説明

透過する放射線を用いて計測対象の三次元画像を生成するための方法および計測装置

透過する放射線を使った計測対象の三次元画像の生成方法であって、特に多数の二次元投影画像を考慮した逆投影による方法において、計測対象は、計測装置の計測スペースにおいて透過する放射線により貫通され、その際透過する放射線は計測装置の放射源から発し、計測対象の投影画像の最初のセットが、計測装置の検出装置によって撮影され、その際投影画像は、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に様々な計測対象の向きで撮影され、投影画像の最初のセットから、計測対象の最初の三次元画像が再構築され、最初の三次元画像は評価され、場合によっては評価の結果によって、計測対象の位置および/または向きが、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に変更され、および/または評価の結果により計測装置の運転方法が、あとに続く計測対象の投影画像の撮影のために調節され、最初の三次元画像の評価の後に、計測対象の投影画像の第二のセットが計測装置の検出装置により撮影される方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過する放射線を用いて計測対象の三次元画像を生成するための方法および計測装置に関する。特に、三次元画像は、計測対象の複数の二次元投影画像を考慮して逆投影により再構築されることができる。本発明は、特にワークピース、材料、および/または工業的に製造された物体の調査、例えば物体の、量産製造の際の品質管理のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
透過する放射線をワークピースの調査のために使用することは公知である。コンピュータトモグラフィー(CT)では、ワークピースは例えば普通はターンテーブルの上に置かれ、ターンテーブルの回転によりさまざまな回転位置においてさまざまな向きでレントゲン放射線(Rontgenstrahlung)を照射される。しかしながら、調査装置の他の形状も可能であり、知られている。ワークピースの材料内で吸収され弱まった放射線は、位置および時間的に解像されセンサー装置により検出される。複数ある公知のトモグラフィー再構築の方法のうち一を使用することにより、例えばフィルターを通した逆投影を使用することにより、そこからワークピースの三次元(3D)画像が計算される。3D画像は、個々の小さな体積体領域(Voxel、ボクセル)のために、場所に関する線形吸収係数を提供する。CTの一つの例は、特許文献1に記載されている。
【0003】
3D画像は、引き続いて、例えば定性的または定量的な計測対象の性質調査に使用される。工業上の使用の際、そのようにして、例えば部品の全体を破壊せずに検査することができる、または例えば目減りによる空洞のテスト(auf Lunker)のような定性的テストを行うことができる。
【0004】
微小焦点体積体コンピュータトモグラフィー装置の構成要素は、特に、微小焦点レントゲンチューブとレントゲン放射線のための平面型検出器(Flachendetektor)である。レントゲンチューブ内には、非常に小さなレントゲン照射源の焦点(Brennfleck)直径が実現されている(典型的な場合直径5-100μm)。レントゲン照射源は、エネルギー範囲として約十から数百キロ電子ボルトのポリエネルゲティック(polyenergetisch)なレントゲン放射線を発生する。放射線は対象を貫通し、同時に弱められ(吸収により、あるいはまた別の方法により、例:散乱)、そして対象のレントゲン画像を検出装置上に発生させる。検出装置は通常、レントゲン放射線を可視放射線に変換するシンチレータと、可視放射線の、位置的に解像する二次元的計測のための平面上に広がるフォトダイオードアレイとを有している。そのようなCT装置の他の構成要素は、計測対象の正確な位置および向きのための位置調整装置、レントゲン照射源、および/または検出器である。位置調整装置は信号を発し、この信号により照射源、対象、および検出器の相対的位置が常時互いに十分な正確性でもって知られ、および/または算出され、そして正確な再構築が保証される。
【0005】
微小焦点CT計測装置の平面型検出器でもって撮影された投影画像は、特に計測対象の中央投影画像に相当する、なぜなら放射線円錐の形の透過する放射線は、近似的に点状の放射源から発し、対象を、発散し直行する放射線の束として貫通するからである。後に計測対象の再構築を行うことができるように、計測対象は、個々の投影画像の撮影の間、小さな角度ステップで回転軸の周りを回転され、各回転角度ごとに一の投影が撮影される。典型的には、一の対象につき600から1200の投影が撮影され、この投影が、等間隔ステップで0から360°の角度区間をカバーする。コンピュータトモグラフィーに組み込まれたハードウェア(特にレントゲン照射源、ターンテーブル、検出器)はそれゆえ、最初のステップにおいて、調査対象の多数の中央投影画像を、いろいろな投影向きで生成するのに使用される。後続する対象再構築のステップは、通例ソフトウェア上で行われる。
【0006】
上述した円錐形放射線(英語ではコーンビーム(cone beam))形状ためには、通常、いわゆる逆投影を行う、特に、フェルドカンプ(Feldkamp)によって1984年に開発されたアルゴリズムが使用される。投影は、まずハイパスフィルターを通されそして逆投影される、つまり投影の一ピクセルは、そのピクセルに属する直行する可視放射線に沿った体積体を通ったすべてのボクセルに影響する。各ボクセルの値は、ボクセルを通って走っている可視放射線が当たる(フィルターを通された)中央投影内の全ピクセル値の合計として生じる。
【0007】
各CT計測の前に、つまり投影画像の撮影の開始の前に、計測対象は、それが一方で(検出装置の放射線感知面に関して)可能な限りフォーマットをいっぱいに満たすように位置決めされなければならない。このようにして、投影画像と後の再構築される体積体に関して最大の拡大が実現する。他方で、たいてい使用されるフェルドカンプの再構築方法において、対象の投影画像は、検出器を越えて水平に突き出てはならず、さもなければ体積体の再構築において不自然な結果が生じる。小さな対象の場合、それゆえターンテーブルは通常放射源の近くに位置をおかれ、できるだけ大きな拡大が目指される。しかしながら、放射源に接近していることから、もし計測対象が個々の投影の撮影の間、(例えば、ターンテーブルの上で対象が回転することにより)別なふうに向きを決められると、計測対象が放射源に衝突するという危険がある。衝突の際には、場合によっては、放射源および/または対象は損傷を受ける。いずれにせよ、衝突は、対象が、位置決め装置(上述では位置調整装置とも記載した)に対して相対的に望ましくないスライド、例えばターンテーブル上でのスライドをする原因となる。その結果、さまざまな投影画像の座標系に関する情報は失われる。その場合には、再構築を目的とした投影画像の処理はもはや不可能である。
【0008】
通常、各計測のための対象のターンテーブル上での最適な配置は、複数のトライから実験的に決められる。このため対象は投影画像におけるさまざまな回転角度のもとで観察され、対象の適切なスライドがターンテーブル上で行われる。そのような対象のターンテーブル上での状態の各変更は、例えばレントゲンチューブを停止し、放射線保護ドアを開け、対象をスライドし、ドアの閉め、そしてチューブを再始動することを内容として含んでいる。全体として、対象の正確な向き決めのためにはしばしば五分以上を要する。そのような器具のための高い投資という観点から、それは、数回の手作業による対象の方向づけのため、相当高いコストを意味する
