説明

遠心力の付加を用いた食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品の成分改質方法及びその装置。

【課題】遠心力を応用し、身近な日用品・食料品に対する、生活環境による好みに合わせた改質改善(刺激臭の低減または香味の強化・改善、苦味のマスキング、熟成促進など)を、飲食直前または使用直前で、無添加・無発振にして簡便かつ短時間に、しかも衛生的に行う改質方法及びその装置の提供。
【解決手段】対象材料(食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品などの製品または原材料)を、市販形態直接または小分け処理専用容器での保持を可能とする可動式3点支持固定部付き回転板10と、それを支える回転板支持部11と、それらを任意の速度にて回転させるモーター駆動部12と、作動時間の設定に関連して、その達成を報知させるとともに前記モーター駆動部を停止させる制御部13を具え、前記可動式3点支持固定部付回転板上に固定載置される前記対象材料に対し、回転による遠心力を付加させて、水分子の水和作用に働きかける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の内外液及び各種の水溶液において、その水分子による反応(多くの物質に特異的に付加したり、反応したりする性質)に働きかける成分改質方法とその装置に関するものである。
【0002】
具体的には、水の係る反応のうち、特には水和による、水溶液中で極性分子または化合物に水分子が付加することで誘発される反応の、“分子の性質が変化する”、“別種の化合物が生じる”などを利用しての、食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などの、製品または原材料における成分を改質、(刺激臭の低減または香味の強化・改善、苦味のマスキング、熟成促進 など)その材料の効果を向上させる方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、上記の技術分野としては、超音波・磁場・電場・遠赤外線 などの発振装置(水溶液にエネルギーを印加することで水分子の細分化を図り水和作用を促進させる機能)を用いての、酒類・酢・醤油 などへの熟成促進の方法が知られているが、しかし、いずれの方法にしても専用的であり、産業分野での使用が主目的とされていることから、特に一般に向けての汎用性は乏しい。
【0004】
発振装置を用いた酒類・酢・醤油 などへの熟成促進法において、例えば特許文献例Aの以下等は、貯蔵タンク内へ挿入または設置により、製造工程において対象溶液に直接作用して改質を計る提案の、タンク内接触式である。
文献例A
(実用新案第2577631)
(特許公開平8−116959)
(特許公開2005−117977)
【0005】
また、例えば特許文献例Bの以下等は、ポンプを用いた管路よりの移動過程により、製造工程において対象溶液に直接作用して改質を計る提案の、還流接触式である。
文献例B
(特許公開2001−186870)
(特許公開2004−73056)
【0006】
また、例えば特許文献例Cの以下等は、プレートまたはBOX形状等の載置スペースにより、瓶詰め後の完成品において対象溶液に間接的に作用して改質を計る提案の、非接触式である。
文献例C
(特許公開平8−252)
(特許公開2007−319132)
【0007】
これら発振装置例の活用法において、「特許文献例A・B」では、処理体を対象溶液中へ配置または管路よりの移動過程により直接働きかける等、衛生面に問題を残す産業的製造業向けの特注品である。また若干一般への趣きのある物「特許文献例C」も含まれるものの、処理時間が極端に長い(超音波1〜2ヶ月・磁場30分〜120分:容器外印加)に加えて他溶液との混合処理(水割り・カクテル・調味料の調合 など)への考慮は一切なく、例えば市販酒類を飲む直前で好みの調合調製を施すような工夫はなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などにおいて、より効果的な製品を製造するために、希少で高価な物質や添加剤を使用する等の方法も考えられているが、安価な製品を製造する為にはコスト的な課題が生じる。また、より安価で有効性の高い物質の探求もいろいろな方面で行なわれているが、簡単にこのような物質を見つけることが出来ない事は言うまでもない。
【0009】
