説明

遊技機

【課題】遊技の熟練度や操作行動の傾向など遊技者の個性に応じて演出の内容を変化できるようにすることで、演出に慣れや飽きを生じさせないようにする等の遊技機を提供する。
【解決手段】スロットマシン1において回転可能なリール10aの回転軸に発電器101を取り付け、リールの回転時間に応じて生じる量の電荷を充電回路103に蓄える。所定の条件が整ったとき、充電回路103に蓄えた電荷を光演出装置20などの演出手段に放電して作動させる。このように、目押しまでにかけた時間に応じて演出の内容を変化させることで、遊技者の個性を反映した演出を実現でき、ゲームをより面白くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者による回転開始及び回転停止の操作に応じて図柄を変動表示する円筒状のリールを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回胴式遊技機として知られているスロットマシンには、通常3列の回転可能なリール(回胴)がフロントマスクの中央に並設されている。これらのリールには、円筒状の外周面に数種類の図柄が印刷されており、遊技者によるリールの回転停止操作(これを「目押し」という)のタイミングに応じて表示する図柄が、例えば同じ種類で一列に揃うなど所定の態様となったとき入賞が成立し、メダル等の遊技媒体が遊技者に配当として払い戻される。
なお、かかるリールを備えた遊技機としてはスロットマシンが代表的であるが、パチンコなどその他の遊技機においても抽選による演出やサブゲームなどのためにリールが用いられるものがある。
【0003】
ところで、近年のスロットマシンにおいては、入賞の内部的な抽選を実行した後にその抽選結果に応じてリールの停止制御を行うものが主流となっている。すなわち、マイコンを搭載するスロットマシンの制御基板(メイン制御基板)は、例えばリールの回転開始時に内部抽選を行い、いずれかの入賞を当選したときその当選に係る入賞役のフラグをセットする。このフラグがセットされたゲーム(内部当選状態)において遊技者が行った目押しのタイミングが当該入賞に係る図柄を有効ラインに停止できるタイミングの範囲内であるとき、メイン制御基板は、当該リールを所定位置に停止させる制御を行って入賞を確定させる。また、何れかの入賞役が内部当選状態であっても、遊技者がこの目押しのタイミングを外してしまうと入賞に係る図柄が有効ライン上に表示されないこととなり、この場合には入賞獲得の機会を失う結果となる。
【0004】
また、遊技者が目押しに成功し入賞が成立した際には、遊技機本体のランプや液晶表示装置等による比較的華やかな演出(いわゆる「あつい演出」)が行われ、遊技者が獲得した入賞を盛り上げるようにしているが、他方、目押しに失敗し入賞を取りこぼした場合には、より控えめな演出が行われることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の遊技機において行われる演出は、上述した内部抽選の結果や入賞の成否に応じてその内容(演出パターン)が選択されるため、演出が繰り返されると、遊技者は状況に応じてその演出に慣れてしまうことが早かった。そうなると、ランプや液晶表示装置等による華やかな演出が行われても、遊技者の感覚が鈍化しているため盛り上がりに欠け、ゲームの面白さが半減してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、各遊技者の熟練度や操作行動の傾向など、その人の個性に応じて演出の内容を変化できるようにすることで、演出に慣れや飽きを生じさせないようにする等の遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため請求項1に記載の発明は、遊技者による回転開始及び回転停止の操作に応じて図柄を変動表示するリールを備えた遊技機であって、前記リールが回転を開始し停止するまでの回転量に従属した電荷量を蓄える充電手段と、該充電手段が蓄えた電荷量に応じた内容の演出を行う演出手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の遊技機によれば、演出手段は、リールが回転を開始し停止するまでの回転量に従属した内容の演出動作をするため、遊技者の熟練度や操作行動の傾向などに応じて演出内容を変化させることができる。