説明

遊技用システム

【課題】大当たり抽選を実行する遊技機を含む遊技用システムであって、新たな表示方法によって抽選結果を表示することで遊技の興趣を高めることが可能な遊技用システムを提供すること。
【解決手段】遊技用システム1は、抽選結果に応じて図形を停止表示させる遊技機5、及び遊技機の停止図形を撮像する撮像手段と、停止図形に含まれる特定図形を認識する特定図形認識手段と、認識された特定図形に対応する対応図柄を表示する図柄表示手段と、を有する携帯端末10、を含むシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用携帯端末を活用して遊技を楽しませる遊技用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の抽選開始条件の成立に応じて抽選処理を実行すると共にリールを変動表示させ、その後、抽選結果に応じてリールを停止制御することでその抽選結果を表示する遊技機が知られている。このようなタイプの遊技機の中には、抽選結果を表示するメインリールのほかに演出用のサブリールを設けた遊技機もある。
【0003】
サブリールを設けた遊技機としては、似通った図柄をメインリールに配置して抽選結果を判りづらく表示する一方、サブリールで抽選結果を示唆する遊技機や、二重構造のリールを採用し、所定のタイミングで内側のリールを露出させて抽選結果を報知する遊技機も知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
しかしながら、前記従来の遊技機では、次のような問題がある。すなわち、遊技機が遊技場に導入されてから日が経つにつれて抽選結果を表示する際の演出方法に目新しさが失われていくのは致し方なく、常に、新たな抽選結果の表示方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−13656号公報
【特許文献2】特開2007−244496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、大当たり抽選を実行する遊技機を含む遊技用システムであって、新たな表示方法によって抽選結果を表示することで遊技の興趣を高めることが可能な遊技用システムを提供するための発明である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の図形表示領域において複数種類の図形を所定の配列に従って変動表示する図形変動表示手段と、
大当たりの抽選処理を実行する抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果に応じて図形を停止表示させる表示制御手段と、
前記図形変動表示手段の各図形表示領域に停止表示された図形の組合せが所定の大当たり図形であるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記入賞判定手段により大当たり図形であると判定された場合に大当たり状態を発生する大当たり状態発生手段と、を有する遊技機、及び
前記遊技機の前記表示制御手段が停止表示した図形を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した図形を表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する図形に含まれる特定図形を認識する特定図形認識手段と、
前記特定図形に対応する対応図柄を予め記憶する記憶手段と、
前記特定図形認識手段が前記特定図形を認識したときに、前記記憶手段が記憶している対応図柄の中から認識された特定図形に対応する対応図柄を読み出す図柄読出手段と、
該図柄読出手段が読み出した対応図柄を前記表示手段に表示させる図柄表示手段と、を有する遊技用携帯端末、を備えたことを特徴とする遊技用システムにある。
【0008】
本発明の遊技用システムにおいては、前記遊技用携帯端末の表示手段を介して遊技機を見込むことで、遊技機側で停止表示された前記特定図形を異なる図柄に変換して表示させることができる。そのため、前記遊技用システムでは、遊技機が実行する1回の抽選に対して、2種類の抽選結果表示を楽しむことが可能となっている。
【0009】
本発明の遊技用システムでは、遊技機の抽選結果を表示するに当たって、従来には無かった新たな表示方法が実現されており、これにより遊技の興趣が向上されている。
【0010】
