説明

連続蒸着が可能な薄膜蒸着装置、並びにその薄膜蒸着装置に使われるマスク・ユニット及びクルーシブル・ユニット

【課題】連続蒸着が可能な薄膜蒸着装置、並びにその薄膜蒸着装置に使われるマスク・ユニット及びクルーシブル・ユニットを提供する。
【解決手段】蒸着対象体である基板10を移送するように備わった基板移送ユニットと、基板に向けて蒸着源の蒸気を選択的に通過させるように備わったマスク・ユニット200と、蒸着源を収容し、マスク・ユニットを貫通する循環経路に沿って進む複数のクルーシブル110を含むクルーシブル・ユニット100と、を具備する薄膜蒸着装置である。これにより、蒸着源の供給及び消尽、基板とマスクとのアレンジなどがいずれも連続して進められるために、作業速度が相当に速くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着源から蒸気を発生させ、対象体表面に蒸着させる薄膜蒸着装置に係り、特に連続蒸着が可能なように改善された薄膜蒸着装置、並びにそれに使われるマスク・ユニット及びクルーシブル・ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機発光ディスプレイ装置の薄膜トランジスタ製造のような薄膜製造工程では、蒸着源の蒸気を発生させて、基板のような対象体表面に付着させる蒸着装置が多用される。
【0003】
一般的な薄膜蒸着装置では、対象体を蒸着源クルーシブル(crucible)が装入されたチャンバ内に装着させて蒸着を進め、蒸着が終われば、再び対象体をチャンバから取り出した後、次の対象体を装入する方式で作業が進められる。従って、対象体を蒸着位置にローディングしてアンローディングする時間の間、蒸着作業が中止されてしまうので、作業効率が落ちる。また、クルーシブル中の蒸着源が使い尽くされれば、これを新しいクルーシブルに代替するために再び作業を中止しなければならないので、作業速度が相当に遅くなる。
【0004】
従って、このような短所を解消することができる新しい方策が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、連続蒸着が可能な薄膜蒸着装置、並びにその薄膜蒸着装置に使われるマスク・ユニット及びクルーシブル・ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による薄膜蒸着装置は、蒸着対象体である基板を移送するように備わった基板移送ユニットと、前記基板に向けて蒸着源の蒸気を選択的に通過させるように備わったマスク・ユニットと、前記蒸着源を収容し、前記マスク・ユニットを貫通する循環経路に沿って進む複数のクルーシブルを含むクルーシブル・ユニットと、を含む。
【0007】
前記マスク・ユニットは、連続した囲い状でありうる。
【0008】
前記基板移送ユニットは、前記基板を支持し、前記マスク・ユニットの走行に連動して移送されるように備わったクランパと、前記クランパを摺動自在に支持するガイドレールと、を含むことができる。
【0009】
前記マスク・ユニットは、マスク・パターンが形成された本体を有し、その本体の少なくとも一部が前記基板に密着するように備わったマスク部材と、前記マスク部材を走行させるための駆動部と、前記駆動部の動力を前記マスク部材に伝達するように備わった動力伝達部材と、を含むことができる。
【0010】
前記マスク部材の本体は、両端が開放された円筒形でありうる。
【0011】
前記動力伝達部材は、キャビティが形成されたリング型部材を含み、前記マスク部材は、前記リング型部材の内壁に隣接したキャビティに挿入され、前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が配されうる。
【0012】
前記マスク部材の本体は、複数の板状部材であり、前記動力伝達部材は、複数のリング型部材と、前記リング型部材の側壁における複数の支持片とを含み、前記複数の板状部材は、互いに連結され、前記複数の支持片によって支持され、前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が形成されうる。
【0013】
前記駆動部は、前記動力伝達部材とギア結合されたクレードル・ホイールと、前記クレードル・ホイールを回転させるように、前記クレードル・ホイールに連結されたモータと、を含むことができる。
【0014】
前記マスク部材は、前記基板との接触面積が拡大するように弾力的に連結されうる。
【0015】
前記クルーシブル・ユニットは、前記循環経路を形成する循環レールと、前記蒸着源を収容し、前記循環レールに装着された複数のクルーシブルと、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールに沿って移送させるように備わったクルーシブル移送部と、前記複数のクルーシブルに前記蒸着源を充填させるクルーシブル充填部と、前記蒸着源の蒸気を発生させるために、前記クルーシブルを加熱するように備わったクルーシブル・ヒーティング部と、を含むことができる。
【0016】
前記クルーシブル・ユニットは、前記循環レールに、前記複数のクルーシブルを支持する複数のボールベアリングをさらに含むことができる。
【0017】
前記クルーシブル・ユニットは、前記循環レールに設けられ、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールの壁に押し付けるように備わったスプリングをさらに含むことができる。
【0018】
前記クルーシブル移送部は、前記複数のクルーシブルを、前記循環経路の一方向に押し進めるように備わって回転する移送ホイールをさらに含むことができる。
【0019】
前記クルーシブル充填部は、前記蒸着源が装填された注入タンクと、前記注入タンク中の蒸着源を前記循環レール上の複数のクルーシブルに供給する注入ノズルと、を含むことができる。
【0020】
