説明

運転手の作業負荷レベルを判定するシステム及び方法

車両の運転手の作業負荷レベルを判定するシステム及び方法。システムはトランシーバと、測位装置と、コントローラとを含む。トランシーバは遠隔地からデータを受信できる。データは遠隔作業負荷レベルと遠隔作業負荷レベルに関連付けられた遠隔地理位置とを含む。測位装置は車両の現在位置を判定できる。コントローラは、車両の現在位置を遠隔地理位置に比較するよう構成される。車両の現在位置が遠隔地理位置の所定の範囲内にある場合、車両の作業負荷レベルは遠隔作業負荷レベルを少なくとも部分的に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には車両における作業負荷判定システムに関し、より具体的には、運転手の作業負荷レベルを他の車両の位置及びデータに基づき判定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の操作中に運転手へ提示する情報の量は減らす必要がある。車両操作者へ提示される情報は従来、ある特定の時点において操作者が直面し得る様々な運転要求を考慮に入れずに提示されてきた。例えば、ナビゲーションシステムは、運転手が混雑した街路や劣悪な道路状況の中を運転しているときに、あるいは運転手が事故の回避を試みているときに、近々の操縦を表示したり操縦を口頭で説明したりする。
【0003】
人が状況を認知し、状況の要素に注意を払い、受け取った刺激を認識処理し、認知からしかるべき意味を引き出し、認知した意味に応じて適切に行動する能力には限りがある。しかも、運転者の生得的な運転能力と習得的な運転能力には大きなばらつきがある。このため車両操作者は混乱、注意散漫、および、不知に陥りやすく、車両の操作中に受ける刺激の連続がこれを助長する。混乱、注意散漫、および、不知の緩和には訓練と経験と技術を役立てることができる。
【0004】
残念ながら米国には、最初に免許を申請した後に運転にかかわる技能の公式または非公式訓練がほとんどない。運転手の訓練プログラムがとりたてて効果的であると判明した訳ではなく、運転経歴を通じて訓練が継続する訳でもない。事実、特に米国では殆どの人々が運転を特権ではなく権利と考えている。しかも殆どの人々が自分自身を優良運転手と考え、問題の原因は「他者」にあると考えていることは調査で明らかになっている。運転技能の向上に向けて運転手を後押しするような文化的または法律的変化が起こらない限り、または起こるまでは、道路輸送システムの安全を改善する見込みが最も高いのは混乱、注意散漫、および、不知を最小限に抑えるための技術的ソリューションのようである。
【0005】
このような安全問題に対処するため、状態遷移モデルに基づく総合安全システムが提案されている。その基本コンセプトにあたる「脅威の階層」モデルでは、一連の状態を通過しながら各々の状態で外部の物体検出器と車内のセンサからの情報をもとに差し迫った衝突の危険を評価する。状態には「正常運転状態」と、「警告状態」と、「衝突回避可能状態」と、「衝突不可避状態」と、「衝突後状態」とがある。衝突の危険性は、センサ・データ融合アルゴリズムがセンサからの情報を集約して判断する。システムは衝突の危険を検出すると運転手に警告を発するほか、場合によっては車両を制御下に置き、自動制動や自動車線変更等の車両制御に着手する。このシステムは無関係であったセンサ情報をひとつの状態にまとめ、そこから衝突の危険について有益な推測を立て、運転手に対する警告や実際の車両制御により衝突のダメージの回避または軽減を試みるものである。
【0006】
車両と交通状況を幅広く監視し、運転手に対する情報提示に優先順位を付けるシステムも提案されている。このシステムの目標は、運転作業と状況と運転手の身体・知覚・認識能力とを考慮に入れながら運転手に対する情報の流れを管理することにある。車両のナビゲーション、操縦、および、制御に取り組む運転手の集中力を高め、散漫になった注意を元通り集中させるための支援を提供する。総合システムアーキテクチャに採用されたアナリスト/プランナーはセンサから入力を受け付け、蓄積された運転状況を組み入れ、運転手に関する情報を記録する。さらに、システムに盛り込まれたダイアログコントローラは運転手とのコミュニケーションを管理する。システムはまた、運転手を監視し、警告・制御システムによる決定に運転手の状態を盛り込む。
【0007】
