説明

遠隔ロック機能を有する携帯電話

【課題】携帯電話を紛失した場合に拾得者により不正使用されないように、遠隔から簡単な操作で暗証番号やパスワードによらず当該携帯電話の発信機能などをロックできるようにする。
【解決手段】複数の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードと、携帯電話が動作しないようにロックする動作モードを有する携帯電話10において、携帯電話10は、着信検出部29と、ロック処理部31と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、着信検出部29が記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出すると、ロック処理部31が当該携帯電話10の機能をロック状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔ロック機能を有する携帯電話に関するものであり、特に、親が子供に持たせる場合に、携帯電話の種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話において、当該携帯電話を紛失した場合に拾得者により不正使用されないように、遠隔から簡単な操作で当該携帯電話の発信機能などをロックできるようにした遠隔ロック機能を有する携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展に伴い種々の携帯型の情報通信端末装置(以下、携帯端末装置という)が広く普及している。このような携帯端末装置は、利用者が外出先からインターネットなどのネットワークを介して種々サービスを提供する情報配信サーバや所望のウェブサイトに接続して当該サービスを受け、あるいは情報を取得したり、自社のネットワークに接続したりして業務上必要な情報を取得することができる。
【0003】
最近では、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきており、携帯電話の普及率の拡大にはめざましいものがある。携帯電話を利用したデータ通信サービスを提供する事業者も増加しており、携帯電話を利用してバンキング、インターネット販売、ナビゲーション、自動販売機、交通機関やコンビニエンスストアなどの代金決済など、様々なサービスを受けることができるようになってきている。特に携帯電話においては種々のオプションやアプリケーションが搭載可能であり、利用できるサービスの種類も豊富になってきている。
【0004】
また、第3世代と称される携帯電話にはGPS受信機が搭載され、携帯電話自体が位置する現在位置(緯度・経度)を測定することができ、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムも実用化されている。このような測位システムを利用して、高齢者や児童などの位置確認や、犯罪や火災などの事件、事故における通報時の位置確認などに利用システムも種々検討されている。
【0005】
更に、利用者は、サービス事業者が提供するブラウザやアプリケーション、ゲームソフトのように携帯電話用として開発された様々なアプリケーションなどを自身が所有する携帯電話にインストールして所望のサービスや機能追加のためカスタマイズすることができる。
【0006】
近年、携帯電話の普及に伴い使用者の年齢は下がり、子供にも広がっている。例えば、親が、安全のために外出する子供に携帯電話を持たせ、いつでも自宅と連絡が取れるようにする使い方がある。
【0007】
このように子供に携帯電話を持たせる場合は、携帯電話が備えている各種機能のうち、必要以外の機能に制限(ロック)を掛ける機能(ジュニアモード(登録商標)やキッズモードと称される)が一般に用いられている。このように携帯電話の種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話は、例えば、下記の特許文献1(特開2005−277930号公報)に開示されている。
【0008】
この機能を利用すると、例えば、着信は無制限で、発信は特定の電話番号にだけ可能にしたり、インターネットを利用するメールサービスやデータ通信サービス機能に制限を設定して利用できないようにしたりすることができる。これにより、子供に持たせた場合は自宅にだけ発信できるように設定することにより、いたずらに電話をかけることができなくなる。また、社員に持たせた場合は、会社にだけ発信できるように設定することにより、私用に使うことができなくなる。
【0009】
また、携帯電話は屋外に携帯して使用するという性質上、盗難されたり紛失したりする
可能性が高い。盗難者に使用されてしまうとその使用料を事業者から請求されることとなる。このような問題を解決するために、下記の特許文献2(特開平11−32369号公報)には携帯電話の各種機能をロックできるようにした携帯型の通信装置が開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示された携帯型通信装置は、留守録手段と、「発信機能」や「電話帳機能」等の各種機能を操作する操作部と、各種機能のロックを設定/解除するロック手段/ロック解除手段を備えた携帯型の通信装置に対して、外部の通信装置から発信することにより、留守録手段を起動させ他の通信装置と通信状態としたときに、他の通信装置の遠隔操作でロック手段を作動可能としたものである。