前記クルーシブル・ヒーティング部は、前記クルーシブル中に内蔵された熱線と、前記熱線に電圧を供給する電源と、前記電源と前記熱線とを連結するように、前記クルーシブルに設けられた接続パッドと、を含むことができる。
【0021】
前記クルーシブル・ユニットは、前記接続パッドと前記電源との間に介在されたボールベアリングをさらに含むことができる。
【0022】
前記接続パッドは、前記各クルーシブルに複数個設けられ、前記電源も、選択的な電圧印加が可能なように、前記複数個の接続パッドに対応して複数個設けられうる。
【0023】
前記基板に対する蒸着位置に、前記蒸着源の蒸気をガイドするシールド部材をさらに具備することができる。
【0024】
前記シールド部材は、前記マスク・ユニット内で、前記クルーシブル・ユニットの上部に固定されうる。
【0025】
前記シールド部材は、前記マスク・ユニットに固定され、前記マスク・ユニットと共に回転するものでありうる。
【0026】
前記マスク・ユニットは、複数のマスク・ユニットを含み、前記クルーシブル・ユニットは、複数のクルーシブル・ユニットを含み、前記複数のマスク・ユニットと複数のクルーシブル・ユニットは、1つの基板移送ユニットに対応するものでありうる。
【0027】
前記マスク・ユニットとクルーシブル・ユニットは、前記蒸着源の各色相を蒸着するように準備されるものでありうる。
【0028】
前記マスク・ユニットに付着した蒸着源を除去するためのマスク洗浄部がさらに備わりうる。
【0029】
前記マスク洗浄部は、前記マスク・ユニットに超音波で振動を加える超音波発生器と、前記振動によって落ちる蒸着源を受容するバケットと、を含むことができる。
【0030】
本発明の他の特徴によるマスク・ユニットは、マスク・パターンが形成された無限軌道状の本体を有し、前記本体の少なくとも一部が蒸着対象体である基板に密着するように備わったマスク部材と、前記マスク部材を走行させるための駆動部と、前記駆動部の動力を前記マスク部材に伝達するように備わった動力伝達部材と、を含むことができる。
【0031】
前記マスク部材の本体は、両端が開放された円筒形でありうる。
【0032】
前記動力伝達部材は、キャビティが形成されたリング型部材を含み、前記マスク部材は、前記リング型部材の内壁に隣接したキャビティに挿入され、前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が配されたものである。
【0033】
前記マスク部材は、複数の板状部材であり、前記動力伝達部材は、複数のリング型部材、及び前記リング型部材の側壁に設けられた複数の支持片を含み、前記複数の板状部材は、互いに連結され、前記複数の支持片によって支持され、前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が形成されたものである。
【0034】
前記駆動部は、前記動力伝達部材とギア結合されたクレードル・ホイールと、前記クレードル・ホイールを回転させるように、前記クレードル・ホイールに連結されたモータと、を含むことができる。
【0035】
前記マスク部材は、前記基板との接触面積が拡大するように弾力的に連結されたものである。
【0036】
本発明の一実施形態によるクルーシブル・ユニットは、循環経路を形成する循環レールと、蒸着源を収容し、前記循環レールに装着された複数のクルーシブルと、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールに沿って移送させるように備わったクルーシブル移送部と、前記複数のクルーシブルに前記蒸着源を充填させるクルーシブル充填部と、前記蒸着源の蒸気が発生するように、前記クルーシブルを加熱するように備わったクルーシブル・ヒーティング部と、を含む。
【0037】
前記循環レールに、前記複数のクルーシブルを支持する複数のボールベアリングをさらに含むことができる。
【0038】
前記循環レールに設けられ、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールの壁に押し付けるように備わったスプリングをさらに含むことができる。
【0039】
前記クルーシブル移送部は、前記複数のクルーシブルを、前記循環経路の一方向に押し進めるように備わって回転する移送ホイールをさらに含むことができる。
【0040】
前記クルーシブル充填部は、前記蒸着源が装填された注入タンクと、前記注入タンク中の蒸着源を前記循環レール上の複数のクルーシブルに供給する注入ノズルと、を含むことができる。
【0041】
前記クルーシブル・ヒーティング部は、前記クルーシブル中に内蔵された熱線と、前記熱線に電圧を供給する電源と、前記電源と前記熱線とを連結するように、前記クルーシブルに設けられた接続パッドと、を具備することができる。
【0042】
前記接続パッドと前記電源との間に介在されたボールベアリングをさらに含むことができる。
【0043】
前記接続パッドは、前記各クルーシブルに複数個設けられ、前記電源も、選択的な電圧印加が可能なように、前記複数個の接続パッドに対応して複数個設けられたものである。
【発明の効果】
【0044】
本発明による薄膜蒸着装置とマスク・ユニット及びクルーシブル・ユニットによれば、蒸着作業を連続して行うことができるために、作業速度が大きく向上しうる。また、マスクが対象体に密着された状態で蒸着が進むので、蒸着品質も良好に維持されうる。
【0045】
また、蒸着される瞬間にだけ基板とマスク・ユニットとが密着するために、シャドー効果なしに精密なパターン形成が可能であり、有機発光表示装置の発光層蒸着の場合にも、混色が起こらない。
【0046】
平面形マスクの反り現象によって、大面積基板に対して蒸着することができないという限界を克服し、大面積基板に対する適用がさらに容易になる。
【0047】