本発明の遊技用システムを構成する遊技機としては、スロットマシンやパチンコ遊技機等がある。スロットマシンとしては、メダルやコイン等の遊技媒体を遊技価値として使用するスロットマシンでも良いが、遊技媒体を使用しない、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。さらに、スロットマシンの場合であれば、パチンコ玉を遊技媒体として使用するパロット(R)であっても良い。パチンコ遊技機としては、遊技媒体であるパチンコ玉の払出を伴うパチンコ遊技機であっても良いが、パチンコ玉の払い出しを伴わない、いわゆる封入式のパチンコ遊技機であっても良い。
なお、遊技機により表示される図形に前記特定図形が含まれていることの意味は、前記特定図形が図形の一部に含まれていることのほか、前記特定図形のみによって図形が形成されていることにある。
【0011】
本発明における好適な一態様の遊技用システムにおける特定図形は、暗号的あるいは記号的なために遊技者が識別できず、これにより抽選結果を把握し難くするような図形が良い。一方、その特定図形に対応する図柄については、遊技者にとって理解し易い図柄であることが良い。この場合には、把握が難しい遊技機側の抽選結果表示を前記遊技用携帯端末で撮像することにより、遊技者が抽選結果を把握できるようになる。
【0012】
本発明における好適な一態様の遊技用システムにおける特定図形に対応する図柄として、何らかのキャラクタ画像や、抽選結果以上の情報を具備する図柄等を設定しても良い。この場合には、遊技用携帯端末により撮像することで、魅力的なキャラクタが抽選結果を表示してくれるという楽しみや、遊技に関する有意な情報を取得できるという喜びを遊技者に提供できる。
【0013】
本発明における好適な一態様の遊技用システムの遊技機はスロットマシンであり、通常状態で小役が入賞したときに、大当たり状態で小役が入賞したときと同じ遊技価値を付与することがある付与手段を有し、
このスロットマシンの遊技では、大当たり状態の開始時及び実行中において、大当たり状態が発生した旨及び大当たり状態が実行中である旨を報知しないことがある。
【0014】
この場合には、小役の入賞頻度が高くなったとき、たまたま小役の入賞が連続的に発生しているのか、大当たり状態が発生したために小役の入賞頻度が高くなっているのか、を遊技者が容易に判断できない場合を生じさせることが可能になる。大当たり状態の発生中であるか否かを遊技者が判断できない場合を生じさせれば、小役の連続入賞等に応じて大当たりに対する遊技者の期待感を高揚できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例における、遊技用携帯端末を含む遊技用システムを示すシステム図。
【図2】実施例における、スロットマシンを示す正面図。
【図3】実施例における、リールの外周に配置された図形の配列(a)、及び対応する図柄の配列(b)を示す展開図。
【図4】実施例における、スロットマシンの役、入賞図形、利益を示す説明図。
【図5】実施例における、スロットマシンの電気的構成を示すブロック図。
【図6】実施例における、タイミング報知画面を示す正面図。
【図7】実施例における、遊技用携帯端末を示す正面図。
【図8】実施例における、遊技用携帯端末を示す背面図。
【図9】実施例における、遊技用携帯端末の電気的構成を示すブロック図。
【図10】実施例における、遊技用携帯端末が記憶する対応図柄テーブルを示す説明図。
【図11】実施例における、遊技用携帯端末による表示処理の流れを示すフロー図。
【図12】実施例における、図形から図柄への置換例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、スロットマシン(遊技機)5の遊技に携帯端末(遊技用携帯端末)10を活用する遊技用システム1に関する例である。この内容について、図1〜図12を用いて説明する。
【0017】
本例の遊技用システム1は、図1のごとく、携帯端末10、及びスロットマシン5のほか、インターネット回線を介して通信可能に接続されたサーバー装置3を含んで構成されている。スロットマシン5は、停止図形の組み合わせに応じて入賞を発生させる点において一般的なスロットマシンと同様である一方、変動表示される図形として、コンピュータ等によって判別するARマーカ(特定図形)が採用されている点で一般的なスロットマシンとは異なっている。
【0018】
遊技用システム1では、携帯端末10を介してスロットマシン5の停止図形を見込む(撮像する)ことで、ARマーカをわかり易い一般的な図柄に変換可能である。このように本例の遊技用システム1では、携帯端末10を活用してスロットマシン5の遊技を楽しむという全く新しい遊技性が実現されている。特定図形であるARマーカに対応する図柄のデータについては、そのスロットマシン5を製造した遊技機メーカ等のサーバー装置3からダウンロード可能である。以下の説明では、まず、本例の携帯端末10を利用するスロットマシン5について説明し、続いて本例の携帯端末10について説明する。
【0019】
