説明

通信装置

【課題】聞き取り易い呼び出し音を出力することができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置10は、着信検出部24、マイク30、ノイズ解析部31、制御部21及びスピーカ32を備える。着信検出部24は、公衆回線51からの着信信号を検出する。マイク30はノイズを検出する。ノイズ解析部31は、検出されたノイズについて複数に区分された周波数の帯域毎のノイズレベルを解析して解析結果を出力する。制御部21は、予め設定された複数の周波数のうち解析結果に基づいてノイズレベルが最も小さい帯域に近いと判定された周波数を、着信信号の検出を知らせる呼び出し音の音情報として設定し、着信検出部24で着信信号を検出した際に音情報に基づく着呼コマンドを出力する。スピーカ32は、着呼コマンドに基づいて呼び出し音を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着信信号を検出した際に呼び出し音を出力する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置等の通信装置は、公衆回線からの着信信号を検出すると、着信信号を検出したことをユーザに知らせるために、呼び出し音を出力するのが一般的である。このような通信装置の中には、呼び出し音の音量を調整できるものがある。また、時間帯毎に音量を設定する技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、静かな時間帯には音量を下げ、ノイズが大きい時間帯には音量を上げるように設定することができる。
【特許文献1】特開平2−124663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、通信装置は、オフィスや工場等、様々な環境の中に配置されるものである。ノイズは、環境によって、音量のみではなく周波数も異なる。ノイズの音量が大きい環境下で呼び出し音の音量を上げたとしても、ノイズの周波数と呼び出し音の周波数とが近似していれば、呼び出し音がノイズと識別困難となり、呼び出し音はユーザにとって聞き取り難いものとなる。
【0004】
この発明の目的は、聞き取り易い呼び出し音を出力することができる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の通信装置は、着信検出部、ノイズ検出部、ノイズ解析部、制御部、及び出力部を備える。着信検出部は、公衆回線からの着信信号を検出する。ノイズ検出部は、ノイズを検出する。ノイズ解析部は、検出されたノイズについて複数に区分された周波数の帯域毎のノイズレベルを解析して解析結果を出力する。制御部は、予め設定された複数の周波数のうち解析結果に基づいてノイズレベルが最も小さい帯域に近いと判定された周波数を、着信信号の検出を知らせる呼び出し音の音情報として設定し、着信検出部で着信信号を検出した際に音情報に基づく着呼コマンドを出力する。出力部は、着呼コマンドに基づいて呼び出し音を出力する。
【0006】
この構成では、着信信号が検出された際に、ノイズレベルが最も小さい周波数の呼び出し音が出力される。このため、呼び出し音がノイズと識別されやすくなり、音量を抑えた場合でも呼び出し音がノイズにかき消されることなく、容易に聞き取られる。
【0007】
また、音情報は音量に関する情報をさらに含み、制御部は、最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベルが大きいほど大きい音量を音情報として設定するように構成されていてもよい。ノイズレベルが大きい場合は音量が大きく設定されるので、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0008】
さらに、音情報はケーデンスに関する情報をさらに含み、制御部は、予め設定された複数のケーデンスのうち、音情報として設定された音量が所定値以上の場合はオン時間が長いケーデンスほど優先し、音情報として設定された音量が所定値未満の場合はオン時間が短いケーデンスほど優先して音情報として設定するように構成されていてもよい。ノイズレベルが大きく、音量が大きく設定された場合は、オン時間が長いケーデンスに設定されるので、呼び出し音がより聞き取り易くなる。また、ノイズレベルが小さく、音量が小さく設定された場合は、オン時間が短いケーデンスに設定されるので、静けさが壊される不快感を抑えることができる。
【0009】
