配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法
【課題】 配線・配管材を棒状体に確実かつ容易に固定することができる配線・配管材保持具を提供する。
【解決手段】 配線・配管材保持具3は、棒状体1に取付け固定される固定部4と、配線・配管材2を保持する保持部5とを備える。保持部5は、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられて、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。この帯状体7には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部7a、7aが設けられる。保持部本体6は、帯状体7が先端7cから挿入される挿入孔6aを有する。そして、この挿入孔7aを通過して引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7bで、固定部4を棒状体1に固定するために、固定部4には、余長切除部7bが挿入されて保持される第2挿入孔4aが設けられる。
【解決手段】 配線・配管材保持具3は、棒状体1に取付け固定される固定部4と、配線・配管材2を保持する保持部5とを備える。保持部5は、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられて、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。この帯状体7には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部7a、7aが設けられる。保持部本体6は、帯状体7が先端7cから挿入される挿入孔6aを有する。そして、この挿入孔7aを通過して引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7bで、固定部4を棒状体1に固定するために、固定部4には、余長切除部7bが挿入されて保持される第2挿入孔4aが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吊りボルトや鉄筋等の棒状体に配線・配管材を固定するための配線・配管材保持具、およびその配線・配管材保持具を用いた配線・配管材の固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状体としての吊りボルトに配線・配管材を固定するにあたって、配線・配管材保持具が用いられた(例えば、特許文献1参照)。図17に示すように、この配線・配管材保持具13は、吊りボルト11に固定可能な固定部14と、その固定部14から連設されて配線・配管材12を保持する保持部15とを備えていた。ここで、固定部14は、吊りボルト11を受ける基部14aと、その基部14aから延設されて吊りボルト11を抱えるフック部14bとから構成されていた。そして、フック部14bの先端と基部14aとの間が、吊りボルト11をフック部14bの内側に受け入れる開口部14cとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−60086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配線・配管材保持具13にあっては、固定部14は、フック部14bにより吊りボルト11(棒状体)に固定されていた。このため、配線・配管材12の姿勢を矯正する等の過大な力が固定部14に作用するような場合には、フック部14bの先端と基部14aとの間の開口部14cから吊りボルト11が飛び出るようにして、固定部14が吊りボルト11から外れてしまい、配線・配管材12を吊りボルト11に固定できなくなる虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材を棒状体に確実かつ容易に固定することができる、配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具である。この配線・配管材保持具は、前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備える。ここで、前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える。この帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられる。そして、前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有する。そこで、前記挿入孔を通過してその挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除してなる余長切除部で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記余長切除部が挿入されて保持される第2挿入孔が設けられる。
【0007】
この配線・配管材保持具によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を用いることで、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。このように、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1に記載の配線・配管材保持具において、前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備える。そして、前記基部から延設される前記抱持部の先端の先に、前記棒状体を前記抱持部の内側に受け入れる開口部が設けられる。そこで、前記棒状体に対し、その棒状体を抱える前記抱持部によって仮固定された前記固定部が、前記余長切除部によって本固定される。このように、抱持部により固定部を棒状体に仮固定することで、その後の、余長切除部による棒状体への固定部の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体への固定部の固定が、抱持部と帯状体の余長切除部とで行われることで、固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に一層確実に固定することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項2に記載の配線・配管材保持具において、前記基部から延設される前記抱持部の先端と前記基部との間が、前記開口部となる。そして、前記第2挿入孔は、前記抱持部とは前記棒状体の長手方向にずれた位置の、前記基部に設けられて、前記余長切除部は、前記棒状体の長手方向における、前記抱持部が抱える部分とは異なる部分に回されて、その余長切除部の各端部側が前記第2挿入孔に挿入される。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項3に記載の配線・配管材保持具において、前記抱持部は、一対設けられ、それら一対の抱持部は、前記棒状体の長手方向に、その棒状体の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体を逆向きに抱えることができるように、前記基部から立ち上がって延びる。そこで、前記棒状体が前記一対の抱持部間に位置するように、前記固定部を前記棒状体に宛がい、前記開口部の各々から前記棒状体が進入するように前記固定部を回動することで、前記棒状体を前記開口部から前記抱持部の内側に受け入れて抱持可能である。