これにより、演出に慣れや飽きを生じさせないようにすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機であって、前記演出手段は、前記充電手段が蓄えた電荷の供給を受けて動作することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の遊技機によれば、簡素な構成で遊技者の熟練度や操作行動の傾向などに応じて演出内容を変化させることができる。これにより、遊技の演出に慣れや飽きを生じさせないようにすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機であって、前記充電手段に蓄えられた電荷量に基づいて遊技時間に関する情報を求める遊技情報処理手段と、該遊技情報処理手段が求めた情報に応じて前記演出手段に演出を実行させるための演出パターンテーブルを選択する演出制御手段と、を更に備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の遊技機によれば、遊技情報処理手段は、充電手段に蓄えられた電荷量に基づいて、例えばリールの回転時間、目押しまでの平均時間またはその分散など統計処理を行って遊技時間に関する情報を求め、この情報に基づいて演出制御手段が演出パターンテーブルを選択し演出を実行させる。これにより、遊技者の熟練度や操作行動の傾向などの個性をより綿密に演出内容に反映させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の遊技機であって、前記充電手段は、前記リールの回転軸に連結し当該リールの回転により駆動する発電器と、該発電器が出力した電荷を蓄えるコンデンサと、を少なくとも有していることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の遊技機によれば、遊技者の個性を演出内容に反映させる演出制御を簡素な構成で実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明に係る遊技機によれば、簡素な構成で遊技の熟練度や操作行動の傾向といった遊技者の個性を演出内容に反映させることができる。これにより、演出に対する慣れや飽きを生じさせずに遊技興趣をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態としてスロットマシン1を図面を参照しながら説明する。ここで、図1は、スロットマシン1の外観構造を表した斜視図である。スロットマシン1は、矩形箱状のキャビネット2と、当該キャビネット2に開閉可能に取り付けられる前扉3とからなる筐体を備えている。通常時においては、図1に示されるように、前扉3がキャビネット2に対し閉塞した状態で施錠されている。
【0017】
前扉3の前面側には、遊技者に面する化粧板としてのいわゆるフロントマスクが形成されている。フロントマスクの上段部には、高輝度のLEDを内蔵する上部ランプ5やコーナーランプ6a、6b、また、スピーカを内蔵する左右の放音部7a、7bなどが配設されている。
【0018】
また、フロントマスク上段部の中央に、液晶表示装置8と、例えば回転表示灯(パトライト)を内蔵する光演出装置20が配設されている。なお、上部ランプ5、コーナーランプ6a、6b、液晶表示装置8、光演出装置20の何れもここでいう演出手段として用いられる。
【0019】
フロントマスクの中段部には、平坦な樹脂板からなる中パネル9が設けられ、中パネル9の中央に形成された四角形の透明領域である表示窓9aを介して、キャビネット2内部の3個のリール10a、10b、10cが視認可能とされている。なお、各リール10a、10b、10cは、それぞれ独立して回転可能であり、それぞれの外周面に描かれた縦3個、横3列の図柄(図示略)が表示窓9aを介して変動表示されるようになっている。
【0020】
中パネル9の下方には、前方に若干突出する卓状の操作卓が形成されている。この操作卓には、ゲームに賭けるメダルを投入するためのメダル投入部11と、ゲーム開始を操作指示するためのベットボタン12と、リール10a、10b、10cの回転開始操作をするためのスタートレバー13と、各リール10a、10b、10cの回転停止操作をするためのストップボタン14a、14b、14c等がそれぞれ所定の位置に配設されている。
【0021】
フロントマスクの下段部には、スロットマシン1のモデルタイプ等を遊技者へ認識させるための、例えば登場キャラクターの絵柄(図示略)などが印刷された略四角形のプラスチック板である下パネル15が取り付けられている。
フロントマスクの最下部には、入賞等の際にメダルを払い出すためのメダル払出口16と、メダル払出口16から払い出されたメダルを貯留するための受け皿が形成された受け皿部材4が取り付けられている。また、受け皿部材4には、スピーカを内蔵する放音部17a、17bがそれぞれ左右位置に形成されている。
