通信端末および通信端末を制御するためのプログラム
【課題】アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得できる通信端末を提供する。
【解決手段】通信端末100が実行する処理は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)と待受け基地局バッファ領域(領域410)に、取得した識別子を格納するステップ(S716)と、受信した信号から無線基地局の識別子を取得して、RAM346に格納するステップ(S724)と、変化後の無線基地局の識別子を待ち受け基地局バッファ領域に格納するステップ(S732)と、待受け基地局バッファ領域に格納されている識別子がアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されていない場合に(ステップS740にてNO)、待受け基地局バッファ領域に格納されている識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納するステップ(S742)とを含む。
【解決手段】通信端末100が実行する処理は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)と待受け基地局バッファ領域(領域410)に、取得した識別子を格納するステップ(S716)と、受信した信号から無線基地局の識別子を取得して、RAM346に格納するステップ(S724)と、変化後の無線基地局の識別子を待ち受け基地局バッファ領域に格納するステップ(S732)と、待受け基地局バッファ領域に格納されている識別子がアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されていない場合に(ステップS740にてNO)、待受け基地局バッファ領域に格納されている識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納するステップ(S742)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末に関し、より特定的には、測位機能を有する通信端末およびその端末を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測位機能を有する通信端末に関し、当該通信端末が無線基地局による通信が可能な範囲(以下、カバー範囲)とそうでない範囲との境界に存在する場合に、当該通信端末に対して測位を支援するための情報(以下、「アシストデータ」と呼ぶ。)を送信する情報提供装置が知られている(たとえば、特開2006−38732号公報(特許文献1))。
【特許文献1】特開2006−38732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開2006−38732号公報に開示されたような情報提供装置は、通信端末がカバー範囲から離脱するタイミングを把握しなければアシストデータを当該通信端末に送信できず、そのタイミングを把握するための構成が情報提供装置に必要となる。そのため、情報提供装置の構成、あるいは通信端末と情報提供装置とを結ぶ通信回線における通信の制御構造が複雑になる可能性があった。
【0004】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得できる通信端末を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得するように通信端末を制御するためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従うと、複数の基地局の各々と無線通信可能な通信端末が提供される。各基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されている。情報提供装置は、通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能である。各基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、アシストデータが含まれる電波とを送信可能である。通信端末は、各基地局によって発信された各電波を受信する第1の受信手段と、電波から識別情報を取得する第1の取得手段と、第1の取得手段によって取得された識別情報を格納する記憶手段と、識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が存在している場合に、情報提供装置からアシストデータを取得する第2の取得手段と、測位のための複数の測位信号を受信する第2の受信手段と、アシストデータまたは複数の測位信号に基づいて、通信端末の位置を表わす位置情報を算出する算出手段と、算出手段によって算出された位置情報を出力する出力手段とを備える。
【0007】
好ましくは、第2の取得手段は、第1の取得手段によって新たに取得された識別情報と、記憶手段に既に格納されている識別情報とを比較することにより、通信端末が範囲に存在しているか否かを判断する判断手段と、通信端末が範囲に存在していると判断された場合に、アシストデータの送信要求を生成する生成手段と、生成手段によって生成された送信要求を情報提供装置に送信する送信手段と、第1の受信手段によって受信された信号から、アシストデータを取り出す抽出手段とを含む。
【0008】
好ましくは、記憶手段は、第1の取得手段によって取得された識別情報のうち、既に格納されている識別情報と異なる識別情報を順次格納する。通信端末は、第1の受信手段からの出力に基づいて、通信端末が基地局によって発信された電波を受信できない範囲から、記憶手段に最後に格納された識別情報によって特定される基地局と通信できる範囲に移動したことを検知する検知手段をさらに備える。第2の取得手段は、最後に格納された識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が再び存在している場合に、アシストデータを取得する。
【0009】
好ましくは、通信端末が、基地局によって発信された電波を受信できない第1の範囲から、電波を受信できる第2の範囲に移動した場合に、第1の取得手段は、第2の範囲において受信された電波から、識別情報を取得する。識別情報を取得してから通信端末が第1の範囲に移動した後、通信端末が、第1の範囲から、識別情報によって特定される基地局からの電波を受信できる第2の範囲に再び存在している場合に、第2の取得手段は、識別情報に基づいてアシストデータを取得する。
【0010】
好ましくは、通信端末は、時刻を計測する計時手段をさらに備える。第2の取得手段は、予め定められた時間ごとにアシストデータを取得する。
【0011】
好ましくは、通信端末は、当該通信端末に対する操作を受け付ける入力手段をさらに備える。第1の取得手段は、識別情報を取得するための操作として予め規定された操作の入力に基づいて識別情報を取得する。
【0012】
好ましくは、通信端末は、第2の受信手段からの出力に基づいて、各測位信号が第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備える。各測位信号が受信されていないことが確認されると、算出手段は、アシストデータに基づいて位置情報を算出する。
【0013】
好ましくは、通信端末は、第2の受信手段からの出力に基づいて、各測位信号が第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備える。各測位信号が受信されていることが確認されると、算出手段は、受信された各測位信号に基づいて位置情報を算出する。
【0014】
好ましくは、アシストデータは、基地局が設置されている場所を特定する情報を含む。
好ましくは、識別情報は、基地局に固有な識別子を含む。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、通信端末を制御するためのプログラムが提供される。通信端末は、複数の基地局の各々と無線通信可能である。各基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されている。情報提供装置は、通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能である。各基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、アシストデータが含まれる電波とを送信可能である。プログラムは通信端末に、各基地局によって発信された各電波を受信するステップと、電波から識別情報を取得するステップと、取得された識別情報を保存するステップと、識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が存在している場合に、情報提供装置からアシストデータを取得するステップと、測位のための複数の測位信号を受信するステップと、アシストデータまたは複数の測位信号に基づいて、通信端末の位置を表わす位置情報を算出するステップと、算出手段によって算出された位置情報を出力するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通信端末によると、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得することができる。
【0017】
本発明に係るプログラムによると、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得するように通信端末を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信端末100の使用態様について説明する。図1は、通信端末100が含まれる通信ネットワークの概略を表わす図である。通信端末100は、たとえば携帯電話として実現される。
【0020】
通信端末100は、複数の無線基地局(たとえば無線基地局1100−1,1100−2)のいずれかと通信する。以下無線基地局を総称するときは無線基地局1100と表わす。各無線基地局1100は、通信回線102を介して交換局110に接続される。交換局110は、インターネット回線120を介して位置情報提供サーバ1400に接続される。通信端末100は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星130によって発信される信号を受信する。なお、測位のための信号を発信する衛星としてGPS衛星が例示されているが、その他の衛星航法システム(たとえば欧州におけるガリレオ、ロシア共和国におけるGLONASS(Global Navigation Satellite System))などであってもよい。
【0021】
通信端末100は、無線基地局1100との間で電話の受発信あるいはデータ通信を行なう。無線基地局1100は、通信端末100と他の通信装置(たとえば固定電話)との間の通信を中継する。交換局110は、無線基地局1100と他の情報処理装置(たとえば位置情報提供サーバ1400)との間の通信を、たとえば通信方式においてプロトコルの相違がある場合にはそのプロトコルの変換を行なうことにより中継を実現する。位置情報提供サーバ1400は、通信端末100から発信される送信要求に応じて通信端末100の位置を特定するための情報を送信する。この情報は、たとえば通信端末100が通信可能な範囲に存在する無線基地局1100の場所を表わす情報に相当する。
【0022】
図2を参照して、本実施の形態に係る通信端末100が備える主たる機能について説明する。図2は、通信端末100の機能的構成を表わすブロック図である。通信端末100は、アンテナ部202,212と、無線部204と、入力部206と、記憶部208と、制御部210と、GPS処理部214と、表示部216とを含む。
【0023】
アンテナ部202は、無線基地局1100によって発信される電波を受信する。あるいは、アンテナ部202は、無線部204から出力される信号を発信する。
【0024】
無線部204には、アンテナ部202によって受信された信号が入力される。無線部204は、その信号に対してフロントエンド処理あるいは周波数変換処理を行なって制御部210に送出する。無線部204は、制御部210から出力される信号を送信に必要な形式に変換しアンテナ部202に送出する。無線部204による処理によって、通信端末100の無線通信は実現される。
【0025】
入力部206は、通信端末100に対する操作の入力を受け付ける。入力部206は、たとえば数字ボタン、タッチパネル式ボタンあるいはジョグダイヤルなどによって実現される。
【0026】
記憶部208は、通信端末100に予め規定された動作を実行させるために必要なデータを格納する。記憶部208は、また無線部204によって受信された信号に含まれるデータを格納する。あるいは、記憶部208は、GPS処理部214によって取得される情報を格納する。記憶部208は、不揮発性のメモリによって実現される。
【0027】
制御部210は、入力部206に対する操作に応じて通信端末100の動作を制御する。通信端末100が、たとえば無線基地局1100と通信可能な状態であり(いわゆる待ち受け状態である場合)、制御部210は、無線部204からの出力に応じて電話の着信の有無を検知する。あるいは、通信端末100の使用者が電話の発信を行なおうとする場合、入力部206に対する操作に応じて制御部210は、電話の発信のために必要な信号を生成し無線部204に送出する。
【0028】
アンテナ部212は、GPS衛星130によって発信された信号を受信する。各衛星130から発信される信号は、たとえばスペクトル拡散方式によって発信される。そのため、同一の周波数で発信された信号は、アンテナ部212によって混信されることなく受信される。
【0029】
GPS処理部214は、アンテナ部212によって受信された各信号に対して通信端末100とGPS衛星130との間の疑似距離を算出するための処理を実行する。GPS処理部214は、各GPS衛星130について各々規定されたコードを用いてレプリカコードを生成し、アンテナ部212によって受信された信号とのマッチングを行ない、その信号の送信元となるGPS衛星130を特定する。
【0030】
GPS処理部214から出力される信号は、制御部210に入力される。制御部210は、その信号に基づいて通信端末100とGPS衛星130との距離を算出し、通信端末100の位置を表わす情報(たとえば緯度、経度など)を算出する。
【0031】
表示部216は、記憶部208に格納されているデータに応じた画像を表示する。表示部216は、たとえば通信端末100の通話相手の名称および電話番号あるいはGPS処理部214によって特定された通信端末100の位置を表わす情報(たとえば、緯度、経度、あるいはその付近の地図)を表示する。
【0032】
図3を参照して、本実施の形態に係る通信端末100の具体的構成について説明する。図3は、通信端末100のハードウェア構成を表わすブロック図である。通信端末100は、アンテナ302,306と、通信装置304と、測位信号受信回路308と、操作ボタン320と、フラッシュメモリ344と、RAM(Random Access Memory)346と、データ用ROM(Read Only Memory)348と、メモリカード駆動装置380と、CPU(Central Processing Unit)310と、音声信号処理回路370と、マイク372と、スピーカ374と、液晶ディスプレイ350と、LED(Light Emitting Diode)376と、データ通信IF(Interface)378と、バイブレータ384とを含む。メモリカード駆動装置380には、メモリカード382が装着される。
【0033】
アンテナ302は、無線基地局1100によって発信された電波を受信する。この電波は、無線電話のための電波とデータ通信のための電波とを含む。アンテナ302は、その受信した電波に対応する信号を通信装置304に送出する。通信装置304は、その信号に対してA/D(Analog to Digital)変換処理その他の処理を行なって通信端末100の内部における処理に必要な形式に変換する。通信装置304から出力されるデジタル信号は、CPU310に対して送出される。
【0034】