複数のクルーシブルそれぞれに蒸着源を少しずつ収容させて蒸着させた後、さらに充填させる方式であるから、チャンバ内部の清掃や、蒸着源充填のために薄膜蒸着装置の稼動を中止させる周期を短くすることができ、蒸着工程の生産性を向上させることができる。また、少量ずつ使用するので、蒸着源の浪費を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置の原理を概略的に説明するための概略図である。
【図2】本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置の構造を図示した斜視図である。
【図3】図2に図示された薄膜蒸着装置において、マスク・ユニットの構造を図示した分離斜視図である。
【図4】図2の薄膜蒸着装置において、クルーシブル・ユニットの構造を図示した平面図である。
【図5A】図3のA−A線に沿って切り取ったクルーシブル・ユニットの一例を図示した断面図である。
【図5B】図3のA−A線に沿って切り取ったクルーシブル・ユニットの一例のクルーシブルの側面図である。
【図6A】図3のA−A線に沿って切り取ったクルーシブル・ユニットの他の一例を図示した断面図である。
【図6B】図3のA−A線に沿って切り取ったクルーシブル・ユニットの他の一例のクルーシブルの側面図である。
【図7】図3のA−A線に沿って切り取ったクルーシブル・ユニットのさらに他の一例を図示した断面図である。
【図8】図2に図示された薄膜蒸着装置の蒸着過程を示した図面である。
【図9】本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置の蒸着過程を示した図面である。
【図10A】図10Aは本発明の他の一実施形態によるマスク・ユニットの分離斜視図である。
【図10B】図10AのB−B線に沿って切断した断面図である。
【図11】図10A及び図10Bに図示されたマスク・ユニットを利用した蒸着過程を示した図面である。
【図12A】本発明のさらに他の一実施形態によるマスク・ユニットの分離斜視図である。
【図12B】図12AのC−C線に沿って切断した断面図である。
【図13】図12A及び図12Bに図示されたマスク・ユニットを利用した蒸着過程を示した図面である。
【図14】図12A及び図12Bに図示されたマスク・ユニットを利用した蒸着過程を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0050】
まず、図1は、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置の原理を概略的に説明するための概略図である。
【0051】
水平に移動する基板10の下部に、マスク・ユニット200と、クルーシブル(crucible)・ユニット100とが備わる。
【0052】
マスク・ユニット200は、基板10の下部に位置するものであり、パネル状に備わったマスク部材210と、このマスク部材210に開口された複数のマスク・パターン211とを具備し、マスク部材210は、このマスク・パターン211が、基板10と接して動くように、無限軌道の形状になっている。さらに具体的には、前記マスク部材210は、Y軸方向の両端が開口されたドラム状に形成されうる。
【0053】
クルーシブル・ユニット100は、複数のクルーシブル110を含むが、このクルーシブル110は、閉ループ(closed loop)で循環するように配されうる。クルーシブル110の循環経路は、マスク・ユニット200を通過するが、前述の両端が開口されたドラム状のマスク部材210の両端開口を貫通する。このとき、クルーシブル110から、マスク部材210に形成されたマスク・パターン211に蒸着がなされる。
【0054】
このような本発明で、前記基板10は、マスク・ユニット200の上部で、水平面上でX軸方向に移動する。このとき、基板10の移動速度と同一に、マスク部材210が基板10と接触しつつ回転をする。そして、蒸着される物質が収納されたクルーシブル110が、Y軸方向に移動しつつ、マスク・パターン211を介して基板10に蒸着を行う。
【0055】
前記のような薄膜蒸着装置は、図2から分かるような形態に具体化されうる。
【0056】
図2による薄膜蒸着装置は、蒸着対象体である基板10を、蒸着位置に移送する基板移送ユニット300と、蒸着するパターンに対応するマスク・パターン211を提供するマスク・ユニット200と、蒸着源を連続して提供するクルーシブル・ユニット100と、を具備する。従って、基板移送ユニット300が基板10を支持して蒸着位置に移送すれば、クルーシブル・ユニット100で蒸着源の蒸気を発生させ、その蒸着源蒸気は、マスク・ユニット200のマスク・パターン211を通して基板10に蒸着される。本薄膜蒸着装置の構成によれば、このような基板10に対する蒸着過程が連続して進められる。
【0057】
まず、基板移送ユニット300から詳細に説明する。
【0058】
基板移送ユニット300は、基板10をクランピングして支持するクランパ310と、このクランパ310を摺動自在に支持するガイドレール320と、を具備している。すなわち、基板10を把持したクランパ310が、ガイドレール320に沿って移動しつつ、蒸着位置を過ぎる。このようなクランパ310の移動は、後述するマスク・ユニット200の動きと連動するように構成されている。簡略に説明すれば、クランパ310の下面に設けられたギア面311が、マスク・ユニット200の動力伝達部材220に設けられたギア部222(図3)と結合されており、マスク・ユニット200の動力伝達部材220が回転すれば、クランパ310が連動しつつ、ガイドレール320に沿って移動するように構成されている。従って、このクランパ310に基板10を連続して支持させて供給すれば、複数基板10に対する蒸着作業を連続して続けて進めることが可能である。もちろん、クランパ310とガイドレール320との長さに限界があるために、限りなく連続作業を行うわけではないが、基本的には、複数枚の基板10に対する作業を連続して進めることができるので、1枚ずつローディングとアンローディングとを反復して作業を進めていた既存に比べては、作業性が大きく向上している。
