説明

過重量検出システム

【課題】本発明の課題は、ドライバによって車両の走行性能のチェックが行われたことを証明できる過重量検出システムを提供することである。
【解決手段】前記課題は本発明では、中央電子回路が、質量最大値を超えたことの情報と、手動操作可能な確認応答スイッチの確認応答信号とを記憶するためのメモリを有する構成によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用とりわけ商用車用の過重量検出システムを基礎としており、該過重量検出システムは、車両質量を検出するかまたは求めるための検出装置と、求められた車両質量に相応する信号を該検出装置から供給される中央電子回路と、光学的表示部とを備えており、該信号は該中央電子回路において、記憶された質量最大値と比較され、該光学的表示部は、検出された質量値が該質量最大値を超えた場合に、該質量最大値を超えたことを光学的に表示するように駆動制御される。
【背景技術】
【0002】
商用車の過重量は、しばしば発生する問題である。ドライバは車両の過重量状態に気づかないことが多く、とりわけこのことは、自分で積載を行わないかまたは監視しない場合に多い。
【0003】
冒頭に述べた形式の過重量検出システムは公知である。それによって、ドライバは過重量を検出することができるが、自動車の走行性能が心配無用であるか否かを検査して相応に適正に処理したか否かを後で確認することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、冒頭に述べた形式の次のような過重量検出システム、すなわち、ドライバによって車両の走行性能のチェックが行われたことを証明できる過重量検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は本発明では、中央電子回路が、質量最大値を超えたことの情報と、手動操作可能な確認応答スイッチの確認応答信号とを記憶するためのメモリを有する構成によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
このような構成では、メモリを中央電子回路に組み込むか、または別個に配置することができる。
【0007】
その際には車両の質量は、許容可能な全質量と比較され、その結果も、ドライバによって把握したことも記録される。
【0008】
このような構成により、過重量で走行するか否かの決定にドライバが関与していることを常に証明することができ、このことから生じる結果に関して該ドライバに責任を負わせることができる。
【0009】
過重量によって車両に損傷が生じた場合、通常はこのことに関して、自動車製造者に保証請求が生じるが、自動車の不適切な使用が証明されることを理由にこの保証請求を却下することができる。
【0010】
車両質量を検出するかまたは求めるための検出装置は、自動車の軸荷重を検出するためのセンサ系および/または電子的なシャーシコントロールおよび/または電子的なブレーキコントロール(ABS)および/またはトランスミッション制御電子回路とすることができる。
【0011】
中央電子回路に複数の検出装置の情報が供給される場合、これらの情報の冗長性が実現され、ひいては、過重量検出システムの機能の確実性が向上される。
【0012】
過重量による走行の付加的な時間的な対応付けは、メモリへ日付時間検出ユニットから、質量最大値を超えたことの情報の検出の日付時間情報が供給および記憶される構成によって記録される。
【0013】
さらに、メモリへ日付時間検出ユニットから、確認応答信号が検出された日付時間情報を供給して記憶することにより、ドライバが過重量を把握した時点を記録することもできる。
【0014】
記憶されたデータを保護するためには、有利にはメモリは不揮発性メモリとされる。
【0015】
検出された質量値が質量最大値を超えた場合に中央電子回路によって音響的警告信号がトリガされるように構成すると、光学的な情報の他に、ドライバは音響的にも、車両が過重量状態であることが警告される。
【0016】
中央電子回路がタコグラフの一部であるかまたは通行料金支払装置の車載ユニットの一部とする場合、低コストの2重機能が実現される。
【0017】
その他に、タコグラフおよび通行料金支払装置の車載ユニットの乱用保護部も、過重量データの乱用保護に使用される。
【0018】
質量最大値を超えたことの情報または自動車の全質量に関する情報がナビゲーション装置に供給される場合、過重量の情報はナビゲーション装置による区間計算時にも考慮することができる。たとえば、重量制限されている橋が存在する区間を回避することができる。
【0019】
過重量の情報を別の目的に使用する場合、中央電子回路は、質量最大値を超えたことの情報を呼び出すための出力端子を有することができる。ここで有利には、出力端子を介して、質量最大値を超えたことを検出した日付時間情報および/または確認応答信号に関する情報を呼び出すことができる。