一方、CPU310によって出力されたデジタル信号は、通信装置304に入力される。通信装置304は、その信号に基づいて通信のために必要な変調を行ない、アンテナ302に変調後の信号を送出する。アンテナ302は、その信号を無線送信する。
【0035】
アンテナ306は、GPS衛星130から発信された信号を受信する。その信号は、測位信号受信回路308に送出される。測位信号受信回路308は、その信号の増幅、周波数変換その他の処理を行ない、信号の送信源を特定する。測位信号受信回路308は、たとえば複数の並列コリレータ回路として実現される。測位信号受信回路308から出力されるデータは、CPU310に入力される。
【0036】
操作ボタン320は、通信端末100に対する操作を受け付ける。操作ボタン320は、たとえばテンキー、矢印キーその他のボタンとして実現される。各ボタンの押下に応じた信号は、CPU310に入力される。
【0037】
フラッシュメモリ344は、CPU310によって生成されたデータを格納する。フラッシュメモリ344は、たとえば操作ボタン320によって入力される保存の指示に応じてその指示されたデータを格納する。
【0038】
RAM346は、CPU310によって生成されたデータを一時的に保持する。一時的に保持されるデータには、後述する測位処理の途中に生成されるデータ等が含まれる。
【0039】
データ用ROM348は、通信端末100に予め定められた動作を実行させるために準備されたプログラムを格納する。このプログラムは、通信端末100の基本動作を制御するためのオペレーティングシステム、データ通信のために必要な通信制御プログラム、あるいは測位のために必要な位置情報算出プログラムなどが含まれる。
【0040】
メモリカード駆動装置380は、CPU310からの指示に基づいて当該装置に装着されるメモリカード382に対するデータの書き込みと読み出しとを行なう。メモリカード駆動装置380によって書き込まれるデータは、たとえば測位信号受信回路308によって算出された通信端末100の位置を表わすデータ、通信端末100が行なった通話の履歴などである。
【0041】
CPU310は、操作ボタン320に対する操作に応じて通信端末100の動作を制御する。CPU310は、電話番号と発信指示が操作ボタン320に対して入力された場合には、その番号に応じた発信処理を行ない通信装置304を介した通話のための処理を開始する。通信端末100の位置を計測するための操作が操作ボタン320に対して入力されると、CPU310は、測位信号受信回路308によって取得される信号に基づいて通信端末100の現在地を導出するための処理を行なう。通信装置304が電話の着信を受けた場合、着信に応答するための操作が操作ボタン320に対して行なわれると、CPU310は、その信号を音声信号処理回路370に送出し、通話を開始する。
【0042】
音声信号処理回路370は、CPU310から出力される信号に基づいて通話のために必要な信号形式に変換する。音声信号処理回路370は、変換後の信号をスピーカ374に送出する。スピーカ374は、その信号に応じた音声を出力する。一方、マイク372に対する発話が行なわれると、マイク372は、その音声に応じた電気信号を音声信号処理回路370に送出する。音声信号処理回路370は、その信号をデジタル変換処理し、CPU310に送出する。
【0043】
液晶ディスプレイ350は、フラッシュメモリ344、RAM346、データ用ROM348あるいはメモリカード382に格納されているデータに基づいて画像を表示する。LED376は、CPU310から出力される信号に基づいて予め規定された色による発光動作を行なう。たとえば、通信端末100が電話の着信を受けた場合には、その着信を通知するための予め設定された色の発光動作が行なわれる。
【0044】
データ通信IF378には、データ通信のためのケーブルが装着可能である。データ通信IF378は、CPU310から出力されるデータをその装着されるケーブルに対して出力する。逆に、データ通信IF378は、そのケーブルを介して伝送されるデータを受信し、CPU310に送出する。
【0045】
バイブレータ384は、CPU310からの信号に基づいて予め規定された周波数で振動する。たとえば、通信端末100が電話の着信を受けた場合、バイブレータ384は、その着信を通知するために予め設定された周波数で振動する。
【0046】
図4を参照して、本実施の形態に係る通信端末100のデータ構造について説明する。図4は、フラッシュメモリ344におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。フラッシュメモリ344は、データを格納するための領域410〜領域440を含む。
【0047】
領域410は、待ち受け基地局バッファ領域として通信端末100が現時点で通信可能な範囲に位置する無線基地局を識別するためのデータを格納する。たとえば、通信端末100が、通信装置304から出力される信号に基づいて特定の無線基地局1100のいずれかと通信可能であることがCPU310によって確認されると、CPU310は、その無線基地局に予め割当てられた識別子を領域410に書き込む。
【0048】
領域420〜領域440は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域として使用される。具体的には、後述する各条件が成立した場合に、無線基地局の識別子が順次書き込まれる。書き込まれる無線基地局の識別子のレコードを特定するデータは、データ番号として領域420に格納される。そのとき取得された識別子は、領域430に格納される。当該識別子が取得された日時を表わすデータは、領域440に格納される。アシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されるデータは、当該条件が成立するごとに順次蓄積される。たとえば、図4に示される例では、レコード数が99件まで格納され得るが、格納されるレコードの数はこの数に限られない。
【0049】
図5を参照して、通信端末100を実現するためのCPU310について説明する。図5は、CPU310によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU310は、識別情報取得部510と、判断部520と、送信要求生成部530と、移動検知部540と、アシストデータ取得部550と、信号受信確認部560と、位置情報算出部570とを含む。各機能は、データ用ROM348に格納されているプログラムが実行されることにより実現される。
【0050】
識別情報取得部510は、通信装置304によって受信された信号から、その信号に含まれる識別情報(図4における識別子)を取得する。識別情報取得部510は、その取得した識別情報をフラッシュメモリ344に書き込む。好ましくは、識別情報取得部510は、操作ボタン320に対する取得指示に基づいて無線基地局の識別情報を取得し、フラッシュメモリ344に格納する。ここで、識別情報は前述のように無線基地局に固有な識別子通信である。この識別子は、無線基地局に与えられたコードその他の名称あるいは当該無線基地局が設置されている場所の情報(たとえば緯度、経度、高度)などであってもよい。
【0051】
判断部520は、識別情報取得部510によって取得された識別情報と、フラッシュメモリ344に既に格納されている識別情報とを比較することにより、通信端末100が当該識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に存在しているか否かを判断する。具体的には、識別情報取得部510によって新たに取得された識別情報とフラッシュメモリ344に既に格納されている識別情報とが一致する場合には、判断部520は、通信端末100が当該範囲に存在していると判断する。
【0052】
送信要求生成部530は、判断部520による判断の結果に基づいてアシストデータの送信要求を生成する。ここでアシストデータとは、通信端末100の位置の特定を支援するためのデータをいう。アシストデータは、たとえば各無線基地局に固有な場所を表わすデータとして実現される。
【0053】
送信要求生成部530は、通信端末100が当該識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に存在していると判断された場合、そのアシストデータの送信要求を生成する。送信要求生成部530は、その生成した送信要求を通信装置304に対して送出する。通信装置304は、送信要求を無線通信するための信号形式に変換し、アンテナ302を介して発信する。
【0054】
移動検知部540は、通信装置304から出力される信号に基づいて通信端末100の移動を検知する。好ましくは、移動検知部540は、アンテナ302によって受信される信号の強度に基づいて通信端末100が無線基地局によって発信された電波を受信できない範囲から当該電波を受信できる範囲に移動したことを検知する。より好ましくは、移動検知部540は、電波を受信できない範囲からフラッシュメモリ344に最後に格納された識別情報によって特定される無線基地局と通信できる範囲に通信端末100が移動したことを検知する。
【0055】
アシストデータ取得部550は、通信端末100が通信する位置情報提供サーバ1400から、上記のアシストデータを取得する。アシストデータ取得部550は、通信装置304から出力される信号の中に含まれるアシストデータを抽出する。好ましくは、通信端末100が、最後に格納された識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に再び存在していることが検知されると、アシストデータ取得部550は、当該アシストデータを取得する。
【0056】
あるいは、他の局面において、通信端末100が当該識別情報を取得してから無線基地局によって発信された電波を受信できない範囲(以下、第1の範囲)に移動した後、当該第1の範囲から識別情報によって特定される無線基地局からの電波を受信できる第2の範囲に再び移動した場合に、アシストデータ取得部550は、当該識別情報に基づいてアシストデータを取得する。他の局面においては、アシストデータ取得部550は、予め定められた時間ごとに(たとえば1時間毎、毎日定時等)、アシストデータを取得する。
【0057】
信号受信確認部560は、測位信号受信回路308からの出力に基づいてGPS衛星130によって発信される各測位信号が測位信号受信回路308によって受信されているか否かを確認する。
【0058】
位置情報算出部570は、アシストデータ取得部550によって取得されたアシストデータあるいは測位信号受信回路308によって受信された各測位信号のいずれかに基づいて通信端末100の位置を表わす情報を導出する。好ましくは、各測位信号が受信されていないことが信号受信確認部560によって確認されると、位置情報算出部570は、フラッシュメモリ344に格納されているアシストデータに基づいて通信端末100の位置情報を算出する。他の局面においては、GPS衛星130によって発信された各測位信号が受信されていることが信号受信確認部560によって確認されると、位置情報算出部570は、当該各測位信号に基づいて通信端末100とGPS衛星130との間の疑似距離を算出し、通信端末100の位置情報を算出する。
【0059】
次に、図6〜図8を参照して、通信端末100の制御構造について説明する。図6から図8は、それぞれ、CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0060】
図6を参照して、ステップS610にて、CPU310は、操作ボタン320に対する操作に基づいて通信端末100の電源をオンに切り換える。ステップS700にて、CPU310は、後述する無線基地局情報取得処理(図7)を実行する。この処理が実行されると、無線基地局の識別情報(識別子)が取得され、フラッシュメモリ344に格納される。ステップS800にて、CPU310は、後述するアシストデータ取得処理(図8)を実行する。この処理が実行されると、アシストデータが位置情報提供サーバ1400から取得される。
【0061】
ステップS620にて、CPU310は、操作ボタン320から出力される信号に基づいて測位指示が入力されたか否かを判断する。CPU310が、測位指示は入力されたと判断すると(ステップS620にてYES)、処理はステップS1000に移される。そうでない場合には、(ステップS620にてNO)、処理はステップS630に移される。
【0062】
ステップS1000にて、CPU310は、後述する測位処理を実行する。この処理が実行されると、通信端末100の位置が特定され、液晶ディスプレイ350に表示される。
【0063】
ステップS630にて、CPU310は、操作ボタン320から出力される信号に基づいて通信端末100の電源をオフにする指示が入力されたか否かを判断する。CPU310が、その指示は入力された判断すると(ステップS630にてYES)、処理はステップ640に移される。そうでない場合には、(ステップS630にてNO)、処理はステップS700に戻される。
【0064】
ステップS640にて、CPU310は、バッテリ(図示しない)から各部への電力の供給を停止するように指示する。その後、通信端末100はシャットダウンされる。
【0065】
図7を参照して、CPU310は、通信装置304からの出力に基づいて通信端末100が無線基地局との通信ができない圏外から通信可能な圏内に移動したか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は圏外から圏内に移動したと判断すると(ステップS710にてYES)、処理はステップS712に移される。そうでない場合には、(ステップS710にてNO)、処理は終了する。
【0066】
ステップS712にて、CPU310は、圏内の無線基地局から発信された信号の受信を検知する。ステップS714にて、CPU310は、その信号から当該無線基地局の識別子を取得する。ステップS716にて、CPU310は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)と待ち受け基地局バッファ領域(領域410)に、その取得した識別子をそれぞれ格納する。
【0067】
ステップS720にて、CPU310は、通信装置304からの出力に基づいて通信端末100が圏内に存在するか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は圏内に存在すると判断すると(ステップS720にてYES)、処理はステップS722に移される。そうでない場合には、(ステップS720にてNO)、処理はステップS740に移される。
【0068】
ステップS722にて、CPU310は、通信装置304を介して圏内の無線基地局から発信された信号を受信する。ステップS724にて、CPU310は、その信号から無線基地局の識別子を取得し、RAM346において確保した領域に格納する。
【0069】
ステップS730にて、CPU310は、フラッシュメモリ344に格納されている識別子とRAM346に格納されている識別子とを比較することにより、無線基地局が変化したか否かを判断する。CPU310が、無線基地局は変化していると判断すると(ステップS730にてYES)、処理はステップS732に移される。そうでない場合には、(ステップS730にてNO)、処理は終了し、メイン処理に戻される。ステップS732にて、CPU310は、変化後の無線基地局の識別子を待ち受け基地局バッファ領域に格納する。
【0070】
ステップS740にて、CPU310は、領域410および領域430に格納されている各データを比較することにより、待ち受け基地局バッファ領域に格納されている識別子がアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されているか否かを判断する。CPU310が、その識別子はアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されていると判断すると(ステップS740にてYES)、処理は終了し、メイン処理に戻される。そうでない場合には、(ステップS740にてNO)、処理はステップS742に移される。
【0071】
ステップS742にて、CPU310は、待ち受け基地局バッファ領域(領域410)に格納されている識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)に格納する。
【0072】
