説明

通信装置

【課題】認証に用いられる数字や文字列をユーザが容易に設定可能とすること。
【解決手段】通信装置であって、メールアドレス、電子メールのフォーマットデータをそれぞれ予め記憶する記憶部と、他の通信装置との間で認証処理を行う認証部と、前記認証部が認証に失敗した場合に、前記メールアドレス宛に、前記フォーマットデータに基づいた第一電子メールを送信するメール送信部と、前記メール送信部から送信された前記第一電子メールに応じて作成され、前記他の通信装置との間の認証処理に用いられる認証情報を含む第二電子メールを受信するメール受信部と、前記メール受信部によって受信された前記第二電子メールから前記認証情報を抽出する認証情報抽出部と、を備え、前記認証部は、認証に失敗した後、前記認証情報抽出部によって抽出された前記認証情報を用いて前記他の通信装置との間で認証処理を行う、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置と他の通信装置との間の通信における認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の装置間で無線通信を行うための技術が提案されている。装置間を無線通信で接続する際には、セキュリティの確保を目的として任意の数字や文字列を用いた認証が行われることが一般的である。例えばブルートゥース(Bluetooth)のバージョン2.0以下の場合には、セキュア・シンプル・ペアリング(SSP:Secure Simple Pairing)を行うことができない。そのため、無線通信を行おうとする双方の装置において予めPINコードを一致させておき、PINコード認証を行う必要がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなPINコード認証が必要となる装置には、予めPINコードの初期値が設定されていることが多い。無線通信を行おうとする双方の装置においてPINコードの初期値が一致していればPINコード認証がなされる。もしPINコードの初期値が一致していない場合には、いずれか一方のPINコードを他方のPINコードと一致するように変更することによって、PINコード認証がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方のPINコードを他方のPINコードと一致するように変更する作業は、ユーザの手作業によって行われることが一般的であった。そのため、もしPINコードの初期値が一致していない場合には、ユーザが装置を操作してPINコードの変更を行わなければならなかった。特に、装置が十分な入出力インタフェースを有していない場合には、PINコードを変更する作業は、ユーザにとって非常に煩わしい作業であった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、認証に用いられる数字や文字列をユーザが容易に設定することが可能となる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、通信装置であって、予め設定されたメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部と、予め設定された電子メールのフォーマットデータを記憶するメールフォーマット記憶部と、他の通信装置との間で認証処理を行う認証部と、前記認証部が認証に失敗した場合に、前記メールアドレス記憶部に記憶されるメールアドレス宛に、前記メールフォーマット記憶部に記憶されるフォーマットデータに基づいた第一電子メールを送信するメール送信部と、前記メール送信部から送信された前記第一電子メールに応じて作成され、前記他の通信装置との間の認証処理に用いられる認証情報を含む第二電子メールを受信するメール受信部と、前記メール受信部によって受信された前記第二電子メールから前記認証情報を抽出する認証情報抽出部と、を備え、前記認証部は、認証に失敗した後、前記認証情報抽出部によって抽出された前記認証情報を用いて前記他の通信装置との間で認証処理を行う、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の態様は、上記通信装置であって、予め設定された初期認証情報を記憶する初期認証情報記憶部をさらに備え、前記認証部は、前記認証情報抽出部によって抽出された前記認証情報が無い場合に、前記初期認証情報記憶部に記憶される前記初期認証情報を用いて、前記他の通信装置との間で前記認証処理を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の態様は、上記通信装置であって、前記第一電子メールの返信宛先を表すヘッダ部分には、前記第二電子メールの送信先のメールアドレスが設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、認証に用いられる数字や文字列をユーザが容易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】認証情報設定システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図2】認証情報設定システムの動作の概略を表す図である。
