説明

遊技機

【課題】図柄判定を行わなくても回転リールを通常の回転方向と逆方向に回転させて所定位置で停止させる演出を行わせることができ、極力制御装置に負担をかけないで斬新な演出を実行可能とする。
【解決手段】回転リール40が正回転中に回転リール40ごとに所定の単位をカウントし、回転リール40の正回転停止時に終了カウント値として記憶する。スタート操作を契機に、終了カウント値の最も大きい回転リール40を逆回転させ、逆回転カウントを開始する。逆回転カウントによりカウントされた数値が、当該回転リール40の終了カウント値と逆回転していない他の回転リール40の終了カウント値との差数に一致した場合には、一致した他の回転リールの逆回転を開始させることを順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、当選判定の抽選を行い、スタートスイッチの操作により回転リールなどの図柄表示手段が変動し、ストップスイッチの操作によってそれらの変動を停止させるようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機、例えばスロットマシンにおいては、種々の態様で演出が行われるように形成されている。例えば、特許文献1に記載のスロットマシンは、所定の遊技待ち時間に回転リールを逆回転させるものである。また、特許文献2には、可変表示装置に表示された表示内容を逆再生させて、有利状態の発生を報知するパチンコ遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−114142号公報
【特許文献2】特開2004−283193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スロットマシンやそれに類する遊技機においては、主たる遊技装置である回転リールを用いて特許文献2に示すような演出を実行させようとすると、逆回転時の図柄の現在位置特定を行うためのデータを設けなくてはならず、遊技を制御するためのメイン制御装置の容量を圧迫し、メイン制御装置に負担がかかり好ましくない。また、逆回転開始の際に図柄の現在位置特定をするのに時間がかかり、逆回転演出が不自然なものになるという問題点があった。
そこで本願発明は、図柄判定を行わなくても回転リールを通常の回転方向と逆方向に回転させて所定位置で停止させる演出を行わせることができ、極力制御装置に負担をかけないで斬新な演出を実行可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した目的を達成するためになされたものであり、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、複数の駆動モータ(リールモータM1、M2、M3)にそれぞれ軸着され、表面に複数の図柄が表示された複数の回転リール(40)と、前記回転リール(40)を回転開始させるためのスタートスイッチ(30)と、回転中の前記回転リール(40)を個々に停止させるための複数のストップスイッチ(50)と、複数の図柄配列から構成される役について当選か否かの役抽選を行うための当選抽選手段(70)と、前記スタートスイッチ(30)及びストップスイッチ(50)の操作に基づき、前記各駆動モータの駆動及び駆動停止を制御して前記回転リール(40)を所定の態様で回転又は回転停止させるモータ制御手段(94)とを少なくとも備え、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記駆動モータが駆動開始し、予め設定された停止可能要件が満たされた後に前記ストップスイッチ(50)の操作を有効とし、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき回転停止した前記複数の回転リール(40)の停止図柄が、予め定められた配列となった場合に、所定の利益が付与されるとともに、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記ストップスイッチ(50)の操作を有効とするまでの間に、前記回転リール(40)の逆回転による回胴演出を実行可能に形成された遊技機に係る。
【0006】
本発明に係る遊技機は、スロットマシンやパロット遊技機とすることができ、上記構成の他にも、入賞時に遊技媒体を払い出すための払い出し装置(ホッパーユニット65)その他の構成部品を備えていてもよい。なお、「遊技媒体」とは、遊技に使用するメダルや遊技球(パチンコ球)、コインなどを含むものである。
前記モータ制御手段(94)は、駆動モータの回転開始から回転停止までの制御を行うものであって、前記スタートスイッチ(30)の操作に基づき複数の駆動モータに駆動信号を出力して、回転リール(40)の回転速度が一定になるまで駆動モータを加速回転させ、その後は一定速度を保ったまま駆動モータを回転させる。また、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき、複数の駆動モータに停止信号を出力して、回転リール(40)の回転を停止させる。この際、当選抽選手段(70)による役抽選の抽選結果に応じて、所定位置に停止させてはいけない図柄を停止させないように「蹴飛ばし」を行うと共に、所定位置に停止させてもよい図柄を極力その位置に停止させるように「引き込み」を行う。すなわち、前記ストップスイッチ(50)の操作時に、当選判定の抽選結果が「ハズレ」の場合にはいかなる当選図柄も有効ライン上に揃わないように、当選判定の抽選結果が所定の当選役に当選(当たり)の場合には当該当選図柄が極力有効ライン上に揃うように、各駆動モータに停止信号を出力する時間を調整する制御を行う。
【0007】
前記「予め設定された停止可能要件」とは、所定の遊技制限時間(いわゆるウエイト時間)又は停止操作無効時間(いわゆるフリーズ時間)が経過していることや、回転リール(40)が一定速度(定常回転速度)での回転を保っていることや、回転リール(40)に表示されている図柄の位置を特定可能となったこと(スタートインデックスが検知されたこと)を含むものである。
前記「所定の利益」とは、入賞により遊技媒体が払い出されることや、ボーナスゲームなどの有利遊技に移行することや、遊技媒体の投入なしに次遊技を行えること(再遊技)を含むものである。
【0008】
前記「回胴演出」は、回転リール(40)を遊技実行時の通常の回転態様と異なる態様で回転させることであり、本発明では通常の回転方向と逆方向に回転させる態様を含むものである。それ以外の回転態様、例えば回転開始時の加速度、回転中の速度が通常時と異なる態様や、一時停止、振動など、逆回転以外のリール挙動を行わせることができてもよい。
さらに、本発明においては、前記回転リール(40)の正回転中に、各回転リール(40)について、所定単位の正回転カウントを行うとともに、前記回転リール(40)の逆回転中には、各回転リール(40)について、前記所定単位の逆回転カウントを行う単位カウント手段(951)と、前記単位カウント手段(951)が正回転カウントを終了したときの終了カウント値を、回転リール(40)ごとに記憶する終了カウント記憶手段(952)と、前記単位カウント手段(951)がいずれかの回転リール(40)について行っている逆回転カウントのカウント値と、前記終了カウント記憶手段(952)がいずれかの回転リール(40)について記憶している終了カウント値とを比較して、一致しているか否かを判断するカウント比較手段(953)とを設けてある。前記単位カウント手段(951)は、遊技ごとに、前記回転リール(40)の正回転開始を契機に正回転カウントを開始し、前記各回転リール(40)の正回転停止により正回転カウントを終了するものである。
【0009】
そして、前記回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、まず、前記モータ制御手段(94)は、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記終了カウント記憶手段(952)が記憶している終了カウント値の最も大きい回転リール(40)について前記駆動モータの逆転駆動を開始させて当該回転リール(40)の逆回転を開始させる。次に、前記単位カウント手段(951)が前記逆回転を開始した回転リール(40)について逆回転カウントを開始し、前記カウント比較手段(953)は、逆回転中の回転リール(40)ついて逆回転によりカウントされた数値が、当該回転リール(40)の終了カウント値と逆回転していない他の回転リール(40)の終了カウント値との差数に一致したか否かを判断する。前記カウント比較手段(953)が一致したと判断した場合には、前記モータ制御手段(94)は、前記他の回転リール(40)について前記駆動モータの逆転駆動を開始させて当該回転リール(40)の逆回転を開始させることを順次行う。そして、全ての回転リール(40)が逆回転し、前記単位カウント手段(951)が全ての回転リール(40)について、終了カウント値と同等の逆回転カウントを終了した場合には、前記モータ制御手段(94)は、全ての駆動モータの駆動を停止させて全ての回転リール(40)の逆回転を停止させ、その後所定の契機で、全ての駆動モータを正転駆動させて全ての回転リール(40)の正回転を開始させるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記単位カウント手段(951)のカウントする「所定単位」とは、回転リール(40)の回転量を特定するために計測可能な単位であって、経過時間、駆動モータとしてのステッピングモータを駆動させるための駆動パルス数(ステップ数)、回転リール(40)に表示されている図柄の移動個数(移動コマ数)などとすることができる。また、「正回転カウント」とは、回転リール(40)が正回転しているときに前記所定単位をカウントすることであり、所定単位を逐次加算していくことである。一方、「逆回転カウント」とは、回転リール(40)が逆回転しているときに前記所定単位をカウントすることであり、最終的には前記終了カウント記憶手段(952)の記憶している終了カウント値と同等の数値をカウントするものである。この場合のカウントは、所定単位を減算していくこと、所定単位を加算していくことのいずれでもよい。さらに、単位カウント手段(951)は、正回転カウントを行うためのカウンタ(加算カウンタ)と、逆回転カウントを行うためのカウンタ(減算カウンタ又は加算カウンタ)とを別個に備えていてもよいし、単一の加算カウンタが正回転カウント及び逆回転カウントを行うように形成されていてもよい。
【0011】
前記終了カウント記憶手段(952)は、回転リール(40)が回転停止したときの終了カウント値をリールごとに記憶するためのものであり、各回転リール(40)にそれぞれ対応して設けられたメモリである。終了カウント値は、回転リール(40)が回転停止するごとに書き換えられる(すなわち1回の遊技ごとに終了カウントを記憶する)ものであってもよいし、所定数の終了カウント値を累積加算する(すなわち複数回の遊技についての終了カウントを記憶する)ものであってもよい。
前記カウント比較手段(953)は、逆回転している回転リール(40)について逆回転カウントでカウントされた数値が、当該回転リール(40)の終了カウント値と停止している回転リール(40)の終了カウント値の差数と一致したか否かを比較判定するものである。具体的には、逆回転カウントが減算カウントである場合には、逆回転カウントのカウント値が他のいずれかの回転リール(40)の終了カウント値と同等になったか否か(つまり差数だけカウントダウンしたか否か)を判断し、逆回転カウントが加算カウントである場合には、逆回転カウントのカウント値が、当該逆回転している回転リール(40)の終了カウント値といずれかの回転リール(40)の終了カウント値との差の数値と一致したか否か(つまり差数だけカウントアップしたか否か)を判断する。
【0012】
(作用)
単位カウント手段(951)は、遊技ごとに正回転カウントを行い、終了カウント記憶手段(952)は、遊技ごとに、あるいは複数回の遊技にわたり、回転リール(40)ごとに終了カウント値を記憶する。そして、例えば演出実行抽選に当選して回胴演出の実行が決定された場合には、遊技中の所定の契機、例えばスタートスイッチ(50)の操作を契機に、終了カウント値が最も大きい回転リール(40)が逆回転を開始する。ここで、終了カウント記憶手段(952)が遊技ごとに終了カウント値を記憶する場合には、終了カウント値が最も大きい回転リール(40)とは、前回終了した遊技で最後に回転停止した回転リール(40)(回転リール(40)が3個の場合には第三停止リール)である。
