説明

通報システム、通報装置、通報制御方法、ならびに、プログラム

【課題】侵入者の種類に従って適切に通報する。
【解決手段】検知部101は、検知エリア内に侵入した侵入者を検知する。制御部108は、検知部101により検知された侵入者を分類する。また、制御部108は、分類結果に基づいて、検知エリアを撮像することを指示する。撮像部102は、制御部108による指示に従って、検知エリアを撮像して、当該検知エリア内の様子を表す画像を生成する。通報部105は、撮像部102により生成された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入者の種類に従って適切に通報するのに好適な通報システム、通報装置、通報制御方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例年、桃やさくらんぼのような高額な農作物の盗難被害が多発している。このような盗難の典型的な手口は、侵入者が深夜に圃場に車で乗りつけて、短時間に収穫するというものである。また、生産資材置き場から、銅やアルミニウムなどの高額な資材が盗難される事件も多発している。
【0003】
これらの犯罪に対する対策として、例えば、特許文献1に開示されるような警備/監視システムを設置することが考えられる。特許文献1に開示された警備/監視システムは、以下に示すように構成されている。すなわち、警備/監視区域内に少なくとも1つ設置された侵入センサにより侵入者が検知されると、撮像手段を動作させて所定の区域の画像と音声を収集する。収集された画像信号と音声信号とは記録手段に記録される。また、侵入者の検知に応答して、侵入者の存在をダイヤラーによりインターネット等の通信回線を介して、予め設定されている被通知者に通知するとともに画像信号と音声信号とを送信する。被通知者側では、受信した画像と音声をモニタに表示、出力して異常状態を連絡、通知する。被通知者は、モニタを確認して、侵入者による被害を防止するため警察や警備会社に通報して、警察官や警備員に現地に急行してもらう。なお、補助電源は、警備/監視区域内の設備用の電源が侵入者により切断された場合に、自動的に動作して設備用の電源として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−317175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される警備/監視システムは、侵入者が人間であるか動物であるか、もしくは、侵入者が立ち入りを許可されている人物であるか否かなどを考慮して通報するものではなかった。従って、通報されることが望まれない場合(例えば、侵入者が動物である場合や、侵入者が立ち入りを許可されている人間である場合)であっても通報されていた。このため、侵入者の種類に従って適切に通報することが可能な技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、侵入者の種類に従って適切に通報するのに好適な通報システム、通報装置、通報制御方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る通報システムは、
検知エリア内に侵入した侵入者を検知する検知手段、
前記検知手段により検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、前記検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って、前記検知エリアを撮像して、当該検知エリア内の様子を表す画像を生成する撮像手段、
前記撮像手段により生成された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、を備える、
ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る通報装置は、
所定の周期毎に、侵入者を検知することを指示する検知指示手段、
前記検知指示手段による指示に従って検知エリア内に侵入した侵入者が検知された場合に、検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、当該検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って撮像された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る通報制御方法は、
検知手段、分類手段、撮像指示手段、撮像手段、通報手段を備える通報システムが実行する通報制御方法であって、
前記検知手段が、検知エリア内に侵入した侵入者を検知する検知ステップ、
前記分類手段が、前記検知手段により検知された侵入者を分類する分類ステップ、
前記撮像指示手段が、前記分類手段による分類結果に基づいて、前記検知エリアを撮像することを指示する撮像指示ステップ、
前記撮像手段が、前記撮像指示手段による指示に従って、前記検知エリアを撮像して、当該検知エリア内の様子を表す画像を生成する撮像ステップ、
