説明

連続性検知方法および装置

【課題】二つの空間の連続性の変化を、少ない演算量で検知する。
【解決手段】連続性検知装置10は、マイクロホン11から入力される信号における所定の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタ回路26と、バンドパスフィルタ回路26を経た信号をデジタル形式に変換する第1のA/D変換器27と、第1のA/D変換器27を経た信号における所定値以下の周波数の通過を阻止して該信号の揺らぎ成分を除去する第1のハイパスフィルタ回路16と、第1のハイパスフィルタ回路16を経た信号の絶対値をとる第1の全波整流回路17と、第1の全波整流回路17を経た信号の波形についての非線形な変換処理を施す第1の非線形フィルタ回路19と、第1の非線形フィルタ回路19を経た信号を利用して、第1の全波整流回路17を経た信号の値を調べ、該信号が第1の閾値を超えたことを条件に、二つの空間の連続性が有ると判定する判定処理部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ等の目的で用いられ、ドアの開閉や窓破り等、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を検知する連続性検知方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家やビルまたは自動車等のセキュリティ目的で、ドアの開閉や窓破り等、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を検知する連続性検知装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている連続性検知装置は、音を拾うマイクロホンと、このマイクロホンからの信号を選別するフィルタ回路と、このフィルタ回路を経た信号の形式をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、このA/D変換器を経た信号に基づいて連続性の変化を判別する判別回路と、を備えている。この連続性検知装置は、帰納的な学習手法を採用しており、ドアの開閉音等の検知対象となる音情報、およびエアコンの動作音等の検知対象とならない音情報を、それぞれ記憶している。このような連続性検知装置では、記憶している音情報とマイクロホンで拾った音とのパターンマッチングをすることで、連続性の変化を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−071773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の連続性検知装置では、検知精度を高めるために多くの音情報を記憶しておく必要がある。また、記憶しておく音情報の数が多くなればなるほど、パターンマッチングに要する演算時間が長くなる。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、少ない演算量で検知する連続性検知方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、一方の該空間内に配置されたマイクロホンからの信号に基づいて検知する連続性検知装置であって、前記マイクロホンからの前記信号が入力され、該信号における所定の周波数帯域を通過させる第1のフィルタと、前記第1のフィルタを経た前記信号が入力され、該信号の絶対値をとる第1の全波整流処理部と、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第1の閾値を超えたことを条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定する判定処理部と、を備えることを特徴とする、連続性検知装置である。
【0008】
本発明によれば、第1のフィルタを、ドアの開閉時や窓破り時に発生するような所望の周波数帯域、例えば、中心周波数が4Hzで、帯域幅が1Hzとなる周波数帯域を通すように設定することで、パターンマッチング等の演算量の多い演算を行うことなく、少ない演算量で、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化、すなわち、ドアの開閉や窓破り等を検知できる。
【0009】
(2)本発明はまた、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号が入力され、該信号の波形についての非線形な変換処理を施す第1の非線形フィルタを備え、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、上記(1)に記載の連続性検知装置である。
【0010】
(3)本発明はまた、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第2の閾値を超えたことを更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、上記(2)に記載の連続性検知装置である。
【0011】
上記発明によれば、第1の非線形フィルタで波形についての非線形な変換処理が施された信号を、判定基準に用いるから、高い精度で検知でき、さらに、パターンマッチングのように複雑な処理ではないので、簡単な処理で検知できる。
【0012】
(4)本発明はまた、前記マイクロホンからの前記信号が入力され、該信号について前記第1のフィルタと比較して低い周波数を通過させる第2のフィルタと、前記第2のフィルタを経た前記信号が入力され、該信号の絶対値をとる第2の全波整流処理部と、を備え、前記判定処理部は、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値の上昇を更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、上記(3)に記載の連続性検知装置である。