本例のスロットマシン5は、図2のごとく外観的な構成を有している。スロットマシン5の前面部分は、略矩形状の図形表示窓51を略中央に設けた前面枠体50によって形成されている。前面枠体50は、向かって左側に設けられたヒンジ(図示略)を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。
【0020】
前面枠体50では、図形表示窓51の上側に、液晶表示部67が配置されている。図形表示窓51の下側には、スロットマシン5の基部をなすベース部500が形成されている。図形表示窓51の右側には、メダルの付与数を表示する付与数表示部551、及びクレジット数を表示するクレジット表示部552が配置されている。
【0021】
ベース部500は、遊技者から奥まって位置する図形表示窓51に相対して張り出すように形成されている。ベース部500は、図形表示窓51に隣り合う上端部に棚面状の操作面54を有し、下端部にメダルの受け皿55を有している。さらに、操作面54の下側に隣接して操作パネル53を有している。
【0022】
操作面54には、クレジット機能によりクレジット(貯留)されたメダルを投入するためのベットボタン64と、クレジットされたメダルを払い出させるための精算ボタン65と、メダルを直接投入するためのメダル投入口630と、が配置されている。操作パネル53には、リール52の図形変動を開始させるためのスタートレバー62、図形変動を停止させるためのストップボタン61が配置されている。
【0023】
図形表示窓51は、図形表示領域510L、C、Rを含む表示窓である。各図形表示領域510L、C、Rは、いずれも3図形分の図形表示領域である。図形表示窓51全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図形分の図形表示領域が形成されている。2次元マトリクス状に9個の図形(本例では特定図形であるARマーカ)525が配置される図形表示領域においては、入賞の対象となる入賞図形の並び方向である入賞ライン511〜515が設定されている。
【0024】
各図形表示領域510L、C、Rの裏側には、リール52L、C、Rがそれぞれ配置されている。リール52L、C、Rは、図3(a)のごとく、円柱形状の外周面に略一定の間隔を空けて21個の図形525が配置された回転式のリールである。本例では、ARマーカのみを含む図形525を採用している。これらのリール52L、C、Rに対しては、それぞれ個別に対応するストップボタン61として、左ストップボタン61L、中ストップボタン61C、右ストップボタン61Rが設けられている。なお、同図(b)は、各図形525を対応する図柄525Mに置換した仮想展開図である。
【0025】
液晶表示部67は、液晶ディスプレイよりなる。液晶表示部67は、遊技を演出するための各種の演出画面等を表示可能であるほか、ボーナス役に対応するボーナス図形を停止可能なタイミングを報知する停止タイミング報知手段としての機能を備えている。
【0026】
スロットマシン5では、図4のごとく、2種類のボーナス役(BB役、RB役)のほか、9枚役や5枚役等の小役、リプレイ役が設定されている。同図では、左列から右列に向かって順番に、各役の名称、各役に対応する図形525の組合せ(停止図形の組合せ)である入賞図形、入賞図形に対応する図柄525Mの組合せである入賞図柄、入賞に応じて遊技者に付与される利益を示してある。
【0027】
スロットマシン5の電気的な構成は、図5に示す通りである。スロットマシン5は、主制御部58を中心として電気的に構成されている。主制御部58に対しては、スタートレバー62、ストップボタン61、ベットボタン64及び精算ボタン65等のほか、メダル投入口630(図2)から投入されたメダルを検知する投入メダル検知部63、リール52と共に図形変動表示手段520を構成するリール駆動部521、リール52の回転位置を検知する基準位置検知部632、メダルを受け皿55に払い出すメダル払出部633、付与数表示部551やクレジット表示部552(図2)を含む各種表示部634、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定するための設定値操作部68、各種の信号を出力する信号出力部635、遊技演出を制御する副制御部59等が電気的に接続されている。この副制御部59には、装飾ランプ部636、スピーカ57を制御する音声出力部637、液晶表示部67等が電気的に接続されている。
【0028】
リール駆動部521は、ステップ単位で制御可能なステッピングモータ(図示略)を含み、このステッピングモータの回転駆動力によりリール52を回転駆動する駆動部である。
基準位置検知部632は、各リール52L、C、Rについて基準位置片の通過を検知する毎に検知信号を出力する検知部である。