前記通報手段が、前記撮像手段により生成された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報ステップ、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
所定の周期毎に、侵入者を検知することを指示する検知指示手段、
前記検知指示手段による指示に従って検知エリア内に侵入した侵入者が検知された場合に、検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、当該検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って撮像された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、侵入者の種類に従って適切に通報するのに好適な通報システム、通報装置、通報制御方法、ならびに、これらをコンピュータ上で実現するためのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る通報システムが実行する通報制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る通報システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る通報システムが実行する通報制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例に係る通報システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る通報システムが実行する通報制御処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態の変形例に係る通報システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る通報システムについて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る通報システム100の構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、通報システム100は、検知部101と、撮像部102と、画像記憶部103と、アドレス記憶部104と、通報部105と、計時部106と、現在時刻記憶部107と、制御部108と、閾値記憶部109と、を備える。また、通報システム100は、電子メールなどにより通報先端末装置200と通信可能である。通報システム100は、所定の条件を満たす侵入者を検知した場合、当該侵入者を検知したことなどを通報先端末装置200に通報する。
【0016】
検知部101は、周囲の温度と温度差のある人間や動物(害獣)などの侵入者が検知エリア内で動いたときに、その温度変化により侵入者を検知する。本実施形態においては、検知部101は、検知エリア内に侵入者がいるかいないかを示す情報のほか、検知エリア内の温度変化を表す情報を表す信号を検知結果として出力する。検知部101は、例えば、検知エリアが1〜2メートル程度であって、電池で動作する人感センサにより構成することができる。なお、本実施形態においては、検知エリアは、果樹園の一角であるものとする。
【0017】
撮像部102は、外部から撮像指示を受けると撮像し、撮像により得られた画像を表す情報(以下、適宜、「画像を表す情報」を単に「画像」という。)を出力する。例えば、撮像部102は、生成される画像の種類や予算に応じて、以下に示す(a)〜(c)のいずれかのカメラにより構成することができる。(a)電池で動作する数10万画素程度の小型のデジタルカメラ。(b)360度をパノラマ的に撮像可能な超広角カメラ。(c)赤外線カメラ。
(a)のカメラは、比較的低コストで購入できる。(b)のカメラは、被写体を確実に撮像することができる。(c)のカメラは、侵入者に気付かれずに撮像することができる。
なお、撮像部102により撮像されるエリアは、検知部101の検知エリアと一致するエリアでもよいし、当該検知エリアを含むエリアでもよいし、当該検知エリアの一部のエリアでもよい。
【0018】
画像記憶部103は、撮像部102により生成された画像を記憶する。画像記憶部103は、画像を記憶可能であれば何でも良いが、例えば、フラッシュメモリとすることができる。
【0019】
アドレス記憶部104は、緊急時に通報する連絡先のアドレスを記憶する。本実施形態においては、アドレス記憶部104に記憶されるアドレスは、通報先端末装置200の電子メールアドレスとする。アドレス記憶部104は、例えば、フラッシュメモリにより実現可能である。
【0020】
通報部105は、外部から通報指示を受けると、画像記憶部103に記憶されている画像と、現在時刻記憶部107に記憶されている撮像日時と、制御部108から供給される侵入者の種類を表す情報(以下、適宜、「侵入者の種類を表す情報」を単に「侵入者の種類」という。)とを、アドレス記憶部104に記憶されているアドレスで特定される通報先に通報する。通報部105は、例えば、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)により実現可能である。本実施形態においては、通報部105は、電子メールにより通報先に通報する。