また、このような従来の産業的技術やその効果を一般にても使用可能な程度にまで汎用化することができれば、多くの分野で画期的な新規産業の創出につながると期待されるが、これもまた、簡単にそのような技術を構築することが出来ない事は言うまでもない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、身近な日用品・食料品 などへの生活環境による好みに合わせた改質改善を、飲食直前または使用直前にて、無添加・無発振にして簡便かつ短時間に、しかも衛生上からも良好に設定され、更には保持可能サイズであれば、その材質(磁器・瓶・缶・ポリ・紙 など)・形状(○・△・□・軟性物・生鮮物直接 など)を一切問わずに施行できる、食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 など製品または原材料への、改質の促進方法とその装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本開発の技術的手段は、対象材料(食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などの製品または原材料)入り容器を固定載置し得る3点支持固定部付き回転板(10)と、それを支える回転板支持部(11)と、それらを任意の速度にて回転させるモーター駆動部(12)と、作動時間の設定に関連して、その達成を報知させると伴に前記モーター駆動部を停止させる制御部(13)を具え、前記対象材料に回転による遠心力を付加することにより成分の改質改善を促進させる構成とした。
【0012】
本発明において、飲食直前または使用直前の好みに合わせた改質及び調合調製とは、1分程度の処理時間にて、無添加・無発振にして簡便かつ衛生的に、前記対象材料の単独及び複数種処理または必要に応じた混合処理(水割り・カクテル・調味料の調合 など)を含めた改質改善の実施を言う。これにより、飲食直前または使用直前において、手順が複雑になることがなく、また、処理時間が少なくても、刺激臭の低減または香味の強化・改善、苦味のマスキング、熟成促進などの成分の改質または品質の向上が図られる。
【0013】
遠心力の付加により、刺激臭の低減または香味の強化・改善、苦味のマスキング、熟成促進 などの成分の改質及び品質の向上が図られる理由は以下のように考えられる。
対象材料の主要成分および水も含めた副成分が、相互作用を起こすことでその材料の感じ方を変化させる。一般に水溶液中で、対象材料の溶質分子あるいはイオンがその周辺に数個の水分子を引き付けて結合し、分子の集団化を作る などの現象が生じている。そこへ上記の遠心力を付加することで分子間力を断ち切り、単分子の自由運動が促されることにより、上記現象から誘発される反応の、“分子の性質が変化する”、“別種の化合物が生じる”などをより促進させるように働き、その変化によって成分の改質または向上が生じると考えられる。
また上記の現象には、Van der Waals力・水素結合力・イオン双極子間力・疎水性総合力などが総合的に複雑に関与している。
【0014】
例えばアルール分子の例では、COHと表現される構造を有し、水酸基(−OH)が分子の端にくっついていて(C:炭素原子)、このアルコール水酸基がむき出しに近い状態(醸造時)で酒に含まれていると、舌先にピリッとする刺激を与えると言われている。従って、この水酸基に近い空間を単独の水分子で埋めた状態(醸造後数十年)の酒が円やかな舌ざわりを与えると言われているが、通常、クラスター(2個以上の分子が弱い力で集合したもの)を形成している水分子の魂は大き過ぎてアルコール水酸基の周りへは入り込めない(密着できない)。
このような水分子がクラスター状態のとき、遠心力の付加によって分子間力を断ち切り、水の単分子がよりアルコール水酸基を取り囲み易いように自由運動が促されることにより、刺激を低減させ円やかさを与える などの改質効果を生じると考えられる。
【0015】
そして、必要に応じ、付加する遠心力の回転速度を100rpm以上、望ましくは350rpm以内とする構成とした。 これにより、より改質効果が向上させられる。
遠心力の発生強度が100rpmに満たないと、エネルギーが弱すぎるために期待する効果が得られない。一方、350rpmを越えると、エネルギーが強すぎるために材料本来のバランスを崩すと言う不具合を生じる。
【0016】
また、必要に応じ、上記付加遠心力の作動時間を10sec以上、望ましくは180sec以内とする構成とした。 これにより、より改質効果が向上させられる。
遠心力の発生時間が10secに満たないと、エネルギーが弱すぎて十分な効果が発揮できないために、期待する効果が得られない。
一方、180secを超えると、エネルギーが過多となって改質のメリットが減少または消失してしまう。
【0017】
この処理方法の特徴として、有効成分の濃度(添加量)を変えることなく、水分子由来の作用に働きかける事での前記対象材料への有効性を高める事を可能にすると伴に、その操作が衛生上最適な非接触の環境下で行なえることである。
刺激臭の低減または香味の強化・改善、苦味のマスキング、熟成促進 などを、回転による遠心力の付加により実行する。
【0018】
