説明

部品実装装置および部品実装方法

【課題】汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる部品実装装置および部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】部品供給ステージ3から取り出した半導体チップ6aを基板7に実装する部品実装装置1において、半導体チップ6aを基板7に搭載する搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11に加えて、基板7もしくは第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aに対して所定の作業を行う第2ヘッド12を備えた構成とし、第2ヘッド12に部品接着用のペーストを塗布ノズルから吐出する塗布ユニット20のほか、ペーストを転写ツールによって転写して基板に供給するペースト転写機能および基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給ステージから半導体チップなどの部品を取り出して基板に実装する部品実装装置および部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどの部品は部品供給ステージから取り出され、リードフレームや樹脂基板などの基板に実装される。このような部品の実装の形態には、部品の搭載姿勢や部品を基板に接合する方法、さらには部品の特性によって要求される実装精度などの相違によって多様なバリエーションがある。このため部品を部品供給ステージから取り出して基板に実装する実装作業を実行する部品実装装置には、実装形態に応じて異なった機能が求められる。
【0003】
例えば部品の搭載姿勢については、半導体チップはウェハ状態においては能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢でウェハシートに保持されているため、これらの半導体チップをフェイスダウン状態で基板に実装するには、半導体ウェハから取り出された半導体チップを上下反転する必要がある。このようなフェイスダウン姿勢の半導体チップを対象とする部品実装装置は、ウェハから取り出された半導体チップを上下反転する部品反転機構を備えている。また部品の接合方法として接着剤が用いられる場合には、接着剤を基板の実装位置に供給するための機能を備える必要がある。このため、このような実装形態の異なる複数種類の部品を対象とする場合には、各実装形態に対応した機能を備えた部品実装装置が用いられる(例えば特許文献1参照)。ここではウェハステージから取り出したペレットを上下反転させる回転機構や、リードフレームに接着剤を塗布する塗布機構を備えた例が示されている。
【特許文献1】特開2001−15533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで現今の電子機器製造分野においては、さらなる生産性および品質の向上を目的として、高い部品実装精度を要する高機能の部品を含む広い範囲の部品種を作業対象とすることができるよう、生産設備の汎用性の向上を計るとともに、生産性の向上のために設備数・占有面積の削減が併せて求められるようになってきている。しかしながら上述の特許文献例に示す先行技術においては、このような要請に十分に応えることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる部品実装装置および部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、部品を供給する部品供給ステージと、基板を保持する基板保持ステージと、前記部品供給ステージによって供給された前記部品を受け取って前記基板保持ステージに保持された基板に搭載する第1ヘッドと、前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行う第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを移動させて交互に前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構とを備え、前記第2ヘッドは、部品接合用のペーストを塗布ノズルから吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写ツールによって転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作
業ユニットを選択的に装着可能となっている。
【0007】
本発明の部品実装方法は、部品を供給する部品供給ステージと、基板を保持する基板保持ステージと、前記部品供給ステージによって供給された前記部品を受け取って前記基板保持ステージに保持された基板に搭載する第1ヘッドと、前記前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行う第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを移動させて交互に前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構とを備えた部品実装装置によって、複数の部品種の前記部品を前記基板に実装する部品実装方法であって、前記第2ヘッドに、部品接合用のペーストを塗布ノズルから吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写ツールによって転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを前記部品種に応じて選択的に装着して、前記所定の作業を行わせる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板保持ステージに保持された基板に部品を搭載する機能を有する第1ヘッドに加えて、基板もしくは第1ヘッドによって基板に搭載された部品に対して所定の作業を行う第2ヘッドを備えた構成とし、さらに第2ヘッドを、部品接合用のペーストを塗布ノズルから吐出して基板に供給するペースト塗布機能、ペーストを転写ツールによって転写して基板に供給するペースト転写機能および基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能な構成とすることにより、単一の装置によって多様な実装形態に対応することができ、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図、図2は本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図、図3は本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図、図4は本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図、図5は本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図、図6は本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図7,図8,図9,図10,図11は本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図、図12,図13,図14は本発明の一実施の形態の部品実装方法におけるツール交換動作の動作説明図である。
【0010】
