説明

配向フィルムからなる交差積層材、それの製造方法及びこの方法に適した共押出ダイ

複数のフィルムから新規の交差積層材が形成され、この際、これらのフィルムのうちの少なくとも二つは単軸配向もしくはアンバランスド二軸配向されており、ここで、これらのフィルムのうちの一つにおける主配向方向は、他のフィルムにおける主配向方向と交差しているものであり、但し、積層材の内部にありかつ互いに接合されている表面上でのこれらの二つのフィルムの表面特性が適当なパターンで改良されている。これらのフィルムの内部に配置されたフィルム表面層は、共押出しされた材料からなるストランド(101、102)の配列を含み、そしてこれらのフィルムは、それらの二つのフィルムのストランド配列が互いに交差するように配置される。上記ストランドは、各フィルム間の接着を制御するためと、繰り返し折り曲げされた際の剥離傾向を低減させるために使用することができ、これによって防水シートとして使用するのに好適な積層材が製造される。またその代わりに、これらのフィルムのうち主層が透明な少なくとも一つのものに浮出し加工を施して筋(103)を形成することと組み合わせた場合には特に、着色されたストランドは、上記フィルムの側から見た場合に、積層材が実際よりも厚く見え得る興味深い視覚効果を積層材に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差積層材、すなわち複数のフィルムからなる積層材であって、これらのフィルムのうち少なくとも二つは、単軸配向もしくはアンバランス二軸配向されており、この際、これらのフィルムのうちの一つにおける主配向方向は、他のフィルムにおける主配向方向と交差している積層材に関する。より具体的には、本発明は、積層材の内部にありそして互いに接合(bond)された表面上において上記二つのフィルムの表面特性を適当なパターンで改良することに関する。このようなパターン形成改良には二つの異なる実用上の目的がある。
【0002】
積層材の内表面の周知の改良法の一つは、交差積層材には実用されてはいないが、内面となる表面の一つに文字もしくは装飾的図柄を印刷することである。そのため、この文字または図柄は、使用中に積層材料から擦り落とされることがない。
【0003】
本発明は、その一つの側面では、縦横に走る着色された縞模様からなる装飾的な販売促進用図柄に限るが、この方法の改善にあり、それによって、比較的費用のかかる印刷方法が押出法による低廉な改良法に置き換えられる。更に、本発明のこの側面での特別な態様一つは、以下に説明するように、非常に特殊な三次元効果を与える。
【0004】
プラスチック製品における視覚効果の重要性に関しては、“外面を単に部材のカバーと考える代わりに、製造者は、それを商品の区別化及びパーソナライズのための販売ツールとして利用している”と述べる、Modern Plastics December 2002, pg.50: "Visual Effects means Business" を引用する。
【0005】
交差積層材内面を適当なパターンで改良することは、既に提案されているように、引裂き伝播抵抗を向上させるためにも使用することができる。これについてはここで詳細に説明するが、これに関連しては公知の交差積層化技術の包括的な説明が有用であろう。この側面から見た本発明にとっても、本発明の主たる目的は、比較的費用がかかるかまたは効率の低い工程を、押出法による低廉な改良法で置き換えることである。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成ポリマー材料製の配向フィルムからなる交差積層材は、1955年5月23日付けの本発明者所有の英国特許(GBA)第0792,976号に主に記載されているように、1968年来商業的に製造されている。本発明者が知る限りでは、世界中での全年間生産量は、約30,000トンにもなる。交差積層材は、特に、業務用の袋、カバーシート、防水シート、ポンドライナー(pond-liners )及び類似の製品に使用される。
【0007】
これらの交差積層材に使用されるポリマー材料は、今も昔も、しばしばブレンド化によって変性された、種々のタイプのポリエチレン及びポリプロピレンを主とし、そして従来及び現行のそれの製造方法は、チューブ状物を押出しし、そしてこれをドローダウン(draw down) によって主にその長手方向に配向し、次いでこのチューブ状物を螺旋状に切断して、その主配向方向が偏向したウェブを作製し、そして二つまたはそれ以上のこのようなウェブをそれらの主配向方向が交差するように連続的に積層する段階を含む。この積層材には、主にそれの長手方向に配向されたフィルムも含まれ得る。
【0008】
これらの原理に基づく最初に商業化された技術では、主に長手方向に溶融配向された押出チューブ状フィルムを、螺旋状切断の前に、この方向に更に冷間延伸する。例えば米国特許第4,039,364号(Rasmussen )に記載された、その後に商業化された技術の一つでは、各々のチューブ状フィルムを共押出しし、この際、これらのフィルムは、主に積層材の引張強さに寄与する層(以下、“主層”と称する)及び各フィルム間の接合(接合は、少なくとも部分的に加圧及び熱によって為される)を助けるように適合された少なくとも一つの表面層(以下、第一接合層と称する)を有する。
【0009】
更に、積層材の外面となる特殊な層もフィルム上に共押出される。これらの特殊層は、積層材の表面特性の改良のため、特に向上されたヒートシール性を得るために適合される。この後者の技術では、螺旋状切断は、冷間延伸工程を設けず、但し別の製造ラインにおいて共押出工程の後に続いて直接行われる。しかし、各フィルムをサンドイッチ型の配置で一緒にした後、次いで接合して積層材とした後かまたはなお未接合の時に更に延伸を行う。これらのフィルムは、比較的低い温度において二軸延伸される。
【0010】
この二軸延伸の横軸成分は、溝付きローラー間で与えられる。
【0011】
米国特許第5,028,289号(Rasmussen )及び米国特許第5,626,944号(Rasmussen )では、溝付きローラー間でのこの延伸を更に発展させている。
【0012】
螺旋状切断を行うための実用的な方法は、米国特許第5,248,366号(Rasmussen )に開示されている。この特許は、また、他の代替の切断技術を記載している。すなわち、チューブ状フィルムに、それを共押出ダイから引き抜く際に出口とダイとの相対的な回転を介して、螺旋状に伸びる溶融配向を供し、次いで、切断を、その軸と平行にするかまたは主配向方向に対して斜めにすることができる方法を開示している。この方法は、溶融配向の主方向がウェブの長手方向に対して垂直になるウェブを製造するために適合させることもできる。
【0013】
完全を期すために、非常に初期の特許において、長手方向に配向されたポリマーフィルム材料を、非連続的に交差積層しそしてプレス機で接合し得ることが開示されている点についても述べておくべきである。
【0014】
上記の方法と全く異なる方法の一つでは、非常に曲がりにくい性質の交差積層材が、特殊な先進製品に使用するために製造される。これらは、溶融状態もしくは部分溶融状態において液晶であるポリマーであって、そして反転するダイ部品を用いることによって押出ダイ内で既に配向及び交差積層された前記ポリマーからなる。しかし、このタイプの方法及び製造物は、本願の発明ではない。
【0015】
より日用的もしくは工業的な製品である上記のタイプの交差積層材に再び話を戻すと、これらは、特に、高い破壊抵抗及び高い引裂き伝播抵抗を特徴とする。破れシール(shear-type seal )におけるヒートシール強度は、積層材の表面層に適切な低融点ポリマーが選択されている場合は十分であるが、他方、剥がれヒートシール(peel-type heat seal)において、この種のヒートシールが供される業務用の袋に通常必要とされる良好な耐衝撃性ヒートシール強度が要求される場合は、非常に特殊な事前処置を施さなければならない。これらの事前処置は、本発明者所有の米国特許第5,205,650号及び国際公開第98/23434号に開示されている。
【0016】
上述の通り、交差積層材は、特に高い引裂き伝播抵抗を示し得るが、これは、接合強度が全体的に低いという条件の下に限る。個々のフィルムにおけるアンバランス配向及び各主配向方向の交差に起因して、一つのフィルムが引裂きを或る一つの方向に伝播し、そして他のフィルムが引裂きをそれとは別の方向に伝播する傾向がある。それによって、力が集中した箇所において接合が剥がれる傾向が生じ、そしてこの傾向が十分に大きい場合は、局所的な層間剥離の下に裂け目の先端がフォーク状に割れ(“fork out”)、そして引裂きによる“ノッチ効果”は殆ど消失する。
【0017】
この際、一般的に言えば、層間剥離に耐えようとする接着(adhesive)力と、主配向方向と平行ではない方向に沿う裂開もしくは流れ(flow)を避けるようとする個々のフィルムにおける凝集力との間の“競合”が起きる。これもまた一般的に言って、他のパラメータが全て同じであれば、上記の接着力はフィルムの厚さとは無関係であり、他方、上記の凝集力は主にフィルムの厚さに比例する。この“競合”の結果、“薄い”交差積層材は、比較的低い引裂き伝播抵抗または比較的高い層間剥離傾向のいずれかを示す。これは、“厚い”層からなる積層材の場合にはかなり軽少な問題である。袋の場合は、物が詰められた袋は、通常、層間剥離力に付されないため、上記の“競合”は何の問題も起こさない。これは、低い接合強度を選択できることを意味するが、使用中に何度も屈曲するような(例えば風に棚引くような)防水シート、カバーシート及び類似の製品にとっては非常に重大な問題である。実際の経験から、本発明者及び本発明者のライセンシーは、LLDPE−タイプ及びHMWHDPE−タイプのコンビネーションに基づく二つのフィルムからなる交差積層材から製造された防水シートにおいては、各々のフィルムが少なくとも45〜50gm-2のゲージを有さなければならず、そうでなければ接合強度もしくは引裂き伝播抵抗がユーザーによって許容不可なレベルになってしまうことを確認している。このような経験は、風に棚引くことがそれほどない“静的(static)”使用の場合の防水シートに関することである。防水シートが何度も強く風に棚引くトラックもしくは貨物車両のカバーなどの“動的(dynamic )”使用の場合には、かなりより大きいゲージが要求される。
【0018】
本発明の課題の一つは、高い引裂き伝播抵抗及び各フィルム間の十分な接合を、低ゲージの交差積層材においてでさえ、同時にかつ現実的な手段で達成できるように上記の問題を解決することである。
【0019】
上記の問題の解決に関連して、本発明者は、チューブ状フィルム上に複数のストランドからなる配列を現実的な手段で共押出しすることができる環状共押出ダイを構成した。それゆえ、この構成も、本発明の対象の一つである。
【0020】
英国特許(GBA)第1,095,479号(1964年3月3日出願、Metal Containers社に譲渡済み)では、本発明者は、上記の問題が、各フィルムを互いに強く点状もしくは線状に結合(weld)し、そして接触面の残りでそれらを弱く結合することによって(強接合/弱接合は強接合/接合無しよりも一般的に優れている)、解決し得ることを提案した。これは、裂け目を、弱接合領域において上述のようにフォーク状に割れさせることを可能とし、他方、全体的な層間剥離は、強接合された点もしくは線によって防がれる。
【0021】