設定値操作部68は、設定キー680を利用して、ボーナス役及び小役の内部当選確率が異なる6段階の設定値を変更するための操作部である。
【0029】
主制御部58は、図5のごとく、CPU(Central Processing Unit)581と、メモリ手段であるROM(Read Only Memory)583・RAM(Random Access Memory)584と、入出力インターフェースとしてのI/O(Input/Output)部582と、内部当選役抽選用の乱数を抽出する乱数抽出部585と、乱数を発生する乱数発生部586と、を有している。
【0030】
主制御部58は、内部当選役を抽選する内部抽選手段(抽選手段)71、内部当選役に対応する内部当選フラグを制御するフラグ制御手段710、リール52を制御する表示制御手段72、入賞図形を判定する入賞判定手段73、入賞に応じて利益を付与する利益付与手段(付与手段)74、ボーナス役の内部当選を告知するボーナス告知手段75、ボーナス役入賞を報知する入賞報知手段76、ボーナス状態(大当たり状態)を発生させる大当たり状態発生手段77としての各機能を備えている。
副制御部59は、CPU591、ROM593・RAM594、及びI/O部592等を備えている。副制御部59は、主制御部58から受信した制御信号に応じて液晶表示部67や音声出力部637等を制御する。
【0031】
主制御部58のROM583は、内部当選役の抽選に用いる内部当選役抽選テーブル、リール52の停止制御に用いるリール制御テーブル等を記憶している。
内部当選役抽選テーブルは、所定範囲(0〜65535)の内部当選役抽選用の乱数のうち、各役の当選乱数の範囲が規定されたデータテーブルである。内部当選役抽選テーブルとしては、通常状態に適用されるテーブルのほか、ボーナス状態に適用されるテーブルがある。通常状態用の内部当選役抽選テーブルは、設定値毎に用意されている。
【0032】
以上のような構成のスロットマシン5では、ベットボタン64の操作あるいはメダル投入口630へのメダル投入に応じて規定数のメダルがゲームに賭けられたときにゲームの開始が許可された状態となる。ゲームの開始が許可されるとスタートレバー62の操作に応じてゲームを開始できる。
【0033】
ゲームの開始が許可された状態でスタートレバー62が操作されたとき、乱数抽出部585は、乱数発生部586が発生する乱数(0〜65535)の中から内部当選役抽選用の乱数を抽出する。主制御部58は、この内部当選役抽選用の乱数を、内部当選役抽選テーブルに規定された各役の当選乱数と照合することにより内部抽選を実行し、内部当選役を決定する。内部当選役が決定された場合には、その内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる。
【0034】
本例のスロットマシン5では、ボーナス役フラグが成立した場合には1/4の確率で、非成立の場合では1/100の確率で、スタートレバー62の操作(遊技開始操作)時に告知音が発生する。液晶表示部67では、ボーナス役フラグが成立しているか否かに応じた演出が実行される。液晶表示部67は、ボーナス役フラグの成立が確定告知されている場合、ボーナス役が入賞するまでの間、図6のタイミング報知画面670を表示する。
【0035】
タイミング報知画面670は、左ストップボタン61L、中ストップボタン61C、右ストップボタン61Rに対応するタイミングマーカ671L、C、Rが配置された画面である。このタイミングマーカ671は、ボーナス役に対応するボーナス図形を停止可能なタイミングを表す○印と、停止不可能なタイミングを表す進入禁止の標識のような○に斜線の印と、を、リール52の回転に応じて高速に切換表示する。
【0036】
一方、主制御部58は、ゲームの開始が許可された状態でスタートレバー62が操作されたとき、リール駆動部521を構成するステッピングモータに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつステッピングモータを回転させることで、リール52の図形変動を開始させる。主制御部58は、ステッピングモータの回転中、リール駆動部521に入力した制御パルス数、すなわちステッピングモータが回転したステップ数をカウントする。このステップ数のカウンタ値は、各リール52の基準位置片の検知信号の取り込み毎にゼロリセットされ、直近の検知信号の後に生じたステップ数となる。
【0037】
