通信ネットワークにおけるプロトコルネゴシエーションのための方法、システムおよび装置
ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散方法が開示される。ネットワークは、本方法を実行するように指定された少なくとも1つのノードを備える。本方法では、指定ノードは、自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき設定パラメータに係わるローカル決定を実施する(M3)。指定ノードは、もしあれば他の指定ノードにそのローカル決定を送信し、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する(M4)。その受信に続いて、指定ノードは、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づき、設定パラメータに係わる共同決定を実施する(M5)。共同決定は、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークで使用する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のネットワークでは、様々なネットワーク要素の設定時点において、オフラインで読み出された多くの事前知識および情報が使用され、その後この設定は、ネットワークが運用中の長期にわたり、ほとんど変更されない。この事前知識は、いくつかの例を挙げると、ネットワーク内のネットワーク要素数、トポロジ、リンクおよびネットワーク要素の容量、ならびにQoS特性から成る。
【0003】
将来のネットワーキングでは、全く新しい次元の動的性質が期待されている。アンビエントネットワーク(AN、Ambient Network)は、新しいネットワーキング概念であり、異なるオペレータ領域または技術領域に属し得る異種のネットワークの連携を可能にすることを目指している。この連携は、トランスペアレントで、オンデマンドで確立され、それ故「プラグアンドプレイ」動作をサポートすべきである。すなわち、ネットワークを形成するとき、およびどのように互いに接続するかについて、以前の設定もネゴシエーションも必要とされるべきでない。
【0004】
アンビエントネットワーク(AN)は、第6次フレームワークプログラムの優先テーマの情報社会技術(IST、Information Society Technology)のもとで、欧州委員会が協賛している総合計画(IP、Integrated Project)である。
【0005】
この新しい構想は、検討され、ワイヤレスワールドイニシアティブの一部であるアンビエントネットワーク計画に成長した。アンビエントネットワークは、第6次フレームワークプログラムの優先テーマの情報社会技術のもとで、欧州委員会が協賛している総合計画である。この計画は、2004年に開始され、2007年に終了する第2フェーズを現在実施中である。アンビエントネットワーク概念に基づくネットワークは、2012〜2015年頃に、ことによるともっと早くに運用開始になりうる。
【0006】
アンビエントネットワーキングに関して作成または再規定されなければならない多くの概念の中でも、これらの異種のネットワークが混成される特徴が予見できることから、ルーティングは最も重要なものの1つである。同一のネットワーク要素が、ある時点のいわゆるアドホックネットワーク環境において、設置されて使用され、その後、より固定的なインフラタイプのネットワーク環境に、移動され再設置されてもよい。このタイプの動作環境に関しては、異なる動作環境において異なるルーティングプロトコルを使用できるマルチプロトコルルーティングアプローチが、「どれにも合う(one-size-fits-all)」単一プロトコルアプローチに代わるものとして妥当と思われる。
【0007】
しかし、複数のルーティングプロトコルが同時に動作するのを許すことによって、かつ異なる環境および同じ環境でさえも複数のプロトコルを実施することによって、ネットワーク領域内およびネットワーク領域間で、できるだけ効率的に情報をルーティングしうるように、サポートしているプロトコルの中からどのように選ぶかの問題が生じる。
【0008】
マルチプロトコル環境を考慮した2つのアプローチが、非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【0009】
非特許文献1では、どのプロトコルが使用されなければならないかを識別するために使用しうるホスト情報を配信するために、ディレクトリサービスを使用するプロトコルネゴシエーション解決手段が提案されている。ディレクトリが利用可能でない場合、ネゴシエーションプロトコルは、使用可能なプロトコルを発見するために、通信中のピアを調べてもよい。従って、使用されているアプローチは、マルチプロトコル通信をサポートするために、調査とディレクトリサービスを混合している。
【0010】
非特許文献2は、この相互接続性を提供するために、いくつかの目標の設定を含む相互接続性についての調査を提示する。異種の混成は、プロトコルミスマッチまたはインタフェースミスマッチと描写される。これらの問題を解決または軽減する3つの可能なアプローチも提示されている。
【0011】
第1のアプローチは、ペアワイズアプローチであり、このアプローチでは、コンポーネントAがコンポーネントBとの通信を望むとき、1対の変換機能が存在すると想定している。AメッセージからBメッセージへの変換に加えて逆方向への変換も存在しなければならないことから、1対の機能が必要である。第2のアプローチは、共通言語アプローチであり、このアプローチでは、特殊言語Sが使用され、あらゆるコンポーネントがその言語で連絡しうる。これは、単一標準と見なしてもよく、このアプローチはXDNMに最も近い。最後のアプローチは仲介者アプローチ、すなわち第三者がいるハイブリッドアプローチであり、各第三者は、種々の環境で使用される多くのプロトコルの中のあるサブセットを理解する。
【0012】
特許文献1および特許文献2は、より高いスループットの提供またはモデムの標準ハンドシェイク手順で確立された最初に決めた設定の維持の提供のプロセスに係わるペアに対してより良い機能を選択するために、各モデムがサポートしている機能の情報交換を通じて通信を改善するように、モデム間での機能のネゴシエーションについての提案に焦点を合わせており、非常に具体的である。
【0013】
特許文献3では、ローカルネットワークの要素による、自要素の通信のために共通プロトコルの設定を可能にする解決手段を著者が明記している。この文献は、2つの係わるノード間の実施プロセスを開示している。提案の解決手段の基本動作は、各ネットワーク要素が使用するプロトコルの互換性を検証し、同様である場合、変更は行われないが、それぞれの要素が異なるプロトコルで動作している場合、それらの1つの要素が、使用すべきプロトコルを決定するより優先順位の高い局に選択される。別の制約は、それがCSMA/CD LANでだけ機能することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4953210号明細書(Paul E. McGlynn他、「同期モデムのための機能ネゴシエーションプロトコル(Feature negotiation protocol for a synchronous modem)」、出願日:1990年2月22日、発行日:1990年8月28日)
【特許文献2】米国特許第4905282号明細書(Paul E. McGlynn他、「機能ネゴシエーションプロトコルおよび高速半二重モデムのための動的調節可能再教育手順(Feature Negotiation Protocol and Dynamically Adjustable RetrainingSequence for a High Speed Half Duplex MODEM)」、出願日:1988年10月19日、発行日:1990年2月27日)
【特許文献3】米国特許第5586117号明細書(Brian C. Edem他、「複数のプロトコル能力を有するデバイスによる、共通プロトコル設定への設定を可能にする方法および装置(Method and Apparatus Which allows Device with Multiple ProtocolCapabilities to Configure to a Common Protocol Configuration)」、出願日:1994年6月20日、発行日:1996年12月17日
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Clark, R.、 Ammar, M.、 Calvert, K.共著、「マルチプロトコルネットワークにおけるプロトコル発見(Protocol discovery in multi protocol networks)」、Mobile and Networks Applications Journal、2006年6月、オンライン出版 http://www.springerlink.com/content/hn3241724163620x
【非特許文献2】F. Bamberger、 P. Ford、 J. M. Wing、「NIIに関するR&Dの「相互接続性」セクション:技術チャレンジ(“Interoperability,” section inR&D for the NII: Technical Challenges)」、M. K. Vernon、 E. D. Lazowska、 S. D. Personick報告書編集、Interuniversity Communications Council, Inc.(EDUCOM)、 1994年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散の方法が提供され、そのネットワークは本方法を実行するように指定された少なくとも1つのノードを備え、指定のノードにおいて、自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する工程と、もしあれば他の指定ノードへそのローカル決定を送信する工程と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する工程と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する工程とを備える分散方法が提供される。
【0017】
本方法は、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関するネットワーク情報を受信する工程と、受信した情報を用いてローカル決定を実施する工程とを備えてもよい。
【0018】
本方法は、共同決定を非指定ノードに送信する工程を備えてもよい。
【0019】
決定アルゴリズムは、少なくとも1つの指定ノードが行った最も多いローカル決定を採用する工程を備えてもよい。
【0020】
共同決定を実施する工程は、自ノードのローカル決定および少なくとも1つの指定ノードから受信したローカル決定の中で過半数を占める決定を採用する工程を備えてもよい。
【0021】
ノードの動作環境情報は、そのノードの重さを備えてもよく、共同決定を実施する工程は、最大の重さを有する少なくとも1つの指定ノードが行った決定を採用する工程を備えてもよい。
【0022】
設定パラメータは、ネットワークで用いるルーティングプロトコルと、ネットワークインタフェースアドレスと、接続確立用のシグナリングプロトコルと、モビリティ管理用のプロトコルと、コーデックと、リンク層スケジューリングアルゴリズムと、送信電力の少なくとも1つを備えてもよい。
【0023】
ローカル動作環境情報は、ノードがサポートしているプロトコルと、例えば処理能力および利用可能メモリなどのノードのハードウェア仕様と、例えばアドレス指定情報などのネットワークノード間のリンクおよび/またはインタフェースと、ノードの1つ以上のアイデンティティと、ネットワーク内のノード数と、例えばサポートしている能力、メディアおよび符号化のサポート、実施ポリシーなどのノードの状態情報と、デフォルトルーティングパラメータと、追加でネゴシエートするパラメータの中の、少なくとも1つを備えてもよい。
【0024】
本方法は、ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定ノードに、そこでの本方法の実行に使用するために送信する工程を備えてもよい。
【0025】
本方法は、少なくとも1つの他のノードへの情報の送信が、情報に領域境界を越えさせるだろうかどうかを判定する工程と、越えないと判定された場合だけ情報を送信する工程を備えてもよい。
【0026】
本方法は、所定の間隔でローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0027】
本方法は、ローカル動作環境情報に影響を与える変更の発生に応じて、ローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0028】
本方法は、同じ領域内の別のノードだけにローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0029】
ネットワークは、単一の領域であっても、または単一の領域に関しても、または単一の領域を備えてもよい。
【0030】
ネットワークは、本方法を実行するように指定された複数のノードを備えてもよい。
【0031】
ネットワークのすべてのノードが、本方法を実行するように指定されてもよい。
【0032】
ネットワークは、IPネットワークを備えてもよい。
【0033】
本方法は、各指定ノードで種々の工程を実行し、それによりシステム全体の方法の提供を備えてもよい。
【0034】
本方法は、例えば共通設定パラメータに基づいた接続の確立などにより、共通設定パラメータを適用する工程を備えてもよい。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散方法の少なくとも一部を実行するように指定された、ネットワーク内のノードとして使用するかまたはノード内で使用する装置が提供され、本装置は、ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、もしあれば他の指定ノードにそのローカル決定を送信する手段と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える。
【0036】
本装置は、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段を備えてもよく、受信した情報はローカル決定の実施に用いられる。
【0037】
本装置は、共同決定を非指定ノードに送信する手段を備えてもよい。
【0038】
共同決定を実施する手段は、少なくとも1つの指定ノードが行った最も多いローカル決定を採用するように構成されてもよい。
【0039】
