説明

通信制御装置及び方法並びに無線通信システム

【課題】ネットワーク内の無線基地局などの無線リソースの効率的な活用と、データの送受信に要する期間の短縮とを実現する。
【解決手段】無線通信システム10は、ネットワーク1、2、3を介して接続される移動端末4の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた移動端末の通信品質の変化の予測結果と、ネットワークと移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、データの送受信を開始するタイミングを決定する処理を行うプロセッサを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局を介してネットワークと移動端末との間で無線通信を行う無線通信システム、並びに該無線通信システムの通信制御装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の無線通信システムでは、移動端末が無線基地局のセル内又はセル間を自由に移動することがあり、移動端末の移動や時間の経過に応じて通信品質に変化が生じる。通信品質の変化に関連して、例えば、通信品質の急激な劣化により、データの送受信の効率の低下や、時には送受信が断絶する等の技術的な問題が生じることが従来知られている。
【0003】
このような問題の解決法として、好適な通信を維持するために、推定される移動端末の移動経路に基づいて、通信品質の変化の予測を行い、効率のよい通信を実現する技術の研究が進められている。
【0004】
以下に示す先行技術文献には、移動端末の移動経路の推定結果から、ユーザが要求するデータ量の通信が可能であり、且つ最も効率の良い通信エリア(例えば、アクセスポイントや基地局セル等)の選択を行う技術について説明されている。また、将来の移動経路の推定結果から通信品質の予測を行い、通信品質の予測値に基づいて好適な通信を維持出来るよう、所定の時間区間において送信するデータサイズ(言い換えれば、単位時間毎の送受信データレート)と送信間隔を調整する技術について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−236381号公報
【特許文献2】特開2008−199381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した先行技術文献に説明される技術によれば、例えば通信効率の良い通信エリアの選択を行う一方で、通信を開始する時間については考慮されていない。このため、推定される移動経路から効率的に通信が可能なエリアが選択されたとしても、該エリアが移動端末の現在地点から遠く離れている場合もある。このような場合、ユーザはデータの送受信の開始までに長時間待たされる事となり、利便性が充分であるとは言えない。また、先行技術文献に開示される構成によれば、送受信されるデータのサイズとアクセスポイントの通信容量の比較しか行っていないため、同一のセル内での通信品質の変化に対応出来ず、必ずしも効率的な通信を実現出来るとも限らない。
【0007】
一方、先行技術文献に開示される、単位時間毎の送受信データレートと送信間隔を調整する技術では、移動端末における通信品質に応じて送受信データレートと送信間隔とを変更する。このため、通信品質が悪い状態においては、送受信データレートは低く、送信間隔は長く設定されるため、データの送受信の完了に長時間を要することになる。この場合、基地局の無線リソースを長期間占有することに繋がり、無線リソースの有効活用という点で有益とはならず、またユーザにとっても不便となる。
【0008】
本発明は、上述した技術的な問題点に鑑みてなされたものであり、ネットワーク内の無線基地局などの無線リソースの効率的な活用と、データの送受信に要する期間の短縮とを実現し得る通信制御装置及び方法、並びに無線通信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、開示の通信制御装置は、ネットワークを介して接続される移動端末の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた移動端末の通信品質の変化の予測結果と、ネットワークと移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、データの送受信を開始するタイミングを決定する処理を行うプロセッサを備える。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成によれば、通信制御装置は、ネットワーク内の無線基地局などの無線リソースの効率的な活用と、データの送受信に要する期間の短縮とを実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】コンテンツサーバの構成を示すブロック図である。
【図3】UEの構成を示すブロック図である。
【図4】コンテンツサーバの動作を示すフローチャートである。
【図5】通信開始時間の算出処理を示すフローチャートである。
【図6】UEにおけるコンテンツデータの利用を示すフローチャートである。
【図7】通信開始時間の通知を受けたUEの処理を示すフローチャートである。
【図8】コンテンツサーバの動作の変形例を示すフローチャートである。
【図9】UEにおける時系列的な通信品質の変化を示すグラフの一例である。
【図10】UEにおける時系列的な通信品質の変化を示すグラフの一例である。
【図11】UEにおける時系列的な通信品質の変化を示すグラフの一例である。
【図12】複数のUEの移動経路について示す図である。
【図13】UEにおける時系列的な通信品質の変化を示すグラフの一例である。
【図14】UEにおける時系列的な通信品質の変化を示すグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0013】