また、前記第2挿入孔は、前記棒状体における、前記一対の抱持部間の露出した部分に回された前記余長切除部の各端部側が挿入されるように、前記基部における前記一対の抱持部間に設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記余長切除部の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具である。この配線・配管材保持具は、前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備える。ここで、前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える。この帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられる。そして、前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有する。一方、前記帯状体とは長さを除いて同一形状であって前記固定部とは別体の第2の帯状体で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記第2の帯状体が挿入可能な第2挿入孔が設けられ、その第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記第2の帯状体の戻りを止めるようにその第2の帯状体の被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられる。
【0013】
この配線・配管材保持具によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、固定部の第2挿入孔に挿入される第2の帯状体により、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。ここにおいて、第2の帯状体は、帯状体とは長さを除いて同一形状で固定部とは別体となっている。このため、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体だけでなく第2の帯状体として用いることも、保持部本体の挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を、第2の帯状体として用いることもできる。そこで、このような第2の帯状体により、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材の固定方法は、棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて配線・配管材を保持する保持部とを備えるとともに、前記保持部が、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える、配線・配管材保持具を用いて、前記棒状体に対して前記配線・配管材を固定する、配線・配管材の固定方法である。この配線・配管材の固定方法は、以下に示す第1から第4の工程を備える。
【0015】
第1の工程:前記帯状体を、前記配線・配管材に回して前記保持部本体に設けられた挿入孔に、先端から挿入する。
【0016】
第2の工程:前記帯状体で前記配線・配管材を締めるように、前記帯状体を前記挿入孔から引き出して、前記配線・配管材を保持する。
【0017】
第3の工程:前記挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除して余長切除部を形成する。
【0018】
第4の工程:前記余長切除部を用いて、前記固定部を前記棒状体に固定するように、前記余長切除部を、前記固定部に設けられた第2挿入孔に挿入して保持する。
【0019】
この配線・配管材の固定方法によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を用いることで、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。このように、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材の固定方法は、請求項7に記載の配線・配管材の固定方法において、前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備える。そこで、前記第1の工程の前、前記第1の工程と前記第2の工程との間、前記第2の工程と前記第3の工程との間、または前記第3の工程と前記第4の工程との間に、前記棒状体を前記抱持部で抱えて、前記固定部を前記棒状体に仮固定する。
【0021】
このように、抱持部により固定部を棒状体に仮固定することで、その後の、余長切除部による棒状体への固定部の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体への固定部の固定が、抱持部と帯状体の余長切除部とで行われることで、固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に一層確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法によれば、次の効果がある。
【0023】
請求項1〜5に記載された配線・配管材保持具、並びに、請求項7および8に記載された配線・配管材の固定方法によれば、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0024】
また、請求項6に記載された配線・配管材保持具によれば、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体だけでなく第2の帯状体として用いたり、保持部本体の挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を、第2の帯状体として用いたりすることができ、このような第2の帯状体により、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施の形態の、保持具本体(配線・配管材保持具)の斜視図である。
【図2】同じく、保持具本体の正面図である。
【図3】同じく、保持具本体の平面図である。
【図4】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図6】同じく、配線・配管材の固定方法の仮固定の工程における、固定部を棒状体に宛がった状態を示す正面図である。
【図7】同じく、配線・配管材の固定方法の仮固定の工程における、固定部を回動した状態を示す正面図である。
【図8】同じく、配線・配管材の固定方法の第1の工程を示す正面図である。
【図9】同じく、配線・配管材の固定方法の第2の工程を示す正面図である。
【図10】同じく、配線・配管材の固定方法の第3の工程を示す正面図である。
【図11】同じく、配線・配管材の固定方法の第4の工程を示す正面図である。
【図12】同じく、図11におけるC−C線による拡大断面図である。
【図13】同じく、径小の配線・配管材を保持する場合の図11相当図である。
【図14】同じく、棒状体に対し、二つの保持具本体を対称位置させた状態を示す斜視図である。
【図15】同じく、二つの保持具本体の互いに対向位置する第2挿入孔に他の帯状体を貫き通した状態を示す斜視図である。
【図16】同じく、二つの保持具本体の互いに対向位置する第2挿入孔に他の帯状体を貫き通した状態の変形例を示す斜視図である。