まず図1を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は基板に半導体チップなどの部品をボンディングによって実装する機能を有するものである。図1において基台2上には、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5がY方向に配列されている。部品供給ステージ3に備えられたウェハ保持テーブル3aには、実装対象となる部品である複数の半導体チップ6aが配列された半導体ウェハ6が保持されている。ユニット集合ステージ4は、直動機構(図4に示すX軸移動機構40参照)によってX方向に往復動する移動テーブル4aに、後述するツールストッカ15、部品回収部16,較正基準マーク17,中継ステージ18、部品認識カメラ24などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。基板保持ステージ5は、基板7を保持する基板保持テーブル5aをXYテーブル機構53(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7には半導体チップ6aが実装される。
【0011】
部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5の上方には、基台2のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支
持されてY方向に架設されている。Y軸フレーム8の前面には、以下に説明する第1ヘッド11、第2ヘッド12をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するヘッド移動機構9が組み込まれている。第1ヘッド11には半導体チップ6aを保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット19が装着されており、第2ヘッド12には基板7に電子部品接合用の接着剤を塗布する機能を有する塗布ユニット20が装着されている。
【0012】
部品供給ステージ3、中継ステージ18および基板保持ステージ5の上方には、位置認識のために第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23が配設されている。第1カメラ21は部品供給ステージ3において取り出し対象の半導体チップ6aを撮像する。第2カメラ22は部品供給ステージ3から取り出されて中継ステージ18に位置補正のために仮置きされた半導体チップ6aを撮像する。また第3カメラ23は、基板保持ステージ5に保持された基板7を撮像して部品実装点の位置を認識する。またユニット集合ステージ4に配設された部品認識カメラ24は、部品供給ステージ3から取り出された半導体チップ6aを下方から撮像する。
【0013】
つぎに、図2,図3を参照して各部の構造を説明する。部品供給ステージ3はXYテーブル機構31を備えており、XYテーブル機構31の上面に装着された水平な移動プレート32には、複数の支持部材33が立設されている。支持部材33は、上面に半導体ウェハ6が装着保持される保持テーブル3aを支持している。半導体ウェハ6はウェハシート6bに複数の半導体チップ6aを所定配列で貼着した構成となっている。ウェハシート6bには、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数の半導体チップ6aが貼着保持されている。
【0014】
部品供給ステージ3には、半導体ウェハ6から半導体チップ6aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ21の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aの位置が検出される。保持テーブル3aの内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構34が配設されている。エジェクタ機構34は、ウェハシート6bの下面側から半導体チップ6aをピンで突き上げることにより、半導体チップ6aのウェハシート6bからの剥離を促進する機能を有している。半導体チップ6aの取り出し時にエジェクタ機構34を昇降させてウェハシート6bの下面に当接させることにより、後述するピックアップヘッド14による半導体チップ6aのウェハシート6bからの取り出しを容易に行うことができる。
【0015】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構31を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させる(矢印a)ことにより、ウェハシート6bに貼着された複数の半導体チップ6aのうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。なおここでは、部品供給ステージ3として、ウェハシート6bに貼着されたウェハ状態の部品を供給する方式のウェハテーブルを用いる例を示したが、複数の部品を所定の平面配列で供給する部品トレイを、ウェハテーブルと交換自在に部品供給ステージ3に配置するようにしてもよい。
【0016】
部品供給ステージ3の上方には、半導体チップ6aを吸着して保持するピックアップノズル14aを備えたピックアップヘッド14が配設されている。ピックアップヘッド14はピックアップアーム13aによって保持されており、ピックアップアーム13aは、Y軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構13から、部品供給ステージ3の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構13を駆動することにより、ピックアップアーム13aはXYZ方向に移動する(矢印b)とともに、X方向の軸廻りに回転する(矢印c)。
【0017】
これにより、ピックアップヘッド14は部品供給ステージ3の上方とユニット集合ステージ4の上方との間でY方向に移動するとともに、X方向に進退する。これによりピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップして、ユニット集合ステージ4に設けられた中継ステージ18に移送する動作を行う。また必要時には、ピックアップヘッド14をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっており、さらにピックアップアーム13aを回転させてピックアップヘッド14を反転させることにより、ピックアップノズル14aに保持した半導体チップ6aの姿勢を表裏反転させることが可能となっている(図10参照)。
【0018】
図3に示すように、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5は、ベースプレート52の上面に設けられており、ベースプレート52は基台2の上面に立設された複数の支持ポスト51によって下方から支持されている。ここでユニット集合ステージ4の詳細構造について、図4を参照して説明する。図4においてX軸移動機構40は、移動テーブル4aをX方向に移動させる機能を有しており、ベース部41に以下に説明する機構要素を配設して構成されている。ベース部41の上面にはX方向にガイドレール42aが配設されており、ガイドレール42aにスライド自在に嵌合したスライダ42bは、移動テーブル4aの下面に固着されている。
【0019】
ベース部41の両端部に立設されたブラケット43a、43bには、送りねじ45が軸支されており、送りねじ45はブラケット43bに保持されたモータ44によって回転駆動される。送りねじ45は移動テーブル4aの下面に結合されたナット部材(図示省略)に螺合しており、モータ44を正逆方向に回転駆動することにより、移動テーブル4aはX方向に往復移動する(矢印g)。これにより、移動テーブル4aに配設された以下の機能ユニットを一体的にX方向に移動させることができ、これらの機能ユニットを第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に位置させることが可能となっている。
【0020】