(1)構成例
図1を参照して、開示の通信制御装置及び該通信制御装置が制御する無線通信システムの構成例について説明を行う。図1は、開示の通信制御装置の一例であるコンテンツサーバ1を備える無線通信システム10の構成を示すブロック図である。
【0014】
無線通信システム10は、コンテンツサーバ1と、ゲートウェイ2と、無線基地局3a及び3bと、移動端末(UE:User Equipment)4とを備える。
【0015】
コンテンツサーバ1は、UE4に対して、インターネット等のネットワークを介してウェブサイトのページ、ニュース情報、音楽又は動画等のコンテンツデータの配信のサービスを行うコンテンツ配信用のサーバである。コンテンツサーバ1は、UE4のユーザの日常行動において、定期的に情報の送受信や、送受信タイミングの制御を実施出来る。コンテンツサーバ1は、インターネットを介してゲートウェイ2に接続される。
【0016】
ゲートウェイ2は、コンテンツサーバ1と無線基地局3a及び3bとの間の通信を中継するネットワーク機器である。
【0017】
無線基地局3a及び3bは、夫々電波を送信することでセルを形成し、該セル内に在圏するUE4との間でデータの送受信を行う。尚、図1においては、無線基地局3a及び3bが図示されているが、無線通信システム10は、より多くの無線基地局を備えていてもよい。以降の説明において、無線基地局3a及び3bについて個々に区別せず説明する場合には、無線基地局3と記載する。
【0018】
UE4は、無線基地局3のいずれかのセル内に在圏している場合、該無線基地局3を介してコンテンツサーバ1との間でデータの送受信を実施可能である。UE4は、適宜移動可能であり、データの送受信時に通信する無線基地局3も位置に応じて(言い換えれば、時刻と移動経路とに応じて)変化する。例えば、図1の例では、UE4は、時刻(T)において無線基地局3aのセル内に在圏し、時間経過とともに無線基地局3b方向へと移動し、時刻(T)において無線基地局3bのセル内に在圏する。該移動に応じて、UE4における通信品質は変化する。
【0019】
また、UE4は、定期的にコンテンツサーバ1に対して位置情報の送信を行う。尚、図1においてはただ1つのUE4が図示されているが、無線通信システム10は、より多くのUE4を含んでいてもよい。
【0020】
図2を参照して、コンテンツサーバ1の詳細な構成例について説明する。図2は、コンテンツサーバ1の構成について示したブロック図である。図2には、コンテンツサーバ1が有するハードウェア、及びコンテンツサーバ1が有する機能を便宜上示した機能部の例が図示される。
【0021】
コンテンツサーバ1は、CPU110と、メモリ120とを備える。CPU110は、コンテンツサーバ1の全体の処理を制御する中央演算ユニット(Central Processing Unit)である。CPU110は、コンテンツ制御部111と、移動経路推定部112と、通信品質予測部113と、通信開始時間算出部114とを備える。メモリ120は、データ格納用の記録装置であって、夫々対応するデータを格納可能なコンテンツ保持部121と、ユーザ情報保持部122と、通信品質情報保持部123とを備える。具体的には、コンテンツ保持部121は、UE4に対して送信するコンテンツデータを格納する。ユーザ情報保持部122は、UE4から送信される、UE4の現在位置及び目的地についての位置情報、並びに送信要求のあったコンテンツのデータサイズ等のユーザ情報を格納する。通信品質情報保持部123は、無線通信システム10における無線基地局3の夫々のセルについて位置に応じた無線品質情報を保持する
通信品質情報保持部123は、公知非公知を問わず何らかの手段により、無線通信システム10における無線基地局3の夫々のセルについて位置に応じた無線品質情報を取得してよい。例えば、通信品質情報保持部123は、無線通信システム10に含まれるUE4、又は管理側のオペレータ等が実際に測定を行った通信品質について、測定位置と共にデータベースに蓄積することで、通信品質情報を取得してもよい。また、各無線基地局3の位置やアンテナ高、アンテナ角度、送受信電力、セル内の地理情報(例えば、高度や遮蔽に係る情報等)に基づいて、位置情報に対応する通信品質を算出してもよい。
【0022】
コンテンツ制御部111は、UE4との間でのデータの送受信を制御する。具体的には、UE4からのデータ送信要求に応じて、コンテンツ保持部121に格納されるコンテンツデータの送信を行う。また、コンテンツ制御部111は、UE4から定期的に送信される現在位置情報及びUE4から送信される目的地情報を取得する。取得した現在位置情報及び目的地情報については、メモリ120内のユーザ情報保持部122に格納する。また、コンテンツ制御部111は、UE4から送信要求のあったコンテンツデータについて、データサイズを決定するための情報をコンテンツ保持部121から取得し、ユーザ情報保持部122に格納する。
【0023】
UE4の目的地情報や送信要求のあったコンテンツデータは、ユーザの指定又は事前の設定により予め決定されているものとする。例えば、UE4のユーザの日常的な移動履歴の蓄積やコンテンツデータの配信サービスの事前登録等により、コンテンツサーバ1は、UE4の現在位置情報から特定の時間(例えば、N時間)後の目的地の位置情報(つまり、目的地情報)や、送信すべきコンテンツデータ、推定される移動経路等を取得することが出来る。尚、コンテンツサーバ1は、その他公知非公知を問わず何らかの手段によって、ユーザの目的地情報や、送信すべきコンテンツデータの情報を取得しても構わない。本項では、情報取得の態様について詳細な説明を省略する。
【0024】