【図17】従来の配線・配管材保持具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図16は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、二重天井等に配備される吊りボルトとか、コンクリート構築物内の鉄筋等とかの、棒状体である。2は、配線・配管材(配線材または配管材)であって、図示実施の形態においては、配管材を示す。3は、前記棒状体1に取り付けられて前記配線・配管材2を保持する配線・配管材保持具である。
【0028】
この配線・配管材保持具3は、棒状体1に取付け固定される固定部4と、その固定部4から連設されて配線・配管材2を保持する保持部5とを備える。ここで、保持部5は、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられ(つまり、保持部本体6とは別体であって)、またはその保持部本体6と一体に設けられて(図示実施の形態においては、保持部本体6に取り付けられて)、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。この帯状体7には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部7a、7aが設けられる。そして、保持部本体6は、帯状体7が先端7cから挿入される挿入孔6aと、その挿入された帯状体7の戻りを止めるように前記被掛止部7aに掛かる掛止部6bとを有する。
【0029】
また、帯状体7とは長さを除いて同一形状であって前記固定部4とは別体の第2の帯状体9(例えば、保持部本体6の挿入孔6aを通過してその挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7b)で、前記固定部4を棒状体1に固定すべく、固定部4には、第2の帯状体9が挿入されて保持される第2挿入孔4aが設けられている。図示実施の形態においては、第2挿入孔4aは、第2の帯状体9が挿入可能であって、その第2挿入孔4aには、その第2挿入孔4aに挿入された第2の帯状体9の戻りを止めるように第2の帯状体9の被掛止部7aに掛かる第2掛止部4bが設けられている。
【0030】
詳細には、固定部4は、棒状体1の周面に当接する当接部4cを有してその棒状体1を受ける基部4dと、その基部4dから延設されて棒状体1を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部4eとを備える。そして、基部4dから延設される抱持部4eの先端の先に、棒状体1を抱持部4eの内側に受け入れる開口部4fが設けられる。そこで、棒状体1に対し、その棒状体1を抱える抱持部4eによって仮固定された固定部4が、前記第2の帯状体9(例えば、前記余長切除部7b)によって本固定される。
【0031】
より詳細には、基部4dから延設される抱持部4eの先端と基部4dとの間が、前記開口部4fとなる。そして、第2挿入孔4aは、抱持部4eとは棒状体1の長手方向にずれた位置の、前記基部4dに設けられる。そこで、第2の帯状体9は、棒状体1の長手方向における、抱持部4eが抱える部分とは異なる部分に回されて、その第2の帯状体9の各端部側が前記第2挿入孔4aに挿入される。
【0032】
具体的には、配線・配管材保持具3は、保持具本体3aと前記帯状体7との二体で構成される。保持具本体3aは、例えば合成樹脂製であって、前記固定部4と、前記保持部本体6と、それら固定部4と保持部本体6(保持部5)とを連結する連結部8とが、合成樹脂材料により一体に成形されている。
【0033】
固定部4は、その基部4dが、棒状体1に沿う方向に長手となる長方形板状に形成されている。そして、この基部4dにおける、板厚を挟む一方の面に、棒状体1の周面に当接する前記当接部4cが設けられる。この当接部4cは、基部4dの長手方向における中間部分と一方の端(図示実施の形態においては下端)とから突出形成される、第1および第2当接部401、402とからなり、相対的に、中間部分の第1当接部401を挟む両側が、窪んで形成された凹部4g、4gとなっている。
【0034】
ここにおいて、固定部4における前記抱持部4eは、一対設けられ、それら一対の抱持部4e、4eは、棒状体1の長手方向に、その棒状体1の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体1を逆向きに抱えることができるように、基部4d(詳しくは、基部4dにおける前記凹部4gがある位置)から立ち上がって延びて、その延びる先端側が、前記凹部4gと対向している。そこで、棒状体1が一対の抱持部4e、4e間に位置するように、固定部4を棒状体1に宛がい(図6参照)、前記開口部4f、4fの各々から棒状体1が進入するように固定部4を回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、棒状体1を開口部4f、4fから抱持部4e、4eの内側に受け入れて抱持可能となっている(図7参照)。
【0035】
また、前記第2挿入孔4a、4aは、棒状体1における、一対の抱持部4e、4e間の露出した部分に回された第2の帯状体9の各端部側が挿入されるように、基部4dにおける一対の抱持部4e、4e間(図示実施の形態においては第1当接部401を横方向に挟む両側)に設けられる。この第2挿入孔4aには、第2の帯状体9が第1当接部401側から挿入され、挿入された第2の帯状体9は、第2挿入孔4aを通過して裏側に引き出される。そして、この第2挿入孔4aに設けられる第2掛止部4bは、弾性片4hに突出して形成された爪からなり、この第2掛止部4bは、この弾性片4hの弾性力により第2の帯状体9の被掛止部7aに押し付けられる。そして、第2掛止部4bは、断面略直角三角形状に形成されて(図4参照)、第2挿入孔4aへの第2の帯状体9の挿入は許容するが、戻りは阻止するようになっている。また、弾性片4hの先端は、第2挿入孔4aから飛び出しており、その先端を第2の帯状体9から離れる側に撓ませることで、被掛止部7aへの第2掛止部4bの掛かりが解除されて、第2の帯状体9を第2挿入孔4aから抜くことができるようになっている。
【0036】
保持部本体6(保持部5)は、固定部4とは、間隔を置いた側方(詳しくは、基部4dにおける当接部4cを正面とし、棒状体1の長手方向、つまり基部4dの長手方向を上下としたときの横側)に位置している。この保持部本体6は、帯状体7の基端7dが留められるとともに前記挿入孔6aおよび掛止部6bを有する保持基部6cと、その保持基部6cから延設されて配線・配管材2を受ける配線・配管材受部6dとを備える。
【0037】
保持基部6cは、箱形状に形成されて、前記挿入孔6aが上下に貫通するように設けられる。この挿入孔6aには、帯状体7の先端7cが上から挿入され、挿入された帯状体7は、挿入孔6aを通過して下方に引き出される。そして、この挿入孔6aに、前記掛止部6bが設けられる。この掛止部6bは、前述の第2掛止部4bと同様に、弾性片6eに突出して形成された爪からなり、掛止部6bは、この弾性片6eの弾性力により帯状体7の被掛止部7aに押し付けられる。そして、掛止部6bは、断面略直角三角形状に形成されて(図5参照)、挿入孔6aへの帯状体7の挿入は許容するが、戻りは阻止するようになっている。また、弾性片6eの先端は、挿入孔6aから飛び出しており、その先端を帯状体7から離れる側に撓ませることで、被掛止部7aへの掛止部6bの掛かりが解除されて、帯状体7を挿入孔6aから抜くことができるようになっている。
【0038】
また、保持部本体6とは別体に形成された帯状体7を、前もって保持部本体6に取り付けるために、保持基部6cは、帯状体7の基端7dが挿入される(図示実施の形態においては、下から挿入される)基端挿入孔6fを有する。そして、その基端挿入孔6fには、その基端挿入孔6fに挿入された帯状体7の戻りを止めるように帯状体7の前記被掛止部7aに掛かる基端掛止部6gが設けられ、これによって、帯状体7の基端7dは、保持基部6c(保持部本体6)に留められ、帯状体7は、保持部本体6に取り付けられる。この基端掛止部6gは、前記掛止部6bと同様に、弾性片6hに突出して形成された爪からなるが、この弾性片6hの先端は、基端挿入孔6fからは飛び出すことなく孔内に収まっている。
