説明

通信制御システムおよび通信制御方法

【課題】 携帯電話機の所持者が自動車などの運転者であり、かつ、移動中のときには、携帯電話機の呼び出しが安全運転の妨げになることを防ぎ、携帯電話機の利便性が失われることを防ぐ。
【解決手段】 携帯電話機10がGPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持ち、このGPS携帯電話機10に対して、通信網を介してセンターシステム23が呼び出しを行う通信制御システムにおいて、センターシステム23は、発信側からの発呼によりGPS携帯電話機10を呼び出すと共に、この電話機に位置情報の取得の指示を行い、GPS携帯電話機10が取得した位置情報を基にして、この電話機が移動中かどうかを判断する。GPS携帯電話機10の移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、この電話機に対する呼び出しを止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機を用いた通信制御システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の所持者が自動車の運転中に、この携帯電話機に着信するときがある。このとき、運転者が携帯電話機を操作して着信による呼び出しに応じようとすると、携帯電話機を片手で持つ必要があり、自動車の安全運転に問題が発生する。このために、携帯電話機が移動中であるときには、ハンズフリー器具を用いている場合を除いて、この携帯電話機による信号の送受信を制限し、携帯電話機の機能を制限する方法がある。たとえば、音声による通話、電子メールなどの文字情報などが禁止される。携帯電話機の移動検出には、GPS(Global Positioning System)の機能を用いる。携帯電話機の機能制限は特許文献1に記載されている。
【0003】
また、携帯電話機が移動中のときに、自動車の運転者に対して呼び出しを行わない方法もある。この方法でも、携帯電話機の移動検出には、GPSの機能を用いる。この方法は特許文献2に記載されている。
【0004】
携帯電話機に対する機能制限や呼び出し制限により、自動車の運転中に運転者が携帯電話機を操作することを防ぎ、携帯電話機が自動車の安全運転の妨げとなることを防止する。
【特許文献1】特開2004−242174号公報
【特許文献2】特開2005−64875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、先に述べた機能制限をする方法や、呼び出しを行わない方法には、次の課題がある。つまり、自動車の同乗者が携帯電話機を所持している場合、GPS機能により、同乗者の携帯電話機も移動中であると検出される。同乗者の携帯電話機の使用が自動車の安全運転に影響しないにも係わらず、同乗者の携帯電話機に対して機能制限や呼び出し制限が行われてしまう。このために、自動車の同乗者に対しては、携帯電話機の持つ利便性が失われてしまう。
【0006】
この発明は、前記の課題を解決し、携帯電話機の所持者が自動車などの運転者であり、かつ、移動中のときには、携帯電話機の呼び出しが安全運転の妨げになることを防ぎ、携帯電話機の所持者が自動車などの同乗者であるときには、携帯電話機の利便性が失われることを防ぐことができる通信制御システムおよび通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、携帯電話機がGPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持ち、この携帯電話機を用いた通信制御方法において、発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、前記携帯電話機が取得した位置情報を基にして、前記携帯電話機が移動中かどうかを判断し、前記携帯電話機の移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止めることを特徴とする通信制御方法である。
【0008】
請求項1の発明によれば、携帯電話機に着信があり、この電話機が移動中であるとき、所定の呼び出し時間だけ携帯電話機を呼び出す。
【0009】
請求項2の発明は、GPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持つ携帯電話機を用いた通信制御方法において、発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、前記携帯電話機を呼び出してから所定の測定時間が経過したときに、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を再び行い、前記2回の指示で前記携帯電話機から受け取った位置情報を基にして、前記携帯電話機の移動距離を調べ、前記携帯電話機の移動距離が所定の移動距離以上のときに、前記携帯電話機が移動中と判断し、移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止めることを特徴とする通信制御方法である。
【0010】
