説明

通信端末装置、プログラム及び利用情報配信システム

【課題】メモリや電力を無駄に消費せずに、通信端末装置の電子メールを用いて、駅に係る通過情報を送信することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ICチップと、情報処理手段と、メール処理手段と、を有する通信端末装置であって、前記情報処理手段は、前記ICチップからの起動要求に基づいて、前記情報処理手段を起動する情報処理手段起動手段と、前記ICチップから駅に係る利用情報を取得する利用情報取得手段と、前記メール処理手段を起動するメール処理手段起動手段と、前記利用情報取得手段において取得された前記利用情報と、予め設定されたメールアドレスと、を前記メール処理手段に提供する情報提供手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置、プログラム及び利用情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通機関等を利用する子供をもつ親は、子供が無事に交通機関の駅等を通過したかを知りたい場合がある。特許文献1には、指定した駅での改札後に、指定した宛先へ、電子メールを自動的に送信する通信端末及び情報通信システムが開示されている。特許文献1の技術では、予め電子メールを自動送信する駅や、電子メール送信の宛先等を端末記憶部に記憶させておく。そして、ユーザが駅を出場又は入場するときに、通信端末を自動改札機に近接させる。すると、自動改札機は、ゲート通過の可否判定を行い、ゲート通過判定結果が可であった場合、改札を行った駅を特定できる改札駅情報を通信端末に送信する。通信端末では、受信した改札駅情報と記憶させている自動送信する駅とを比較して、同一の場合には、記憶されている宛先に電子メールを送信する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−178471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、通信端末において受信した改札駅情報と通信端末に記憶されている自動送信する駅とを比較し、同一の場合に記憶されている宛先に電子メールを送信するアプリケーションを常時、起動させておく必要がある。常時、アプリケーションを起動させておくと、通信端末のメモリが消費されてしまうという問題がある。
また、アプリケーションを常時、起動させておくと、その分、電力が消費される問題もある。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、メモリや電力を無駄に消費せずに、通信端末装置の電子メールを用いて、駅に係る通過情報を送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ICチップと、情報処理手段と、メール処理手段と、を有する通信端末装置であって、前記情報処理手段は、前記ICチップからの起動要求に基づいて、前記情報処理手段を起動する情報処理手段起動手段と、前記ICチップから駅に係る利用情報を取得する利用情報取得手段と、前記メール処理手段を起動するメール処理手段起動手段と、前記利用情報取得手段において取得された前記利用情報と、予め設定されたメールアドレスと、を前記メール処理手段に提供する情報提供手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、通信端末装置に係るコンピュータを、ICチップからの要求される起動要求に基づいて、起動し、前記ICチップから駅に係る利用情報を取得して、メール処理手段を起動し、前記利用情報及び設定されたメールアドレスを前記メール処理手段に提供する情報処理手段として機能させることを特徴とする。
本発明は、駅務機器と、通信端末装置と、メールサーバと、を含む利用情報配信システムであって、前記通信端末装置は、ICチップと、情報処理手段と、メール処理手段と、を有し、前記情報処理手段は、前記ICチップを介した、前記駅務機器からの起動要求に基づいて、前記情報処理手段を起動する情報処理手段起動手段と、前記ICチップから駅に係る利用情報を取得する利用情報取得手段と、前記メール処理手段を起動するメール処理手段起動手段と、前記利用情報取得手段において取得された前記利用情報と、予め設定されたメールアドレスと、を前記メール処理手段に提供する情報提供手段と、を有し、前記メール処理手段は、前記情報提供手段において提供された前記利用情報及び前記メールアドレスを電子メールに設定し、前記電子メールを前記メールサーバに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればメモリや電力を無駄に消費せずに、通信端末装置の電子メールを用いて、駅に係る通過情報を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、利用情報配信システム100のシステム構成の一例を示す図である。図1を参照して、本実施形態に係る利用情報配信システム100が行う処理について、説明する。利用情報配信システム100は、通信端末装置20と、自動改札機30と、メールサーバ40とを含んで構成されている。通信端末装置20とメールサーバ40とは、ネットワーク10を介して接続される。