【0013】
上記発明によれば、第2のフィルタを、ドアの開閉時や窓破り時に発生はするものの二つの空間を隔てる壁面を通りにくい所望の遮断周波数、例えば1Hzに設定することで、隣室や隣の車のドアの開閉を誤検知することを防止できる。また、二つの帯域について調べるので、個々の判定についての精度を高めなくとも、全体としては誤検知を防止できる。これは、一方の帯域について誤った判定をした場合であっても、もう一方の帯域について条件を満たさない限り誤検知をしないからである。
【0014】
(5)本発明はまた、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号が入力され、該信号の波形についての非線形な変換処理を施す第2の非線形フィルタを備え、前記判定処理部は、前記第2の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第2の全波整流処理部を経た後であって前記第2の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、上記(4)に記載の連続性検知装置である。
【0015】
(6)本発明はまた、前記第1のフィルタを経た後であって前記第1の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第1の揺らぎ除去フィルタを備え、前記第1の全波整流処理部には、前記第1の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(5)に記載の連続性検知装置である。
【0016】
(7)本発明はまた、前記第2のフィルタを経た後であって前記第2の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第2の揺らぎ除去フィルタを備え、前記第2の全波整流処理部には、前記第2の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(5)または(6)に記載の連続性検知装置である。
【0017】
(8)本発明はまた、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号が入力され、該信号における所定値以上の周波数の通過を阻止して該信号の波形を平滑化する平滑処理部を備え、前記第1の非線形フィルタには、前記平滑処理部を経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の連続性検知装置である。
【0018】
(9)本発明はまた、前記判定処理部が、前記二つの空間の連続性の変化を判定した場合に、その旨の信号を出力する出力制御処理部を備えることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の連続性検知装置である。
【0019】
(10)本発明はまた、PSoCで実現されることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の連続性検知装置である。
【0020】
上記発明によれば、簡単かつ低コストに連続性検知装置を実現できる。
【0021】
(11)本発明はまた、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、一方の該空間内に配置されたマイクロホンからの信号に基づいて検知する連続性検知方法であって、第1のフィルタにおいて、前記マイクロホンからの信号における所定の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタのステップと、第1の全波整流処理部において、前記第1のフィルタを経た前記信号の絶対値をとる第1整流ステップと、判定処理部において、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第1の閾値を超えたことを条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする、連続性検知方法である。
【0022】
(12)本発明はまた、第1の非線形フィルタにおいて、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の波形についての非線形な変換処理を施す第1非線形変換ステップを備え、前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、上記(11)に記載の連続性検知方法である。
【0023】
(13)本発明はまた、前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第2の閾値を超えたことを更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、上記(12)に記載の連続性検知方法である。
【0024】
(14)本発明はまた、第2のフィルタにおいて、前記マイクロホンからの前記信号について前記第1のフィルタと比較して低い周波数を通過させるローパスフィルタのステップと、第2の全波整流処理部において、前記第2のフィルタを経た前記信号の絶対値をとる第2整流ステップと、を備え、前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値の上昇を更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、上記(13)に記載の連続性検知方法である。
【0025】