図8を参照して、ステップS810にて、CPU310は、無線基地局から受信した信号から無線基地局の識別子(ID_A)を取得する。ステップS820にて、CPU310は、アシストデータ要取得バッファ領域(領域430)に格納されている識別子(ID_B)を読み出し、RAM346の作業領域に格納する。ステップS830にて、CPU310は、2つの識別子(ID_AとID_B)とが同一であるか否かを判断する。CPU310が、これらの識別子は同一であると判断すると(ステップS830にてYES)、処理はステップS840に移される。そうでない場合には(ステップS830にてNO)、処理は終了し、メイン処理に戻される。
【0073】
ステップS840にて、CPU310は、アシストデータの送信要求を生成する。この送信要求は、通信端末100を識別するためのデータ、通信端末100が通信している無線基地局の識別子などを含む。
【0074】
ステップS850にて、CPU310は、その送信要求を通信装置304を介して情報提供サーバ1400に送信する。具体的には、CPU310は、通信装置304に対して位置情報提供サーバ1400との通信セッションを形成させる。位置情報提供サーバ1400との間の通信セッションが形成されると、CPU310は、その送信要求を通信装置304に無線送信させる。送信要求が無線基地局1100のいずれかによって受信されると、無線基地局1100は、その信号を通信回線102を介して交換局110に送信する。交換局110は、その通信要求を位置情報提供サーバ1400との間の通信に適合した形式に変換した後、位置情報提供サーバ1400に送信する。位置情報提供サーバ1400は、その送信要求に応じて求められているデータを読み出し、交換局110に対して返信する。交換局110は、通信回線102を介して、無線基地局1100にアシストデータを転送する。
【0075】
その後、ステップS860にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400からアシストデータを通信装置304を介して受信する。ステップS870にて、CPU310は、そのアシストデータをフラッシュメモリ344に格納する。ステップS880にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を終了する。
【0076】
ここで、図9を参照して、送信要求について説明する。図9は、送信要求900の構成の概略を表わす図である。送信要求900は、ヘッダ910と、アシストデータ要求コード920と、フッタ930とを含む。
【0077】
ヘッダ910は、宛先アドレス(すなわち位置情報提供サーバ1400のネットワーク上におけるアドレス)と、送信元アドレス(通信端末100のネットワーク上における位置情報)と、送信要求900の送信日時とを含む。アシストデータ要求コード920は、送信要求900がアシストデータの送信を要求することを表わすコードと、通信端末100が通信可能な圏内に位置する無線基地局の識別子とを含む。
【0078】
このような構成を有する送信要求900が位置情報提供サーバ1400によって受信されると、位置情報提供サーバ1400は、アシストデータ要求コード920に含まれる識別子を参照して、その識別子に対応する無線基地局の位置情報をデータベースから読み出し、アシストデータ要求コード920によって特定された要求に対応する回答を、通信端末100に返信する。
【0079】
次に、図10を参照して、通信端末100の制御構造についてさらに説明する。図10は、通信端末100の測位のためにCPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0080】
ステップS1010にて、CPU310は、無線基地局と通信可能な圏内に通信端末100が存在するか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は無線基地局との通信可能圏内に存在すると判断すると(ステップS1010にてYES)、処理はステップS1020に移される。そうでない場合には(ステップS1010にてNO)、処理はステップS1040に移される。
【0081】
ステップS1020にて、CPU310は、通信装置304によって受信された信号から、その無線基地局の識別子を取得する。ステップS1022にて、CPU310は、その識別子を用いて無線基地局の位置情報の送信要求を生成する。ステップS1024にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を開始する。ステップS1026にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400に送信要求を送信する。ステップS1028にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400から無線基地局の位置情報を受信し、フラッシュメモリ344に格納する。ステップS1030にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を終了する。
【0082】
ステップS1040にて、CPU310は、フラッシュメモリ344からアシストデータを読み出す。ステップS1042にて、CPU310は、そのアシストデータに含まれる位置情報をRAM346に読み出す。ステップS1050にて、CPU310は、RAM346に格納されているデータに基づいて通信端末100の位置情報を液晶ディスプレイ350に表示する。
【0083】
図11を参照して、無線基地局1100について説明する。図11は、無線基地局1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。無線基地局1100は、主たる構成要素として、アンテナ1110,1170と、受信回路1120と、クロック回路1130と、メモリ1140と、通信制御回路1150と、送信回路1160と、通信I/F1180とを含む。通信I/F1180は、通信回線102に接続される。
【0084】
アンテナ1110は、通信端末100によって発信された電波を受信する。受信回路1120は、アンテナ1110から送出される信号の周波数変換その他の処理を行ない、通信制御回路1150に送出する。クロック回路1130は、無線基地局1100における時刻を計測し、通信制御回路1150に当該時刻を表わすデータを送出する。
【0085】
メモリ1140は、無線基地局1100が使用するために予め規定されたデータを格納する。たとえば、メモリ1140は、無線基地局1100に固有な識別子1142を格納している。なお、メモリ1140におけるデータは、通信制御回路1150による処理によって書き込み可能であってもよい。
【0086】
通信制御回路1150は、通信端末100と他の情報通信装置との間の通信を中継する。通信制御回路1150は、通信端末100によって発信された電波に基づいて、通信回線102における通信に適合した信号形式に変換し、通信I/F1180に送出する。あるいは、通信制御回路1150は、通信I/F1180を介して入力が受け付けられた信号を無線送信に応じた形式に変換し、送信回路1160に送出する。
【0087】
送信回路1160は、通信制御回路1150から出力される信号に基づいてアンテナ1170を介して電波を発信する。発信される電波は、たとえば識別子1142を含む電波であり、また他の情報通信装置から通信端末100に対して通話のために送信される相手先の呼び出しのための信号を含む。
【0088】
通信I/F1180は、無線基地局1100と交換局110との間の通信を実現する。通信I/F1180は、無線基地局1100の内部における信号の形式と通信回線102における伝送の形式との間で、使用される信号のプロトコル変換を行なう。たとえば、通信回線102における電話の通信がIP(Internet Protocol)に従うものであれば、通信I/F1180は、受信回路1120によって受信された通信端末100による無線電話の信号をそのプロトコルに変換し、送出する。逆に、当該プロトコルに従う電話信号が通信I/F1180によって受信されると、通信I/F1180は、そのプロトコルを通信端末100との無線通信に適合したプロトコルに変換する。
【0089】
図12および図13を参照して、無線基地局1100の制御構造について説明する。図12および図13はそれぞれ、通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0090】
図12を参照して、ステップS1210にて、無線基地局1100の通信制御回路1150は、受信回路1120からの出力に基づいて通信端末100からアシストデータの送信要求を受信したことを検知する。ステップS1220にて、通信制御回路1150は、送信要求のプロトコルを位置情報提供サーバ1400との通信に対応したプロトコルに変換する。ステップS1230にて、通信制御回路1150は、通信I/F1180を介して位置情報提供サーバ1400に対してプロトコル変換後の送信要求を送信する。
【0091】
図13を参照して、ステップS1310にて、無線基地局1100の通信制御回路1150は、位置情報提供サーバ1400から通信I/F1180を介してアシストデータを受信したことを検知する。ステップS1320にて、通信制御回路1150は、アシストデータのプロトコルを無線通信に対応したプロトコルに変換する。ステップS1330にて、通信制御回路1150は、送信回路1160とアンテナ1170とを介してプロトコル変換後のアシストデータを無線送信する。その結果、アシストデータが含まれる電波は、当該無線基地局のカバー範囲内に発信される。通信端末100は、その範囲に存在する場合には、そのアシストデータを受信することができる。
【0092】
次に、図14を参照して、本実施の形態に係る位置情報提供サーバ1400の具体的構成について説明する。図14は、位置情報提供サーバ1400のハードウェア構成を表わすブロック図である。位置情報提供サーバ1400は、たとえば、周知のコンピュータシステムによって実現される。
【0093】
位置情報提供サーバ1400は、主たる構成要素として、CPU1410と、使用者による指示の入力を受けるマウス1420およびキーボード1430と、CPU1410によるプログラムの実行により生成されるデータまたはマウス1420もしくはキーボード1430を介して入力されたデータを一時的に保持するRAM1440と、データあるいはプログラムを不揮発的に格納するハードディスク1450と、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置1460と、モニタ1480と、通信I/F1490とを含む。各構成要素は、相互にデータバス1470によって接続されている。CD−ROM駆動装置1460には、CD−ROM1462が装着される。
【0094】
位置情報提供サーバ1400における処理は、各構成要素およびCPU1410によって実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク1450に予め格納されている場合がある。また、当該ソフトウェアは、CD−ROM1462その他の記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されているサーバを運営する情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、CD−ROM駆動装置1460その他のデータ読取装置によってその記録媒体から読み取られて、あるいは通信I/F1490を介してダウンロードされた後、ハードディスク1450に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1410によってハードディスク1450からRAM1440に読み出され、実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1410は、RAM1440に格納されているそのプログラムを実行する。
【0095】
図14に示される位置情報提供サーバ1400を構成する各要素は、一般的なものである。したがって、位置情報提供サーバ1400の本質的な部分は、RAM1440、ハードディスク1450、CD−ROM1462その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、位置情報提供サーバ1400を実現するコンピュータシステムのハードウェアの動作は周知である。したがって、詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0096】
なお、記録媒体としては、CD−ROM1462、ハードディスク1450に限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically-EPROM)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等に固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、ここでいうプログラムは、CPU1410によって直接実行可能なプログラムに限られず、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラムなどを含む。
【0097】
次に、図15を参照して、位置情報提供サーバ1400のデータ構成について説明する。図15は、ハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。ハードディスク1450は、データを格納するための領域1510〜領域1570を含む。
【0098】
無線基地局を識別するためのデータ(識別子)は、領域1510に格納される。当該無線基地局が設置されている場所を特定するための位置情報は、領域1520に格納される。当該無線基地局が設置されている地名を表わすデータは、領域1530に格納される。GPS衛星の軌道の概略を表わす情報(いわゆる「アルマナック」)は、領域1540に格納される。領域1520に格納されている位置情報の送信履歴は、領域1550〜領域1570に格納される。具体的には、送信履歴の各々を特定するための履歴番号は、領域1550に格納される。送信された相手先(すなわち通信端末100を識別するデータ)は、領域1560に格納される。このデータは、たとえば通信端末100が携帯電話の場合におけるその電話番号に相当する。送信されたアシストデータに対応する無線基地局を識別するデータは、領域1570に格納される。たとえば履歴番号が「001」を参照すると、アシストデータの要求者(すなわち要求者番号「090−xxxx−xxxx」)に対して、無線基地局(001)についての位置情報(領域1520)が送信されたことになる。ここで、無線基地局「001」は、位置情報(領域1520)として、「北緯X°、東経Y°、海抜Zm)である。また、当該無線基地局は、A県B市C町D番地に設置されている。送信履歴は、ハードディスク1450に逐次蓄積される。
【0099】
図16を参照して、位置情報提供サーバ1400の制御構造について説明する。図16は、CPU1410が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0100】
ステップS1610にて、CPU1410は、通信I/F1490を介して入力されたデータに基づいて通信端末100によって発信された送信要求を受信したことを検知する。ステップS1620にて、CPU1410は、その送信要求をRAM1440に格納し、その送信要求から無線基地局の識別子を取得する。ステップS1630にて、CPU1410は、その識別子を用いてハードディスク1450にアクセスし、当該無線基地局の位置情報(領域1520)を読み出す。
【0101】
ステップS1640にて、CPU1410は、その読み出した位置情報が含まれるアシストデータを生成する。ステップS1650にて、CPU1410は、そのアシストデータをパケット化し、通信I/F1490を介して通信端末100に送信する。ステップS1660にて、CPU1410は、通信端末100にアシストデータを送信したことを送信履歴としてハードディスク1450に格納する(領域1550〜領域1570)。
【0102】