図形変動中にストップボタン61が操作されたとき、主制御部58は対応するリール52の図形変動を停止させる。主制御部58は、リール52を停止させるに当たって、規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)等が定める所定の引込範囲内の図形を入賞ライン上に停止させる、いわゆる引込制御を実行する。本例では、引込範囲として図形4つ分に相当する範囲が設定されている。引込制御では、入賞ライン上に停止可能な停止位置が規定されたリール制御テーブルに対してストップボタン61が操作された時のステップ数が照合され、停止位置が決定される。引込範囲内に内部当選フラグに対応する図形があれば、その図形が停止位置として決定される。
【0038】
主制御部58は、リール52が停止した後、対応するステッピングモータ(リール駆動部521)のステップ数に基づいて入賞ライン511〜515(図2)上に停止した図形525の種類を求める。全てのリール52が停止した後、3基のリール52L、C、Rを横断するように設定された入賞ライン511〜515上に停止した図形の組合せが所定の入賞図形(図4参照。)であるか否かに応じて入賞役を判定する。
【0039】
主制御部58は、入賞が発生したとき、入賞役に対応する数のメダルを付与する。例えば、9枚役が入賞役である場合には9枚のメダルを付与する(図4参照。)。なお、ボーナス役以外の他の役の内部当選フラグについては、その内部当選フラグが初めて成立したゲームで入賞したか否かに関わらず次のゲームを開始するまでにオフ状態(ゼロ)にリセットされる。したがって、ボーナス役以外の各役が内部当選したゲームで入賞しなかった場合、全て取りこぼしとなる。一方、ボーナス役の内部当選フラグであるボーナス役フラグについては、内部当選フラグの成立状態が入賞するまで順次、次回のゲームに持ち越され、入賞に応じてオフ状態にリセットされる。
【0040】
主制御部58は、ボーナス役に対応するボーナス図形がいずれかの入賞ラインに沿って揃って停止されたときボーナス状態(大当たり状態)を発生させると共に、所定の終了条件の成立に応じてボーナス状態を終了させる。ボーナス状態としては、BB役の入賞に応じたBB状態(ビッグボーナス)と、RB役の入賞に応じたRB状態(レギュラーボーナス)がある。BB状態の終了条件は、付与したメダルが360枚を超過したことであり、RB状態の終了条件は、付与したメダルが120枚を超過したことである。
【0041】
なお、ボーナス役フラグの成立が確定告知されていない状態でボーナス役が入賞した時には、報知抽選が実行される。この報知抽選に当選(1/3の確率)したときには、液晶表示部67による演出及びファンファーレ等によりボーナス役が入賞した旨が報知される。一方、報知抽選に外れた場合は、そのゲームでは報知が行われない。そのゲームで報知しない場合、次ゲーム以降において毎ゲーム1/3の当選確率の報知抽選が実行され、当選に応じてボーナスゲーム中である旨が報知される。
【0042】
本例のスロットマシン5では、報知抽選に当選しない限り、ボーナス役の入賞、及びボーナスゲームの発生が報知されない。そのため、ボーナス役が入賞してもボーナスゲームが発生しても、その旨が報知されない場合が発生し得る。さらに、このスロットマシン5では、停止図形を見てもボーナス役が入賞したか否かを判断することが難しくなっている。したがって、ボーナス役入賞等の報知がなくても、9枚役の連続入賞が発生したときには、ボーナスゲームが発生しているのでは?という遊技者の期待感が高揚される。
【0043】
次に、本例の携帯端末10は、図7及び図8のごとく、厚さ1cm程度の平板状の電話機能を備えたスマートフォンである。その正面(図7参照。)側には、液晶表示部151の表示画面150が配置され、その左右両側には、ボタン群12が配置された操作面120とスピーカ131とが配置されている。携帯端末10の背面(図8参照。)側には、撮像手段を構成するカメラ基板11(図9参照。)に固定されたレンズの開口部111が設けられている。
【0044】
液晶表示部151は、撮像したスロットマシン5の停止図形等を表示する表示手段としての機能を備えている。また、この液晶表示部151の表示画面150には、シート状のタッチパネル153(図9参照。)が積層されている。
操作面120には、電源ボタン121、カメラのズームボタン123・124、撮像を開始する撮像開始ボタン125等のボタン群12が配置されている。
【0045】
携帯端末10の内部には、図9のごとく、制御部20をなす電気回路が形成された制御基板が収容されている。この制御基板に対しては、CCD素子やレンズ等が実装されたカメラ基板11、オーディオ用ICが実装されたアンプ基板133のほか、操作面120に配置されたボタン群12、タッチパネル153、液晶表示部151等が電気的に接続されている。
【0046】
制御部20は、CPU21、記憶素子であるROM22・RAM23、及び入出力インタフェースをなすI/O部24等を備えている。I/O部24は、無線LAN機能を備えている。