【0039】
配線・配管材受部6dは、保持基部6cにおける、固定部4から離れた側の端から、その固定部4から離れる側に円弧状に湾曲するようにして上側および下側(つまり、棒状体1の長手方向の一方側および他方側)に対称に延設されている。この配線・配管材受部6dは、固定部4から離れた側の面6iで、配線・配管材2を受け、固定部4に近い側の面6jで、帯状体7を保持基部6cに案内する。そして、配線・配管材受部6dには、面6j側であって、保持基部6cから離れた両先端部分の幅の両側に、帯状体7をその幅方向で挟むように、突片6k、6kが突出形成されている。そこで、これら突片6k、6kによって、配線・配管材受け部6dに沿って回される帯状体7のその幅方向のずれが防止され、これによって、保持した配線・配管材2のその長手方向のずれを防止することができる。
【0040】
連結部8は、固定部4における基部4dと、保持部本体6における保持基部6cとを連結するように横に延びている。詳細には、連結部8は、基部4d側面の上下における中間位置と、保持基部6cの側面とに渡されることで、固定部4と保持部本体6(保持部5)とを連結する。
【0041】
帯状体7は、例えば、合成樹脂製であって、長尺材を適宜長さに切断して得られる。そして、この帯状体7の片面に、凹凸状の前記被掛止部7aが、帯状体7の長手方向に連続して形成されている。
【0042】
次に、この配線・配管材保持具3を用いた配線・配管材2の固定方法を、図6〜図11により説明する。この配線・配管材2の固定方法に用いられる配線・配管材保持具3は、前述したように、棒状体1に取付け固定される固定部4と、その固定部4から連設されて配線・配管材2を保持する保持部5とを備えるとともに、保持部5が、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられ、またはその保持部本体6と一体に設けられて(図示実施の形態においては、保持部本体6に取り付けられて)、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。さらに、図示実施の形態においては、固定部4は、棒状体1の周面に当接する当接部4cを有してその棒状体1を受ける基部4dと、その基部4dから延設されて棒状体1を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部4eとを備えている。
【0043】
そこで、配線・配管材2の固定方法は、この配線・配管材保持具3を用いて、棒状体1に対して配線・配管材2を固定する、固定方法であって、施工手順として、第1の工程から第4の工程の各工程を備える。もっとも、図示実施の形態においては、固定部4に抱持部4eが設けられる関係で、第1の工程の前に、仮固定の工程を備える。
【0044】
仮固定の工程:棒状体1を抱持部4eで抱えて、固定部4を棒状体1に仮固定する。図示実施の形態においては、前述のように、棒状体1が一対の抱持部4e、4e間に位置するように、固定部4を棒状体1に宛がい(図6参照)、前記開口部4f、4fの各々から棒状体1が進入するように固定部4を回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、棒状体1を開口部4f、4fから抱持部4e、4eの内側に受け入れて抱持する(図7参照)。
【0045】
第1の工程:帯状体7を、配線・配管材2に回して保持部本体6(詳しくは保持基部6c)に設けられた挿入孔6aに、先端7cから挿入する(図8参照)。なお、この第1の工程に先立ち、帯状体7の基端7dは、保持部本体6(詳しくは保持基部6c)の基端挿入孔6fに挿入されることで、保持部本体6に取り付けられる。もっとも、この保持部本体6への帯状体7の取付けは、第1の工程の前であれば、仮固定の工程の前であっても構わない。
【0046】
第2の工程:前記帯状体7で配線・配管材2を締めるように、帯状体7を挿入孔6aから引き出して、配線・配管材2を保持する(図9参照)。
【0047】
第3の工程:挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除して、第2の帯状体9としての余長切除部7bを形成する(図10参照)。
【0048】
第4の工程:余長切除部7b(第2の帯状体9)を用いて、固定部4を棒状体1に固定(本固定)するように、余長切除部7b(第2の帯状体9)を、固定部4に設けられた第2挿入孔4aに挿入して保持する(図11、図12参照)。
【0049】
ところで、この固定方法においては、第1の工程の前に、仮固定の工程を備えるが、この仮固定の工程は、第1の工程の前でなくとも、第1の工程と第2の工程との間、第2の工程と第3の工程との間、または第3の工程と第4の工程との間に行ってもよい。
【0050】
次に、以上の構成からなる配線・配管材保持具3および配線・配管材2の固定方法の作用効果について説明する。この配線・配管材保持具3および配線・配管材2の固定方法によると、保持部5における帯状体7が配線・配管材2に回されて挿入孔6aに挿入され、さらに帯状体7が挿入孔6aから引き出されることで、その配線・配管材2は、保持部5に保持される。そして、挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7b(第2の帯状体9)を用いることで、固定部4が棒状体1に固定され、これによって、配線・配管材2は、棒状体1に固定される。このように、配線・配管材2を保持するための帯状体7における余長切除部7bを利用して、固定部4を棒状体1に固定することで、その固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に確実かつ容易に固定することができる。
【0051】
ところで、この配線・配管材保持具3にあっては、第2の帯状体9は、帯状体7とは長さを除いて同一形状で固定部とは別体となっている。このため、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体7だけでなく第2の帯状体9として用いることも、前述した余長切除部7bを第2の帯状体9として用いることもできる。そこで、このような第2の帯状体9により、固定部4を棒状体1に固定することで、その固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に確実かつ容易に固定することができる。
【0052】
また、固定部4に備わる抱持部4eにより固定部4を棒状体1に仮固定することで、その後の、第2の帯状体9による棒状体1への固定部4の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体1への固定部4の固定が、抱持部4eと第2の帯状体9とで行われることで、固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に一層確実に固定することができる。
【0053】
また、保持部本体6にける配線・配管材受部6dは、保持基部6cから上側および下側に対称に延設されており、保持される配線・配管材2の径が異なる場合であってもその配線・配管材2の中心が、上下(つまり、棒状体1の長手方向)に変動することがない(図11および図13参照)。
【0054】
