説明

運転支援装置

【課題】車車間通信によって受信した他車両の自位置に基づいて運転支援を行う運転支援装置において、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行う。
【解決手段】運転支援装置(1)は、自位置を認識する自位置認識システム(300)を有する自車両(100)に搭載され、自車両の周辺に位置する他車両(900)から、他車両が有する自位置認識システム(930)によって認識された他車両自位置を受信し、この受信した他車両自位置に基づいて運転支援を行う運転支援装置であって、他車両が有する自位置認識システムの位置精度の信頼度についての他車両信頼度基準と、自車両が有する自位置認識システムの位置精度の信頼度についての自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かを判定する判定手段(21)と、判定手段による判定結果に応じて、運転支援を行う運転支援手段(22)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車車間通信によって受信した他車両の自位置に基づいて運転支援を行う運転支援装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の運転支援装置として、車車間通信を利用して他車両の自位置を受信し、この他車両の自位置に基づいて、自車両の運転者(ドライバ)に対して、例えば他車両の位置に関する情報提供や、他車両との衝突可能性についての注意喚起などの各種の運転支援を行うものが知られている。例えば特許文献1には、各車両において、自位置認識システムによって認識した自位置の確からしさの指標である自信度を車両間で送受信し、送信車両(他車両)の自信度が、受信車両(自車両)の自信度より高い場合に、自車両の自位置を補正する技術が開示されている。また、例えば特許文献2では、車車間通信により他車両の自位置を受信し、自車両の軌道と他車両の軌道とが交差すると予測される場合に、自車両及び他車両のドライバの通行意思を推測し、この推測した通行意思に応じて情報提供のレベルを設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−178270号公報
【特許文献2】特開2006−82692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような運転支援装置では、他車両が自位置認識システムによって認識した自位置の位置精度が低い場合、例えば他車両が既に通過しており衝突可能性がないにもかかわらず、注意喚起を行ってしまうなど、不要な運転支援を行ってしまい、運転者に違和感を与えてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことが可能な運転支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転支援装置は上記課題を解決するために、自位置を認識する自位置認識システムを有する自車両に搭載され、前記自車両の周辺に位置する他車両から、前記他車両が有する自位置認識システムによって認識された前記他車両の自位置である他車両自位置を受信し、該受信した前記他車両自位置に基づいて運転支援を行う運転支援装置であって、前記他車両が有する前記自位置認識システムの位置精度の信頼度についての基準である他車両信頼度基準と、前記自車両が有する前記自位置認識システムの位置精度の信頼度についての基準である自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、前記運転支援を行う運転支援手段とを備える。
【0007】
本発明の運転支援装置によれば、その動作時には、例えば車車間通信によって他車両自位置が受信され、該受信した他車両自位置に基づいて、例えば他車両の位置に関する情報提供や自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起などの運転支援が運転支援手段によって行われる。自車両及び他車両の各々は、自位置を認識する自位置認識システムを有している。自位置認識システムでは、例えばGPS(Global positioning system)衛星からの電波が受信され、緯度及び経度の組み合わせとして表現される車両の測位位置が取得され、該取得された測位位置に対してマップマッチング処理が行われることで、車両の自位置が認識或いは推定される。
【0008】
本発明では、自位置認識システムは、位置精度の信頼度(即ち、認識した自位置の確からしさ)を、信頼度基準に基づいて算出する。ここで、自車両が有する自位置認識システムの信頼度基準(即ち、自車両信頼度基準)と、他車両が有する自位置認識システムの信頼度基準(即ち、他車両信頼度基準)とは、例えば自位置認識システムの製造メーカやシステムの種類によって、互いに異なる場合や互いに同じ場合がある。
【0009】
本発明では特に、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かが判定手段によって判定され、運転支援手段は、判定手段による判定結果に応じて、運転支援を行う。例えば、運転支援手段は、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであると判定手段によって判定された場合には、位置精度の信頼度に応じて、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供、及び自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行う、一方、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに異なると判定手段によって判定された場合には、他車両と自車両との間の距離が所定の第1基準距離よりも小さいときに、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供を行うが、自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行わない。