【0009】
通信端末装置20は、記憶装置が内蔵された非接触ICチップ(ICチップ)21を備えている。この非接触ICチップ21は、自動改札機30に備えられているリーダライタ装置32との間で無線通信を行うことができる。また、通信端末装置20には、メールアプリケーションと携帯用アプリケーションとが実装されている。ここで、携帯用アプリケーションは、非接触ICチップ21に記憶されている後述する通過情報等を、メールアプリケーションに提供する処理等を行うアプリケーションである。メールアプリケーションは、携帯用アプリケーションから提供された通過情報等を電子メールに設定し、この電子メールを送信先に送信する処理等を行うアプリケーションである。
【0010】
自動改札機30は、リーダライタ装置32を備えている。リーダライタ装置32は、通信端末装置20の非接触ICチップ21に記憶された情報を読み取ったり、書き込んだりする処理を行う。なお、自動改札機30は、リーダライタ装置32が読み取った情報に基づいて、自動改札機30のゲート装置の開閉等を行う。
メールサーバ40は、通信端末装置20が送信した電子メールを、電子メールに設定されたメールアドレスに係る通信端末装置やパーソナルコンピュータ等に配信する。
【0011】
次に、通信端末装置20を用いて自動改札機30を通過したときに、通過情報が設定された電子メールが配信される処理について説明する。ここで、通信端末装置20には、通過情報が設定された電子メールを送信する送信先のメールアドレスと、電子メールが送信されるときの条件であるメール送信条件と、が設定されているものとする。
【0012】
まず、ユーザが自動改札機30を通過するために通信端末装置20を自動改札機30のリーダライタ装置32に近接させると、リーダライタ装置32は、駅情報等の通過情報を非接触ICチップ21に書き込む。このとき、リーダライタ装置32は、非接触ICチップ21を介して携帯用アプリケーションの起動を要求する。
【0013】
起動の要求に応じて起動した携帯用アプリケーションは、非接触ICチップ21に書き込まれた通過情報を読み出し、読み出した通過情報(又は通過情報に含まれる駅情報等)と通信端末装置20に設定されたメール送信条件とが合致するか否かを判定する。合致する場合、携帯用アプリケーションは、メールアプリケーションの起動を要求すると共に、読み出した通過情報と通信端末装置20に設定されたメールアドレスとをメールアプリケーションに提供する。
【0014】
起動の要求に応じて起動したメールアプリケーションは、提供されたメールアドレスと通過情報とを電子メールに設定し、電子メールを送信する。送信された電子メールはネットワーク10を介してメールサーバ40に送信される。メールサーバ40は、電子メールに設定されたメールアドレス宛に電子メールを送信する。なお、起動された携帯用アプリケーションと、メールアプリケーションとは、メールアプリケーションが電子メールを送信した後、動作を終了する。
【0015】
このように、図1に示す利用情報配信システム100によれば、ユーザが通信端末装置20を用いて自動改札機30を通過し、通過情報とメール送信条件とが合致すると、設定されたメールアドレス宛に通過情報を含む電子メールが自動的に送信される。
また、携帯用アプリケーション及びメールアプリケーションは、通信端末装置20において常時起動されていない。即ち、携帯用アプリケーションは、自動改札機30による起動要求に基づいて起動する。また、メールアプリケーションは、携帯用アプリケーションによる起動要求に基づいて起動する。したがって、これらアプリケーションは必要な場合にのみ起動するので、通信端末装置20のメモリを常時使用することもなく、無駄な電力を消費することもない。
【0016】
次に、利用情報配信システム100の各構成要素のうち、通信端末装置20について説明する。図2は、通信端末装置20の構成の一例を示す図である。通信端末装置20は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等である。通信端末装置20は、上述したように非接触ICチップ21を備えている。非接触ICチップ21は、チップ側CPU22と、チップ側通信装置23と、チップ側記憶装置24とを備えている。
チップ側通信装置23は、コイル等で形成されたアンテナである。チップ側通信装置23は、自動改札機30をはじめとする駅の駅務機器に備えられたリーダライタ装置32との間で無線通信を行うことができる。
【0017】
