運転者が始動する車両対車両の匿名警告装置
記述的車両対車両警告メッセージを通信するための、運転者始動警告装置が述べられている。本装置は自動車の内部で利用することができて、車両の運転者または乗客からの入力を受信するインタフェースを含むことができる。本装置はまた、車両対車両通信構成要素を含み、この構成要素は、入力の受信に応答して匿名のメッセージを生成し、範囲内にある他の車両に対してその匿名のメッセージをブロードキャストする。この匿名のメッセージには、道路ハザードの場所情報等の、運転者または乗客によって観察されたイベントに関する電子データが埋め込まれている。装置は、そのメッセージの受信に基づいて、近づく任意の危険または他のイベントに関して運転者に警報するか否かを判定することができる。メッセージの中に含まれる場所情報は、それを使用して、有効性に基づいてメッセージをフィルタリングすることができる。メッセージはまた、他の車両に中継されて、移動している自動車の間での情報拡散を最適化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に車両および通信に関するものであり、さらに詳細には、移動している車両の間で、運転者が始動する(運転者始動)電子警告メッセージの通信に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車および他の車両は、車両搭載計算システム、ソフトウェア、および他の関連した技術と一体化するようにますますなってきている。今日の規格自動車のいずれの特徴物も、実質的には、種々の形のコンピュータに依存するようになってきている。コンピュータ制御のエンジンタイミングおよび噴射技術から全地球測位システムおよびナビゲーションシステムに至るまで、自動車は急速に、ソフトウェアシステムおよびハードウェアシステムの集積になってきており、これにより広く変化に富む特徴物を運転者および乗客に提供している。
【0003】
多くの研究が、自動車における運転者支援および自動運転の能力を提供する方向でなされてきた。例えば、自動車の平行駐車や他の同様の状況において運転者の支援を行う、進歩した駐車ガイダンスシステムが浮上してきている。Onstar等の、いくつかの製造業者はまた、事故または自動車衝突の場合に使用する車両搭載救急応答システムを実現している。しかしながら、毎日の運転における自動化した支援による改善に対しては、多くの余地がまだ残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1日の運転の状況をみると、ハザードの状態またはイベント(出来事)がしばしば発生し、その場合には、自動車の運転者側の迅速な応答が要求される。例えば、道路の冠水したエリア、救急車両の存在、または事故は、道路ネットワークの上で急に発生する可能性がある。このようなイベントとこれらイベントのそれぞれの場所に関する警告の通信は、しばしば、警告を受けた運転者側での助けになり、迅速な応答を行い易くするであろう。セルラ電話等のような、ブロードキャストでない通信方法の現在の規格の大部分は、このような使用に対して十分に適してはいない。なぜならば、この場合には一般的に、警告されるべき人のいずれかの種類のアイデンティティ(例えば、電話番号)が必要であり、多くの救急の状況では、これらは容易には得られないからである。更に、警告を受けた車両は、ハザードの状況または危険な状況に遭遇する前に速度の調整または車線を変更する時間が殆どない可能性があるので、携帯電話、無線装置または他の装置を使用することは、過大に長い時間を要することになる。ブロードキャスト技術に対しては識別子が必要ではないが、その場合でも時間および帯域幅に対する制約の問題がある。
【0005】
過去においては、運転者は、重大なイベントまたは対象物の存在場所に関する独立かつ匿名の警告を他の運転者に与えていた。これは、市民バンド(CB)無線等の直接の短距離ブロードキャスト通信、またはヘッドライトを閃光させることにより、やってくる運転者に対して、道路上のハザード(例えば、故障車両または救急車両)の存在を警告していた。しかしながら、これらのタイプの警告は、多くの様式で厳しく限定される。例えば、ヘッドライトを閃光させることでは、イベントの記述、場所、重要性、および他の情報等、ハザードイベントが何物であるかを特定できない。CB無線を使用することにより、運転者はいずれかの口頭の命令を提供することができる。しかしながら、これはしばしば、あまりにも精度が低く、あまりにも時間を消費する割には意味ある利益を得ることができず、さらには扱いにくいものである。さらに、大部分の運転者はCB無線を携行してはおらず、車両の運転中に種々の送信を聴き続けることは望まない。従って、別の手法が必要である。
【0006】
最近、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communications)プロトコルが考案された。これは、自動車で使用するという状況の中での通信に特化して扱うプロトコルである。DSRCは無線RFIDを基本とした技術であり、主として、自動料金収受(automatic toll cllection)の機械等の自動車と道路脇の装置との間の通信に使用される。DSRCはまた、種々の目的に対して自動車間で使用する目的で提案されている。
【0007】
一般的に、道路側の送信装置等の、広範囲な専用の基盤を必要とすることは、通信にとって望ましいことではない。このような装置は恐らくは、空間的に集中していて、道路ネットワークにわたって広がっているということはないであろうと考えられるからである。場所に依存した匿名の情報を、広範囲にわたる基盤を必要とせずに、運転者またはそこにいる他の車両が意図する局所化したエリアの中で迅速に拡散させる方法が必要である。さらに、情報は迅速かつ効率よく拡散し、運転者および自動車のアイデンティティまたは他の専用の情報に関する知識を必要としないことが望ましい。本出願人は、これまでに述べた欠点および必要性ばかりでなく、当該技術分野の中に現在存在する他の欠点および必要性をも含めて認識し、本開示の主題を感得するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、添付した図面の中で、実施例として示すものであり、限定の目的で示すものではない。図面の中では同様の参照は同様の要素を指示している。本開示における実施形態の参照は、必ずしも同一の実施形態を参照するものではなく、この参照は少なくとも1つの実施形態を意味する。具体的な実施形態が議論されるが、これは例示の目的だけで行われていると理解される。関連分野の当業者は、他の構成要素および構成もまた使用することができ、これらは、本発明の範囲および精神から逸脱するものではないと認識するであろう。
【0009】
以下の記述では、多くの具体的な詳細が記載され、本発明の十分な説明が提供される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細を使用せずとも実行可能であるということは、当業者にとって明らかであろう。他の事例においては、本発明を蒙昧にしないために、公知の特徴物は詳細には記述していない。
【0010】
本発明の実施形態は、運転者始動車両対車両警告およびメッセージを提供するための、システム、方法、および装置を提供する。装置は、車両(例えば、自動車)の中で、単独で使用する(スタンドアロンの)設備として、または車両の種々の計算システムと一体化して利用することができる。1つの実施形態においては、装置は、車両の運転者または乗客からの入力を受信するための運転者入力インタフェースを含む。インタフェースは、タッチスクリーン等のグラフィカルユーザインタフェース(GUI:graphical user interface)、押しボタンを基本としたインタフェース、または音声認識を基本としたインタフェース、またはこの技術分野で利用可能な他の任意の型のインタフェースであってってよい。運転者入力インタフェースは、目視で観察可能な、車両の近傍で生じつつあるイベントに関する情報を受信するために使用される。イベントは、車両の運転者、および/またはそのエリアの中にいる他の車両の他の運転者が関心を持つ可能性がある任意のイベントであってよい。例えば、公道のハザードまたは通行止、救急車両、事故、立ち往生している車両運転者、破片、濃密な交通状況、および他の観察可能な状況は、警告装置のインタフェースを使用して記述されるイベントを構成することができる。さらに、イベントはまた、ひき逃げ、アンバーアラート、および連続して場所が変化する他の状況等の、移動するイベントを含むことができる。
【0011】
イベントに関する入力が受信されると、装置の車両対車両通信構成要素は、匿名のメッセージを生成し、そのメッセージを、始動車両の通信範囲の中にある1つ以上の他の車両に対して送信することができる。メッセージはDSRCプロトコルに基づくことができ、そのイベントを記述する埋め込まれた電子データを含むことができる。1つの実施形態においては、メッセージは、車両の全地球測位システム(GPS)および/または地図データベースを調べることにより得られたイベントの具体的な場所情報を含む。GPSシステムはこの技術分野では公知であり、GPSシステムを使用すれば、衛星と通信することにより車両の位置を算出することができる。車両の位置は、運転者/乗客からのいずれかの入力と共に使用して、イベントの具体的な場所を算出することができる。そしてこの場所は受信車両の中で使用され、受信車両に対するイベントの適用可能性に依存して警告を生成することができる。1つの事例として、イベントが道路状態に関するものであって、1つの車線または1つの方向に移動している自動車だけに影響するものである場合には、メッセージは、同一の方向に移動していると考えられる他の車両の中で警告を生成することができる。他の方向にまたは他の車線を移動している受信車両は、メッセージを適用可能でないとして、フィルタによって取り除き、無視することができる。
【0012】
1つの実施形態においては、メッセージは、いずれの送信者、受信者、または車両のアイデンティティに関しても匿名である。これによって運転者が、受信車両へ連絡を取るための情報を知っている、またはそれを入力する必要がなくなる。1つの実施形態においては、メッセージは、受信の保証を必要とせずに複数の自動車に対してブロードキャスト(マルチキャスト)することができる。そして、デジタル場所情報と、メッセージの中に埋め込まれた他の任意のデータとを共に使用してフィルタリングを行い、それぞれの受信車両に対する適用可能性を判定することができる。
【0013】
種々の実施形態においては、受信車両は、自分の通信の範囲の中にある他の車両に対して、メッセージを中継することができる。これにより、警告の有効な範囲は増加する。なぜならば受信車両は、別の車両にメッセージを中継する前に、ある距離を移動することができるからである。従って、始動車両の通信の最大範囲が限定される可能性がある場合でも、警告メッセージは、移動している車両の中継能力によって、その最大値よりも実質的により大きな距離を包含できる可能性がある。例えば、DSRCを使用して、警報している車両の運転者(またはその場の他の占有者)が始動したショートメッセージを、1000メートルまでの範囲内でブロードキャストすることができる。このメッセージを受信しているそれぞれの車両は、メッセージヘッダに依存して、メッセージを無視するか、または近傍にいる他の車両に対して中継することができる。濃密な交通がある状況では、拡散処理が行われる可能性があり、その結果、情報は他の車両に迅速に伝えられることになり、車両対車両通信構成要素自身が持つ範囲を遙かに超えた距離に伝えられる可能性がある。このような通信は車両の中でフィルタリングして、同じメッセージが受信されること、および/または2度処理されることを回避することができる。送信者および受信者の移動の方向に基づいて受信車両の中でメッセージをフィルタリングすることにより、近づいてくる車両に通信を限定するとすれば、メッセージはまた、希薄な密度の交通状況の中でも転送することができる。この状況では、1つの車両は、自分の移動方向とは反対の方向に移動している複数の他の車両に対して連続的に警告することができる。または、警告を受けた車両は、その車両の背後にいて自分と同じ方向に移動している他の車両に、もしそれらの車両が範囲の中にいるならば、警告を伝えることができる。1つの実施形態においては、警告装置は、情報拡散を最適化して、警告メッセージを受信する他の車両の数を最大にするまたは最小にすることができる。またさらには、受信運転者が設定したパラメータに警告を適合させることができる。送信車両および受信車両の両方の中でデジタル地図を使用することにより、警告の中に場所情報を含めることができる。そして、実施形態の中でこの場所情報を使用すれば、送信者および受信者の場所に基づいて、機能および空間的な範囲という点から警告の適用可能性について論理的判定を行うことができる。
【0014】
好適な実施形態に従えば、ハザードの道路状態または救急車両の存在等の、運転者が注目したイベントに関する情報は、同様の装備をした全ての車両にブロードキャストされて、検知したイベントの存在に対する警報を受信装置および運転者に与える。送信された情報は、イベントの場所、および、送信運転者の意図および装置論理に従った他のパラメータを含む。場所情報は、AGORA−C位置参照規格等の地図非依存型の(map−agnostic)様式で送信することもできる。種々の実施形態においては、AGORA−Cは、この分野では地図に基づいたオンザフライ(on−the−fly)位置参照として知られ、機械対機械の場所記述を支持する。
【0015】
移動しているイベントの場合には、送信される情報は、免許プレートおよび記述等の移動している車両に関する情報を含むことができる。さらに、移動しているイベントの場所情報は、時刻、イベントの推定速度および出発場所、他の車両からの入力等に基づいて、動的に変化させることができる。中継処理を使用することにより、移動しているイベントは、法執行当局または他の当局によって遮られるまで、道路上の様々な車両によって追尾することができる。
【0016】
種々の実施形態においては、送信装置は、任意の手段によって運転者の意図に応答する。これらの手段は、状況に対して適切なハードウェアボタンを押すこと、ナビゲーションシステムまたは他の特別な目的の装置の上にあるメニューオプションを選択することを含むが、これらに限定されるものではない。後者の場合には、運転者は、イベントに対する道路の側、運転者の車線またはイベントに対して近づいている車線、または、イベントまたはイベントの場所に関する他の詳細な情報を特定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態においては、種々のイベントはまた、自らが始動するイベントを含むことができ、これは、直接に接している範囲内の他の車両に対して自動的に送信/中継される。例えば、1つの車両の中でエアバッグが展開したことは、高い優先度の警告メッセージを範囲内の全ての車両に対して自動的にブロードキャストするよう警告装置を駆動することができる。それにより、近づいてくる運転者は、生ずる可能性のある事故および傷害に対する警告を受けることができる。
【0018】