請求項2の発明によれば、携帯電話機に着信があるとき、所定の測定時間の間での携帯電話機の移動距離を調べ、この移動距離を基にして電話機が移動中であるかどうかを判断する。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の通信制御方法において、前記呼び出し時間が経過すると、前記発信側に移動中を示すメッセージを送ることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信制御方法において、前記位置情報が示す所があらかじめ指定されている通話可能地域にあるとき、前記呼び出し時間が経過しても、前記携帯電話機の呼び出しを続けることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、携帯電話機がGPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持ち、この携帯電話機に対して、通信網を介してセンターシステムが呼び出しを行う通信制御システムにおいて、前記センターシステムは、発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、前記携帯電話機が取得した位置情報を基にして、前記携帯電話機が移動中かどうかを判断し、前記携帯電話機の移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止めることを特徴とする通信制御システムである。
【0014】
請求項5の発明によれば、センターシステムは、携帯電話機に着信があり、かつ、この電話機が移動中であるとき、所定の呼び出し時間だけ、携帯電話機を呼び出す。
【0015】
請求項6の発明は、GPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持つ携帯電話機に対して、通信網を介してセンターシステムが呼び出しを行う通信制御システムにおいて、前記センターシステムは、発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、前記携帯電話機を呼び出してから所定の測定時間が経過したときに、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を再び行い、前記2回の指示で前記携帯電話機から受け取った位置情報を基にして、前記携帯電話機の移動距離を調べ、前記携帯電話機の移動距離が所定の移動距離以上のときに、前記携帯電話機が移動中と判断し、移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止めることを特徴とする通信制御システムである。
【0016】
請求項6の発明によれば、センターシステムは、携帯電話機に着信があるとき、所定の測定時間の間での携帯電話機の移動距離を調べ、この移動距離を基にして電話機が移動中であるかどうかを判断する。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5または6に記載の通信制御システムにおいて、前記センターシステムは、前記呼び出し時間が経過すると、前記発信側に移動中を示すメッセージを送ることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の通信制御システムにおいて、前記センターシステムは、前記位置情報が示す所があらかじめ指定されている通話可能地域にあるとき、前記呼び出し時間が経過しても、前記携帯電話機の呼び出しを続けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1および請求項5の発明により、携帯電話機に対して着信があり、携帯電話機が移動中のときに、所定の呼び出し時間後に呼び出しを止めるので、携帯電話機の所持者が自動車などの運転などをしているときには、運転に対する集中が呼び出しで妨げられることを防ぐことができる。また、自動車などの同乗者が携帯電話機を所有しているときには、呼び出し時間の間に、同乗者が携帯電話機を操作して呼び出しに応じることができるので、従来に比べて携帯電話機の利便性を向上させることができる。
【0020】
請求項2および請求項6の発明により、移動判断の基準となる移動距離の設定により、高速で移動する自動車などの運転者に加えて、高速で移動する自転車などの使用者を対象とすることができる。
【0021】
請求項3および請求項7の発明により、呼び出し時間が経過すると、発信側に移動中を示すメッセージを送るので、着信側の状況を発信側に伝えることができる。
【0022】
請求項4および請求項8の発明により、位置情報が示す所が通話可能地域にあるとき、呼び出し時間が経過しても、携帯電話機の呼び出しを続けるので、例えば携帯電話機の所持者が船舶で海上や湖上などを移動中には、携帯電話機の利便性を損なうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
つぎに、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
(実施の形態1)
この実施の形態による通信制御システムは、GPS機能付き携帯電話機(以下、GPS携帯電話機という)の利用者に対して、着信を示す呼び出し時間を制限する通信制御サービスを提供する。この通信制御システムは、図1に示すように、GPS携帯電話機10と通信システム20とで構成され、通信システム20は、基地局21と公衆回線網22とセンターシステム23とで構成されている。
【0024】
GPS携帯電話機10は、図2に示すように、アンテナ11Aを持つGPS受信部11と、アンテナ12A、マイク12B、およびスピーカ12C、12Dを持つ通信部12と、制御部13とを備えている。GPS受信部11は、アンテナ11Aで受信したGPS電波から位置情報を取得する。位置情報は、GPS衛星1からGPS電波で送られる緯度・経度の情報である。GPS受信部11は、制御部13の指示により位置情報を取得して制御部13に送る。
【0025】
通信部12は、マイク12Bとスピーカ12Cとによる音声の送受信を可能にし、音声の送受信をアンテナ12Aによる無線で行う。また、通信部12は、通信システム20からの呼び出しがあると、呼び出しを示す情報を制御部13に送り、この後の制御部13の制御により、スピーカ12Dから呼び出し音を送出する。さらに、通信部12は、通信システム20から各種の指示を受信すると、この指示を制御部13に送る。