また、時間情報を出力するタイマをさらに備え、制御部は、予め設定された時期に、検出されたノイズについての解析結果に基づいて音情報を設定するように構成されていてもよい。ノイズに関する環境は、曜日や時間帯によって異なるのが一般的であるが、予め設定された時期に音情報を設定し直すことで、任意の時期の環境に応じて、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。また、複数の時期を設定しておくことで、複数の時期毎の環境に応じて、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0010】
さらに、制御部は、周波数、音量、及びケーデンスの組み合わせに係る複数の音情報候補を記憶し、複数の音情報候補を予め設定された順に表示する表示データを出力し、表示データに基づいて表示する表示部と、複数の音情報候補の中から選択された音情報候補を音情報として設定する入力を受け付ける入力部と、をさらに備えていてもよい。予め設定された順に音情報候補が表示されるので、ユーザの好みの呼び出し音が容易に出力される。
【0011】
また、制御部は、周波数、音量、及びケーデンスの組み合わせに係る複数の音情報候補、及び、解析結果と複数の音情報候補の優先順位との関係を記憶し、優先順位の高い順に表示する表示データを出力し、表示データに基づいて表示する表示部と、複数の音情報候補の中から選択された音情報候補を音情報として設定する入力を受け付ける入力部と、をさらに備えていてもよい。解析結果に応じた優先順位で音情報候補が表示されるので、環境に応じて聞き取りやすい呼び出し音が容易に出力される。
【0012】
さらに、制御部は、予め設定された複数の周波数のうちノイズレベルが小さい帯域に対応する周波数から順に優先し、最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベルが大きいほど大きい音量を優先し、及び予め設定された複数のケーデンスのうち音情報として設定された音量が所定値以上の場合はオン時間が長いケーデンスほど優先して音情報として設定された音量が所定値未満の場合はオン時間が短いケーデンスほど優先するように構成されていてもよい。ノイズレベルが小さい周波数、ノイズレベルに応じた音量、及び設定された音量に応じたケーデンスの音情報が優先的に表示されるので、環境に応じて聞き取り易い呼び出し音が容易に出力される。
【0013】
また、複数の音情報候補のそれぞれに基づく呼び出し音を試聴する旨の入力を受け付ける試聴入力部をさらに備えていてもよい。呼び出し音を試聴することで、好みの呼び出し音が迅速かつ容易に出力される。
【0014】
さらに、公衆回線に接続される親機と、親機との間で通信可能な子機とを備え、制御部は、音情報を子機の呼び出し音の音情報として設定し、親機は、子機との間で通信する親機通信部、着信検出部、ノイズ検出部、ノイズ解析部、制御部、及び出力部を有し、子機は、親機との間で通信する子機通信部、及び音情報に基づく呼び出し音を出力する子機出力部を有するように構成されていてもよい。親機で設定された音情報が子機にも設定されるので、子機からも聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0015】
子機は、ノイズを検出する子機ノイズ検出部をさらに備え、ノイズ解析部は、子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての解析結果を出力するように構成されていてもよい。親機よりもユーザの近傍に配置された子機からノイズを検出することで、より環境に応じて聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0016】
子機を複数備え、ノイズ解析部は、複数の子機のうちの特定の子機の子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての解析結果を出力し、制御部は、複数の子機の全てに音情報を出力するように構成されていてもよい。子機が複数ある場合に、ユーザの近傍にあることが最も多い子機等、特定の子機からノイズを検出することで、より環境に応じて聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0017】
制御部は、複数の子機のそれぞれの子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての複数の解析結果の中で、複数の帯域のうち最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベル同士を比較し、ノイズレベルが最も大きいノイズについての解析結果を用いるように構成されていてもよい。ノイズレベルが最も大きいノイズについての解析結果が用いられるので、より確実に聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ノイズレベルが最も小さい周波数の呼び出し音を出力することで、ノイズと識別されやすく聞き取り易い呼び出し音を出力することができる。また、ユーザが自らの感覚で呼び出し音が聞き取り易くなる周波数を設定する場合よりも、呼び出し音の音情報を迅速かつ容易に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る通信装置10の親機20の構成を示すブロック図である。図2は、子機40の構成を示すブロック図である。