1つの実施形態においては、イベントまたは事件の場所は、送信車両の中で得ることができる。これは、車両搭載GPSの場所に整合した車両搭載型のデジタル地図を調べることにより、または道路脇の直線参照マーカ(linear reference marker)を読む装置等の他の自動技術により、または「出口127の1マイル南」等、運転者が観察したものを話す手動の操作によって行われる。送信されるメッセージは、未処理のままで地図に整合した形における場所、および線形参照またはAGORA−C位置参照等の、いくつかの位置参照モードにおける場所を含むことができる。
【0019】
種々の実施形態においては、運転者始動車両対車両通信装置は、メッセージが適用可能であると考えられる場合には、受信車両の運転者に対して警告を発出する警告通知構成要素を更に含むことができる。通信範囲の中にいる警告構成要素を装備した受信車両は、そのメッセージを受信してそのヘッダを読むことができる。そして、その内容と以前に運転者が設定したパラメータに基づいて、イベントの発生とその場所について運転者に警報する、または無視することができる。さらに、メッセージは、範囲の中にいる他の全ての車両に手渡す(中継する)ことができる。1つの実施形態においては、元の送信車両によって、それぞれのメッセージにはユニークな識別子(ID)が与えられ、装備したいずれの車両も、自分が以前に受信しているメッセージであればいずれのメッセージも無視するか、またはそれを更に中継することができる。イベントの発生とその場所との通知は、任意の人間機械インタフェース(HMI)を含むことができ、それらは、表示モニタ、人工音声および/または人工音響、可視地図表示、警報ボタン/信号、および他の通知等である。
【0020】
いくつかの実施形態においては、車両は、メッシュ型ネットワークの中の移動ノードを備えることができ、メッシュ型ネットワークでは、通信を維持するためのいずれの中央サーバも必要ではない。従って、車両は独立したユニットとして機能することができ、様々な道路ハザード、救急事態、および運転者が感知した他のイベントを、互いに警告し合うことができる。しかしながら、いくつかの代替的実施形態においては、警告は、法執行当局または救急支援当局等の種々の中央機関によって集められることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】種々の実施形態による、自動車内部にある運転者始動警告装置の主要部の図である。
【図2】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告装置のシステムレベルの図である。
【図3】種々の実施形態による、運転者始動警告装置を装備した車両が関わる交通状況の俯瞰図である。
【図4】種々の実施形態による、運転者始動警告装置を装備した車両の中継能力を示す交通状況の俯瞰図である。
【図5】種々の実施形態による、より低い交通密度の状況で転送される危険警告メッセージの俯瞰図である。
【図6A】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセットを示す図である。
【図6B】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセットを示す図である。
【図7】種々の実施形態による、運転者始動警告装置に対する可能な主要な車両搭載型のハードウェア構成要素を示す図である。
【図8】種々の実施形態による、装置の種々構成要素間でメッセージ送信の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。
【図9】種々の実施形態による、装置の種々構成要素間でメッセージ受信および中継の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。
【図10】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告を送信および受信するための処理の典型的な論理フローチャートである。
【図11】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告を受信、解析、および中継するための処理の典型的な論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、種々の実施形態に従った、自動車の内部にある運転者始動警告装置の主要部を示す。この図はある特定な構成要素を有するインタフェースを描いているが、このような描写は単に図示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせる、分割する、再配列する、またはインタフェースから完全に除去することも可能であるということが明らかであろう。さらに、インタフェースの中には追加的な構成要素を含むことができて、これらは種々の実施形態の範囲から逸脱するものではないということも当業者には明らかであろう。
【0023】
任意の規格の自動車は、運転者または乗客が観察することができるイベントを記述する入力を受信するためのインタフェース104を装備することができる。インタフェースは制御パネルの上、中央コンソールの上、または車両の内部の他の部分の上に設置することができる。または、規格のGPSスクリーンインタフェースの中に一体化することもできる。この図では、観察されたイベントは折れた木の枝100であり、これは道路を通行止にする、または道路102の上を移動する他の自動車に対して被害を引き起こす可能性がある。従って、インタフェースは、イベントの記述を入力するための手段とメッセージの送信を始動する手段とを提供する。例えば、インタフェース104を使用することにより、ユーザは記述と、道路/車両の側部に関する相対的な場所と、同一の車道を移動している他の運転者に対するイベントの緊急性とを特定することができる。受信車両は、この情報を使用して、運転者に対して道路ハザードに関する警告を自動的に行うことができる。運転者入力を受信するためのインタフェースは、必ずしもグラフィカルインタフェースである必要はなく、他の技術(音声認識等)もまた使用可能であるという点に注意されるべきである。
【0024】
図2は、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告装置をシステムレベルで示したものである。この図では構成要素を論理的に別個のものとして描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせる、または、別個のソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアに分割することが可能であるということは明らかであろう。さらに、このような構成要素は、それらがどのように組み合わされるかまたは分割されるかに拘わらず、同一の計算装置の上で実行することができる、または、1つ以上の適切な通信手段によって接続した異なる計算装置にまたがって分布して実行することもできるということも当業者には明らかであろう。
【0025】
図示されているように、警告装置は車両搭載コンピュータユニット200を含む。車両搭載型のコンピュータ200は1つ以上のプロセッサとコンピュータメモリとを含むことができ、コンピュータメモリは、実施形態の種々の機能を実行するための命令でプログラムされている。例えば、コンピュータは、危険フィルタアプリケーション202とナビゲーションアプリケーション204とを含むことができる。ナビゲーションアプリケーション204は、照会に応答して危険フィルタアプリケーション202に対して場所情報を提供する。危険フィルタアプリケーション202からの照会は、イベントの場所情報を算出するために必要なものが、単に一点の場所であるのか、または空間的な範囲によって規定されるエリアの内部にある道路ネットワークの全ての特徴物であるのかを特定することができる。あるいは、選定する道路ネットワーク特徴物は、照会の中で与えられたパラメータに従って、また部分的には運転者入力インタフェース218の内部にある危険インタフェース220から与えられる運転者入力に応答して、特定することができる。運転者入力インタフェース218はまた、ナビゲーションアプリケーション204に対する他のナビゲーション入力機能を実行することができる。これらは危険インタフェース220の運転者入力よりも上位に位置するものであり、種々の方向のルックアップ、道路交通情報、および関連した他のデータを含むことができる。
【0026】
1つの実施形態においては、ナビゲーションアプリケーション204は、車両搭載地図データベース206を調べ、GPSユニット216からのGPS信号を統合して、場所情報を生成する。そして、場所情報は警告メッセージの中に含めることができる。さらに、受信車両の場所情報を算出することができ、メッセージの中に含まれるイベントの場所情報と比較して、受信車両に対するメッセージの適用可能性を判定することができる。種々の実施形態においては、車両の自分自身の場所および要求されたネットワークの特徴物は、危険フィルタアプリケーション202に提供することができる。これらは、地理的座標、通りアドレス、および線形参照の形で、または他のいずれかの要求された形式で提供することができる。内部のパラメータのセット、および危険インタフェース220を介して提供される運転者入力に基づいて、危険フィルタアプリケーション202は、運転者警告が、警告ユニット208を介して運転者警告インタフェース212にから発出されるべきか否か、そしてまた、警告は、メッセージユニット210および車両対車両通信ユニット214を介して、他の車両に提供されるべきか否かを判定することができる。従って、場所情報は、他の車両に警告するため、また、受信者車両に対する警告の適用可能性を判定するための両方に対して使用することができる。
【0027】
種々の実施形態においては、他の車両に対する警告は、いくつかの要因を考慮に入れることができる。例えば、分割されたハイウェイのそれぞれの側における交通密度情報は、GPS構成要素216またはいずれか他の手段で求めて、それらを考慮することができる。同様に、装置は、特定の危険イベント(例えば、氷が張ったような地点の存在)がハイウェイの片側または両側に対して適用可能であるか否かを判定することができる。好適な実施形態においては、車両対車両通信モードは「ブロードキャスト」であるので、警告は、受信車両の位置に対して選択的でないようにすることができる。しかしながら、十分な情報を警告メッセージの中に含めることができ、これにより、受信者は、ある特定の警告が自分に当てはまるか否かを判定することができる。1つの実施形態においては、車両搭載地図データベース206は十分に詳細であって、これにより豊富なデータを持つメッセージを送信することができる。
【0028】
1つの実施形態においては、メッセージユニット210および車両対車両通信ユニット214は、他の車両との間のメッセージの送信および受信の両方に責任を持つことができる。例えば、車両対車両通信ユニットは、他の車両から中継された警告を受信して、それらを危険フィルタアプリケーション202に伝えることができる。すると、危険フィルタアプリケーションは、警告メッセージの中の情報を解釈し、ナビゲーションアプリケーション204に対して自分の車両に対する現在の場所情報および経路情報を照会し、自分の車両の運転者に対して警告が発出されるべきか、および/または近傍にいる他の車両に中継されるべきかを判定することができる。1つの実施形態においては、この判定は、受信車両の場所と入力メッセージから得たイベントの場所とを比較することにより行うことができる。比較したこれらの場所が何かの様式で論理的に関係していれば(例えば、それらは両方が道路の同じ側である、移動の方向が同じである、等)、警告を発出することができる。同様に、場所情報およびヘッディング情報を使用してメッセージを中継するべきか否かを判定することができる。例えば、メッセージの発出元があまりにも遠くに(または、あまりにも長く)移動してしまっているが、情報拡散によってまだ情報が残っているとすれば、それを中継する必要はもはやない可能性がある。この事例では、車両搭載コンピュータは、入力メッセージを無視すると決定することができる。種々の実施形態においては、メッセージの適用可能性と中継の決定を判定するために使用する要因は、設定可能(configurable)とすることができる。
【0029】
種々の実施形態においては、イベントメッセージは、一度それが送信されると寿命を有する。この寿命は元の送信者とは独立であることが可能である。例えば、メッセージは、交通密度と受信者による自動中継に関わる情況とに依存した形で、そして、装置自身、または運転者によって、またはいずれかの受信者によって設定されたパラメータに従った形で持続することができる。交通が非常に僅かである場合には、メッセージは頻度高く繰り返されることはないであろう。そして、低い優先度のメッセージは、中継受信者がいないために急速に減衰して行くことが予想されるであろう。交通が濃密である場合には、または非常に重要なメッセージ(道路面に氷が張っている等)に対しては、メッセージは長い時間のあいだ持続することができるであろう。この様式では、警告の寿命および適用可能性は、道路上を移動する様々な運転者の嗜好、運転の仕方、および通常取る行動に従って、動的に変化する可能性がある。
【0030】
1つの実施形態においては、運転者始動車両対車両警告装置は移動車両の中で利用され、いずれの専用の道路脇基盤装置も必要とせずに機能することができる。代替的実施形態においては、装置はまた、搭載することができるか、またはある特定な道路脇装置(救急電話ボックス等)の中に一体化することができる。これらの実施形態においては、道路脇装置は、移動しない車両ノードとして本質的に機能することができ、横を通過する他の車両に警告メッセージを中継することができる。例えば、警告装置を有する道路脇の電話ボックスは、動きセンシング技術またはいずれか他の技術に基づいて、通信の範囲の中に入ってくる他の車両にメッセージを中継することができる。
【0031】
図3は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置を装備した車両が関与する交通状況の俯瞰図である。図示されているように、警告装置を装備した車両302は、運転者が観察可能なイベント300に近づいてきた。この描写では、イベントはフリーウェイの右車線の中の一部分に駐車している救急車両300である。従って車両の運転者は、道路上の他の運転者に対してメッセージを始動し、彼らに対して救急車両の存在を警告することができる。
【0032】
更に示すように、始動車両302は、通信を行うある特定の最大範囲304(1000メートル等)を有することができる。従って、車両302の運転者は、全ての方向に警告メッセージをブロードキャストし、警告メッセージはその最大範囲に広って行く。この図の中で描かれている最大範囲304、フリーウェイ、および種々の自動車は、純粋に図示の目的で提供されているものであり、実際の寸法に描かれたものではないという点に注意されるべきである。通信のこの特定の距離は、種々のプロトコルおよび/または嗜好に従って設定することができ、本実施形態はいずれの特定の設定にも限定されるものではないという点は、通常の当業者には明らかであろう。
【0033】