【0026】
制御部13は、GPS携帯電話機10に関連する一般的な制御を行うと共に、通信システム20から位置情報の取得の指示を受け取ると、GPS受信部11を制御してGPS衛星1から位置情報を取得し、通信部12を制御してこの位置情報を通信システム20に送る。また、制御部13は、通信部12から呼び出しの指示を受け取ると、通信部12を制御して呼び出し音を送出する。
【0027】
通信システム20は、アンテナ21Aを持つ基地局21と、公衆回線網22と、通信事業者などのセンターシステム23に設置されている制御装置24および記憶装置25とを備えている。基地局21は、サービスエリア内のGPS携帯電話機10や別の携帯電話機(図示を省略)を管理し、アンテナ21Aを経由して電波により音声や各種の指示などの送受信をGPS携帯電話機10と行う。基地局21は、公衆回線網22を介してセンターシステム23の制御装置24と接続されている。記憶装置25は、携帯電話機に対する通常の処理手順と、通信制御サービスに関連する登録情報、測定時間、および呼び出し時間とをあらかじめ記憶している。制御装置24は、記憶装置25に記憶されている制御手順により、基地局21を制御すると共に、呼び出しに応じてGPS携帯電話機10を公衆回線網22に接続する。
【0028】
携帯電話機に対する通常の処理の他に、制御装置24は通信制御サービスを行う。このサービスを実行するために、制御装置24は次の通信制御方法を実行する。GPS携帯電話機10の利用者がこの通信制御サービスを受けるかどうかは、あらかじめ記憶装置25に登録されている。図3および図4に示すように、GPS携帯電話機10に対して、基地局21のサービスエリアまたは別のサービスエリアの携帯電話機などの発信側から発呼があると(ステップS1)、制御装置24は、GPS携帯電話機10が通信制御サービスを受ける携帯電話機かどうかを、記憶装置25の登録情報を参照して判断する(ステップS2)。通信制御サービスを受ける登録がなければ、制御装置24は通常の処理を行う(ステップS21)。ステップS21の通常の処理では、GPS携帯電話機10が呼び出しに応じると、発信側の携帯電話機とGPS携帯電話機10との接続を行い、通話を可能にする。
【0029】
ステップS2で通信制御サービスを受ける登録があれば、制御装置24は、GPS携帯電話機10に対して、呼び出しを行うと共に位置情報の取得の指示(以下、取得指示という)を行う(ステップS3)。ステップS3の後、GPS携帯電話機10から位置情報を受け取ると、この情報を一時的に保持する(ステップS4)。ステップS4の後、制御装置24は、あらかじめ記憶装置25に設定されている測定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS5)。ステップS5で測定時間が経過したと判断すると、制御装置24は、GPS携帯電話機10に対して、再度、位置情報の取得指示を行う(ステップS6)。
【0030】
ステップS6の後、GPS携帯電話機10から位置情報を受け取ると、この情報を一時的に保持する(ステップS7)。ステップS7の後、制御装置24は、ステップS4で最初に保持した位置情報と、ステップS6で次に保持した位置情報とから、GPS携帯電話機10の移動距離を算出する(ステップS8)。
【0031】
制御装置24は、ステップS8で算出した移動距離が、あらかじめ記憶装置25に設定されている移動距離以上であるかどうかを比較して、GPS携帯電話機10が移動中かどうかを判断する(ステップS9)。ステップS9でGPS携帯電話機10が移動中でなければ、制御装置24はステップS21の通常の処理を行う。また、ステップS9でGPS携帯電話機10が移動中と判断した後、制御装置24は、あらかじめ記憶装置25に設定されている呼び出し時間が経過したかどうかを調べる(ステップS10)。ステップS10で呼び出し時間が経過すると、GPS携帯電話機10に対する呼び出しを止めると共に、発信側の携帯電話機に対して、例えば「ただいま移動中と思われます」とのメッセージを送出する(ステップS11)。
【0032】
制御装置24は、記憶装置25に記憶されている手順に従って以上の通信制御方法を行い、通信制御サービスを実行する。この通信制御サービスによるGPS携帯電話機10の呼び出しについて具体的に説明する。図5に示すように、運転者に所持されているGPS携帯電話機10に対して、例えば別の携帯電話機を発信側とする発呼があると、センターシステム23の制御装置24は、GPS携帯電話機10を呼び出す。これにより、GPS携帯電話機10のスピーカ12Dから制御部13の制御で呼び出し音が送出される。GPS携帯電話機10の呼び出しと同時に、制御装置24は、GPS携帯電話機10に位置情報の取得指示をする。これにより、GPS携帯電話機10のGPS受信部11が取得した位置情報が、制御部13の制御で通信部12を経てアンテナ12Aから送信される。
【0033】
GPS携帯電話機10の呼び出しから測定時間が過ぎると、この実施の形態では測定時間として5秒が過ぎると、制御装置24はGPS携帯電話機10に対して再度取得指示を行う。この後、制御装置24は、取得した2つの位置情報からGPS携帯電話機10の移動距離を算出する。この実施の形態では、移動距離が5秒間で25mであるとき、制御装置24は、GPS携帯電話機10が移動中であると判断する。
【0034】
5秒間で25mの移動は、時速18kmに相当する。これは、自動車の徐行速度よりやや速い程度である。つまり、制御装置24は、自動車が通常走行や高速走行している場合や、街中の速度制限で時速30km位で走行している場合などを、GPS携帯電話機10が移動中と判断している。また、時速18kmは自転車の平均的な速度に該当する。通常、一般的な自転車は時速16〜35kmであり、GPS携帯電話機10が時速18km以上で走行している場合、つまり高速で移動する自転車走行も含めている。GPS携帯電話機10が時速18kmより遅い速度、つまり自動車や自転車が低速で移動する場合には、GPS携帯電話機10は呼び出し時間の制限を受けない。
