説明

部品実装装置

【課題】実装タクトの向上と装置全体のコンパクト化を図ることが可能な部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】部品供給部15より供給される部品4を吸着して表裏を反転させる反転ヘッド16が、ひとつのモータ35によって水平面内で回転駆動されるインナーシャフト34と、インナーシャフト34の回転動力を伝達してノズル部16aをインナーシャフト34の回転中心軸J回りに回転させるとともに、ノズル部16aの回転によってノズル部16aが下方又は上方を向いた状態でノズル部16aをインナーシャフト34の回転中心軸Jと直交する一の方向に移動させる回転動力伝達機構50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転ヘッドにより表裏を反転させた部品を装着ヘッドにより受け取って基板に装着する部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着する部品実装装置の中には、部品供給部より供給される部品を反転ヘッドにより吸着して表裏を反転させ、その表裏反転させた部品を装着ヘッドにより受け取って基板に装着するフリップチップボンダー型のものが知られている。
【0003】
このようなフリップチップボンダー型の部品実装装置が備える反転ヘッドは、部品供給部より供給される部品の上方でノズル部を下動させて部品を吸着した後にノズル部を上動させ、次いでノズル部を上下反対にして部品の表裏を反転させた後、ノズル部を上動させて装着ヘッドに部品を受け渡す。このため反転ヘッドはノズル部が下方又は上方に向くようにノズル部を回転させる回転機構と、ノズル部が下方又は上方に向いた状態でノズル部を上動及び下動させる上下動機構とを備えるほか、回転機構を駆動するためのモータと、上下動機構を駆動するためのモータとの2つのモータを備えていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−110821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、反転ヘッドは部品供給部における部品の吸着地点と装着ヘッドへの受け渡し地点との間を高速で移動する必要があり、移動の開始時及び停止時に慣性力によってモータが揺れることから生じる振動を低減するために反転ヘッドの移動速度を低下させざるを得ず、その分実装タクトが低下するおそれがあるほか、モータ2つ分の取り付けスペースを確保する必要があることから部品実装装置全体のコンパクト化が妨げられるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、実装タクトの向上と装置全体のコンパクト化を図ることが可能な部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板に装着する部品の供給を行う部品供給部と、部品供給部より供給される部品を吸着して表裏を反転させる反転ヘッドと、反転ヘッドにより表裏反転された部品を受け取って基板位置決め部に位置決めされた基板に装着する装着ヘッドとを備え、反転ヘッドは、部品供給部より供給される部品の上方でノズル部を下動させて部品を吸着した後にノズル部を上動させ、次いでノズル部を上下反対にして部品の表裏を反転させた後、ノズル部を上動させて装着ヘッドに部品を受け渡す動作を行う部品実装装置であって、反転ヘッドは、ひとつのモータによって水平面内で回転駆動されるシャフト部材と、シャフト部材の回転動力を伝達してノズル部をシャフト部材の回転中心軸回りに回転させるとともに、ノズル部の回転によってノズル部が下方又は上方を向いた状態でノズル部をシャフト部材の回転中心軸と直交する一の方向に移動させる回転動力伝達機構とを備えた。
【0008】
請求項2に記載の部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置であって、回転動力伝達機構は、シャフト部材と同軸でシャフト部材に対して相対回転自在に支持された回転部材と、回転部材の端部に設けられ、シャフト部材の回転中心軸と直交する面内を延びる一の方向にノズル部を移動自在に支持するノズル部支持部材と、ノズル部とノズル部支持部材とを連結し、ノズル部をノズル部支持部材に対する基準位置に付勢する付勢部材と、シャフト部材が回転したときにシャフト部材と一体に回転することによってノズル部をノズル部支持部材及び回転部材とともにシャフト部材の回転中心軸回りに回転させるノズル部回転駆動部材と、シャフト部材の回転によって回転する回転部材に当接してノズル部が下方又は上方に至ったときに回転部材の回転を規制するストッパとを備えて成