しかし既存のシステムのどれも、ある運転手から得た情報を別の運転手と共用させて運転手の作業負荷判定を向上させるものではない。あるひとつの地理的領域の中で自動車運転手同士が作業負荷体験を共用する必要がある。かかるシステムによって情報提示は改善されるであろう。例えば、ある特定の地理位置においてある運転手から得た体験は、その地理位置を通過する他の運転手にとって有益であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、前述の問題の、たとえ全部ではなくとも殆どを、克服するか最小限に抑える改良作業負荷判定システム及び方法の提供が望まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明には様々な修正と代替形態が可能であるが、図面には特定の実施形態が例示されており、ここではそれらの実施形態を詳しく説明する。ただし、開示される特定の形態に本発明が限定されないことは理解されたい。むしろ本発明は、添付の請求項によって決まる本発明の技術思想及び範囲に該当するあらゆる修正、同等物、及び代案を包含する。
【0010】
本明細書では、車両が運転手に対する情報提示に優先順位を付けるための作業負荷判定システム及び方法を説明する。本願のシステム及び方法は、特定の地理位置における作業負荷体験を共用するため車両間で作業負荷関連データを有利に送信する。
【0011】
一実施形態において、車両の運転手の作業負荷レベルを判定するシステムがある。システムはトランシーバと、測位装置またはその他センサと、コントローラとを含んでもよい。トランシーバは遠隔地からのデータを受信できる。データは遠隔作業負荷レベルと、遠隔作業負荷レベルに関連付けられた地理位置、速度、進行方向、加速等の情報とを含む。データはさらに、遠隔地の車両にある複数のセンサから導き出されるデータを含んでもよい。測位装置またはその他センサは、車両の現在特性を判定できる。コントローラは、車両の現在特性と遠隔作業負荷レベルに関連付けられた受信情報とを比較するよう構成される。車両の現在特性と遠隔作業負荷レベルに関連付けられた受信情報との比較次第で、車両の現在作業負荷レベルは遠隔作業負荷レベルを少なくとも部分的に含むことができる。そして車両の現在作業負荷レベルを使用して車両の運転手に対する情報提示に優先順位をつけることができる。
【0012】
本発明は、別の実施形態において、遠隔作業負荷レベルと、遠隔作業負荷レベルに関連付けられた地理位置、速度、進行方向、加速等の情報とを含むデータを遠隔地から受信するステップと、車両の現在特性を判定するステップと、車両の現在特性と遠隔作業負荷レベルに関連付けられた受信情報とを比較するステップと、車両の運転手の現在作業負荷レベルを判定するステップとを備え、現在作業負荷レベルは遠隔作業負荷レベルに少なくとも部分的に基づいている。
【0013】
本発明は、さらなる実施形態において、車両内の運転手の作業負荷レベルを判定することを含む。この方法は、第1の車両の第1の運転手の第1の作業負荷レベルを判定するステップと、第1の車両の第1の位置を判定するステップと、第1の作業負荷レベルを第1の位置に関連付けるステップと、第1の作業負荷レベルと第1の位置とを第2の車両へ送信するステップと、第2の車両の第2の運転手の第2の作業負荷レベルを判定するステップとを備え、第2の作業負荷レベルは、第1の作業負荷レベルと第1の位置とに少なくとも部分的に基づいて判定される。
【0014】
図面を参照すると、図1は車両20を示しており、この車両はコントローラ22と、車両と運転手の動作を監視するための様々な可視及び不可視の機器とを含む。車両には、ハンドル24と、ブレーキペダル26と、アクセル28と、外部環境を監視するカメラ30と、車内を監視するカメラ32と、タイヤ34と、車両電子制御装置36と、測位装置38とが示されている。図示されてはいないが様々な実施形態で使用されるその他の車両制御装置として、方向指示器、変速装置、ドア取手、窓制御装置等がある。コントローラ22はセンサ(図示せず)へ接続され、同センサは様々な車両コンポーネント24、26、28、30、32、34の状態と動作を監視し、報告するほか、後述するとおり車両電子制御装置36、測位装置38から情報とデータを受け取る。例えば、一実施形態において、車両はカメラ30及び32に関連する画像センサを有することができる。カメラ30は、例えば混雑した歩行者道路および交差点を識別するため車両の前方を監視することができる。レーダー、レーザー、超音波システム等、他の感知装置を使用することもできる。車両はさらに、タイヤ34に関連するセンサ等、特定の道路状態および静止摩擦の推定を特定するためのセンサを有することもある。
【0015】
図2は、少なくとも作業負荷管理部50を有するコントローラ22の一実施形態を示しており、同作業負荷管理部は、測位装置38と、複数の車両センサ52と、ユーザインターフェイス54と、トランシーバ56とへ接続される。測位装置36は、地理位置、速度、進行方向、加速等、車両20aの情報を判定する全地球測位システム(GPS)装置、推測装置、その他の装置またはシステムであってよい。測位装置36に加えて複数の車両センサ52から速度、進行方向、または加速等の情報を判定することもできる。
【0016】
