説明

通信システム機器

【課題】機器内で発生した異常か、機器外で発生した異常か、を検知できる通信システム機器を提供する。
【解決手段】画像形成装置10において、全ての電源コード5、6の間に介設された管理部4と、CPU11、31、71を、それぞれ、管理本体部41に接続する電力線91、92、93と、を備えており、管理本体部41は、電力線を通信回線として利用できるよう構成されており、管理本体部41から、電力線、CPU、内部信号線、別のCPU、及び別の電力線を経て、管理本体部41へ戻る、閉ループが、通信可能に成立するか否かを、検知する、内部異常検知手段と、各電源コード5、6の電圧を検出する電圧検出器42、43を備え、それによって、電圧異常を呈している電源コードを検知する、外部異常検知手段と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置のような通信システム機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば画像形成装置のような通信システム機器においては、機器のシステム異常を検知するために、次のような手段が採用されている。
(A)図4に示される機器では、複数の電源コード101、102から電源201、202に電力が供給されるようになっており、両電源コード101、102間にリレー301が設けられている。図4の機器では、このリレー301により、電源コード101、102の一方が抜けたことに基づく異常の発生を、未然に防いでいる。
【0003】
(B)特許文献1に記載の、図5に示される機器は、AC電源コード105、DC電源コード106、定着ヒータON/OFF回路205、定着ヒータ206、AC−DCコンバート部207、制御部208、及び操作表示部209を備えているが、更に、入力検出部203を備えている。図4の機器においては、AC電源コード105が抜けている場合には、コード抜けであることが、入力検出部203によって、操作表示部209に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図4及び図5に示された機器では、次のような不具合があった。
(a)機器内の異常の発生を検知できない。
(b)電源コードが抜けているだけの場合でも、機器内の異常のように表示されるため、機器内を点検するという無駄な作業を要し、復旧コストが高い。
【0006】
そこで、本発明は、機器内で発生した異常か、機器外で発生した異常か、を検知できる構成を、有する、通信システム機器を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のCPUと、CPUに電力を供給する、相互に独立した、2個以上の電源と、全ての電源を、それぞれ、別々のコンセントに接続するための、電源コードと、を備えた、システムを、有しており、CPU間の内部信号線を介した通信によって、上記システムが制御されるようになっている、通信システム機器において、全ての電源コードの間に介設された管理部と、全てのCPUを、それぞれ、管理部に接続する、電力線と、を備えており、管理部は、電力線を通信回線として利用できるよう構成されており、管理部から、電力線、CPU、内部信号線、別のCPU、及び別の電力線を経て、管理部へ戻る、閉ループが、通信可能に成立するか否かを、検知する、内部異常検知手段と、各電源コードの電圧を検出する電圧検出機構を備え、電圧検出機構によって、電圧異常を呈している電源コードを検知する、外部異常検知手段と、を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作者は、外部異常と内部異常とを区別して知ることができるので、内部異常であるのに操作者が外部点検を行ったり、外部異常であるのに操作者が内部点検を行ったりするのを、防止でき、したがって、点検・復旧作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の通信システム機器の一種である画像形成装置の概略構成図である。
【図2】管理本体部のブロック図である。
【図3】作動を示すフローチャートである。
【図4】システム異常を検知するための従来の一手段を示す構成図である。
【図5】システム異常を検知するための従来の他の手段を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の通信システム機器の一種である画像形成装置の概略構成図である。この装置10は、CPUと電源と電源コードとを備えたシステムを、有している。このシステムは、本体部10Aとオプション部10Bとを有している。本体部10Aは、IH電源1と、低圧電源2と、メカニズムコントローラ基板3と、管理部4と、制御用電源コード5と、定着用電源コード6と、表示部110と、を有している。オプション部10Bは、メカニズムコントローラ基板7を有している。表示部110は、例えば操作パネルであり、装置10の作動の状態を表示するようになっている。
【0011】
管理部4は、管理本体部41と、管理本体部41に接続された2つの電圧検出器42、43と、を有している。管理本体部41は、CPU40を有している。管理部4は、全ての電源コード5、6の間に介設されている。
【0012】
制御用電源コード5は、電圧検出器42及び主電源スイッチ51を経て、低圧電源2に接続されている。定着用電源コード6は、電圧検出器43、扉スイッチ61、及び定着リレー62を経て、IH電源1に接続されている。制御用電源コード5は、コンセント50に接続され、定着用電源コード6は、コンセント60に接続される。
【0013】
IH電源1は、CPU11を有している。メカニズムコントローラ基板3は、CPU31を有している。メカニズムコントローラ基板7は、CPU71を有している。そして、CPU11とCPU31とは、内部信号線81によって、相互に通信可能に接続されている。また、CPU31とCPU71とは、内部信号線82によって、相互に通信可能に接続されている。