強結合のために、上記特許は、加熱、超音波結合、薄い表面層を溶解するための溶剤(好ましくは高温の蒸気)の使用、または強いバインダーとして働く迅速に重合するモノマーの使用を提案している。弱結合のためには、上記特許は、(一例としてポリエチレン交差積層材を使用して)、低分子量ポリエチレンまたはパラフィンワックスを、例えばトルエンもしくはキシレンなどに加熱することによって溶解し、次いで冷却することによって形成されたゲルを使用することを提案している。前記溶剤を含むこのゲルの薄い層は、ローラー間でフィルムを一体とする際にそのフィルム表面に向けてトルエンもしくはキシレンの蒸気を吹き付けることによって強結合を施す前に、印刷技術を用いて選択的に適用される。またその代わりに、トルエンもしくはキシレンに少量のスリップ剤を加え、そしてこの“不純物が加えられた”溶剤を上記のゲルと類似の方法で使用する。
【0022】
1967年2月24日に発行されたデンマーク特許第1017/67号(デュポン社)は、点状もしくは線状接合されたフィルムからなり(なお、前記接合部は、網状パターンを形成する二つの線配列であることができる)、他方、接触面の残りは、メインクレームの記載では、実質的に接合されていない交差積層材がクレームされている。点状もしくは線状接合を行う三種の方法が開示されている。その一つは、ゴム様のバインダーを所望のパターンに施用することからなる。その施用法は、周知方法によって行われるとだけ記載されており、それ以上は説明されていない。
【0023】
二つめの方法は、複数のフィルムのうちの一つのフィルムにおいて、選択された表面領域を塩素で処理し、次いでそのフィルム材料の融点未満の高められた温度において加圧下に積層化を行うことからなる。
【0024】
好ましい方法とされている第三の方法は、フィルム表面の選択された領域をコロナ放電で処理し、その後、そのフィルム材料の融点未満の高められた温度で加圧下に積層化することによって行われる。この場合、接地されたローラー成形電極(rollerformed electrode)には、所望のパターン(網状パターンであることができる)が供され、それによって放電はこのパターンによって定めされた領域でしか起こらない。この整合(matching)フィルム表面をその全面にわたってコロナ処理する。この処理は、速度が0.5m/分である場合は20Wcm-1の効果を必要とすることが示されている。
【0025】
上述した米国特許第4,039,364号(Rasmussen )では、接合の強化及び制御のために、各々の配向フィルム上に表面層(“第一接合層”)を共押出するが、強接合/弱接合接着系は、積層材の異なる位置において異なる積層温度を用いて形成される。例えば、例1では、共押出及び螺旋状切断を用いることによって、三種のフィルムを、異なる溶融配向方向と、積層を補助するためのEVAの表面層(前述に“第一ラミネート層と称する)とを供して製造している。この三種の異なって配向されたフィルムからなるサンドイッチ体を、一対の噛合型溝付きローラーに7回通すことによって、横軸方向の配向と同時に弱接合が形成される。これらのローラーのピッチは1.5mmであり、溝の幅は1.0mmであり、そして環状の“歯”の幅は0.5mmである。各々の溝付きローラー通過の間に、このフィルムサンドイッチ体に生じたヒダがまっすぐに伸ばされる。
【0026】
これらの延伸段階は20℃で行われるが、各フィルム間の緊密な接触及びそれらが一緒に延伸されることによる効果の故に若干の接合がなお生ずる(剥し強度:約10gcm-1)。20℃で7回通した後、次いで、フィルムを、同じ寸法及び噛合を有する類似の一対の溝付きローラーに一回通すが、但し120℃に加熱し、それによって線状の強固な接合が形成される。最後に、積層材を長手方向に配向する。
【0027】
ヨーロッパ特許出願公開第0099222号(Mercerら、出願日1983年7月4日)では、配向及び点状結合パターンでの交差積層を、反転する二つのダイ部材を有する環状ダイ中で及びその直後に、統合された工程として行っている。これらのダイ部材の各々は、リブ配列を有するフィルムを作り、これらのフィルムは、二つのリブ配列が向き合うように配置される。各々のダイ部材が反回転しているために、それらのリブ付きフィルムのうちの一つにおける溶融配向及びそのフィルム上でのリブ配列は右巻であり、そして他のフィルムでは左巻である。これらの二つのリブ配列は、ダイ出口でまたはその直後に互いに合わせ、そして接合を、各々のリブが互いに交差する点のみにおいて行う。これらのリブは、最終製品においても、二つの点状結合されたフィルムを互いに隔てられた状態に維持する。
【0028】
交差配向性を与える溶融配向法は、ポリマー材料が、上記の二つの反転する部材を通る間に、及び積層材がダイの出口から排出された際のブローイング及び長手方向のドローダウンによって行われる。その下流には配向工程は存在しない。
【0029】
この方法は共押出方法ではない。フィルム及びリブは同一のポリマーからなりそしてこれらは同じ押出機から形成される。
【0030】
本発明者が知る限りでは、強接合/弱接合もしくは強接合/接合無しの接着パターンを得るための上記の方法は、交差積層材におけるこのような接合系の主な大きな利点はおおよそ40年も前から認識されてはいたものの、それのいずれも商業的な製造にはこれまで使用されていない。しかし、これらの提案された方法はそれぞれ重大な欠点を有する。ポリオレフィン用に有機溶剤を特に蒸気の形で使用する方法は、特にこのような溶剤の痕跡が最終製品中に残るのを避けることが困難なために、非常に高額な機器を使用しない限りは健康害の危険が伴う。
【0031】
パターン様にコロナ処理し、次いで加圧及び加熱(但し、ポリマー材料の融点未満の温度での加熱)する上述した提案された方法は、製造能力が非常に小さい場合にのみ実行可能である。日用品、例えば防水シート及びカバーシート用の交差積層材の商業的な製造においては、積層速度は約60m/分以上でなければならず、そしてその幅は約150cm以上でなければならない。電力消費量に関して上記情報を勘案すると、60m/分及び150cmというのは900kWの電力を必要とするが、これはもちろん実際的には可能ではない。パターン様に塩素で処理する方法も、大規模な工業的な製造には適していない。
【0032】
印刷技術を用いて分散液もしくは溶液から適用されるバインダーの使用は、ポリマー材料がポリエチレンまたはポリプロピレンの場合には事前に強力な表面処理、通常は、コロナによる非常に強力な処理を必要とし、それゆえこの方法もまた経済的ではない。
【0033】
様々な温度を用いて達成される強接合/弱接合もしくは強接合/接合無しのパターンは、このパターンが線状パターン(網状パターンも含む)の場合は必然的に異なる収縮を招き、これは積層材の見かけを悪くする。異なる収縮は、強接合の領域が小さいドットであると避けることができるが、しかしこの場合、製品はドット状の外観を有し、これは場合によっては見た目に悪い。
【0034】
更に、制御された温度まで点状パターンで十分な加熱を行うのに必要な装置は、速度が速い場合には比較的複雑なものとなる。なぜならば、積層材は、収縮する傾向があるにも拘わらず、それでも全く移動することなく、長い間、ヒーター上で高温の点(ホットスポット)と接触しなければならないからである。
【0035】
反転するダイ部材が使用される統合された積層化方法では、強度の観点から、フィルムの形成と分子配向とが互いに密接に結びつくことが欠点の一つである。これは、様々な目的にそれぞれ合わせて積層材の特性を調節することを実質的に不可能にする。更に、本発明者は、接合点部を除いては全体的に接合されていない交差積層材は、比較的低い降伏点を有しそして二つの積層フィルムの各主配向方向間の方向でクリープを起こしやすいことを確認した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明の目的は、押出技術を使用することによって、交差積層材用の改善及び簡素化された強接合/弱接合系を提供すること、及び/または類似の共押出技術によって、改善された興味深い美観効果をそれに与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、互いに接合されたポリマーフィルムを含んでなる交差積層材であって、これらのフィルムのうち、各々共押出しされた少なくとも二つの隣り合うフィルムA及びBが単軸配向されているかまたはアンバランスド二軸配向されており、この際、フィルムAにおける主配向方向が、フィルムBにおける主配向方向と交差しており、そして各々、高い引張り強さを得るために選択されたポリマー材料からなる層(以下、主層という)、及び各々の主層上に隣のフィルムAもしくはBと向かい合う側で、少なくとも一つの第一表面層を含む、上記交差積層材に関する。フィルムA及びBの各々の上に設けられる上記第一表面層は、各フィルムの表面の特性を改良するために選択された材料からなる共押出しされた細長いストランドの配列からなる不連続層である。この改良は、積層材の外観またはA及びBの間の接合のいずれかに関係する。
【0038】
それゆえ、上記のフィルムA及びBからなる(但し、更に別のフィルムも存在し得る)本発明の積層材を製造する方法においては、A及びBが、各々、フラットもしくは環状の共押出ダイに共押出しされ、そして各々、高い引張り強さを得るために選択されたポリマー材料からなる主層及びこれとは異なる材料から形成された上記の第一表面層とを含む。A及びBには、共押出ダイにおいてこれらの異なる材料を合体させた後かつ積層化の前に任意の段階において単軸もしくはアンバランスド二軸分子配向が供される。積層する前に、A及びBを、Aの主配向方向がBの主配向方向と交差するように配置し、そして積層する間に、AとBとを熱により少なくとも部分的に接合させる。この方法の特徴は、共押出工程において、上記第一表面層の各々が、ストランドの配列からなる不連続層(押出方向に対して横方向に不連続な層)として形成され、そして積層化工程において、A上の上記ストランド配列が、B上のストランド配列に対して交差するように配置される点にある。
【0039】
更に、この方法は、ストランドが押出し・形成される材料が、各々のフィルムの表面の特性を改良するために選択されることを特徴とする。この改良は、積層材の外観またはA及びBの間の接合のいずれかに関係する。
【0040】
接合性に関係しそして向上された引裂き伝播抵抗を得ようとする場合には、本発明は、更に、請求項2に記載の事項を特徴とするが、ただし、この目的のための方法の更なる特徴は請求項24にも記載される。外観に関係しそして装飾的な美観目的を有する場合は、本発明は、更に、請求項3に記載の事項を特徴とする。
【0041】
本発明の製造物の好ましい寸法は請求項4〜7に記載される。
【0042】
魅力ある装飾効果の必要性についてのコメントとしてであるが、本発明者の経験では、しばしば商業的な観点から交差積層型フィルムの使用によって達成し得る原料の節約は、否定的な主観的批評の代償となる。一例として、配向ポリエチレンフィルムから構成される70g/m2 の交差積層材から製造された農業用の防水シート(例えば作物保護用のシート)は、客観的な評価基準だけを考慮すれば、押出被覆織りテープ(extrusion-coated woven tapes)から製造された100g/m2 の防水シートの十分に満足な代替品となるであろう。
【0043】
しかし、実際は、農業用防水シートの平均的な消費者は、殆どの場合において、製品の取り扱い易さと外観に基づいて製品を選択し、上記の70g/m2 防水シートは、その薄っぺらさと、ただのプラスチックフィルムのようなその外観から、選択しない。薄っぺらいという問題は、国際公開第9314928号に記載の本発明者の先の発明(この発明に関しては、本発明の特別な態様の一つに関連して以下に簡単に説明する)を使用することによって軽減されるが、ただのプラスチックフィルムのような外観という問題はなお残る。しかし、本発明における交差ストランドのパターンは、その製品が交差積層材であり、それゆえ格別な強度を有するものであるというメッセージを伝えるものと信じられる。これに関連して、ユーザーは、このパターンは、明らかに、積層材の表面にプリントされたのではなく、その内部にあるものと見てとれる。共押出技術固有の結果であるパターンの僅かにぼやけた輪郭は、そのラインがフィルムの製造に由来してあるものであり、一層またはそれ以上の層の上に後でプリントして生じたものではないことを示す。要するに、このパターンは、その製品が積層材であり、それ故、強度が高いことを期待できることを示唆する。更に、このパターンは、当然ながら、摩耗による影響を受けない。これに対し、積層材上にプリントされたパターンは、このような作用に対して非常に弱い。
