説明

通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法および音声蓄積・読み出しシステム

【課題】音声による本人性の確認を確実に実施でき、多重化により災害時の情報復元を可能とした通信回線を活用した音声蓄積・読み出しシステムを提供する。
【解決手段】通信網10を介して各々接続され、回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能を有し、端末15aa〜15nnからの音声の登録、蓄積、読み出しの各要求を各々受け付ける複数の回線ユーザインタフェース11a〜11nと、前記各インタフェースに各々接続され、音声特徴抽出部(音声認証装置12a〜12b)と、音声の特徴および端末から入力される音声データを蓄積する音声蓄積装置13a〜13nと、前記データの蓄積状況を、利用者識別番号、蓄積時刻および蓄積データの種類を含む形式で記録する音声蓄積状況管理装置14a〜14nと、前記音声の特徴と音声データとを比較してユーザを識別する音声特徴比較部(音声認証装置12a〜12n)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声蓄積装置とその利用者の認証に係り、通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法および音声蓄積・読み出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信回線を活用して音声の蓄積、読み出しを可能にする方法の例としては、伝言ダイヤルなどが存在する。下記非特許文献1中に、「全国利用型伝言ダイヤル」の例があるように、連絡番号(電話番号など)と暗証番号を本人性の確認のために利用している。この方法では、暗証番号等を用いることによって、あらかじめこれらを伝え合った当事者以外の利用者による音声の読み出しを排除することができる。
【0003】
また、近年、電話網やインターネットなど、通信網において本人性を確認するために、利用者の声紋など、バイオメトクス情報を活用したシステムを採用した例が見られる。これらの中で、端末でなく通信網の中に本人認証のために音声認証を活用した技術として、例えば下記特許文献1が存在する。
【0004】
特許文献1は、通信網上のコンピュータにアクセスする利用者の本人性を確認する手段として、ネットワーク上に設置された音声認証装置を利用している。このような技術を活用すれば、ネットワーク上のコンピュータを初めとする装置へのアクセスの本人性を確保することができ、オンラインバンキングなどのサービスを実現することができる。
【非特許文献1】NTT NEWSRELEASE 日本電信電話株式会社 [online] 平成8年8月29日、日本電信電話株式会社、[平成19年5月11日検索]、インターネット<URL;http://www.ntt.co.jp/news/news96/960829.html
【特許文献1】特開2003−309673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら非特許文献1では、例えば連絡番号や暗証番号を知る当事者間でどの利用者が話したものか、ということを確認することは不可能である。このように、従来の技術では蓄積された音声について、どの利用者が発声したものかという本人性を証明することは困難であった。
【0006】
また、災害等に備え多重化しておくことが望ましいが多重化構造については何ら開示されていない。
【0007】
また、特許文献1の技術では、音声認証を行う装置をインターネットや構内通信網に接続することが前提となるため、音声認証装置の他、音声蓄積装置も構内網や高機能周辺装置で接続することができるが、これらの通信のためにはイーサーネット等を利用することになるので音声認証装置に対する、インターネット経由や構内通信網からの不正アクセスを完全には防御できない事態が考えられる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、音声による本人性の確認を確実に実施できるとともに、多重化により災害時の情報復元を可能とした通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法および音声蓄積・読み出しシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の音声蓄積・読み出し方法は、通信網を介して各々接続され、回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能を有し、ユーザ端末からの音声の登録、蓄積、読み出しの各要求を各々受け付ける複数の回線ユーザインタフェースと、前記各回線ユーザインタフェースに各々接続された音声特徴抽出手段、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段および音声特徴比較手段とを備えた音声蓄積・読み出しシステムにおける音声蓄積・読み出し方法であって、