【0011】
すなわち、特許文献2に開示された携帯型の通信装置は、留守録手段を利用して他の通信機器からの遠隔操作によって、ダイヤルロックや電話帳ロック等の各種動作を行なえるように構成したものであり、これにより、キーロックをかけ忘れた状態のまま装置が盗難されても他の電話機から遠隔操作でキーロックすることができるため、他人による不正な利用を防止することができるようになる。
【特許文献1】特開2005−277930号公報(図1)
【特許文献2】特開平11−32369号公報(図3、段落[0049]〜[0051])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、携帯電話における機能のロック、解除は暗証番号やパスワードを設定しておき、入力された暗証番号やパスワードの一致による認証処理を行った上で、指定されたロック機能を作動し、あるいは解除するように構成されている。
【0013】
ところで、上記特許文献1に開示された携帯電話のような、種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話を子供に持たせる場合には、当該携帯電話機のロック機能を解除した状態(ロック機能を無効にした状態)で使用するようにされる。子供が操作を誤って当該携帯電話をキーロック状態にしてしまうと、ロック解除の暗証番号やパスワードを知らされていなかったり、忘れたりしているとロックを解除することができなくなる。その場合、例えば、事故や事件に巻き込まれ連絡を必要とするような緊急時に役に立たなくなる。このような不都合を防止するためにロック機能を無効にしておくことが必要になるためである。
【0014】
この場合、子供がロック機能を無効にした携帯電話を紛失したり、置き忘れたりすると、その携帯電話を拾得した他人によって当該携帯電話が不正使用される恐れが生じる。このため、上記特許文献2に開示された技術を適用して遠隔操作により、携帯電話のロック機能を有効な状態に変更できるように構成すれば上記の不都合に対処することができる。
【0015】
しかしながら、上記特許文献2に開示された技術を適用した場合、携帯電話をキーロック状態にするためには暗証番号やパスワードによる認証処理を行う必要がある。暗証番号やパスワードは他人から推定可能な数字や文字、例えば、住所や誕生日などを使用すると安全性が低下するので、他人が推定できないような数字、文字を組み合わせて使用するのが一般的である。
【0016】
このような暗証番号やパスワードは長期間使用しないと、これを設定した本人であっても忘れてしまうことが多々ある。緊急の場合に設定した暗証番号やパスワードを記録したメモ類が見あたらない場合には、上記のように遠隔から携帯電話をキーロックする機能が準備されていても、認証処理をパスすることができずにこの機能を実行できないという不都合が生じる恐れがある。
【0017】
本願の発明者は上記の不都合を解消すべく種々検討を重ねた結果、携帯電話の種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話において、特定の電話番号を有する電話機、例えば、親の携帯電話あるいは固定電話からの着信であってキーロック機能を有効にする信号を含む通信があった場合に、携帯電話をロック状態に変更するようになせば上記不都合を解消し得ることを想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は、携帯電話の種々の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードを有する携帯電話において、当該携帯電話を紛失した場合に拾得者により不正使用されないように、遠隔から簡単な操作で暗証番号やパスワードによらず当該携帯電話の発信機能などをロックできるようにした遠隔ロック機能を有する携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、複数の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードと、携帯電話が動作しないようにロックする動作モードを有する携帯電話において、前記携帯電話は、着信検出部と、ロック処理部と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、前記着信検出部が前記記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【0020】
