通信端末
【課題】異なる周波数に従う無線通信において通信品質を維持する。
【解決手段】アンテナ110を介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、アンテナ210を介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度および第2通信手段による送信信号の強度を取得し、受信信号および前送信信号の取得される各強度を用いて、第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、第1通信手段は、データレートに従って処理された情報を、第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む。
【解決手段】アンテナ110を介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、アンテナ210を介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度および第2通信手段による送信信号の強度を取得し、受信信号および前送信信号の取得される各強度を用いて、第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、第1通信手段は、データレートに従って処理された情報を、第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末に関し、特に、異なる通信規格に従う無線通信機能を有する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式に従った音声通信およびデータ通信の機能を備える携帯通信端末において、無線LAN(Local Area Network)通信機能を搭載したものが普及している。無線LANのチャンネルおよび周波数は、我が国の場合1チャンネルから13チャンネルでその中心周波数は2412MHzから2472MHzである。
【0003】
しかしながら、我が国において、2012年7月の周波数再編により、CDMA方式の携帯通信端末は送信周波数として815MHzから830MHzを使用する事が予定されている。この場合、CDMA送信周波数の3倍の周波数は2445MHzから2490MHzとなり、無線LANの周波数と重複することとなる。
【0004】
したがって、携帯通信端末がCDMA信号を送信した場合に、その3倍波が無線LANの周波数帯域においてはノイズとなり電波の干渉(以下、単に干渉という)を引き起こす。干渉により、無線LANの受信感度は低下し、無線LANによる通信は困難となり、無線LAN通信の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0005】
干渉などによる影響を考慮して、無線LANによる通信の信頼性を高めるために、たとえば非特許文献1によれば、送受信結果の履歴から使用可能なデータレートを推定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE 802.11 無線LANにおけるレートスイッチングアルゴリズム 電気学会論文誌C 124巻1号 2004年 33〜40ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1の方法によれば、データレートを適宜に更新することが可能となるので、送受信局間の通信品質が、端末装置の移動、フェージングおよびシャドーイングといった通信中の環境変化により変動するのを防止できる。
【0008】
しかしながら、端末装置の移動、フェージングおよびシャドーイングといった通信中の環境変化による通信品質の変動は、緩やかで連続的なものであるため、非特許文献1の方法は、携帯通信端末が突如CDMA信号の送信を開始した場合の通信品質の急激な変化には対応できない。
【0009】
それゆえに、本発明の目的は、異なる周波数に従う無線通信において通信品質を維持することができる通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う通信端末は、第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度および前第2通信手段による送信信号の強度を取得し、受信信号および前送信信号の取得される各強度を用いて、第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、第1通信手段は、データレートに従って処理された情報を、第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む。
【0011】
好ましくは、制御手段は、取得する受信信号および送信信号の各強度に基づく、当該受信信号の成分に占めるノイズの割合から、データレートを決定する。
【0012】
好ましくは、第2周波数の整数倍周波数の帯域は、第1周波数の帯域に重複し、制御手段は、第2周波数の整数倍周波数を有する信号の強度を、送信信号の強度として取得する倍波強度取得手段を、含む。
【0013】
好ましくは、第1通信手段は、所定データレートに従って処理された情報を、第1信号により送信するための第2送信手段を含み、制御手段は、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度を取得し、所定のデータレートと取得される受信信号の強度とを用いて、第2通信手段による送信信号の強度を決定する。
【0014】
好ましくは、制御手段は、所定データレートに対応する、受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される受信信号の強度とに基づき、第2通信手段が送信する信号の強度を決定する。
【0015】
この発明の他の局面に従う通信端末は、第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、を備え、第1通信手段は、通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前第1信号により送信するための第1送信手段を含み、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度を取得し、所定データレートと取得される受信信号の強度とを用いて、第2通信手段が送信する信号の強度を決定するための制御手段、をさらに備える。
【0016】
好ましくは、制御手段は、所定データレートに対応する、受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される受信信号の強度とに基づき、第2通信手段が送信する信号の強度を決定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異なる周波数に従う無線通信において通信品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る携帯電話機の構成図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図3】本実施の形態に係る携帯電話機の無線系のブロック構成図である。
【図4】図3の制御部の機能構成図である。
【図5】本実施の形態に係るフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る無線LANの受信レベルの検出箇所を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る無線LANのデータレートの所要CNの関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係るCDMA送信出力レベルの検出箇所と3倍波の発生箇所を示す図である。
【図9】本実施の形態に係るCDMA基本波と3倍波の関係を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る無線LANのデータレートの計算結果のテーブルを示す図である。
【図11】本実施の形態に係る選択可能な無線LANのデータレートのテーブルを示す図である。
【図12】他の実施の形態に係る携帯電話機の無線系のブロック構成図である。
【図13】図12の制御部の機能構成図である。
【図14】他の実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、通信端末として移動体端末の1例である携帯電話機を示すが、携帯電話機に限定されない。また、通信端末は、移動体端末に限定されず、移動しない固定端末に適用されてもよい。
【0020】
また、実施の形態では、CDMA通信と無線LAN通信を並行して、または同時に行う通信端末に適用する場合を説明するが、無線通信は、LAN無線通信およびCDMA通信に限定されるものではない。
【0021】