共同決定を実施する手段は、自ノードのローカル決定および少なくとも1つの指定ノードから受信したローカル決定の中から、過半数を占める決定を採用するように構成されてもよい。
【0040】
ノードの動作環境情報はノードの重さを備えてもよく、共同決定を実施する手段は、最大の重さを有する少なくとも1つのノードが行った決定を採用するように構成されてもよい。
【0041】
本装置は、ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定ノードに、そこでの本方法の実行に使用するために送信する手段を備えてもよい。
【0042】
本装置は、少なくとも1つの他のノードへの情報の送信が情報に領域境界を越えさせるだろうかどうかを判定する手段と、越えないと判定された場合だけ情報を送信する手段とを備えてもよい。
【0043】
本装置は、例えば共通設定パラメータに基づいた接続の確立などにより、共通設定パラメータを適用する手段を備えてもよい。
【0044】
本発明の第3の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散型システムが提供され、本システムは、ネットワークの少なくとも1つの指定ノードのそれぞれにおいて、自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、もしあれば他の指定ノードへそのローカル決定を送信する手段と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える。
【0045】
本システムは、各指定ノードにおいて、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段と、受信した情報を使用してローカル決定を実施する手段とを備えてもよい。
【0046】
本システムは、各指定ノードにおいて、共同決定を非指定ノードに送信する手段を備えてもよい。
【0047】
本発明の第4の態様によれば、装置を本発明の第1の態様による方法を実施するように制御するプログラム、または、装置にロードされたとき、装置を本発明の第2または第3の態様による装置にするプログラムが提供される。本プログラムは、運搬媒体で運ばれてもよい。運搬媒体は記憶媒体でもよい。運搬媒体は伝送媒体でもよい。
【0048】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様によるプログラムによってプログラムされた装置が提供される。
【0049】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第4の態様によるプログラムを格納している記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態の動作例の説明に使用する図である。
【図2A】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図2B】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図2C】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態とともに使用するための、サポートしているある種のインタフェースおよびルーティングプロトコルを有するデバイス例を示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態による、ネットワークノードが実行するステップを示す図である。
【図4B】本発明の一実施形態による、ネットワークノードが実行するステップを示す図である。
【図5】パーソナルエリアネットワーク(PAN)用のルーティングプロトコルを選択するために、3つのデバイスが本発明の一実施形態に従って動作する一例の説明に使用する図である。
【図6A】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図6B】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図6C】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図7】ホームアクセスネットワーク用のルーティングプロトコルを選択するために、6つのデバイスが本発明の一実施形態に従って動作する一例の説明に使用する図である。
【図8A】本発明の一実施形態において、図7のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態において、図7のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態で実行されるステップを示す概略フロー図である。
【図10】本発明を具体化するデバイスの部品を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
上記で説明したように、ネットワーク要素の動的設定は現在非常に限られており、この限られている主な理由は、ネットワークが自らの設定および環境について「自己認識」する能力を持たないことである。この知識は、ほとんどの場合中央管理システムに存在し、そこからネットワーク要素は設定情報を取得する。
【0052】
動的設定がサポートされている数少ない例外は、ある種のルーティングプロトコルを用いたルータでのルーティングテーブルの作成と、ホスト構成プロトコルを用いたホストのIPアドレスの設定である。
【0053】
しかし、これらの数少ない例はよく制御されたネットワーク環境で動作し、そこでは、ネットワークトポロジおよびある種の機能の異なるネットワーク要素への分配は、ルーティングプロトコルまたはホスト構成プロトコルが動作する以前に既知となっている。
【0054】
将来のネットワークでは、ネットワークトポロジおよび機能の分配が前もってわかると想定することはできない。さらに、ネットワークトポロジおよび機能は、(急速に)変化するかも知れず、ひいては動作環境の変化のために、ネットワーク要素のオンデマンドかつリアルタイムの再設定の必要があろう。
【0055】
上記で提示の論文および特許のいずれにおいても、起こりうる環境を検証するためにネットワーク要素間のネゴシエーションの問題に注目し、異種の要素をサポートしうる通信インフラストラクチャをより容易かつより自動的に提供するために、ノードの利用可能な技術およびプロトコルを考慮して最善のものを選択することはなされていない。本発明の一実施形態では、新規な方法を規定することによって、現在の最先端技術のこれらの欠点に取り組むことを目指している。新規な方法は、広報(dissemination)・ネゴシエーション・決定スキームを通じてネットワーク動作環境をネットワーク要素が知るようになることで、ネットワーク要素を動的に選択し設定するために使用しうるものである。
【0056】
本発明の一実施形態による解決策は、本明細書では「拡張ネットワーク環境発見およびネゴシエーション方法(XDNM、Extensible Network Environment Discovery and Negotiation Method)」と称する方法を使用し、XDNMによって広報されたある種の情報のセットに基づき、使用すべき最善のルーティングプロトコルであろうプロトコルを選択決定する。プロトコルは、ネットワーク要素間のインタフェースにまたがって領域内ルーティングかそれとも領域間ルーティングが使用されるべきかについても決定できよう。
【0057】
XDNMは、適切なルーティングプロトコルを選択するための「メタプロトコル」として使用されるだけの範囲に限定されないことは明らかであり、ネットワーク要素の他のリアルタイム設定の基盤としての使用に役立つ「メタプロトコル」でもあってもよい。
【0058】
以下の記述では、本発明の一実施形態の基本概念について適切なルーティングプロトコルの選択に関して述べるが、上記で説明したように、本発明は、他の設定パラメータの選択決定に使用されてもよい。そのような例は、ネットワークインタフェースアドレス、接続確立用のシグナリングプロトコル、およびモビリティ管理用のプロトコルであろう。
【0059】
XDNMを適用しうる典型的な状況は、あらゆる要素における以前の設定を用いずに、ネットワークのノードが使用する機能およびプロトコルを設定する状況である。そのような機能の設定が、ネットワーク動作環境を「自己認識」するXDNMの特性によって可能になる。
【0060】
以下でさらに詳しく説明する特定の例のほかに、XDNMのいくつかの使用例を挙げると、ビデオアプリケーションがネットワークリソースの使用を向上するために使用しなければならないコーデックのネゴシエーション、送信データの衝突を避けるためのリンク層スケジューリングアルゴリズム、およびバッテリ使用時間を長くするために使用すべき無線電力がある。
【0061】
ルーティングプロトコルに関しては、XDNMは、現在の動作環境についての情報に基づき、使用すべき最善のルーティングプロトコルが何であるかについての決定を可能にする。この動作環境情報は、以下から成ることができようが、それらに限定されないことは明らかである。
【0062】
・ネットワーク要素がサポートしているプロトコル
・例えば処理能力および利用可能メモリに関して表された、ネットワーク要素のハードウェア仕様
・ネットワーク要素間のリンク/インタフェースについてのアドレス指定情報を含む情報
・ネットワーク要素のアイデンティティ(場合によっては、アイデンティティはアドレスプレフィックスに等しくできよう)(*)
・領域内のネットワーク要素数
・各ネットワーク要素の「重さ」
・参加ノードのそれぞれがサポートしている能力と、メディアおよび符号化サポートと、実施ポリシーとを含む状態情報
・デフォルトルーティングパラメータ
・オプションでネゴシエートされてもよい追加のパラメータ
なお、上記でアスタリスク(*)の付いた情報は、XDNMの実施において必須とするのが普通であろう。
【0063】
XDNMは、3つの基本フェーズで動作すると考えられてもよい。
1.発見:各ネットワーク要素が、ネットワーク内の他のネットワーク要素に自要素のローカル動作環境情報を広報する。
2.ネゴシエーション:決定を実施する能力のある(決定することを指定された)各ネットワーク要素が、自要素のローカル決定アルゴリズムを用いて1つ以上の設定パラメータに係わるローカル(または仮の)決定を行う。この決定は、ネットワーク内の他のネットワーク要素に広報される。
3.決定:各々の指定された決定実施ネットワーク要素は、そのように指定された他のネットワーク要素が行ったローカル決定を受信時、ネットワークに関して1つの共同決定を選択実施する同じ所定の共同決定アルゴリズムを実行する。そのようなネットワーク要素のそれぞれが異なるローカル決定を行ったかもしれないので、これは重要である。
【0064】
XDNM動作の全部を説明しうるシナリオは、以下の通りである(図1を参照して記述)。ネットワーク要素N1が無線ネットワークに到着し、そのWLANインタフェースがネットワーク要素N2からの信号を検出する。XDNMによって、N1とN2は、上に挙げたようなタイプの情報を送信することによって、それらのローカル動作環境を相互に発見することになる。次いでN1とN2は、やはりXDNMによって、どれほどの無線送信電力を使用すべきかをネゴシエートし、決定し、そして最後に設定する。
【0065】
この初期フェーズの後に、N1のネットワークへの入場を許可するアドレスを取得および設定するために、第2のネゴシエーションおよび決定「レベル」が開始され得る。次いで、N1はサービス(例えば、ノードN3とのテレビ会議セッション)を要求し、所望のサービスに直接接続することが可能かどうかを検証すべきである(これはXDNM以外の手段で行われる)。可能でない場合、N3(および場合によっては他のネットワーク要素)との通信を可能にするために使用するルーティングプロトコルを設定するために、別のネゴシエーションの開始が必要になる。
【0066】
プロトコルネゴシエーションに関しては、サポートされているプロトコルおよび動作環境に関する他のパラメータが、ネットワーク要素間で交換され、事前設定のポリシーに従って決定される。そのようなポリシーの例は、過半数決定、加重決定またはデフォルトプロトコルを挙げることができるが、これらに限定されない(以下のさらなる記述を参照されたい)。
【0067】
XDNMがルーティングプロトコルのネゴシエーションに使用される例に関しては、以下の6つの起こりうるシナリオの中から1つを決定できよう。
1.ルーティングの必要なし。基本接続で十分である。
2.ルーティングが必要であり、適切な領域内プロトコルが選ばれる。
3.現在のプロトコルを取り替えるために、新しいプロトコルが選ばれる。
4.領域間でプロトコル変換が使用される(プロトコル変換はネットワーク要素内で常に起こっており、本明細書ではこれ以上説明しない)。
5.領域間ルーティングプロトコルが使用される(領域境界で行われる)。
6.ネットワーク要素が経路選定を望まない。パケットをパケットの経路選定ができるピアに転送する(ルーティング能力があるネットワーク要素による、ネットワークで使用するルーティングプロトコルのネゴシエーションとともに行われるローカル決定)。
【0068】
特に能力の乏しいデバイスにおけるネゴシエーションを加速するために、恐らく環境に合わせて作られたルーティングプロトコルほど効率的ではないが、多くの異なるタイプの動作環境において高効率で使用できるデフォルトルーティングプロトコルの存在を、XDNMは当てにしてもよい。
【0069】
本発明の一実施形態について、各フェーズがいくつかの計算ステップから成る複数の異なるフェーズに関して、ここで図4Aおよび4Bを参照してより詳細に説明する。これらのフェーズおよび計算ステップについては、以下の別々の見出しのもとでさらに説明する。説明では、ネットワーク要素は安定したネットワーク環境に配置され、全要素がアクティブであると想定している。これは、モビリティおよび無線リンクが存在するネットワークでは当てはまらないかもしれないが、説明のステップはこれらのタイプのネットワーク環境にも適用しうる。必要に応じて、モビリティに関するコメントをステップの説明の中で行う。
【0070】
本発明の一実施形態における動作環境情報の配信について、ここでより詳細に説明する。
【0071】
領域内の各ネットワーク要素は、領域内の他のネットワーク要素のそれぞれに、動作環境についてのローカル情報を配信する責任があり、これは図4AのステップS1(「ローカル環境情報収集」状態)で表されている。ローカル情報の例は前述し他通りである。本明細書での「ローカル」は、1つのネットワーク要素に特有でそれに限定された情報を指し、そのネットワーク要素を領域内の他のネットワーク要素に接続するインタフェースおよびリンクも含む。
【0072】
ネットワーク要素間の動作環境情報を配信するための特定の配信メカニズムは重要ではなく、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0073】