【0044】
世界中で製造されている交差積層フィルムの殆どは、一対またはそれ以上の対の噛合型溝付きローラーの間に通すことによって横に延伸されている。これについては、例えば、上記の国際公開第9314928号パンフレットに、交差積層フィルムについての既存の技術が記載されているので、それを参照されたい。この横延伸工程は、積層材の表面を波形にし、これに対応して積層材の厚さにバラツキが生ずるため、常に、多かれ少なかれ筋のある外観を交差積層材に与える。+/−5%ほどの微細なパターン変化でさえ光の反射のために非常に目立つ。驚くべきことに、本発明者は、積層材内部におけるこの筋のあるパターンと着色されたストランドとの組み合わせが、顕著な三次元効果を与えることをここに見出した。好奇心をそそる興味深い効果であるということの他に、この効果はまた、その積層材が本来よりもかなり厚く感じるという印象を観察者に与え、それによってただのプラスチックフィルムに見えるという否定的な主観的評価に反して作用する。この特殊な三次元効果については以下に更に論じる。
【0045】
共押出工程では、好ましくは、A及び/またはBには、装飾的な観点からストランド配列上にまたはその下のいずれかに共押出しすることができる連続表面層(以下、第二接合層と称する)も供される。接合という観点からは、この第二接合層は、主層の上にかつストランド配列の下に共押出しされる。この際、この第二接合層の組成は、主層の組成及び第一接合層の組成とは異なる。更に接合という観点からは、この第二接合層は、第一接合層が欠けておりそれ故接合点における接合よりも強度が低い箇所においても、積層化の間に接合を供するように選択される。
【0046】
本発明の方法及び本方法によって製造される製造物は、上記の欠点のいずれによっても不利益を被らない。この方法は、日用品の商業的な製造に非常に適している。なぜならば、以下に説明するように、健康へのリスクがなく;隅から隅まで均一に接合させる積層化と比べると余分なコストは無視し得る程度であり;押出、延伸及び積層化が本質的に別個の工程であり、それにより、各々の工程を所望の最終用途に合わせて最適化することができ; 製造物の外観が、異なる収縮による作用または点状の外観による不利益を被る必要がなく; そして交差積層材の製造に常用される機械を、既存の共押出ラインに安価な付加部を加えるだけで使用できるからである。
【0047】
接合パターンの最適化の上で非常に重要な利点の一つは、共押出装置が上記の第二接合層を押出しするための手段を含む場合には、積層パターンが、二つの要素ばかりからでなく、三つの要素からなり得ることである。上記手段を備えた共押出装置は、常にこの層を押出しするために使用されるわけではない。
【0048】
積層パターンにおけるこれらの三つの要素とは以下のものである:
a)各第一接合層の二つのストランドが互いに交差しているところの各々の点(スポット)、
b)接触する各表面部のどちらにも第一接合層が存在していないところの各々の領域、
c)二つの接触面の一方の上に第一接合層が存在し、他方の上には第一接合層は存在しないところの領域。
【0049】
成分a)及びc)が、一緒になって網状パターンを形成する。
【0050】
成分a)、b)及びc)の接合強度を、それぞれ別々に、但し同じ機械を用いて様々な用途別に合わせて適合させることにより、この接合系は、積層材の性質を合目的的に調節するために非常に有用なものとなり得る。
【0051】
例えば、コストの面からゲージをできるだけ小さくしたいが、引裂き伝播抵抗及び引張破壊強度(ultimate tensile strength)が最も重要であったり、降伏引張強度及び美観はそれほど重要ではないが、風に棚引くために剥離抵抗が非常に高くなければならないある種の防水シート様の用途がある。このような場合には、強接合/接合無しパターンが好ましく、そして第二接合層の共押出は省略される。主成分は、それ自体の押出機から及びそれ自体の流路系を通してばかりでなく、他の場合には第二接合層のために使用される押出機及び流路系からも適用することができる。この接合は、各ストランドが互いに交差するところの点(a)において強結合として形成される。
【0052】
他の場合においては、点(a)にばかりでなく、領域(c)においても強接合を形成する必要があり得、他方、領域(b)においては接合はしているが、但し著しく弱い接合であるのがよいという状況もあり得る。
【0053】
これは、第一及び第二接合層用のポリマー材料の適切な選択によっても達成できる(なお、この場合は当然ながら第二接合層を使用しなければならない)。網状パターンに強接合を施し、他方、残りの領域全体は接合させるが、但し弱い接合を施すというこの組み合わせは、強い点状結合と残部の弱接合との組み合わせと比べると通常はより良好な、非常に興味深い積層パターンを与える。強い点状結合と残部の弱接合との組み合わせの場合は、何かのきっかけで始まった剥離は、通常は、その交差積層材が繰り返し曲げられると(例えば風に棚引くなど)広い領域に渡って伝播する。それらのフィルムは、それらが点状結合されている箇所で互いに保持し合うが、残りの部分は接合が剥がれ、それによって美観を失うと共に、降伏強さ及びクリープ抵抗性も或る程度失ってしまう。
【0054】
これとは対照的に、網状パターンの強接合によって囲まれた弱接合は、不慮の剥離をこのように伝播することはできなくなる。
【0055】
しかし、最良の組み合わせが、
(a) 強結合、
(b) 弱接合、及び
(c) 同じく弱接合であるが、(b)よりは強い接合、
である用途も存在することを述べておくべきである。
【0056】
好ましくは、二つのフィルムA及びBの各々は、主としてポリエチレンもしくはポリプロピレンからなるのがよい。例えば、主層は、有利には、HDPEもしくはLLDPEまたはこれらのブレンドからなることができ、第二接合層は、主としてLLDPEからなるが、但し、50〜80℃の温度範囲内の融点もしくは融点範囲を有するエチレンのコポリマー5〜25%を混合してなることができ、他方、ストランドは、主として、50〜100℃の温度範囲内の融点もしくは融点範囲を有するエチレンのコポリマー、またはこのポリマーを少なくとも25%含むこのコポリマーとLLDPEとのブレンドからなることができる。
【0057】
各々の配列における隣り合うストランドの各々の中央間の距離は、通常は、2mm〜8cm、好ましくはせいぜい4cm、より好ましくはせいぜい2cmであるのがよい。
【0058】
剥がし試験(peeling)(約1mms-1の速度で細い試験片について行う)で測定した点(a)の接合強度は、通常は少なくとも40gcm-1であるのがよく、同様に測定した領域(b)における接合強度は、(a)の接合強度の75%以下、好ましくはせいぜい50%であるのがよい。
【0059】
背景技術の欄で述べた互いに反転するダイ部品を用いて製造されそしてリブの交差配列を含む交差積層材とは異なり、ストランドが共押出しされた箇所でのフィルムA及びB各々の厚さの増分は、その直ぐ周りを取り囲む箇所から見て、通常は30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくはせいぜい10%であるのがよい。
【0060】
フィルムA及びBの一方または双方の共押出は、好ましくは、環状共押出ダイを用いて行われ、チューブ状のフィルムを形成してそしてこれをドローダウンに付す。このドローダウンは、主配向方向及びストランド配列方向がフィルムの長手方向に沿う有意な単軸もしくはアンバランスド二軸溶融配向が得られるように適合させる。別法として、配向及び配列の方向は、ダイの出口と押出後のフィルムの巻き取り手段との間の相対的な回転によって、チューブ状フィルムに沿って螺旋状に伸びるようにすることができる。次いで、得られたフィルムを、主配向方向及び配列方向に対して斜めに切り開ける。
【0061】
押出機からの出口における隣り合うストランドの各々の中央間の距離は、通常は8cm以下、好ましくはせいぜい4cm、より好ましくはせいぜい2cmであるのがよく、そしてこの出口におけるチューブの周長は通常は少なくとも20cmであるのがよい。
【0062】
フィルムA及びBの両方をフラットダイに通して押出しし、そして得られたフィルムをホットプレスを用いてクロスウェブすることも本発明の範囲に含まれる。この際、クロスウェブは、好ましくは、双方のフィルムを長手方向に冷間延伸した後に行われる。
【0063】
本発明の交差積層材は、上記二つのフィルムA及びBに必ずしも限定されず、三つまたはそれ以上の層を含むことができる。それゆえ、有利な構造の一つとして、該交差積層材は、配列接合(array-bonded) フィルムA及びBの二つの組を、特に、中間のフィルムがそれの両面にストランド配列、すなわち第一接合層及び好ましくは加えて第二接合層を有するA−B−AまたはB−A−Bの配置で含むことができる。
【0064】
三つ以上のフィルムA及びBを含む他の適当な配置では、少なくも更に一つのフィルムが積層化工程に追加的に使用される。このフィルムも共押出によって形成され、この際、積層材中でのその接合を制御するために適合された組成を有する表面層がそれに供される。この組成及び積層条件は、この接合の強度が、共押出しされたストランドが無い箇所でのAとBとの間の接合強度よりも強くなるように選択される。そうして、上記追加の層の剥離が反作用を受ける。
【0065】
好ましくは、積層物の表面は、各々、積層物のヒートシール性及び/またはそれの摩擦特性の向上のために適合された層からなる。このような層は、該積層物における外側のフィルムとして使用されたフィルムに共押出しされる。
【0066】
単軸配向もしくはアンバランスド二軸配向であることができる、フィルムA及びBの各々における分子配向は、通常は、押出作業に関連して達成されるものには制限されるべきではない。螺旋状切断の前に、更に別の長手方向の延伸を行ってもよい。その代わりにあるいは補助的に、フィルムを積層のためにサンドイッチ型に配置した後に、長手方向及び/または横方向に延伸することによってフィルムを更に配向させてもよい。これは、上記のサンドイッチ型配置を熱接合させて積層物とした後に行ってもよい。
【0067】
このような段階はそれ自体は新しいものではないが(例えば、上記の国際公開第9314928号パンフレット参照)、本発明に関連して特定の利点を供し得るものである。
【0068】
積層化工程では、Aのストランドは、Bのストランドに直接貼り付けることができるが、別法として、積層化工程は押出積層化法であることもでき、この場合は、別々に押出しされた層によって接合が為される。
【0069】
フィルムA及びBの各々のストランド配列は、通常は、各フィルムAもしくはBの体積のせいぜい15%、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下を占める。
【0070】
ストランド形成第一表面層の上に第二(連続)表面層が共押出しされる場合を除き、一般的に言って、主層がなお主に固形の状態である温度においてストランドが溶融するようにストランド材料の組成を選択することが、積層化を容易化するかまたは向上させる上で常に有利であろう。それゆえ、ストランドが形成された第一表面層を構成するポリマーの平均融点は、主層を構成するポリマーの平均融点よりも、通常は少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約15℃、より好ましくは少なくとも約20℃低い融点であるのがよい。
