説明

部品移載装置、表面実装機および部品検査装置

【課題】吸着ノズル単体の画像を良否判定の基準とするに当たり、前記画像を吸着ノズルの汚損や異物付着のない状態で撮像することができるようにする。
【解決手段】実装用部品を吸着する吸着ノズルを備える。吸着ノズルおよびこれに吸着された実装用部品を側方から見た画像を撮像する側面画像撮像用カメラ34を備える。このカメラ34によって撮像した吸着ノズル単体の画像を基準とし、この基準画像と、吸着ノズルおよびこれに吸着された実装用部品を側方から見た画像との比較により吸着ノズルおよび実装用部品の良否判定を行う画像処理手段74を備える。吸着ノズルの移動可能範囲の内側に設けられ、吸着ノズルが上方から挿入される清掃部を有するブローステーション16を備える。このブローステーション16により清掃された吸着ノズルをカメラ34によって撮像し基準画像を取得する第1の画像取得手段71を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルによって電子部品を吸着し移載する移載装置、表面実装機および部品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば表面実装機において、電子部品を部品供給部からプリント配線板上に移載するに当たっては、電子部品を吸着ノズルに吸着させ、この吸着ノズルを移動させることによって行っている。
【0003】
前記吸着ノズルは、使用を繰り返すことによって吸着面が汚れることがあり、このような場合には、電子部品を吸着するときに吸着ミスを起こし易くなる。
このような吸着ノズルを備えた従来の部品移載装置には、吸着ノズルによって電子部品を移載するときに電子部品が正しく吸着ノズルに吸着されているか否か、正しい電子部品が吸着ノズルに吸着されているか否かなどを判別するための判別装置が設けられている。
【0004】
従来のこの種の判別装置を装備した部品移載装置としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1に示されている部品移載装置は、単体の吸着ノズルを側方から見た画像(吸着ノズル単体の画像)と、吸着ノズルが電子部品を吸着している状態でこれら両者を側方から見た画像(吸着状態の画像)とをそれぞれカメラによって撮像し、これらの画像に基づいて良否を判定する構成が採られている。
【0005】
この良否判定は、前記吸着ノズル単体の画像から吸着ノズルの下端の位置を検出し、この下端の位置から予め記録されている電子部品の厚み分だけ下方に位置する判定位置に、前記吸着状態の画像から検出した電子部品の下端の位置が一致しているか否かを判別することによって行っている。
【特許文献1】特開平6−45790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されている部品移載装置の判別装置は、良否の判定を誤るおそれがあるという問題があった。これは、吸着ノズル単体の画像を撮像するときに吸着ノズルの吸着面に付着していた異物が画像中に吸着ノズルの一部として撮り込むことがあるからである。
【0007】
このように異物が付着している吸着ノズルによって電子部品を吸着すると、電子部品が正常位置に較べて上下方向に傾いて吸着されることがある。このような状態を撮像した吸着状態の画像から求められる電子部品の下端の位置は、異物を撮り込んだ前記吸着ノズル単体の画像によって検出された吸着ノズルの下端の位置に、電子部品の記録上の厚みだけ下げた位置と一致する。
すなわち、この部品移載装置においては、電子部品が傾斜しているにもかかわらず判定結果は良となり、良否の判定を誤ることになる。
【0008】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、吸着ノズル単体の画像を良否判定の基準とするに当たり、前記画像を吸着ノズルの汚損や異物付着のない状態で撮像することができる部品移載装置、表面実装機および部品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る部品移載装置は、電子部品を吸着する吸着ノズルと、前記吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品を側方から見た画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像した吸着ノズル単体の画像を基準とし、この基準画像と、前記吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品を側方から見た画像との比較により吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品の良否判定を行う画像処理手段とを備えた部品移載装置において、
吸着ノズルの移動可能範囲の内側に設けられ、吸着ノズルが上方から挿入される清掃部を有する清掃装置と、前記清掃装置により清掃された吸着ノズルを前記撮像手段によって撮像し基準画像を取得する画像取得手段とを備えているものである。
【0010】
請求項2に記載した発明に係る部品移載装置は、請求項1に記載した部品移載装置において、清掃装置の清掃部は、吸着ノズルを上方から挿入可能に形成された穴からなる空気清掃用の清掃室と、前記清掃室の下端部と清掃室外とを連通する排気通路と、前記清掃室の壁面であって、この清掃室内に挿入された吸着ノズルの下端部と対応する高さに開口する清掃空気用通路と、この清掃空気用通路および吸着ノズルの吸引用通路とに清掃室内へ空気が出るように加圧空気を供給する空気供給装置とを備えているものである。
【0011】
請求項3に記載した発明に係る部品移載装置は、請求項2に記載した部品移載装置において、清掃装置は複数の清掃室を備え、これらの清掃室は、吸着ノズルを有する移載ヘッドが複数設けられたヘッドユニットの各吸着ノズルと対応する位置に設けられているものである。