り、回転部材がストッパに当接してノズル部が下方又は上方を向いた後、回転部材がストッパに当接した状態が維持される方向にシャフト部材が回転部材に対して相対回転することにより、ノズル部が前記基準位置から前記付勢部材の付勢力に抗して前記一の方向に移動するようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、反転ヘッドが、ひとつのモータによって水平面内で回転駆動されるシャフト部材の回転動力を伝達してノズル部をシャフト部材の回転中心軸回りに回転させるとともに、ノズル部の回転によってノズル部が下方又は上方を向いた状態でノズル部をシャフト部材の回転中心軸と直交する方向に移動させる回転動力伝達機構を備えたものとなっており、ノズル部が下方又は上方を向くようにノズル部を回転させる回転機構の駆動とノズル部が下方又は上方に向いた状態でノズル部を上動及び下動させる上下動機構の駆動とをひとつのモータで行うようになっているので、重量軽減による反転ヘッドの移動速度の増大に伴う実装タクトの向上と、モータの取り付けスペースの削減による装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える反転ヘッドの斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える反転ヘッドの(a)平面図(b)一部断面側面図
【図4】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える反転ヘッドの分解斜視図
【図5】(a)(b)反転ヘッドの断面背面図
【図6】(a)(b)(c)(d)(e)(f)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える反転ヘッドの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すフリップチップボンダー型の部品実装装置1は、基板2上の目標装着部位3に部品(電子部品:チップ)4を装着する装置であり、基台11上に基板搬送コンベア12、基板移載ヘッド13、基板位置決め部14、部品供給部15、反転ヘッド16、装着ヘッド17及び位置合わせカメラ18を備えている。
【0012】
図1において、基板搬送コンベア12は一対のベルトコンベア機構から成り、基板2を水平面内方向に搬送する。ここで、説明の便宜上、基板搬送コンベア12による基板2の搬送方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向のうち図1の紙面手前側を前方、図1の紙面奥側を後方とし、X軸方向のうち図1の紙面右側を右方、図1の紙面左側を左方とする。
【0013】
図1において、基板移載ヘッド13は基板移載ヘッド移動機構21によってX軸方向に移動され、基板搬送コンベア12により所定の位置に搬送された基板2を吸着して基板位置決め部14に移載する。
【0014】
図1において、基板位置決め部14は基板保持部14aと基板保持部移動機構14bから成り、基板保持部14aは基板移載ヘッド13によって移載された基板2を真空吸着等によって保持する。基板保持部移動機構14bは基板2を保持した基板保持部14aを基台11に対して水平面内方向に移動させて基板2の位置決めを行う。
【0015】
図1において、部品供給部15はパレット保持部15aとパレット保持部移動機構15bから成り、パレット保持部15aは部品4が載置されたパレットPLを保持する。パレット保持部移動機構15bはパレットPLを保持したパレット保持部15aを基台11に対して水平面内方向に移動させてパレットPLの(すなわち部品4の)位置決めを行う。
【0016】
図1において、反転ヘッド16は反転ヘッド移動機構22によってX軸方向に移動自在に設けられており、Y軸回りに回転自在、かつ、その回転軸と直交する面内(XZ面内)方向に移動自在なノズル部16aを備えている。反転ヘッド16は、部品供給部15より供給される部品4の上方で下方に向けたノズル部16aを下動させて部品4を吸着した後にノズル部16aを上動させ、次いでノズル部16aをY軸回りに回転させることによって(上下反対にして)部品4の表裏を反転させた後(図1中に示す矢印A)、ノズル部16aを上動させて装着ヘッド17に部品4を受け渡す。
【0017】
図1において、装着ヘッド17は装着ヘッド移動機構23によって水平面内で移動自在に設けられており、下方に延びた吸着ノズル17aを備えている。装着ヘッド17は、反転ヘッド16によって表裏反転された部品4を吸着ノズル17aにより吸着し、基板位置決め部14に位置決めされた基板2上の目標装着部位3に装着する。
【0018】