図2はさらに、無線トランシーバ56により1つ以上の無線通信リンクを通じて他の車両20b、20c、及び20dと通信するコントローラ22aを示している。無線通信は直接的(すなわち車両対車両)であってよく、あるいは遠隔地のサービスセンター60を介してもよい。無線通信は図2に通信矢印で例示されている。遠隔地のサービスセンター60は一般的に、複数の車両20a〜20dからデータを受信するよう構成される。この開示の恩恵に浴する当業者なら、車両20a〜20dと遠隔地のサービスセンター60との通信に使用できる無線通信方法が数多くあることを理解するであろう。通信は一実施形態においてAMPS、CDMA、GSM、TDMA等の無線セルラー通信による。車両20a〜20dと遠隔地のサービスセンター60との間の伝送は、衛星通信等、他の無線通信によって果たすこともできる。
【0017】
遠隔地のサービスセンター60を具備することの一利点として、これにより車両20a〜20d間のデータアクセスを向上させることができる。遠隔地のサービスセンター60は車両20a〜20dの位置を監視でき、データの内容に応じてある地理的領域の中にある1つ以上の車両へ特定のデータを提供できる。加えて遠隔地のサービスセンター60は、ナビゲーションや経路誘導指示等、付加的サービスを盛り込む形に構成できる。その場合の選択経路には現在の交通パターンを考慮に入れることもできる。
【0018】
システムに直接車両対車両通信を盛り込もうが集中型方式を盛り込もうが、車両20a〜20d間でやり取りされ得るデータのタイプには各車両20a〜20dの作業負荷レベルに関する特定の情報が含まれる。作業負荷レベルはさらに特定の地理位置に関連付けられる。後ほど詳述するとおり、コントローラ22の作業負荷管理部50は一実施形態において、車両20aの複数の車両センサから特定の情報を収集することができる。そしてコントローラ22の作業負荷管理部50は、車両20aの運転手の相対的作業負荷レベルを判定することができる。さらにこのデータは、測位装置38から位置を判定することによって特定の地理位置に関連付けられることもある。コントローラ22は、マイクロプロセッサやデジタル信号プロセッサ等の適切な処理装置と、適切に構成されたデータ構造を含む1つ以上のメモリ装置と、様々な車両センサ52とユーザインターフェイス54等の装置とへ作業負荷管理部50を結合するインターフェイスとを含んでもよい。作業負荷管理部50は一体化された単独モジュールであってよく、あるいはエンジンコントローラ等の他の車両コンピュータシステムの一部としてその機能を遂行することもできる。
【0019】
作業負荷管理部50は車両20の運転手の活動状態を分類するよう構成され、さらにコントローラ50は後記するとおり、運転手の活動状態に基づきユーザインターフェイス54を通じて運転手に向けて表示または提供する情報のタイプに優先順位を付けることができる。例えば作業負荷管理部50は一実施形態において、車両作動状態に関係する車両20aからのセンサ・データに基づき運転手を少なくとも1つの活動状態に分類する。作業負荷管理部50は、運転手の状態に関係する車両20aからのセンサ・データに基づき運転手を少なくとも1つの活動状態に分類することもできる。特に、システムは、車両の環境に関係する情報と運転手の気を散らすその他のものに関係する情報にアクセスする形に、そして運転手に向けて全面的に又は部分的に提示される情報に優先順位を付けるため出力を提供する形に、構成される。例えば、車両動作と、車両環境と、操作者及びその他乗員の活動とに関係する数々の状態に基づき車両の標識及び通知を提示することができる。
【0020】
さらに後述するとおり、特定の地理位置に関連する他の車両20b〜20dから受信するデータに基づく作業負荷判定をシステムに取り入れることもできる。車両位置は全地球測位システム(GPS)技術を利用する車載システムによって提供できるし、あるいは無線通信装置(例えば携帯電話機)と関連無線通信ネットワークとによって位置情報を提供することもできる。
【0021】
図示されたとおり、ある車両からのデータは様々な出所から捕捉され、それらはいずれも車両の状態やさらに新たなインプットに対する運転手の認知負荷を直接的に又は間接的に推測するのに役立てることができる。かかるデータは様々な車両センサによってもたらされるデータを含む。乗用車(自動車、ミニバン、スポーツユーティリティビークル、その他)をはじめとする数多くの車両では車両状態監視センサが普及している。これらのセンサは、エンジン作動パラメータ、車両速度、トランスミッションとホイールの速度、3軸車両加速度、シャーシ機能、排出制御機能等、多数のパラメータを監視する。これらのセンサは車両診断に関係するデータを提供することもある。
【0022】
車両センサにはさらに、車両が作動するところの外部環境に、例えば道路状態、交通状態、天候等に、関係するデータを含めることもある。道路状態、例えば路面と静止摩擦の推定は、アンチロックブレーキ、トラクション制御、及びシャーシ制御システムセンサによって提供できる。レーダー、レーザー、超音波、及びビデオシステム(カメラ30等)は、車両の近くにある物体の地図と車両に対する物体の動きを提供できる。天候と時刻も直接的に監視、あるいは、ウィンドウワイパー、ライト、霜取り装置等のソースから導き出すことができる。