移動経路推定部112は、ユーザ情報保持部122に格納されるUE4についての現在位置情報、及び目的地情報に基づいて、UE4の移動経路の推定を行う。移動経路の推定については、公知の態様であってよく、特に記載しない限りにおいては、移動経路推定部112は、公知の移動経路の推定手段と同様の構成であってよい。例えば、UE4の現在位置と、ユーザが設定した目的地との間のルートの中で最短となる経路を選択する方法等が用いられてもよい。
【0025】
通信品質予測部113は、移動経路推定部112により推定されるUE4の移動経路に基づいて、将来の通信品質の予測を行う。具体的には、通信品質情報保持部123に格納される位置情報に応じた無線品質情報を参照し、推定されるUE4の移動経路を当て嵌めることで、目的地までの(言い換えれば、N時間後までの)移動経路における通信品質の予測を行う。
【0026】
通信開始時間算出部114は、予測されるUE4の将来的な通信品質の情報の入力を受けて、UE4に対してコンテンツデータを送信する等通信を開始する際の通信開始時間の算出を行う。通信開始時間の算出の態様については後に詳述する。算出された通信開始時間は、コンテンツ制御部111に入力される。
【0027】
コンテンツ制御部111は、算出された通信開始時間をUE4に通知する、又は算出された通信開始時間に応じてUE4との間でコンテンツデータの送受信を開始する。
【0028】
続いて、図3を参照して、UE4の詳細な構成例について説明する。図3は、UE4の構成について示したブロック図である。図3には、UE4が有するハードウェア、及びUE4が有する機能を便宜上示した機能部の例が図示される。
【0029】
UE4は、下り信号受信処理部410と、上り信号送信処理部420と、CPU430と、コンテンツ保持メモリ440と、端末操作部450と、コンテンツ表示モニタ460と、アンテナ470とを備える。
【0030】
下り信号受信処理部410は、アナログ回路411と、AD(Analog to Digital)変換回路412と、DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号処理回路)413とを備える。下り信号受信処理部410は、アンテナ470を介して受信した下り信号をダウンコンバートし、アナログ信号からデジタル信号へ変換するとともに復調及び復号処理し、データとしてコンテンツ保持メモリ440に格納する。
【0031】
上り信号送信処理部420は、アナログ回路421と、DA(Digital to Analog)変換回路422と、DSP423とを備える。上り信号送信処理部420は、信号生成部432において生成される信号の入力を受け、符号化、変調処理を施した後にデジタル信号からアナログ信号へ変換し、増幅及びアップコンバートした信号をアンテナ470を介して無線基地局3に送信する。無線基地局3に送信された信号のうち、コンテンツサーバ1向けの信号は、ゲートウェイ2及びネットワークを経てコンテンツサーバ1に入力される。
【0032】
CPU430は、UE4の各部の動作を制御する中央演算ユニットであり、各部との間で信号の出入力を行う。CPU430は、コンテンツ制御部431と、信号生成部432と、位置情報取得部433とを備える。
【0033】
コンテンツ制御部431は、端末操作部450を介して入力されるユーザの指示に応じて、コンテンツサーバ1にコンテンツデータの送信を要求する情報を生成し、信号生成部432に入力する。端末操作部450は、UE4に設けられるキーボードやボタン、タッチパネル等の情報入力装置である。
【0034】
信号生成部432は、コンテンツ制御部431又は位置情報取得部433より入力される情報を信号に変換して、上り信号として上り信号送信処理部420及びアンテナ470を介してコンテンツサーバ1へ送信する。
【0035】
位置情報取得部433は、例えばGPS(Global Positioning System)の受信機等を含み、UE4の現在の位置情報を周期的又は所定のタイミングで取得し、信号生成部432に入力する。
【0036】
また、コンテンツ制御部431は、端末操作部450を介して入力されるユーザの指示に応じて、コンテンツ保持メモリ440に格納されるコンテンツを表示するよう、コンテンツ表示モニタ460の動作を制御する。コンテンツ表示モニタ460は、UE4に設けられるディスプレイ等の表示装置である。
【0037】
また、コンテンツ制御部431は、コンテンツサーバ1から通知される通信開始時間をコンテンツ保持メモリ440に格納し、通信開始時間になった際に、通信要求をコンテンツサーバ1に対して送信する処理を行う。
【0038】
コンテンツ保持メモリ440は、例えばハードディスクドライブやメモリ等の情報格納装置である。例えば、コンテンツサーバ1より送信されるコンテンツデータは、下り信号受信処理部410を介してコンテンツ保持メモリ440に格納される。
【0039】
(2)第1動作例
図4から図8を参照して、無線通信システム10におけるコンテンツサーバ1及びUE4の動作について説明する。図4から図8の夫々は、無線通信システム10におけるコンテンツサーバ1又はUE4の動作の流れを示すフローチャートである。図4は、コンテンツサーバ1の動作の流れを示す。図5は、コンテンツサーバ1の通信開始時間算出部114による通信時間の算出処理の流れを示す。図6は、UE4におけるコンテンツデータの利用の流れを示す。図7は、通信開始時間の通知を受けたUE4の動作の流れを示す。図8は、コンテンツサーバ1の動作の変形例を示す図である。
【0040】
図4を参照して、通信開始時間を決定するまでコンテンツサーバ1の動作の流れについて説明する。
【0041】
コンテンツサーバ1は、現在時刻を起点(T)とする所定の期間内(例えば、TからTまで)に、コンテンツデータの送信を行う通信対象となるUE4が存在するか否かを適宜判定する(ステップS101)。例えば、定期的にコンテンツデータの配信を行うサービスの契約者リスト等を参照することで、コンテンツサーバ1は、期間内に通信対象となるUE4が存在するか否かを確認する。尚、Tとは、コンテンツサーバ1の通信開始時間算出部114による通信開始時間の算出を行う際の目安となる所定の時間を示す。TからTまでの期間は、送信するコンテンツデータの種別や送信間隔、又はユーザの希望等に応じて適宜設定されてよい。