本願の請求項2にかかる発明は請求項1にかかる携帯電話において、前記着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、前記ロック処理のための着信である場合には、前記ロック処理が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項3にかかる発明は請求項1にかかる携帯電話において、前記着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、所定のキー入力コードを含む着信である場合には、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項4にかかる発明は請求項1にかかる携帯電話において、前記着信検出部が、前記登録された電話番号からの着信を、所定時間内に所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項5にかかる発明は請求項1にかかる携帯電話において、前記着信検出部が、前記登録された電話番号からの着信を、所定時間内に連続して所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項6にかかる発明は請求項1にかかる携帯電話において、前記着信検出部が、前記機能制限を設定した動作モードにおいて機能制限を設定した電話帳に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1にかかる発明においては、携帯電話は、着信検出部と、ロック処理部と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、前記着信検出部が前記記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。
【0026】
これにより、機能制限モードで使用されている携帯電話がロックモードを解除した状態で使用されており、紛失、置き忘れが起こった場合、親の携帯電話や家庭の固定電話、親の勤務先の電話など、予め設定した特定の電話番号の電話から遠隔操作により携帯電話をロックモードに設定することができるようになる。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【0027】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、前記ロック処理のための着信である場合には、前記ロック処理が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【0028】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、所定のキー入力コードを含む着信である場合には、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【0029】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、着信検出部が、前記登録された電話番号からのを、所定時間内に所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【0030】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、着信検出部が、前記登録された電話番号からの着信を、所定時間内に連続して所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【0031】
また、請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯電話において、着信検出部が、前記機能制限を設定した動作モードにおいて機能制限を設定した電話帳に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定する。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としないので、これらを忘れた場合であっても携帯電話を遠隔操作によりロックすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話を例示するものであって、本発明をこのナ携帯電話に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯電話にも等しく適用し得るものである。
図1は本発明の実施例1にかかる携帯電話の構成を示すブロック図、図2は図1の携帯電話の外観を示す外観図である。図1のブロック図には、本発明の実施例1にかかる文字入力装置21を含む携帯電話10の構成が示されている。携帯電話10は、通話部11と本発明に係る操作制御部21から構成されている。通話部11は、マイク12とスピーカ13と無線部14とから構成されており、無線部14は、アンテナ、送受信回路、変復調回路、圧縮伸長回路、音声コーデック等を含んでおり、無線部14を介してマイク12から入力された音声を音声信号として送信し、通話の相手方の音声信号を受信してスピーカ13に出力する。
【0033】
操作制御部21は、主制御部22、表示部23、操作部24、機能制御部25、機能制限テーブル26、モード制御部27、モード記憶部29、着信検出部29、ロック処理部31を備えて構成されている。主制御部22は、マイクロコンピュータ、RAM、ROM等からなりコンピュータ装置として機能し、無線部14および操作制御部21の上記各部を制御する。また、表示部23、操作部24は、携帯電話10における通話のための表示および操作の他に、インターネット網を介したデータ通信のための操作および表示にも使用される。操作部24は、通話時に電話番号入力をするため、また、電子メールをはじめとするインターネット網を介した各種のデータ通信サービスを利用するために所望の文字列を入力するために使用される。