ローカル動作環境情報の配信は様々な手法で行われてもよいし、またネットワークリソースを節約するために限定されてもよい。例えば、情報は、決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素に向けてだけ、および/またはネットワーク要素のサブセットからだけ配信できよう。
【0074】
図2A〜2Cは、いくつかのありうるネットワーク状態を示す。最も簡単な場合は、図2Aに示されるように、ネットワークが存在せず、決定プロセスは両方のノードで行われる。図2Bは次の状態を示し、ネットワークは形成されるが、ルーティングプロトコルは使用されていない。これは、適切なルーティングの決定が行われていない場合であろうが、それに限定されない。図2Cは最終的な状態を示し、これは完全に形成されたネットワークであり、例えば本発明の一実施形態を運用した結果として選ばれて設定されたルーティングプロトコルを有し、本明細書の領域にも相当する。
【0075】
動作環境情報の配信により、環境決定アルゴリズム(XDNMの不可欠の部分)を実行する責任があるネットワーク要素が、領域内のネットワーク要素から入手可能な最新の動作環境情報を入手することが可能になる。
【0076】
以下にさらに詳しく説明する動的特性のおかげで、動作環境情報の配信は、周期的と、また場合によっては動作環境情報に影響を与える変化が起こった場合に直ぐにとの、両方で行われてもよい。
【0077】
無線リンクを使用するネットワークでは、接続が頻繁に行われては終わるかもしれない。これは、ネットワーク要素のすべてに、ほかのすべてのネットワーク要素から連絡可能とはならないことがあるかもしれない結果になろう。この場合、これらの要素は、自要素の動作環境情報を広報できず、決定プロセスに参加しないであろう。これらのネットワーク要素は、後で確立したネットワークの一部になってもよい。
【0078】
本発明の一実施形態の領域境界検出について、ここでより詳細に説明する。
【0079】
動作環境情報の配信は、一般に領域外のネットワーク要素には届かないであろう。領域境界は、アドレスエリア間、セキュリティ制約間、管理責任および/または所有責任間などの境界によって特徴付けられてもよい。従って、配信メカニズムは、あるインタフェース/リンクを越える情報の送信が領域境界を越えることを意味するかどうかを確認することから一般に開始すべきである。領域境界の確認は、例としてアドレスプレフィックス情報および/またはある種のネットワーク(要素)アイデンティティを交換することによって達成されてもよい。領域境界が検出された場合およびそのときは、そのインタフェース/リンクを越えた動作環境情報のそれ以上の交換は一般に行われるべきでない。
【0080】
ネットワーク要素が同時にいくつかの領域に属してもよいことに気付くはずである。このような場合、ネットワーク要素は、動作環境情報がネットワーク要素自体内に存在する領域境界を横切らないように適切に構成されるべきである。
【0081】
領域境界を検出したとき、決定は、一般に、領域間で領域間ルーティングプロトコルを実行することである。
【0082】
本発明の一実施形態の決定アルゴリズム(ローカルおよび共同)について、ここでより詳細に説明する。
【0083】
領域内の1つ以上のネットワーク要素、場合によっては全部のネットワーク要素は、その領域に関して実行する1つのルーティングプロトコルを最終的に選択することになる(ルーティングプロトコルを使用しないという選択肢も含む)決定アルゴリズムを実行する責任を有し、動作環境情報の配信の一部として特定されたルーティングプロトコルの中だけから選択してもよい。ルーティングプロトコルの選択は、上に挙げた動作環境情報を考慮してもよいが、それに限定されない。
【0084】
選択プロセス例には、GSM、WCDMA、BluetoothおよびWLANのインタフェースならびにサポートしているルーティングプロトコル有するセルラ電話機を含むことができよう。
【0085】
図3は、可能なデバイス2を示す。この場合のプロトコルの選択は、現在使用されているインタフェースに基づくことができよう。Bluetoothインタフェースが使用される場合はBluelineプロトコル、また他のインタフェースのいずれかが使用される場合はTORAプロトコルである。
【0086】
この責任を有する各ネットワーク要素は、ネットワーク要素自体の決定アルゴリズムを用いて自要素の(ローカル)決定をまず行う。これは、図4AのステップS2に表されている(「プロトコル選択」状態)。1つを超えるネットワーク要素が決定アルゴリズムを実行する場合、それらの要素はまた、自要素のローカル決定を互いに通知し、他のリモート決定を受信するために待たなければならない。これは、図4AのステップS3に表されている(「リモート決定持ち」状態)。
【0087】
自要素のローカル決定アルゴリズムを実行する異なるネットワーク要素が、利用可能なルーティングプロトコル選択肢のセットの中から異なる決定に達した場合、それらの要素は、同一の共同決定に集合的に合意する必要がある。これは、図4BのステップS4に表されている(「決定戦略」状態)。これは、種々の異なる手法で達成されてもよく、いくつかの例について以下に説明する。ローカル決定アルゴリズムの実行能力があり共同決定に参加するノードは、共同決定を計算する同じロジックを使用するので、共同決定手順が事前設定されるべきである、および/またはデフォルト手順が続く。
【0088】
過半数決定:この場合、決定は、決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素の過半数が行ったローカル決定に基づく。この例では、過半数は、それらの50%を超えるネットワーク要素が同じ決定を行ったことを意味し、次いでこれは、領域全体に責任を負う決定としても合意される。これは、図4BのステップS6に表されている(「最高票のプロトコルの選択」状態)。
【0089】
加重決定:この場合、領域全体に責任を負う決定は、最大の「重さ」を有する決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素が選択したルーティングアルゴリズムを選択することである。いくつかのネットワーク要素が同じ重さを有し、それが最大でもあるが、これらのそれぞれの決定が同一でない場合、(最大の重さを有する)それらの要素の間で、さらに前述の代替手法の過半数決定を行うことができよう。これは、図4BのステップS7に表されている(「加重票によるプロトコルの選択」)。
【0090】
これらは、共同決定にどのように到達するかの単なる例にすぎないことは理解されるであろう。例えば、最も多いローカル決定もまた共同決定として選択でき、当業者には他の形態の決定ロジックも直ちに明白であろう。
【0091】
1つの一貫して筋の通った決定が可能でない場合:共同決定が領域全体に責任を負う同一決定に帰着しないであろう場合、領域を分割するなどの代替案を考慮する必要がある。これは、図4BのステップS5に表されている(「適切なプロトコルが設定されない」状態)。一代替案は、デフォルトルーティングプロトコルに戻ることであろう。
【0092】
ルーティングプロトコルの選択決定の広報:決定アルゴリズムを実行する1つ以上のネットワーク要素がいったんルーティングプロトコルを選択すると、これらのネットワーク要素の少なくとも1つは、選択したルーティングプロトコルの情報を領域内の他のすべてのネットワーク要素に広報する。
【0093】
領域の動的側面:領域は決して静的ではなく、本発明の一実施形態は、ネットワーク要素がどの時点でも領域内に入り出て行ってもよい可能性(おそらくは断続的な接続のため)をサポートする。この場合、動作環境情報を広報後、決定アルゴリズムが実行され、現在のルーティングプロトコルが新しいネットワーク要素によって使用されうるかどうかをチェックすることになる。事実上これは、これらの動的特性のために、決定アルゴリズムが連続的に実行されてもよく、そして以前行った決定を再評価し、変更もしてもよいことを意味する。以前の決定が再評価される頻度は、可能性のあるポリシーとシステムの不安定および望ましくない変動の回避との両方に制約される。
【0094】
通常、すべての決定実施ネットワーク要素は、すべての情報を受信していると想定されているであろう。そのような要素の情報受信を一時的に妨げる、ある種のネットワーク不安定が生じた際に何が起こるかについては、本開示の範囲外である。しかし、要するに、そのような状況では複数回の(再)送信を、たぶん送信ネットワーク要素への確認応答の返信とともに行うことができよう。それでもやはり決定に不一致がある場合(これは、非常に動的なネットワーク環境でさえ非常に起こりそうにない)、ネットワークが安定しておらず、分裂/分割を行うべきと宣言してもよい。従って、あるネットワーク要素がひょっとして異なる共同決定の情報を受信する場合、エラー状態を提起できよう。
【0095】
他の側面:ネットワーク要素がルーティングを行わないことを選ぶ事例があろう。典型的な例は、専用ルータを有するネットワークに属するホストであろう。この場合、ネットワーク要素は、データをしかるべくルーティングする責任があるだろうルータに、すべてのパケットを転送するであろう。ルータの役を務めるネットワーク要素は、この役割を担っていることを領域内の近隣の要素に通知するであろう。
【0096】
別の事例は、決定の実施に係わるネットワーク要素が特定のルーティングプロトコルを使用すべきとの決定に達するが、現時点でそのプロトコルが必要なすべてのネットワーク要素にはサポートされていない場合である。それらのネットワーク要素をルーティングループから除外する代わりに、決定されたルーティングプロトコルをインストールされているネットワーク要素が、選択されたルーティングプロトコルを持たない他のネットワーク要素のそれぞれに、このプロトコルをインストールするように取り計らう。
【0097】
概観すると、本発明の一実施形態による方法は図9に要約される。方法は、領域境界検出ステップM1と、動作環境情報配信ステップM2と、ローカル決定実施ステップM3と、ローカル決定配信ステップM4と、共同決定実施ステップM5と、共同決定配信ステップM6とを備える。
【0098】
本発明の一実施形態によるノードNが、図10に概略的に示されており、図9に示されるステップを実行するそれぞれの部分を備える。具体的には、ノードNは、領域境界検出ステップM1を実行する領域境界検出部P1と、動作環境情報配信ステップM2を実行する動作環境情報配信部P2と、ローカル決定実施ステップM3を実行するローカル決定実施部P3と、ローカル決定配信ステップM4を実行するローカル決定配信部P4と、共同決定実施ステップM5を実行する共同決定実施部P5と、共同決定配信ステップM6を実行する共同決定配信部P6とを備える。配信の一般的ステップがその中に要求、送信および受信のステップを含んでもよいことは理解されるであろう。
【0099】
図10および図11に示される部分の構成および動作は、これまでの説明および以下の説明から明らかになるであろう。
【0100】
パーソナルエリアネットワークの状況における本発明の一実施形態について、ここで図5および図6を参照して説明する。
【0101】
図5は、上記の提案の方法(XDNM)を用いる起動している3つのデバイスを示す。これらのデバイスは、ラップトップ6と2つの携帯電話機2および4(ここでは、「灰色」2および「黒色」4と識別される)を備える。全デバイスは、利用可能なインタフェースの1つを通じて動作環境情報を交換するが、この例ではラップトップだけが決定アルゴリズム(DA)を実行するように指定されている。
【0102】
受信情報を使用して、ラップトップ6は、Bluetooth−ANプロトコルの使用を決定する。その理由は、全デバイスがそのルーティングプロトコルをサポートしていることに加えて、ルーティングに参加しているより小さなデバイスの電池電力を節約するアルゴリズムの要因からである。
【0103】
動作手順およびそれらの動作がなぜおよびどのように行われたかの説明については、図6A〜6Cに示され、以下により詳細に記述する。図6A〜6Cに描かれた動作は要約されているが、XDNM実行の一部として行われる最も関連深い動作を備えていることは理解されるであろう。
【0104】
ステップT1およびT2では、ラップトップ6が灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4のそれぞれに、どのルーティングプロトコルをサポートしているかに特に関する動作環境情報を要求する。この情報は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4からそれぞれステップT3およびT4で提供される。両方とも、リスト{Bluetooth−AN、TORAN}を戻す。
【0105】
ステップT5では、ラップトップ6は、使用すべきルーティングプロトコルを決定しようとする。ラップトップ6自体がリスト{Bluetooth−AN、TORAN、OSPF}のプロトコルをサポートするので、全デバイスに共通の1つを超えるプロトコル{Bluetooth−AN、TORAN}がある。
【0106】
このため、ラップトップ6は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4にそれぞれステップT6およびT7で、サポートしているルーティングプロトコルに関連する電力消費に特に関する追加の動作環境情報を要求する。この情報は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4からそれぞれステップT8およびT9で提供される。
【0107】
ステップT10では、ラップトップ6は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4から受信した追加の動作環境情報を使用して、使用すべき最善のプロトコルはBluetooth−ANと決定する。この決定は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4にそれぞれステップT11およびT12で広報される。
【0108】
先の図9の概要の方法図に関しては、上記のように、ノードが同じ領域に関することが分かっているので、図9の領域境界検出ステップM1は明示的に必要ない。
【0109】
図9の動作環境情報配信ステップM2は、ステップT1〜T4およびT6〜T9に相当する(配信は2段階で実行される)。ラップトップ6も、自装置の動作環境情報を携帯電話機2および4と共有する(とはいえ、この共有の実行に必要なステップは明示的に示されていない)。
【0110】
図9のローカル決定実施ステップM3は、ステップT5およびT10に相当する(決定は2段階で実行される)。
【0111】
ラップトップ6は唯一の指定された決定実施ノードなので、ローカル決定配信ステップM4も共同決定実施ステップM5も必要ない(ローカル決定は共同決定と同等である)。
【0112】
共同決定配信ステップM6はステップT11〜T14に相当する。