【0042】
通信対象となるUE4が存在しない場合(ステップS101:No)、コンテンツサーバ1は、何らの特別な処理を行わず、定期的にステップS101の判定を繰り返し実行する。
【0043】
通信対象となるUE4が1つ又は複数存在する場合(ステップS101:Yes)、コンテンツサーバ1は、通信対象となるUE4のうち、事前の処理により通信開始時間が決定されていないものが存在するか否かを判定する(ステップS102)。通信対象となるUE4の全てについて、通信開始時間が既に決定されている場合(ステップS102:No)、コンテンツサーバ1は、新たに計算する必要がないため、何らの特別な処理を行わず、定期的にステップS101の判定を繰り返し実行する。
【0044】
通信対象となるUE4の中に、通信開始時間が決定されていないものが存在する場合(ステップS102:Yes)、コンテンツサーバ1は、該UE4について、現在の位置情報が取得可能であるか否かを判定する(ステップS103)。該UE4について現在の位置情報が取得不可能である場合(ステップS103:No)、コンテンツサーバ1は、該UE4について通信開始時間の計算は行わない。
【0045】
該UE4について現在の位置情報が取得可能である場合(ステップS103:Yes)、コンテンツサーバ1の移動経路推定部112は、該UE4について、時刻Tまでの移動経路の推定を行う(ステップS104)。
【0046】
更にコンテンツサーバ1の通信品質予測部113は、移動経路の推定結果と、通信品質情報保持部123に格納される情報とに基づいて、該UE4について、時刻Tまでの通信品質の予測を行う(ステップS105)。
【0047】
コンテンツサーバ1の通信開始時間算出部114は、該UE4についての時刻Tまでの通信品質の予測結果に基づいて、好適なコンテンツデータの通信が可能となる通信開始時間を算出する(ステップS106)。通信開始時間の算出動作については後述する。コンテンツ制御部111は、算出された通信開始時間を、UE4に通知する(ステップS107)。
【0048】
図5を参照して、コンテンツサーバ1の通信開始時間算出部114による、通信開始時間の算出動作の流れについて説明する。
【0049】
先ず、通信開始時間を計算するために用いる仮の(言い換えれば、計算上の)通信開始時間を「起点時間」として定義し、現在時刻を起点時間として設定する(ステップS201)。
【0050】
次に、起点時間と、UE4との間で送受信する予定のデータサイズとをパラメータとして、通信品質予測結果に基づいて、仮の(言い換えれば、計算上の)通信完了時間を算出する。本処理では、仮の通信完了時間を終点時間として定義する(ステップS202)。
【0051】
ステップS201及びS202の処理により、仮に現在時刻からUE4との通信を開始する場合の仮の通信完了時間が算出される。
【0052】
続いて、UE4についての時刻Tまでの通信品質の予測結果において、起点時間から終点時間までの期間において、通信品質が閾値以下となる期間を検索し、該期間が事前に設定された許容時間内であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0053】
ここに、閾値とは、UE4における通信品質がコンテンツデータの送受信を行うために適切であるか否かを好適に判定するために設定される、通信品質の閾値である。
【0054】
許容時間とは、コンテンツデータの通信開始から通信完了までの間に、UE4における通信品質が上述のように設定される閾値を下回る期間が含まれていても、コンテンツデータの送受信を完了可能となる時間区間を示す。許容時間は、送信予定のデータサイズに応じて適宜設定されてもよい。具体的には、データサイズが大きいほど、許容時間は長く設定される。コンテンツデータの通信開始から通信完了までの期間では、UE4における通信品質は必ずしも閾値以上である必要はなく、許容時間までの時間区間であれば通信品質閾値を下回ったとしても、好適なコンテンツデータの送受信が実施可能となる。
【0055】
上述のように設定される起点時間から終点時間までの期間において、通信品質が閾値を下回る期間が許容時間よりも短い場合(ステップS203:Yes)、該起点時間を通信開始時間として決定し、通信開始時間の計算を終了する(ステップS204)。
【0056】
他方で、起点時間から終点時間までの期間において、通信品質が閾値を下回る期間が許容時間より長くなる場合(ステップS203:No)、現在設定されている起点時間を通信開始時間に適用したとしてもコンテンツデータの送受信を好適に実施することが出来ない。そこで、通信開始時間算出部114は、起点時間を未来方向へ時間的に任意の量ずらし(ステップS205)、終点時間の算出処理に戻る(ステップS202)。
【0057】
通信開始時間の算出(ステップS204)が完了するまで、通信開始時間算出部114は、ステップS202からS205までの処理を繰り返し実行する。
【0058】
図9に、通信開始時間の算出処理に係るUE4における時系列的な通信品質の変化を示す。図9の例では、受信開始時間からUE4における通信品質が閾値以上となる時間までの間の期間が許容時間分離れている。このように、UE4における通信品質が閾値を下回る期間が、許容時間内であるため、図9に例示される開始時間は、通信開始時間として設定され得る。
【0059】
次に、UE4がコンテンツデータを利用する動作の流れについて、図6を参照して説明する。先ず、UE4は、コンテンツデータの利用時に、所望のコンテンツデータがコンテンツ保持メモリ440に格納されているか否かを判定する(ステップS301)。所望のコンテンツデータが既にコンテンツ保持メモリ440内に格納済みであれば、そのままコンテンツデータを利用する(ステップS304)。