【0020】
通信装置10は、この実施形態ではファクシミリ装置であって、親機20を備えている。この実施形態では、1個の親機20の他に、複数個の子機40を備えている場合について説明する。複数個の子機40のそれぞれは、互いに同様に構成され、親機20との間で通信可能である。
【0021】
親機20は、制御部21、回線制御部22、モデム23、着信検出部24、画像メモリ25、スキャナ部26、画像形成部27、表示入力部28、テンキー29、マイク30、ノイズ解析部31、スピーカ32、スピーカ制御部33、タイマ34、及び通信部35を有している。制御部21は、親機20の動作を統括的に制御している。マイク30はこの発明のノイズ検出部に相当する。スピーカ32及びスピーカ制御部33はこの発明の出力部に相当する。通信部35はこの発明の親機通信部に相当する。表示入力部28はこの発明の表示部に該当する。表示入力部28及びテンキー29はこの発明の入力部に該当する。
【0022】
回線制御部22及び着信検出部24は、局線等の公衆回線51に接続されている。モデム23は、回線制御部22と制御部21との間に接続されている。着信検出部24は、公衆回線51からの着信信号を検出すると、着信信号を検出した旨の検出結果を制御部21へ出力する。
【0023】
制御部21は、呼び出し音の音情報を記憶している。音情報は、音量、周波数、及びケーデンス(cadence)のそれぞれに関する情報を含む。周波数によって、呼び出し音の音色が調整される。ケーデンスは、呼び出し音が出力されるオン時間T−ONと呼び出し音が出力されないオフ時間T−OFFとの組み合わせによって設定される。
【0024】
制御部21は、着信検出部24で着信信号が検出されると、設定されている音情報に基づいて、時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCを、スピーカ制御部33へ出力する。時間制御コマンドTCは、スピーカから出力される呼び出し音のオンとオフとを切り換えるコマンドである。ボリューム制御コマンドは、呼び出し音の音量を設定するコマンドである。時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCは、この発明の着呼コマンドに相当する。
【0025】
スピーカ制御部33は、制御部21から入力された時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCに基づくスピーカ電圧SVを、スピーカ32へ印加する。スピーカ32は、印加されたスピーカ電圧SVに基づく呼び出し音を出力する。
【0026】
制御部21は、時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCを所定時間出力すると、スピーカ制御部33への時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCの出力を停止し、モデム23を通じて着信信号を捕捉するために、回線制御部22に回線を閉結させる。回線が閉結されると、モデムによって着信信号が受信される。
【0027】
着信信号には画像データが含まれ、画像データは画像メモリ25に記憶される。画像形成部27は、例えば電子写真方式の画像形成工程を経て、画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に形成する。
【0028】
スキャナ部26は、原稿の画像を読み取って画像データを取得する。画像データは、一旦画像メモリ25に記憶された後、モデム23及び公衆回線51を介して所望の相手先機器へ送信される。
【0029】
表示入力部28として、この実施形態では液晶タッチパネルが用いられている。表示入力部28は、制御部21から出力される表示データに基づいて、音情報を設定するための設定画面等の種々の情報を表示する。また、表示入力部28は、ユーザによる入力を受け付けることもできる。
【0030】
テンキー29は、例えば、0〜9の整数に対応した10個のキーを含み、ユーザによる入力を受け付ける。タイマ34は、制御部21へ日時を含む時間情報を出力する。通信部35は、子機40のそれぞれとの間で、無線通信を行う。
【0031】