【0023】
運転に直接関係しない運転手の活動を監視できる。シートセンサ及び/または赤外線センサは車両内の乗員の数と位置とを感知できる。フロア及びハンドルセンサは運転手の脚と手の位置を指示することができる。ビデオまたは画像センサは運転手の頭、体、手、及び脚の動きを監視でき(カメラ32等)、情報、娯楽、及びテレマティックスシステムの作動状態と運転手による使用も監視できる。このほかに、ラジオの調節、携帯電話機の使用、ナビゲーション情報の入手、環境制御装置の調節、会話レベルといった活動の監視も容易い。
【0024】
作業負荷管理部50は車両制御装置を監視することにより車両の動作に直接関係するデータを捕捉することもできる。運転手は車両20を操作しながら様々な行為に従事し、これはアクセルまたはブレーキをかけること、ハンドルを回すこと、及び、方向指示器、フロントガラス洗浄装置/ワイパー、窓霜取り装置等を使用することを含むが、これらに限定されない。車両制御装置やその他のセンサから導き出されるデータは認知負荷の評価に役立てることができ、例えばアクセル及びブレーキの変更率、車両速度に結びつく旋回半径、及び、電子サスペンション設定はほんの一例である。
【0025】
車両環境の中には車両環境に関するデータ源が数多く存在し、作業負荷管理部50に役立てることができることは理解されよう。数種類のデータは既に上記しており、その他のデータは作業負荷管理部50の動作との関係で後記するが、ここで明確に言及しないその他のデータも本発明の範囲と技術思想から逸脱することなく使用できる。新しい技術により新たなデータタイプ/源と、新たな情報タイプ/源が車両に導入されたら、新たなデータ源を利用する形に作業負荷管理部50を構成できることは理解されよう。
【0026】
換言すると、作業負荷管理部50は運転手が車両の操縦席で触れたり使ったりする技術的性質のものなら何であれ監視することによって、運転手が随時何をしているかを可能な限り多く知る。さらに作業負荷管理部50はビデオ及び画像技術、シートセンサ、及び操縦席のマイクロフォンの使用により、運転手の位置と姿勢、雑音レベル、乗員とその他の気を散らすものの存在を判定できる。車両の周囲に配備されたレーダー、レーザー、ビデオ、及び赤外線センサは歩行者の往来や天候状態、障害物、車線マーク等を監視する。運転手の現在の状態と運転成績はビデオ等の直接的手段から推測できるほか、現在の運転成績を過去の運転成績や既知の優良運転方法に比較することによって推測できる。
【0027】
作業負荷管理部50は一実施形態において最終的に、入手可能な入力をもとに車両20、すなわち車両または運転手が、数通りの状態のいずれかひとつになっていることを判定する。車両または運転手の位置次第では、特定の地理位置に関連する他の車両20b−20dから受信するデータが状態の判定に盛り込まれることがある。作業負荷管理部50は、車両または運転手の状態に基づき運転手に提示する情報に優先順位を付ける。その結果、情報は省かれたり情報の修正版が提供されたりする。例えば作業負荷管理部50は、車両または運転手が難しい運転状態にあると判断する場合に車両ステータスインダクタの提示を延期できる。作業負荷管理部50は、車両または運転手が過渡的運転状態にある場合に情報の音声版だけを提供することもできる。作業負荷管理部50はさらに、車両または運転手が安定的運転状態にある場合に全ての情報を提示できる。
【0028】
加えて作業負荷管理部50はメモリを含んでよく、このメモリは、作業負荷管理部50を内蔵する車両による全作業負荷測定値と他の車両から受信する作業負荷測定値の履歴を格納できる。この種の履歴情報を道路地図データベースやその他の地理ナビゲーションシステムに結び付けて予想される高作業負荷位置の地図を作成すれば、運転手が又は単独で作業負荷管理部50が運用することができる。さらにこの種の履歴情報を学習方式のアルゴリズムに結び付ければ、システムは時間の経過にともない改善の見込みがある高作業負荷エリアを学習することができる。例えば道路工事のためシステムが高作業負荷エリアを指示する場合、その状態はいずれ道路工事が完了すると変化する可能性がある。
【0029】
作業負荷管理部50状態を確立する具体的アルゴリズム及び方法のさらなる説明は、本願と同一出願人により2003年12月30日に出願されたKari Torkkola、Robert Leivian、及びNoel Masseyによる同時係属特許出願第10/748,549号、名称「Method and Apparatus for Classifying Vehicle Operator Activity States(車両操作員活動状態を分類する方法及び装置)」、公開番号US−2004−0252027−A1に見ることができる、その開示内容はここでの参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
