説明

逆止弁

本発明は、逆止弁(10)であって、傘状の閉鎖体(14)を有した弁ダイヤフラム(12)が設けられており、前記閉鎖体(14)は閉鎖位置では、弁体(16;36)に設けられた貫通孔を通る媒体貫流を阻止するようにケーシング体(5)に当接しており、前記閉鎖体(14)は開放位置では、前記貫通孔を通る媒体貫流を可能にするためにケーシング体(5)から持ち上げられる形式のものに関する。本発明は、前記閉鎖体(14)が開放位置及び/又は閉鎖位置で、少なくとも1つの個所で、弁体(16;36)とケーシング体(5)との間に挟み込まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁であって、傘状の閉鎖体を有した弁ダイヤフラムが設けられており、前記閉鎖体は閉鎖位置では、弁体に設けられた貫通孔を通る媒体貫流を阻止するようにケーシング体に当接しており、前記閉鎖体は開放位置では、前記貫通孔を通る媒体貫流を可能にするためにケーシング体から持ち上げられる形式のものに関する。さらに本発明は、このような形式の逆止弁を有したポンプ管片に関する。さらに本発明は、このような形式のポンプ管片を備えた、特に自動車のブレーキブースタ内に負圧を形成するための真空ポンプに関する。
【0002】
本発明の課題は、逆止弁であって、傘状の閉鎖体を有した弁ダイヤフラムが設けられており、前記閉鎖体は閉鎖位置では、弁体に設けられた貫通孔を通る媒体貫流を阻止するようにケーシング体に当接しており、前記閉鎖体は開放位置では、前記貫通孔を通る媒体貫流を可能にするためにケーシング体から持ち上げられる形式のものにおいて、逆止弁の運転中における不都合なノイズ発生に関して改善することである。
【0003】
この課題は、逆止弁であって、傘状の閉鎖体を有した弁ダイヤフラムが設けられており、前記閉鎖体は閉鎖位置では、弁体に設けられた貫通孔を通る媒体貫流を阻止するようにケーシング体に当接しており、前記閉鎖体は開放位置では、前記貫通孔を通る媒体貫流を可能にするためにケーシング体から持ち上げられる形式のものにおいて、前記閉鎖体が開放位置及び/又は閉鎖位置で、少なくとも1つの個所で、弁体とケーシング体との間に挟み込まれていることにより解決された。閉鎖体を弁体に規定したように位置固定することにより、弁ダイヤフラムの運動自由度は所望のように制限される。これにより、逆止弁の運転中に弁ダイヤフラムによって引き起こされる不都合なノイズ発生は著しく減じられ、又は完全に解消される。閉鎖体を規定したように挟み込むことにより、閉鎖体の振動振幅を減衰することができる。
【0004】
逆止弁の有利な構成では、前記閉鎖体が開放位置及び/又は閉鎖位置で、閉鎖体が開放状態で、周方向で扁平ではない形状を有するように、弁体とケーシング体との間に挟み込まれている。周方向で扁平ではない形状により、閉鎖体によって引き起こされるノイズ周波数がずらされる。さらに、弁ダイヤフラムの音圧レベルを、周方向で扁平ではない形状によって減じることができる。挟み込みにより、閉鎖体は開放時に、挟み込まないものとは異なる変形をする。閉鎖体は特に、周方向で不均一に変形する。
【0005】
逆止弁の別の有利な実施例では、前記閉鎖体が開放位置及び/又は閉鎖位置で、閉鎖体の振動振幅が開放状態で特に局所的に減じられるように、弁体とケーシング体との間に挟み込まれている。これにより生じるノイズ低減は、音圧レベルの低減、振幅の低減、不都合なノイズの周波数のずれという形で顕著に現れる。ノイズとは有利には管路ノイズである。
【0006】
逆止弁のさらに有利な実施例では、弁体に少なくとも1つのクランプ突起が設けられており、該クランプ突起には前記閉鎖体のためのクランプ面が形成されていて、該クランプ面には閉鎖体が開放位置及び閉鎖位置で接触している。クランプ突起はほぼまっすぐな円筒の形状を有しており、その自由端部には、クランプ面を成す面取部を有している。選択的又は付加的に、このクランプ突起又は別のクランプ突起を閉鎖体自体に形成することができる。有利にはこの閉鎖体は、開放位置及び閉鎖位置で、ケーシング体と弁体との間に挟み込まれている。
【0007】
逆止弁の別の有利な実施例では、クランプ突起が弁体と一体的に結合されている。有利には複数のクランプ突起が弁体に直径上に配置されている。
【0008】
逆止弁の別の有利な実施例では、弁体がクランプ突起と共に、プラスチック製の射出成形品として形成されている。弁体は有利には、閉鎖体と共に、真空ポンプのポンプ管片に組み込まれている。
【0009】
逆止弁のさらに有利な実施例では、弁体がクランプ突起の半径方向外側で長孔を有している。この長孔により、閉鎖体の開放位置で、媒体の貫流が可能になる。有利には複数の長孔が、弁体の周囲にわたって特に均一に分配されている。しかしながら各長孔にクランプ突起が配属されているわけではない。
【0010】
逆止弁の別の有利な実施例では、前記長孔が円弧状の形状を有している。クランプ突起は有利には周方向で見て、所属の長孔の円弧の真ん中に配置されている。
【0011】