【0071】
これに関連して、“平均”という表現は、当然ながら、各成分の異なる重量を考慮した平均値と理解されるべきである。例えば、ストランドが、融点125℃のポリマーX20%及び融点90℃のポリマーY80%からなる場合には、それの平均融点は、125×20%−90×80%で、97℃となる。
【0072】
強接合/弱接合の積層システムを供し、それによって引裂き伝播抵抗性と耐剥離性との適当な組み合わせを得ることを目的とした場合の本発明の特徴については、更に別の有利な態様を述べておくべきである。この態様では、弱接合(ただし、この場合には接合というよりもむしろブロッキングと称し得る)は、密着フィルム(cling film) に加えられるような種のポリマーからなるポリマー添加物を第二表面層に加えることによって為される。これは、接着助剤もしくはブロッキング剤とも称し得る。このような添加物は、表面に移行する傾向を示す通常は比較的低分子量の粘着性ポリマー、例えばポリイソブチレンである。この目的に好適な他のポリマーの一例としては、アタクチックポリプロピレンを挙げることができる。この添加物の量は、当然ながら、この第二表面層と、ストランド形成第一表面層との間のシーリングが台無しになるほどに多いものであるべきではない。
【0073】
視覚上の外観に関連する特徴については、積層材内のストランドは着色しそして積層材の片面からもしくは両面から可視であるのがよい。既に述べた通り、積層材の表面には下にあるストランドがその表面を介して確認されるが、これに筋のある浮出し模様が供された場合には、興味深く、有利でありかつ驚くべき三次元視覚効果が現れる。この目的のためにわざわざ浮出し模様加工処理を設ける必要は通常なく、このような模様は、交差積層フィルムの製造に現在広く使用されている溝付きローラー間で横方向の延伸を行った結果として生じ得る。これに関しては、例えば、国際公開第9314928号パンフレット及びヨーロッパ特許第0624126号明細書(Rasmussen )を参照されたい。
【0074】
ストランドが筋から少なくとも約0.5mm離れているかのように見える、最も厚くて約0.3mmの一般厚さを有する交差積層材を製造することができる。“一般厚”という用語は、筋のある浮出し模様はゲージを変動させるために使用される。各筋に垂直に伸びる或る間隔における一般厚は、この間隔内での平均厚と理解される。
【0075】
本発明のこの態様は、より具体的には、以下のように定義される:
a)積層材は、最も厚くて約0.3mmの一般厚を有する。
b)Aが、積層材の片面を形成する。
c)少なくともA側の積層材表面は、Aにおける対応する厚さ変動を有する表面波形によって構成される一つの方向に沿う可視の筋模様を示し、この際、前記模様における各区画は大きくとも約3mmであり、
d)薄いストランドは着色されており、そしてフィルムAの残りは、積層材をA側から見た際に前記着色されたストランドが見えるほどに十分に透明であり、この際、ストランドが筋から少なくとも約0.5mm離れて見えるほどに波形の奥行きは十分な深さである。
【0076】
仮説ではあるが、この三次元効果は、部分的には心理学的錯覚として説明され、また同様に部分的に、非常に大まかに言えばだが集光性円柱レンズ及び伸光性(spreading) 円柱レンズとして表すことができる各構造体の交互配列を前記筋模様が形成するという事実によって説明される。しかし、これはそれほど厳密にとらえてはならない。なぜならば、これらのレンズはむしろプリズムの特性を有し得るか、またはレンズ様の部分とフラットな部分とが交互することもあり得るからである。この浮出し模様は、おおむね一定した区画を示し得るか、または溝付きローラーの複数の対から施される浮出し模倣が互いに干渉し合うような場合にはよりランダムなものにもなり得る。
【0077】
上記三次元効果の説明がどうであれ、本発明者は、以下の実施例からも明らかであるように、この効果が非常に有意なものであることを見出した。
【0078】
前記筋模様の特別に強い視覚もしくは心理学的効果は、以下のような場合に達成することができる。すなわち、上記筋に対して垂直な横断面から見た場合に、積層材がおおむね規則的なリブの配列を示し、そしてこのリブが、積層材の平均厚さよりも厚くかつおおむね凹型の表面及びおおむね凸型の表面を有し、そしてそれによってリブの長手方向に対して横向きにリブに湾曲が生じ、かつ更にリブの境界内のもしくは境界に隣接する材料が、伸張されていない状態において、リブの反対方向に湾曲して、隣り合う二つのリブの間の材料がおおむね真っ直ぐな形となるような場合に、上記の効果を達成できる。これ自体は新規ではなく、上記の国際公開第9314928号パンフレット(Rasmussen )に記載の発明の主たる特徴である。この特許においては、リブの目的は、一方向に本質的に向上された剛性を積層材に与えることであるが、本発明に関連しては、これは格別な視覚効果も与える。
【0079】
金属光沢もしくは玉虫色の効果を供する顔料によってストランドの色を形成した場合にも、特別な美観効果を達成することができる。このような色のためのマスターバッチは通常は非常に高価であるが、その施用をストランドに限った場合には、そのコストはそれほど大きな問題ではなく、そしてこのようにして得られた効果は、このような顔料でフィルムを全体的に着色して得られる効果よりも必ず大きいものとなり得る。
【0080】
それ故、本発明の一つの側面では、互いに接合されたポリマーフィルムからなる交差積層材料を製造するにあたり、少なくとも二つの隣合うフィルムA及びBが、それぞれ、大きい引張り強さを得るために選択されるポリマー材料からなる主層と、ポリマー材料からなる第一表面層とを、フラットもしくは環状のダイに共押出しすることによって形成され; A及びBの各々に、共押出ダイでそれぞれの材料を合流した後かつ積層化の前の任意の段階において、単軸もしくはアンバランスド二軸分子配向が供され; 積層化の前に、Aの主配向方向がBの主配向方向と交差するようにA及びBを配置し; 及び、積層中には、AとBとを、熱によって少なくとも部分的に接合させる、新規方法であって、共押出工程において、上記第一表面層の各々を横方向に不連続に作り、この際、これらの層は、ストランド配列からなり、そして積層化工程において、A上のストランド配列が、B上のストランド配列に交差するように配置すること; 及び共押出工程の後、フィルムAに、厚みにバラツキがある表面波形を供し、この際、各波形の間の区画はせいぜい3mmであること、を特徴とする上記方法が提供される。
【0081】
上記の表面波形は、好ましくは、国際公開第9314928号パンフレットに記載のように、噛合溝付きローラーによって積層材を横方向に延伸することにより供して、積層材全体が表面波形を有しそしてこれらの波形が上記のリブを有するようにする。このような本発明の側面では、好ましくは、押し出されてストランドを形成する材料は着色され、そしてフィルムAを形成する材料は、これらのストランドが積層材のA側から可視であるように十分に透明なものである。
【0082】
既存の共押出ラインに安価な付加部を加えるだけで、交差積層材の製造に常用される機械を使用できることは上述した通りである。これは、ストランド配列、すなわち不連続な第一接合層の共押出に関することである。本発明者は、特殊ではあるが、簡単で安価な機械部品をほぼ任意の既存の設計の共押出ダイの出口に付加することによってこれを為し得ることを見出した。当然ながら、もう一つの押出機も必要であるが、該ストランドは、通常は、各々の押出フィルムの約1〜5%を占めるに過ぎず、それゆえ、これは小型で安価な押出機であることができる。このような適合されたダイは新規であると信じられる。
【0083】
本発明の押出ダイは、分配部品と、これとはボディを別にする出口部品とを含む環状押出ダイであり、前記分配部品では、少なくとも第一の溶融ポリマー材料をおおむね一様の環状の流れに成形することができ、そして前記出口部品は、おおむね筒形もしくは円錐形の壁を有する環状の主流路を含み(なお、この際、前記流路は平坦な区域を含むことができる)、上記の溶融ポリマー材料を出口オリフィスへと導き、そこからポリマー材料が、チューブ状のフィルム構造物として排出される。本発明の独特な特徴は、上記の出口部品が、第二の溶融ポリマー材料からなる細いストランドの環状の配列を周面上に押出しするための流路系も含み、この流路系が、主流路のおおむね筒状もしくは円錐状の外側壁中に環状に並んだ内部オリフィスのところにその終点があることである。
【0084】
好ましい態様の一つでは、上記の周面上押出は、出口部品に通ずる一つまたは複数の入口のところで始まり、そして均等な分割のために、各々の入口から始まる迷路様流路系を含み、この際、このような系の各々は、少なくとも三つの流路分岐を含む。
【0085】
迷路様分割という用語は、米国特許第4,403,934号で導入された言葉であり、一つの流れが同じ長さの二つの分岐に分割し、そしてこれらの流れの各々が再び同じ長の二つの分岐にそれぞれ分割し、そして更にこのように分岐が続いていく流れの分割のことを指し、この際、全ての分岐は、主に、環状でかつ互いに並行である。これを図6に示す。
【0086】
各内部オリフィスの間の間隔を特に短いものにするためには、迷路系もしくは複数の迷路系の流路は、主流路のおおむね筒状もしくは円錐状の壁の一部と共有の壁を有する共通の環状流路のところを終点とし得る。内部オリフィスの環状の並びは上記壁部に位置する。
【0087】
この共押出ダイは、交差積層材を製造する目的で、強接合/弱接合または強接合/接合無しの積層パターンを達成する手段として考え出されたものであり、そしてこの目的には、連続的な第二接合層が必要な場合がある。それゆえ、好ましくは、上記の第一及び第二溶融ポリマー材料を共押出しする手段の他に、第一材料を挟んで第二材料の反対側に第三の溶融ポリマー材料の環状の流れを共押出しするための手段が設けられる。第一材料と第三材料の流れを引き合わせるための流路配置は、上記分配部品に設けられるか、またはこの分配部品とこれとはボディを別にする出口部品との間の部分に設けられる。
【0088】
ダイにおいては、出口のところの内側壁の周長は好ましくは少なくとも20cmであり、そして環状に並んだ隣り合うオリフィスの各中央間の距離は、主流路の壁がおおむね円錐状である場合に生じ得る拡大もしくは縮小の後に、隣り合うストランドの各中央間の距離が8cm以下、このましくはせいぜい4cm、より好ましくはせいぜい2cmとなるように適合させる。
【0089】
該ダイは、交差積層材以外のポリマーフィルムの製造にも有利に使用することができ、例としては、着色されたストリップからなる装飾パターンをフィルムに施すことができる。上記の経済的な利点、すなわち、安価なダイ部品及び小型の押出機を付加するだけで既存の設計のダイを使用できるという利点の他に、ダイ及び分配系全体に通ずる第二材料のための入口がダイ出口付近にある場合に、押出機からダイ出口への流れの経路が可能な限り最短となり、その際、ポリマーの分解を最良に避け得るということも利点の一つである。
【0090】
完全をきすために、上記交差積層材のための共押出しされたフィルムA及びBにおけるストランド配列は、当然ながら、共押出ダイの分配部品全体中を他の流れと並行に流通する流れからも形成することができるが、この場合は、上述の通り、ストランドは通常は各々のフィルムの約1〜5%を占めるに過ぎないために、分解が起きる恐れがある。
【0091】
各々順に配置される上記の種類の二つ以上の迷路系または等価の分配系を設けることもできる。これらの迷路系は、各々、内部オリフィスの環状の並びの所を終点とし、そして場合よっては、最終分岐と内部オリフィスとの間に挿入された上記の環形流路が設けられている。好ましくは、このような迷路系の各々には、別個の小型押出機から材料を供給するのがよい。様々な小型押出機を使用することができる。異なる迷路様流路系の終点となる各々のオリフィスは、異なる組の共押出しされたストランドがそれぞれお互いを覆わないように相互に配置するべきである。これは以下に図5aに基づいて説明する。
