説明

部品実装システム

【課題】部品実装機により複数種類の実装基板を生産する際に、オペレータによる作業を軽減する。
【解決手段】複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載する部品実装機を備えた部品実装システムにおいて、クラスタが複数ある場合、各クラスタ内に含まれる全ての生産プログラムによる部品搭載の所要時間を計算すると共に、各クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を取得し、全クラスタ内の部品搭載所要時間と、全クラスタ間の段取り替え所要時間とを合計して、全生産終了予定時間を算出する手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装システム、特に基板に部品を搭載して実装基板を生産する際に適用して好適な部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品実装機(マウンタ)を用いて、フィーダから供給される電子部品を吸着ヘッドで吸着し、この吸着ヘッドを所定位置の基板上方に移動させて吸着部品を該基板に搭載して実装基板を生産する(以下、単に基板を生産するともいう)ことが行われている。この基板生産(部品実装)では、基板の種類ごとに生産が行なわれるための、対象基板毎に作成された、搭載位置(座標)、搭載部品の種類等に関するデータからなる生産プログラムを用いて行われる。
【0003】
このような部品実装機は、部品実装システムを構成するホストコンピュータにより管理され、この部品実装システムにおいては、各部品実装機に対して基板種類に対応する生産プログラムがホストコンピュータからダウンロードされることにより、予め決められた枚数の基板が生産される。
【0004】
このような部品実装システムによる基板生産に際して、異なる種類の基板に切り替える場合、基板の種類(生産プログラム)ごとに実装される部品が異なるので、これらの部品を供給するフィーダ(部品供給装置)の種類も変更する必要がある。この場合は、例えば特許文献1に説明されているようなフィーダの交換や再配置などの段取り替えの作業が必要となる。
【0005】
この基板生産時の段取り替えでは、オペレータがその生産ラインの側について、フィーダセットアップ指示書を見て、段取り替えが必要なフィーダ(部品)を確認しながら、その作業を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−223888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の部品実装システムでは、予定している全ての生産プログラムによる生産が終了するまでの全生産終了予定時間が分からないため、その後の作業計画を組むことができないという問題があった。
【0008】
又、段取り替えに要する時間をできるだけ短縮し、改善したいという要請もあった。
【0009】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、部品実装機により複数種類の実装基板を生産する際に、予定している全ての生産プログラムによる生産が終了するまでの全生産終了予定時間をオペレータに提供できるようにすることを第1の課題とする。
【0010】
更に、本発明は、段取り替えに要する時間を短縮し、段取り替え作業を改善するための情報をオペレータに提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載する部品実装機を備えた部品実装システムにおいて、クラスタが複数ある場合、各クラスタ内に含まれる全ての生産プログラムによる部品搭載の所要時間を計算すると共に、各クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を取得し、全クラスタ内の部品搭載所要時間と、全クラスタ間の段取り替え所要時間とを合計して、全生産終了予定時間を算出する手段を備えたことにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0012】
本発明は、又、前記段取り替えの所要時間を、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンについて保存されている段取り替え実績時間として取得するようにしてもよい。
【0013】
本発明は、又、前記段取り替えの所要時間を、各フィーダ毎に設定してある基準時間を対象フィーダ分加算した段取り替え計算時間としてするようにしてもよい。