【0020】
質量最大値を超えたことの情報および/または質量最大値を超えたことが検出された日付時間情報および/または確認応答信号に関する情報が遠隔通信ユニットに供給されて該遠隔通信ユニットによって呼び出される場合、これらの情報は、当該自動車が所属する輸送車両群を有する輸送会社運営者の中央局によって呼び出され、輸送車両群の運営計画作成で使用することができる。
【0021】
さらに、たとえば貨物輸送庁(BAG)等の官庁がこのような情報を呼び出し、過重量状態の走行時には干渉することができる。このことは、走行時に監視車両によって行うこともできる。
【0022】
過重量を伴う走行による危険性を低減するためには、質量最大値を超えたことの情報が機関制御電子回路および/またはトランスミッション制御電子回路へ供給され、該機関制御電子回路によって、自動車の駆動系統を速度制限および/または出力低減で駆動制御し、また、トランスミッション制御電子回路によってトランスミッションを低速段に制限付きで切り換えられるように駆動制御することができる。
【0023】
このことは、緊急時走行モードでなお走行するが、車両の始動を阻止することができ、走行を低速段でのみ行えることである。
【0024】
過重量情報を使用する別の手段に、質量最大値を超えたことの情報をシャーシコントロールへ供給し、該シャーシコントロールによってダンパ制御および/または車高コントロールを駆動制御する手段がある。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に示し、以下において詳細に説明する。図面の唯一の図は、過重量検出システムのブロック回路図である。
【0026】
自動車の中央電子回路1は、不揮発性メモリと日付時間検出ユニットとを有する。
【0027】
さらに、中央電子回路1に速度センサ4から、その時点の走行速度に相応する速度信号が供給される。
【0028】
確認応答スイッチ6を有する操作フィールド5から、確認応答信号が中央電子回路1へ供給される。
【0029】
中央電子回路1には自動車の質量最大値が記憶されている。この質量最大値は固定的に記憶することができ、また、操作フィールド5を介して、許可された人が該質量最大値を入力することができるように構成することもできる。
【0030】
シャーシコントロール14はセンサ系3から信号を受け取り、該信号から車両質量信号が生成され、中央電子回路へ供給される。
【0031】
シャーシコントロール14の情報に応じて実際の車両質量が検出された後、中央電子回路1においてこの質量値が、記憶された質量最大値と比較される。
【0032】
この質量値が質量最大値を超えた場合、この差は中央電子回路1の不揮発性メモリに記憶される。それと同時に、日付時間検出ユニットによって生成されたデータもこの不揮発性メモリに記憶される。このような構成の場合、速度センサ4に速度信号が発生した場合、過重量状態の車両の実際の走行時間も検出および記憶する。
【0033】
質量最大値を超える質量値も日付時間データも、光学的な表示部に供給されて表示される。
【0034】
ここでドライバが自動車を運転したい場合、まず確認応答スイッチ6を操作しなければならない。その際に生成された確認応答スイッチは中央電子回路1へ供給され、ここで、関連の日付時間データとともに不揮発性のタイムメモリに記憶される。
【0035】
さらに確認応答信号が、質量最大値を超える質量値が表示部7において表示されるのをトリガし、ドライバはこの値を読み取り、自動車が過重量であることを知ることができる。
【0036】
質量最大値を超える質量値に相応する信号は中央電子回路1から車両制御ユニット8へ供給され、該車両制御ユニットは、これによって影響された信号を機関制御電子回路9およびトランスミッション制御電子回路10へ供給する。
【0037】
このことにより、機関制御電子回路9によって駆動制御されるエンジン11は、最大で自動車の制限された走行速度までしか駆動制御できないか、または緊急時走行モードでしか駆動制御できなくなり、かつ、トランスミッション制御電子回路10によって駆動制御されるトランスミッション12は1段または2段にしかシフトすることができなくなる。
【0038】
さらに、質量最大値を超える質量値に相応する信号が、中央電子回路1から遠隔通信ユニット13へ供給される。
【0039】
相応の情報を遠隔通信ユニット13によって呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】過重量検出システムのブロック回路図である。
【符号の説明】
【0041】
1 中央電子回路
3 センサ系
4 速度センサ
5 操作フィールド
6 確認応答スイッチ
7 光学的表示部
8 車両制御ユニット
9 機関制御電子回路
10 トランスミッション制御電子回路
11 エンジン
12 トランスミッション
13 遠隔通信ユニット
14 シャーシコントロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の過重量検出システムであって、
