運転支援装置および運転情報算出システム
【課題】 分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる運転支援装置および運転情報算出システムを提供する。
【解決手段】 CFカードリーダ23によって読出された運転情報に基づき、イベントが発生したときの、車両3の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両3の周辺画像を当該マークと同期して表示部に表示させることで、どこでどのような状況になったのか解析しやすくする。
【解決手段】 CFカードリーダ23によって読出された運転情報に基づき、イベントが発生したときの、車両3の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両3の周辺画像を当該マークと同期して表示部に表示させることで、どこでどのような状況になったのか解析しやすくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および運転情報算出システムに関し、たとえば運転者の運転指導、運転支援を実施しうる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば400MHz帯域のデジタル無線機を採用し、データ通信量を拡大して、車両位置情報および動態情報の収集精度を高めたタクシー配車システムが実用に供されている。このタクシー配車システムによれば、車両位置情報などの収集精度を高めたので、タクシー利用者の利便性を図り、配車担当者および乗務員の業務効率の向上を図ることができる。
【0003】
ところで管理者は、乗務員の運転を指導したり、タクシー利用者へのサービス向上を図る必要がある(たとえば特許文献1〜3参照)。特許文献1には、歪み補正画像に基づいて、車両の移動量情報を高精度に解析しうる交通事故記録映像解析システムが開示されている。特許文献2には、解析するデータの始点と終点とを設定し、記録されている時系列速度データから、始点から終点に至る距離を算出し、算出した距離に対応する速度をグラフ表示する車両運行記録解析装置が開示されている。特許文献3には、走行中の車両の現在位置に対応して、過去に撮像した画像を再生するナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−102426号公報
【特許文献2】特開平7−333011号公報
【特許文献3】特許第3285597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のものでは、イベント前後の状況が特定されないうえ、そのイベント前後の撮影画像と位置情報との関係が不明である。それ故、解析する必要性の低い情報の記録量が膨大になり、記録容量の空きを確保することができなくなる。特許文献3のものでは、車両の現在位置に対応して画像を再生表示しうるが、イベント発生時の解析を実施できないなどの問題がある。
【0006】
本発明の目的は、分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる運転支援装置および運転情報算出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転支援装置において、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる制御手段を備えることを特徴とする運転支援装置である。
【0008】
また本発明(2)は、前記制御手段は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させることを特徴とする。
【0009】
また本発明(3)は、前記制御手段は、1つの表示部に主画面と当該主画面より小さい副画面とを同時に表示させるものであって、前記主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させることを特徴とする。
【0010】
また本発明(4)は、前記記録媒体には、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報が記録され、
前記制御手段は、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させることを特徴とする。
【0011】
また本発明(5)は、前記制御手段は、前記イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
また本発明(6)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである危険運転情報と運転者情報を基に、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させることを特徴とする。
【0013】
また本発明(7)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする。
【0014】
また本発明(8)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする。
【0015】
また本発明(9)は、前記制御手段は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示させることを特徴とする。
【0016】
また本発明(10)は、過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転情報算出システムにおいて、
入力手段、演算手段および出力手段を含むコンピュータを、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる手段として機能させるための運転情報算出システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明(1)によれば、読出手段によって読出された運転情報に基づき、イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。したがって分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる。
【0018】
また本発明(2)によれば、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるので、どこでどのような状況になったのか把握し易くなり、一層解析しやすくなる。
【0019】
また本発明(3)によれば、主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させる。したがって主画面に地図を大きく表示出力することができるうえ、イベント内容毎に分けて表示した部分が見やすくなり、描画処理の効率も高めることができる。
【0020】
また本発明(4)によれば、イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させるので、イベントの発生の前後の状況を詳細に解析することが可能となる。
【0021】
また本発明(5)によれば、イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させるので、所定時間前からイベントが発生する旨認識することができる。イベントが発生する所定時間前で通常画面から切替わりカウントダウン表示されるので、そのカウントダウン表示の表示スペースを常に確保することなく、見やすく解析できる。
【0022】
また本発明(6)によれば、イベントの1つである危険運転情報を運転者毎に記録媒体から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させるので、運転者に対し個々に頻度の高い危険運転を解消するように指導ができ、安全運転に寄与できる。
【0023】
また本発明(7)によれば、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させる管理者は配車を効率よく行うことができる。ある地域を運転した実績のある運転者を優先的に配車することで、その運転者の運転に余裕が生まれ、危険運転を解消できる。よって安全運転に寄与できる。
【0024】
また本発明(8)によれば、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させるので、その位置を回避するか注意して運転、または運転指導できる。
【0025】
また本発明(9)によれば、危険運転情報をまたは実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示できるので、その時間帯でどのくらいの頻度の危険運転情報があるか理解しやすくなる。
【0026】
また本発明(10)によれば、コンピュータを、イベントが発生したときの、車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同期して表示部に表示させる手段として機能させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる運転情報算出システムをコンピュータを用いて実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を表す図であり、図1(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を表す図、図1(b)は移動局側の概略構成を表す図である。図2は、ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。本実施形態に係る運転支援システム(乗務員支援システムともいう)は、事務所側(センタ側)の運転支援装置と、移動局側のドライブレコーダ1とを有する。