【0013】
そして、第三停止リールの逆回転カウント値が、終了カウント値がその次に大きい回転リール(40)すなわち二番目に回転停止した回転リール(40)(第二停止リール)の終了カウント値と第三停止リールの終了カウント値との差数に一致すると、第二停止リールが逆回転を開始する。さらに、第三停止リールの逆回転カウント値が、終了カウント値が最も小さい回転リール(40)すなわち最初に回転停止した回転リール(40)(第一停止リール)の終了カウント値と第三停止リールの終了カウント値との差数に一致すると、第一停止リールが逆回転を開始する。全ての回転リール(40)が逆回転し、その後、全ての回転リール(40)が前回の遊技で回転開始してから回転停止するまでに回転した回転量と同等の回転量だけ逆戻りして、最後には回転開始前の状態となって停止する。このようにして、前回の遊技における遊技開始時の停止図柄配列、つまり前々回の遊技における停止出目を再現することができるとともに、前回の遊技における回転リール(40)の停止順も再現することができるものである。
【0014】
なお、終了カウント値を累積して記憶する場合には、回転リール(40)の停止順番は再現できないが、過去の遊技の停止出目の再現は可能である。
本発明によれば、逆回転時には、逆回転カウント値と終了カウント値のみを監視していればよく、図柄の現在位置の判定を行わなくても、過去の停止履歴を再現することができ、逆転時用の判定データを設ける必要が無い。従って、制御装置の容量を確保でき、制御装置への負担を軽減することができる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が予め定められた配列となった遊技の次の次の遊技以降に、前記回胴演出を所定の確率で実行させることを特徴とする。
本発明は、回胴演出の実行時期を限定したものである。
本発明においては、終了カウントを1回の遊技ごとに記憶するように形成してある場合には、1回目の遊技で停止図柄が予め定められた配列となったら、2回目の遊技の終了カウント値に基づき、3回目の遊技の開始時に回胴演出を行うようにすることができる。また、終了カウントを複数回の遊技にわたって記憶するように形成してある場合には、1回目の遊技で停止図柄が予め定められた配列となったら、2回目以降の遊技の終了カウントの累計に基づき、4回目以降の遊技の開始時に回胴演出を行うようにすることができる。
【0016】
本発明によれば、例えばボーナスゲームに移行する図柄配列(7・7・7)のような特定の図柄の並びを巻き戻して再現させることにより、ハズレ図柄の並びを再現させるよりも演出効果を高めることができる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、遊技状態として、通常遊技状態と、所定の移行契機に該当することにより開始され通常遊技状態よりも付与利益が大きくなる特典遊技状態とを設け、前記終了カウント記憶手段(952)の記憶している終了カウント値に所定の数値を加減算して終了カウント値を変更する終了カウント変更手段を設け、前記終了カウント変更手段は、前記回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させる場合には、前記終了カウント値を変更せず、回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させない場合には、前記終了カウント値を変更して、逆回転停止後の前記回転リール(40)の停止図柄を、前記終了カウント値を変更しなかった場合の停止態様とは異なる停止態様で表示させるように形成されている。
【0017】
ここで、「特典遊技状態」とは、ボーナス役を構成する図柄が所定の配列で表示された場合に開始されるボーナスゲームや、遊技中の所定時に行われる移行抽選の抽選結果又は所定の役の入賞又は表示に基づき開始されるボーナスゲーム以外の有利遊技を含み、例えば当選役に関する情報が遊技者に報知されるアシストタイム(AT)や、特定の役の当選確率が高くなる高確率遊技状態を含む。
また、「回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させる場合」とは、回胴演出の実行後に特典遊技状態への移行が決定している場合であって、例えばボーナス役が内部当選している場合や、ATなどの有利遊技への移行が確定している場合のことである。逆に、「回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させない場合」とは、例えばボーナス役が内部当選していない場合や、ATなどの有利遊技への移行が確定していない場合のことである。
【0018】
前記終了カウント変更手段は、少なくとも1の回転リール(40)に対応する終了カウント値を変更可能であればよく、複数の回転リール(40)や全ての回転リール(40)に対応する終了カウント値を変更可能であってもよい。終了カウント変更手段が終了カウント値から加算又は減算する数値は、回転リール(40)に表示されている図柄が所定個数分移動する回転量に該当する数値とするのが好ましい。
本発明においては、終了カウント変更手段により終了カウント値が改変されている場合には、逆回転による回転リール(40)の巻き戻し量が、正回転の場合の回転量と異なるために、逆回転停止時の停止図柄が過去の停止履歴を表す図柄配列とは異なるものとなる。従って遊技者は、回胴演出による逆回転停止時の停止図柄が過去の停止履歴と一致していれば特典遊技状態への移行が確定したことを知ることができ、逆に逆回転停止時の停止図柄が過去の停止履歴と一致していない場合には、特典遊技状態への移行は無いことを知ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、図柄判定を行わなくても回転リールを通常の回転方向と逆方向に回転させて所定位置で停止させる演出を行わせることができ、極力制御装置に負担をかけないで斬新な演出を実行可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの入力、出力及び制御装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるスロットマシンの作動の概略を示す流れ図である。
【図4】スロットマシンの作動のうちリール回転開始処理を示す流れ図である。
【図5】リール回転開始処理のうち回胴演出実行処理を示す流れ図である。
【図6】スロットマシンの作動のうちリール回転停止処理を示す流れ図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例1であって、回胴演出実行処理の一部を示す流れ図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例2であって、リール回転停止処理を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例3であって、回胴演出実行処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、図1に示すように、四角箱状の筐体11を有する。この筐体11には、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が形成されており、さらに正面パネル12には、3個の回転リール40(41,42,43)の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。そして、スロットマシン10の略中央端部には、メダル投入口14が設けられている。
スロットマシン10の内部には、前記回転リール40を備えたリールユニット60と、ホッパーユニット65と、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が内蔵されている。
【0022】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、図2に示すように、遊技制御装置21及び演出制御装置22を構成する。
(遊技制御装置21)
遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。そして、この遊技制御装置21の入力側には、図2に示すように、投入スイッチ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ60Aの各パーツが接続されている。
【0023】
投入スイッチ15は、特に図示しないが、メダル投入口14の下方に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルを検知するためのものである。ベットスイッチ16は、図1に示すように、図柄表示窓13の下方に位置するボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。
ここで、クレジットとは、次遊技以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入され投入スイッチ15を通過した遊技メダル、又は入賞により払い出される遊技メダルを、最大50枚まで、遊技機内部に貯留する扱いができるように形成されている。
【0024】
精算スイッチ17は、図1に示すように、図柄表示窓13の斜め下方に位置するボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
スタートスイッチ30は、図1に示すように、図柄表示窓13の斜め下方に位置するレバーであって、遊技メダルの投入若しくはベットスイッチ16の押下を条件に、又は、「再遊技(Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、リールユニット60の駆動を開始させるためのものである。また、スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、接触により通電する接触センサ、あるいはレバーの押下による揺動を検知する遮光センサが設けられていて、レバー押下が検知されるとともに、当該検知信号が操作信号として制御装置20に出力されるようになっている。
【0025】
ストップスイッチ50は、リールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、図1に示すように、各回転リール40に対応した3個の停止ボタン51,62,53から構成され、各回転リール40の下方に1個ずつ配置されている。各停止ボタン51,62,53の筐体内部側には、特に図示しないが、接触により通電する接触センサ、あるいはボタンの押下による移動を検知する遮光センサが設けられていて、ボタンの押下が検知されるとともに、当該検知信号が操作信号として制御装置20に出力されるようになっている。
そして、回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止するように設定されているものである。すなわち、右側の停止ボタン51の操作により右リール41を停止させることができ、真中の停止ボタン52の操作により中リール42を、左側の停止ボタン53の操作により左リール43を、それぞれ停止させることができる。
【0026】
インデックスセンサ60Aは、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。具体的には、インデックスセンサ60Aは、各回転リール40にそれぞれ1個ずつ配置された遮光センサとすることができ、回転リール40に設けられたスタートインデックスが受光部と発光部の間を通過したときに、検知信号を出力可能に形成されている。
遊技制御装置21の出力側には、図2に示すように、リールユニット60(リールモータM)、ホッパーユニット65の各パーツが接続されている。