また、CDMAの規格では送信周波数と受信周波数が異なるので(送信帯域が815〜830MHzの場合は、目安として、受信周波数は送信周波数+55MHzである)、無線LANの受信信号の帯域に3倍波の帯域が重なることはなく、干渉が生じることはない。したがって、実施の形態では、CDMA送信信号による電波が、無線LANの送信信号に干渉する場合を想定して説明する。
【0022】
図1には本実施の形態に係る携帯電話機の構成が示され、図2には携帯電話機の外観が示される。
【0023】
図2を参照して、携帯電話機は正面において、画像などの各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)7、外部から操作可能なように設けられている数字キーなどの複数のキーからなる入力部8、通話のための音声を入出力をするマイク54およびスピーカ55を含む。入力部8はCDMA通信の開始/終了を指示するために操作されるキー51と無線LAN通信の開始/終了を指示するために操作されるキー52を含む。
【0024】
図1を参照して携帯電話機は各部を集中的に制御および管理するためのCPU(Central Processing Unit)1、各種データおよびプログラムが格納されるメモリ2、画像データDi(i=1、2、3・・・、n)を一時的に格納するためのメモリ40を内蔵するカメラコントローラ4、カメラコントローラ4により制御されて、被写体を撮影し、撮影結果得られた被写体の画像データDiを出力するカメラ部5、LCDコントローラ6、LCDコントローラ6により制御されるLCD7、入力部8、無線通信のための無線系9およびアンテナ110,210、各部に電源を供給するためのシステム電源11、マイク54およびスピーカ55と音声の入出力を行うI/F(インターフェイス)回路12を含む。
【0025】
無線系9は、符号化/復号化機能を有する。符号化/復号化機能により、アンテナ110,210を介して送受信するデジタル信号について送信可能なように符号化する機能と受信したデジタル信号について内部で処理可能なように復号する機能とを有する。カメラコントローラ4はカメラ部5により撮像して逐次出力される画像データDiを入力してメモリ40に一時的に格納する。一時的に格納される画像データDiは入力部8のキー操作に従う指示に応答して、メモリ40を経由しメモリ2に最終的に保存される。
【0026】
ここでは、説明を簡単にするための、メモリ2に格納された画像データを含む各種のデータは、無線LANまたはCDMA通信に従って外部に送信され、また、無線LANまたはCDMA通信に従って外部から受信したデジタル信号に従うデータは、メモリ2に格納され、またはLCD7に表示されると想定する。また、マイク54から入力した音声はCDMA通信に従って外部装置に送信されるとともに、CDMA通信に従って外部装置から受信した音声信号は、スピーカ55から出力されると想定する。
【0027】
本実施の形態では無線LANは、IEEE802.11gの規格に従うと想定するが、適用される規格はこれに限定されない。
【0028】
図3には、本実施の形態に係る携帯電話機の無線系9のブロック構成が示される。図3を参照して無線系9は、中心周波数2412MHzから2472MHzの信号で通信する無線LAN通信部100と、CDMA通信部200を含む。図3では、無線LAN通信部100とCDMA通信部200の動作を制御するための制御部300が示される。制御部300については後述する。
【0029】
図3では、アンテナ110と210は、所定距離だけ隔てて配置されることにより、両アンテナ間では所定量のアイソレーション330(単位:dB)が確保される。
【0030】
無線LAN通信部100は、アンテナ110、フィルタ120、スイッチ130、送信増幅器140、変復調回路150、ベースバンド回路160および受信増幅器170を含む。
【0031】
アンテナ110は無線通信のための空中線である。フィルタ120は無線LANの周波数帯域以外の信号を除去する。スイッチ130はフィルタ120に接続される端子と、送信増幅器140に接続される端子と、受信増幅器170に接続される端子とを有する。スイッチ130は、送信時には、フィルタ120側の端子と送信増幅器140側の端子とを接続し、送信増幅器140からの信号がフィルタ120に与えられるように、また、受信時には、フィルタ120側の端子と受信増幅器170側の端子とを接続し、フィルタ120からの信号が受信増幅器170に与えられるように動作する。スイッチ130の端子の接続切替の動作は、CPU1により制御される。
【0032】
送信増幅器140は、変復調回路150から入力した変調信号を増幅して出力する。受信増幅器170はスイッチ130を介してフィルタ120から入力した受信信号を増幅して、変復調回路150に出力する。
【0033】
変復調回路150はベースバンド回路160から入力する符号化されたデジタル信号で搬送波信号を変調して、変調後の信号を送信増幅器140に出力し、また、受信増幅器170から入力する受信信号を復調して、ベースバンド回路160に出力する。
【0034】
ベースバンド回路160は変調前および復調後の信号を処理する。ベースバンド回路160は、復号回路162と符号化回路161を含む。符号化回路161は、CPU1から入力するデータ(アナログ信号)を、所定のデータレートに従って符号化する。符号化による得られたビットパターンを変復調回路150に出力する。また、ベースバンド回路160は変復調回路150から受信する復調後のデジタル信号(ビットパターン)を復号して、復号後の信号を出力する。なお、符号化回路161には、後述するデータレート信号320により、符号化のための所定のデータレートが与えられる。ここで、データレートは、情報の伝送速度、すなわち単位時間あたりに伝送可能な情報量を指す。
【0035】
CDMA通信部200は、アンテナ210、スイッチ220、基本波の送信周波数として815MHzから830MHzを使用する800MHz帯域通信部221、および2GHz帯域通信部222を含む。
【0036】
アンテナ210は無線通信のための空中線である。スイッチ220はアンテナ210を接続する端子と、800MHz帯域通信部221を接続する端子と、2GHz帯域通信部222を接続する端子とを含む。スイッチ220は、使用する周波数帯域に従って、アンテナ210側の端子に、800MHz帯域通信部221側の端子および2GHz帯域通信部222側の端子の一方を接続する。なお、使用する周波数帯域は、CPU1から指示されて、スイッチ220の端子切替動作は、CPU1により制御される。
【0037】
800MHz帯域通信部221は、デュプレクサ230、送信増幅器240、フィルタ250、変復調回路260、ベースバンド回路270、受信増幅器280およびフィルタ290を含む。ベースバンド回路270は、後述する値f0に従う周期で発振することにより基本波信号(以下、基本波という)を出力する発振器272を有する。ベースバンド回路270は変調前および復調後の信号を処理する。
【0038】
デュプレクサ230は、入力する信号をCDMAに従う送信周波数と受信周波数に基づき処理する。具体的には、スイッチ220を介し入力する信号はフィルタ290に出力し、送信増幅器240から入力する信号はスイッチ220に出力する。
【0039】
送信増幅器240はフィルタ250からの信号を増幅してデュプレクサ230に出力する。フィルタ250は変復調回路260からの変調後の信号を入力し、入力信号からCDMAの送信周波数帯域以外の信号成分を除去して送信増幅器240に出力する。
【0040】
変復調回路260は、ベースバンド回路270からの基本波を送信するべきデジタル信号で変調して、変調後の信号をフィルタ250に出力し、また、受信増幅器280からの信号を復調して、ベースバンド回路270に出力する。
【0041】
受信増幅器280は、フィルタ290からの受信信号を増幅して、変復調回路260に出力する。フィルタ290はデュプレクサ230からの受信信号から、CDMAの受信周波数帯域以外の信号成分を除去して、受信増幅器280に出力する。
【0042】
2GHz帯域通信部222は、送受信するべき信号の周波数帯域が異なるが800MHz帯域通信部221と同様の内部構成と機能を備えるので、ここでは2GHz帯域通信部222の内部構成の図示と説明を略す。
【0043】
図4を参照して制御部300は、受信レベル検知信号310に基づき、無線LANの受信信号の強度(以下、RSSI(Received Signal Strength Indicator)値(単位:dBm)という)を取得するRSSI取得部10A、送信出力検知信号350が指す電圧に基づき所定換算式によりCDMA基本波の送信信号の強度(dBm)を取得するCDMA送信出力取得部10B、無線LANのデータレートを決定して、決定したデータレートを示すデータレート信号320を出力するデータレート選択部10Cを含む。RSSI取得部10Aは、受信レベル検知信号310が示すアンテナ110の出力電圧と所定のアンテナファクタを用いてRSSI値を算出する。
【0044】