また、前記仮固定の工程を、第1の工程よりも後(すなわち、第1、第2または第3の工程の後)に行う場合には、その仮固定の際に、固定部4を回動、つまり配線・配管材保持具3を回動することで、配線・配管材2も回動することとなるが、図示実施の形態においては、その回動の中心と配線・配管材2の軸心とが平行となるため、配線・配管材2の向きを一定に保ったまま仮固定することができる。
【0055】
また、固定部4において、基部4dには、抱持部4eの先端側と対向する位置に凹部4gが設けられている。このため、図14に示すように、二つの保持具本体3a(配線・配管材保持具3)を、互いの抱持部4eの先端側が相手の凹部4gに入るようにして、一本の棒状体1に対してその棒状体1の軸心回りに180°回転した位置に配置することができる。しかも、図示実施の形態においては、二つの配線・配管材保持具3は、互いの抱持部4eの先端側が相手の凹部4gに入ることで、相互に嵌まり合って、一本の棒状体1に固定されるため、各配線・配管材保持具3、3の固定部4、4は、開口部4f、4fの各々から棒状体1が抜け出る方向(すなわち、一方の配線・配管材保持具3における正面側から見て、その一方の配線・配管材保持具3にあっては時計回り方向であって、他方の配線・配管材保持具3にあっては反時計回り方向)に回動しにくく、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れにくい。
【0056】
ところで、既述の保持具本体3a(配線・配管材保持具3)は、第2挿入孔4a、4aが、第1当接部401を横方向に挟む両側に対称に設けられており、図14に示す実施の形態においては、二つの保持具本体3a(配線・配管材保持具3)の各第2挿入孔4a、4aが、互いに対向位置している。そこで、例えば、図15および図16に示すように、互いに対向位置する第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10を貫き通すことにより、各配線・配管材保持具3、3の固定部4、4が、開口部4f、4fの各々から棒状体1が抜け出る方向に回動するのを規制することができ、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れるのを確実に防止することができる。図15に示す例においては、第1当接部401を横方向に挟む両側おいて互いに対向する二対の第2挿入孔4a、4aのうちの、一対の第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10としての前記第2の帯状体9(前記余長切除部7b)を貫き通している。また、図16に示す例においては、前記二対の第2挿入孔4a、4aのそれぞれに、他の帯状体10としての前記第2の帯状体9(前記余長切除部7b)の各端部側を貫き通している。このように、前記二対の第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10を貫き通すことで、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れるのをより確実に防止することができる。なお、図示を省略するが、前記二対の第2挿入孔4a、4aのそれぞれに、別々の他の帯状体10を貫き通してもよい。
【0057】
また、図15および図16に示す例においては、第2の帯状体9(余長切除部7b)の、被掛止部7aが設けられていない側の面が、弾性片4hと向き合うように(すなわち、被掛止部7aに第2掛止部4bが掛からないように)、第2の帯状体9(余長切除部7b)を貫き通しているが、反対に、第2の帯状体9(余長切除部7b)の被掛止部7aが設けられた側の面が、弾性片4hと向き合うように(すなわち、被掛止部7aに第2掛止部4bが掛かるように)、第2の帯状体9(余長切除部7b)を貫き通してもよい。また、他の帯状体10は、必ずしも第2の帯状体9(余長切除部7b)でなくてもよく、さらには、帯状体7および第2の帯状体9(余長切除部7b)とは異なる形状のものであっても構わない。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、保持部5において、帯状体7は、保持部本体6に取り付けられるが、保持部本体6と一体に設けられてもよい。すなわち、例えば、配線・配管材保持具3は、帯状体7を含めて、合成樹脂材料により一体に成形されてもよい。
【0059】
また、固定部4は、抱持部4eを備え、その抱持部4eは、棒状体1の長手方向に隔てるとともに棒状体1を逆向きに抱えるように一対設けられるが、これら、抱持部4e、4eは、互いに向かい合う位置に設けられてもよく、棒状体1を同じ向きに抱えるように設けられてもよく、また、一対でなくとも、一つであってもよい。
【0060】
また、第2挿入孔4aは、固定部4の基部4dに設けられて、第2の帯状体9は、棒状体1の長手方向における、抱持部4eが抱える部分とは異なる部分に回されるが、第2挿入孔4aを、基部4dと抱持部4eの先端部分とに対向位置するように設けて、それら第2挿入孔4a、4aに第2の帯状体9を貫き通すことにより、抱持部4eの先端の先にある(つまり、抱持部4eの先端と基部4dとの間の)開口部4fを閉じるようにしてもよい。また、抱持部4e、4eを互いに向かい合うように設けて、それら抱持部4e、4eの先端部分に対向位置する第2挿入孔4a、4aを設けることで、それら第2挿入孔4a、4aを貫き通す第2の帯状体9で、抱持部4e、4eの先端の先にある(つまり、抱持部4e、4eの先端間の)開口部4fを閉じるようにしてもよい。
【0061】
また、固定部4における抱持部4eは、なくともよい。そして、この抱持部4eがない場合には、配線・配管材2の固定方法においては、当然に仮固定の工程はない。
【0062】
また、第2挿入孔4aには、第2掛止部4bが設けられているが、この第2掛止部4bはなくともよい。そして、この第2掛止部4bがない場合には、第2の帯状体9は、例えば、第2挿入孔4aの内面との摩擦により保持される。
【符号の説明】
【0063】
1 棒状体
2 配線・配管材
3 配線・配管材保持具
4 固定部
4a 第2挿入孔
4b 第2掛止部
4c 当接部
4d 基部
4e 抱持部
4f 開口部
5 保持部
6 保持部本体
6a 挿入孔
6b 掛止部
7 帯状体
7a 被掛止部
7b 余長切除部
7c 先端
9 第2の帯状体
【技術分野】
【0001】
この発明は、吊りボルトや鉄筋等の棒状体に配線・配管材を固定するための配線・配管材保持具、およびその配線・配管材保持具を用いた配線・配管材の固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状体としての吊りボルトに配線・配管材を固定するにあたって、配線・配管材保持具が用いられた(例えば、特許文献1参照)。図17に示すように、この配線・配管材保持具13は、吊りボルト11に固定可能な固定部14と、その固定部14から連設されて配線・配管材12を保持する保持部15とを備えていた。ここで、固定部14は、吊りボルト11を受ける基部14aと、その基部14aから延設されて吊りボルト11を抱えるフック部14bとから構成されていた。そして、フック部14bの先端と基部14aとの間が、吊りボルト11をフック部14bの内側に受け入れる開口部14cとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−60086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配線・配管材保持具13にあっては、固定部14は、フック部14bにより吊りボルト11(棒状体)に固定されていた。