【0014】
請求項4の発明は、複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載する部品実装機を備えた部品実装システムにおいて、クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンについて保存されている実績時間と、各フィーダ毎に設定してある基準時間を対象フィーダ分加算した段取り替え計算時間としてそれぞれ取得すると共に、両者の差分を段取り替え作業の改善可能時間として算出する手段を備えたことにより、前記第2の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、全クラスタ内の部品搭載の所要時間と、全クラスタ間の段取り替え所要時間とを合計して、全生産終了予定時間を算出できるようにしたので、オペレータはその後の作業計画を立案することができるようになる。
【0016】
請求項4の発明によれば、段取り替え所要時間を、保存されている実績時間と基準時間を加算した計算時間として取得するようにしたので、両者間の差分を生産効率の改善指針としてオペレータに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施形態の説明に使用する参考例の部品実装システムの概要を示す平面図
【図2】本参考例の部品実装システムを構成する部品実装機の制御系を含む概要を示すブロック図
【図3】本参考例の部品実装システムを構成する部品実装機を管理するホストコンピュータの概要を示すブロック図
【図4】段取り替えを要するフィーダの表示イメージの一例を示す説明図
【図5】生産完了予定時間の表示イメージの一例を示す説明図
【図6】本参考例の作用を示すフローチャート
【図7】本発明に係る第1実施形態の部品実装システムの概要を示すブロック図
【図8】基本データの求め方を示す説明図
【図9】全生産終了予定時間の算出例を示す説明図
【図10】本発明に係る第2実施形態における処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、図面を参照して、本発明に係る実施の形態を説明するための参考例について詳細に説明する。
【0019】
図1には、2台の部品実装機(マウンタ)1、1’が制御装置6(ホストコンピュータ)によって制御され、基板を生産する部品実装システムの概要を示す。
【0020】
部品実装機1のフィーダバンク3には、5個のフィーダA、B、C、D、Eがフィーダ位置3A、3B、3C、3D、3Eに、またフィーダバンク3’には、5個のフィーダa、b、c、d、eがフィーダ位置3a、3b、3c、3d、3eにそれぞれ装着されている。
【0021】
また、部品実装機1’のフィーダバンク7には、5個のフィーダF、G、H、J、Kがフィーダ位置7F、7G、7H、7J、7Kに、またフィーダバンク7’には5個のフィーダf、g、h、j、kがフィーダ位置7f、7g、7h、7j、7kにそれぞれが取り付けられている。
【0022】
各バンク3、3’、7、7’のフィーダは、矢印の方向に搬送路4に沿って搬送される基板2、5に搭載するための各種部品を収納する。一つのフィーダには、同じ種類の部品が収納されており、部品種類が異なると、異なるフィーダに収納されるので、部品種類の数だけフィーダが用意される。
【0023】
図2には、部品実装機1の制御系を含む構成が図示されており、部品実装機1’も同様な構成となっている。部品実装機1は、全体の部品実装を制御するCPU11a、各種制御プログラムやデータを格納したROM11c、制御データ、処理データを格納し作業領域を提供するRAM11bから構成される制御部11を有している。
【0024】
また、部品実装機1には、ホストコンピュータ6との間でデータ送受信が可能なデータ送受信部16が設けられており、該ホストコンピュータ6から送信されてくる生産プログラムデータは、このデータ送受信部16を介して受信され、データ記憶部15に格納される。制御部11は、ホストコンピュータ6から送信される生産プログラムデータ並びにデータ入力部13を介して入力されるデータに従って、X/Y駆動部及びその他の駆動部12を駆動して、吸着ヘッド(不図示)をフィーダに移動させ、そこでフィーダから供給される電子部品を吸着ヘッドにより吸着させる。吸着された部品は、カメラを備えた画像認識部14で吸着姿勢が認識され、位置が補正された後、搬送路4に沿って搬送される基板2、5の所定個所に移動して基板上に実装される。
【0025】