【0021】
計時部106は、あらかじめ設定された時間間隔毎に現在時刻を表す情報(以下、適宜、「現在時刻を表す情報」を単に「現在時刻」という。)を出力する。計時部106は、ボタン電池などにより駆動されるものでよい。また、現在時刻は、例えば、西暦、月日、時分秒により表される。現在時刻を表す情報が出力される時間間隔は、予想される侵入者の滞在時間や、ボタン電池の寿命などにより定められる。例えば、検知エリアが果樹園である場合、侵入者が特定の果樹の実の前に立つ時間は、せいぜい数秒であると考えられる。従って、当該時間間隔は、数秒程度の短い時間に設定される。一方、例えば、検知エリアが、こじ開けるのに1分以上要する鍵で施錠された出入口である場合、侵入者は検知エリアに1分以上滞在することが予想される。このような場合、当該時間間隔は、1分程度の長い時間に設定される。このとき、ボタン電池の寿命が長くなることが期待される。計時部106は、例えば、水晶発振子を備える発振回路により構成されるタイマーにより実現可能である。
【0022】
現在時刻記憶部107は、計時部106により出力された現在時刻を記憶する。現在時刻記憶部107に記憶されている現在時刻は、計時部106から現在時刻が出力される度に上書きされる。なお、撮像時に現在時刻記憶部107に記憶されている現在時刻は、撮像時刻と考えることができる。現在時刻記憶部107は、例えば、フラッシュメモリにより実現可能である。
【0023】
制御部108は、計時部106から現在時刻が出力される毎に、以下の(A)〜(D)の処理を順次実行する。(A)検知部101に侵入者を検知することを指示する信号を出力し、検知エリア内に侵入者がいるかいないかを調べさせる。(B)侵入者がいると判別された場合、検知部101により出力された検知結果(すなわち、検知エリア内の温度変化)と、閾値記憶部109に記憶されている閾値とに基づいて、侵入者が人間であるか動物であるかを判別し、侵入者の種類を特定する。(C)撮像部102に、撮像することを指示する信号を出力する。(D)通報部105に、通報することを指示する信号を出力する。制御部108は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備えるマイクロコンピュータであってもよい。
【0024】
閾値記憶部109は、侵入者が人間であるか動物であるかを、それらの平熱体温で区別するための閾値を記憶する。果樹園を荒らす動物(野生動物、害獣)としては、シカ、サル、イノシシなどが考えられるが、これらの動物は人間よりも体温が高いことが一般的である。従って、例えば、閾値は37度に設定される。この場合、制御部108は、侵入者の温度が37度よりも高い場合は、侵入者は動物であると判別し、侵入者の温度が37度以下である場合は、侵入者は人間であると判別する。閾値記憶部109は、例えば、フラッシュメモリにより実現可能である。
【0025】
通報先端末装置200は、通報システム100から通報を受ける装置である。通報先端末装置200は、通報システム100が設置される果樹園から離れた場所にいる警備者に携帯され、もしくは、当該警備者が監視可能な場所に設置される。通報先端末装置200は、携帯電話やPHSなどにより実現可能である。通報先端末装置200は、通報受信部201を備える。図示しないが、通報先端末装置200は、通報に関する画像を表示するモニタ、通報に関する音声を出力するスピーカを備えてもよい。
【0026】
通報受信部201は、通報部105により送信された画像、撮像時刻、ならびに、侵入者の種類を受信する。通報受信部201により受信された情報は、画像、文字、音声などに変換され、警備者により確認される。
【0027】
次に、図2に示すフローチャートを用いて、通報システム100が実行する通報制御処理について説明する。通報システム100は、電源が投入されている間、図2に示す通報制御処理を継続して実行する。
【0028】
まず、計時部106は、検知時刻であるか否かを判別する(ステップS101)。なお、検知時刻は、あらかじめ設定された時間間隔で到来する時刻である。
【0029】
計時部106は、検知時刻であると判別すると(ステップS101:YES)、現在時刻を現在時刻記憶部107に記憶するとともに、現在時刻を制御部108に出力する(ステップS102)。計時部106は、検知時刻ではないと判別すると(ステップS101:NO)、検知時刻であるか否かを判別する処理(ステップS101)を再度実行する。
【0030】
一方、制御部108は、現在時刻を計時部106から受信すると、検知部101を用いて、侵入者を検知する(ステップS103)。具体的には、制御部108は、侵入者を検知することを指示する信号を検知部101に出力する。一方、検知部101は、制御部108からの検知指示に従って、検知エリアの温度を測定する。そして、検知部101は、測定された温度の変化に基づいて、検知エリア内の侵入者を検知する。そして、検知部101は、侵入者の有無と、検知エリアの温度変化とを表す検知結果を制御部108に送信する。