(15)本発明はまた、第2の非線形フィルタにおいて、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の波形についての非線形な変換処理を施す第2非線形変換ステップを備え、前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第2の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第2の全波整流処理部を経た後であって前記第2の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、上記(14)に記載の連続性検知方法である。
【0026】
(16)本発明はまた、第1の揺らぎ除去フィルタにおいて、前記第1のフィルタを経た後であって前記第1の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第1揺らぎ除去ステップを備え、前記第1整流ステップにおいて、前記第1の全波整流処理部には、前記第1の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(15)に記載の連続性検知方法である。
【0027】
(17)本発明はまた、第2の揺らぎ除去フィルタにおいて、前記第2のフィルタを経た後であって前記第2の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第2揺らぎ除去ステップを備え、前記第2整流ステップにおいて、前記第2の全波整流処理部には、前記第2の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(15)または(16)に記載の連続性検知方法である。
【0028】
(18)本発明はまた、平滑処理部において、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号における所定値以上の周波数の通過を阻止して該信号の波形を平滑化する平滑ステップを備え、前記第1ノイズ除去ステップにおいて、前記第1の非線形フィルタには、前記平滑処理部を経た前記信号が入力されることを特徴とする、上記(15)〜(17)のいずれかに記載の連続性検知方法である。
【0029】
(19)本発明はまた、出力制御処理部において、前記判定処理部が、前記二つの空間の連続性の変化を判定した場合に、その旨の信号を出力する出力ステップを備えることを特徴とする、上記(11)〜(18)のいずれかに記載の連続性検知方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の上記(1)〜(10)に記載の連続性検知装置および上記(11)〜(19)に記載の連続性検知方法によれば、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、少ない演算量で検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の連続性検知装置を備える防犯システムの概略図である。
【図2】図1に示す連続性検知装置の概略を示すブロック図である。
【図3】図1に示す連続性検知装置による検知手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係る連続性検知装置10について詳細に説明する。
【0033】
まず、図1および図2を用いて連続性検知装置10の構成について説明する。図1は、連続性検知装置10を備える防犯システム13の概略図である。図2は、連続性検知装置10の概略を示すブロック図である。
【0034】
図1に示す連続性検知装置10は、自動車や家屋等の室内に設置され、ドアの開閉や窓破り等、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を検知する。この連続性検知装置10は、室内に設置されたマイクロホン11と、スピーカ等の報知装置12と、と共に防犯システム13を構成する。連続性検知装置10は、マイクロホン11で拾われた音を解析してドアの開閉や窓破り等を検知した場合に、その旨の信号を報知装置12に出力する。
【0035】
報知装置12は、連続性検知装置10からの信号に基づいて、ドアの開閉や窓破り等を報知する。報知装置12は、報知解除手段を備えており、所定の操作によって報知を解除できる。
【0036】
図2に示すように、連続性検知装置10は、PSoC(Programmable System-on-Chip)15と、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Monitor)24と、出力制御回路25と、を備えている。以下、上記各構成要素を説明する。
【0037】
(PSoC)PSoC15は、サイプレス・セミコンダクター社(米国カリフォルニア州サンノゼ)が市販するマイクロコントローラであり、8ビットマイクロプロセッサと、デジタル集積回路と、アナログ集積回路と、を備えている(いずれも図示省略)。8ビットマイクロプロセッサは、ソフトウエアを動作させるハードウエアであり、演算器と、周辺回路と、命令や情報を格納するメモリと、を備えている(いずれも図示省略)。デジタル集積回路は、デジタル信号の入出力を行うと共に、プログラムされたデジタル信号処理を実行する。アナログ集積回路は、アナログ信号の入出力を行うと共に、プログラムされたアナログ信号処理を実行する。
【0038】
このようなPSoC15によれば、所望の回路が容易に構築される。本実施形態において、PSoC15におけるアナログ集積回路は、第1のフィルタ回路として機能するバンドパスフィルタ回路(BPF回路)26と、第1のA/D変換器27と、第2のフィルタ回路として機能するローパスフィルタ回路(LPF回路)28と、第2のA/D変換器29と、を構築している。
【0039】