【0012】
請求項4に記載した発明に係る部品移載装置は、請求項1に記載した部品移載装置において、清掃装置の清掃部は、洗浄液を貯留しかつこの洗浄液中に吸着部が浸漬するように吸着ノズルが臨む洗浄槽と、前記洗浄液を前記洗浄槽内で移動させる洗浄手段とを備えているものである。
【0013】
請求項5に記載した発明に係る表面実装機は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載した部品移載装置によって実装用部品を部品供給部からプリント配線板上に移載するものである。
請求項6に記載した発明に係る部品検査装置は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載した部品移載装置によって被検査用電子部品を部品供給部から検査部に移載するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸着ノズル単体の画像からなる基準画像は、清掃装置によって清掃された単体の吸着ノズルを側方から見た画像となる。このため、本発明に係る部品移載装置においては、吸着ノズルの正しい形状を基準画像として撮像することができるから、この基準画像を使用して行う良否判定の精度を向上させることができる。
この結果、本発明によれば、電子部品の吸着ミスの有無や、吸着した電子部品の正誤、吸着ノズル自体の異常の有無などの良否判定を正確に行うことができる部品移載装置を提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、吸着ノズルに部品吸着時とは逆方向へ相対的に高圧の空気を噴射させるとともに、側方から高圧の空気を吹き付けることによって吸着ノズルを清掃することができる。この清掃は清掃装置以内で行われるため、吸着ノズルに付着していた異物が吸着ノズルの周囲に飛散することはない。このため、清掃時に他の吸着ノズルに異物が付着することを防ぎながら、吸着ノズルを充分に清掃することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、複数の吸着ノズルを一度に清掃することができ、効率よく清掃を行うことができる。このため、単体の吸着ノズルを撮像するときに清掃を行う構成を採っているにもかかわらず、部品を移載する効率の向上を図りながら、充分に清掃を行うことができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、洗浄液によって吸着ノズルを洗浄することができるから、吸着ノズルのより一層正確な形状を撮像し基準画像を得ることができる。このため、前記基準画像を使用して行う良否判定の精度をより一層向上させることができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、実装用部品の吸着ミスの有無や、吸着した実装用部品の正誤、吸着ノズル自体の異常の有無などの良否判定を正確に行うことができる表面実装機を提供することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、被検査用電子部品の吸着ミスの有無や、吸着した被検査用電子部品の正誤、吸着ノズル自体の異常の有無などの良否判定を正確に行うことができる部品検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る部品移載装置を装備した表面実装機の一実施の形態を図1ないし図11によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る部品移載装置を装備した表面実装機の平面図、図2は要部を示す断面図、図3は撮像ユニットを示す正面図で、同図においては下方撮像部を破断した状態で描いてある。図4はブローステーションの正面図で、同図は清掃部を破断し、吸着ノズルを挿入した状態で描いてある。
【0021】
図5は表面実装機の構成を示すブロック図、図6は吸着ノズル単体の画像を取得するときの動作を示すフローチャート、図7は部品吸着状態にある画像の取得から部品を実装するまでの動作を示すフローチャートである。図8は吸着ノズル単体の画像を示す図、図9は画像処理手段が行う画像処理を模式的に表した図、図10は吸着ノズルが不良の場合の画像処理を模式的に表した図である。図11は吸着ノズル単体の画像を取得するときの他の動作例を示すフローチャートである。
【0022】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による表面実装機を示す。この表面実装機1は、基台2と、この基台2の上にプリント配線板3を搬送するためのコンベア4と、基台2の両側部に位置する部品供給部5に装着された多数のテープフィーダー5a,5a‥‥と、これらのテープフィーダー5aから実装用部品6(図2参照)をプリント配線板3上に移載するための部品移載装置7と、前記コンベア4やテープフィーダー5および部品移載装置7などの動作を制御するための制御装置8とを備えている。
【0023】
前記部品移載装置7は、図1および図2に示すように、基台2の上でY軸方向に延びる2本の固定レール11,11と、X方向に延びる形状に形成され前記固定レール11に移動自在に支持された支持部材12と、この支持部材12にX軸方向に移動自在に支持されたヘッドユニット13と、実装用部品6の吸着状態を検出するための下方撮像ユニット14および側方撮像ユニット15(図2参照)と、後述するブローステーション16(図4参照)などによって構成されている。
前記支持部材12は、一方の固定レール11に設けられたボールねじ軸17に螺合するナット17aを備えており、ボールねじ軸17がY軸サーボモータ18により回転駆動されることによってY軸方向に往復動する。
【0024】