【0031】
制御部108は、ステップS103の処理を終了すると、検知部101から受信した検知結果に基づいて、侵入者の有無を判別する(ステップS104)。制御部108は、侵入者がいないと判別すると(ステップS104:NO)、通報制御処理を終了する。一方、制御部108は、侵入者がいると判別すると(ステップS104:YES)、侵入者の種類を特定する(ステップS105)。具体的には、制御部108は、検知部101から受信した検知結果により表される検知エリアの温度変化に基づいて、侵入者の温度を求め、求められた侵入者の温度が閾値記憶部109に記憶されている閾値よりも高いか否かを判別する。制御部108は、侵入者の温度が閾値よりも高いと判別した場合、侵入者は動物であると判別し、侵入者の温度が閾値以下であると判別した場合、侵入者は人間であると判別する。
【0032】
制御部108は、ステップS105の処理を終了すると、撮像部102を用いて、検知エリアを撮像する(ステップS106)。具体的には、制御部108は、撮像することを指示する信号を撮像部102に出力する。一方、撮像部102は、制御部108からの撮像指示に従って、検知エリアを撮像し、撮像したエリアの様子を表す画像を生成する。そして、撮像部102は、生成した画像を画像記憶部103に格納する。
【0033】
制御部108は、ステップS106の処理を終了すると、通報部105を用いて、通報先端末装置200に通報する(ステップS107)。具体的には、制御部108は、ステップS105で特定された侵入者の種類を通報部105に送信するとともに、通報することを指示する信号を通報部105に送信する。一方、通報部105は、制御部108による通報指示に従って、画像記憶部103に記憶されている画像と、現在時刻記憶部107に記憶されている撮像時刻と、制御部108から受信した侵入者の種類とが添付された電子メールを、アドレス記憶部104に記憶されている通報アドレスに送信する。
【0034】
制御部108は、ステップS107の処理を終了すると、通報制御処理を終了する。
【0035】
本実施形態に係る通報システム100は、検知エリアの様子を表す画像と当該画像の撮像時刻とともに、侵入者が人間であるか動物であるかを示す情報を通報先端末装置200に送信する。このため、通報システム100から離れた場所にいて、通報先端末装置200を携帯している警備者は、侵入者の種類に応じた措置をとることができる。例えば、警備者は、侵入者が人間である場合、直ちに現場に向かう、もしくは、警察に連絡するなどの措置をとる。侵入者が人間である場合、果樹園の全ての果樹が盗まれてしまう可能性が高く、早期に対応しなければならないと考えられるためである。一方、警備者は、侵入者が動物である場合、動物を撃退する準備をしてから現場に向かう、しばらく様子を見る、もしくは、放置するなどの措置をとる。侵入者が動物である場合、果樹園の全ての果樹が食べられてしまう可能性は低く、早期に対応しなければならない場合も少ないと考えられるためである。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る通報システム120について説明する。なお、第1の実施形態に係る通報システム100と同様の構成、動作については、適宜説明を省略または簡略化する。
まず、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る通報システム120の構成について説明する。
【0037】
図3に示すように、通報システム120は、検知部101と、撮像部102と、画像記憶部103と、アドレス記憶部104と、通報部105と、計時部106と、現在時刻記憶部107と、制御部108と、閾値記憶部109と、リスト記憶部110と、近距離通信部111と、を備える。つまり、通報システム120は、通報システム100が備える構成に加え、リスト記憶部110と近距離通信部111とをさらに備える。また、通報システム120は、電子メールによって通報先端末装置200と通信可能である。さらに、通報システム120は、携帯用通信装置300と無線通信が可能である。
【0038】
リスト記憶部110は、検知エリアへの立ち入りが許可されている人に与えられたIDのリストを記憶する。本実施形態においては、検知エリアへの立ち入りが許可されている人は、自分に与えられたIDを内部に保持する携帯用通信装置300を携帯して検知エリアに立ち入るものとする。リスト記憶部110は、例えば、フラッシュメモリにより実現可能である。
【0039】