制御部300の各部はCPU1が実行するプログラムまたは回路モジュールに相当する。プログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1が当該プログラムをメモリ2から読出し、実行することにより各部の機能が実現される。図4では、CPU1の周辺回路として受信レベル検知信号310および送信出力検知信号350などの信号を入力してCPU1に出力するための入力I/F(interface)4、データレート信号320などのCPU1からの信号を出力するための出力I/F(interface)5およびメモリ2が示される。メモリ2には、後述するテーブル600が格納される。図5には、当該プログラムに従う処理のフローチャートが示される。
【0045】
図6に示すように、アンテナ110の出力端であるアンテナ端180には電圧検出回路(図示せず)が接続されて、電圧検出回路はアンテナ110から出力される電圧を検出して、検出する出力電圧の値を指す受信レベル検知信号310を出力する。したがって、受信レベル検知信号310によりRSSI値が指示される。本実施の形態では、無線LANの受信信号の強さ(RSSI値)を計測するポインをアンテナ端180としているが、この箇所に限定されるものではない。
【0046】
図7には使用する無線LANのデータレートXと所要CN(Carrier to Noise ratio)値(単位:dB)との関係の一例が示される。CN値は、無線LANの受信信号の成分に占めるノイズの割合を指す。無線LANのIEEE802.11gの規格によれば、6Mbps(Megabit Per Second)、9MHz/bps、12MHz/bps、18MHz/bps、24MHz/bps、36MHz/bps、48MHz/bps、54MHz/bpsのいずれかのデータレートを選択して使用する。
【0047】
データレートXを大きくするためにはCN値を大きくする必要がある。たとえば図7のグラフのような関係となる。図7において所要CNをデータレートXの関数として表すと、近似式はCN=0.38X−0.45(式1)となる。所要のCN値(単位:dB)は、アンテナ端180での値として規定する。
【0048】
図8を参照して、3倍波の発生について説明する。図8では、送信増幅器240の出力端292には、送信増幅器240が出力する基本波の信号の強度である基本波送信出力(単位:dBm)を検出するための検出器(図示せず)が接続される。検出器は、出力端292の電圧を検出し、送信出力検知信号350として出力する。
【0049】
一般にCDMAの送信信号に関する値は、送信増幅器240の出力端292で検知し、検知した値をアンテナ端291までのロスの値を用いて補正することにより、アンテナ端291におけるCDMAの送信信号に関する値として取得する。なぜなら、アンテナ端291で直接送信信号に関する値を検知する場合には、当該検知によって送信信号にロスが発生し、受信側装置で受信感度が低下するからである。したがって、本実施の形態でも、当該補正を行った後の値を、アンテナ端291での基本波送信出力として導出する。なお、当該補正量は、予め検出器に与えられていると想定する。
【0050】
ここで、CDMA通信のために使用される送信信号に関して、基本波の信号強度を指す値fo(単位:dBm)と、基本波の周波数の3倍の周波数を有する3倍波の信号強度を指す値3f0(単位:dBm)を想定する。基本波の値f0はアンテナ端291で検出され、3倍波の値3f0はアンテナ端180で検出される。
【0051】
図8では、CDMA送信信号の3倍波が発生する個所が示される。CDMA送信信号の3倍波は、スイッチ220の回路特性により、スイッチ220に入力する送信信号が歪む(すなわち、高周波信号成分が送信信号に混入する)ことによって発生する。3倍波の信号はアンテナ210から放射される。この3倍波の信号は、アイソレーション330によって十分に減衰させることができない場合には、無線LAN通信部100のアンテナ110により受信される。このような干渉により、無線LANの受信信号に3倍波に起因した雑音が混じる。
【0052】
上述の干渉を防止するために、本実施の形態では、制御部300は、CDMAの基本波の信号強度に応じて、無線LANの送信信号に係るデータレートを可変に変更する。
【0053】
データレートを可変に変更するために、本実施の形態では、予め、無線LANのアンテナ110が受信し得る3倍波の値3f0を測定する。たとえば、アンテナ端291における基本波の値f0と3倍波の値3f0の関係を測定するとともに、アイソレーション330の値(単位:dB)を測定する。そして、測定した値により、基本波の値f0とアンテナ端180での3倍波の値3f0の値の関係を取得する。この関係の取得について説明する。
【0054】
図9には、本実施の形態に係る基本波の値f0と3倍波の値3f0の関係が例示される。図9を参照して、3倍波の値3f0を、基本波の値f0の関数f(f0)で近似すると、3f0=f(f0)=2.5f0−112.5(式2)となる。
【0055】
ところで、この3倍波による干渉を考慮した場合、無線LANのアンテナ端180で取得されるCN値は、RSSI値から3倍波の値3f0を引いた結果に等しい。つまり、CN=RSSI−3f0(式3)と算出される。
【0056】
発明者らは、上述の(式1)〜(式3)に基づき、無線LANデータレートXをRSSIと値f0の関数として表すと、X=(RSSI−2.5f0+112.95)/0.38(式4)が得られるとの知見を得た。図10のテーブル500には、たとえばRSSIが−80(dBm)から−50(dBm)且つ値f0が0から25(dBm)の場合における、当該関数の(式4)を用いて算出したデータレートXの値が示される。
【0057】
図11のテーブル600には、図10のテーブル500のデータに基づいて、使用可能な無線LANのデータレートの上限値が示される。テーブル600には、RSSI値と、値f0との複数個の組のそれぞれに関連付けて、対応するデータレートXの値が格納される。テーブル600の各組に対応のデータレートXの値は、データレートXが6、9、12、18、24、36、48、54(Mbps)の値の中から、図10のテーブル500の当該組に対応する値よりも小さく、且つ当該値に最も近いものが選択されて決定される。
【0058】
たとえば、RSSIが−65(dBm)の場合に、値f0が0(dBm)のときは、使用可能な無線LANのデータレートは54(Mbps)と決定され、値f0が15(dBm)のときは使用可能な無線LANのデータレートは24(Mbps)と決定され、値f0が20(dBm)のときは使用可能な無線LANのデータレートは存在しないことになる。本実施の形態では、テーブル600は、予め作成されてメモリ2に格納される。
【0059】
図5のフローチャートを参照しながら、動作について説明する。ここでは、携帯電話機は無線LANによる通信をしている状態であると想定する。まず、CPU1は、入力部8が受付けた操作に基づきCDMA通信に従う送信の開始が指示されたか否かを判定する。この指示は、ユーザがキー51を操作することにより受付けられる。CPU1は、入力部8からCDMA送信開始の指示を受付けた旨の信号を入力すると(ステップS1でYES)、RSSI取得部10AによりRSSI値が取得され(ステップS3)、CDMA送信出力取得部10Bにより値f0が取得され(ステップS5)、データレート選択部10Cは、取得されたRSSI値と値f0とに基づき、メモリ2のテーブル600を検索し、無線LANのデータレートを決定し(ステップS7)、処理を終了する。検索により、これら値に関連付けられているデータレートXの値がテーブル600から読出されて、読出された値は、データレート信号320としてベースバンド回路160に出力される。ベースバンド回路160の符号化回路161は、データレート信号320が指示するデータレートに基づき符号化処理する。これにより、取得されたRSSI値と値f0とに従う速度でデータが送信される。
【0060】
図5では、CDMA送信が開始されるときにデータレートXを決定するとしているが、CDMA送信とLAN通信とが行なわれる期間は、繰返しデータレートXを取得するようにしてもよい。
【0061】
このような制御によれば、CDMA送信出力に応じてその3倍波の出力は変化し、無線LANへの干渉の影響の程度も異なる。それに応じて使用する無線LANのデータレートを調整することにより、無線LAN通信の通信品質を確保できる。
【0062】
(他の実施の形態)
図12には、他の実施の形態による無線系9のブロック構成が示される。図12の構成と、図3の構成とを比較して異なる点は、制御部300に代替して制御部400を備える点と、ベースバンド回路270に代替してベースバンド回路271を備える点にある。図12の他の構成は、図3に示す構成と同様である。
【0063】
図13には、制御部400の機能構成の一例が示される。図13を参照して制御部400は、図4に示したRSSI取得部10AおよびCDMA送信出力取得部10B、データレート選択部10D、CDMA送信出力選択部10Eを含む。データレート選択部10Dは、データレート選択部10Cと同様に無線LANのデータレートを決定して、決定したデータレートをデータレート信号320として出力する機能と、CPU1により指定された(ユーザが入力部8を操作して指定した)データレートをデータレート信号320として出力する機能とを備える。CDMA送信出力選択部10Eは、この指定されたデータレートと、取得されたRSSI値とに基づきテーブル600を検索する。検索により、これら値に関連付けられた値f0をテーブル600から読出し、読出した値f0を送信出力信号340として、ベースバンド回路271に出力する。ベースバンド回路271の発振器272は、送信出力信号340が指示する値f0の振幅を有する基本波を出力する。