【0113】
ホームエリアネットワークの状況における本発明の一実施形態について、ここで図7および8を参照して説明する。
【0114】
図7は、5つの異なるデバイス(ブロードバンドルータ14、WLANアクセスポイント22、ラップトップ18、デスクトップ16およびPDA20)を有するホームエリアネットワークと、領域境界の向こう側のアクセスネットワークに在る別のデバイス(アクセスルータ12)とを示す。図7の全デバイスが提案の方法(XDNM)を実行する一方で、ホームエリアネットワークの3つのデバイスが決定アルゴリズム(DA)の実行も行うように指定され、図7に印が付けられている。
【0115】
以下に示す表は、図7のデバイスのそれぞれがサポートしているインタフェースおよびサポートしているルーティングプロトコルの概要である。図7は、使用しているインタフェースのある特定の設定を描写する、すなわち、ここに挙げているサポートしているインタフェースのすべてをこの特定の設定で使用しているわけではないことに注意すべきである。DAを実行するデバイスは等しい重さを有し、この例では過半数共同決定アルゴリズムを使用しているとも想定している。
【0116】
【表1】
【0117】
種々の要素によって実行される方法のいくつかのステップが図8Aおよび8Bに示されており、これらについて以下に説明する。いくつかの最初のステップは、図8Aおよび8Bには示されていないが、それらについてまず説明する。
【0118】
例えばネットワークまたはノード/デバイスのアイデンティティを識別する情報を送信することによって、XDNMによって領域境界が確認される(図9のステップM1に相当)。この場合、これは、XDNMによりアクセスルータ12とブロードバンドルータ14との間で送信されるこれ以上の情報を発生せず、この特定の場合には、リンクをまたがって使用されるルーティングプロトコルももたらさない。
【0119】
ホームエリアネットワークに関しては、サポートしている(および使用している)インタフェースについての情報および各デバイスがどのルーティングプロトコルをサポートしているかの情報が広報される(図9のステップM2に相当)。ブロードバンドルータ14およびデスクトップ16におけるDAの実行(図9のステップM3に相当)は、これらのノードの両方ともTORANプロトコルを使用するというローカル決定になるのに対して、ラップトップ18のDAの実行は、(ラップトップ18がホームエリアネットワーク内の他の全デバイスにBluetooth−ANプロトコルの無料のダウンロードを提供して)Bluetooth−ANプロトコルを使用するというローカル決定になる。
【0120】
ステップQ1では、各々の指定された決定実施ノードで行われたローカル決定は、他の指定された決定実施ノードに互いに広報される(図9のステップM4に相当)。
【0121】
次いで、各指定された決定実施ノードにおいて、(当該ノードのローカル決定および他の指定された決定実施ノードから受信したローカル決定を備える)ローカル決定のセットに基づき、共同決定が行われる。これは、図9のステップM5に相当する。この場合、過半数決定が行われ、TORANプロトコルがルーティングプロトコルとして選択される。
【0122】
ラップトップ18は、共同決定実施アルゴリズムの実行からもたらされたプロトコルとは異なるプロトコルに決定していたので、ステップQ2で、他の指定された決定実施ノードの特定の1つ(この例では、デスクトップ16)に、そのノードが行った過半数決定を受け入れると通知する。ステップQ5で、ブロードバンドルータ14も、その決定の受け入れをデスクトップに通知する。
【0123】
PDA20は、DAを実行しないので、決定実施ノードが到達したルーティングプロトコルの決定をまだ知らない。ステップQ3で、共同決定の通知を待っていたPDA20に、共同決定が通知される(図9のステップM6に相当)。この例では、PDA20は、電力制約と電池電力の節約のために共同決定を拒否し、どのルーティングプロトコルも使用せずに、ホストの役を務めると決定し、この決定を、ステップQ4で別のノードに通知する。
【0124】
要約すると、本発明の一実施形態は、本明細書ではXDNMとして知られる方法を規定し、この方法は、自己設定しうる(IPネットワークなどの)ネットワークをサポートするために使用されてもよい。ネットワーク要素間でローカル動作環境情報を広報することによって、ネットワーク内のネットワーク要素は、例えば様々なプロトコル選択肢、アドレス等を有するネットワーク要素をどのように適切に設定するかについて、自要素のものだが集合的に合意した決定を行いうる。本発明の一実施形態は、例えばネットワーク要素がネットワークに加わったり出て行ったりしてもよく、それにより以前の決定の継続的な再評価に導き、その結果ネットワーク内のネットワーク要素の再設定にさらに導きうる、動的ネットワーク環境もサポートする。
【0125】
全体として、自己設定ネットワーク要素および自己設定ネットワークは、ネットワーク管理のコストを大幅に改善し、本発明の一実施形態は、所有の総コストの引き下げに向けた重要なステップを提供しうる。
【0126】
1つ以上の上記のコンポーネントの動作がデバイスまたは装置上で動作するプログラムによって制御されてもよいことは理解されるであろう。このような動作プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよく、例えば、インターネットのウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号の中に具体化できよう。添付の特許請求の範囲は、それ自体で、または運搬媒体上の記録として、または信号として、または他の任意の形態で、動作プログラムを包含していると解釈される。
【0127】
添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなしに、上記の実施形態に種々の変更を行いうることも、当業者に理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークで使用する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のネットワークでは、様々なネットワーク要素の設定時点において、オフラインで読み出された多くの事前知識および情報が使用され、その後この設定は、ネットワークが運用中の長期にわたり、ほとんど変更されない。この事前知識は、いくつかの例を挙げると、ネットワーク内のネットワーク要素数、トポロジ、リンクおよびネットワーク要素の容量、ならびにQoS特性から成る。
【0003】
将来のネットワーキングでは、全く新しい次元の動的性質が期待されている。アンビエントネットワーク(AN、Ambient Network)は、新しいネットワーキング概念であり、異なるオペレータ領域または技術領域に属し得る異種のネットワークの連携を可能にすることを目指している。この連携は、トランスペアレントで、オンデマンドで確立され、それ故「プラグアンドプレイ」動作をサポートすべきである。すなわち、ネットワークを形成するとき、およびどのように互いに接続するかについて、以前の設定もネゴシエーションも必要とされるべきでない。
【0004】
アンビエントネットワーク(AN)は、第6次フレームワークプログラムの優先テーマの情報社会技術(IST、Information Society Technology)のもとで、欧州委員会が協賛している総合計画(IP、Integrated Project)である。
【0005】
この新しい構想は、検討され、ワイヤレスワールドイニシアティブの一部であるアンビエントネットワーク計画に成長した。アンビエントネットワークは、第6次フレームワークプログラムの優先テーマの情報社会技術のもとで、欧州委員会が協賛している総合計画である。この計画は、2004年に開始され、2007年に終了する第2フェーズを現在実施中である。アンビエントネットワーク概念に基づくネットワークは、2012〜2015年頃に、ことによるともっと早くに運用開始になりうる。
【0006】
アンビエントネットワーキングに関して作成または再規定されなければならない多くの概念の中でも、これらの異種のネットワークが混成される特徴が予見できることから、ルーティングは最も重要なものの1つである。同一のネットワーク要素が、ある時点のいわゆるアドホックネットワーク環境において、設置されて使用され、その後、より固定的なインフラタイプのネットワーク環境に、移動され再設置されてもよい。このタイプの動作環境に関しては、異なる動作環境において異なるルーティングプロトコルを使用できるマルチプロトコルルーティングアプローチが、「どれにも合う(one-size-fits-all)」単一プロトコルアプローチに代わるものとして妥当と思われる。
【0007】
しかし、複数のルーティングプロトコルが同時に動作するのを許すことによって、かつ異なる環境および同じ環境でさえも複数のプロトコルを実施することによって、ネットワーク領域内およびネットワーク領域間で、できるだけ効率的に情報をルーティングしうるように、サポートしているプロトコルの中からどのように選ぶかの問題が生じる。
【0008】
マルチプロトコル環境を考慮した2つのアプローチが、非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【0009】
非特許文献1では、どのプロトコルが使用されなければならないかを識別するために使用しうるホスト情報を配信するために、ディレクトリサービスを使用するプロトコルネゴシエーション解決手段が提案されている。ディレクトリが利用可能でない場合、ネゴシエーションプロトコルは、使用可能なプロトコルを発見するために、通信中のピアを調べてもよい。従って、使用されているアプローチは、マルチプロトコル通信をサポートするために、調査とディレクトリサービスを混合している。
【0010】
非特許文献2は、この相互接続性を提供するために、いくつかの目標の設定を含む相互接続性についての調査を提示する。異種の混成は、プロトコルミスマッチまたはインタフェースミスマッチと描写される。これらの問題を解決または軽減する3つの可能なアプローチも提示されている。
【0011】
第1のアプローチは、ペアワイズアプローチであり、このアプローチでは、コンポーネントAがコンポーネントBとの通信を望むとき、1対の変換機能が存在すると想定している。AメッセージからBメッセージへの変換に加えて逆方向への変換も存在しなければならないことから、1対の機能が必要である。第2のアプローチは、共通言語アプローチであり、このアプローチでは、特殊言語Sが使用され、あらゆるコンポーネントがその言語で連絡しうる。これは、単一標準と見なしてもよく、このアプローチはXDNMに最も近い。最後のアプローチは仲介者アプローチ、すなわち第三者がいるハイブリッドアプローチであり、各第三者は、種々の環境で使用される多くのプロトコルの中のあるサブセットを理解する。
【0012】
特許文献1および特許文献2は、より高いスループットの提供またはモデムの標準ハンドシェイク手順で確立された最初に決めた設定の維持の提供のプロセスに係わるペアに対してより良い機能を選択するために、各モデムがサポートしている機能の情報交換を通じて通信を改善するように、モデム間での機能のネゴシエーションについての提案に焦点を合わせており、非常に具体的である。
【0013】
特許文献3では、ローカルネットワークの要素による、自要素の通信のために共通プロトコルの設定を可能にする解決手段を著者が明記している。この文献は、2つの係わるノード間の実施プロセスを開示している。提案の解決手段の基本動作は、各ネットワーク要素が使用するプロトコルの互換性を検証し、同様である場合、変更は行われないが、それぞれの要素が異なるプロトコルで動作している場合、それらの1つの要素が、使用すべきプロトコルを決定するより優先順位の高い局に選択される。別の制約は、それがCSMA/CD LANでだけ機能することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4953210号明細書(Paul E. McGlynn他、「同期モデムのための機能ネゴシエーションプロトコル(Feature negotiation protocol for a synchronous modem)」、出願日:1990年2月22日、発行日:1990年8月28日)
【特許文献2】米国特許第4905282号明細書(Paul E. McGlynn他、「機能ネゴシエーションプロトコルおよび高速半二重モデムのための動的調節可能再教育手順(Feature Negotiation Protocol and Dynamically Adjustable RetrainingSequence for a High Speed Half Duplex MODEM)」、出願日:1988年10月19日、発行日:1990年2月27日)
【特許文献3】米国特許第5586117号明細書(Brian C. Edem他、「複数のプロトコル能力を有するデバイスによる、共通プロトコル設定への設定を可能にする方法および装置(Method and Apparatus Which allows Device with Multiple ProtocolCapabilities to Configure to a Common Protocol Configuration)」、出願日:1994年6月20日、発行日:1996年12月17日
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Clark, R.、 Ammar, M.、 Calvert, K.共著、「マルチプロトコルネットワークにおけるプロトコル発見(Protocol discovery in multi protocol networks)」、Mobile and Networks Applications Journal、2006年6月、オンライン出版 http://www.springerlink.com/content/hn3241724163620x
【非特許文献2】F. Bamberger、 P. Ford、 J. M. Wing、「NIIに関するR&Dの「相互接続性」セクション:技術チャレンジ(“Interoperability,” section inR&D for the NII: Technical Challenges)」、M. K. Vernon、 E. D. Lazowska、 S. D. Personick報告書編集、Interuniversity Communications Council, Inc.(EDUCOM)、 1994年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散の方法が提供され、そのネットワークは本方法を実行するように指定された少なくとも1つのノードを備え、指定のノードにおいて、自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する工程と、もしあれば他の指定ノードへそのローカル決定を送信する工程と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する工程と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する工程とを備える分散方法が提供される。