【0022】
かかる構成のスロットマシン1は、マイコンからなる後述のメイン制御基板30(図2参照)によりゲーム動作が制御される。すなわち、スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの払い出しを完了させた時、または先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この状態において、遊技者がベットボタン12を押圧操作することにより、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームにメダルが賭けられゲームが開始する。このゲーム開始の状態でスタートレバー13が傾倒操作されると、メイン制御基板30は、リール10a、10b、10cを一斉に回転させると同時に、表示窓9aに設定される有効ラインに引き込み停止制御可能な図柄の組み合せ、すなわち入賞を内部抽選する。
【0023】
この内部抽選により何れかの入賞を当選したとき、その結果がメイン制御基板30のRAMの所定記憶領域に設定される内部当選フラグにセットされる。なお、この内部当選フラグがセットされ入賞が内定している状態を「内部当選状態」という。
【0024】
次に、メイン制御基板30は、ストップボタン14a、14b、14cが押圧操作されるに応じて対応するリールを順に停止させる。そして、メイン制御基板30は、全てのリール10a、10b、10cが停止したのを検知した後、各リールが有効ラインに表示する図柄の組み合せと、上述の内部当選フラグで参照される当選した入賞に係る図柄の組み合せとが一致するか否か判定する。そして、何れかの有効ラインにおいて図柄が一致したとき当該入賞が確定し、配当されるメダルの数だけクレジットが加算される。また、配当された結果、クレジットがその上限を超える場合には、その上限を超える枚数分のメダルをメダル払出口16より遊技者に払い出している。
【0025】
このように、スロットマシン1の遊技者は、リール10a、10b、10cを回転・停止させる遊技操作を行って変動表示した図柄が揃わなければ賭けたメダルを失うが、内部当選した組み合せで図柄を揃えることにより入賞が成立し賭けた以上のメダルを獲得し得るので、技量と運によりメダルを増やすという興趣を伴ったゲームを楽しむことができる。
【0026】
次に、図2の回路ブロック図を参照しながら、スロットマシン1に備えられる本発明の特徴でもある演出手段及びその周辺の構成について説明する。メイン制御基板30は、CPUと、ROM及びRAMである半導体メモリと、I/Oと、周辺機器に接続するためのインタフェース回路などが形成されたマイコンベースの電子回路基板である。なお、メイン制御基板30のCPUには、上述した半導体メモリの他に割込コントローラ、外部バスインタフェース、クロックジェネレータ等のチップセットがそれぞれ内部のバスで接続され、これらが1つのICパッケージ内に集約されて搭載されている。
【0027】
また、メイン制御基板30には、スタートレバー13やストップボタン14a、14b、14c及び図示しないベットボタン12等の操作スイッチや各種センサが接続され、これら操作スイッチ類の状態を示すスイッチ信号がクロック割込により随時入力されるようになっている。
【0028】
メイン制御基板30は、回胴装置基板31を介してリール10a、10b、10cの回転軸に直結するステッピングモータ32に接続している。すなわち、メイン制御基板30は、ゲーム開始の状態でスタートレバー13の操作を検知すると、リール10a及び図示していない他のリール10b、10cを定速で回転させるための、一定周期のパルスデータ信号を回胴装置基板31へ出力する。回胴装置基板31は、上述のパルスデータ信号を4相の駆動パルス信号に変換して電流増幅するとともに、各リール10a、10b、10cのステッピングモータ32へ駆動パルス信号をそれぞれ出力する。このように、遊技者が行う回転開始及び停止の操作に従って、メイン制御基板30が回胴装置基板31へ制御信号(パルスデータ信号)を出力することで、各リール10a、10b、10cの回転及び停止動作が制御されるようになっている。
【0029】
サブ制御基板40は、メイン制御基板30の制御下で、主に演出手段に対する駆動制御を行うためのマイコンベースの電子回路基板である。なお、図示はしていないが、サブ制御基板40には、演出効果音や楽音等の音源データを記憶する音源用メモリと、音源データを再生して放音部7a、7b、17a、17bのスピーカを鳴動させるミュージックデコーダ(AMM−DEC)と、液晶表示装置8に表示させる画像データを記憶する画像用メモリと、画像データに基づきビデオ信号を再生する画像処理用LSIなどを搭載している。