近距離通信部111は、携帯用通信装置300が備える近距離通信部301と同種の近距離通信機構を備え、相互に電波到達範囲に接近すると近距離通信を行う。具体的には、近距離通信部111は、近距離通信部301に対してIDの送信を要求し、当該近距離通信部301から返信されたIDを受信する。そして、近距離通信部111は、受信したIDを制御部108に送信する。近距離通信部111は、ZigbeeやBluetoothなどの近距離無線通信規格に準拠する通信モジュールにより構成される。なお、近距離通信部111の電波到達範囲は、検知部101の検知範囲と同程度の範囲となるように調整されることが望ましい。また、近距離通信部111と検知部101とが近い位置に配置されることが望ましい。これにより、近距離通信部111は、検知部101で検知された侵入者が携帯する携帯用通信装置300が備える近距離通信部301と近距離通信が可能となり、当該侵入者が検知エリアへの立ち入りが許可された人であるか否かを判別することが可能となる。
【0040】
携帯通信装置300は、近距離通信部111と近距離通信を行う。携帯通信装置300は、検知エリアへの立ち入りが許可されている人により携帯される装置である。携帯通信装置300は、近距離通信部301を備える。
【0041】
近距離通信部301は、近距離通信部111と同種の近距離通信機構を備え、相互に電波到達範囲に接近すると近距離通信を行う。具体的には、近距離通信部301は、近距離通信部111からIDの送信要求を受信すると、内部に記憶されているIDを当該近距離通信部111に返信する。なお、近距離通信部301の内部に記憶されているIDは、検知エリアへの立ち入りが許可された人であって、当該近距離通信部301を備える携帯用通信装置300を携帯する人のIDである。近距離通信部301は、ZigbeeやBluetoothなどの近距離無線通信規格に準拠する通信モジュールにより構成される。
【0042】
次に、図4に示すフローチャートを用いて、通報システム120が実行する通報制御処理について説明する。通報システム120は、電源が投入されている間、図4に示す通報制御処理を継続して実行する。なお、ステップS201〜ステップS204までの処理は、図2におけるステップS101〜ステップS104までの処理と同様であるため説明を省略する。
【0043】
制御部108は、侵入者がいないと判別すると(ステップS204:NO)、通報制御処理を終了する。一方、制御部108は、侵入者がいると判別すると(ステップS204:YES)、近距離通信部111を用いて、携帯用通信装置300からIDを取得する(ステップS205)。具体的には、制御部108は、IDを取得することを指示する信号を近距離通信部111に送信する。一方、近距離通信部111は、IDを取得することを指示する信号を制御部108から受信すると、IDを送信することを指示する信号を近距離通信部301に送信する。これに対し、近距離通信部301は、IDを送信することを指示する信号を近距離通信部111から受信すると、内部に記憶されているIDを近距離通信部111に送信する。そして、近距離通信部111は、近距離通信部301から受信したIDを制御部108に転送する。制御部108は、近距離通信部111から送信されたIDを受信する。
【0044】
制御部108は、ステップS205の処理を終了すると、ステップS205において取得されたIDがリスト記憶部110に記憶されているリストにあるか否かを判別する(ステップS206)。なお、ステップS205においてIDが取得されなかった場合、取得されたIDがリストにない場合と同様に扱われる。制御部108は、取得されたIDがリストにあると判別した場合(ステップS206:YES)、通報制御処理を終了する。一方、制御部108は、取得されたIDがリストにないと判別した場合(ステップS206:NO)、侵入者の種類、つまり、侵入者が人間もしくは動物のいずれかであるかを特定する(ステップS207)。
【0045】
制御部108は、ステップS207の処理を終了すると、撮像部102を用いて、検知エリアを撮像する(ステップS208)。撮像により得られた画像は画像記憶部103に格納される。
【0046】
制御部108は、ステップS208の処理を終了すると、通報部105を用いて、通報先端末装置200に通報する(ステップS209)。具体的には、制御部108は、ステップS207で特定された侵入者の種類を通報部105に送信するとともに、通報することを指示する信号を通報部105に送信する。一方、通報部105は、制御部108による通報指示に従って、画像記憶部103に記憶されている画像と、現在時刻記憶部107に記憶されている撮像時刻と、制御部108から受信した侵入者の種類とが添付された電子メールを、アドレス記憶部104に記憶されている通報アドレスに送信する。
【0047】
制御部108は、ステップS209の処理を終了すると、通報制御処理を終了する。
【0048】
本実施形態に係る通報システム120は、検知エリアの様子を表す画像と当該画像の撮像時刻とともに、侵入者が人間であるか動物であるかを示す情報を通報先端末装置200に送信する。このため、通報先端末装置200を携帯している警備者は、侵入者の種類に応じた措置をとることができる。また、本実施形態に係る通報システム120においては、検知された侵入者が、果樹園のオーナー等の検知エリアへの立ち入りを許可された人間であるか否かが判別され、当該侵入者が、立ち入りが許可された人間であると判別された場合は、通報されない。このため、立ち入りが許可された人間を盗難者であるとして通報することを防ぐことができる。これにより、撮像コスト、通信コストなどを減らすことができる。また、一般的に、立ち入りが許可された人間が盗難者であるとして通報されることが続くと、立ち入りが許可されていない人間が検知されて通報された場合でも、通報先の警備者は、「また、立ち入りが許可された人間が検知されたのだろう」と認識してしまい、通報に対する措置を怠ってしまうことがある。しかしながら、本実施形態に係る通報システム120においては、真に通報すべき人間が検知された場合に通報がなされるので、このようなことがなくなることが期待される。