図4は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置を装備した車両の中継能力を示す交通状況の俯瞰図である。図3と同様に、警告装置を装備した車両402が救急車両404に近づいてきた。救急車両404は道路の片側に駐車している、または道路の一方の側を部分的に通行止にしている。図示されているように、車両402の運転者は、他の車両に送信すべく、警告メッセージを始動することができる。従って、車両402は、自分の通信の極近傍範囲の中にいる他の自動車406、408、416、および420に対してメッセージをブロードキャストすることができる。それにより、受信車両のそれぞれは、入力メッセージを他の自動車に中継するか否かの決定を生成することができる。1つの実施形態においては、決定は、受信車両の上で構成したパラメータに基づいて行うことができる。例えば、いくつかの実施形態においては、車両は、ある規定した距離(例えば2000メートル)の範囲内のイベントに対する緊急メッセージだけを選択して中継することができる。また一方で他の車両/実施形態は、ある特定な時間間隔(例えば1時間)より短い寿命を有する全てのメッセージを中継することができる。通常の当業者には明らかであるように、他の多くのこのようなパラメータが可能である。全ての自動車および条件を包含する規格プロトコルを開発することも可能である。
【0034】
図中に示されているように、いくつかの受信車両406、408、410は、メッセージを中継することができる。一方で、他の車両412、414、416、418、420、422、424、426は、中継しないことを決定することができる。1つの実施形態においては、始動車両402の運転者は、そのメッセージに初期には高い優先度を設定することができ、そのメッセージは範囲内にいる他の運転者に中継されるであろう。後にイベントの場所を通過する他の運転者は、救急車両404は道路を離れており、イベントそのものが終了したと知ることができる。この場合には、彼らは、「イベント終了」メッセージを発出することができ、それにより、他の車両の中の警告装置は、優先度を取り除き、中継を終了するよう駆動される。あるいは、イベント寿命を有するいくつかのメッセージタイプを送信することができ、イベント寿命を終えた場合には、元のメッセージは除去されることになる。メッセージを処理する論理は、優先度付与およびイベント寿命および他の全ての処理論理を含み、それらは危険フィルタアプリケーション202(図2に示されている)の中で実施することができる。
【0035】
ここに示したように、本発明を装備した他の車両は、交通密度を利用して警告を中継することができ、それにより、有効範囲400を始動車両(図3に示されている)の元の最大通信範囲304より大きくすることができる。これによって、警告は、中継能力がない場合に可能と考えられる距離よりも大きな距離を移動することが可能になる。しかしながら、図4における中継は、単純化の目的だけで任意に図示されたものであり、必ずしも、メッセージが送信され中継されて行くと考えられる実際の様式を描くものではないという点に注意しなければならない。種々の実施形態においては、メッセージが、それぞれの車両によって具体的にいつどのように、実際に中継または廃棄されるかは、選定した実施形態および/または警告装置の任意の構成に依存するであろう。
【0036】
図5は、種々の実施形態に従った、より低い交通密度の状況で転送される危険警告メッセージの俯瞰図である。この図に示したように、車両500は、車両504とは反対方向に移動しており、従って車両500は、分割されたハイウェイの場合においては危険な状況510の中にはいない。従って車両504は、メッセージを車両506に単に中継するだけであり、車両506は警告を受信する。車両504および506が警告装置を装備していないとすれば、恐らくは車両508は装備している可能性がある。1つの実施形態においては、運転者始動警告装置を装備した全ての車両は、所定の時間間隔の間、またはある時間間隔の間に警告を発出するであろう。後者の時間間隔は、交通密度と装置および/または始動する運転者またはいずれかの受信運転者によって設定されたパラメータとに基づいたアルゴリズムによって決定される時間間隔である。種々の実施形態においては、交通密度情報は、車両のGPSシステム、または近傍にいる他の車両との通信を介して、またはいくつかの他の手段によって得ることができる。メッセージの拡散は、図示されている場合よりも、もっと迂回した形で行うこともできる。しかし大部分の交通密度の条件では、多くの警告は時間とともに他の車両に拡散して行くであろう。
【0037】
図示さているように、希薄な交通状況においてでも、始動車両の最大範囲502は、装備した車両の移動と中継とによって拡大することができる。例えば、中継車両の最大範囲512は、始動車両と比較して、異なるカバレッジを有することができる。従って、中継送信を加えることによって、より大きなエリアが実効的にカバーされることになる。この拡大効果は、車両504が移動している間に、ある時間間隔だけメッセージの中継を遅延させることにより、更に広げることができる。中継する前の、この遅延させる間隔は、車両速度、交通密度および距離、またはいずれか他の様式で規定した要因に基づいて算出することができる。
【0038】
図6Aおよび6Bは、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセット示す。この図は、1つの論理構成におけるメニュー構成要素を描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせること、および、別個のメニューオプションおよび別個のボタンに分割または再配列することが可能であるということが明らかであろう。さらに、追加的な表示オプション、ボタン、および選定のための他の構成要素もまたメニューの中に含めることができるという点もまた明らかであろう。
【0039】
この図は、単純なタッチスクリーンシステムを示しているが、音声作動のシステムもまた可能である。ナビゲーションシステムの表示600(図6A)の上で「警告送信(SEND WARNING)」と書かれたタッチスクリーンのエリア602はサブメニュー(図6B)へと続き、サブメニューには、注目しているイベントの記述、その優先度、およびその場所を入力するための複数のオプション(604、606、608、610、612、614、616、618、620、622、624、626、628、630)がある。例えば、優先度「緊急にする(MAKE URGENT)」604が示されているが、デフォルトの優先度は、緊急でないか、または通常である。ユーザはまた、イベントが生じている道路の側を特定するオプションが与えられ、受信者車両に対する警告の適用可能性をよりよくフィルタリングすることができる。サブメニューの上では、メニューの選択肢の任意の組み合わせを選定することができる。そして「終了(DONE)」なる選択肢に触れると、選定処理を終了して近傍にいる車両にそのメッセージをブロードキャストするであろう。
【0040】
図7は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置に対する可能な主要な車両搭載型のハードウェア構成要素を示す。この図はハードウェア構成要素が論理的に分離されているとして描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせること、または別個のハードウェアに分割することができるということが明らかであろう。
【0041】
種々の実施形態においては、装置のハードウェア構成要素は、GPS受信機702およびアンテナ710、ナビゲーションシステム700等の処理コンピュータ、運転者インタフェース装置、および車両対車両通信装置を含む。運転者インタフェース装置は運転者による入力のため、及び運転者に警告を与えるためのインタフェース(典型的には、図示のような、ナビゲーションシステムの人間機械インタフェース704の一部)であり、車両対車両通信装置は、スタンドアロンのDSRC受信機/送信機706およびアンテナ712として図示されている。さらに、システムは、車両の中の音響出力708装置(オーディオスピーカのセット等)に接続することができる。
【0042】
図8は、種々の実施形態に従った、装置の種々構成要素間でメッセージ送信の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。データの流れは、特定のシーケンスの中で示されているが、この特定の順序に限定されるものではない。データの流れの入力および出力は異なるシーケンスに再配列することができ、これらは本実施形態の範囲の中にある。
【0043】
図示されているように、運転者は、イベントを観察し、イベントの記述、優先度および/または他のパラメータ802を、タッチスクリーンメニュー800を介して警告装置のメモリの中に入力することができる。1つの実施形態においては、危険フィルタアプリケーション804の中のメッセージユニットは、この情報を受信して、これを、GPSシステム808から受信した場所情報810および地図整合プログラム812によって統合したデジタル地図814と合成することができる。この情報を合成することにより生成したイベントメッセージ806は、車両対車両通信ユニット816に送信することができ、車両対車両通信ユニット816は、そのメッセージを近傍にいる他の車両にブロードキャストすることができる。
【0044】
図9は、種々の実施形態に従った、装置の種々構成要素間でメッセージ受信および中継の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。データの流れは、特定のシーケンスの中で示されているが、この特定の順序に限定されるものではない。データの流れの入力および出力は異なるシーケンスに再配列することができ、これらは本実施形態の範囲の中にある。
【0045】
図示されているように、警告システムを装備した車両は、車両対車両通信ユニット900を介してイベントメッセージ902を受信することができる。イベントメッセージ902は、危険フィルタアプリケーション904の中のメッセージユニットに渡されて、そこでイベントメッセージ902の識別子を、車両が以前に受信した他のイベントメッセージのローカルテーブルと比較することができる。1つの実施形態においては、同じメッセージが以前に受信されていた場合には、更なる行動は取られない。メッセージが初めて受信された場合には、危険フィルタアプリケーション904は、入力メッセージパラメータ(場所および優先度を含む)を、受信者車両の自分自身の状況および運転者が設定したパラメータと比較することができる。例えば、危険フィルタアプリケーションは、GPS906から情報とデジタル地図912とを受信することができる。GPS906からの情報は、場所データ908を含み、デジタル地図912は、マッピングアプリケーション910によって整合がとられる。その後、この受信者車両の情報は、入力メッセージの中に埋め込まれた、イベントの場所、優先度、および/または記述と比較される。この比較に基づいて、危険フィルタアプリケーションは、受信車両に対するイベントの適用可能性を判定することができ、運転者警告インタフェース914を通して運転者に警告を発出するよう決定することができる。危険フィルタアプリケーションはまた、車両対車両通信ユニットを介してメッセージを他の運転者に中継するよう決定することができる。さらに、受信車両はまた、タッチスクリーンインタフェースメニュー916を使用することにより、「イベント終了(EVENT OVER)」メッセージ等の新しいメッセージを始動することができる。
【0046】
図10は、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告を送信および受信するための処理の典型的な論理フローチャートである。この図は、図示の目的で、処理に対する特定のシーケンスにおける機能ステップを描いているが、本処理は、この特定の順序またはステップに必ずしも限定されるものではない。当業者は、この図の中に描かれた種々のステップは、変更、省略、再配列することができる、または並行して、または種々の様式に適合させて実行することができると理解するであろう。
【0047】
ステップ1000に示したように、第1の車両の中のユーザから入力を受信することができる。この入力は、特定のイベントを記述することができ、タッチスクリーンまたは他のインタフェースによって入力することができる。ステップ1002において、メッセージが生成され、このメッセージは受信者のアイデンティティに関して匿名である。1つの実施形態においては、メッセージは、送信者、受信者、または他のいずれの車両のいずれのアイデンティティ情報に対しても独立である。メッセージはまた、イベントに関する埋め込まれた電子データを含むことができる。例えば、メッセージは、イベントの場所のデジタルマッピング座標を含むことができる。いったんメッセージが生成されると、そのメッセージは少なくとも1つの受信者車両に送信される。これはステップ1004に示されている。その後に、受信車両は、メッセージを受信する(ステップ1006)ことができ、その第2の車両で、メッセージの中に埋め込まれた電子データに基づいて、メッセージを自動的にフィルタリングすることができる。これはステップ1008に示されている。例えば、受信者車両は、イベントの場所に基づいて、運転者に対して警告を発出するか否かを判定することができる。
【0048】
図11は、種々の実施形態に従った、運転者始動車両対車両警告を受信、解析、および中継するための処理の典型的な論理フローチャートである。この図は、図示の目的で、処理に対する特定のシーケンスにおける機能ステップを描いているが、本処理は、この特定の順序またはステップに必ずしも限定されるものではない。当業者は、この図の中に描かれた種々のステップは、変更、省略、再配列することができる、または並行して、または種々の様式に適合させて実行することができると理解するであろう。
【0049】
図示されているように、処理は、ステップ1100において開始され、ここでは、受信者車両は、別の車両からブロードキャストされた警告メッセージを受信する。1つの実施形態においては、メッセージはDSRCメッセージであり、イベントに関するヘッディングと他の情報とを有する。ステップ1102において、受信する警告装置は、自分が以前に同じ警告を受信しているか否かを判定することができる。1つの実施形態においては、これは、それぞれのメッセージにユニークな識別子を割り当てて、最近受信したメッセージのテーブルをメモリの中に保持することにより達成することができる。このメッセージが以前に受信されて処理されていた場合には、装置はこのメッセージを単純に無視することができる。これはステップ1104に示されている。装置の中継能力によって、同じ車両が同じメッセージを複数回受信することがあり得る。例えば、始動車両と第2の中継車両がともに受信者の通信範囲の中にある場合には、受信者は、最初のメッセージとそのメッセージが中継されたものとの両方を受信するであろう。
【0050】
メッセージが新しい入力メッセージ(すなわち、そのメッセージは以前には受信されていない)である場合には、そのメッセージを処理して、情報を読むことができる。これはステップ1106に示されている。1つの実施形態においては、メッセージの中の情報は、具体的なイベントのマッピング座標を含む。ステップ1108において、警告装置はまた、車両搭載GPSシステムを調べることにより、受信者車両の場所情報を得ることができる。さらに、装置はまた、いずれかの嗜好と使用した構成情報とを検索して、イベントの適用可能性を判定することができる。
