説明

配信方法およびサーバ、並びに端末装置の制御方法および端末装置

【課題】サーバ上に自分のコンテンツファイルを収集することを可能とし、自分が所有していないコンテンツであっても、課金または一部の再生の制約によって、再生可能とする。
【解決手段】サーバからダウンロードしたデータ中の暗号化コンテンツデータがスイッチ回路13に供給される。スイッチ回路13は、所有/非所有を識別するための識別データによって制御される。自分の所有するコンテンツファイルの場合では、暗号化コンテンツデータの全体がデクリプタ15によって復号される。暗号化コンテンツデータが非所有の場合では、暗号化コンテンツデータの一部が抽出器14で抽出され、抽出した部分がデクリプタ15で復号される。デクリプタ15によって復号されたコンテンツファイルが圧縮符号化の伸張器16によって伸張される。ストリーミングによる再生のためのスピーカ17が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテンツファイルをサーバと端末との間でやり取りするのに適用される配信方法およびサーバ、並びに端末装置の制御方法および端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽情報が記録されたCD(Compact Disc)のディジタルデータをMP3(MPEG1 Audio Layer III) で圧縮したコンテンツがインターネットを介して配信されたり、CD−R(CD-Recordable)を使用してCDがコピーされたり、米Napster社、米Gnutella社が提供するピア・ツ−・ピア型の音楽ファイルの交換サービスが広まっており、著作権保護(以下、適宜セキュリティと称する)の問題が大きくクローズアップされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ファイル交換システムでは、コンテンツが自由に他人同士でやりとりできるので、かかるファイル交換システムが著作権を脅かすことは、既に広く認識されている。また、ファイル交換を阻止するために、コピープロテクション技術を採用すると、自分が所有しているコンテンツであっても、自由にアップロードまたはダウンロードができない不便が生じる。若し、ユーザが自分のコンテンツファイルをサービス事業者のサーバを使用して保存することができれば、自分のパーソナルコンピュータのハードディスクの容量を気にすることなく、コンテンツを収集し、保存することができる。
【0004】
したがって、この発明の目的は、自分のコンテンツは、自由にアップロードまたはダウンロードすることができ、他人のコンテンツは、著作権上の問題を回避して再生することができる配信方法およびサーバ、並びに端末装置の制御方法および端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を達成するために、請求項1の発明は、複数の端末装置との間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける配信方法において、複数のコンテンツを記憶する第1の記憶ステップと、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶する第2の記憶ステップと、第1の端末装置を、当該第1の端末装置の識別情報に基づき登録する登録ステップと、第1の端末装置から、当該第1の端末装置の識別情報とパスワードを受信した場合、当該識別情報と当該パスワードに基づき当該第1の端末装置の認証を行う認証ステップと、各端末装置毎のコンテンツ所有状況に基づき、第1の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを当該第1の端末装置へ送信する第1の送信ステップと、第1の端末装置から、コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択するアクセスを受信する第1の受信ステップとを有するようになすことを特徴とする配信方法である。
【0006】
請求項7の発明は、複数の端末装置との間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおけるサーバにおいて、複数のコンテンツを記憶する第1の記憶手段と、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶する第2の記憶手段と、第1の端末装置を、当該第1の端末装置の識別情報に基づき登録する登録手段と、第1の端末装置から、当該第1の端末装置の識別情報とパスワードを受信した場合、当該識別情報と当該パスワードに基づき当該第1の端末装置の認証を行う認証手段と、各端末装置毎のコンテンツ所有状況に基づき、第1の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを当該第1の端末装置へ送信する第1の送信手段と、第1の端末装置から、コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択するアクセスを受信する第1の受信手段とを有するようになすことを特徴とするサーバである。
【0007】