【0049】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態においては、侵入者が動物である場合、侵入者が人間である場合と同様に、通報される例を示した。しかしながら、侵入者が動物である場合には、通報されなくてもよい。以下、第1の実施形態の変形例に係る通報システム130について、図5、6を参照して説明する。
【0050】
第1の実施形態の変形例に係る通報システム130の構成を図5に示す。図5に示すように、通報システム130は、通報システム100とほぼ同様の構成であるが、侵入者の種類を示す情報が制御部108から通報部105に送信されないことが通報システム100とは異なる。侵入者の種類を示す情報が送信されないのは、侵入者が動物である場合は、そもそも通報されないためである。
【0051】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、通報システム130が実行する通報制御処理について説明する。通報システム130は、電源が投入されている間、図6に示す通報制御処理を継続して実行する。なお、ステップS301〜ステップS305までの処理は、図2におけるステップS101〜ステップS105までの処理と同様であるため説明を省略する。
【0052】
制御部108は、ステップS305の処理を終了すると、ステップS305で特定された侵入者の種類に基づいて、侵入者が人間であるか否かを判別する(ステップS306)。制御部108は、侵入者が人間ではないと判別すると(ステップS306:NO)、通報制御処理を終了する。一方、制御部108は、侵入者が人間であると判別すると(ステップS306:YES)、撮像部102を用いて、検知エリアを撮像する(ステップS307)。生成された画像は、画像記憶部103に格納される。
【0053】
制御部108は、ステップS307の処理を終了すると、通報部105を用いて、通報先端末装置200に通報する(ステップS308)。具体的には、制御部108は、通報することを指示する信号を通報部105に送信する。一方、通報部105は、制御部108による通報指示に従って、画像記憶部103に記憶されている画像と、現在時刻記憶部107に記憶されている撮像時刻とを、アドレス記憶部104に記憶されている通報アドレスに送信する。
【0054】
制御部108は、ステップS308の処理を終了すると、通報制御処理を終了する。
【0055】
本実施形態に係る通報システム130は、侵入者が人間であるか動物であるかが判別され、侵入者が人間である場合は通報され、侵入者が動物である場合は通報されない。一方、上述のように、侵入者が動物である場合、果樹園の全ての果樹が食べられてしまう可能性は低く、早期に対応しなければならない場合も少ないと考えられる。このため、侵入者が動物である場合、撮像コスト、通信コストの削減のため、通報されない。また、一般的に、動物によるささいな盗難について通報されることが続くと、人間による重大な盗難について通報された場合でも、通報先の警備者は、「また、動物により果樹が少し盗まれているだけだろう」と認識してしまい、通報に対する措置を怠ってしまうことがある。しかしながら、本実施形態に係る通報システム130においては、人間が検知された場合に通報がなされるので、このようなことがなくなることが期待される。
【0056】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態においては、侵入者が検知されてから警備者などに通報されるまでの処理を実現する構成について説明した。しかし、本発明に係る通報システムは、通報を受けた警備者などによる指示に従って、侵入者に警告するモジュールを備えてもよい。以下、図面を参照して第2の実施形態の変形例に係る通報システム140について説明する。
【0057】
図7は、第2の実施形態の変形例に係る通報システム140の構成を示すブロック図である。図7に示すように、通報システム140は、第2の実施形態に係る通報システム120が警告信号受信部112をさらに備える構成である。ここで、通報先端末装置200は、通報受信部201に加え、警告信号送信部202をさらに備えるものとして説明する。
【0058】
警告信号受信部112は、警告信号送信部202から、侵入者に警告を発する旨の電気信号(以下「警告信号」という。)を受信したことに応答して、侵入者に警告を発する。例えば、警告信号受信部112は、警告信号送信部202から受信した音声データを物理振動に変換して、音声を出力するスピーカにより構成される。あるいは、警告信号受信部112は、警告信号送信部202からアラームを出力することを指示する電気信号を受信したことに応答して、アラームを出力するサイレンにより構成される。