マイク30は、親機20が配置された環境におけるノイズを検出し、ノイズ解析部31へ出力する。ノイズ解析部31は、入力されたノイズについて、後述するような解析を行い、解析結果を制御部21へ出力する。制御部21は、解析結果に基づいて呼び出し音の音情報を設定する。
【0032】
図2に示すように、子機40は、子機制御部41、子機表示部42、子機テンキー43、子機マイク44、子機ノイズ解析部45、子機スピーカ46、子機スピーカ制御部47、及び子機通信部48を有している。子機制御部41は、子機40の動作を統括的に制御している。子機マイク44はこの発明の子機ノイズ検出部に相当する。子機スピーカ46及び子機スピーカ制御部47はこの発明の子機出力部に相当する。
【0033】
子機テンキー43は、例えば、0〜9の整数に対応した10個のキーを含む子機用の入力部であって、ユーザによるダイヤル番号等の入力を受け付ける。子機表示部42は、子機テンキー43から入力されたダイヤル番号等の種々の情報を表示する。子機通信部48は、親機20との間で、音声データ、呼び出し音の音情報、及び制御コマンドの無線通信を行う。
【0034】
子機制御部41は、呼び出し音の音情報を記憶している。子機通信部48から着信信号の検出を知らせる制御コマンドを受信すると、子機制御部41は、設定されている音情報に基づいて、時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCを、子機スピーカ制御部47へ出力する。子機スピーカ制御部47は、子機制御部41から入力された時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCに基づくスピーカ電圧SVを、子機スピーカ46へ印加する。子機スピーカ46は、印加されたスピーカ電圧SVに基づく呼び出し音を出力する。
【0035】
子機マイク44は、電話として通話する際に音声データを取得する他に、子機40が配置された環境におけるノイズを検出して子機ノイズ解析部45へ出力する。子機ノイズ解析部45は、必要に応じて、入力されたノイズについて、後述するような解析を行い、解析結果を子機制御部41へ出力する。子機制御部41は、必要に応じて、子機通信部48を介して親機20の制御部21へ解析結果を送信する。
【0036】
制御部21は、親機20のマイク30で検出されたノイズ、及び、複数の子機40のいずれかの子機マイク44で検出されたノイズのうち、いずれかのノイズに基づく解析結果を用いて呼び出し音の音情報を設定する。マイク30及び子機マイク44のうちいずれのマイクから検出されたノイズについての解析結果を用いるかは、ユーザによって設定される。制御部21は、ノイズの検出先として設定された親機20又は子機40のみから解析結果を取得することが好ましい。この実施形態では、親機20のマイク30で検出されたノイズについての解析結果に基づいて音情報が設定される。
【0037】
制御部21は、親機20に設定した音情報を子機制御部41へ送信する。子機制御部41は、親機20から受信した音情報を記憶し、この音情報に基づいて子機40の呼び出し音を子機スピーカ46に出力させる。
【0038】
図3は、スピーカ32から出力する呼び出し音の、音量、周波数、及びケーデンスの制御についての説明図であって、(A)は時間制御コマンドTCを示し、(B)はボリューム制御コマンドVCを示し、(C)はスピーカ電圧SVを示す。子機スピーカ46から出力する呼び出し音についても同様である。
【0039】
上述のように、音情報は、音量、周波数、及びケーデンスのそれぞれに関する情報を含む。制御部21は、スピーカ制御部33へ、時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCを出力する。
【0040】
制御部21から時間制御コマンドTCとして1が入力されると、スピーカ制御部33は、スピーカ32へ所定のスピーカ電圧SVを印加する。呼び出し音の音色を決めるスピーカ電圧SVの周波数は、時間制御コマンドTCとして1と0とが入力される周期T1によって調整される。
【0041】
ケーデンスは、時間制御コマンドTCとして1と0とが交互に出力されるオン時間T−ONと、時間制御コマンドTCとして0が出力され続けるオフ時間T−OFFとの時間の長さによって調整される。
【0042】
スピーカ制御部33は、ボリューム制御コマンドVCとして1が入力されると、ボリューム制御コマンドVCとして0が入力されていたときの2倍の大きさのスピーカ電圧SVをスピーカ32へ出力する。このようにして、呼び出し音の音量が、大と小との2段階に切り換えられる。
【0043】