【図3】通信装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図4】メールフォーマット記憶部に記憶されるメールフォーマットを用いて生成されたPIN要求メールのうち、本文及び題名の具体例を表す図である。
【図5】通信装置の設定画面を表す図である。
【図6】認証情報設定システムの詳細な動作を表すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、認証情報設定システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。まず、認証情報設定システム1の概略について説明する。認証情報設定システム1は、通信装置10、接続対象装置20、ネットワーク30、情報端末装置40、第一メールサーバ50、第二メールサーバ60を備える。通信装置10は、使用者による認証情報の設定を受ける装置である。接続対象装置20は、認証情報を用いた認証により、通信装置10と無線通信接続が確立される無線通信装置である。接続対象装置20には予め認証情報が設定されている。
【0013】
通信装置10の使用者は、接続対象装置20に予め設定されている認証情報を通信装置10に対して設定する。この設定は、通信装置10、ネットワーク30、情報端末装置40、第一メールサーバ50、第二メールサーバ60の動作により行われる。この設定により、通信装置10と接続対象装置20との間の認証が成功し、無線通信接続が確立される。なお、図1の場合、接続対象装置20はスピーカーとして描かれているが、通信装置10と認証情報を用いた認証を行い無線通信接続が確立可能な装置であれば、接続対象装置20はどのような装置であっても良い。
ネットワーク30は、通信装置10、情報端末装置40、第一メールサーバ50、第二メールサーバ60が接続されるネットワークであり、既存のどのような技術によって構築されても良い。情報端末装置40は、携帯電話機やスマートフォンやパーソナルコンピュータ等の通信可能な情報処理装置を用いて構成される。情報端末装置40は、PIN要求メールをネットワーク30を介して受信し、新規PINメールをネットワーク30を介して送信する。第一メールサーバ50は、通信装置10のSMTPサーバ(Simple Mail Transfer Protocolサーバ)として動作するサーバ装置である。第二メールサーバ60は、通信装置10のPOPサーバ(Post Office Protocolサーバ)として動作するサーバ装置である。
【0014】
通信装置10と接続対象装置20とが無線通信を行うに際して用いる通信規格は、認証情報を用いた認証が行われるものであれば、任意のものが適用されて良い。以下の説明では、このような通信規格の具体例として、ブルートゥース(Bluetooth)が採用された場合の構成について説明する。また、以下の説明では、認証情報の具体例として、ブルートゥースにおいて用いられるPINコードが採用された場合の構成について説明する。
【0015】
図2は、認証情報設定システム1の動作の概略を表す図である。次に、認証情報設定システム1の動作の概略について説明する。通信装置10は、所定のボタンが押下されることなどによって無線通信接続の確立を使用者から指示されると、周囲の無線通信デバイスを検出し認証処理を行う。図2の場合、通信装置10は接続対象装置20を検出し認証処理を行うが、接続対象装置20に設定されているPINコードと通信装置10に予め設定されているPINコードとが異なるため認証に失敗する(ステップS101)。認証に失敗すると、通信装置10は、予め設定されているメールアドレスに対してPIN要求メールを送信する(ステップS102)。このメールアドレスは、情報端末装置40が受信可能な電子メールのメールアドレスである。なお、通信装置10が第一メールサーバ50に対して電子メールを送信するために必要な情報は、通信装置10に予め設定されている。
【0016】
情報端末装置40は、第一メールサーバ50を経由してネットワーク30中を伝送されたPIN要求メールを受信する(ステップS103)。情報端末装置40の使用者は、情報端末装置40を操作することによって新規PINメールを生成する。新規PINメールは、例えば、受信されたPIN要求メールの所定箇所に、接続対象装置20に設定されているPINコードを入力することによって生成される。情報端末装置40は、使用者によって操作されることにより、新規PINメールを所定のメールアドレスに送信する(ステップS104)。なお、所定のメールアドレスはPIN要求メールのヘッダ等に予め設定されており、例えばPIN要求メールに返信することによって、情報端末装置40のメールソフトにより設定される。
【0017】
第二メールサーバ60は、ネットワーク30を介して新規PINメールを受信する。通信装置10は、第二メールサーバ60にアクセスして、新規PINメールを受信する(ステップS105)。通信装置10は、受信された新規PINメールから、接続対象装置20のPINコードを抽出する。そして、通信装置10は、抽出されたPINコードを用いて接続対象装置20との間で認証処理を行い、無線通信接続を確立させる(ステップS106)。
【0018】