【0030】
また、サブ制御基板40のROMには、演出手段にゲームの演出を実行させるための複数の演出パターンテーブル41a、41b、…が予め記憶されている。演出パターンテーブル41a、41b、…のそれぞれには、上部ランプ5、コーナーランプ6a、6b、光演出装置20等のランプ類を点灯・点滅させるシーケンスプログラムや、音源データ及び画像データの所在を示す情報(例えばメモリアドレス)とともにこれらの再生時間・順序等を示すプログラムなどが記述されている。サブ制御基板40は、メイン制御基板30からの指令、抽選または後述するチャージ電圧CVまたは過去数回のゲームにおける目押し時間の移動平均(段落[0043]等を参照)に基づいて何れかの演出パターンテーブル41a、41b、…を選択し、その選択した演出パターンテーブルに従って各演出手段を動作制御させることで、ゲーム状況に応じて異なるパターンの演出を液晶表示8や光演出装置20などに実行させている。
【0031】
リール10a、10b、10cには、発電器101と、充電スイッチ回路102と、充電回路103と、充電量検出回路104と、供給スイッチ回路105と、放電スイッチ回路106とから回路構成される充放電回路が設けられている。
図2においては、リール10aについてのみ発電器101及び充電回路103などの充放電回路が記載されているが、他のリール10b、10cについても同様の充放電回路が設けられる。ただし、全てのリール10a、10b、10cについて充放電回路を設けることは、必ずしも発明の要件ではない。ここでは、1つのリール10aについてのみ代表して充放電回路の実施形態を説明する。
【0032】
発電器101は、リール10aの回転軸に連結して設けられており、リール10aの回転力が直接伝達されて駆動することで電荷(図2の回路例では正電荷)を生成して充電スイッチ回路102へ出力する。なお、電荷を生成する手段としては、回転するリール10aとの摩擦で発生させた静電気を充電回路103に蓄える方式のものでもよい。
【0033】
充電スイッチ回路102は、サブ制御基板40からの充電スイッチ信号CHGによりON/OFF動作し、ON状態のときに発電器101が生成した電荷を充電回路103へ供給して充電させる。
【0034】
充電回路103は、例えば電気抵抗103aとコンデンサ103bとからなるいわゆるRC積分回路から形成され、電気抵抗103aにより電流制限された電荷がコンデンサ103bに蓄えられる。また、充電回路103の出力(放電)側に設けられる充電量検出回路104が、コンデンサ103bの電極間電圧(これを「チャージ電圧CV」という)に基づいて正確な充電量の検知を可能とするために、入力側の電圧が一定以上にならないように制限する電圧制限素子としての例えばツェナーダイオード103cが挿入されている。
【0035】
充電量検出回路104は、具体的には上述したようにコンデンサ103bのチャージ電圧CVを検出する電圧計から形成される。すなわち、充電開始後、リール10aの回転量に応じた電荷量がコンデンサ103bに充電されているので、サブ制御基板40は、充電量検出回路104が検出するチャージ電圧CVから充電されている電荷量を求めれば、その電荷量の充電のために要したリール10aの回転量を逆算して求めることができる。更に、リール10aの回転速度を一定とみなせば、充電開始からのリール10aの回転時間に相当する情報を演算することも可能である。なお、図3に示すようなリール10aの回転時間に対するチャージ電圧CVの特性曲線を予め実験的に求め、その特性曲線のマップデータをROMに参照可能に記憶させておけば、サブ制御基板40は、検出したチャージ電圧CVに基づいて更に容易にリール10aの当該回転時間の情報を取得することができる。
【0036】
供給スイッチ回路105は、サブ制御基板40からの供給スイッチ信号SUPによりON/OFF動作し、ON状態のときに充電回路103に蓄えた電荷を例えば光演出装置20へ供給する。すなわち、リール10aの回転時間が長いほど充電回路103に蓄えられる電荷量が増えるため、光演出装置20の例えばパトライトの点灯時間を長く保持するといった、より「あつい演出」を行うことが可能になる。
【0037】
また、サブ制御基板40は、選択した演出パターンテーブルに従って光演出装置20へ演出制御信号CONTを出力することで、リール10aの回転量、すなわち目押しまでにどれだけ時間をかけるかなど、遊技者の熟練度や操作行動の傾向に応じて演出内容を変化させることができる。
