順方向(負荷方向)へ流れる流量をグラフ上で正方向としている。
出口流路117の流量は、ポンプ室119内圧力が上昇し負荷圧力を上回ると増加し始める。そして、ポンプ室119内の動作流体が出口流路117から流出し始め、流出量がダイアフラム150の変位によるポンプ室119の容積減少量を上回るポイントでポンプ室119内の圧力は減少し始める。ポンプ室119内圧力が減少し、負荷圧力よりも低下すると出口流路117の流量は減少し始める。これらの流量変化率は、ポンプ室119内圧力と負荷圧力との圧力差を出口流路117のイナータンス値で除した値とほぼ等しい。
【0097】
一方、入口流路111では、ポンプ室119内圧力が大気圧よりも減少すると、その圧力差によって逆止弁50が開き流量が増加し始める。また、ポンプ室119内圧力が上昇し大気圧よりも増加すると減少し始める。これらの流量変化率は逆止弁50が開放されている期間は、前述したことと同様に、ポンプ室119内圧力と入り口流路手前の圧力との圧力差を入口流路111のイナータンス値で除した値とほぼ等しい。そして、逆止弁50の逆止効果によって逆流が防止されている。
従って、前述した実施形態1では、この逆止弁50は、弁座60と弁座枠70と弁体80で構成されているため、構成部品数が少なく簡素な構造であるので、低コストで製造することができる。また、逆止弁50が一体でユニット化されているため、逆止弁50として単体で性能管理ができ、ポンプ10に組み込んだ際に、逆止弁50について、あらためて調整や検収をすることなく安定した性能を得ることができる。また、逆止弁50として重要な機能部材としての弁体80や、弁座60の流通孔61に触れることなく、ポンプ10内に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を提供することができる。
また、逆止弁50の周辺にシーリング部材としてのOリング等を設ける必要がなく、Oリングが、長期間使用するうちにシール性が劣化することによる定期的な交換をしなければならないという煩わしさや、動作流体の種類により耐薬品性を考慮し、Oリングの材質を変える煩わしさもない。
本実施形態1では、弁体80が、弁座60の動作流体が流出する側に備えられ、弁座枠70に固着されているので、弁体80が、動作流体が弁座60に流入する側に備えられる構造に対して、動作流体の流動抵抗になることが少なく、円滑な流動を行うことができる。
また、弁体80は、弁座枠70に固定される固定部83は、他の部分よりも構造的な強度が大きい面積を有し、支持部84は振動が可能な弾性を有する形状に形成され、開閉部81は、弁座60に密着し易い形状や厚みで形成されている。このことから、この弁体80は、それぞれ異なる機能を合わせもちながら一体で形成されているので、製造し易く、また、各部分の形状、寸法が管理しやすいためコストの低減がはかれると共に所定の性能が確保できるという効果がある。
弁座60の流通孔61は、ポンプ室体101の開口部113に比べて直径が小さいため、動作流体がこの流通孔61に流入する、あるいは流通孔61内部を流動する際に流動抵抗が増加する。従って、流入口62、流出口63が滑らかに丸められていることによって、動作流体が流入するときの流入抵抗を減じ、流出のときに渦流が発生して生ずる流動抵抗を減ずることができる。
さらに、流通孔61内部も流入口62、流出口63に滑らかに連続した略円弧状に形成することで、流通孔61内部の流動抵抗を減ずることができる。
さらに、本実施形態1では、弁座60の動作流体の導入部69が、流入口62に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されているために、動作流体が弁座60の流通孔61内に流入する際の抵抗をより一層減ずることができるという効果がある。
また、本実施形態1では、弁座60は超硬合金等の硬質金属やセラミックスなどの、弁座枠70及び弁体80よりも硬度が高い材料で形成されているので、弁体80の開閉によって生ずる衝撃やキャビテーションによる弁座60に磨耗や傷が付くことを防止することができ、さらには、動作流体の流動による磨耗を防止することができる。これらのことによって、長期間にわたって良好な性能を維持することができるという効果がある。
また、本発明のポンプは、アクチュエータ301で高い周波数で振動され、逆止弁50が小型であるため、単位面積当たりの圧力が高圧となるので、前述したような構造の逆止弁50を採用することで、耐久性がすぐれ、且つ、小型で構造が簡素で低コストが実現できるという効果が得られる。
なお、前述した実施形態1では、ポンプ室119の容積を変更する手段としてダイアフラム150を例にあげ説明したが、ダイアフラム以外にピストンを採用したポンプにも、本発明の構造の逆止弁を採用し、同様な効果を得ることができる。
続いて、本発明に係る実施形態2について図面に基づき説明する。
図11は、本発明の実施形態2の逆止弁50を示す断面図である。実施形態2は、実施形態1で説明した逆止弁50における弁体80の弁座枠70への固定構造(図2、参照)を変更したもので、相違点のみを説明する。実施形態1と同じ機能部材には同じ符号を附与している。図11において、弁座枠70には弁座60が圧入されている。弁座枠70の動作流体が流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、この突出部74の高さは、弁体80の厚みよりも高く設定されている。この突出部74の内側に弁体80が装着された状態で、突出部74を弁体80の固定部83を挟んでカシメル(図中、二点鎖線で表示した形状から74Aで示す形状に変形させる)ことによって弁体80が固定される。この突出部74のカシメル範囲は、全周にわたっても良いし、部分的でもよい。
このようにして、逆止弁50がユニット化されて、ポンプ室体101の開口部の内壁114内に圧入される。
従って、実施形態2では、弁体80の固定部83が弁座枠70の突出部74を部分的に、または全周をカシメルことによって弁座枠70に固定されているので、少ないスペースで確実に固定することができる。また、弁体80の固定部83の外周部を固定することで、弁体80の開閉部81や支持部84(図3、参照)を変形させることなく固定することができる。
また、弁体80は、弁座枠70の突出部74内に装着するだけで、平面方向の位置が規制されるために、特別の治具を用いなくても開閉部81が確実に弁座60の動作流体の流通孔61を密閉することができる。
次に,本発明に係る実施形態3について図面に基づき説明する。
図12は、実施形態3の逆止弁50の断面図を示す。実施形態3は、前述した実施形態1及び実施形態2で説明した逆止弁50における弁体80の弁座枠70への固定構造(図2、図11、参照)を変更したもので、相違点のみを説明する。また、実施形態1または実施形態2と同じ機能部材には同じ符号を附与している。図12において、弁座60は、弁座枠70に圧入されている。弁座枠70の動作流体か流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、この突出部74の内側に弁体80が装着された状態で、リング状の固定部材90が、突出部74の内側に圧入され、弁体80の固定部83が弁座枠70の底部73と固定部材90との間で押圧固定される。
なお、固定部材90の内径は、弁体80の開閉部81の駆動を妨げない範囲の大きさに設定され、ポンプ室119(図1、参照)側は面取りが施されている。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
従って、本実施形態3では、弁体80は、周縁に設けられた固定部83が弁座枠70と固定部材90によって挟まれて固定されるため、弁体80に内部応力を生じさせずに固定することができるので、支持部84や開閉部81が変形されることなく固定することができる。
次に、本発明に係る実施形態4について図面に基づき説明する。
図13、図14には、それぞれ本発明の実施形態4に係る逆止弁50、弁体80が示されている。
図13は、実施形態4の逆止弁50を示す断面図、図14は、その弁体80を示す概略斜視図である。実施形態4は、前述した実施形態2、実施形態3とは弁体80の弁座枠70への固定構造が異なり、他の部分は同じであるため相違点のみ説明する(図11、図12も参照)。図13において、弁座60は、弁座枠70に圧入されている。弁座枠70の動作流体が流出される側の外周部には筒状の突出部74が形成され、弁体80の固定部83の外周には、筒状の突出部85が形成されて(図14、参照)、この突出部85内にリング状の固定部材90が圧入されることで弁座枠70の突出部74と固定部材90の間に弁体80の突出部85が押圧固定されている。
なお、固定部材90の内径は、弁体80の開閉部81の駆動を妨げない範囲の大きさに設定され、ポンプ室119(図1、参照)側は面取りが施されている。