【0092】
上述の通り、該積層材の製造ラインの各種成分は公知のものでもよいが、該新規方法を実施するための装置は新規であると信じられる。
【0093】
本発明の更に別の側面においては、交差積層材を製造するにあたって、
・フィルムAを共押出しするためのダイ、及びフィルムBを共押出しするためのダイを含み、この際、上記のまたは各々のダイが、第一の分配部品(8)、第二の分配部品(9)、出口オリフィス、出口部品、及び流路系(10、11)を含み、前記第一の分配部品(8)においては、第一の溶融ポリマー材料を、おおむね一様な流れに成形することができ、前記第二の分配部品(9)においては、第二の溶融ポリマー材料を流れに成形することができ、前記出口部品は、上記の第一の溶融ポリマー材料を出口オリフィスに導く主流路(12)を含み、そして前記流路系(10、11)は、上記主流路の片側にあり、上記第二の溶融ポリマー材料の流れを導いて上記オリフィスに向かう上記第一の溶融材料の流れの片面に表面層を形成し、この際、共押出しされた材料は、ダイの出口オリフィスからフィルム構造物(16)として排出され、
・A及びBを、上記出口オリフィスから排出された後に、単軸にもしくはアンバランスド二軸に配向させるための手段、
・配向されたフィルムA及びBを、上記各表面層が互いに向き合いかつそれらの配向方向または主配向方向が互いに交差するように、配置するための手段、及び
・熱の適用によってA及びBを積層するための積層手段、
を含む装置であって、上記第二ポリマー材料を導くための流路系が、流れ方向に対しておおむね横方向に不連続な上記第二材料の流れを供し、この際、A及びBの表面層の各々がストランド配列として形成され、そしてフィルムA及びBがそれらの表面層が互いに向き合うように配置された際に、A上のストランドがB上のストランドと交差することを特徴とする、上記装置が提供される。
【0094】
AとBが同じ場合は、単一のダイが装置の一部となり得る。この装置は、所望の表面層を有する一つのタイプのフィルムを製造し、そして二つのフィルムを互いに向かい合わせて配置して積層物を形成する。このまたは各々のダイは、好ましくは、上に定義した新規のダイである。
【0095】
該新規方法を行うのに有用な装置の他の特徴は特許請求の範囲の装置の発明に係る請求項の記載から明らかである。
【0096】
本発明を添付の図面に例示する。
【0097】
図1は、二つの共押出しされ、配向され、螺旋状切断されそして交差積層されたフィルムA及びBの層間のほぼ実スケールの図であり、これらのフィルムA及びBは、各々、必ずではないが通常は弱接合のための薄い連続層を有し、そしてこの層の上に第一接合層のストランド配列を備え、それによって三種の異なる接合要素a、b及びcが形成されている。
【0098】
図2は、二つの共押出しされ、配向され、螺旋状切断されそして交差積層されたフィルム(A及びB)のほぼ実スケールの図である。これは、共押出しされたストランド(101)及び(102)の使用の下で、それによって筋状の浮出し模様(103)が三次元効果を与える、3次元効果を供する外観に関する本発明の一つの側面を例示するものである。
【0099】
図3は、図2のa−a断面図である。この断面図は、筋に対して垂直に切った図である。ここで、各々の層の厚さは、約400倍に示されており、他方、積層材の表面に平行な寸法は約20倍に示している。
【0100】
図4は、螺旋状切断を施した後に図1、2及び3に示す交差積層材の製造に適したものとなるチューブ状フィルム製造用の共押出ラインの透視図である。ストランド用のポリマー材料の流れは、非常に小型の押出機(4)から導入され、そして他の三種のポリマー材料(主層、連続第二表面層、及び積層材表面のための層用のポリマー材料)の流れは、より大型の押出機(5)、(6)及び(7)から導入される。最後の三つの材料は、共押出ダイの分配部品(8)に供給され、そこで各々、環状の流れに成形される。これらの流れは(8)の出口で合体し、そしてこれらはボディを別にする出口部品(9)に流入する。小型押出機(4)からの流れは、出口部品(9)に直接供給され、そしてここで、この出口部品の周辺から始まって図6に示すような迷路様流路系中で均等に分配され、そして内部オリフィスの環状配列を介して上記他の成分からなるチューブ状合体流の外側上に施用される。上記の迷路様流路系の概念は上に説明した通りである。
【0101】
図5aは、副部品(9a)、(9b)、(9c)、(9d)及び(9e)からなる、ほぼ半分のスケールで示した、ボディーを別にする出口部品(9)の軸上断面図である。この図は、図6のx−xラインの断面図に当たる。迷路系の幾つかの流路(10)が示されている。
【0102】
図5bは、迷路様流路系中の最後の分岐と、64個の内部オリフィス(11)のうちの一つを示す、図5aの詳細図である。なお、ストランドを形成する材料の流れは、上記内部オリフィスを介して、他の三種の共押出しされた材料からなるチューブ状流れ(12)と合体する。この詳細図は、実スケールのほぼ6倍のスケールで描かれている。
【0103】
図6は、副部品(9a)を上から見た透視図であり、迷路様流路系(10)の下半分を示す。入口(13)を介して押出機(4)から導入されたストランド形成材料の一つの流れは、流路(10)を通って、段階的に64個の均等な部分流に分割され、そして各々別々に、内部オリフィス(11)を通して押出しされる。副部品(9b)にある迷路様流路系の上半分は、入口(13)は除いて、図6の下半分のものと正確に対称を成すものである。
【0104】
図1及び2において、交差積層ウェブの長手方向は矢印(1)で示す。単軸配向もしくはアンバランスド二軸配向であることができる主配向方向は、一つのフィルムに関しては矢印(2)で、そして他のフィルムに関しては矢印(3)で示す。これらの主配向方向は、各々、長手方向(1)に対して約60℃の角度を持つものとして示してある。この角度は、本発明が、防水シート及びカバーシートに一般的に最良であることを見出した角度であり、他方、30℃付近の角度は、バックの製造に使用される交差積層材に一般的に最良であることが見出された。45℃の角度は、若干の場合においてのみ好ましかった。
【0105】
各々のフィルムに関して、主配向方向はフィルムのストランド配列に対して完全にではないが殆ど平行に示している。チューブ状フィルムを、それが押出ダイから排出された際に真っ直ぐにドローダウンした場合、及び螺旋状切断の後に延伸されていない場合は、主配向方向はストランド配列に対して正確に平行になるが、上記の米国特許第4,039,364号明細書(Rasmussen )に記載のように、ドローダウンの際にチューブ状フィルムを捩って螺旋状溶融配向を生じさせるか、または螺旋状切断の後に単軸もしくは二軸配向させると、主配向方向は、ストランド配列に対して完全には平行ではなくなる。
【0106】
一つの配列が他の配列と交差する点(a)では、強点結合が形成している。その接合は、通常は、剥離を試みた場合にこれらの点の周りで積層材が破れる程に強いものであるべきである。
【0107】
ストランドと主層との間に連続第二接合層が共押出しされない場合は、接合は点(a)においてのみとなるが、上述の通りこれは非常に強い接合である。上に一般的に説明した通り、この簡単な接合系は幾つかの場合において好ましい。しかし、このような場合に用途が限られないとしても、好ましくは、共押出ダイは、第二接合層のための流路系を含むのがよい。
【0108】
最も通常には、各々のフィルムにおいて、主層とストランド配列との間に第二接合層が共押出しされるのがよい。(b)で示した領域には、二つのフィルムの各第二接合層の間に直接の接着が形成されており、そして材料の組成及び積層温度を選択することによって、所定の良く制御された弱接合がそこに形成される。
【0109】
領域(c)では、一方のフィルム上のストランドが、他方のフィルム上の第二接合層と接着している。領域(c)における接合力は、(a)の接合力の値と(b)の接合力の値のおおよそ中間の値を有する。これらの三つの値には幅広い選択が可能であり、そしてその接着系は、いわば、交差積層材の意図した用途に合わせて誂えることができる。
【0110】
比較的薄いフィルムの場合には、(b)領域における接合が特に弱い場合でさえ、(c)領域における接合を、それの剥離には必ず材料の破壊が伴う程に強くすることができる。この際、弱結合の領域は、強接合の領域に完全に囲まれている。或る用途についてのこれの利点は本明細書に説明される。他の場合には、(b)領域の接合をなお非常に弱いものとしながら、(a)と(b)の中間の適当な値、すなわち、引裂き力が伝播する際に剥離を起こすが、但し、引き裂き力を吸収しそして(a)の点の周りの破壊を防ぐ高い抵抗性をこの剥離に対して発揮するような値を(c)領域の接合に与えることが好ましくあり得る。
【0111】
図2には、交差積層したウェブの機械方向を矢印(1)で示す。ここではアンバランスド二軸配向と見なす主配向方向は、一方のフィルムには矢印(2)で、他方のフィルムには矢印(3)で示す。これらは、各々、機械方向(1)に対して約30℃の角度で示されている。
【0112】
各々のフィルムにおいて、主配向方向は、フィルムAのストランド配列(101)及びフィルムBのストランド配列(102)に対し完全にではないがほぼ平行に示されている。これらのストランドは、図2では、太い断線で示している。
【0113】
図2においてライン(103)はハッチングではなく、断面図では図3から明らかな浮出しによって形成された筋を表していることを留意されたい。この浮出し模様は、溝付きローラー間で延伸することによって形成される。これについては実施例を参照されたい。この筋のために、たとえ実際の間隔が眼の解像度(約0.1mm)と殆ど同じかまたは更にはそれより短い場合でさえも、着色されたストランド(101)及び(102)が筋から著しく離れているように見える。既に述べた通り、この錯覚は、交互配列で組んだ積層材の表面が凹凸であるという事実、言い換えれば、ここでは透明と見なすフィルムAが、微小な伸光性円柱レンズと交互に並ぶ多くの微小な集光性円柱レンズから構成されるという事実に関連するものと信じられる。これはまた、溝付きローラーによって加えられた圧力が、様々な輝きのパターンを供するという役割もなす。同様にフィルムBも透明であることができるが、しかしフィルムBは色濃く着色して、着色された筋パターンのための美観的背景とすることもできる。
【0114】
図3は、更に、接合力の制御のための第二表面層(104)及び(105)、並びに積層材のヒートシール性及び/または摩擦特性の向上のために選択されるポリマー材料から作られた積層材表面層(106)及び(107)を示す。この場合は、本発明は、視覚効果の達成のためだけではなく、むしろこちらの方が通常なのであるが強接合/弱接合パターンを形成するために使用されるべきであり、そして図3に示されるように及び本明細書において更に説明されるように、第二表面層が、各々のストランド形成第一表面層(101)もしくは(102)と各々の主層(108)もしくは(109)との間にあるのがよい。
【0115】
しかし、強接合/弱接合効果が必要でない場合は、各々のストランド形成第一表面層(101)もしくは(102)を、主層(108)もしくは(109)と接合制御用第二表面層(104)もしくは(105)の間に共押出しすることができる。
【0116】
図3aに示す断面図は、例2に記載の積層材のマイクロ写真に基づいて描いたものである。既に述べた通り、着色されたストランドを実際よりも筋からかなりより離れているように見せる三次元効果は、少なくとも部分的には、筋を構成する“集光性円柱レンズ”と" 伸光性(spreading) 円柱レンズ”の交互配列の結果であると信じられる。
