説明

通信端末、通信端末の着信表示秘匿方法および通信端末の着信表示秘匿プログラム

【課題】発呼およびメールを着信した時に、発信者情報を表示する機能を持った通信端末
において、第3者に着信表示を見られることによる情報漏洩を防止した通信端末を提供す
る。
【解決手段】
秘匿表示を行う条件と、発信者識別用のマーク等を予め記憶部に設定しておく。秘匿表
示条件を満たした着信を受けると、記憶部に記憶された秘匿者設定情報又は秘匿設定され
たアドレス帳に登録した発信者情報の替わりにマーク等を用いた秘匿表示によって着信を
知らせる(図5(c)の画面を参照)。秘匿表示を解除する操作がなされた場合は、通常
の着信通知に表示を切り替える(図5(a)の画面を参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信機能を持ち、特に発呼者あるいはメール送信者の情報を着信時に表示する
機能を持つ通信端末、通信端末の着信表示秘匿方法および通信端末の着信表示秘匿プログ
ラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信端末の小型化・軽量化および無線通信回線の普及に従って、無線通信機能を
備えた携帯端末の普及が進んでいる。無線通信機能を備えた携帯端末の1つである携帯電
話機は、電話による音声通信機能に加えてデータ通信機能を備えており、電子メール(以
下、単にメールと表記する)の送受信やインターネット上のウェブサイトの閲覧、および
インターネットショッピング等を利用した商品取引など、様々な用途に活用されている。
【0003】
こうした携帯電話機を用いた通信技術の発達に伴って、個人情報やビジネスに関る情報
を携帯電話機に保存し、持ち歩く機会が増加している。中でも、よく使用する連絡先を予
め携帯電話機に保存しておくアドレス帳機能は、現在使用されている多くの携帯電話機に
備えられた機能である。アドレス帳機能を利用することにより、携帯電話機の使用者は簡
単に連絡先を指定することができる。また、携帯電話機が着呼あるいはメールを着信した
時に、発呼者の電話番号や送信元のメールアドレスを表示する替わりにアドレス帳に登録
した氏名などを表示させる、所謂着信表示機能を利用することができる。これにより、携
帯電話機の使用者は容易に発呼者やメールの送信元が誰であるかを識別することができる

【0004】
また、アドレス帳に登録した特定の連絡先などの情報と所定の画像とを予め関連づけて
設定しておき、当該特定の発信者から着呼あるいはメールを着信した場合に、着信表示に
関連付けられた画像を表示させる。画像を表示させることで、携帯電話機の使用者が発信
者の情報を視覚的・直感的に認識させる技術が公開されている(例えば、特許文献1を参
照)。
【0005】
こうしたアドレス帳機能の普及に伴って、携帯電話機のディスプレイに表示される着信
表示を、第3者に見られることで起こる情報の漏洩が近年問題となっている。例えば公共
交通機関や学校などの、人が多く集まる場所で携帯電話機を使用し、着信表示が行われた
場合を考える。第3者に着信表示を見られることで、携帯電話機の発信者の情報が漏洩す
る可能性がある。こうした問題を解決するために、携帯電話機に備えられた近距離無線チ
ップの通信状況を監視することで携帯電話機が、例えば公共交通機関内にあるか否かを認
識する。そして、公共交通機関内にある場合は、携帯電話機の着信表示を禁止する技術が
公開されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−278891号公報
【特許文献2】特開2008−67111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2による技術を用いた秘匿表示は、どの発信者からの発信であっても
一様に着信表示を行わない。そのため、公共交通機関内では発信者を認識することができ
ない。また、公共交通機関内であって情報漏洩の虞が無い場合においても、着信表示を切
り替えることができず利便性を損なっていた。
【0008】
ところで、発信者に応じて予めマーク等の識別子を登録しておき、登録した発信者から
の着信に対してはマーク等を表示する。こうした動作によって第3者には発信者の情報を
漏洩することなく、かつ携帯電話機の使用者はマークによって発信者を識別できると考え
られる。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、着信を受けた際に、登録された
発信者からの発信であった場合は登録された発信者の情報を用いた着信表示を行う替わり
に、マーク等によって着信表示を行う通信端末、通信端末の着信表示秘匿方法および通信
端末の着信表示秘匿プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の通信端末は、図形又は文字を表示する表示手段と
、前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、無線通信を介して通話ある
いは電子メールの送受信を行う通信手段と、発信者の識別情報及び発信者の秘匿表示情報
が記憶される記憶手段と、前記通信手段を介して通話あるいは電子メールを着信した場合
で、且つ予め設定された秘匿表示条件を満たさない場合に、前記記憶手段に記憶された前
記発信者の識別情報を前記表示手段に表示し、前記秘匿表示条件を満たす場合に、前記記
憶手段に記憶された前記発信者の秘匿表示情報を前記表示手段に表示し、前記秘匿表示情
報が前記表示手段に表示された状態で、前記入力手段から秘匿解除操作が行われると、前
記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記表示手段に表示する制御部とを有するこ
とを特徴とする。
【0011】
また、本発明の通信端末の着信表示秘匿方法は、図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、無線通信を介して通話あるい
は電子メールの送受信を行う通信手段と、発信者の識別情報及び前記発信者の秘匿情報が
記憶される記憶手段と、を有する通信端末の着信表示秘匿方法であって、前記通信手段を