請求項8の発明は、サーバとの間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける端末装置の制御方法において、複数のコンテンツを記憶し、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶しているサーバに登録するために、識別情報を送信する登録ステップと、サーバに認証されるために、識別情報とパスワードを送信する認証ステップと、コンテンツ所有状況に基づき、全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストをサーバから受信する第1の受信ステップと、コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択し、サーバにアクセスする第1の送信ステップとを有するようになすことを特徴とする端末装置の制御方法である。
【0008】
請求項14の発明は、サーバとの間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける端末装置において、複数のコンテンツを記憶し、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶しているサーバに登録するために、識別情報を送信する登録手段と、サーバに認証されるために、識別情報とパスワードを送信する認証手段と、コンテンツ所有状況に基づき、全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストをサーバから受信する第1の受信手段と、コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択し、サーバにアクセスする送信手段とを有するようになすことを特徴とする端末装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明では、自分のコンテンツファイルを自由にアップロードまたはダウンロードすることができ、容量の制約を気にしないで、サーバ上にコンテンツファイルを収集することができる。また、この発明では、自分が所有していないコンテンツであっても、料金の支払いによって、または一部しか再生できない等の制約を設けることによって、著作権上の問題が少なくでき、再生することができる。さらに、非所有ファイルであっても、所定の手続きを行うことによって、所有権の移転が可能であったり、再生が可能となる。したがって、この発明によれば、コンテンツの円滑な流通を図ることができる。また、この発明をファイル交換システムに適用することによって著作権の問題が生じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態について説明する。図1は、一実施形態のシステム構成を概略的に示す。参照符号1および2がコンテンツを蓄積するためのサービス事業者(以下、コンテンツプロバイダと適宜称する)のサーバを示す。図1の例では、2つのサーバが設けられているが、1つのサーバを設ける構成、または3以上のサーバが存在する構成が可能である。サービス事業者は、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツ等をインターネット等のネットワーク3を介してユーザに配信する。一例として、ユーザは、予め登録されており、サービス事業者によって管理されている者に限定される。
【0011】
ネットワーク3を介してサーバ1および2がユーザ端末4,5,6と接続されている。通常、図示しないが、より多数のユーザ端末が存在している。ユーザ端末は、具体的に、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等である。ユーザ端末4,5,6は、サーバ1または2との間で、ネットワーク3を介してコンテンツファイルのアップロードまたはダウンロードを行う。
【0012】
図2は、サーバ例えばサーバ1上のコンテンツファイルの蓄積された状態を概略的に示す。サーバ1上には、所有者が分かるようにラベル付けされたコンテンツファイルが蓄積されている。ラベルA1が付けられたファイル群が例えばユーザ端末4のユーザのファイル群である。ラベルB1,B2 ,・・・,Bi ,・・・が他のユーザの所有に係わるファイル群である。なお、一人のユーザが1つのファイル群を持つ場合に限らず、複数のファイル群を持つことも可能である。
【0013】
ラベル付けの方法として、ユーザの識別情報(ユーザIDと称する)が利用される。予めユーザ登録を行う際に、ユーザIDが登録される。次に、ユーザが自分でコンテンツファイルをサーバ1または2にアップロードする場合に、ユーザIDおよび必要に応じてパスワードを入力してからコンテンツファイルのアップロードを行う。サーバ管理者としてのコンテンツプロバイダは、ユーザIDおよびパスワードによってアクセスした者を認証し、アップロードされたコンテンツファイルをユーザIDと関連付けてサーバ上に蓄積する。あるコンテンツが複数のユーザによって所有される場合もありうる。サーバの管理用のデータベースには、ユーザとコンテンツとの関連の情報が記録される。
【0014】
所望のコンテンツファイルをダウンロードするために、ユーザがサーバ1または2にアクセスする場合には、ユーザIDおよびパスワードの入力がなされ、サーバ側によってアクセスした者が正規の者であることが認証される。ユーザがサーバから所望のコンテンツファイルをダウンロードする方法としては、曲名等のコンテンツファイル名を入力し、サーバ上で検索する方法と、サーバからコンテンツファイルの一覧の提示を受け、その中から所望のものを選択する方法とが可能である。何れの方法においても、コンテンツファイルのデータと共に、コンテンツファイルが自分の所有のものか否かの所有者識別情報がサーバからユーザ端末に対して伝送される。