チップ側記憶装置24は、例えば書き込みを行うことができる不揮発性メモリである。チップ側記憶装置24は、非接触ICチップの識別情報が記憶される領域、定期券情報が記憶される領域、電子バリュー情報が記憶されるSF領域、利用情報が記憶される領域等を有している。ここで、利用情報は、通過情報と物販情報とを含んでいる。通過情報とは、自動改札機30を通過したときの情報であり、通過した自動改札機の駅情報、自動改札機を通過して駅構内に入場したか駅構内から出場したかを示す入出場情報、通過した日時情報を含んでいる。なお、通過情報には特急を使用したことを示す特急情報を含めてもよい。また、物販情報とは、駅構内外に設置された店舗において非接触ICチップ21の電子バリューを用いて物品を購入したときの情報であり、物品を購入した店舗が設置された駅情報、店舗情報、購入した日時情報を含んでいる。チップ側記憶装置24には、識別情報、定期券情報、電子バリュー情報、利用情報を記憶することができる。
【0018】
チップ側CPU22は、ICチップ21全体を制御する。チップ側CPU22は、例えばチップ側通信装置23が自動改札機30のリーダライタ装置32から受信した電子バリュー情報や通過情報等をチップ側記憶装置24に記憶したり、チップ側記憶装置24に記憶されている利用情報等を後述する携帯用アプリケーションに提供したりする処理を行う。
【0019】
また、通信端末装置20は、本体側CPU25と、入力装置26と、表示装置27と、本体側記憶装置28と、本体側通信装置29とを備えている。入力装置26は、例えば操作ボタン等である。ユーザは入力装置26を用いて、通信端末装置20に対する指示や、後述するメール送信条件の設定等を行うことができる。表示装置27は、例えば液晶ディスプレイである。通信端末装置20は、表示装置27にコンテンツを表示したり、ユーザが入力装置26を介して入力している内容を表示したりする。
【0020】
本体側記憶装置28には、情報処理手段の一例である携帯用アプリケーションに対応するプログラム(携帯用プログラム)、メール処理手段の一例であるメールアプリケーションに対応するプログラム(メールプログラム)等が記憶されている。ここで、携帯用プログラムは、予め本体側記憶装置28に記憶されている場合に限られず、ユーザが図示しないウェブサーバ等からネットワーク10を介してダウンロードし、本体側記憶装置28に記憶してもよい。一方、メールプログラムは、予め本体側記憶装置28に記憶されているものとする。更に、本体側記憶装置28には、ユーザによって設定されたメール送信条件が記憶されている。
【0021】
また、本体側記憶装置28には、携帯用アプリケーションが非接触ICチップ21から取得した利用情報等が記憶される。
本体側CPU25が、本体側記憶装置28に記憶されている携帯用プログラムを実行することにより、携帯用アプリケーションが実現される。また、本体側CPU25が、本体側記憶装置28に記憶されているメールプログラムを実行することにより、メールアプリケーションが実現される。ここで、プログラムを実行し、アプリケーションを起動させた状態を継続させる、即ち本体側記憶装置28の作業領域にアプリケーションを常時記憶させておくと、本体側記憶装置28の作業領域が占有される。このとき、他のアプリケーションを起動させた場合、本体側記憶装置28の作業領域が少ないと、アプリケーションの起動や実行に支障がある。また、アプリケーションを起動させた状態を継続させると、通信端末装置20の電力を無駄に消費してしまう。
【0022】
本体側通信装置29は、アンテナである。本体側通信装置29は、ネットワーク10を介してメールサーバ40との間で電子メールの送受信を行うことができる。
【0023】
また、通信端末装置20では、利用情報のメール送信条件と送信先のメールアドレスとを設定することができる。次に、メール送信条件を設定する方法について説明する。図3は、メール送信条件の設定画面の一例を示す図である。ここで、図3に示す設定画面は、例えばユーザが携帯用アプリケーションを起動させて送信条件設定メニューを選択したときに、表示装置27に表示される。
【0024】
図3に示す設定画面において、欄61は路線名を入力する路線名入力欄である。欄62は駅名を入力する駅名入力欄である。欄63aは欄62に入力された駅名の改札を通過して駅構内に入場したときに、電子メールを送信することをメール送信条件としたいときに、チェックするチェックボックスである。欄63bは欄62に入力された駅名の改札を通過して駅構内を出場したときに、電子メールを送信することをメール送信条件としたいときに、チェックするチェックボックスである。欄64は曜日を入力する曜日入力欄である。欄65は時間帯を入力する入力欄である。なお、図3に示す各入力欄61〜65は、いわゆるポップアップメニューにより複数ある路線名や駅名等の中から選択できるように構成してもよく、ユーザが入力装置26を介して直接入力できるように構成してもよい。また、欄66は駅構内外に設置された店舗で物品を購入したときに、電子メールを送信することをメール送信条件としたいときにチェックするチェックボックスである。また、欄67は、欄61〜65において設定したメール送信条件を無視して、全ての通過情報について電子メールで送信したいときにチェックするチェックボックスである。