【0059】
次に、図2及び図3を参照しつつ、前記マスク・ユニット200の構造について説明する。
【0060】
マスク・ユニット200は、前記のように移送される基板10と連動して動きつつ、連続したマスク・パターン211を提供するものである。従って、例えば、無限軌道のように、連続した囲い状(continuous perimeter shape)からなっている。
【0061】
前記の一実施形態で、マスク・パターン211が形成された円筒形のマスク部材210と、このマスク部材210の両端部が嵌め込まれるリング状の動力伝達部材220と、マスク部材210を回転させるための駆動部として、クレードル・ホイール230と、モータ240と、が備わっている。
【0062】
前記マスク部材210は、図3に図示されているように、動力伝達部材220の内壁221に隣接したキャビティに両端部が嵌め込まれて結合され、その動力伝達部材220の外壁では、動力連結のためのギア部222が形成されている。このギア部222の上部は、前記基板移送ユニット300のクランパ310と結合され、下部は、前記クレードル・ホイール230と結合される。従って、モータ240がクレードル・ホイール230を回せば、それと連結された動力伝達部材220及びマスク部材210が共に回転し、同時に、動力伝達部材220と連結されたクランパ310も、ガイドレール320に沿って動く。言い換えれば、マスク部材210と基板10とが連動して同時に動き、これによって、移送される基板10に、マスク部材210のマスク・パターン211を連続して正確に提供することができる。このとき、マスク部材210と基板10は、2つの部材間で接する蒸着位置で、完全に密着された状態になることが望ましい。これは、蒸着位置で、マスク部材210と基板10との間に隙間ができれば、基板10上の正確な位置に蒸着されないためである。従って、本実施形態で、マスク部材210と基板10は、蒸着位置で密着状態となる。
【0063】
次に、図2、図4、図5A及び図5Bを参照しつつ、前記クルーシブル・ユニット100について説明する。
【0064】
クルーシブル・ユニット100は、前記マスク・ユニット200のキャビティを貫通する循環経路を形成する循環レール120と、循環レール120に装着された複数のクルーシブル110と、このクルーシブル110を循環レール120に沿って移送させるクルーシブル移送部160と、各クルーシブル110に蒸着源を充填させるクルーシブル充填部150と、蒸着源の蒸気が発生するようにクルーシブル110を加熱するクルーシブル・ヒーティング部130と、を具備する。
【0065】
まず、前記循環レール120は、前記マスク・ユニット200のマスク部材210と、動力伝達部材220の空洞部とを通過するように配される。従って、循環レール120に装着されたクルーシブル110は、この空洞部内を通過し、この空洞部中、すなわち、基板10の下方を過ぎるときに蒸着源の蒸気が発生して基板10に蒸着される。そして、循環レール120内には、複数のボールベアリング140(図5A)が設けられており、クルーシブル110の移動をソフトに支持している。
【0066】
この循環レール120の経路は、図4に示されているように、フィーディング・ゾーン(feeding zone)、ツーリング・ゾーン(tooling zone)、デポジット・ゾーン(depositing zone)、及びクーリング・ゾーン(cooling zone)に分けることができる。
【0067】
フィーディング・ゾーンは、クルーシブル充填部150によって、各クルーシブル110内部が蒸着源で充填される区間であり、ツーリング・ゾーンは、蒸着源を予熱するために、クルーシブル110を加熱し始める区間である。そして、デポジット・ゾーンは、前記マスク・ユニット200のマスク部材210の空洞部内を通過する区間であり、蒸着が進められる区間であり、クーリング・ゾーンは、蒸着後にクルーシブル110が冷却される区間である。前記複数のクルーシブル110は、この循環レール120の区間を連続して進む。すなわち、本発明の一実施形態で、蒸着源が、一つまたはそれ以上のクルーシブル110にフィーディングされる間、前記予熱が他の一つまたはそれ以上のクルーシブル110で行われ、さらに他の一つまたはそれ以上のクルーシブル110を利用して蒸着が進められ、さらに他の一つまたはそれ以上のクルーシブル110が冷却される。このように、4区間の作業が各クルーシブル110の移動と共に同時に連続して行われる。
【0068】
前記クルーシブル移送部160は、このように、クルーシブル110を循環レール120に沿って移送させるユニットであり、モータ162によって回転する移送ホイール161を具備している。この移送ホイール161は、循環レール120に形成された開口120a(図2)を介してクルーシブル110の本体に当接し、回転時にクルーシブル110を循環レール120の一方向、すなわち、循環方向に押しやる。それにより、移送ホイール161によって押されたクルーシブル110が、先行するクルーシブル110を押し、この力が伝えられて、循環レール120上のクルーシブル110が循環方向に一斉に移動する。もちろん、前述の通り、ボールベアリング140が循環レール120に設けられており、ソフトな移動が可能になる。
【0069】
前記クルーシブル充填部150は、その言葉通り、クルーシブル110に蒸着源を充填するユニットであり、蒸着源が装填された注入タンク152と、その注入タンク152内の蒸着源をクルーシブル110に供給する注入ノズル151と、を具備している。従って、デポジット・ゾーンで蒸着源が使い尽くされたクルーシブル110が、フィーディング・ゾーンに入れば、この注入ノズル151が、注入タンク152に保存された蒸着源を補充する。
【0070】