【0028】
本実施形態では、車両3に搭載される運行管理の制御装置2(AVM−ECU2という場合がある)に、ドライブレコーダ1が電気的に接続されて設けられる。たとえば400MHz帯域のデジタル式無線周波数を用いて、制御装置2から車両3の位置、時間および動態情報を、運転支援装置としてのセンタ機器4へ送信可能であり、センタ機器4は、これらの情報に基づいて、複数の車両3のうち特定車両に配車指示を行うようになっている。またセンタ機器4は、前記無線周波数などを用いて、制御装置2を介してドライブレコーダ1に画像撮影要求を実施する。ただし適用する無線周波数は400MHz帯域に必ずしも限定されるものではない。たとえば携帯電話機用に割り当てられた周波数帯域を適用する場合もある。デジタル式無線周波数ではなく、アナログ式無線周波数を適用する場合もあり得る。
【0029】
ドライブレコーダ1(ドラレコ1と称す)は、制御装置2からの車両3の位置、時間および動態情報を記録するとともに、予め定める条件が成立した場合に、前記情報等と関連付けて画像および音声情報を記録するように構成されている。センタ機器は、ドラレコ1に記録されたこれらの情報を読出して運転実績を解析可能かつ出力可能に構成されている。
【0030】
ドラレコ1は、ドライブレコーダ本体5(ドラレコ本体5と称す)、撮像手段であるカメラ6、車室内の音声情報を取得する音声情報取得手段であるマイク7および警告情報を発する情報出力手段であるブザー8を有する。カメラ6およびマイク7は、ドラレコ本体5に電気的に接続されて別体に設けられ、ブザー8はドラレコ本体5に一体に設けられる。当該車両3には少なくとも一台のカメラ6が設けられる。カメラ6はCCDカメラ(CCD:Charge Coupled Device)によって実現される。このカメラ6は、車両前方方向を撮影すべくたとえばルームミラー裏のフロントガラスに貼り付けられる。つまりこのカメラ6は車両前方に向けて固定される。ドラレコ1では、オプションとして、当該車両3に二台目または三台目のカメラ6を設けることが可能であり、具体的には車室3内の撮影用カメラ6A、または車両後方の撮影用カメラ6Bを設けることも可能である。ドラレコ本体5には、これらのカメラ6を撮像するための撮影スイッチ9が電気的に接続されて別体に設けられる場合もある。ドラレコ本体5に、GPS(GPS:Global Positioning
System)アンテナおよび図示外のGPSレシーバなどが付加されたドライブレコーダを車両3に適用することも可能である。
【0031】
ドラレコ本体5には、記録媒体であるCFカード11(CF:Compact Flash)が挿抜可能に構成されている。このCFカード11は、通電しなくても記憶が消えないフラッシュメモリと、外部との入出力を受け持つコントローラ回路とを一枚のカードにまとめた構造になっている。ドラレコ本体5のうち後述する第1RAM12(RAM:Random
Access Memory)に、車両周辺画像、車室内のマイク7からの音声情報、位置、個人、時間および実空車情報を含む運転情報がエンドレスで順次記録される。予め定める条件が成立した場合に前記CFカード11に、これらの情報の少なくとも一部が記録される。
【0032】
本実施形態では、制御装置2にGPSレシーバおよびGPSアンテナ13が設けられる構成になっているが、ドラレコ本体5にGPSレシーバおよびGPSアンテナが設けられる構成にすることも可能である。位置情報、時間情報はGPSアンテナ13およびGPSレシーバを用いて取得され、乗務員データはLCD操作器から入力可能になっている。実空車情報は、運転者で操作がなされる実空車操作手段としての実車/空車メータ14から取得される。実車/空車メータ14には、運転者操作によって作動するスイッチが設けられている。乗客が車内に入り、行き先を確認した時点で運転者により実車側にスイッチのスイッチング状態が操作される。目的地に到着すると、運転者により空車側にスイッチのスイッチング状態が操作され、精算がなされる。
【0033】
これら位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報は、一旦制御装置の第2RAMに記憶される。センタ機器4からデジタル無線機を介して情報送信の要求があると、前記第2RAMに記憶されたこれらの情報を、デジタル無線機を介してセンタ機器4へ送信する。また定期的に制御装置2が自発的にセンタ機器4へ送信してもよい。さらに制御装置2はセンタ機器4からデジタル無線機を介して配車要求があると、その旨をスピーカSPを介して運転手に伝える。制御装置2は、得られた位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報をドライバを介してドライブレコーダ1へシリアル通信ラインSLで送信する。ドライブレコーダ1は、それらの情報を第1通信用ドライバを介して受信し、第1RAM12のうちの第2のSD−RAMに記憶する。
【0034】
記録条件などについて説明する。記録条件としてGセンサ出力値が閾値Gmax.またはGmin.を超過すると、閾値超過時点を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。閾値超過時点をトリガ発生時という場合がある。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえばトリガ発生前5秒以上25秒以下、トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
【0035】
記録条件として、センタ機器4から制御装置2に無線周波数による画像撮影要求があると、ドラレコ本体5の第1CPU15はその信号をコマンド受信する。そうすると、コマンド受信時TR2(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのコマンド受信時のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえば運行データの一つである車速パルスに基づいて求められる当該車両3の速度が、予め定める規定速度よりも大となることをセンタ機器4が判断すると、センタ機器4からの画像記録要求が実施される。なお前記トリガ発生に起因するパラメータは、車速パルスだけに限定されるものではない。たとえば定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、センタ機器4から画像記録要求が実施される場合もあり得る。これら複数の運行データを用いることで、センタ機器4において、乗務員個人の詳細な運転指導を実施することが可能となる。
【0036】
図3は、センタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。図4は、運転支援システムのメイン画面を表す図である。センタ機器4は、センタ用通信部16、センタ用アンテナ17、センタ用制御部18、センタ用記憶部19(データベース:略称DB)、表示部20、センタ用音声出力部21、操作部22、読出手段としてのCFカードリーダ23、および出力手段としてのプリンタ24を含む。前記センタ用制御部18は、パーソナルコンピュータによって実現される。
【0037】
センタ用通信部16は、センタ用アンテナ17を介して、制御装置2から送信される車両3の位置情報、時刻情報、車両情報、画像情報および音声情報を受信する。センタ用制御部18は、センタ用通信部16によって受信した前記情報を、センタ用記憶部19に記憶させる。制御手段に相当するセンタ用制御部18は、センタ用記憶部19に記憶される画像情報および地図情報を、表示部20およびプリンタ24の少なくともいずれか一方に表示させるとともに、スピーカによって実現されるセンタ用音声出力部21に、センタ用記憶部19に記憶される音声情報が表す音声を出力させる。センタ用制御部18は、操作部22によって入力された情報をセンタ用通信部16によって、センタ用アンテナ17を介して制御装置2に送信する。センタ用制御部18は、分析ソフトのプログラムの内容に沿って動作するものであり、たとえばパーソナルコンピュータ(PCという場合がある)のCPUに相当する。
【0038】
CFカードリーダ23は、車両3にかかるイベントの発生に従って、CFカード11に記録された運転情報を読出し可能に構成されている。読出された運転情報は一旦センタ用記憶部19に記憶され、集約される。センタ用制御部18は、CFカードリーダ23によって読出され、センタ用記憶部19に記憶された運転情報に基づき、車両マークを表示部20の地図上に表示させるとともに、この車両3の位置データに対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部20に表示させるようになっている。車両マークとは、前記イベントが発生したときの車両3の位置データを示すものである。
【0039】
図5は、CFカード11からPCのデータ読み込み処理を表すフローチャートである。センタ機器4が電源オンの条件で本処理が開始する。開始後ステップa1に移行して、センタ用制御部18は、CFカード11がCFカードリーダ23に挿入されたか否かを判断する。「否」との判断でステップa1に戻る。挿入されたとの判断でステップa2に移行して、センタ用制御部18は、乗務員データ(運転者名)、画像データ、Gセンサ出力値、位置データ、時間(時刻)、実空車、車速および音声情報を読み出す。次にステップa3において、センタ用制御部18は、読み出したデータをセンタ用記憶部19に登録し、運転者毎にデータベース化する。次にステップa4に移行し、センタ用制御部18は、CFカード11内のデータを削除する。ステップa5で完了通知させた後、本処理を終了する。