また、各材料に付加される遠心力の強度(回転速度・作動時間)で反応のコントロールを容易に行なうことができ、その調製は各材料の質と処理目的に合わせて選択される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の遠心力成分改質促進装置によれば、簡単な構造で水分子の細分化による水和作用の促進に働きかけることができ、手順が複雑になることがなく、また、処理時間が少なくても、以下のような効果を奏することができる。
【0020】
(1)身近な日用品・食料品 などへの生活環境による好みに合わせた改質改善を、飲食直前または使用直前にて、無添加・無発振にして簡便に、しかも衛生上からも良好に設定され、更には保持可能なサイズであれば、その材質(磁器・瓶・缶・ポリ・紙 など)・形状(○・△・□・軟性物・生鮮物直接 など)を一切問わずに行なわせることを可能とする。
【0021】
(2)酒類・調味料 などを飲食直前に、好みに合わせて単独処理(熟成促進)または必要に応じた混合処理(水割り・カクテル・調味料の調合 など)を含めた改質改善を単一操作にて同時に行なわせることを可能とする。
【0022】
(3)特に飲料水を含めた健康食品への関心が高まりつつあることや、比較的容易に多方面の要求仕様に合った物作りができること、また従来の発振装置または添加物を不要とした水分子由来の作用を利用するので安全性の面でも問題がないと思われる等より、実用化への期待は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以上のような効果を奏することができる遠心力成分改質促進装置は、図1のブロック図に示すように構成され、対象材料(食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などの製品または原材料)入り容器101を固定載置し得る可動式3点支持固定部102と、それを支える回転板支持部103と、それらを任意の速度にて回転させるモーター駆動部104と、その達成を知らせる報知部106と、それに連動して動作を停止させる制御部107とを具えた、ものである。
【実施例】
【0024】
装置の形態は目的によって大小様々(容量及びACまたはDC電源 など)に考えられるが、今回、100cc〜4,000cc容量対応の可動式3点支持固定部付きAC駆動型機種を対照として述べる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図2は本発明の実施例を示す遠心力の付加を用いた成分改質促進装置の全体構成図、図3・図4はその使用方法を示す模式図である。
【0027】
これらの図2・図3において、10は可動式3点支持固定部付回転板、11は回転板を支える支持部、12はそれらを任意の速度にて回転させる駆動部、13は作動時間の設定に関連してその達成を報知するとともに前記駆動部を停止させるタイマー制御部、14は予め設定された保持開閉サイズφ3cm〜15cm(ドリンク瓶〜4l瓶対応)内での任意の固定を容易とさせる固定部開閉調節レバー、15は12によって定められた速度を表す回転計、16は電源ON−OFFスイッチを示す。
【0028】
また図3の3aは10上に小分け処理容器を固定載置した例、3bは更にその容器内へ複数類の対象材料(製品市販形態の瓶・缶)を挿入載置した例、3cは製品市販形態(4lボトル)を直接固定載置した例、である。
【0029】
このような機能を有する遠心力成分改質促進装置の使用方法について、図3・4を参照して説明する。
【0030】
まず、図4の4a状に閉じた3点支持固定部を、固定部開閉調節レバー14を引いて、図4の4b状に開かせ、速やかに対象回転容器を挿入して保持レバーを開放することにより、図3の3a状(小分け処理専用容器の固定載置例)または3c状(製品市販形態4lボトルの固定載置例)に挟み込んで固定する。
【0031】
小分け処理を選択の場合には、固定載置された小分け処理専用容器へ製品市販形態よりその必要量を注ぎ込むことにより対象材料をセットする。
【0032】
また、複数類での同時処理を選択の場合には、固定載置された小分け処理専用容器または一般容器内へ複数類の材料(製品市販形態 など)を適宜挿入(図3の3b状)することにより対象材料をセットする。
【0033】
そして、駆動部12によって付加遠心力の回転速度を、必要に応じ、100rpm以上、望ましくは350rpm以内で設定し、またタイマー制御部13によって付加遠心力の作動時間を、必要に応じ、10secから180sec程度に設定して、電源スイッチ16のONにより、3点支持固定部を通じて対象回転容器載置例3a〜3cへ回転が導入され、その遠心力が対象材料へ付加されることにより成分の改質が図られる。
【0034】
また図5は、角型容器への対応または処理量の拡張を目的として用いられる載置補助具で、固定アダプター5aを可動式3点支持固定部付回転板10に装着した上にて、BOX型トレー5bに対象材料を載置して使用される。