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータ(リールモータM1,M2,M3。図2参照)と、各々のリールモータの出力軸に固定された左リール41、中リール42、右リール43(図1参照)の3個の回転リール40から構成されている。具体的には、左リール41はリールモータM1に、中リール42はリールモータM2に、左リール43はリールモータM3に、それぞれ取り付けられている。
【0027】
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ視認できるようになっている。具体的には、図柄表示窓13の左側には、左リール41の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の中央には、中リール42の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の右側には、右リール43の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができる。
【0028】
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ60Aに検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、例えば回転ドラムの内側や回転ドラムとリールモータをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
ホッパーユニット65は、図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。
そして、遊技制御装置21は、図2に示すように、当選抽選手段70、遊技状態制御手段80、リール制御手段90、遊技結果判定手段100、ホッパー制御手段110、演出決定手段120の各手段として機能する。
【0029】
(当選抽選手段70)
当選抽選手段70は、複数の回転リール40で表示される図柄の組み合わせから構成される所定の「役」について当選したか否かを抽選により決定するものである。具体的には、乱数発生手段としてのループカウンタのカウント値をスタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで読み取って記憶し、ROMに記憶されている抽選テーブルと照合することにより、いずれかの役に当選したかあるいはいずれの役にも当選しなかった(ハズレた)かを判定する。
ここで、本実施の形態に係るスロットマシン10は、前記役として、所定の図柄(例えばスイカ図柄、ベル図柄、チェリー図柄など)が有効ライン上に揃って停止することにより所定枚数の遊技メダルが払い出される小役(例えばスイカ役、ベル役、チェリー役など)と、所定の図柄(例えばリプレイ)が有効ライン上に揃って停止することにより次遊技において遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役と、所定の図柄(例えば7、Barなど)が有効ライン上に揃って停止することによりボーナスゲームに移行するボーナス役とを備えている。前記ボーナス役としては、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)に移行するRBゲーム役と、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)に移行するBBゲーム役とが設けられている。RBゲームは、小役の当選確率が高くなるよう設定されたゲーム期間であり、所定回数のゲーム消化又は所定回数の入賞により終了する。BBゲームは、RBゲームが連続して行われるように設定されたゲーム期間であり、払い出しメダル数が所定枚数を超えると終了する。
【0030】
なお、有効ラインとは、入賞、又は再遊技やボーナスが作動するために有効な図柄配列の並びを規定したラインであって、図1に示すように、図柄表示窓13の上段に位置する図柄を横一列に結ぶ上段ライン、図柄表示窓13の中央に位置する図柄を横一列に結ぶ中段ライン、図柄表示窓13の下段に位置する図柄を横一列に結ぶ下段ライン、図柄表示窓13の上段、中段、下段に位置する図柄を斜めに結ぶ斜めラインなどを設けることができ、遊技メダルの投入枚数や遊技状態に応じて有効となるラインの数や種類を変化させることができる。
前記抽選テーブルとは、ループカウンタのカウント値を全領域として所定の数値領域を役に対応する当選領域に規定したものであり、特に図示しないが、スロットマシン10の出玉の設定ごとに、遊技状態に応じて設けられた複数の抽選テーブルが設けられている。そして、上述の当選判定を行う際には、スロットマシン10の設定値や遊技状態に対応した役抽選テーブルが参照されるものとなっている。具体的には、抽選テーブルとしては、通常のゲームの当選判定において参照される通常ゲーム用抽選テーブル、ボーナスゲームの当選判定において参照されるボーナス用抽選テーブル、及びボーナス役が持ち越されているゲーム(内部中ゲーム)の当選判定において参照されるボーナス内部中抽選テーブルがあり、これらが設定ごとに設けられている。
【0031】
そして、いずれかの役に当選したと判定した場合、すなわち、読み取ったカウント値が抽選テーブルの所定の役の当選領域に含まれている場合には、当該役に対応した当選フラグを成立させる。当選フラグとしては、判定結果が小役当選である場合に成立する小役当選フラグ、前記判定結果がボーナス役当選である場合に成立するボーナス当選フラグ(BBフラグ、RBフラグ)、前記判定結果が再遊技役当選である場合に成立する再遊技当選フラグがある。小役当選フラグ及び再遊技当選フラグは、当該当選フラグが成立した遊技においてのみ有効であり、当該遊技が終了すれば消去(リセット)される。すなわち、小役及び再遊技役は、当選の権利を次遊技以降に持ち越すことができない。一方、ボーナス当選フラグは、当該ボーナス役を構成する図柄が有効ライン上に表示されるまで、次遊技以降に持ち越されるようになっている。
【0032】
(遊技状態制御手段80)
遊技状態制御手段80は、ボーナスゲームやボーナス内部中のゲームを制御するためのものである。具体的には、ボーナス役が当選した場合には、ボーナス内部中抽選テーブルを用いて役抽選が行われるように制御し、ボーナス役が表示された場合には、ボーナス用抽選テーブルを用いて役抽選が行われるように制御する。また、ボーナスゲーム中は、入賞メダルの払い出し枚数や遊技回数、入賞回数のカウントを行い、あらかじめ定められたカウント値に達したら通常ゲームに戻すように制御する。
(リール制御手段90)
リール制御手段90は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40の回転を制御するとともに、役抽選の結果及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて回転リール40の回転停止を制御するためのものである。さらに、リール制御手段90は、あらかじめ設定された制御データに基づいて、回転リール40の回転態様を変化させる回胴演出を実行可能に形成されている。
【0033】
そしてリール制御手段90は、図2に示すように、加速度データ記憶手段91、停止データ記憶手段92、図柄判定手段93、モータ制御手段94、回胴演出制御手段95、停止操作無効解除手段96、の各手段を有している。
(加速度データ記憶手段91)
加速度データ記憶手段91は、回転リール40を回転させるリールモータM1、M2、M3(以下リールモータMと省略する)の駆動速度を制御するための制御データ(加速度データ)を記憶するものである。加速度データは、ステッピングモータを励磁させるためのデータをテーブル上に規定したものであり、加速度データに基づいて所定の周期で駆動パルスを発生させることにより、回転リール40を回転開始させ、回転速度を加速又は減速させ、あるいは一定速度(定常回転速度)を保って回転させることができるようになっている。
【0034】
本実施の形態では、加速度データとして、通常の回転時の回転リール40の挙動を制御するための通常回転データと、回胴演出を実行する際の回転リール40の挙動を制御するための回胴演出回転データとを備えている。そして、通常回転データに基づく通常回転制御により、停止操作が有効となるまでの間、回転リール40は通常回転し、回胴演出回転データに基づく回胴演出制御により、停止操作が有効となるまでの間、所定の回胴演出が行われることとなる。なお、回胴演出の具体例については後述する。
(停止データ記憶手段92)
停止データ記憶手段92は、ストップスイッチ50の操作信号によりリールモータMを駆動停止させ回転リール40の回転を停止させるための複数の停止データを記憶しているものである。
【0035】
停止データは、ストップスイッチ50の操作信号受信時に直ちに停止可能な所定位置にある基準図柄から、何コマ分移動させて回転リール40を停止させるかを、各図柄ごとにテーブル上に規定したものであり、当選図柄引き込み停止データと、ハズレ停止データとが設けられている。当選図柄引き込み停止データは、当選図柄の配列が有効ライン上に停止し、かつ、当選図柄以外の図柄が有効ライン上に停止しないように、対応する回転リール40の停止位置をあらかじめ定められたコマ数の範囲内で規定してあるものである。ハズレ停止データは、いずれの役を構成する図柄配列も有効ライン上に停止しないように、対応する回転リール40の停止位置をあらかじめ定められたコマ数の範囲内で規定してあるものである。
【0036】
(図柄判定手段93)
図柄判定手段93は、インデックスセンサ60Aの検知信号に基づいて各回転リール40の図柄の現在位置を、各回転リール40について認識するためのものである。
具体的には、図柄判定手段93は、回転リール40を1転させるための駆動パルス数をインデックスセンサ60Aの検知信号受信時にゼロクリアしつつカウントし、回転リール40の回転角度を把握して、特定の回転リール40の特定の位置、例えば図柄表示窓13の上段の位置、中段の位置、下段の位置に何の図柄が位置しているかを特定することができるようになっているものである。
【0037】
そして、図柄判定手段93は、有効なストップスイッチ50の操作信号受信時に、所定の有効ライン上に停止可能な位置にある図柄を基準図柄として記憶する。また、回転リール40が回転停止したときの停止図柄の情報を記憶する。
(モータ制御手段94)
モータ制御手段94は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号を受信した場合に、加速度データ及び停止データに基づきリールモータMの駆動及び駆動停止を制御して、回転リール40を回転又は回転停止させる制御を行うものである。そして、モータ制御手段94は、図2に示すように、加速度データ選択手段941、駆動信号出力手段942、停止データ選択手段943、停止信号出力手段944の各手段を有している。
【0038】
(加速度データ選択手段941)
加速度データ選択手段941は、演出決定手段120の決定に基づいて、リールモータMを駆動させる際に用いる加速度データを選択するものである。すなわち、演出決定手段120が回胴演出の実行を決定した場合には、回胴演出回転データを選択し、回胴演出の実行が決定されない場合には、通常回転データを選択する。さらに、回胴演出回転データを選択した場合には、当該回胴演出回転データによる制御が終了した後、通常回転データを選択する。加速度データ選択手段941が加速度データを選択すると、駆動信号出力手段942が当該加速度データに基づき、リールモータMの駆動を制御することになる。
【0039】
(駆動信号出力手段942)
駆動信号出力手段942は、前記加速度データ選択手段941が選択決定した加速度データに基づいて、リールモータMを駆動させるための駆動パルスを発生させるためのものである。具体的には、図示しないパルス発生回路が発生する発信パルスの周波数を分周器によって所定の周波数に変換し、リールユニット60のモータ駆動基板(図示せず)に出力するものである。
駆動信号出力手段942は、投入スイッチ15が投入メダルを検知した場合、クレジットが「1」以上でベットスイッチ16が操作された場合、及びホッパーユニット65がメダルの払い出し中でないなど、所定の遊技開始要件を満たしており、かつ所定の遊技制限時間が経過していることを条件に、スタートスイッチ30の操作信号を受信した場合に、加速度データに基づいて、リールモータMに設けられている複数相(例えば4相)のコイルを順次通電状態にして(励磁させて)ロータを回転させるための駆動パルスの提供を開始する。ロータが回転することによりリールモータMの駆動軸が回転し、回転リール40が回転する。