介して発信した通話あるいは電子メールを着信し、予め設定された秘匿表示条件を満たさ
ないと判断されると、前記記憶手段に記憶された前記発信者の識別情報を前記表示手段に
表示し、前記秘匿表示条件を満たすと判断されると、前記記憶手段に記憶された前記発信
者の秘匿表示情報を前記表示手段に表示し、前記秘匿表示情報が前記表示手段に表示され
ている間に、前記入力手段から秘匿解除操作が行われると、前記秘匿表示情報を前記識別
情報に切り替えて前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の通信端末の着信表示秘匿プログラムは、図形又は文字を表示する表示手
段と、前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、無線通信を介して通話
あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、発信者の識別情報及び前記発信者の秘匿
情報が記憶される記憶手段と、を有する通信端末の着信表示秘匿プログラムであって、予
め設定された秘匿表示条件を満たさないと判断すると、着信した前記通話あるいは電子メ
ールの前記発信者の識別情報を前記表示手段に表示し、前記秘匿表示条件を満たすと判断
すると、前記発信者の秘匿表示情報を前記表示手段に表示する第1の表示機能と、前記秘
匿表示情報が前記表示手段に表示されている間に、前記入力手段から秘匿解除操作が行わ
れると、前記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記表示手段に表示する第2の表
示機能とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信端末が着信した場合に、登録された発信者からの発信であった場
合は所定のマーク等によって着信表示が行われる。これにより、第3者によって着信表示
を見られた場合であっても情報の漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、外観の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の内部の構成を示す図。
【図4】本実施形態における発信側携帯電話機と、着信側携帯電話機、およびBluetooth通信端末とを結ぶネットワーク接続の概念図。
【図5】各実施形態の受信側携帯電話機の、秘匿表示時におけるメインディスプレイおよびサブディスプレイの画面表示例。
【図6】各実施形態の受信側携帯電話機の、秘匿表示設定時におけるメインディスプレイの画面表示例。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る着信時に秘匿表示を行う処理のフローチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る着信時に秘匿表示を行い、且つ携帯電話機の開閉状態によって表示を切り替える処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(携帯電話機の構成)
図1は、本発明に掛かる通信端末の一例である、折り畳み携帯電話機1の外観の構成を
示す図である。図1(a)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態を正面から見た
外観の構成を示し、図1(b)は携帯電話機1を開状態にしたときの側面から見た外観の
構成を示している。
【0017】
図1(a)および(b)に示されるように、携帯電話機1は中央のヒンジ部6を介して
第1筐体2と第2筐体3とがヒンジ結合されており、ヒンジ部6を介して矢印X方向に折
り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(
後述する図3のアンテナ21)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して後述する
電波基地局84との間で電波を送受信する。また、携帯電話機1の内部の所定の位置には
、Bluetooth規格を持つ電波信号を送受信する、Bluetooth(登録商標、以下同様)アンテナ(後述する図3のアンテナ33)が設けられており、後述するBluetooth通信端末
72などとの間で電波を送受信する。
【0018】
第1筐体2には、その表面に「0」から「9」までの数字キー、発信・着信キー、リダ
イヤルキー、終話・電源キー、クリアキー、および第1のメニューキーなどから構成され
る操作キー4が設けられている。更に、第1筐体2の側面にはマナーモードキー、第2の
メニューキーなどから構成されるサイドキー5が設けられている。使用者は、操作キー4
またはサイドキー5を用いて携帯電話機1へ各種指示やデータを入力する。また、携帯電
話機1の内部の所定の位置には、携帯電話機1に掛かる重力加速度を検出する加速度セン
サ12が設けられており、例えば携帯電話機1の向きや、携帯電話機1に加えられる振動
などの動きを検出する。なお、説明の簡単のために、以降操作キー4、サイドキー5、お
よび加速度センサ12を総称して入力手段と呼ぶ。
【0019】
第1筐体2には、操作キー4の下部にマイクロフォン7が設けられており、マイクロフ
ォン7によって通話時の使用者音声を集音する。
【0020】
なお、第1筐体2には背面側にバッテリ9が取り付けられており、終話・電源キーが長
押されて携帯電話機1がオン状態になると、バッテリ9は後述する各回路部に対して電源
を供給する。
【0021】
一方、第2筐体3には、その正面にメインディスプレイ10が設けられており、携帯電
話機の設定画面やメール、ウェブサイト、あるいは着信時の発信者情報などを表示するこ
とができる。なお、メインディスプレイ10は、例えばLCD(Liquid Crys
tal Display)、有機EL(Electro Luminescence)に
よって構成されるディスプレイである。また、メインディスプレイ10の上部にはレシー
バ8が設けられており、これを用いて使用者は通話相手から送信された音声を聞くことが
できる。
【0022】