【0064】
これらの各部はCPU1が実行するプログラムまたは回路モジュールに相当する。プログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1が当該プログラムを読出し、実行することにより各部の機能が実現される。図14には、当該プログラムに従う処理のフローチャートが示される。
【0065】
図13では、CPU1は、入力I/F4を介して、受信レベル検知信号310および送信出力検知信号350などの信号を入力し、また、CPU1からのデータレート信号320および送信出力信号340などの信号は出力I/F5を介して出力される。
【0066】
CDMA送信出力選択部10Eは、RSSI取得部10Aにより無線LANの受信レベル(RSSI)が−65(dBm)と取得される場合に、CPU1によって無線LANのデータレートXが24(Mbps)と指定されるときには、テーブル600から読出される値f0は15dBmを指示し、また、データレートが54(Mbps)と指定されるときには、読出される値f0は10dBm,5dBmおよび0dBmのいずれかとなる。
【0067】
図14のフローチャートを参照しながら、動作について説明する。ここでは、携帯電話機は無線LANによる通信をしている状態であると想定する。まず、CPU1は、入力部8からCDMA送信開始の指示を受付けた旨の信号を入力すると(ステップS1でYES)、データレート選択部10CはCPU1から与えられるデータレートXを入力し(ステップS9)、RSSI取得部10AはRSSI値を取得し(ステップS11)、CDMA送信出力選択部10Eは、これら取得された値に基づきテーブル600を検索し、対応の値f0を読出し(ステップS13)、処理を終了する。検索により、読出された値f0は、送信出力信号340としてベースバンド回路271に出力される。ベースバンド回路271の発振器272は、送信出力信号340が指示する値f0に従う振幅の基本波を出力する。
【0068】
図13では、CDMA送信が開始されるときに値f0を決定するとしているが、CDMA送信とLAN通信とが行なわれる期間は、繰返し値f0を取得するようにしてもよい。
【0069】
このような制御によれば、携帯電話機がCDMA信号を送信する場合において、送信出力に応じて干渉を回避できるような最適な無線LANのデータレートに設定することで、高い通信品質を奏する無線LANの通信が可能となる。
【0070】
このような制御によれば、所望の無線LANのデータレートが使用される場合に、CDMA信号の基本波の送信出力レベルを選択的に切替えることができるから、上述した干渉の影響を回避し、無線LANの通信品質の低下を防止できる。
【0071】
なお、図3に示した機能を有する携帯電話機に、他の実施の形態に説明した機能も搭載するようにしてよい。その場合には、選択的に一方の機能を能動化して利用する。
【0072】
上述の各実施の形態では、テーブル600を検索することにより無線LANのデータレートXおよびCDMA通信の基本波の値f0を取得(決定)したが、テーブル600の検索によらず、上述した一連の算出式を用いて算出することで取得(決定)するようにしてもよい。
【0073】
上述の各実施の形態は、CDMA基本波の送信周波数が815MHzから830MHzである場合に有効であるが、この周波数に限定されるものではない。また、上述の実施の形態では、CDMA基本波の3倍波の周波数が、無線LANの周波数と重複する場合を想定したが、重複する周波数は無線信号の規格によるので、3倍に限定されず整数倍(逓倍)を想定してよい。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
8 入力部、9 無線系、10A RSSI取得部、10B CDMA送信出力取得部、10C,10D データレート選択部、10E 送信出力選択部、110,210 アンテナ、160,270,271 ベースバンド回路、161 符号化回路、162 復号回路、180,291 アンテナ端、272 発振器、292 出力端、300,400 制御部、310 受信レベル検知信号、320 データレート信号、330 アイソレーション、340 送信出力信号、350 送信出力検知信号、500,600 テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末に関し、特に、異なる通信規格に従う無線通信機能を有する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式に従った音声通信およびデータ通信の機能を備える携帯通信端末において、無線LAN(Local Area Network)通信機能を搭載したものが普及している。無線LANのチャンネルおよび周波数は、我が国の場合1チャンネルから13チャンネルでその中心周波数は2412MHzから2472MHzである。
【0003】
しかしながら、我が国において、2012年7月の周波数再編により、CDMA方式の携帯通信端末は送信周波数として815MHzから830MHzを使用する事が予定されている。この場合、CDMA送信周波数の3倍の周波数は2445MHzから2490MHzとなり、無線LANの周波数と重複することとなる。
【0004】
したがって、携帯通信端末がCDMA信号を送信した場合に、その3倍波が無線LANの周波数帯域においてはノイズとなり電波の干渉(以下、単に干渉という)を引き起こす。干渉により、無線LANの受信感度は低下し、無線LANによる通信は困難となり、無線LAN通信の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0005】
干渉などによる影響を考慮して、無線LANによる通信の信頼性を高めるために、たとえば非特許文献1によれば、送受信結果の履歴から使用可能なデータレートを推定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE 802.11 無線LANにおけるレートスイッチングアルゴリズム 電気学会論文誌C 124巻1号 2004年 33〜40ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1の方法によれば、データレートを適宜に更新することが可能となるので、送受信局間の通信品質が、端末装置の移動、フェージングおよびシャドーイングといった通信中の環境変化により変動するのを防止できる。
【0008】
しかしながら、端末装置の移動、フェージングおよびシャドーイングといった通信中の環境変化による通信品質の変動は、緩やかで連続的なものであるため、非特許文献1の方法は、携帯通信端末が突如CDMA信号の送信を開始した場合の通信品質の急激な変化には対応できない。
【0009】
それゆえに、本発明の目的は、異なる周波数に従う無線通信において通信品質を維持することができる通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う通信端末は、第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度および前第2通信手段による送信信号の強度を取得し、受信信号および前送信信号の取得される各強度を用いて、第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、第1通信手段は、データレートに従って処理された情報を、第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む。
【0011】
好ましくは、制御手段は、取得する受信信号および送信信号の各強度に基づく、当該受信信号の成分に占めるノイズの割合から、データレートを決定する。
【0012】
好ましくは、第2周波数の整数倍周波数の帯域は、第1周波数の帯域に重複し、制御手段は、第2周波数の整数倍周波数を有する信号の強度を、送信信号の強度として取得する倍波強度取得手段を、含む。
【0013】
好ましくは、第1通信手段は、所定データレートに従って処理された情報を、第1信号により送信するための第2送信手段を含み、制御手段は、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度を取得し、所定のデータレートと取得される受信信号の強度とを用いて、第2通信手段による送信信号の強度を決定する。
【0014】
好ましくは、制御手段は、所定データレートに対応する、受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される受信信号の強度とに基づき、第2通信手段が送信する信号の強度を決定する。
【0015】