このため、配線・配管材12の姿勢を矯正する等の過大な力が固定部14に作用するような場合には、フック部14bの先端と基部14aとの間の開口部14cから吊りボルト11が飛び出るようにして、固定部14が吊りボルト11から外れてしまい、配線・配管材12を吊りボルト11に固定できなくなる虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材を棒状体に確実かつ容易に固定することができる、配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具である。この配線・配管材保持具は、前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備える。ここで、前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える。この帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられる。そして、前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有する。そこで、前記挿入孔を通過してその挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除してなる余長切除部で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記余長切除部が挿入されて保持される第2挿入孔が設けられる。
【0007】
この配線・配管材保持具によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を用いることで、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。このように、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1に記載の配線・配管材保持具において、前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備える。そして、前記基部から延設される前記抱持部の先端の先に、前記棒状体を前記抱持部の内側に受け入れる開口部が設けられる。そこで、前記棒状体に対し、その棒状体を抱える前記抱持部によって仮固定された前記固定部が、前記余長切除部によって本固定される。このように、抱持部により固定部を棒状体に仮固定することで、その後の、余長切除部による棒状体への固定部の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体への固定部の固定が、抱持部と帯状体の余長切除部とで行われることで、固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に一層確実に固定することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項2に記載の配線・配管材保持具において、前記基部から延設される前記抱持部の先端と前記基部との間が、前記開口部となる。そして、前記第2挿入孔は、前記抱持部とは前記棒状体の長手方向にずれた位置の、前記基部に設けられて、前記余長切除部は、前記棒状体の長手方向における、前記抱持部が抱える部分とは異なる部分に回されて、その余長切除部の各端部側が前記第2挿入孔に挿入される。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項3に記載の配線・配管材保持具において、前記抱持部は、一対設けられ、それら一対の抱持部は、前記棒状体の長手方向に、その棒状体の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体を逆向きに抱えることができるように、前記基部から立ち上がって延びる。そこで、前記棒状体が前記一対の抱持部間に位置するように、前記固定部を前記棒状体に宛がい、前記開口部の各々から前記棒状体が進入するように前記固定部を回動することで、前記棒状体を前記開口部から前記抱持部の内側に受け入れて抱持可能である。また、前記第2挿入孔は、前記棒状体における、前記一対の抱持部間の露出した部分に回された前記余長切除部の各端部側が挿入されるように、前記基部における前記一対の抱持部間に設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記余長切除部の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具である。この配線・配管材保持具は、前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備える。ここで、前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える。この帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられる。そして、前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有する。一方、前記帯状体とは長さを除いて同一形状であって前記固定部とは別体の第2の帯状体で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記第2の帯状体が挿入可能な第2挿入孔が設けられ、その第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記第2の帯状体の戻りを止めるようにその第2の帯状体の被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられる。
【0013】
この配線・配管材保持具によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、固定部の第2挿入孔に挿入される第2の帯状体により、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。ここにおいて、第2の帯状体は、帯状体とは長さを除いて同一形状で固定部とは別体となっている。このため、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体だけでなく第2の帯状体として用いることも、保持部本体の挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を、第2の帯状体として用いることもできる。そこで、このような第2の帯状体により、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材の固定方法は、棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて配線・配管材を保持する保持部とを備えるとともに、前記保持部が、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える、配線・配管材保持具を用いて、前記棒状体に対して前記配線・配管材を固定する、配線・配管材の固定方法である。この配線・配管材の固定方法は、以下に示す第1から第4の工程を備える。
【0015】
第1の工程:前記帯状体を、前記配線・配管材に回して前記保持部本体に設けられた挿入孔に、先端から挿入する。
【0016】
第2の工程:前記帯状体で前記配線・配管材を締めるように、前記帯状体を前記挿入孔から引き出して、前記配線・配管材を保持する。
【0017】
第3の工程:前記挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除して余長切除部を形成する。
【0018】
第4の工程:前記余長切除部を用いて、前記固定部を前記棒状体に固定するように、前記余長切除部を、前記固定部に設けられた第2挿入孔に挿入して保持する。