【0040】
ここで、前記遊技制限時間とは、いわゆるウエイト時間と呼ばれるものであって、遊技者が一定時間に過度のメダルを投入できないように、一回の遊技が終了した後であっても、所定の時間が経過していないと次遊技を行うことができないように設定された時間である。具体的には、1分間に使用される賭け金が400円を超えないこととする規則に基づき1ゲーム当たりの遊技時間を割り出したものであって、遊技開始から次の遊技開始までの間が4.1秒以上と規定されている。回転リール40が回転開始してから4.1秒が経過するまでは、次の遊技での停止操作が行えない。この場合、遊技制限時間が経過しないとスタートスイッチ30が有効化しない(リールモータMが駆動開始しない)ように形成してもよいし、遊技制限時間の経過前にスタートスイッチ30は操作できる(リールモータMが駆動開始する)ものの、遊技制限時間の経過後でないとストップスイッチ50が有効化しない(リールモータMが駆動停止しない)ように形成してもよい。
【0041】
そして、駆動信号出力手段942は、加速度データ選択手段941により通常回転データが選択されている場合には、通常回転データに基づき、回転リール40が通常回転するようにリールモータMを制御する。すなわち、モータ駆動基板に出力する駆動パルスの周波数を徐々に増加させてあらかじめ定められた所定の加速度で全ての回転リール30を回転させる。そして、全ての回転リール30の回転速度が所定の定常回転速度(例えば80rpm)に達すると、駆動パルスの周波数を一定に保って定常回転速度で定速回転を行わせる。
一方、加速度データ選択手段941により回胴演出回転データが選択されている場合には、回胴演出回転データに基づき、所定の回胴演出が行われるようにリールモータMを制御する。本実施の形態においては、回胴演出として、回転リール40を個々に所定時間、逆回転させた後に停止させ、少なくとも前ゲームでの回転リール40の停止履歴を再現する回胴巻き戻し演出を実行可能となっている。すなわち、回胴演出回転データとしては、リールモータMを逆転させるための加速度データ、具体的には、励磁させるコイルの順番が正転時と逆になるように駆動パルスの出力が設定されている加速度データが設けられている。なお、どの回転リール40をどのように逆転させ又は停止させるかについては、後述する回胴演出制御手段95の制御に基づき行われる。また、回胴演出回転データとしては、前記した逆回転のための加速度データの他に、回転リール40に種々の回転態様(例えば振動、低速回転、高速回転、それらの組み合わせ)を行わせるための加速度データを備えていてもよい。
【0042】
(停止データ選択手段943)
停止データ選択手段943は、当選抽選手段70による役抽選の結果に基づいて、対応する回転リール40の回転を停止させるための停止データを選択するものである。具体的には、停止データ選択手段943は、役抽選の結果、所定の役が当選した場合には、当該役に対応する当選図柄引き込み停止データを選択し、抽選の結果がハズレの場合には、ハズレ停止データを選択する。
(停止信号出力手段944)
停止信号出力手段944は、停止データ選択手段943の選択した停止データ、及び図柄判定手段93が記憶したストップスイッチ50の操作時の所定位置にある図柄(基準図柄)に基づいて、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40のリールモータMの駆動を停止させるための(つまり停止操作された回転リール40の回転を停止させるための)停止信号を出力するためのものである。
【0043】
具体的には、停止信号出力手段944は、いずれかのストップスイッチ50が操作されて図柄判定手段93が対応する回転リール40の基準図柄を記憶すると、選択されている停止データにおいて当該基準図柄で停止操作されたときに停止させる図柄としてあらかじめ定められている図柄が、所定の停止位置となったタイミングで、リールモータMのモータ駆動基板に停止信号を出力する。ここで、リールモータMは、コイル全てを同時に一定時間励磁状態とすることにより、ロータの回転にブレーキがかかり、駆動停止するようになっている。すなわち、停止信号とは、ステッピングモータのコイルを全相励磁させるための信号と同義である。
【0044】
そして、当選図柄引き込み停止データが選択されている場合(つまり役抽選の結果が所定の役に当選の場合)において、停止信号出力手段944が停止データに基づいて停止信号を出力すると、基準図柄から所定コマ数の範囲内に当選図柄がある場合には、当該当選図柄を有効ライン上に引き込んで各回転リール40が停止する。一方、基準図柄から所定コマ数の範囲内に当選図柄がない場合には、その回転リール40では当選図柄を有効ライン上に引き込むことができず、全ての回転リールが停止したときに有効ライン上には他の役も成立しない。また、ハズレ停止データが選択されている場合(つまり役抽選の結果がハズレの場合)には、停止信号出力手段944が停止データに基づいて停止信号を出力すると、全ての回転リールが停止したときに有効ライン上にいかなる役も成立しないように各回転リール40が停止するようになっている。
【0045】
(回胴演出制御手段95)
回胴演出制御手段95は、回胴演出としての回動巻き戻し演出を制御するためのものであり、図2に示すように、単位カウント手段951、終了カウント記憶手段952、カウント比較手段953の各手段を備えている。
(単位カウント手段951)
単位カウント手段951は、回転リール40の回転中に所定単位のカウントを行うカウンタであり、3個の回転リール40にそれぞれ対応して設けられている。本実施の形態においては、単位カウント手段951は、所定単位として、回転リール40の回転により移動した図柄数(コマ数)をカウントするように形成されている。また、単位カウント手段951は、回転リール40の正回転中に、各回転リール40について、正回転カウントを行うとともに、回転リール40の逆回転中には、各回転リール40について、逆回転カウントを行う。正回転カウントとは、回転リール40が正回転により移動したコマ数をカウントすることであり、逆回転カウントとは、回転リール40が逆回転により移動したコマ数をカウントすることである。
【0046】
ここで、回転リール40が何コマ移動したかは、駆動信号出力手段942の出力する駆動パルス数(ステップ数)により特定される。例えば、リールモータMが一回転するのに504ステップを要し、回転リール40に表示されている図柄数が21個の場合には、1図柄分のステップ数は24ステップとなる。単位カウント手段951は、駆動パルスの出力開始からステップ数をカウントし、24カウントするごとにカウンタをリセットしてカウントメモリを1ずつ更新する。
具体的には、正回転カウントを行う場合には、カウントメモリの初期値をゼロに設定して、ステップ数を24カウントするごとにカウントメモリを1ずつインクリメントする。そして、回転している回転リール40の回転が停止した場合(正確には停止信号出力手段944が停止信号を出力した場合)には、ステップ数のカウントを中止する。従って、正回転している時間が長い回転リール40ほど、カウントメモリの値は大きくなる。端的に言えば、スタートスイッチ30の操作により回転リール40が一斉に回転開始した後、最初にストップスイッチ50の操作に基づいて停止した回転リール40(第一停止リール)に対応するカウントメモリの値が最も小さく、第一停止リールの次にストップスイッチ50の操作に基づいて停止した回転リール40(第二停止リール)に対応するカウントメモリの値はそれよりも大きく、最後にストップスイッチ50の操作に基づいて停止した回転リール40(第三停止リール)に対応するカウントメモリの値が最大となる。そして、ストップスイッチ50の操作により二以上の回転リール40を同時に停止させることはできず、先の停止操作に対応する回転リール40が停止してから次の停止操作に対応する回転リール40が停止するように形成されているので、3個の回転リール40に対応する終了カウント値(移動コマ数)は、必ず異なる数値となるものである。正回転カウントは、遊技ごとに行われ、カウントメモリは当該遊技の終了時(全リール停止時)又は次遊技のスタート時(ベット又はスタート操作時)にリセットされる。
【0047】
一方、逆回転カウントを行う場合には、カウントメモリの初期値を以下に述べる終了カウント記憶手段952が記憶している終了カウント値に設定し、ステップ数を24カウントするごとにカウントメモリを1ずつデクリメントする。そして、カウントメモリがゼロになった場合には、ステップ数のカウントを中止する。逆回転カウントは、回胴巻き戻し演出の実行時のみに行われ、カウントメモリは回胴巻き戻し演出の終了によりリセットされる。
なお、正回転カウント及び逆回転カウントは、単一のカウント手段が行うようになっていてもよいし、正回転カウントを行う正回転カウンタ(加算カウンタ)と、逆回転カウントを行う逆回転カウンタ(減算カウンタ)とを別個に設けてもよい。また、逆回転カウントを行う場合の初期値をゼロに設定して、終了カウント値と同等の数値を加算カウントするようにしてもよい。
【0048】
(終了カウント記憶手段952)
終了カウント記憶手段952は、前記単位カウント手段951が正回転カウントを終了したときの終了カウント値、すなわちステップ数のカウントを中止したときのカウントメモリの数値を、回転リール40ごとに記憶するものである。本実施の形態においては、終了カウント記憶手段952は、左リール41用のメモリ、中リール42用のメモリ、右リール43用のメモリを1つずつ備えている。
また、終了カウント記憶手段952は、1回の遊技の終了(全リール停止時)又はその次の遊技のスタート(ベット又はスタート操作時又はリール正回転開始)ごとに終了カウント値をクリアするようになっている。ただし、遊技終了時の回転リール40の停止図柄が所定の停止配列となった場合、例えば、BB図柄が表示された場合や、BB内部中に小役が入賞した場合には、記憶維持フラグを成立させる。記憶維持フラグが成立している場合には、1回の遊技が終了しても、あるいは1回の遊技終了後の次遊技が開始されても、終了カウント値をクリアしない。つまり、停止図柄が所定の停止配列となった遊技の次遊技の終了カウント値は、少なくとも停止図柄が所定の停止配列となった遊技の次々遊技まで記憶されるようになっている。そして、次々遊技において後述する演出決定手段120により回胴巻き戻し演出の実行が決定され、回胴巻き戻し演出が実行された場合には、終了カウント値をクリアするとともに記憶維持フラグをリセットする。なお、記憶維持フラグを成立させて終了カウント値を記憶したものの、演出決定手段120により回胴巻き戻し演出の実行が決定されなかった場合には、そのまま終了カウント値をクリアするとともに記憶維持フラグをリセットする。
【0049】
(カウント比較手段953)
カウント比較手段953は、回胴巻き戻し演出が実行されている場合において、単位カウント手段951がいずれかの回転リール40について逆回転カウントを行っている場合のカウントメモリの数値と、終了カウント記憶手段952がいずれかの回転リール40について記憶している終了カウント値とを比較して、逆回転カウントによりカウントした数値の絶対値が、逆回転している回転リールの終了カウント値と他の回転リールのうちのいずれかの回転リールの終了カウント値との差の数値に一致しているか否かを判断するものである。
具体的には、単位カウント手段951が逆回転カウントで終了カウント値から減算カウントを行う場合には、逆回転カウント時のカウントメモリの数値がいずれかの回転リールの終了カウント値と一致しているか否かを判断し、単位カウント手段951が逆回転カウントで終了カウント値と同等の数値の加算カウントを行う場合には、逆回転カウント時のカウントメモリの数値が、当該逆回転している回転リール40の終了カウント値と他の回転リールのうちのいずれかの回転リールの終了カウント値との差の数値と一致しているか否かを判断するものである。
【0050】