【0040】
図6Aは、センタ用制御部18の分析処理を表すフローチャートであり、図6Bは、再生順のデータの内容を表す図である。センタ機器4が電源オンの条件で本処理が開始する。開始後ステップb1に移行して、センタ用制御部18は、操作部つまり図4に示す分析メニューからの操作読み込みを行う。次にステップb2に移行して、センタ用制御部18は、画像再生処理か否かを判断する。「否」との判断でステップb11に移行する。画像再生処理であるとの判断でステップb3に移行して、センタ用制御部18は、センタ用記憶部19から乗務員データ(運転者名)、画像データ、Gセンサ出力値、位置データ、時間(時刻)、実空車、車速および音声情報を読み出す。
【0041】
次にステップb4において、センタ用制御部18は、位置データに基づき、図7(b)に示すように車両マークMKを地図上におく。センタ用制御部18は、位置データとリンクした画像データを読み出し、表示部20に表示させる。次にステップb5に移行して、センタ用制御部18は、Gセンサ出力値や車速に基づき、どのようなイベントであったかを認識し、イベントがあった位置にイベント内容を示すマーク(図7(b)参照)を地図上に表示させる。ただしこのイベント内容を示すマークの表示は、地図が主画面25で指定された場合のみである。
【0042】
次にステップb6に移行し、センタ用制御部18は、再生ボタンPb(図7(a)参照)の操作があったか否かを判断する。「否」との判断でステップb3に戻る。操作ありとの判断で、ステップb7に移行する。ここで、センタ用制御部18は、位置データと時刻とに基づき、イベント発生前から車両マークMKを地図上で時刻順に移動させて再生表示させる。またセンタ用制御部18は、その車両マークMKと同期して画像データを再生させる。次にステップb8において、センタ用制御部18は、図7に示すように車両マークMKの移動と同期してGセンサの出力値、車速SPD、音声を再生表示させる。
【0043】
次にステップb9において、センタ用制御部18はイベント数秒前か否かを判断する。「否」との判断でステップb7に戻る。イベント数秒前との判断でステップb10に移行し、センタ用制御部18は、イベント前の時刻に対応させてカウントダウン値(図7(b)における表示27)を個人情報表示エリア上に重畳させて表示させる。イベント時刻に達すると、それを示すマークを表示させる。
【0044】
次にステップb11に移行して、センタ用制御部18は、危険度ランキング(図8、図9参照)か否かを判断する。「否」との判断でステップb13に移行する。危険度ランキングとの判断でステップb12に移行し、センタ用制御部18は、図9に示すように運転者毎の危険度をランキング表示する。次にステップb13に移行し、センタ用制御部18は、図11に示すように実績分析か否かを判断する。「否」との判断でステップb15に移行する。実績分析であるとの判断で、ステップb14に移行する。ここでセンタ用制御部18は、イベント(実車データなど)に基づき、実車時の位置を地図上に表示させる(図11参照)。
【0045】
次にステップb15に移行し、センタ用制御部18は、違反分析か否かを判断する。「否」との判断でステップb17に移行する。違反分析であるとの判断でステップb16に移行し、センタ用制御部18は、図10、図11に示すように、イベント(Gセンサ、車速センサなど)に基づき、イベント発生時の位置を地図上に表示させる。その後、ステップb17に移行して、操作読み込み処理へ戻る。
【0046】
ここでデータが重複していた場合の処理について説明する。
センタ用制御部18は、センタ用記憶部19に既に登録されているCFカード11のデータを読込んだ場合、センタ用記憶部19に新たに登録しないようになっている。具体的に、センタ用制御部18は、CFカード読込時に各データ(画像データ、音声データ、運行データ(実車実績、違反実績))の「車両番号」と「日時」をキーワード(※違反実績は違反項目もキーワードに追加)として検索を行ない、登録されていた場合はセンタ用記憶部19に登録せず、登録されていなければセンタ用記憶部19に登録する。
【0047】
図7は、画像データ再生画面を表す図であり、図7(a)は主画面25と副画面26とを同時に表示させた図、図7(b)は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるとともに、カウントダウンを示す表示27などを表す図である。センタ用制御部18は、一つの表示部20に、主画面25と副画面26とを同時に表示させるものである。副画面26は、主画面25よりも表示領域が小さくなっている。このセンタ用制御部18は、主画面25に車両マークMKを表示させ、副画面26に車両3の周辺画像を表示させる際に、イベントが発生したときの前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させるようになっている。地図が副画面26で指定された場合は、地図が小さくなるため、イベント内容の表示はせず、主画面25で地図が指定された場合のみイベント内容を表示させる。
【0048】
センタ用制御部18は、イベント発生前からカウントダウンを示す表示27を、表示部20に表示させる機能を備えている。図7(b)に示すように、表示部20のうち副画面26付近部には、たとえばイベント発生5秒前を表す「5」が表記され、その後この表示27は順次「4」、「3」、「2」、「1」と秒単位で切替え表示される。これとともに位置情報に対応したイベント内容が地図上に表示される。
【0049】
図8は、危険度ランキングの対象期間の設定画面を表す図である。危険度ランキングとは、運転者を評価点であるポイントの高い順に(悪い順に)並べることと同義である。図9は、危険度ランキング画面を表す図である。表示手段20は、運転情報のうち前記イベントの一つである危険運転情報を、運転者毎にCFカード11から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させる。危険度ランキングの抽出条件は、先ず、対象日、指定期間(開始時、終了日)、月度のいずれか一つの条件で設定される。図8においては、抽出条件として指定期間が選択されている。抽出条件は操作部22によって切替え操作可能になっている。
【0050】
違反項目としては、速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよび衝突レベルに相当するG検知を含む。抽出条件として、違反項目毎の評価点(たとえば1〜10ポイント(G検知のみ1〜100ポイント))の重み付けが設定される。画面起動時は、前回選択されていたポイントで表示され、初期起動時は「G検知」のみ「30」ポイント、その他の項目は「5」ポイントで表示される。
【0051】
危険ポイントは、違反項目の違反回数に違反項目のポイントを乗じ、さらに時間帯毎の係数を乗じて算出した値を表示する。たとえば、速度超過の重みポイント「5」、早朝深夜(係数「2.00」)に5回の速度超過、繁忙時(係数「0.50」)に10回の速度超過を起こした場合の危険ポイントは((5×5)×2.00)+((5×10)×0.50=75ポイントと算出した値を表示する。ここで小数点第1位の数値は四捨五入する。違反を起こした時間が複数の時間帯に該当する場合、該当する時間帯の係数が最も高い値で算出する。違反を起こした時間がどの時間帯にも該当しなかった場合の係数は「1.00」で算出するように定められている。
【0052】
実行回数の項目には、違反回数の合計が表示される。運転傾向の項目には、「最も違反が多かった項目」と「G検知回数」とが表示される。ただしG検知回数は検知した場合のみ表示するようになっている。最も多い違反項目が二件以上存在した場合は、「G検知」、「急ハンドル」、「急ブレーキ」、「急加速」、「速度超過」順に表示する項目を決定する。
【0053】
図10は、違反頻発エリア分析画面を表す図である。図11は、実績エリア分析画面を表す図である。エリア分析の処理は下記の処理方法でエリアを分析する。下記は違反頻発エリアを例にとっているが実績エリアも同様の処理である。簡易モードでの分析処理について説明する。先ず、違反データが良く発生しているメッシュエリア(500m×500m)をデータベースから抽出する。次に、違反データが良く発生しているメッシュエリアの上位50件であって、各メッシュエリアの周辺のメッシュエリアに該当する違反データを、エリア抽出対象データとしてセンタ用記憶部19から抽出する。エリア抽出対象データを1件ずつ次ページの処理フローに基づき候補エリア*1を抽出する。前記候補エリア*1とは、エリア抽出対象データの位置から、分析エリアの半径ほど、北に移動した位置を中心とした円のエリアを意味している。次に、候補エリア内に該当する件数が多い上位20位までの候補エリアを違反頻発エリアと判断し分析画面に表示、展開する。これらの違反分析と実績分析はエリア表示あるいはポイント表示のいずれかが選択可能になっている。
【0054】
図12は、時間帯設定画面を表す図である。表示手段20は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示する機能を有する。設定項目として、時間帯の名称「たとえば、早朝深夜など」を入力可能であり、時間帯の違反原因「たとえば、早朝深夜時に襲う眠気が原因」を入力可能になっている。設定項目として、時間帯の対象となる時間「0〜23時」を選択可能となっている。この時間帯の開始時刻は、環境設定の開始時刻で設定している時刻から表示する。設定項目として、危険度ランキング画面の危険ポイントを算出時の係数として入力可能になっている。設定範囲はたとえば「0.01」〜「9.99」で、デフォルト値は「1.00」となっている。