【0034】
操作部24には、通話キー241、機能選択キー243、テンキー245が設けられ、通話時にはテンキー245を操作して電話番号を入力し、通話キー241を操作すると発信できる。また、テンキー245には英文字、カタカナ、ひらがなの文字が割り当てられ、図示していない英数カナ変換制御部により文字コード変換が行われる。文字コード変換は、入力モードが英数カナあるいはかな漢字変換モードであるかによりそれぞれ操作されたキーに応じた入力文字コードに変換される。機能選択キー243は携帯電話10の所定の機能を有効にするキーであり、メーカー、機種によりこのキーに割当てられる機能は異なる。
【0035】
図2は、図1に示す携帯電話10の外観を示す図である。携帯電話10は液晶表示ユニットなどで構成された表示部23と操作部24とを備えており、操作部24には通話キー241と機能選択キー243と複数のテンキー245が設けられ、また、参照番号を付していないモードキーや表示部23に表示された画面の特定表示画像を操作するためのカーソルキーなどを備えている。
【0036】
携帯電話10は、子供に持たせる場合に機能制限を設定して動作させる「機能制限モード」いわゆる「ジュニアモード(登録商標)」、携帯電話の紛失時などに発信機能などを禁止する「ロックモード」を有している。機能制限モードにおいて制限を設ける機能は、表示部23に設定入力画面を表示し、表示された機能のうち制限を加える機能を選択し、制限に条件をつける場合には制限条件を入力することによって決定することができる。このようにして選択された機能、入力された条件は機能制限テーブル26に記憶され、機能制御部25は機能制限テーブル26に記憶された情報に基づいて携帯電話10に許可された機能のみを動作させる。
【0037】
図3は機能制限テーブル26のデータ構成を示す図である。図3に示すように機能制限テーブル26は機能コード欄261、機能名称欄262、条件欄263、制限欄264を備えており、機能制限を設定する場合ユーザは制限しようとする機能を選択し、制限欄264にオン(ON)、オフ(OFF)を設定する。オンに設定された機能は制限され、オフが設定された機能が制限されない。
【0038】
例えば、図3において、発信は携帯電話10からの発信機能を示し、制限欄264にオンが設定されており機能が制限される。条件欄263には機能制限の条件として登録電話番号が設定されている。登録電話番号は携帯電話10に発信を許可する電話番号であり、例えば、親の携帯電話番号や家庭の固定電話の電話番号など、子供に発信を許可する電話番号を設定する。この登録電話番号は特定の記憶領域に記憶してもよく、電話帳に登録した電話番号に発信を許可する登録電話番号を示すフラグを記憶しておく方法でもよい。電子メールの発信機能についても同様の設定がなされている。
【0039】
着信の機能については制限欄264にオフが設定されており、携帯電話10への着信は無条件に許可される。留守電録音、メール着信についても同様の設定がなされている。電話帳の機能、データ通信アプリの機能については制限欄264にオンが設定されており、条件欄263には何も設定されておらず、無条件に使用が制限される。すなわち、電話帳に新規に電話番号登録したりメールアドレスを登録したりすることは禁止される。また、インターネットを経由した種々のデータ通信サービスを利用することも禁止される。
【0040】
携帯電話10は上記の機能制限モードの他に携帯電話の置き忘れや紛失に備え、不使用時に発信等の機能を使用できないようにロックするロックモードを有しており、機能制限モードを設定した場合、ロックモードは解除しておくようにされる。この理由は先に述べたように子供が機能制限モードに設定した携帯電話10を誤って操作し、ロックモードに設定してしまうと、暗証番号やパスワードを知らされていなかったり、忘れてしまったりした場合にロックモードを解除できず、緊急時に親への通話連絡ができないなどの不都合を生じるためである。
【0041】
機能制限モードやロックモードの設定状況はモード記憶部28に記憶され、モード制御部27はモード記憶部28に記憶された設定に従って携帯電話10の動作を制御する。上記のように機能制限モードが設定され、ロックモードが解除された状態で、子供が携帯を置き忘れたり、紛失したりすると、拾得者によって携帯電話が不正に使用され、その料金を負担しなければならない場合が生じる。
【0042】
従って携帯電話10の紛失や置き忘れが起こった場合、何らかの方法で当該携帯電話10をロックモードに設定できることが必要である。この場合、他の電話機から紛失した携帯電話に発信して当該携帯電話10をロックモードに設定するために暗証番号やパスワードを用いると、とっさの場合にロックモードへの設定処理が行えないことがある。長期間使用していないと暗証番号やパスワードを忘れることがあり、また、これを記録したメモなどが見つけられないこともあるからである。
【0043】
本実施例においては、機能制限モードで使用されている携帯電話10であることに着目して、親の携帯電話や家庭の固定電話、親の勤務先の電話など、予め設定した特定の電話番号の電話からの着信であることを検出し、この着信がロックモード設定の信号を送信してきた場合に携帯電話10をロックモードに設定する。この場合、暗証番号やパスワードによる認証処理を行わないように制御される。