前記ヘッドユニット13は、図2に示すように、前記支持部材12に設けられたガイド部材19に支持されかつボールねじ軸20に螺合しており、このボールねじ軸20がX軸サーボモータ21(図1参照)により回転駆動することによってX軸方向に往復動する。
また、このヘッドユニット13は、図1および図3に示すように、複数の実装用ヘッド22がX軸方向に等間隔おいて並ぶ状態で設けられている。この実施の形態によるヘッドユニット13は、6本の実装用ヘッド22が装備されている。
【0025】
これらの実装用ヘッド22は、図2に示すように、それぞれヘッドユニット13のフレーム13aに対してZ軸方向(上下方向)に移動可能に支持されるとともにZ軸回りに回転可能に支持されており、下端部に実装用部品6を吸着するための吸着ノズル23が設けられている。また、この実装用ヘッド22は、ヘッドユニット13に設けられた昇降駆動手段24によってZ軸方向に駆動し、ヘッドユニット13に設けられた回転駆動手段25によってZ軸回りに回転させられる。
【0026】
前記昇降駆動手段24は、前記フレーム13aに回動自在に支持されて上下方向に延びるボールねじ軸26と、このボールねじ軸26の上端部を駆動するZ軸サーボモータ27と、ヘッドユニット13に設けられて前記ボールねじ軸26に螺合するナット部材28などによって構成されている。
前記回転駆動手段25は、R軸サーボモータ29(図5参照)によってヘッドユニット13を回動させる構成が採られており、前記フレーム13aに支持されている。
【0027】
前記下方撮像ユニト14は、吸着ノズル23に吸着された実装用部品6の底面を撮像するためのもので、図3および図5に示すように、底面画像撮像用カメラ31と、この底面画像撮像用カメラ31の撮像範囲を囲みかつ上方に向けて拡がるように設けられた複数のLEDからなる底面画像撮像用照明32とを備えている。
【0028】
この下方撮像ユニット14が設けられる位置は、図1に示すように、平面視において、コンベア4と部品供給部5との間に位置付けられている。前記底面画像撮像用カメラ31は、前記実装用ヘッド22に吸着された実装用部品6の底面の反射画像を撮像する。また、この底面画像撮像用カメラ31は、撮像した画像のデータを後述する制御装置8に送出する構成が採られている。
【0029】
前記側方撮像ユニット15は、吸着ノズル23およびこれに吸着された実装用部品6を側方から撮像するためのもので、図2〜図5に示すように、前記部品移載装置7の支持部材12から下方に延びるカメラ支持部材33に取付けられた側面画像撮像用カメラ34と、前記ヘッドユニット13の下端部から下方に延びる保持部材35に取付けられたLEDからなる側面画像撮像用照明36とから構成されている。この側方撮像ユニット15によって、本発明でいう撮像手段が構成されている。
【0030】
前記側面画像撮像用カメラ34は、ラインセンサやエリアセンサなどからなり、光軸が表面実装機1の前方(図1においては下方)を指向する状態になるように装備されている。この実施の形態においては、このカメラ34は、図3に示すように、X方向(同図においては左右方向)において前記下方撮像ユニット14のカメラ31と同位置に1個設けられている。
【0031】
前記照明36は、実装用ヘッド22毎に設けられており、実装用ヘッド22が前記カメラ34の前方に位置することによって、実装用ヘッド22を挟んで前記カメラ34と対向する位置に位置付けられる。前記カメラ34は、前記照明36が光を照射する照明条件下において、吸着ノズル23およびこれに吸着された実装用部品6を側方から撮像し、撮像した画像のデータを後述する制御装置8に送出する。
【0032】
前記ブローステーション16は、吸着ノズル23を清掃するためのもので、図4に示すように、支持台41の上に清掃部42を搭載した構造が採られ、表面実装機1における吸着ノズル23が移動可能な範囲の内側に設置されている。このブローステーション16によって本発明でいう清掃装置が構成されている。
【0033】
前記支持台41は、清掃部42をエアシリンダ43によって昇降可能に支持している。43aはエアシリンダ43のピストンロッドを示し、43bは清掃部42を昇降自在に保持するガイドロッドを示す。図4はエアシリンダ43によって清掃部42を最も高い位置に上昇させた状態で描いてあり、清掃部42は、清掃を行わないときには同図に示す位置から下端42aがエアシリンダ43の上面43cに接触する位置に下降する。このように清掃部42を下げることによって、清掃部42の上方を実装用ヘッド22が通過することができるようになり、清掃部42が実装用ヘッド22の移動経路を遮るようなことを防ぐことができる。
【0034】
前記清掃部42は、上方へ向けて開口する複数の穴からなる複数の清掃室44と、これらの清掃室44の下端部に接続された排気室45とから形成されているとともに、空気を前記排気室45内から清掃部42の外に排出するフィルター46が装着されている。このフィルター46は、排気室45の下方において空気を横方向に排出するものである。前記排気室45から前記フィルター46を通って清掃部42の外に至る空気通路によって、本発明でいう排気通路が構成されている。
【0035】
前記清掃室44を形成する穴は、吸着ノズル23を上方から挿入することができる内径と深さに形成されている。また、これらの清掃室44の間隔は、ヘッドユニット22に複数設けられた吸着ノズル23,23‥‥の間隔と一致するように形成されている。すなわち、これらの清掃室44は、ヘッドユニット13の各吸着ノズル23と対応する位置に設けられている。この実施の形態によるブローステーション16においては、4箇所に清掃室44が形成されており、4本の吸着ノズル23を同時に清掃室44内に挿入することができるように構成されている。
【0036】