【0015】
図3に示すように、ラベルA1,B1,・・・,Bi ,・・のそれぞれが付けられたファイル群には、1以上のコンテンツファイルが含まれている。例えばファイル群A1には、合計100個のコンテンツファイルA1,1、A1,2、・・・、A1,j、・・・、A1,100 が含まれている。コンテンツファイルは、例えばオーディオデータの場合では、1つの曲であり、ビデオソフトの場合では、1つの映画である。著作権保護が必要なコンテンツファイルの場合では、正当に入手されたコンテンツであって、好ましくは、著作権保護のために暗号化されている。暗号化方法としては、DES(Data Encryption Standard)等を使用できる。さらに、必要に応じてコンテンツファイルは、ATRAC(Adaptive Transfer Acoustic Coding) 、MP3(MPEG1 Audio Layer III) 、TwinVQ等によって圧縮符号化されている。また、個人用または家庭用の目的で作成されたコンテンツファイルをサーバに蓄積しても良い。さらに、サーバに蓄積されている状態では、暗号化がされてなく、ネットワークを介してコンテンツファイルを送受信する場合にのみ、暗号化を行うようにしても良い。
【0016】
正当に入手されたコンテンツファイルのみがサーバ1または2に蓄積されることを保証するための1つの方法は、コンテンツプロバイダが管理する方法である。ユーザがあるコンテンツファイルをEMD(Electronic Music Distribution)等によって正当に購入した場合に、そのユーザがそのコンテンツを取得したことをコンテンツプロバイダの管理用データベースに記録する。その後、ユーザがそのコンテンツプロバイダのサーバに対して入手したコンテンツファイルを蓄積する場合に、コンテンツプロバイダが管理用データベースを参照して蓄積の許可/不許可を行う。この場合、複数のコンテンツプロバイダの間で、管理用データベースを共有すれば、他のコンテンツプロバイダから正当に入手したコンテンツファイルをサーバに蓄積することができる。
【0017】
他の方法は、ユーザが固有のデータ例えばユーザIDを持っており、ユーザがコンテンツを正当に入手する場合では、購入したコンテンツがコンテンツプロバイダから送られてくる場合に、そのコンテンツがユーザIDによって暗号化される。暗号化されたコンテンツファイルがサーバ1または2に蓄積される。ユーザIDを持っているユーザのみがダウンロードしたその暗号化コンテンツを復号することができる。さらに、正当なコンテンツファイルであることを示すウォーターマークをコンテンツファイルに埋め込むようにしても良い。
【0018】
この一実施形態では、サーバに蓄積している自分のコンテンツファイルを自由に記録(ダウンロード)または再生(ストリーミング)が可能である。一方、サーバに蓄積されている他人のコンテンツファイルは、料金の支払、または所有権の移転を行なわないと、制約のある記録および再生しかできない。なお、ストリーミングは、ネットワーク上でコンテンツファイルを送受信しながら同時に再生する技術を意味する。
【0019】
図4は、ユーザ端末の構成例の概略を示す。簡単のために、ネットワークとの接続に関係する構成・機能の図示を省略する。図4において、参照符号11がサーバ1からダウンロードしたデータ中の暗号化コンテンツデータが供給される入力端子であり、参照符号12が暗号化コンテンツデータの所有/非所有を識別するための識別データの入力端子である。識別データは、各ファイル群に付加されているラベルの情報に対応している。
【0020】
暗号化コンテンツデータがスイッチ回路13の入力端子に供給される。スイッチ回路13は、出力端子aおよびbを有し、識別データに応じて一方の出力端子に対して暗号化コンテンツデータを選択的に出力する。自分の所有するコンテンツファイルの場合では、暗号化コンテンツデータが出力端子aに出力され、デクリプタ15に供給される。デクリプタ15によって、暗号化コンテンツデータの全体が復号され、復号されたコンテンツデータが得られる。
【0021】
一方、暗号化コンテンツデータが非所有の場合では、暗号化コンテンツデータが出力端子bに出力され、抽出器16に供給される。抽出器16は、コンテンツファイルの一部のみを抽出する。抽出部分は、コンテンツファイルの先頭部分、コンテンツファイルのハイライト部分等であり、予めダウンロードしたコンテンツファイル毎に設定されている。抽出器16は、設定にしたがって抽出した部分をデクリプタ15に供給し、その部分の暗号化を復号する。したがって、非所有ファイルの全体を復号することはできない。
【0022】
デクリプタ15によって復号されたコンテンツファイルが圧縮符号化の伸張器16に供給され、伸張される。伸張器16の出力に対してストリーミングのための再生装置が接続されている。図4の例では、音楽コンテンツをストリーミングによって再生するためのスピーカ17が設けられている。映像コンテンツの場合であれば、ディスプレイが設けられる。また、ダウンロードしたコンテンツファイルをハードディスク等のストレージに蓄積するようにしても良い。なお、抽出された一部の再生は、試聴または試しに見ることを意味する。その結果、所有しているコンテンツファイルではないが、自分のファイル群に加えたいとユーザが欲する場合がある。
【0023】