次に、認証情報設定システム1が備える通信装置10についてより詳細に説明する。図3は、通信装置10の機能構成を表す概略ブロック図である。通信装置10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備え、無線通信プログラムを実行する。通信装置10は、無線通信プログラムの実行により、初期PINコード記憶部101、通信接続部102、メールアドレス記憶部103、メールフォーマット記憶部104、メール送信部105、メール受信部106、PINコード設定部107、設定制御部108を備える装置として機能する。なお、通信装置10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0019】
初期PINコード記憶部101は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。初期PINコード記憶部101は、予め通信装置10に対して設定されているPINコード(内部PIN)を記憶する。なお、初期PINコード記憶部101が予め記憶しているPINコードの数は、1つであっても良いし複数であっても良い。
【0020】
通信接続部102は、使用者の操作を受けて接続開始処理を行い、接続対象装置20との間で無線通信接続を確立する。より具体的には、まず通信接続部102は、デバイススキャン処理を行うことによって、通信装置10の周囲に位置する無線通信のデバイスを検出する。通信接続部102は、例えばスキャン信号(例えばInquiry信号)を周囲に送信する。そして、通信接続部102は、送信時から所定の時間内(例えば1秒以内、数秒以内、十数秒以内など)に応答信号が受信された場合に、応答信号の送信元のデバイスを検出する。通信接続部102は、検出されたデバイスのアドレス(BDアドレス)や、デバイスネームを取得する。通信接続部102は、検出されたデバイスとの間でPINコードを用いた認証処理を実行する。
【0021】
認証が成功した場合、すなわち通信装置10と検出されたデバイスとの間でPINコードが一致した場合には、通信接続部102は、検出されたデバイスに対して接続処理を行う。通信接続部102が接続処理として行う処理は、既存のBluetoothの接続処理に基づいて行われる。一方、認証が失敗した場合、すなわち通信装置10と検出されたデバイスとの間でPINコードが一致しない場合には、通信接続部102は、メール送信部105に認証失敗を表すエラーメッセージを通知する。エラーメッセージは、認証が失敗した通信相手のデバイスから取得されたBDアドレスやデバイスネームを含む。
また、通信接続部102は、PINコード設定部107からPINコードの通知を受けると、通知されたPINコードを用いて認証処理を行う。
【0022】
メールアドレス記憶部103は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。メールアドレス記憶部103は、情報端末装置40において受信可能な電子メールのメールアドレスを記憶する。このようなメールアドレスは、通信装置10の使用者や設計者などによって予め設定される。
【0023】
メールフォーマット記憶部104は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。メールフォーマット記憶部104は、情報端末装置40に送信される電子メールのメール本文のデータ、題名のデータ、ヘッダ情報のデータなどをメールフォーマットとして記憶する。このようなメールフォーマットは、通信装置10の使用者や設計者などによって予め設定される。
【0024】
メール送信部105は、メールアドレス記憶部103に記憶されているメールアドレス宛に、メールフォーマット記憶部104に記憶されているメールフォーマットに従った電子メール(PIN要求メール)を作成する。そして、メール送信部105は、作成したPIN要求メールを、予め設定されたSMTPサーバである第一メールサーバ50に対して送信する。なお、第一メールサーバ50に電子メールを送信するための各種設定情報(アカウント名、SMTPサーバ名、パスワードなど)は、予め使用者や設計者などによって設定されている。
【0025】
メール受信部106は、予め設定されたPOPサーバである第二メールサーバ60にアクセスし、新規PINメールを受信する。第二メールサーバ60にアクセスするための各種設定情報(アカウント名、POPサーバ名、パスワードなど)は、予め使用者や設計者などによって設定されている。メール受信部106は、受信した新規PINメールをPINコード設定部107へ渡す。
PINコード設定部107は、メール受信部106によって受信された新規PINメールから、PINコードを抽出する。そして、PINコード設定部107は、抽出されたPINコードを通信接続部102に通知する。
【0026】
設定制御部108は、設定画面の表示の制御や、通信装置10の使用者や設計者によって設定された各種事項の反映を行う。例えば、設定制御部108は、新規PINメールが送信される宛先となるメールアドレスの入力を受け、メールフォーマット記憶部104に記憶されているメールフォーマットのヘッダの返信先アドレスとして登録する。また、例えば、設定制御部108は、第二メールサーバ60から電子メールを受信するための情報(アカウント名、POPサーバ名、パスワード)の入力を受け、メール受信部106に対して設定する。また、例えば、設定制御部108は、第一メールサーバ50へ電子メールを送信するための情報(アカウント名、SMTPサーバ名、パスワード)の入力を受け、メール送信部105に対して設定する。また、例えば、設定制御部108は、PIN要求メールの送信先となるメールアドレスの入力を受け、メールアドレス記憶部103に登録する。