【0035】
図6は、調合調整を目的として用いられる小分け処理専用のメジャー付容器で、容器側面へ容量(cc)6a、割合(5:5 4:6 3:7〕6b、質単位(80カロリー)6c、の3通りからなるメジャーが施され、また回転中における重力増量スペース(回転放物面による液面縁の盛り上がり代)6d及び希釈量の確認を容易とさせる太い上限レベルマーカー6eが付与されている。
【0036】
第2実施例を、焼酎の四分六割り(4:6の水割り)の作成を例としてその操作手順を示

目標として焼酎を注ぎ30g程度の氷1片を入れる。2)可動式3点支持固定部付回転板10に固定載置する。3)任意の付加速度と付加時間を駆動部12とタイマー制御部13にて設定し電源スイッチ16をONして回転をスタートさせる。4)所定の冷却時

に割り水を注ぎ、直後に電源スイッチ16をOFFして完成となるように操作される。
【0037】
この第2の実施例では、対象材料(酒類)への改質の促進に加えて、特にはエタノールの水割り(混合)に伴う従来の問題点の、水と混ざり合うことでの希釈熱(相互反応で発生する熱エネルギー)及びマドラーの直接的撹拌 などによって誘発されるダメージ(エグ味・雑味・および風味の低下)を、遠心分離による局所冷却(水より軽いエタノールと氷が中よりに集まる)及びマドラー不要化により、効果的に抑制させると伴に、従来の調合作業の必須項目(1冷やす2香り立て3撹拌)を合わせて一連の操作にて、しかも非接触にして絶妙に行わせる相乗効果を奏する。
【0038】
なお、上記、図5に説明の前記処理量拡張用BOX型トレー及び前記小分け処理専用容器に付いては、これらに限定することなく、目的に合わせて様々な形状及びサイズへの変更が図れる。
【0039】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形および付加が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【実験例】
【0040】
以下に、実験例を示す。
本発明の実験に係る成分改質方法は、図2に示す遠心力付加装置を用いて実施される。
【0041】
(装置の調整)
実験に先立ち、駆動源(モーター)よりの発生電磁波をTESLA Meterにて測定したところ、最大出力で100mG=0.01T程度であった。
装置の構成は目的によって様々な組み合わせが考えられるが(遠心力単独・電磁波との併用・正転または逆転との併用)今回、電磁波0.T環境下による遠心力単独、正転での改質実験例とした。
【0042】
(実験例1)
1−1.対象材料の成分改質
1−1−1.“円やかさ(熟成促進)”の改質
対象材料は、食料品の調味料から選別した「ポン酢」と「醤油」の評価とした。
【0043】
1−1−2.“刺激臭の抑制”の改質
対象材料は、化粧品・医薬部外品から選別した「除光液」と「口洗液」の評価とした。
【0044】
1−1−3.“苦味のマスキング”の改質
対象材料は、食料品・医薬品から選別した「ほうれん草」と「液体胃腸薬」の評価とした。
【0045】
(実験例2)
2−1.複数種同時改質
2−1−1.“飲料と食料の同時”の改質
対象材料は、飲料・食料品から選別した、「高濃度茶カテキン飲料(ポリ容器)」と「鯖の味噌煮(缶)」の評価とした。
【0046】
(実験例3)
3−1.改質のコントロール
3−1−1.付加遠心力強度の可変による改質
対象材料は、食料品・酒類から選別した、「食塩」と「清酒」の評価とした。
【0047】
(実例4)
4−1.熟成と調合の同時改質
4−1−1.“水割りの熟成・調合の同時”改質
対象材料は、酒類から選別した、「焼酎の水割り」の評価とした。
【0048】
5−1.遠心力付加処理
5−1−1.装置の構成
駆動部には小型のギヤードモーターを用いた。その構成は、電源:単相100V・モーター三相200V−90W・制御部:インバータスピードコントローラとの組み合わせからなり、発生した回転を可動式3点支持固定部を通じて対象材料へ導入する。
【0049】
5−1−2.装置の設定
付加遠心力の回転速度を100rpm以上、望ましくは350rpm以内、例えば150rpmとし、また付加遠心力の発生時間を10sec以上、望ましくは180sec以内、例えば30secとして各種対象材料の改質を得た。また、付加遠心力発生強度の可変による改質のコントロールの確認には、回転速度を50rpmと、150rpmと、250rpmとし、その発生時間を30secとした。
【0050】
6−1.評価試験
6−1−1.官能評価
【0051】