ホストコンピュータ6は、図3に図示したように、制御部61、データ出力部64、データ入力部65、データ記憶部66、データ送受信部67から構成されている。制御部61はCPU61a、RAM61b、ROM61cを有し、データ出力部64からはホストコンピュータ6の状態を示すデータが出力される。また、データ入力部65からキーボードなどの入力手段を介して生産プログラムデータなどが入力され、またデータ送受信部67からは部品実装機1からのデータが受信され、これらのデータはデータ記憶部66に格納できるようになっている。RAM61b、ROM61c、或いはデータ記憶部66にはオペレーティングシステムプログラム(OS)や本参考例の部品実装システムを制御するためのプログラムや各種のデータが格納される。
【0026】
生産プログラムデータは、部品実装機1ないし1’上で基板を生産するための各種データであり、基板に関するデータ、搭載位置に関するデータ、部品に関するデータ(例えば縦横高さの寸法)、吸着位置に関するデータ、画像認識用の情報等、接着剤の塗布に関するデータ等から構成され、複数種類の基板を生産するとき、データ入力部65を介して各基板毎に生産プログラム(データ)が作成される。
【0027】
生産プログラムは、部品実装のタクトタイムが短くなるように、部品を収納、供給するフィーダの取付け位置、基板への部品の搭載順序を考慮して最適化して作成される。また、複数種類の基板を生産する場合、複数の生産プログラムを効率良く最短時間で実施できるように、所定数の生産プログラムをあたかも1本のプログラムのようにして(クラスタ化して)、クラスタ化された生産プログラム内では、基板の種類が変わってもフィーダの再配置ないし交換等の段取り替えが必要とならないように、生産プログラムデータがクラスタに分けて編集される。
【0028】
以上の部品実装機1、1’とこれらを管理するホストコンピュータ6等により構成される本参考例の部品実装システムにおいては、上述したように複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載して実装基板の生産を行なう。
【0029】
又、本参考例の部品実装システムは、次に実行する生産プログラムが、クラスタの先頭であるか否かを判定する先頭プログラム判定手段と、該判定手段により先頭プログラムと判定された生産プログラムは、段取り替え終了の確認を条件に実行させる生産開始手段と、前記判定手段により先頭プログラムではないと判定された生産プログラムは、前記部品実装機にダウンロードして自動的に実行させる自動生産手段と、を備えている。これらの各手段は、生産開始手段に各部品実装機1、1’に設置されているスタートボタン(図示せず)が含まれる以外は、ホストコンピュータ6においてソフトウェアにより実現されている。
【0030】
又、本参考例においては、図4にイメージを示すように、前のクラスタに使用した部品種と次のクラスタに使用する部品種とを比較し、段取り替えするフィーダを表示させる手段を備えていると共に、図5にイメージを示すように、一のクラスタ内に含まれる全ての生産プログラムによる部品搭載の所要時間を計算し、生産終了予定時間を表示させる手段を備えている。これらの各手段も、同様にホストコンピュータ6においてソフトウェアにより実現されており、図示したイメージは、後に詳述するようにその画面上に表示されるようになっている。
【0031】
次に、本参考例の作用を、図6のフローチャートに従って説明する。
【0032】
本参考例においては、生産プログラムが複数本予約されると、前記ホストコンピュータ6が有している生産計画機能により、これら生産プログラムに対して最適化が実行され、クラスタ化が行なわれる(ステップ1)。このクラスタ化については、例えば特開2003−229696号公報に説明されている。
【0033】
このクラスタ化により同一クラスタに分類された生産プログラムは、段取り替えの必要が無く、必要なフィーダを初めに設定すると、部品切れが発生しない限りはそのまま生産することが可能である。
【0034】
上記ステップ1で予約された複数の生産プログラムに対してクラスタ化と、部品の搭載タクトが最短になるようにフィーダ配置を決定する最適化が実行されると、このクラスタ最適化された生産プログラムに関するクラスタデータが作成される(ステップ2)。
【0035】
このようにクラスタデータが作成され、生産が開始されると、ホストコンピュータ6では前記先頭プログラム判定手段により、次の生産に使用する生産プログラムがクラスタの中の先頭プログラムであるか否かを判定する(ステップ3)。この判定は、生産計画時に設定された順番に基づいて行なわれる。
【0036】