【0055】
図13は、混雑時の実績エリア帳票を表す図である。センタ用制御部18は、違反頻発エリア(黒色、中抜き円)であって、違反ポイントの地図をプリンタ24に出力させる制御を行う。記録紙には、対象期間として分析した日付期間が表示され、分析した乗務員情報が表示される。また違反頻発エリアの順位と、違反件数とが表示されるようになっている。違反項目分布として、違反頻発エリアの違反項目分布グラフが表示される。分析項目は速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよびG検知などを含む。違反項目分布として、違反頻発エリア内で最も発生した違反項目と発生率とが表示され、最も発生した違反項目が2件以上存在した場合は、「G検知」、「急ハンドル」、「急ブレーキ」、「急加速」、「速度超過」の順に表示する項目を決定する。また違反頻発時刻として、違反頻発エリア内で最も危険であった時刻が表示される。
【0056】
図14は、危険運転指導書を表す図である。センタ用制御部18は、危険運転指導書をプリンタ24に出力させる制御を行う。記録紙には、発生時刻としてG検知した日時が表示され、運転していた乗務員名などが表示される。また画像記録時間の運行情報がグラフで表示される。ここでG検知位置は丸印で表示され、速度超過速度以上で走行していた場合は横線が強調表示される。急加速の違反が発生していた場合は上矢印が表示され、急減速の違反が発生していた場合は下矢印が表示され、そして急ハンドルの違反が発生していた場合は四角が表示される。
【0057】
画像データ再生画面で表示していた画像データが表示され、画像データ再生画面でオプションカメラ6A,6Bの画像も表示されていた場合も表示していた画像データが表示されるようになっている。Gセンサーデータとして、たとえばG検知前4秒、G検知後2秒のX値、Y値がグラフ表示される。走行軌跡として、画像記録時の走行軌跡と違反情報とが地図上に表示される。違反項目の例として速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよびG検知と、違反回数とが表示される。走行軌跡は30秒間走行した全軌跡が表示されるようになっている。
【0058】
以上説明した運転支援装置によれば、CFカードリーダ23によって読出された運転情報に基づき、イベントが発生したときの、車両3の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両3の周辺画像を当該マークと同期して表示部20aに表示させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。したがって分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる。
【0059】
表示手段20は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるので、どこでどのような状況になったのか把握し易くなり、一層解析しやすくなる。主画面25に前記車両マークMKを表示させ、前記副画面26に前記車両3の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させる。したがって主画面25に地図を大きく表示出力することができるうえ、イベント内容毎に分けて表示した部分が見やすくなり、描画処理の効率も高めることができる。
【0060】
イベント発生前からカウントダウンを示す表示27を前記表示部20aに表示させるので、所定時間前からイベントが発生する旨認識することができる。イベントが発生する所定時間前で通常画面から切替わりカウントダウン表示されるので、そのカウントダウン表示の表示スペースを常に確保することなく、見やすく解析できる。イベントの1つである危険運転情報を運転者毎にCFカード11から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させるので、運転者に対し個々に頻度の高い危険運転を解消するように指導ができ、安全運転に寄与できる。
【0061】
運転情報のうちイベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させる管理者は配車を効率よく行うことができる。ある地域を運転した実績のある運転者を優先的に配車することで、その運転者の運転に余裕が生まれ、危険運転を解消できる。よって安全運転に寄与できる。運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させるので、その位置を回避するか注意して運転、または運転指導できる。危険運転情報をまたは実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示できるので、その時間帯でどのくらいの頻度の危険運転情報があるか理解しやすくなる。
【0062】
本実施形態では、センタ側での記録再生になるが、センタだけでなく、車両にあるモニタ(ナビゲーションシステム)で記録再生も可能である。CFカード11に記録された画像やそれに対応した位置を読み出し、自車両にあるナビゲーションシステムの地図を利用して、その地図上に過去の位置をマーク表示するとともに、その位置に対応する周辺画像をマークの移動と同期して、モニタに表示させることも可能である。ただし安全上、自車両が停止しているときのみ、このような再生表示を行うようにする。
【0063】
したがってタクシー向けだけでなく、一般ユーザでも適用可能である。これによって、思い出のある映像を車両で再生できる。CFカードを他のユーザの車両に渡して再生することで、わかり難い道を教えたり、危険な場所を伝えたりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を表す図であり、図1(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を表す図、図1(b)は移動局側の概略構成を表す図である。
【図2】ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。
【図3】センタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。
【図4】運転支援システムのメイン画面を表す図である。
【図5】CFカード11からPCのデータ読み込み処理を表すフローチャートである。
【図6A】センタ用制御部18の分析処理を表すフローチャートである。
【図6B】再生順のデータの内容を表す図である。
【図7】画像データ再生画面を表す図であり、図7(a)は主画面25と副画面26とを同時に表示させた図、図7(b)はイベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるとともに、カウントダウンを示す表示27などを表す図である。
【図8】危険度ランキングの対象期間の設定画面を表す図である。
【図9】危険度ランキング画面を表す図である。
【図10】違反頻発エリア分析画面を表す図である。
【図11】実績エリア分析画面を表す図である。
【図12】時間帯設定画面を表す図である。
【図13】混雑時の実績エリア帳票を表す図である。
【図14】危険運転指導書を表す図である。
【符号の説明】
【0065】
18 センタ用制御部
19 センタ用記憶部
20 表示手段
20a 表示部
23 CFカードリーダ
25 主画面
26 副画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置および運転情報算出システムに関し、たとえば運転者の運転指導、運転支援を実施しうる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば400MHz帯域のデジタル無線機を採用し、データ通信量を拡大して、車両位置情報および動態情報の収集精度を高めたタクシー配車システムが実用に供されている。このタクシー配車システムによれば、車両位置情報などの収集精度を高めたので、タクシー利用者の利便性を図り、配車担当者および乗務員の業務効率の向上を図ることができる。
【0003】
ところで管理者は、乗務員の運転を指導したり、タクシー利用者へのサービス向上を図る必要がある(たとえば特許文献1〜3参照)。特許文献1には、歪み補正画像に基づいて、車両の移動量情報を高精度に解析しうる交通事故記録映像解析システムが開示されている。特許文献2には、解析するデータの始点と終点とを設定し、記録されている時系列速度データから、始点から終点に至る距離を算出し、算出した距離に対応する速度をグラフ表示する車両運行記録解析装置が開示されている。特許文献3には、走行中の車両の現在位置に対応して、過去に撮像した画像を再生するナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−102426号公報
【特許文献2】特開平7−333011号公報
【特許文献3】特許第3285597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のものでは、イベント前後の状況が特定されないうえ、そのイベント前後の撮影画像と位置情報との関係が不明である。それ故、解析する必要性の低い情報の記録量が膨大になり、記録容量の空きを確保することができなくなる。特許文献3のものでは、車両の現在位置に対応して画像を再生表示しうるが、イベント発生時の解析を実施できないなどの問題がある。
【0006】