ユーザ端末からの音声登録要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが当該ユーザ端末に利用者識別番号を発行するか、あるいは予め前記回線ユーザインタフェースが割り当てた識別番号を読み込むステップと、ユーザ端末からの音声登録要求受付時に、前記音声特徴抽出手段が、ユーザ端末から入力される音声の特徴を抽出するステップと、ユーザ端末からの音声登録要求又は音声蓄積要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが、前記抽出された音声特徴および前記利用者識別番号を時刻情報とともに前記音声蓄積手段に蓄積させるステップと、ユーザ端末からの音声登録要求又は音声蓄積要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが、前記音声蓄積手段へのデータ蓄積状況を、利用者識別番号、蓄積時刻および蓄積データの種類を含む形式で前記音声蓄積状況管理手段に記録するステップと、前記回線ユーザインタフェースが、所定の回線ユーザインタフェースに接続された、音声蓄積手段に蓄積されたデータおよび音声蓄積状況管理手段に記録されたデータを複製し、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段および音声蓄積状況管理手段に蓄積、記録するステップと、ユーザ端末からの音声蓄積要求又は音声読み出し要求受付時に、前記音声特徴比較手段が、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている音声特徴と、ユーザ端末から入力された音声データとを比較し、一致する場合に当該ユーザが、入力された利用者識別番号に対応するユーザであると識別する認証ステップとを備えたことを特徴としている。
【0010】
また請求項6に記載の音声蓄積・読み出しシステムは、通信網を介して各々接続され、回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能を有し、ユーザ端末からの音声の登録、蓄積、読み出しの各要求を各々受け付ける複数の回線ユーザインタフェースと、前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記ユーザ端末から入力される音声の特徴を抽出する音声特徴抽出手段と、前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記抽出された音声の特徴およびユーザ端末から入力される音声データを、利用者識別番号および時刻情報と各々対応して蓄積する音声蓄積手段と、前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記音声蓄積手段へのデータ蓄積状況を、利用者識別番号、蓄積時刻および蓄積データの種類を含む形式で記録する音声蓄積状況管理手段と、前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている音声特徴と、ユーザ端末から入力された音声データとを比較し、一致する場合に当該ユーザが、入力された利用者識別番号に対応するユーザであると識別する音声特徴比較手段とを備え、
前記回線ユーザインタフェースは、前記音声特徴抽出手段、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段および音声特徴比較手段の各動作を制御するとともに、所定の回線ユーザインタフェースに接続された、音声蓄積手段に蓄積されたデータおよび音声蓄積状況管理手段に記録されたデータを複製し、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段および音声蓄積状況管理手段に蓄積、記録することを特徴としている。
【0011】
また請求項3に記載の音声蓄積・読み出し方法は、ユーザ端末からの音声蓄積要求受付時に、前記認証ステップを実行した後に、前記回線ユーザインタフェースが、前記ユーザ端末から入力された音声データおよび前記利用者識別番号を時刻情報とともに前記音声蓄積手段に蓄積させるステップを実行することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、利用者は回線ユーザインタフェースを介してのみ、音声特徴抽出手段、音声特徴比較手段および音声蓄積手段にアクセスが可能となるため、回線ユーザインタフェースに具備されるアクセス制限機能によって、不正アクセス等の発生を抑えることができる。また、回線ユーザインタフェースに接続された複数の音声蓄積手段を動作させることもできるので、1箇所の音声蓄積手段が天災等で破壊されることがあっても、他の音声蓄積手段による情報復元が可能である。
【0013】
さらに、利用者は事前に音声蓄積状況管理手段に音声(蓄積データ種類)の登録を行っておくことにより、音声蓄積時や音声読み出し時に、本人の音声を用いて本人性の確認を行うことができる。
【0014】
また請求項2に記載の音声蓄積・読み出し方法は、前記音声蓄積状況管理手段に記録するステップは、同一利用者識別番号に対して複数の蓄積データの種類を記録することを特徴としている。
【0015】
また請求項7に記載の音声蓄積・読み出しシステムは、前記音声蓄積状況管理手段には、同一利用者識別番号に対して複数の蓄積データの種類が記録されることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、複数の利用者、例えば家族やグループ内で音声の蓄積や読み出しを共通的に行うことができる。