【0019】
この配線・配管材の固定方法によると、保持部における帯状体が配線・配管材に回されて挿入孔に挿入され、さらに帯状体が挿入孔から引き出されることで、その配線・配管材は、保持部に保持される。そして、挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を用いることで、固定部が棒状体に固定され、これによって、配線・配管材は、棒状体に固定される。このように、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材の固定方法は、請求項7に記載の配線・配管材の固定方法において、前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備える。そこで、前記第1の工程の前、前記第1の工程と前記第2の工程との間、前記第2の工程と前記第3の工程との間、または前記第3の工程と前記第4の工程との間に、前記棒状体を前記抱持部で抱えて、前記固定部を前記棒状体に仮固定する。
【0021】
このように、抱持部により固定部を棒状体に仮固定することで、その後の、余長切除部による棒状体への固定部の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体への固定部の固定が、抱持部と帯状体の余長切除部とで行われることで、固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に一層確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法によれば、次の効果がある。
【0023】
請求項1〜5に記載された配線・配管材保持具、並びに、請求項7および8に記載された配線・配管材の固定方法によれば、配線・配管材を保持するための帯状体における余長切除部を利用して、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【0024】
また、請求項6に記載された配線・配管材保持具によれば、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体だけでなく第2の帯状体として用いたり、保持部本体の挿入孔から引き出された帯状体の端部を切除してなる余長切除部を、第2の帯状体として用いたりすることができ、このような第2の帯状体により、固定部を棒状体に固定することで、その固定部、ひいては配線・配管材を、棒状体に確実かつ容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施の形態の、保持具本体(配線・配管材保持具)の斜視図である。
【図2】同じく、保持具本体の正面図である。
【図3】同じく、保持具本体の平面図である。
【図4】同じく、図2におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図6】同じく、配線・配管材の固定方法の仮固定の工程における、固定部を棒状体に宛がった状態を示す正面図である。
【図7】同じく、配線・配管材の固定方法の仮固定の工程における、固定部を回動した状態を示す正面図である。
【図8】同じく、配線・配管材の固定方法の第1の工程を示す正面図である。
【図9】同じく、配線・配管材の固定方法の第2の工程を示す正面図である。
【図10】同じく、配線・配管材の固定方法の第3の工程を示す正面図である。
【図11】同じく、配線・配管材の固定方法の第4の工程を示す正面図である。
【図12】同じく、図11におけるC−C線による拡大断面図である。
【図13】同じく、径小の配線・配管材を保持する場合の図11相当図である。
【図14】同じく、棒状体に対し、二つの保持具本体を対称位置させた状態を示す斜視図である。
【図15】同じく、二つの保持具本体の互いに対向位置する第2挿入孔に他の帯状体を貫き通した状態を示す斜視図である。
【図16】同じく、二つの保持具本体の互いに対向位置する第2挿入孔に他の帯状体を貫き通した状態の変形例を示す斜視図である。
【図17】従来の配線・配管材保持具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明に係る配線・配管材保持具および配線・配管材の固定方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図16は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、二重天井等に配備される吊りボルトとか、コンクリート構築物内の鉄筋等とかの、棒状体である。2は、配線・配管材(配線材または配管材)であって、図示実施の形態においては、配管材を示す。3は、前記棒状体1に取り付けられて前記配線・配管材2を保持する配線・配管材保持具である。
【0028】
この配線・配管材保持具3は、棒状体1に取付け固定される固定部4と、その固定部4から連設されて配線・配管材2を保持する保持部5とを備える。ここで、保持部5は、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられ(つまり、保持部本体6とは別体であって)、またはその保持部本体6と一体に設けられて(図示実施の形態においては、保持部本体6に取り付けられて)、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。この帯状体7には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部7a、7aが設けられる。そして、保持部本体6は、帯状体7が先端7cから挿入される挿入孔6aと、その挿入された帯状体7の戻りを止めるように前記被掛止部7aに掛かる掛止部6bとを有する。
【0029】
また、帯状体7とは長さを除いて同一形状であって前記固定部4とは別体の第2の帯状体9(例えば、保持部本体6の挿入孔6aを通過してその挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7b)で、前記固定部4を棒状体1に固定すべく、固定部4には、第2の帯状体9が挿入されて保持される第2挿入孔4aが設けられている。図示実施の形態においては、第2挿入孔4aは、第2の帯状体9が挿入可能であって、その第2挿入孔4aには、その第2挿入孔4aに挿入された第2の帯状体9の戻りを止めるように第2の帯状体9の被掛止部7aに掛かる第2掛止部4bが設けられている。
【0030】
詳細には、固定部4は、棒状体1の周面に当接する当接部4cを有してその棒状体1を受ける基部4dと、その基部4dから延設されて棒状体1を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部4eとを備える。そして、基部4dから延設される抱持部4eの先端の先に、棒状体1を抱持部4eの内側に受け入れる開口部4fが設けられる。そこで、棒状体1に対し、その棒状体1を抱える抱持部4eによって仮固定された固定部4が、前記第2の帯状体9(例えば、前記余長切除部7b)によって本固定される。
【0031】
より詳細には、基部4dから延設される抱持部4eの先端と基部4dとの間が、前記開口部4fとなる。そして、第2挿入孔4aは、抱持部4eとは棒状体1の長手方向にずれた位置の、前記基部4dに設けられる。そこで、第2の帯状体9は、棒状体1の長手方向における、抱持部4eが抱える部分とは異なる部分に回されて、その第2の帯状体9の各端部側が前記第2挿入孔4aに挿入される。
【0032】