【0051】
ステップ1110において、イベントマッピング座標を受信者車両の場所と比較して、イベントがその車両と関係があるか否かを判定することができる。例えば、受信者車両が分割されたフリーウェイの上を移動していて、イベントが、分割されたフリーウェイの他の側だけに影響を与えている道路ハザードである場合には、そのイベントはこの特定の車両には適用可能でない可能性がある。同様に、車両がターンしていて、イベントの場所がまっすぐに前方であれば、そのイベントは当てはまらない可能性がある。いくつかの実施形態においては、イベントが当てはまるか否かの判定には、運転者の嗜好も考慮に入れることができる。例えば、ある特定の運転者は、緊急メッセージの警報を受けることだけを望むとすれば、緊急でない全ての入力メッセージは適用可能でないと考えることができる。
【0052】
従って、ステップ1112において、受信車両に対するイベントの適用可能性を解析することができる。イベントが適用可能である場合には、受信車両の運転者に対して警告を発出することができる。これはステップ1114に示されている。イベントが適用可能でない場合には、処理を続行することができる。
【0053】
ステップ1116および1118において、装置は、メッセージを他のいずれかの車両に中継するか否かを判定することができる。種々の実施形態においては、この判定を行う時には、多数の情報を考慮することができる。例えば、ステップ1116に示したように、装置は、メッセージ優先度、メッセージの寿命、イベントの場所、受信車両とイベントの場所との間の距離、デフォルトの装置の嗜好、以前に受信したいずれかの「イベント終了」メッセージ、および他の情報を考慮することができる。例えば、ある特定のメッセージが、規定された時間間隔(例えば、数時間)より長いあいだ中継され続けていたとすれば、そのメッセージは、古くなっていると考えられて中継されないであろう。同様に、イベントと車両との間の距離が、ある閾値よりも大きい場合には、それは中継されなくともよい。さらに、受信者車両が以前に、異なる車両から「イベント終了」メッセージを受信していた場合には、受信者車両はその最初のメッセージを中継しないと決定する可能性が高いであろう。
【0054】
ステップ1118において、解析の結果でメッセージは中継されるべきであるという
決定が得られた場合には、メッセージは他の車両に中継することができる。これはステップ1120に示されている。1つの実施形態においては、中継は、受信者車両がある特定な時間間隔(例えば、何秒かの間)待ってから、メッセージを再びブロードキャストすることにより行うことができる。1つの実施形態においてはこの時間間隔は、交通密度、車両の現在の速度、および他のパラメータに依存して変化させることができる。例えば、車両が高速度でハイウェイの上を移動している場合には、中継を行う間の待機時間は、ラッシュアウアの交通の中を低速度で移動している車両よりは短くすべきである。
【0055】
上記で記述した種々の実施形態は、コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、記憶媒体であり、この記憶媒体はその上/その中に命令を有する。この命令を使用して、特化した計算プロセッサ/装置をプログラムし、本明細書で提供する任意の特徴物および処理を実行することができる。記憶媒体は、以下のものの内の1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。以下のものとは、フロッピーディスク(登録商標)、光学ディスク、DVD、CD−ROM、マイクロ装置、磁気光学ディスク、ホログラフィ記憶、ROM、RAM、PRAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ装置、磁気または光学カード、ナノシステム(分子メモリICを含む)を含む任意のタイプの物理メディア、紙または紙を基本とした媒体、および、命令および/または情報を記憶するのに適した任意のタイプの媒体または装置である。
【0056】
種々の実施形態はまた、コンピュータプログラムを含む。このコンピュータプログラムは、その全体またはその部分を1つ以上の公衆および/または私用ネットワークを通して送信することができる。この送信は命令を含み、命令は1つ以上のプロセッサによって使用され、本明細書において提供する任意の特徴物を実行することができる。種々の実施形態においては、送信は複数の分離した送信を含むことができる。
【0057】
本開示は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、計算装置および/またはプロセッサの双方のハードウェアを制御するための、また、コンピュータおよび/またはプロセッサが人間ユーザまたは本発明の成果を利用する他のメカニズムとの相互作用を行うことを可能にするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアは、装置ドライバ、オペレーションシステム、実行環境/コンテナ、ユーザインタフェース、およびアプリケーションを含むが、これに限定されるものではない。
【0058】
本発明の好適な実施形態に関するこれまでの記述は、例示と説明の目的で提供されている。これまでの記述は、網羅的であることを意図するものではなく、また本発明を開示された精密な形に限定することを意図するものでもない。多くの変更および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理およびその実際の応用を最もよく説明し、それにより、関連分野の他の当業者が本発明を理解するよう選択されて記述された。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって画定されると意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に車両および通信に関するものであり、さらに詳細には、移動している車両の間で、運転者が始動する(運転者始動)電子警告メッセージの通信に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車および他の車両は、車両搭載計算システム、ソフトウェア、および他の関連した技術と一体化するようにますますなってきている。今日の規格自動車のいずれの特徴物も、実質的には、種々の形のコンピュータに依存するようになってきている。コンピュータ制御のエンジンタイミングおよび噴射技術から全地球測位システムおよびナビゲーションシステムに至るまで、自動車は急速に、ソフトウェアシステムおよびハードウェアシステムの集積になってきており、これにより広く変化に富む特徴物を運転者および乗客に提供している。
【0003】
多くの研究が、自動車における運転者支援および自動運転の能力を提供する方向でなされてきた。例えば、自動車の平行駐車や他の同様の状況において運転者の支援を行う、進歩した駐車ガイダンスシステムが浮上してきている。Onstar等の、いくつかの製造業者はまた、事故または自動車衝突の場合に使用する車両搭載救急応答システムを実現している。しかしながら、毎日の運転における自動化した支援による改善に対しては、多くの余地がまだ残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1日の運転の状況をみると、ハザードの状態またはイベント(出来事)がしばしば発生し、その場合には、自動車の運転者側の迅速な応答が要求される。例えば、道路の冠水したエリア、救急車両の存在、または事故は、道路ネットワークの上で急に発生する可能性がある。このようなイベントとこれらイベントのそれぞれの場所に関する警告の通信は、しばしば、警告を受けた運転者側での助けになり、迅速な応答を行い易くするであろう。セルラ電話等のような、ブロードキャストでない通信方法の現在の規格の大部分は、このような使用に対して十分に適してはいない。なぜならば、この場合には一般的に、警告されるべき人のいずれかの種類のアイデンティティ(例えば、電話番号)が必要であり、多くの救急の状況では、これらは容易には得られないからである。更に、警告を受けた車両は、ハザードの状況または危険な状況に遭遇する前に速度の調整または車線を変更する時間が殆どない可能性があるので、携帯電話、無線装置または他の装置を使用することは、過大に長い時間を要することになる。ブロードキャスト技術に対しては識別子が必要ではないが、その場合でも時間および帯域幅に対する制約の問題がある。
【0005】
過去においては、運転者は、重大なイベントまたは対象物の存在場所に関する独立かつ匿名の警告を他の運転者に与えていた。これは、市民バンド(CB)無線等の直接の短距離ブロードキャスト通信、またはヘッドライトを閃光させることにより、やってくる運転者に対して、道路上のハザード(例えば、故障車両または救急車両)の存在を警告していた。しかしながら、これらのタイプの警告は、多くの様式で厳しく限定される。例えば、ヘッドライトを閃光させることでは、イベントの記述、場所、重要性、および他の情報等、ハザードイベントが何物であるかを特定できない。CB無線を使用することにより、運転者はいずれかの口頭の命令を提供することができる。しかしながら、これはしばしば、あまりにも精度が低く、あまりにも時間を消費する割には意味ある利益を得ることができず、さらには扱いにくいものである。さらに、大部分の運転者はCB無線を携行してはおらず、車両の運転中に種々の送信を聴き続けることは望まない。従って、別の手法が必要である。
【0006】
最近、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communications)プロトコルが考案された。これは、自動車で使用するという状況の中での通信に特化して扱うプロトコルである。DSRCは無線RFIDを基本とした技術であり、主として、自動料金収受(automatic toll cllection)の機械等の自動車と道路脇の装置との間の通信に使用される。DSRCはまた、種々の目的に対して自動車間で使用する目的で提案されている。
【0007】
一般的に、道路側の送信装置等の、広範囲な専用の基盤を必要とすることは、通信にとって望ましいことではない。このような装置は恐らくは、空間的に集中していて、道路ネットワークにわたって広がっているということはないであろうと考えられるからである。場所に依存した匿名の情報を、広範囲にわたる基盤を必要とせずに、運転者またはそこにいる他の車両が意図する局所化したエリアの中で迅速に拡散させる方法が必要である。さらに、情報は迅速かつ効率よく拡散し、運転者および自動車のアイデンティティまたは他の専用の情報に関する知識を必要としないことが望ましい。本出願人は、これまでに述べた欠点および必要性ばかりでなく、当該技術分野の中に現在存在する他の欠点および必要性をも含めて認識し、本開示の主題を感得するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、添付した図面の中で、実施例として示すものであり、限定の目的で示すものではない。図面の中では同様の参照は同様の要素を指示している。本開示における実施形態の参照は、必ずしも同一の実施形態を参照するものではなく、この参照は少なくとも1つの実施形態を意味する。具体的な実施形態が議論されるが、これは例示の目的だけで行われていると理解される。関連分野の当業者は、他の構成要素および構成もまた使用することができ、これらは、本発明の範囲および精神から逸脱するものではないと認識するであろう。
【0009】
以下の記述では、多くの具体的な詳細が記載され、本発明の十分な説明が提供される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細を使用せずとも実行可能であるということは、当業者にとって明らかであろう。他の事例においては、本発明を蒙昧にしないために、公知の特徴物は詳細には記述していない。
【0010】
本発明の実施形態は、運転者始動車両対車両警告およびメッセージを提供するための、システム、方法、および装置を提供する。装置は、車両(例えば、自動車)の中で、単独で使用する(スタンドアロンの)設備として、または車両の種々の計算システムと一体化して利用することができる。1つの実施形態においては、装置は、車両の運転者または乗客からの入力を受信するための運転者入力インタフェースを含む。インタフェースは、タッチスクリーン等のグラフィカルユーザインタフェース(GUI:graphical user interface)、押しボタンを基本としたインタフェース、または音声認識を基本としたインタフェース、またはこの技術分野で利用可能な他の任意の型のインタフェースであってってよい。運転者入力インタフェースは、目視で観察可能な、車両の近傍で生じつつあるイベントに関する情報を受信するために使用される。イベントは、車両の運転者、および/またはそのエリアの中にいる他の車両の他の運転者が関心を持つ可能性がある任意のイベントであってよい。例えば、公道のハザードまたは通行止、救急車両、事故、立ち往生している車両運転者、破片、濃密な交通状況、および他の観察可能な状況は、警告装置のインタフェースを使用して記述されるイベントを構成することができる。さらに、イベントはまた、ひき逃げ、アンバーアラート、および連続して場所が変化する他の状況等の、移動するイベントを含むことができる。
【0011】
イベントに関する入力が受信されると、装置の車両対車両通信構成要素は、匿名のメッセージを生成し、そのメッセージを、始動車両の通信範囲の中にある1つ以上の他の車両に対して送信することができる。メッセージはDSRCプロトコルに基づくことができ、そのイベントを記述する埋め込まれた電子データを含むことができる。1つの実施形態においては、メッセージは、車両の全地球測位システム(GPS)および/または地図データベースを調べることにより得られたイベントの具体的な場所情報を含む。GPSシステムはこの技術分野では公知であり、GPSシステムを使用すれば、衛星と通信することにより車両の位置を算出することができる。車両の位置は、運転者/乗客からのいずれかの入力と共に使用して、イベントの具体的な場所を算出することができる。そしてこの場所は受信車両の中で使用され、受信車両に対するイベントの適用可能性に依存して警告を生成することができる。1つの事例として、イベントが道路状態に関するものであって、1つの車線または1つの方向に移動している自動車だけに影響するものである場合には、メッセージは、同一の方向に移動していると考えられる他の車両の中で警告を生成することができる。他の方向にまたは他の車線を移動している受信車両は、メッセージを適用可能でないとして、フィルタによって取り除き、無視することができる。
【0012】
1つの実施形態においては、メッセージは、いずれの送信者、受信者、または車両のアイデンティティに関しても匿名である。これによって運転者が、受信車両へ連絡を取るための情報を知っている、またはそれを入力する必要がなくなる。1つの実施形態においては、メッセージは、受信の保証を必要とせずに複数の自動車に対してブロードキャスト(マルチキャスト)することができる。そして、デジタル場所情報と、メッセージの中に埋め込まれた他の任意のデータとを共に使用してフィルタリングを行い、それぞれの受信車両に対する適用可能性を判定することができる。