【0017】
また請求項4に記載の音声蓄積・読み出し方法は、ユーザ端末からの音声読み出し要求受付時に、前記認証ステップを実行した後に、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている、当該ユーザの利用者識別番号に対応する音声データを読み出すステップと、
前記所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段から読み出された音声データと、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段に、前記蓄積時刻と同一時刻で且つ同一の利用者識別番号に対応して蓄積された音声データとを比較し、両者の一致を確認する確認ステップと
を実行することを特徴としている。
【0018】
また請求項8に記載の音声蓄積・読み出しシステムは、前記回線ユーザインタフェースは、前記所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段から読み出された音声データと、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段に、前記蓄積時刻と同一時刻で且つ同一の利用者識別番号に対応して蓄積された音声データとを比較し、両者の一致を確認することを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、音声蓄積手段に蓄積された音声特徴又は音声データを読み出した際に、それらのデータが正しいことを、通信網を介して接続されている複数の回線ユーザインタフェース側の音声蓄積状況管理手段および音声蓄積手段によって確認することができる。
【0020】
また請求項5に記載の音声蓄積・読み出し方法は、前記確認ステップにより不一致となるデータが存在する場合に、所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段のデータを、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段の最も多く一致するデータに書き換えるデータ修復ステップを実行することを特徴としている。
【0021】
また請求項9に記載の音声蓄積・読み出しシステムは、前記回線ユーザインタフェースは、前記確認動作により不一致となるデータが存在する場合に、所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段のデータを、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段の最も多く一致するデータに書き換えることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段内のデータの改変、欠落データの修復を行うことができる。
【0023】
課題を解決するためのより具体的な手段は、通信回線上に配置された複数の回線ユーザインタフェースと複数の音声認証部分、音声蓄積部分からなる装置を用いることを特徴とするものである。前記回線ユーザインタフェースはユーザからの回線インタフェース機能と交換機能、機器制御機能を備えたものとし、交換機などが想定される。通信回線としてはインターネット網等からは切り離された通信網によって複数の交換機を接続し、各交換機には、音声特徴抽出手段および音声特徴比較手段の機能を備えた音声認証装置、音声蓄積装置が接続されたシステムを用い、回線ユーザインタフェースと音声蓄積手段の間には専用プロトコルを用いることで解決するものである。
【発明の効果】
【0024】
(1)請求項1〜9に記載の発明によれば、利用者は回線ユーザインタフェースを介してのみ、音声特徴抽出手段、音声特徴比較手段および音声蓄積手段にアクセスが可能となるため、回線ユーザインタフェースに具備されるアクセス制限機能によって、不正アクセス等の発生を抑えることができる。また、回線ユーザインタフェースに接続された複数の音声蓄積手段を動作させることもできるので、1箇所の音声蓄積手段が天災等で破壊されることがあっても、他の音声蓄積手段による情報復元が可能である。
【0025】
さらに、利用者は事前に音声蓄積状況管理手段に音声(蓄積データ種類)の登録を行っておくことにより、音声蓄積時や音声読み出し時に、本人の音声を用いて本人性の確認を行うことができる。
(2)請求項2、7に記載の発明によれば、複数の利用者、例えば家族やグループ内で音声の蓄積や読み出しを共通的に行うことができる。
(3)請求項4、8に記載の発明によれば、音声蓄積手段に蓄積された音声特徴又は音声データを読み出した際に、それらのデータが正しいことを、通信網を介して接続されている複数の回線ユーザインタフェース側の音声蓄積状況管理手段および音声蓄積手段によって確認することができる。
(4)請求項5,9に記載の発明によれば、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段内のデータの改変、欠落データの修復を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。図1は本発明の通信回線を利用した音声蓄積・読み出しシステムの最適な実施形態を示している。本実施形態例のシステムは、通信網10を介して各々接続された複数の回線ユーザインタフェース11a〜11n、前記各インタフェース11a〜11nに各々接続された、音声特徴抽出手段および音声特徴比較手段の機能を有した音声認証装置12a〜12n、音声蓄積手段としての音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理手段としての音声蓄積状況管理装置14a〜14nおよび端末15aa〜15nn(ユーザ端末)とを備えている。