【0027】
図4は、メールフォーマット記憶部104に記憶されるメールフォーマットを用いて生成されたPIN要求メールのうち、本文及び題名の具体例を表す図である。メールフォーマットは、通信装置10の使用者に対して、接続対象装置20に設定されているPINコードを追記して返信することを指示する内容の本文又は題名を有している。図4の具体例の場合、電子メールの題名として“PIN Request Mail”が設定されており、電子メールの本文として「以下のデバイスのPINコードを入力し、タイトルを変えずにそのまま返信してください。」という文、“BD_ADD:”という文字列、“Device Name:”という文字列、“PIN Code:”という文字列を含んでいる。以上が、メールフォーマットの具体例であり、説明した各文字列は予めメールフォーマットとしてメールフォーマット記憶部104に記憶されている。
【0028】
“BD_ADD:”という文字列に続いて、通信接続部102によるエラーメッセージに含まれているBDアドレスをメール送信部105が追記する。図4の場合、“xx:xx:xx:xx:xx:xx”というBDアドレスが追記されている。また、“Device Name:”という文字列に続いて、通信接続部102によるエラーメッセージに含まれているデバイスネームをメール送信部105が追記する。図4の場合、“AAA”というデバイスネームが追記されている。以上の追記によって、メールフォーマットからPIN要求メールのメール本文が生成される。このPIN要求メールは、情報端末装置40において、“PIN Code:”という文字列に続いて接続対象装置20に設定されているPINコードが追記されることによって、新規PINメールとなる。新規PINメールは、PIN要求メールのヘッダに予め設定されている返信先アドレス宛の電子メールとして、情報端末装置40から送信される。なお、PIN要求メールのヘッダに設定されている返信先アドレスは、通信装置10の使用者や設計者によって予め設定されている
【0029】
図5は、通信装置10の設定画面を表す図である。図5の設定画面は、設定制御部108によって生成され表示される。通信装置10の設定画面は、通信装置10に予め設けられた画像表示装置がある場合にはこの画像表示装置に表示されても良い。また、通信装置10が画像表示装置を有していない場合には、有線通信や無線通信によって通信可能に接続された画像表示装置に設定画面が表示されても良い。また、設定画面において所定の入力が行われることにより、設定制御部108が各情報の設定を行う。この入力は、通信装置10に予め設けられた入力装置がある場合にはこの入力装置を用いて行われても良い。また、この入力は、通信装置10が入力装置を有していない場合には、有線通信や無線通信によって通信可能に接続された入力装置を用いて行われても良い。
【0030】
図5Aは、通信装置10に対して第一メールサーバ50(SMTPサーバ)及び第二メールサーバ60(POPサーバ)に関する事項を設定するための設定画面である。この設定画面において、新規PINメールが送信される宛先となるメールアドレス(図5Aの場合、“aaa@bbb.ne.jp”)と、第二メールサーバ60から電子メールを受信するためのアカウント名(図5Aの場合、“User A”)と、第二メールサーバ60から電子メールを受信するためのPOPサーバ名(図5Aの場合、“bbb.ne.jp”)と、第二メールサーバ60から電子メールを受信するためのパスワード(図5Aの場合、“password”)と、PIN要求メールを送信する際に使用されるSMTPサーバ(第一メールサーバ50)のサーバ名(図5Aの場合、“bbb.ne.jp”)と、が設定される。
【0031】
図5Aの場合、SMTPサーバとPOPサーバとが同一のサーバ(サーバ名“bbb.ne.jp”)として設定されているため、アカウント名及びパスワードとが共通のものとして一つだけ設定されている。しかしながら、SMTPサーバとPOPサーバとが異なるサーバとして設定されても良い。また、その場合は、それぞれのサーバに対して用いられるアカウント名及びパスワードが一つずつ設定されても良い。
図5Bは、通信装置10に対してPIN要求メールの送信先となるメールアドレスを設定するための設定画面である。この設定画面において、PIN要求メールの送信先となるメールアドレス(図5Bの場合“ccc@ddd.ne.jp”)が設定される。
【0032】
図6は、認証情報設定システム1の詳細な動作を表すシーケンス図である。まず、使用者が、接続対象装置20及び通信装置10を操作し、接続開始処理を開始させる。通信装置10の通信接続部102及び接続対象装置20は、使用者からの操作に応じて、それぞれ接続開始処理を行う(ステップS201,S203)。接続対象装置20は、自装置に予め設定されているPINコード(内部PIN)を読み出す(ステップS202)。通信装置10の通信接続部102は、初期PINコード記憶部101に予め設定されているPINコード(内部PIN)を読み出す(ステップS204)。そして、通信装置10の通信接続部102は、接続対象装置20の内部PINと通信装置10の内部PINとを照合し、認証処理を行う(ステップS205)。