【0009】
さらに、通常のCT計測ではようやく計測終了の後に、再構築された体積体のどの部材が実際の対象部分を含み、どれがただ間隙を有するのみであるのかが分かる。それゆえ、通例、対象を含むがしかし必要としているよりもとても多きい体積体(たいていシリンダー形状)がたびたび再構築される。これは再構築の際の不必要に長い計算時間に通じ、不必要に大きなデータ量に通じる。このことは計測技術上の評価(例えば、計測対象の寸法の決定)を困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願明細書 DE 39 24 066 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、計測対象の形状、面積、位置および/または向きの自動化されコスト的にも有利な算出を可能とする方法および計測装置を提供することである。特にその際、追加のハードウェア(例えばカメラ)は無しで済ませることができるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
解決策は、特に、透過する放射線を用いた投影画像を、例えば上述した形態のうち一において計測対象から生成する方法あるいは計測装置に関する。その際、透過する放射線は(特にまっすぐに)計測対象に侵入し、計測装置の(特に位置解像、二次元計測を行う)検出装置によって検出される。検出装置により検出された放射線に対応する、検出装置の検出信号から、計測対象の投影画像が生成される。
【0013】
好ましくは計測装置は、コンピュータトモグラフィー(CT)計測装置であり、特に、点状の放射源から発せられた中央投影に相当する計測形状を有し、例えば放射源として微小焦点放射源(特にレントゲンチューブ)を有する計測装置である。その際、「相当する」の概念の意味するところは、投影画像が実際に中央投影により生成されたこと、または投影画像が(例えば、透過する放射線が対象を透過する前および/または後に、例えばコリメーターおよび/またはレンズによって他の方向にそらされることにより)、中央画像に一致した透過放射線画像(投影画像)を生成する計測機器により生成されたことを意味する。中央投影は、透過する放射線の各放射の経路が、点状の放射源から検出装置まで直線であるここと解釈される。放射源は、放射線の発生領域が、または投影のために使用されるすべての放射線が通り抜けなければならない領域が、計測装置の全形状を考慮して、その領域が近似的に点状と解されることができるほど小さい場合に、点状として呼ばれる。
【0014】
その上、好ましくは、計測対象の位置を決めるおよび/または向きを決めるための位置決め装置は、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に存在し、その際、位置決めおよび/または向き決めは機械により(好ましくは自動的に)行われる。
【0015】
さらに、計測装置は、多数の投影画像から各計測対象の三次元画像(体積体画像)を生成するために(再構築するために)、再構築装置を備える。
【0016】
検出装置には、例えばシンシレータ材料とフォトダイオードアレイの組合せが適している。放射線および/または粒子はシンチレータ材料に至り、そこで可視放射線に変換され、この可視放射線はフォトダイオードにより検出される。しかしながら、他の検出装置もまた使用されてよい。
【0017】
「透過する放射線」の概念により、計測対象に侵入するいかなる方式の放射線も包含される。電磁放射線の他に、例えばレントゲン放射線のような、粒子放射線(電子、中性子、陽電子放射線)も使用され得る。他の波長領域を有する(例えば可視領域または赤外波長領域にある)電磁放射線もまた、計測対象が相応して透過させるものであれば、使用することができる。
【0018】
さらに電磁放射線が、エネルギー領域0.5keVから50MeVのレントゲン放射線またはガンマ放射線であることが好まれる。レントゲン放射線が2keVから700keVのエネルギー領域であることは、特に好ましい。
【0019】
小さな焦点を有するレントゲン放射源を使用する場合、透過する放射線の放射源は、ほぼ点状であると仮定することができる。このような方式の、ほぼ点状の放射源を有する計測装置は同じく特に好ましい。例えば、5から100マイクロメーターの領域の焦点直径を有するレントゲン放射源が使用される。この方式の放射源は通常、例えばエネルギー領域10から450keVのポリクロマティック(polychromatisch)・レントゲン放射線を発生する。焦点直径に対する比較から通常かなり大きいものである距離、つまり計測対象に対するおよび検出装置に対する距離(数十センチメートルから一メートル以上までのオーダー)という観点から、焦点は点状として呼ばれてよい。
【0020】
検出装置により撮影された画像は(または対応する画像データは)、計測対象を通りぬけた透過する放射線の強さに関する情報を含んでいる。この情報から、公知の方法によって画像の各ピクセルのためのいわゆる累積吸収係数が計算可能である。
【0021】
本発明の基本的思想によると、計測対象の投影画像の最初のセットが撮影され、その際投影画像は、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に様々な計測対象の向きで撮影される。その結果、さまざまな向きの投影に対応する最初の投影画像のセットが手に入る。その後、最初のセットから計測対象の最初の三次元画像が再構築される。計測対象の投影画像の第二のセットを撮影するために、この最初の三次元画像は評価される。
【0022】
最初のセットの撮影の前に、計測対象が理想的な方法で、放射源に対して相対的におよび検出装置に対して相対的に位置決めされおよび/または向き決めされている必要はない。むしろ、計測対象は、計測対象を通って貫通進行する放射線が、検出のために使用可能な検出装置の面の小さな部分のみに当たるように配置されてよい。計測対象はそれゆえ、面をいっぱいには満たさないように配置される。しかしながらこれは、計測対象の最初の三次元画像の再構築のためには完全に十分である。しかし好ましくは、計測対象は、投影画像の最初のセットの撮影の前に、計測対象を通って貫通進行する放射源のいかなる透過する放射線も検出装置によって検出されるように配置される。このことは、計測対象の輪郭を完全に把握することを可能とする。
【0023】
最初の三次元画像を評価することにより、投影画像の真の撮影がいくつかの点で可能となり、その際、本明細書に詳細に記載した方法のステップは、真の計測の準備のために個々にまたは任意の組合せで実施されることができる。特に、最初の三次元画像における計測対象の輪郭から、計測装置に対しての相対的なおよび/または計測装置の一または複数の部材に対しての相対的な、計測対象の正確な位置および向きが算出可能である。それゆえ、投影画像の第二のセットの撮影の前に、位置および/または向きの変更が可能であり、その際、この変更は、計測対象の最初の3D画像の評価を認識することに基づいている。
【0024】
最初の三次元画像について話をすると、一のセットより多い投影画像が撮影され、各セットに対して再構築された計測対象の3D画像が生成される場合も含められる。これら複数の最初のセットは、その後、投影画像の別の(第二の)セットの撮影による計測対象の真の計測を準備するために評価される。
【0025】