【0025】
ユーザが、メール送信条件の設定を終了し、入力装置26の確定ボタンを入力することで、携帯用アプリケーションは、設定されたメール送信条件を本体側記憶装置28に記憶する。なお、送信条件設定メニューは図3に示す設定画面に限られない。例えば、入力できる路線名や駅名を増やしてもよく、特急を利用した場合を含めるか否かを選択するチェックボックスを含むよう設定画面を構成してもよい。なお、入力欄61〜65のうち空欄がある場合、携帯用アプリケーションは空欄がある入力欄については設定がないと判定して、メール送信条件を記憶する。即ち、例えば路線名入力欄61において「中央線」が入力され、他の入力欄が空欄である場合、曜日及び時間帯によらず中央線に属する何れかの駅の駅構内に入場及び出場したことがメール送信条件となる。
また、通信端末装置20では、電子メールを送信するメールアドレスを送信先として設定することができる。メールアドレスを設定する方法として、上述したメール送信条件の設定する場合と同様に、例えばユーザが携帯用アプリケーションを起動させてメールアドレス設定メニューを選択することで、メールアドレスを入力するメールアドレス設定画面が表示される。ユーザが、メールアドレスを入力し、設定を終了することで、携帯用アプリケーションは、設定されたメールアドレスを本体側記憶装置28に記憶する。
【0026】
次に、利用情報配信システム100の各構成要素のうち、自動改札機30について説明する。図4は、自動改札機30の構成の一例を示す図である。自動改札機30は、例えば駅構内に複数設置されている。自動改札機30は、改札側CPU31と、リーダライタ装置32と、改札側記憶装置33と、ゲート装置34とを備えている。
リーダライタ装置32は、上述したように、通信端末装置20の非接触ICチップ21のチップ側通信装置23との間で無線通信を行うことができる。リーダライタ装置32は、改札側CPU31の制御の下、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に記憶されている非接触ICチップ21の識別情報、定期券情報、電子バリュー情報及び利用情報としての通過情報等を読み取ったり、チップ側記憶装置24に電子バリュー情報や通過情報等を書き込んだりする処理を行う。また、リーダライタ装置32は、改札側CPU31の制御の下、チップ側記憶装置24に通過情報を書き込むとき又は書き込んだ直後に、非接触ICチップ21を介して、携帯用アプリケーションに対して起動要求を送信する処理も行う。
【0027】
改札側記憶装置33は、自動改札機30の電源が投入されたときに実行されるプログラムや、改札側CPU31が改札処理を行うときに実行する改札処理プログラム等が記憶されている。
ゲート装置34は、自動改札機30の通路を介した両側に開閉可能に設けられている。ゲート装置34は、改札側CPU31の制御の下、閉塞することでユーザが自動改札機30を通過することを妨げ、開放することによりユーザが自動改札機30を通過することを許容する。
改札側CPU31は、自動改札機30全体を制御する。改札側CPU31は、改札側記憶装置33に記憶されている改札処理プログラムを実行することで、例えば非接触ICチップ21に記憶された識別情報の識別処理を行ったり、改札処理を行ったりする等の後述する自動改札機30における処理を実現する。
【0028】
次に、利用情報配信システム100の各構成要素のうち、メールサーバ40について説明する。図5は、メールサーバ40の構成の一例を示す図である。メールサーバ40は、例えば各通信端末装置20における電子メールシステムを提供する既存のサーバである。メールサーバ40は、サーバ側CPU41と、サーバ側記憶装置42と、サーバ側通信装置43とを備えている。
【0029】
サーバ側記憶装置42は、受信した電子メールを電子メールに設定されているメールアドレス宛に配信する配信プログラムが記憶されている。サーバ側通信装置43は、例えばアンテナである。サーバ側通信装置43は、ネットワーク10を介して各通信端末装置20との間で電子メールの送受信を行うことができる。なお、サーバ側通信装置43は、メールサーバ40に内蔵されている場合に限られず、例えばアンテナタワー等としてメールサーバ40と異なる場所に設置されていてもよい。
【0030】
サーバ側CPU41は、メールサーバ40全体を制御する。サーバ側CPU41は、サーバ側記憶装置42に記憶されている配信プログラムを実行することでサーバ側通信装置43を介して電子メールを受信したり、電子メールに設定されているメールアドレス宛に電子メールを配信したりする処理を実現する。
【0031】
次に、上述した利用情報配信システム100の構成要素が行う処理について図6を参照して説明する。図6は、利用情報配信システム100において行われるシーケンス処理の一例を示す図である。ここでは、通信端末装置20のユーザが自動改札機30を通過するために、通信端末装置20を自動改札機30のリーダライタ装置32に近接させたものとする。