【0060】
一方で、所望のコンテンツデータがコンテンツ保持メモリ440内に格納済みでない場合(ステップS301:No)、次にUE4は、コンテンツサーバ1と通信可能か否かを判定する(ステップS302)。通信可能であれば、コンテンツサーバ1より送信されるコンテンツデータを受信する(ステップS303)。コンテンツサーバと通信不可能である場合(ステップS302:No)、一旦処理を終了し、一定時間経過した後に、再度コンテンツ保持メモリ440内のコンテンツデータの格納状態を確認する(ステップS301)。
【0061】
通信開始時間の通知を受けたUE4における動作の流れについて、図7を参照して説明する。
【0062】
図7に示されるように、UE4は、通信開始時間の通知を受けた後(ステップS401:Yes)、指定される通信開始時間まで待機する(ステップS402)。その後、通信開始時間になった時点で(ステップS403:Yes)、コンテンツサーバ1に対して、コンテンツデータの送信要求を送信する(ステップS404)。
【0063】
尚、送信要求を送るまでもなくコンテンツサーバ1からコンテンツデータが送信される場合、UE4は、送信されるコンテンツデータを受信すればよい。このような動作に対応するコンテンツサーバ1の動作の変形例の流れについて、図8を参照して説明する。
【0064】
該変形例では、通信対象となるUE4が存在するか否かの判定動作(ステップS101)から、通信開始時間の算出動作(ステップS106)までは、上述した図4に示される動作例と同様である。
【0065】
該変形例においては、通信開始時間の算出後に、コンテンツサーバ1は、算出された通信開始時間まで待機する(ステップS501)。その後、通信開始時間になった時点で(ステップS502:Yes)、コンテンツサーバ1は、UE4に対してコンテンツデータの送信など、通信を開始する(ステップS503)。具体的には、ダウンリンク通信の場合、コンテンツサーバ1は、通信開始時間にUE4に対してコンテンツデータを送信する。アップリンク通信の場合、コンテンツサーバ1は、通信開始時間にUE4に対してデータの送信要求を送信する。
【0066】
尚、該変形例のコンテンツサーバ1の動作によれば、通信開始時間をUE4に通知する手順を省略することが可能となり、不要なトラフィックの削減という点で有益である。
【0067】
尚、該変形例を実施する際には、コンテンツサーバ1は、通信開始時間にUE4に対してコンテンツデータの送信を行うために、UE4の現在位置を比較的短周期で確認することが好ましい。
【0068】
以上、説明した一連の動作によれば、無線通信システム10における、無線基地局3の夫々において、UE4との通信時間を好適に短縮可能な期間に通信が行われることとなる。このため、無線基地局3におけるUE4との通信において占有される無線リソースの占有期間が短縮可能となり、無線リソースの効率化が実現可能となる。一方で、可能な限り現在時刻に近いタイミングでコンテンツデータの送受信を可能とするため、ユーザの利便性を損なうことがない。更に、通信効率が向上するため、コンテンツデータの送受信に係る通信時間が短縮されるため、UE4にとって、通信に消費する電力を抑制するという利点も得られる。
【0069】
(3)第2動作例
図10を参照してコンテンツサーバ1の第2動作例について説明する。
【0070】
図9を参照して上述したコンテンツサーバ1の第1動作例では、UE4との間で送受信するコンテンツデータのデータサイズに応じて設定される許容時間を用いて、通信開始時間を算出する方法について説明した。第2動作例では、通信開始時間算出部114は、通信品質についての閾値をUE4との間で送受信するデータサイズに応じて可変とする。例えば、図10に示されるように、通信開始時間算出部114は、送受信するデータサイズが相対的に小さい場合には、閾値を相対的に高い閾値1に設定する。他方で、通信開始時間算出部114は、送受信するデータサイズが相対的に大きい場合には、閾値を相対的に低い閾値2に設定する。
【0071】
このように閾値を変更することで、通信開始の起点時間と終点時間とが、送受信するデータサイズに応じて設定可能となる。このため、上述した第1動作例と同様の効果を享受することが出来る。
【0072】
(4)第3動作例
図11を参照してコンテンツサーバ1の第3動作例について説明する。
【0073】
第3動作例は、コンテンツサーバ1からUE4に対して、ストリーミング動画などのリアルタイムデータを送信する際の動作例である。リアルタイムではないコンテンツデータの送受信の際には、送受信するデータサイズが決定されている。他方で、現在利用されるストリーミング動画の配信サービスにおいては、視聴時間が一定である一方で、通信環境に応じて画質等を変更した複数通りのデータサイズのコンテンツデータが用意される。このため、単位時間に送信すべきデータサイズ(言い換えれば、単位時間毎の送信データレート)が、画質等に応じて変化する。
【0074】
コンテンツサーバ1の通信開始時間算出部114は、このようなリアルタイムのコンテンツデータの送信を開始する通信開始時間を算出するために、コンテンツデータの画質等に応じて、複数通りの通信品質の閾値を設定する。
【0075】
第3動作例について、相対的に画質の高い(言い換えれば、単位時間毎の送信データレートが高い)コンテンツデータAと、相対的に画質の低い(言い換えれば、単位時間毎の送信データレートが低い)コンテンツデータBとが存在するストリーミング動画配信サービスを例として図11を参照して説明する。
【0076】
通信開始時間算出部114は、時刻Tまでの通信品質の予測結果における平均通信品質を算出する。また、通信開始時間算出部114は、平均通信品質についての複数通り(図11の例では2通り)の閾値を設定する。図11の例では、コンテンツデータAに対応する相対的に高い閾値Aと、コンテンツデータBに対応する相対的に低い閾値2との2通りの閾値が設定されている。このような閾値は、夫々対応するコンテンツデータについて、再生が途切れることなく送信可能な(言い換えれば、各コンテンツデータについて要求される単位時間毎の送信データレートを満足する)ように設定される。