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラム(遊技用プログラム)を記憶している。
【0047】
RAM23は、CPU21のワークエリアや一時書き込みにも利用される読み書き可能な記憶素子である。本例のRAM23は、スロットマシン5が表示する図形525をなすARマーカ(特定図形)に対して、図柄が対応付けされた対応図柄テーブルを記憶する記憶手段231としての機能を備えている。対応図柄テーブルは、図10のごとく、図形1〜7のARマーカに対して図柄1〜7がそれぞれ対応している旨を表すテーブルである。なお、本例のARマーカをなす図形1〜7は、正八角形の内側に複数の点が配置された図形であり、図形2〜7は、図形1を45度ずつ左回転させた図形となっている。
【0048】
制御部20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、液晶表示部151の表示を制御する表示制御手段211、ARマーカを認識する特定図形認識手段213、サーバー装置3から対応図柄テーブル(図10)をダウンロードして記憶手段231に記憶させる対応図柄取込手段215、認識されたARマーカに対応する図柄を読み出す図柄読出手段217、読み出された図柄を停止図形に重ねて表示させる図柄表示手段219としての機能を備えている。
【0049】
以上の通り構成された本例の携帯端末10は、図11に示す表示処理の実行により図柄の表示を実現している。この表示処理ステップの実行には、まず、図10の対応図柄テーブルをサーバー装置3からダウンロードして記憶する記憶ステップS101が実行される。
【0050】
スロットマシン5で図形変動が停止したとき、スロットマシン5の正面側で携帯端末10を構えて撮像開始ボタン125を操作し、図形表示窓51の停止図形を撮像する。このとき、携帯端末10の表示画面150には、図12のごとく、撮像画像が表示されるので、遊技者は、その表示を見ながら、図形表示窓51の全体を撮像できるように撮像領域を適宜調整するのが良い。
【0051】
このように撮像された停止図形については、携帯端末10の内部処理により認識ステップS102が実行され、画像認識処理が施される。この認識ステップS102では、まず、撮像画像中の図形表示窓51の大きさが正規化されると共に、撮像時の傾きがソフト的に修正される。これにより、撮像画像中の各図形525の表示エリアが特定されると共に、各図形525をなすARマーカが認識される。
【0052】
停止図形のARマーカが認識されると、図10の対応図柄テーブルのごとく記憶手段231が記憶する図柄の中から、認識されたARマーカに対応する図柄を読み出す図柄読出ステップS103が実行される。続いて、図柄表示ステップS104が実行され、図12のごとく、読み出された図柄525Mが停止図形に重ねて表示され、各図形525が図柄525Mに置換される。なお、本例のスロットマシン5の場合、ボーナス役フラグ成立の可能性が高い演出が液晶表示部67で実行された場合や、告知音が発生した場合等に選択的に携帯端末10を利用すれば、携帯端末10の効率的な利用が可能になる。
【0053】
このように、本例の遊技用システム1では、携帯端末10の表示画面150を介してスロットマシン5の図形表示窓51を見込めば、停止図形が一般的な図柄に置換された停止図柄の組合せを確認できる。このように本例の遊技用システム1では、スロットマシン5による遊技演出が拡張され、携帯端末10を取り込んだ新たな遊技演出が実現されており、遊技の興趣が向上されている。
【0054】
なお、本例では、変動表示される図形525の全体をARマーカにより構成している。これに代えて、図形525の一部にARマーカを配置するのみでも良い。
本例では、リール52に配置された全ての図形525をARマーカとしている。これに代えて、ARマーカのみ又はARマーカを含む図形と、ARマーカを含まない図形と、が混在して配置されたリールを採用することもできる。
さらに、本例では、全てのリール52にARマーカよりなる図形525を配置しているが、これに代えて、一部のリールのみにARマーカを含む図形を配置することも良い。
ARマーカに対応する図柄については、例えば、携帯端末10上の操作により遊技者がカスタマイズできるようにしても良い。
【0055】
さらに、本例は、スロットマシン5の機種に応じた対応図柄テーブルをサーバー装置3からダウンロードした例である。これに代えて、SDカードやUSBメモリ等の記憶媒体を介して、遊技場に設置された情報サーバー等が記憶する対応図柄テーブルを携帯端末10に取り込むこともできる。さらに、対応図柄テーブルを記録したCD等を雑誌等の付録として提供したり、販売することも良い。この場合であれば、サーバー装置を省略して遊技用システム1を構成可能である。