【0032】
まず、ステップS10において、自動改札機30のリーダライタ装置32は、近接された通信端末装置20の非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24から識別情報を読み取る。次に、ステップS11において、改札側CPU31は、読み取った識別情報に基づいて非接触ICチップ21の正当性を判定する識別処理を行う。ここで、非接触ICチップ21が正当でないと判定した場合、改札側CPU31は、ステップS12以降の処理を中止し、例えばゲート装置34を閉塞する処理を行う。一方、非接触ICチップ21が正当であると判定した場合、改札側CPU31は、次のステップに処理を進める。
【0033】
ステップS12において、自動改札機30のリーダライタ装置32は、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24から更に定期券情報、電子バリュー情報及び通過情報を読み取る。次に、ステップS13において、改札側CPU31は、読み取った定期券情報、電子バリュー情報及び通過情報に基づいて、改札処理を行う。より具体的に説明すると、改札側CPU31は、定期券情報に基づいて定期券の区間内の使用であるかを判定したり、電子バリュー情報に基づいて引き去りを行える電子バリューがあるか否かを判定したりする。なお、ここで、定期券の区間内の使用ではない場合や、引き去りを行える電子バリューがない場合等、有効な改札処理が行えないとき、改札側CPU31は、ゲート装置34を閉塞してユーザの自動改札機30の通過を妨げる。
【0034】
ステップS14において、リーダライタ装置32は、改札側CPU31の制御の下、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に引き去りを行った電子バリュー情報を書き込んだり、通過情報を書き込んだりする処理を行う。ここで、通過情報とは、図6に示すように例えば、日時情報、入出場情報、駅情報等である。日時情報とは、自動改札機30を通過した年月日及び時間である。入出場情報とは、自動改札機30を通過して駅構内に入場したか駅構内から出場したかを示す情報である。自動改札機30を通過して入場した場合、改札入場が書き込まれる。自動改札機30を通過して出場した場合、改札出場が書き込まれる。駅情報とは、出場又は入場した駅の駅名を示すものである。図6に示す通過情報は、2007年11月13日17時20分に立川駅の自動改札機を出場したときのものである。
【0035】
続いて、ステップS15において、リーダライタ装置32は、改札側CPU31の制御の下、非接触ICチップ21を介して携帯用アプリケーションに対して起動要求を送信する。なお、非接触ICチップ21を介して携帯用アプリケーションに対して起動要求を送信する場合に限られず、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に通過情報が書き込まれることをトリガーとして、チップ側CPU22が、携帯用アプリケーションに対して起動要求を送信してもよい。
次に、ステップS16において、携帯用アプリケーションは、リーダライタ装置32からの起動要求に基づいて、起動する処理を行う。より具体的に説明すると、本体側CPU25が、本体側記憶装置28に記憶されている携帯用プログラムに基づき、携帯用アプリケーションを起動させる。このように、携帯用アプリケーションは、自動改札機30からの起動要求に基づいて起動するため、常時、起動したままの状態を維持する必要がない。
【0036】
ステップS17において、携帯用アプリケーションは、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に記憶されている通過情報を要求する。ここで、携帯用アプリケーションは、起動すると同時に非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に記憶されている通過情報を要求するようにプログラムされている。ただし、この場合に限られず、ステップS15において、携帯用アプリケーションに対して送信される起動要求の中にチップ側記憶装置24に記憶されている通過情報を読むような指示が含められていてもよい。
【0037】
ステップS18において、チップ側CPU22は、チップ側記憶装置24に記憶されている通過情報を携帯用アプリケーションに送信する。
ステップS19において、携帯用アプリケーションは、通過情報を取得すると、取得した通過情報を本体側記憶装置28の作業領域に記憶する。