【0017】
本方法は、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関するネットワーク情報を受信する工程と、受信した情報を用いてローカル決定を実施する工程とを備えてもよい。
【0018】
本方法は、共同決定を非指定ノードに送信する工程を備えてもよい。
【0019】
決定アルゴリズムは、少なくとも1つの指定ノードが行った最も多いローカル決定を採用する工程を備えてもよい。
【0020】
共同決定を実施する工程は、自ノードのローカル決定および少なくとも1つの指定ノードから受信したローカル決定の中で過半数を占める決定を採用する工程を備えてもよい。
【0021】
ノードの動作環境情報は、そのノードの重さを備えてもよく、共同決定を実施する工程は、最大の重さを有する少なくとも1つの指定ノードが行った決定を採用する工程を備えてもよい。
【0022】
設定パラメータは、ネットワークで用いるルーティングプロトコルと、ネットワークインタフェースアドレスと、接続確立用のシグナリングプロトコルと、モビリティ管理用のプロトコルと、コーデックと、リンク層スケジューリングアルゴリズムと、送信電力の少なくとも1つを備えてもよい。
【0023】
ローカル動作環境情報は、ノードがサポートしているプロトコルと、例えば処理能力および利用可能メモリなどのノードのハードウェア仕様と、例えばアドレス指定情報などのネットワークノード間のリンクおよび/またはインタフェースと、ノードの1つ以上のアイデンティティと、ネットワーク内のノード数と、例えばサポートしている能力、メディアおよび符号化のサポート、実施ポリシーなどのノードの状態情報と、デフォルトルーティングパラメータと、追加でネゴシエートするパラメータの中の、少なくとも1つを備えてもよい。
【0024】
本方法は、ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定ノードに、そこでの本方法の実行に使用するために送信する工程を備えてもよい。
【0025】
本方法は、少なくとも1つの他のノードへの情報の送信が、情報に領域境界を越えさせるだろうかどうかを判定する工程と、越えないと判定された場合だけ情報を送信する工程を備えてもよい。
【0026】
本方法は、所定の間隔でローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0027】
本方法は、ローカル動作環境情報に影響を与える変更の発生に応じて、ローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0028】
本方法は、同じ領域内の別のノードだけにローカル動作環境情報を送信する工程を備えてもよい。
【0029】
ネットワークは、単一の領域であっても、または単一の領域に関しても、または単一の領域を備えてもよい。
【0030】
ネットワークは、本方法を実行するように指定された複数のノードを備えてもよい。
【0031】
ネットワークのすべてのノードが、本方法を実行するように指定されてもよい。
【0032】
ネットワークは、IPネットワークを備えてもよい。
【0033】
本方法は、各指定ノードで種々の工程を実行し、それによりシステム全体の方法の提供を備えてもよい。
【0034】
本方法は、例えば共通設定パラメータに基づいた接続の確立などにより、共通設定パラメータを適用する工程を備えてもよい。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散方法の少なくとも一部を実行するように指定された、ネットワーク内のノードとして使用するかまたはノード内で使用する装置が提供され、本装置は、ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、もしあれば他の指定ノードにそのローカル決定を送信する手段と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える。
【0036】
本装置は、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段を備えてもよく、受信した情報はローカル決定の実施に用いられる。
【0037】
本装置は、共同決定を非指定ノードに送信する手段を備えてもよい。
【0038】
共同決定を実施する手段は、少なくとも1つの指定ノードが行った最も多いローカル決定を採用するように構成されてもよい。
【0039】
共同決定を実施する手段は、自ノードのローカル決定および少なくとも1つの指定ノードから受信したローカル決定の中から、過半数を占める決定を採用するように構成されてもよい。
【0040】
ノードの動作環境情報はノードの重さを備えてもよく、共同決定を実施する手段は、最大の重さを有する少なくとも1つのノードが行った決定を採用するように構成されてもよい。
【0041】
本装置は、ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定ノードに、そこでの本方法の実行に使用するために送信する手段を備えてもよい。
【0042】
本装置は、少なくとも1つの他のノードへの情報の送信が情報に領域境界を越えさせるだろうかどうかを判定する手段と、越えないと判定された場合だけ情報を送信する手段とを備えてもよい。
【0043】
本装置は、例えば共通設定パラメータに基づいた接続の確立などにより、共通設定パラメータを適用する手段を備えてもよい。
【0044】
本発明の第3の態様によれば、ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散型システムが提供され、本システムは、ネットワークの少なくとも1つの指定ノードのそれぞれにおいて、自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づいて設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、もしあれば他の指定ノードへそのローカル決定を送信する手段と、もしあれば他の指定ノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、その受信に続いて、そのローカル決定および受信したローカル決定に基づいて、指定ノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える。
【0045】
本システムは、各指定ノードにおいて、ネットワークの少なくとも1つの他のノードから少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段と、受信した情報を使用してローカル決定を実施する手段とを備えてもよい。
【0046】
本システムは、各指定ノードにおいて、共同決定を非指定ノードに送信する手段を備えてもよい。
【0047】
本発明の第4の態様によれば、装置を本発明の第1の態様による方法を実施するように制御するプログラム、または、装置にロードされたとき、装置を本発明の第2または第3の態様による装置にするプログラムが提供される。本プログラムは、運搬媒体で運ばれてもよい。運搬媒体は記憶媒体でもよい。運搬媒体は伝送媒体でもよい。
【0048】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様によるプログラムによってプログラムされた装置が提供される。
【0049】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第4の態様によるプログラムを格納している記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態の動作例の説明に使用する図である。
【図2A】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図2B】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図2C】異なるタイプのネットワーク状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態とともに使用するための、サポートしているある種のインタフェースおよびルーティングプロトコルを有するデバイス例を示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態による、ネットワークノードが実行するステップを示す図である。
【図4B】本発明の一実施形態による、ネットワークノードが実行するステップを示す図である。
【図5】パーソナルエリアネットワーク(PAN)用のルーティングプロトコルを選択するために、3つのデバイスが本発明の一実施形態に従って動作する一例の説明に使用する図である。
【図6A】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図6B】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図6C】本発明の一実施形態において、図5のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図7】ホームアクセスネットワーク用のルーティングプロトコルを選択するために、6つのデバイスが本発明の一実施形態に従って動作する一例の説明に使用する図である。
【図8A】本発明の一実施形態において、図7のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態において、図7のデバイスが実行する動作手順例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態で実行されるステップを示す概略フロー図である。
【図10】本発明を具体化するデバイスの部品を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
上記で説明したように、ネットワーク要素の動的設定は現在非常に限られており、この限られている主な理由は、ネットワークが自らの設定および環境について「自己認識」する能力を持たないことである。この知識は、ほとんどの場合中央管理システムに存在し、そこからネットワーク要素は設定情報を取得する。
【0052】
動的設定がサポートされている数少ない例外は、ある種のルーティングプロトコルを用いたルータでのルーティングテーブルの作成と、ホスト構成プロトコルを用いたホストのIPアドレスの設定である。
【0053】
しかし、これらの数少ない例はよく制御されたネットワーク環境で動作し、そこでは、ネットワークトポロジおよびある種の機能の異なるネットワーク要素への分配は、ルーティングプロトコルまたはホスト構成プロトコルが動作する以前に既知となっている。
【0054】
将来のネットワークでは、ネットワークトポロジおよび機能の分配が前もってわかると想定することはできない。さらに、ネットワークトポロジおよび機能は、(急速に)変化するかも知れず、ひいては動作環境の変化のために、ネットワーク要素のオンデマンドかつリアルタイムの再設定の必要があろう。
【0055】
上記で提示の論文および特許のいずれにおいても、起こりうる環境を検証するためにネットワーク要素間のネゴシエーションの問題に注目し、異種の要素をサポートしうる通信インフラストラクチャをより容易かつより自動的に提供するために、ノードの利用可能な技術およびプロトコルを考慮して最善のものを選択することはなされていない。本発明の一実施形態では、新規な方法を規定することによって、現在の最先端技術のこれらの欠点に取り組むことを目指している。新規な方法は、広報(dissemination)・ネゴシエーション・決定スキームを通じてネットワーク動作環境をネットワーク要素が知るようになることで、ネットワーク要素を動的に選択し設定するために使用しうるものである。
【0056】
本発明の一実施形態による解決策は、本明細書では「拡張ネットワーク環境発見およびネゴシエーション方法(XDNM、Extensible Network Environment Discovery and Negotiation Method)」と称する方法を使用し、XDNMによって広報されたある種の情報のセットに基づき、使用すべき最善のルーティングプロトコルであろうプロトコルを選択決定する。プロトコルは、ネットワーク要素間のインタフェースにまたがって領域内ルーティングかそれとも領域間ルーティングが使用されるべきかについても決定できよう。
【0057】
XDNMは、適切なルーティングプロトコルを選択するための「メタプロトコル」として使用されるだけの範囲に限定されないことは明らかであり、ネットワーク要素の他のリアルタイム設定の基盤としての使用に役立つ「メタプロトコル」でもあってもよい。
【0058】
以下の記述では、本発明の一実施形態の基本概念について適切なルーティングプロトコルの選択に関して述べるが、上記で説明したように、本発明は、他の設定パラメータの選択決定に使用されてもよい。そのような例は、ネットワークインタフェースアドレス、接続確立用のシグナリングプロトコル、およびモビリティ管理用のプロトコルであろう。
【0059】
XDNMを適用しうる典型的な状況は、あらゆる要素における以前の設定を用いずに、ネットワークのノードが使用する機能およびプロトコルを設定する状況である。そのような機能の設定が、ネットワーク動作環境を「自己認識」するXDNMの特性によって可能になる。
【0060】
以下でさらに詳しく説明する特定の例のほかに、XDNMのいくつかの使用例を挙げると、ビデオアプリケーションがネットワークリソースの使用を向上するために使用しなければならないコーデックのネゴシエーション、送信データの衝突を避けるためのリンク層スケジューリングアルゴリズム、およびバッテリ使用時間を長くするために使用すべき無線電力がある。
【0061】
ルーティングプロトコルに関しては、XDNMは、現在の動作環境についての情報に基づき、使用すべき最善のルーティングプロトコルが何であるかについての決定を可能にする。この動作環境情報は、以下から成ることができようが、それらに限定されないことは明らかである。
【0062】
・ネットワーク要素がサポートしているプロトコル
・例えば処理能力および利用可能メモリに関して表された、ネットワーク要素のハードウェア仕様
・ネットワーク要素間のリンク/インタフェースについてのアドレス指定情報を含む情報
・ネットワーク要素のアイデンティティ(場合によっては、アイデンティティはアドレスプレフィックスに等しくできよう)(*)
・領域内のネットワーク要素数
・各ネットワーク要素の「重さ」