移動テーブル4aには、ツールストッカ15、部品回収部16、較正基準マーク17、中継ステージ18および部品認識カメラ24が集合的に配設されている。ツールストッカ15には、搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル19aなど、部品種に応じて交換されて使用される複数の作業ツールが各部品種毎に収納される。個々に収納される作業ツールには、ピックアップヘッド14に装着されるピックアップノズル14a、図5に示す転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57にそれぞれ装着される転写ツール54a、加熱・押圧ツール57aが含まれる。そしてツールストッカ15を第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に移動した状態において、第1ヘッド11、第2ヘッド12をユニット集合ステージ4に移動させることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル19a、転写ツール54a、加熱・押圧ツール57aを、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。
【0021】
すなわち、本実施の形態に示す部品実装装置1においては、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な位置に、対象となる部品の種類に応じて第1ヘッド11の搭載ユニット19に交換自在に装着される部品保持ノズル19aおよび対象となる部品の種類に応じて第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニット、すなわち転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に交換自在に装着される転写ツール54a、加熱・押圧ツール57aを収納したツールストッカ15が配置された構成となっている。このような構成を採用することにより、複数の部品種を対象として交換用のツール類が多数必要とされる場合にあっても、ツール交換機能に要する機構部の占有面積を極力小さくして、装置のコンパクト化を図ることが可能となっている。
【0022】
部品回収部16は、部品供給ステージ3から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク17は、X軸移動機構40を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ22によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0023】
中継ステージ18は、部品供給ステージ3と基板保持ステージ5との間に配置されてツールストッカ15と一体的に設けられた形態となっており、中継ステージ18には、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出された半導体チップ6aが位置補正のために載置される。中継ステージ18には中継位置[P2]が設定されており、第2カメラ22は中継位置[P2]に対応して配置されている。X軸移動機構40によって中継ステージ18を移動させることにより、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に位置させて第2カメラ22によって撮像することができ、これにより中継ステージ18に載置された半導体チップ6aの位置が検出される。
【0024】
部品認識カメラ24は撮像面24aを中継ステージ18に隣接させて配置されており、同様にX軸移動機構40を駆動することにより、撮像面24aを部品認識位置[P3]に位置させることができる。部品認識カメラ24は、部品供給ステージ3から第1ヘッド11によって直接半導体チップ6aを取り出すダイレクトピックアップ(DAF等)やフェイスダウン実装の場合に用いられる。通常のフェイスアップ実装においては、生産性を重視して第2カメラ22による認識結果を用い、部品認識カメラ24は使用しない。
【0025】
さらに、ユニット集合ステージ4には、中継ステージ18の表面をクリーニングするためのクリーニングユニット46が配設されている。図4に示すように、クリーニングユニット46は移動テーブル4aを装置手前側(図2において左側)に移動させた状態において、水平な棒状のクリーニング部材46aが中継ステージ18の上方に位置するように配置されている。クリーニング部材46aの下面には下方に延出したブラシ46bが中継ステージ18の上面に摺接するように設けられており、この状態でX軸移動機構40を駆動して移動テーブル4aを往復動させることにより、中継ステージ18の表面に付着堆積した異物がブラシ46bによって除去される。クリーニング部材46aの内部には吸引孔が設けられており、吸引配管46cを介してクリーニング部材46aの内部を真空吸引する(矢印h)ことにより、ブラシ46bによって除去された微細な異物を吸引して排出することができる。
【0026】
基板保持ステージ5は、XYテーブル機構53上に基板7を保持する基板保持テーブル5aを設けた構成となっている。基板保持ステージ5には、半導体チップ6aを基板保持テーブル5aに保持された基板7に実装するための実装作業位置[P4]が設定されており、第3カメラ23は実装作業位置[P4]に対応して配置されている。第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、基板7に設定された部品実装点7aの位置が検出される。そしてXYテーブル機構53を駆動することにより、基板保持テーブル5aは基板7とともにXY方向に水平移動し(矢印f)、基板7に設定された任意の部品実装点7aを実装作業位置[P4]に位置させることができる。
【0027】
次に、第1ヘッド11、第2ヘッド12について説明する。図2においてY軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9の前面には、第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向にガイドするための2条のガイドレール9aが設けられており、これらのガイドレール9aの間には以下に説明する第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子9bが配設されている。ガイドレール9aには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート11a、12aの背面に固着されている。
【0028】
移動プレート11a、12aの背面には、固定子9bに対向してリニアモータを構成するする可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、第1ヘッド11および第2ヘッド12はガイドレール9aによってガイドされて、それぞれY方向に移動する(矢印d)。移動プレート11a、12aの前面には、それぞれ昇降機構11b、12bが配設されており、昇降機構11b、12bの前面には昇降プレート11c、12cが垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構11b、12bを駆動することにより、昇降プレート11c、12cはそれぞれ昇降する(矢印e)。昇降プレート11cには、下部に部品保持ノズル19aを備えた搭載ユニット19が着脱自在に装着されており、昇降プレート12cには、2基の塗布ユニット20が着脱自在に装着されている。
【0029】
搭載ユニット19は部品保持ノズル19aによって実装対象の部品である半導体チップ6aを保持する機能を有しており、第1ヘッド11をY方向に水平移動させて昇降プレート11cが昇降することにより、搭載ユニット19は部品供給ステージ3から供給された半導体チップ6aを、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する。ここでは、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11による実装形態として、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され中継ステージ18上に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態(図7,図8参照)と、部品供給ステージ3の半導体チップ6aを直接搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するダイレクト実装形態(図9参照)と、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され表裏反転状態でピックアップヘッド14に保持された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態(図10参照)とを選択的に実行できるようになっている。