官能評価は、室温をコントロールされた部屋にて、ソムリエを含むパネラー7名で行なった。対象材料は原則として製品市販形態を使用し、同一未開封容器2個の1方または同一株(ほうれん草)から2株に分配された1方に遠心力を付加し、他の1方と比較する方法にて評価した。比較評価において、パネラーは2個1組を提示され、二つのうち一方を基準として図7の7段階評価(−3非常に悪い・0差がない・+3非常に良い)によって点数を付け、その点数を元に対比をデータ処理してコントロールとの差を尺度で表した。
【0052】
6−1−2.官能評価1
“円やかさ(熟成)”の促進を目的とした「ポン酢」と「醤油」の改質例として、改質ポン酢・醤油(付加遠心処理)とその元となったポン酢・醤油(未処理)を胴太の透明グラスに7分目ほど注いで行い、その結果を図8のa.bに示す。
結果は、回転による遠心力を付加された食酢と醤油との香りと味が有意に差別化された。官能的に表現すると、その差は、ポン酢ではツーンとする刺激臭が抑えられ、また醤油では塩味のカドが取れて、その味わいには双方伴に深みと円やかさが出たという結果であった。
【0053】
6−1−3.官能評価2
“刺香味”の抑制を目的とした「除光液」と「口洗液」の改質例として、改質除光液・口洗液(付加遠心処理)とその元となった除光液とヘアカラー(未処理)を胴太の透明密閉式サンプル容器に7分目ほど注いで行い、その結果を図9のa.bに示す。
結果は、回転による遠心力を付加された除光液と口洗液の香味が有意に差別化された。官能的に表現すると、その差は、双方伴にツーンとする刺激臭(アセトン・ペパーミント など)が抑えられ優しい使用感が得られたという結果であった。
【0054】
6−1−4.官能評価3
“苦味のマスキング”を目的とした「ほうれん草」と「液体胃腸薬」の改質例として、改質ほうれん草・液体胃腸薬(付加遠心処理)とその元となった、ほうれん草と液体胃腸薬(未処理)を小皿・製品市販形態のまんまとに其々分けて行い、その結果を図10のa.bに示す。
結果は、回転による遠心力を付加された、ほうれん草と液体胃腸薬の味が有意に差別化された。官能的に表現すると、その差は、強烈な苦味またはエグ味が抑えられ、液体胃腸薬においては穏やかな飲用感が得られ、また、ほうれん草では湯通しなしで即食べられると言う結果であった。
【0055】
6−1−5.官能評価4
“複数種同時改質”を目的とした「高濃度茶カテキン飲料(ポリ容器)」と「鯖の味噌煮(缶)」の改質例として、改質高濃度茶カテキン飲料・鯖の味噌煮(同時付加遠心処理図3b状)とその元となった高濃度茶カテキン飲料と鯖の味噌煮(未処理)を製品市販形態のまんまにて行い、その結果を図11のa.bに示す。
結果は、回転による遠心力を付加された高濃度茶カテキン飲料・鯖の味噌煮の香りと味が有意に差別化された。官能的に表現すると、その差は、高濃度茶カテキン飲料では渋味が抑えられ、また鯖の味噌煮では塩味のカドまたは缶臭さが取れて、その味わいには双方伴に深みと円やかさが出たという結果であった。
【0056】
6−1−6.官能評価5
“改質のコントロール”を目的とした「食塩」と「清酒」の改質例として、▲1▼改質食塩a(中回転付加遠心処理)・改質食塩b(高回転付加遠心処理)、▲2▼改質清酒a(低回転付加遠心処理)・改質清酒b(中回転付加遠心処理)とその元となった食塩・焼酎(未処理)を胴太の透明グラスに7分目ほど注いで行い、その結果を図12・13のa.bに示す。
結果は、回転による高・中・低遠心力を其々に付加された食塩と焼酎の味が有意にコントロールされた。官能的に表現すると、その差は、食塩では、中回転での塩味が抑えられて円やかさが感じられたのに対して、高回転では逆に塩味が際立って“ど辛い”感じとなった。また、清酒では、中回転でのツーンとする刺激臭(アルコール)とカドが抑えられ、その味わいには深みと円やかさが出たのに対して、低回転では刺激臭とカドが残り未処理の清酒と殆ど差が無かったという結果であり、付加遠心力強度の可変によるその差は歴然であった。
【0057】
6−1−7.官能評価6
“熟成と調合の同時改質”を目的とした「焼酎の水割り」の改質例として、付加遠心法での焼酎の水割り(実施例
【0037】
参照)と従来法による焼酎の水割り(マドラーを手でかき回す)を同条件(1杯:焼酎1オンス・氷30gを1片・水120ml)にて作成し、胴太の透明グラスに注いで10分間保持した後に、ストローによる上部・底部の選択的比較を行い、その結果を図14のa.b.cに示す。
結果は、回転による遠心力を付加された水割りの香りと味が有意に差別化された。
官能的に表現すると、その差は、付加遠心法では熟成・調合上部・調合底部伴に均一に等しく、ツーンとする刺激臭とカドが抑えられ、その味わいには深みと円やかさが出たのに対して、従来法では極端に異なり、“上部”はツーンとする刺激臭にカド・雑味が加わったキツイ味わいで、“底部”では逆に全くの水のみであったという結果であり、付加遠心法の熟成・調合同時改質によるその差は歴然であった。
【0058】
6−2−1.味覚センサーによる評価