図2は、本発明に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機1が折り畳まれた時
の外観の構成を示す図である。図2(a)は、携帯電話機1が閉状態にあるときの正面か
ら見た外観の構成を示し、図2(b)は携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観
の構成を示している。
【0023】
第2筐体3の表面には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ11が設けられて
おり、例えば、携帯電話機1が受信している電波強度レベルを示すアンテナピクト、バッ
テリ9の残量を示す電池ピクト、現在時刻、あるいは着信時の発信者情報などが表示され
る。また、第2筐体3に設けられたサイドキー5は、携帯電話機1が閉状態にあっても操
作可能な位置に設けられている。
【0024】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示すブロック図である。
【0025】
後述する電波基地局84から送信された無線信号は、アンテナ21で受信された後、ア
ンテナ共用器(DUP)22を介して受信回路(RX)23に入力される。受信回路23
は、受信された無線信号と周波数シンセサイザ(SYN)24から出力された局部発信信
号とをミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)される。そして
、受信回路23によってこのダウンコンバートされた中間周波数信号が復調され、受信ベ
ースバンド信号として出力される。
【0026】
受信回路23から出力された受信ベースバンド信号は、CDMA(Code Divi
sion Multiple Access)信号処理部26に入力される。CDMA信
号処理部26は、図示せぬRake受信器を備える。このRake受信器では受信ベース
バンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(即ち、拡散された受信信号の拡
散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの
信号は、位相を回転させた後にコヒーレントRake合成される。Rake合成後のデー
タ系列は、デインターリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値の
データ判定が行われる。これにより、CDMA信号処理部26によって、所定の伝送フォ
ーマットの受信パケットデータが生成される。この受信パケットデータは、CDMA信号
処理部26から圧縮/伸張処理部27へ入力される。CDMA信号処理部26は、DSP
(Digital Signal Proccessor)から構成される。
【0027】
圧縮/伸張処理部27は、CDMA信号処理部26から出力された受信パケットデータ
を図示せぬ多重分離部によって、音声信号、データ信号などのメディア毎に分離し、その
分離したメディアに対応してそれぞれ復号処理が行われる。
【0028】
一方、マイクロフォン7に入力された使用者の音声信号は、送話増幅器30により適正
レベルまで増幅された後、PCMコーデック28によりPCM符号化される。このPCM
符号化されたディジタルオーディオ信号は、圧縮/伸張処理部27に入力される。また、
制御部31で生成されたメールなどのデータ信号なども、圧縮/伸張処理部27に入力さ
れる。
【0029】
圧縮/伸張処理部27は、PCMコーデック28から出力されたディジタルオーディオ
信号あるいは制御部31から出力されたデータ信号を、所定の送信データレートに応じた
フォーマットで圧縮符号化する。その後、圧縮符号化された信号は、図示せぬ多重分離部
で所定の伝送フォーマットにしたがって多重化された後にパケット化される。パケット化
された後の送信パケットデータはCDMA信号処理部26に出力される。
【0030】
CDMA信号処理部26は、圧縮/伸張処理部27から出力された送信パケットデータ
に、スペクトラム拡散処理を施し拡散信号を生成する。このスペクトラム拡散処理は、送
信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて行われる。CDMA信号処理部26によっ
て生成された拡散信号は、送信回路(TX)25へ出力される。送信回路25は、拡散信
号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式な
どのディジタル変調方式を使用し変調する。更に送信回路25は、拡散信号と周波数シン
セサイザ24から発生される局部発信信号とを合成し、無線信号に周波数変換(アップコ
ンバート)する。そして送信回路25は、制御部31により指示される送信電力レベルを
満たすようにアップコンバートされた無線信号を増幅する。この増幅された無線信号は、
アンテナ共用器22を介してアンテナ21へ供給され、このアンテナ21から後述する電
波基地局84に向けて無線信号が送信される。
【0031】
また、携帯電話機1には所定の周期を計算し、この所定周期毎に制御部31にクロック
信号を供給するクロック信号発生器(タイマ)39が設けられている。更に、携帯電話機
1に設けられた電源回路34は、バッテリ9のアナログ電圧出力をアナログ/ディジタル
変換して生成した所定の動作電源電圧Vccを上述した各回路部へと供給する。
【0032】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM
(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access
Memory)などの電子回路から構成される。CPUは、ROMに記憶されているプロ
グラム、またはRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を
実行する。更にCPUは、上述した各回路部から供給される信号を処理し、また種々の制
御信号を生成し、各回路部へ供給する。これらの処理により、CPUは携帯電話機1を統
括的に制御する。また、RAMにはCPUが各種の処理を実行する上で必要なデータが記