【0030】
すなわち搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11は、部品供給ステージ3によって供給されピックアップヘッド14によって中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを受け取って、もしくは部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップして、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する第1ヘッドとして機能する。
【0031】
第2ヘッド12に装着された塗布ユニット20は、部品接着用の樹脂接着剤であるペーストを収納したシリンジ20aおよびペーストを吐出する塗布ノズル20bを備えている。第2ヘッド12を基板保持ステージ5に保持された基板7の上方に移動させて、塗布ユニット20による塗布動作を行わせることにより、塗布ノズル20bから吐出したペーストを基板7の部品実装点7aに塗布する。なお第2ヘッド12には、図2に示す塗布ユニット20以外にも、以下に説明する転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の2種類の作業ユニットが対象となる部品種の実装形態に応じて選択的に装着される。
【0032】
次に図5を参照して、第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニットについて説明する。図5(a)、(b)は、第2ヘッド12に転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を装着した状態をそれぞれ示している。転写ユニット54は基板7にペースト56を転写により供給する機能を有するものであり、対象とする部品が小サイズで必要とされるペースト56の供給量が少量であるような場合に選択的に第2ヘッド12に装着される。
【0033】
図5(a)に示すように、転写ユニット54は転写ツール54aを備えており、ペースト56を転写膜の形態で供給する転写テーブル55とともに用いられる。転写テーブル55は、平滑な塗膜形成面55aを有する略円板形状の容器であり、塗膜形成面55aには部品接着用のペースト56の塗膜が所定の膜厚で形成されている。転写ユニット54によってペースト56を転写により供給する際には、まず転写ツール54aを転写テーブル55に対して下降させて転写ツール54aの下端部にペースト56を付着させる。次いで第
2ヘッド12を移動させて転写ユニット54を基板保持テーブル5aに保持された基板7の上方に移動させ、転写ツール54aを下降させてペースト56を転写ツール54aによって基板7の上面に転写により供給する。
【0034】
また加熱・押圧ユニット57は、搭載ユニット19によって基板7に搭載された後の半導体チップ6aを加熱しながら所定の押圧力で加圧する機能を有するものであり、DAF(ダイアタッチフィルム)が予め貼着された半導体チップ6aを実装対象とする場合に用いられる。加熱・押圧ユニット57を第2ヘッド12に装着しておくことにより、図5(b)に示すように、第1ヘッド11が搭載ユニット19によって半導体チップ6aを基板7に搭載した後に、第2ヘッド12を直ちに基板7へ移動させて、加熱・押圧ツール57aを半導体チップ6aに当接させて加熱・押圧を行うことができる。これにより、搭載ユニット19は半導体チップ6aを基板7に搭載した後に直ちに次の半導体チップ6aを搭載するための作業動作に移行することができ、搭載ユニット19によって加熱・押圧を含めた全ての作業動作を行う場合と比較して、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0035】
すなわちここでは、第2ヘッド12は基板7もしくは第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aに対して、ペースト塗布、ペースト転写、加熱・押圧などの所定の作業を行う機能を有しており、第1ヘッド11と第2ヘッド12とは交互に基板7上の作業位置にアクセスする。そして、Y軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9、すなわち固定子9bと第1ヘッド11、第2ヘッド12に備えられた可動子とで構成されるリニアモータは、第1ヘッド11および第2ヘッド12を移動させて交互に基板7上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構となっている。
【0036】
なお上記構成例では、第2ヘッド12に交換自在に装着される作業ユニットとして、それぞれ部品接合用のペースト56を塗布ノズル20bから吐出して基板7に供給するペースト塗布機能、ペースト56を転写ツール54aによって転写して基板7に供給するペースト転写機能、基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能を、それぞれ個別に有する単一機能の塗布ユニット20,転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を用いる例を示したが、これらの機能のうち2つを兼ね備えた複数機能の作業ユニットを用いてもよい。
【0037】
すなわち、本発明においては、第2ヘッド12は、ペースト塗布機能、ペースト転写機能および加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能となっている。そして、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に部品種に応じて着脱自在に装着される部品保持ノズル19a、転写ツール54a、加熱・押圧ツール57aは、前述のようにユニット集合ステージ4に配置されたツールストッカ15に収納されており(図4参照)、第1ヘッド11、第2ヘッド12をツールストッカ15にアクセスさせることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル19a、転写ツール54a、加熱・押圧ツール57aを、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。
【0038】
次に、図6を参照して制御系の構成を説明する。図6において、制御部60は、機構駆動部61を介して以下の機構部を制御する。これにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出し、さらに取り出した半導体チップ6aを基板保持ステージ5に保持された基板7に実装するための各動作が実行される。まず、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4、基板保持ステージ5を制御することにより、部品供給ステージ3におけるXYテーブル機構31やエジェクタ機構34による部品供給動作が制御され、またユニット集合ステージ4におけるX軸移動機構40の動作が制御され、さらに基板保持ステージ5におけるXYテーブル機構53の動作が制御される。
【0039】