計測対象の位置と向きの修正のほかに、計測装置の運転方法も更なる投影画像の撮影の間準備されることが可能である。そのようにして、例えば、計測対象の位置および/または向きを投影画像の第二のセットの前に変更しないで、しかし第二のセットの個々の投影画像の撮影の間に、計測対象の各位置および/または向きを変更することが可能である。例えば、ターンテーブルの使用においてターンテーブル回転軸に関する計測対象の最適な向きが定まらなかった場合、ターンテーブルは、その上に配置された計測対象と共に、自身の回転軸の周りの(互いに続く二の画像の撮影の間に行われる)各回転をするやり方を取ることができ、その結果撮影の間に計測対象の最適な回転軸周りの一の回転が行われる。計測対象の最適な回転軸とは、特に、透過する放射線の放射線円錐の中央の放射によって直角に横切られる軸をいい、その際この放射は放射線に感応する検出装置の検出面に中央で現れる。
【0026】
さらに、投影画像の第二のセットは、第二のセットの撮影の際、放射線に感応する検出面の定められた部分領域にある検出装置の検出信号のみが記録されることにより準備されてもよい。その際、この第二のセットの撮影のための部分領域は、不変であってもよいし、または投影画像の撮影から撮影への間変化してもよい。例えば、計測対象の最初の3D画像から三次元座標系のある体積体領域が認識され、この体積体領域において計測対象に関する画像情報が期待される。特に最初の3D画像から、再構築された計測対象の全体の3D画像ポイントを覆うあるカバー表面が算出される。そのようなカバー表面は、例えば、最初の三次元画像が定義される3D座標系の座標軸に沿った外側表面を有する直方体である。代替として、カバー表面は例えば、その回転対称軸が計測装置のz軸に平行に走るシリンダー表面であってもよく、その際z軸は、計測対象が配置される計測装置のターンテーブルの回転軸に平行である。特に、シリンダー表面の回転対称軸は、ターンテーブルの回転軸と一致してもよい。
【0027】
投影画像の第一のセットの撮影と第二のセットの撮影の間で位置および向きがもはや変更されないという場合、最初の3D画像から算出されたカバー表面は、そこにおいて計測対象の情報が期待され得る領域を定義する。3D座標系のその他すべての領域は、投影画像の第二のセットから第二の3D画像を再構築する際に考慮する必要がない。このことは、再構築の時間を短縮し、画像データを保存しておく保存スペースを節約可能とする。
【0028】
本発明は、特に、透過する放射線を使った計測対象の三次元画像の生成方法であって、特に多数の二次元投影画像を考慮した逆投影による方法において、
― 計測対象は、計測装置の計測スペースにおいて透過する放射線により貫通され、その際透過する放射線は計測装置の放射源から発し、
― 計測対象の投影画像の最初のセットが、計測装置の検出装置によって撮影され、その際投影画像は、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に様々な計測対象の向きで撮影され、
― 投影画像の最初のセットから、計測対象の最初の三次元画像が再構築され、
― 最初の三次元画像は評価され、場合によっては評価の結果によって、計測対象の位置および/または向きが、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に変更され、および/または評価の結果により計測装置の運転方法が、後に続く計測対象の投影画像の撮影のために調節され、
― 最初の三次元画像の評価の後に、計測対象の投影画像の第二のセットが計測装置の検出装置により撮影される方法に関する。
【0029】
投影画像の最初のセットの撮影、処理、および/または再構築のための労力を、投影画像の第二のセットの撮影、処理、および/または再構築のための労力と比して少なくすることは特に好ましい。
【0030】
特に、投影画像の最初のセットの投影画像は、最初の三次元画像の再構築の際に、ある第一の画像解像度を有してよく、この画像解像度は、投影画像の第二のセットの投影画像の画像解像度より低い。特に画像あたりのピクセル数はより少ない。例えば、投影画像の最初のセットにおいては投影画像あたり256x256ピクセルが保存され、処理されるが、一方、各第二の投影画像は1024x1024ピクセルを有する。それゆえ、最初の投影画像において処理および再構築は、相当高速であるし少ないリソースしか必要としない。
【0031】
さらに、投影画像の最初のセットは第二のセットより少ない投影画像数を有していてよい。実務では、例えば、それぞれ異なる投影方向である10から20の投影画像が、第二のセットの撮影の準備のために必要である全情報を有する、計測対象の最初の再構築された3D画像を得るのに十分であることが示されている。それに対して、言及したとおり、計測対象の真の計測の際の投影画像のセットは、典型的には、600から1200の投影画像を有している。
【0032】
それゆえ(一般的に表現すると)、投影画像の第二のセットの投影画像が、放射源に対して相対的でありおよび/または検出装置に対して相対的である、投影画像の最初のセットの投影画像より多くの様々な計測対象の向きで撮影されることが提案される。
【0033】
労力を減らす更なる方法により、最初の三次元画像の再構築のための投影画像の最初のセットの投影画像は、デジタル画像として生成され、そのピクセルは二値化された画像値を有する。二値化とは、つまりピクセルが可能な二の画像値のうち一のみを有することができること、例えば「0」または「1」であることを意味する。例えば、検出装置の検出信号から、さしあたり通常のグレースケール画像が生成され、この画像において各ピクセルには多くの可能なグレーの値が付されている。しかしながら、引き続いて各ピクセルに対して、第一の二値化された画像値が割り当てられるか、第二の二値化された値が割り当てられるかが決められる。特に、二値化された画像値は、各ピクセルに対して、検出装置を通して得られた画像値がある閾値を超えているかまたは閾値以下であるかを確かめることによって生成されることができる。最初の場合にはそのピクセルは第一の画像値を有し、第二の場合には第二の画像値を有する。代替として、検出装置を通して得られた画像値が、閾値以上であるか(第一の場合)、または画像値が閾値を下回る(第二の場合)かを確かめてもよい。
【0034】
最初の三次元画像の評価するために、投影面への三次元画像の投影が計算されることができる。投影結果に基づき、計測対象の位置および/または向きが、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に変更されるかどうか決定され、場合によってはどのように変更されるか決定され、および/または計測装置の運転方法が、あとに続く計測対象の投影画像の撮影のために調節されるかどうか決定され、場合によってはどのように調整されるか決定される。投影面は、計測装置においてターンテーブルを使用する際、好ましくはターンテーブルの回転軸に垂直に位置する。
【0035】
再構築された画像の投影の結果は、計測対象の「フットプリント」と呼ばれる。フットプリントあるいは投影結果は、簡単な方法によって、そこは計測対象に関する情報が期待されることを、評価可能に認識させる。さらに投影結果から、計測対象の位置および/または向きが、計測装置に相対的にまたは計測装置の部材に対して相対的に(例えばターンテーブルに対して相対的に)変更されなければならないか、場合によってはどのように変更されなければならないか確認することができ、第二の投影画像の最適なセットを撮影することができる。
【0036】