本発明の目的は、分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる運転支援装置および運転情報算出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転支援装置において、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる制御手段を備えることを特徴とする運転支援装置である。
【0008】
また本発明(2)は、前記制御手段は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させることを特徴とする。
【0009】
また本発明(3)は、前記制御手段は、1つの表示部に主画面と当該主画面より小さい副画面とを同時に表示させるものであって、前記主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させることを特徴とする。
【0010】
また本発明(4)は、前記記録媒体には、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報が記録され、
前記制御手段は、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させることを特徴とする。
【0011】
また本発明(5)は、前記制御手段は、前記イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
また本発明(6)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである危険運転情報と運転者情報を基に、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させることを特徴とする。
【0013】
また本発明(7)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする。
【0014】
また本発明(8)は、前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする。
【0015】
また本発明(9)は、前記制御手段は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示させることを特徴とする。
【0016】
また本発明(10)は、過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転情報算出システムにおいて、
入力手段、演算手段および出力手段を含むコンピュータを、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる手段として機能させるための運転情報算出システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明(1)によれば、読出手段によって読出された運転情報に基づき、イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。したがって分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる。
【0018】
また本発明(2)によれば、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるので、どこでどのような状況になったのか把握し易くなり、一層解析しやすくなる。
【0019】
また本発明(3)によれば、主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させる。したがって主画面に地図を大きく表示出力することができるうえ、イベント内容毎に分けて表示した部分が見やすくなり、描画処理の効率も高めることができる。
【0020】
また本発明(4)によれば、イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させるので、イベントの発生の前後の状況を詳細に解析することが可能となる。
【0021】
また本発明(5)によれば、イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させるので、所定時間前からイベントが発生する旨認識することができる。イベントが発生する所定時間前で通常画面から切替わりカウントダウン表示されるので、そのカウントダウン表示の表示スペースを常に確保することなく、見やすく解析できる。
【0022】
また本発明(6)によれば、イベントの1つである危険運転情報を運転者毎に記録媒体から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させるので、運転者に対し個々に頻度の高い危険運転を解消するように指導ができ、安全運転に寄与できる。
【0023】
また本発明(7)によれば、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させる管理者は配車を効率よく行うことができる。ある地域を運転した実績のある運転者を優先的に配車することで、その運転者の運転に余裕が生まれ、危険運転を解消できる。よって安全運転に寄与できる。
【0024】
また本発明(8)によれば、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させるので、その位置を回避するか注意して運転、または運転指導できる。
【0025】
また本発明(9)によれば、危険運転情報をまたは実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示できるので、その時間帯でどのくらいの頻度の危険運転情報があるか理解しやすくなる。
【0026】
また本発明(10)によれば、コンピュータを、イベントが発生したときの、車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同期して表示部に表示させる手段として機能させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる運転情報算出システムをコンピュータを用いて実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を表す図であり、図1(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を表す図、図1(b)は移動局側の概略構成を表す図である。図2は、ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。本実施形態に係る運転支援システム(乗務員支援システムともいう)は、事務所側(センタ側)の運転支援装置と、移動局側のドライブレコーダ1とを有する。
【0028】
本実施形態では、車両3に搭載される運行管理の制御装置2(AVM−ECU2という場合がある)に、ドライブレコーダ1が電気的に接続されて設けられる。たとえば400MHz帯域のデジタル式無線周波数を用いて、制御装置2から車両3の位置、時間および動態情報を、運転支援装置としてのセンタ機器4へ送信可能であり、センタ機器4は、これらの情報に基づいて、複数の車両3のうち特定車両に配車指示を行うようになっている。またセンタ機器4は、前記無線周波数などを用いて、制御装置2を介してドライブレコーダ1に画像撮影要求を実施する。ただし適用する無線周波数は400MHz帯域に必ずしも限定されるものではない。たとえば携帯電話機用に割り当てられた周波数帯域を適用する場合もある。デジタル式無線周波数ではなく、アナログ式無線周波数を適用する場合もあり得る。
【0029】
ドライブレコーダ1(ドラレコ1と称す)は、制御装置2からの車両3の位置、時間および動態情報を記録するとともに、予め定める条件が成立した場合に、前記情報等と関連付けて画像および音声情報を記録するように構成されている。センタ機器は、ドラレコ1に記録されたこれらの情報を読出して運転実績を解析可能かつ出力可能に構成されている。
【0030】
ドラレコ1は、ドライブレコーダ本体5(ドラレコ本体5と称す)、撮像手段であるカメラ6、車室内の音声情報を取得する音声情報取得手段であるマイク7および警告情報を発する情報出力手段であるブザー8を有する。カメラ6およびマイク7は、ドラレコ本体5に電気的に接続されて別体に設けられ、ブザー8はドラレコ本体5に一体に設けられる。当該車両3には少なくとも一台のカメラ6が設けられる。カメラ6はCCDカメラ(CCD:Charge Coupled Device)によって実現される。このカメラ6は、車両前方方向を撮影すべくたとえばルームミラー裏のフロントガラスに貼り付けられる。つまりこのカメラ6は車両前方に向けて固定される。ドラレコ1では、オプションとして、当該車両3に二台目または三台目のカメラ6を設けることが可能であり、具体的には車室3内の撮影用カメラ6A、または車両後方の撮影用カメラ6Bを設けることも可能である。ドラレコ本体5には、これらのカメラ6を撮像するための撮影スイッチ9が電気的に接続されて別体に設けられる場合もある。ドラレコ本体5に、GPS(GPS:Global Positioning
System)アンテナおよび図示外のGPSレシーバなどが付加されたドライブレコーダを車両3に適用することも可能である。
【0031】
ドラレコ本体5には、記録媒体であるCFカード11(CF:Compact Flash)が挿抜可能に構成されている。このCFカード11は、通電しなくても記憶が消えないフラッシュメモリと、外部との入出力を受け持つコントローラ回路とを一枚のカードにまとめた構造になっている。ドラレコ本体5のうち後述する第1RAM12(RAM:Random