以上の説明では、自分が所有者であるコンテンツファイルをダウンロードまたは再生可能としているが、所定の手続きを行うことによって、他人のファイルを自分のファイル群に加えることも可能とされている。すなわち、コンテンツプロバイダおよび/またはコンテンツファイルの所有者に対して料金を支払うことによって、自分のファイルとすることができる。例えば図3において、ファイル群A1の所有者が他人の所有にかかるファイル群B1中のコンテンツファイルB1,1およびB1,2を自分のファイル群A1に新たなコンテンツファイルA1,101およびA1,102として追加できる。この場合、コンテンツファイルB1,1およびB1,2をファイル群B1に残しても良いし、除去しても良い。このようなサーバ1内のコンテンツファイルのコピー、移動等の処理は、サーバ管理者によってなされる。
【0024】
図5は、処理の一例の流れを示すフローチャートである。最初のステップS1において、ユーザ端末がサーバ1にアクセスする。その場合に、ユーザIDおよびパスワードが入力され、サーバ1によって正規のユーザ端末であることが認証される。ユーザ端末に対しては、サーバ1から蓄積されているコンテンツファイルの一覧が提示される。この一覧では、コンテンツファイル名と自分の所有/非所有の区別とが表示されている。そして、所望のファイルがアクセスされる。
【0025】
ステップS2では、自分の所有ファイルかどうかが識別され、所有ファイルであれば、ステップS3でデクリプションがされ、ステップS4で圧縮符号化の伸張がなされ、ステップS5において、再生(ストリーミングによる再生)がなされる。ステップS2において、アクセスしたコンテンツファイルが非所有と判定されると、ステップS6において、コンテンツファイルの一部分のみが暗号化が解かれる。この一部分がステップS7で伸張され、ステップS8において再生される。
【0026】
図6は、処理の他の例の流れを示すフローチャートである。ステップS11において、所望のコンテンツファイルに対するアクセス動作がなされ、ステップS12において、自分の所有であるか否かが判定される。これらの処理は、図5の処理と同様である。ステップS12において、自分の所有ファイルであると判定されると、ステップS13において、そのファイルがダウンロードされ、端末のストレージに蓄積される。
【0027】
ステップS12において、非所有と判定されると、ステップS14において、課金を了承するか否かの問い合わせがユーザに対してなされる。ユーザが課金を了承しない場合では、ステップS15において、処理が中止する。ユーザが課金を了承すれば、ステップS16において、ユーザに対する課金処理がなされ、その後にアクセスされたファイルを所有ファイルに加える処理がなされる。ステップS16の処理は、サーバ管理者によってなされる。そして、ステップS17において、所有ファイルとされたコンテンツファイルがダウンロードされ、ユーザ端末のストレージに蓄積される。
【0028】
図7は、処理の更に他の例を示す。図5のステップS1およびS2と同様に、ステップS21でサーバの所望のファイルに対するアクセスがなされ、ステップS22で所有ファイルか否かが判定される。所有ファイルの場合では、ステップS23において、暗号化されたコンテンツデータがダウンロードされる。所有ファイルでないと判定された場合では、ステップS24において、そのコンテンツファイルの一部(先頭部分、ハイライト等)が復号される。この復号処理は、サーバ側でなされる。そして、ステップS25において、復号した一部分のデータがダウンロードされる。なお、図7において、ダウンロードに代えてストリーミングによる再生を行なっても良い。
【0029】
図8は、図7のフローチャートに対応するユーザ端末の構成例を示す。参照符号21は、サーバからダウンロードしたデータが入力される入力端子である。参照符号22は、ファイル所有判定部を示す。ファイル所有判定部22において、ダウンロードしたコンテンツファイルが自分のものであると判定されると、そのコンテンツファイルの暗号化データがデクリプタ23に供給され、復号される。そして、復号後のデータが伸張器24に供給され、圧縮符号化が伸張される。伸張器24の出力端子25には、図示しないが、オーディオおよび/またはビデオの再生装置が接続されている。
【0030】
ファイル所有判定部22において、ダウンロードしたコンテンツファイルが自分のものでないと判定されると、ダウンロードしたコンテンツファイルが復号されているので、デクリプタを通さずに伸張器24に供給する。伸張器24に接続された再生装置によって、ダウンロードした非所有のコンテンツファイルの一部を再生することができる。
【0031】
図9は、処理のより更に他の例を示す。図5のステップS1およびS2と同様に、ステップS31でサーバの所望のファイルに対するアクセスがなされ、ステップS32で所有ファイルか否かが判定される。所有ファイルの場合では、ステップS33において、暗号化されたコンテンツデータがダウンロードされる。
【0032】
ステップS32において、所有ファイルでないと判定されると、ステップS34において、課金を承諾するか否かの問い合わせがユーザに対してなされる。ユーザが課金を承諾しない場合では、ステップS35において、処理が中止する。ユーザが課金を承諾すれば、ステップS36において、ダウンロードか否かが判定される。
【0033】