また、弁体80の突出部85、弁座枠70の突出部74、固定部材90は、それぞれが組み込まれた状態で、ほぼ同一高さになるように設定されている。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
図14において、弁体80を詳しく説明する。弁体80は、外周部に筒状の突出部85が設けられた容器状に形成され、実施形態1(図3、参照)で説明したような略U字状の開閉部81が設けられている。
なお、弁体80の開閉部81、支持部84の形状は、実施形態1で説明した変形例の形状(図5、図6、参照)のものも採用できる。
続いて、本発明の実施形態5について図面に基づき説明する。
図15は、本発明の実施形態5の逆止弁50を示す断面図である。実施形態5は、実施形態4(図13、参照)と比べ、弁体80の固定構造のみが異なるため、相違点のみを説明し、同じ機能部材には同じ符号を附与している。図15において、弁座60の外周直径と弁座枠70の内径の差は、弁体80の厚みよりもわずかに小さく設定される。弁体80の形状は、実施形態4(図13、図14、参照)で説明した弁体80と同様に外周部に突出部85が設けられているが、突出部85の外径は、弁座枠70の内径よりもわずかに大きく設定され、高さは、弁座60の厚みとほぼ同じである。
この逆止弁50は、まず、弁体80の突出部85内に弁座60を挿入し、それから弁座枠70内に圧入することで一体にユニット化される。または、弁座枠70に弁体80を挿入してから弁座60を圧入することもできる。
このように、逆止弁50はユニット化されポンプ室体101の開口部内壁114内に圧入されて固定されている。
従って、実施形態4、実施形態5ともに、弁体80は、周縁部に突出部85が設けられることによって、例えば20μm程度の薄板であっても外周部に突出部85が設けられることで補強されることになり全体が撓みにくく、取り扱い過程で変形されることが少ないという効果もある。
なお、これらの弁体は、プレス加工等で製造できるため、突出部を設けるための加工工程を設ける必要がなく、コストが増加することもない。
また、実施形態5では、弁体80が弁座枠70と弁座60との間で固定できるため、固定部材が必要なく、弁座枠70も突出部74を設けなくてもよいので、構造が簡単でコスト低減もはかることができる。
なお、弁体80の開閉部81、支持部84の形状は、実施形態1で説明した変形例の形状(図4〜図6、参照)のものも採用できる。
次に、本発明の実施形態6の逆止弁50について図16〜図21を用いて説明する。
図16、図17は本実施形態6及び変形例の逆止弁50、図18〜図21は、この逆止弁50に採用されている弁体80を示している。図16において、弁座枠70は、動作流体が流出される側に弁座60の頂面の平面部66と底面が略同じ面となるように凹部75が形成され、この凹部75の深さは、弁体80が流通孔61を開閉するために必要な断面方向のストロークを確保するだけの深さとされる(図中、弁体80が実線で示した位置から二点鎖線で示した位置まで移動する範囲)。弁座枠70の図中、最下面には、リング状の固定部材90が、固着されている。固定部材90に開設される孔の内側直径は、弁体80の外形よりも小さく、外周直径は、弁座枠70の外形よりも小さく設定される。
これら固定部材90と凹部75とから構成された空間に弁体80が装着されている。
この際、前述したダイアフラム150(図1、参照)の動きに同調して弁体80が断面方向に移動して流通孔61の開閉を行う。
図17は、弁体80の保持構造の変形例を示す。図17において、弁座枠70には、弁体80が挿入される凹部75の図中下段にもう一段凹部75の直径より大きい径の凹部76を設けられ、この凹部76内にリング状の固定部材90が圧入されている。この固定部材90と弁座60との間の空間に弁体80が備えられている。弁体80は、前述したように図中断面方向に移動することができる(図16も参照)。
図18〜図21は、実施形態6に採用される弁体80が示されている。図18において、弁体80は、中央部に略円形の開閉部81、周縁にリング状の固定部83、これら開閉部81と固定部83を連結する放射状に延出された3本の支持部84とから構成されている。この開閉部81の大きさは、流通孔61を密閉するために必要な大きさであり、開放した際に動作流体が流出し易くするために小さいほどよい。また、支持部84も、弁体80の強度が確保できる範囲で細く設定されることが好ましい。
この弁体80は、開閉部81、支持部84、固定部83がそれぞれ同一平面内に形成されている。
図19は、弁体80の他の変形例が示されているが、図19の例は、支持部84が、風車のように円弧放射状に形成されていることが、図18で示された弁体の形状と異なり、多の部位の形状は同じである。
図20は、実施形態6の弁体80の他の変形例の平面図、図21は、図20の矢印方向から視認した弁体80の側面図が示されている。図20において、支持部84は、プロペラ状の羽根部86から構成されている。この羽根部86は、開閉部81と固定部83とを連結し、平面を視認した形状が扇型をしており、その断面形状は図21に示されている。
この弁体80は、固定部83が、弁座枠70の凹部75と固定部材90で断面方向の位置が規制され、羽根部86は、固定部材90及び弁座60に接触しない範囲に設定されている。
図21において、羽根部86は、断面形状が椀状に湾曲されており、弁座60の方向の面が後進面87、その反対側が前進面88とされるプロペラと考えることができる(図16,17、参照)。従って、前進面88へ圧力が掛かると強く弁座60に押しつけられ、流通孔61を閉塞し、後進面87に圧力が掛かかると、弁体80を弁座60から遠ざける方向に押し流通孔61を開放し、動作流体は、後進面87のなだらかな面に沿って円滑に流出される。
なお、図21では、羽根部86の後進面87が、開閉部81、固定部83の上面に突出されているが、開閉部81、固定部83から突出しないように形状を設定することもできる。
従って、実施形態6では、弁体80が固定されていなので、ダイアフラム150の伸縮に追従し易いという効果があり、また、弁体80が開放されたときに動作流体が流出する開放面積が大きくなるため流出量を多くすることができる。
また、弁体80は、弁座枠70に設けられた凹部75で平面方向の位置が規制されるとともに、固定部材90によって断面方向の動きの範囲が規制されるため、凹部75の直径、深さを適宜に設定することで、弁体80の移動量を適正に規制することができる。
弁体80がプロペラ状に形成されている場合(図20、図21、参照)、動作流体が流出されるときは、動作流体は、羽根部86の緩やかな曲面の後進面87に沿って抵抗が少ない状態で羽根部86の間からで流出することができ、また、前述したようなダイアフラム150で流通孔を閉じるときは、動作流体が緩やかな椀状の前進面88を押すことによって、流通孔61を閉じることが効率良く行うことができるので、ダイアフラムの小さな動きに追従して流通孔61の開閉を効率良く行うことができる。
なお、本実施形態6による弁体80は、金属板をプレス等で成形することができるが、合成樹脂等で射出成形すれば、羽根部86の形状をよりプロペラに近い形状に成形することができ、前進、後進の効率をより一層高めることができる。
次に、本発明の実施形態7について図22、図23を用いて説明する。
図22は、本実施形態7の逆止弁50の断面図、図22は、その弁体80の平面図が示されている。図22において、弁座60には、3個の動作流体の流通孔61が穿設されている。流通孔61の形状は、前述の実施形態と同様な断面形状で形成される。また、流通孔61は、平面視三角形をなすように配置される。ここで、弁体80の形状は詳しくは後述(図23、参照)するが、弁座枠70に設けられた突出部74内にそれぞれの流通孔61の位置に開閉部81の位置を合わせて固定されている。この固定構造も前述した実施形態1〜実施形態5に示した固定構造を採用することができる。
図23において、弁体80は、弁座60の流通孔61と同位置に設けられた開閉部81から支持部84が延出され、固定部83に連続されて構成されている。この支持部84は、流通孔61を開閉するために必要な弾性力が得られる範囲で長く設定されると共に、撓む際に、捩じれ等が発生しない形状に形成される。
なお、流通孔61は、図23では、平面視三角形に配置されているが、直線上に配置されてもよく、また、流通孔の数は限定されるものではない。
また、支持部84は、弁体80の中心から放射状に延出されてもよく、流通孔61の配置と、弁体80の大きさ、支持部84の弾性力から適宜選択して設定することができる。