【0056】
携帯端末10としては、本例のスマートフォンに代えて、本例と同様の機能を備えた専用機であっても良い。専用機の場合であれば、様々な機種の表示パターンテーブルを予め記憶させておくことも良い。汎用機であれば、本例のスマートフォンのほか、所定のソフトウェアにより動作するゲーム機を利用することも良い。
【0057】
本例のスロットマシン5では、ボーナス役入賞ゲームでの払出がゼロになっているが、メダル1枚以上の払出を設定しても良い。このとき、払出枚数を何れかの小役の払出枚数と同じに設定しておけば、その枚数の払出があった場合にボーナス役入賞のチャンスとなるので、遊技者の期待感を高揚でき遊技の興趣を高めることができる。
スロットマシン5の液晶表示部67は必須ではなく、省略しても良い。
【0058】
さらに、ボーナス役フラグが成立した状態では、必ずボーナス役が入賞するようなリール配列又は停止制御を採用することも良い。リールの図形を識別しづらく構成した場合であっても、ボーナス役フラグ成立状態では必ず入賞するので、ボーナス役フラグが成立しているにも関わらず入賞させることができないという事態を未然に防止できる。
ボーナス役フラグ成立状態において、遊技者がボーナス役を入賞させるための補助機能として、ボーナス図形をバックライトで点灯させたり、ボーナス図形を有効ライン上に停止表示させることが可能なタイミングを音声で報知することも良い。
【0059】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0060】
1…遊技用システム、10…遊技用携帯端末、11…カメラ基板(撮像手段)、150…表示画面、151…液晶表示部(表示手段)、20…制御部、21…CPU、211…表示制御手段、213…特定図形認識手段、215…対応図柄取込手段、217…図柄読出手段、219…図柄表示手段、22…ROM、23…RAM、231…記憶手段、24…I/O部、3…サーバー装置、5…スロットマシン(遊技機)、51…図形表示窓、520…図形変動表示手段、525…図形、61…ストップボタン、62…スタートレバー、67…液晶表示部、71…内部抽選手段(抽選手段)、72…表示制御手段、73…入賞判定手段、74…利益付与手段(付与手段)、75…ボーナス告知手段、76…入賞報知手段、77…大当たり状態発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図形表示領域において複数種類の図形を所定の配列に従って変動表示する図形変動表示手段と、
大当たりの抽選処理を実行する抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果に応じて図形を停止表示させる表示制御手段と、
前記図形変動表示手段の各図形表示領域に停止表示された図形の組合せが所定の大当たり図形であるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記入賞判定手段により大当たり図形であると判定された場合に大当たり状態を発生する大当たり状態発生手段と、を有する遊技機、及び
前記遊技機の前記表示制御手段が停止表示した図形を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した図形を表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する図形に含まれる特定図形を認識する特定図形認識手段と、
前記特定図形に対応する対応図柄を予め記憶する記憶手段と、
前記特定図形認識手段が前記特定図形を認識したときに、前記記憶手段が記憶している対応図柄の中から認識された特定図形に対応する対応図柄を読み出す図柄読出手段と、
該図柄読出手段が読み出した対応図柄を前記表示手段に表示させる図柄表示手段と、を有する遊技用携帯端末、を備えたことを特徴とする遊技用システム。
【請求項2】
前記遊技機はスロットマシンであり、通常状態で小役が入賞したときに、大当たり状態で小役が入賞したときと同じ遊技価値を付与することがある付与手段を有し、
このスロットマシンの遊技では、大当たり状態の開始時及び実行中において、大当たり状態が発生した旨及び大当たり状態が実行中である旨を報知しないことがあることを特徴とする請求項1に記載の遊技用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−70935(P2013−70935A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214138(P2011−214138)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】