ここで、図17を参照して、位置情報提供サーバ1400から通信端末100に送信される信号1700について説明する。図17は、信号1700の概略の構成を表わす図である。信号1700は、ヘッダ1710と、アシストデータ1720と、フッタ1730とを含む。ヘッダ1710は、宛先アドレス(無線基地局の識別子および通信端末100の識別情報)と、送信元アドレス(位置情報提供サーバ1400のネットワーク上におけるアドレス)と、信号1700の送信日時とを含む。アシストデータ1720は、無線基地局の識別子と、無線基地局の位置情報(領域1520)と、GPS衛星のアルマナック(領域1540)とを含む。
【0103】
図18を参照して、本実施の形態に係る通信端末100の動作について説明する。図18は、複数の無線基地局と、各無線基地局によってカバーされる範囲とにおいて通信端末100が移動する経路を表わす図である。通信端末による無線通信を実現するために複数の無線基地局1800a〜1800jがそれぞれ配置されている。各無線基地局によって通信が網羅される範囲は、たとえばカバー範囲1810a〜1810jとして隣接する各カバー範囲が重複部分を有するように形成される。
【0104】
以下、通信端末100が無線基地局1810fによってカバーされるカバー範囲1810fの中の地点P(1)に存在している場合について説明する。通信端末100が地点P(1)に存在しており、電源がオンである場合、通信端末100の状態は、無線基地局1810fによって発信される電波を受信可能な状態である。通信端末100が経路1820−1を通って地点P(3)に移動する場合、途中の地点P(2)において無線基地局によってカバーされる範囲は、カバー範囲1810fから1810gに切り換わる。通信端末100は、通信装置304を介して受信した信号から、無線基地局1800gの識別子を取得し、フラッシュメモリ344の領域410に無線基地局1800gの識別子を格納する(ステップS732)。
【0105】
その後、通信端末100が地点P(3)すなわち全ての無線基地局からの通信可能範囲外に移動すると、CPU310は、領域410に格納されている無線基地局の識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域である領域430に格納する(ステップS742)。
【0106】
さらに、通信端末100が地点P(3)から地点P(7)まで経路1820−2により定められるルートで移動すると、通信端末100は、各無線基地局からの電波を受信可能な範囲が切り換わる地点として地点P(4),P(5),P(6)を経由する。すなわち、地点P(4)において、CPU310は、無線基地局1800jによって発信された電波から当該無線装置の識別子を取得し、その識別子を領域410(待ち受け基地局バッファ領域)と領域430(アシストデータ要取得基地局バッファ領域)とにそれぞれ格納する(ステップS716)。その結果、領域430には、無線基地局1800gの識別子と無線基地局1800jの識別子とがそれぞれ格納されることになる。通信端末100が経路1820−2に従って地点P(4)から地点P(5)に移動すると、この移動はいずれかの無線基地局から電波を受信できる範囲内での移動であるため、通信端末100は、無線基地局1800iによって発信された電波を、地点P(5)において受信できる。CPU310は、その電波から無線基地局1800iの識別子を取得し、領域410に格納する(ステップS732)。
【0107】
通信端末100が経路1820−2に従ってさらに移動し、地点P(6)に到達すると、通信端末100は、無線基地局1800hによって発信された電波を受信する。CPU310は、無線基地局の変化を検知し(ステップS730にてYES)、無線基地局1800hの識別子を領域410に格納する(ステップS732)。
【0108】
その後、通信端末100は、地点P(7)から地点P(11)までの移動(すなわち経路1820−3)においても、同様に各無線基地局の識別子を順次取得し、領域410に格納する。通信端末100が地点P(11)から地点P(13)に移動すると(経路1820−4)、地点P(12)において、CPU310は無線基地局1800gによって発信された電波の受信を検知する。ここで無線基地局1800gの識別子は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)に既に格納されているため、CPU310は、アシストデータ取得部550として機能することにより、位置情報提供サーバ1400に対してアシストデータの送信を要求する。その結果、通信端末100は無線基地局1800gによって通話がカバーされる範囲1810gに存在している間に、無線基地局1800gに予め関連付けられている位置情報を取得できる。その後、通信端末100の使用者が測位指示の入力を行なうと(ステップS620にてYES)、通信端末100は、その取得したアシストデータに基づいて測位処理(ステップS1000)を行なう。
【0109】
通信端末100が地点P(13)にいる間、その地点はいずれの無線基地局からの電波の受信できない範囲であるため、通信端末100は、GPS衛星130から受信する信号による測位以外の測位処理を行なうことができない。その後、通信端末100が地点P(13)から地点P(15)に移動すると(経路1820−5)、通信端末100は、地点P(14)において無線基地局1800jによって発信される電波を受信できる。ここで、無線基地局1800jの識別子は既に取得されてアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されているため(領域430、地点P(4))、CPU310は、アシストデータ取得部550として機能することにより、位置情報提供サーバ1400に対して無線基地局1800jに関連付けられている位置情報の取得を行なう。CPU310は、その取得したアシストデータを無線基地局の識別子と取得日時とを関連付けて領域450から470にそれぞれ格納する。
【0110】
その結果、通信端末100が無線基地局1800jによってカバーされる範囲1810jに存在している間、GPS衛星130からの信号を受信できないために測位が不可能な場合であっても、領域460に格納されている位置情報を参照することにより、通信端末100の位置を特定することができる。なお、通信端末100がカバー範囲1810jに長時間存在している場合、CPU310が定期的にアシストデータを取得してもよい。たとえば、CPU310は、領域480に格納されている時間データを参照することにより、予め定められた時間ごとにアシストデータを取得するための処理を定期的に実行してもよい。このようにすると、無線基地局によって通信可能な範囲にいる場合に複数の位置情報を蓄積することができるため、通信端末100の位置の特定を精度よく行なうことができる。
【0111】
以上のようにして、本実施の形態に係る通信端末100は、無線基地局からの電波の受信の結果に応じて、位置情報を得るためのアシストデータを取得できる。そのため、当該アシストデータを提供する位置情報提供サーバ1400が通信端末100に対するアシストデータの送信タイミングを自ら決定する必要がないため、位置情報提供サーバ1400の構成が複雑になることを防止できる。
【0112】
また、通信端末100は、各無線基地局によってカバーされる範囲に存在する間にアシストデータを取得できるため、仮に、GPS衛星からの信号を受信できない場合であっても、通信端末100の位置を表示することができる。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、測位機能を有する通信端末、たとえば携帯電話、GPS端末等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信端末100の含まれる通信ネットワークの概略を表わす図である。
【図2】通信端末100の機能的構成を表わすブロック図である。
【図3】通信端末100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図4】フラッシュメモリ344におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】通信端末100のCPU310によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図6】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図7】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図8】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図9】送信要求900の構成の概略を表わす図である。
【図10】通信端末100の測位のためにCPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図11】無線基地局1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図12】通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1)である。
【図13】通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その2)である。
【図14】位置情報提供サーバ1400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図15】ハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図16】位置情報提供サーバ1400のCPU1410が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図17】位置情報提供サーバ1400から通信端末100に送信される信号1700の概略の構成を表わす図である。
【図18】複数の無線基地局と、各無線基地局によってカバーされる範囲とにおいて通信端末100が移動する経路を表わす図である。
【符号の説明】
【0116】
100 通信端末、102 通信回線、130 GPS衛星、120 インターネット回線、202,212 アンテナ部、302,306,1110,1170 アンテナ、382 メモリカード、410〜480,1510〜1570 領域、1100,1800a〜1800j 無線基地局、1462 CD−ROM、1470 データバス、1700 信号、1810a〜1810j カバー範囲、1820−1〜1820−5 P(1)〜P(15) 地点。
【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末に関し、より特定的には、測位機能を有する通信端末およびその端末を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
測位機能を有する通信端末に関し、当該通信端末が無線基地局による通信が可能な範囲(以下、カバー範囲)とそうでない範囲との境界に存在する場合に、当該通信端末に対して測位を支援するための情報(以下、「アシストデータ」と呼ぶ。)を送信する情報提供装置が知られている(たとえば、特開2006−38732号公報(特許文献1))。
【特許文献1】特開2006−38732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開2006−38732号公報に開示されたような情報提供装置は、通信端末がカバー範囲から離脱するタイミングを把握しなければアシストデータを当該通信端末に送信できず、そのタイミングを把握するための構成が情報提供装置に必要となる。そのため、情報提供装置の構成、あるいは通信端末と情報提供装置とを結ぶ通信回線における通信の制御構造が複雑になる可能性があった。
【0004】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得できる通信端末を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得するように通信端末を制御するためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従うと、複数の基地局の各々と無線通信可能な通信端末が提供される。各基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されている。情報提供装置は、通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能である。各基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、アシストデータが含まれる電波とを送信可能である。通信端末は、各基地局によって発信された各電波を受信する第1の受信手段と、電波から識別情報を取得する第1の取得手段と、第1の取得手段によって取得された識別情報を格納する記憶手段と、識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が存在している場合に、情報提供装置からアシストデータを取得する第2の取得手段と、測位のための複数の測位信号を受信する第2の受信手段と、アシストデータまたは複数の測位信号に基づいて、通信端末の位置を表わす位置情報を算出する算出手段と、算出手段によって算出された位置情報を出力する出力手段とを備える。
【0007】
好ましくは、第2の取得手段は、第1の取得手段によって新たに取得された識別情報と、記憶手段に既に格納されている識別情報とを比較することにより、通信端末が範囲に存在しているか否かを判断する判断手段と、通信端末が範囲に存在していると判断された場合に、アシストデータの送信要求を生成する生成手段と、生成手段によって生成された送信要求を情報提供装置に送信する送信手段と、第1の受信手段によって受信された信号から、アシストデータを取り出す抽出手段とを含む。
【0008】
好ましくは、記憶手段は、第1の取得手段によって取得された識別情報のうち、既に格納されている識別情報と異なる識別情報を順次格納する。通信端末は、第1の受信手段からの出力に基づいて、通信端末が基地局によって発信された電波を受信できない範囲から、記憶手段に最後に格納された識別情報によって特定される基地局と通信できる範囲に移動したことを検知する検知手段をさらに備える。第2の取得手段は、最後に格納された識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が再び存在している場合に、アシストデータを取得する。
【0009】
好ましくは、通信端末が、基地局によって発信された電波を受信できない第1の範囲から、電波を受信できる第2の範囲に移動した場合に、第1の取得手段は、第2の範囲において受信された電波から、識別情報を取得する。識別情報を取得してから通信端末が第1の範囲に移動した後、通信端末が、第1の範囲から、識別情報によって特定される基地局からの電波を受信できる第2の範囲に再び存在している場合に、第2の取得手段は、識別情報に基づいてアシストデータを取得する。
【0010】
好ましくは、通信端末は、時刻を計測する計時手段をさらに備える。第2の取得手段は、予め定められた時間ごとにアシストデータを取得する。
【0011】
好ましくは、通信端末は、当該通信端末に対する操作を受け付ける入力手段をさらに備える。第1の取得手段は、識別情報を取得するための操作として予め規定された操作の入力に基づいて識別情報を取得する。
【0012】
好ましくは、通信端末は、第2の受信手段からの出力に基づいて、各測位信号が第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備える。各測位信号が受信されていないことが確認されると、算出手段は、アシストデータに基づいて位置情報を算出する。
【0013】
好ましくは、通信端末は、第2の受信手段からの出力に基づいて、各測位信号が第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備える。各測位信号が受信されていることが確認されると、算出手段は、受信された各測位信号に基づいて位置情報を算出する。
【0014】
好ましくは、アシストデータは、基地局が設置されている場所を特定する情報を含む。