【0013】
種々の実施形態においては、受信車両は、自分の通信の範囲の中にある他の車両に対して、メッセージを中継することができる。これにより、警告の有効な範囲は増加する。なぜならば受信車両は、別の車両にメッセージを中継する前に、ある距離を移動することができるからである。従って、始動車両の通信の最大範囲が限定される可能性がある場合でも、警告メッセージは、移動している車両の中継能力によって、その最大値よりも実質的により大きな距離を包含できる可能性がある。例えば、DSRCを使用して、警報している車両の運転者(またはその場の他の占有者)が始動したショートメッセージを、1000メートルまでの範囲内でブロードキャストすることができる。このメッセージを受信しているそれぞれの車両は、メッセージヘッダに依存して、メッセージを無視するか、または近傍にいる他の車両に対して中継することができる。濃密な交通がある状況では、拡散処理が行われる可能性があり、その結果、情報は他の車両に迅速に伝えられることになり、車両対車両通信構成要素自身が持つ範囲を遙かに超えた距離に伝えられる可能性がある。このような通信は車両の中でフィルタリングして、同じメッセージが受信されること、および/または2度処理されることを回避することができる。送信者および受信者の移動の方向に基づいて受信車両の中でメッセージをフィルタリングすることにより、近づいてくる車両に通信を限定するとすれば、メッセージはまた、希薄な密度の交通状況の中でも転送することができる。この状況では、1つの車両は、自分の移動方向とは反対の方向に移動している複数の他の車両に対して連続的に警告することができる。または、警告を受けた車両は、その車両の背後にいて自分と同じ方向に移動している他の車両に、もしそれらの車両が範囲の中にいるならば、警告を伝えることができる。1つの実施形態においては、警告装置は、情報拡散を最適化して、警告メッセージを受信する他の車両の数を最大にするまたは最小にすることができる。またさらには、受信運転者が設定したパラメータに警告を適合させることができる。送信車両および受信車両の両方の中でデジタル地図を使用することにより、警告の中に場所情報を含めることができる。そして、実施形態の中でこの場所情報を使用すれば、送信者および受信者の場所に基づいて、機能および空間的な範囲という点から警告の適用可能性について論理的判定を行うことができる。
【0014】
好適な実施形態に従えば、ハザードの道路状態または救急車両の存在等の、運転者が注目したイベントに関する情報は、同様の装備をした全ての車両にブロードキャストされて、検知したイベントの存在に対する警報を受信装置および運転者に与える。送信された情報は、イベントの場所、および、送信運転者の意図および装置論理に従った他のパラメータを含む。場所情報は、AGORA−C位置参照規格等の地図非依存型の(map−agnostic)様式で送信することもできる。種々の実施形態においては、AGORA−Cは、この分野では地図に基づいたオンザフライ(on−the−fly)位置参照として知られ、機械対機械の場所記述を支持する。
【0015】
移動しているイベントの場合には、送信される情報は、免許プレートおよび記述等の移動している車両に関する情報を含むことができる。さらに、移動しているイベントの場所情報は、時刻、イベントの推定速度および出発場所、他の車両からの入力等に基づいて、動的に変化させることができる。中継処理を使用することにより、移動しているイベントは、法執行当局または他の当局によって遮られるまで、道路上の様々な車両によって追尾することができる。
【0016】
種々の実施形態においては、送信装置は、任意の手段によって運転者の意図に応答する。これらの手段は、状況に対して適切なハードウェアボタンを押すこと、ナビゲーションシステムまたは他の特別な目的の装置の上にあるメニューオプションを選択することを含むが、これらに限定されるものではない。後者の場合には、運転者は、イベントに対する道路の側、運転者の車線またはイベントに対して近づいている車線、または、イベントまたはイベントの場所に関する他の詳細な情報を特定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態においては、種々のイベントはまた、自らが始動するイベントを含むことができ、これは、直接に接している範囲内の他の車両に対して自動的に送信/中継される。例えば、1つの車両の中でエアバッグが展開したことは、高い優先度の警告メッセージを範囲内の全ての車両に対して自動的にブロードキャストするよう警告装置を駆動することができる。それにより、近づいてくる運転者は、生ずる可能性のある事故および傷害に対する警告を受けることができる。
【0018】
1つの実施形態においては、イベントまたは事件の場所は、送信車両の中で得ることができる。これは、車両搭載GPSの場所に整合した車両搭載型のデジタル地図を調べることにより、または道路脇の直線参照マーカ(linear reference marker)を読む装置等の他の自動技術により、または「出口127の1マイル南」等、運転者が観察したものを話す手動の操作によって行われる。送信されるメッセージは、未処理のままで地図に整合した形における場所、および線形参照またはAGORA−C位置参照等の、いくつかの位置参照モードにおける場所を含むことができる。
【0019】
種々の実施形態においては、運転者始動車両対車両通信装置は、メッセージが適用可能であると考えられる場合には、受信車両の運転者に対して警告を発出する警告通知構成要素を更に含むことができる。通信範囲の中にいる警告構成要素を装備した受信車両は、そのメッセージを受信してそのヘッダを読むことができる。そして、その内容と以前に運転者が設定したパラメータに基づいて、イベントの発生とその場所について運転者に警報する、または無視することができる。さらに、メッセージは、範囲の中にいる他の全ての車両に手渡す(中継する)ことができる。1つの実施形態においては、元の送信車両によって、それぞれのメッセージにはユニークな識別子(ID)が与えられ、装備したいずれの車両も、自分が以前に受信しているメッセージであればいずれのメッセージも無視するか、またはそれを更に中継することができる。イベントの発生とその場所との通知は、任意の人間機械インタフェース(HMI)を含むことができ、それらは、表示モニタ、人工音声および/または人工音響、可視地図表示、警報ボタン/信号、および他の通知等である。
【0020】
いくつかの実施形態においては、車両は、メッシュ型ネットワークの中の移動ノードを備えることができ、メッシュ型ネットワークでは、通信を維持するためのいずれの中央サーバも必要ではない。従って、車両は独立したユニットとして機能することができ、様々な道路ハザード、救急事態、および運転者が感知した他のイベントを、互いに警告し合うことができる。しかしながら、いくつかの代替的実施形態においては、警告は、法執行当局または救急支援当局等の種々の中央機関によって集められることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】種々の実施形態による、自動車内部にある運転者始動警告装置の主要部の図である。
【図2】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告装置のシステムレベルの図である。
【図3】種々の実施形態による、運転者始動警告装置を装備した車両が関わる交通状況の俯瞰図である。
【図4】種々の実施形態による、運転者始動警告装置を装備した車両の中継能力を示す交通状況の俯瞰図である。
【図5】種々の実施形態による、より低い交通密度の状況で転送される危険警告メッセージの俯瞰図である。
【図6A】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセットを示す図である。
【図6B】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセットを示す図である。
【図7】種々の実施形態による、運転者始動警告装置に対する可能な主要な車両搭載型のハードウェア構成要素を示す図である。
【図8】種々の実施形態による、装置の種々構成要素間でメッセージ送信の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。
【図9】種々の実施形態による、装置の種々構成要素間でメッセージ受信および中継の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。
【図10】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告を送信および受信するための処理の典型的な論理フローチャートである。
【図11】種々の実施形態による、運転者始動車両対車両警告を受信、解析、および中継するための処理の典型的な論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、種々の実施形態に従った、自動車の内部にある運転者始動警告装置の主要部を示す。この図はある特定な構成要素を有するインタフェースを描いているが、このような描写は単に図示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせる、分割する、再配列する、またはインタフェースから完全に除去することも可能であるということが明らかであろう。さらに、インタフェースの中には追加的な構成要素を含むことができて、これらは種々の実施形態の範囲から逸脱するものではないということも当業者には明らかであろう。
【0023】
任意の規格の自動車は、運転者または乗客が観察することができるイベントを記述する入力を受信するためのインタフェース104を装備することができる。インタフェースは制御パネルの上、中央コンソールの上、または車両の内部の他の部分の上に設置することができる。または、規格のGPSスクリーンインタフェースの中に一体化することもできる。この図では、観察されたイベントは折れた木の枝100であり、これは道路を通行止にする、または道路102の上を移動する他の自動車に対して被害を引き起こす可能性がある。従って、インタフェースは、イベントの記述を入力するための手段とメッセージの送信を始動する手段とを提供する。例えば、インタフェース104を使用することにより、ユーザは記述と、道路/車両の側部に関する相対的な場所と、同一の車道を移動している他の運転者に対するイベントの緊急性とを特定することができる。受信車両は、この情報を使用して、運転者に対して道路ハザードに関する警告を自動的に行うことができる。運転者入力を受信するためのインタフェースは、必ずしもグラフィカルインタフェースである必要はなく、他の技術(音声認識等)もまた使用可能であるという点に注意されるべきである。
【0024】
図2は、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告装置をシステムレベルで示したものである。この図では構成要素を論理的に別個のものとして描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせる、または、別個のソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアに分割することが可能であるということは明らかであろう。さらに、このような構成要素は、それらがどのように組み合わされるかまたは分割されるかに拘わらず、同一の計算装置の上で実行することができる、または、1つ以上の適切な通信手段によって接続した異なる計算装置にまたがって分布して実行することもできるということも当業者には明らかであろう。
【0025】
図示されているように、警告装置は車両搭載コンピュータユニット200を含む。車両搭載型のコンピュータ200は1つ以上のプロセッサとコンピュータメモリとを含むことができ、コンピュータメモリは、実施形態の種々の機能を実行するための命令でプログラムされている。例えば、コンピュータは、危険フィルタアプリケーション202とナビゲーションアプリケーション204とを含むことができる。ナビゲーションアプリケーション204は、照会に応答して危険フィルタアプリケーション202に対して場所情報を提供する。危険フィルタアプリケーション202からの照会は、イベントの場所情報を算出するために必要なものが、単に一点の場所であるのか、または空間的な範囲によって規定されるエリアの内部にある道路ネットワークの全ての特徴物であるのかを特定することができる。あるいは、選定する道路ネットワーク特徴物は、照会の中で与えられたパラメータに従って、また部分的には運転者入力インタフェース218の内部にある危険インタフェース220から与えられる運転者入力に応答して、特定することができる。運転者入力インタフェース218はまた、ナビゲーションアプリケーション204に対する他のナビゲーション入力機能を実行することができる。これらは危険インタフェース220の運転者入力よりも上位に位置するものであり、種々の方向のルックアップ、道路交通情報、および関連した他のデータを含むことができる。
【0026】
1つの実施形態においては、ナビゲーションアプリケーション204は、車両搭載地図データベース206を調べ、GPSユニット216からのGPS信号を統合して、場所情報を生成する。そして、場所情報は警告メッセージの中に含めることができる。さらに、受信車両の場所情報を算出することができ、メッセージの中に含まれるイベントの場所情報と比較して、受信車両に対するメッセージの適用可能性を判定することができる。種々の実施形態においては、車両の自分自身の場所および要求されたネットワークの特徴物は、危険フィルタアプリケーション202に提供することができる。これらは、地理的座標、通りアドレス、および線形参照の形で、または他のいずれかの要求された形式で提供することができる。内部のパラメータのセット、および危険インタフェース220を介して提供される運転者入力に基づいて、危険フィルタアプリケーション202は、運転者警告が、警告ユニット208を介して運転者警告インタフェース212にから発出されるべきか否か、そしてまた、警告は、メッセージユニット210および車両対車両通信ユニット214を介して、他の車両に提供されるべきか否かを判定することができる。従って、場所情報は、他の車両に警告するため、また、受信者車両に対する警告の適用可能性を判定するための両方に対して使用することができる。
【0027】
種々の実施形態においては、他の車両に対する警告は、いくつかの要因を考慮に入れることができる。例えば、分割されたハイウェイのそれぞれの側における交通密度情報は、GPS構成要素216またはいずれか他の手段で求めて、それらを考慮することができる。同様に、装置は、特定の危険イベント(例えば、氷が張ったような地点の存在)がハイウェイの片側または両側に対して適用可能であるか否かを判定することができる。好適な実施形態においては、車両対車両通信モードは「ブロードキャスト」であるので、警告は、受信車両の位置に対して選択的でないようにすることができる。しかしながら、十分な情報を警告メッセージの中に含めることができ、これにより、受信者は、ある特定の警告が自分に当てはまるか否かを判定することができる。1つの実施形態においては、車両搭載地図データベース206は十分に詳細であって、これにより豊富なデータを持つメッセージを送信することができる。