【0014】
装置10のシステムは、CPU11、31、71間の内部信号線81、82を介した通信によって、制御されるようになっている。
【0015】
更に、管理本体部41と、CPU11、31、71とは、それぞれ、電力線91、92、93によって、接続されている。管理本体部41は、電力線91、92、93を通信回線として利用できるように構成されている。
【0016】
また、管理本体部41は、図2のブロック図に示されるように、内部異常検知手段4A、外部異常検知手段4B、第1表示手段4C、第2表示手段4D、第1仕様変更手段4E、及び第2仕様変更手段4Fを、備えている。
【0017】
内部異常検知手段4Aは、管理部から、電力線、CPU、内部信号線、別のCPU、及び別の電力線を経て、管理部へ戻る、閉ループが、通信可能に成立するか否かを、検知するようになっている。ここでは、内部異常検知手段4Aは、管理本体部41から、電力線91、CPU11、内部信号線81、CPU31、及び電力線92を経て、管理本体部41へ戻る、第1閉ループが、通信可能に成立するか否か、及び、管理本体部41から、電力線92、CPU31、内部信号線82、CPU71、及び電力線93を経て、管理本体部41へ戻る、第2閉ループが、通信可能に成立するか否か、をそれぞれ検知するようになっている。
【0018】
外部異常検知手段4Bは、電圧検出機構によって、電圧異常を呈している電源コードを検知するようになっている。ここでは、外部異常検知手段4Bは、電圧検出器42によって、制御用電源コード5の異常を検知し、及び、電圧検出器43によって、定着用電源コード6の異常を検知するようになっている。
【0019】
第1表示手段4Cは、内部異常検知手段4Aが上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、表示部103に、当該閉ループにおける内部異常を知らせる表示を行わせるようになっている。ここでは、第1表示手段4Cは、内部異常検知手段4Aが第1閉ループの通信不成立を検知した場合に、表示部103に、内部異常、すなわち内部信号線81の異常、を知らせる表示を行わせ、及び、内部異常検知手段4Aが第2閉ループの通信不成立を検知した場合に、表示部103に、内部異常、すなわち内部信号線82の異常、を知らせる表示を行わせるようになっている。
【0020】
第2表示手段4Dは、外部異常検知手段4Bが電圧異常を呈している電源コードを検知した場合に、表示部103に、当該電源コードに基づく外部異常を知らせる表示を行わせるようになっている。ここでは、第2表示手段4Dは、外部異常検知手段4Bが電圧異常を呈している制御用電源コード5を検知した場合に、表示部103に、外部異常、すなわち制御用電源コード5の異常、を知らせる表示を行わせ、及び、外部異常検知手段4Bが電圧異常を呈している定着用電源コード6を検知した場合に、表示部103に、外部異常、すなわち定着用電源コード6の異常、を知らせる表示を行わせるようになっている。
【0021】
第1仕様変更手段4Eは、内部異常検知手段4Aが上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、電力線による通信のみによって、上記システムを制御するようになっている。ここでは、第1仕様変更手段4Eは、内部異常検知手段4Aが第1閉ループの通信不成立を検知した場合に、電力線91、92による通信のみによって、CPU11、31を制御し、及び、内部異常検知手段4Aが第2閉ループの通信不成立を検知した場合に、電力線92、93による通信のみによって、CPU31、71を制御するようになっている。
【0022】
第2仕様変更手段4Fは、内部異常検知手段4Aがオプション部のCPUを含む上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、オプション部を本体部から切り離すようになっている。ここでは、第2仕様変更手段4Fは、内部異常検知手段4Aがオプション部10BのCPU71を含む第2閉ループの通信不成立を検知した場合に、オプション部10Bを本体部10Aから切り離すようになっている。
【0023】
次に、上記構成の画像形成装置10の作動を、図3に示されたフローチャートに基づいて、説明する。
【0024】
[1]まず、電源スイッチをオンすると(ステップ(以下「S」と記す)1)、装置10が起動して、作動開始状態となる(S2)。このとき、外部異常検知手段4Bが作動して(S3)、制御用電源コード5及び/又は定着用電源コード6の、異常が検知される(S4)。
【0025】
(1a)外部異常検知手段4Bによって異常が検知された場合には、第2表示手段4Dが作動して(S5)、表示部103に、外部異常があることが表示される(S6)。外部異常の表示としては、例えば「警告」という文字を使用する。これにより、操作者は、外部異常があること、すなわち、制御用電源コード5及び/又は定着用電源コード6が所定のコンセントに正常に差し込まれていないこと、を知ることができ、その復旧を行うことができる(S7)。
【0026】
(1b)一方、外部異常検知手段4Bによって異常が検知されなかった場合には、第2表示手段4Dは作動せず、良好な作動開始状態が維持される。
【0027】
[2]次に、作動開始スイッチをオンすると(S8)、内部異常検知手段4Aが作動して(S9)、第1閉ループ及び/又は第2閉ループが、通信可能に成立するか否かが、検知される(S10)。
【0028】
(2a)内部異常検知手段4Aによって、第1閉ループ及び/又は第2閉ループの、通信不成立が検知された場合には、第1表示手段4Cが作動して(S11)、表示部103に、内部異常があることが表示される(S12)。内部異常の表示としては、例えば「トラブル」という文字を使用する。これにより、操作者は、内部異常があること、すなわち、内部信号線81及び/又は内部信号線82が断線していること、を知ることができる。