従って、本実施形態7では、弁座60に複数の動作流体の流通孔61が設けられて、この流通孔61を開閉する弁体80の開閉部81がそれぞれに独立して設けられているため、逆止弁50は、構成部品数を増加することなく構成することができる。実施形態1で説明したようなダイアフラム型のポンプにおいて、ダイアフラム150の振幅が10μm程度の場合は、弁体80の開閉部81の動作範囲は20μm程度であるため、動作流体の流量を多くしたい場合は、流通孔61を多く設けることで、流量を増加させることができる。
また、複数の流通孔61を一つの開閉部81で開閉することもできるが、開閉部81のわずかな変形や寸法のばらつきで、各流通孔61を全て一様に開閉できないことが考えられ、流通孔に対して独立した開閉部81を設けることによって全ての流通孔61の開閉が確実に行われるという効果がある。
次に、本発明に係る実施形態8について図面に基づき説明する。
図24、図25には、本発明の実施形態8の逆止弁50が示されている。図24は、本実施形態8の逆止弁50の断面図、図25はその弁体80を矢印方向から視認した平面図である。図24、図25において、弁座60は弁座枠70に開設された貫通孔71に圧入されている。この弁座60の貫通孔71よりも直径が小さい突起軸92が設けられた弁座軸91が、動作流体の流入口側から弁座枠70に圧入されている。
この弁座軸91は、リング状の固定部93と中心にある突起軸92を3本の支持部94が連結されて形成されており(図25、参照)、突起軸92の高さは、弁座軸91が弁座枠70に圧入されたときに、弁座60の頂面の平面部66と同じになるように設定されている。弁座60と弁座軸91が組み合わされることで、弁座60には、リング状の動作流体の流通孔61が形成される。この流通孔61を弁体80で開閉するのである。
図25において、弁体80は、外周に固定部83、中心部に開閉部81、開閉部と固定部とを連続する支持部84から構成されており、開閉部81は、先述のリング状の流通孔61を覆う面積を有する。この際、開閉部81、または弁座軸91と開閉部81との接触面積は、流通孔61を確実に密閉できる範囲で小さい方がよく、例えば、開閉部81の中心部には穴をあけて、余分な接触を防止することが好ましい。
なお、弁体80の弁座枠70への固定は、前述した実施形態の各構造が採用できる。
また、図示しないが、弁座軸91の流通孔95の面積は、弁座60に形成される流通孔61の面積よりも大きくし、流通孔61に充分な動作流体が流入できるようにしている。このようにして一体にユニット化された逆止弁56は、ポンプ室119の開口部の内壁114内に圧入されている。
従って、前述した実施形態8では、流通孔61がリング状に開口しているので、動作流体の流量を増加することができる。
実施形態1で説明したようなアクチュエータとして圧電素子を用いたダイアフラム型のポンプ10のような場合(図1、参照)、ダイアフラムの振幅が小さいので、弁座60に大きな流通孔を設けるより、実施形態7のように小さな流通孔を複数設けるか、本実施形態8のように、リング状の流通孔を設けた方が流体抵抗を削減できポンプとしての効率を高めることができる。
この際、リング状の流通孔としては、弁座60に、弁座軸91のような分割されたリング状の流通孔を形成することができる。この場合は、弁座軸91は不要となる。しかし、弁座60が超硬合金やセラミックスなどの硬質材料が選択される場合は、本実施形態8で示した弁座軸91を用いれば、容易にリング状の流通孔61を形成することができる。
次に、本発明に係る実施形態9について図面に基づき説明する。
図26、図27には、本発明の実施形態9に係る弁体80が示されている。実施形態9は、実施形態1〜実施形態8に示された弁体80の開閉部81と流通孔61との接合関係の変形例を提案したものである。図26において、弁体80の開閉部81にドーム状の突起89が形成されている。この突起89は、弁座60の流通孔61の流出口63に密着して密閉する。
また、図27で示すように、この弁体80の開閉部81には、略円錐体状の突起89を設けることができる。ドーム型か、円錐体型かは、流通孔61の大きさや、得られる押圧力などの条件から選択自在である。
従って、実施形態9のような弁体形状では、弁体80は、開閉部81がドーム状や円錐体状である場合、流出口63との接触が線接触になり接触圧力が増し、動作流体の漏れをより防止し易いという効果がある。また、開閉部81を開放したときには、開閉部の突起89に連続する支持部84と弁座60との距離が平面で接触する場合に比べて大きくなり、動作流体の流出がし易くなるという効果もある。
なお、実施形態1〜実施形態9の中で、弁座枠70と弁体80の固定構造、弁体80の構造、弁座60の構造など、それぞれの最良の形態を示したが、それぞれは、ポンプ10のサイズ、狙いの性能などによって、最適な組み合わせを任意に選択することができる。
また、前述の実施形態7では、弁座60の複数の流通孔61に対応して、弁体80が複数の開閉部81を備えているが、流通孔61に対応した複数の弁体を備えることもできる。
さらに、前述の実施形態1〜9では、弁座60と弁座枠70と弁体80とが一体でユニット化されたが、弁座60に弁体80のサイズ、材質の選択によって、弁座60と弁体80を直接固定してユニット化することができる。
続いて、本発明の実施形態10について図面に基づき説明する。実施形態10は、前述した実施形態1〜9で示した逆止弁の弁体が板部材で形成されていることに対して球体のボールを採用していることに特徴を有し、ポンプ10の基本構成、駆動原理等は前述の実施形態と同じであるので説明を省略する。また、逆止弁の構成部材のうち、前述の実施形態と同じ機能部材には、同じ符号を附与している。
図28は、実施形態10に係る逆止弁50の断面形状を示す。図28において、逆止弁50は、弁座枠70、弁座60、ボール130、ボール支持部材160とから構成されている。
弁座60は、中心部に動作流体の流通孔61が穿設されたリング状の部材であり、流通孔61の動作流体の流入口62及び流出口63は、滑らかに丸められている。流入口側は動作流体の流入抵抗を減ずるため、流出口側は動作流体が流出するときの渦流を減ずるために丸められているのである。
流入口62は、略円弧形状の斜面69が設けられ、この部分は漏斗状に形成され、動作流体を円滑に流通孔61に導入する。
弁座60の流出側の外周面は面取りがなされ、弁座枠70への圧入を容易にしている。
なお、弁座60の材質としては、実施形態1と同様に超硬合金やセラミックス(Al2O3等)が採用される。この弁座60は、弁座枠70の孔71に圧入される。
弁座枠70は、弁座60が圧入される中心部の孔71が穿設されたリング状に形成され、孔71の動作流体の流入側は、弁座60の図中上面65の高さと略同じ位置から滑らかに丸められて上方が孔71よりも広く開口した斜面72に連続した形状で形成されている。
さらに、弁座枠70の筒部の断面方向においてボール130と略同じ位置には、弁座枠70の内側から外側に貫通する孔77が設けられている。この孔77は、逆止弁50内のボール130の状態を検収するために必要な大きさに設定されている。
また、斜面72とは反対側には、孔71の内周部に筒状の突出部74が内側に向かって形成されている。ボール支持部材160は、この突出部74上に配置されている。
このようにして、弁座枠70、弁座60、ボール130、ボール支持部材160はユニット化されて、ポンプ室体101の内壁114内に圧入されている。
ボール支持部材160は、詳しくは後述するが(図28、参照)、中央部に3本の爪部161が形成されており、この爪部161内にボール130が備えられている。ボール130は球体であり、弁座60の流出口63と爪部161の間を移動できる間隙を有しており、流出口63を密閉し、動作流体の流出を阻止し(図中、二点鎖線で示す)、流出口63を開放して動作流体を流動させる(図中、実線で示す)。
図29には、実施形態10のボール支持部材160の平面図が示されている。図29において、ボール支持部材160は、外周が前述の弁座枠70の孔71よりわずかに小さく、突出部74の内径よりも大きいリング状に形成されている(図28も参照)。ボール支持部材160の中央部には、略リング状のボール支持部162が設けられ、このボール支持部162の中央部には動作流体の流通孔163が穿設され、ボール支持部162と外周の外周支持部164とは、3本の支持部165で連結されている。ボール支持部162には、隣り合う支持部165の間から爪部161が放射状に突出され、断面上方に曲げ起こされている(図28、参照)。この爪部161は、ボール130の半球を支えるような形状に曲げ起こされており、ボール130は平面方向には大きく移動しない。
なお、爪部161は、動作流体の流出抵抗を減ずるために、図28で示すように、ボール130の中央よりも下側の範囲までの寸法とすることが好ましい。