【0077】
通信開始時間算出部114は、相対的に画質の高いコンテンツデータAについて、UE4における平均通信品質が閾値Aを超える区間を検出し、その中で最も現在に近い時間を受信開始時間として算出する。また、ユーザの設定により画質の低いコンテンツデータBの利用が許可されている場合は、UE4における平均通信品質が閾値Bを超える区間を検出し、その中で最も現在に近い時間を受信開始時間として算出する。
【0078】
以上、説明した内容により、通信開始時間算出部114は、ストリーミング動画等のリアルタイムのコンテンツデータの送信について、好適な通信開始時間を算出することが出来る。このように決定された通信開始時間、ひいては、通信期間においては、ストリーミング動画の再生が途切れることなく、利用可能となる。
【0079】
(5)第4動作例
第4動作例では、通信開始時間算出部114は、UE4の移動経路の予測に基づいて算出される通信開始時間の代わりに、UE4が所定の位置に到達したことをトリガとして通信を開始するよう通信開始のタイミングを設定してもよい。例えば、通信開始時間算出部114は、コンテンツサーバ1とUE4との間での通信を開始する条件として、地図上の所定の位置情報を設定する。
【0080】
第4動作例によれば、UE4が移動経路の推定結果とは異なる速度で移動する場合であっても、移動状況に応じて通信開始時間が補正される。このため、UE4の移動速度等に関わらず、通信品質の予測において決定される好適な位置で通信を開始することが出来る。
【0081】
(6)第5動作例
図12及び図13を参照してコンテンツサーバ1の第5動作例について説明する。
【0082】
通信開始時間算出部114は、無線通信システム10に通信対象となるUE4が複数存在する場合には、夫々のUE4について個別の通信開始時間を算出する。しかしながら、通信開始時間を算出するUE4の数が増大した場合では、通信品質の良好な同一の位置を通過する時間が複数のUE4で重なる可能性が生じる。このとき、複数のUE4について、同一の通信開始時間が設定されている場合、通信品質の良好な同一の位置をセルに含む無線基地局3において、無線リソースの競合を招き、却って通信効率が悪化する可能性がある。
【0083】
図12は、このような場合の一例について示す図であり、UE4a及びUE4bが夫々異なる経路を辿って移動している状態について示している。UE4a及びUE4bの経路には、無線基地局3a及び3bのセルが存在する。
【0084】
図13は、図12に示される状態において、UE4aの移動経路に応じた通信品質の時系列的な変化を示すグラフである。UE4aは、移動に応じて、無線基地局3a及び3bの夫々のセル内を順番に通過する。このため、UE4aにおける通信品質は、無線基地局3aのセル内を通過する際に一度大きく上がり、無線基地局3aと3bとのセル境界を通過する際に低減し、その後無線基地局3bのセル内を通過する際にまた大きく上がる。尚、UE4aが無線基地局3aのセル内を通過する期間において、UE4bもまた無線基地局3aのセル内を通過し、UE4bの通信開始時間が既に該期間について割り当て済みである。このとき、コンテンツサーバ1とUE4bとの間での通信は、無線基地局3aを介して実行される。
【0085】
このとき、通信開始時間算出部114は、UE4aの通信開始時間を無線基地局3aのセル内を通過する期間において、UE4bとの通信により無線基地局3aの無線リソースが競合すると予測される場合、該期間を除外してUE4aの通信開始時間を算出する。具体的には、UE4aが無線基地局3aのセル内を通過する期間を除外期間として、通信期間が該除外期間と重複しないよう、起点時間と終点時間とを設定する。図13の例では、UE4aが無線基地局3bのセル内を通過する期間をUE4aの通信開始時間として算出している。
【0086】
以上の処理において、コンテンツサーバ1は、各UE4a及び4bの現在位置や、通信開始時間を把握しているため、新たな情報の通信を行うことなく、各UEについての通信開始時間のスケジューリングが可能である。
【0087】
第5動作例を実施する上で、コンテンツサーバ1の通信品質情報保持部123は、位置情報に応じた通信品質に加えて、該位置において通信する無線基地局3を特定する情報を持っていることが好ましい。
【0088】
コンテンツサーバ1の第5動作例によれば、無線通信システム10を多くのユーザが利用する場合に、特定の通信区間におけるユーザ同士の通信時間が重ならないように調整することが可能となる。このため、無線基地局3における無線リソースが競合することなく、より効果的なスケジューリングが可能となる。
【0089】
(7)第6動作例
図14を参照してコンテンツサーバ1の第6動作例について説明する。
【0090】
UE4に対して送信するコンテンツデータのデータサイズが特に大きい場合等には、データサイズに応じた許容時間が長くなり、コンテンツデータの通信期間が長くなることが考えられる。また、このような場合、一度の通信でコンテンツデータの送信を完了するような通信開始時間を設定することが困難となる場合もある。
【0091】
コンテンツサーバ1の第6動作例では、コンテンツデータのデータサイズが特に大きい場合等、通信期間が特に長期化すると予測される場合には、通信期間を分割する。
【0092】
具体的には、図14に示されるように、データサイズに応じて通信品質の閾値を設定し、通信品質が該閾値以上となる場所を通信区間とし、通信品質が該閾値を下回る場所においては、通信を中断する。このような第6動作例によれば、UE4の移動経路において通信品質が大きく変化する場合であっても、通信品質が好適な位置においてデータの送受信を実施可能となるため、無線リソースの効率的な活用が可能となる。