図1において、位置合わせカメラ18はその下方及び上方に位置するものを撮像することができ、装着ヘッド17が部品4を基板2に装着するときに、基板2上の目標装着部位3と装着ヘッド17が吸着ノズル17aによって吸着した部品4との双方を撮像する。装着ヘッド17は、位置合わせカメラ18の撮像によって得られた部品4と目標装着部位3との水平面内方向の位置ずれ(吸着ずれ)に基づいて所定の位置補正を行い、部品4を目標装着部位3に正確に装着する。
【0019】
これら基板搬送コンベア12、基板移載ヘッド13、基板位置決め部14、部品供給部15、反転ヘッド16、装着ヘッド17及び位置合わせカメラ18の各動作制御は、部品実装装置1が備える図示しない制御装置によって行われる。
【0020】
このような構成を有する本実施の形態における部品実装装置1は反転ヘッド16の構成に特徴があり、以下にその説明を行う。
【0021】
図2、図3(a),(b)及び図4において、反転ヘッド16は、上述の反転ヘッド移動機構22によって移動されるベース部31、ベース部31に取り付けられたホルダ32、ホルダ32によってY軸回りに回転自在に支持されたアウターシャフト33及びアウターシャフト33の内部を貫通してアウターシャフト33と同軸に配置され、アウターシャフト33に内蔵された複数のベアリング33br(図3(b))によりアウターシャフト33に対して相対回転自在に支持されたインナーシャフト34を備える。
【0022】
図2及び図3(a),(b)において、ベース部31には出力軸35aを後方に向けたモータ35が取り付けられており、モータ35の出力軸35aに固定された駆動プーリ36とインナーシャフト34に固定された従動プーリ37とは伝動ベルト38によって連結されている。このためモータ35の出力軸35aを回転させるとインナーシャフト34がモータ35の出力軸35aと同方向に回転し、モータ35の出力軸35aの回転方向を変えることによってインナーシャフト34の回転の向きを変えることができる。
【0023】
図3(a),(b)及び図4において、アウターシャフト33の前端部にはY軸方向に延びたインナーシャフト34の回転中心軸(アウターシャフト33の回転中心軸でもある)Jと直交する面(XZ平面)である端面41aを有したノズル部支持部材41が取り付けられている。このノズル部支持部材41の端面41aには、この端面41aと平行な面内を一の方向に延びる溝部41bを有したブロック部41cが設けられている。
【0024】
図3(a),(b)及び図4において、ノズル部支持部材41のブロック部41cに形成された溝部41bには直線状に延びて設けられたスライダ42がスライド自在に取り付けられており、このスライダ42の前面には前述のノズル部16aを備えたノズルユニット43が取り付けられている。
【0025】
ここで、スライダ42の延びる方向とノズルユニット43のノズル部16aが延びる方向とは一致している。スライダ42がノズル部支持部材41の溝部41bに沿ってスライドすると、ノズル部16aがノズル部支持部材41の端面41aに対して端面41aと平行な方向(XZ面内方向)に移動する。
【0026】
図3(a),(b)及び図4において、ノズルユニット43とノズル部支持部材41との間には、ノズルユニット43(すなわちノズル部16a)とノズル部支持部材41とを連結し、ノズルユニット43を(すなわちノズル部16aを)ノズル部支持部材41に対する所定の基準の位置(以下、基準位置と称する)に付勢する付勢部材としての一対のリターンスプリング44が取り付けられている。ここで、上記基準位置とは、反転ヘッド16を前面から見たときに、ノズル部16aのノズル部支持部材41からの突出量が最も小さくなる位置(後述の図6(a),(c),(d),(f)に対応する位置)である。
【0027】
図2、図3(a),(b)及び図4において、インナーシャフト34の前端部には、前方に突出する一対の突起状部45aを有し、各突起状部45aの前端にY軸回りに回転自在なローラ45bを備えたノズル部回転駆動部材45が取り付けられている。このノズル部回転駆動部材45が備える一対の突起状部45aはノズル部支持部材41の両側方(溝部41bを挟む方向の両側方)をノズル部支持部材41の背面側から前方に延び、一対のローラ45bをノズルユニット43のX軸方向の両側部から水平外方に延びて設けられた一対の突起片43aの上面(ノズル部16aが下方に向いた姿勢で上面となる面)に上方から当接させている。
【0028】