【0028】
1つの実施形態においては、メッセージユニット210および車両対車両通信ユニット214は、他の車両との間のメッセージの送信および受信の両方に責任を持つことができる。例えば、車両対車両通信ユニットは、他の車両から中継された警告を受信して、それらを危険フィルタアプリケーション202に伝えることができる。すると、危険フィルタアプリケーションは、警告メッセージの中の情報を解釈し、ナビゲーションアプリケーション204に対して自分の車両に対する現在の場所情報および経路情報を照会し、自分の車両の運転者に対して警告が発出されるべきか、および/または近傍にいる他の車両に中継されるべきかを判定することができる。1つの実施形態においては、この判定は、受信車両の場所と入力メッセージから得たイベントの場所とを比較することにより行うことができる。比較したこれらの場所が何かの様式で論理的に関係していれば(例えば、それらは両方が道路の同じ側である、移動の方向が同じである、等)、警告を発出することができる。同様に、場所情報およびヘッディング情報を使用してメッセージを中継するべきか否かを判定することができる。例えば、メッセージの発出元があまりにも遠くに(または、あまりにも長く)移動してしまっているが、情報拡散によってまだ情報が残っているとすれば、それを中継する必要はもはやない可能性がある。この事例では、車両搭載コンピュータは、入力メッセージを無視すると決定することができる。種々の実施形態においては、メッセージの適用可能性と中継の決定を判定するために使用する要因は、設定可能(configurable)とすることができる。
【0029】
種々の実施形態においては、イベントメッセージは、一度それが送信されると寿命を有する。この寿命は元の送信者とは独立であることが可能である。例えば、メッセージは、交通密度と受信者による自動中継に関わる情況とに依存した形で、そして、装置自身、または運転者によって、またはいずれかの受信者によって設定されたパラメータに従った形で持続することができる。交通が非常に僅かである場合には、メッセージは頻度高く繰り返されることはないであろう。そして、低い優先度のメッセージは、中継受信者がいないために急速に減衰して行くことが予想されるであろう。交通が濃密である場合には、または非常に重要なメッセージ(道路面に氷が張っている等)に対しては、メッセージは長い時間のあいだ持続することができるであろう。この様式では、警告の寿命および適用可能性は、道路上を移動する様々な運転者の嗜好、運転の仕方、および通常取る行動に従って、動的に変化する可能性がある。
【0030】
1つの実施形態においては、運転者始動車両対車両警告装置は移動車両の中で利用され、いずれの専用の道路脇基盤装置も必要とせずに機能することができる。代替的実施形態においては、装置はまた、搭載することができるか、またはある特定な道路脇装置(救急電話ボックス等)の中に一体化することができる。これらの実施形態においては、道路脇装置は、移動しない車両ノードとして本質的に機能することができ、横を通過する他の車両に警告メッセージを中継することができる。例えば、警告装置を有する道路脇の電話ボックスは、動きセンシング技術またはいずれか他の技術に基づいて、通信の範囲の中に入ってくる他の車両にメッセージを中継することができる。
【0031】
図3は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置を装備した車両が関与する交通状況の俯瞰図である。図示されているように、警告装置を装備した車両302は、運転者が観察可能なイベント300に近づいてきた。この描写では、イベントはフリーウェイの右車線の中の一部分に駐車している救急車両300である。従って車両の運転者は、道路上の他の運転者に対してメッセージを始動し、彼らに対して救急車両の存在を警告することができる。
【0032】
更に示すように、始動車両302は、通信を行うある特定の最大範囲304(1000メートル等)を有することができる。従って、車両302の運転者は、全ての方向に警告メッセージをブロードキャストし、警告メッセージはその最大範囲に広って行く。この図の中で描かれている最大範囲304、フリーウェイ、および種々の自動車は、純粋に図示の目的で提供されているものであり、実際の寸法に描かれたものではないという点に注意されるべきである。通信のこの特定の距離は、種々のプロトコルおよび/または嗜好に従って設定することができ、本実施形態はいずれの特定の設定にも限定されるものではないという点は、通常の当業者には明らかであろう。
【0033】
図4は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置を装備した車両の中継能力を示す交通状況の俯瞰図である。図3と同様に、警告装置を装備した車両402が救急車両404に近づいてきた。救急車両404は道路の片側に駐車している、または道路の一方の側を部分的に通行止にしている。図示されているように、車両402の運転者は、他の車両に送信すべく、警告メッセージを始動することができる。従って、車両402は、自分の通信の極近傍範囲の中にいる他の自動車406、408、416、および420に対してメッセージをブロードキャストすることができる。それにより、受信車両のそれぞれは、入力メッセージを他の自動車に中継するか否かの決定を生成することができる。1つの実施形態においては、決定は、受信車両の上で構成したパラメータに基づいて行うことができる。例えば、いくつかの実施形態においては、車両は、ある規定した距離(例えば2000メートル)の範囲内のイベントに対する緊急メッセージだけを選択して中継することができる。また一方で他の車両/実施形態は、ある特定な時間間隔(例えば1時間)より短い寿命を有する全てのメッセージを中継することができる。通常の当業者には明らかであるように、他の多くのこのようなパラメータが可能である。全ての自動車および条件を包含する規格プロトコルを開発することも可能である。
【0034】
図中に示されているように、いくつかの受信車両406、408、410は、メッセージを中継することができる。一方で、他の車両412、414、416、418、420、422、424、426は、中継しないことを決定することができる。1つの実施形態においては、始動車両402の運転者は、そのメッセージに初期には高い優先度を設定することができ、そのメッセージは範囲内にいる他の運転者に中継されるであろう。後にイベントの場所を通過する他の運転者は、救急車両404は道路を離れており、イベントそのものが終了したと知ることができる。この場合には、彼らは、「イベント終了」メッセージを発出することができ、それにより、他の車両の中の警告装置は、優先度を取り除き、中継を終了するよう駆動される。あるいは、イベント寿命を有するいくつかのメッセージタイプを送信することができ、イベント寿命を終えた場合には、元のメッセージは除去されることになる。メッセージを処理する論理は、優先度付与およびイベント寿命および他の全ての処理論理を含み、それらは危険フィルタアプリケーション202(図2に示されている)の中で実施することができる。
【0035】
ここに示したように、本発明を装備した他の車両は、交通密度を利用して警告を中継することができ、それにより、有効範囲400を始動車両(図3に示されている)の元の最大通信範囲304より大きくすることができる。これによって、警告は、中継能力がない場合に可能と考えられる距離よりも大きな距離を移動することが可能になる。しかしながら、図4における中継は、単純化の目的だけで任意に図示されたものであり、必ずしも、メッセージが送信され中継されて行くと考えられる実際の様式を描くものではないという点に注意しなければならない。種々の実施形態においては、メッセージが、それぞれの車両によって具体的にいつどのように、実際に中継または廃棄されるかは、選定した実施形態および/または警告装置の任意の構成に依存するであろう。
【0036】
図5は、種々の実施形態に従った、より低い交通密度の状況で転送される危険警告メッセージの俯瞰図である。この図に示したように、車両500は、車両504とは反対方向に移動しており、従って車両500は、分割されたハイウェイの場合においては危険な状況510の中にはいない。従って車両504は、メッセージを車両506に単に中継するだけであり、車両506は警告を受信する。車両504および506が警告装置を装備していないとすれば、恐らくは車両508は装備している可能性がある。1つの実施形態においては、運転者始動警告装置を装備した全ての車両は、所定の時間間隔の間、またはある時間間隔の間に警告を発出するであろう。後者の時間間隔は、交通密度と装置および/または始動する運転者またはいずれかの受信運転者によって設定されたパラメータとに基づいたアルゴリズムによって決定される時間間隔である。種々の実施形態においては、交通密度情報は、車両のGPSシステム、または近傍にいる他の車両との通信を介して、またはいくつかの他の手段によって得ることができる。メッセージの拡散は、図示されている場合よりも、もっと迂回した形で行うこともできる。しかし大部分の交通密度の条件では、多くの警告は時間とともに他の車両に拡散して行くであろう。
【0037】
図示さているように、希薄な交通状況においてでも、始動車両の最大範囲502は、装備した車両の移動と中継とによって拡大することができる。例えば、中継車両の最大範囲512は、始動車両と比較して、異なるカバレッジを有することができる。従って、中継送信を加えることによって、より大きなエリアが実効的にカバーされることになる。この拡大効果は、車両504が移動している間に、ある時間間隔だけメッセージの中継を遅延させることにより、更に広げることができる。中継する前の、この遅延させる間隔は、車両速度、交通密度および距離、またはいずれか他の様式で規定した要因に基づいて算出することができる。
【0038】
図6Aおよび6Bは、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告システムを実施するナビゲーションシステムに対するメニューオプションの可能なセット示す。この図は、1つの論理構成におけるメニュー構成要素を描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせること、および、別個のメニューオプションおよび別個のボタンに分割または再配列することが可能であるということが明らかであろう。さらに、追加的な表示オプション、ボタン、および選定のための他の構成要素もまたメニューの中に含めることができるという点もまた明らかであろう。
【0039】
この図は、単純なタッチスクリーンシステムを示しているが、音声作動のシステムもまた可能である。ナビゲーションシステムの表示600(図6A)の上で「警告送信(SEND WARNING)」と書かれたタッチスクリーンのエリア602はサブメニュー(図6B)へと続き、サブメニューには、注目しているイベントの記述、その優先度、およびその場所を入力するための複数のオプション(604、606、608、610、612、614、616、618、620、622、624、626、628、630)がある。例えば、優先度「緊急にする(MAKE URGENT)」604が示されているが、デフォルトの優先度は、緊急でないか、または通常である。ユーザはまた、イベントが生じている道路の側を特定するオプションが与えられ、受信者車両に対する警告の適用可能性をよりよくフィルタリングすることができる。サブメニューの上では、メニューの選択肢の任意の組み合わせを選定することができる。そして「終了(DONE)」なる選択肢に触れると、選定処理を終了して近傍にいる車両にそのメッセージをブロードキャストするであろう。
【0040】
図7は、種々の実施形態に従った運転者始動警告装置に対する可能な主要な車両搭載型のハードウェア構成要素を示す。この図はハードウェア構成要素が論理的に分離されているとして描いているが、このような描写は単に例示の目的だけである。当業者には、この図の中に描かれている構成要素は、任意に組み合わせること、または別個のハードウェアに分割することができるということが明らかであろう。
【0041】
種々の実施形態においては、装置のハードウェア構成要素は、GPS受信機702およびアンテナ710、ナビゲーションシステム700等の処理コンピュータ、運転者インタフェース装置、および車両対車両通信装置を含む。運転者インタフェース装置は運転者による入力のため、及び運転者に警告を与えるためのインタフェース(典型的には、図示のような、ナビゲーションシステムの人間機械インタフェース704の一部)であり、車両対車両通信装置は、スタンドアロンのDSRC受信機/送信機706およびアンテナ712として図示されている。さらに、システムは、車両の中の音響出力708装置(オーディオスピーカのセット等)に接続することができる。
【0042】
図8は、種々の実施形態に従った、装置の種々構成要素間でメッセージ送信の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。データの流れは、特定のシーケンスの中で示されているが、この特定の順序に限定されるものではない。データの流れの入力および出力は異なるシーケンスに再配列することができ、これらは本実施形態の範囲の中にある。
【0043】
図示されているように、運転者は、イベントを観察し、イベントの記述、優先度および/または他のパラメータ802を、タッチスクリーンメニュー800を介して警告装置のメモリの中に入力することができる。1つの実施形態においては、危険フィルタアプリケーション804の中のメッセージユニットは、この情報を受信して、これを、GPSシステム808から受信した場所情報810および地図整合プログラム812によって統合したデジタル地図814と合成することができる。この情報を合成することにより生成したイベントメッセージ806は、車両対車両通信ユニット816に送信することができ、車両対車両通信ユニット816は、そのメッセージを近傍にいる他の車両にブロードキャストすることができる。
【0044】
図9は、種々の実施形態に従った、装置の種々構成要素間でメッセージ受信および中継の間に行われる入力および出力の流れを示す図である。データの流れは、特定のシーケンスの中で示されているが、この特定の順序に限定されるものではない。データの流れの入力および出力は異なるシーケンスに再配列することができ、これらは本実施形態の範囲の中にある。
【0045】