【0027】
ここで、回線ユーザインタフェースによってはこれらの機器が接続されていない構成もありうるが、音声蓄積装置(13a〜13n)と音声蓄積状況管理装置(14a〜14n)は最低限、3個以上存在するものとする。音声認証装置12a〜12nは図2のように、端末15aa〜15nnから入力される音声の特徴を抽出する音声特徴抽出部(音声特徴抽出手段)121と、前記音声蓄積装置13a〜13nに蓄積された、後述する音声特徴と、端末15aa〜15nnから入力された音声データとを比較し利用者を識別する音声特徴比較部(音声特徴比較手段)122とを有している。
【0028】
音声蓄積状況管理装置14a〜14nは、利用者を特定する情報(利用者番号など)と利用者の音声を蓄積した音声蓄積装置13a〜13nの番号を対応づけた情報を保持する機能を有する。音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14nは一般的なPCサーバによって構成される。
【0029】
前記音声蓄積装置13a〜13nに蓄積されるデータは、図3のように、利用者識別番号、蓄積時刻、音声データから構成される。
【0030】
また前記音積蓄積状況管理装置14a〜14nに蓄積されるデータは、図4のように、利用者識別番号、蓄積時刻、蓄積データの種類から構成される。
【0031】
前記回線ユーザインタフェース15aa〜15nnはユーザからの回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能、アクセス制限機能を具備し、例えば交換機を有して構成されている。したがってより具体的には、インターネット網等からは切り離された通信網10によって複数の交換機を接続し、各交換機に音声認証装置12a〜12n、音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14nを各々接続し、回線ユーザインタフェース11a〜11nと音声認証装置12a〜12nの間には専用プロトコルを用いている。
【0032】
また前記音声認証装置12a〜12n、音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14nの各機能はサーバの演算処理装置(CPU;図示省略)で実行されることにより実現される。
【0033】
次に上記のように構成されたシステムの動作を図5〜図9のシーケンス図とともに説明する。
【0034】
尚図5〜図9において、回線ユーザインタフェース11a〜11nはi、音声認証装置12a〜12nはj、音声蓄積装置13a〜13nはk、音声蓄積状況管理装置14a〜14nはlとして各々表記している。
【0035】
(1)音声の初回登録時の動作
音声を初回に登録する際には、図5において、利用者が端末、例えば端末15aaを利用して回線ユーザインタフェース11aを動作させ、最初の音声登録であることを合図する。回線ユーザインタフェース11aはこの合図を受け取り、利用者の識別番号を発行するとともに、適当な音声認証装置、例えば12aを動作させ、図2中の音声特徴抽出部121を動作させて音声特徴を抽出する。回線ユーザインタフェース11aは抽出された音声特徴を適当な音声蓄積装置、例えば13aに転送し、利用者識別番号と音声特徴を蓄積する動作を実施させる。
【0036】
ここで、利用者の識別番号は、回線ユーザインタフェース11a〜11nが保有する利用者を識別する番号(電話番号等)とすることもできるし、音声蓄積状況管理装置14a〜14nが初回に登録する利用者ごとに発行する番号とすることもできる。このような音声蓄積動作の後、適当な音声蓄積状況管理装置、例えば14aを動作させ、当該利用者の利用者識別番号と音声特徴が蓄積されたことを音声蓄積状況管理装置14aに図4の形式で記録する。この際、「蓄積データの種類」には音声特徴であることを明記する。
【0037】
以上述べた動作において、回線ユーザインタフェース11aは基本的には回線ユーザインタフェース11aに接続された音声認証装置12aや音声蓄積状況管理装置14aを動作させることとするが、回線ユーザインタフェース11aに音声認証装置12aや音声蓄積状況管理装置14aが接続されていない場合は他の回線ユーザインタフェース11b〜11nに接続された音声認証装置12b〜12nや音声蓄積状況管理装置14b〜14nを動作させる。この場合、複数の回線ユーザインタフェース11a〜11nの間は通信網10を利用して必要なデータを伝えればよい。
【0038】
このようにして音声蓄積装置13a、音声蓄積状況管理装置14aに蓄積された情報は回線ユーザインタフェース11aの動作によって複数の装置間で複製する。また、後述する音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14n内の改変、欠落データの修復動作を定期的に実施し、全ての音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14n間で同一の情報が蓄積されるようにする。