Alpha M.O.S社(仏)αASTREE電子味覚システムにて遠心力処理した「清酒の官能評価5」との相関を行なった。
この電子味覚システムは、図15に示すように、味物質に感応する感応膜電極15aを有した電気化学センサーを、膜組成の違いによって特性ごとに様々に応答を示す7種類で組み合わせて一体化したセンサープローブ15bとともに、味物質を含む溶液(試験例では清酒)内に入れて、感応膜に対して特定の相互作用(水素結合やファンデルワールス作用等)を誘発することでの電位差の変化を、信号として検出するものである。
【0059】
そして、清酒改質サンプルの、▲1▼低回転付加遠心力50rpm/30sec(R1)と、▲2▼高回転付加遠心力150rpm/30sec(R2)と、▲3▼未処理のコントロール(C)について、αASTREEの7本のセンサーによって、サンプル間の味の総合的な類似性、相違性を解釈するために主成分分析を行い、16図にその官能特性の結果を示す。
【0060】
主成分分析レポートは、複数のセンサー応答値を2次元、または3次元に要約してプロットするものであり、近いポイント同士ほどセンサー応答の挙動は類似していて、遠いものほど、その挙動は異なるものとして解釈できる。
【0061】
この結果から、サンプルR2よりR1のほうがコントロールの味に近いと言える。
しかしながら、センサー情報の全てが味の分類に貢献しているとは限らず、一般的には官能評価との相関を得ることが重要となるので、挙動の異なるR2との官能評価の相関において、その反応を“円やかさ”の反応変化と評価した。
【0062】
6−3−1.電子天秤(密度測定)による評価
酒の熟成がすすむと、水とアルコールの分子構造がコンパクトになり密度が大きくなることが知られていることから、メトラー・トレド社製 AX205(固体密度/比重測定キット付属)電子天秤にて「清酒の官能評価5」及び「味覚センサー評価」との相関を行なった。密度の単位はg/mlであり、AX205は小数点六桁まで測定できる。
【0063】
そして、清酒改質サンプルの、付加遠心処理(R2)と、未処理のコントロール(C)について、AX205によって、サンプル間の熟成の総合的な類似性、相違性を解釈するために密度測定を行い、17図にその特性の結果を示す。
【0064】
レポートは、未処理のコントロール(C)より付加遠心処理(R2)の密度が有意に大きくなった。この結果から、付加遠心処理酒のほうが熟成の味により近いと解釈できる。一般的には官能評価との相関を得ることが重要となるので、上述の官能評価および味覚センサーによる評価の相関において、その反応を“熟成”の反応変化と評価した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態の遠心力成分改質促進装置の槻要を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の全体構成図である。
【図3】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の使用法の模式図である。
【図4】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の使用法の模式図である。
【図5】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の載置拡張用トレーと小分け処理専用容器とを示す図である。
【図6】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の載置拡張用トレーと小分け処理専用容器とを示す図である。
【図7】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における7段階評価法を示す図である。
【図8】a−b 本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“円やかさ(熟成)”の促進を目的とした「ポン酢」と「醤油」の改質結果を示す表である。
【図9】a−b 本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“刺激香味”の抑制を目的とした「除光液」と「口洗液」の改質結果を示す表である。
【図10】a−b 本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“苦味のマスキング”を目的とした「ほうれん草」と「液体胃腸薬」の改質結果を示す表である。
【図11】a−b 本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“異種類同時改質”を目的とした「高濃度茶カテキン飲料(ポリ容器)」と「鯖の味噌煮(缶)」の改質結果を示す表である。