図示されているように、警告システムを装備した車両は、車両対車両通信ユニット900を介してイベントメッセージ902を受信することができる。イベントメッセージ902は、危険フィルタアプリケーション904の中のメッセージユニットに渡されて、そこでイベントメッセージ902の識別子を、車両が以前に受信した他のイベントメッセージのローカルテーブルと比較することができる。1つの実施形態においては、同じメッセージが以前に受信されていた場合には、更なる行動は取られない。メッセージが初めて受信された場合には、危険フィルタアプリケーション904は、入力メッセージパラメータ(場所および優先度を含む)を、受信者車両の自分自身の状況および運転者が設定したパラメータと比較することができる。例えば、危険フィルタアプリケーションは、GPS906から情報とデジタル地図912とを受信することができる。GPS906からの情報は、場所データ908を含み、デジタル地図912は、マッピングアプリケーション910によって整合がとられる。その後、この受信者車両の情報は、入力メッセージの中に埋め込まれた、イベントの場所、優先度、および/または記述と比較される。この比較に基づいて、危険フィルタアプリケーションは、受信車両に対するイベントの適用可能性を判定することができ、運転者警告インタフェース914を通して運転者に警告を発出するよう決定することができる。危険フィルタアプリケーションはまた、車両対車両通信ユニットを介してメッセージを他の運転者に中継するよう決定することができる。さらに、受信車両はまた、タッチスクリーンインタフェースメニュー916を使用することにより、「イベント終了(EVENT OVER)」メッセージ等の新しいメッセージを始動することができる。
【0046】
図10は、種々の実施形態に従った運転者始動車両対車両警告を送信および受信するための処理の典型的な論理フローチャートである。この図は、図示の目的で、処理に対する特定のシーケンスにおける機能ステップを描いているが、本処理は、この特定の順序またはステップに必ずしも限定されるものではない。当業者は、この図の中に描かれた種々のステップは、変更、省略、再配列することができる、または並行して、または種々の様式に適合させて実行することができると理解するであろう。
【0047】
ステップ1000に示したように、第1の車両の中のユーザから入力を受信することができる。この入力は、特定のイベントを記述することができ、タッチスクリーンまたは他のインタフェースによって入力することができる。ステップ1002において、メッセージが生成され、このメッセージは受信者のアイデンティティに関して匿名である。1つの実施形態においては、メッセージは、送信者、受信者、または他のいずれの車両のいずれのアイデンティティ情報に対しても独立である。メッセージはまた、イベントに関する埋め込まれた電子データを含むことができる。例えば、メッセージは、イベントの場所のデジタルマッピング座標を含むことができる。いったんメッセージが生成されると、そのメッセージは少なくとも1つの受信者車両に送信される。これはステップ1004に示されている。その後に、受信車両は、メッセージを受信する(ステップ1006)ことができ、その第2の車両で、メッセージの中に埋め込まれた電子データに基づいて、メッセージを自動的にフィルタリングすることができる。これはステップ1008に示されている。例えば、受信者車両は、イベントの場所に基づいて、運転者に対して警告を発出するか否かを判定することができる。
【0048】
図11は、種々の実施形態に従った、運転者始動車両対車両警告を受信、解析、および中継するための処理の典型的な論理フローチャートである。この図は、図示の目的で、処理に対する特定のシーケンスにおける機能ステップを描いているが、本処理は、この特定の順序またはステップに必ずしも限定されるものではない。当業者は、この図の中に描かれた種々のステップは、変更、省略、再配列することができる、または並行して、または種々の様式に適合させて実行することができると理解するであろう。
【0049】
図示されているように、処理は、ステップ1100において開始され、ここでは、受信者車両は、別の車両からブロードキャストされた警告メッセージを受信する。1つの実施形態においては、メッセージはDSRCメッセージであり、イベントに関するヘッディングと他の情報とを有する。ステップ1102において、受信する警告装置は、自分が以前に同じ警告を受信しているか否かを判定することができる。1つの実施形態においては、これは、それぞれのメッセージにユニークな識別子を割り当てて、最近受信したメッセージのテーブルをメモリの中に保持することにより達成することができる。このメッセージが以前に受信されて処理されていた場合には、装置はこのメッセージを単純に無視することができる。これはステップ1104に示されている。装置の中継能力によって、同じ車両が同じメッセージを複数回受信することがあり得る。例えば、始動車両と第2の中継車両がともに受信者の通信範囲の中にある場合には、受信者は、最初のメッセージとそのメッセージが中継されたものとの両方を受信するであろう。
【0050】
メッセージが新しい入力メッセージ(すなわち、そのメッセージは以前には受信されていない)である場合には、そのメッセージを処理して、情報を読むことができる。これはステップ1106に示されている。1つの実施形態においては、メッセージの中の情報は、具体的なイベントのマッピング座標を含む。ステップ1108において、警告装置はまた、車両搭載GPSシステムを調べることにより、受信者車両の場所情報を得ることができる。さらに、装置はまた、いずれかの嗜好と使用した構成情報とを検索して、イベントの適用可能性を判定することができる。
【0051】
ステップ1110において、イベントマッピング座標を受信者車両の場所と比較して、イベントがその車両と関係があるか否かを判定することができる。例えば、受信者車両が分割されたフリーウェイの上を移動していて、イベントが、分割されたフリーウェイの他の側だけに影響を与えている道路ハザードである場合には、そのイベントはこの特定の車両には適用可能でない可能性がある。同様に、車両がターンしていて、イベントの場所がまっすぐに前方であれば、そのイベントは当てはまらない可能性がある。いくつかの実施形態においては、イベントが当てはまるか否かの判定には、運転者の嗜好も考慮に入れることができる。例えば、ある特定の運転者は、緊急メッセージの警報を受けることだけを望むとすれば、緊急でない全ての入力メッセージは適用可能でないと考えることができる。
【0052】
従って、ステップ1112において、受信車両に対するイベントの適用可能性を解析することができる。イベントが適用可能である場合には、受信車両の運転者に対して警告を発出することができる。これはステップ1114に示されている。イベントが適用可能でない場合には、処理を続行することができる。
【0053】
ステップ1116および1118において、装置は、メッセージを他のいずれかの車両に中継するか否かを判定することができる。種々の実施形態においては、この判定を行う時には、多数の情報を考慮することができる。例えば、ステップ1116に示したように、装置は、メッセージ優先度、メッセージの寿命、イベントの場所、受信車両とイベントの場所との間の距離、デフォルトの装置の嗜好、以前に受信したいずれかの「イベント終了」メッセージ、および他の情報を考慮することができる。例えば、ある特定のメッセージが、規定された時間間隔(例えば、数時間)より長いあいだ中継され続けていたとすれば、そのメッセージは、古くなっていると考えられて中継されないであろう。同様に、イベントと車両との間の距離が、ある閾値よりも大きい場合には、それは中継されなくともよい。さらに、受信者車両が以前に、異なる車両から「イベント終了」メッセージを受信していた場合には、受信者車両はその最初のメッセージを中継しないと決定する可能性が高いであろう。
【0054】
ステップ1118において、解析の結果でメッセージは中継されるべきであるという
決定が得られた場合には、メッセージは他の車両に中継することができる。これはステップ1120に示されている。1つの実施形態においては、中継は、受信者車両がある特定な時間間隔(例えば、何秒かの間)待ってから、メッセージを再びブロードキャストすることにより行うことができる。1つの実施形態においてはこの時間間隔は、交通密度、車両の現在の速度、および他のパラメータに依存して変化させることができる。例えば、車両が高速度でハイウェイの上を移動している場合には、中継を行う間の待機時間は、ラッシュアウアの交通の中を低速度で移動している車両よりは短くすべきである。
【0055】
上記で記述した種々の実施形態は、コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、記憶媒体であり、この記憶媒体はその上/その中に命令を有する。この命令を使用して、特化した計算プロセッサ/装置をプログラムし、本明細書で提供する任意の特徴物および処理を実行することができる。記憶媒体は、以下のものの内の1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。以下のものとは、フロッピーディスク(登録商標)、光学ディスク、DVD、CD−ROM、マイクロ装置、磁気光学ディスク、ホログラフィ記憶、ROM、RAM、PRAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ装置、磁気または光学カード、ナノシステム(分子メモリICを含む)を含む任意のタイプの物理メディア、紙または紙を基本とした媒体、および、命令および/または情報を記憶するのに適した任意のタイプの媒体または装置である。
【0056】
種々の実施形態はまた、コンピュータプログラムを含む。このコンピュータプログラムは、その全体またはその部分を1つ以上の公衆および/または私用ネットワークを通して送信することができる。この送信は命令を含み、命令は1つ以上のプロセッサによって使用され、本明細書において提供する任意の特徴物を実行することができる。種々の実施形態においては、送信は複数の分離した送信を含むことができる。
【0057】
本開示は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、計算装置および/またはプロセッサの双方のハードウェアを制御するための、また、コンピュータおよび/またはプロセッサが人間ユーザまたは本発明の成果を利用する他のメカニズムとの相互作用を行うことを可能にするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアは、装置ドライバ、オペレーションシステム、実行環境/コンテナ、ユーザインタフェース、およびアプリケーションを含むが、これに限定されるものではない。
【0058】
本発明の好適な実施形態に関するこれまでの記述は、例示と説明の目的で提供されている。これまでの記述は、網羅的であることを意図するものではなく、また本発明を開示された精密な形に限定することを意図するものでもない。多くの変更および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理およびその実際の応用を最もよく説明し、それにより、関連分野の他の当業者が本発明を理解するよう選択されて記述された。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって画定されると意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が始動する車両対車両警告(運転者始動車両対車両警告)を提供する装置であって、前記装置は、
第1の車両の中のユーザからの入力を受信する運転者入力インタフェースと、
前記運転者入力インタフェースから前記入力を受信したことに応答してメッセージを生成し、前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に、前記メッセージを送信する車両対車両通信構成要素と
を備え、前記メッセージは、前記ユーザが観察したイベントに関する埋め込まれた電子データを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記メッセージは、前記第1の車両および前記第2の車両のいずれのアイデンティティ情報に関しても匿名であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の車両の中で利用される全地球測位システムを更に備え、前記全地球測位システムは前記第1の車両の場所を追尾し、前記全地球測位システムが提供する情報は前記メッセージの中に埋め込まれ、前記イベントの場所を特定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記イベントに関する場所情報を記憶する地図データベースを更に備え、前記場所情報は、前記車両対車両通信構成要素によって前記メッセージとともに送信されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記車両対車両通信構成要素によって他の車両から1つ以上の入力メッセージを受信する危険フィルタ構成要素を更に備え、前記危険フィルタ構成要素は、他の車両から受信する前記入力メッセージが前記第1の車両に適用可能であるか否かを、前記入力メッセージの中に埋め込まれた場所情報に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
警告構成要素を更に備え、前記警告構成要素は、他の車両から1つ以上のメッセージを受信し、前記危険フィルタ構成要素によって、前記1つ以上のメッセージが前記第1の車両に適用可能であると判定された場合には、前記受信に応答して前記第1の車両の中の前記ユーザに対して警告を発出することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記車両対車両通信構成要素は、入力メッセージを受信して、前記入力メッセージを1つ以上の他の車両に中継することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記入力メッセージを1つ以上の他の車両に中継するステップは、情報が前記車両対車両通信構成要素の範囲を超える距離にわたって運ばれるよう情報拡散を引き起すことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の車両は、前記第1の車両の前記車両対車両通信構成要素から送信された前記メッセージを受信する第2の車両対車両通信構成要素を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記運転者入力インタフェースは、前記イベントの記述に関する情報を受信するために前記記述の入力手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記イベントは移動しているイベントであって、時間を通して場所またはヘッディングが変化し、前記車両対車両通信構成要素が引き続いて送信するメッセージが、前記イベントに関連する前記場所またはヘッディングを更新することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
運転者始動車両対車両警告を提供するための方法であって、前記方法は、
第1の車両の中のユーザからの入力を受信するステップと、
いずれの送信者または受信者のアイデンティティに関しても匿名のメッセージを生成するステップであって、前記メッセージは、前記第1の車両の近傍内に局在して生じているイベントに関連する埋め込まれた電子データを含むステップと、
前記メッセージを前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に送信するステップと、
前記第2の車両において前記メッセージを受信するステップと、