また、PSoC15における8ビットマイクロプロセッサは、第1のハイパスフィルタ回路(第1のD−HPF回路)16と、第1の全波整流回路(第1のD−IDEAL−D回路)17と、平滑回路(D−LPF回路)18と、第1の非線形フィルタ回路(第1のD−FRSD−LPF回路)19と、第2のハイパスフィルタ回路(第2のD−HPF回路)20と、第2の全波整流回路(第2のD−IDEAL−D回路)21と、第2の非線形フィルタ回路(第2のD−FRSD−LPF回路)22と、判定処理部23と、として機能するソフトウエアを動作させる。
【0040】
なお、16〜23は、ソフトウエアによる処理であって、実際には「回路」ではない。ただし、16〜23は、「回路」と等価の処理であるので、本願書類においては「回路」として表現し、理解を容易にしている。
【0041】
バンドパスフィルタ回路26は、2次バンドパスフィルタであり、中心周波数を4Hz、帯域幅を1Hzにそれぞれ設定している。このバンドパスフィルタ回路26は、マイクロホン11から入力されるアナログ信号について、予め設定されている周波数帯域を通過させる。
【0042】
第1のA/D変換器27は、標本化周波数(サンプリング周波数)を20Hzに設定している。この第1のA/D変換器27は、バンドパスフィルタ回路26を通過したアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0043】
ローパスフィルタ回路28は、2次バタワース特性のローパスフィルタであり、遮断周波数を、バンドパスフィルタ回路26における中心周波数の4Hzより低い1Hzに設定している。このローパスフィルタ回路28は、マイクロホン11から入力されるアナログ信号について、予め設定されている1Hz以上の周波数の通過を阻止して残りの成分を通過させる。
【0044】
第2のA/D変換器29は、標本化周波数を20Hzに設定している。この第2のA/D変換器29は、ローパスフィルタ回路28を通過したアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
【0045】
(第1のハイパスフィルタ回路)第1のハイパスフィルタ回路16は、オフセット/ドリフト除去用であり、入力信号に直列するコンデンサと、入力信号に並列する抵抗器と、を備えている(いずれも符号省略)。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第1のハイパスフィルタ回路16は、IIR型(無限インパルス応答型)であり、遮断周波数を0.05Hzに設定している。第1のハイパスフィルタ回路16は、第1のA/D変換器27から入力される信号について、予め設定されている0.05Hz以下の周波数の通過を阻止して揺らぎ成分を除去する。このように、第1のハイパスフィルタ回路16は、第1の揺らぎ除去フィルタとして機能する。
【0046】
(第1の全波整流回路)第1の全波整流回路17は、理想ダイオードに相当する4つの整流素子(符号省略)を備えている。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第1の全波整流回路17は、第1のハイパスフィルタ回路16から入力される信号について絶対値をとる。
【0047】
(平滑回路)平滑回路18は、入力信号に直列する抵抗器と、入力信号に並列するコンデンサと、を備えている。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。平滑回路18は、IIR型であり、遮断周波数を0.6Hzに設定している。平滑回路18は、第1の全波整流回路17から入力される信号について、予め設定されている0.6Hz以上の周波数の通過を阻止して波形を平滑化する。
【0048】
(第1の非線形フィルタ回路)第1の非線形フィルタ回路19は、理想ダイオードに相当する2つの整流素子と、2つの抵抗器と、コンデンサと、を備えている(いずれも符号省略)。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第1の非線形フィルタ回路19は、一次遅れ要素のIIR型ローパスフィルタを変形したものである。第1の非線形フィルタ回路19は、立ち上がり時定数を、立ち下がり時定数より小さく設定し、立ち上がりを速くし、立ち下がりを遅くしている。第1の非線形フィルタ回路19は、平滑回路18から入力される信号について、波形についての非線形な変換処理を施す。
【0049】
(第2のハイパスフィルタ回路)第2のハイパスフィルタ回路20は、オフセット/ドリフト除去用であり、入力信号に直列するコンデンサと、入力信号に並列する抵抗器と、を備えている(いずれも符号省略)。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第2のハイパスフィルタ回路20は、IIR型であり、遮断周波数を0.05Hzに設定している。第2のハイパスフィルタ回路20は、第2のA/D変換器29から入力される信号について、予め設定されている0.05Hz以下の周波数の通過を阻止して揺らぎ成分を除去する。このように、第2のハイパスフィルタ回路20は、第2の揺らぎ除去フィルタとして機能する。
【0050】
(第2の全波整流回路)第2の全波整流回路21は、理想ダイオードに相当する4つの整流素子(符号省略)を備えている。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第2の全波整流回路21は、第2のハイパスフィルタ回路20から入力される信号について絶対値をとる。
【0051】
(第2の非線形フィルタ回路)第2の非線形フィルタ回路22は、理想ダイオードに相当する2つの整流素子と、2つの抵抗器と、コンデンサと、を備えている(いずれも符号省略)。実際には、これらを備えている場合と等価の処理がソフトウエアで可能である。第2の非線形フィルタ回路22は、一次遅れ要素のIIR型ローパスフィルタを変形したものである。第2の非線形フィルタ回路22は、立ち上がり時定数を、立ち下がり時定数より小さく設定し、立ち上がりを速くし、立ち下がりを遅くしている。第2の非線形フィルタ回路22は、第2の全波整流回路21から入力される信号について、波形についての非線形な変換処理を施す。