各清掃室44の内壁面には、図4に示すように、空気噴射口47が形成されている。この実施の形態においては、この空気噴射口47は、吸着ノズル23と対向する上部と、これより下方に所定の間隔をおいて低くなる下部との二箇所に形成されている。また、これらの空気噴射口47は、清掃部42内を延びる空気孔(図示せず)と、清掃部42から導出された空気管48などからなる清掃用空気通路49によって空気ポンプ50に接続されている。前記清掃用空気通路49の途中には、制御装置8によって動作が制御される開閉弁51が設けられている。
【0037】
前記空気ポンプ50は、空気を加圧して前記清掃用空気通路49に供給する。この空気ポンプ50としては、専ら清掃するための空気を供給するものとして構成する他に、表面実装機1に高圧空気を供給する既存の空気供給源を利用することもできる。この実施の形態では、前記空気ポンプ50から高圧空気をエゼクタポンプ52に供給し、ここで生じた負圧をヘッドユニット13の各吸着ノズル23に導く構成が採られている。
【0038】
このエゼクタポンプ52は、図示してはいないが、内部の空気通路を切換えることにより吸着ノズル23に吸着時に負圧を導いたり、部品開放時に相対的に低い圧力の正圧を供給したり、吸着ノズル23の内部を清掃するために相対的に高圧の正圧を供給することができるものが用いられている。このエゼクタポンプ52と前記空気ポンプ50などによって本発明でいう空気供給装置53が構成されている。
【0039】
このブローステーション16においては、前記開閉弁51を開くとともに、エゼクタポンプ52の動作を吸着ノズル23から高圧の空気が吹き出すように切換え、空気ポンプ50から高圧の空気を供給することによって、空気噴射口47から清掃室44内に高圧の空気を横方向から噴射するとともに、吸着ノズル23の吸引用空気通路から清掃室44内に高圧の空気を噴射する。前記横方向から噴射された高圧の空気によって、吸着ノズル23の外面が清掃され、吸引用空気通路を通る高圧の空気によって、吸着ノズル23内が清掃されることになる。
【0040】
前記清掃部42の上端部であって両側部には、吸着ノズル23の有無を検出するためのセンサ54が設けられている。このセンサ54は、光学式のもので、光路が吸着ノズル23によって遮られる場合にこれを示す検出データを制御装置8に送る。この実施の形態によるブローステーション16は、吸着ノズル23が清掃中に実装用ヘッド22から脱落し、清掃後に残されたとしても、前記センサ54によってこれを検出することができる。
【0041】
前記制御装置8は、論理演算を実行する周知のCPUと、このCPUを制御する種々のプログラムなどを予め記憶するROMと、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAMなどによって構成されている。この実施の形態による制御装置8は、図5に示すように、軸制御手段61と、撮像装置制御手段62と、画像メモリ63と、搭載情報記憶手段64と、マシン情報記憶手段65と、清掃装置制御手段66と、演算手段67とを備えている。前記演算手段67には、各種情報を表示するための表示装置68が接続されている。
【0042】
前記軸制御手段61は、表面実装機1に設けられているY軸サーボモータ18と、X軸サーボモータ21、Z軸サーボモータ27(第1ヘッドZ軸サーボモータ27〜第6ヘッドZ軸サーボモータ27)およびR軸サーボモータ29(第1ヘッドR軸サーボモータ29〜第6ヘッドR軸サーボモータ29)の駆動を制御するものである。
【0043】
撮像装置制御手段62は、底面画像撮像用カメラ31、底面画像撮像用照明32、側面画像撮像用カメラ34および側面画像撮像用照明36の動作を制御するものである。この撮像装置制御手段62は、後述する保存手段73を有し、撮像タイミングを制御するためのプログラムに基づいて後述する第1の画像取得手段71として機能したり、第2の画像取得手段72として機能するように構成されている。
第1の画像取得手段71は、側面画像撮像用カメラ34によって単体の吸着ノズル23の画像を撮像する。この吸着ノズル単体の画像は、例えば図8に示すように撮像される。この画像には、吸着ノズル23の相対的に太い基部23aと、相対的に細い先端部23bとが撮像される。前記第1の画像取得手段71によって本発明でいう画像取得手段が構成され、前記単体の吸着ノズル23の画像によって本発明でいう基準画像が構成されている。
【0044】
第2の画像取得手段72は、側面画像撮像用カメラ34によって、実装用部品6を吸着した状態の吸着ノズル23およびこれに吸着された実装用部品6の画像(部品吸着状態にある画像)を撮像する。この部品吸着状態にある画像は、正常時には例えば図9に示す三つの画像のうち最も左側に位置する画像のように撮像される。
【0045】
前記保存手段73は、第1の画像取得手段71によって取得した吸着ノズル単体の画像から吸着ノズル23が正常であると判定された場合に吸着ノズル単体の画像のデータを画像メモリ63に保存する。ここで行われる判定は、吸着ノズル23の先端部23bの長さと、吸着ノズル23の吸着面(下端面)の平坦度とを吸着ノズル単体の画像から計測し、これらの値と予め定めた正常値とを比較することによって行う。この計測と比較は、後述する演算手段67が行う。
【0046】
前記画像メモリ63は、側面画像撮像用カメラ34および底面画像撮像用カメラ31の撮像により得られた画像データを格納するものである。
前記搭載情報記憶手段64は、プリント配線板3上に実装する実装用部品6に関する情報を記憶するものであって、例えば、実装用部品6の厚み、幅、高さ等の形状に関するデータや、どのような種類の実装用部品6をどの箇所に実装するかなどの情報が格納されている。また、搭載情報記憶手段には、これらの実装用部品6を単体で下方から撮像した画像データと、側方から撮像した画像データとが格納されている。
【0047】
前記マシン情報記憶手段65は、この実施の形態による表面実装機1に関する情報が記憶されているものであって、吸着ノズル23の先端部23bの長さと吸着面の平坦度とのそれぞれの正常値が格納されている。この正常値は、ある範囲の幅を持った値であり、製造上の公差を含む値に設定されている。