好ましくは、識別情報は、基地局に固有な識別子を含む。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、通信端末を制御するためのプログラムが提供される。通信端末は、複数の基地局の各々と無線通信可能である。各基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されている。情報提供装置は、通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能である。各基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、アシストデータが含まれる電波とを送信可能である。プログラムは通信端末に、各基地局によって発信された各電波を受信するステップと、電波から識別情報を取得するステップと、取得された識別情報を保存するステップと、識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に通信端末が存在している場合に、情報提供装置からアシストデータを取得するステップと、測位のための複数の測位信号を受信するステップと、アシストデータまたは複数の測位信号に基づいて、通信端末の位置を表わす位置情報を算出するステップと、算出手段によって算出された位置情報を出力するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通信端末によると、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得することができる。
【0017】
本発明に係るプログラムによると、アシストデータを送信するための情報提供装置の構成を複雑にすることなく、当該アシストデータを取得するように通信端末を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信端末100の使用態様について説明する。図1は、通信端末100が含まれる通信ネットワークの概略を表わす図である。通信端末100は、たとえば携帯電話として実現される。
【0020】
通信端末100は、複数の無線基地局(たとえば無線基地局1100−1,1100−2)のいずれかと通信する。以下無線基地局を総称するときは無線基地局1100と表わす。各無線基地局1100は、通信回線102を介して交換局110に接続される。交換局110は、インターネット回線120を介して位置情報提供サーバ1400に接続される。通信端末100は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星130によって発信される信号を受信する。なお、測位のための信号を発信する衛星としてGPS衛星が例示されているが、その他の衛星航法システム(たとえば欧州におけるガリレオ、ロシア共和国におけるGLONASS(Global Navigation Satellite System))などであってもよい。
【0021】
通信端末100は、無線基地局1100との間で電話の受発信あるいはデータ通信を行なう。無線基地局1100は、通信端末100と他の通信装置(たとえば固定電話)との間の通信を中継する。交換局110は、無線基地局1100と他の情報処理装置(たとえば位置情報提供サーバ1400)との間の通信を、たとえば通信方式においてプロトコルの相違がある場合にはそのプロトコルの変換を行なうことにより中継を実現する。位置情報提供サーバ1400は、通信端末100から発信される送信要求に応じて通信端末100の位置を特定するための情報を送信する。この情報は、たとえば通信端末100が通信可能な範囲に存在する無線基地局1100の場所を表わす情報に相当する。
【0022】
図2を参照して、本実施の形態に係る通信端末100が備える主たる機能について説明する。図2は、通信端末100の機能的構成を表わすブロック図である。通信端末100は、アンテナ部202,212と、無線部204と、入力部206と、記憶部208と、制御部210と、GPS処理部214と、表示部216とを含む。
【0023】
アンテナ部202は、無線基地局1100によって発信される電波を受信する。あるいは、アンテナ部202は、無線部204から出力される信号を発信する。
【0024】
無線部204には、アンテナ部202によって受信された信号が入力される。無線部204は、その信号に対してフロントエンド処理あるいは周波数変換処理を行なって制御部210に送出する。無線部204は、制御部210から出力される信号を送信に必要な形式に変換しアンテナ部202に送出する。無線部204による処理によって、通信端末100の無線通信は実現される。
【0025】
入力部206は、通信端末100に対する操作の入力を受け付ける。入力部206は、たとえば数字ボタン、タッチパネル式ボタンあるいはジョグダイヤルなどによって実現される。
【0026】
記憶部208は、通信端末100に予め規定された動作を実行させるために必要なデータを格納する。記憶部208は、また無線部204によって受信された信号に含まれるデータを格納する。あるいは、記憶部208は、GPS処理部214によって取得される情報を格納する。記憶部208は、不揮発性のメモリによって実現される。
【0027】
制御部210は、入力部206に対する操作に応じて通信端末100の動作を制御する。通信端末100が、たとえば無線基地局1100と通信可能な状態であり(いわゆる待ち受け状態である場合)、制御部210は、無線部204からの出力に応じて電話の着信の有無を検知する。あるいは、通信端末100の使用者が電話の発信を行なおうとする場合、入力部206に対する操作に応じて制御部210は、電話の発信のために必要な信号を生成し無線部204に送出する。
【0028】
アンテナ部212は、GPS衛星130によって発信された信号を受信する。各衛星130から発信される信号は、たとえばスペクトル拡散方式によって発信される。そのため、同一の周波数で発信された信号は、アンテナ部212によって混信されることなく受信される。
【0029】
GPS処理部214は、アンテナ部212によって受信された各信号に対して通信端末100とGPS衛星130との間の疑似距離を算出するための処理を実行する。GPS処理部214は、各GPS衛星130について各々規定されたコードを用いてレプリカコードを生成し、アンテナ部212によって受信された信号とのマッチングを行ない、その信号の送信元となるGPS衛星130を特定する。
【0030】
GPS処理部214から出力される信号は、制御部210に入力される。制御部210は、その信号に基づいて通信端末100とGPS衛星130との距離を算出し、通信端末100の位置を表わす情報(たとえば緯度、経度など)を算出する。
【0031】
表示部216は、記憶部208に格納されているデータに応じた画像を表示する。表示部216は、たとえば通信端末100の通話相手の名称および電話番号あるいはGPS処理部214によって特定された通信端末100の位置を表わす情報(たとえば、緯度、経度、あるいはその付近の地図)を表示する。
【0032】
図3を参照して、本実施の形態に係る通信端末100の具体的構成について説明する。図3は、通信端末100のハードウェア構成を表わすブロック図である。通信端末100は、アンテナ302,306と、通信装置304と、測位信号受信回路308と、操作ボタン320と、フラッシュメモリ344と、RAM(Random Access Memory)346と、データ用ROM(Read Only Memory)348と、メモリカード駆動装置380と、CPU(Central Processing Unit)310と、音声信号処理回路370と、マイク372と、スピーカ374と、液晶ディスプレイ350と、LED(Light Emitting Diode)376と、データ通信IF(Interface)378と、バイブレータ384とを含む。メモリカード駆動装置380には、メモリカード382が装着される。
【0033】
アンテナ302は、無線基地局1100によって発信された電波を受信する。この電波は、無線電話のための電波とデータ通信のための電波とを含む。アンテナ302は、その受信した電波に対応する信号を通信装置304に送出する。通信装置304は、その信号に対してA/D(Analog to Digital)変換処理その他の処理を行なって通信端末100の内部における処理に必要な形式に変換する。通信装置304から出力されるデジタル信号は、CPU310に対して送出される。
【0034】
一方、CPU310によって出力されたデジタル信号は、通信装置304に入力される。通信装置304は、その信号に基づいて通信のために必要な変調を行ない、アンテナ302に変調後の信号を送出する。アンテナ302は、その信号を無線送信する。
【0035】
アンテナ306は、GPS衛星130から発信された信号を受信する。その信号は、測位信号受信回路308に送出される。測位信号受信回路308は、その信号の増幅、周波数変換その他の処理を行ない、信号の送信源を特定する。測位信号受信回路308は、たとえば複数の並列コリレータ回路として実現される。測位信号受信回路308から出力されるデータは、CPU310に入力される。
【0036】
操作ボタン320は、通信端末100に対する操作を受け付ける。操作ボタン320は、たとえばテンキー、矢印キーその他のボタンとして実現される。各ボタンの押下に応じた信号は、CPU310に入力される。
【0037】
フラッシュメモリ344は、CPU310によって生成されたデータを格納する。フラッシュメモリ344は、たとえば操作ボタン320によって入力される保存の指示に応じてその指示されたデータを格納する。
【0038】
RAM346は、CPU310によって生成されたデータを一時的に保持する。一時的に保持されるデータには、後述する測位処理の途中に生成されるデータ等が含まれる。
【0039】
データ用ROM348は、通信端末100に予め定められた動作を実行させるために準備されたプログラムを格納する。このプログラムは、通信端末100の基本動作を制御するためのオペレーティングシステム、データ通信のために必要な通信制御プログラム、あるいは測位のために必要な位置情報算出プログラムなどが含まれる。
【0040】
メモリカード駆動装置380は、CPU310からの指示に基づいて当該装置に装着されるメモリカード382に対するデータの書き込みと読み出しとを行なう。メモリカード駆動装置380によって書き込まれるデータは、たとえば測位信号受信回路308によって算出された通信端末100の位置を表わすデータ、通信端末100が行なった通話の履歴などである。
【0041】
CPU310は、操作ボタン320に対する操作に応じて通信端末100の動作を制御する。CPU310は、電話番号と発信指示が操作ボタン320に対して入力された場合には、その番号に応じた発信処理を行ない通信装置304を介した通話のための処理を開始する。通信端末100の位置を計測するための操作が操作ボタン320に対して入力されると、CPU310は、測位信号受信回路308によって取得される信号に基づいて通信端末100の現在地を導出するための処理を行なう。通信装置304が電話の着信を受けた場合、着信に応答するための操作が操作ボタン320に対して行なわれると、CPU310は、その信号を音声信号処理回路370に送出し、通話を開始する。
【0042】
音声信号処理回路370は、CPU310から出力される信号に基づいて通話のために必要な信号形式に変換する。音声信号処理回路370は、変換後の信号をスピーカ374に送出する。スピーカ374は、その信号に応じた音声を出力する。一方、マイク372に対する発話が行なわれると、マイク372は、その音声に応じた電気信号を音声信号処理回路370に送出する。音声信号処理回路370は、その信号をデジタル変換処理し、CPU310に送出する。
【0043】
液晶ディスプレイ350は、フラッシュメモリ344、RAM346、データ用ROM348あるいはメモリカード382に格納されているデータに基づいて画像を表示する。LED376は、CPU310から出力される信号に基づいて予め規定された色による発光動作を行なう。たとえば、通信端末100が電話の着信を受けた場合には、その着信を通知するための予め設定された色の発光動作が行なわれる。
【0044】
データ通信IF378には、データ通信のためのケーブルが装着可能である。データ通信IF378は、CPU310から出力されるデータをその装着されるケーブルに対して出力する。逆に、データ通信IF378は、そのケーブルを介して伝送されるデータを受信し、CPU310に送出する。
【0045】
バイブレータ384は、CPU310からの信号に基づいて予め規定された周波数で振動する。たとえば、通信端末100が電話の着信を受けた場合、バイブレータ384は、その着信を通知するために予め設定された周波数で振動する。
【0046】
図4を参照して、本実施の形態に係る通信端末100のデータ構造について説明する。図4は、フラッシュメモリ344におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。フラッシュメモリ344は、データを格納するための領域410〜領域440を含む。
【0047】
領域410は、待ち受け基地局バッファ領域として通信端末100が現時点で通信可能な範囲に位置する無線基地局を識別するためのデータを格納する。たとえば、通信端末100が、通信装置304から出力される信号に基づいて特定の無線基地局1100のいずれかと通信可能であることがCPU310によって確認されると、CPU310は、その無線基地局に予め割当てられた識別子を領域410に書き込む。
【0048】
領域420〜領域440は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域として使用される。具体的には、後述する各条件が成立した場合に、無線基地局の識別子が順次書き込まれる。書き込まれる無線基地局の識別子のレコードを特定するデータは、データ番号として領域420に格納される。そのとき取得された識別子は、領域430に格納される。当該識別子が取得された日時を表わすデータは、領域440に格納される。アシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されるデータは、当該条件が成立するごとに順次蓄積される。たとえば、図4に示される例では、レコード数が99件まで格納され得るが、格納されるレコードの数はこの数に限られない。
【0049】
図5を参照して、通信端末100を実現するためのCPU310について説明する。図5は、CPU310によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。CPU310は、識別情報取得部510と、判断部520と、送信要求生成部530と、移動検知部540と、アシストデータ取得部550と、信号受信確認部560と、位置情報算出部570とを含む。各機能は、データ用ROM348に格納されているプログラムが実行されることにより実現される。
【0050】
識別情報取得部510は、通信装置304によって受信された信号から、その信号に含まれる識別情報(図4における識別子)を取得する。識別情報取得部510は、その取得した識別情報をフラッシュメモリ344に書き込む。好ましくは、識別情報取得部510は、操作ボタン320に対する取得指示に基づいて無線基地局の識別情報を取得し、フラッシュメモリ344に格納する。ここで、識別情報は前述のように無線基地局に固有な識別子通信である。この識別子は、無線基地局に与えられたコードその他の名称あるいは当該無線基地局が設置されている場所の情報(たとえば緯度、経度、高度)などであってもよい。
【0051】
判断部520は、識別情報取得部510によって取得された識別情報と、フラッシュメモリ344に既に格納されている識別情報とを比較することにより、通信端末100が当該識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に存在しているか否かを判断する。具体的には、識別情報取得部510によって新たに取得された識別情報とフラッシュメモリ344に既に格納されている識別情報とが一致する場合には、判断部520は、通信端末100が当該範囲に存在していると判断する。
【0052】
送信要求生成部530は、判断部520による判断の結果に基づいてアシストデータの送信要求を生成する。ここでアシストデータとは、通信端末100の位置の特定を支援するためのデータをいう。アシストデータは、たとえば各無線基地局に固有な場所を表わすデータとして実現される。