【0052】
(判定回路)判定処理部23は、平滑回路18、第1の非線形フィルタ回路19、第2の全波整流回路21、第2の非線形フィルタ回路22のそれぞれから入力される信号に基づいて、後述する3つの条件を全て満たす場合に、互いに隣接する二つの空間の連続性が有ると判定し、その旨の判定信号を出力制御回路25に出力する。
【0053】
判定処理部23は、平滑回路18から入力される信号の値が第1の閾値を超えたこと、すなわち、4Hzの音の所定値以上のピーク(山)が検出されたことを、1つ目の条件とする。判定処理部23は、第1の非線形フィルタ回路19から入力される信号を利用して、平滑回路18から入力される信号の値が第1の閾値を超えたか否か、すなわち、4Hzの音の所定値以上のピークが検出されたか否かを調べる。
【0054】
具体的に、判定処理部23は、平滑回路18から入力される信号について、4個前〜3個前の標本値を基準にしてピークが検出されたか否かを調べる。すなわち、判定処理部23は、平滑回路18から入力される信号について、4個前の標本値と3個前の標本値との和から、それらの時系列における前後の標本値である7個前の標本値と現在の標本値との和を減算する。そして、判定処理部23は、減算後の値を、第1の非線形フィルタ回路19から入力される信号の7個前の標本値で除算して無次元化する。さらに、判定処理部23は、無次元化した値が1.75を超える場合に、平滑回路18から入力される信号の値が第1の閾値を超えたものとして、すなわち、4Hzの音の所定値以上のピークが検出されたものとして、1つ目の条件を満たすと判定する。
【0055】
判定処理部23は、第1の非線形フィルタ回路19から入力される信号の値が第2の閾値を超えたことを2つ目の条件とする。これは、第1の非線形フィルタ回路19がノイズを除去するという性質を利用した条件である。すなわち、判定処理部23は、1つ目の条件として検出した4Hzの音のピークがノイズではないことを2つ目の条件とする。判定処理部23は、第1の非線形フィルタ回路19から入力される信号の値が40を超えたか否かを調べる。
【0056】
具体的に、判定処理部23は、第1の非線形フィルタ回路19の現在の標本値が40を超える場合に、第1の非線形フィルタ回路19から入力される信号の値が第2の閾値を超えたものとして、すなわち、1つ目の条件として検出した4Hzの音のピークがノイズではないものとして、2つ目の条件を満たすと判定する。
【0057】
判定処理部23は、第2の全波整流回路21から入力される信号の値が上昇中であること、すなわち、1Hzの音の検出量が増加中であることを、3つ目の条件とする。この3つ目の条件は、1つ目および2つ目の条件の双方を満たした時点(その時点を含む)を起点として判定が開始される。判定処理部23は、第2の非線形フィルタ回路22から入力される信号を利用して、第2の全波整流回路21から入力される信号の値が上昇中であるか否か、すなわち、1Hzの音の検出量が増加中であるか否かを調べる。
【0058】
具体的に、判定処理部23は、第2の全波整流回路21から入力される信号における現在の標本値と、第2の非線形フィルタ回路22から入力される信号における7個前の標本値に1.24を乗算してから30を加算した値と、を比較する。30を加算した理由は、現在の標本値が小さい場合、その標本値が偶然の値であったりノイズを含んでいたりと信用ならないので、その可能性を除くためである。そして、判定処理部23は、3つ目の条件の判定が開始される起点から9個目までの標本値までに、連続して2回以上前者の値が大きくなる場合に、第2の全波整流回路21から入力される信号の値が上昇中であるとして、すなわち、1Hzの音の検出量が増加中であるとして、3つ目の条件を満たすと判定する。
【0059】
(液晶ディスプレイ)液晶ディスプレイ24は、平滑回路18、第1の非線形フィルタ回路19、第2の全波整流回路21、第2の非線形フィルタ回路22のそれぞれから出力される信号の確認用に用いられる。液晶ディスプレイ24には、4つの値が縦バーグラフで表示される。
【0060】
1つ目の値は、第2の全波整流回路21から出力される信号における7個前の標本値を、平方根で圧縮した値である。2つ目の値は、第2の非線形フィルタ回路22から出力される信号における現在の標本値を、平方根で圧縮した値である。3つ目の値は、平滑回路18から出力される信号について、4個前の標本値と3個前の標本値との和から、それらの時系列における前後の標本値である7個前の標本値と現在の標本値との和を減算した値を、平方根で圧縮した値である。4つ目の値は、第1の非線形フィルタ回路19から出力される信号における7個前の標本値を、平方根で圧縮した値である。
【0061】
(出力制御回路)出力制御回路25は、判定処理部23から出力される判定信号を受けて、ドアの開閉や窓破り等を報知する信号を報知装置12に出力する。
【0062】
次に、連続性検知装置10による検知手順について、図3に基づいて説明する。図3は、連続性検知装置10による検知手順を説明するフローチャートである。
【0063】
まず、連続性検知装置10の電源がオンにされ、各種プログラムの初期化が行われる(ステップ(以下、Sと略す。)10)。
【0064】
マイクロホン11で拾われた音は、アナログ信号として、バンドパスフィルタ回路26、ローパスフィルタ回路28のそれぞれに入力される(S100、S200参照)。
【0065】
バンドパスフィルタ回路26は、入力された信号について、予め設定されている周波数帯域(中心周波数:4Hz、帯域幅:1Hz)を通過させる(S100)。
【0066】