図4は、制御部21の処理手順を示すフローチャートである。制御部21は、予め設定されたノイズの測定日時を記憶している。測定日時として、複数の日時、又は、特定の曜日の複数の時間等を設定することができる。また、測定日時として、測定日、測定開始時間、測定する時間間隔、及び測定終了時間を設定することもできる。測定日時として、例えば、毎週月曜日の0時、6時、12時、18時、及び24時が設定される。
【0044】
制御部21は、測定日時になると(S1)、マイク30から検出されたノイズについて(S2)、ノイズ解析部31で解析を行い(S3)、解析結果に基づいて音情報を設定する(S4)。
【0045】
ここで、音情報の設定方法について説明する。図5は、ノイズの解析結果の一例であり、図6は、呼び出し音の種類の一例である。
【0046】
この実施形態では、音量として、大と小との2段階の音量を設定可能である。周波数として、1000Hz、2000Hz、又は3000Hzを設定可能である。ケーデンスとして、オン時間T−ON=1秒かつオフ時間T−OFF=2秒のタイプ1、オン時間T−ON=0.5秒かつオフ時間T−OFF=2.5のタイプ2、又は、オン時間T−ON=0.25秒かつオフ時間T−OFF=2.75秒のタイプ3を設定可能である。
【0047】
制御部21は、音量、周波数、及びケーデンスの組み合わせに係る複数の音情報候補を予め記憶している。例えば、制御部21は、図6に示すように18個の音情報候補を記憶している。制御部21は、ノイズの解析結果に基づいて、以下に示すような法則の下に音情報候補の優先順位を決める。この法則は、ノイズの解析結果と音情報候補の優先順位との関係に相当する。
【0048】
ノイズ解析部31は、マイク30で検出したノイズについて、複数に区分された周波数の帯域毎のノイズレベル(ノイズの音量)を取得する。この実施形態では、図5に示すように、周波数は7個の帯域に区分されている。
【0049】
制御部21は、7個の帯域のうち、最もノイズレベルが大きい帯域と、最もノイズレベルが小さい帯域とを特定する。図5に示す例では、4番の帯域のノイズレベルが最大で、2番の帯域のノイズレベルが最小である。
【0050】
制御部21は、解析結果に基づいて、最もノイズレベルが大きい帯域(No.4)のノイズレベルが大きいほど、大きい音量を音情報として優先する。この実施形態では、音量を大と小との2段階に設定可能なので、最もノイズレベルが大きい帯域(No.4)のノイズレベルが所定値以上である場合は、音量として大が優先され、所定値未満である場合は音量として小が優先される。所定値として、例えば−50dBが設定される。この実施形態では、制御部21は、音量として大を優先する。
【0051】
制御部21は、予め設定された複数の周波数1000Hz、2000Hz、3000Hzのうち、解析結果に基づいてノイズレベルが小さい帯域に対応する周波数から順に優先する。この実施形態では、ノイズレベルが最も小さい帯域(No.2)に近い周波数は1000Hzと判定され、次にノイズレベルが小さい帯域(No.6)に近い周波数は3000Hzと判定される。このため、制御部21は、1000Hz、3000Hz、2000Hzの順に優先する。
【0052】
制御部21は、予め設定された複数のケーデンスのうち、音情報として設定された音量が所定値以上の場合はオン時間が長いケーデンスほど優先し、音情報として設定された音量が所定値未満の場合はオン時間が短いケーデンスほど優先する。この実施形態では、音量は大又は小の2段階に設定されるので、制御部21は、音量を大に設定した場合はオン時間が長いケーデンスほど優先し、音量を小に設定した場合はオン時間が短いケーデンスほど優先する。この実施形態では、制御部21は、音量を大に設定したので、オン時間T−ON=1秒かつオフ時間T−OFF=2秒のタイプ1、オン時間T−ON=0.5秒かつオフ時間T−OFF=2.5のタイプ2、オン時間T−ON=0.25秒かつオフ時間T−OFF=2.75秒のタイプ3の順に優先する。
【0053】
また、制御部21は、この実施形態では、音量の優先順位、周波数の優先順位、ケーデンスの優先順位の順に、優先する。
【0054】
例えば、制御部21は、図6に示すように18個の音情報候補を予め記憶している。制御部21は、上述の優先順位に従って、18個の音情報候補の優先順位を決める。この実施形態では、図6に示すように優先順位が決められる。この実施形態では、制御部21は、優先順位が1番であるNo.1の音情報候補を音情報として設定する(S4)。
【0055】
制御部21は、着信検出部24で着信信号を検出すると(S5)、音情報に基づく時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCをスピーカ制御部33へ出力し、スピーカ制御部33が時間制御コマンドTC及びボリューム制御コマンドVCに基づくスピーカ電圧SVをスピーカ32へ出力することで、スピーカ32が音情報に基づく呼び出し音を出力する(S6)。
【0056】