【0039】
また同一の利用者識別番号を複数の利用者で利用する場合は、2人目以降の利用者に対しても上述と同様の手順を実施し、図4の「蓄積データの種類」を「音声特徴その2」などと記録すればよい。
【0040】
(2)音声蓄積時の動作
音声の初回登録を実施した後、利用者は回線ユーザインタフェース11a〜11nに接続された端末15aa〜15nnを用いて音声を登録する。図6において、はじめに利用者が識別番号を入力し、回線ユーザインタフェース11a〜11nに対して音声蓄積動作であることを合図した後、回線ユーザインタフェース11a〜11nは利用者の識別を実施する。この利用者識別の方法については後ほど詳しく記述する。
利用者識別の結果、利用者が入力された識別番号に対応する利用者であることが確認された後、回線ユーザインタフェース11a〜11nは音声蓄積装置13aを動作させ、音声のデータと利用者の識別番号、蓄積時刻、のデータを蓄積する。さらに、音声蓄積状況管理装置14aを動作させ、蓄積された音声の利用者識別番号と蓄積時刻、蓄積データの種類として音声データであることを記録する。こうして音声蓄積装置13a、音声蓄積状況管理装置14aに蓄積された情報は回線ユーザインタフェース11aの動作によって全ての音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14nに複製する。
また、後述する音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14n内の改変、欠落データの修復動作を定期的に実施し、全ての音声蓄積装置13a〜13n、音声蓄積状況管理装置14a〜14n間で同一の情報が蓄積されるようにする。なお、音声蓄積中にも適宜、回線ユーザインタフェース11a〜11nは利用者識別の動作を行うこともできる。この場合、途中で利用者が入力された識別番号に対応する利用者であることが確認されなくなった時点で蓄積を中止することもできる。
(3)音声読み出し時の動作
音声蓄積装置13a〜13nに蓄積されている音声を読み出す際はまず、図7において、音声を登録した利用者が例えば端末15aaを利用して回線ユーザインタフェース11aを動作させ、利用者の識別番号と音声読み出しの動作であることを伝える。回線ユーザインタフェース11aは利用者の識別動作を行い、利用者が入力された識別番号に対応する利用者であることが確認された後、音声蓄積状況管理装置14aから当該利用者の音声蓄積時刻のデータを読み出す。これらの情報に基づき、音声蓄積装置13aに蓄積された当該利用者の音声を読み出すこととする。このような、音声蓄積状況管理装置14a、音声蓄積装置13aからの読み出しの動作の際、回線ユーザインタフェース11aはファイルの内容が正しいことを確認する動作を実施する。これは、例えば、読み出しを行っている音声蓄積装置13aや音声蓄積状況管理装置14a以外の音声蓄積装置13b〜13n、音声蓄積管理装置14b〜14nにアクセスし、同一利用者識別番号、同一の時刻に記入されたデータを比較し、両者が一致することを確認することにより実現される。もし、データが相違する場合は後述の(5)で述べる音声蓄積装置、音声蓄積状況管理装置内の情報の改変、欠落データの修復動作を実施した後に読み出し動作を実施すれば良い。
【0041】
(4)利用者の識別の動作
回線ユーザインタフェース11a〜11nは以下の手順によって利用者識別の動作を行う。図8において、まず、回線ユーザインタフェース11aは音声蓄積状況管理装置14aから当該利用者の音声特徴が蓄積された時刻の情報を読み出す。この情報をもとに、回線ユーザインタフェース11aは音声蓄積装置13aから当該利用者の音声特徴を読み出す。
これら読み出しの動作の際、回線ユーザインタフェース11aはファイルの内容が正しいことを確認する動作を実施する。これは先に述べた音声読み出し時の音声蓄積装置、音声蓄積状況管理装置からの読み出し動作と同様の手続きを実行すればよい。
その後、回線ユーザインタフェース11aは端末,例えば端末15aaから入力される音声データを、前記音声蓄積装置13aから読み出した音声特徴とともに音声認証装置12aに転送する。回線ユーザインタフェース11aに音声データが入力されていない場合は利用者に対して識別のための音声を送信することを端末15aaを通して要求する。
しかる後に図2に示す音声特徴比較部122を動作させ、音声蓄積装置13aから転送された音声特徴と前記音声データとを比較し、一致する場合は、利用者が入力された識別番号に対応する利用者であることを回線ユーザインタフェース11aに伝える。
なお、同一の利用者識別番号に対して「蓄積データの種類」で「音声特徴」「音声特徴その2」など複数の音声特徴の登録がある場合は全ての音声特徴に対して上記処理を行い、一致するものが存在した場合は利用者が、入力された識別番号に対応する利用者であることを回線ユーザインタフェース11aに伝える。
(5)音声蓄積装置、音声蓄積状況管理装置内の改変、欠落データの修復動作