従って、図28、図29において、流通孔61を密閉するとき、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163及び支持部165の間の開口部から流動される動作流体によって押し上げられ弁座60の流出口63を押圧する(図28において、二点鎖線で示す)。また、ボール支持部材160も動作流体によって押しあげられて、ボール130を流出口63に押圧する。流通孔61を開放するときは、ボール支持部材160が弁座枠70の突出部74で移動が規制される位置まで移動し、ボール130も爪部161の位置まで移動し、流通孔61を開放し、動作流体は、支持部165間の開口部及び流通孔163から流出される。
次に、図30を用いて実施形態10のボール支持部材160について変形例を説明する(図28、図29も参照)。
図30は、ボール支持部材160の断面を示す。図30において、ボール支持部材160は、外周支持部164の周縁部に弁座60に向かって突出された筒状の側面案内部166が形成されている。
この側面案内部166の外周直径は、弁座枠70の孔71の内周直径よりもわずかに小さく設定されており、孔71の壁に沿って弁座60の方向に移動することができる。なお、側面案内部166以外の爪部161等の形状は、図29で示したボール支持部材160と同じ形状に形成されている。
ボール支持部材160の材質は、特に限定されるものではないが、構造的な強度と、耐食性を考慮してステンレス鋼、軽量化を考慮してアルミニウム合金、合成樹脂等を採用することができる。アルミニウム合金を採用する際は、表面をアルマイト処理などの耐酸化処理を施すことが好ましく、また、合成樹脂等を採用する際は、射出成形が可能なため、爪部161と支持部165との位置関係は自在に選択できる。
続いて、本発明の実施形態10に係る弁座60について説明する。
図31は、実施形態10の弁座60の断面を示す。図31において、弁座60は、中心に動作流体の流通孔61が穿設されており、この流通孔61は、前述したように流入口62、流出口63が滑らかに丸められ、流入口62側は、漏斗状の円弧で連続した斜面69が設けられ、動作流体が流通孔61内に導入されやすい形状に形成されている。流出口63側は、ボール130の直径より大きな直径の円弧を有する窪み63Aが形成され、流通孔61からこの窪み63Aまでが滑らかに連続した形状で形成されている。
図31において、ボール130が、流通孔61を密閉した位置(130A)から開放した位置130Bまで移動したときに、弁座60の窪み63Aからボール130までの平均距離が、この窪み63Aが無い場合に比べ(図示しない)、ボール130が垂直方向の移動距離が同じであっても大きくなる。このことは、動作流体の流動断面積が大きくなると共に、流体抵抗が減少することになる。
続いて、実施形態10によるボール130について、図32を用いて説明する。
図32は、弁座60の開閉を行う実施形態10のボール130の断面図である。図32において、ボール130は、球体であって外殻131、中空部132で構成されている。このボール130は、鉄系合金、ステンレス合金、銅系合金、アルミニウム合金などの金属材料や、ガラス、セラミックス、合成樹脂等の非金属材料を採用することができる。ここでボール130の密度の平均値を小さくするために、中心部を中空にしている。このことにより、動作流体内において、ボール130の単位体積当たりの重量を、ボール130が押しのけた動作流体の単位体積当たりの重量と略同じにしている。
仮に、動作流体が比重1の水として、ボール130の材料を比重7.9の鉄系合金とすると、外殻131の厚みはボール130の半径の約4.5%となる。この外殻131の厚みは、動作流体の比重、ボール材料の比重によって算出される。従って、ボール130の材料が比重4のガラスの場合、外殻131の厚みは、ボール半径の約8.9%の厚みとすればよい。
また、比重1の合成樹脂等を採用すれば、ボール130は、中空部132を必要としない。さらに、比重が大きい動作流体の場合や、前述したポンプの駆動能力(圧力)が充分大きい場合においても中空部を必要としない。
従って、前述した実施形態10では、逆止弁50は、弁座60と弁座枠70とボール130とボール支持部材160との4部品で構成されているため、構成部品数が少なく、それぞれが簡素な形状であるため、製造が容易で、形状管理もし易く、低コストで製造することができる。また、逆止弁50がユニット化されているため、逆止弁50として単体で性能管理ができ、ポンプ10に組み込んだ際に、逆止弁50について、あらためて調整や検収をすることなく安定した逆止弁50の性能を得ることができる。その結果、安定した性能のポンプを提供することができる。また、逆止弁50として重要な機能部材であるボール130や、弁座60の流通孔61に触れることなく、ポンプ10に組み込むことができるため、組み立てる際に、傷をつけたり変形させることがなく、所定の性能を得ることができる。
また、弁座60がボール130で開閉されるため、開放されているときは、動作流体が、ボールの表面を流動するために流動抵抗が小さく、密閉されているときは、弁座60とボール130とは線接触となり、接触圧力が大きくなり、確実に密閉できるという効果がある。
また、ボール130を支持しているボール支持部材160が、図29、図30で示したような形状であるので、例えば、金属の板材をプレス等の加工手段で容易に形成することができる。また、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163から中央部を、さらに、支持部165の間の開口部から周辺部を動作流体によって押し上げられて弁座60を押圧し流通孔61を密閉するため、動作流体の圧力変化によって、ボール130が移動しやすく、弁座60の流通孔61の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
さらに、ボール130は、ボール支持部160に設けられた、3本の突出された爪部161によって支持され、この爪部161は、ボール130の直径よりも小さい範囲でボール130を支持しているので、動作流体の流動を妨げることが少ない状態でボール130を支持することができ、この爪部161でボール130の支持をより確実に行うことができる。
また、ボール130とボール支持部材160、ボール支持部材160と弁座枠70とは、それぞれ支持はされているが固定はされていない。従って、ボール130だけが移動して弁座60の流通孔61を開閉することも、ボール支持部材160でボール130を押し上げて流通孔61を密閉し、また、ボール130とボール支持部材160が一緒に移動して流通孔61を開放することができる。ボール130だけでなく、ボール支持部材160も移動できる構造であるために、例えば、ポンプ室の正の圧力をボール支持部材160が受け、ボール130を押圧することができるので、流通孔61の密閉力を高めることができる。
図30で示されたボール支持部材160では、外周支持部164の周縁に、筒状の側面案内部166が設けられているため、側面案内部166が無い場合に比べて、孔71の内壁に沿ってボール支持部材160が移動するので傾くことがなく、移動が円滑に行われ、流通孔61の開閉を確実に行うことができる。また、このような側面案内部166を設けても、逆止弁50のスペースを大きくする必要もない。
また、ボール130の密度の平均値と動作流体の密度とが略同じとされているために、ボール130は、動作流体中において、例えば、ポンプ10の駆動を停止している場合、浮遊状態またはそれに近い状態であるので、ポンプ10を駆動した場合に、動作流体のわずかな圧力変化で移動するため、ポンプ10のアクチュエータ301が圧電素子のような高い周波数で駆動されるような場合、その駆動に同期して移動し、弁座60の開閉を行うことができる。
また、実施形態10では、ボール130が、中空であるため、密度の平均値を減ずることができ、ボール130の外殻131の厚みをボール130の材料及び動作流体の材料によって調整することで、前述したように、ボール130の単位体積あたりの重量が、ボール130が押しのけた動作流体の単位体積当たりの重量と略同じに設定することができるため、前述したように、動作流体のわずかな圧力変化で移動できるので、本実施形態のポンプ10のような場合、アクチュエータの駆動に同期して移動し易いので弁座60の開閉を高速で、しかも確実に行うことができる。
さらに、弁座60の流通孔61が、動作流体が流通する流入口62と流出口63とが滑らかに略円弧で連続して形成され、流出口63の開口部外側が、ボール130の直径よりも大きな直径の円弧を有する窪み63Aが形成されているため、動作流体が、弁座60を流通する際の流体抵抗を減ずることができる。特に流出口63は、ボール130で開閉されるので、この流出口63の開口部外側がボールの直径より大きい円弧の窪み63Aで形成されている場合、ボール130がわずかに弁座60からはなれたときでも、動作流体が流出する開口断面積が広く確保できるため、動作流体の流出流量を多くすることができ、また、このことによって、ボール130が弁座60から離れることを促進する効果もある。