本発明の一実施形態によるクルーシブル・ヒーティング部130は、図5A及び図5Bに図示されているように、クルーシブル110に内蔵された熱線131と、外部電源(図示せず)に連結された電源供給パッド134a,134bと、前記電源供給パッド134a,134bと熱線131を連結するようにクルーシブル110に設けられた第1接続パッド132aと、を具備する。前記電源供給パッド134a,134bは、循環レール120に設けられるが、互いに異なる電圧が印加されている第1電源供給パッド134aと第2電源供給パッド134bとを含む。図5A及び図5Bから分かるように、クルーシブル110の外面には、第1接続パッド132aが形成されているが、この第1接続パッド132aは、第1電源供給パッド134aに対応する位置に形成されており、第1電源供給パッド134aから電源が供給され、第2電源供給パッド134bは、クルーシブル110に電圧を提供しない。このように、第1電源供給パッド134aから供給された電圧が、ボールベアリング140と第1接続パッド132aとを経由して熱線131に印加されれば、熱線131に抵抗熱が発生しつつ、クルーシブル110が加熱される。参照符号132cで示された接続パッドは、熱線131の一端を接地させ、前記電源供給パッド134a,134bから印加される電圧に対する基準電圧を形成する役割を果たす。
【0071】
かようなクルーシブル110加熱のための電源連結構造は、循環レール120上のツーリング・ゾーンからデポジット・ゾーンまで設けられる。そして、このような電源供給パッド134a,134bと接続パッド132a,132bとの電気的連結は、循環レール120に設けられたボールベアリング140を介在してなされるが、このボールベアリング140は、クルーシブル110が循環レール120上のある1つの位置にあるとき、接続パッド132a,132bにいくつかのボールベアリング140が当接するように稠密に設けることが望ましい。これは、クルーシブル110移送中に電源連結が途絶されないためである。
【0072】
そして、参照符号141は、クルーシブル110を循環レール120の一側壁側に押し付けるためのスプリングを示し、このスプリング141の弾性力によって、クルーシブル110が循環レール120内でしっかりと支持されて移動する。
【0073】
図6A及び図6Bは、本発明の他の一実施形態によるクルーシブル・ヒーティング部130’を示したものであり、クルーシブル110’が、第2電源供給パッド134bに対応する位置に、第2接続パッド132bを具備している。従って、この場合には、クルーシブル110’内の熱線131は、第2電源供給パッド134bから電圧が印加される。
【0074】
図5A及び図5Bのクルーシブル110と、図6A及び図6Bのクルーシブル110’とを順次に配させ、それぞれ互いに異なる物質を収納させる場合、基板10には、互いに異なる物質が連続して蒸着されうる。例えば、ホストとドーパントとを基板10に共に蒸着させようとするならば、前記複数のクルーシブル110に、ホストとドーパントとを交互に充填させて循環させる。このとき、ホストとドーパントは、蒸気を形成する温度が互いに異なるために、同じ電圧を印加しては、円滑な蒸着が進められない。従って、図5A及び図5Bのクルーシブル110には、ホストを充填させ、第1電源供給パッド134aと第1接続パッド132aとを連結し、図6A及び図6Bのクルーシブル110’には、ドーパントを充填させ、第2電源供給パッド134bと第2接続パッド132bとを連結するような方式で制御すれば、異種蒸着源についても、円滑な蒸着作業を共に進めることができる。
【0075】
図7は、本発明のさらに他の一実施形態によるクルーシブル・ヒーティング部130”を図示したものであり、クルーシブル110”が、第1接続パッド132a及び第2接続パッド132bをいずれも具備している。第1電源133aと第1電源供給パッド134aとの間には、第1スイッチS1が、第2電源133bと第2電源供給パッド134bとの間には、第2スイッチS2がそれぞれ介在され、クルーシブル110”に選択的な電圧印加が可能であるように構成されている。すなわち、第1電源133aが、第1接続パッド132aに電圧を印加するときには、第2電源133bと第2電源供給パッド134bとの連結が切断され、反対に、第2電源133bが第2接続パッド132bに電圧を印加するときには、第1電源133aと第1電源供給パッド134aとの連結が切断される。また、図2による本発明の一実施形態の薄膜蒸着装置は、マスク部材210に付着した蒸着源残留物を除去するためのマスク洗浄部400を含む。前記マスク洗浄部400は、マスク部材210に超音波で振動を加える超音波発生器410と、その振動によって落ちる蒸着源残留物を受容するバケット420と、を具備する。
【0076】
また、図2による本発明の一実施形態の薄膜蒸着装置は、蒸着作業が進められるマスク部材210の空洞部内で、クルーシブル110上方に固設されるシールド部材700を含む。前記シールド部材700は、蒸着源の蒸気が基板10に対する蒸着位置に良好に届くようにガイドすべく形成される。
【0077】
以上で説明したような薄膜蒸着装置の作動過程について、図2ないし図8を参照しつつ説明すれば、次の通りである。
【0078】
いったん蒸着が開始されれば、クルーシブル・ユニット100のクルーシブル110は、循環レール120に乗って循環走行を始め、マスク・ユニット200のマスク部材210並びに基板10も駆動を始める。注入ノズル151によって蒸着源が充填されたクルーシブル110は、循環レール120のツーリング・ゾーンを通過してから、前記クルーシブル・ヒーティング部130によって徐々に加熱され始め、マスク部材210の空洞部を過ぎるデポジット・ゾーンに入りつつ、蒸気を発生させ始める。このように生成された蒸着源の蒸気は、マスク部材210のパターン211を介して基板10に蒸着され、このような作業は、基板10、マスク部材210及びクルーシブル110が走行しつつ連続してなされる。そして、蒸着作業が進むにつれて、マスク部材210に付着して累積する蒸着源残留物は、前記マスク洗浄部400の超音波発生器410によって落とされ、バケット420に収容される。従って、作業速度が相当に速くなり、またマスク部材210と基板10とが密着された状態で蒸着がなされるために、蒸着品質も安定して維持されうる。