この発明の他の局面に従う通信端末は、第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、を備え、第1通信手段は、通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前第1信号により送信するための第1送信手段を含み、第1および第2通信手段による通信時に第1通信手段による受信信号の強度を取得し、所定データレートと取得される受信信号の強度とを用いて、第2通信手段が送信する信号の強度を決定するための制御手段、をさらに備える。
【0016】
好ましくは、制御手段は、所定データレートに対応する、受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される受信信号の強度とに基づき、第2通信手段が送信する信号の強度を決定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異なる周波数に従う無線通信において通信品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る携帯電話機の構成図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図3】本実施の形態に係る携帯電話機の無線系のブロック構成図である。
【図4】図3の制御部の機能構成図である。
【図5】本実施の形態に係るフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る無線LANの受信レベルの検出箇所を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る無線LANのデータレートの所要CNの関係を示す図である。
【図8】本実施の形態に係るCDMA送信出力レベルの検出箇所と3倍波の発生箇所を示す図である。
【図9】本実施の形態に係るCDMA基本波と3倍波の関係を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る無線LANのデータレートの計算結果のテーブルを示す図である。
【図11】本実施の形態に係る選択可能な無線LANのデータレートのテーブルを示す図である。
【図12】他の実施の形態に係る携帯電話機の無線系のブロック構成図である。
【図13】図12の制御部の機能構成図である。
【図14】他の実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、通信端末として移動体端末の1例である携帯電話機を示すが、携帯電話機に限定されない。また、通信端末は、移動体端末に限定されず、移動しない固定端末に適用されてもよい。
【0020】
また、実施の形態では、CDMA通信と無線LAN通信を並行して、または同時に行う通信端末に適用する場合を説明するが、無線通信は、LAN無線通信およびCDMA通信に限定されるものではない。
【0021】
また、CDMAの規格では送信周波数と受信周波数が異なるので(送信帯域が815〜830MHzの場合は、目安として、受信周波数は送信周波数+55MHzである)、無線LANの受信信号の帯域に3倍波の帯域が重なることはなく、干渉が生じることはない。したがって、実施の形態では、CDMA送信信号による電波が、無線LANの送信信号に干渉する場合を想定して説明する。
【0022】
図1には本実施の形態に係る携帯電話機の構成が示され、図2には携帯電話機の外観が示される。
【0023】
図2を参照して、携帯電話機は正面において、画像などの各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)7、外部から操作可能なように設けられている数字キーなどの複数のキーからなる入力部8、通話のための音声を入出力をするマイク54およびスピーカ55を含む。入力部8はCDMA通信の開始/終了を指示するために操作されるキー51と無線LAN通信の開始/終了を指示するために操作されるキー52を含む。
【0024】
図1を参照して携帯電話機は各部を集中的に制御および管理するためのCPU(Central Processing Unit)1、各種データおよびプログラムが格納されるメモリ2、画像データDi(i=1、2、3・・・、n)を一時的に格納するためのメモリ40を内蔵するカメラコントローラ4、カメラコントローラ4により制御されて、被写体を撮影し、撮影結果得られた被写体の画像データDiを出力するカメラ部5、LCDコントローラ6、LCDコントローラ6により制御されるLCD7、入力部8、無線通信のための無線系9およびアンテナ110,210、各部に電源を供給するためのシステム電源11、マイク54およびスピーカ55と音声の入出力を行うI/F(インターフェイス)回路12を含む。
【0025】
無線系9は、符号化/復号化機能を有する。符号化/復号化機能により、アンテナ110,210を介して送受信するデジタル信号について送信可能なように符号化する機能と受信したデジタル信号について内部で処理可能なように復号する機能とを有する。カメラコントローラ4はカメラ部5により撮像して逐次出力される画像データDiを入力してメモリ40に一時的に格納する。一時的に格納される画像データDiは入力部8のキー操作に従う指示に応答して、メモリ40を経由しメモリ2に最終的に保存される。
【0026】
ここでは、説明を簡単にするための、メモリ2に格納された画像データを含む各種のデータは、無線LANまたはCDMA通信に従って外部に送信され、また、無線LANまたはCDMA通信に従って外部から受信したデジタル信号に従うデータは、メモリ2に格納され、またはLCD7に表示されると想定する。また、マイク54から入力した音声はCDMA通信に従って外部装置に送信されるとともに、CDMA通信に従って外部装置から受信した音声信号は、スピーカ55から出力されると想定する。
【0027】
本実施の形態では無線LANは、IEEE802.11gの規格に従うと想定するが、適用される規格はこれに限定されない。
【0028】
図3には、本実施の形態に係る携帯電話機の無線系9のブロック構成が示される。図3を参照して無線系9は、中心周波数2412MHzから2472MHzの信号で通信する無線LAN通信部100と、CDMA通信部200を含む。図3では、無線LAN通信部100とCDMA通信部200の動作を制御するための制御部300が示される。制御部300については後述する。
【0029】
図3では、アンテナ110と210は、所定距離だけ隔てて配置されることにより、両アンテナ間では所定量のアイソレーション330(単位:dB)が確保される。
【0030】
無線LAN通信部100は、アンテナ110、フィルタ120、スイッチ130、送信増幅器140、変復調回路150、ベースバンド回路160および受信増幅器170を含む。
【0031】
アンテナ110は無線通信のための空中線である。フィルタ120は無線LANの周波数帯域以外の信号を除去する。スイッチ130はフィルタ120に接続される端子と、送信増幅器140に接続される端子と、受信増幅器170に接続される端子とを有する。スイッチ130は、送信時には、フィルタ120側の端子と送信増幅器140側の端子とを接続し、送信増幅器140からの信号がフィルタ120に与えられるように、また、受信時には、フィルタ120側の端子と受信増幅器170側の端子とを接続し、フィルタ120からの信号が受信増幅器170に与えられるように動作する。スイッチ130の端子の接続切替の動作は、CPU1により制御される。
【0032】
送信増幅器140は、変復調回路150から入力した変調信号を増幅して出力する。受信増幅器170はスイッチ130を介してフィルタ120から入力した受信信号を増幅して、変復調回路150に出力する。
【0033】
変復調回路150はベースバンド回路160から入力する符号化されたデジタル信号で搬送波信号を変調して、変調後の信号を送信増幅器140に出力し、また、受信増幅器170から入力する受信信号を復調して、ベースバンド回路160に出力する。
【0034】
ベースバンド回路160は変調前および復調後の信号を処理する。ベースバンド回路160は、復号回路162と符号化回路161を含む。符号化回路161は、CPU1から入力するデータ(アナログ信号)を、所定のデータレートに従って符号化する。符号化による得られたビットパターンを変復調回路150に出力する。また、ベースバンド回路160は変復調回路150から受信する復調後のデジタル信号(ビットパターン)を復号して、復号後の信号を出力する。なお、符号化回路161には、後述するデータレート信号320により、符号化のための所定のデータレートが与えられる。ここで、データレートは、情報の伝送速度、すなわち単位時間あたりに伝送可能な情報量を指す。
【0035】
CDMA通信部200は、アンテナ210、スイッチ220、基本波の送信周波数として815MHzから830MHzを使用する800MHz帯域通信部221、および2GHz帯域通信部222を含む。
【0036】