制御部21は、測定日時でない場合は(S1)、すでに設定されている音情報に基づいて、着信信号を検出した際に(S5)、呼び出し音を出力させる(S6)。
【0057】
通信装置10によれば、着信信号が検出された際に、ノイズレベルが最も小さい周波数の呼び出し音が出力されるので、呼び出し音がノイズと識別されやすくなり、音量を抑えた場合でも呼び出し音がノイズにかき消されることなく、容易に聞き取られる。
【0058】
また、ノイズレベルが大きい場合は音量が大きく設定されるので、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。さらに、ノイズレベルが大きく、音量が大きく設定された場合は、オン時間が長いケーデンスに設定されるので、呼び出し音がより聞き取り易くなる。また、ノイズレベルが小さく、音量が小さく設定された場合は、オン時間が短いケーデンスに設定されるので、静けさが壊される不快感を抑えることができる。
【0059】
さらに、ノイズに関する環境は、曜日や時間帯によって異なるのが一般的であるが、予め設定された時期に音情報を設定し直すことで、任意の時期の環境に応じて、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。また、複数の時期を設定しておくことで、複数の時期毎の環境に応じて、より聞き取り易い呼び出し音が出力される。
【0060】
なお、子機40で検出したノイズについての解析結果を親機20の制御部21へ送信し、親機20の制御部21で音情報を設定することもできる。
【0061】
また、子機40で検出したノイズについての解析結果に基づいて、子機制御部41が音情報を設定するように構成することもできる。この場合、子機40で設定した音情報を親機20へも送信することが好ましい。
【0062】
図7は、他の実施形態に係る通信装置の制御部の処理手順を示すフローチャートである。この実施形態に係る通信装置は、上述の実施形態に係る通信装置10と、音情報を複数の音情報候補の中からユーザが選択することを除いて同様に構成されている。説明の便宜上、通信装置10と同じ符号を用いる。図8及び図9は、親機20の表示入力部28に表示される設定画面の一例である。
【0063】
制御部21は、表示入力部28の図示しない設定キーが押下されると(S11)、音情報の設定モードへ移行し、マイク30から検出されたノイズについて(S12)、ノイズ解析部31で解析を行う(S13)。
【0064】
制御部21は、ノイズの解析結果に基づいて、上述のように音情報候補の優先順位を決定し、表示入力部28へ表示データを出力することで、表示入力部28のリスト表示領域61に、音情報候補を優先順位の高い順にリスト表示する(S14)。リスト表示領域61に同時に全ての音情報候補を表示できない場合、次キー62が押下される毎に、優先順位が高い順に例えば4個ずつの音情報候補がリスト表示される(S16)。図8においてリスト表示領域61の左端に表示されている丸囲みの番号は、優先順位を示している。
【0065】
制御部21は、テンキー29から優先順位を示す番号が入力されると(S17)、入力された番号に対応する音情報候補を音情報として設定する(S18)。制御部21は、表示入力部28の確認キー63が押下されると(S19)、所定時間、設定された音情報に基づく呼び出し音をスピーカ32から出力する(S20)。確認キー63はこの発明の試聴入力部に相当する。呼び出し音を試聴することで、好みの呼び出し音が迅速かつ容易に設定される。
【0066】
制御部21は、表示入力部28のOKキー64ではなく(S21)、キャンセルキー65が押下された場合(S22)、音情報の設定をやり直すために、次キー62の押下、又はテンキー29からの音情報候補の番号の入力を待って待機する。
【0067】
制御部21は、S21においてOKキー64が押下されると、表示入力部28に、図9に示すような子機設定確認画面を表示する(S23)。
【0068】
制御部21は、ここでOKキー66が押下されると(S24)、S18で親機20に設定した音情報を、子機制御部41へ送信する(S25)。子機制御部41は、親機20から受信した音情報を記憶し、子機40の呼び出し音の音情報とする。親機20で設定された音情報が子機40にも設定されるので、子機40からも聞き取り易い呼び出し音が出力されるようになる。
【0069】
制御部21は、OKキー66ではなく(S24)、終了キー67が押下された場合(S26)、S18で親機20に設定した音情報を、子機制御部41へは送信せず、音情報の設定モードを終了する。この場合、子機40の呼び出し音は変更されない。
【0070】