【0053】
送信要求生成部530は、通信端末100が当該識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に存在していると判断された場合、そのアシストデータの送信要求を生成する。送信要求生成部530は、その生成した送信要求を通信装置304に対して送出する。通信装置304は、送信要求を無線通信するための信号形式に変換し、アンテナ302を介して発信する。
【0054】
移動検知部540は、通信装置304から出力される信号に基づいて通信端末100の移動を検知する。好ましくは、移動検知部540は、アンテナ302によって受信される信号の強度に基づいて通信端末100が無線基地局によって発信された電波を受信できない範囲から当該電波を受信できる範囲に移動したことを検知する。より好ましくは、移動検知部540は、電波を受信できない範囲からフラッシュメモリ344に最後に格納された識別情報によって特定される無線基地局と通信できる範囲に通信端末100が移動したことを検知する。
【0055】
アシストデータ取得部550は、通信端末100が通信する位置情報提供サーバ1400から、上記のアシストデータを取得する。アシストデータ取得部550は、通信装置304から出力される信号の中に含まれるアシストデータを抽出する。好ましくは、通信端末100が、最後に格納された識別情報によって特定される無線基地局との通信が可能な範囲に再び存在していることが検知されると、アシストデータ取得部550は、当該アシストデータを取得する。
【0056】
あるいは、他の局面において、通信端末100が当該識別情報を取得してから無線基地局によって発信された電波を受信できない範囲(以下、第1の範囲)に移動した後、当該第1の範囲から識別情報によって特定される無線基地局からの電波を受信できる第2の範囲に再び移動した場合に、アシストデータ取得部550は、当該識別情報に基づいてアシストデータを取得する。他の局面においては、アシストデータ取得部550は、予め定められた時間ごとに(たとえば1時間毎、毎日定時等)、アシストデータを取得する。
【0057】
信号受信確認部560は、測位信号受信回路308からの出力に基づいてGPS衛星130によって発信される各測位信号が測位信号受信回路308によって受信されているか否かを確認する。
【0058】
位置情報算出部570は、アシストデータ取得部550によって取得されたアシストデータあるいは測位信号受信回路308によって受信された各測位信号のいずれかに基づいて通信端末100の位置を表わす情報を導出する。好ましくは、各測位信号が受信されていないことが信号受信確認部560によって確認されると、位置情報算出部570は、フラッシュメモリ344に格納されているアシストデータに基づいて通信端末100の位置情報を算出する。他の局面においては、GPS衛星130によって発信された各測位信号が受信されていることが信号受信確認部560によって確認されると、位置情報算出部570は、当該各測位信号に基づいて通信端末100とGPS衛星130との間の疑似距離を算出し、通信端末100の位置情報を算出する。
【0059】
次に、図6〜図8を参照して、通信端末100の制御構造について説明する。図6から図8は、それぞれ、CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0060】
図6を参照して、ステップS610にて、CPU310は、操作ボタン320に対する操作に基づいて通信端末100の電源をオンに切り換える。ステップS700にて、CPU310は、後述する無線基地局情報取得処理(図7)を実行する。この処理が実行されると、無線基地局の識別情報(識別子)が取得され、フラッシュメモリ344に格納される。ステップS800にて、CPU310は、後述するアシストデータ取得処理(図8)を実行する。この処理が実行されると、アシストデータが位置情報提供サーバ1400から取得される。
【0061】
ステップS620にて、CPU310は、操作ボタン320から出力される信号に基づいて測位指示が入力されたか否かを判断する。CPU310が、測位指示は入力されたと判断すると(ステップS620にてYES)、処理はステップS1000に移される。そうでない場合には、(ステップS620にてNO)、処理はステップS630に移される。
【0062】
ステップS1000にて、CPU310は、後述する測位処理を実行する。この処理が実行されると、通信端末100の位置が特定され、液晶ディスプレイ350に表示される。
【0063】
ステップS630にて、CPU310は、操作ボタン320から出力される信号に基づいて通信端末100の電源をオフにする指示が入力されたか否かを判断する。CPU310が、その指示は入力された判断すると(ステップS630にてYES)、処理はステップ640に移される。そうでない場合には、(ステップS630にてNO)、処理はステップS700に戻される。
【0064】
ステップS640にて、CPU310は、バッテリ(図示しない)から各部への電力の供給を停止するように指示する。その後、通信端末100はシャットダウンされる。
【0065】
図7を参照して、CPU310は、通信装置304からの出力に基づいて通信端末100が無線基地局との通信ができない圏外から通信可能な圏内に移動したか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は圏外から圏内に移動したと判断すると(ステップS710にてYES)、処理はステップS712に移される。そうでない場合には、(ステップS710にてNO)、処理は終了する。
【0066】
ステップS712にて、CPU310は、圏内の無線基地局から発信された信号の受信を検知する。ステップS714にて、CPU310は、その信号から当該無線基地局の識別子を取得する。ステップS716にて、CPU310は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)と待ち受け基地局バッファ領域(領域410)に、その取得した識別子をそれぞれ格納する。
【0067】
ステップS720にて、CPU310は、通信装置304からの出力に基づいて通信端末100が圏内に存在するか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は圏内に存在すると判断すると(ステップS720にてYES)、処理はステップS722に移される。そうでない場合には、(ステップS720にてNO)、処理はステップS740に移される。
【0068】
ステップS722にて、CPU310は、通信装置304を介して圏内の無線基地局から発信された信号を受信する。ステップS724にて、CPU310は、その信号から無線基地局の識別子を取得し、RAM346において確保した領域に格納する。
【0069】
ステップS730にて、CPU310は、フラッシュメモリ344に格納されている識別子とRAM346に格納されている識別子とを比較することにより、無線基地局が変化したか否かを判断する。CPU310が、無線基地局は変化していると判断すると(ステップS730にてYES)、処理はステップS732に移される。そうでない場合には、(ステップS730にてNO)、処理は終了し、メイン処理に戻される。ステップS732にて、CPU310は、変化後の無線基地局の識別子を待ち受け基地局バッファ領域に格納する。
【0070】
ステップS740にて、CPU310は、領域410および領域430に格納されている各データを比較することにより、待ち受け基地局バッファ領域に格納されている識別子がアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されているか否かを判断する。CPU310が、その識別子はアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されていると判断すると(ステップS740にてYES)、処理は終了し、メイン処理に戻される。そうでない場合には、(ステップS740にてNO)、処理はステップS742に移される。
【0071】
ステップS742にて、CPU310は、待ち受け基地局バッファ領域(領域410)に格納されている識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)に格納する。
【0072】
図8を参照して、ステップS810にて、CPU310は、無線基地局から受信した信号から無線基地局の識別子(ID_A)を取得する。ステップS820にて、CPU310は、アシストデータ要取得バッファ領域(領域430)に格納されている識別子(ID_B)を読み出し、RAM346の作業領域に格納する。ステップS830にて、CPU310は、2つの識別子(ID_AとID_B)とが同一であるか否かを判断する。CPU310が、これらの識別子は同一であると判断すると(ステップS830にてYES)、処理はステップS840に移される。そうでない場合には(ステップS830にてNO)、処理は終了し、メイン処理に戻される。
【0073】
ステップS840にて、CPU310は、アシストデータの送信要求を生成する。この送信要求は、通信端末100を識別するためのデータ、通信端末100が通信している無線基地局の識別子などを含む。
【0074】
ステップS850にて、CPU310は、その送信要求を通信装置304を介して情報提供サーバ1400に送信する。具体的には、CPU310は、通信装置304に対して位置情報提供サーバ1400との通信セッションを形成させる。位置情報提供サーバ1400との間の通信セッションが形成されると、CPU310は、その送信要求を通信装置304に無線送信させる。送信要求が無線基地局1100のいずれかによって受信されると、無線基地局1100は、その信号を通信回線102を介して交換局110に送信する。交換局110は、その通信要求を位置情報提供サーバ1400との間の通信に適合した形式に変換した後、位置情報提供サーバ1400に送信する。位置情報提供サーバ1400は、その送信要求に応じて求められているデータを読み出し、交換局110に対して返信する。交換局110は、通信回線102を介して、無線基地局1100にアシストデータを転送する。
【0075】
その後、ステップS860にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400からアシストデータを通信装置304を介して受信する。ステップS870にて、CPU310は、そのアシストデータをフラッシュメモリ344に格納する。ステップS880にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を終了する。
【0076】
ここで、図9を参照して、送信要求について説明する。図9は、送信要求900の構成の概略を表わす図である。送信要求900は、ヘッダ910と、アシストデータ要求コード920と、フッタ930とを含む。
【0077】
ヘッダ910は、宛先アドレス(すなわち位置情報提供サーバ1400のネットワーク上におけるアドレス)と、送信元アドレス(通信端末100のネットワーク上における位置情報)と、送信要求900の送信日時とを含む。アシストデータ要求コード920は、送信要求900がアシストデータの送信を要求することを表わすコードと、通信端末100が通信可能な圏内に位置する無線基地局の識別子とを含む。
【0078】
このような構成を有する送信要求900が位置情報提供サーバ1400によって受信されると、位置情報提供サーバ1400は、アシストデータ要求コード920に含まれる識別子を参照して、その識別子に対応する無線基地局の位置情報をデータベースから読み出し、アシストデータ要求コード920によって特定された要求に対応する回答を、通信端末100に返信する。
【0079】
次に、図10を参照して、通信端末100の制御構造についてさらに説明する。図10は、通信端末100の測位のためにCPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0080】
ステップS1010にて、CPU310は、無線基地局と通信可能な圏内に通信端末100が存在するか否かを判断する。CPU310が、通信端末100は無線基地局との通信可能圏内に存在すると判断すると(ステップS1010にてYES)、処理はステップS1020に移される。そうでない場合には(ステップS1010にてNO)、処理はステップS1040に移される。
【0081】
ステップS1020にて、CPU310は、通信装置304によって受信された信号から、その無線基地局の識別子を取得する。ステップS1022にて、CPU310は、その識別子を用いて無線基地局の位置情報の送信要求を生成する。ステップS1024にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を開始する。ステップS1026にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400に送信要求を送信する。ステップS1028にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400から無線基地局の位置情報を受信し、フラッシュメモリ344に格納する。ステップS1030にて、CPU310は、位置情報提供サーバ1400との通信を終了する。
【0082】
ステップS1040にて、CPU310は、フラッシュメモリ344からアシストデータを読み出す。ステップS1042にて、CPU310は、そのアシストデータに含まれる位置情報をRAM346に読み出す。ステップS1050にて、CPU310は、RAM346に格納されているデータに基づいて通信端末100の位置情報を液晶ディスプレイ350に表示する。
【0083】
図11を参照して、無線基地局1100について説明する。図11は、無線基地局1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。無線基地局1100は、主たる構成要素として、アンテナ1110,1170と、受信回路1120と、クロック回路1130と、メモリ1140と、通信制御回路1150と、送信回路1160と、通信I/F1180とを含む。通信I/F1180は、通信回線102に接続される。
【0084】
アンテナ1110は、通信端末100によって発信された電波を受信する。受信回路1120は、アンテナ1110から送出される信号の周波数変換その他の処理を行ない、通信制御回路1150に送出する。クロック回路1130は、無線基地局1100における時刻を計測し、通信制御回路1150に当該時刻を表わすデータを送出する。
【0085】
メモリ1140は、無線基地局1100が使用するために予め規定されたデータを格納する。たとえば、メモリ1140は、無線基地局1100に固有な識別子1142を格納している。なお、メモリ1140におけるデータは、通信制御回路1150による処理によって書き込み可能であってもよい。
【0086】
通信制御回路1150は、通信端末100と他の情報通信装置との間の通信を中継する。通信制御回路1150は、通信端末100によって発信された電波に基づいて、通信回線102における通信に適合した信号形式に変換し、通信I/F1180に送出する。あるいは、通信制御回路1150は、通信I/F1180を介して入力が受け付けられた信号を無線送信に応じた形式に変換し、送信回路1160に送出する。
【0087】
送信回路1160は、通信制御回路1150から出力される信号に基づいてアンテナ1170を介して電波を発信する。発信される電波は、たとえば識別子1142を含む電波であり、また他の情報通信装置から通信端末100に対して通話のために送信される相手先の呼び出しのための信号を含む。
【0088】
通信I/F1180は、無線基地局1100と交換局110との間の通信を実現する。通信I/F1180は、無線基地局1100の内部における信号の形式と通信回線102における伝送の形式との間で、使用される信号のプロトコル変換を行なう。たとえば、通信回線102における電話の通信がIP(Internet Protocol)に従うものであれば、通信I/F1180は、受信回路1120によって受信された通信端末100による無線電話の信号をそのプロトコルに変換し、送出する。逆に、当該プロトコルに従う電話信号が通信I/F1180によって受信されると、通信I/F1180は、そのプロトコルを通信端末100との無線通信に適合したプロトコルに変換する。