回線ユーザインタフェース11a〜11nは以下の動作によって複数の音声蓄積装置、音声蓄積状況管理装置に蓄積された情報の確認と改変、欠落データの修復動作を実施する。図9においてまず、回線ユーザインタフェース11a〜11nは全ての音声蓄積装置13a〜13nを動作させ、同一利用者識別番号、同一の時刻に蓄積されたデータを読み出し、データを比較する。もし、異なるデータや欠落したデータが存在する場合は、同一利用者識別番号、同一の時刻に蓄積されたデータのうち、もっとも多く一致するデータをもって異なるデータや欠落したデータを書き換える。また、音声蓄積状況管理装置14a〜14nに対しても同様の処理を行えば改変、欠落データの修復動作が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態例を表すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態例の音声認証装置の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態例の音声蓄積装置に蓄積されるデータのデータ形式の一例を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態例の音声蓄積状況管理装置に蓄積されるデータのデータ形式の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態例における、音声の初回登録時の手順の一例を表すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態例における、音声蓄積時の手順の一例を表すシーケンス図である。
【図7】本発明の一実施形態例における、音声読み出し時の手順の一例を表すシーケンス図である。
【図8】本発明の一実施形態例における、利用者の識別時の手順の一例を表すシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態例における、音声蓄積装置、音声蓄積状況管理装置内の改変、欠落データの修復動作時の手順の一例を表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0043】
10…通信網、11a〜11n…回線ユーザインタフェース、12a〜12n…音声認証装置、13a〜13n…音声蓄積装置、14a〜14n…音声蓄積状況管理装置、15aa〜15nn…端末、121…音声特徴抽出部、122…音声特徴比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して各々接続され、回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能を有し、ユーザ端末からの音声の登録、蓄積、読み出しの各要求を各々受け付ける複数の回線ユーザインタフェースと、前記各回線ユーザインタフェースに各々接続された音声特徴抽出手段、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段および音声特徴比較手段とを備えた音声蓄積・読み出しシステムにおける音声蓄積・読み出し方法であって、
ユーザ端末からの音声登録要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが当該ユーザ端末に利用者識別番号を発行するか、あるいは予め前記回線ユーザインタフェースが割り当てた識別番号を読み込むステップと、
ユーザ端末からの音声登録要求受付時に、前記音声特徴抽出手段が、ユーザ端末から入力される音声の特徴を抽出するステップと、
ユーザ端末からの音声登録要求又は音声蓄積要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが、前記抽出された音声特徴および前記利用者識別番号を時刻情報とともに前記音声蓄積手段に蓄積させるステップと、
ユーザ端末からの音声登録要求又は音声蓄積要求受付時に、前記回線ユーザインタフェースが、前記音声蓄積手段へのデータ蓄積状況を、利用者識別番号、蓄積時刻および蓄積データの種類を含む形式で前記音声蓄積状況管理手段に記録するステップと、
前記回線ユーザインタフェースが、所定の回線ユーザインタフェースに接続された、音声蓄積手段に蓄積されたデータおよび音声蓄積状況管理手段に記録されたデータを複製し、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段および音声蓄積状況管理手段に蓄積、記録するステップと、
ユーザ端末からの音声蓄積要求又は音声読み出し要求受付時に、前記音声特徴比較手段が、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている音声特徴と、ユーザ端末から入力された音声データとを比較し、一致する場合に当該ユーザが、入力された利用者識別番号に対応するユーザであると識別する認証ステップと
を備えたことを特徴とする通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法。
【請求項2】
前記音声蓄積状況管理手段に記録するステップは、同一利用者識別番号に対して複数の蓄積データの種類を記録することを特徴とする請求項1に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法。
【請求項3】