Access Memory)に、車両周辺画像、車室内のマイク7からの音声情報、位置、個人、時間および実空車情報を含む運転情報がエンドレスで順次記録される。予め定める条件が成立した場合に前記CFカード11に、これらの情報の少なくとも一部が記録される。
【0032】
本実施形態では、制御装置2にGPSレシーバおよびGPSアンテナ13が設けられる構成になっているが、ドラレコ本体5にGPSレシーバおよびGPSアンテナが設けられる構成にすることも可能である。位置情報、時間情報はGPSアンテナ13およびGPSレシーバを用いて取得され、乗務員データはLCD操作器から入力可能になっている。実空車情報は、運転者で操作がなされる実空車操作手段としての実車/空車メータ14から取得される。実車/空車メータ14には、運転者操作によって作動するスイッチが設けられている。乗客が車内に入り、行き先を確認した時点で運転者により実車側にスイッチのスイッチング状態が操作される。目的地に到着すると、運転者により空車側にスイッチのスイッチング状態が操作され、精算がなされる。
【0033】
これら位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報は、一旦制御装置の第2RAMに記憶される。センタ機器4からデジタル無線機を介して情報送信の要求があると、前記第2RAMに記憶されたこれらの情報を、デジタル無線機を介してセンタ機器4へ送信する。また定期的に制御装置2が自発的にセンタ機器4へ送信してもよい。さらに制御装置2はセンタ機器4からデジタル無線機を介して配車要求があると、その旨をスピーカSPを介して運転手に伝える。制御装置2は、得られた位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報をドライバを介してドライブレコーダ1へシリアル通信ラインSLで送信する。ドライブレコーダ1は、それらの情報を第1通信用ドライバを介して受信し、第1RAM12のうちの第2のSD−RAMに記憶する。
【0034】
記録条件などについて説明する。記録条件としてGセンサ出力値が閾値Gmax.またはGmin.を超過すると、閾値超過時点を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。閾値超過時点をトリガ発生時という場合がある。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえばトリガ発生前5秒以上25秒以下、トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
【0035】
記録条件として、センタ機器4から制御装置2に無線周波数による画像撮影要求があると、ドラレコ本体5の第1CPU15はその信号をコマンド受信する。そうすると、コマンド受信時TR2(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのコマンド受信時のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえば運行データの一つである車速パルスに基づいて求められる当該車両3の速度が、予め定める規定速度よりも大となることをセンタ機器4が判断すると、センタ機器4からの画像記録要求が実施される。なお前記トリガ発生に起因するパラメータは、車速パルスだけに限定されるものではない。たとえば定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、センタ機器4から画像記録要求が実施される場合もあり得る。これら複数の運行データを用いることで、センタ機器4において、乗務員個人の詳細な運転指導を実施することが可能となる。
【0036】
図3は、センタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。図4は、運転支援システムのメイン画面を表す図である。センタ機器4は、センタ用通信部16、センタ用アンテナ17、センタ用制御部18、センタ用記憶部19(データベース:略称DB)、表示部20、センタ用音声出力部21、操作部22、読出手段としてのCFカードリーダ23、および出力手段としてのプリンタ24を含む。前記センタ用制御部18は、パーソナルコンピュータによって実現される。
【0037】
センタ用通信部16は、センタ用アンテナ17を介して、制御装置2から送信される車両3の位置情報、時刻情報、車両情報、画像情報および音声情報を受信する。センタ用制御部18は、センタ用通信部16によって受信した前記情報を、センタ用記憶部19に記憶させる。制御手段に相当するセンタ用制御部18は、センタ用記憶部19に記憶される画像情報および地図情報を、表示部20およびプリンタ24の少なくともいずれか一方に表示させるとともに、スピーカによって実現されるセンタ用音声出力部21に、センタ用記憶部19に記憶される音声情報が表す音声を出力させる。センタ用制御部18は、操作部22によって入力された情報をセンタ用通信部16によって、センタ用アンテナ17を介して制御装置2に送信する。センタ用制御部18は、分析ソフトのプログラムの内容に沿って動作するものであり、たとえばパーソナルコンピュータ(PCという場合がある)のCPUに相当する。
【0038】
CFカードリーダ23は、車両3にかかるイベントの発生に従って、CFカード11に記録された運転情報を読出し可能に構成されている。読出された運転情報は一旦センタ用記憶部19に記憶され、集約される。センタ用制御部18は、CFカードリーダ23によって読出され、センタ用記憶部19に記憶された運転情報に基づき、車両マークを表示部20の地図上に表示させるとともに、この車両3の位置データに対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部20に表示させるようになっている。車両マークとは、前記イベントが発生したときの車両3の位置データを示すものである。
【0039】
図5は、CFカード11からPCのデータ読み込み処理を表すフローチャートである。センタ機器4が電源オンの条件で本処理が開始する。開始後ステップa1に移行して、センタ用制御部18は、CFカード11がCFカードリーダ23に挿入されたか否かを判断する。「否」との判断でステップa1に戻る。挿入されたとの判断でステップa2に移行して、センタ用制御部18は、乗務員データ(運転者名)、画像データ、Gセンサ出力値、位置データ、時間(時刻)、実空車、車速および音声情報を読み出す。次にステップa3において、センタ用制御部18は、読み出したデータをセンタ用記憶部19に登録し、運転者毎にデータベース化する。次にステップa4に移行し、センタ用制御部18は、CFカード11内のデータを削除する。ステップa5で完了通知させた後、本処理を終了する。
【0040】
図6Aは、センタ用制御部18の分析処理を表すフローチャートであり、図6Bは、再生順のデータの内容を表す図である。センタ機器4が電源オンの条件で本処理が開始する。開始後ステップb1に移行して、センタ用制御部18は、操作部つまり図4に示す分析メニューからの操作読み込みを行う。次にステップb2に移行して、センタ用制御部18は、画像再生処理か否かを判断する。「否」との判断でステップb11に移行する。画像再生処理であるとの判断でステップb3に移行して、センタ用制御部18は、センタ用記憶部19から乗務員データ(運転者名)、画像データ、Gセンサ出力値、位置データ、時間(時刻)、実空車、車速および音声情報を読み出す。
【0041】
次にステップb4において、センタ用制御部18は、位置データに基づき、図7(b)に示すように車両マークMKを地図上におく。センタ用制御部18は、位置データとリンクした画像データを読み出し、表示部20に表示させる。次にステップb5に移行して、センタ用制御部18は、Gセンサ出力値や車速に基づき、どのようなイベントであったかを認識し、イベントがあった位置にイベント内容を示すマーク(図7(b)参照)を地図上に表示させる。ただしこのイベント内容を示すマークの表示は、地図が主画面25で指定された場合のみである。
【0042】
次にステップb6に移行し、センタ用制御部18は、再生ボタンPb(図7(a)参照)の操作があったか否かを判断する。「否」との判断でステップb3に戻る。操作ありとの判断で、ステップb7に移行する。ここで、センタ用制御部18は、位置データと時刻とに基づき、イベント発生前から車両マークMKを地図上で時刻順に移動させて再生表示させる。またセンタ用制御部18は、その車両マークMKと同期して画像データを再生させる。次にステップb8において、センタ用制御部18は、図7に示すように車両マークMKの移動と同期してGセンサの出力値、車速SPD、音声を再生表示させる。
【0043】
次にステップb9において、センタ用制御部18はイベント数秒前か否かを判断する。「否」との判断でステップb7に戻る。イベント数秒前との判断でステップb10に移行し、センタ用制御部18は、イベント前の時刻に対応させてカウントダウン値(図7(b)における表示27)を個人情報表示エリア上に重畳させて表示させる。イベント時刻に達すると、それを示すマークを表示させる。
【0044】
次にステップb11に移行して、センタ用制御部18は、危険度ランキング(図8、図9参照)か否かを判断する。「否」との判断でステップb13に移行する。危険度ランキングとの判断でステップb12に移行し、センタ用制御部18は、図9に示すように運転者毎の危険度をランキング表示する。次にステップb13に移行し、センタ用制御部18は、図11に示すように実績分析か否かを判断する。「否」との判断でステップb15に移行する。実績分析であるとの判断で、ステップb14に移行する。ここでセンタ用制御部18は、イベント(実車データなど)に基づき、実車時の位置を地図上に表示させる(図11参照)。
【0045】