【0089】
図12および図13を参照して、無線基地局1100の制御構造について説明する。図12および図13はそれぞれ、通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0090】
図12を参照して、ステップS1210にて、無線基地局1100の通信制御回路1150は、受信回路1120からの出力に基づいて通信端末100からアシストデータの送信要求を受信したことを検知する。ステップS1220にて、通信制御回路1150は、送信要求のプロトコルを位置情報提供サーバ1400との通信に対応したプロトコルに変換する。ステップS1230にて、通信制御回路1150は、通信I/F1180を介して位置情報提供サーバ1400に対してプロトコル変換後の送信要求を送信する。
【0091】
図13を参照して、ステップS1310にて、無線基地局1100の通信制御回路1150は、位置情報提供サーバ1400から通信I/F1180を介してアシストデータを受信したことを検知する。ステップS1320にて、通信制御回路1150は、アシストデータのプロトコルを無線通信に対応したプロトコルに変換する。ステップS1330にて、通信制御回路1150は、送信回路1160とアンテナ1170とを介してプロトコル変換後のアシストデータを無線送信する。その結果、アシストデータが含まれる電波は、当該無線基地局のカバー範囲内に発信される。通信端末100は、その範囲に存在する場合には、そのアシストデータを受信することができる。
【0092】
次に、図14を参照して、本実施の形態に係る位置情報提供サーバ1400の具体的構成について説明する。図14は、位置情報提供サーバ1400のハードウェア構成を表わすブロック図である。位置情報提供サーバ1400は、たとえば、周知のコンピュータシステムによって実現される。
【0093】
位置情報提供サーバ1400は、主たる構成要素として、CPU1410と、使用者による指示の入力を受けるマウス1420およびキーボード1430と、CPU1410によるプログラムの実行により生成されるデータまたはマウス1420もしくはキーボード1430を介して入力されたデータを一時的に保持するRAM1440と、データあるいはプログラムを不揮発的に格納するハードディスク1450と、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置1460と、モニタ1480と、通信I/F1490とを含む。各構成要素は、相互にデータバス1470によって接続されている。CD−ROM駆動装置1460には、CD−ROM1462が装着される。
【0094】
位置情報提供サーバ1400における処理は、各構成要素およびCPU1410によって実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク1450に予め格納されている場合がある。また、当該ソフトウェアは、CD−ROM1462その他の記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されているサーバを運営する情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、CD−ROM駆動装置1460その他のデータ読取装置によってその記録媒体から読み取られて、あるいは通信I/F1490を介してダウンロードされた後、ハードディスク1450に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1410によってハードディスク1450からRAM1440に読み出され、実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1410は、RAM1440に格納されているそのプログラムを実行する。
【0095】
図14に示される位置情報提供サーバ1400を構成する各要素は、一般的なものである。したがって、位置情報提供サーバ1400の本質的な部分は、RAM1440、ハードディスク1450、CD−ROM1462その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、位置情報提供サーバ1400を実現するコンピュータシステムのハードウェアの動作は周知である。したがって、詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0096】
なお、記録媒体としては、CD−ROM1462、ハードディスク1450に限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically-EPROM)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等に固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、ここでいうプログラムは、CPU1410によって直接実行可能なプログラムに限られず、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラムなどを含む。
【0097】
次に、図15を参照して、位置情報提供サーバ1400のデータ構成について説明する。図15は、ハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。ハードディスク1450は、データを格納するための領域1510〜領域1570を含む。
【0098】
無線基地局を識別するためのデータ(識別子)は、領域1510に格納される。当該無線基地局が設置されている場所を特定するための位置情報は、領域1520に格納される。当該無線基地局が設置されている地名を表わすデータは、領域1530に格納される。GPS衛星の軌道の概略を表わす情報(いわゆる「アルマナック」)は、領域1540に格納される。領域1520に格納されている位置情報の送信履歴は、領域1550〜領域1570に格納される。具体的には、送信履歴の各々を特定するための履歴番号は、領域1550に格納される。送信された相手先(すなわち通信端末100を識別するデータ)は、領域1560に格納される。このデータは、たとえば通信端末100が携帯電話の場合におけるその電話番号に相当する。送信されたアシストデータに対応する無線基地局を識別するデータは、領域1570に格納される。たとえば履歴番号が「001」を参照すると、アシストデータの要求者(すなわち要求者番号「090−xxxx−xxxx」)に対して、無線基地局(001)についての位置情報(領域1520)が送信されたことになる。ここで、無線基地局「001」は、位置情報(領域1520)として、「北緯X°、東経Y°、海抜Zm)である。また、当該無線基地局は、A県B市C町D番地に設置されている。送信履歴は、ハードディスク1450に逐次蓄積される。
【0099】
図16を参照して、位置情報提供サーバ1400の制御構造について説明する。図16は、CPU1410が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【0100】
ステップS1610にて、CPU1410は、通信I/F1490を介して入力されたデータに基づいて通信端末100によって発信された送信要求を受信したことを検知する。ステップS1620にて、CPU1410は、その送信要求をRAM1440に格納し、その送信要求から無線基地局の識別子を取得する。ステップS1630にて、CPU1410は、その識別子を用いてハードディスク1450にアクセスし、当該無線基地局の位置情報(領域1520)を読み出す。
【0101】
ステップS1640にて、CPU1410は、その読み出した位置情報が含まれるアシストデータを生成する。ステップS1650にて、CPU1410は、そのアシストデータをパケット化し、通信I/F1490を介して通信端末100に送信する。ステップS1660にて、CPU1410は、通信端末100にアシストデータを送信したことを送信履歴としてハードディスク1450に格納する(領域1550〜領域1570)。
【0102】
ここで、図17を参照して、位置情報提供サーバ1400から通信端末100に送信される信号1700について説明する。図17は、信号1700の概略の構成を表わす図である。信号1700は、ヘッダ1710と、アシストデータ1720と、フッタ1730とを含む。ヘッダ1710は、宛先アドレス(無線基地局の識別子および通信端末100の識別情報)と、送信元アドレス(位置情報提供サーバ1400のネットワーク上におけるアドレス)と、信号1700の送信日時とを含む。アシストデータ1720は、無線基地局の識別子と、無線基地局の位置情報(領域1520)と、GPS衛星のアルマナック(領域1540)とを含む。
【0103】
図18を参照して、本実施の形態に係る通信端末100の動作について説明する。図18は、複数の無線基地局と、各無線基地局によってカバーされる範囲とにおいて通信端末100が移動する経路を表わす図である。通信端末による無線通信を実現するために複数の無線基地局1800a〜1800jがそれぞれ配置されている。各無線基地局によって通信が網羅される範囲は、たとえばカバー範囲1810a〜1810jとして隣接する各カバー範囲が重複部分を有するように形成される。
【0104】
以下、通信端末100が無線基地局1810fによってカバーされるカバー範囲1810fの中の地点P(1)に存在している場合について説明する。通信端末100が地点P(1)に存在しており、電源がオンである場合、通信端末100の状態は、無線基地局1810fによって発信される電波を受信可能な状態である。通信端末100が経路1820−1を通って地点P(3)に移動する場合、途中の地点P(2)において無線基地局によってカバーされる範囲は、カバー範囲1810fから1810gに切り換わる。通信端末100は、通信装置304を介して受信した信号から、無線基地局1800gの識別子を取得し、フラッシュメモリ344の領域410に無線基地局1800gの識別子を格納する(ステップS732)。
【0105】
その後、通信端末100が地点P(3)すなわち全ての無線基地局からの通信可能範囲外に移動すると、CPU310は、領域410に格納されている無線基地局の識別子を、アシストデータ要取得基地局バッファ領域である領域430に格納する(ステップS742)。
【0106】
さらに、通信端末100が地点P(3)から地点P(7)まで経路1820−2により定められるルートで移動すると、通信端末100は、各無線基地局からの電波を受信可能な範囲が切り換わる地点として地点P(4),P(5),P(6)を経由する。すなわち、地点P(4)において、CPU310は、無線基地局1800jによって発信された電波から当該無線装置の識別子を取得し、その識別子を領域410(待ち受け基地局バッファ領域)と領域430(アシストデータ要取得基地局バッファ領域)とにそれぞれ格納する(ステップS716)。その結果、領域430には、無線基地局1800gの識別子と無線基地局1800jの識別子とがそれぞれ格納されることになる。通信端末100が経路1820−2に従って地点P(4)から地点P(5)に移動すると、この移動はいずれかの無線基地局から電波を受信できる範囲内での移動であるため、通信端末100は、無線基地局1800iによって発信された電波を、地点P(5)において受信できる。CPU310は、その電波から無線基地局1800iの識別子を取得し、領域410に格納する(ステップS732)。
【0107】
通信端末100が経路1820−2に従ってさらに移動し、地点P(6)に到達すると、通信端末100は、無線基地局1800hによって発信された電波を受信する。CPU310は、無線基地局の変化を検知し(ステップS730にてYES)、無線基地局1800hの識別子を領域410に格納する(ステップS732)。
【0108】
その後、通信端末100は、地点P(7)から地点P(11)までの移動(すなわち経路1820−3)においても、同様に各無線基地局の識別子を順次取得し、領域410に格納する。通信端末100が地点P(11)から地点P(13)に移動すると(経路1820−4)、地点P(12)において、CPU310は無線基地局1800gによって発信された電波の受信を検知する。ここで無線基地局1800gの識別子は、アシストデータ要取得基地局バッファ領域(領域430)に既に格納されているため、CPU310は、アシストデータ取得部550として機能することにより、位置情報提供サーバ1400に対してアシストデータの送信を要求する。その結果、通信端末100は無線基地局1800gによって通話がカバーされる範囲1810gに存在している間に、無線基地局1800gに予め関連付けられている位置情報を取得できる。その後、通信端末100の使用者が測位指示の入力を行なうと(ステップS620にてYES)、通信端末100は、その取得したアシストデータに基づいて測位処理(ステップS1000)を行なう。
【0109】
通信端末100が地点P(13)にいる間、その地点はいずれの無線基地局からの電波の受信できない範囲であるため、通信端末100は、GPS衛星130から受信する信号による測位以外の測位処理を行なうことができない。その後、通信端末100が地点P(13)から地点P(15)に移動すると(経路1820−5)、通信端末100は、地点P(14)において無線基地局1800jによって発信される電波を受信できる。ここで、無線基地局1800jの識別子は既に取得されてアシストデータ要取得基地局バッファ領域に格納されているため(領域430、地点P(4))、CPU310は、アシストデータ取得部550として機能することにより、位置情報提供サーバ1400に対して無線基地局1800jに関連付けられている位置情報の取得を行なう。CPU310は、その取得したアシストデータを無線基地局の識別子と取得日時とを関連付けて領域450から470にそれぞれ格納する。
【0110】
その結果、通信端末100が無線基地局1800jによってカバーされる範囲1810jに存在している間、GPS衛星130からの信号を受信できないために測位が不可能な場合であっても、領域460に格納されている位置情報を参照することにより、通信端末100の位置を特定することができる。なお、通信端末100がカバー範囲1810jに長時間存在している場合、CPU310が定期的にアシストデータを取得してもよい。たとえば、CPU310は、領域480に格納されている時間データを参照することにより、予め定められた時間ごとにアシストデータを取得するための処理を定期的に実行してもよい。このようにすると、無線基地局によって通信可能な範囲にいる場合に複数の位置情報を蓄積することができるため、通信端末100の位置の特定を精度よく行なうことができる。
【0111】
以上のようにして、本実施の形態に係る通信端末100は、無線基地局からの電波の受信の結果に応じて、位置情報を得るためのアシストデータを取得できる。そのため、当該アシストデータを提供する位置情報提供サーバ1400が通信端末100に対するアシストデータの送信タイミングを自ら決定する必要がないため、位置情報提供サーバ1400の構成が複雑になることを防止できる。
【0112】
また、通信端末100は、各無線基地局によってカバーされる範囲に存在する間にアシストデータを取得できるため、仮に、GPS衛星からの信号を受信できない場合であっても、通信端末100の位置を表示することができる。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、測位機能を有する通信端末、たとえば携帯電話、GPS端末等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信端末100の含まれる通信ネットワークの概略を表わす図である。
【図2】通信端末100の機能的構成を表わすブロック図である。
【図3】通信端末100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図4】フラッシュメモリ344におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】通信端末100のCPU310によって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図6】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図7】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図8】CPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1である。