例えば、投影された画像の評価のために、この画像が前もって定められた形状の輪郭線にはめ込まれる。前もって定められた形とは、例えば円周(半径は定まっていない)、および/または、長方形(長方形の辺の長さは定まっていない)である。半径あるいは辺の長さと、その上輪郭線の位置は、投影された画像を輪郭線にはめ込むことによって算出される。特に、はめ込みは、輪郭線が、投影された画像内の計測対象の全ての画像ポイントを含むように定義され、投影された画像の座標系内に配置されることと解釈される。その際、投影された画像内での計測対象の画像ポイントは、輪郭線に接触してもよいが、これを越えてはならない。特に、可能な限り小さな半径を有する円周あるいは可能な限り短い辺の長さを有する長方形が算出される。
【0037】
更に、本発明の範囲には、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムも属しており、このプログラムコード手段は、このコンピュータプログラムがコンピュータやコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本発明に係る方法のステップを特に以下の方法に従い実行するよう形成されており、つまり、
― 計測装置の検出装置により撮影される、計測対象の投影画像の最初のセットが、データ処理のために取り込まれおよび/または受信され、その際投影画像が、放射源に対する相対的なおよび/または検出装置に対する相対的な様々な計測対象の向きで撮影され、
― 投影画像の最初のセットから、計測対象の最初の三次元画像が再構築され、
― 最初の三次元画像が評価され、場合によっては評価の結果によって、制御信号が生成され、制御信号が実施された場合、この制御信号が、計測対象の位置および/または向きの放射源に対する相対的な変更および/または検出装置に対する相対的な変更に作用し、および/または、評価の結果によって制御信号が生成され、この制御信号の実施により、計測装置の運転方法が、あとに続く計測対象の投影画像の撮影のために調整される。
【0038】
コンピュータプログラムによって実行される別の可能な方法のステップは、すでに言及された(例えば、投影画像の最初のセットの評価および/または再構築)。評価に基づき東映画像の第二のセットの撮影の準備のために行われる処置もまた、コンピュータプログラムのプログラムコード手段によって実行され得る。これには特に、計測対象の位置および/または向きが第二の投影画像の撮影の前にどのように変更されるべきであるか、または計測装置の運転方法が第二の投影画像の撮影のためにどのように調整されるべきであるかという計算が属している。
【0039】
さらに本発明の範囲には、透過する放射線を使った計測対象の三次元画像を生成するための計測装置が属する。計測装置の特徴は、すでに言及されており、特に本発明に係る方法の説明から明らかになっている。特に、この計測装置は以下を、つまり、
― 計測装置の運転の際にそこで計測対象が、放射源から発した透過する放射線により貫通される計測スペース、
― 計測対象での透過する放射線の吸収の結果である、計測対象の投影画像の撮影のための検出装置、
― 計測対象の投影画像の最初のセットから計測対象の最初の三次元画像を再構築するために形成された再構築装置であって、その際投影画像は、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に様々な計測対象の向きで撮影されたものである再構築装置、
― 計測対象の最初の三次元画像を評価するために形成された評価装置、
― 場合によっては、評価装置の結果によって、計測対象の位置および/または向きを、放射源に対して相対的におよび/または検出装置に対して相対的に変更し、および/または評価の結果により計測装置の運転方法を、後に続く計測対象の投影画像の撮影のために調節するために形成された制御装置を備えている。
【0040】
計測装置には、通常、放射源もまた属している。しかしながら、例えば、そのような放射源のホルダーのみが計測装置に属していてもよく、その結果放射源は交換することが可能である。
【0041】
先に言及した装置の特性は、特に再構築装置、評価装置、制御装置の特性は、本発明に係る方法の説明より、および添付する請求項により明らかにされる。
【0042】
ここに本発明を、実施例に基づいて詳細に説明する。この実施例のもとで、それは現在の知識水準における最もよい状態にある。しかしながら、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下に記載された実施例中の複数特徴のうち、個々の特徴または任意の組合せは、先に記載した本発明の形態と組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
個々の図が示すところは以下の通りである。
【図1】レントゲン放射源、計測対象、および二次元位置解像検出装置を有する計測装置の形状
【図2】ターンテーブル上に配置された計測対象を有する第二の計測装置
【図3】図2による計測対象の前面
【図4】検出信号を認識・評価するための装置の要素を簡略表示した図
【図5】図4に表された装置のパーツの詳細
【図6】計測対象のフットプリント
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1に表現された計測装置は、放射源2、特にレントゲン放射源と検出装置3の間の直行する放射光路内に配置された計測対象1を備える。検出装置3は多くの検出要素4を備えているので、放射線を位置的に解像する(aufgeloste)検出が可能である。検出要素4の検出信号は装置6に送られ、この装置が、計測対象1の各所定の回転位置における計測対象1の透過放射線画像(Durchstrahlungsbild)を検出する。計測対象1は回転装置7、例えばターンテーブルと組み合わされている。回転装置7の回転軸はTであらわす。更に、計測対象1を回転装置に対して相対的に位置決めすることを可能とする位置決め装置5が設けられている。
【0045】
好ましくは位置決め装置5は、直行座標系の三座標軸x、y、z方向で独立して計測対象1の位置決めが可能であるよう構成される。これによって、一次の動作による計測対象1の誤った位置決めは、そのつど個々の座標軸方向に修正される。代替的または追加的に、位置決め装置5は、別の位置決め動作、例えば回転装置7の回転軸Tと一致しない回転軸周りの回転運動が可能である。また、例えば計測対象のターンテーブル上面に対する相対的な傾きも修正されることが可能である。これら全ての位置決め措置は、前もって取得した計測対象1の再構築された画像の評価に依存して行われる。
【0046】
特に、位置決め装置5は、図1の実施例中において図示されるとおり、回転装置7の上面(例えばターンテーブル上面)と計測対象の下側の間に配置される。しかしながら他の配置も考えられる。例えば、計測対象は、位置決め装置のある要素によって挟持されたり、位置決め装置の側方から広がっていることが可能である。図1のように、二つの側方からの、位置決め装置5のクランピングジョー(Klemmbacke)8,9により、計測対象1が位置決め装置5内において挟み込まれてもよいことが示唆される。しかしながら、計測対象が他の方法で位置決め装置に配置されることも可能である。例えば計測対象は、位置決め装置の設置用面またはターンテーブルに単に設置されてもよく、または(好ましくは)透過する放射線をほとんど減衰なしに通過させる材質(例えばポリスチロール)でできた追加的な物体によって保持されてもよい。
【0047】
図1には、計測装置の直行座標系が表されている。x軸は、良い近似では点状である放射源2(例えば放射源の焦点)から、計測対象が上に配置されている計測スペースを通り、検出装置3まで伸びている。正確にx軸に沿って走る、放射源2により発生された透過する放射線の放射Mは、検出装置3を突き通し点で突き通り、あるいは適当な検出要素上に現れ、そこで検出される。