先頭プログラムであると判定された場合は、その生産プログラムを各部品実装機1、1’にダウンロードする(ステップ4)と共に、このクラスタに必要な部品(フィーダ)を準備させるために図示しないダイヤログ表示により段取り替えを促す(ステップ5)。
【0037】
ホストコンピュータ6は、オペレータによる段取り替えが終了したことを確認した後(ステップ6)、各部品実装機1、1’における生産をスタートさせる。即ち、ホストコンピュータ6が、クラスタの先頭にある生産プログラムと判断した場合には、段取り替えが完了しているか否かをオペレータに確認させる必要がある。そのため、前記生産開始手段では、段取り替え完了(終了)の確認を条件に該生産プログラムを実行させるために、オペレータの判断により生産をスタートさせる(ステップ7)。具体的には、各部品実装機1、1’において、オペレータが図示しないスタートボタンを押して生産をスタートさせる。
【0038】
一方、前記ステップ3で先頭プログラムではなく、同一クラスタ内に含まれる2番目以降の生産プログラムと判定された場合には、前記自動生産手段により、ホストコンピュータ6から部品実装機1、1’にその生産プログラムをダウンロードする(ステップ8)場合に、自動的に該ホストコンピュータ6から各部品実装機1、1’に生産スタートコマンドを通知する(ステップ9)。このように生産プログラムのダウンロードと共にスタートコマンドを送信することにより、自動的に生産を開始させる。
【0039】
以上のように、オペレータによる手動スタート(ステップ7)により生産を開始した場合は、それ以降は同一クラスタ内で部品交換が必要とならないために、同種の基板生産が終了した場合には(ステップ10)、同一クラスタ内の間は自動的に(ステップ11、3)、その生産プログラムを前記ステップ8によりホストコンピュータ6よりダウンロードし、前記ステップ9により各部品実装機1、1’側に生産スタートコマンドを通知し、生産を自動的にスタートさせる。以上の生産動作を、全てのクラスタについて完了するまで繰り返す(ステップ12)。
【0040】
このようにすることにより、同一クラスタ内では、2番目以降の生産プログラムについては生産を自動的に行なうことができるため、生産効率を大幅に向上することができる。
【0041】
又、本参考例においては、ホストコンピュータ6では、前記図4に示したように、段取り替えが必要な部品に関する対象フィーダを、部品実装機を単位に色替えしながら画面上に表示するようになっている。
【0042】
これは、使用する部品種に関する、前回のクラスタデータと、次回のクラスタデータとを比較して、部品種が異なる対象フィーダを求め、それを変更が必要なフィーダ(部品)としてビジュアルに表示する。図には、前回のクラスタ1のフィーダ配列から次回のクラスタ2のフィーダ配列に移行する際、変更する必要のあるフィーダ(B、D、F)は、例えば赤で変更先のフィーダと共に表示し、変更しないフィーダ(A、C、E)は、例えば青で表示されるようになっている。
【0043】
このように、段取り替え時の変更内容がホストコンピュータ6側に色替えして表示されるようにしたため、前記ステップ5、6においてオペレータが段取り替えをする際に、作業工数を削減すると共に、生産効率を向上させることが可能であり、更に段取り替えの作業ミスを削減することもできる。
【0044】
又、前記図5に示したように、同一クラスタ内での生産終了予定時間を出力することができるようになっている。この生産終了時間は、クラスタを作成する際の最適化起動時(生産計画時)に、各部品実装機1、1’における基板1枚当りの生産動作時間をシミュレーションしているため、その時間を該当する基板の枚数を乗じて算出し、同一クラスタ内全ての生産プログラムに対して積算することにより表示することが可能となる。従って、一つのクラスタについては生産が終了するまでオペレータがその生産に係り切りにならずに済むため、該オペレータの作業工数を削減することができ、しかも、図示されているように、段取り替えの予想時間をも知ることができる。
【0045】
以上詳述した本参考例によれば、同一クラスタに分類された生産プログラムについては、先頭プログラム以外は作業員がラインについていなくても自動的に基板作成を行なうことができる。
【0046】
又、別のクラスタに切り替えた場合の先頭の生産プログラムについては、段取り替えが必要なため、該生産プログラムをダウンロードした後、自動的に基板生産を行なわずに、段取り替えを促す画面を表示する。その画面上ではホストコンピュータ6の画面上に段取り替えが必要な部品に対する対象フィーダの部品を部品実装機を単位に色替えして表示するため、変更が必要な部品(フィーダ)がビジュアル化されるため、段取り替え時の作業能率を向上できると共に、作業ミスの発生を防止することができる。