バンドパスフィルタ回路26を通過した信号は、第1のA/D変換器27に入力される。第1のA/D変換器27は、入力されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する(S101)。
【0067】
第1のA/D変換器27を通過した信号は、第1のハイパスフィルタ回路16に入力される。第1のハイパスフィルタ回路16は、入力された信号について、予め設定されている0.05Hz以下の周波数の通過を阻止して揺らぎ成分を除去する(S102)。
【0068】
第1のハイパスフィルタ回路16を通過した信号は、第1の全波整流回路17に入力される。第1の全波整流回路17は、入力される信号について絶対値をとる(S103)。
【0069】
第1の全波整流回路17を通過した信号は、平滑回路18に入力される。平滑回路18は、入力される信号について、予め設定されている0.6Hz以上の周波数の通過を阻止して波形を平滑化する(S104)。
【0070】
平滑回路18を通過した信号は、第1の非線形フィルタ回路19に入力される。第1の非線形フィルタ回路19は、入力される信号について、波形についての非線形な変換処理を施す(S105)。
【0071】
ローパスフィルタ回路28は、入力された信号について、予め設定されている1Hz以上の周波数の通過を阻止して残りの成分を通過させる(S200)。
【0072】
ローパスフィルタ回路28を通過した信号は、第2のA/D変換器29に入力される。第2のA/D変換器29は、入力されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する(S201)。
【0073】
第2のA/D変換器29を通過した信号は、第2のハイパスフィルタ回路20に入力される。第2のハイパスフィルタ回路20は、入力された信号について、予め設定されている0.05Hz以下の周波数の通過を阻止して揺らぎ成分を除去する(S202)。
【0074】
第2のハイパスフィルタ回路20を通過した信号は、第2の全波整流回路21に入力される。第2の全波整流回路21は、入力される信号について絶対値をとる(S203)。
【0075】
第2の全波整流回路21を通過した信号は、第2の非線形フィルタ回路22に入力される。第2の非線形フィルタ回路22は、入力される信号について、波形についての非線形な変換処理を施す(S204)。
【0076】
平滑回路18を通過した信号、第1の非線形フィルタ回路19を通過した信号、第2の全波整流回路21を通過した信号、および、第2の非線形フィルタ回路22を通過した信号は、判定処理部23に入力される。判定処理部23は、1つ目から3つ目までの条件を満たすか否かを判定する(S106〜S108)。
【0077】
判定処理部23において3つの全ての条件を満たすと判定された場合(S106でYES、S107でYES、S108でYES)、出力制御回路25は、ドアの開閉や窓破り等を報知する信号を報知装置12に出力する(S109)。その後、報知信号を停止する信号が入力され(S110でYES)、報知信号が停止すると、上記一連の動作を繰り返す。
【0078】
このように、連続性検知装置10によれば、パターンマッチング等の演算量の多い演算を行うことなく、少ない演算量で、互いに隣接する二つの空間の連続性の変化、すなわち、ドアの開閉や窓破り等を検知できる。また、第1の非線形フィルタ回路19で波形についての非線形な変換処理が施された信号を、判定基準に用いるから、高い精度で検知でき、さらに、パターンマッチングのように複雑な処理ではないので、簡単な処理で検知できる。さらに、ローパスフィルタ回路28を、ドアの開閉時や窓破り時に発生はするものの二つの空間を隔てる壁面を通りにくい所望の遮断周波数、すなわち1Hzに設定し、1Hz未満の周波数帯域を判定の評価に用いるから、隣室や隣の車のドアの開閉を誤検知することを防止できる。そして、二つの帯域について調べるので、個々の判定についての精度を高めなくとも、全体としては誤検知を防止できる。これは、一方の帯域について誤った判定をした場合であっても、もう一方の帯域について条件を満たさない限り誤検知をしないからである。また、連続性検知装置10は、PSoC15を主構成として実現されているから、簡単かつ低コストに実現できる。
【0079】
また、ネットワーク経由での係数値(各種値)の自動更新が可能である。さらに、ユーザのボタン操作等に基づいて、係数値を学習させることも可能である。
【0080】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0081】
すなわち、上記実施形態において、出力制御回路25は、ドアの開閉や窓破り等を報知する信号を出力するが、この他に、(1)第2のA/D変換器29から出力される信号の値、(2)第1のA/D変換器27から出力される信号の値、(3)第2のハイパスフィルタ回路20から出力される信号における現在の標本値、(4)第1のハイパスフィルタ回路16から出力される信号における現在の標本値、(5)第2の全波整流回路21から出力される信号における7個前の標本値、(6)第2の非線形フィルタ回路22から出力される信号における現在の標本値、(7)平滑回路18から出力される信号における7個前の標本値、(8)第1の非線形フィルタ回路19から出力される信号における7個前の標本値、(9)判定処理部23が1つ目の条件の判定に用いる無次元化された値、(10)判定処理部23が1つ目から3つ目までの各条件をそれぞれ満たしているか否かを示す値、(11)報知装置12による報知前(連続性検知装置10による検知前)であるか、報知後(検知後)であるか、報知後(検知後)に報知が解除されたかを示す値、等を信号として出力するようにしてもよい。
【0082】