憶される。また、制御部31は図示しないビデオRAMを備えており、メインディスプレ
イ10に表示される映像に関する情報が記憶される。記憶部32は、例えば電気的に書き
換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子や、HDD(Hard
Disc Drive)などから構成される。記憶部32には、制御部31のCPUによ
り実行される種々のアプリケーションプログラムやデータ群が格納されている。また、記
憶部32には携帯電話機1が連絡先として利用する連絡先を登録する、所謂アドレス帳の
データが保存されている。アドレス帳には例えば、電話番号、メールアドレス、メールグ
ループ、および連絡先と関連付けた連絡先の名称に加えて、連絡先に関連したマーク情報
が保存される。
【0033】
(ネットワーク構成)
図4は、例えば、発信側の携帯電話機A(70)と着信側の携帯電話機B(71)等を
繋ぐ、ネットワーク接続を示す概念図である。ネットワーク80は、例えば電波基地局A
(83),B(84)、制御装置85、データベースサーバ86、交換装置87、および
メールサーバ88から構成される。また、携帯電話機B(71)に設けられたBluet
oothアンテナ33を通じてBluetooth電波信号をやりとりする、Bluet
ooth通信端末72も必要に応じて用いられる。
【0034】
電波基地局A(83),B(84)は、ネットワーク間を流れる有線信号を無線信号に
変調し、ネットワーク80内の携帯電話機へ送信する。また、携帯電話機が送信する無線
信号を有線信号に復調しネットワーク80内に送信する。
【0035】
制御装置85は、ネットワーク80内にある携帯電話機等の通信端末の存在情報を保持
する。更に、ネットワーク80に属する携帯電話機が行う発呼指示やメールの発信指示に
応じて、連絡先への回線経路を設計する。
【0036】
交換装置87は、ネットワーク80に属する各携帯電話機の通信端末が送信したメール
などのパケット信号に設定された連絡先のアドレス情報に応じて、信号送信先への回線経
路を設計する。更に、交換装置87あるいは制御装置85が設計した回線経路に従って、
ネットワーク間や交換装置間の回線接続を切り替える、所謂回線交換処理を行う。
【0037】
メールサーバ88は、ネットワーク80内にある各携帯電話機へメールが送信された場
合に、送信されたメールを一旦保管する。更に、制御装置85あるいは各携帯電話機の通
信端末から出力されたメールデータ出力指示に応じてメールデータを出力する。
【0038】
(通話処理)
次に、携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)に対し通話発信し、通話を行う場
合の処理について述べる。ここでは、携帯電話機(70)に対しては電波基地局A(83
)が無線信号を提供し、携帯電話機B(71)に対しては無線基地局B(84)が無線信
号を提供するものとする。
【0039】
まず、発信側の携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)に向けて発信要求を行う
。発信要求は、携帯電話機A(70)に無線信号を提供する電波基地局A(83)に向け
て送信される。電波基地局A(83)は発信要求を受信すると、受信信号の復調を行い、
復調した発信要求を制御装置85へと送信する。制御装置85は発信要求を受信すると、
発信要求に含まれる連絡先のアドレス情報から、連絡先が携帯電話機B(71)であるこ
とを確認する。制御装置85は連絡先の確認を行うと、携帯電話機B(71)に対して無
線信号を送受信可能な電波基地局B(84)の場所を検索する。電波基地局B(84)の
場所が確認されると、制御装置85は電波基地局A(83),B(84)間を繋ぐ回線経
路を設計する。通常回線経路の設計は、回線ごとに通信コストを予め設定しておき、回線
経路に掛かる通信コストの合計が最も少なくなる経路を選択するプロトコルである、OS
PF(Open Shortest Pass Fast)が用いられる。制御装置85
は、設計した回線経路を通じて通信が行えるように交換装置87を駆動し、回線を導通さ
せる。制御装置85は、回線が導通する旨を発信元である携帯電話機A(70)および連
絡先である携帯電話機B(71)へ通知する。これにより、携帯電話機A(70)、携帯
電話機B(71)間の通話が開始される。
【0040】
(メール送受信処理)
次に、携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)に対してメールなどのパケットデ
ータを送信する場合の処理について述べる。
【0041】
まず、携帯電話機A(70)が携帯電話機B(71)を連絡先に指定したメールの送信
指示を行う。携帯電話機A(70)はメールを無線パケットデータに変換し、無線パケッ
トデータを電波基地局A(83)に向け送信する。電波基地局A(83)は無線パケット
データを受信すると、受信信号の復調を行い、復調した有線パケットデータ(以下、単に
メールと記す)を制御装置85へと送信する。メールを受信した制御装置85は、メール
の連絡先を参照し、宛先が携帯電話機B(71)であることを確認する。制御装置85は
携帯電話機B(71)のアドレスを認識すると、携帯電話機B(71)に対してメールサ
ービスを提供するメールサーバ88のアドレスの確認を行う。制御装置85は、メールサ
ーバ88のアドレス確認が行われると、制御装置85とメールサーバ88とを繋ぐ回線経
路を設計する。回線経路の設計は、通常先述したOSPFプロトコルが用いられる。
【0042】
回線経路が設計されると、制御装置85は交換装置87へメールを送信する。交換装置
87は設計された回線経路にしたがって回線交換処理を行い、メールをメールサーバ88
へ送信する。メールサーバ88は受信したメールを、自身の保持する情報記録媒体内に保
存する。次に、携帯電話機B(71)がメールの受信指示を制御装置85に対し送信する
。制御装置85はメールサーバ88へメール受信指示を転送する。メールサーバ88はメ
ール受信指示に応じて保存したメールを読み出し、携帯電話機B(71)に対して無線通