前記第2の車両において、前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて、前記メッセージを中継するか否かを判定するするステップと、
前記第2の車両から1つ以上のさらなる車両に前記メッセージを中継するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メッセージを中継するステップは、前記メッセージの通信の有効範囲の拡大を引き起こすことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記メッセージを中継するか否かを判定するステップは、
前記メッセージは前記イベントの終了を特定すると判定するステップと、
他の車両への前記メッセージの中継を停止するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージを更に中継するか否かを判定するステップは、
前記メッセージの寿命と、
前記メッセージの優先度と、
前記イベントおよび前記第2の車両の間の距離と
の内の1つ以上に基づいて行うことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記メッセージを1つ以上のさらなる車両へ中継するステップは、
前記メッセージを中継する前に、ある時間間隔のあいだ待機するステップを更に含み、
前記時間間隔は、交通密度、車両速度、および前記イベントと前記第2の車両との間の距離の内の1つ以上に基づくことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記イベントの場所情報を、
全地球測位システム(GPS)と、
ユーザ入力と、
デジタル地図と、
地図参照システムと
の内の少なくとも1つによって得るステップと、
前記メッセージを前記第2の車両に送信する前に、前記メッセージの中に前記場所情報を埋め込むステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記メッセージが前記第2の車両に適用可能であるか否かを、前記埋め込まれた場所情報に基づいて自動的に判定するステップと、
前記メッセージが適用可能であると判定された場合には前記第2の車両の中で警告を生成し、そうでない場合には前記警告を無視するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の車両の中の前記ユーザから前記入力を受信するステップは、
事前設定した分類システムに従って、検知したイベントに対する選定メカニズムを、車両搭載型のインタフェースの上で提供するステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の車両から前記第2の車両への前記メッセージの送信と、
前記第2の車両における前記メッセージの受信と、
前記メッセージの自動フィルタリングと
の内の1つ以上を支配する1組のパラメータを受信するステップを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の車両において前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップは、
前記メッセージが少なくとも1つの第3の車両から以前に受信されているか否かを判定するステップと、
前記メッセージが以前に受信されていると判定された場合には、前記メッセージを無視するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記メッセージが以前に受信されているか否かを判定するステップは、前記メッセージに関連するユニークな識別子に基づいて行われることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
運転者始動車両対車両警告を提供するための1つ以上のシーケンスの命令を持つコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときには、前記1つ以上のプロセッサを、
第1の車両の中のユーザから入力を受信するステップと、
いずれの送信者または受信者のアイデンティティに関しても匿名のメッセージを生成するステップであって、前記メッセージは、前記第1の車両の近傍内に局在して生じているイベントに関連する埋め込まれた電子データを含むステップと、
前記メッセージを前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に送信するステップと、
前記第2の車両において前記メッセージを受信するステップと、
前記第2の車両において、前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップと
を実行するようにすることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
運転者が始動する車両対車両警告(運転者始動車両対車両警告)を提供する装置であって、前記装置は、
第1の車両の中のユーザからの入力を受信する運転者入力インタフェースと、
前記運転者入力インタフェースから前記入力を受信したことに応答してメッセージを生成し、前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に、前記メッセージを送信する車両対車両通信構成要素と
を備え、前記メッセージは、前記ユーザが観察したイベントに関する埋め込まれた電子データを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記メッセージは、前記第1の車両および前記第2の車両のいずれのアイデンティティ情報に関しても匿名であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の車両の中で利用される全地球測位システムを更に備え、前記全地球測位システムは前記第1の車両の場所を追尾し、前記全地球測位システムが提供する情報は前記メッセージの中に埋め込まれ、前記イベントの場所を特定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記イベントに関する場所情報を記憶する地図データベースを更に備え、前記場所情報は、前記車両対車両通信構成要素によって前記メッセージとともに送信されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記車両対車両通信構成要素によって他の車両から1つ以上の入力メッセージを受信する危険フィルタ構成要素を更に備え、前記危険フィルタ構成要素は、他の車両から受信する前記入力メッセージが前記第1の車両に適用可能であるか否かを、前記入力メッセージの中に埋め込まれた場所情報に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
警告構成要素を更に備え、前記警告構成要素は、他の車両から1つ以上のメッセージを受信し、前記危険フィルタ構成要素によって、前記1つ以上のメッセージが前記第1の車両に適用可能であると判定された場合には、前記受信に応答して前記第1の車両の中の前記ユーザに対して警告を発出することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記車両対車両通信構成要素は、入力メッセージを受信して、前記入力メッセージを1つ以上の他の車両に中継することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記入力メッセージを1つ以上の他の車両に中継するステップは、情報が前記車両対車両通信構成要素の範囲を超える距離にわたって運ばれるよう情報拡散を引き起すことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の車両は、前記第1の車両の前記車両対車両通信構成要素から送信された前記メッセージを受信する第2の車両対車両通信構成要素を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記運転者入力インタフェースは、前記イベントの記述に関する情報を受信するために前記記述の入力手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記イベントは移動しているイベントであって、時間を通して場所またはヘッディングが変化し、前記車両対車両通信構成要素が引き続いて送信するメッセージが、前記イベントに関連する前記場所またはヘッディングを更新することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
運転者始動車両対車両警告を提供するための方法であって、前記方法は、
第1の車両の中のユーザからの入力を受信するステップと、
いずれの送信者または受信者のアイデンティティに関しても匿名のメッセージを生成するステップであって、前記メッセージは、前記第1の車両の近傍内に局在して生じているイベントに関連する埋め込まれた電子データを含むステップと、
前記メッセージを前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に送信するステップと、
前記第2の車両において前記メッセージを受信するステップと、
前記第2の車両において、前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて、前記メッセージを中継するか否かを判定するするステップと、
前記第2の車両から1つ以上のさらなる車両に前記メッセージを中継するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メッセージを中継するステップは、前記メッセージの通信の有効範囲の拡大を引き起こすことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記メッセージを中継するか否かを判定するステップは、
前記メッセージは前記イベントの終了を特定すると判定するステップと、
他の車両への前記メッセージの中継を停止するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージを更に中継するか否かを判定するステップは、
前記メッセージの寿命と、
前記メッセージの優先度と、
前記イベントおよび前記第2の車両の間の距離と
の内の1つ以上に基づいて行うことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記メッセージを1つ以上のさらなる車両へ中継するステップは、
前記メッセージを中継する前に、ある時間間隔のあいだ待機するステップを更に含み、
前記時間間隔は、交通密度、車両速度、および前記イベントと前記第2の車両との間の距離の内の1つ以上に基づくことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記イベントの場所情報を、
全地球測位システム(GPS)と、
ユーザ入力と、
デジタル地図と、
地図参照システムと
の内の少なくとも1つによって得るステップと、
前記メッセージを前記第2の車両に送信する前に、前記メッセージの中に前記場所情報を埋め込むステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記メッセージが前記第2の車両に適用可能であるか否かを、前記埋め込まれた場所情報に基づいて自動的に判定するステップと、
前記メッセージが適用可能であると判定された場合には前記第2の車両の中で警告を生成し、そうでない場合には前記警告を無視するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の車両の中の前記ユーザから前記入力を受信するステップは、
事前設定した分類システムに従って、検知したイベントに対する選定メカニズムを、車両搭載型のインタフェースの上で提供するステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の車両から前記第2の車両への前記メッセージの送信と、
前記第2の車両における前記メッセージの受信と、
前記メッセージの自動フィルタリングと
の内の1つ以上を支配する1組のパラメータを受信するステップを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の車両において前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップは、
前記メッセージが少なくとも1つの第3の車両から以前に受信されているか否かを判定するステップと、
前記メッセージが以前に受信されていると判定された場合には、前記メッセージを無視するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記メッセージが以前に受信されているか否かを判定するステップは、前記メッセージに関連するユニークな識別子に基づいて行われることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
運転者始動車両対車両警告を提供するための1つ以上のシーケンスの命令を持つコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときには、前記1つ以上のプロセッサを、
第1の車両の中のユーザから入力を受信するステップと、
いずれの送信者または受信者のアイデンティティに関しても匿名のメッセージを生成するステップであって、前記メッセージは、前記第1の車両の近傍内に局在して生じているイベントに関連する埋め込まれた電子データを含むステップと、
前記メッセージを前記第1の車両から少なくとも1つの第2の車両に送信するステップと、
前記第2の車両において前記メッセージを受信するステップと、
前記第2の車両において、前記メッセージの中に埋め込まれた前記電子データに基づいて前記メッセージを自動的にフィルタリングするステップと
を実行するようにすることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−529226(P2011−529226A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520185(P2011−520185)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051490
【国際公開番号】WO2010/011807
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(507388889)テレ アトラス ノース アメリカ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051490
【国際公開番号】WO2010/011807
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(507388889)テレ アトラス ノース アメリカ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
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