【0117】
図4、5a、5b及び6は、基本的な理解についてすでに十分に説明したが、以下に更に付け加える。
【0118】
ボルトもしくはネジのための穴(14)の各々の並びは各部品を互いに強力に繋ぎ止めるためのものである。図5aには、ダイ構成に通常の通り、排水用の浅い流路(15)が含まれる。実際は、副部品(9a)と(9b)の間の領域の殆どを占める排水用の流路系があるべきであるが、簡潔さのためにこの流路のみを示している。図5bでは、内部オリフィス(11)の下流側には軸流のダメージを防ぐ形状が与えられる。オリフィスのこの下流側が鋭い縁を持つと、軸流にダメージを与える恐れがある。
【0119】
分配部品(8)とはボディーを別にする出口部品(9)が設けられることは既に強調して述べている。図示の通り、ダイ部品(9)は、通常は、複数の副部品から構成される。図示の副部品(9c)及び(9e)は、一つの部品として構築することができる。副部品(9d)の心立ては、押出しされたチューブ状フィルム(16)の厚さのばらつきを補うために調節可能なように行う。
【0120】
各々別の押出機から原料が供給される二つまたはそれ以上の迷路系を使用する場合は、環(9a)と(9b)の間に更に別のダイリングを挿入することができ、この際、この挿入される環の表面は、それが(9a)と一緒になって一つの迷路系を形成し、そして(9b)と一緒になって更に別の迷路系を形成するように、成形される。
【0121】
図6では、迷路系の最終の64個の分岐のそれぞれは内部オリフィスで終点となり、そこから、チューブ状軸流に対して直接押出しされる。しかし、64個を超える数の分岐に分割することは実務的ではないが、より多くの数のストランドが必要な場合は、各々の最終分岐を、軸流用の流路(12)付近の共通の環状流路に通じさせることができる。この環状流路から、流路(12)に対する所望の非常に数多くの開口を設けることができる。
【実施例】
【0122】
例1
以下を除いては、米国特許第5,028,289号明細書(Rasmussen)の実施例3に記載の通りに行った。
【0123】
共押出ラインを、図4、5a、5b及び6に示す通り構築し、そして50〜60℃の融点範囲及び1.0のメルトフローインデックスを有する、メタロセン触媒を用いて製造した低融点エチレン−オクテンコポリマーからなるストランドを共押出しする。
【0124】
これに銀顔料のマスターバッチを加える。これの添加量は、銀効果フィルムの通常の押出工程に使用される量の三倍である。
【0125】
上記米国特許明細書では「lamination layer」と称されそして本明細書では第二接合層と称する層は、LLDPE90%と上記の低融点コポリマー10%とのブレンドである。このLLDPEは、0.92gml-1の密度及び1.0のメルトフローインデックスを有する。主層及びヒートシール層(最終交差積層材のヒートシール用の層)は、上記例3のものと同じである。主層は、体積基準で、フィルムの75%を、ヒートシール層は15%を、第二接合層は8%をそしてストランドは2%を占める。
【0126】
主層、第二接合層及びヒートシール層用の成分は顔料を含まない。
【0127】
切断角度は57°である。
【0128】
積層、延伸工程、及び最終熱処理のための温度もそれぞれ異なり、すなわち:
予熱用には60℃;
上記米国特許に記載の特殊な溝付きローラー間での横方向延伸、及び最初の長手方向の延伸工程には50℃;
次の横方向及び長手方向延伸工程には35℃;
最終の接合を行うための熱処理には90℃である。
【0129】
更に、主横方向延伸の際にはフィルムの冷却のためにエアージェットは使用しない。
【0130】
上記例3と同じように、最終交差積層材(以下、区別のためにIと称する)のゲージは約70gm-2である。これは、図1に示す接合パターンを有する。
【0131】
ストランドを設けていない類似の交差積層材(IIと称する)を比較のために製造する。
【0132】
更に、Iと類似するが、ストランドを設けず、更に第二接合層に10%ではなく15%の低融点コポリマーを使用した第三の積層材(IIIと称する)を製造する。
【0133】
サンプル(I)は、最も高い引裂き伝播抵抗性を示し、サンプル(II)は殆ど同じ引裂き伝播抵抗性を示し、そして積層材(III)は、防水シートには許容不可な、衝撃裂け(shock-tearing )の下にかなり低い引裂き伝播抵抗性を示す。この性質は、このような試験に慣れておりかつ消費者の要求について知識がある人員からなるチームによって、5〜7ms-1の測定された速度で人手で引き裂くことによって評価する。本発明者が知る限りでは、材料が引き裂かれる実際の条件に近い、引裂き伝播抵抗性のための標準化された試験は存在しない。
【0134】
積層材(I)、(II)及び(III)は、折り曲げることによる加速老化試験にも付す。各々の積層材を、8cm幅の帯状片に切断し、これらを、各々、直径25mmのスティックに旗の様に取り付け、そしてこれがポールから25cm伸びるように切断する。次いで、この旗を、約100kmh-1の人工風で試験する。サンプル(II)及び(III)は二三分で剥離したが、サンプル(I)は、試験終了の2時間後まで、ストランドが互いに交差している全ての点において接合された状態で残った。
【0135】
以下は、上記の加速曲げ処理の前の検査についてである。サンプル(I)はどちらの側から見ても、着色されたストランドが、筋から数mm離れているような印象を与える。
【0136】
サンプル(I)の断面を顕微鏡で検査すると、厚さが規則的に変化するパターン及び対応する波形を示すが、これらは非常に小さい範囲でのことである。上記のヨーロッパ特許第0624126号の例1では、そこでは“U−Rib Structure”と称されるこの構造がかなりより顕著に形成される。このヨーロッパ特許の図1を参照されたい。この“U−Rib Structure”は、本特許出願の請求項9に定義される。本願の例では、目的は、改良した工程条件、すなわちより大きな切断角度、長手方向延伸後のより穏和な冷却条件、及びアニーリングの際の若干高めの横方向伸張によって、それほど顕著ではない“U−Rib Structure”を形成することである。
【0137】
サンプル1の厚さは、おおむね規則的なパターンで約±10%のバラツキがあり、他方、Aと称する表面と表面の平均の水平面との間の角度は、この場合もおおむね規則的なパターンで、一つの区画において約±3°のバラツキがある。光の反射に対する影響のために、これらの比較的小さな角度の変化が、目立った筋模様の印象を与える。これはまた、溝付き延伸ローラーが様々な輝きのパターンの印象を与えるという役割を果たし得る。
例2
この例の目的は、折り曲げることによる加速老化処理の前及び後での、交差ストランドの視覚効果についての更なる検証である。
【0138】
以下の成分の顔料着色を除き、例1の手順を正確に繰り返す。
サンプルIV: ストランドは、例1の場合と同じ銀効果顔料添加されている。積層材の一つのフィルムにおいては、通常の使用量よりもおおよそ倍の量のマスターバッチを用いてその主層が濃い青色に顔料着色されている。積層材の他のフィルムでは、ストランドだけが顔料着色され、残りは透明である。
サンプルV: TiO2 を含むマスターバッチでストランドを白色に顔料着色する。マスターバッチの量は、通常の使用量の三倍である。
【0139】
積層材の両フィルムにおいて、主層を、サンプルIVと同じ青色顔料で顔料着色するが、マスターバッチの量は半分にする。
サンプルVI: ストランドは設けず、主層をサンプルVと同じように顔料着色する。サンプルIV及びVと同じ第二接合層を使用する。
折り曲げによる加速老化処理の前のサンプルの検査:
サンプルIV: 透明な側から見ると、光輝性で三次元の銀パターンが観察される。“逆の”側から見ると、より濃い青色で非常に美感的ではあるが光輝性ではない三次元線状パターンが観察される。
【0140】
サンプルV: どちらの側から見ても、より明るい青色で美観的な三次元線状パターンが観察される。
例1に記載の通りの加速折り曲げ試験を5分間行った後のサンプルの検査:
サンプルIV:“逆の”側から見ると、なお美感的であり、そしてストランド材料が存在する領域では剥離が生じた形跡はない。透明な側から見ると、ストランド材料が存在しない領域において進行した剥離のために、美観的にはかなり劣る。
【0141】
サンプルV: 両方の側から見て、積層材は幾分老化しているように見えるが、交差パターンはなお全体にわたり完全な状態であり、そしてなお美感効果を有する。
【0142】
サンプルVI(ストランド無し): 激しく剥離し、実用にはならない。
【0143】
例1に記載の通りに1時間加速折り曲げ試験を行った後のサンプルVの検査: この材料は、ストランドが交差する全ての点においてなお点接合している。両側において、より明るい色で線状パターンを示す。
例3
フィルムをより厚く押出して120gm-2の重量の最終積層材とし、そして第二接合層において低融点コポリマーの含有量を10%から15%に増加する変更を加えて、例1の手順を繰り返す。
【0144】
顔料着色は、例2のサンプルIVと同じように行う。すなわち、ストランドは銀に、一つのフィルムの主層は濃い青に顔料着色し、そして他のフィルムでは主層は顔料着色しない。
【0145】
この交差積層材は、例1に記載の通りに評価して、優れた引裂き伝播抵抗性を示す。例1及び2で使用した方法によって加速折り曲げ試験を5分間行った後でも、これはなお剥離を起こした形跡を示さない。
【0146】
それゆえ、その三次元パターンは、この処理の後にも、透明な側から見るとなお輝いて見える。
【図面の簡単な説明】
【0147】
図1は、二つの共押出しされ、配向され、螺旋状切断されそして交差積層されたフィルムA及びBの層間のほぼ実スケールの図であり、これらのフィルムA及びBは、各々、必ずではないが通常は弱接合のための薄い連続層を有し、そしてこの層の上に第一接合層のストランド配列を備え、それによって三種の異なる接合要素a、b及びcが形成されている。
【0148】
図2は、二つの共押出しされ、配向され、螺旋状切断されそして交差積層されたフィルム(A及びB)のほぼ実スケールの図である。これは、共押出しされたストランド(101)及び(102)の使用の下で、それによって筋状の浮出し模様(103)が三次元効果を与える、3次元効果を供する外観に関する本発明の一つの側面を例示するものである。
【0149】
図3は、図2のa−a断面図である。この断面図は、筋に対して垂直に切った図である。ここで、各々の層の厚さは、約400倍に示されており、他方、積層材の表面に平行な寸法は約20倍に示している。
【0150】
図4は、螺旋状切断を施した後に図1、2及び3に示す交差積層材の製造に適したものとなるチューブ状フィルム製造用の共押出ラインの透視図である。ストランド用のポリマー材料の流れは、非常に小型の押出機(4)から導入され、そして他の三種のポリマー材料(主層、連続第二表面層、及び積層材表面のための層用のポリマー材料)の流れは、より大型の押出機(5)、(6)及び(7)から導入される。最後の三つの材料は、共押出ダイの分配部品(8)に供給され、そこで各々、環状の流れに成形される。これらの流れは(8)の出口で合体し、そしてこれらはボディを別にする出口部品(9)に流入する。小型押出機(4)からの流れは、出口部品(9)に直接供給され、そしてここで、この出口部品の周辺から始まって図6に示すような迷路様流路系中で均等に分配され、そして内部オリフィスの環状配列を介して上記他の成分からなるチューブ状合体流の外側上に施用される。上記の迷路様流路系の概念は上に説明した通りである。
【0151】
図5aは、副部品(9a)、(9b)、(9c)、(9d)及び(9e)からなる、ほぼ半分のスケールで示した、ボディーを別にする出口部品(9)の軸上断面図である。この図は、図6のx−xラインの断面図に当たる。迷路系の幾つかの流路(10)が示されている。