信回線を提供する電波基地局B(84)へ読み出したメールを送信する。電波基地局B(
84)がメールを携帯電話機B(71)へ送信し、携帯電話機B(71)がこれを受信す
ることで、メールの送受信が行われる。
【0043】
(秘匿表示の設定)
次に、携帯電話機B(71)が通話やメールを着信した場合に、発信者の情報を秘匿す
る動作について考察を行う。公共交通機関の中や屋外などで携帯電話機B(71)が着信
し着信表示を行うと、第3者によって着信表示を見られることで、情報が漏洩する事態が
予想される。
【0044】
これに対処するために本発明においては、携帯電話機B(71)が特定の条件下にある
ときに発信者の情報を表示せず、替わりに予め設定したマーク等によって着信表示を行う

【0045】
図5は、着信通知を行う際のメインディスプレイ10における画面表示例を示している
。例えば、通常「山田さん」としてアドレス帳に登録された発信者からの発信を受けると
、図5(a)に示すようにメインディスプレイ10、サブディスプレイ11に発信者の名
前などの情報を表示する。ここで、携帯電話機B(71)が秘匿表示を行う条件下にある
ときは、図5(b)あるいは図5(c)に示すように、発信者などの情報を特定のマーク
に置き換えて表示する。また、秘匿表示を解除する動作が入力された場合は、図5(a)
の着信表示に表示を切り替える。これにより、発信者などの情報が第3者に漏洩する事態
を防ぐことができ、且つ替わりに表示されるマークによって発信者を認識することができ
る。更に、携帯電話機B(71)が情報漏洩の虞の無い場所に移動した時に秘匿表示を解
除し、発信先の情報を認識することができる。
【0046】
図6は、秘匿表示の設定を行う際のメインディスプレイ10における画面表示例を示し
ている。以下に、秘匿表示設定の手順の例について述べる。
【0047】
まず、入力手段によって携帯電話機B(71)の動作設定画面から、「秘匿表示設定」
が選択される(図6(a)を参照)。入力手段によって「秘匿表示設定」が選択されると
、秘匿表示設定画面が表示される(図6(b)を参照)。秘匿表示設定画面には、例えば
「秘匿者設定」、「秘匿表示条件設定」、あるいは「解除操作設定」の項目が表示される

【0048】
そして、入力手段によって「秘匿者設定」が選択されると、秘匿者設定画面が表示され
る(図6(c)を参照)。入力手段によって、記憶部32のアドレス帳から秘匿表示を行
う対象となる発信者が選択される。また、発信者に対応したマーク等の選択が行われる。
【0049】
選択された宛先の電話番号および又はメールアドレスと秘匿表示マークは対応させて、秘
匿者設定情報として記憶部32に記憶される。ここでは、秘匿者設定情報を記憶部32に
記憶するとしたが、記憶部32のアドレス帳情報の登録情報の一つとして秘匿表示マーク
を設定するようにしても良い。
【0050】
次に、入力手段によって「秘匿表示条件設定」が選択されると、秘匿表示条件設定画面
が表示される(図6(d)を参照)。入力手段によって着信表示を秘匿表示に切り替える
条件の設定が行われる。設定された秘匿表示条件情報は、秘匿者設定情報と共に記憶部3
2に記憶される。
【0051】
秘匿表示条件として、例えば以下のものが挙げられる。
1つ目の条件は、9:00から21:00の間は秘匿表示を行うなどの、時間の情報を
用いた条件である。携帯電話機B(71)の使用者が外出する時間帯に合わせて秘匿表示
条件を設定することで、携帯電話機B(71)が自宅に無いときの情報の漏洩を防止する
ことができる。
【0052】
2つ目の条件は、充電中であるときは秘匿表示を行うなどの、電源接続の状態を用いた
条件である。携帯電話機B(71)が充電中にあるときは、使用者が携帯電話機B(71
)の近くにいない場合が考えられる。こうした場合に秘匿表示を行うことで、情報の漏洩
を防止することができる。
【0053】
3つ目の条件は、携帯電話機B(71)と関連付けたBluetooth通信端末72
を用いた条件である。予め、携帯電話機B(71)の使用者はBluetooth通信端
末72を身に着けておく。携帯電話機B(71)とBluetooth通信端末72とが
、所定の時間間隔毎にBluetooth電波信号を送受信する。Bluetooth無
線信号は微弱な電波信号であるため、両者の距離が一定以上になると携帯電話機B(71
)はBluetooth無線信号を受信することができない。Bluetooth無線信
号による通信が出来なかった場合、携帯電話機B(71)の使用者は携帯電話機B(71
)の近くにいないものと考え、携帯電話機B(71)は着信表示を秘匿表示に切り替える

【0054】
4つ目の条件は、記憶部32のアドレス帳に登録された特定の発信者、あるいは特定の
メールグループに属している発信者から着信した場合に、携帯電話機B(71)は着信表
示を秘匿表示に切り替える。これにより、特に知られたくない発信者の情報が漏洩する事
態を防ぐことができる。
【0055】
その他にも、入力手段によって特定の操作が行われた場合に秘匿表示に切り替える条件
や、携帯電話機B(71)が閉状態にあるとき秘匿表示に切り替える条件などが考えられ
る。
【0056】
これらの条件は、設定した条件を全て満たした場合に秘匿表示を行うものとしてもよい
し、設定した条件のうちいずれかを満たした場合に秘匿表示を行うものとしてもよい。あ
るいは、設定した条件を任意に組み合わせて、秘匿表示を行う条件を新たに作成してもよ
い。
【0057】
また、入力手段によって「解除操作設定」が選択されると、解除動作設定画面が表示さ
れる(図6(e)を参照)。そして、入力手段によって秘匿表示された発信者情報を通常
の着信表示に切り替える動作の設定が行われる。解除操作の設定に応じて秘匿表示条件情
報の一部又は全部が記憶部32から追加され、あるいは削除される。又は、アドレス帳の
設定された秘匿表示マークが追加され、あるいは削除される。
【0058】
解除動作として、例えば以下のものが挙げられる。
1つ目の解除は、携帯電話機B(71)が閉状態で着信した場合に、閉状態でなくなっ
たことを検知した際に秘匿表示を解除する動作である。この動作においては、図5(b)