例えば、最初に停止した回転リール40(第一停止リール)の終了カウント値が23、二番目に停止した回転リール40(第二停止リール)の終了カウント値が25、最後に停止した回転リール40(第三停止リール)の終了カウント値が30であり、第三停止リールが逆回転開始し第二及び第一停止リールは停止していると仮定する。この場合において、単位カウント手段951が減算カウントする場合には、第三停止リールのカウントが25になったら(つまり5だけカウントダウンしたら)一致と判断し、単位カウント手段951が加算カウントする場合には、第三停止リールのカウント値が5になったら(つまり5だけカウントアップしたら)一致と判断する。
【0051】
そして、カウント比較手段953が、逆回転中の回転リール40について単位カウント手段951が行っているカウント値と、停止している他の回転リール40の終了カウント値とが一致と判断した場合には、その判断に基づき、駆動信号出力手段942が前記他の回転リール40に対応するリールモータMに逆転駆動信号を出力するようになっている。
上記構成を有する回胴演出制御手段95は、終了カウント記憶手段952の記憶している終了カウント値が最も大きい回転リール40を最初に逆回転開始させ、その後、残りの回転リール40について終了カウント値の大きい順に回転リール40を逆回転させる。そして、逆回転カウントにより正回転カウントと同数だけカウントした場合(減算カウントの場合ならカウント値がゼロになった場合)には、全ての回転リール40を停止させることにより、回転リール40の停止履歴を再現するように形成されているものであるが、この詳細については後述する。
【0052】
(停止操作無効解除手段96)
停止操作無効解除手段96は、ストップスイッチ50の操作信号によって回転リール40の回転を停止可能な状態にするためのものである。
ここで、ストップスイッチ50の操作信号は、各回転リール40の停止中は当然のこと、回転リール40が回転開始した後においても、前述した遊技制限時間が経過しており、回転速度が定常回転に達し、かつ全ての回転リール40に対応するインデックスセンサ60Aが最初にインデックスを検知するまでの間は、有効にならないように形成されている。また、後述する演出決定手段120が回胴演出実行のための停止操作無効期間を設定した場合にも、ストップスイッチ50の操作信号が有効にならないように形成されている。すなわち、前記した期間は、ストップスイッチ50が効かない停止操作無効状態となる。これは、ストップスイッチ50の各検知センサと制御装置20とをつなぐ電気的接続経路中に、所定の信号遮断手段(図示せず)を設け、この信号遮断手段が作動しているときにはセンサの検知信号が制御装置20に通達せず、信号遮断手段が非作動のときにはセンサの検知信号が制御装置20に通達するように形成することによって実行可能である。信号遮断手段は、電気回路中に設けた論理回路手段やスイッチ手段であってもよいし、そのようなプログラムを制御装置20に組み込んだものであってもよい。
【0053】
なお、回転リール40が定常回転になったかどうかは、その遊技において用いられる加速度データの加速制御プログラムが終了したか否かにより判断することができる。また、回転リール40の回転開始からの経過時間を計測し、用いられる加速度データに応じた所定の時間となったら定常回転に達したと判断するようにしてもよい。あるいは、リールモータに回転検知センサを設け、駆動軸の回転数を検出するようにしてもよい。
そして、停止操作無効解除手段96は、遊技制御時間及び停止操作無効期間が経過しており、全ての回転リール40の回転速度が定常回転に達し、全ての回転リールについてインデックスセンサ60Aがインデックスを検知している場合には、前記信号遮断手段を非作動状態にさせて、停止操作の無効を解除する。
【0054】
(遊技結果判定手段100)
遊技結果判定手段100は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するとともに、判定結果に基づく処理を行わせるための決定をするものである。
具体的には、遊技結果判定手段100は、所定の役を構成する図柄が有効ライン上に表示された場合には、当該役に応じた利益付与の決定を行う。すなわち、小役図柄が有効ライン上に表示された場合には、役に応じた所定枚数のメダル払い出し決定を行い、リプレイ図柄が有効ライン上に表示された場合には、自動ベット決定を行い、ボーナス役図柄が有効ライン上に表示された場合には、遊技状態の移行決定を行う。さらに、演出制御装置22に所定の信号出力を行うことにより、演出表示部66により、入賞やボーナスゲームへの移行に際して所定の演出が行われるようにすることもできる。
【0055】
(ホッパー制御手段110)
ホッパー制御手段110は、遊技結果判定手段100の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段100が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
(演出決定手段120)
演出決定手段120は、前述した回胴巻き戻し演出を実行するか否かを、遊技状態及び実行抽選によって決定するものである。実行抽選の方法は、役抽選と同様であり、所定時にピックアップした乱数と実行抽選テーブルを比較して行う。実行抽選は、遊技終了時に回転リール40の停止図柄が所定の停止配列となった遊技の、次の遊技終了以降、すなわち、当該所定の停止配列を再現させることができる状態となったときに行われる。具体的には、前述した記憶維持フラグが成立している場合であって、BB図柄が表示された遊技の次の次の遊技開始時や、BB内部中に小役が入賞した場合の次の次の遊技開始時などに行うようにすることができる。
【0056】
そして、演出決定手段120は、回胴巻き戻し演出を実行する決定をした場合には、所定の停止操作無効期間を設定するようになっている。停止操作無効期間は、前述した遊技制限時間とは別個の遊技不能時間であって、回胴巻き戻し演出を実行するためのいわゆるフリーズ期間である。停止操作無効期間中は、ストップスイッチ50の操作が無効にされる。また、停止操作無効期間は、回胴巻き戻し演出を実行させるための最適な時間に予め設定しておくことができる。
あるいは、回胴巻き戻し演出の実行ごとに、演出を実行させるのに必要十分な時間となるよう、停止操作無効期間を設定するようにしてもよい。具体的には、終了カウント記憶手段952の記憶している終了カウント値の最大値に基づき、回転リール40を逆回転させたときに逆回転カウントが終了するのに必要十分な時間を算出し、その時間を停止操作無効期間として設定するものである。なお、この場合、終了カウント記憶手段952の記憶している終了カウント値の最大値が一定値を超えている場合には、実行抽選に当選した場合であっても、回胴巻き戻し演出の実行を決定しない。すなわち、終了カウント値に基づく回胴巻き戻し演出の実行時間が一定時間を超えてしまうこととなる場合には、回胴巻き戻し演出を行わせないようにするものである。このようにすることにより、回胴巻き戻し演出が無駄に長くなることを防ぐことができる。
【0057】
さらに、本実施の形態においては、回胴巻き戻し演出を実行するか否かの回胴演出実行抽選により、後述する演出制御装置22のAT制御手段130の制御に基づき行われるAT(アシストタイム)が発動するか否かを同時に決定可能になっている。すなわち、実行抽選に当選した場合には、例えばBBゲームの終了後のAT発動が決定され、演出制御装置22にその決定信号が出力される。なお、回胴演出実行抽選に当選したものの、上記したように回胴巻き戻し演出の実行時間が一定時間を超えるため回胴巻き戻し演出を実行させない場合には、AT発動決定は取り消さないようにしてもよいし、回胴巻き戻し演出が実行されない場合にはATも発動しない仕様としてもよい。
【0058】
また、ATを行わせるか否かを回胴演出実行抽選とは別のAT抽選により決定するようにし、AT抽選に当選したものの回胴演出実行抽選に当選しなかった場合にも、AT発動決定は取り消さないようにしてもよいし、回胴巻き戻し演出が実行されない場合にはATも発動しない仕様としてもよい。
(演出制御装置22)
演出制御装置22は、遊技制御装置21からの出力信号、スタートスイッチ30等の操作手段の操作信号に基づいて、ランプ68やスピーカ69等の演出表示部66を制御するためのものである。
【0059】
演出制御装置22の出力側には、図2に示すように、演出表示部66(画像表示装置67及びランプ68及びスピーカ69)が接続されている。
演出表示部66は、種々の演出表示を行うものである。具体的には、演出表示部66は、画像表示装置67及びランプ68及びスピーカ69から構成されている。画像表示装置67は、回転リール40の上方に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示装置67としては上記のものに限られず、例えば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしてもよい。ランプ68及びスピーカ69は、発光体の点灯又は点滅、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
【0060】
そして、演出制御装置22は、図2に示すように、少なくともAT制御手段130として機能する。
(AT制御手段130)
AT制御手段130は、アシストタイム(AT)を制御する手段である。すなわち、所定のAT開始条件(例えばBBゲーム終了など)に該当した場合には、ATゲームを開始させるとともに、所定のAT終了条件(例えば所定の遊技回数、報知回数、入賞回数の消化や、特定当選役の当選又は入賞)に該当した場合には、ATゲームを終了させる。
ここで、ATには、ストップスイッチ50の操作順番を報知するものや、指標図柄を報知するものがあるが、本実施の形態においては、そのいずれであってもよい。
【0061】
ストップスイッチ50の操作順番を報知するいわゆる押し順ATを行わせる場合には、リール制御手段90は、停止データとして、特定の役が当選した場合においてストップスイッチ50が特定の操作順で操作された場合に前記特定の役を構成する図柄を有効ラインに引き込んで停止させるための停止データを備える。そして、AT制御手段130は、操作順の種類に応じた表示データを備え、遊技制御装置21から、特定の操作順が設定されている役が当選した信号を入力したときには、当該操作順に応じた表示データを選択し、例えば画像表示装置67に表示させる。表示は、例えば、3個の停止ボタン51,52,53のそれぞれの操作順を1、2、3の数字で表示するものや、最初に停止操作すべき停止ボタンを左、中、右などの文字で表示するものや、順押し、逆押しなどを矢印で表示するものであってもよい。また、操作順の報知は、画像表示装置67を用いたものに限られない。例えば、各ストップスイッチ50の停止ボタン51,52,53の内部に発光体を設け、停止ボタン51,52,53の発光色を例えば赤から青に変化させることにより、操作すべきストップスイッチ50を報知するようにしてもよい。
【0062】
報知に従い、ストップスイッチ50が特定の操作順で操作された場合には、遊技者に有利な結果がもたらされる。例えば、入賞するか否かが操作順に依存する小役が当選しているときに当該小役が入賞する操作順が報知され、その操作順に従って遊技者がストップスイッチ50を操作した場合には、当該小役を(回転リール40の図柄配置によっては必ず)入賞させることができ、払出枚数の異なる小役が同時に当選しているときに払出枚数の多く設定された小役が入賞する操作順が報知され、その操作順に従って遊技者がストップスイッチ50を操作した場合には、払い出し枚数の多い小役を入賞させることができる。あるいは、重複入賞する小役と単独入賞しかしない小役が同時に当選しているときに重複入賞する小役が入賞する操作順が報知され、その操作順に従って遊技者がストップスイッチ50を操作した場合には、重複入賞させることにより多くのメダル獲得が可能となる。なお、報知が行われていない場合であっても、遊技者が上述したような有利な結果がもたらされる操作順でストップスイッチ50を操作した場合には、有利な結果を得ることができる場合があるが、報知が行われ、その報知に従うことにより、確実に有利な結果を得ることができるものとなる。
【0063】
指標図柄を報知するATを行わせる場合には、役として、例えば「白7・ベル・ベル」「赤7・ベル・ベル」「青7・ベル・ベル」の図柄配列からなる小役を設け、「白7」「赤7」「青7」は左リール41において同時に狙えない位置に配置する。そして、AT制御手段130は、当選している小役に応じて「白7」「赤7」「青7」のいずれかを、例えば画像表示装置67に表示させる。報知に従い、それぞれの図柄を狙ってストップスイッチ50を操作することにより、効率よく、小役を入賞させることができる。