【0048】
前記清掃装置制御手段66は、前記制御装置16を制御するためのもので、エアシリンダ43の昇降動作と、開閉弁51の開閉動作、エゼクタポンプ52の切換動作などを行う。
前記演算手段67は、CPUなどのような演算機能を有するもので、後述する画像処理手段74と判定手段75とを備えており、画像メモリ63に格納された画像データ、搭載情報記憶手段64、マシン情報記憶手段65に格納されたデータおよび軸制御手段61からの制御データ等を使用して演算処理を行い、この演算結果に基づいて表面実装機1の各装置を制御する。
【0049】
前記画像処理手段74は、前記第2の画像取得手段72によって取得した部品吸着状態における画像と、前記第1の画像取得手段71によって取得した吸着ノズル単体における画像との差により差分画像データを生成するように構成されている。詳述すると、この画像処理手段74は、図9および図10に示すように、これらの図において最も左側に位置する部品吸着状態の画像と、中央に位置する吸着ノズル単体の画像との差により、最も右側に表示したような差分画像データを生成する。
【0050】
図10(a)は吸着ノズル23の吸着部が破損し実装用部品6の吸着を失敗した場合を示し、同図(b)は吸着部が破損した吸着ノズル23によって実装用部品6が略正常に吸着された場合を示し、同図(c)は吸着部が破損した吸着ノズル23によって実装用部品6が傾いて吸着された場合を示している。
【0051】
前記判定手段75は、上述した差分画像データと、前記搭載情報記憶手段64に記憶させてある実装用部品単体の画像データとを比較し、これら両画像データが一致する場合に吸着ノズル23が正常であると判定し、それ以外の場合は吸着ノズル23が異常であると判定する。
【0052】
次に、この実施の形態による表面実装機1の部品実装時の動作を図6および図7に示すフローチャートによって説明する。この実施の形態による表面実装機は、単体の吸着ノズル23の画像を工場出荷時やメンテナンス時に撮像し保存する。すなわち、先ず、図6に示すフローチャートのステップS1において、特定の実装用ヘッド22とその実装用ヘッド22に選択的に取付けられる複数種類の吸着ノズル23のうちの特定の吸着ノズル23とを予め基準ヘッド、基準ノズルとしておき、先ず設定対象を基準ヘッド、基準ノズルとする。
【0053】
続いて、ステップS2において、ブローステーション16によって吸着ノズル23の先端部23bをエアーブローにより清掃する。この清掃は、ブローステーション16の清掃部42を上昇させ、各清掃室44内に吸着ノズル23を上方から挿入した状態で、空気噴射口47から高圧の空気を噴射するとともに、吸着ノズル23の吸入用空気通路から下方に向けて高圧の空気を噴射させることによって行う。
【0054】
この清掃は、所定の時間だけ実施する。そして、全ての吸着ノズル23の清掃が終了した後、吸着ノズル23を上昇させるとともに清掃部42を下降させ、ヘッドユニット13を側面画像撮像用カメラ34が位置する方向へ移動させる。
【0055】
次に、ステップS3において、実装用ヘッド22を初期高さの状態とし、この状態で側面画像撮像用カメラ34によって吸着ノズル23を撮像する。この撮像は、図8に示すように、吸着ノズル23の特徴部分(基部23aと先端部23bとの境界部分)を判別できるように行う。
【0056】
この撮像の後、ステップS4において、吸着ノズル単体の画像に基づいて吸着ノズル23の先端部23bの長さが正常値の公差内であるか否かを判定する。このとき、前記先端部23b長さが正常値より長かったり(異物が付着している場合)、吸着ノズル23の長さが正常値より短かったり(ノズル先端部が欠けている)場合は、ステップS5に進んでエラー処理が行われる。このエラー処理としては、表示装置68でエラー表示を行うとともに、オペレータによる復帰処置を待つようにしている。
【0057】
すなわち、ヘッドユニット13がオペレータがアクセスできる補修用位置に移動して停止状態となる。オペレータが吸着ノズル23を交換して復帰ボタンを押すと、ステップS2から再びフローチャートに従ってプログラムが実施される。なお、オペレータは吸着ノズル23を確認し、吸着ノズル23を交換することなく、正常値修正ボタンを押してから復帰ボタンを押すようにしても良い。正常値修正ボタンが押されると、正常値の範囲が所定量広げられるので、ステップS5でのエラー停止の頻度を下げることができる。
【0058】
吸着ノズル23の長さが正常である場合は、ステップS6で吸着ノズル23の先端面の平坦度が正常値の公差内であるか否かを判定する。ここでも異常と判定された場合はステップS5に進んでエラー処理を行う。前記平坦度が正常である場合、吸着ノズル単体の画像を画像メモリ63に保存し、その後、ステップ7において、側面画像撮像用カメラ34についてスケールが算出済みであるか否かを判定する。なお、ステップS5に進む場合は、吸着ノズル23は不良であるわけで、吸着ノズル単体の画像は図6に示すフローチャートで示す処理には不要であるので、画像メモリ63には保存されない。これによりメモリ容量を節約できる。なお、後日の検証用にステップS5のエラー処理の中で、吸着ノズル単体の画像を画像メモリ63に保存するようにしても良い。
【0059】
スケールが算出済みでない場合、ステップS8において、実装用ヘッド22を特定量上下移動させてから再び吸着ノズル23の単体の画像を撮像する。そして、ステップS9において、実装用ヘッド22の移動量と、ステップS3とステップS8とでそれぞれ検出した吸着ノズル23の下端および特徴部分の差に基づいてスケールを算出し、マシン情報の記憶部に記憶させる。
【0060】