アンテナ210は無線通信のための空中線である。スイッチ220はアンテナ210を接続する端子と、800MHz帯域通信部221を接続する端子と、2GHz帯域通信部222を接続する端子とを含む。スイッチ220は、使用する周波数帯域に従って、アンテナ210側の端子に、800MHz帯域通信部221側の端子および2GHz帯域通信部222側の端子の一方を接続する。なお、使用する周波数帯域は、CPU1から指示されて、スイッチ220の端子切替動作は、CPU1により制御される。
【0037】
800MHz帯域通信部221は、デュプレクサ230、送信増幅器240、フィルタ250、変復調回路260、ベースバンド回路270、受信増幅器280およびフィルタ290を含む。ベースバンド回路270は、後述する値f0に従う周期で発振することにより基本波信号(以下、基本波という)を出力する発振器272を有する。ベースバンド回路270は変調前および復調後の信号を処理する。
【0038】
デュプレクサ230は、入力する信号をCDMAに従う送信周波数と受信周波数に基づき処理する。具体的には、スイッチ220を介し入力する信号はフィルタ290に出力し、送信増幅器240から入力する信号はスイッチ220に出力する。
【0039】
送信増幅器240はフィルタ250からの信号を増幅してデュプレクサ230に出力する。フィルタ250は変復調回路260からの変調後の信号を入力し、入力信号からCDMAの送信周波数帯域以外の信号成分を除去して送信増幅器240に出力する。
【0040】
変復調回路260は、ベースバンド回路270からの基本波を送信するべきデジタル信号で変調して、変調後の信号をフィルタ250に出力し、また、受信増幅器280からの信号を復調して、ベースバンド回路270に出力する。
【0041】
受信増幅器280は、フィルタ290からの受信信号を増幅して、変復調回路260に出力する。フィルタ290はデュプレクサ230からの受信信号から、CDMAの受信周波数帯域以外の信号成分を除去して、受信増幅器280に出力する。
【0042】
2GHz帯域通信部222は、送受信するべき信号の周波数帯域が異なるが800MHz帯域通信部221と同様の内部構成と機能を備えるので、ここでは2GHz帯域通信部222の内部構成の図示と説明を略す。
【0043】
図4を参照して制御部300は、受信レベル検知信号310に基づき、無線LANの受信信号の強度(以下、RSSI(Received Signal Strength Indicator)値(単位:dBm)という)を取得するRSSI取得部10A、送信出力検知信号350が指す電圧に基づき所定換算式によりCDMA基本波の送信信号の強度(dBm)を取得するCDMA送信出力取得部10B、無線LANのデータレートを決定して、決定したデータレートを示すデータレート信号320を出力するデータレート選択部10Cを含む。RSSI取得部10Aは、受信レベル検知信号310が示すアンテナ110の出力電圧と所定のアンテナファクタを用いてRSSI値を算出する。
【0044】
制御部300の各部はCPU1が実行するプログラムまたは回路モジュールに相当する。プログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1が当該プログラムをメモリ2から読出し、実行することにより各部の機能が実現される。図4では、CPU1の周辺回路として受信レベル検知信号310および送信出力検知信号350などの信号を入力してCPU1に出力するための入力I/F(interface)4、データレート信号320などのCPU1からの信号を出力するための出力I/F(interface)5およびメモリ2が示される。メモリ2には、後述するテーブル600が格納される。図5には、当該プログラムに従う処理のフローチャートが示される。
【0045】
図6に示すように、アンテナ110の出力端であるアンテナ端180には電圧検出回路(図示せず)が接続されて、電圧検出回路はアンテナ110から出力される電圧を検出して、検出する出力電圧の値を指す受信レベル検知信号310を出力する。したがって、受信レベル検知信号310によりRSSI値が指示される。本実施の形態では、無線LANの受信信号の強さ(RSSI値)を計測するポインをアンテナ端180としているが、この箇所に限定されるものではない。
【0046】
図7には使用する無線LANのデータレートXと所要CN(Carrier to Noise ratio)値(単位:dB)との関係の一例が示される。CN値は、無線LANの受信信号の成分に占めるノイズの割合を指す。無線LANのIEEE802.11gの規格によれば、6Mbps(Megabit Per Second)、9MHz/bps、12MHz/bps、18MHz/bps、24MHz/bps、36MHz/bps、48MHz/bps、54MHz/bpsのいずれかのデータレートを選択して使用する。
【0047】
データレートXを大きくするためにはCN値を大きくする必要がある。たとえば図7のグラフのような関係となる。図7において所要CNをデータレートXの関数として表すと、近似式はCN=0.38X−0.45(式1)となる。所要のCN値(単位:dB)は、アンテナ端180での値として規定する。
【0048】
図8を参照して、3倍波の発生について説明する。図8では、送信増幅器240の出力端292には、送信増幅器240が出力する基本波の信号の強度である基本波送信出力(単位:dBm)を検出するための検出器(図示せず)が接続される。検出器は、出力端292の電圧を検出し、送信出力検知信号350として出力する。
【0049】
一般にCDMAの送信信号に関する値は、送信増幅器240の出力端292で検知し、検知した値をアンテナ端291までのロスの値を用いて補正することにより、アンテナ端291におけるCDMAの送信信号に関する値として取得する。なぜなら、アンテナ端291で直接送信信号に関する値を検知する場合には、当該検知によって送信信号にロスが発生し、受信側装置で受信感度が低下するからである。したがって、本実施の形態でも、当該補正を行った後の値を、アンテナ端291での基本波送信出力として導出する。なお、当該補正量は、予め検出器に与えられていると想定する。
【0050】
ここで、CDMA通信のために使用される送信信号に関して、基本波の信号強度を指す値fo(単位:dBm)と、基本波の周波数の3倍の周波数を有する3倍波の信号強度を指す値3f0(単位:dBm)を想定する。基本波の値f0はアンテナ端291で検出され、3倍波の値3f0はアンテナ端180で検出される。
【0051】
図8では、CDMA送信信号の3倍波が発生する個所が示される。CDMA送信信号の3倍波は、スイッチ220の回路特性により、スイッチ220に入力する送信信号が歪む(すなわち、高周波信号成分が送信信号に混入する)ことによって発生する。3倍波の信号はアンテナ210から放射される。この3倍波の信号は、アイソレーション330によって十分に減衰させることができない場合には、無線LAN通信部100のアンテナ110により受信される。このような干渉により、無線LANの受信信号に3倍波に起因した雑音が混じる。
【0052】
上述の干渉を防止するために、本実施の形態では、制御部300は、CDMAの基本波の信号強度に応じて、無線LANの送信信号に係るデータレートを可変に変更する。
【0053】
データレートを可変に変更するために、本実施の形態では、予め、無線LANのアンテナ110が受信し得る3倍波の値3f0を測定する。たとえば、アンテナ端291における基本波の値f0と3倍波の値3f0の関係を測定するとともに、アイソレーション330の値(単位:dB)を測定する。そして、測定した値により、基本波の値f0とアンテナ端180での3倍波の値3f0の値の関係を取得する。この関係の取得について説明する。
【0054】
図9には、本実施の形態に係る基本波の値f0と3倍波の値3f0の関係が例示される。図9を参照して、3倍波の値3f0を、基本波の値f0の関数f(f0)で近似すると、3f0=f(f0)=2.5f0−112.5(式2)となる。
【0055】
ところで、この3倍波による干渉を考慮した場合、無線LANのアンテナ端180で取得されるCN値は、RSSI値から3倍波の値3f0を引いた結果に等しい。つまり、CN=RSSI−3f0(式3)と算出される。
【0056】
発明者らは、上述の(式1)〜(式3)に基づき、無線LANデータレートXをRSSIと値f0の関数として表すと、X=(RSSI−2.5f0+112.95)/0.38(式4)が得られるとの知見を得た。図10のテーブル500には、たとえばRSSIが−80(dBm)から−50(dBm)且つ値f0が0から25(dBm)の場合における、当該関数の(式4)を用いて算出したデータレートXの値が示される。
【0057】
図11のテーブル600には、図10のテーブル500のデータに基づいて、使用可能な無線LANのデータレートの上限値が示される。テーブル600には、RSSI値と、値f0との複数個の組のそれぞれに関連付けて、対応するデータレートXの値が格納される。テーブル600の各組に対応のデータレートXの値は、データレートXが6、9、12、18、24、36、48、54(Mbps)の値の中から、図10のテーブル500の当該組に対応する値よりも小さく、且つ当該値に最も近いものが選択されて決定される。
【0058】