に示すようにサブディスプレイ11の表示は秘匿表示を維持し、メインディスプレイ10
のみを通常の着信表示としてもよい。情報漏洩の虞のある場所では携帯電話機B(71)
を閉状態にしておき、安全に着信表示を閲覧できる場所で携帯電話機B(71)を開状態
に移行することで、発信者の情報を確認することができる。また、閉状態でなくなったこ
とを契機に通常の着信表示を行うため、第3者にメインディスプレイ10を視認されるこ
とがない様に、僅かに携帯電話機B(71)を開き、携帯電話機B(71)の使用者がメ
インディスプレイ10を覗くことによっても、発信者の情報を安全に確認することができ
る。
【0059】
2つ目の解除は、入力手段によって特定の操作が行われた場合に、秘匿表示を解除する
動作である。3つ目の解除は、入力手段のうち、加速度センサを用いた操作(例えば、携
帯電話機B(71)を振る動作)が行われた場合に、秘匿表示を解除する動作である。
【0060】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、携帯電話機B(71)が通話又はメールを着信した場合に、予め設
定された秘匿表示条件に従って通常の着信表示を行うか、あるいは秘匿表示を行うかを切
り替える処理を示している。この処理により、(秘匿表示の設定)の項で述べた設定に従
って着信表示の秘匿を行い、情報の漏洩を防止する。以下に、図7に示す動作フローを用
いて処理の手順を述べる。
【0061】
まず、待ち受け状態にある携帯電話機B(71)が通話又はメールを着信する(ステッ
プ101のYes)。携帯電話機B(71)の制御装置31は、記憶部32に記憶される
秘匿表示条件情報から秘匿表示を行う条件を満たしているか否かを判断する。制御装置3
1は、この条件を満たさない場合(ステップ102のNo)には通常の着信表示を行い(
ステップ103、図5(a)又は(f)の画面を参照)、処理を終了する(ステップ11
2)。
【0062】
秘匿表示を行う条件を満たしている場合は、制御装置31は受信した電話番号又はメー
ルアドレスから発信者が記憶部32の秘匿者設定情報又は秘匿設定されたアドレス帳に登
録されているか否かを判断する(ステップ104)。発信者が秘匿者設定情報又は秘匿設
定されたアドレス帳に登録されていない場合は(ステップ104のNo)、制御部31は
マークおよび発信者情報を用いない代表的な秘匿表示、例えば「着信」などの文字情報の
表示を行う(ステップ109、図5(d)の画面を参照)。
【0063】
一方、受信した電話番号又はメールアドレスから発信者が記憶部32の秘匿者設定情報
又は秘匿設定されたアドレス帳に登録されている場合は(ステップ104のYes)、制
御装置31は更に秘匿表示マークを参照し、発信者に秘匿表示のマーク等が登録されてい
るか否かを判断する(ステップ105)。秘匿表示のマーク等が登録されていない場合は
(ステップ105のNo)、制御部31はマーク等および発信者情報を用いない代表的な
秘匿表示を行う(ステップ109、図5(d)の画面を参照)。これに対し、秘匿表示の
マーク等が登録されている場合は(ステップ105のYes)、制御部31は登録された
マーク等を用いて秘匿表示を行う(ステップ106,図5(c)の画面を参照)。
【0064】
秘匿表示が行われている間に、入力手段による秘匿解除操作が行われると(ステップ1
07のYes)、制御部31はアドレス帳に登録された番号情報を用いた着信表示に画面
表示を切り替える(ステップ108)。この場合の着信表示は、メインディスプレイ10
、サブディスプレイ11の両方に通常の着信表示を行う場合(図5(a)の画面を参照)
や、サブディスプレイ11は秘匿表示を維持するが、メインディスプレイ10のみを通常
の着信表示としても良い(図5(b)の画面を参照)。そして、入力手段による着信に対
する応答操作が行われるか、あるいは着信が終了すると、制御部31は処理を終了する(
ステップ112)。
【0065】
制御部31によってマーク等および発信者情報を用いない代表的な秘匿表示が行われた
場合に(ステップ109)、入力手段による秘匿解除操作が行われると(ステップ110
のYes)、制御部31は発信者の番号情報などを用いて着信表示を行う(ステップ11
1、図5(e)又は(f)の画面を参照)。そして、入力手段による着信に対する応答操
作が行われるか、あるいは着信が終了すると、制御部31は処理を終了する(ステップ1
12)。
【0066】
以上の処理によれば、秘匿表示を行う条件を満たしている状態でメール又は通話着信を
受けると、発信者の電話番号又はメールアドレスが記憶部32に記憶された秘匿者設定情
報又は秘匿設定されたアドレス帳に登録されており、且つ秘匿表示のためのマーク等が登
録されていた場合は、これを用いて秘匿表示を行うことができる。これにより、第3者に
よって着信表示を見られた場合にも、アドレス帳に登録された情報を漏洩する心配がない
。また、マーク等の表示によって、発信者が誰であるかを認識することができる。
【0067】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、携帯電話機B(71)が通話又はメールを着信した場合に、予め設
定された秘匿表示条件に従って通常の着信表示を行うか、あるいは秘匿表示を行うか否か
を切り替えるものであって、更に、着信時の携帯電話機B(71)が折り畳まれた閉状態
にあるか開状態にあるかによって、メインディスプレイ10の秘匿表示を切り替える実施
例である。この処理により、閉状態で着信した携帯電話機B(71)を開くことで、携帯
電話機B(71)の使用者が発信者情報を認識することができる。以下に、図8に示す動
作フローを用いて処理の手順を述べる。
【0068】
まず、待ち受け状態にある携帯電話機B(71)が通話又はメールを着信する(ステッ
プ201のYes)。携帯電話機B(71)の制御装置31は、記憶部32に記憶される
秘匿表示条件情報から秘匿表示を行う条件を満たしているか否かを判断する。制御装置3
1は、この条件を満たさない場合(ステップ202のNo)には通常の着信表示を行い(
ステップ203、図5(a)又は(f)の画面を参照)、処理を終了する(ステップ21
6)。
【0069】