・参加ノードのそれぞれがサポートしている能力と、メディアおよび符号化サポートと、実施ポリシーとを含む状態情報
・デフォルトルーティングパラメータ
・オプションでネゴシエートされてもよい追加のパラメータ
なお、上記でアスタリスク(*)の付いた情報は、XDNMの実施において必須とするのが普通であろう。
【0063】
XDNMは、3つの基本フェーズで動作すると考えられてもよい。
1.発見:各ネットワーク要素が、ネットワーク内の他のネットワーク要素に自要素のローカル動作環境情報を広報する。
2.ネゴシエーション:決定を実施する能力のある(決定することを指定された)各ネットワーク要素が、自要素のローカル決定アルゴリズムを用いて1つ以上の設定パラメータに係わるローカル(または仮の)決定を行う。この決定は、ネットワーク内の他のネットワーク要素に広報される。
3.決定:各々の指定された決定実施ネットワーク要素は、そのように指定された他のネットワーク要素が行ったローカル決定を受信時、ネットワークに関して1つの共同決定を選択実施する同じ所定の共同決定アルゴリズムを実行する。そのようなネットワーク要素のそれぞれが異なるローカル決定を行ったかもしれないので、これは重要である。
【0064】
XDNM動作の全部を説明しうるシナリオは、以下の通りである(図1を参照して記述)。ネットワーク要素N1が無線ネットワークに到着し、そのWLANインタフェースがネットワーク要素N2からの信号を検出する。XDNMによって、N1とN2は、上に挙げたようなタイプの情報を送信することによって、それらのローカル動作環境を相互に発見することになる。次いでN1とN2は、やはりXDNMによって、どれほどの無線送信電力を使用すべきかをネゴシエートし、決定し、そして最後に設定する。
【0065】
この初期フェーズの後に、N1のネットワークへの入場を許可するアドレスを取得および設定するために、第2のネゴシエーションおよび決定「レベル」が開始され得る。次いで、N1はサービス(例えば、ノードN3とのテレビ会議セッション)を要求し、所望のサービスに直接接続することが可能かどうかを検証すべきである(これはXDNM以外の手段で行われる)。可能でない場合、N3(および場合によっては他のネットワーク要素)との通信を可能にするために使用するルーティングプロトコルを設定するために、別のネゴシエーションの開始が必要になる。
【0066】
プロトコルネゴシエーションに関しては、サポートされているプロトコルおよび動作環境に関する他のパラメータが、ネットワーク要素間で交換され、事前設定のポリシーに従って決定される。そのようなポリシーの例は、過半数決定、加重決定またはデフォルトプロトコルを挙げることができるが、これらに限定されない(以下のさらなる記述を参照されたい)。
【0067】
XDNMがルーティングプロトコルのネゴシエーションに使用される例に関しては、以下の6つの起こりうるシナリオの中から1つを決定できよう。
1.ルーティングの必要なし。基本接続で十分である。
2.ルーティングが必要であり、適切な領域内プロトコルが選ばれる。
3.現在のプロトコルを取り替えるために、新しいプロトコルが選ばれる。
4.領域間でプロトコル変換が使用される(プロトコル変換はネットワーク要素内で常に起こっており、本明細書ではこれ以上説明しない)。
5.領域間ルーティングプロトコルが使用される(領域境界で行われる)。
6.ネットワーク要素が経路選定を望まない。パケットをパケットの経路選定ができるピアに転送する(ルーティング能力があるネットワーク要素による、ネットワークで使用するルーティングプロトコルのネゴシエーションとともに行われるローカル決定)。
【0068】
特に能力の乏しいデバイスにおけるネゴシエーションを加速するために、恐らく環境に合わせて作られたルーティングプロトコルほど効率的ではないが、多くの異なるタイプの動作環境において高効率で使用できるデフォルトルーティングプロトコルの存在を、XDNMは当てにしてもよい。
【0069】
本発明の一実施形態について、各フェーズがいくつかの計算ステップから成る複数の異なるフェーズに関して、ここで図4Aおよび4Bを参照してより詳細に説明する。これらのフェーズおよび計算ステップについては、以下の別々の見出しのもとでさらに説明する。説明では、ネットワーク要素は安定したネットワーク環境に配置され、全要素がアクティブであると想定している。これは、モビリティおよび無線リンクが存在するネットワークでは当てはまらないかもしれないが、説明のステップはこれらのタイプのネットワーク環境にも適用しうる。必要に応じて、モビリティに関するコメントをステップの説明の中で行う。
【0070】
本発明の一実施形態における動作環境情報の配信について、ここでより詳細に説明する。
【0071】
領域内の各ネットワーク要素は、領域内の他のネットワーク要素のそれぞれに、動作環境についてのローカル情報を配信する責任があり、これは図4AのステップS1(「ローカル環境情報収集」状態)で表されている。ローカル情報の例は前述し他通りである。本明細書での「ローカル」は、1つのネットワーク要素に特有でそれに限定された情報を指し、そのネットワーク要素を領域内の他のネットワーク要素に接続するインタフェースおよびリンクも含む。
【0072】
ネットワーク要素間の動作環境情報を配信するための特定の配信メカニズムは重要ではなく、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0073】
ローカル動作環境情報の配信は様々な手法で行われてもよいし、またネットワークリソースを節約するために限定されてもよい。例えば、情報は、決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素に向けてだけ、および/またはネットワーク要素のサブセットからだけ配信できよう。
【0074】
図2A〜2Cは、いくつかのありうるネットワーク状態を示す。最も簡単な場合は、図2Aに示されるように、ネットワークが存在せず、決定プロセスは両方のノードで行われる。図2Bは次の状態を示し、ネットワークは形成されるが、ルーティングプロトコルは使用されていない。これは、適切なルーティングの決定が行われていない場合であろうが、それに限定されない。図2Cは最終的な状態を示し、これは完全に形成されたネットワークであり、例えば本発明の一実施形態を運用した結果として選ばれて設定されたルーティングプロトコルを有し、本明細書の領域にも相当する。
【0075】
動作環境情報の配信により、環境決定アルゴリズム(XDNMの不可欠の部分)を実行する責任があるネットワーク要素が、領域内のネットワーク要素から入手可能な最新の動作環境情報を入手することが可能になる。
【0076】
以下にさらに詳しく説明する動的特性のおかげで、動作環境情報の配信は、周期的と、また場合によっては動作環境情報に影響を与える変化が起こった場合に直ぐにとの、両方で行われてもよい。
【0077】
無線リンクを使用するネットワークでは、接続が頻繁に行われては終わるかもしれない。これは、ネットワーク要素のすべてに、ほかのすべてのネットワーク要素から連絡可能とはならないことがあるかもしれない結果になろう。この場合、これらの要素は、自要素の動作環境情報を広報できず、決定プロセスに参加しないであろう。これらのネットワーク要素は、後で確立したネットワークの一部になってもよい。
【0078】
本発明の一実施形態の領域境界検出について、ここでより詳細に説明する。
【0079】
動作環境情報の配信は、一般に領域外のネットワーク要素には届かないであろう。領域境界は、アドレスエリア間、セキュリティ制約間、管理責任および/または所有責任間などの境界によって特徴付けられてもよい。従って、配信メカニズムは、あるインタフェース/リンクを越える情報の送信が領域境界を越えることを意味するかどうかを確認することから一般に開始すべきである。領域境界の確認は、例としてアドレスプレフィックス情報および/またはある種のネットワーク(要素)アイデンティティを交換することによって達成されてもよい。領域境界が検出された場合およびそのときは、そのインタフェース/リンクを越えた動作環境情報のそれ以上の交換は一般に行われるべきでない。
【0080】
ネットワーク要素が同時にいくつかの領域に属してもよいことに気付くはずである。このような場合、ネットワーク要素は、動作環境情報がネットワーク要素自体内に存在する領域境界を横切らないように適切に構成されるべきである。
【0081】
領域境界を検出したとき、決定は、一般に、領域間で領域間ルーティングプロトコルを実行することである。
【0082】
本発明の一実施形態の決定アルゴリズム(ローカルおよび共同)について、ここでより詳細に説明する。
【0083】
領域内の1つ以上のネットワーク要素、場合によっては全部のネットワーク要素は、その領域に関して実行する1つのルーティングプロトコルを最終的に選択することになる(ルーティングプロトコルを使用しないという選択肢も含む)決定アルゴリズムを実行する責任を有し、動作環境情報の配信の一部として特定されたルーティングプロトコルの中だけから選択してもよい。ルーティングプロトコルの選択は、上に挙げた動作環境情報を考慮してもよいが、それに限定されない。
【0084】
選択プロセス例には、GSM、WCDMA、BluetoothおよびWLANのインタフェースならびにサポートしているルーティングプロトコル有するセルラ電話機を含むことができよう。
【0085】
図3は、可能なデバイス2を示す。この場合のプロトコルの選択は、現在使用されているインタフェースに基づくことができよう。Bluetoothインタフェースが使用される場合はBluelineプロトコル、また他のインタフェースのいずれかが使用される場合はTORAプロトコルである。
【0086】
この責任を有する各ネットワーク要素は、ネットワーク要素自体の決定アルゴリズムを用いて自要素の(ローカル)決定をまず行う。これは、図4AのステップS2に表されている(「プロトコル選択」状態)。1つを超えるネットワーク要素が決定アルゴリズムを実行する場合、それらの要素はまた、自要素のローカル決定を互いに通知し、他のリモート決定を受信するために待たなければならない。これは、図4AのステップS3に表されている(「リモート決定持ち」状態)。
【0087】
自要素のローカル決定アルゴリズムを実行する異なるネットワーク要素が、利用可能なルーティングプロトコル選択肢のセットの中から異なる決定に達した場合、それらの要素は、同一の共同決定に集合的に合意する必要がある。これは、図4BのステップS4に表されている(「決定戦略」状態)。これは、種々の異なる手法で達成されてもよく、いくつかの例について以下に説明する。ローカル決定アルゴリズムの実行能力があり共同決定に参加するノードは、共同決定を計算する同じロジックを使用するので、共同決定手順が事前設定されるべきである、および/またはデフォルト手順が続く。
【0088】
過半数決定:この場合、決定は、決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素の過半数が行ったローカル決定に基づく。この例では、過半数は、それらの50%を超えるネットワーク要素が同じ決定を行ったことを意味し、次いでこれは、領域全体に責任を負う決定としても合意される。これは、図4BのステップS6に表されている(「最高票のプロトコルの選択」状態)。
【0089】
加重決定:この場合、領域全体に責任を負う決定は、最大の「重さ」を有する決定アルゴリズムを実行するネットワーク要素が選択したルーティングアルゴリズムを選択することである。いくつかのネットワーク要素が同じ重さを有し、それが最大でもあるが、これらのそれぞれの決定が同一でない場合、(最大の重さを有する)それらの要素の間で、さらに前述の代替手法の過半数決定を行うことができよう。これは、図4BのステップS7に表されている(「加重票によるプロトコルの選択」)。
【0090】
これらは、共同決定にどのように到達するかの単なる例にすぎないことは理解されるであろう。例えば、最も多いローカル決定もまた共同決定として選択でき、当業者には他の形態の決定ロジックも直ちに明白であろう。
【0091】
1つの一貫して筋の通った決定が可能でない場合:共同決定が領域全体に責任を負う同一決定に帰着しないであろう場合、領域を分割するなどの代替案を考慮する必要がある。これは、図4BのステップS5に表されている(「適切なプロトコルが設定されない」状態)。一代替案は、デフォルトルーティングプロトコルに戻ることであろう。
【0092】
ルーティングプロトコルの選択決定の広報:決定アルゴリズムを実行する1つ以上のネットワーク要素がいったんルーティングプロトコルを選択すると、これらのネットワーク要素の少なくとも1つは、選択したルーティングプロトコルの情報を領域内の他のすべてのネットワーク要素に広報する。
【0093】
領域の動的側面:領域は決して静的ではなく、本発明の一実施形態は、ネットワーク要素がどの時点でも領域内に入り出て行ってもよい可能性(おそらくは断続的な接続のため)をサポートする。この場合、動作環境情報を広報後、決定アルゴリズムが実行され、現在のルーティングプロトコルが新しいネットワーク要素によって使用されうるかどうかをチェックすることになる。事実上これは、これらの動的特性のために、決定アルゴリズムが連続的に実行されてもよく、そして以前行った決定を再評価し、変更もしてもよいことを意味する。以前の決定が再評価される頻度は、可能性のあるポリシーとシステムの不安定および望ましくない変動の回避との両方に制約される。
【0094】
通常、すべての決定実施ネットワーク要素は、すべての情報を受信していると想定されているであろう。そのような要素の情報受信を一時的に妨げる、ある種のネットワーク不安定が生じた際に何が起こるかについては、本開示の範囲外である。しかし、要するに、そのような状況では複数回の(再)送信を、たぶん送信ネットワーク要素への確認応答の返信とともに行うことができよう。それでもやはり決定に不一致がある場合(これは、非常に動的なネットワーク環境でさえ非常に起こりそうにない)、ネットワークが安定しておらず、分裂/分割を行うべきと宣言してもよい。従って、あるネットワーク要素がひょっとして異なる共同決定の情報を受信する場合、エラー状態を提起できよう。
【0095】
他の側面:ネットワーク要素がルーティングを行わないことを選ぶ事例があろう。典型的な例は、専用ルータを有するネットワークに属するホストであろう。この場合、ネットワーク要素は、データをしかるべくルーティングする責任があるだろうルータに、すべてのパケットを転送するであろう。ルータの役を務めるネットワーク要素は、この役割を担っていることを領域内の近隣の要素に通知するであろう。
【0096】
別の事例は、決定の実施に係わるネットワーク要素が特定のルーティングプロトコルを使用すべきとの決定に達するが、現時点でそのプロトコルが必要なすべてのネットワーク要素にはサポートされていない場合である。それらのネットワーク要素をルーティングループから除外する代わりに、決定されたルーティングプロトコルをインストールされているネットワーク要素が、選択されたルーティングプロトコルを持たない他のネットワーク要素のそれぞれに、このプロトコルをインストールするように取り計らう。