これらの値を利用することで、検知漏れや誤検知が発生した場合に、その原因を追及できる。すなわち、検知漏れが発生した場合には、検知すべきタイミング辺りの値から、1つ目から3つ目までのどの条件が満たさなかったのかを特定したり、閾値等を緩くする方法を決定したりできる。誤検知が発生した場合には、誤検知が発生したタイミングで、1つ目から3つ目のどの条件を満たさなくさせるのかを特定したり、閾値等をきつくする方法を決定したりできる。
【0083】
そして、第1のハイパスフィルタ回路16、第1の全波整流回路17、第1の非線形フィルタ回路19、第2のハイパスフィルタ回路20、第2の全波整流回路21、第2の非線形フィルタ回路22のそれぞれの時定数を適宜変更することで、検知漏れや誤検知に対応できる。
【0084】
あるいは、判定処理部23が演算に用いる数値を適宜変更することで、検知漏れや誤検知に対応できる。具体的には、1つ目の条件に用いる「1.75」、2つ目の条件に用いる「40」、3つ目の条件に用いる「1.24」、「30」、「9」、「2」等が挙げられる。
【0085】
あるいは、バンドパスフィルタ回路26における中心周波数や帯域幅、あるいはローパスフィルタ回路28における遮断周波数を適宜変更することで、検知漏れや誤検知に対応できる。
【符号の説明】
【0086】
10 連続性検知装置
11 マイクロホン
12 報知装置
13 防犯システム
15 PSoC(Programmable System-on-Chip)
16 第1のハイパスフィルタ回路(第1の揺らぎ除去フィルタ、第1のD−HPF回路)
17 第1の全波整流回路(第1の全波整流処理部、第1のD−IDEAL−D回路)
18 平滑回路(平滑処理部、D−LPF回路)
19 第1の非線形フィルタ回路(第1の非線形フィルタ、第1のD−FRSD−LPF回路)
20 第2のハイパスフィルタ回路(第2の揺らぎ除去フィルタ、第2のD−HPF回路)
21 第2の全波整流回路(第2の全波整流処理部、第2のD−IDEAL−D回路)
22 第2の非線形フィルタ回路(第2の非線形フィルタ、第2のD−FRSD−LPF回路)
23 判定処理部
24 液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Monitor)
25 出力制御回路(出力制御処理部)
26 バンドパスフィルタ回路(第1フィルタ、BPF回路)
27 第1のA/D変換器
28 ローパスフィルタ回路(第2フィルタ、LPF回路)
29 第2のA/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、一方の該空間内に配置されたマイクロホンからの信号に基づいて検知する連続性検知装置であって、
前記マイクロホンからの前記信号が入力され、該信号における所定の周波数帯域を通過させる第1のフィルタと、
前記第1のフィルタを経た前記信号が入力され、該信号の絶対値をとる第1の全波整流処理部と、
前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第1の閾値を超えたことを条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定する判定処理部と、を備えることを特徴とする、
連続性検知装置。
【請求項2】
前記第1の全波整流処理部を経た前記信号が入力され、該信号の波形についての非線形な変換処理を施す第1の非線形フィルタを備え、
前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、
請求項1に記載の連続性検知装置。
【請求項3】
前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第2の閾値を超えたことを更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、
請求項2に記載の連続性検知装置。
【請求項4】
前記マイクロホンからの前記信号が入力され、該信号について前記第1のフィルタと比較して低い周波数を通過させる第2のフィルタと、
前記第2のフィルタを経た前記信号が入力され、該信号の絶対値をとる第2の全波整流処理部と、を備え、
前記判定処理部は、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値の上昇を更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、
請求項3に記載の連続性検知装置。
【請求項5】
前記第2の全波整流処理部を経た前記信号が入力され、該信号の波形についての非線形な変換処理を施す第2の非線形フィルタを備え、
前記判定処理部は、前記第2の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第2の全波整流処理部を経た後であって前記第2の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、
請求項4に記載の連続性検知装置。
【請求項6】
前記第1のフィルタを経た後であって前記第1の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第1の揺らぎ除去フィルタを備え、
前記第1の全波整流処理部には、前記第1の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項5に記載の連続性検知装置。
【請求項7】
前記第2のフィルタを経た後であって前記第2の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第2の揺らぎ除去フィルタを備え、
前記第2の全波整流処理部には、前記第2の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項5または6に記載の連続性検知装置。
【請求項8】