図3は、複数の車両で共用されるデータを取り入れる作業負荷判定システムの動作の要約を示す。この例では第1の車両と第2の車両との間でデータのやり取りがある。第1の車両のコントローラ22内にある作業負荷管理部50は、処理ブロック102で第1の運転手の第1の作業負荷レベルを判定する。これは上記したとおり、外部環境や道路状態を考慮に入れて運転手の活動状態を分類することを含む。作業負荷管理部はこの分類に基づき、車両内の第1の運転手に対する情報提示に優先順位を付ける。さらに、プロセスはブロック104へ進む。
【0031】
第1の車両20aのコントローラ22はブロック104で地理位置、速度、進行方向、加速等、第1の車両20aの情報を特定する。本発明を例証するにあたっては地理位置(すなわち第1の位置)を特定する。ただしこの開示の恩恵に浴する当業者なら、速度、進行方向、加速等、地理位置以外の情報も特定でき、作業負荷レベルに関連付けることができることを理解するであろう。いずれにせよ、第1の位置は測位装置36(GPS技術を利用する車載ナビゲーションシステム等)からデータを受け取ることによって果たすことができ、あるいは無線通信装置(例えば携帯電話機)と関連無線通信ネットワークとによって位置情報を提供することもできる。
【0032】
コントローラ22はブロック106で第1の作業負荷レベルを第1の位置に関連付ける。次いでコントローラ22は、ブロック108で無線トランシーバ56を使って第1の作業負荷レベルと第1の位置とを第2の車両へ送信する。車両間の無線通信は直接的(すなわち車両対車両)であってよく、あるいは遠隔地のサービスセンター60を介してもよい。ブロック110では第2の車両がデータを受信する。このデータは第1の作業負荷レベルと第1の位置とを含んでもよい。データは、第1の車両の第1の作業負荷レベルを少なくとも部分的に含む複数の車両からとりまとめた情報であってもよい。
【0033】
第2の車両20bのコントローラ22はブロック112で第2の車両20bの現在位置を判定する。これも測位装置36(GPS技術を利用する車載ナビゲーションシステム等)からデータを受け取ることによって果たすことができ、あるいは無線通信装置(例えば携帯電話機)と関連無線通信ネットワークとによって位置情報を提供することもできる。
【0034】
第2の車両20bのコントローラは決定ブロック114で、第1の車両20aから受信した作業負荷レベルに関連付けられた第1の位置の所定の範囲内に第2の車両20bの現在位置があるか否かを判定する。第2の車両20bの作業負荷管理部50は現在位置が所定の範囲内にない場合に、ブロック110で受信したデータを考慮に入れず第2の作業負荷レベルを判定する。ただし現在位置が所定の範囲内にある場合、ブロック118では第2の車両20bの作業負荷管理部50がブロック110で受信したデータに少なくとも部分的に基づき第2の作業負荷レベルを判定する。さらにこの決定ブロックにはファジー論理または混合アプローチをさらに盛り込むことができ、この場合は第1の作業負荷レベルに関連付けられた位置から第2の車両20bがどれくらい離れているかに応じて第1の車両20aの第1の作業負荷レベルの影響は増減する。
【0035】
上記したとおり、システムは運転手の作業負荷レベルに基づき優先順位を付け情報の全部、一部、または修正形を提示するよう構成される。加えて、本発明は作業負荷判定を向上させるため他の車両からの作業負荷及び位置データを有利に取り入れる。例えば、ある特定の地理位置におけるある運転手から得た体験は、その地理位置を通過する他の運転手のために役立てることができる。
【0036】
これまで車両の運転手の作業負荷レベルを判定するシステム及び方法を説明してきた。本発明の上記の説明は例証に過ぎず、本願から発生する特許の範囲を制限するものではない。本発明は専ら、添付の請求項の範囲と技術思想によって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態における車両の上面図である。
【図2】作業負荷判定データを共用する複数の車両のシステム図である。
【図3】第1の車両と第2の車両との間で作業負荷判定データを共用する方法の一実施形態を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転手の作業負荷レベルを判定する方法であって、
遠隔作業負荷レベルと前記遠隔作業負荷レベルに関連付けられた情報とを含むデータを遠隔地から受信すること、
前記車両の現在特性を判定すること、
前記車両の前記現在特性と前記遠隔作業負荷レベルに関連付けられた前記情報とを比較すること、