尚、例えば、運転支援手段は、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであると判定手段によって判定された場合において、他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が低いときには、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供を行うが、自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行わず、一方、他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が高いときには、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供、及び自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行う。
【0010】
ここで、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じである場合には、他車両から受信した他車両自位置は、他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度に応じて、自車両にとって信頼できる。即ち、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じである場合には、他車両から受信した他車両自位置は、他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が高いときには、位置精度が高いと考えられ、他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が低いときには、位置精度が低いと考えられる。一方、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに異なる場合には、他車両から受信した他車両自位置は、仮に他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が高いときであっても、自車両にとって信頼しがたい。即ち、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに異なる場合には、他車両から受信した他車両自位置は、仮に他車両が有する自位置認識システムが算出した位置精度の信頼度が高いときであっても、位置精度が低い場合も考えられる(即ち、必ずしも位置精度が高いとは考えられない)。
【0011】
よって、仮に、何らの対策も施さず、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かによらず一律に、他車両から受信した他車両自位置に基づいて運転支援を行う場合には、受信した他車両自位置の位置精度が低いことに起因して、例えば他車両が既に自車両の前方を通過しており衝突可能性がないにもかかわらず、注意喚起を行ってしまうなど、不要な運転支援を行ってしまい、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
【0012】
しかるに本発明によれば、上述したように、運転支援手段は、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かを判定する判定手段による判定結果に応じて、運転支援を行うので、不要な運転支援を行ってしまうことを低減或いは防止でき、運転者に違和感を殆ど或いは全く与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。
【0013】
以上説明したように、本発明の運転支援装置によれば、運転者に違和感を殆ど或いは全く与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。
【0014】
本発明の運転支援装置の一態様では、前記運転支援手段は、前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された場合には、前記他車両と前記自車両との間の距離が所定の第1基準距離よりも小さいときに、前記運転支援として、前記他車両の位置に関する情報提供を行い、前記自車両と前記他車両との衝突可能性についての注意喚起を行わない。
【0015】
この態様によれば、運転支援手段は、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに異なると判定手段によって判定された場合には、他車両と自車両との間の距離が所定の第1基準距離よりも小さいときに、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供を行うが、自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行わない。一方、運転支援手段は、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであると判定手段によって判定された場合には、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供、及び自車両と他車両との衝突可能性についての注意喚起を行う。
【0016】
よって、運転支援として、自位置の位置精度が低いと考えられる他車両と、自車両との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。言い換えれば、運転支援としての注意喚起を適切に行うことができる。更に、他車両と自車両との間の距離が所定の第1基準距離よりも小さいときに、運転支援として、他車両の位置に関する情報提供が行われるので、自車両に対して所定の第1基準距離よりも接近している可能性のある他車両の位置を自車両の運転者が概ね把握することができる。
【0017】