【0038】
放電スイッチ回路106は、サブ制御基板40からの放電スイッチ信号RLSによりON/OFF動作し、上述の供給スイッチ回路105と同時に放電スイッチ回路106がON状態のときに、充電回路103に充電した電荷を安全にアースに放電させ初期状態に戻すことができる。
【0039】
なお、本発明において充電回路103に蓄えた電荷の供給を受けて動作する演出手段としては、上述の光演出装置20に限定するものではなく、光を用いた演出以外にも、効果音を発生させるものや遊技者に放電ショックを与えるもの等、様々な種類・方式の演出手段を適用することができる。
【0040】
次に、上述の充放電回路及び演出手段を用いた制御例を、図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図4のフローチャートは、メイン制御基板30からの指令を受けてサブ制御基板40のCPUが演算実行する制御フローを示している。
【0041】
ゲームの演出を実行するにあたり、サブ制御基板40は、メイン制御基板30からリール10a、10b、10cの回転開始があった旨を示す回転開始信号の受信を待ち(ステップS1)、この回転開始信号を受信したとき(ステップS1:YES)、演出実行を許す内部条件を判定する(ステップS2)。
【0042】
ここでいう内部条件とは、例えば「チェリー」や「スイカ」などの特定の図柄を狙う目押しが必要な入賞役(通常このような入賞に係る図柄が表示されるとメダルが少数枚払い戻されることから、これらの入賞役は「小役」と呼ばれている)の内部当選フラグがセットされていることを条件とすることができる。
【0043】
この場合において、サブ制御基板40は、例えば「チェリー」の小役が内部当選状態であると認識すると、演出実行の内部条件を満足したと判定し(ステップS2:YES)、充電スイッチ信号CHGを出力する。これにより、リールの回転によって生じる電荷の充電(チャージ)が開始する(ステップS3)。
【0044】
リール10a、10b、10cの回転が長く継続し、充電量検出回路104により検出されるチャージ電圧CVが所定値(例えばツェナー電圧ZV)以上になった場合(ステップS4:YES)、サブ制御基板40は、遊技者にリールの停止操作を促すようなメッセージを液晶表示装置8などに表示させる(ステップS5)。そして、供給スイッチ回路105及び放電スイッチ回路106を同時にON状態にして、充電回路103に蓄えられている電荷を放電(リリース)させる(ステップS6)。なお、リール10a、10b、10cの回転が長く継続した場合におけるこれらステップS5、S6の処理は、リールの自動停止機能を備えていない遊技機において有益な処理であり、一般の遊技機においては任意に設けられる処理である。
【0045】
サブ制御基板40は、回転中のリールにつき何れかのストップボタン14a、14b、14cの停止操作があった旨を示す信号をメイン制御基板30から受信すると(ステップS7:YES)、充電量検出回路104を介してチャージ電圧CVを取得する(ステップS8)。次いで、充電回路103の容量と検出したチャージ電圧CVとから演算されるチャージ電荷量、または図3の如き特性曲線を参照して直接的に当該リールの回転開始から停止までの時間、すなわち目押しまでの時間の情報を求める(ステップS9)。
そして、サブ制御基板40は、過去数回のゲームにおける目押し時間の移動平均を求め(ステップS10)、その平均に応じて演出パターンテーブル41a、41b、…の何れかを選択する(ステップ11)。
【0046】
リールの回転が停止すると、サブ制御基板40は、供給スイッチ信号SUPを出力して、充電回路103に充電したチャージ電荷を光演出装置20へ供給して作動させる(ステップ12)。また、ステップS11で選択した演出パターンテーブル41a、41b、…に従った演出を液晶表示装置8などに実行させる。これにより、チャージ電圧CV、つまりは「目押しまでの時間」に応じた内容の演出が行われる。演出の具体的な内容は、上述したように演出パターンテーブル41a、41b、…に記述されており、目押しまでの時間が平均よりも短いような場合には上級者用の演出パターンテーブル(例えば41a)が選択され、目押しまでの時間が平均よりも長いような場合には初心者用の演出パターンテーブル(例えば41c)が選択される。こうして、結果的に遊技者の熟練度や技量に応じた演出が行われることとなる。
【0047】