【0048】
好ましくは、検出装置3は、平らな検出面を有する装置であって、この検出面上に検出する放射線が現れ、その際平らな検出面はx軸に対して垂直に立っている。通常、回転装置7の回転軸Tは、これがx軸に垂直に延在するように調節され、さらにその上x軸が放射源2によって発生された放射線円錐の中心軸であるように調節される。放射線円錐の他の放射は図1において参照符号Sで表されている。
【0049】
計測装置の直行座標系のy軸は、検出装置3の検出平面に平行に伸びており、しかも水平方向に伸びている。直行座標系のz軸は、同じく検出平面に平行に伸びており、好ましくはさらに回転軸Tに平行に伸びている。
【0050】
図2に表された計測装置20は放射源22を備えており、この放射源は放射線円錐の内部で放射線を発する。その先端が放射源22に位置する放射線円錐は、放射線が発散的な放射線束であるため、放射源22からの距離が遠くなるとともに幅が広がる。この放射線束は、部分的に計測対象21を透過し、透過する放射線に反応する検出装置23の検出面24上にあらわられる。
【0051】
計測対象21は、例えば携帯電話のフェースプレート(Oberschale)である。計測対象21は、透過する放射線をほとんど吸収することなしに通すことができる材質のブロック26によって保持されている。ブロック26は、ターンテーブル27の上に配置されており、その回転軸は図2の表現では鉛直方向に延在している。ターンテーブル27はさらに、直線的に動かせる位置決め装置の上に配置されている。テーブル28は、水平にのびており、同時に検出装置23の平らな検出面24に平行に伸びている方向に可動である。
【0052】
テーブル28はさらに、鉛直方向、つまり検出面24に対して同じく平行にも可動であり、検出面24の垂直二等分面(Mittelsenkrechten)に平行に伸びる方向へも可動である。
【0053】
図2から認められるように、計測対象21は、その縦軸がターンテーブル27の回転軸と重ならないように、または回転軸と平行に走らないように配置されている。縦軸は、回転軸に対し傾いているか、これを横切るかであり得る。これによって、投影画像がターンテーブル27のさまざまな回転位置で撮影されていれば、計測対象を投影画像から再構築する際の不自然な結果が回避できる。
【0054】
図3は図2で表された計測対象21の拡大図である。計測対象は、空所33、34、35を有することがわかる。
【0055】
図4に表された装置は、図1による装置の部分または図2による装置の部分の例示である。計測対象を通り弱められた透過する放射線を検出するための検出装置43は、検出装置43のアナログ信号をデジタル信号に変換し各検出要素(例えば図1による要素4)のために信号を時間で積分する装置46と接続されている。そのため、装置46の出力側には、計測対象の個々の投影画像のために必要なすべての情報がある。
【0056】
計測対象をさまざまな回転位置で撮影したこれら各投影画像は、コンピュータ41の入力部48を介しコンピュータに取り込まれ、コンピュータのデータ保存部49に保存される。さらに入力部48を介し取り込まれた投影画像は、コンピュータのプロセッサー45内に直接伝達されるか、これによってデータ保存部49から読み出されるかされる。プロセッサー45はソフトウェアによって制御され、投影画像の存在する各セットから計測対象の再構築を行うことができる。それゆえコンピュータ41内には(図5に表されるように)再構築装置51が実現されており、この再構築装置は装置46と接続されている。
【0057】
さらにプロセッサー45は、同じくソフトウェアに制御されて再構築した画像を評価することができる。再構築された画像が、計測対象の真の計測の準備のためにする最初の三次元画像であるのか、または、真の計測データから生じた再構築画像であるのかによって、プロセッサー45は真の計測の準備のための評価を行うか(図5において装置53によって表される)、真の計測データの評価を行うかし(図5において装置59によって表される)、例えばこれは計測対象の寸法を理論寸法と比較し行う。
【0058】
計測対象の真の計測の準備のために、プロセッサー45あるいは評価装置53は制御装置47と接続されており、この制御装置は(図4のように)、例えば位置決め装置の要素5から9(図1に対する記載参照)を計測対象の位置決めのために計測装置に対して相対的に制御する。
【0059】
以下に、特に好適な本発明による方法の形態を記載する。その際に、各所で再び添付の図面を使用する。
【0060】
以下に記載する方法は、計測対象の計測の迅速で自動的な準備を可能とする。まず例えば図1または図2でもって表される装置(以下においては簡単のため図2による参照符号のみ記載する)は、さまざまな回転位置における、10から20の計測対象21のレントゲン画像が計測装置に対し相対的に撮影される。この最初のセットは、後に撮影される真の投影画像のセットと同一の計測装置20、特に同一の検出装置23で撮影されるので、計測対象21の向きを合わせる追加的な補助手段(例えばレントゲン光学的な放射線路をシミュレーションするカメラ)は必要ない。
【0061】
検出装置23によってさまざまな回転位置で計測対象21のレントゲン画像が撮影される。計測対象は任意の位置と向きでターンテーブル27上にある。通常の露光時間0.5-1秒の場合、投影画像の撮影は最大30秒を要する。10-20の撮影は、例えばターンテーブル27の完全な角度範囲360°をカバーする。
【0062】
引き続き、例えばフィルターをかけられた逆投影(Ruckprojektion)によって再構築された計測対象の三次元画像が計算される。三次元画像は計測装置21の座標に載せられる。画像は、画像の各個々の体積体部分(ボクセル)に対しある値を有しており、この値は、その体積体部分においてレントゲン放射線が弱くなる程度を表す。
【0063】
計測対象21の真の計測の準備目的のためには、投影画像は、真の計測では可能であるデジタル解像処理を行われない。1024x1024ピクセルの平面型検出器の場合、例えば投影画像は(例えばプロセッサー45によりソフトウェア制御されて)256x256ピクセルの解像度に減じられ、その際それゆえ16ピクセル毎に1ピクセルに減ぜられる。逆投影はこのため体積体2563ピクセルに対してのみ行われる。
【0064】
次のステップでは各投影画像に対して、ピクセル毎に対象画像と空の画像の商(Quotient)が計算され、それから適当なピクセル値の閾値を使用することによる二値化がおこなわれることによって対象と背景への分離が行われ、つまり「1」(対象)または「0」(背景)がセットされる。空の画像は、事前に計測対象なしに撮影を行い取り込まれ、その際、検出装置の検出信号は、例えば最初の投影画像の撮影の際とまったく同じ時間で積分される。空の画像を使用することにより、露光であるとか検出装置の感度の不均一性が考慮される。検出装置はノイズ(Rauschen)にさらされているので(検出の電気機器による原因と光子ノイズ(Photonenrauschen)による)、二値化のための閾値はあまりに高く選択すべきではない、というのはさもなければ背景信号が間違って対象信号として分類されてしまうかもしれないからである。あまりに低い閾値では逆に、とても薄い対象部分の画像信号が間違って背景信号として分類されてしまう危険性がある。空の画像の97%の明暗度(Intensitat)となる閾値が有効であることが実証されている。
【0065】