【0079】
以下、前記の実施形態の薄膜蒸着装置で、一部変形が可能な構成を例示する。
【0080】
まず、図9に図示されているように、マスク部材210と基板10との密着力をさらに増大させ、マスク部材210がさらに圧着されるように構成する。これにより、マスク部材210と基板10との接触面積がさらに広くなり、すなわち蒸着が起こる面積がさらに広く確保されうる。従って、蒸着源の蒸気を蒸着位置にガイドするシールド部材700’もさらに広い開口を有するように形成することができる。
【0081】
次に、図10A及び図10Bは、マスク・ユニット200’の変形可能な構造を図示したものである。前述の実施形態のマスク・ユニット200では、マスク部材210が円筒状になっていたが、本発明の他の実施形態によるマスク・ユニット200’は、連続した囲い状(例えば、無限軌道状)で連結された複数個の板状部材250を含む。一般的に、マスクとして使われる部材は、厚さが非常に薄いために、完全な円筒状に設ける場合、自重によって中央部が下に反る可能性がある。従って、分割された板状部材250を無限軌道状に連結すれば、マスク部材が反る現象を抑制することができる。このために、動力伝達部材260の内側壁には、支持片261が形成されており、複数の板状部材250は、図10Bに図示されているように、この支持片261に弾力的に支えられつつ、無限軌道状に連結される。
【0082】
かように変形されたマスク・ユニット200’を利用した蒸着作業は、図11に図示されているように進められる。クルーシブル・ユニット100のクルーシブル110の充填、循環及び加熱、そして板状部材250から構成されたマスク部材及び基板10の駆動は、前述の実施形態と同一に進められる。すなわち、マスク部材の形状のみ変わっただけであり、蒸着過程は、前述の図2から図8の実施形態と同一に進められる。ただし、前記マスク・ユニット200’には、板状部材250の連結によってマスク部材が形成されているために、マスク部材が完全な円形状でないので、基板10と接触することができる領域が狭まる。すなわち、支持片261がある付近は、板状部材250と基板10との接触が良好に行われない。従って、その場合には、マスク・ユニット200’とクルーシブル・ユニット100とを複数個配し、接触領域が狭まったことを補償すればよい。これについては、次の実施形態について説明しつつ言及する。
【0083】
図12A及び図12Bは、本発明のさらに他の実施形態によるマスク・ユニット200”を図示したものである。図12A及び図12Bを参照すれば、図2のシールド部材700を使用する代わりに、板状部材250の支持片機能を兼ねる複数のシールド部材271をマスク・ユニット200”に固設したものである。このシールド部材271は、マスク部材をなす板状部材250を弾力的に支え、同時に2つの動力伝達部材270間を横切って配され、各シールド部材271間の隙間を介して蒸着源の蒸気をガイドする。
【0084】
図13は、このように変形されたシールド部材271を有した薄膜蒸着装置の作動過程を図示したものである。すなわち、板状部材250に連結されたマスク部材が、基板10に密着されて回転し、このとき、クルーシブル110に充填された蒸着源の蒸気がシールド部材271間の隙間にガイドされて基板10に蒸着される。ただし、この場合には、蒸着が起こる領域がシールド部材271間の間に限定されるので、図面のように、マスク・ユニット200”とクルーシブル・ユニット100とをいくつか設け、蒸着領域が狭くなったところを補償すればよい。同様に、前記図11で説明した構造も、このように、マスク・ユニット200’とクルーシブル・ユニット100とをいくつか設けて蒸着領域が狭くなったところを補償すればよい。
【0085】
一方、図14は、前記マスク・ユニット200”とクルーシブル・ユニット100とを色相別に1セットずつ設けて運用する例を示したものである。すなわち、さまざまな色相を蒸着しなければならない場合には、色相ごとに、マスク・ユニット200”とクルーシブル・ユニット100とを1セットずつ設け、連続して蒸着を行わせることができる。もちろん、色相ごとに、さらにマスク・ユニット200”とクルーシブル・ユニット100とを数セットずつ設けることも可能である。
【0086】
以上で説明したような薄膜蒸着装置によれば、蒸着源の供給及び消尽、基板とマスクとアレンジ、マスクに残留された蒸着源の除去などがいずれも連続して進められるために、作業速度が相当に速くなり、また基板とマスクとが密着された状態で蒸着が進められるので、良好な蒸着品質も維持されうる。
【0087】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当技術分野における当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるものである。
【符号の説明】
【0088】
10 基板
100 クルーシブル・ユニット
110,110’,110” クルーシブル
120 循環レール
120a 開口
130 クルーシブル・ヒーティング部
130’,130” ヒーティング部
131 熱線
132a,132b,132c 接続パッド
133a,133b 電源
134a,134b 電源供給パッド
140 ボールベアリング
141 スプリング
150 クルーシブル充填部
151 注入ノズル
152 注入タンク
160 クルーシブル移送部
161 移送ホイール
162,240 モータ
200,200’ マスク・ユニット
210 マスク部材
211 マスク・パターン
220,260,270 動力伝達部材
221 動力伝達部材の内壁
222 ギア部
230 クレードル・ホイール
250 板状部材
260,270 動力伝達部材
261 支持片
271,700 シールド部材
300 基板移送ユニット
310 クランパ
311 ギア面