【0059】
警告信号送信部202は、通報を受けた警告者などの指示に従って警告信号を生成し、生成された警告信号を警告信号受信部112に送信する。警告信号送信部202が生成する警告信号は、通報を受けた警告者から発声された音声を表す電気信号であってもよいし、アラームを鳴らす旨を指示する電気信号であってもよい。
【0060】
通報システム140によれば、侵入者が検知された後、警告者などにより侵入者に警告を発することが決定された場合に、直ちに警告が発せられる。このため、侵入者を検知エリアから追い払い、さらなる盗難を防ぐことが期待される。
【0061】
第1、2の実施形態においては、体温が人間よりも高い動物が人間と区別される例を説明した。しかし、本発明に係る通報システムによれば、体温が人間よりも低い動物が人間と区別されるようにすることもできる。この場合、例えば、人間の体温として考えられる温度で最も低い温度が閾値に設定される。そして、侵入者の体温が閾値よりも高い場合に侵入者が人間であると判別され、侵入者の体温が閾値以下である場合に侵入者が動物であると判別される。
【0062】
また、本発明に係る通報システムによれば、体温が人間よりも高い動物ならびに体温が人間よりも低い動物が人間と区別されるようにすることもできる。この場合、人間の体温として考えられる温度で最も高い温度が第1の閾値に設定され、人間の体温として考えられる温度で最も低い温度が第2の閾値に設定される。そして、侵入者の体温が第1の閾値よりも低く第2の閾値よりも高い場合に侵入者が人間であると判別され、その他の場合に侵入者が動物であると判別される。
【0063】
本発明に係る通報システムは、第1、2の実施形態や変形例において説明した構成に限られない。例えば、通報システムを、通報システム100から現在時刻記憶部107を除外した構成とすることもできる。あるいは、通報システムを、通報システム120から閾値記憶部109を除外した構成とすることもできる。また、通報システムが備える各モジュールが担う機能を、他のモジュールが担うように、各モジュールが構成されていてもよい。例えば、第1、2の実施形態においては、制御部108は、検知部101から出力された検知結果(すなわち、検知エリア内の温度変化)に基づいて、侵入者が人間であるか動物であるかを判別する例を示した。しかし、検知部101が、侵入者が人間であるか動物であるかを判別するようにしてもよい。また、例えば、第2の実施形態のおいては、制御部108が、近距離通信部111から供給されたIDがリスト記憶部110に記憶されているIDリストにあるか否かを判別していた。しかし、近距離通信部111が、近距離通信部301から供給されたIDがリスト記憶部110に記憶されているIDリストにあるか否かを判別してもよい。
【0064】
第1、2の実施形態においては、電子メールにより、通報部105から通報受信部201に通報される例を示した。しかし、電子メール以外の通信手段(各種の無線通信もしくは有線通信)により、通報部105から通報受信部201に通報されるようにしてもよい。また、警告信号送信部202から警告信号受信部112への通信手段として、各種の無線通信もしくは有線通信を採用することができる。
【0065】
なお、本発明に係る通報システムは、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いても実現可能である。例えば、コンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶して配布し、これをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する通報システムを構成しても良い。
【0066】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを記憶しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、侵入者の種類に従って適切に通報する通報装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100、120、130、140 通報システム
101 検知部
102 撮像部
103 画像記憶部
104 アドレス記憶部
105 通報部
106 計時部
107 現在時刻記憶部
108 制御部
109 閾値記憶部
110 リスト記憶部
111 近距離通信部
112 警告信号受信部
200 通報先端末装置
201 通報受信部
202 警告信号送信部
300 携帯用通信装置
301 近距離通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリア内に侵入した侵入者を検知する検知手段、