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記運転支援手段は、前記他車両が複数存在する場合、前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された他車両である異基準他車両の数が所定の基準数よりも大きいときには、前記異基準他車両を前記運転支援の際の対象とせず、前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに同じであると前記判定手段によって判定された他車両である同基準他車両を前記運転支援の際の対象として、前記運転支援を行う。
【0018】
この態様によれば、運転支援として、所定の基準数よりも多い異基準他車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。更に、運転支援として、自位置の位置精度が高いと考えられる他車両(即ち、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであると判定された他車両)と自車両との衝突可能性についての注意喚起を確実に行うことができる。
【0019】
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記運転支援手段は、前記他車両が複数存在する場合、前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された他車両である異基準他車両の数が所定の基準数以下であるときには、前記異基準他車両であって、前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに同じであると前記判定手段によって判定された他車両である同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である他車両を前記運転支援の際の対象とせず、前記異基準他車両であって、前記同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離よりも大きい他車両と、前記同基準他車両とを前記運転支援の際の対象として、前記運転支援を行う。
【0020】
この態様によれば、運転支援として、例えば、自位置の位置精度が低いと考えられる他車両(即ち、異基準他車両)であって、同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である他車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。更に、運転支援として、例えば、自車位置の位置精度が高いと考えられる他車両(即ち、同基準他車両)と自車両との衝突可能性についての注意喚起を確実に行うことができる。ここで特に、同基準他車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起を行うことで、同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である異基準他車両と自車両との衝突を回避することができる。即ち、本発明では、同基準他車両、及び該同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である異基準他車両を1つの他車両群とみなして、位置精度が高いと考えられる同基準他車両の自位置に基づいて運転支援として注意喚起を行うことで、自車両と他車両群に含まれる他車両との衝突を回避することが可能となる。
【0021】
上述した、異基準他車両であって、同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である他車両を運転支援の際の対象としない態様では、前記運転支援手段は、前記運転支援として、前記自車両と前記同基準他車両との衝突可能性についての注意喚起を行うと共に、前記同基準他車両との間の距離が前記所定の第2基準距離よりも大きい他車両の位置に関する情報提供を行ってもよい。
【0022】
この場合には、運転支援として、例えば、自車位置の位置精度が高いと考えられる同基準他車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起を確実に行うことができる。更に、自車両に対して所定の第2基準距離よりも遠くに位置する可能性のある他車両の位置を自車両の運転者が概ね把握することができる。
【0023】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る運転支援装置の運転支援に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】自車両からの距離が所定距離D1以下である他システム車両を対象とする運転支援を説明するための模式図である。
【図4】自車両の周辺に存在する他システム車両が所定数X台以下であると判定された場合の運転支援を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0026】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る運転支援装置について、図1から図4を参照して説明する。
【0027】
先ず、本実施形態に係る運転支援装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、本実施形態に係る運転支援装置1は、自位置認識システム30を有する自車両100に搭載されている。運転支援装置1は、自車両100の周辺に位置する他車両900から、他車両900が有する自位置認識システム930によって認識された他車両900の自位置(以下「他車両自位置」と適宜称する)を受信し、この受信した他車両自位置に基づいて運転支援を行う装置である。運転支援としては、例えば、他車両900の位置に関する情報提供や自車両100と他車両900との衝突可能性についての注意喚起などが行われる。
【0030】
本実施形態に係る運転支援装置1は、車車間通信装置10及び情報処理装置20を備えている。情報処理装置20は、自位置認識システム30に接続されている。
【0031】
車車間通信装置10は、他車両900が備える車車間通信装置910との間で、車両の自位置を含む各種情報を送受信可能な通信装置である。運転支援装置1は、車車間通信装置10によって、他車両900側から他車両自位置を受信する。
【0032】