また、ボール130は、この窪み63Aに沿って流出口63まで移動して密閉するので、ボール130の平面方向位置がわずかにばらついて移動しても、この窪み63Aの表面に導かれ、より確実に流通孔61を密閉することができる。
続いて、本発明に係る実施形態11について図面に基づき説明する。実施形態11は、実施形態10とは、ボールの形態が異なることに特徴を有している。同じ機能部位には同じ符号を附して説明する。
図33は、本発明に係る実施形態11のボール130の断面を示す。このボール130は、実施形態10に記載の逆止弁50(図28、参照)に備えられるボール130の他の実施形態を示している。図33において、ボール130は、中空部132が設けられた球体であり、外殻131の表面に皮膜133が形成されている。皮膜としては、超硬合金、ニッケル、クロム等の金属やセラミックス等の硬質皮膜が採用でき、被膜成形手段としては、電気めっき法、化学めっき法などの湿式めっき法や、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの乾式めっき法が採用できるが、ボール130の材質に合わせて選択される。
また、皮膜としては、ゴム系の軟質材料も採用できる。
皮膜133の厚みは、前述したようにボール130の密度の平均値と動作流体の質量とが略同じにすることが好ましいので、ボール130の材質、外殻131の厚みに合わせて設定されるが、構造的強度を確保するために5μm以上に設定されることが好ましい。
また、この皮膜133は、一層で形成しても、他の材料と組み合わせて多層で形成することもできる。例えば、硬質皮膜の上層に軟質皮膜を被覆することもできる。
従って、実施形態11では、流通孔61を開閉するボール130は、外殻表面に皮膜133が形成されているので、製造のし易さからボール130の材質が限定されても、硬質皮膜を選択すれば、表面の硬度が高いために、長期間使用しても、磨耗したり、流通孔61の開閉の衝撃で傷がつくことが少ないという効果がある。
また、前述したようにボール130を中空にしても、この皮膜が形成されることでボール130の変形を防止することができる。
さらに、ゴム系の軟質皮膜を選択した場合、弁座50のシール性を高めることができる。
続いて、実施形態12について図34、図35を用いて説明する。実施形態12は、実施形態10(図28、参照)で示した逆止弁50に対して、ボールの支持構造が異なるため、この相違個所について詳しく説明する。同じ機能部材、部位には同じ符号を附与して説明する。
図34は、実施形態12に係る逆止弁50を示す断面図である。図34において、弁座60は、弁座枠70の孔71内に圧入され、弁座枠70に設けられた突出部74にボール支持部材160が装着され、弁座60とボール支持部材160の間にボール130が備えられてユニット化されている。この逆止弁50は、ポンプ室体101の開口部内壁114に圧入されている。
図35には、実施形態12に係るボール支持部材160の平面図が示されている。図35において、ボール支持部材160は外周支持部164とボール130を支持するボール支持部162と外周支持部164とボール支持部162を連結する3本の支持部165から構成されている。ボール支持部162の中央部には、動作流体が流通する流通孔163が穿設されている。ボール130は、ボール支持部162と弁座60の間を移動して、弁座60動作流体の流通孔61の開閉を行う。
図34において、弁座60を開放する際には、ボール130は、ボール支持部材160の流通孔163内に一部が挿入された状態で平面方向の位置が規制されている。ボール支持部材160は、弁座枠70の突出部74に当設する位置にある。この状態は、図中、実線で示されている。ボール130が流通孔61を密閉する際は、ボール130が弁座60の流出口63を押圧している。このときのボール130とボール支持部材160は、図中、二点鎖線で示されている。
ボール支持部材160と弁座60との距離は、ボール130が、弁座60を開閉するどの状態であっても流通孔163との係合が外れない距離に設定されており、ボール130が、流通孔163と流出口63との間から逸脱しないような関係である。
従って、実施形態12で示した逆止弁50は、実施形態10で示したボール支持部材160(図29,30、参照)の爪部161が無いため、金属の板材をプレス等の加工手段でより容易に形成することができる。また、ボール支持部材160に設けられた流通孔163は、爪部161がないので大きくすることができ、ボール130の動作流体が押し上げる面積が広くなるため、ボール130が移動しやすく、弁座の流通孔61の密閉を確実に行うことができるという効果がある。
また、ボール130が弁座60から離れて、弁座60が開放されているときは、ボール130が流通孔163に挿着された状態で位置が規制され、支持されているので、小さいスペースで、しかも簡素な形状でボールを適正位置に支持することができる。
続いて、本発明に係る実施形態13について図面に基づき説明する。
図36、図37は、それぞれ、実施形態13の逆止弁50の断面図とボール支持部材160の平面図が示されている。実施形態13は、実施形態12と比べ、ボール支持部材160にボール130を押圧する弾性部167を設けたものであり、他の構造は実施形態12と同じであるため、相違個所についてのみ説明する。図36,37において、ボール支持部材160には、中央の流通孔163内に舌状に突出した弾性部167が形成されている。他の形状は、実施形態12のボール支持部材160と同じである(図35、参照)。
図36において、ボール130は、ボール支持部材160の弾性部167の弾性力によって弁座60の流出口63に押圧されて弁座60を密閉している(図中、二点鎖線で示す)。この際、弾性部167のボール押圧力は、ボール130が流出口63に接触する程度でもよく、ボール130の弁座押圧力の大部分は動作流体の押し圧力である。この際、ボール支持部材160も動作流体によって押し上げられることが考えられるが、ボール支持部材160は、ボール130と流通孔163の内壁の角が接触する位置まで移動する。このとき、弾性部167は、逆止弁50の外側方向に撓められている。
また、ボール130は、弾性部167を押し下げ、弁座60から離れて流出口63を開放する。この弾性部167の弾性力は、流出口63を開放するときには、ポンプ室119の負圧でボールを開放できる程度の大きさに設定されている。
従って、前述した実施形態13によれば、ボール130は、弁座60の流出口63を開閉するが、ボール支持部160に弾性部167が設けられているので、この弾性力と動作流体の圧力を付加した押圧力でボール130を流出口63に押圧し、確実に密閉することができる。また、この弾性部167でボール130を常時、弁座60の流出口63に接触するようにしておけば、ポンプ10を停止している際に、動作流体が流出すること防止することができる。
続いて、本発明に係る実施形態14について図面に基づき説明する。
図38、図39は、本発明に係る実施形態14のボール支持部材180を示す平面図と断面図である。実施形態14では、前述した実施形態10〜実施形態13のボール支持部材160が板状の部材で有ることに対して、線材で形成されていることに特徴を有し、他の構造は実施形態12(図34、35参照)と同じであるため説明を省略する。図38、図39において、ボール支持部材180は、断面が円形または矩形の線材で形成され、中央部にはボール支持部182が巻回され、両端部は、ボール支持部182を中心に点対称に延出されて巻回された支持部185が形成されている。これら支持部185と、ボール支持部182の上面は、同じ高さとされる。また、ボール支持部182で形成された中心部は、動作流体の流通孔183で、実施形態12で説明したボール支持部材160の流通孔163(図35、参照)と略同じ大きさである。
このように形成されたボール支持部材180は、図示しないが、実施形態12で示したボール支持部材160(図34、参照)と同様に弁座枠70内に装着される。つまり、両端の支持部185が弁座枠70の突出部74に係合支持されて装着されている。
本実施形態のボール支持部材180は、ステンレス鋼やピアノ線等の構造的強度が大きい材料が採用される。また、一般に恒弾性材料と呼ばれる時計のひげぜんまい等に使用されるSPRON材(SPRONは、セイコーインスツールメント株式会社の商標。主成分が、Co、Ni、Crの合金)を採用すれば、より細い線材を使用したボール支持部材180が得られる。