インナーシャフト34が伝動ベルト38を介してモータ35によって駆動されると、インナーシャフト34の前端部に取り付けられたノズル部回転駆動部材45がインナーシャフト34と一体となって回転する。ここで、ノズルユニット43は一対のリターンスプリング44によって基準位置の方向に付勢されており、ノズルユニット43の一対の突起片43aはノズル部回転駆動部材45の一対のローラ45bに押し付けられた状態となっていることから、ノズル部回転駆動部材45がインナーシャフト34とともにインナーシャフト34の回転中心軸J回りに回転すると、アウターシャフト33の回転が後述する上方ストッパ46a又は下方ストッパ46bによって規制されない限り、ノズルユニット43はノズル部回転駆動部材45と一体となってインナーシャフト34の回転中心軸J回りに回転する。
【0029】
図2、図3(a),(b)及び図5(a),(b)において(図5(a),(b)は図3(b)における矢視V−Vから見た断面図)、アウターシャフト33の外周面にはプレート状の被当接部33aが形成されている。一方、ベース部31の右側面31a(YX平面)には上方ストッパ46aと下方ストッパ46bが設けられている。
【0030】
上方ストッパ46aは、インナーシャフト34の順方向(前方から見たときに時計回りとなる方向。図5(b)中に示す矢印Rj)とは反対の逆方向(前方から見たときに反時計回りとなる方向。図5(a)中に示す矢印Rg)への回転によってアウターシャフト33がインナーシャフト34と一体となって逆方向に回転したとき、アウターシャフト33の被当接部33aが右方から当接してアウターシャフト33のそれ以上の逆方向への回転を規制する位置に設けられている。また、下方ストッパ46bは、インナーシャフト34の順方向への回転によってアウターシャフト33がインナーシャフト34と一体となって順方向に回転したとき、アウターシャフト33の被当接部33aが右方から当接してアウターシャフト33のそれ以上の順方向への回転を規制する位置に設けられている。
【0031】
アウターシャフト33の被当接部33aがベース部31の上方ストッパ46aに当接した状態(図5(a))では、ノズル部16aは下方を向いた姿勢(以下、「下方姿勢」と称する)となり(図2及び図3(a),(b)に示す状態)、アウターシャフト33の被当接部33aがベース部31の下方ストッパ46bに当接した状態(図5(b))では、ノズル部16aは上方を向いた姿勢(以下、「上方姿勢」と称する)となる。
【0032】
ノズル部16aが基準位置に位置して「下方姿勢」となっている状態(図6(a))から、モータ35の出力軸35aが逆方向に駆動されてインナーシャフト34が逆方向に回転すると(図6(b)中に示す矢印R1)、アウターシャフト33はインナーシャフト34と一体となって逆方向に回転しようとするものの、被当接部33aが上方ストッパ46aに当接して逆方向に回転することができないため、インナーシャフト34はアウターシャフト33に対して相対回転するように逆方向に回転する。これにより、インナーシャフト34に取り付けられたノズル部回転駆動部材45の一方の突起状部45a(図6(b)の紙面左側の突起状部45a)がその前端に設けられたローラ45bを介してノズルユニット43の一方の突起片43a(図6(b)の紙面左側の突起片43a)を下方に押圧することになり、ノズルユニット43(すなわちノズル部16a)は一対のリターンスプリング44の付勢力に抗してノズル部支持部材41に対して移動し(図6(b)中に示す矢印T1)、ノズル部16aは基準位置から下動した下動位置に位置する(図6(b))。
【0033】
ノズル部16aが基準位置から下動位置に下動した後、モータ35の出力軸35aが順方向に駆動されてインナーシャフト34が順方向に回転すると(図6(c)中に示す矢印R2)、ノズルユニット43(すなわちノズル部16a)は一対のリターンスプリング44の付勢力によってノズル部支持部材41に対して上動し(図6(c)中に示す矢印T2)、基準位置に復帰する(図6(c))。
【0034】
ノズル部16aが下動位置から基準位置に復帰した後、モータ35の出力軸35aが更に順方向に駆動されてインナーシャフト34が順方向に回転すると(図6(d)中に示す矢印R3)、アウターシャフト33は被当接部33aを上方ストッパ46aから離間させてインナーシャフト34と一体となって順方向に回転する。そして、アウターシャフト33の被当接部33aが下方ストッパ46bに右方から当接したところでノズル部16aは上下反転して「上方姿勢」になる(図6(d))。
【0035】