自位置認識システム30は、自車両100の自位置を認識するシステムである。自位置認識システム30は、例えばGPS衛星からの電波を受信し、緯度及び経度の組み合わせとして表現される自車両100の測位位置を取得し、該取得した測位位置に対してマップマッチング処理を行うことで、自車両100の自位置を認識或いは推定する。マップマッチング処理は、例えば、測位位置と地図データに含まれる道路データとを比較することにより、自車両100が走行している道路を検出し、該道路上に自車両100の自位置を推定する処理である。マップマッチング処理としては、公知のマップマッチング処理を用いることができる。尚、他車両900が有する自位置認識システム930は、他車両900の自位置を認識するシステムであり、自位置認識システム30と概ね同様に、例えばGPS衛星からの電波を受信し、緯度及び経度の組み合わせとして表現される他車両900の測位位置を取得し、該取得した測位位置に対してマップマッチング処理を行うことで、他車両900の自位置を認識或いは推定する。
【0033】
自位置認識システム30は、位置精度の信頼度(即ち、認識した自車両100の自位置の確からしさ)を、自車両信頼度基準に基づいて算出する。尚、他車両900が有する自位置認識システム930は、位置精度の信頼度(即ち、認識した他車両900の自位置の確からしさ)を、他車両信頼度基準に基づいて算出する。
【0034】
情報処理装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えたコンピュータとして構成されており、判定部21及び運転支援部22を備えている。
【0035】
判定部21は、本発明に係る「判定手段」の一例であり、他車両900が有する自位置認識システム930の位置精度の信頼度についての基準である他車両信頼度基準と、自車両100が有する自位置認識システム30の位置精度の信頼度についての基準である自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かを判定する。尚、自車両信頼度基準と他車両信頼度基準とは、例えば自位置認識システムの製造メーカやシステムの種類によって、互いに異なる場合や互いに同じ場合がある。判定部21は、他車両信頼度基準が自車両信頼度基準と同じであると判定できない場合には、他車両信頼度基準が自車両信頼度基準と異なると判定する。
【0036】
運転支援部22は、本発明に係る「運転支援手段」の一例であり、他車両900から車車間通信装置10によって受信した他車両自位置に基づいて、例えば、他車両900の位置に関する情報提供や自車両100と他車両900との衝突可能性についての注意喚起などの運転支援を行う。また、運転支援部20は、判定部21による判定結果に応じて(即ち、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じか否かに応じて)、運転支援を行う。尚、判定部21による判定結果に応じた運転支援部20による運転支援については、図2から図4を参照して後に詳細に説明する。
【0037】
次に、本実施形態に係る運転支援装置の運転支援に係る処理について、図2から図4を参照して説明する。
【0038】
図2は、本実施形態に係る運転支援装置の運転支援に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
尚、以下では、他車両900であって、その自位置認識システム930の信頼度基準(即ち、他車両信頼度基準)が自車両100の自位置認識システム30の自車両信頼度基準と同じ車両を「同システム車両」と適宜称し、他車両900であって、その自位置認識システムの信頼度基準(即ち、他車両信頼度基準)が自車両100の自位置認識システム30の自車両信頼度基準と異なる車両を「他システム車両」と適宜称する。尚、本実施形態に係る「同システム車両」は本発明に係る「同基準他車両」の一例であり、本実施形態に係る「他システム車両」は本発明に係る「異基準他車両」の一例である。
【0040】
図2において、運転支援装置1の動作時には、先ず、自車両100の周辺に同システム車両が存在するか否かが運転支援装置1の情報処理装置20によって判定される(ステップS10)。即ち、先ず、自車両100の周辺に位置する各他車両900について、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かが情報処理装置20の判定部21によって判定される。続いて、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが同じであると判定部21によって判定された他車両900が存在するか否かが情報処理装置20の運転支援部22によって判定される。
【0041】
自車両100の周辺に同システム車両が存在しないと判定された場合には(ステップS10:No)、自車両100からの距離が所定距離D1以下である他システム車両を対象として情報提供が実施される(ステップS60)。尚、所定距離D1は、本発明に係る「第1基準距離」の一例であり、例えば数十m〜数百mの距離として設定される。
【0042】
図3は、自車両からの距離が所定距離D1以下である他システム車両を対象とする運転支援を説明するための模式図である。尚、図3では、自車両100が交差点付近の道路を走行中に、自車両100が走行する道路に交差する道路を他システム車両900Aが走行している様子を示している。
【0043】
即ち、この場合には(ステップS10:No)、図3に示すように、自車両100からの距離が所定距離D1以下である他システム車両900Aの位置に関する情報提供が運転支援部22によって行われる。この際、運転支援部22は、運転支援としての、自車両100と他システム車両900Aとの衝突可能性についての注意喚起を行わない。
【0044】
ここで、他システム車両900Aの他車両信頼度基準と自車両100の自車両信頼度基準とは互いに異なるため、他システム車両900Aから受信する他車両自位置は、仮に他システム車両900Aが有する自位置認識システム930が算出した位置精度の信頼度が高いときであっても、自車両100にとって信頼しがたく、位置精度が低い場合も考えられる。
【0045】