本発明はさらに、上記の逆止弁を備えたポンプ管片に関する。弁体は有利には、閉鎖体と共にポンプ管片に組み付けられる。組み付けを簡単にするために、弁体はクリップ式の結合によりポンプ管片に組み付けられ、これにより閉鎖体は、ポンプ管片への弁体のクリップ式挿入の際に、弁体とケーシング体との間に挟み込まれる。
【0012】
本発明はさらに、上記のポンプ管片を備えた、特に自動車のブレーキブースタ内に負圧を形成するための真空ポンプに関する。ポンプ管片はケーシング体によって、真空ポンプに設けられた相応の収容部内に組み込まれ、有利にはクリップ式に挿入される。ポンプ管片のケーシング体は、真空ポンプの相応の収容開口に、ねじ込まれる又はプレス嵌めされることもできる。
【0013】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下に図面につき説明した実施例において詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による逆止弁を備えたポンプ管片を示す分解図である。
【図2】図1の逆止弁の弁体を示す正面図である。
【図3】図2の弁体を示す側面図である。
【図4】第2実施例による弁体を示す、図2と同様の正面図である。
【図5】図4の弁体を示す側面図である。
【図6】図1のポンプ管片を示す縦断面図である。
【0015】
図1及び図6にはポンプ管片1が異なる視点で示されている。このポンプ管片1は、例えばベーンポンプとして形成されている真空ポンプに所属のものである。自動車のブレーキブースタ内に真空若しくは負圧を形成するために、真空ポンプによってこのポンプ管片1を介してブレーキブースタから空気が吸い込まれる。従って真空ポンプは負圧ポンプとも言われる。ポンプ管片1は吸込管片とも言われる。
【0016】
ポンプ管片1は、ケーシング体5と一体に結合されている管状の接続管片4を有している。ケーシング体5は、ポンプ管片1を真空ポンプに設けられた相応の開口に固定するために働く。このためにケーシング体5には有利には複数のスナップフック8が設けられており、これらのスナップフック8は、ケーシング体5を備えたポンプ管片1を、真空ポンプのケーシング開口にクリップ式に挿入するために用いられる。ケーシング体5と真空ポンプに設けられたケーシング開口との間をシールするために、ケーシング体5に設けられたリング溝内に収容されているOリング9が働いている。
【0017】
真空ポンプによって吸い込まれた空気は、ポンプ管片1の接続体4を通って、逆止弁10を介して真空ポンプの内部に到る。逆止弁10は、吸い込まれた空気が接続体4を通って再びブレーキブースタ内に戻ってしまうことを防止している。逆止弁10は、閉鎖体14を成す弁ダイヤフラム12を有している。閉鎖体14は、弁カバー18として構成されている弁体16と協働する。
【0018】
図2及び図3には、弁体16が単独で2つの異なる視点から示されている。弁体16は、内側リング体21と外側リング体22とを有した弁カバー18を有している。両リング体21,22は、半径方向で延びるウェブ25を介して互いに一体的に結合されている。周方向で複数のウェブ25の間かつ半径方向で両リング体21,22の間に4つの円弧状の長孔26,27,28,29が設けられている。長孔26,27,28,29により、作業媒体、特に、ポンプ管片1を通って真空ポンプ内に吸い込まれる空気の貫流が可能になる。
【0019】
図6には逆止弁10が組み込まれた状態で示されている。閉鎖体14は図示の閉鎖位置では、その形状及び/又は弁体16によってケーシング体5に向かってプレロードをかけられていて、接続体4を通ってブレーキブースタへと媒体が不都合に貫流することが防止されている。閉鎖体14がケーシング体5から持ち上がり、開放位置をとると、接続体4と真空ポンプとの間の接続が開放されて、ブレーキブースタから真空ポンプへ、空気をさらに吸い込むことができるようになる。
【0020】
本発明の範囲では、閉鎖体14を成す、有利には弾性的なプラスチック材料から形成された弁ダイヤフラム12は、開放位置で空気を吸い込む際に振動させられ、この振動は、所定の振動振幅では不都合な騒音発生につながる。このように生じるブレーキブースタ内での共鳴ノイズの発生は特に煩わしいものであり得る。
【0021】
弁ダイヤフラム12の振動振幅を減衰するために、弁カバー18には少なくとも1つのクランプ突起31,32が設けられている。クランプ突起31,32は、閉鎖体14をその開放位置及び閉鎖位置で弁体16とケーシング体5との間に挟み込むために働く。弁ダイヤフラム12をこのように挟み込むことにより、煩わしいノイズ周波数はずらされ、付随する音圧レベルは減じられる。
【0022】
図2には、長孔26の半径方向内側で、内側リング体21に1つのクランプ突起31が形成されていることが示されている。このクランプ突起31は、ほぼまっすぐな円筒の形状を有しており、弁カバー18の内側リング体21に一体的に結合されている。クランプ突起31の自由端部にはクランプ面33が形成されていて、このクランプ面33には閉鎖体14が開放位置及び閉鎖位置で当接する。