再構築の結果として減ぜられたボクセル数(例えば大きさ2563、上記参照)の空間だけが使用され、二値化された画像値だけが使用されるため、例えば16MBのデータ保存領域は十分である。であるから、二値化する再構築は、市場で手に入る単独のパーソナルコンピュータ上で実施することができ、真の計測データの再構築のように、複数のコンピュータに分割してであるとか、高機能コンピュータによって実施する必要はない。すべての二値化投影画像は、実際の投影幾何に基づき3D空間に逆投影される。同時に、全ての付随する体積体領域を0とセットするために、各投影において背景領域(これが計測対象内で空の空間を取り囲む)を援用することによって、対象は当初の体積体ブロックから「切り出さる」。一般的に表現すると、計測対象の再構築のために使用される空間のある体積体領域は、投影画像の付随する二次元の画像領域が、二値化された値であって、その一方の、透過する放射線の存在しない低減に対応する値でもって証明を付され、そしてこの二次元の画像領域が体積体領域に引き継がれることによって必要なしと印をつけられる。
【0066】
この例では10-20のみの投影画像が最初のセットのために使用され、縮小された作業体積体(例.2563)が使用されるので、この逆投影ステップはわずかな秒数しかかからない。全体として、この方法の全てのステップ(画像撮影と評価)は、明らかに一分より短い間に実行される、つまり、計測装置において手作業で行う計測対象の位置決めよりはるかに短い期間内に実行される。
【0067】
画像の簡略化とすくない投影のみを使用することに基づき、二値化された体積体は対象のおおまかな近似を示し、この近似は真の計測には適さない。しかし、真の計測の準備のためには、この近似は十分である。
【0068】
好適な、二値化された体積体の別の評価の形態は、xy平面への(図1参照)、つまり、ターンテーブル7あるいは27の回転軸に垂直に広がる平面への最大値投影にある。その際、二値化された体積体の各z柱(そのx値とy値が同じであるボクセルを有する柱)に対して、対象部分が柱内に含まれているかどうかチェックされる。もし含まれていれば、その柱は値「1」でもって二値化された体積体中で印付けられるか、または対応する二次元の投影画像中において「対象による低下」のための値「1」が登録される。対象の「フットプリント」がすべての到達可能(zuganglichen)な再構築体積体において手に入る。それゆえ最大値投影は、画像平面への、再構築により獲得された画像体積体の二値化投影とも呼ばれ得る。この画像平面は好ましくは、その上に計測対象または計測対象のホルダーが設置されることが可能であるターンテーブルの設置面の平面(またはこれに平行)に位置している。
【0069】
デジタル方式の画像処理の領域から公知である画像データ処理方法によって、好ましくは最大値投影から、少なくとも一の外部輪郭(輪郭線)が自動的に算出される。この輪郭は、再構築体積体内の領域あるいはそこから投影される画像内の領域を定め、この領域は計測対象を含んでいる。
【0070】
次に、図6を参照する。図6は、フットプリント61を256x256ピクセルの二次元画像平面(xy平面またはこれに平行な平面)に表す。フットプリント61の中には、計測対象21の空所に相当する領域62も認められる。
【0071】
第一の輪郭線63は長方形である。同じく自動的に定められ得る、最も小さい書き換えられた範囲は、第二の輪郭線65であり、両輪郭線63、65の外側には、吸収する材質が存在することを意味する二値化された画像値は存在しない。その際輪郭線63、65は、輪郭線63、65の向かい合っている縁の部分部分では、それぞれいくらかの二値化された対象の画像ポイントが、輪郭線63、65の上に位置するように、フットプリント61の回りにおかれている。
【0072】
環状の輪郭線65(計測対象を書き換える最も小さな円周)は、この計測対象が、どのようにして最も大きな拡大のために合わされていなければならないかを示す。例えば、このことから計測対象21のターンテーブル27上でのスライドが計算できる。このスライドは、計測対象21を最大の拡大でターンテーブル27の中央に配置するために必要である。回転軸の突き通し点と重なるために、どの方向にどれほど遠く円周の中心がスライドされなければならないかは、単に算出されなければならない。また、円周の(ピクセルでの)直径の、図6による(同じくピクセルでの)二次元画像の大きさに対する比率から、逆数が算出できる。この逆数は、例えばターンテーブルの放射源への適当な接近によって、およそそれぐらいは計測対象の画像がまだ拡大可能であることを示す。
【0073】
長方形の輪郭線63は(場合によっては、先行する段階で定義された拡大係数分拡大されて)、長方形の外側に置かれた領域は再構築される必要がないことを示す。そこには計測対象の領域は無いと予測できるからである。この長方形を定めることによって、再構築時間と再構築データの大きさを最小限にすることができる。
【0074】
閾値をつかった二値化によって、計測対象の一部が輪郭線の外側に存在するということが起こりうる。その一部が透過する放射線をごく弱くのみ吸収する場合である。このことは、もしそれが、例えば計測対象を固定する接着テープのように興味のない部分であれば甘受してもよい。または評価すべき領域を、輪郭線で定められた領域よりも幾ばくか大きく選択してもよい。別の可能性は、閾値を大きく選択し、その結果場合によっては背景ピクセルもまた「対象」として印付け、その後互いに関連する画像領域の試験を行うことにある。小さく、そして大きな領域と関係がない、かつ「対象」として印付けられた領域がある場合、小さい領域は「対象ではない」(あるいは「背景」)と印付けられてよく、つまりピクセル値「0」が書かれてよい。
【0075】
書き換えられた長方形線63はすべての対象を(よい近似で)含んでいる。投影に基づき、このことは投影平面に平行なすべての平面、つまりすべての体積体の「層」に有効である。長方形は、例えば600x395ボクセル、つまり、減ぜられていない通常の解像度での1024x1024ピクセル層中におけるボクセルの全体数のたった22.6%を含んでいる。この例のためには、すなわち、すべてのボクセルの四分の一より少なくが再構築され保存されなければならない。本発明に係る方法は、この情報を真の計測の開始の前に作成するので、この情報は、計測対象の真の計測と真の計測データの再構築の間考慮に入れることができる。
【0076】
また、書き換えられた長方形63から、ある回転角度が定められ、この回転角度分、長方形は回転されることができ、その結果長方形63の端の線はxy平面の座標軸に平行に延びる(例では22.6°)。この回転角度は、真の計測データの再構築(前段落参照)の際に考慮に入れられることができる。再構築時間と再構築データの大きさのこの最適化は、計測結果の正確性に対し否定的影響を有さない、つまり計測結果は前述の回転角度回転したことによって悪くならない。これに対する理由は、回転が、再構築後の追加の処理ステップではなく、例えば再構築のパラメータによって調整されることができ、それゆえ追加のコンピュータ消費を意味しないからである。逆投影の際に、各投影画像は撮影された角度で体積体に逆投影される。各角度にある一定の値が追加された場合、このことは、体積体における再構築された計測対象の、まさにこの値分の回転を引き起こす。この方法により、体積体の内でz軸回りのある任意の回転、例えば、再構築された計測対象が体積体軸に平行にむけられ、その結果スペース要求が最小限となる状態を再構築された対象に与えることができる。
【0077】
回転角度は、真の投影画像の撮影のためにすでに考慮されていてもよい。これは、例えば、図6に対応する回転位置に反して回転角度分回転されるターンテーブル27の回転位置で、投影画像の撮影とともに開始されることによって行われる。