【0152】
図5bは、迷路様流路系中の最後の分岐と、64個の内部オリフィス(11)のうちの一つを示す、図5aの詳細図である。なお、ストランドを形成する材料の流れは、上記内部オリフィスを介して、他の三種の共押出しされた材料からなるチューブ状流れ(12)と合体する。この詳細図は、実スケールのほぼ6倍のスケールで描かれている。
【0153】
図6は、副部品(9a)を上から見た透視図であり、迷路様流路系(10)の下半分を示す。入口(13)を介して押出機(4)から導入されたストランド形成材料の一つの流れは、流路(10)を通って、段階的に64個の均等な部分流に分割され、そして各々別々に、内部オリフィス(11)を通して押出しされる。副部品(9b)にある迷路様流路系の上半分は、入口(13)は除いて、図6の下半分のものと正確に対称を成すものである。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5a】

【図5b】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合されたポリマーフィルムを含んでなる交差積層材であって、なお、この際、そのポリマーフィルムのうち少なくとも二つの隣り合うフィルムA及びBは、各々共押出しされそして単軸配向もしくはアンバランスド二軸配向されたものであり、かつAの主配向方向(2)はBの主配向方向(3)と交差し、そして各々、高い引張り強さを得るために選択されたポリマー材料からなる層(以下、主層と称する)、及び各々の主層の隣のフィルムAもしくはBに向かい合う側に少なくとも第一の表面層を含む交差積層材において、フィルムA及びBのそれぞれの上記第一表面層は、共押出しされた細いストランド(101、102)の配列からなる不連続な層であり、A上のストランド(101)は、Bのストランド(102)と交差するように配置され、そしてこれらのストランドは、各々のフィルムの表面の特性を改良するために選択された材料からなり、この改良は、積層材の外観もしくはAとBとの接合のいずれかまたはこれらの両方に関連するものであることを特徴とする、上記交差積層材。
【請求項2】
A及びBが、A上のストランド(101)がB上のストランド(102)と交差する各々の点(a)において互いに強接合されており、他方、A及びBは、第一接合層が存在しないそれらの接触面の部分(b)上では弱接合しているかまたは接合されていないことを特徴とする、請求項1の交差積層材。
【請求項3】
外観の改良を、第一表面層の顔料着色の選択によって為すことを特徴とする、請求項1または2の交差積層材。
【請求項4】
上記フィルムA及びBのそれぞれにおいて、それらのストランドの厚さが、各々のフィルムの厚さの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくはせいぜい10%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの交差積層材。
【請求項5】
上記フィルムのそれぞれにおいて、それらのストランドの幅が、各々のフィルムの表面積の60%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下を占めるように選択される、請求項1〜4のいずれか一つの交差積層材。
【請求項6】
ストランドが共押出しされる箇所での上記フィルムA及びBのそれぞれにおける厚さの増分が、その直ぐ周りの面に対して見て30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくはせいぜい10%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの交差積層材。
【請求項7】
各々のストランド配列において隣合うストランドの各中央間の間隔が、2mm〜80mm、好ましくはせいぜい40mm、より好ましくはせいぜい20mmであることを特徴とする、請求項1または2の交差積層材。
【請求項8】
隣り合うフィルムA及びBうちの少なくとも一つのフィルムの主層上に、前記隣り合うフィルムの他方と向き合う側に第二表面層(104、105)が設けられ、この際、この第二表面層は連続層であり、そして主層と第一表面層との間にかまたは第一表面層の上のいずれかに配置され、そして好ましくはAとBとの接合の制御のために選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの交差積層材。
【請求項9】
第二表面層が、主層と第一表面層との間に設けられ、そして、第一表面層が存在しない箇所(b)において、A上のストランドがB上のストランドと交差する点(1)の接合よりも強度が弱い接合を形成するために選択されることを特徴とする請求項8の交差積層材。
【請求項10】
細い試験片を約1mms-1の速度で引き剥がすことによって測定した上記の点における接合強度が少なくとも40gcm-1であり、そして第一表面層が存在しない部分の接触面における接合強度が、同じ方法で測定して、上記点における接合強度の75%以下、好ましくはせいぜい50%であることを特徴とする、請求項2の交差積層材。
【請求項11】
ストランド配列接合されたフィルムA及びBのこのような組を二つ含むことを特徴とする、請求項1の交差積層材。
【請求項12】
一つのフィルムが上記の二つの組に共有されており、そしてこのフィルムが、それの両面に上記ストランドの配列を有することを特徴とする、請求項11の交差積層材。
【請求項13】
積層材の外側のフィルムのうちの一方の上にまたはそれぞれの上に、これもまた積層材の表面層でありそして積層材のヒートシール性の強化及び/またはそれの摩擦特性の向上をもたらすように適合された表面層(106、107)を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つの交差積層材。
【請求項14】
上記二つのフィルムA及びBの少なくとも各々の主層が、主に、ポリエチレンもしくはポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つの交差積層材。
【請求項15】
上記フィルムA及びBの各々において、主層がHDPEもしくはLLDPEまたはこれらのブレンドからなり、第二接合層が、主に、LLDPEからなるが、50〜80℃の温度範囲内の融点もしくは融点範囲を有するエチレン系コポリマー5〜25%を混合して含み、そしてストランドが、主に、50〜100℃の温度範囲内の融点もしくは融点範囲を有するエチレン系コポリマーからなるか、またはこのようなコポリマーと、上記コポリマーを少なくとも25%含むLLDPEとのブレンドからなることを特徴とする、請求項14の交差積層材。
【請求項16】
以下の更なる特徴、すなわち、
a) 約0.3mm以下の一般厚さを有すること;
b) Aが、積層材の一つの表面を形成すること;
c) 少なくともA側の積層材表面が、Aにおける対応する厚さのバラツキを有する表面波形によって構成される、一つの方向に沿う筋(103)の可視パターンを示し、この際、前記パターンにおける各区画は約3mm以下であること;
d) フィルムAの細いストランドは着色され、そしてフィルムAの残りは、積層材をA側から観察した際に、前記着色されたストランドが見えるように十分に透明であり、この際、波形は、ストランドが筋から少なくとも約0.5mm離れているかのように見せるのに十分な深さを有すること、
を特徴とする、請求項1〜15のいずれか一つの交差積層材。
【請求項17】
ストランドが、金属光沢または玉虫色の効果を供する顔料によって着色されることを特徴とする、請求項16の交差積層材。
【請求項18】
筋に対して垂直な横断面から見た場合に、積層材が、それの平均厚よりも厚いおおむね規則的なリブの配列を有しかつおおむね凹面及びおおむね凸面の表面を有してそれの長手方向に対して横方向にリブを湾曲させること、及びリブの境界内の材料またはリブの境界に隣接する材料が、材料が伸張されていない状態で、リブに対して反対方向に湾曲して、二つの隣り合うリブの間の材料におおむね真っ直ぐに伸びた形を与えることを特徴とする、請求項16または17の交差積層材。
【請求項19】
強接合がストランドが交差する箇所(a)で形成され、他方、フィルムA及びBの各々におけるストランド形成第一表面層と主層との間の第二表面層によって、ストランド材料が存在しない領域(b)において弱接合もしくはブロッキングが形成される、請求項1〜18のいずれか一つの交差積層材であって、上記弱接合もしくはブロッキングが、粘着助剤、好ましくは低分子量ポリイソブチレンもしくはポリプロピレンを第二表面層に加えることによって為されることを特徴とする上記交差積層材。
【請求項20】
A及び/またはB上の第一表面層が、二つまたはそれ以上の組のストランドからなり、この際、各々の組が他の一つまたはそれ以上の組とは組成及び/または色が異なる材料から形成され、かつこれらの組のストランドは互いに向きが異なっている(offset)、請求項1〜19のいずれか一つの交差積層材。
【請求項21】
フィルムA及びBの各々の上記第一表面層が、フィルムAもしくはBそれぞれの体積の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下を占めることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つの交差積層材。
【請求項22】
ストランド形成第一表面層を構成するポリマーの平均融点が、主層を構成するポリマーの平均融点よりも少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも約20℃低いことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一つの交差積層材。
【請求項23】
互いに接合されたポリマーフィルムを含んでなる交差積層材であって、なおこの際、これらのポリマーフィルムのうち少なくとも二つの隣り合うフィルムA及びBは、高い引張り強さを得るために選択されたポリマー材料からなる主層及びポリマー材料からなる第一表面層をフラットダイもしくは環状ダイで共押出しすることによって形成されたものである上記交差積層材を製造する方法であって、A及びBの各々には、共押出ダイで前記の異なる材料を合体させた後かつ積層化の前の任意の段階において、単軸分子配向もしくはアンバランスド二軸分子配向が供され、そして積層化の前に、A及びBを、Aの主配向方向がBの主配向方向と交差するように配置し、そして積層中には、A及びBを少なくとも部分的に熱によって接合させることを含む方法において、上記第一表面層の各々の共押出は横方向に不連続なものとし、この際、この第一表面層はストランド配列からなり、そしてA及びBは、A上のストランド配列がB上のストランド配列と交差するように配置されること; 更に、押出ししてストランドとする材料が、各々のフィルムの表面の特性を改良するために選択され、この際、この改良は、積層材の外観もしくはAとBとの接合のいずれかに関連することであることを特徴とする上記方法。
【請求項24】
積層化において、A及びB上全体におおむね均一に熱を加え、そしてポリマー材料の選択が、A上のストランドとB上のストランドが交差する点においてこれらストランドが互いに強接合するが、第一表面層が存在しない部分の接触面上では弱接合が形成されるかまたは接合が形成されないように適合されることを特徴とする、請求項23の方法。
【請求項25】