(スロットマシン10の作動)
次に、上記構成を有するスロットマシン10の作動の概略を、図3のフローに基づき説明する。
【0064】
まず、図3に示すステップ100において、規定数のメダルが投入されたか否かが判断される。ここで、規定数のメダルとは、1回の遊技に掛けることができるメダル数であり、スロットマシン10は最大3枚までのメダルを掛けることができるようになっている。規定数は、遊技状態により変更されるようにしてもよい。例えばボーナスゲーム中は規定数が1枚となるようにすることができる。また、メダルの投入にはベットスイッチの操作も含まれる。規定数のメダルが投入されない場合にはステップ100に戻り、規定数のメダルが投入された場合には、次のステップ101に進む。
ステップ101において、スタートスイッチ30がONとなったか否かが判断される。スタートスイッチ30がONにならない場合には、ステップ101に戻り、スタートスイッチ30がONとなった場合には、次のステップ102に進む。
【0065】
ステップ102において、当選抽選手段70により役抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、記憶維持フラグが成立しているか否かが判断される。記憶維持フラグが成立している場合には、次のステップ104において、演出決定手段120により回胴巻き戻し演出を実行するか否かの回胴演出実行抽選処理が行われる。前述したように、回胴演出実行抽選はAT抽選を兼ねているものである。そして、次のステップ105に進む。一方、記憶維持フラグが成立していない場合には、ステップ104を飛び越してステップ105に進む。
【0066】
ステップ105において、リール制御手段90により、回転リール40の回転開始処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
ステップ106において、いずれかのストップスイッチ50がONとなったか否かが判断される。ストップスイッチ50がONとならない場合には、ステップ106に戻り、いずれかのストップスイッチ50がONとなった場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ108に進む。
ステップ108において、全ての回転リール40が停止したか、すなわち3個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたか否かが判定される。全ての回転リール40が停止していない場合にはステップ106に戻り、全ての回転リール40が停止した場合には、次のステップ109に進む。
【0067】
ステップ109において、単位カウント手段951による正回転カウントのカウントメモリがリセットされる。そして、次のステップ110に進む。
ステップ110において、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ111に進み、停止図柄が所定の停止配列となっているか否かが判断される。具体的には、BB図柄が表示されたか、あるいはBB内部中遊技において小役が入賞したかどうかが判断される。停止図柄が所定の停止配列となっている場合には、次のステップ112において、記憶維持フラグを成立させる。そして、次のステップ113に進む。一方、停止図柄が所定の停止配列となっていない場合には、ステップ112を飛び越してステップ113に進む。
【0068】
ステップ113において、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の役を構成する図柄が有効ライン上に表示された場合には、入賞メダルの払い出しや、再遊技処理又はボーナスゲームへの移行処理が行われ、1回の遊技が終了する。有効ライン上に停止した図柄配列が何の役を構成するものでもない場合には、そのまま1回の遊技が終了する。
なお、上記フローでは、正回転カウントのカウントメモリを全リール停止後に行っているが、前述したように、正回転カウントのカウントメモリのリセットは、ステップ100と101の間や、ステップ101の後に行うようにしてもよい。
【0069】
次に、上記ステップ105におけるリール回転開始処理について、図4及び図5のフローに基づき説明する。
まず、図4のステップ200において、回胴巻き戻し演出を実行するか否か、すなわち、演出決定手段120が回胴巻き戻し演出の実行を決定したか否かが判断される。回胴巻き戻し演出を実行する場合には、次のステップ201に進む。なお、記憶維持フラグが成立していない場合には、回胴演出実行抽選が行われないので、回胴巻き戻し演出の実行は決定されない。また、回胴巻き戻し演出の実行を決定した場合にはその旨が記憶され(AT予約フラグがセットされ)、BB終了後に演出制御装置22にAT発動指令が出力される。
【0070】
次のステップ201において、停止操作無効期間が設定される。そして、次のステップ202に進み、回胴演出実行処理が行われる。
そして、次のステップ203において、前記ステップ201で設定された停止操作無効期間が終了しているか否かが判断され、停止操作無効期間が終了している場合には次のステップ204に進む。
前記ステップ200において、回胴巻き戻し演出を実行しない場合には、ステップ201〜203を飛び越してステップ204に進む。
ステップ204において、終了カウント記憶手段952が記憶している終了カウント値がクリアされ、記憶維持フラグが成立している場合には記憶維持フラグもリセットされる。そして、次のステップ205に進む。
【0071】
ステップ205において、モータ制御手段94により加速度データとして通常回転データが取得される。そして、次のステップ206に進み、駆動信号出力手段942が通常回転データに基づき、全てのリールモータMに正転駆動信号の出力を開始する。これにより、全ての回転リール40が所定の加速度で正回転を開始する。そして、次のステップ207において、単位カウント手段951が、各回転リール40について、正回転カウントを開始する。
次のステップ208において、回転リール40の回転速度が所定の定常回転速度に達したか否か、具体的には通常回転データに基づく加速制御のプログラムが終了したか否かが判断される。回転リール40が定常回転に達した場合には、次のステップ209において全ての回転リール40について最初のインデックス検知がされたか否かが判断される。インデックス検知がされた場合には、インデックス検知により、図柄判定手段93による図柄位置判定が開始される。そして、次のステップ210において、遊技制限時間(ウエイト時間)が経過しているかが判断され、遊技制限時間が経過している場合には、次のステップ211において、停止操作無効解除手段96により停止操作の無効が解除される。そしてリール回転開始処理を終了する。
【0072】
なお、図3、図4の流れでは、記憶維持フラグが成立していないために回胴巻き戻し演出が実行されない場合の終了カウント値をステップ204すなわちリール正回転開始前にクリアするようにしてあるが、前述したように、終了カウント値を、原則として1回の遊技終了時(図3のステップ113の後)や、次遊技の開始時(図3のステップ100又は101の後)にクリアされるように形成し、記憶維持フラグが成立している場合に限りそのタイミングではクリアされず、図4のステップ204のタイミングでクリアされるようにしてもよい。
上記ステップ202の回胴演出実行処理について、図5のフローに基づき説明する。
【0073】
ここで、図中、「リール1」「リール2」「リール3」とは、左リール41、中リール42、右リール43のうちのいずれかの回転リール40であって、リール1は終了カウント値が最も大きいリール、リール2は終了カウント値がその次に大きいリール、リール3は終了カウント値が最も小さいリールを示す。本実施の形態では、リール1が第三停止リール、リール2が第二停止リール、リール3が第一停止リールに対応するものとなる。また、図5では、単位カウント手段951は逆回転カウント時には減算カウントを行うことを前提としている。
まず、図5のステップ300において、モータ制御手段94により加速度データとして回胴演出回転データが取得される。そして、次のステップ301に進み、終了カウント記憶手段952に記憶されている終了カウント値が取得される。そして、次のステップ302に進む。
【0074】
ステップ302において、駆動信号出力手段942が回胴演出回転データに基づき、リール1のリールモータMに逆転駆動信号を出力させる。これにより、リール1が所定の(正回転の場合と同一の)加速度で逆回転を開始し、その後定常回転速度を保って逆回転を続行する。そして、次のステップ303において、単位カウント手段951がリール1について逆回転カウント(終了カウント値からのデクリメント)を開始する。なお、このとき、カウント比較手段953がリール1の逆回転カウント値とその他のリールの終了カウント値との比較判定を開始する。そして、次のステップ304に進む。
ステップ304において、リール1の逆回転カウント値(カウントメモリの値)がリール2の終了カウント値と一致したか否かが判断され、一致した場合には、次のステップ305において、リール2のリールモータMに逆転駆動信号を出力させる。これにより、リール2が所定の加速度で逆回転を開始し、その後定常回転速度を保って逆回転を続行する。そして、次のステップ306において、リール2について逆回転カウントが開始される。リール2の逆回転カウント値は、リール1と同等である。
【0075】
次のステップ307において、リール1及びリール2の逆回転カウント値がリール3の終了カウント値と一致したか否かが判断され、一致した場合には、次のステップ308において、リール3のリールモータMに逆転駆動信号を出力させる。これにより、リール3が所定の加速度で逆回転を開始し、その後定常回転速度を保って逆回転を続行する。そして、次のステップ309において、リール3について逆回転カウントが開始される。
ステップ310において、全ての回転リール40についての逆転カウント値がゼロになったか否かが判断される。なお、逆転駆動時の加速度設定を正転駆動の加速度設定と同じにしておけば、全ての回転リール40の逆転カウント値は同時にゼロになるはずである。そして、全ての回転リール40についての逆転カウント値がゼロになった場合には、ステップ311で停止信号が出力される。このとき、各回点リール40の停止図柄は、正回転時と同じコマ数だけ逆回転させたことにより、回転リール40の回転開始時の図柄配列になるものである。そして回胴演出実行処理を終了する。
【0076】
このようにして、3個の回転リール40が、回転停止した順序と逆の順序で逆回転を開始し、前回の遊技で回転開始してから回転停止するまでに移動したコマ数と同等のコマ数だけ逆戻りして、最後には回転開始前の状態となって停止する。すなわち、直前に終了した遊技における遊技開始時の停止図柄配列、つまり前々回の遊技における停止出目を再現することができるのである。
この後、図4のステップ203において、停止操作無効期間が終了していることを条件として、再度のスタート操作なしで通常のリール回転開始作動が行われることとなる。
なお、逆回転カウントで加算カウントを行う場合には、上記ステップ304では、リール3の逆回転カウント値が、リール3の終了カウント値とリール2の終了カウント値との差数に一致しているか否かが判断され、上記ステップ307では、リール3の逆回転カウント値が、リール3の終了カウント値とリール1の終了カウント値との差数に一致しているか否かが判断され、上記ステップ310では、全リールについて終了カウント値と同等の逆回転カウントが行われたか、すなわち各リールの終了カウント値と逆回転カウント値が一致したか否かが判断されることとなる。この場合も、全ての回転リール40の逆転カウント値は同時に当該終了カウント値と同等になるはずである。
【0077】
続いて、図3のステップ105のリール回転停止処理について、図6のフローに基づき説明する。
まず、図6のステップ400において、取得されている停止テーブルに基づき、停止位置の特定を行う。すなわち、所定位置に停止させるべき図柄を特定する。そして、次のステップ401に進み、特定された停止位置まで回転リール40が回転したか否かが判断される。そして、停止位置まで回転リール40が回転した場合には、次のステップ402において、停止信号が出力され、次のステップ403に進む。