【0093】
(8)変形例
上述した構成例及び各動作例においては、コンテンツサーバ1を開示の通信制御装置の一例として説明していた。しかしながら、その他のネットワーク機器であっても、少なくとも図2を参照して説明した各機能部に相当する機能を有していれば、開示の通信制御装置の好適な一実施形態となり得る。例えば、複数の無線基地局3に接続され、その動作を制御するRNC(Radio Network Controller:基地局制御装置)もまた開示の通信制御装置の一実施形態となり得る。また、同じく複数の無線基地局3に接続され、UE4の位置登録、呼処理又は無線基地局間ハンドオーバ等のモビリティ管理を行うMME(Mobility Management Entity:モビリティ管理装置)もまた開示の通信制御装置の一実施形態となり得る。このようなネットワーク機器を通信制御装置の一実施形態とする場合、通信開始時間に応じて、コンテンツサーバ等のコンテンツを供給する装置の通信を制御することで、上述した各種動作例と同様の動作を実現出来る。
【0094】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う通信制御装置及び方法並びに無線通信システム等もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0095】
以上、本明細書で説明した実施形態について、以下の付記を更に記載する。
(付記1)
ネットワークを介して接続される移動端末の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化の予測結果と、前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定する処理を行うプロセッサを備えることを特徴とする通信制御装置。
(付記2)
前記プロセッサは、前記ネットワークと前記移動端末との間のデータの送受信に要する時間が、所定の時間区間内において送受信を開始するタイミングをずらしながら前記データを送受信した場合に要する時間のうち最短の時間となるよう、前記データの送受信を開始するタイミングを決定することを特徴とする付記1に記載の通信制御装置。
(付記3)
前記プロセッサは、(i)前記移動端末の通信品質について閾値を設定し、(ii)前記データのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて、前記データの送受信を開始してから前記データの送受信が完了すると推定されるタイミングまでの間に、前記移動端末の通信品質が前記閾値を下回る期間が、前記データのサイズに応じて決定される期間内となる送受信の開始タイミングのうち、現在時刻から最も近いタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする付記1又は2に記載の通信制御装置。
(付記4)
前記通信タイミング決定部は、(i)前記データのサイズに応じて前記移動端末の通信品質について閾値を設定し、(ii)前記データのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて、前記データの送受信を開始してから前記データの送受信が完了すると推定されるタイミングまでの間に、前記移動端末の通信品質が前記閾値を下回る期間が所定の期間内となる送受信の開始タイミングのうち、現在時刻から最も近いタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする付記1又は2に記載の通信制御装置。
(付記5)
前記プロセッサは、(i)前記データのサイズに応じて、前記移動端末の通信品質の予測結果の平均値について閾値を設定し、(ii)前記データの送受信を開始してから前記データの送受信が完了するタイミングまでの間の前記移動端末の通信品質の予測結果の平均値が該閾値以上となる送受信の開始タイミングのうち、現在時刻から最も近いタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする付記1に記載の通信制御装置。
(付記6)
前記プロセッサは、(i)前記データのサイズに応じて、前記移動端末の通信品質について閾値を設定し、(ii)前記移動端末の通信品質が前記閾値以上となるタイミングにおいて前記データを送受信するよう、前記データの送受信を開始するタイミング及び停止するタイミングを決定することを特徴とする付記1に記載の通信制御装置。
(付記7)
前記通信タイミング決定部は、前記移動端末が、前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて決定される位置に到達したタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の通信制御装置。
(付記8)
前記プロセッサは、複数の前記移動端末の移動経路を推定し、複数の前記移動端末の通信品質の変化を予測し、複数の前記移動端末間で前記ネットワークの無線リソースの競合が生じないように、複数の前記移動端末の夫々について前記データの送受信を開始するタイミングを決定することを特徴とする付記1から7のいずれか一項に記載の通信制御装置。
(付記9)
ネットワークを介して接続される移動端末の移動経路を推定し、
推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化を予測し、
前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする通信制御方法。
(付記10)