前記ステップS7でスケール算出済みであると判定された場合は、ステップ10において、現在の設定対象が基準ヘッド、基準ノズルであるか否かを判定する。このとき、現在の設定対象が基準ヘッド、基準ノズルであればステップS11に進み、そうでない場合は、ステップS12において、基準ヘッド、基準ノズルの初期高さ時の下端位置と同じとなるように該当ヘッド、ノズルの修正した初期高さを計算し、これをマシン情報の記憶部に記憶させる。
【0061】
ステップS11では、該当ヘッドに選択的に取付けられる可能性のある種類が異なる全ての吸着ノズル23について上記設定処理が終了したか否かを判定し、終了していなければ次のノズルに交換した上で(ステップS13)、ステップS2に戻ってそれ以下の処理を繰り返す。
【0062】
現在の設定対象である実装用ヘッド22に対する異なる種類の全ての吸着ノズル23について設定処理が終了すると、ステップS14において、部品下端エッジの形状のチェックを行なう。そして、ステップS15において、全ての実装用ヘッド22について設定処理が終了したか否かを判定し、終了していなければ設定対象を次のヘッドに変更(ステップS16)した上でステップS2に戻ってそれ以下の処理を繰り返す。全ての実装用ヘッド22について上述した設定処理が終了したときにこのフローチャートの処理が完了する。
【0063】
この実施の形態による表面実装機1において、単体の吸着ノズル23の画像を保存するに当たっては、図11に示すように行うこともできる。図11に示すフローチャートは、図6のフローチャートによって説明した手順等を一部変更したものである。
【0064】
図11に示すフローチャートにおいて、ステップS101〜S103において実施する処理は、図1に示すフローチャートのステップS1〜S3における処理と同一であるため、ここにおいて説明は省略する。
ステップS103に続くステップS104においては、側面画像撮像用カメラ34についてスケールが算出済みであるか否かを判定する。そして、スケールが算出済みでない場合は、ステップS105、S106で示す処理を行う。これらステップS104〜S106の処理は、図6に示すフローチャートのステップS7〜S9における処理と同一である。
【0065】
ステップS104において判定結果がYESである場合、またはステップS104の判定結果がNOの場合であってもステップS105,S106の処理を行った後は、ステップS107において、吸着ノズル単体の画像に基づき吸着ノズル23の先端部23bの長さが正常値の公差内であるか否かを判定する。このとき、側面画像撮像用カメラ34によって撮像された吸着ノズル23の画像と、上述したステップS105,S106等の処理により算出されたスケールとに基づいて、吸着ノズル23の先端部23bの長さを求め、その長さと正常値とを比較する。
【0066】
ステップS107において判定結果がNOである場合はステップS108においてエラー処理を行う。ステップS107において判定結果がYESである場合は、ステップS109においてノズル先端面の平坦度が公差内であるか否かを判定する。この判定結果がNOである場合もステップS108においてエラー処理を行う。これらステップS107〜S109で行う処理は、図6に示すフローチャートのステップS4〜S6における処理と同一である。
【0067】
ステップS107およびステップS109のいずれにおいても判定結果がYESであった場合は、ステップS110において、吸着ノズル単体の画像データを画像メモリ43に保存する。
次に、ステップS111において、現在の設定対象が基準ヘッド、基準ノズルであるか否かを判定し、この判定結果がYESである場合はステップS112に進む。この判定結果がNOである場合は、ステップS113においてノズルの修正した初期高さを計算し、これをマシン情報の記憶部に記憶させる。
【0068】
ステップS112では、吸着ノズル23の全ての種類について上記設定処理が終了しているか否かを判定する。この判定の結果、全種類において上記設定処理が終了していない場合は、ステップS114において次の吸着ノズルに交換し、ステップS102に戻ってそれ以下の処理を繰り返す。これらステップS111〜S114における処理は、図6に示すフローチャートのステップS10〜S13における処理と同一である。
【0069】
ステップS112の判定結果がYESである場合は、ステップS115において、全ての実装用ヘッド22について上記設定処理が終了したか否かを判定する。この判定の結果、設定処理が終了していない場合は、ステップS116において、設定対象を次のヘッドに変更し、ステップS102に戻ってそれ以下の処理を繰り返す。全ての実装用ヘッド22について上述した設定処理が終了することによって、図11のフローチャートで示す処理が完了する。前記ステップS115,S116における処理は、図6に示すフローチャートのステップS15,S16における処理と同一である。
【0070】
この実施の形態による表面実装機1において実装用部品6をプリント配線板3に実装するためには、先ず、図7に示すフローチャートのステップP1において、全ての吸着ノズル23に例えばテープフィーダー5a上の実装用部品6を吸着させる。
次いで、ステップP2からステップP3において、ヘッドユニット13を下方撮像ユニット14の上方に移動させ、底面画像撮像用カメラ31の上方を横切るように平行移動させながら前記カメラ31によって全ての実装用部品6の下方から見た画像(底面画像)を撮像する。
【0071】
その後、ステップP4において、前記底面画像の画像データと、搭載情報記憶手段64に記憶させてある実装用部品6の底面画像の画像データとを比較することにより、実装用部品6のX方向とY方向の実装位置の補正量と、Z軸回りの補正角度などを計算する。
このように補正量を計算した後、ステップP5において、前記画像メモリ63に予め保存してある吸着ノズル単体の画像データを読み出し、ステップP6において、ヘッドユニット13を側方撮像ユニット15の側方に移動させ、側面画像撮像用カメラ34によって部品吸着状態にある画像を撮像する。
【0072】