少なくとも部分的に前記遠隔操作負荷レベルに基づき、前記車両の前記運転手の現在作業負荷レベルを判定すること
を備える方法。
【請求項2】
前記遠隔作業負荷レベルに関連付けられた前記情報は、少なくとも遠隔の地理位置、速度、進行方向、または加速度を含み、
前記遠隔作業負荷レベルは、少なくとも第2の車両にある複数のセンサからのデータに基づいており、前記センサの内の少なくとも1つは道路状態を識別できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の他の遠隔地から複数の他の遠隔作業負荷レベルを含むデータを受信するステップをさらに備え、前記現在作業負荷レベルはさらに、前記複数の他の遠隔作業負荷レベルに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記遠隔地は、複数の他の車両から複数の他の作業負荷レベルを収集することを担当する集中サービスセンターであり、前記現在作業負荷レベルは、前記車両内のコントローラが前記車両の前記運転手に提示する情報に優先順位を付けるため使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
車両内の運転手の作業負荷レベルを判定する方法であって、
第1の車両の第1の運転手の第1の作業負荷レベルを判定すること、
前記第1の車両の第1の位置を判定すること、
前記第1の作業負荷レベルを前記第1の位置に関連付けること、
前記第1の作業負荷レベルと前記第1の位置とを第2の車両へ送信すること、
前記第2の車両の第2の運転手の第2の作業負荷レベルを判定すること
を備え、
前記第2の作業負荷レベルは、前記第1の作業負荷レベルと前記第1の位置とに少なくとも部分的に基づいて判定される、方法。
【請求項6】
前記第1の作業負荷レベルは、前記第1の車両内の複数のセンサからのデータに基づき、前記センサの内の少なくとも1つは、前記第2の車両の外部環境と車内の内の少なくとも一方を監視するカメラに関連する画像センサを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の作業負荷レベルを前記第2の車両へ前記送信することは、複数の他の車両から複数の他の作業負荷レベルを収集することを担当する集中サービスセンターを介して送信することを含み、前記第2の作業負荷レベルは、前記第2の車両内のコントローラが前記第2の車両の前記第2の運転手に提示する情報に優先順位を付けるため使用され、前記第2の車両内のコントローラは、前記第1の作業負荷レベルに関連付けられた前記第1の位置と前記第2の車両の第2の位置とを比較し、もし前記第1の位置が前記第2の位置の所定の範囲内にある場合、前記第2の作業負荷レベルは、前記第1の作業負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
車両の運転手の作業負荷レベルを判定するシステムであって、
遠隔作業負荷レベルと前記遠隔作業負荷レベルに関連付けられた遠隔地理位置とを含むデータを遠隔地から受信するトランシーバと、
前記車両の現在位置を判定する測位装置と、
前記車両の前記現在位置と前記遠隔地理位置とを比較し、且つ前記車両の前記現在位置が前記遠隔地理位置の所定の範囲内にある場合に、前記遠隔作業負荷レベルに少なくとも部分的に基づき判定される、現在作業負荷レベルを判定するコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項9】
前記センサの内の少なくとも1つは、前記第2の車両の外部環境と車内の内の少なくとも一方を監視するカメラに関連する画像センサを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記運転手に情報を提供するユーザインターフェイスをさらに備え、前記コントローラはさらに、前記遠隔作業負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて前記運転手に提供する前記情報に優先順位を付ける、請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−530718(P2009−530718A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500559(P2009−500559)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/063632
【国際公開番号】WO2007/106722
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(307004774)テミック オートモーティブ オブ ノース アメリカ インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】