【0078】
ここまでは対象範囲のxおよびy方向での算出を記載した。二値化された体積体は、簡単な方法によって、z方向での下方および上方境界を定めることにも使用することができ、その結果再構築された体積体は三次元すべての次元において最適に、調査対象の実際の大きさに合わせられ得る。
【0079】
対象をできるだけ厳密に取り囲む個々の長方形のまたは直方体型の輪郭の替わりに、二値化された体積体から、対象を共同して取り囲む複数の輪郭を定めることも可能である。適当な対象形状の場合には、そのようにして、再構築された体積体は更によく実際の対象形状に合わせられることが可能である、つまり更に減ぜられることができる。別なように形成された輪郭線または輪郭面、例えば多角形輪郭線を使用することも可能である。これは特に、2048x2048検出器を有するトモグラフィーには有利である。このトモグラフィーにおいては、さもなければとても長い再構築時間が必要となることがある。
【0080】
評価に際して先に記載した方法に加えてまたはその代替として、小さな対象かつ高い拡大率の際に、対象がレントゲンチューブと衝突することを避けるための方法が使用可能である。それゆえ、例えば図6に表した円周は、ターンテーブル27の回転に基づく最大限の対象範囲の線として使用される。レントゲンチューブの幾何形状がレントゲン源と関連して(チューブのCAD図面に基づいて)分かっているとき、対象は自動的に可能な限り最小な間隔でもってチューブに近づき、衝突しないよう接近される。
【0081】
別の可能性は、各二の投影画像の撮影の間に計測対象を回転する際、これがさらにxy平面(つまり、回転の回転軸に対して直角)において扱われることにある。このため、ターンテーブルの真の回転軸位置周りのみならず各位置周りの効果的な回転が実現される。効果的な回転軸のために適切な位置は、上述した方法によって定められてもよい(例えば、円周65の中心点)。これは、対象が手作業でもってターンテーブル上で動かされることなく、ある計測対象をターンテーブル上の任意の位置に位置決めすることを可能とし、それにもかかわらず最適な再構築が得られることを可能とする。
【符号の説明】
【0082】
1 計測対象
2 放射源
3 検出装置
4 検出要素
5 位置決め装置
6 装置
7 回転装置
8,9 クランピングジョー
20 計測装置
21 計測対象
22 放射源
23 検出装置
24 検出面
26 ブロック
27 ターンテーブル
28 テーブル
33,34,35 空所
41 コンピュータ
43 検出装置
45 プロセッサー
46 アナログ信号をデジタル信号に変換する装置
47 制御装置
48 入力部
49 データ保存部
51 再構築装置
53 評価装置
59 装置
61 フットプリント
62 空所に相当する領域
63 第一の輪郭線
65 第二の輪郭線
T 回転装置の回転軸
S 放射線円錐の他の放射

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過する放射線を使った計測対象(1)の三次元画像の生成方法であって、特に多数の二次元投影画像を考慮した逆投影による方法において、
― 計測対象(1)は、計測装置の計測スペースにおいて透過する放射線により貫通され、その際透過する放射線は計測装置の放射源(2)から発し、
― 計測対象(1)の投影画像の最初のセットが、計測装置の検出装置(3)によって撮影され、その際投影画像は、放射源(2)に対して相対的におよび/または検出装置(3)に対して相対的に様々な計測対象(1)の向きで撮影され、
― 投影画像の最初のセットから、計測対象(1)の最初の三次元画像が再構築され、
― 最初の三次元画像は評価され、場合によっては評価の結果によって、計測対象の位置および/または向きが、放射源(2)に対して相対的におよび/または検出装置(3)に対して相対的に変更され、および/または評価の結果により計測装置の運転方法が、あとに続く計測対象(1)の投影画像の撮影のために調節され、
― 最初の三次元画像の評価の後に、計測対象(1)の投影画像の第二のセットが計測装置の検出装置(3)により撮影される方法。
【請求項2】
投影画像の最初のセットの投影画像が、最初の三次元画像の再構築の際に、ある第一の画像解像度を有し、この画像解像度が、投影画像の第二のセットの投影画像の画像解像度より低い請求項1に記載の方法
【請求項3】
最初の三次元画像の再構築のための投影画像の最初のセットの投影画像が、デジタル画像として生成され、そのピクセルが二値化された画像値を有する、つまりピクセルが可能な二の画像値のうち一のみを有することができる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
検出装置(3)により得られた画像値が、閾値を超えるか閾値以上であること、または、閾値を下回るか閾値以下であることが各ピクセルのために確かめられることによって、二値化された画像が生成される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
最初の三次元画像の評価の後に、計測対象(1)の投影画像の第二のセットが撮影され、その際投影画像の第二のセットの投影画像が、放射源(2)に対して相対的であり、および/または検出装置(3)に対して相対的である、投影画像の最初のセットの投影画像より多くの様々な計測対象(1)の向きで撮影される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
最初の三次元画像の評価の際に、投影面への三次元画像の投影(61)が計算され、投影結果に基づき、計測対象(21)の位置および/または向きが、放射源(22)に対して相対的におよび/または検出装置(23)に対して相対的に変更されるかどうか決定され、場合によってはどのように変更されるか決定され、
および/または計測装置(20)の運転方法が、あとに続く計測対象(21)の投影画像の撮影のために調節されるかどうか決定され、場合によってはどのように調整されるか決定される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
投影面への三次元画像の投影(61)が計算され、この投影面がターンテーブル(27)の回転軸に垂直であり、その際ターンテーブル(27)が計測対象の放射源(22)に対する相対的回転のために使用される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
投影された画像が、前もって定められた形の輪郭線(63,65)内にはめ込まれており、その結果投影された画像は輪郭線(63,65)に接触するもこれを越えず、その際輪郭線(63,65)に基づいて、計測対象(21)の位置および/または向きが、放射源に対して相対的におよび/または検出装置(23)に対して相対的に変更されるか決定され、場合によってはどのように変更されるか決定され、および/または計測装置(20)の運転方法が、後に続く計測対象(21)の投影画像の撮影のために調整されるかどうか決定され、場合によってはどのように調整されるか決定される請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムであって、このコンピュータプログラムがコンピュータ(41)またはコンピューターネットワーク上で実行された場合、以下、すなわち
― 計測装置の検出装置(3)により撮影される、計測対象(1)の投影画像の最初のセットが、データ処理のために取り込まれおよび/または受信され、その際投影画像が、放射源(2)に対する相対的なおよび/または検出装置(3)に対する相対的な様々な計測対象(1)の向きで撮影され、