たとえば、RSSIが−65(dBm)の場合に、値f0が0(dBm)のときは、使用可能な無線LANのデータレートは54(Mbps)と決定され、値f0が15(dBm)のときは使用可能な無線LANのデータレートは24(Mbps)と決定され、値f0が20(dBm)のときは使用可能な無線LANのデータレートは存在しないことになる。本実施の形態では、テーブル600は、予め作成されてメモリ2に格納される。
【0059】
図5のフローチャートを参照しながら、動作について説明する。ここでは、携帯電話機は無線LANによる通信をしている状態であると想定する。まず、CPU1は、入力部8が受付けた操作に基づきCDMA通信に従う送信の開始が指示されたか否かを判定する。この指示は、ユーザがキー51を操作することにより受付けられる。CPU1は、入力部8からCDMA送信開始の指示を受付けた旨の信号を入力すると(ステップS1でYES)、RSSI取得部10AによりRSSI値が取得され(ステップS3)、CDMA送信出力取得部10Bにより値f0が取得され(ステップS5)、データレート選択部10Cは、取得されたRSSI値と値f0とに基づき、メモリ2のテーブル600を検索し、無線LANのデータレートを決定し(ステップS7)、処理を終了する。検索により、これら値に関連付けられているデータレートXの値がテーブル600から読出されて、読出された値は、データレート信号320としてベースバンド回路160に出力される。ベースバンド回路160の符号化回路161は、データレート信号320が指示するデータレートに基づき符号化処理する。これにより、取得されたRSSI値と値f0とに従う速度でデータが送信される。
【0060】
図5では、CDMA送信が開始されるときにデータレートXを決定するとしているが、CDMA送信とLAN通信とが行なわれる期間は、繰返しデータレートXを取得するようにしてもよい。
【0061】
このような制御によれば、CDMA送信出力に応じてその3倍波の出力は変化し、無線LANへの干渉の影響の程度も異なる。それに応じて使用する無線LANのデータレートを調整することにより、無線LAN通信の通信品質を確保できる。
【0062】
(他の実施の形態)
図12には、他の実施の形態による無線系9のブロック構成が示される。図12の構成と、図3の構成とを比較して異なる点は、制御部300に代替して制御部400を備える点と、ベースバンド回路270に代替してベースバンド回路271を備える点にある。図12の他の構成は、図3に示す構成と同様である。
【0063】
図13には、制御部400の機能構成の一例が示される。図13を参照して制御部400は、図4に示したRSSI取得部10AおよびCDMA送信出力取得部10B、データレート選択部10D、CDMA送信出力選択部10Eを含む。データレート選択部10Dは、データレート選択部10Cと同様に無線LANのデータレートを決定して、決定したデータレートをデータレート信号320として出力する機能と、CPU1により指定された(ユーザが入力部8を操作して指定した)データレートをデータレート信号320として出力する機能とを備える。CDMA送信出力選択部10Eは、この指定されたデータレートと、取得されたRSSI値とに基づきテーブル600を検索する。検索により、これら値に関連付けられた値f0をテーブル600から読出し、読出した値f0を送信出力信号340として、ベースバンド回路271に出力する。ベースバンド回路271の発振器272は、送信出力信号340が指示する値f0の振幅を有する基本波を出力する。
【0064】
これらの各部はCPU1が実行するプログラムまたは回路モジュールに相当する。プログラムは、予めメモリ2に格納されており、CPU1が当該プログラムを読出し、実行することにより各部の機能が実現される。図14には、当該プログラムに従う処理のフローチャートが示される。
【0065】
図13では、CPU1は、入力I/F4を介して、受信レベル検知信号310および送信出力検知信号350などの信号を入力し、また、CPU1からのデータレート信号320および送信出力信号340などの信号は出力I/F5を介して出力される。
【0066】
CDMA送信出力選択部10Eは、RSSI取得部10Aにより無線LANの受信レベル(RSSI)が−65(dBm)と取得される場合に、CPU1によって無線LANのデータレートXが24(Mbps)と指定されるときには、テーブル600から読出される値f0は15dBmを指示し、また、データレートが54(Mbps)と指定されるときには、読出される値f0は10dBm,5dBmおよび0dBmのいずれかとなる。
【0067】
図14のフローチャートを参照しながら、動作について説明する。ここでは、携帯電話機は無線LANによる通信をしている状態であると想定する。まず、CPU1は、入力部8からCDMA送信開始の指示を受付けた旨の信号を入力すると(ステップS1でYES)、データレート選択部10CはCPU1から与えられるデータレートXを入力し(ステップS9)、RSSI取得部10AはRSSI値を取得し(ステップS11)、CDMA送信出力選択部10Eは、これら取得された値に基づきテーブル600を検索し、対応の値f0を読出し(ステップS13)、処理を終了する。検索により、読出された値f0は、送信出力信号340としてベースバンド回路271に出力される。ベースバンド回路271の発振器272は、送信出力信号340が指示する値f0に従う振幅の基本波を出力する。
【0068】
図13では、CDMA送信が開始されるときに値f0を決定するとしているが、CDMA送信とLAN通信とが行なわれる期間は、繰返し値f0を取得するようにしてもよい。
【0069】
このような制御によれば、携帯電話機がCDMA信号を送信する場合において、送信出力に応じて干渉を回避できるような最適な無線LANのデータレートに設定することで、高い通信品質を奏する無線LANの通信が可能となる。
【0070】
このような制御によれば、所望の無線LANのデータレートが使用される場合に、CDMA信号の基本波の送信出力レベルを選択的に切替えることができるから、上述した干渉の影響を回避し、無線LANの通信品質の低下を防止できる。
【0071】
なお、図3に示した機能を有する携帯電話機に、他の実施の形態に説明した機能も搭載するようにしてよい。その場合には、選択的に一方の機能を能動化して利用する。
【0072】
上述の各実施の形態では、テーブル600を検索することにより無線LANのデータレートXおよびCDMA通信の基本波の値f0を取得(決定)したが、テーブル600の検索によらず、上述した一連の算出式を用いて算出することで取得(決定)するようにしてもよい。
【0073】
上述の各実施の形態は、CDMA基本波の送信周波数が815MHzから830MHzである場合に有効であるが、この周波数に限定されるものではない。また、上述の実施の形態では、CDMA基本波の3倍波の周波数が、無線LANの周波数と重複する場合を想定したが、重複する周波数は無線信号の規格によるので、3倍に限定されず整数倍(逓倍)を想定してよい。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
8 入力部、9 無線系、10A RSSI取得部、10B CDMA送信出力取得部、10C,10D データレート選択部、10E 送信出力選択部、110,210 アンテナ、160,270,271 ベースバンド回路、161 符号化回路、162 復号回路、180,291 アンテナ端、272 発振器、292 出力端、300,400 制御部、310 受信レベル検知信号、320 データレート信号、330 アイソレーション、340 送信出力信号、350 送信出力検知信号、500,600 テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、
前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度および前記第2通信手段による送信信号の強度を取得し、前記受信信号および前記送信信号の取得される各強度を用いて、前記第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、
前記第1通信手段は、前記データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む、通信端末。
【請求項2】
前記制御手段は、
取得する前記受信信号および前記送信信号の各強度に基づく、当該受信信号の成分に占めるノイズの割合から、前記データレートを決定する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記第2周波数の整数倍周波数の帯域は、前記第1周波数の帯域に重複し、
前記制御手段は、
前記第2周波数の整数倍周波数を有する信号の強度を、前記送信信号の強度として取得する倍波強度取得手段を、含む、請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記第1通信手段は、所定データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するための第2送信手段を含み、