【0033】
図6の場合、接続対象装置20の内部PINと通信装置10の内部PINとは異なるため、認証が失敗する。そのため、通信接続部102は、認証に失敗したことを接続対象装置20に通知する(ステップS206)。また、通信接続部102は、接続対象装置20のBDアドレスやデバイスネームを含むエラーメッセージを作成し、エラーメッセージをメール送信部105へ通知する。メール送信部105は、エラーメッセージを受けると、エラーメッセージの内容及びメールフォーマット記憶部104に記憶されるメールフォーマットに基づいてPIN要求メールを生成する。また、メール送信部105は、生成したPIN要求メールの宛先を、メールアドレス記憶部103に記憶されるメールアドレスに設定する。そして、メール送信部105は、生成したPIN要求メールを、所定のSMTPサーバ(第一メールサーバ50)へ送信する(ステップS207)。
【0034】
メール送信部105は、PIN要求メールを送信した後、PIN要求メールを送信したことをメール受信部106に通知する(ステップS208)。メール受信部106は、この通知を受けると、POPサーバ(第二メールサーバ60)に対してアクセスし、新規PINメールが到達していないか確認する(ステップS209)。この確認処理は、例えば予め定められた一定の時間間隔で繰り返し行われても良いし、第二メールサーバ60から到達通知を受けてから行われても良いし、その他の方法によって行われても良い。
【0035】
情報端末装置40は、第一メールサーバ50を経由して伝送されたPIN要求メールを受信する(ステップS210)。使用者は、情報端末装置40を操作することによって、PIN要求メールに対し返信メールを作成し、所定の箇所に接続対象装置20の内部PINを追記する(ステップS211)。なお、PIN要求メールに対し返信メールを作成することで、情報端末装置40のメールソフトにより、PIN要求メールのヘッダに予め設定されていた返信用アドレスが、返信メールの送信先アドレスとして設定される。この返信メールが、新規PINメールとして送信される。情報端末装置40が新規PINメールを送信すると(ステップS212)、第二メールサーバ60がネットワーク30を介して新規PINメールを受信する(ステップS213)。
【0036】
この後に、メール受信部106が第二メールサーバ60に対してアクセスし、新規PINメールが到達していないか確認したタイミングで、メール受信部106は新規PINメールを受信する(ステップS214)。PINコード設定部107は、メール受信部106によって受信された新規PINメールの所定の箇所から、PINコード(接続対象装置20の内部PIN)を抽出する(ステップS215)。例えば、PINコード設定部107は、新規PINメールの本文の中から“PIN Code:”という文字列を検出し、この文字列に続く文字列のうち次の改行文字又はEOFまでの文字列を、PINコードとして抽出しても良い。具体的なPINコードの抽出方法は、設計者によって適宜設計される。PINコード設定部107は、PINコードを抽出すると、抽出されたPINコードを通信接続部102に通知する。通信接続部102は、通知されたPINコードを、接続対象装置20との間で用いるPINコードとして記憶する(ステップS216)。
【0037】
通信接続部102は、接続対象装置20との間で用いるPINコードを受け取ったことを、使用者に対して報知する(ステップS217)。この報知は、どのような形で行われても良い。例えば、通信接続部102は、通信装置10に予め設けられたLED(Light Emitting Diode)を所定の色や所定の態様で点灯又は点滅させることによって、報知を行っても良い。また、通信接続部102は、通信装置10に設けられた又は接続された画像表示装置に、所定の画像や文字列を表示することによって報知を行っても良い。また、通信接続部102は、通信装置10に設けられた又は接続された音声出力装置から、所定の音や音声を出力することによって報知を行っても良い。
【0038】
この報知を確認した使用者が、接続対象装置20及び通信装置10を操作し、接続開始処理を開始させる。通信装置10の通信接続部102及び接続対象装置20は、使用者からの操作に応じて、それぞれ接続開始処理を行う(ステップS221,S223)。接続対象装置20は、自装置に予め設定されているPINコード(内部PIN)を読み出す(ステップS222)。通信装置10の通信接続部102は、PINコード設定部107から受けたPINコード(新PINコード)を読み出す(ステップS224)。そして、通信装置10の通信接続部102は、接続対象装置20の内部PINと通信装置10の新PINコードとを照合し、認証処理を行う(ステップS225)。この場合は、認証が成功し、その後に通信接続部102によって無線接続が確立される(ステップS226)。
【0039】
このように構成された認証情報設定システム1では、通信装置10に対して接続対象装置20のPINコード(認証情報)を新たに設定する際に、情報端末装置40を用いてPINコードを記載した電子メールを送信するという処理に応じて設定がなされる。そのため、使用者は、簡易な作業によって新たなPINコードの設定を行うことが可能となる。