【0047】
更に、同一クラスタ内では生産終了予定時間が出力され、表示されるため、段取り替えが発生する時間が明確化される。
【0048】
次に、本発明に係る第1の実施形態について説明する。
【0049】
図7は、本実施形態の部品実装システムの概要を示し、直列配置されている5台のマウンタ1〜5が、ホストコンピュータ(HLC)で管理されている。
【0050】
本実施形態の部品実装システムにおいては、クラスタが複数ある場合、各クラスタ内に含まれる全ての生産プログラムによる部品搭載の所要時間を計算すると共に、各クラスタ間で実行される段取り替え(換え)の所要時間を取得し、全クラスタ内の部品搭載所要時間と、全クラスタ間の段取り替え所要時間とを合計して、全生産終了予定時間を算出する手段が、ソフトウェアにより実現されている。
【0051】
クラスタ内の部品搭載の所要時間は、前記参考例で図5に表示させるクラスタ内の生産終了迄の時間と同様に取得できる。
【0052】
クラスタ間の段取り替えの所要時間は、過去の実績データがあれば、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンを検索し、該パターンについて保存されている実績時間を抽出して取得することができる。
【0053】
この部品実装システムには、過去の実績データとして、例えば前記図4に示したような、段取り替えの対象となるフィーダ配置を、過去の段取り替えパターンとして、例えば左端からの配置場所とフィーダ名とを組合せて、(2E、4A、6C・・・)の如く表わし、実際の所要時間と共に保存されている。
【0054】
従って、オペレータは、パターンをキーに保存データを検索し、同一の段取り替えパターンがあれば、その実績時間を段取り替え所要時間として取得できる。
【0055】
一方、検索した結果、同一の段取り替えパターンが存在しなかった場合は、フィーダ毎に設定されている段取り替え基準時間を使って算出することができる。
【0056】
本実施形態では、図8(A)に分類1〜分類10として示すように、テープ、スティック、バルク、ホルダ、テーブル等のフィーダの荷姿と大きさ(幅)等に応じて、段取り替えに要する基準時間(秒単位)が、フィーダ(供給装置)単位で設定されている。この基準時間は、経験や予想によりオペレータが任意に設定することができるようになっている。
【0057】
又、この段取り替え基準時間は、特定のフィーダの所要時間を基準にして、この基準に対する割合として他のフィーダの所要時間を設定することができるようにもなっている。
【0058】
図8(B)には、1つのマウンタに対する総段取り時間が決まっている場合の例(ここでは、900秒)を、それぞれ設定した所定の割合で、同じく1〜10に分類した場合を示す。
【0059】
従って、本実施形態においては、段取り替え所要時間を実績値として取得できると共に、実績値がないときには計算値として設定することができるようになっている。
【0060】
以上詳述した如く、本実施形態によれば、図9に、前記図7に示したマウンタについて、対応させて付記した段取りを行なう場合のイメージを示すように、クラスタ内所要時間である各生産プログラムによる生産時間を計算で求めると共に、クラスタ間の段取り替え所要時間を実績データ又は計算で求めることにより、全ての合計として、全生産終了予定時間として14,100秒(図9の表の計を参照)を求めることができる。
【0061】
従って、オペレータは、複数のクラスタからなる一連の生産が終了した後の作業計画を、確実に立てることができるようになる。
【0062】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
【0063】
本実施形態では、前記図7に示したと同様の部品実装システムにおいて、クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンについて保存されている段取り替え実績時間と、各フィーダ毎に設定してある基準時間を対象フィーダ分加算した段取り替え計算時間としてそれぞれ取得すると共に、両者の差分を段取り替え作業の改善可能時間として算出する手段が、同様にソフトウェアにより実現されている。
【0064】
この機能(手段)を、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