フィルムAもしくはBのうちの少なくとも一つの共押出を環状共押出ダイによって行ってチューブ状フィルムを形成しそしてこれをドローダウンに付すことを含む請求項23または24の方法であって、前記ドローダウンを、主配向方向及びストランド配列の方向のいずれもがフィルムの長手方向に沿って伸びる有意な単軸溶融配向またはアンバランスド二軸溶融配向を生じさせるように適合させるか、あるいはダイの出口と押出後のフィルムの巻き取り手段との間の相対的な回転によって、主配向方向がチューブ状フィルムに沿って螺旋状に伸びるようにし、次いで、主配向方向及びストランド配列方向に対して斜めにフィルムを切り開けることを特徴とする前記方法。
【請求項26】
隣り合うストランドの各中央間の間隔が押出機の出口で8cm以下、好ましくはせいぜい4cm、より好ましくはせいぜい2cmであり、そしてこの出口でのチューブの周長が少なくとも20cmであることを特徴とする、請求項25の方法。
【請求項27】
積層化のために各フィルムをサンドイッチ配列に重ね合わせた後、このサンドイッチ配列を熱によって接合して積層材とする前もしくはその後またはそれと同時に、更にこれらのフィルムを長手方向及び/または横方向に延伸することによって配向させることを特徴とする、請求項23〜26のいずれか一つの方法。
【請求項28】
共押出工程において、主層上及びストランド配列の下に共押出しされた連続第二接合層をA及び/またはBにも供し、この際、前記第二接合層は、主層及び第一接合層の材料とは異なるポリマー材料からなり、そしてこのポリマー材料は、積層化中に、第一接合層が存在しない箇所においても接合を形成させるために選択され、但し、その強度は、上記点接合よりは弱い接合であることを特徴とする請求項23〜27のいずれか一つの方法。
【請求項29】
積層化工程において、AのストランドがBのストランドに直に貼り付けられることを特徴とする、請求項23〜28のいずれか一つの方法。
【請求項30】
積層化工程が押出積層化法であり、この際、別々に押し出された層によって接合が為されることを特徴とする、請求項23〜28のいずれか一つの方法。
【請求項31】
ストランド配列がAの両面に共押出しされ、そして各フィルムBを、各々のフィルムB上の配列がAのそれぞれの面上の配列に交差するように、Aの両面に配置することを特徴とする、請求項23〜30のいずれか一つの方法。
【請求項32】
フィルムA及びBの他に、少なくとももう一つのフィルムが積層化工程に使用される請求項28の方法であって、上記フィルムもまた共押出によって形成され、それによって、積層材中でのそれの接合を制御するために適合された組成を有する表面層が供され、この際、その組成及び積層化条件は、その接合の強度が、共押出されたストランドが存在しない箇所でのAとBとの間の接合強度よりも強くなるように選択されることを特徴とする上記方法。
【請求項33】
次の更なる特徴、すなわち:
a) 積層材を製造するために使用したフィルムの厚さ及び延伸比が、約0.3mm以下の一般厚さを最終の積層材に与えるために適合されていること;
b) Aが、積層材の一方の表面として使用されていること;
c) 少なくともA側の積層材表面が浮出し加工されて、Aにおいて対応する厚さのバラツキを有する表面波形によって構成される一つの方向に沿った可視の筋模様を形成し、この際、上記パターンにおける区画は約3mm以下であること;
d) フィルムAのストランド用の材料が着色されており、そして残りの部分は、積層材をA側から観察した際に前記着色されたストランドが見えるように十分に透明に維持され、この際、前記波形は、これらのストランドが筋模様から少なくとも約0.5mm離れているかのように見せるのに十分に深いものであること;
を特徴とする、請求項23〜32のいずれか一つの方法。
【請求項34】
上記浮出し加工が、積層材の各フィルムを積層化のために重ね合わせた後であってかつそれらを接合させる前もしくは後に、これらのフィルムを、一つまたはそれ以上の対の互いに噛み合う溝付きローラー間に通すことを含み、この際、この浮出し加工段階は積層材の延伸ももたらすことを特徴とする、請求項33の方法。
【請求項35】
フィルムA及びBの各々の上記第一表面層が、フィルムAもしくはBそれぞれの体積の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下を占めることを特徴とする、請求項23〜34のいずれか一つの方法。
【請求項36】
ストランド形成第一表面層を構成するポリマーの平均融点が、主層を構成するポリマーの平均融点よりも少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも約20℃低いことを特徴とする、請求項23〜35のいずれか一つの方法。
【請求項37】
分配部品(8)及びこれとはボディと別にする出口部品(9)を含み、この際、前記分配部品(8)では、少なくとも第一溶融ポリマー材料を、おおむね一様な環状流れに成形することができ、そして前記出口部品(9)は、おおむね円筒状もしくは円錐状の壁を有する環状主流路(12)を含み(但し、この流路は平坦な区域を含んでいてもよい)、上記溶融ポリマー材料を出口オリフィスの方に誘導し、この出口オリフィスを介して上記ポリマー材料がチューブ状のフィルム構造物(16)としてダイから排出される環状押出ダイであって、上記出口部品が、第二溶融ポリマー材料からなる細いストランドの環状配列を周面上に押出しするための流路系(10)も含み、この流路系が、おおむね円筒状もしくは円錐状の主流路外側壁中の内部オリフィス(11)の環状の並びを終点とすることを特徴とする、上記環状押出ダイ。
【請求項38】
前記周面上押出が、前記出口部品に通ずる一つまたは複数の入口(13)から始まり、そして均等に分割するために、各々の入口から始まる迷路様流路系(10)を含み、この際、各々のこのような系は、少なくとも三つの流路分岐を含むことを特徴とする、請求項37の環状押出ダイ。
【請求項39】
迷路系もしくは複数の迷路系の流路が、主流路(12)のおおむね円筒状もしくは円錐状の壁の一部と共有の壁を有する共通の環状流路をその終点とし、この際、内部オリフィス(11)の環状の並びは、上記の壁部に設けられることを特徴とする、請求項38の環状押出ダイ。
【請求項40】
出口における内側壁の周長が少なくとも20cmであり、そして上記環状の並びにおける隣り合うオリフィスの各々の中央間の間隔が、主流路の壁がおおむね円錐状である場合に起こり得る拡大もしくは縮小の後に、隣り合うストランドの各中央間の間隔が8cm以下、好ましくはせいぜい4cm、より好ましくはせいぜい2cmとなるように適合されていることを特徴とする、請求項37〜39のいずれか一つの環状押出ダイ。
【請求項41】
上記第一溶融ポリマー材料及び第二溶融ポリマー材料を共押出しするための手段の他に、第一材料を挟んで上記第二材料の反対側に第三の溶融ポリマー材料の環状の流れを共押出しするための手段が設けられている請求項37〜40のいずれか一つの環状押出ダイであって、第一材料及び第三材料の各々の流れを引き合わせるための流路配置が、上記分配部品内に供されるか、あるいはこの分配部品とそれとはボディを別にする出口部品との間の部分に供されることを特徴とする、上記環状押出ダイ。
【請求項42】
・フィルムAを共押出しするためのダイ及びフィルムBを共押出しするためのダイ、但し、このもしくは各々の前記ダイは、第一分配部品(8)、第二分配部品(9)、出口オリフィス、出口部品、及び流路系(10、11)を含むものであり、前記第一分配部品(8)においては、第一の溶融ポリマー材料をおおむね一様な流れに成形することができ、前記第二分配部品(9)においては、第二溶融ポリマー材料を流れに成形することができ、前記出口部品は、主流路(12)を含んで上記第一溶融ポリマー材料を前記出口オリフィスに向けて誘導し、そして前記流路系(10、11)は上記主流路の一方の側に設けられ、上記第二溶融ポリマー材料の流れを誘導して、上記オリフィスに向かう上記第一溶融材料の流れの一つの面上に表面層を形成し、ここで、共押出しされた材料は、ダイの前記出口オリフィスからフィルム構造物(16)として排出される;
・A及びBを、それがら出口オリフィスから排出された後に、単軸にもしくはアンバランスド二軸に配向させるための手段;
・上記配向されたフィルムA及びBを、上記表面層が互いに向かい合いそしてそれらの配向方向もしくは主配向方向が互いに交差するように配置するための手段;
・熱を加えることによってA及びBを積層するための積層化手段;
を含む、交差積層材を製造するための装置であって、
第二ポリマー材料を誘導するための流路系が、流れ方向に対しておおむね横方向に不連続な上記第二材料の流れを供し、この際、A及びBの各表面層の各々が、ストランド配列として形成され、そしてフィルムA及びBがそれらの表面層が互いに向かい合うように配置された際に、A上のストランドがB上のストランドと交差することを特徴とする、上記装置。
【請求項43】
上記のまたは各々のダイが、請求項37〜41のいずれか一つに従う環状ダイである、請求項42の装置。
【請求項44】
積層化手段がA及びBの幅全体に熱を加える、請求項42または43の装置。
【請求項45】
上記のまたは各々のダイが環状ダイであり、そして配向方向もしくは主配向方向及びストランドの方向がチューブ状フィルムの軸方向に伸びる有意な溶融配向を供する、チューブ状フィルムのドローダウン手段を含む、請求項42〜44のいずれか一つの装置。
【請求項46】
上記のまたは各々のダイが環状ダイであり、そしてフィルム巻き取り手段を含み、この際、このフィルム巻き取り手段は、場合によっては、出口オリフィスに対して相対的に回転して、それによってフィルムの主配向方向がチューブ状フィルムに沿って螺旋状となるものであり、更に、主配向方向及びストランド配列の方向に対して斜めにチューブ状物を切断するための切断手段も含む、請求項42〜44のいずれか一つの装置。
【請求項47】
上記積層化手段の上流もしくは下流またはそれと同じ所にフィルムA及びBを長手方向及び/または横方向に延伸させる手段を更に含む、請求項42〜46のいずれか一つの装置。
【請求項48】
配置手段が、Aの上記表面層がBの上記表面層と直に接触するように適合される、請求項42〜47のいずれか一つの装置。
【請求項49】
配置手段が、A及びBの各表面層の間に積層化層(laminating layer) を押出しするための手段を含む、請求項42〜47のいずれか一つの装置。
【請求項50】
Aを形成するダイにおいて、A用の主流路の両側に流路系を更に含む請求項42〜49のいずれか一つの装置であって、前記流路系は、それぞれ、上記第二ポリマー材料を導いて横方向に不連続な流れとし、それによって表面層がフィルムAの両面にストランド配列として形成され、そしてフィルムBは、その表面層がAと向かい合うようにフィルムAの両面に配置され、その際、各フィルムBのストランドは、各々フィルムBと向かい合う面でAのストランドと交差する、上記装置。
【請求項51】
ダイ出口の下流において、フィルムAにおける波形及び対応する厚さのバラツキによって構成される筋状模様でフィルムAを浮出し加工するための浮出し加工手段を更に含み、この際これらの筋間の間隔はせいぜい3mmである、請求項42〜50のいずれか一つの装置。
【請求項52】
浮出し加工手段が、フィルムA及びBを配置するための手段の下流に位置し、そしてこの手段が、一つまたはそれ以上の対の交差溝付きローラーを含み、これらのローラー間を通る際にフィルムが延伸される、請求項51の装置。

【公表番号】特表2006−501078(P2006−501078A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−572754(P2003−572754)
【出願日】平成15年3月3日(2003.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/002827
【国際公開番号】WO2003/074264
【国際公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(501445553)
【Fターム(参考)】