【0044】
すなわち、本発明は暗証番号やパスワードによる認証の代わりに、特定の電話番号からの着信によりロックモード設定の権限の有無を認証するようにしたものである。このため本実施例1においては、携帯電話10は着信検出部29とロック処理部31を備えている。着信検出部29は、前述したように携帯電話10に予め設定された特定の電話番号の電話機、例えば、親の携帯電話からの着信か否かを検出する。
【0045】
着信検出部29が予め設定された特定の電話番号の電話からの着信を検出すると、予め設定した特定のコード、あるいは、特定のキー入力コードが送信されるとロック処理部31は携帯電話10の機能をロックする。ロック処理は全てのキー入力を無効にする処理でよいが、電話の発信を禁止、あるいは、データ通信機能の起動を禁止する処理でもよい。また、特定のコードの送信によらず、通話信号でない場合にロック処理する構成であってもよい。
【0046】
更に、ロック処理のための着信であるか否かを判別する方法としては、(1)所定の時間内に設定した特定の電話番号の電話から所定回数の着信を検出した場合にロック処理のための着信であると判別する方法、(2)連続して所定回数の着信があった場合にロック処理のための着信であると判別する方法、(3)電話帳に機能制限を設け、親の電話番号のみを登録している場合は電話帳に登録された電話番号からの着信をロック処理のための着信であると判別する方法、などの方法をとることができ、これにより認証機能の確実性を高めることができる。
以上のように、本発明は、機能制限モードで使用されている携帯電話10がロックモードを解除した状態で使用されており、紛失、置き忘れが起こった場合、親の携帯電話や家庭の固定電話、親の勤務先の電話など、予め設定した特定の電話番号の電話からの着信であることを検出し、この着信がロックモード設定のための通信であると判別された場合に携帯電話10をロックモードに設定することができる。このようにすれば暗証番号やパスワードによる認証処理を必要としない。
【0047】
次に、携帯電話10の動作を図4、図5に示すフローチャートを参照して説明する。図4は、機能制限モードを設定する際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートであり、図5は携帯電話10を紛失したり、置き忘れたりした場合に親が遠隔から携帯電話をロックする際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートである。
【0048】
親が携帯電話10を子供に手渡す前にユーザが機能制限を設定する場合、図4のフローチャートに示すように、ステップS11の処理において操作部24を操作して制限モード設定の処理を選択する。ステップS12の処理において表示部23に表示された機能一覧からを制限する機能を選択し、次いでステップS13の処理において操作部24を操作してオン・オフ設定、条件設定を行う(図3参照)。
【0049】
次に、ステップS14の処理においてユーザが設定処理を終了したか否かを判別する。設定処理が終了していなければステップS12の処理に戻り、設定処理を終了する処理が行われていればステップS15の処理において、主制御部22は携帯電話10のキー入力などをロックするロックモードを解除した状態に設定する。ロックモード解除状態への変更はユーザが操作部24から直接設定してもよいが、機能制限モードの設定処理により自動的にロックモード解除を行うように構成するほうが好ましい。
【0050】
機能制限モードに設定した携帯電話10を紛失したり、置き忘れたりした場合に親が携帯電話10を遠隔からロックモードに設定する際は、図5に示すフローチャートにおいて、親は予め携帯電話10に登録してある電話番号、すなわち、自分の携帯電話や家庭の固定電話あるいは勤務先の電話から携帯電話10に電話をかける。
【0051】
携帯電話10はステップS21の処理において着信があると、着信検出部29は携帯電話10に予め登録された電話番号の電話機からの着信か否かをステップS22の処理において判別する。登録された電話番号の電話機からの着信でない場合には、ステップS25の処理に進み、携帯電話10は通常の着信処理を行い、着信処理が終了すれば処理を終了する。
【0052】
ステップS22の判別処理において、登録された電話番号の電話機からの着信であることが検出されると、ステップS23の処理において携帯電話10をロックモードに設定するための着信であるか否かが判別される。この判別は、前述したように予め設定した特定のコードの受信したことにより行うか、または、前述の(1)〜(3)のような方法で行う。
【0053】
図6は、本発明の実施例2にかかる携帯電話10の構成を示す図である。図6の実施例2に示す携帯電話機10は、実施例1にかかる携帯電話10と基本的に同様の構成であり、図6において図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付してある。実施例2の携帯電話機10は認証処理部30を備えている点が実施例1と異なる。
【0054】