【0040】
特に、上記実施例のように構成された場合には、使用者は新たなPINコードを設定するに際して、通信装置10そのものを操作する必要がない。そのため、通信装置10が、PINコードを表示するための画像表示装置や入力装置などを一切備えない場合であっても、通信装置10に対して新たなPINコードを容易に設定することが可能となる。
【0041】
<変形例>
新規PINメールは、上述したようにPIN要求メールを加工することによって生成されるのではなく、新規メールとして生成されても良い。
第一メールサーバ50及び第二メールサーバ60は、一つのサーバ装置として構成されても良い。
【0042】
通信接続部102は、PINコード設定部107から受けたPINコードを、予め設定された所定時間の間だけ、初期PINコード記憶部101に記憶されているPINコードに代えて認証処理に用いるように構成されても良い。この場合、通信接続部102は、上記の所定時間が経過した後は、PINコード設定部107から受けたPINコードを破棄し、初期PINコード記憶部101に記憶されるPINコードを用いて認証処理を行うように構成されても良い。
【0043】
また、通信接続部102は、図6のステップS216の処理においてPINコード設定部107から受けたPINコードを、同図のステップS205の処理の後にメール送信部105へ通知したエラーメッセージに含まれるBDアドレス及びデバイスネームと対応付けてPINコードテーブルに記憶し続けるように構成されても良い。この場合、通信接続部102は、接続開始処理において接続対象装置20から取得したBDアドレス及びデバイスネームに対応するPINコードをPINコードテーブルから検索し、検索されたPINコードを用いて認証処理を行う様に構成されても良い。なお、この場合、PINコードテーブルは、初期PINコード記憶部101に記憶されても良いし、通信装置10が備えるその他の記憶装置の記憶領域に記憶されても良い。
【0044】
また、PINコードを用いた認証処理は、通信装置10の通信接続部102が実行するのではなく、接続対象装置20が行う様に構成されても良い。このように構成された接続対象装置20は、図6のステップS205の認証処理において認証に失敗すると、自装置のBDアドレスやデバイスネームを含むエラーメッセージを、通信装置10に対して送信することによって、認証に失敗したことを通知する(ステップS206’)。通信装置10の通信接続部102は、接続対象装置20からこの通知を受けると、接続対象装置20のBDアドレスやデバイスネームを含むエラーメッセージを作成し、エラーメッセージをメール送信部105へ通知する。以降の処理は、上述した通りとなる。
【0045】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…認証情報設定システム, 10…通信装置, 101…初期PINコード記憶部(初期認証情報記憶部), 102…通信接続部(認証部), 103…メールアドレス記憶部, 104…メールフォーマット記憶部, 105…メール送信部, 106…メール受信部, 107…PINコード設定部(認証情報抽出部), 108…設定制御部, 20…接続対象装置(他の通信装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたメールアドレスを記憶するメールアドレス記憶部と、
予め設定された電子メールのフォーマットデータを記憶するメールフォーマット記憶部と、
他の通信装置との間で認証処理を行う認証部と、
前記認証部が認証に失敗した場合に、前記メールアドレス記憶部に記憶されるメールアドレス宛に、前記メールフォーマット記憶部に記憶されるフォーマットデータに基づいた第一電子メールを送信するメール送信部と、
前記メール送信部から送信された前記第一電子メールに応じて作成され、前記他の通信装置との間の認証処理に用いられる認証情報を含む第二電子メールを受信するメール受信部と、
前記メール受信部によって受信された前記第二電子メールから前記認証情報を抽出する認証情報抽出部と、
を備え、
前記認証部は、認証に失敗した後、前記認証情報抽出部によって抽出された前記認証情報を用いて前記他の通信装置との間で認証処理を行う、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
予め設定された初期認証情報を記憶する初期認証情報記憶部をさらに備え、
前記認証部は、前記認証情報抽出部によって抽出された前記認証情報が無い場合に、前記初期認証情報記憶部に記憶される前記初期認証情報を用いて、前記他の通信装置との間で前記認証処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第一電子メールのヘッダ部分のうち返信宛先を表すヘッダ部分には、前記第二電子メールの送信先のメールアドレスが設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−210031(P2011−210031A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77424(P2010−77424)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】