前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号が入力され、該信号における所定値以上の周波数の通過を阻止して該信号の波形を平滑化する平滑処理部を備え、
前記第1の非線形フィルタには、前記平滑処理部を経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項5〜7のいずれかに記載の連続性検知装置。
【請求項9】
前記判定処理部が、前記二つの空間の連続性の変化を判定した場合に、その旨の信号を出力する出力制御処理部を備えることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれかに記載の連続性検知装置。
【請求項10】
PSoCで実現されることを特徴とする、
請求項1〜9のいずれかに記載の連続性検知装置。
【請求項11】
互いに隣接する二つの空間の連続性の変化を、一方の該空間内に配置されたマイクロホンからの信号に基づいて検知する連続性検知方法であって、
第1のフィルタにおいて、前記マイクロホンからの信号における所定の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタのステップと、
第1の全波整流処理部において、前記第1のフィルタを経た前記信号の絶対値をとる第1整流ステップと、
判定処理部において、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第1の閾値を超えたことを条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする、
連続性検知方法。
【請求項12】
第1の非線形フィルタにおいて、前記第1の全波整流処理部を経た前記信号の波形についての非線形な変換処理を施す第1非線形変換ステップを備え、
前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、
請求項11に記載の連続性検知方法。
【請求項13】
前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第1の非線形フィルタを経た前記信号の値を調べ、該信号の値が第2の閾値を超えたことを更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、
請求項12に記載の連続性検知方法。
【請求項14】
第2のフィルタにおいて、前記マイクロホンからの前記信号について前記第1のフィルタと比較して低い周波数を通過させるローパスフィルタのステップと、
第2の全波整流処理部において、前記第2のフィルタを経た前記信号の絶対値をとる第2整流ステップと、を備え、
前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の値を調べ、該信号の値の上昇を更なる条件として、前記二つの空間の連続性の変化を判定することを特徴とする、
請求項13に記載の連続性検知方法。
【請求項15】
第2の非線形フィルタにおいて、前記第2の全波整流処理部を経た前記信号の波形についての非線形な変換処理を施す第2非線形変換ステップを備え、
前記判定ステップにおいて、前記判定処理部は、前記第2の非線形フィルタを経た前記信号を利用して、前記第2の全波整流処理部を経た後であって前記第2の非線形フィルタを経る前の前記信号の値を調べることを特徴とする、
請求項14に記載の連続性検知方法。
【請求項16】
第1の揺らぎ除去フィルタにおいて、前記第1のフィルタを経た後であって前記第1の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第1揺らぎ除去ステップを備え、
前記第1整流ステップにおいて、前記第1の全波整流処理部には、前記第1の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項15に記載の連続性検知方法。
【請求項17】
第2の揺らぎ除去フィルタにおいて、前記第2のフィルタを経た後であって前記第2の全波整流処理部を経る前の前記信号が入力され、該信号の揺らぎ成分を除去する第2揺らぎ除去ステップを備え、
前記第2整流ステップにおいて、前記第2の全波整流処理部には、前記第2の揺らぎ除去フィルタを経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項15または16に記載の連続性検知方法。
【請求項18】
平滑処理部において、前記第1の全波整流処理部を経た後であって前記第1の非線形フィルタを経る前の前記信号における所定値以上の周波数の通過を阻止して該信号の波形を平滑化する平滑ステップを備え、
前記第1非線形変換処理ステップにおいて、前記第1の非線形フィルタには、前記平滑処理部を経た前記信号が入力されることを特徴とする、
請求項15〜17のいずれかに記載の連続性検知方法。
【請求項19】
出力制御処理部において、前記判定処理部が、前記二つの空間の連続性の変化を判定した場合に、その旨の信号を出力する出力ステップを備えることを特徴とする、
請求項11〜18のいずれかに記載の連続性検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−184926(P2012−184926A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46161(P2011−46161)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【特許番号】特許第4810626号(P4810626)
【特許公報発行日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(508281549)株式会社トランスバーチャル (4)
【Fターム(参考)】