【図12】a−b 本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“改質のコントロール”を目的とした「食塩」の改質例として、改質食塩a(中回転付加遠心処理)・食塩b(高回転付加遠心処理)の改質結果を示す表である。
【図13】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“改質のコントロール”を目的とした「焼酎」の改質例として、改質焼酎a(低回転付加遠心処理)・改質焼酎b(中回転付加遠心処理)の改質結果を示す表である。
【図14】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の官能評価における“熟成と調合の同時改質”を目的とした「焼酎の水割り」の改質例として、改質焼酎の水割りa(同時改質の熟成度)・改質焼酎の水割りb(同時改質の上部混合度)・改質焼酎の水割りc(同時改質の底部混合度)の改質結果を示す表である。
【図15】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の味覚センサー評価におけるセンサーの概略と結果を示す図である。
【図16】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の味覚センサー評価におけるセンサーの概略と結果を示す図である。
【図17】本発明の実施例を示す遠心力成分改質促進装置の電子天秤(密度測定)評価における結果を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
10 可動式3点支持固定部付回転板
11 回転板支持部
12 駆動部
13 タイマー制御部
14 3点支持調節用レバー
15 回転計
16 電源ON−OFFスイッチ
3a 小分け処理専用容器を固定載置した例
3b 複数類の対象材料(製品市販形態)を他容器内へ挿入載置した例
3c 製品市販形態を直接固定載置した例
4a 閉じた3点支持固定部
4b 開いた3点支持固定部
5a 固定アダプター
5b BOX型トレー
6a 容量(cc)メジャー
6b 割合(5:5 4:6 3:7〕メジャー
6c 単位(80カロリー)メジャー
6d 重力増量スペース
6e 上限レベルメジャー
15a 感応膜電極
15b 7種類一体型センサープローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の内外液及び各種水溶液に含まれる水分子に、回転発生装置により遠心力を付加させることで分子間力を断ち切り、単分子の自由運動が促され、前記水分子の水和作用(多くの物質に特異的に付加したり、反応したりする性質)の促進に働きかけることにより、食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などの製品または原材料への成分の改質を図らせ、その材料の効果をより向上させることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠心力成分改質促進装置において、対象材料(食料品・酒類・化粧品・医薬品・医薬部外品 などの製品または原材料)を、市販形態直接または専用容器での保持を可能とする可動式3点支持固定部付き回転板(10)と、それを支える回転板支持部(11)と、それらを任意の速度にて回転させるモーター駆動部(12)と、作動時間の設定に関連して、その達成を報知させると伴に前記モーター駆動部を停止させる制御部(13)を具え、前記可動式3点支持固定部付回転板上に固定載置される前記対象材料に対し、回転による付加遠心力を連続的に発生し得る出力を有することを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項3】
請求項2記載の遠心力成分改質促進装置において、前記固定載置された対象材料への付加遠心力の回転速度を、正転(時計回り)または逆転の何れかにおいて、100rpm以上、350rpm以下、としたことを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項4】
請求項3記載の遠心力成分改質促進装置において、前記付加遠心力の、作動時間を、10sec以上、180sec以下、としたことを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項5】
請求項4記載の遠心力成分改質促進装置において、前記付加遠心力の作動時間が、10sec〜180sec程度の短時間処理を実現することから、前記対象材料の飲食直前または使用直前での好みに合わせた改質を可能とさせ、また特には生鮮食品および冷凍食品解凍時への即時の改質を容易とさせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項6】