次いで、ヘッド移動機構9、第1ヘッド11、第2ヘッド12、ピックアップヘッド移動機構13を制御することにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出すピックアップ動作や、取り出された半導体チップ6aを基板7に移送搭載してボンディングする実装動作が実行される。すなわちピックアップヘッド移動機構13を制御することによりピックアップ動作が実行され、また搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、半導体チップ6aを基板7に移送搭載する搭載動作が実行される。
【0040】
また塗布ユニット20、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の3種類の作業ユニットが選択的に装着された第2ヘッド12をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、部品接着用のペーストを塗布ノズル20bから吐出して基板に供給するペースト塗布機能、ペーストを転写ツール54aによって転写して基板に供給するペースト転写機能および基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能のいずれかが実行される。なおペースト転写機能を実行する際には、転写テーブル55が併せて制御される。
【0041】
上述の各種動作制御に際しては、制御部60が認識処理部62を制御することにより、以下の各カメラによる撮像結果の認識処理が行われる。第1カメラ21による撮像結果を認識処理することにより、部品供給ステージ3に保持された半導体ウェハ6における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構31を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置合わせすることができる。また第2カメラ22による撮像結果を認識処理することにより、中継ステージ18に載置された状態における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60が第1ヘッド11およびX軸移動機構40を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aに対して部品保持ノズル19aを正しく位置合わせすることができる。
【0042】
さらに第3カメラ23による撮像結果を認識処理することにより、基板保持テーブル5aに保持された状態における基板7の部品実装点7aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に対して位置合わせして、部品保持ノズル19aに保持された半導体チップ6aを部品実装点7aに正しく搭載することができる。そして部品認識カメラ24による撮像結果を認識処理することにより、部品保持ノズル19aに保持された状態における半導体チップ6aの位置が検出され、搭載ユニット19による搭載動作においては、この検出結果を加味して搭載時の位置補正が行われる。
【0043】
この部品実装装置1は上記のように構成されており、以下部品実装装置1による部品実装作業について説明する。まず、図7を参照して、部品供給ステージ3から取り出したフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aを、位置補正のために中継ステージ18を経由して基板保持ステージ5へ移送して実装するプリセンタ実装形態の作業動作例を説明する。この作業動作は、対象となる半導体チップ6aが高い位置精度の実装を必要とする部品種である場合に選択されるものであり、第2ヘッド12には基板7への部品実装用のペーストの供給を描画塗布によって行うために、塗布ユニット20が装着される。
【0044】
部品供給ステージ3にはフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aがウェハシート6bに複数貼着された構成の半導体ウェハ6がセットされている。ピックアップ作業位置[P1]においてウェハシート6bの下面には、エジェクタ機構34が当接して、ピックアップ動作が可能な状態となっている。また基板保持ステージ5においては、XYテーブル機構53上に設けられた基板保持テーブル5aに実装対象の基板7が保持されている。
【0045】
部品実装作業が開始されると、まずピックアップ作業位置[P1]にて第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像することにより、取り出し対象の半導体チップ6aを認識する。そしてこの認識結果に基づいて部品供給ステージ3のXYテーブル機構31を制御することにより、取り出し対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置決めし、次いでピックアップヘッド14によってこの半導体チップ6aを取り出して、中継ステージ18に載置する(矢印i)。
【0046】
そしてピックアップヘッド14が退去した後の中継ステージ18においては、半導体チップ6aを第2カメラ22によって撮像することにより、載置された半導体チップ6aを認識して位置ずれを検出する。そしてこの認識結果に基づいてX軸移動機構40を制御することにより、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に正しく位置決めする。なおここでは、X軸移動機構40によってX方向のみの位置補正が行われ、Y方向の位置補正は搭載ユニット19によって半導体チップ6aを保持する際に行われる。
【0047】
また実装作業位置[P4]にて第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、実装対象の部品実装点7aを認識し、この認識結果に基づいて基板保持ステージ5のXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に正しく位置決めする。次いで基板保持ステージ5においては第2ヘッド12を基板7上に移動させ、塗布ユニット20を基板7に対して下降させて(矢印k)、塗布ノズル20bからペーストを吐出させて基板7に描画塗布する。そしてこの後、塗布ユニット20を基板7から退避させて、実装作業位置[P4]にて第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、基板7におけるペーストの塗布状態の良否を判定するための検査が行われる。なおこの塗布状態の検査は必須ではなく省略してもよい。
【0048】
次いで第1ヘッド11を中継ステージ18に移動させて、載置された半導体チップ6aに対して搭載ユニット19を下降させ、部品保持ノズル19aによって半導体チップ6aを保持する。そして半導体チップ6aを保持した搭載ユニット19を基板保持ステージ5の上方へ移動させ、実装作業位置[P4]にて搭載ユニット19を下降させて(矢印j)、保持した半導体チップ6aを基板7に搭載する。この動作を交互に行うことにより、特に速乾性ペーストを用いる場合に効率よく生産できるが、基板7上の全ての実装位置にペーストを塗布した後に順次半導体チップ6aを実装していくようにしてもよい。
【0049】
図8は、上述の中継ステージ18経由の搭載動作を、部品接着のために必要とされるペースト量が少ない小サイズの半導体チップ6aを対象として行う場合の例を示している。ここでは、第2ヘッド12には塗布ユニット20に替えて図5(a)に示す転写ユニット54を装着し、転写ツール54aによって転写により基板7にペーストを供給する。この場合には、転写テーブル55(図5(a)参照)を第2ヘッド12の下方に装着しておき、まず転写ツール54aを転写ユニット54に対して下降させて、転写ツール54aの下端部にペースト56を付着させる。次いで第2ヘッド12を基板7の上方に移動させ、転写ユニット54を下降させて(矢印l)、転写ツール54aに付着したペースト56を基板7に転写により供給する。
【0050】