ステップS20において、携帯用アプリケーションは、取得した通過情報と予め設定されたメール送信条件とが合致するか否かを判定する。ここで、例えば、所得した通過情報が図6に示すように「日時情報を2007年11月13日(火曜)17時20分、出入場情報を改札出場、通過駅情報を立川駅」とする。また、設定されているメール送信条件は、図3に示すように、「路線名を中央線、駅名を立川及び東京(入場及び出場ともチェックが付けられている)、曜日を月曜から金曜、時間帯を8時から18時」とする。この場合、取得した通過情報はメール送信条件に含まれているため、携帯用アプリケーションは、通過情報とメール送信条件とが合致すると判定する。次に、携帯用アプリケーションは、ステップS21の処理に進める。なお、通過情報がメール送信条件に合致しない場合、携帯用アプリケーションは、動作を終了し、利用情報を配信する処理を終了する。
【0038】
ステップS21において、携帯用アプリケーションは、メールアプリケーションに対して起動要求を送信する。
ステップS22において、メールアプリケーションは、起動要求に基づいて起動する処理を行う。より具体的に説明すると、本体側CPU25が、本体側記憶装置28に記憶されているメールプログラムに基づき、メールアプリケーションを起動させる。このように、携帯用アプリケーションは、通過情報とメール送信条件とが合致している場合に、メールアプリケーションを起動させるため、メールアプリケーションは常時、起動したままの状態を維持する必要がない。
【0039】
ステップS23において、携帯用アプリケーションは、ステップS20の判定において合致した通過情報と予め設定されたメールアドレスとをメールアプリケーションに提供する。このとき、携帯用アプリケーションは、提供する通過情報をメールアプリケーションで作成される電子メールに貼り付けることができるように変換を行い、変換後のデータをメールアプリケーションに提供する。例えば、携帯用アプリケーションは、図3に示す通過情報を例えば、「2007年11月13日17:20 立川駅を出ました。」に変換する。また、携帯用アプリケーションは、変換した通過情報に、例えば、「本文」とする属性情報を付加する。
【0040】
ステップS24において、メールアプリケーションは、提供された情報のうち、属性情報に「本文」と付加されている付加情報を電子メールの本文に設定する。また、メールアプリケーションは、提供されたメールアドレスを電子メールの宛先に設定する。なお、メールアプリケーションは、電子メールの件名に例えば、「通過情報メール」と設定してもよい。
ステップS25において、メールアプリケーションは、電子メールの作成を完了すると作成した電子メールを、本体側通信装置29を介して、メールサーバ40に送信する。
ステップS26において、メールアプリケーションは、電子メールを送信した旨の情報を携帯用アプリケーションに送信する。
【0041】
その後、ステップS27において、メールアプリケーションは、動作を終了する。また、ステップS28において、メールアプリケーションより電子メールを送信した旨の情報を受信した携帯用アプリケーションは、動作を終了する。
【0042】
ステップS29において、メールサーバ40のサーバ側CPU41は、通信端末装置20より受信した電子メールを、サーバ側通信装置43を介して、電子メールに設定されたメールアドレス宛に配信する。
ステップS30において、電子メールをメールサーバ40より受信した通信端末装置やパーソナルコンピュータ等のCPUは、例えば前記電子メールを受信した旨をユーザに通知し、ユーザによって前記電子メールが選択されると、電子メールに設定された図6に示すような「2007年11月13日17:20 立川駅を出ました。」等の通過情報を表示装置に表示する。
【0043】
このように本実施形態によれば、携帯用アプリケーションは、リーダライタ装置32から非接触ICチップ21を介して送信された起動要求に基づいて起動する。また、携帯用アプリケーションは、通過情報が設定された電子メールの送信が完了した後、起動を終了する。即ち、携帯用アプリケーションは、通過情報を電子メールで送信する場合にのみ起動するため、常時、本体側記憶装置28の作業領域を消費することがない。
【0044】
また、メールアプリケーションは、通過情報とメール送信条件とが合致している場合に、携帯用アプリケーションの起動要求に基づいて起動する。また、メールアプリケーションは、通過情報が設定された電子メールの送信が完了した後、起動を終了する。即ち、メールアプリケーションは、通過情報を電子メールで送信する場合にのみ起動するため、常時、本体側記憶装置28の作業領域を消費することがない。
【0045】
このように、常時、通過情報配信に関するアプリケーション(携帯用アプリケーション、メールアプリケーション)は、起動したままの状態を維持する必要がないため、他のアプリケーションの実行や起動する場合に影響を与えることが少ない。即ち、常時、通過情報配信に関するアプリケーションが起動することによる、他のアプリケーションが起動したときのメモリの占有を削減することができる。また、常時、通過情報配信に関するアプリケーションが起動することによって、他のアプリケーションが起動したときの競合を削減することができる。