【0023】
図4及び図5には、直径上に配置された2つのクランプ突起31,32を有した弁体36が示されている。クランプ突起31は、上述した実施例と同様に、長孔26の半径方向内側かつ、長孔26に対してほぼ真ん中に配置されている。同様に、クランプ突起32は、長孔28の半径方向内側、かつ周方向で見て長孔28のほぼ真ん中に配置されている。クランプ突起31若しくは両クランプ突起31,32により、弁ダイヤフラム12は閉鎖位置及び開放位置で、弁カバー18とケーシング体5との間に挟み込まれる。
【0024】
弁ダイヤフラム12は挟み込みにより、1つの若しくは2つの個所で位置固定され、これにより弁ダイヤフラム12の運動の自由度は制限される。この場合、クランプ突起31若しくはクランプ突起31,32は、弁ダイヤフラム12が開放時に、周方向で扁平ではない形状又はフォームをとるように配置されている。この場合、弁ダイヤフラム12の振動振幅は位置固定の領域で特に局所的に減少される。
【符号の説明】
【0025】
1 ポンプ管片、 4 接続体、 5 ケーシング体、 8 スナップフック、 9 Oリング、 10 逆止弁、 12 弁ダイヤフラム、 14 閉鎖体、 16 弁体、 18 弁カバー、 21 内側リング体、 22 外側リング体、 25 ウェブ、 26,27,28,29 長孔、 31,32 クランプ突起、 33 クランプ面、 36 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁であって、傘状の閉鎖体(14)を有した弁ダイヤフラム(12)が設けられており、前記閉鎖体(14)は閉鎖位置では、弁体(16;36)に設けられた貫通孔を通る媒体貫流を阻止するようにケーシング体(5)に当接しており、前記閉鎖体(14)は開放位置では、前記貫通孔を通る媒体貫流を可能にするためにケーシング体(5)から持ち上げられる形式のものにおいて、
前記閉鎖体(14)が開放位置及び/又は閉鎖位置で、少なくとも1つの個所で、弁体(16;36)とケーシング体(5)との間に挟み込まれていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記閉鎖体(14)が開放位置及び/又は閉鎖位置で、閉鎖体(14)が開放状態で、周方向で扁平ではない形状を有するように、弁体(16,36)とケーシング体(5)との間に挟み込まれている、請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
前記閉鎖体(14)が開放位置及び/又は閉鎖位置で、閉鎖体(14)の振動振幅が開放状態で特に局所的に減じられるように、弁体(16;36)とケーシング体(5)との間に挟み込まれている、請求項1又は2記載の逆止弁。
【請求項4】
弁体(16;36)に少なくとも1つのクランプ突起(31,32)が設けられており、該クランプ突起には前記閉鎖体(14)のためのクランプ面(33)が形成されていて、該クランプ面(33)には閉鎖体(14)が開放位置及び閉鎖位置で接触している、請求項1から3までのいずれか1項記載の逆止弁。
【請求項5】
クランプ突起(31,32)が弁体(16;36)と一体的に結合されている、請求項4記載の逆止弁。
【請求項6】
弁体(16;36)がクランプ突起(31,32)と共に、プラスチック製の射出成形品として形成されている、請求項4又は5記載の逆止弁。
【請求項7】
弁体(16;36)がクランプ突起(31,32)の半径方向外側で長孔(26,28)を有している、請求項4又は6記載の逆止弁。
【請求項8】
前記長孔(26,28)が円弧状の形状を有している、請求項7記載の逆止弁。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の逆止弁(10)を備えたポンプ管片(1)。
【請求項10】
請求項9記載のポンプ管片(1)を備えた、特に自動車のブレーキブースタ内に負圧を形成するための真空ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−513763(P2013−513763A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542357(P2012−542357)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001374
【国際公開番号】WO2011/069477
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508140822)イグゼティック ヒュッケスヴァーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】ixetic Hueckeswagen GmbH
【住所又は居所原語表記】Georg−Schaeffler−Strasse 1, D−42499 Hueckeswagen, Germany
【Fターム(参考)】