次に、図9を参照して、部品供給ステージ3から第1ヘッド11の搭載ユニット19によって取り出したフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aを、中継ステージ18を経由せずに基板保持ステージ5へ直接移送して搭載するダイレクト実装形態の作業動作例を説明する。図9において、部品供給ステージ3にはフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aがウェハシート6bに複数貼着された構成の半導体ウェハ6がセットされている。ピックアップ作業位置[P1]において、ウェハシート6bの下面にはエジェクタ機構34が当接
して、ピックアップ動作が可能な状態となっている。また基板保持ステージ5においては、XYテーブル53上に設けられた基板保持テーブル5aに実装対象の基板7が保持されている。
【0051】
部品実装作業が開始されると、まずピックアップ作業位置[P1]にて第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像することにより、取り出し対象の半導体チップ6aを認識し、この認識結果に基づいて部品供給ステージ3のXYテーブル31を制御することにより、取り出し対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置決めする。これとともに、実装作業位置[P4]にて第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、実装対象の部品実装点7aを認識し、この認識結果に基づいて基板保持ステージ5のXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に正しく位置決めする。
【0052】
次に搭載ユニット19を部品供給ステージ3の上方まで移動させてピックアップ作業位置[P1]に位置させ、次いで半導体ウェハ6に対して下降させ、部品保持ノズル19aによって取り出し対象の半導体チップ6aを保持して、ウェハシート6bから剥離させる。また基板保持ステージ5においては、塗布ユニット20が実装作業位置[P4]へ移動して、基板7に対して下降することにより(矢印n)、塗布ノズル20bを基板7の部品実装点7aに接近させてペーストの描画塗布動作を行う。これにより基板7の部品実装点7aには部品実装用のペーストが塗布され、この後塗布ユニット20は待機位置に移動する。
【0053】
そして部品保持ノズル19aに半導体チップ6aを保持した搭載ユニット19は、ピックアップ作業位置[P1]から基板保持ステージ5の上方へ向かって移動し、実装作業位置[P4]にて搭載ユニット19を下降させることにより、保持した半導体チップ6aを基板7に搭載する(矢印m)。なお、半導体チップ6aのサイズが小さく、必要とされるペースト量が少量である場合には、上述の塗布ユニット20による描画塗布に替えて、図8に示す作業動作例と同様に、第2ヘッド12に転写ユニット54を装着して転写によるペーストの供給を行うようにしてもよい。この場合は特にDAF実装のときなど半導体チップ6aを中継ステージ18に載置したくない場合に好適である。
【0054】
次に、図10を参照して、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出したフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aを、上下反転させてフェイスダウン姿勢にした後に、基板保持ステージ5へ移送して実装するフェイスダウン実装形態の作業動作例を説明する。図10において、部品供給ステージ3にはフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aがウェハシート6bに複数貼着された構成の半導体ウェハ6がセットされており、ピックアップ作業位置[P1]においてウェハシート6bの下面にはエジェクタ機構34が当接している。また基板保持ステージ5においては、XYテーブル53上に設けられた基板保持テーブル5aに実装対象の基板7が保持されている。
【0055】
部品実装作業が開始されると、まずピックアップ作業位置[P1]にて第1のカメラ21によって半導体ウェハ6を撮像することにより、取り出し対象の半導体チップ6aを認識する。そしてこの認識結果に基づいて部品供給ステージ3のXYテーブル31を制御することにより、取り出し対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置決めする。これとともに、実装作業位置[P4]にて第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、実装対象の部品実装点7aを認識し、この認識結果に基づいて基板保持ステージ5のXYテーブル53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に正しく位置決めする。
【0056】
次にピックアップヘッド14を部品供給ステージ3の上方まで移動させてピックアップ
作業位置[P1]に位置させ、次いで半導体ウェハ6に対して下降させてピックアップノズル14aによって、取り出し対象の半導体チップ6aを保持して、半導体ウェハ6から剥離させる。この後、ピックアップヘッド6は半導体チップ6aを保持した状態でユニット集合ステージ4の上方へ移動し(矢印o)、ここでピックアップヘッド移動機構13に内蔵された反転駆動部(図示省略)を作動させることにより、ピックアップヘッド14をピックアップアーム13a廻りに180度回転させる。
【0057】
これにより、半導体チップ6aを保持したピックアップノズル14aが上向きとなって、半導体チップ6aは能動面を下向きにしたフェイスダウン姿勢となる。また基板保持ステージ5においては、塗布ユニット20が実装作業位置[P4]へ移動して基板7に対して下降することにより(矢印q)、塗布ノズル20bを基板7の部品実装点7aに接近させて塗布動作を行う。これにより、基板7の部品実装点7aにはアンダーフィル用のペーストが塗布され、この後塗布ユニット20は待機位置に移動する。また搭載ユニット19はユニット集合ステージ4の上方へ移動してピックアップヘッド14の直上に位置し、次いでピックアップヘッド14に対して下降することにより、ピックアップノズル14aに保持されたフェイスダウン姿勢の半導体チップ6aを部品保持ノズル19aによって受け取る。
【0058】
この後、部品認識位置[P3]にて部品認識カメラ24によって部品保持ノズル19aに保持された半導体チップ6aを撮像することにより、搭載ユニット19に保持された状態における半導体チップ6aの位置ずれを認識する。次いで第1ヘッド11を基板7上へ移動させて搭載ユニット19を実装作業位置[P4]にて下降させることにより、保持した半導体チップ6aを基板7に搭載する(矢印p)。このとき、部品認識カメラ24による部品認識によって検出された位置ずれが補正される。
【0059】
次に図11を参照して、実装対象の半導体チップ6aが、裏面に部品接合用のDAF(ダイアタッチフィルム)が予め貼着されたチップである場合の実装作業例について説明する。この場合には、第2ヘッド12には図5(b)に示す加熱・押圧ユニット57が装着され、第2ヘッド12は第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能を有するものとなる。
【0060】
部品供給ステージ3にはフェイスアップ姿勢の半導体チップ6aがDAF層を介してウェハシート6bに複数貼着された構成の半導体ウェハ6がセットされている。ピックアップ作業位置[P1]においてウェハシート6bの下面には、エジェクタ機構34が当接して、ピックアップ動作が可能な状態となっている。また基板保持ステージ5においては、XYテーブル53上に設けられた基板保持テーブル5aに実装対象の基板7が保持されている。
【0061】
部品実装作業が開始されると、まずピックアップ作業位置[P1]にて第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像することにより、取り出し対象の半導体チップ6aを認識する。そしてこの認識結果に基づいて部品供給ステージ3のXYテーブル31を制御することにより、取り出し対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置決めし、次いでピックアップヘッド14によってこの半導体チップ6aをDAF層とともにピックアップし(部品ピックアップ工程)、中継ステージ18に部品供給ステージ3からピックアップされた部品を載置する(部品載置工程)(矢印r)。