320 ガイドレール
400 マスク洗浄部
410 超音波発生部
420 バケット
700,700’ シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着対象体である基板を移送するように備わった基板移送ユニットと、
前記基板に向けて蒸着源の蒸気を選択的に通過させるように備わったマスク・ユニットと、
前記蒸着源を収容し、前記マスク・ユニットを貫通する循環経路に沿って進む複数のクルーシブルを含むクルーシブル・ユニットと、を含む薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記マスク・ユニットは、連続した囲い状であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記基板移送ユニットは、
前記基板を支持し、前記マスク・ユニットの走行に連動して移送されるように備わったクランパと、
前記クランパを摺動自在に支持するガイドレールと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記マスク・ユニットは、
マスク・パターンが形成された本体を有し、その本体の少なくとも一部が前記基板に密着するように備わったマスク部材と、
前記マスク部材を走行させるための駆動部と、
前記駆動部の動力を前記マスク部材に伝達するように備わった動力伝達部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記マスク部材の本体は、両端が開放された円筒形であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記動力伝達部材は、キャビティが形成されたリング型部材を含み、
前記マスク部材は、前記リング型部材の内壁に隣接したキャビティに挿入され、
前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が配されたことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記マスク部材の本体は、複数の板状部材であり、
前記動力伝達部材は、複数のリング型部材と、前記リング型部材の側壁における複数の支持片と、を含み、
前記複数の板状部材は、互いに連結され、前記複数の支持片によって支持され、
前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記動力伝達部材とギア結合されたクレードル・ホイールと、
前記クレードル・ホイールを回転させるように、前記クレードル・ホイールに連結されたモータと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記マスク部材は、前記基板との接触面積が拡大するように弾力的に連結されたことを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記クルーシブル・ユニットは、
前記循環経路を形成する循環レールと、
前記蒸着源を収容し、前記循環レールに装着された複数のクルーシブルと、
前記複数のクルーシブルを、前記循環レールに沿って移送させるように備わったクルーシブル移送部と、
前記複数のクルーシブルに前記蒸着源を充填させるクルーシブル充填部と、
前記蒸着源の蒸気を発生させるために、前記クルーシブルを加熱するように備わったクルーシブル・ヒーティング部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記クルーシブル・ユニットは、前記循環レールに、前記複数のクルーシブルを支持する複数のボールベアリングをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記クルーシブル・ユニットは、前記循環レールに設けられ、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールの壁に押し付けるように備わったスプリングをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記クルーシブル移送部は、前記複数のクルーシブルを、前記循環経路の一方向に押し進めるように備わって回転する移送ホイールをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記クルーシブル充填部は、
前記蒸着源が装填された注入タンクと、
前記注入タンク内の蒸着源を前記循環レール上の複数のクルーシブルに供給する注入ノズルと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記クルーシブル・ヒーティング部は、
前記クルーシブル内に内蔵された熱線と、
前記熱線に電圧を供給する電源と、
前記電源と前記熱線とを連結するように、前記クルーシブルに設けられた接続パッドと、を具備することを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記クルーシブル・ユニットは、前記接続パッドと前記電源との間に介在されたボールベアリングをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記接続パッドは、前記各クルーシブルに複数個設けられ、前記電源も、選択的な電圧印加が可能なように、前記複数個の接続パッドに対応して複数個設けられたことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記基板に対する蒸着位置に、前記蒸着源の蒸気をガイドするシールド部材をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記シールド部材は、前記マスク・ユニット内で、前記クルーシブル・ユニットの上部に固定されることを特徴とする請求項18に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