ステップ403において、単位カウント手段951が正回転カウントを終了し、次のステップ404において、終了カウント記憶手段952が停止した回転リール40に対応する終了カウント値を記憶する。そして回転停止処理を終了する。
【0078】
(総括)
以上のように、本実施の形態によれば、回胴演出実行時には、図柄の現在位置特定を一切行うことなく、逆回転カウント値と終了カウント値を監視するだけで、回転リールを逆回転させて停止履歴を再現させることができる。また、終了カウント値を1回の遊技ごとに記憶する場合には、回転リール40の停止操作順を記憶しておかなくても、停止操作順に応じて(つまり停止操作した逆順序で)回転リール40を逆回転開始させることが可能である。
このように、逆回転時の図柄判定のための制御データが不要であることから、極力遊技制御装置21に負担をかけないで、遊技制御装置21の制御による演出を実行することができるものである。
【0079】
さらに、本実施の形態では、停止図柄が所定の停止配列となった場合に記憶維持フラグを成立させ、この記憶維持フラグが成立している場合に、回胴演出実行抽選が行われるようにしてあるので、終了カウント値をクリアするタイミングの如何に関わらず、回胴巻き戻し演出を確実に実行可能とすることができる。なお、記憶維持フラグが成立している場合に限り、単位カウント手段951の行った正回転カウントの終了カウント値が終了カウント記憶手段952に記憶されるように形成してもよい。
ここで、上記した実施の形態では、回胴演出終了後、所定の停止操作無効期間が経過していることを条件に、通常回転に移行するように形成してあったが、通常回転に移行する契機はこれに限られず、例えば回胴演出終了後の再度のスタートスイッチ30の操作によって回転リール40が通常回転を開始するようにしてもよい。
【0080】
また、上記した回胴巻き戻し演出の実行に際し、他の演出表示履歴を同時に巻き戻して再現させるようにしてもよい。例えば、回胴巻き戻し演出の開始時に、遊技制御装置21から演出制御装置22に逆再生演出を開始させる旨の指令信号を出力し、画像表示装置67としての液晶表示画面に表示した画像を逆再生で表示させたり、ランプ68の点滅パターンを逆再生で表示させたりすることができる。
さらに、単位カウント手段951のカウントする単位はコマ数に限られず、ステップ数や時間をカウントするようにしてもよい。
なお、回胴巻き戻し演出を実行させるのは、遊技が連続して行われている場合にのみ限定するのが好ましい。例えば、設定変更や停電その他で電源がOFFになった場合、あるいはホッパーユニット65へのメダル補給や所定のエラー解除などで前扉を開放した場合において、それらから復帰した最初の遊技においては、回胴巻き戻し演出を実行させるための条件が揃っていても、演出を実行させないようにしてもよい。
【0081】
(変形例1)
上記した実施の形態では、演出決定手段120の決定によりAT抽選に当選した場合に、回胴巻き戻し演出が行われ、回胴巻き戻し演出では、前々回の遊技での停止出目をそのまま再現させるように形成してあったが、回胴巻き戻し演出の態様によって、AT抽選に当選したか否かを報知するように形成することもできる。
具体的には、特に図示しないが、回胴演出制御手段95に、終了カウント記憶手段952の記憶している終了カウント値に所定の数値を加減算することにより終了カウント値を変更するカウント変更手段を設け、AT抽選に当選している場合には、前々回の遊技の停止出目がそのまま再現され、AT抽選に当選していない場合には、前々回の遊技の停止出目とは異なる図柄配列で停止するように形成することができる。この場合、AT抽選の実行時期は問わないが、回胴巻き戻し演出が実行されるのは、AT抽選に当選後、停止図柄の配列が特定の並びになった遊技の次々遊技とするのが最適である。
【0082】
図7は、変形例1による回胴演出実行処理を示すフローである。
まず、図7のステップ500において、回胴演出回転データが取得され、次にステップ501において終了カウント値が取得される。そして、ステップ502において、AT移行が決定しているか、すなわちAT抽選に当選しているか否かが判断される。AT移行が決定している場合には、次のステップ503に進む。ステップ503以降の流れは、図5のステップ302以降の流れと同じである。
一方、AT移行が決定されていない場合には、ステップ520に進み、少なくともいずれかの回転リール40について、終了カウント値を変更する。例えば、終了カウント値に1を加算あるいは減算する。そしてステップ503に進む。
【0083】
このように形成した場合には、全ての回転リール40に対応する逆回転カウントがゼロになって全ての回転リール40が停止したときの停止図柄の配列は、前回の遊技での回転開始前の配列(前々回の遊技での停止出目)とは異なるものとなる。例えば、リール3の終了カウント値に1を加算した場合には、最後に逆回転停止する回転リール40すなわち前々回の遊技での第一停止リールにおける停止図柄はリール回転方向に1コマずれて表示され、終了カウント値から1を減算した場合にはリール回転方向と逆方向に1コマずれて表示される。
なお、終了カウント値に加減算する数値は1に限られず、2でも3でもよい。また、加減算した回転リール40の終了カウント値が、他の回転リール40の終了カウント値と同等になった場合には、2以上の回転リール40が同時に逆回転を開始するため、遊技者はこれによってもAT移行が決定されていないことを知ることができる。
【0084】
上記制御を用いた回胴巻き戻し演出の具体例を挙げると、演出決定手段120はBBゲーム開始時に回胴演出実行抽選としてのAT抽選を行う。そして、BBゲーム役を構成する図柄(例えば7・7・7)が表示された遊技の次々遊技、つまりBBゲーム開始後2ゲーム目のスタートスイッチ操作時に、回胴巻き戻し演出を実行させる。AT抽選に当選している場合には、回胴巻き戻し演出終了時の停止図柄が7揃いとなることにより、BB終了後のAT発動を報知し、AT抽選に当選していない場合には、回胴巻き戻し演出終了時の停止図柄が7揃いにならないことにより、BB終了後にATが行われないことを報知する。
【0085】
このように形成した場合には、回胴巻き戻し演出が開始されただけではAT抽選に当選しているかどうか判らないので、演出に対する遊技者の感心を高めることができる。
なお、終了カウント値を変更する回転リール40は複数であってもよく、いずれの回転リール40の終了カウント値を変更するかは予め定められていてもよいし、抽選により決定してもよい。最後に逆回転停止する回転リール40(リール3)の終了カウント値を変更するように形成すれば、回胴巻き戻し演出に対する遊技者の注意を最後まで引きつけることができるものとなり、好適である。
また、カウント単位が時間やステップ数の場合には、例えば図柄半個分だけ回転するのに相当する時間やステップ数を終了カウント値に加算又は減算することにより、いずれかの回転リール40の停止図柄を半コマ分ずらして停止させるようにすることもできる。
【0086】
ところで、上記とは逆に、AT抽選に当選している場合には、回胴巻き戻し演出終了時の停止図柄を所定の停止配列にさせないことによりAT発動を報知し、AT抽選に当選していない場合には、回胴巻き戻し演出終了時の停止図柄を所定の停止配列にしてATが行われないことを報知するように形成することもできる。
具体例を挙げると、BB内部中以外の任意の遊技において、スタートスイッチ30の操作時に、役抽選の結果BBが当選しなかったことを条件としてAT抽選を行うように設定する。これは、その遊技(1ゲーム目)でBBが表示(7揃い)されるのを防ぐためである。そして、AT抽選に当選した場合には、当該遊技の次遊技(2ゲーム目)において、正回転カウントの終了カウント値を記憶する。このとき、遊技結果判定の結果に基づき、各回転リール40において図柄表示窓13の中段に表示されている図柄から何コマ分回転方向と逆方向に移動させれば当該位置に「7」の図柄を位置させることができるかを演算し、演算結果に基づいて終了カウント値を変更する。すなわち、逆回転により中段ラインに7揃いを表示させることができるように、終了カウント値を改変して記憶する。そして、次の遊技、すなわちAT抽選に当選した遊技の次々遊技(3ゲーム目)において、回胴巻き戻し演出を実行させる。一方、AT抽選に当選しなかった場合には、終了カウント値を改変せずに3ゲーム目で回胴巻き戻し演出を実行させる。
【0087】
以上のようにして、AT抽選で当選した場合には、逆回転停止時に過去の出目を再現させずに、7揃いなどの特定の停止配列を表示させて、AT当選を報知し、AT抽選で当選しなかった場合には、逆回転停止時に過去の出目を再現して、7揃いなどの特定の停止配列を表示させることなく、ATハズレを報知する。このように形成した場合には、回胴巻き戻し演出が開始されたときには、ATに当選したかもしれないという期待感を抱かせることができ、さらに、特定の図柄配列(7揃い)で停止するか否かにも興味を持って演出を見守ることができる。
なお、上記した例において、AT抽選に当選した場合には、当該遊技(1ゲーム目)において正回転カウントの終了カウント値を記憶し、次のゲーム(2ゲーム目)において回胴巻き戻し演出を実行させるようにてしもよい。
【0088】
さらに、AT抽選の結果が当選の場合でもハズレの場合でも、終了カウント値を改変するようにしてもよい。例えば、AT抽選の結果が当選の場合には、全ての回転リール40について逆回転停止により7揃いとなるように終了カウント値を改変し、AT抽選の結果がハズレの場合には、一部の回転リール40についてのみ逆回転停止により中段に7が停止するように終了カウント値を改変する。ただし、この場合、一部の回転リール40について7が停止するように終了カウント値を改変した結果、逆回転停止時に7揃いが表示されてしまうこともあり得るので、AT抽選の結果を100%正確に報知するものとはならない。
(変形例2)
上記した実施の形態では、終了カウント記憶手段952は単位カウント手段951の正回転カウントによりカウントされた数値をそのまま終了カウント値として記憶するように形成してあったので、終了カウント値があまりに大きい数値となる場合には回胴巻き戻し演出を行わせないようにするといった対処が必要であった。しかしそれでは、停止操作に時間がかかる遊技者はAT当選の報知を受けられないこととなって、不公平の誹りを免れない。そこで、終了カウント記憶手段952が記憶する終了カウント値を改変することにより、演出決定手段120が予め設定する回胴巻き戻し演出実行のための停止操作無効期間の範囲内で、回胴巻き戻し演出を実行させるように形成してもよいものである。
【0089】
終了カウント値の改変の具体例を、リール回転停止処理を示す図8のフローに基づき説明する。なお、図中Kは正の整数であって終了カウント値を表す。また、単位カウント手段951はコマ数をカウントするものとし、回転リール40には21個の図柄が表示されているものとする。
まず、図8のステップ600からステップ603までは、図6のステップ400からステップ403までと同じである。ステップ604において、K値は21より大きいか否かが判断される。K値が21より大きくない場合、すなわち21以下である場合には、ステップ608に進み、そのままK値が記憶される。一方、K値が21より大きい場合には、ステップ605に進む。
【0090】
ステップ605において、K値を21で除した余りをK値に設定する。例えば、K値が250の場合には、250÷21=11余り19なので19をK値とする。このように、K値が21以上の場合には21で除した余りとするようにしたのは、回転リール40の複数回転分を省略するためである。従って、単位カウント手段951がステップ数を計測する設定となっている場合には、K値が回転リール40を1回転させるのに要するステップ数を超えている場合に、K値を回転リール40が1回転するのに要するステップ数で除した余りの数値とする。また、単位カウント手段951が時間を計測する設定となっている場合には、K値から所定の加速時間t(回転リール40が回転開始してから定常回転速度に達するまでの時間)を減算した値(K−t)が、回転リール40を1回転させるのに要する時間を超えている場合に、前記K−tを回転リール40が定常回転速度で1回転するのに要する時間で除した余りの数値にtを加算した数値とする。そして、次のステップ606に進む。