請求項3・4記載の遠心力成分改質促進装置において、前記付加遠心力のコントロールが、回転速度1rpmステップ、作動時間1secステップ毎、での小刻みな微調整設定を可能として、より繊細な香味改質への対応を容易に行なわせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項7】
請求項1記載の遠心力成分改質促進装置において、前記成分の改質を、従来の発振装置(超音波・磁場・電場・遠赤外線 など)による印加または添加物を一切不要として行なわせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項8】
請求項2記載の遠心力成分改質促進装置において、前記成分の改質を、前記モーター駆動部より発生する電磁波を利用しての、前記発振装置の電磁波印加機能とさせ、遠心力との併用を容易とさせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項9】
請求項1記載の遠心力成分改質促進装置において、前記対象材料の複数種での改質を、単一の装置により同時に行わせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項10】
請求項1記載の遠心力成分改質促進装置において、前記対象材の改質とその調合調製を単一の操作により同時に行わせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項11】
請求項2記載の遠心力成分改質促進装置において、前記対象材料を固定載置する前記可動式3点支持固定部付き回転板が、前記市販形態または小分け処理専用容器 などを介する間接的な保持により、完全非接触の環境下において実施されることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項12】
請求項10記載の遠心力成分改質促進装置において、前記可動式3点支持固定部付き回転板の固定形態が、バネ圧を利用した開閉調節用レバーと可動式の3点支持固定部により構成されるもので、通常はバネの収縮能により固定部を閉じると伴に調節用レバーの2点間を離す状態をとる。そして固定時には、離れたレバー2点間を引き狭めるようスライド操作した後、速やかに開放する。それにより、固定部を開くと伴にバネを引き伸し、その反発力が材料固定時に発生するよう動作することで、予め設定された保持開閉サイズ間での任意の保持調節と、バネ圧による確実な固定を同時に行わせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項13】
請求項11記載の遠心力成分改質促進装置において、前記3点支持固定部付き回転板の予め設定される保持開閉サイズが、φ3cm〜15cmに設定され、前記対象材料のドリンク剤〜4l容器(市販形態の瓶形容器を対象とした表現例)間での任意の保持調節を、レバー操作により簡単にして確実に行わせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項14】
請求項12記載の遠心力成分改質促進装置において、前記可動式3点支持部付き回転板の固定が、前記対象材料の市販形態または前記小分け処理専用容器 などにおいて、保持可能なサイズであれば、その材質(磁器・瓶・缶・ポリ・紙 など)および形状(○・△・□・軟性物・生鮮物直接 など)の一切を問わず行わせることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項15】
請求項13記載の遠心力成分改質促進装置において、前記可動式3点支持部付き回転板の載置能力が、前記3点支持固定部自体の拡張または、3点支持固定部に挿入可能な棒状保持部付き載置トレー などの追加設定によって、容易に拡張できることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。
【請求項16】
請求項10記載の遠心力成分改質促進装置において、前記小分け処理専用容器が、前記可動式3点支持固定部に挿入しうる外形部を有し、容器側面へ、容量(cc)・割合(5:5 4:6 3:7)・単位(80カロリー)の3通りからなるメジャーを設定するとともに、回転中操作への対応に、重力増量スペース(回転放物面による液面縁の盛り上がり代)及び希釈量確認太レベルマーカーが付与されていることを特徴とする
遠心力成分改質促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−112308(P2009−112308A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273569(P2008−273569)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(392022260)
【Fターム(参考)】