クラスタが切り替わり、段取り替えが発生すると(ステップ1でY)、同一のフィーダ配置からなる段取り替えパターンを、種々の段取り替えパターンについて保存されている実績データを検索し、該当する段取り替え実績時間(以下、パターン検索時間とも記す)がある場合はそれを取得する(ステップ2)と共に、同一の段取り替えパターンについて、前記図8と同様の基本時間を使って計算した算出時間(段取り替え計算時間)を取得する(ステップ3)。
【0066】
次いで、前記ステップ2でパターン検索を実行して該当するパターンがあったか否かを判定し(ステップ4)、無かった場合はフィーダ毎の基準時間の合計である算出時間を初期段取り替え時間として設定する(ステップ5)。
【0067】
ステップ4で該当するパターンがあった場合は、ステップ2によるパターン検索時間とステップ3による算出時間とを比較し(ステップ6)、パターン検索時間が長い場合は、算出時間を第1段取り替え時間に、パターン検索時間を第2段取り替え時間にそれぞれ設定する(ステップ7、8)。
【0068】
一方、ステップ6でパターン検索時間の方が短かった場合には、逆にパターン検索時間を第1段取り替え時間に、算出時間を第2段取り替え時間にそれぞれ設定する(ステップ9、10)。
【0069】
ステップ7、8の両設定時間の差分、ステップ9、10の両設定時間の差分を、それぞれ改善可能時間として算出する(ステップ11)。
【0070】
以上の本実施形態によれば、実際の段取り替え時間には、実績値を優先して設定するが、両者に差があった場合は、オペレータは基準時間の設定に問題があるのか、又は、実績時間が短縮できる可能性があるのか、改善の可能性を示唆する指標(情報)として活用することができる。
【0071】
なお、部品実装システムを構成する部品実装機の数は任意であり、又、フィーダの設置は、部品実装機の片側だけであっても良い。
【符号の説明】
【0072】
1、1’…部品実装機
3、7…フィーダバンク
6…制御装置(ホストコンピュータ)
15…データ記憶部
16…データ送受信部
65…データ入力部
66…データ記憶部
67…データ送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載する部品実装機を備えた部品実装システムにおいて、
クラスタが複数ある場合、各クラスタ内に含まれる全ての生産プログラムによる部品搭載の所要時間を計算すると共に、各クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を取得し、
全クラスタ内の部品搭載所要時間と、全クラスタ間の段取り替え所要時間とを合計して、全生産終了予定時間を算出する手段を備えたことを特徴とする部品実装システム。
【請求項2】
前記段取り替えの所要時間を、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンについて保存されている段取り替え実績時間として取得することを特徴とする請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記段取り替えの所要時間を、各フィーダ毎に設定してある基準時間を対象フィーダ分加算した段取り替え計算時間として取得することを特徴とする請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項4】
複数の生産プログラムを、フィーダの段取り替えをせずに実行可能なクラスタに分割し、クラスタを単位に順次生産プログラムを実行して、フィーダから供給される部品を、所定位置に位置決めされた基板に搭載する部品実装機を備えた部品実装システムにおいて、
クラスタ間で実行される段取り替えの所要時間を、フィーダ配置が同一の段取り替えパターンについて保存されている実績時間と、各フィーダ毎に設定してある基準時間を対象フィーダ分加算した段取り替え計算時間としてそれぞれ取得すると共に、
両者の差分を段取り替え作業の改善可能時間として算出する手段を備えたことを特徴とする部品実装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−64964(P2012−64964A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253088(P2011−253088)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【分割の表示】特願2007−86892(P2007−86892)の分割
【原出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】