【0091】
ステップ606において、K=0であるか否かが判断される。K=0とは、具体的には、回転リール40が回転開始前の停止位置からちょうどn回転(nは自然数)した場合である。K=0である場合には、次のステップ607においてK=21とする。これは、回転開始前の停止位置まで最低1回は逆回転させるためである(K=0だと逆回転しない)。従って、単位カウント手段951がステップ数を計測する設定となっている場合には、K値は回転リール40が1回転するのに要するステップ数に設定される。また、単位カウント手段951が時間を計測する設定となっている場合には、回転リール40が回転開始してからちょうど1回転するまでの時間に設定される。そして、次のステップ608に進む。
【0092】
前記ステップ606においてK=0でない場合には、ステップ607を飛び越してステップ608に進む。
ステップ608において、設定されたK値が終了カウント値として終了カウント記憶手段952に記憶される。そして処理を終了する。
このように形成した場合には、少なくとも1個の回転リール40について、回転停止するまでの時間が長くても(移動コマ数、ステップ数が所定値以上でも)、回転リール40を最低1回、逆回転させるだけの時間で、回転開始前の停止図柄の再現が可能となる。従って、目押しに時間がかかってしまった場合でも、他の条件に該当した場合には回胴巻き戻し演出による報知の利益を享受可能となる。
【0093】
ただし、この場合には、回転リール40の停止順序は再現できない場合もある。例えば、一の回転リール40が回転停止するまでの移動コマ数が20である場合には終了カウント値は20となるが、回転リール40が回転停止するまでの移動コマ数が220である場合には終了カウント値は10となり、後に停止した回転リール40(移動コマ数が多い)の方が先に停止した回転リール40(移動コマ数が少ない)よりも終了カウント値が小さくなる場合が生じるからである。
ところで、上記制御を用いた場合には、複数回の遊技における終了カウント値を累積して記憶させ、その結果に基づき回胴巻き戻し演出を行わせることが可能となる。例えば、終了カウント記憶手段952は、BBゲーム中の遊技における回転リール40の終了カウント値を1回の遊技でリセットせずに累積して記憶するように形成し、BBゲーム開始後所定回数目(所定回数はあらかじめ設定されていてもよいし抽選により決定してもよい)の遊技において、回胴巻き戻し演出を実行する。そして、回胴巻き戻し演出によりBBゲーム役図柄が表示された状態(7揃い)に戻すことにより、最低1回の回転リール40の逆回転でAT当選を報知することができる。
【0094】
なお、終了カウント値の改変ではないが、単位カウント手段951の正回転カウントを、一定の数値範囲でのみ行うように形成しても、上記変形例2と同様の効果を得ることができる。例えば、単位カウント手段951が移動コマ数をカウントする場合、1→2→・・・→20→21→1→2→・・・と、最大21の範囲内でカウントするように形成してもよいものである。単位カウント手段951がステップ数や時間を計測する場合も同様に、あらかじめ定められた最大値までカウントしたら次には最初の数値をカウントするように形成すればよい。
(変形例3)
上記した実施の形態では、停止出目が所定の並びとなった遊技の次の次の遊技において、回転リール40を巻き戻して所定の停止出目を再現するものであったが、停止履歴の再現を複数回の遊技にわたって行わせるように形成してもよい。
【0095】
具体的には、終了カウント記憶手段952は、N回(Nは正の整数)の遊技の終了カウント値を記憶することができるように形成されている。すなわち、N個の終了カウント用メモリを備えている。そして、巻き戻し演出では、N個のメモリに記憶されている終了カウント値に基づいて過去N回の遊技における停止出目を再現させることが可能となる。なお、N値はあらかじめ設定されて(不変)いてもよいし、所定の数値範囲内において例えば抽選や遊技状態に応じて決定される(可変)ものであってもよい。
変形例3による回胴演出実行処理の流れを、図9に示すフローに基づき説明する。
まず、図9のステップ700において、モータ制御手段94により加速度データとして回胴演出回転データが取得される。そして、次のステップ701に進み、終了カウント記憶手段952のN個目のメモリに記憶されている終了カウント値が取得される。そして、次のステップ702に進む。
【0096】
ステップ702において、制御Xの実行処理が行われる。制御Xとは、図5のステップ302〜311までの処理であって、終了カウント値が大きい順に回転リール40を逆回転させ、最後に全リールを同時に停止させて停止出目を再現させる制御である。そして、次のステップ703に進む。
ステップ703において、N=N−1とする。そして、次のステップ704においてN=0となったか否かを判断し、N=0でない場合にはステップ701に戻り、N=0の場合には制御を終了する。
変形例3によれば、回転リール40の逆回転後に前回の遊技の停止出目が再現された後、再び回転リール40が逆回転してその前の遊技の停止出目が再現されることが繰り返されるものとなる。
【0097】
なお、上記フローでは、N回の遊技全てについて停止出目を再現させるようにしてあるが、巻き戻しを途中で中止するように形成してもよい。例えば、ステップ703でN=n(nはNよりも小さい自然数で抽選等により決定される)となった場合に制御を終了するようにしてもよい。
上記制御を用いた回胴巻き戻し演出の具体例を挙げると、演出決定手段120はBBゲーム開始からN+1回目の遊技開始時に回胴演出実行抽選としてのAT抽選を行う。そして、AT抽選に当選している場合には、回胴巻き戻し演出を実行させる。この間、N回の遊技の停止出目が再現され、回胴巻き戻し演出終了時の停止図柄が7揃いとなることにより、BB終了後のAT発動を報知することができる。この場合、前記した変形例1の制御を組み合わせ、AT抽選に当選していない場合にも回胴巻き戻し演出を実行させ、7揃いが停止するか否かでAT発動を報知するようにしてもよい。
【0098】
また、他の例としては、BB内部中に出現し得る特定の出目(いわゆるチャンス目)が表示されたときからN回の遊技の終了カウントを記憶し、N+1回目の遊技開始時に回胴巻き戻し演出を実行させる。そして、BBが当選している場合には特定の出目まで巻き戻してBB内部中を報知し、BBが当選していない場合には特定の出目まで巻き戻さずにBB内部中でないことを報知することができる。
なお、変形例3では、回胴巻き戻し演出の実行時間が長くなるので、変形例2で説明したように、終了カウント値の改変処理を行うのが好ましい。
本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機などにも応用できるものである。
【符号の説明】
【0099】
10 スロットマシン 11 筺体
12 表示窓 13 図柄表示窓
15 投入スイッチ 16 ベットスイッチ
17 精算スイッチ
20 制御装置 21 遊技制御装置
22 演出制御装置
30 スタートスイッチ 40 回転リール
50 ストップスイッチ 60 リールユニット
65 ホッパーユニット 66 演出表示部
70 当選抽選手段 90 リール制御手段
94 モータ制御手段 95 回胴演出制御手段
951 単位カウント手段 952 終了カウント記憶手段
953 カウント比較手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動モータにそれぞれ軸着され、表面に複数の図柄が表示された複数の回転リールと、
前記回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるための複数のストップスイッチと、
複数の図柄配列から構成される役について当選か否かの役抽選を行うための当選抽選手段と、
前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作に基づき、前記各駆動モータの駆動及び駆動停止を制御して前記回転リールを所定の態様で回転又は回転停止させるモータ制御手段とを少なくとも備え、
前記スタートスイッチの操作後、前記駆動モータが駆動開始し、予め設定された停止可能要件が満たされた後に前記ストップスイッチの操作を有効とし、
前記ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、予め定められた配列となった場合に、所定の利益が付与されるとともに、
前記スタートスイッチの操作後、前記ストップスイッチの操作を有効とするまでの間に、前記回転リールの逆回転による回胴演出を実行可能に形成された遊技機において、
前記回転リールの正回転中に、各回転リールについて、所定単位の正回転カウントを行うとともに、前記回転リールの逆回転中には、各回転リールについて、前記所定単位の逆回転カウントを行う単位カウント手段と、
前記単位カウント手段が正回転カウントを終了したときの終了カウント値を、回転リールごとに記憶する終了カウント記憶手段と、
前記単位カウント手段がいずれかの回転リールについて行っている逆回転カウントのカウント値と、前記終了カウント記憶手段がいずれかの回転リールについて記憶している終了カウント値とを比較して、一致しているか否かを判断するカウント比較手段とを設け、
前記単位カウント手段は、遊技ごとに、前記回転リールの正回転開始を契機に正回転カウントを開始し、前記各回転リールの正回転停止により正回転カウントを終了し、
前記回胴演出が行われる回胴演出実行時においては、
前記モータ制御手段は、前記スタートスイッチの操作後、前記終了カウント記憶手段が記憶している終了カウント値の最も大きい回転リールについて前記駆動モータの逆転駆動を開始させて当該回転リールの逆回転を開始させ、
前記単位カウント手段が前記逆回転を開始した回転リールについて逆回転カウントを開始し、
前記カウント比較手段は、逆回転中の回転リールについて逆回転によりカウントされた数値が、当該回転リールの終了カウント値と逆回転していない他の回転リールの終了カウント値との差数に一致したか否かを判断し、
前記カウント比較手段が一致したと判断した場合には、前記モータ制御手段は、前記他の回転リールについて前記駆動モータの逆転駆動を開始させて当該回転リールの逆回転を開始させることを順次行い、
全ての回転リールが逆回転し、前記単位カウント手段が全ての回転リールについて、終了カウント値と同等の逆回転カウントを終了した場合には、前記モータ制御手段は、全ての駆動モータの駆動を停止させて全ての回転リールの逆回転を停止させ、その後所定の契機で、全ての駆動モータを正転駆動させて全ての回転リールの正回転を開始させるように形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が予め定められた配列となった遊技の次の次の遊技以降に、前記回胴演出を所定の確率で実行させることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
遊技状態として、通常遊技状態と、所定の移行契機に該当することにより開始され通常遊技状態よりも付与利益が大きくなる特典遊技状態とを設け、
前記終了カウント記憶手段の記憶している終了カウント値に所定の数値を加減算して終了カウント値を変更する終了カウント変更手段を設け、
前記終了カウント変更手段は、前記回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させる場合には、前記終了カウント値を変更せず、回胴演出の実行後に、前記特典遊技状態に移行させない場合には、前記終了カウント値を変更して、逆回転停止後の前記回転リールの停止図柄を、前記終了カウント値を変更しなかった場合の停止態様とは異なる停止態様で表示させるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−179208(P2012−179208A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43564(P2011−43564)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】