― 投影画像の最初のセットから、計測対象(1)の最初の三次元画像が再構築され、
― 最初の三次元画像が評価され、場合によっては評価の結果によって、制御信号が生成され、制御信号が実施された場合、この制御信号が、計測対象(1)の位置および/または向きの放射源(2)に対する相対的な変更および/または検出装置(3)に対する相対的な変更に作用し、および/または、評価の結果によって制御信号が生成され、この制御信号の実施により、計測装置の運転方法が、あとに続く計測対象(1)の投影画像の撮影のために調整されること、
を請求項1から8に記載のいずれか一項に記載の方法により実行するよう形成されたコンピュータプログラム。
【請求項10】
最初の三次元画像の評価の後に、計測対象(1)の投影画像の第二のセットを評価し、その際、投影画像が計測装置の検出装置(3)により再び撮影されたものであるよう、プログラムコード手段が形成された請求項9に記載のプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項11】
プログラムコード手段が、コンピュータにより読み取り可能なストレージ媒体に保存されている請求項9または10に記載のプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項12】
最初の三次元画像の再構築のための投影画像の最初のセットの投影画像が、デジタル画像として生成され、そのピクセルが二値化された画像値を有する、つまりピクセルが二のうち可能な一の画像値のみを有することができる請求項9から11のいずれか一項に記載のプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項13】
検出装置(3)により得られた画像値が、閾値を超えるか閾値以上であること、または、閾値を下回るか閾値以下であることを、各ピクセルのためにプログラムコード手段が確かめることによって、二値化された画像が生成される請求項11に記載のプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項14】
プログラムコード手段が、最初の三次元画像の評価の際に、投影面への三次元画像の投影(61)が計算され、投影結果に基づき、計測対象(21)の位置および/または向きが、放射源(22)に対して相対的におよび/または検出装置(23)に対して相対的に変更されるかどうか決定され、場合によってはどのように変更されるか決定され、
および/または計測装置(20)の運転方法が、あとに続く計測対象(21)の投影画像の撮影のために調節されるかどうか決定され、場合によってはどのように調整されるか決定されるよう形成される請求項9から12のいずれか一項に記載のプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項15】
透過する放射線を使った計測対象(1)の三次元画像の生成のための計測装置であって、特に多数の二次元投影画像を考慮した逆投影による方法において、計測装置が、以下、すなわち、
― 計測装置の運転の際にそこで計測対象(1)が、放射源(2)から発した透過する放射線により貫通される計測スペース、
― 計測対象(1)での透過する放射線の吸収の結果である、計測対象(1)の投影画像の撮影のための検出装置(3)、
― 計測対象の投影画像の最初のセットから計測対象(1)の最初の三次元画像を再構築するために形成された再構築装置(51)であって、その際投影画像は、放射源(2)に対して相対的におよび/または検出装置(3)に対して相対的に様々な計測対象(1)の向きで撮影されたものである再構築装置、
― 計測対象(1)の最初の三次元画像を評価するために形成された評価装置(53)、
― 場合によっては、評価装置(53)の結果によって、計測対象(1)の位置および/または向きを、放射源(2)に対して相対的におよび/または検出装置(3)に対して相対的に変更し、および/または評価の結果により計測装置の運転方法を、あとに続く計測対象(1)の投影画像の撮影のために調節するために形成された制御装置(47)を有する三次元画像の生成のための計測装置。
【請求項16】
計測装置であって、検出された信号を受信するために検出装置(3)と接続され、検出された信号に基づく画像データを再構築装置(45)に提供するために再構築装置(45)と接続された画像生成装置(45)を有し、その際、画像生成装置(45)が、最初の三次元画像の再構築のための投影画像の最初のセットの投影画像を、デジタル画像として生成し、そのピクセルが二値化された画像値を有する、つまりピクセルが可能な二の画像値のうち一のみを有することができる請求項15に記載の計測装置。
【請求項17】
検出装置(3)により得られた画像値が、閾値を超えるか閾値以上であること、または、閾値を下回るか閾値以下であることが各ピクセルのために確かめられることによって、二値化された画像値を生成するよう画像生成装置(45)が形成されている請求項16に記載の計測装置。
【請求項18】
評価装置(53)が、最初の三次元画像の投影面上への投影(61)を計算するよう形成されており、その結果二次元投影画像が得られる請求項15から17のいずれか一に記載の計測装置。
【請求項19】
評価装置(53)が、三次元画像の投影面上への投影(61)を計算するよう形成されており、この投影面が計測装置のターンテーブル(7)の回転軸に対して垂直に位置しており、その際、ターンテーブル(7)が放射源(2)に対して相対的に回転するために使用される請求項18に記載の計測装置。
【請求項20】
評価装置(53)が、投影された画像を前もって定められた形状の輪郭線(63,65)にはめ込むよう形成されており、その結果、投影された画像が輪郭線に接触するもこれを越えず、輪郭線(63,65)に基づいて、計測対象(1)の位置および/または向きが、放射源(2)に対して相対的におよび/または検出装置(3)に対して相対的に変更されるか決定され、場合によってはどのように変更されるか決定され、および/または計測装置の運転方法が、後に続く計測対象(1)の投影画像の撮影のために調整されるかどうか決定され、場合によってはどのように調整されるか決定される請求項18または請求項19に記載の計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−523950(P2010−523950A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501428(P2010−501428)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002619
【国際公開番号】WO2008/119555
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(504258804)カール ツァイス インドゥストリエレ メステヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (11)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Industrielle Messtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl Zeiss Strasse 22, D−73447 Oberkochen,Germany
【Fターム(参考)】