更に、通過情報配信に関するアプリケーションは、起動したままの状態を維持する必要がないため、通信端末装置20において消費される電力が削減される。
【0046】
また、通信端末装置20から送信する通過情報が設定された電子メールは、各通信端末装置20間で構成されている既存のネットワーク10を使用すればよい。したがって、通過情報が設定された電子メールを専用に配信するサーバを構築する必要がなく、システム全体を簡単に構成することができる。
また、通信端末装置20がリーダライタ装置32から通過情報を取得して携帯用アプリケーションに対する起動要求を受けた後から電子メールを送信するまでの間は、通信端末装置20内で処理が行われる。したがって、通信端末装置20と他の装置との間で通信が行われることがないため、通信端末装置20は、取得した通過情報をリアルタイムで処理することができ、電子メールを迅速に送信することができる。
また、受信した通過情報のうちメール送信条件と合致する通過情報のみを電子メールに設定して配信することができる。即ち、メール送信条件において制限をかけることで、必要な通過情報についてのみ電子メールで配信することができる。
【0047】
なお、上述した説明では、利用情報のうち通過情報のみを電子メールに設定して配信する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、図3に示す送信条件設定メニューにおいて、欄66のチェックボックスにチェックがされている場合、利用情報のうち物販情報を電子メールに設定して配信してもよい。ユーザが駅構内外に設置された店舗で非接触ICチップ21に記憶されている電子バリューを用いて物品を購入したときに、設定されたメールアドレスに電子メールが配信される。
【0048】
より具体的に説明すると、店舗にはリーダライタ装置が配置されている。店舗のリーダライタ装置は電子バリュー情報を読み取ったり、電子バリュー情報や利用情報としての物販情報を書き込んだりする処理を行う。ここで、ユーザが店舗で物品を購入するために、通信端末装置20の非接触ICチップ21を近接させると、リーダライタ装置では、識別処理や電子バリューの引き去り等を行う。更に、リーダライタ装置は、非接触ICチップ21のチップ側記憶装置24に引き去りを行った電子バリュー情報を書き込んだり、物販情報を書き込んだりする処理を行う。ここで、物販情報は、店舗が設置された駅情報、店舗情報、購入した日時情報等である。物販情報として、例えば駅情報を立川駅とし、店舗情報をNEWDAYSとし、日時情報を2007年11月13日17時20分とする。
その後、上述したステップS15の処理と同様に、リーダライタ装置は、非接触ICチップ21を通じて携帯用アプリケーションに対して起動要求を送信する。以降、上述した実施形態と同様に処理が行われ、例えば、「2007年11月13日17:20 立川駅のNEWDAYSで物品を購入しました。」という電子メールが設定されたメールアドレス宛に配信される。
【0049】
また、上述した説明では、ステップS20において、携帯用アプリケーションは、取得した通過情報と予め設定されたメール送信条件とが合致するか否かを判定する処理について説明したが本実施形態の処理はこの場合に限られない。例えば、図3に示す送信条件設定メニューにおいて、欄67の全ての通過情報を送信することを示すチェックボックスにチェックがされている場合、携帯用アプリケーションは、ステップS20の通過情報とメール送信条件とが合致するか否かの判定を省略してもよい。
【0050】
また、上述した説明では、メール送信条件を設定するために、図3に示す設定画面において、ユーザが入力することで携帯用アプリケーションが、本体側記憶装置28にメール送信条件を記憶する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、他の通信端末装置又はパーソナルコンピュータから遠隔でメール送信条件を設定できるように構成してもよい。
【0051】
より具体的に説明すると、他の通信端末装置を所有するユーザは、他の通信端末装置のメールアプリケーションを用いて、利用情報配信システム100を利用する通信端末装置20を送信先とする電子メールを作成する。このとき、作成する電子メールの本文には、メール送信条件として設定したい路線名、駅名、入出場情報、曜日、時間帯を入力する。
送信先の通信端末装置20のメールアプリケーションが電子メールを受信すると、送信先の通信端末装置20の携帯用アプリケーションは、電子メールの送信元のメールアドレスが、正当な送信元のメールアドレスか否かを判定する。正当な送信元のメールアドレスの場合、携帯用アプリケーションは電子メールの本文に入力された路線名、駅名、入出場情報、曜日、時間帯をメール送信条件として本体側記憶装置28に記憶する。なお、送信された電子メールのメールアドレスが正当な送信元ではない場合、携帯用アプリケーションは本体側記憶装置28に記憶しない。ここで、送信元のメールアドレスが正当であるか否かの判定は、携帯用アプリケーションが、例えば本体側記憶装置28にメール送信条件を設定してもよい送信元メールアドレスとして記憶されているメールアドレスと一致する否かで判定すればよい。