記シールド部材は、前記マスク・ユニットに固定され、前記マスク・ユニットと共に回転することを特徴とする請求項18に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記マスク・ユニットは、複数のマスク・ユニットを含み、前記クルーシブル・ユニットは、複数のクルーシブル・ユニットを含み、前記複数のマスク・ユニットと複数のクルーシブル・ユニットは、1つの基板移送ユニットに対応することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記マスク・ユニットとクルーシブル・ユニットは、前記蒸着源の各色相を蒸着するように準備されることを特徴とする請求項21に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記マスク・ユニットに付着した蒸着源を除去するためのマスク洗浄部がさらに備わったことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記マスク洗浄部は、
前記マスク・ユニットに超音波で振動を加える超音波発生器と、
前記振動によって落ちる蒸着源を受容するバケットと、を含むことを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
マスク・パターンが形成された無限軌道状の本体を有し、前記本体の少なくとも一部が蒸着対象体である基板に密着するように備わったマスク部材と、
前記マスク部材を走行させるための駆動部と、
前記駆動部の動力を前記マスク部材に伝達するように備わった動力伝達部材と、を含むマスク・ユニット。
【請求項26】
前記マスク部材の本体は、両端が開放された円筒形であることを特徴とする請求項25に記載のマスク・ユニット。
【請求項27】
前記動力伝達部材は、キャビティが形成されたリング型部材を含み、
前記マスク部材は、前記リング型部材の内壁に隣接したキャビティに挿入され、
前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が配されたことを特徴とする請求項26に記載のマスク・ユニット。
【請求項28】
前記マスク部材は、複数の板状部材であり、
前記動力伝達部材は、複数のリング型部材、及び前記リング型部材の側壁に設けられた複数の支持片を含み、
前記複数の板状部材は、互いに連結され、前記複数の支持片によって支持され、
前記リング型部材の外壁には、前記駆動部との動力連結のためのギア部が形成されたことを特徴とする請求項25に記載のマスク・ユニット。
【請求項29】
前記駆動部は、
前記動力伝達部材とギア結合されたクレードル・ホイールと、
前記クレードル・ホイールを回転させるように、前記クレードル・ホイールに連結されたモータと、を含むことを特徴とする請求項25に記載のマスク・ユニット。
【請求項30】
前記マスク部材は、前記基板との接触面積が拡大するように弾力的に連結されたことを特徴とする請求項25に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
循環経路を形成する循環レールと、
蒸着源を収容し、前記循環レールに装着された複数のクルーシブルと、
前記複数のクルーシブルを、前記循環レールに沿って移送させるように備わったクルーシブル移送部と、
前記複数のクルーシブルに前記蒸着源を充填させるクルーシブル充填部と、
前記蒸着源の蒸気が発生するように、前記クルーシブルを加熱するように備わったクルーシブル・ヒーティング部と、を含むクルーシブル・ユニット。
【請求項32】
前記循環レールに、前記複数のクルーシブルを支持する複数のボールベアリングをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項33】
前記循環レールに設けられ、前記複数のクルーシブルを、前記循環レールの壁に押し付けるように備わったスプリングをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項34】
前記クルーシブル移送部は、前記複数のクルーシブルを、前記循環経路の一方向に押し進めるように備わって回転する移送ホイールをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項35】
前記クルーシブル充填部は、
前記蒸着源が装填された注入タンクと、
前記注入タンク中の蒸着源を前記循環レール上の複数のクルーシブルに供給する注入ノズルと、を含むことを特徴とする請求項31に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項36】
前記クルーシブル・ヒーティング部は、
前記クルーシブル内に内蔵された熱線と、
前記熱線に電圧を供給する電源と、
前記電源と前記熱線とを連結するように、前記クルーシブルに設けられた接続パッドと、を具備することを特徴とする請求項31に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項37】
前記接続パッドと前記電源との間に介在されたボールベアリングをさらに含むことを特徴とする請求項36に記載のクルーシブル・ユニット。
【請求項38】
前記接続パッドは、前記各クルーシブルに複数個設けられ、前記電源も、選択的な電圧印加が可能なように、前記複数個の接続パッドに対応して複数個設けられたことを特徴とする請求項36に記載のクルーシブル・ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−87408(P2012−87408A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228737(P2011−228737)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】