【0062】
そしてピックアップヘッド14が退去した後の中継ステージ18においては、半導体チップ6aを第2カメラ22によって撮像することにより、載置された半導体チップ6aを認識して位置ずれを検出する。そしてこの認識結果に基づいてX軸移動機構40を制御することにより、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に正
しく位置決めする。なおここでは、X軸移動機構40によってX方向のみの位置補正が行われ、Y方向の位置補正は搭載ユニット19によって半導体チップ6aを保持する際に行われる。
【0063】
また実装作業位置[P4]にて第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、実装対象の部品実装点7aを認識し、この認識結果に基づいて基板保持ステージ5のXYテーブル53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に正しく位置決めする。次いで第1ヘッド11を中継ステージ18に移動させて、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって受け取って、基板保持ステージ5に保持された基板7に位置合わせして搭載する(部品搭載工程)。すなわち、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aに対して搭載ユニット19を下降させ、部品保持ノズル19aによって半導体チップ6aを保持する。そして半導体チップ6aを保持した搭載ユニット19を基板保持ステージ5の上方へ移動させ、実装作業位置[P4]にて搭載ユニット19を下降させて(矢印s)、保持した半導体チップ6aを基板7に搭載する。
【0064】
そしてこの後、搭載ユニット19が上昇して第1ヘッド11が基板7上から退去したならば、第2ヘッド12が第1ヘッド11と共通のヘッド移動機構9によって移動し、第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aを、加熱・押圧機能を有する加熱・押圧ユニット57が装着された第2ヘッド12によって加熱しながら、基板7に対して押圧する(加熱・押圧工程)。すなわち、加熱・押圧ユニット57が装着された第2ヘッド12を基板7上に移動させ、次いで加熱・押圧ユニット57を下降させて、加熱・押圧ツール57aによって半導体チップ6aを加熱・押圧する本圧着動作を行う(図5(b)参照)。そしてこの状態を所定時間継続することにより、半導体チップ6aはDAF層が熱硬化した接着層によって基板7に固着され、実装が完了する。
【0065】
この実装作業動作において、搭載ユニット19は半導体チップ6aを加熱・押圧する動作を行う必要がないことから、半導体チップ6aを基板7に搭載した後に直ちに中継ステージ18に移動して、次の半導体チップ6aを受け取る動作に移行することができる。そして半導体チップ6aを受け取った搭載ユニット19は、加熱・押圧ユニット57による本圧着動作が完了するまで至近位置で待機し、本圧着動作が完了後に直ちに半導体チップ6aを基板7に搭載する。これにより、DAF層の熱硬化のための本圧着動作に時間を要するタイプの部品を対象とする場合にあっても、高い生産効率を実現することが可能となっている。
【0066】
なお、上述例ではピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3からピックアップされ中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって受け取るプリセンタ実装形態の例を示しているが、部品供給ステージ3の上方に第1ヘッド11を移動させて搭載ユニット19によって直接部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップするダイレクト実装形態を採用してもよい。この場合には、上述の部品ピックアップ工程、部品載置工程、部品搭載工程を、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを第1ヘッド11によってピックアップする部品ピックアップ工程と、ピックアップされた半導体チップ6aを第1ヘッド11によって基板保持ステージ5に保持された基板7に位置合わせして搭載する部品搭載工程とによって置き換えた形態となる。
【0067】
上述の図7〜図11に示すように、複数の部品種の半導体チップ6aなどの部品を同一の部品実装装置1によって基板7に実装する部品実装方法においては、第2ヘッド12に、部品接合用のペースト56を塗布ノズル20bから吐出して基板7に供給するペースト塗布機能、ペースト56を転写ツール54aによって転写して基板7に供給するペースト転写機能および基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧
する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを、部品種に応じて選択的に搭載して所定の作業を行わせる形態となっている。
【0068】
次に、図12,図13,図14を参照して、上述の部品実装作業を継続して実行する過程において行われるツール交換動作について説明する。このツール交換動作は、実装作業の対象となる部品種が切り換えられる度に、第1ヘッド11、第2ヘッド12に装着された作業ユニットにおいて部品種に対応した作業ツールに交換するものである。
【0069】
まず図12は、図7、図10に示す実装作業例において、ピックアップヘッド14のピックアップノズル14a、搭載ユニット19の部品保持ノズル19aを交換するツール交換動作を示している。すなわち、実装作業において部品種が変更されたならば、ピックアップヘッド14および搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11を、ピックアップノズル14a、部品保持ノズル19aが収納されたツールストッカ15に順次アクセスさせる。そしてピックアップヘッド14および搭載ユニット19にツール交換動作を行わせることにより、ピックアップヘッド14、搭載ユニット19のいずれかまたは双方には、必要に応じて新たな部品種に対応したピックアップノズル14a、部品保持ノズル19aが装着される。
【0070】
図13は、図8に示す実装作業例において、ピックアップヘッド14のピックアップノズル14a、搭載ユニット19の部品保持ノズル19aに加えて、転写ユニット54の転写ツール54aを交換するツール交換動作を示している。すなわち、実装作業において部品種が変更されたならば、ピックアップヘッド14、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11、および転写ユニット54が装着された第2ヘッド12を、ピックアップノズル14a、部品保持ノズル19a、転写ツール54aが収納されたツールストッカ15に順次アクセスさせる。そしてピックアップヘッド14、搭載ユニット19、転写ユニット54にツール交換動作を行わせることにより、ピックアップヘッド14、搭載ユニット19および転写ユニット54のいずれかまたは全てには、必要に応じて新たな部品種に対応したピックアップノズル14a、部品保持ノズル19a、転写ツール54aが装着される。
【0071】