よって、仮に、何らの対策も施さず、他システム車両か同システム車両かによらず(即ち、他車両信頼度基準と自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かによらず)一律に、他車両900から受信した他車両自位置に基づいて運転支援を行う場合には、他システム車両900Aから受信した他車両自位置の位置精度が低いことに起因して、例えば他システム車両900Aと自車両100との衝突可能性がないにもかかわらず、不要な注意喚起を行ってしまい、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
【0046】
しかるに本実施形態では、上述したように、運転支援部22は、運転支援として、自車両100からの距離が所定距離D1以下である他システム車両900Aの位置に関する情報提供を行い、自車両100と他システム車両900Aとの衝突可能性についての注意喚起を行わない(ステップS60)。よって、運転支援として、自位置の位置精度が低いと考えられる他システム車両900Aと、自車両100との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。従って、自車両100の運転者に違和感を与えてしまうことを低減或いは防止できる。更に、自車両100に対して所定距離D1よりも接近している可能性のある他システム車両900Aの位置を自車両100の運転者が概ね把握することができる。
【0047】
図2において、自車両100の周辺に同システム車両が存在すると判定された場合には(ステップS10:Yes)、自車両100の周辺に存在する他システム車両が所定数X台よりも多いか否が運転支援装置1の情報処理装置20によって判定される(ステップS20)。即ち、自車両100の周辺に存在する他車両900のうち、他車両信頼度基準が自車両信頼度基準と互いに異なると判定部21によって判定される他車両900である他システム車両の数が所定数Xよりも多いか否かが情報処理装置20によって判定される。
【0048】
自車両100の周辺に存在する他システム車両が所定数X台(例えば数台など)よりも多いと判定された場合には(ステップS20:Yes)、同システム車両のみを対象として注意喚起が実施される(ステップS30)。即ち、同システム車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起が運転支援部22によって行われ、一方、他システム車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起は行われない。つまり、運転支援部22は、他システム車両を対象とせず、同システム車両のみを対象として注意喚起を行う。
【0049】
よって、所定数X台よりも多い他システム車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。従って、自車両100の運転者に違和感を与えてしまうことを低減或いは防止できる。更に、自位置の位置精度が高いと考えられる同システム車両と自車両との衝突可能性についての注意喚起を確実に行うことができる。
【0050】
一方、自車両100の周辺に存在する他システム車両が所定数X台以下であると判定された場合には(ステップS20:No)、同システム車両との距離が所定距離D2以下である他システム車両が運転支援の際の対象外とされ(ステップS40)、同システム車両について注意喚起が実施され、対象となる他システム車両(即ち、同システム車両と距離が所定距離D2よりも大きい他システム車両)について情報提供が実施される(ステップS50)。尚、所定距離D2は、本発明に係る「第2基準距離」の一例であり、例えば約20〜30mの距離として設定される。
【0051】
図4は、自車両の周辺に存在する他システム車両が所定数X台以下であると判定された場合の運転支援を説明するための模式図である。尚、図4では、自車両100が交差点付近の道路を走行中に、自車両100が走行する道路に交差する道路を他システム車両900A1、900A2、900A3及び同システム車両900Bが走行している様子を示している。
【0052】
図2及び図4において、自車両100の周辺に存在する他システム車両が所定数X台以下であると判定された場合には(ステップS20:No)、同システム車両900Bとの距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1及び900A2が運転支援の際の対象外とされ(ステップS40)、同システム車両900Bについて注意喚起が実施され、対象となる他システム車両900A3(即ち、同システム車両900Bと距離が所定距離D2よりも大きい他システム車両)について情報提供が実施される(ステップS50)。
【0053】
よって、同システム車両900Bとの間の距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1及び900A2(つまり、自位置の位置精度が低いと考えられる他車両)と自車両100との衝突可能性についての注意喚起が不要に行われることを低減或いは防止できる。更に、自車位置の位置精度が高いと考えられる同システム車両900Bと自車両100との衝突可能性についての注意喚起を確実に行うことができる。ここで特に、同システム車両900Bと自車両100との衝突可能性についての注意喚起を行うことで、同システム車両900Bとの間の距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1や900A2と自車両100との衝突を回避することができる。即ち、本実施形態では、同システム車両900B、及びこの同システム車両900Bとの間の距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1及び900A2を1つの他車両群900Gとみなして、位置精度が高いと考えられる同システム車両900Bの自位置に基づいて運転支援として注意喚起を行うことで、自車両100と他車両群900Gに含まれる他車両900B、900A1及び900A2との衝突を回避することが可能となる。
【0054】