【0035】
GPS携帯電話機10が移動中と判断すると、制御装置24は、GPS携帯電話機10に対する呼び出しの開始から呼び出し時間の経過後に、この実施の形態では呼び出し時間として10秒の経過後に、GPS携帯電話機10に対する呼び出しを止める。呼び出し時間の10秒は、運転者に着信有りを知らせるのに十分な時間であり、かつ、運転に対する集中を妨げない時間でもある。また、GPS携帯電話機10の所持者が自動車の同乗者である場合、呼び出し時間の10秒は、この同乗者がGPS携帯電話機10を操作して応答することができる時間でもある。さらに、GPS携帯電話機10の所持者が自転車走行をしている場合、呼び出しの10秒間は、自転車を止めて応答することが可能な時間である。制御装置24は、GPS携帯電話機10に対する呼び出しを10秒で止めると共に、発信側の携帯電話機に対して、「ただいま移動中と思われます」という音声メッセージを送出する。このメッセージはGPS携帯電話機10の所持者の状況を発信側に知らせるものであり、このメッセージにより、発信側は携帯電話機を切断して発呼を止める。
【0036】
こうして、この実施の形態により、GPS携帯電話機10に対して着信があると、GPS携帯電話機10を呼び出すと共に、10秒後に呼び出しを止めるので、GPS携帯電話機10の所持者が自動車などを運転しているときには、運転に対する集中が呼び出しで妨げられることを防ぐことができる。また、制御装置24は発信側に対して音声メッセージを送るので、GPS携帯電話機10の所持者側の状況、つまり着信側の状況を正確に発信側に伝えることができる。また、自動車の同乗者がGPS携帯電話機10を所有しているときには、10秒の呼び出しの間に、この同乗者はGPS携帯電話機10を操作して呼び出しに応じることができるので、従来技術に比べると、同乗者に対するGPS携帯電話機10の利便性を向上させることができる。さらに、通信制御サービスを行うために、GPS携帯電話機10の構造および制御手順の変更が不要であるので、一般のGPS携帯電話機はすべて本通信制御サービスを受けることが可能である。
【0037】
なお、実施の形態1では、センターシステム23の制御装置24が通信制御サービスを提供したが、GPS携帯電話機10の制御部13が通信制御サービスを行うための処理をしてもよい。この場合、制御部13は、センターシステム23から呼び出しを受けると、ステップS3(図3)の処理から開始し、通信部12を制御してスピーカ12Dから呼び出し音を送出すると共に、このステップで位置情報の取得を行う。同じように、制御部13は、ステップS6(図3)で位置情報の取得を行う。また、制御部13は、ステップS11(図4)で通信部12を制御して呼び出し音を停止すると共に、発信側にメッセージを送出する。なお、制御部13は、ステップS21(図4)の通常の処理として、GPS携帯電話機10に関する一般的な処理を行う。
(実施の形態2)
この実施の形態では、実施の形態1の処理を次のようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素および処理手順には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態では、制御装置24が、図6および図7に示す処理をする。つまり、制御装置24は、ステップS4でGPS携帯電話機10からの位置情報を保持すると、保持している位置情報の示す場所が通話可能地域かどうかを判断する(ステップS4A)。
【0038】
通話可能地域は、GPS携帯電話機10が移動中であっても通話をして問題がない所である。こうした場所として、船舶で移動する海上や湖上などがある。ステップS4Aの判断をするために、あらかじめ記憶装置25に地図情報を記憶し、さらに、通話可能地域として海や湖の位置などを記憶装置25に記憶しておく。制御装置24は、ステップS4の位置情報が、記憶装置25に記憶している地図情報でどこの地域に該当し、この地域が記憶装置25に記憶している通話可能地域かどうかをステップSS4Aで判断している。
【0039】
ステップSS4AでGPS携帯電話機10が海上などの通話可能地域であるとき、制御装置24は、ステップS21の処理を行う。また、ステップS4AでGPS携帯電話機10が通話可能地域にないときに、制御装置24は、ステップS5〜S11の処理を行う。
【0040】
こうして、この実施の形態により、GPS携帯電話機10が通話可能地域かどうかを判断するので、GPS携帯電話機10の所持者が船舶などで移動中であるときには、GPS携帯電話機10に対する呼び出しを続けるので、GPS携帯電話機10の利便性を損なうことがない。
【0041】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。たとえば、実施の形態1、2では、測定時間を5秒とし、呼び出し時間を10秒とし、移動距離を5秒間で25mとした。これらの値は記憶装置25にあらかじめ保持されているが、制御装置24を介してこれらの値の変更は可能である。かつ、GPS携帯電話機10を所持している運転者に着信有りを確実に知らせる時間の変更であり、かつ、自動車などの運転に対する集中の妨げにならないような時間の変更は、この発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1による通信制御システムを示す構成図である。
【図2】GPS携帯電話機を示す構成図である。