ユーザ端末からの音声蓄積要求受付時に、前記認証ステップを実行した後に、前記回線ユーザインタフェースが、前記ユーザ端末から入力された音声データおよび前記利用者識別番号を時刻情報とともに前記音声蓄積手段に蓄積させるステップを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法。
【請求項4】
ユーザ端末からの音声読み出し要求受付時に、前記認証ステップを実行した後に、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている、当該ユーザの利用者識別番号に対応する音声データを読み出すステップと、
前記所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段から読み出された音声データと、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段に、前記蓄積時刻と同一時刻で且つ同一の利用者識別番号に対応して蓄積された音声データとを比較し、両者の一致を確認する確認ステップと
を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法。
【請求項5】
前記確認ステップにより不一致となるデータが存在する場合に、所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段のデータを、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段の最も多く一致するデータに書き換えるデータ修復ステップを実行することを特徴とする請求項4に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出し方法。
【請求項6】
通信網を介して各々接続され、回線インタフェース機能、交換機能、機器制御機能を有し、ユーザ端末からの音声の登録、蓄積、読み出しの各要求を各々受け付ける複数の回線ユーザインタフェースと、
前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記ユーザ端末から入力される音声の特徴を抽出する音声特徴抽出手段と、
前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記抽出された音声の特徴およびユーザ端末から入力される音声データを、利用者識別番号および時刻情報と各々対応して蓄積する音声蓄積手段と、
前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記音声蓄積手段へのデータ蓄積状況を、利用者識別番号、蓄積時刻および蓄積データの種類を含む形式で記録する音声蓄積状況管理手段と、
前記複数の回線ユーザインタフェースに各々接続され、前記音声蓄積状況管理手段に記録された蓄積時刻と同一時刻に前記音声蓄積手段に蓄積されている音声特徴と、ユーザ端末から入力された音声データとを比較し、一致する場合に当該ユーザが、入力された利用者識別番号に対応するユーザであると識別する音声特徴比較手段とを備え、
前記回線ユーザインタフェースは、前記音声特徴抽出手段、音声蓄積手段、音声蓄積状況管理手段および音声特徴比較手段の各動作を制御するとともに、所定の回線ユーザインタフェースに接続された、音声蓄積手段に蓄積されたデータおよび音声蓄積状況管理手段に記録されたデータを複製し、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段および音声蓄積状況管理手段に蓄積、記録することを特徴とする通信回線を活用した音声蓄積・読み出しシステム。
【請求項7】
前記音声蓄積状況管理手段には、同一利用者識別番号に対して複数の蓄積データの種類が記録されることを特徴とする請求項6に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出しシステム。
【請求項8】
前記回線ユーザインタフェースは、前記所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段から読み出された音声データと、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段に、前記蓄積時刻と同一時刻で且つ同一の利用者識別番号に対応して蓄積された音声データとを比較し、両者の一致を確認することを特徴とする請求項6又は7に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出しシステム。
【請求項9】
前記回線ユーザインタフェースは、前記確認動作により不一致となるデータが存在する場合に、所定の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段のデータを、前記通信網を介した他の回線ユーザインタフェースに接続された音声蓄積手段の最も多く一致するデータに書き換えることを特徴とする請求項8に記載の通信回線を活用した音声蓄積・読み出しシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−287484(P2008−287484A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131619(P2007−131619)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】