なお、サブ制御基板40は、演出パターンテーブル41a、41b、…を選択する上での判断情報を得るために、ステップS10において目押しまでの時間のばらつきや分散など統計的な処理を行って、遊技者の個性またはその時の心理状態をより詳細に分析する処理を行ってもよい。また、ステップS11で選択した演出パターンテーブルに従って上部ランプ5や液晶表示装置8などに演出を実行させてもよい。こうすることにより、例えば目押しまでの時間にばらつきや、操作にむらが多いと診断される遊技者に対しては、ゲームへの集中力を喚起させるような演出内容の演出パターンテーブルを選択するといったより的確な処理動作が可能となる。したがって、遊技者の個性または心理状態をより綿密に反映させた内容の演出を、光演出装置20及びその他の演出手段を使って行うことができる。
【0048】
また、例えば目押しに失敗したときなど所定の終了条件の場合には、当該ゲームでは演出を行わずにチャージ電荷を充電回路103に保持し、また選択した演出パターンテーブル41a、41b、…を保留して、次回以降のゲームに演出を持ち越してもよい。例えば熟練の技量を有する遊技者は、ゲームを繰り返すことで意図せずとも上級者用の演出パターンテーブル41aが選択され、それに見合った演出が継続してなされる。このため、演出に飽きることなくゲームへの興趣を持続させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、スロットマシンに限らず、リールを停止操作して図柄等によりゲームの結果を提示する一般的な遊技機に広く応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態によるスロットマシンの外観斜視図である。
【図2】図1に示したスロットマシンに備えられる演出手段を制御するための回路ブロック図である。
【図3】リールの回転経過時間に対するチャージ電圧の特性の一例を示したグラフである。
【図4】演出手段としての光演出装置に対する制御の一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 スロットマシン 2 キャビネット
3 前扉 4 皿部材
5 上部ランプ 6a、6b コーナーランプ
7a、7b 放音部 8 液晶表示装置
9 中パネル 9a 表示窓
10a、10b、10c リール 11 メダル投入部
12 ベットボタン 13 スタートレバー
14a、14b、14c ストップボタン 15 下パネル
16 メダル払出口 17a、17b、17c 放音部
20 光演出装置 30 メイン制御基板
31 回胴装置基板 32 ステッピングモータ
40 サブ制御基板 41a、41b 演出パターンテーブル
101 発電器 102 充電スイッチ回路
103 充電回路 103a 電気抵抗
103b コンデンサ 103c ツェナーダイオード
104 充電量検出回路 105 供給スイッチ回路
106 放電スイッチ回路
CHG 充電スイッチ信号 CONT 演出制御信号
CV チャージ電圧 LSI 画像処理用
RLS 放電スイッチ信号 SUP 供給スイッチ信号
ZV ツェナー電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者による回転開始及び回転停止の操作に応じて図柄を変動表示するリールを備えた遊技機であって、
前記リールが回転を開始し停止するまでの回転量に従属した電荷量を蓄える充電手段と、
該充電手段が蓄えた電荷量に応じた内容の演出を行う演出手段と、を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記演出手段は、前記充電手段が蓄えた電荷の供給を受けて動作することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記充電手段に蓄えられた電荷量に基づいて遊技時間に関する情報を求める遊技情報処理手段と、該遊技情報処理手段が求めた情報に応じて前記演出手段に演出を実行させるための演出パターンテーブルを選択する演出制御手段と、を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記充電手段は、前記リールの回転軸に連結し当該リールの回転により駆動する発電器と、該発電器が出力した電荷を蓄えるコンデンサと、を少なくとも有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−301999(P2008−301999A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151481(P2007−151481)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】