【0029】
そして、内部異常検知手段4Aによって内部異常が検知された場合には、第1仕様変更手段4E及び/又は第2仕様変更手段4Fが次のように作動して、内部異常の復旧が自動で行われる。
【0030】
(a)内部信号線81の断線が検知された場合には、第1仕様変更手段4Eが作動して(S13)、電力線91、92による通信(PLC通信)のみによって、CPU11、31が制御される(S14)。これにより、装置10は、所期の作動を実行する(S15)。
【0031】
(b)内部信号線82の断線が検知された場合には、次のいずれかのように作動する。
(b1)第1仕様変更手段4Eが作動して(S13)、電力線92、93による通信(PLC通信)のみによって、CPU31、71が制御される(S14)。これにより、装置10は、所期の作動を実行する(S15)。
(b2)第2仕様変更手段4Fが作動して(S16)、オプション部10Bを本体部10Aから切り離す。これにより、装置10は、本体部10Aのみが所期の作動を実行する(S17)。
【0032】
一方、内部異常検知手段4Aによって異常が検知されなかった場合には、第1表示手段4Cは作動せず、装置10は所期の作動を実行する(S15)。
【0033】
以上のように、上記構成の画像形成装置10によれば、操作者は、外部異常と内部異常とを区別して知ることができるので、内部異常であるのに操作者が外部点検を行ったり、外部異常であるのに操作者が内部点検を行ったりするのを、防止でき、したがって、点検・復旧作業の効率を向上できる。
【0034】
なお、システムが有するCPUの個数は、上述した3個に限らず、2個又は4個以上でもよい。その場合でも、CPU相互間は、内部信号線によって通信可能に接続されており、また、全てのCPUは、それぞれ、電力線によって、管理本体部41に接続されている。
【0035】
また、電源及び電源コードの個数も、上述した2個に限らず、3個以上でもよい。その場合でも、全ての電源は、それぞれ、別々の電源コードによって、別々のコンセントに接続されている。そして、管理部は、全ての電源コードの間に介設されている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の通信システム機器は、外部異常か内部異常かを検知できる構成を有しているので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0037】
1、2 電源 110 表示部 4 管理部 42、43 電圧検出器 4A 内部異常検知手段 4B 外部異常検知手段 4C 第1表示手段 4D 第2表示手段 4E 第1仕様変更手段 4F 第2仕様変更手段 5 制御用電源コード 6 定着用電源コード 11、31、71 CPU 81、82 内部信号線 91、92、93 電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のCPUと、
CPUに電力を供給する、相互に独立した、2個以上の電源と、
全ての電源を、それぞれ、別々のコンセントに接続するための、電源コードと、
を備えた、システムを、有しており、
CPU間の内部信号線を介した通信によって、上記システムが制御されるようになっている、
通信システム機器において、
全ての電源コードの間に介設された管理部と、
全てのCPUを、それぞれ、管理部に接続する、電力線と、
を備えており、
管理部は、
電力線を通信回線として利用できるよう構成されており、
管理部から、電力線、CPU、内部信号線、別のCPU、及び別の電力線を経て、管理部へ戻る、閉ループが、通信可能に成立するか否かを、検知する、内部異常検知手段と、
各電源コードの電圧を検出する電圧検出機構を備え、電圧検出機構によって、電圧異常を呈している電源コードを検知する、外部異常検知手段と、
を有していることを特徴とする、通信システム機器。
【請求項2】
作動の状態を表示する表示部を、備えており、
管理部は、内部異常検知手段が上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、表示部に、当該閉ループにおける内部異常を知らせる表示を行わせる、第1表示手段を、更に備えている、
請求項1記載の通信システム機器。
【請求項3】
作動の状態を表示する表示部を、備えており、
管理部は、外部異常検知手段が電圧異常を呈している電源コードを検知した場合に、表示部に、当該電源コードに基づく外部異常を知らせる表示を行わせる、第2表示手段を、更に備えている、
請求項1又は2に記載の通信システム機器。
【請求項4】
管理部は、内部異常検知手段が上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、電力線による通信のみによって、上記システムを制御する、第1仕様変更手段を、更に備えている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の通信システム機器。
【請求項5】
上記システムが、CPUを有する本体部と、CPUを有するオプション部と、を備えており、
管理部は、内部異常検知手段がオプション部のCPUを含む上記閉ループの通信不成立を検知した場合に、オプション部を本体部から切り離す、第2仕様変更手段を、更に備えている、
請求項1乃至4のいずれか一つ記載の通信システム機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−64565(P2011−64565A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215304(P2009−215304)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】