この実施形態に係る通信装置10によれば、解析結果に応じた優先順位で音情報候補が表示されるので、環境に応じて聞き取りやすい呼び出し音の音情報が容易に設定される。また、ノイズレベルが小さい周波数、ノイズレベルに応じた音量、及び設定された音量に応じたケーデンスの音情報が優先的に表示されるので、環境に応じて聞き取り易い呼び出し音の音情報が容易に設定される。
【0071】
なお、親機20のマイク30ではなく、子機マイク44から検出されたノイズについての解析結果に基づいて、音情報を設定することもできる。親機20よりもユーザの近傍に配置された子機40から検出されたノイズについての解析結果に基づいて音情報を設定することで、より環境に応じて聞き取り易い呼び出し音が出力されるようになる。
【0072】
また、複数の子機40のうち特定の子機40の子機マイク44で検出されたノイズについての解析結果に基づいて音情報を設定し、この音情報を親機20及び全ての子機40に設定することもできる。子機40が複数個ある場合に、ユーザの近傍にあることが最も多い子機40等、特定の子機40からノイズを検出することで、より環境に応じて聞き取り易い呼び出し音が出力されるようになる。
【0073】
さらに、複数の子機40のそれぞれの子機マイク44で検出されたノイズについての複数の解析結果の中で、複数の帯域のうち最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベル同士を比較し、ノイズレベルが最も大きいノイズについての解析結果に基づいて、親機20及び全ての子機40の音情報を設定することもできる。ノイズレベルが最も大きいノイズについての解析結果が用いられるので、より確実に聞き取り易い呼び出し音が出力されるようになる。
【0074】
また、音情報候補は、ユーザによって予め設定された順に表示させることもできる。これによれば、予め設定された順に音情報候補が表示されるので、ユーザの好みの呼び出し音の音情報が容易に設定される。
【0075】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施形態に係る通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図2】子機の構成を示すブロック図である。
【図3】スピーカから出力する呼び出し音の、音量、周波数、及びケーデンスの制御についての説明図であって、(A)は時間制御コマンドTCを示し、(B)はボリューム制御コマンドVCを示し、(C)はスピーカ電圧SVを示す。
【図4】制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ノイズの解析結果の一例を示す図である。
【図6】呼び出し音の種類の一例を示す図である。
【図7】他の実施形態に係る通信装置の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】親機の表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図9】親機の表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
10 通信装置
20 親機
21 制御部
24 着信検出部
28 表示入力部(表示部、入力部)
29 テンキー(入力部)
30 マイク(ノイズ検出部)
31 ノイズ解析部
32 スピーカ(出力部)
33 スピーカ制御部(出力部)
34 タイマ
35 通信部(親機通信部)
40 子機
41 子機制御部
42 子機表示部
43 子機テンキー
44 子機マイク(子機ノイズ検出部)
45 子機ノイズ解析部
46 子機スピーカ(子機出力部)
47 子機スピーカ制御部(子機出力部)
48 子機通信部
51 公衆回線
63 確認キー(試聴入力部)
TC 時間制御コマンド(着呼コマンド)
VC ボリューム制御コマンド(着呼コマンド)
SV スピーカ電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆回線からの着信信号を検出する着信検出部と、
ノイズを検出するノイズ検出部と、
検出されたノイズについて複数に区分された周波数の帯域毎のノイズレベルを解析して解析結果を出力するノイズ解析部と、
予め設定された複数の周波数のうち前記解析結果に基づいてノイズレベルが最も小さい帯域に近いと判定された周波数を、着信信号の検出を知らせる呼び出し音の音情報として設定し、前記着信検出部で着信信号を検出した際に前記音情報に基づく着呼コマンドを出力する制御部と、
前記着呼コマンドに基づいて呼び出し音を出力する出力部と、を備える通信装置。
【請求項2】
前記音情報は音量に関する情報をさらに含み、