前記検知手段により検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、前記検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って、前記検知エリアを撮像して、当該検知エリア内の様子を表す画像を生成する撮像手段、
前記撮像手段により生成された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、を備える、
ことを特徴とする通報システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記検知エリア内の温度の変化に基づいて、当該検知エリア内に侵入した侵入者を検知し、
前記分類手段は、前記検知エリア内の温度の変化に基づいて、前記侵入者の体温を推定し、推定された体温が所定の温度範囲内である場合に当該侵入者を人間に分類し、当該推定された体温が当該所定の温度範囲外である場合に当該侵入者を動物に分類し、
前記通報手段は、前記撮像手段により生成された画像を表す情報と、前記分類手段による分類結果を表す情報とを前記連絡先に通報する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通報システム。
【請求項3】
前記検知手段は、前記検知エリア内の温度の変化に基づいて、当該検知エリア内に侵入した侵入者を検知し、
前記分類手段は、前記検知エリア内の温度の変化に基づいて、前記侵入者の体温を推定し、推定された体温が所定の温度範囲内である場合に当該侵入者を人間に分類し、当該推定された体温が当該所定の温度範囲外である場合に当該侵入者を動物に分類し、
前記撮像指示手段は、前記分類手段により前記侵入者が人間に分類された場合に、前記検知エリアを撮像することを指示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通報システム。
【請求項4】
前記分類手段は、
前記検知エリアへの侵入が許可された人間のIDが登録されているリストを記憶する記憶手段、
前記検知手段により前記侵入者が検知された場合、当該侵入者が備える通信装置から、当該侵入者を特定するIDを受信する受信手段、
前記受信手段により受信されたIDが、前記記憶手段に記憶されているリストに登録されているIDのいずれとも一致しない場合に、前記侵入者が、前記検知エリアへの侵入が許可されている人間ではないと判別する判別手段、を備え、
前記撮像指示手段は、前記受信手段により前記IDが受信できない場合、もしくは、前記判別手段により前記侵入者が前記検知エリアへの侵入が許可されている人間ではないと判別された場合、当該検知エリアを撮像することを指示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通報システム。
【請求項5】
所定の周期毎に、侵入者を検知することを指示する検知指示手段、
前記検知指示手段による指示に従って検知エリア内に侵入した侵入者が検知された場合に、検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、当該検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って撮像された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、を備える、
ことを特徴とする通報装置。
【請求項6】
検知手段、分類手段、撮像指示手段、撮像手段、通報手段を備える通報システムが実行する通報制御方法であって、
前記検知手段が、検知エリア内に侵入した侵入者を検知する検知ステップ、
前記分類手段が、前記検知手段により検知された侵入者を分類する分類ステップ、
前記撮像指示手段が、前記分類手段による分類結果に基づいて、前記検知エリアを撮像することを指示する撮像指示ステップ、
前記撮像手段が、前記撮像指示手段による指示に従って、前記検知エリアを撮像して、当該検知エリア内の様子を表す画像を生成する撮像ステップ、
前記通報手段が、前記撮像手段により生成された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報ステップ、を備える、
ことを特徴とする通報制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
所定の周期毎に、侵入者を検知することを指示する検知指示手段、
前記検知指示手段による指示に従って検知エリア内に侵入した侵入者が検知された場合に、検知された侵入者を分類する分類手段、
前記分類手段による分類結果に基づいて、当該検知エリアを撮像することを指示する撮像指示手段、
前記撮像指示手段による指示に従って撮像された画像を表す情報を予め定められた連絡先に通報する通報手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−43959(P2011−43959A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191060(P2009−191060)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】