この撮像後、ステップP7において、図9および図10に示すように、部品吸着状態にある画像と吸着ノズル単体での画像との差により差分画像データを生成し、ステップP8で吸着ノズル23の良否判定を行う。この良否判定は、差分画像データ{図9および図10(a)〜(c)において最も右側に位置する画像データ}と、搭載情報記憶手段64に予め記憶させてある実装用部品単体の側方から撮像した画像データとを比較することによって行う。ステップP8では、図9に示すように、差分画像データと実装用部品6の単体の画像データとが一致する場合に吸着ノズル23が正常であると判定され、図10に示すように、差分画像データと実装用部品6の単体の画像データとが一致しない場合は吸着ノズル23が異常であると判定される。
【0073】
吸着ノズル23が異常であると判定された場合は、ステップP9に進んでエラー処理を行う。この場合のエラー処理としては、表示装置68において汚損、破損の検出を示す表示を行い、オペレータによる復帰処置を待つようにしている。吸着ノズル23が正常である場合は、ステップP10において、前記差分画像データから実装用部品6の形状を検出し、ステップP11において、この形状の判定を行う。このとき、実装用部品6の下端面が傾斜している場合は、吸着不良が発生していると判定してステップP9に進みエラー処理を行う。
【0074】
実装用部品6の下端面が吸着ノズル23の吸着面とほぼ平行である場合には、ステップP12に進み、画像処理により実装用部品6の厚みを計測する。実装用部品6の厚みを計測した後、ステップP13において、前記厚みが規定値の範囲外、すなわち厚みが寸法公差の範囲を超えて大きいか小さい場合は、ステップP9に進みエラー処理を行った後にこのルーチンを終了する。前記厚みが規定値の範囲内にある場合は、ステップP14において、実装用部品6をプリント配線板3上に実装する。なお、ヘッドユニット13には複数の実装用ヘッド22、複数の吸着ノズル23が配置されており、いずれかの吸着ノズル23においてステップP8,P11及びP13のいずれの判断においてNOが出てもステップP9のエラー処理を行うことなく、OKの出ている吸着ノズル23の部品の実装を行い、その後でステップP9のエラー処理をするようにしても良い。エラー処理としてNGの出た吸着ノズル23の部品を廃棄ボックスに捨て、ステップP8の判断でNOの場合は、ヘッドユニット13がオペレータがアクセスできる補修用位置に移動して停止状態となる。ステップP11あるいはステップP13での判断でNOの場合は、NGの出た吸着ノズル23の部品を廃棄ボックスに捨て、不良内容を表示装置に表示し且つ不良内容をメモリに記憶し、停止することなくステップP1へ再び戻る。
【0075】
上述したように構成された表面実装機1においては、吸着ノズル23の良否判定の基準となる画像、すなわち図6に示すフローチャートのステップS3で撮像した吸着ノズル単体の画像は、ブローステーション16によって清掃された単体の吸着ノズル23を側方から見た画像である。このため、この実施の形態においては、吸着ノズル23の正しい形状を前記基準画像として撮像することができるから、この基準画像を使用して行う上記良否判定を高い精度で行うことができる。
【0076】
また、この実施の形態によるブローステーション16は、吸着ノズル23に部品吸着時とは逆方向へ相対的に高圧の空気を噴射させるとともに、側方から高圧の空気を吹き付けることによって、吸着ノズル23に付着した異物を外側と内側から吹き飛ばし、吸着ノズル23を清掃することができる。
【0077】
この清掃は、ブローステーション16の清掃室44内で行われるため、吸着ノズル23に付着していた異物が吸着ノズル23の周囲に飛散することはない。このため、この実施の形態によるブローステーション16を使用することによって、清掃時にブローステーション16の外に位置する他の吸着ノズル23に異物が付着することを防ぎながら、吸着ノズル23を充分に清掃することができる。
【0078】
この実施の形態によるブローステーション16は、複数の実装用ヘッド22の吸着ノズル23を一度に清掃することができ、効率よく清掃を行うことができる。このため、単体の吸着ノズル23を撮像するときに必ず清掃を行う構成を採っているにもかかわらず、実装効率の向上を図りながら充分に吸着ノズル23を清掃することができる。
【0079】
上述した実施の形態では吸着ノズル23を高圧の空気によって清掃する例を示したが、本発明に係る部品移載装置において、吸着ノズルを清掃するに当たっては洗浄液を使うことができる。この場合は、洗浄液を貯留しかつこの洗浄液中に吸着部が浸漬できるように吸着ノズルが臨む洗浄槽と、前記洗浄液を前記洗浄槽内で移動させる洗浄手段とを備えた清掃装置を用いることができる。洗浄液としては、例えばアルコールを使用する。洗浄液を洗浄槽内で移動させるに当たっては、例えば、洗浄液中に浸漬した吸着ノズルの周囲を通るように洗浄槽内に気泡を吹き出させる構成を採ることができる。
【0080】
この実施の形態では本発明に係る部品移載装置を表面実装機1に適用する例について説明したが、本発明に係る部品移載装置は、電子部品を部品供給部から検査部に移載する部品検査装置にも用いることができる。すなわち、未検査部品トレイから電子部品を部品移載装置により運搬して検査ソケットに載置し、この載置中に電子部品に検査ソケットを介して検査用電流を入力するとともに出力電流を受けて電子部品の良否が部品検査装置とは別体の回路検査装置により判断される。検査が終了した後、電子部品は検査ソケットから検査済み良品トレイか、検査済み不良品トレイに回路検査結果に基づいて部品移載装置により運搬載置される。
本発明に係る部品移載装置を装備した部品検査装置は、被検査用電子部品の吸着ミスの有無や、吸着した被検査用電子部品の正誤、吸着ノズル自体の異常の有無などの良否判定を正確に行うことができる。
【0081】