以上、上述した実施形態によれば、メモリや電力を無駄に消費せずに、通信端末装置の電子メールを用いて、駅に係る通過情報を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】利用情報配信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】通信端末装置の構成の一例を示す図である。
【図3】メール送信条件の設定画面の一例を示す図である。
【図4】自動改札機の構成の一例を示す図である。
【図5】メールサーバの構成の一例を示す図である。
【図6】通過情報配信システムのシーケンス処理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 利用情報配信システム
10 ネットワーク
20 通信端末装置
21 非接触ICチップ
22 チップ側CPU
23 チップ側通信装置
24 チップ側記憶装置
25 本体側CPU
26 入力装置
27 表示装置
28 本体側記憶装置
29 本体側通信装置
30 自動改札機
31 改札側CPU
32 リーダライタ装置
33 改札側記憶装置
34 ゲート装置
40 メールサーバ
41 サーバ側CPU
42 サーバ記憶装置
43 サーバ側通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップと、情報処理手段と、メール処理手段と、を有する通信端末装置であって、
前記情報処理手段は、
前記ICチップからの起動要求に基づいて、前記情報処理手段を起動する情報処理手段起動手段と、
前記ICチップから駅に係る利用情報を取得する利用情報取得手段と、
前記メール処理手段を起動するメール処理手段起動手段と、
前記利用情報取得手段において取得された前記利用情報と、予め設定されたメールアドレスと、を前記メール処理手段に提供する情報提供手段と、
を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記情報処理手段起動手段は、前記ICチップを介して、駅務機器より前記起動要求を受け取ると、前記情報処理手段を起動することを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記利用情報取得手段において取得された利用情報と、設定されたメール送信条件と、が合致するか否かを判定する判定手段を更に有し、
前記メール処理手段起動手段は、前記判定手段において前記利用情報と、前記メール送信条件と、が合致すると判定された場合、前記メール処理手段を起動することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記メール送信条件及び前記メールアドレスを設定する設定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記ICチップは、駅務機器と通信を行い、前記利用情報を取得して記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の通信端末装置。
【請求項6】
通信端末装置に係るコンピュータを、
ICチップからの要求される起動要求に基づいて、起動し、前記ICチップから駅に係る利用情報を取得して、メール処理手段を起動し、前記利用情報及び設定されたメールアドレスを前記メール処理手段に提供する情報処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
駅務機器と、通信端末装置と、メールサーバと、を含む利用情報配信システムであって、
前記通信端末装置は、ICチップと、情報処理手段と、メール処理手段と、を有し、
前記情報処理手段は、
前記ICチップを介した、前記駅務機器からの起動要求に基づいて、前記情報処理手段を起動する情報処理手段起動手段と、
前記ICチップから駅に係る利用情報を取得する利用情報取得手段と、
前記メール処理手段を起動するメール処理手段起動手段と、
前記利用情報取得手段において取得された前記利用情報と、予め設定されたメールアドレスと、を前記メール処理手段に提供する情報提供手段と、
を有し、
前記メール処理手段は、前記情報提供手段において提供された前記利用情報及び前記メールアドレスを電子メールに設定し、前記電子メールを前記メールサーバに送信することを特徴とする利用情報配信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−212561(P2009−212561A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50563(P2008−50563)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】