無線通信を行うネットワーク及び移動端末と、該無線通信を制御する通信制御装置とを含む無線通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記移動端末の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化の予測結果と、前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定するとともに、決定した前記データの送受信を開始するタイミングを前記移動端末に送信する処理を行う第1のプロセッサ
を備え、
前記移動端末は、
前記通信制御装置から送信される前記データの送受信を開始するタイミングを受信する受信処理部と、
取得される前記データの送受信を開始するタイミングに応じて、前記データの送受信の開始を制御する第2のプロセッサと
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【符号の説明】
【0096】
1 コンテンツサーバ、
2 ゲートウェイ、
3 無線基地局、
4 UE(移動端末)、
10 無線通信システム、
110 CPU、
111 コンテンツ制御部、
112 移動経路推定部、
113 通信品質予測部、
114 通信開始時間算出部、
120 メモリ、
410 下り信号受信処理部、
420 上り信号送信処理部、
430 CPU、
440 コンテンツ保持メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される移動端末の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化の予測結果と、前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定する処理を行うプロセッサを備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記ネットワークと前記移動端末との間のデータの送受信に要する時間が、所定の時間区間内において送受信を開始するタイミングをずらしながら前記データを送受信した場合に要する時間のうち最短の時間となるよう、前記データの送受信を開始するタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、(i)前記移動端末の通信品質について閾値を設定し、(ii)前記データのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて、前記データの送受信を開始してから前記データの送受信が完了すると推定されるタイミングまでの間に、前記移動端末の通信品質が前記閾値を下回る期間が、前記データのサイズに応じて決定される期間内となる送受信の開始タイミングのうち、現在時刻から最も近いタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、(i)前記データのサイズに応じて、前記移動端末の通信品質の予測結果の平均値について閾値を設定し、(ii)前記データの送受信を開始してから前記データの送受信が完了するタイミングまでの間の前記移動端末の通信品質の予測結果の平均値が該閾値以上となる送受信の開始タイミングのうち、現在時刻から最も近いタイミングを前記データの送受信を開始するタイミングとして決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、(i)前記データのサイズに応じて、前記移動端末の通信品質について閾値を設定し、(ii)前記移動端末の通信品質が前記閾値以上となるタイミングにおいて前記データを送受信するよう、前記データの送受信を開始するタイミング及び停止するタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、複数の前記移動端末の移動経路を推定し、複数の前記移動端末の通信品質の変化を予測し、複数の前記移動端末間で前記ネットワークの無線リソースの競合が生じないように、複数の前記移動端末の夫々について前記データの送受信を開始するタイミングを決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
ネットワークを介して接続される移動端末の移動経路を推定し、
推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化を予測し、
前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズ及び前記通信品質の予測結果に基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項8】
無線通信を行うネットワーク及び移動端末と、該無線通信を制御する通信制御装置とを含む無線通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記移動端末の移動経路を推定し、推定した移動経路に応じた前記移動端末の通信品質の変化の予測結果と、前記ネットワークと前記移動端末との間で送受信するデータのサイズとに基づいて、前記データの送受信を開始するタイミングを決定するとともに、決定した前記データの送受信を開始するタイミングを前記移動端末に送信する処理を行う第1のプロセッサ
を備え、
前記移動端末は、
前記通信制御装置から送信される前記データの送受信を開始するタイミングを受信する受信処理部と、
取得される前記データの送受信を開始するタイミングに応じて、前記データの送受信の開始を制御する第2のプロセッサと
を備えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−195771(P2012−195771A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58287(P2011−58287)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】