上述した実施の形態では単体の吸着ノズル23を撮像するときにブローステーション16で吸着ノズル23を清掃する例について説明したが、吸着ノズル23の清掃は、図7に示すフローチャートのステップP8において吸着ノズルが異常であると判定されたときにも行うことができる。さらに、異常が検出されていない場合であっても、例えば、予め定めた回数だけ実装動作を行った吸着ノズルを清掃したり、予め定めた枚数だけプリント配線板に実装用部品を実装した後に全ての吸着ノズルを清掃したり、実装用ヘッド22に装着する吸着ノズル23を交換した場合にその新しい吸着ノズルを清掃することができる。
【0082】
また、実装用部品を吸着していない単体の吸着ノズル23の撮像および画像データの保存は、全ての種類の吸着ノズルに対して行うことはせず、例えば相対的に小さい実装用部品を吸着する吸着ノズルに対してのみ行ったり、交換した吸着ノズルに対してのみ行うことができる。この場合、タクトタイムの短縮を図りながら、誤判定を完全になくすことはできなくても誤判定が生じる確率を低下させることができる。
【0083】
さらに、この部品移載装置7の動作の変形例として、実装用部品を吸着する毎にノズル下方からの撮像は実施するがノズル側面からの撮像は数回に1度となるようにいわゆる間引くことができる。この場合であっても、タクトタイムの短縮を図りながら、誤判定を完全になくすことはできなくても誤判定が生じる確率を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る部品移載装置を装備した表面実装機の平面図である。
【図2】要部を示す断面図である。
【図3】撮像ユニットを示す正面図である。
【図4】ブローステーションの正面図である。
【図5】表面実装機の構成を示すブロック図である。
【図6】吸着ノズル単体の画像を取得するときの動作を示すフローチャートである。
【図7】部品吸着状態にある画像の取得から部品を実装するまでの動作を示すフローチャートである。
【図8】吸着ノズル単体の画像を示す図である。
【図9】画像処理手段が行う画像処理を模式的に表した図である。
【図10】吸着ノズルが不良の場合の画像処理を模式的に表した図である。
【図11】吸着ノズル単体の画像を取得するときの他の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1…表面実装機、6…実装用部品、7…部品移載装置、8…制御装置、13…ヘッドユニット、14…下方撮像ユニット、15…側方撮像ユニット、16…ブローステーション、22…実装用ヘッド、23…吸着ノズル、23a…基部、23b…先端部、34…側面画像撮像用カメラ、42…清掃部、44…清掃室、45…排気室、46…フィルター、47…空気噴射口、49…清掃用空気通路、53…空気供給装置、64…搭載情報記憶手段、71…第1の画像取得手段、72…第2の画像取得手段、73…保存手段、74…画像処理手段、75…判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着する吸着ノズルと、
前記吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品を側方から見た画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像した吸着ノズル単体の画像を基準とし、この基準画像と、前記吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品を側方から見た画像との比較により吸着ノズルおよびこれに吸着された電子部品の良否判定を行う画像処理手段とを備えた部品移載装置において、
吸着ノズルの移動可能範囲の内側に設けられ、吸着ノズルが上方から挿入される清掃部を有する清掃装置と、
前記清掃装置により清掃された吸着ノズルを前記撮像手段によって撮像し基準画像を取得する画像取得手段とを備えていることを特徴とする部品移載装置。
【請求項2】
請求項1記載の部品移載装置において、清掃装置の清掃部は、
吸着ノズルを上方から挿入可能に形成された穴からなる空気清掃用の清掃室と、
前記清掃室の下端部と清掃室外とを連通する排気通路と、
前記清掃室の壁面であって、この清掃室内に挿入された吸着ノズルの下端部と対応する高さに開口する清掃空気用通路と、
この清掃空気用通路および吸着ノズルの吸引用通路とに清掃室内へ空気が出るように加圧空気を供給する空気供給装置とを備えたことを特徴とする部品移載装置。
【請求項3】
請求項2記載の部品移載装置において、
清掃装置は複数の清掃室を備え、
これらの清掃室は、吸着ノズルを有する移載ヘッドが複数設けられたヘッドユニットの各吸着ノズルと対応する位置に設けられていることを特徴とする部品移載装置。
【請求項4】
請求項1記載の部品移載装置において、清掃装置の清掃部は、
洗浄液を貯留しかつこの洗浄液中に吸着部が浸漬するように吸着ノズルが臨む洗浄槽と、
前記洗浄液を洗浄槽内で移動させる洗浄手段とを備えていることを特徴とする部品移載装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の部品移載装置によって実装用部品を部品供給部からプリント配線板上に移載することを特徴とする表面実装機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の部品移載装置によって被検査用電子部品を部品供給部から検査部に移載することを特徴とする部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−310816(P2006−310816A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87352(P2006−87352)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】