ステップS36において、ダウンロードとあると判定されると、ステップS37において、ユーザに対して第1の課金処理がなされ、その後、ステップS38において、アクセスされたファイルがダウンロードされる。ステップS36において、ダウンロードでない、すなわち、ストリーミングによる再生と判定されると、ステップS39において、ユーザに対して第2の課金処理がなされ、その後、ステップS40において、アクセスされたファイルがストリーミングで再生される。通常、ダウンロードにかかる料金に比して、ストリーミングによる再生にかかる料金は、より安いものとされる。なお、非所有ファイルの場合で、さらに、図6に示すフローチャートを参照して説明したように、ダウンロードする前に、所有権を移転する処理を行うようにしても良い。
【0034】
この発明では、自分のコンテンツファイルを自由にアップロードまたはダウンロードすることができ、また、自分が所有していないコンテンツであっても、料金を支払うことによって、または一部しか再生できない等の制約を設けることによって、著作権上の問題が少なくでき、再生することができる。さらに、非所有ファイルであっても、所定の手続きを行うことによって、所有権の移転が可能であったり、再生が可能となる。
【0035】
この発明は、上述した一実施形態等に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば非所有のファイルの場合では、ストリーミングによる再生に限定され、ダウンロードできないようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明を適用できるコンテンツ送受信システムを概略的に説明する略線図である。
【図2】この発明の一実施形態におけるサーバ上のファイル格納状態を説明するための略線図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるサーバ上のファイル格納状態を説明するための略線図である。
【図4】この発明の一実施形態における端末装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】この発明の一実施形態におけるファイルアクセス動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】ファイルアクセス動作の他の例の流れを示すフローチャートである。
【図7】ファイルアクセス動作のさらに他の例の流れを示すフローチャートである。
【図8】端末装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図9】ファイルアクセス動作のよりさらに他の例の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1,2 サーバ
3 ネットワーク
4,5,6 ユーザ端末
13 スイッチ回路
14 抽出器
15 デクリプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置との間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける配信方法において、
複数のコンテンツを記憶する第1の記憶ステップと、
各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶する第2の記憶ステップと、
第1の端末装置を、当該第1の端末装置の識別情報に基づき登録する登録ステップと、
前記第1の端末装置から、当該第1の端末装置の識別情報とパスワードを受信した場合、当該識別情報と当該パスワードに基づき当該第1の端末装置の認証を行う認証ステップと、
前記各端末装置毎のコンテンツ所有状況に基づき、前記第1の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを当該第1の端末装置へ送信する第1の送信ステップと、
前記第1の端末装置から、前記コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択するアクセスを受信する第1の受信ステップと
を有するようになすことを特徴とする配信方法。
【請求項2】
選択された前記コンテンツが、前記他の端末装置が所有し、前記第1の端末装置による全再生が不可能なコンテンツである場合、選択された当該コンテンツについて、一部再生が可能なコンテンツを当該第1の端末装置へ送信する第2の送信ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項1記載の配信方法。
【請求項3】
前記再生が可能なコンテンツの一部とは、当該コンテンツの先頭部分またはハイライト部分である
ことを特徴とする請求項2記載の配信方法。
【請求項4】
選択された前記コンテンツが、前記他の端末装置が所有し、前記第1の端末装置による全再生が不可能なコンテンツである場合、選択された当該コンテンツについて、当該第1の端末装置への課金が行われた後に、前記各端末装置毎のコンテンツ所有状況を更新する更新ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項1記載の配信方法。
【請求項5】
前記課金が行われた後に、前記第1の端末装置による全再生が可能なコンテンツを当該第1の端末装置へ送信する第2の送信ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項4記載の配信方法。
【請求項6】