従って、実施形態14によれば、前述した実施形態12と同様な効果が得られる他、ボール支持部材180が細い線材で形成されているため、特に、動作流体が弁座60から流出する際に、動作流体の流体抵抗を大幅に減ずることができる。また、このボール支持部材180が、断面円形の線材で形成される場合、流体抵抗を一層減ずることができる。
このボール支持部材180は、ワイヤーフォーミング等の手段で容易に製造することができ、大型の設備も不要であるのでコスト低減にも効果がある。
さらに、本発明に係る実施形態15について図面に基づき説明する。
図40は、実施形態15の逆止弁を示す断面図である。実施形態15は、ボール支持部材160を弁座枠70に固着したことに特徴を有し、ボール130及び弁座60は実施形態10〜実施形態14で示した構造と同じである。図40において、ボール支持部材160は、実施形態10で示したボール支持部材160(図29に示す)と同じ形状であり、外周支持部164の外径が弁座枠70の弁座装着孔71の内径よりも大きく形成されている。
弁座枠70の動作流体の流出側端部には、ボール支持部材160の位置を規制するためのリング状の突出部74が設けられ、この突出部74内側にボール支持部材160が装着され、弁座枠70とボール支持部材160とが、溶接、接着、等の固着手段で固着されてい。
従って、前述した実施形態15によれば、ボール130は、単独で流通孔61を開閉するが、ボール支持部材160が弁座枠70に固着されており、且つ、ボール130は、ボール支持部材160の爪部161で平面方向の位置が規制されているので、弁座の流通孔に対するボールの位置をより正確に規制することができる。
また、ボール130だけが移動する構造であるため、ボール支持部材160が移動する構造に比べ、より簡素な構造の逆止弁を提供することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前述の実施形態10〜13では、逆止弁50は、弁座60と弁座枠70とボール130とボール支持部材160とがユニット化されてポンプ室体101に組み込まれていたが、弁座枠70を用いずに直接弁座60、ボール130、ボール支持部材160を組み込むことができる。
図41に弁座枠70を用いない逆止弁50の断面図を示す。ポンプ室体101は、開口部113からポンプ室119に流通する孔が設けられ(図1も参照)、この孔の内壁114の内側にリング状に突出部102が形成され、この突出部102に、前述した図29または図30で示されたボール支持部材160の外周支持部164が支持されている。ボール支持部材160の爪部161の内側にボール130が載置され、弁座60が、前述のポンプ室101の内壁114に圧入されて逆止弁50が構成されている。
このような構造では、前述の実施形態のような逆止弁50がユニット化されていることの効果は得られないものの、弁座60の開閉については、前述の実施形態と同様な効果が得られる。また、構造は、より簡単にすることができる。
また、実施形態15のようなボール支持部材160と弁座枠70を固着する構造に(図40、参照)、実施形態12で示したボール支持部材160(図35、参照)や実施形態13で示したボール支持部材160(図37、参照)を採用することができる。
さらに、前述の実施形態10〜13では、ボール130とボール支持部材160は分離していたが、例えば、実施形態12で示したボール130とボール支持部材160とを接着等の手段で一体に固定し、ボール130とボール支持部材160とが一緒に移動して弁座60の開閉を行うこともできる。
なお、前述の実施形態11では、ボール130は中空の球体としたが、例えば、スチロール系の多孔質の合成樹脂や多孔質セラミックス等の多孔質材料も採用することができる。多孔質材料を採用する場合は、表面に水密性の皮膜を形成する。
このような多孔質材料では、ボール130の軽量化がはかられ、必ずしも中空にしなくてもよいという効果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の弁座枠と、該弁座枠内に固着されて動作流体が流通する流通孔を有する弁座と、
前記弁座の動作流体の流出側にあって前記弁座を開閉する弁体と、を備え、
前記弁座枠と前記弁座と前記弁体とが一体にユニット化されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
請求の範囲1に記載の逆止弁において、
前記弁座が、前記弁座枠及び前記弁体よりも硬度が高い材料で形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項3】
請求の範囲1または請求の範囲2に記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と前記弁座の流通孔の開閉部とから構成されると共に、前記弁座の動作流体が流出する側に備えられ、前記固定部が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項4】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体の流出側端面と前記弁座枠端面とが略同じ高さに設けられ、
前記固定部が前記弁座枠の頂面に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項5】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と、前記弁座の流通孔の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する支持部と、から構成され、
前記弁体が前記弁座枠の周縁に設けられた筒状の突出部の内部に装着され、
前記固定部が前記突出部を変形させることによって固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項6】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、前記弁座枠の周縁部に設けられた突出部の内部に装着され、リング状の固定部材が前記弁座枠の突出部内に圧入されることによって、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項7】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体の固定部の周縁に筒状の突出部が設けられ、該突出部が、前記弁座枠の突出部内に装着され、リング状の固定部材が前記弁体の突出部内に圧入されることによって、前記弁体が、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項8】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁おいて、
前記弁体の固定部の周縁に設けられた筒状の突出部が、前記弁座と前記弁座枠との径方向間隙に圧入されて狭着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項9】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が前記弁座枠に設けられた凹部の内部において厚み方向に移動可能に装着され、
前記弁座枠の凹部周縁に、前記弁体が前記流通孔を開閉可能に支持するリング状の固定部材が備えられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項10】
請求の範囲1ないし請求の範囲3または請求の範囲9のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と、略中央部の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する複数の羽根部と、から構成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項11】
請求の範囲1ないし請求の範囲10のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座に複数の流通孔が設けられ、
前記流通孔に対応した数量の前記弁体の開閉部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項12】
請求の範囲1ないし請求の範囲10のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体の流通孔が、長円状に開口されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項13】