そして図14は、図8に示す実装作業例において、ピックアップヘッド14のピックアップノズル14a、搭載ユニット19の部品保持ノズル19aに加えて、加熱・押圧ユニット57の加熱・押圧ツール57aを交換するツール交換動作を示している。すなわち、実装作業において部品種が変更されたならば、ピックアップヘッド14、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11、および加熱・押圧ユニット57が装着された第2ヘッド12を、ピックアップノズル14a、部品保持ノズル19a、加熱・押圧ツール57aが収納されたツールストッカ15に順次アクセスさせる。そしてピックアップヘッド14、搭載ユニット19、加熱・押圧ユニット57にツール交換動作を行わせることにより、ピックアップヘッド14、搭載ユニット19および加熱・押圧ユニット57のいずれかまたは全てには、必要に応じて新たな部品種に対応したピックアップノズル14a、部品保持ノズル19a、加熱・押圧ツール57aが装着される。
【0072】
すなわち上記動作例においては、半導体チップ6aの部品種が変更されたならば、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な位置に中継ステージ18と一体的に設けられ対象となる半導体チップ6aの種類に応じて第1ヘッド11に交換自在に装着される部品保持ノズル19aおよび対象となる半導体チップ6aの種類に応じて第2ヘッド12に交換自在に装着される加熱・押圧ツール57aを収納したツールストッカ15に、第1ヘッド11および第2ヘッド12をアクセスさせて、部品保持ノズル19aおよびまたは加熱・押圧ツール57aを交換するようにしている。
【0073】
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装装置1は、基板保持ステージ5に保持された基板7に半導体チップ6aを搭載する機能を有する第1ヘッド11に加えて、基板7もしくは第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aに対して所定の作業を行う第2ヘッド12を備えた構成とし、さらに第2ヘッド12を、ペースト塗布機能、ペースト転写機能および加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に搭載可能な構成としている。これにより、単一の装置によって多様な実装形態に対応することができ、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の部品実装装置は、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができるという特徴を有し、リードフレームや樹脂基板などに部品を実装する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図8】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図9】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図10】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図11】本発明の一実施の形態の部品実装方法を示す工程説明図
【図12】本発明の一実施の形態の部品実装方法におけるツール交換動作の動作説明図
【図13】本発明の一実施の形態の部品実装方法におけるツール交換動作の動作説明図
【図14】本発明の一実施の形態の部品実装方法におけるツール交換動作の動作説明図
【符号の説明】
【0076】
1 部品実装装置
3 部品供給ステージ
4 ユニット集合ステージ
4a 移動テーブル
5 基板保持ステージ
5a 基板保持テーブル
6 半導体ウェハ
6a 半導体チップ
7 基板
7a 部品実装点
8 Y軸フレーム
9 ヘッド移動機構
11 第1ヘッド
12 第2ヘッド
13 ピックアップヘッド移動機構
14 ピックアップヘッド
15 ツールストッカ
18 中継ステージ
19 搭載ユニット
19a 部品保持ノズル
20 塗布ユニット
20b 塗布ノズル
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 第3カメラ
24 部品認識カメラ
31 XYテーブル機構
40 X軸移動機構
53 XYテーブル機構
54 転写ユニット
54a 転写ツール
55 転写テーブル
56 ペースト
57 加熱・押圧ユニット
57a 加熱・押圧ツール
[P1] ピックアップ作業位置
[P2] 中継位置
[P3] 部品認識位置
[P4] 実装作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給ステージと、基板を保持する基板保持ステージと、
前記部品供給ステージによって供給された前記部品を受け取って前記基板保持ステージに保持された基板に搭載する第1ヘッドと、
前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行う第2ヘッドと、
前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを移動させて交互に前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構とを備え、
前記第2ヘッドは、部品接合用のペーストを塗布ノズルから吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写ツールによって転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能となっていることを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な位置に、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッドに交換自在に装着される部品保持ツールおよび対象となる部品の種類に応じて前記作業ユニットに交換自在に装着される作業ツールを収納したツールストッカが配置されていることを特徴とする請求項1記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記基板保持ステージと前記部品供給ステージとの間に配置され前記部品供給ステージから取り出された部品が載置される中継ステージと、
前記部品供給ステージから前記部品をピックアップして前記中継ステージに移送するピックアップヘッドと、
前記ピックアップヘッドを前記部品供給ステージの上方と前記中継ステージの上方との間で移動させるピックアップヘッド移動機構とをさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ツールストッカは、前記中継ステージと一体的に設けられていることを特徴とする請求項3記載の部品実装装置。
【請求項5】
部品を供給する部品供給ステージと、基板を保持する基板保持ステージと、前記部品供給ステージによって供給された前記部品を受け取って前記基板保持ステージに保持された基板に搭載する第1ヘッドと、前記前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行う第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを移動させて交互に前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構とを備えた部品実装装置によって、複数の部品種の前記部品を前記基板に実装する部品実装方法であって、
前記第2ヘッドに、部品接合用のペーストを塗布ノズルから吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写ツールによって転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを前記部品種に応じて選択的に装着して、前記所定の作業を行わせることを特徴とする部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−123770(P2010−123770A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296350(P2008−296350)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】