秘匿表示を行う条件を満たしている場合は、制御装置31は受信した電話番号又はメー
ルアドレス発信者が記憶部32の秘匿者設定情報又は秘匿設定されたアドレス帳に登録さ
れているか否かを判断する(ステップ204)。更に、制御部31は秘匿表示設定を参照
し、発信者に秘匿表示のマーク等が登録されているか否かを判断する(ステップ205)

【0070】
発信者がアドレス帳に登録されていない場合(ステップ204のNo)、あるいは発信
者にマーク等が登録されていない場合(ステップ205のNo)、制御装置31は携帯電
話機B(71)が閉状態にあるか否かを判断する(ステップ211)。携帯電話機B(7
1)が閉状態である場合は(ステップ211のYes)、制御部31はメインディスプレ
イ10に番号情報等を用いた着信表示を行い、サブディスプレイ11に秘匿表示を行う(
ステップ212、図5(e)の画面を参照)。
【0071】
一方、携帯電話機B(71)が開状態である場合は(ステップ211のNo)、制御部
31はメインディスプレイ10とサブディスプレイ11の両方に代表的な秘匿表示を行う
(ステップ213、図5(d)の画面を参照)。秘匿表示が行われている間に入力手段に
よる秘匿解除操作が行われると(ステップ214のYes)、制御部31は番号情報など
を用いた着信表示に表示を切り替える(ステップ215)。この場合の着信表示は、メイ
ンディスプレイ10、サブディスプレイ11の両方に通常の着信表示を行う場合(図5(
f)の画面を参照)や、サブディスプレイ11を秘匿表示しメインディスプレイ10を通
常の着信表示とする場合(図5(e)の画面を参照)がある。そして、入力手段による着
信に対する応答操作が行われるか、あるいは着信が終了すると、制御部31は処理を終了
する(ステップ216)。
【0072】
これに対し、受信した電話番号又はメールアドレスが記憶部32の秘匿者設定情報又は
秘匿設定されたアドレス帳に登録されており(ステップ204のYes)、且つ発信者に
マーク等が登録されている場合(ステップ205のYes)、制御装置31は携帯電話機
B(71)が閉状態にあるか否かを判断する(ステップ206)。携帯電話機B(71)
が閉状態である場合は(ステップ206のYes)、制御部31はメインディスプレイ1
0にアドレス帳の情報を用いた着信表示を行い、サブディスプレイ11にマーク等を用い
た秘匿表示を行う(ステップ207、図5(b)の画面を参照)。
【0073】
一方、携帯電話機B(71)が開状態である場合は(ステップ206のNo)、制御部
31はメインディスプレイ10とサブディスプレイ11の両方にマーク等を用いた秘匿表
示を行う(ステップ208、図5(c)の画面を参照)。
【0074】
秘匿表示が行われている間に、入力手段による秘匿解除操作が行われると(ステップ2
09のYes)、制御部31はアドレス帳の番号情報を用いた着信表示に表示を切り替え
る(ステップ210)。この場合の着信表示は、メインディスプレイ10、サブディスプ
レイ11の両方に通常の着信表示を行う場合(図5(a)の画面を参照)や、サブディス
プレイ11の秘匿表示を維持しメインディスプレイ10を通常の着信表示とする場合(図
5(b)の画面を参照)がある。そして、入力手段による着信に対する応答操作が行われ
るか、あるいは着信が終了すると、制御部31は処理を終了する(ステップ216)。
【0075】
以上の処理によれば、秘匿表示を行う条件を満たしている状態でメール又は通話着信を
受けると、発信者の電話番号又はメールアドレスが記憶部32に記憶された秘匿者設定情
報又は秘匿設定されたアドレス帳に登録されており、且つ秘匿表示のためのマーク等が登
録されていた場合は、これを用いて秘匿表示を行うことができる。更に、携帯電話機B(
71)が閉状態にあるか否かによってメインディスプレイ10の表示を切り替える。これ
により、第3者によって着信表示を見られた場合にも発信者の情報を漏洩する心配がない
。また、携帯電話機B(71)のメインディスプレイ10を第3者によって見られる心配
のない場所で、携帯電話機B(71)を開くことによって、容易に発信者の情報を確認す
ることができる。
【0076】
なお、ここに述べた実施の形態において、携帯電話機を挙げて説明を行った。しかし、
本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、例えばPDA(Personal Di
gital Assistant)や有線端末、小型情報処理機器などにも適用できる。
【0077】
また、実施の形態において折り畳み携帯電話機を例にとって説明したが、スライド式携帯
端末や、可動機構を持たないバータイプの携帯端末にも適用できる。スライド式携帯端末
の場合、第1の実施形態および第2の実施形態で述べた携帯電話機B(71)の開閉動作
を、スライド動作に置き換えることで同様の発明の効果が得られる。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲であ
れば、構成要素を変形して具体化しても良い。また、上記各実施形態に開示されている複
数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成しても良い。例えば、各実施
形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話機
2 第1筐体
3 第2筐体
4 操作キー
5 サイドキー
7 マイクロフォン
8 レシーバ
9 バッテリ
10 メインディスプレイ
11 サブディスプレイ
21 アンテナ
22 アンテナ共用器
23 受信回路
25 送信回路
26 CDMA信号処理部
31 制御部
32 記憶部
33 Bluetoothアンテナ
70 送信側携帯電話機
71 受信側携帯電話機
72 Bluetooth通信端末
80 ネットワークA
83 電波基地局A
84 電波基地局B
85 制御装置
87 交換装置
88 メールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、
通話あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、