【0097】
概観すると、本発明の一実施形態による方法は図9に要約される。方法は、領域境界検出ステップM1と、動作環境情報配信ステップM2と、ローカル決定実施ステップM3と、ローカル決定配信ステップM4と、共同決定実施ステップM5と、共同決定配信ステップM6とを備える。
【0098】
本発明の一実施形態によるノードNが、図10に概略的に示されており、図9に示されるステップを実行するそれぞれの部分を備える。具体的には、ノードNは、領域境界検出ステップM1を実行する領域境界検出部P1と、動作環境情報配信ステップM2を実行する動作環境情報配信部P2と、ローカル決定実施ステップM3を実行するローカル決定実施部P3と、ローカル決定配信ステップM4を実行するローカル決定配信部P4と、共同決定実施ステップM5を実行する共同決定実施部P5と、共同決定配信ステップM6を実行する共同決定配信部P6とを備える。配信の一般的ステップがその中に要求、送信および受信のステップを含んでもよいことは理解されるであろう。
【0099】
図10および図11に示される部分の構成および動作は、これまでの説明および以下の説明から明らかになるであろう。
【0100】
パーソナルエリアネットワークの状況における本発明の一実施形態について、ここで図5および図6を参照して説明する。
【0101】
図5は、上記の提案の方法(XDNM)を用いる起動している3つのデバイスを示す。これらのデバイスは、ラップトップ6と2つの携帯電話機2および4(ここでは、「灰色」2および「黒色」4と識別される)を備える。全デバイスは、利用可能なインタフェースの1つを通じて動作環境情報を交換するが、この例ではラップトップだけが決定アルゴリズム(DA)を実行するように指定されている。
【0102】
受信情報を使用して、ラップトップ6は、Bluetooth−ANプロトコルの使用を決定する。その理由は、全デバイスがそのルーティングプロトコルをサポートしていることに加えて、ルーティングに参加しているより小さなデバイスの電池電力を節約するアルゴリズムの要因からである。
【0103】
動作手順およびそれらの動作がなぜおよびどのように行われたかの説明については、図6A〜6Cに示され、以下により詳細に記述する。図6A〜6Cに描かれた動作は要約されているが、XDNM実行の一部として行われる最も関連深い動作を備えていることは理解されるであろう。
【0104】
ステップT1およびT2では、ラップトップ6が灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4のそれぞれに、どのルーティングプロトコルをサポートしているかに特に関する動作環境情報を要求する。この情報は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4からそれぞれステップT3およびT4で提供される。両方とも、リスト{Bluetooth−AN、TORAN}を戻す。
【0105】
ステップT5では、ラップトップ6は、使用すべきルーティングプロトコルを決定しようとする。ラップトップ6自体がリスト{Bluetooth−AN、TORAN、OSPF}のプロトコルをサポートするので、全デバイスに共通の1つを超えるプロトコル{Bluetooth−AN、TORAN}がある。
【0106】
このため、ラップトップ6は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4にそれぞれステップT6およびT7で、サポートしているルーティングプロトコルに関連する電力消費に特に関する追加の動作環境情報を要求する。この情報は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4からそれぞれステップT8およびT9で提供される。
【0107】
ステップT10では、ラップトップ6は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4から受信した追加の動作環境情報を使用して、使用すべき最善のプロトコルはBluetooth−ANと決定する。この決定は、灰色携帯電話機2および黒色携帯電話機4にそれぞれステップT11およびT12で広報される。
【0108】
先の図9の概要の方法図に関しては、上記のように、ノードが同じ領域に関することが分かっているので、図9の領域境界検出ステップM1は明示的に必要ない。
【0109】
図9の動作環境情報配信ステップM2は、ステップT1〜T4およびT6〜T9に相当する(配信は2段階で実行される)。ラップトップ6も、自装置の動作環境情報を携帯電話機2および4と共有する(とはいえ、この共有の実行に必要なステップは明示的に示されていない)。
【0110】
図9のローカル決定実施ステップM3は、ステップT5およびT10に相当する(決定は2段階で実行される)。
【0111】
ラップトップ6は唯一の指定された決定実施ノードなので、ローカル決定配信ステップM4も共同決定実施ステップM5も必要ない(ローカル決定は共同決定と同等である)。
【0112】
共同決定配信ステップM6はステップT11〜T14に相当する。
【0113】
ホームエリアネットワークの状況における本発明の一実施形態について、ここで図7および8を参照して説明する。
【0114】
図7は、5つの異なるデバイス(ブロードバンドルータ14、WLANアクセスポイント22、ラップトップ18、デスクトップ16およびPDA20)を有するホームエリアネットワークと、領域境界の向こう側のアクセスネットワークに在る別のデバイス(アクセスルータ12)とを示す。図7の全デバイスが提案の方法(XDNM)を実行する一方で、ホームエリアネットワークの3つのデバイスが決定アルゴリズム(DA)の実行も行うように指定され、図7に印が付けられている。
【0115】
以下に示す表は、図7のデバイスのそれぞれがサポートしているインタフェースおよびサポートしているルーティングプロトコルの概要である。図7は、使用しているインタフェースのある特定の設定を描写する、すなわち、ここに挙げているサポートしているインタフェースのすべてをこの特定の設定で使用しているわけではないことに注意すべきである。DAを実行するデバイスは等しい重さを有し、この例では過半数共同決定アルゴリズムを使用しているとも想定している。
【0116】
【表1】
【0117】
種々の要素によって実行される方法のいくつかのステップが図8Aおよび8Bに示されており、これらについて以下に説明する。いくつかの最初のステップは、図8Aおよび8Bには示されていないが、それらについてまず説明する。
【0118】
例えばネットワークまたはノード/デバイスのアイデンティティを識別する情報を送信することによって、XDNMによって領域境界が確認される(図9のステップM1に相当)。この場合、これは、XDNMによりアクセスルータ12とブロードバンドルータ14との間で送信されるこれ以上の情報を発生せず、この特定の場合には、リンクをまたがって使用されるルーティングプロトコルももたらさない。
【0119】
ホームエリアネットワークに関しては、サポートしている(および使用している)インタフェースについての情報および各デバイスがどのルーティングプロトコルをサポートしているかの情報が広報される(図9のステップM2に相当)。ブロードバンドルータ14およびデスクトップ16におけるDAの実行(図9のステップM3に相当)は、これらのノードの両方ともTORANプロトコルを使用するというローカル決定になるのに対して、ラップトップ18のDAの実行は、(ラップトップ18がホームエリアネットワーク内の他の全デバイスにBluetooth−ANプロトコルの無料のダウンロードを提供して)Bluetooth−ANプロトコルを使用するというローカル決定になる。
【0120】
ステップQ1では、各々の指定された決定実施ノードで行われたローカル決定は、他の指定された決定実施ノードに互いに広報される(図9のステップM4に相当)。
【0121】
次いで、各指定された決定実施ノードにおいて、(当該ノードのローカル決定および他の指定された決定実施ノードから受信したローカル決定を備える)ローカル決定のセットに基づき、共同決定が行われる。これは、図9のステップM5に相当する。この場合、過半数決定が行われ、TORANプロトコルがルーティングプロトコルとして選択される。
【0122】
ラップトップ18は、共同決定実施アルゴリズムの実行からもたらされたプロトコルとは異なるプロトコルに決定していたので、ステップQ2で、他の指定された決定実施ノードの特定の1つ(この例では、デスクトップ16)に、そのノードが行った過半数決定を受け入れると通知する。ステップQ5で、ブロードバンドルータ14も、その決定の受け入れをデスクトップに通知する。
【0123】
PDA20は、DAを実行しないので、決定実施ノードが到達したルーティングプロトコルの決定をまだ知らない。ステップQ3で、共同決定の通知を待っていたPDA20に、共同決定が通知される(図9のステップM6に相当)。この例では、PDA20は、電力制約と電池電力の節約のために共同決定を拒否し、どのルーティングプロトコルも使用せずに、ホストの役を務めると決定し、この決定を、ステップQ4で別のノードに通知する。
【0124】
要約すると、本発明の一実施形態は、本明細書ではXDNMとして知られる方法を規定し、この方法は、自己設定しうる(IPネットワークなどの)ネットワークをサポートするために使用されてもよい。ネットワーク要素間でローカル動作環境情報を広報することによって、ネットワーク内のネットワーク要素は、例えば様々なプロトコル選択肢、アドレス等を有するネットワーク要素をどのように適切に設定するかについて、自要素のものだが集合的に合意した決定を行いうる。本発明の一実施形態は、例えばネットワーク要素がネットワークに加わったり出て行ったりしてもよく、それにより以前の決定の継続的な再評価に導き、その結果ネットワーク内のネットワーク要素の再設定にさらに導きうる、動的ネットワーク環境もサポートする。
【0125】
全体として、自己設定ネットワーク要素および自己設定ネットワークは、ネットワーク管理のコストを大幅に改善し、本発明の一実施形態は、所有の総コストの引き下げに向けた重要なステップを提供しうる。
【0126】
1つ以上の上記のコンポーネントの動作がデバイスまたは装置上で動作するプログラムによって制御されてもよいことは理解されるであろう。このような動作プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよく、例えば、インターネットのウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号の中に具体化できよう。添付の特許請求の範囲は、それ自体で、または運搬媒体上の記録として、または信号として、または他の任意の形態で、動作プログラムを包含していると解釈される。
【0127】
添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなしに、上記の実施形態に種々の変更を行いうることも、当業者に理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおける共通設定パラメータを決定するための分散方法であって、前記ネットワークは前記方法を実行するように指定された少なくとも1つのノードを備え、指定されたノードにおいて、
自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する工程と、
自身のローカル決定があれば、該ローカル決定を他の指定されたノードに送信する工程と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する工程と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する工程とを有する分散方法。
【請求項2】
前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する工程と、前記受信情報を使用して前記ローカル決定を実施する工程とを有する請求項1に記載の分散方法。
【請求項3】
前記共同決定を非指定ノードに送信する工程を有する請求項1または2に記載の分散方法。
【請求項4】
前記決定アルゴリズムは、前記少なくとも1つの指定されたノードが行った最も多いローカル決定を採用する工程を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項5】
前記共同決定を実施する工程は、自ノードのローカル決定および前記少なくとも1つの指定されたノードから受信したローカル決定の中から過半数の決定を採用する工程を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項6】
ノードの動作環境情報がそのノードの重さを備え、前記共同決定を実施する工程は、最大の重さを有する前記少なくとも1つの指定されたノードが行った決定を採用する工程を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項7】
前記設定パラメータは、前記ネットワークで使用するルーティングプロトコルと、ネットワークインタフェースアドレスと、接続確立用のシグナリングプロトコルと、モビリティ管理用のプロトコルと、コーデックと、リンク層スケジューリングアルゴリズムと、送信電力の少なくとも1つを備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項8】
前記ローカル動作環境情報は、前記ノードがサポートしているプロトコルと、例えば処理能力および利用可能メモリなどの前記ノードのハードウェア仕様と、例えばアドレス指定情報などのネットワークノード間のリンクおよび/またはインタフェースと、前記ノードの1つ以上のアイデンティティと、前記ネットワーク内のノード数と、例えばサポートしている能力、メディアおよび符号化のサポート、実施ポリシーなどの前記ノードの状態情報と、デフォルトルーティングパラメータと、追加でネゴシエートする情報の少なくとも1つを備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項9】
前記ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定されたノードへ、当該他のノードにおける前記方法の実行で使用するために送信する工程を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの他のノードへの前記情報の送信が、前記情報に領域境界を越えさせるかどうかを判定する工程と、越えさせないと判定した場合だけ前記情報を送信する工程とを有する請求項9に記載の分散方法。
【請求項11】