認証処理部30は従来の携帯電話と同様に、予め携帯電話に登録した暗証番号やパスワードが入力された場合に、携帯電話10の各種設定情報を書き換えたり、特定の機能を有効にしたりする場合に使用される。この携帯電話10は実施例1の携帯電話10と同様に「機能制限モード」いわゆる「ジュニアモード(登録商標)」、携帯電話の紛失時などに発信機能などを禁止する「ロックモード」を有している。
【0055】
携帯電話10を紛失したり、置き忘れたりした場合には、実施例1と同様に、予め登録した特定の電話番号の電話機から携帯電話10に発呼することにより、携帯電話10をロックモードに設定することができる。この場合、暗証番号やパスワードなどによる認証処理を必要としない。
【0056】
実施例2の携帯電話10においては認証処理部30を備えており、登録した特定の電話番号の電話機を使用できない場合に、例えば、親が外出先から公衆電話などから暗証番号やパスワードを入力して認証処理を受け、携帯電話10をロックモードに設定することができる。
【0057】
以上説明したように、実施例2にかかる携帯電話によれば、機能制限モードで使用されている携帯電話10がロックモードを解除した状態で使用されており、紛失、置き忘れが起こった場合、親の携帯電話や家庭の固定電話、親の勤務先の電話など、予め設定した特定の電話番号の電話からの着信であることを検出し、この着信がロックモード設定のための通信であると判別された場合に携帯電話10をロックモードに設定することができる。また、外出先の公衆電話を用いる場合にも暗証番号やパスワードによる認証を経た上でロックモードに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1にかかる携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯電話の外観を示す外観図である。
【図3】携帯電話の機能制限を設定する機能制限テーブルのデータ構成を示す図である。
【図4】機能設定モードを設定する際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】遠隔から携帯電話をロックする際の携帯電話の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2にかかる携帯電話の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
10・・・携帯電話
11・・・通話部
12・・・マイク
13・・・スピーカ
14・・・無線部
21・・・操作制御部
22・・・主制御部
23・・・表示部
24・・・操作部
25・・・機能制御部
26・・・機能制限テーブル
27・・・モード制御部
28・・・モード記憶部
29・・・着信検出部
31・・・ロック処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能のうち任意の機能を使用できないように機能制限を設定して動作するモードと、携帯電話が動作しないようにロックする動作モードを有する携帯電話において、
前記携帯電話は、着信検出部と、ロック処理部と、予め特定の電話番号を登録して記憶する記憶手段を備え、前記着信検出部が前記記憶手段に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする遠隔ロック機能を有する携帯電話。
【請求項2】
前記着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、前記ロック処理のための着信である場合には、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ロック機能を有する携帯電話。
【請求項3】
前記着信検出部が検出した着信が、前記登録された電話番号からの着信であって、所定のキー入力コードを含む着信である場合には、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ロック機能を有する携帯電話。
【請求項4】
前記着信検出部が、前記登録された電話番号からの着信を、所定時間内に所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ロック機能を有する携帯電話。
【請求項5】
前記着信検出部が、前記登録された電話番号からの着信を、所定時間内に連続して所定回数検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ロック機能を有する携帯電話。
【請求項6】
前記着信検出部が、前記機能制限を設定した動作モードにおいて機能制限を設定した電話帳に登録された電話番号からの着信を検出すると、前記ロック処理部が当該携帯電話の機能をロック状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の遠隔ロック機能を有する携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−135153(P2007−135153A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328755(P2005−328755)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】