【図3】実施の形態1による制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1による制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】通信制御サービスを説明する説明図である。
【図6】実施の形態2による制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2による制御装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 GPS携帯電話機
11 GPS受信部
11A アンテナ
12 通信部
12A アンテナ
12B マイク
12C、12D スピーカ
13 制御部
20 通信システム
21 基地局(通信網)
22 公衆回線網(通信網)
23 センターシステム
24 制御装置
25 記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機がGPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持ち、この携帯電話機を用いた通信制御方法において、
発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、
前記携帯電話機が取得した位置情報を基にして、前記携帯電話機が移動中かどうかを判断し、
前記携帯電話機の移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止める、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項2】
GPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持つ携帯電話機を用いた通信制御方法において、
発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、
前記携帯電話機を呼び出してから所定の測定時間が経過したときに、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を再び行い、
前記2回の指示で前記携帯電話機から受け取った位置情報を基にして、前記携帯電話機の移動距離を調べ、
前記携帯電話機の移動距離が所定の移動距離以上のときに、前記携帯電話機が移動中と判断し、
移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止める、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項3】
前記呼び出し時間が経過すると、前記発信側に移動中を示すメッセージを送ることを特徴とする請求項1または2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記位置情報が示す所があらかじめ指定されている通話可能地域にあるとき、前記呼び出し時間が経過しても、前記携帯電話機の呼び出しを続けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項5】
携帯電話機がGPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持ち、この携帯電話機に対して、通信網を介してセンターシステムが呼び出しを行う通信制御システムにおいて、
前記センターシステムは、
発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、
前記携帯電話機が取得した位置情報を基にして、前記携帯電話機が移動中かどうかを判断し、
前記携帯電話機の移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止める、
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項6】
GPS電波を受信して位置情報を得るGPS受信機能を持つ携帯電話機に対して、通信網を介してセンターシステムが呼び出しを行う通信制御システムにおいて、
前記センターシステムは、
発信側からの発呼により前記携帯電話機を呼び出すと共に、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を行い、
前記携帯電話機を呼び出してから所定の測定時間が経過したときに、前記携帯電話機に位置情報の取得の指示を再び行い、
前記2回の指示で前記携帯電話機から受け取った位置情報を基にして、前記携帯電話機の移動距離を調べ、
前記携帯電話機の移動距離が所定の移動距離以上のときに、前記携帯電話機が移動中と判断し、
移動中と判断したときに、所定の呼び出し時間が経過すると、前記携帯電話機に対する呼び出しを止める、
ことを特徴とする通信制御システム。
【請求項7】
前記センターシステムは、前記呼び出し時間が経過すると、前記発信側に移動中を示すメッセージを送ることを特徴とする請求項5または6に記載の通信制御システム。
【請求項8】
前記センターシステムは、前記位置情報が示す所があらかじめ指定されている通話可能地域にあるとき、前記呼び出し時間が経過しても、前記携帯電話機の呼び出しを続けることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の通信制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−19674(P2007−19674A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196929(P2005−196929)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】