前記制御手段は、前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度を取得し、前記所定のデータレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2通信手段による送信信号の強度を決定する、請求項1から3のいずれかに記載の通信端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定データレートに対応する、前記受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される前記受信信号の強度とに基づき、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定する、請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、を備え、
前記第1通信手段は、通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前記第1信号により送信するための第1送信手段を含み、
前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度を取得し、前記所定データレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定するための制御手段、をさらに備える、通信端末。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記所定データレートに対応する、前記受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、
取得される割合と、取得される前記受信信号の強度とに基づき、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定する、請求項6に記載の通信端末。
【請求項8】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する第1信号により無線通信するステップと、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する第2信号により無線通信するステップと、
前記第1および第2アンテナを介した通信時に、受信される前記第1信号の強度および送信される前記第2信号の強度を取得し、前記第1および第2信号の取得される各強度を用いて、前記第1信号による通信のためのデータレートを決定するステップと、を備え、
前記第1信号により無線通信するステップは、前記データレートに従って処理された情報を、前記第1信号により送信するステップを含む、通信方法。
【請求項9】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するステップと、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するステップと、を備え、
前記第1周波数を有する信号により無線通信するステップは、
通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するステップを含み、
前記第1および第2周波数を有する信号の無線通信時に前記第1周波数を有する受信信号の強度を取得し、前記所定データレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2周波数を有する送信信号の強度を決定するステップを、さらに備える、通信方法。
【請求項1】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、
前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度および前記第2通信手段による送信信号の強度を取得し、前記受信信号および前記送信信号の取得される各強度を用いて、前記第1通信手段による通信のためのデータレートを決定するための制御手段と、を備え、
前記第1通信手段は、前記データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するための第1送信手段を含む、通信端末。
【請求項2】
前記制御手段は、
取得する前記受信信号および前記送信信号の各強度に基づく、当該受信信号の成分に占めるノイズの割合から、前記データレートを決定する、請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記第2周波数の整数倍周波数の帯域は、前記第1周波数の帯域に重複し、
前記制御手段は、
前記第2周波数の整数倍周波数を有する信号の強度を、前記送信信号の強度として取得する倍波強度取得手段を、含む、請求項1または2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記第1通信手段は、所定データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するための第2送信手段を含み、
前記制御手段は、前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度を取得し、前記所定のデータレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2通信手段による送信信号の強度を決定する、請求項1から3のいずれかに記載の通信端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定データレートに対応する、前記受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、取得される割合と、取得される前記受信信号の強度とに基づき、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定する、請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するための第1通信手段と、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するための第2通信手段と、を備え、
前記第1通信手段は、通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前記第1信号により送信するための第1送信手段を含み、
前記第1および第2通信手段による通信時に前記第1通信手段による受信信号の強度を取得し、前記所定データレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定するための制御手段、をさらに備える、通信端末。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記所定データレートに対応する、前記受信信号の成分に占める許容ノイズの割合を取得し、
取得される割合と、取得される前記受信信号の強度とに基づき、前記第2通信手段が送信する信号の強度を決定する、請求項6に記載の通信端末。
【請求項8】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する第1信号により無線通信するステップと、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する第2信号により無線通信するステップと、
前記第1および第2アンテナを介した通信時に、受信される前記第1信号の強度および送信される前記第2信号の強度を取得し、前記第1および第2信号の取得される各強度を用いて、前記第1信号による通信のためのデータレートを決定するステップと、を備え、
前記第1信号により無線通信するステップは、前記データレートに従って処理された情報を、前記第1信号により送信するステップを含む、通信方法。
【請求項9】
第1アンテナを介して、第1周波数を有する信号により無線通信するステップと、
第2アンテナを介して、第2周波数を有する信号により無線通信するステップと、を備え、
前記第1周波数を有する信号により無線通信するステップは、
通信のための所定データレートに従って処理された情報を、前記第1周波数を有する信号により送信するステップを含み、
前記第1および第2周波数を有する信号の無線通信時に前記第1周波数を有する受信信号の強度を取得し、前記所定データレートと取得される前記受信信号の強度とを用いて、前記第2周波数を有する送信信号の強度を決定するステップを、さらに備える、通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−129852(P2012−129852A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280426(P2010−280426)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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