ノズル部16aが上下反転して「上方姿勢」になった後、モータ35の出力軸35aが更に順方向に駆動されてインナーシャフト34が順方向に回転すると(図6(e)中に示す矢印R4)、アウターシャフト33はインナーシャフト34と一体となって順方向に回転しようとするものの、被当接部33aが下方ストッパ46bに当接して順方向に回転することができないため、インナーシャフト34はアウターシャフト33に対して相対回転するように順方向に回転する。これにより、インナーシャフト34に取り付けられたノズル部回転駆動部材45の一方の突起状部45a(図6(e)の紙面左側の突起状部45a)がその前端に設けられたローラ45bを介してノズルユニット43の一方の突起片43a(図6(e)の紙面左側の突起片43a)を上方に押圧することになり、ノズルユニット43(すなわちノズル部16a)は一対のリターンスプリング44の付勢力に抗してノズル部支持部材41に対して移動し(図6(e)中に示す矢印T3)、ノズル部16aは基準位置から上動した上動位置に位置する(図6(e))。
【0036】
ノズル部16aが基準位置から上動位置に上動した後、モータ35の出力軸35aが逆方向に駆動されてインナーシャフト34が逆方向に回転すると(図6(f)中に示す矢印R5)、ノズルユニット43(すなわちノズル部16a)は一対のリターンスプリング44の付勢力によってノズル部支持部材41に対して下動し(図6(f)中に示す矢印T4)、基準位置に復帰する(図6(f))。
【0037】
ノズル部16aが上動位置から基準位置に復帰した後、モータ35の出力軸35aが更に逆方向に駆動されてインナーシャフト34が逆方向に回転すると、アウターシャフト33は被当接部33aを下方ストッパ46bから離間させてインナーシャフト34と一体となって逆方向に回転する。そして、アウターシャフト33の被当接部33aが上方ストッパ46aに右方から当接したところでノズル部16aは「下方姿勢」になる(図6(a))。
【0038】
反転ヘッド16により部品供給部15より供給される部品4ピックアップして装着ヘッド17に受け渡すには、制御装置は先ず、ノズル部16aを基準位置かつ「下方姿勢」になる姿勢になる位置に位置させた状態で(図6(a))、ノズル部16aが部品供給部15のパレットPLに載置された部品4の直上に位置する位置に反転ヘッド16を移動させる。
【0039】
制御装置は、ノズル部16aが部品4の直上に位置する位置に反転ヘッド16を位置させたら、モータ35の出力軸35aを逆方向に回転させてノズル部16aを下動させ、ノズル部16aを部品4に接触させてノズル部16aに部品4を吸着させる(図6(b))。そして、ノズル部16aに部品4を吸着させたら、モータ35の出力軸35aを順方向に回転させてノズル部16aを上動させ、部品4をピックアップさせる(図6(c))。
【0040】
制御装置は、反転ヘッド16に部品4をピックアップさせたら、モータ35の出力軸35aを更に順方向に回転させてノズル部16aを上下反転させて「上方姿勢」にしつつ(図6(d))、反転ヘッド移動機構22を作動させて反転ヘッド16を装着ヘッド17の側に移動させ、表裏反転させた部品4が装着ヘッド17の吸着ノズル17aの直下に位置するようにする。
【0041】
制御装置は、表裏反転させた部品4が装着ヘッド17の吸着ノズル17aの直下に位置する位置に反転ヘッド16を位置させたら、モータ35の出力軸35aを更に順方向に回転させてノズル部16aを上動させ(図6(e))、部品4を装着ヘッド17の吸着ノズル17aに受け渡す(図6(e))。そして、反転ヘッド16によって部品4を装着ヘッド17の吸着ノズル17aに受け渡したら、モータ35の出力軸35aを逆方向に回転させて、ノズル部16aを下動させる(図6(f))。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1が備える反転ヘッド16は、ひとつのモータ35によって水平面内で回転駆動されるシャフト部材であるインナーシャフト34、インナーシャフト34の回転動力を伝達してノズル部16aをインナーシャフト34の回転中心軸J回りに回転させるとともに、ノズル部16aの回転によってノズル部16aが下方又は上方を向いた状態でノズル部16aをインナーシャフト34の回転中心軸Jと直交する一の方向(ノズル部支持部材41の端面41aに設けられたブロック部41cの溝部41bの延びる方向)に移動させる回転動力伝達機構50を有したものとなっている。
【0043】