前記制御部は、最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベルが大きいほど大きい音量を前記音情報として設定する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記音情報はケーデンスに関する情報をさらに含み、
前記制御部は、予め設定された複数のケーデンスのうち、前記音情報として設定された音量が所定値以上の場合はオン時間が長いケーデンスほど優先し、前記音情報として設定された音量が所定値未満の場合はオン時間が短いケーデンスほど優先して前記音情報として設定する請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
時間情報を出力するタイマをさらに備え、
前記制御部は、予め設定された時期に、検出されたノイズについての解析結果に基づいて前記音情報を設定する請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、周波数、音量、及びケーデンスの組み合わせに係る複数の音情報候補を記憶し、前記複数の音情報候補を予め設定された順に表示する表示データを出力し、
前記表示データに基づいて表示する表示部と、
前記複数の音情報候補の中から選択された音情報候補を前記音情報として設定する入力を受け付ける入力部と、をさらに備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、周波数、音量、及びケーデンスの組み合わせに係る複数の音情報候補、及び、前記解析結果と前記複数の音情報候補の優先順位との関係を記憶し、前記優先順位の高い順に表示する表示データを出力し、
前記表示データに基づいて表示する表示部と、
前記複数の音情報候補の中から選択された音情報候補を前記音情報として設定する入力を受け付ける入力部と、をさらに備える請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、予め設定された複数の周波数のうちノイズレベルが小さい帯域に対応する周波数から順に優先し、最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベルが大きいほど大きい音量を優先し、及び予め設定された複数のケーデンスのうち前記音情報として設定された音量が所定値以上の場合はオン時間が長いケーデンスほど優先して前記音情報として設定された音量が所定値未満の場合はオン時間が短いケーデンスほど優先する請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記複数の音情報候補のそれぞれに基づく呼び出し音を試聴する旨の入力を受け付ける試聴入力部をさらに備える請求項5から7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
公衆回線に接続される親機と、前記親機との間で通信可能な子機とを備え、
前記制御部は、前記音情報を前記子機の呼び出し音の音情報として設定し、
前記親機は、前記子機との間で通信する親機通信部、前記着信検出部、前記ノイズ検出部、前記ノイズ解析部、前記制御部、及び前記出力部を有し、
前記子機は、前記親機との間で通信する子機通信部、及び前記音情報に基づく呼び出し音を出力する子機出力部を有する請求項1から8のいずれかに記載の通信装置。
【請求項10】
前記子機は、ノイズを検出する子機ノイズ検出部をさらに備え、
前記ノイズ解析部は、前記子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての解析結果を出力する請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記子機を複数備え、
前記ノイズ解析部は、複数の前記子機のうちの特定の子機の子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての解析結果を出力し、
前記制御部は、複数の前記子機の全てに前記音情報を出力する請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記制御部は、複数の前記子機のそれぞれの子機ノイズ検出部で検出されたノイズについての複数の解析結果の中で、複数の帯域のうち最もノイズレベルが大きい帯域のノイズレベル同士を比較し、ノイズレベルが最も大きいノイズについての解析結果を用いる請求項11に記載の通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−194466(P2009−194466A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30840(P2008−30840)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】