次にステップb15に移行し、センタ用制御部18は、違反分析か否かを判断する。「否」との判断でステップb17に移行する。違反分析であるとの判断でステップb16に移行し、センタ用制御部18は、図10、図11に示すように、イベント(Gセンサ、車速センサなど)に基づき、イベント発生時の位置を地図上に表示させる。その後、ステップb17に移行して、操作読み込み処理へ戻る。
【0046】
ここでデータが重複していた場合の処理について説明する。
センタ用制御部18は、センタ用記憶部19に既に登録されているCFカード11のデータを読込んだ場合、センタ用記憶部19に新たに登録しないようになっている。具体的に、センタ用制御部18は、CFカード読込時に各データ(画像データ、音声データ、運行データ(実車実績、違反実績))の「車両番号」と「日時」をキーワード(※違反実績は違反項目もキーワードに追加)として検索を行ない、登録されていた場合はセンタ用記憶部19に登録せず、登録されていなければセンタ用記憶部19に登録する。
【0047】
図7は、画像データ再生画面を表す図であり、図7(a)は主画面25と副画面26とを同時に表示させた図、図7(b)は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるとともに、カウントダウンを示す表示27などを表す図である。センタ用制御部18は、一つの表示部20に、主画面25と副画面26とを同時に表示させるものである。副画面26は、主画面25よりも表示領域が小さくなっている。このセンタ用制御部18は、主画面25に車両マークMKを表示させ、副画面26に車両3の周辺画像を表示させる際に、イベントが発生したときの前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させるようになっている。地図が副画面26で指定された場合は、地図が小さくなるため、イベント内容の表示はせず、主画面25で地図が指定された場合のみイベント内容を表示させる。
【0048】
センタ用制御部18は、イベント発生前からカウントダウンを示す表示27を、表示部20に表示させる機能を備えている。図7(b)に示すように、表示部20のうち副画面26付近部には、たとえばイベント発生5秒前を表す「5」が表記され、その後この表示27は順次「4」、「3」、「2」、「1」と秒単位で切替え表示される。これとともに位置情報に対応したイベント内容が地図上に表示される。
【0049】
図8は、危険度ランキングの対象期間の設定画面を表す図である。危険度ランキングとは、運転者を評価点であるポイントの高い順に(悪い順に)並べることと同義である。図9は、危険度ランキング画面を表す図である。表示手段20は、運転情報のうち前記イベントの一つである危険運転情報を、運転者毎にCFカード11から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させる。危険度ランキングの抽出条件は、先ず、対象日、指定期間(開始時、終了日)、月度のいずれか一つの条件で設定される。図8においては、抽出条件として指定期間が選択されている。抽出条件は操作部22によって切替え操作可能になっている。
【0050】
違反項目としては、速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよび衝突レベルに相当するG検知を含む。抽出条件として、違反項目毎の評価点(たとえば1〜10ポイント(G検知のみ1〜100ポイント))の重み付けが設定される。画面起動時は、前回選択されていたポイントで表示され、初期起動時は「G検知」のみ「30」ポイント、その他の項目は「5」ポイントで表示される。
【0051】
危険ポイントは、違反項目の違反回数に違反項目のポイントを乗じ、さらに時間帯毎の係数を乗じて算出した値を表示する。たとえば、速度超過の重みポイント「5」、早朝深夜(係数「2.00」)に5回の速度超過、繁忙時(係数「0.50」)に10回の速度超過を起こした場合の危険ポイントは((5×5)×2.00)+((5×10)×0.50=75ポイントと算出した値を表示する。ここで小数点第1位の数値は四捨五入する。違反を起こした時間が複数の時間帯に該当する場合、該当する時間帯の係数が最も高い値で算出する。違反を起こした時間がどの時間帯にも該当しなかった場合の係数は「1.00」で算出するように定められている。
【0052】
実行回数の項目には、違反回数の合計が表示される。運転傾向の項目には、「最も違反が多かった項目」と「G検知回数」とが表示される。ただしG検知回数は検知した場合のみ表示するようになっている。最も多い違反項目が二件以上存在した場合は、「G検知」、「急ハンドル」、「急ブレーキ」、「急加速」、「速度超過」順に表示する項目を決定する。
【0053】
図10は、違反頻発エリア分析画面を表す図である。図11は、実績エリア分析画面を表す図である。エリア分析の処理は下記の処理方法でエリアを分析する。下記は違反頻発エリアを例にとっているが実績エリアも同様の処理である。簡易モードでの分析処理について説明する。先ず、違反データが良く発生しているメッシュエリア(500m×500m)をデータベースから抽出する。次に、違反データが良く発生しているメッシュエリアの上位50件であって、各メッシュエリアの周辺のメッシュエリアに該当する違反データを、エリア抽出対象データとしてセンタ用記憶部19から抽出する。エリア抽出対象データを1件ずつ次ページの処理フローに基づき候補エリア*1を抽出する。前記候補エリア*1とは、エリア抽出対象データの位置から、分析エリアの半径ほど、北に移動した位置を中心とした円のエリアを意味している。次に、候補エリア内に該当する件数が多い上位20位までの候補エリアを違反頻発エリアと判断し分析画面に表示、展開する。これらの違反分析と実績分析はエリア表示あるいはポイント表示のいずれかが選択可能になっている。
【0054】
図12は、時間帯設定画面を表す図である。表示手段20は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示する機能を有する。設定項目として、時間帯の名称「たとえば、早朝深夜など」を入力可能であり、時間帯の違反原因「たとえば、早朝深夜時に襲う眠気が原因」を入力可能になっている。設定項目として、時間帯の対象となる時間「0〜23時」を選択可能となっている。この時間帯の開始時刻は、環境設定の開始時刻で設定している時刻から表示する。設定項目として、危険度ランキング画面の危険ポイントを算出時の係数として入力可能になっている。設定範囲はたとえば「0.01」〜「9.99」で、デフォルト値は「1.00」となっている。
【0055】
図13は、混雑時の実績エリア帳票を表す図である。センタ用制御部18は、違反頻発エリア(黒色、中抜き円)であって、違反ポイントの地図をプリンタ24に出力させる制御を行う。記録紙には、対象期間として分析した日付期間が表示され、分析した乗務員情報が表示される。また違反頻発エリアの順位と、違反件数とが表示されるようになっている。違反項目分布として、違反頻発エリアの違反項目分布グラフが表示される。分析項目は速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよびG検知などを含む。違反項目分布として、違反頻発エリア内で最も発生した違反項目と発生率とが表示され、最も発生した違反項目が2件以上存在した場合は、「G検知」、「急ハンドル」、「急ブレーキ」、「急加速」、「速度超過」の順に表示する項目を決定する。また違反頻発時刻として、違反頻発エリア内で最も危険であった時刻が表示される。
【0056】
図14は、危険運転指導書を表す図である。センタ用制御部18は、危険運転指導書をプリンタ24に出力させる制御を行う。記録紙には、発生時刻としてG検知した日時が表示され、運転していた乗務員名などが表示される。また画像記録時間の運行情報がグラフで表示される。ここでG検知位置は丸印で表示され、速度超過速度以上で走行していた場合は横線が強調表示される。急加速の違反が発生していた場合は上矢印が表示され、急減速の違反が発生していた場合は下矢印が表示され、そして急ハンドルの違反が発生していた場合は四角が表示される。
【0057】
画像データ再生画面で表示していた画像データが表示され、画像データ再生画面でオプションカメラ6A,6Bの画像も表示されていた場合も表示していた画像データが表示されるようになっている。Gセンサーデータとして、たとえばG検知前4秒、G検知後2秒のX値、Y値がグラフ表示される。走行軌跡として、画像記録時の走行軌跡と違反情報とが地図上に表示される。違反項目の例として速度超過、急加速、急ブレーキ、急ハンドルおよびG検知と、違反回数とが表示される。走行軌跡は30秒間走行した全軌跡が表示されるようになっている。
【0058】
以上説明した運転支援装置によれば、CFカードリーダ23によって読出された運転情報に基づき、イベントが発生したときの、車両3の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両3の周辺画像を当該マークと同期して表示部20aに表示させるので、どこでどのような状況になったのか解析しやすい。したがって分析結果を容易に確認でき、もって運転者の安全運転に寄与できる。
【0059】
表示手段20は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるので、どこでどのような状況になったのか把握し易くなり、一層解析しやすくなる。主画面25に前記車両マークMKを表示させ、前記副画面26に前記車両3の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させる。したがって主画面25に地図を大きく表示出力することができるうえ、イベント内容毎に分けて表示した部分が見やすくなり、描画処理の効率も高めることができる。