本実施形態では、運転支援部22は、同システム車両900Bとの距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1及び900A2を運転支援の際の対象外として、同システム車両900Bと自車両100との衝突可能性についての注意喚起を行う場合には、単に同システム車両900Bと自車両100との衝突可能性についての注意喚起を行う場合(つまり、同システム車両900Bとの間の距離が所定距離D2以下である他システム車両が存在しない場合において同システム車両900Bと自車両100との衝突可能性を注意喚起する通常の場合)と比較して、注意喚起を行うタイミングを早める(つまり、注意喚起を通常の場合よりも早めに行う)。即ち、図4に示すように、運転支援部22は、通常の場合には、同システム車両900Bが図4中の矢印T1で示す位置にまで自車両100に接近したタイミングで注意喚起を行うのに対して、他システム車両900A1及び900A2を運転支援の際の対象外とした場合には、同システム車両900Bが図4中の矢印T2で示す位置(即ち、矢印T1で示す位置よりも自車両100から遠い位置)にまで自車両100に接近したタイミング(つまり、矢印T1で示すタイミングよりも早いタイミング)で注意喚起を行う。これにより、他車両群900Gに含まれる、同システム車両900Bよりも自車両100に近い他システム車両(例えば他システム車両900A1)と、自車両100との衝突をより確実に回避することが可能となる。
【0055】
加えて、同システム車両900Bとの距離が所定距離D2よりも大きい他システム車両900A3について情報提供が実施される(ステップS50)ので、他システム車両900A3の位置を自車両100の運転者が概ね把握することができる。尚、同システム車両900Bとの距離が所定距離D2以下である他システム車両900A1及び900A2についても情報提供が実施されてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置によれば、運転者に違和感を与えることなく、例えば知注意喚起、情報提供等の運転支援を適切に行うことができる。
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う運転支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…運転支援装置、10、910…車車間通信装置、20…情報処理装置、21…判定部、22…運転支援部、30、930…自位置認識システム、100…自車両、900、900A…他車両、900A1、900A2、900A3…他システム車両、900B…同システム車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自位置を認識する自位置認識システムを有する自車両に搭載され、
前記自車両の周辺に位置する他車両から、前記他車両が有する自位置認識システムによって認識された前記他車両の自位置である他車両自位置を受信し、該受信した前記他車両自位置に基づいて運転支援を行う運転支援装置であって、
前記他車両が有する前記自位置認識システムの位置精度の信頼度についての基準である他車両信頼度基準と、前記自車両が有する前記自位置認識システムの位置精度の信頼度についての基準である自車両信頼度基準とが互いに同じであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記運転支援を行う運転支援手段と
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援手段は、前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された場合には、前記他車両と前記自車両との間の距離が所定の第1基準距離よりも小さいときに、前記運転支援として、前記他車両の位置に関する情報提供を行い、前記自車両と前記他車両との衝突可能性についての注意喚起を行わない請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援手段は、
前記他車両が複数存在する場合、
前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された他車両である異基準他車両の数が所定の基準数よりも大きいときには、
前記異基準他車両を前記運転支援の際の対象とせず、
前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに同じであると前記判定手段によって判定された他車両である同基準他車両を前記運転支援の際の対象として、前記運転支援を行う
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援手段は、
前記他車両が複数存在する場合、
前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに異なると前記判定手段によって判定された他車両である異基準他車両の数が所定の基準数以下であるときには、
前記異基準他車両であって、前記複数の他車両のうち前記他車両信頼度基準と前記自車両信頼度基準とが互いに同じであると前記判定手段によって判定された他車両である同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離以下である他車両を前記運転支援の際の対象とせず、
前記異基準他車両であって、前記同基準他車両との間の距離が所定の第2基準距離よりも大きい他車両と、前記同基準他車両とを前記運転支援の際の対象として、前記運転支援を行う
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記運転支援手段は、前記運転支援として、前記自車両と前記同基準他車両との衝突可能性についての注意喚起を行うと共に、前記同基準他車両との間の距離が前記所定の第2基準距離よりも大きい他車両の位置に関する情報提供を行う
請求項4に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−107867(P2011−107867A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260741(P2009−260741)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】