とりわけ商用車用の過重量検出システムであり、
車両質量を検出するかまたは求めるための検出装置と、求められた該車両質量に相応する信号が該検出装置から供給される中央電子回路と、光学的な表示部とを備えており、
該信号は該中央電子回路において、記憶された質量最大値と比較され、
検出された質量値が該質量最大値を超える場合、該質量最大値を超えたことを光学的に表示するために駆動制御されるように構成されている形式のものにおいて、
該中央電子回路(1)は、該質量最大値を超えたことの情報と、手動操作可能な確認応答スイッチ(6)の確認応答信号とを記憶するためのメモリを備えていることを特徴とする、過重量検出システム。
【請求項2】
前記車両質量を検出するかまたは求めるための前記検出装置は、前記自動車の軸荷重を検出するためのセンサ系および/または電子的なシャーシコントロール(14)および/または電子的なブレーキコントロール(ABS)および/またはトランスミッション制御電子回路(10)である、請求項1記載の過重量検出システム。
【請求項3】
前記メモリへ日付時間検出ユニットから、前記質量最大値を超えたことの情報の検出の日付時間情報が供給および記憶されるように構成されている、請求項1または2記載の過重量検出システム。
【請求項4】
前記メモリへ前記日付時間検出ユニットから、前記確認応答信号が検出された日付時間情報が供給および記憶されるように構成されている、請求項3記載の過重量検出システム。
【請求項5】
前記メモリは不揮発性メモリである、請求項1から4までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項6】
検出された質量値が前記質量最大値を超えた場合、前記中央電子回路(1)によって音響的な警告信号がトリガされるように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項7】
前記中央電子回路は、タコグラフの一部であるか、または通行料金支払装置の車載ユニットの一部である、請求項1から6までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項8】
前記質量最大値を超えたことの情報はナビゲーション装置へ供給される、請求項1から7までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項9】
前記自動車の全質量に関する情報がナビゲーション装置へ供給される、請求項1から8までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項10】
前記中央電子回路(1)は出力端子を有し、
該出力端子を介して、前記質量最大値を超えたことの情報を呼び出すことができるように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項11】
前記出力端子を介して、前記質量最大値を超えたことの検出の日付時間情報および/または前記確認応答信号に関する情報を呼び出すことができるように構成されている、請求項10記載の過重量検出システム。
【請求項12】
前記質量最大値を超えたことの情報および/または前記質量最大値を超えたことの検出の日付時間情報および/または前記確認応答信号に関する情報は遠隔通信ユニット(13)へ供給され、該遠隔通信ユニット(13)によって呼び出せるように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の過重量検出システム。
【請求項13】
前記質量最大値を超えたことの情報が機関制御電子回路(9)および/またはトランスミッション制御電子回路(10)へ供給され、該機関制御電子回路(9)によって、前記自動車の駆動系統が速度制限および/または出力低減で駆動制御され、該トランスミッション制御電子回路(10)によってトランスミッションが低速段に制限付きで切り換えられるように駆動制御される、請求項10または11記載の過重量検出システム。
【請求項14】
前記質量最大値を超えたことの情報はシャーシコントロール(14)へ供給され、該シャーシコントロール(14)によってダンパ制御部および/または車高コントロールが駆動制御される、請求項10または11記載の過重量検出システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−203253(P2008−203253A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17618(P2008−17618)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(508029952)ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】