前記第1の端末装置から、当該第1の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が可能なコンテンツを受信する第2の受信ステップと、
受信した前記コンテンツを記憶する第2の記憶ステップと、
をさらに有するようになすことを特徴とする請求項1記載の配信方法。
【請求項7】
複数の端末装置との間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおけるサーバにおいて、
複数のコンテンツを記憶する第1の記憶手段と、
各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶する第2の記憶手段と、
第1の端末装置を、当該第1の端末装置の識別情報に基づき登録する登録手段と、
前記第1の端末装置から、当該第1の端末装置の識別情報とパスワードを受信した場合、当該識別情報と当該パスワードに基づき当該第1の端末装置の認証を行う認証手段と、
前記各端末装置毎のコンテンツ所有状況に基づき、前記第1の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、当該第1の端末装置による全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを当該第1の端末装置へ送信する第1の送信手段と、
前記第1の端末装置から、前記コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択するアクセスを受信する第1の受信手段と
を有するようになすことを特徴とするサーバ。
【請求項8】
サーバとの間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける端末装置の制御方法において、
複数のコンテンツを記憶し、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶しているサーバに登録するために、識別情報を送信する登録ステップと、
前記サーバに認証されるために、識別情報とパスワードを送信する認証ステップと、
コンテンツ所有状況に基づき、全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを前記サーバから受信する第1の受信ステップと、
前記コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択し、前記サーバにアクセスする第1の送信ステップと
を有するようになすことを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項9】
選択された前記コンテンツが、前記他の端末装置が所有し、全再生が不可能なコンテンツである場合、選択された当該コンテンツについて、一部再生が可能なコンテンツを前記サーバから受信する第2の受信ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項8記載の端末装置の制御方法。
【請求項10】
前記再生が可能なコンテンツの一部とは、当該コンテンツの先頭部分またはハイライト部分である
ことを特徴とする請求項10記載の端末装置の制御方法。
【請求項11】
選択された前記コンテンツが、前記他の端末装置が所有し、全再生が不可能なコンテンツである場合、選択された当該コンテンツについて、課金を行う課金ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項8記載の端末装置の制御方法。
【請求項12】
前記課金を行った後に、全再生が可能なコンテンツを前記サーバから受信する第2の受信ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項11記載の端末装置の制御方法。
【請求項13】
コンテンツを所有し、全再生が可能なコンテンツを前記サーバに送信する第2の送信ステップを、
さらに有するようになすことを特徴とする請求項8記載の端末装置の制御方法。
【請求項14】
サーバとの間でネットワークを介してデータの送受信が可能とされたシステムにおける端末装置において、
複数のコンテンツを記憶し、各端末装置毎のコンテンツ所有状況を記憶しているサーバに登録するために、識別情報を送信する登録手段と、
前記サーバに認証されるために、識別情報とパスワードを送信する認証手段と、
コンテンツ所有状況に基づき、全再生が可能な1個以上のコンテンツ、または他の端末装置が所有し、全再生が不可能な1個以上のコンテンツを含むコンテンツリストを前記サーバから受信する第1の受信手段と、
前記コンテンツリストに含まれる1個以上のコンテンツを選択し、前記サーバにアクセスする送信手段と
を有するようになすことを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−317178(P2007−317178A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121349(P2007−121349)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【分割の表示】特願2001−307549(P2001−307549)の分割
【原出願日】平成13年10月3日(2001.10.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】