そして、この回転動力伝達機構50は、インナーシャフト34と同軸でインナーシャフト34に対して相対回転自在に支持された回転部材であるアウターシャフト33、アウターシャフト33の端部に設けられ、インナーシャフト34の回転中心軸Jと直交する面内を延びる上記一の方向にノズル部16aを移動自在に支持するノズル部支持部材41、ノズル部16aとノズル部支持部材41とを連結し、ノズル部16aをノズル部支持部材41に対する基準位置に付勢する付勢部材としての一対のリターンスプリング44、インナーシャフト34が回転したときにインナーシャフト34と一体に回転することによってノズル部16aをノズル部支持部材41及びアウターシャフト33とともにインナーシャフト34の回転中心軸J回りに回転させるノズル部回転駆動部材45、インナーシャフト34の回転によって回転するアウターシャフト33の被当接部33aに当接してノズル部16aが下方又は上方に至ったときにアウターシャフト33の回転を規制する上方ストッパ46a及び下方ストッパ46bを備えて成り、アウターシャフト33が上方ストッパ46a又は下方ストッパ46bに当接してノズル部16aが下方又は上方を向いた後、アウターシャフト33が上方ストッパ46a又は下方ストッパ46bに当接した状態が維持される方向にインナーシャフト34がアウターシャフト33に対して相対回転することにより、ノズル部16aが上記基準位置から一対のリターンスプリング44の付勢力に抗して上記一の方向に移動するようになっている。
【0044】
すなわち、本実施の形態における部品実装装置1では、ノズル部16aを下方又は上方に向いた状態にするようにノズル部16aを回転させる回転機構の駆動とノズル部16aが下方又は上方に向いた状態でノズル部16aを上動及び下動させる上下動機構の駆動とをひとつのモータ35で行うようになっているので、重量軽減による反転ヘッド16の移動速度の増大に伴う実装タクトの向上と、モータ35の取り付けスペースの削減による部品実装装置1の全体のコンパクト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
実装タクトの向上と装置全体のコンパクト化を図ることが可能な部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0046】
1 部品実装装置
2 基板
4 部品
14 基板位置決め部
15 部品供給部
16 反転ヘッド
16a ノズル部
17 装着ヘッド
33 アウターシャフト(回転部材)
34 インナーシャフト(シャフト部材)
35 モータ
41 ノズル部支持部材
44 リターンスプリング(付勢部材)
45 ノズル部回転駆動部材
46a 上方ストッパ(ストッパ)
46b 下方ストッパ(ストッパ)
50 回転動力伝達機構
J 回転中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板に装着する部品の供給を行う部品供給部と、部品供給部より供給される部品を吸着して表裏を反転させる反転ヘッドと、反転ヘッドにより表裏反転された部品を受け取って基板位置決め部に位置決めされた基板に装着する装着ヘッドとを備え、反転ヘッドは、部品供給部より供給される部品の上方でノズル部を下動させて部品を吸着した後にノズル部を上動させ、次いでノズル部を上下反対にして部品の表裏を反転させた後、ノズル部を上動させて装着ヘッドに部品を受け渡す動作を行う部品実装装置であって、
反転ヘッドは、
ひとつのモータによって水平面内で回転駆動されるシャフト部材と、
シャフト部材の回転動力を伝達してノズル部をシャフト部材の回転中心軸回りに回転させるとともに、ノズル部の回転によってノズル部が下方又は上方を向いた状態でノズル部をシャフト部材の回転中心軸と直交する一の方向に移動させる回転動力伝達機構とを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
回転動力伝達機構は、
シャフト部材と同軸でシャフト部材に対して相対回転自在に支持された回転部材と、
回転部材の端部に設けられ、シャフト部材の回転中心軸と直交する面内を延びる一の方向にノズル部を移動自在に支持するノズル部支持部材と、
ノズル部とノズル部支持部材とを連結し、ノズル部をノズル部支持部材に対する基準位置に付勢する付勢部材と、
シャフト部材が回転したときにシャフト部材と一体に回転することによってノズル部をノズル部支持部材及び回転部材とともにシャフト部材の回転中心軸回りに回転させるノズル部回転駆動部材と、
シャフト部材の回転によって回転する回転部材に当接してノズル部が下方又は上方に至ったときに回転部材の回転を規制するストッパとを備えて成り、
回転部材がストッパに当接してノズル部が下方又は上方を向いた後、回転部材がストッパに当接した状態が維持される方向にシャフト部材が回転部材に対して相対回転することにより、ノズル部が前記基準位置から前記付勢部材の付勢力に抗して前記一の方向に移動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156222(P2012−156222A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12607(P2011−12607)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】