前記ローカル動作環境情報に影響を与える変化の発生に応えて、前記ローカル動作環境情報を送信する工程を有する請求項9または10に記載の分散方法。
【請求項12】
前記ローカル動作環境情報を同じ領域内の別のノードだけに送信する工程を有する請求項9、10及び11のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項13】
前記ネットワークはIPネットワークを備える請求項1乃至12のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項14】
各指定されたノードにおける前記工程の実行を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項15】
例えば前記共通設定パラメータに基づいた接続の確立により、前記共通設定パラメータを適用する工程を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項16】
ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散方法の少なくとも一部を実行するように指定された、前記ネットワーク内のノードとしてまたはそのノード内で使用する装置であって、
前記ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、
自身のローカル決定があれば、該ローカル決定を他の指定されたノードに送信する手段と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える装置。
【請求項17】
前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードの前記ローカル動作環境に関する情報を受信する手段を備え、前記ローカル決定を実施する手段は前記受信情報に基づき前記ローカル決定を実施するように構成される請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記共同決定を非指定ノードに送信する手段を備える請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記共同決定を実施する手段は、前記少なくとも1つの指定されたノードが行った最も多いローカル決定を採用するように構成される請求項16乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記共同決定を実施する手段は、自ノードのローカル決定および前記少なくとも1つの指定されたノードから受信したローカル決定の中から過半数の決定を採用するように構成される請求項16乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
ノードの前記動作環境情報はそのノードの重さを備え、前記共同決定を実施する手段は最大の重さを有する前記少なくとも1つの指定されたノードが行った決定を採用するように構成される請求項16乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定されたノードへ、当該他のノードにおける前記方法の実行で使用するために送信する手段を備える請求項16乃至21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの他のノードへの前記情報の送信が前記情報に領域境界を越えさせるかどうかを判定する手段と、越えさせないと判定した場合だけ前記情報を送信する手段とを備える請求項16乃至22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
例えば前記共通設定パラメータに基づいた接続の確立により、前記共通設定パラメータを適用する手段を備える請求項16乃至23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散型システムであって、前記ネットワークの少なくとも1つの指定されたノードのそれぞれが、
自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、
自身のローカル決定をもしあれば他の指定されたノードに送信する手段と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段と
を備える分散型システム。
【請求項26】
各指定されたノードにおいて、前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段と、前記受信情報を使用して前記ローカル決定を実施する手段とを備える請求項25に記載の分散型システム。
【請求項27】
各指定されたノードにおいて、前記共同決定を非指定ノードに送信する手段を備える請求項25または26に記載の分散型システム。
【請求項28】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法を実行するように装置を制御するプログラム。
【請求項1】
ネットワークにおける共通設定パラメータを決定するための分散方法であって、前記ネットワークは前記方法を実行するように指定された少なくとも1つのノードを備え、指定されたノードにおいて、
自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する工程と、
自身のローカル決定があれば、該ローカル決定を他の指定されたノードに送信する工程と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する工程と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する工程とを有する分散方法。
【請求項2】
前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する工程と、前記受信情報を使用して前記ローカル決定を実施する工程とを有する請求項1に記載の分散方法。
【請求項3】
前記共同決定を非指定ノードに送信する工程を有する請求項1または2に記載の分散方法。
【請求項4】
前記決定アルゴリズムは、前記少なくとも1つの指定されたノードが行った最も多いローカル決定を採用する工程を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項5】
前記共同決定を実施する工程は、自ノードのローカル決定および前記少なくとも1つの指定されたノードから受信したローカル決定の中から過半数の決定を採用する工程を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項6】
ノードの動作環境情報がそのノードの重さを備え、前記共同決定を実施する工程は、最大の重さを有する前記少なくとも1つの指定されたノードが行った決定を採用する工程を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項7】
前記設定パラメータは、前記ネットワークで使用するルーティングプロトコルと、ネットワークインタフェースアドレスと、接続確立用のシグナリングプロトコルと、モビリティ管理用のプロトコルと、コーデックと、リンク層スケジューリングアルゴリズムと、送信電力の少なくとも1つを備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項8】
前記ローカル動作環境情報は、前記ノードがサポートしているプロトコルと、例えば処理能力および利用可能メモリなどの前記ノードのハードウェア仕様と、例えばアドレス指定情報などのネットワークノード間のリンクおよび/またはインタフェースと、前記ノードの1つ以上のアイデンティティと、前記ネットワーク内のノード数と、例えばサポートしている能力、メディアおよび符号化のサポート、実施ポリシーなどの前記ノードの状態情報と、デフォルトルーティングパラメータと、追加でネゴシエートする情報の少なくとも1つを備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項9】
前記ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定されたノードへ、当該他のノードにおける前記方法の実行で使用するために送信する工程を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの他のノードへの前記情報の送信が、前記情報に領域境界を越えさせるかどうかを判定する工程と、越えさせないと判定した場合だけ前記情報を送信する工程とを有する請求項9に記載の分散方法。
【請求項11】
前記ローカル動作環境情報に影響を与える変化の発生に応えて、前記ローカル動作環境情報を送信する工程を有する請求項9または10に記載の分散方法。
【請求項12】
前記ローカル動作環境情報を同じ領域内の別のノードだけに送信する工程を有する請求項9、10及び11のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項13】
前記ネットワークはIPネットワークを備える請求項1乃至12のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項14】
各指定されたノードにおける前記工程の実行を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項15】
例えば前記共通設定パラメータに基づいた接続の確立により、前記共通設定パラメータを適用する工程を有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の分散方法。
【請求項16】
ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散方法の少なくとも一部を実行するように指定された、前記ネットワーク内のノードとしてまたはそのノード内で使用する装置であって、
前記ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、
自身のローカル決定があれば、該ローカル決定を他の指定されたノードに送信する手段と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段とを備える装置。
【請求項17】
前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードの前記ローカル動作環境に関する情報を受信する手段を備え、前記ローカル決定を実施する手段は前記受信情報に基づき前記ローカル決定を実施するように構成される請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記共同決定を非指定ノードに送信する手段を備える請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記共同決定を実施する手段は、前記少なくとも1つの指定されたノードが行った最も多いローカル決定を採用するように構成される請求項16乃至18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記共同決定を実施する手段は、自ノードのローカル決定および前記少なくとも1つの指定されたノードから受信したローカル決定の中から過半数の決定を採用するように構成される請求項16乃至19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
ノードの前記動作環境情報はそのノードの重さを備え、前記共同決定を実施する手段は最大の重さを有する前記少なくとも1つの指定されたノードが行った決定を採用するように構成される請求項16乃至20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記ローカル動作環境情報を少なくとも1つの他の指定されたノードへ、当該他のノードにおける前記方法の実行で使用するために送信する手段を備える請求項16乃至21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの他のノードへの前記情報の送信が前記情報に領域境界を越えさせるかどうかを判定する手段と、越えさせないと判定した場合だけ前記情報を送信する手段とを備える請求項16乃至22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
例えば前記共通設定パラメータに基づいた接続の確立により、前記共通設定パラメータを適用する手段を備える請求項16乃至23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
ネットワークの共通設定パラメータを決定する分散型システムであって、前記ネットワークの少なくとも1つの指定されたノードのそれぞれが、
自ノードのローカル動作環境に関する情報に基づき、前記設定パラメータに係わるローカル決定を実施する手段と、
自身のローカル決定をもしあれば他の指定されたノードに送信する手段と、
もしあれば他の指定されたノードが行った対応するローカル決定を受信する手段と、
その受信に続いて、自身のローカル決定および前記受信したローカル決定に基づき、前記指定されたノードに共通の決定アルゴリズムを用いて、前記設定パラメータに係わる共同決定を実施する手段と
を備える分散型システム。
【請求項26】
各指定されたノードにおいて、前記ネットワークの少なくとも1つの他のノードから、前記少なくとも1つの他のノードのローカル動作環境に関する情報を受信する手段と、前記受信情報を使用して前記ローカル決定を実施する手段とを備える請求項25に記載の分散型システム。
【請求項27】
各指定されたノードにおいて、前記共同決定を非指定ノードに送信する手段を備える請求項25または26に記載の分散型システム。
【請求項28】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法を実行するように装置を制御するプログラム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−503922(P2011−503922A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526169(P2010−526169)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060330
【国際公開番号】WO2009/039892
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060330
【国際公開番号】WO2009/039892
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
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