【図9】送信要求900の構成の概略を表わす図である。
【図10】通信端末100の測位のためにCPU310が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図11】無線基地局1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図12】通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その1)である。
【図13】通信制御回路1150が実行する処理の手順を表わすフローチャート(その2)である。
【図14】位置情報提供サーバ1400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図15】ハードディスク1450におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図16】位置情報提供サーバ1400のCPU1410が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
【図17】位置情報提供サーバ1400から通信端末100に送信される信号1700の概略の構成を表わす図である。
【図18】複数の無線基地局と、各無線基地局によってカバーされる範囲とにおいて通信端末100が移動する経路を表わす図である。
【符号の説明】
【0116】
100 通信端末、102 通信回線、130 GPS衛星、120 インターネット回線、202,212 アンテナ部、302,306,1110,1170 アンテナ、382 メモリカード、410〜480,1510〜1570 領域、1100,1800a〜1800j 無線基地局、1462 CD−ROM、1470 データバス、1700 信号、1810a〜1810j カバー範囲、1820−1〜1820−5 P(1)〜P(15) 地点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局の各々と無線通信可能な通信端末であって、各前記基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されており、前記情報提供装置は、前記通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能であり、各前記基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、前記アシストデータが含まれる電波とを送信可能であり、
前記通信端末は、
各前記基地局によって発信された各前記電波を受信する第1の受信手段と、
前記電波から前記識別情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された前記識別情報を格納する記憶手段と、
前記識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が存在している場合に、前記情報提供装置から前記アシストデータを取得する第2の取得手段と、
測位のための複数の測位信号を受信する第2の受信手段と、
前記アシストデータまたは前記複数の測位信号に基づいて、前記通信端末の位置を表わす位置情報を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記位置情報を出力する出力手段とを備える、通信端末。
【請求項2】
前記第2の取得手段は、
前記第1の取得手段によって新たに取得された前記識別情報と、前記記憶手段に既に格納されている前記識別情報とを比較することにより、前記通信端末が前記範囲に存在しているか否かを判断する判断手段と、
前記通信端末が前記範囲に存在していると判断された場合に、前記アシストデータの送信要求を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記送信要求を前記情報提供装置に送信する送信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された信号から、前記アシストデータを取り出す抽出手段とを含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1の取得手段によって取得された識別情報のうち、既に格納されている識別情報と異なる識別情報を順次格納し、
前記通信端末は、前記第1の受信手段からの出力に基づいて、前記通信端末が前記基地局によって発信された電波を受信できない範囲から、前記記憶手段に最後に格納された識別情報によって特定される基地局と通信できる範囲に移動したことを検知する検知手段をさらに備え、
前記第2の取得手段は、前記最後に格納された識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が再び存在している場合に、前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記通信端末が、前記基地局によって発信された電波を受信できない第1の範囲から、電波を受信できる第2の範囲に移動した場合に、前記第1の取得手段は、前記第2の範囲において受信された電波から、前記識別情報を取得し、
前記識別情報を取得してから前記通信端末が前記第1の範囲に移動した後、前記通信端末が、前記第1の範囲から、前記識別情報によって特定される基地局からの電波を受信できる前記第2の範囲に再び存在している場合に、前記第2の取得手段は、前記識別情報に基づいて前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項5】
時刻を計測する計時手段をさらに備え、
前記第2の取得手段は、予め定められた時間ごとに前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項6】
前記通信端末に対する操作を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記第1の取得手段は、前記識別情報を取得するための操作として予め規定された操作の入力に基づいて前記識別情報を取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項7】
前記第2の受信手段からの出力に基づいて、各前記測位信号が前記第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備え、
各前記測位信号が受信されていないことが確認されると、前記算出手段は、前記アシストデータに基づいて前記位置情報を算出する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項8】
前記第2の受信手段からの出力に基づいて、各前記測位信号が前記第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備え、
各前記測位信号が受信されていることが確認されると、前記算出手段は、受信された各前記測位信号に基づいて前記位置情報を算出する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項9】
前記アシストデータは、前記基地局が設置されている場所を特定する情報を含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項10】
前記識別情報は、前記基地局に固有な識別子を含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項11】
通信端末を制御するためのプログラムであって、前記通信端末は、複数の基地局の各々と無線通信可能であり、各前記基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されており、前記情報提供装置は、前記通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能であり、各前記基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、前記アシストデータが含まれる電波とを送信可能であり、
前記プログラムは前記通信端末に、
各前記基地局によって発信された各前記電波を受信するステップと、
前記電波から前記識別情報を取得するステップと、
取得された前記識別情報を保存するステップと、
前記識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が存在している場合に、前記情報提供装置から前記アシストデータを取得するステップと、
測位のための複数の測位信号を受信するステップと、
前記アシストデータまたは前記複数の測位信号に基づいて、前記通信端末の位置を表わす位置情報を算出するステップと、
前記算出手段によって算出された前記位置情報を出力するステップとを実行させる、通信端末を制御するためのプログラム。
【請求項1】
複数の基地局の各々と無線通信可能な通信端末であって、各前記基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されており、前記情報提供装置は、前記通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能であり、各前記基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、前記アシストデータが含まれる電波とを送信可能であり、
前記通信端末は、
各前記基地局によって発信された各前記電波を受信する第1の受信手段と、
前記電波から前記識別情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された前記識別情報を格納する記憶手段と、
前記識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が存在している場合に、前記情報提供装置から前記アシストデータを取得する第2の取得手段と、
測位のための複数の測位信号を受信する第2の受信手段と、
前記アシストデータまたは前記複数の測位信号に基づいて、前記通信端末の位置を表わす位置情報を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記位置情報を出力する出力手段とを備える、通信端末。
【請求項2】
前記第2の取得手段は、
前記第1の取得手段によって新たに取得された前記識別情報と、前記記憶手段に既に格納されている前記識別情報とを比較することにより、前記通信端末が前記範囲に存在しているか否かを判断する判断手段と、
前記通信端末が前記範囲に存在していると判断された場合に、前記アシストデータの送信要求を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記送信要求を前記情報提供装置に送信する送信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された信号から、前記アシストデータを取り出す抽出手段とを含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記第1の取得手段によって取得された識別情報のうち、既に格納されている識別情報と異なる識別情報を順次格納し、
前記通信端末は、前記第1の受信手段からの出力に基づいて、前記通信端末が前記基地局によって発信された電波を受信できない範囲から、前記記憶手段に最後に格納された識別情報によって特定される基地局と通信できる範囲に移動したことを検知する検知手段をさらに備え、
前記第2の取得手段は、前記最後に格納された識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が再び存在している場合に、前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記通信端末が、前記基地局によって発信された電波を受信できない第1の範囲から、電波を受信できる第2の範囲に移動した場合に、前記第1の取得手段は、前記第2の範囲において受信された電波から、前記識別情報を取得し、
前記識別情報を取得してから前記通信端末が前記第1の範囲に移動した後、前記通信端末が、前記第1の範囲から、前記識別情報によって特定される基地局からの電波を受信できる前記第2の範囲に再び存在している場合に、前記第2の取得手段は、前記識別情報に基づいて前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項5】
時刻を計測する計時手段をさらに備え、
前記第2の取得手段は、予め定められた時間ごとに前記アシストデータを取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項6】
前記通信端末に対する操作を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記第1の取得手段は、前記識別情報を取得するための操作として予め規定された操作の入力に基づいて前記識別情報を取得する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項7】
前記第2の受信手段からの出力に基づいて、各前記測位信号が前記第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備え、
各前記測位信号が受信されていないことが確認されると、前記算出手段は、前記アシストデータに基づいて前記位置情報を算出する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項8】
前記第2の受信手段からの出力に基づいて、各前記測位信号が前記第2の受信手段によって受信されているか否かを確認する確認手段をさらに備え、
各前記測位信号が受信されていることが確認されると、前記算出手段は、受信された各前記測位信号に基づいて前記位置情報を算出する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項9】
前記アシストデータは、前記基地局が設置されている場所を特定する情報を含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項10】
前記識別情報は、前記基地局に固有な識別子を含む、請求項1に記載の通信端末。
【請求項11】
通信端末を制御するためのプログラムであって、前記通信端末は、複数の基地局の各々と無線通信可能であり、各前記基地局は通信回線を介して情報提供装置に接続されており、前記情報提供装置は、前記通信端末の位置の特定を支援するためのアシストデータを要求に応じて送信可能であり、各前記基地局は、自己を識別するための識別情報が含まれる電波と、前記アシストデータが含まれる電波とを送信可能であり、
前記プログラムは前記通信端末に、
各前記基地局によって発信された各前記電波を受信するステップと、
前記電波から前記識別情報を取得するステップと、
取得された前記識別情報を保存するステップと、
前記識別情報によって特定される基地局との通信が可能な範囲に前記通信端末が存在している場合に、前記情報提供装置から前記アシストデータを取得するステップと、
測位のための複数の測位信号を受信するステップと、
前記アシストデータまたは前記複数の測位信号に基づいて、前記通信端末の位置を表わす位置情報を算出するステップと、
前記算出手段によって算出された前記位置情報を出力するステップとを実行させる、通信端末を制御するためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−20240(P2008−20240A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190308(P2006−190308)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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