【0060】
イベント発生前からカウントダウンを示す表示27を前記表示部20aに表示させるので、所定時間前からイベントが発生する旨認識することができる。イベントが発生する所定時間前で通常画面から切替わりカウントダウン表示されるので、そのカウントダウン表示の表示スペースを常に確保することなく、見やすく解析できる。イベントの1つである危険運転情報を運転者毎にCFカード11から読出すとともに、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させるので、運転者に対し個々に頻度の高い危険運転を解消するように指導ができ、安全運転に寄与できる。
【0061】
運転情報のうちイベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させる管理者は配車を効率よく行うことができる。ある地域を運転した実績のある運転者を優先的に配車することで、その運転者の運転に余裕が生まれ、危険運転を解消できる。よって安全運転に寄与できる。運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させるので、その位置を回避するか注意して運転、または運転指導できる。危険運転情報をまたは実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示できるので、その時間帯でどのくらいの頻度の危険運転情報があるか理解しやすくなる。
【0062】
本実施形態では、センタ側での記録再生になるが、センタだけでなく、車両にあるモニタ(ナビゲーションシステム)で記録再生も可能である。CFカード11に記録された画像やそれに対応した位置を読み出し、自車両にあるナビゲーションシステムの地図を利用して、その地図上に過去の位置をマーク表示するとともに、その位置に対応する周辺画像をマークの移動と同期して、モニタに表示させることも可能である。ただし安全上、自車両が停止しているときのみ、このような再生表示を行うようにする。
【0063】
したがってタクシー向けだけでなく、一般ユーザでも適用可能である。これによって、思い出のある映像を車両で再生できる。CFカードを他のユーザの車両に渡して再生することで、わかり難い道を教えたり、危険な場所を伝えたりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援システムの概略構成を表す図であり、図1(a)はセンタ側の運転支援装置の概略構成を表す図、図1(b)は移動局側の概略構成を表す図である。
【図2】ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。
【図3】センタ機器4の電気的構成を表すブロック図である。
【図4】運転支援システムのメイン画面を表す図である。
【図5】CFカード11からPCのデータ読み込み処理を表すフローチャートである。
【図6A】センタ用制御部18の分析処理を表すフローチャートである。
【図6B】再生順のデータの内容を表す図である。
【図7】画像データ再生画面を表す図であり、図7(a)は主画面25と副画面26とを同時に表示させた図、図7(b)はイベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させるとともに、カウントダウンを示す表示27などを表す図である。
【図8】危険度ランキングの対象期間の設定画面を表す図である。
【図9】危険度ランキング画面を表す図である。
【図10】違反頻発エリア分析画面を表す図である。
【図11】実績エリア分析画面を表す図である。
【図12】時間帯設定画面を表す図である。
【図13】混雑時の実績エリア帳票を表す図である。
【図14】危険運転指導書を表す図である。
【符号の説明】
【0065】
18 センタ用制御部
19 センタ用記憶部
20 表示手段
20a 表示部
23 CFカードリーダ
25 主画面
26 副画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転支援装置において、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる制御手段を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御手段は、1つの表示部に主画面と当該主画面より小さい副画面とを同時に表示させるものであって、前記主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させることを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記記録媒体には、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報が記録され、
前記制御手段は、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項4記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである危険運転情報と運転者情報を基に、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記制御手段は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項10】
過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転情報算出システムにおいて、
入力手段、演算手段および出力手段を含むコンピュータを、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる手段として機能させるための運転情報算出システム。
【請求項1】
過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転支援装置において、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる制御手段を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、イベントが発生したときの位置情報に対応して、当該イベントの内容を地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御手段は、1つの表示部に主画面と当該主画面より小さい副画面とを同時に表示させるものであって、前記主画面に前記車両マークを表示させ、前記副画面に前記車両の周辺画像を表示させる際に、前記位置情報に対応したイベント内容を地図上に表示させることを特徴とする請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記記録媒体には、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報が記録され、
前記制御手段は、前記イベントの発生の前後にわたる運転情報を基に、前記イベントの発生の前後にわたって前記車両マークを地図上に表示させるとともに、前記車両の周辺画像を前記車両マークと同時に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記イベント発生前からカウントダウンを示す表示を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項4記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである危険運転情報と運転者情報を基に、各運転者において頻度の高い危険運転情報の内容を表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転者の実車情報を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記制御手段は、運転情報のうち前記イベントの1つである運転危険情報の内容を、その位置情報に対応させて地図上に表示させることを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記制御手段は、危険運転情報または実車情報を、予め定める時間帯に絞って表示させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の運転支援装置。
【請求項10】
過去の車両に関する運転情報を記録媒体から読出して運転実績を解析する運転情報算出システムにおいて、
入力手段、演算手段および出力手段を含むコンピュータを、
予め定める車両にかかるイベントの発生に従って記録媒体に記録された運転情報を読出す読出手段によって読出された運転情報に基づき、前記イベントの発生に対応した車両の位置情報を示す車両マークを地図上に表示させるとともに、当該位置情報に対応する車両の周辺画像を当該マークと同時に表示部に表示させる手段として機能させるための運転情報算出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【公開番号】特開2007−140616(P2007−140616A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329525(P2005−329525)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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