発信者の識別情報及び発信者の秘匿表示情報が記憶される記憶手段と、
前記通信手段を介して通話あるいは電子メールを着信した場合で、
且つ予め設定された秘匿表示条件を満たさない場合に、前記記憶手段に記憶された前記
発信者の識別情報を前記表示手段に表示し、
前記秘匿表示条件を満たす場合に、前記記憶手段に記憶された前記発信者の秘匿表示情
報を前記表示手段に表示し、
前記秘匿表示情報が前記表示手段に表示された状態で、前記入力手段から秘匿解除操作
が行われると、前記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記表示手段に表示する制
御部と
を有することを特徴とした通信端末。
【請求項2】
図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、
通話あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、
発信者の識別情報及び発信者の秘匿表示情報が記憶される記憶手段と、
第1筐体と、
前記第1筐体を折り畳み可能な様に組み合わせた第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体いずれかの外側に設けられる第1の表示手段、および内側
に設けられる第2の表示手段と、
且つ予め設定された秘匿表示条件を満たさない場合に、前記記憶手段に記憶された前記
発信者の識別情報を前記第2の表示手段に表示し、
前記秘匿表示条件を満たす場合に、前記記憶手段に記憶された前記発信者の秘匿表示情
報を前記第2の表示手段に表示し、
前記秘匿表示情報が前記第2の表示手段に表示されている状態で、前記第1筐体と前記
第2筐体とが折り畳まれた状態でないことを検知した場合、前記秘匿表示情報を前記識別
情報に切り替えて前記第2の表示手段に表示する制御部と
を備えたことを特徴とした通信端末。
【請求項3】
図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、
通話あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、
発信者の識別情報及び発信者の秘匿表示情報が記憶される記憶手段と、
第1筐体と、
前記第1筐体を折り畳み可能な様に組み合わせた第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体いずれかの外側に設けられる第1の表示手段、および内側
に設けられる第2の表示手段と、
前記通信手段を介して通話あるいは電子メールを受信した場合で、
且つ前記第1筐体と第2筐体とが折り畳まれている場合は、前記第2の表示手段に前記
識別情報を表示し、
前記第1筐体と第2筐体とが折り畳まれでいない場合は、前記第2の表示手段に前記秘
匿表示情報を表示し、
前記秘匿表示情報が前記表示手段に表示された状態で、前記入力手段から秘匿解除操作
が行われると、前記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記第2の表示手段に表示
する制御部と
を備えたことを特徴とした通信端末。
【請求項4】
前記秘匿表示条件の1つが、前記通信手段によって他の通信端末からの制御信号を繰り
返し受信している状態で前記制御信号が受信できなくなり、且つ発信者からの通話あるい
は電子メールを着信した場合であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか1項に記
載の通信端末。
【請求項5】
前記秘匿表示条件の1つが、内蔵電池に充電中で、且つ発信者からの通話あるいは電子
メールを着信した場合であることを特徴とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通
信端末。
【請求項6】
図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、
通話あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、
発信者の識別情報及び前記発信者の秘匿情報が記憶される記憶手段と、を有する通信端
末の着信表示秘匿方法であって、
前記通信手段を介して発信した通話あるいは電子メールを着信し、
予め設定された秘匿表示条件を満たさないと判断されると、前記記憶手段に記憶された
前記発信者の識別情報を前記表示手段に表示し、
前記秘匿表示条件を満たすと判断されると、前記記憶手段に記憶された前記発信者の秘
匿表示情報を前記表示手段に表示し、
前記秘匿表示情報が前記表示手段に表示されている間に、前記入力手段から秘匿解除操
作が行われると、前記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記表示手段に表示する
ことを特徴とする通信端末の着信表示秘匿方法。
【請求項7】
図形又は文字を表示する表示手段と、
前記図形又は文字、あるいは指示の入力を行う入力手段と、
通話あるいは電子メールの送受信を行う通信手段と、
発信者の識別情報及び前記発信者の秘匿情報が記憶される記憶手段と、を有する通信端
末の着信表示秘匿プログラムであって、
予め設定された秘匿表示条件を満たさないと判断すると、着信した前記通話あるいは電
子メールの前記発信者の識別情報を前記表示手段に表示し、前記秘匿表示条件を満たすと
判断すると、前記発信者の秘匿表示情報を前記表示手段に表示する第1の表示機能と、
前記秘匿表示情報が前記表示手段に表示されている間に、前記入力手段から秘匿解除操
作が行われると、前記秘匿表示情報を前記識別情報に切り替えて前記表示手段に表示する
第2の表示機能と
を有することを特徴とした通信端末の着信表示秘匿プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−183532(P2010−183532A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27802(P2009−27802)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】