請求の範囲1ないし請求の範囲12のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の流通孔の動作流体の流入口および流出口が、動作流体の流体抵抗を減ずるように滑らかに丸められて形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項14】
請求の範囲1ないし請求の範囲13のいずれかに記載の逆止弁において、
前記流通孔の動作流体の流入口及び流出口の間が、連続した略円弧で滑らかに形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項15】
請求の範囲1ないし請求の範囲14のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体が流入する側の面が、前記流入口に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項16】
請求の範囲1ないし請求の範囲15のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体の前記流通孔の流出口周縁に密接する面が、ドーム状または円錐体状に形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項17】
請求の範囲1に記載の逆止弁において、
前記弁座を開閉する弁体がボールであって、
該ボールを支持し、動作流体の流通孔が設けられたボール支持部材と、をさらに備え、
前記弁座枠と前記弁座と前記ボールと前記ボール支持部材とがユニット化されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項18】
請求の範囲1または請求の範囲17に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材が、周縁の支持部と略中央に動作流体が流通する流通孔と前記ボールを支持するボール支持部と前記支持部と前記ボール支持部を連結する腕状の連結部と、
から構成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項19】
請求の範囲17または請求の範囲18に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部に、前記ボールを支持する爪部が突出されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項20】
請求の範囲17ないし請求の範囲19のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座を開閉する際に、前記ボールと前記ボール支持部材とが同時、または別に移動することによって前記弁座の開閉を行うことを特徴とする逆止弁。
【請求項21】
請求の範囲17ないし請求の範囲20のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材のボール支持部に、前記ボールを前記弁座に押圧する弾性部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項22】
請求の範囲17ないし請求の範囲21のいずれかに記載の逆止弁
において、
前記ボール支持部材の外周支持部の周縁に、前記弁座枠に設けられた孔の内面に沿って筒状の側面案内部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項23】
請求の範囲17ないし請求の範囲22のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールの密度の平均値と動作流体の密度とが略同じであることを特徴とする逆止弁。
【請求項24】
請求の範囲17ないし請求の範囲23のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールが、中空であることを特徴とする逆止弁。
【請求項25】
請求の範囲17ないし請求の範囲24のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールの表面に皮膜が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項26】
請求の範囲17ないし請求の範囲25のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の流通孔外側が、動作流体が流通する流入口と流出口が滑らかに略円弧で連続して形成され、
前記流出口の開口部が、前記ボールの直径よりも大きな直径の円弧で形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項27】
請求の範囲17に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項28】
請求の範囲17ないし請求の範囲27のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座枠の前記弁座と前記ボール支持部材の間の側面に、内側から外側に貫通する孔が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項29】
ピストンまたはダイアフラムにより、容積が変更可能なポンプ室と、
該ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、
前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路と、を備え、
前記ダイアフラムを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを支持する筐体と、をさらに備え、
前記入口流路と前記ポンプ室の間に、請求の範囲1ないし請求の範囲28のいずれかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とするポンプ。
【請求項1】
筒状の弁座枠と、該弁座枠内に固着されて動作流体が流通する流通孔を有する弁座と、
前記弁座の動作流体の流出側にあって前記弁座を開閉する弁体と、を備え、
前記弁座枠と前記弁座と前記弁体とが一体にユニット化されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
請求の範囲1に記載の逆止弁において、
前記弁座が、前記弁座枠及び前記弁体よりも硬度が高い材料で形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項3】
請求の範囲1または請求の範囲2に記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と前記弁座の流通孔の開閉部とから構成されると共に、前記弁座の動作流体が流出する側に備えられ、前記固定部が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項4】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体の流出側端面と前記弁座枠端面とが略同じ高さに設けられ、
前記固定部が前記弁座枠の頂面に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項5】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と、前記弁座の流通孔の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する支持部と、から構成され、
前記弁体が前記弁座枠の周縁に設けられた筒状の突出部の内部に装着され、
前記固定部が前記突出部を変形させることによって固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項6】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、前記弁座枠の周縁部に設けられた突出部の内部に装着され、リング状の固定部材が前記弁座枠の突出部内に圧入されることによって、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項7】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体の固定部の周縁に筒状の突出部が設けられ、該突出部が、前記弁座枠の突出部内に装着され、リング状の固定部材が前記弁体の突出部内に圧入されることによって、前記弁体が、前記弁座枠と前記固定部材との間に挟着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項8】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁おいて、
前記弁体の固定部の周縁に設けられた筒状の突出部が、前記弁座と前記弁座枠との径方向間隙に圧入されて狭着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項9】
請求の範囲1ないし請求の範囲3のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が前記弁座枠に設けられた凹部の内部において厚み方向に移動可能に装着され、
前記弁座枠の凹部周縁に、前記弁体が前記流通孔を開閉可能に支持するリング状の固定部材が備えられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項10】
請求の範囲1ないし請求の範囲3または請求の範囲9のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体が、周縁の固定部と、略中央部の開閉部と、該開閉部と前記固定部とを連続する複数の羽根部と、から構成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項11】
請求の範囲1ないし請求の範囲10のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座に複数の流通孔が設けられ、
前記流通孔に対応した数量の前記弁体の開閉部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項12】
請求の範囲1ないし請求の範囲10のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体の流通孔が、長円状に開口されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項13】
請求の範囲1ないし請求の範囲12のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の流通孔の動作流体の流入口および流出口が、動作流体の流体抵抗を減ずるように滑らかに丸められて形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項14】
請求の範囲1ないし請求の範囲13のいずれかに記載の逆止弁において、
前記流通孔の動作流体の流入口及び流出口の間が、連続した略円弧で滑らかに形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項15】
請求の範囲1ないし請求の範囲14のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の動作流体が流入する側の面が、前記流入口に連続した斜面または略円弧で漏斗状に形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項16】
請求の範囲1ないし請求の範囲15のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁体の前記流通孔の流出口周縁に密接する面が、ドーム状または円錐体状に形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項17】
請求の範囲1に記載の逆止弁において、
前記弁座を開閉する弁体がボールであって、
該ボールを支持し、動作流体の流通孔が設けられたボール支持部材と、をさらに備え、
前記弁座枠と前記弁座と前記ボールと前記ボール支持部材とがユニット化されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項18】
請求の範囲1または請求の範囲17に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材が、周縁の支持部と略中央に動作流体が流通する流通孔と前記ボールを支持するボール支持部と前記支持部と前記ボール支持部を連結する腕状の連結部と、
から構成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項19】
請求の範囲17または請求の範囲18に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部に、前記ボールを支持する爪部が突出されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項20】
請求の範囲17ないし請求の範囲19のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座を開閉する際に、前記ボールと前記ボール支持部材とが同時、または別に移動することによって前記弁座の開閉を行うことを特徴とする逆止弁。
【請求項21】
請求の範囲17ないし請求の範囲20のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材のボール支持部に、前記ボールを前記弁座に押圧する弾性部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項22】
請求の範囲17ないし請求の範囲21のいずれかに記載の逆止弁
において、
前記ボール支持部材の外周支持部の周縁に、前記弁座枠に設けられた孔の内面に沿って筒状の側面案内部が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項23】
請求の範囲17ないし請求の範囲22のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールの密度の平均値と動作流体の密度とが略同じであることを特徴とする逆止弁。
【請求項24】
請求の範囲17ないし請求の範囲23のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールが、中空であることを特徴とする逆止弁。
【請求項25】
請求の範囲17ないし請求の範囲24のいずれかに記載の逆止弁において、
前記ボールの表面に皮膜が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項26】
請求の範囲17ないし請求の範囲25のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座の流通孔外側が、動作流体が流通する流入口と流出口が滑らかに略円弧で連続して形成され、
前記流出口の開口部が、前記ボールの直径よりも大きな直径の円弧で形成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項27】
請求の範囲17に記載の逆止弁において、
前記ボール支持部材が前記弁座枠に固着されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項28】
請求の範囲17ないし請求の範囲27のいずれかに記載の逆止弁において、
前記弁座枠の前記弁座と前記ボール支持部材の間の側面に、内側から外側に貫通する孔が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項29】
ピストンまたはダイアフラムにより、容積が変更可能なポンプ室と、
該ポンプ室へ動作流体を流入させる入口流路と、
前記ポンプ室から動作流体を流出させる出口流路と、を備え、
前記ダイアフラムを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを支持する筐体と、をさらに備え、
前記入口流路と前記ポンプ室の間に、請求の範囲1ないし請求の範囲28のいずれかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とするポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【国際公開番号】WO2005/038321
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514897(P2005−514897)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015971
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/015971
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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