具体的には、配線・配管材保持具3は、保持具本体3aと前記帯状体7との二体で構成される。保持具本体3aは、例えば合成樹脂製であって、前記固定部4と、前記保持部本体6と、それら固定部4と保持部本体6(保持部5)とを連結する連結部8とが、合成樹脂材料により一体に成形されている。
【0033】
固定部4は、その基部4dが、棒状体1に沿う方向に長手となる長方形板状に形成されている。そして、この基部4dにおける、板厚を挟む一方の面に、棒状体1の周面に当接する前記当接部4cが設けられる。この当接部4cは、基部4dの長手方向における中間部分と一方の端(図示実施の形態においては下端)とから突出形成される、第1および第2当接部401、402とからなり、相対的に、中間部分の第1当接部401を挟む両側が、窪んで形成された凹部4g、4gとなっている。
【0034】
ここにおいて、固定部4における前記抱持部4eは、一対設けられ、それら一対の抱持部4e、4eは、棒状体1の長手方向に、その棒状体1の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体1を逆向きに抱えることができるように、基部4d(詳しくは、基部4dにおける前記凹部4gがある位置)から立ち上がって延びて、その延びる先端側が、前記凹部4gと対向している。そこで、棒状体1が一対の抱持部4e、4e間に位置するように、固定部4を棒状体1に宛がい(図6参照)、前記開口部4f、4fの各々から棒状体1が進入するように固定部4を回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、棒状体1を開口部4f、4fから抱持部4e、4eの内側に受け入れて抱持可能となっている(図7参照)。
【0035】
また、前記第2挿入孔4a、4aは、棒状体1における、一対の抱持部4e、4e間の露出した部分に回された第2の帯状体9の各端部側が挿入されるように、基部4dにおける一対の抱持部4e、4e間(図示実施の形態においては第1当接部401を横方向に挟む両側)に設けられる。この第2挿入孔4aには、第2の帯状体9が第1当接部401側から挿入され、挿入された第2の帯状体9は、第2挿入孔4aを通過して裏側に引き出される。そして、この第2挿入孔4aに設けられる第2掛止部4bは、弾性片4hに突出して形成された爪からなり、この第2掛止部4bは、この弾性片4hの弾性力により第2の帯状体9の被掛止部7aに押し付けられる。そして、第2掛止部4bは、断面略直角三角形状に形成されて(図4参照)、第2挿入孔4aへの第2の帯状体9の挿入は許容するが、戻りは阻止するようになっている。また、弾性片4hの先端は、第2挿入孔4aから飛び出しており、その先端を第2の帯状体9から離れる側に撓ませることで、被掛止部7aへの第2掛止部4bの掛かりが解除されて、第2の帯状体9を第2挿入孔4aから抜くことができるようになっている。
【0036】
保持部本体6(保持部5)は、固定部4とは、間隔を置いた側方(詳しくは、基部4dにおける当接部4cを正面とし、棒状体1の長手方向、つまり基部4dの長手方向を上下としたときの横側)に位置している。この保持部本体6は、帯状体7の基端7dが留められるとともに前記挿入孔6aおよび掛止部6bを有する保持基部6cと、その保持基部6cから延設されて配線・配管材2を受ける配線・配管材受部6dとを備える。
【0037】
保持基部6cは、箱形状に形成されて、前記挿入孔6aが上下に貫通するように設けられる。この挿入孔6aには、帯状体7の先端7cが上から挿入され、挿入された帯状体7は、挿入孔6aを通過して下方に引き出される。そして、この挿入孔6aに、前記掛止部6bが設けられる。この掛止部6bは、前述の第2掛止部4bと同様に、弾性片6eに突出して形成された爪からなり、掛止部6bは、この弾性片6eの弾性力により帯状体7の被掛止部7aに押し付けられる。そして、掛止部6bは、断面略直角三角形状に形成されて(図5参照)、挿入孔6aへの帯状体7の挿入は許容するが、戻りは阻止するようになっている。また、弾性片6eの先端は、挿入孔6aから飛び出しており、その先端を帯状体7から離れる側に撓ませることで、被掛止部7aへの掛止部6bの掛かりが解除されて、帯状体7を挿入孔6aから抜くことができるようになっている。
【0038】
また、保持部本体6とは別体に形成された帯状体7を、前もって保持部本体6に取り付けるために、保持基部6cは、帯状体7の基端7dが挿入される(図示実施の形態においては、下から挿入される)基端挿入孔6fを有する。そして、その基端挿入孔6fには、その基端挿入孔6fに挿入された帯状体7の戻りを止めるように帯状体7の前記被掛止部7aに掛かる基端掛止部6gが設けられ、これによって、帯状体7の基端7dは、保持基部6c(保持部本体6)に留められ、帯状体7は、保持部本体6に取り付けられる。この基端掛止部6gは、前記掛止部6bと同様に、弾性片6hに突出して形成された爪からなるが、この弾性片6hの先端は、基端挿入孔6fからは飛び出すことなく孔内に収まっている。
【0039】
配線・配管材受部6dは、保持基部6cにおける、固定部4から離れた側の端から、その固定部4から離れる側に円弧状に湾曲するようにして上側および下側(つまり、棒状体1の長手方向の一方側および他方側)に対称に延設されている。この配線・配管材受部6dは、固定部4から離れた側の面6iで、配線・配管材2を受け、固定部4に近い側の面6jで、帯状体7を保持基部6cに案内する。そして、配線・配管材受部6dには、面6j側であって、保持基部6cから離れた両先端部分の幅の両側に、帯状体7をその幅方向で挟むように、突片6k、6kが突出形成されている。そこで、これら突片6k、6kによって、配線・配管材受け部6dに沿って回される帯状体7のその幅方向のずれが防止され、これによって、保持した配線・配管材2のその長手方向のずれを防止することができる。
【0040】
連結部8は、固定部4における基部4dと、保持部本体6における保持基部6cとを連結するように横に延びている。詳細には、連結部8は、基部4d側面の上下における中間位置と、保持基部6cの側面とに渡されることで、固定部4と保持部本体6(保持部5)とを連結する。
【0041】
帯状体7は、例えば、合成樹脂製であって、長尺材を適宜長さに切断して得られる。そして、この帯状体7の片面に、凹凸状の前記被掛止部7aが、帯状体7の長手方向に連続して形成されている。
【0042】
次に、この配線・配管材保持具3を用いた配線・配管材2の固定方法を、図6〜図11により説明する。この配線・配管材2の固定方法に用いられる配線・配管材保持具3は、前述したように、棒状体1に取付け固定される固定部4と、その固定部4から連設されて配線・配管材2を保持する保持部5とを備えるとともに、保持部5が、保持部本体6と、その保持部本体6に取り付けられ、またはその保持部本体6と一体に設けられて(図示実施の形態においては、保持部本体6に取り付けられて)、配線・配管材2に回される帯状体7とを備える。さらに、図示実施の形態においては、固定部4は、棒状体1の周面に当接する当接部4cを有してその棒状体1を受ける基部4dと、その基部4dから延設されて棒状体1を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部4eとを備えている。
【0043】
そこで、配線・配管材2の固定方法は、この配線・配管材保持具3を用いて、棒状体1に対して配線・配管材2を固定する、固定方法であって、施工手順として、第1の工程から第4の工程の各工程を備える。もっとも、図示実施の形態においては、固定部4に抱持部4eが設けられる関係で、第1の工程の前に、仮固定の工程を備える。
【0044】
仮固定の工程:棒状体1を抱持部4eで抱えて、固定部4を棒状体1に仮固定する。図示実施の形態においては、前述のように、棒状体1が一対の抱持部4e、4e間に位置するように、固定部4を棒状体1に宛がい(図6参照)、前記開口部4f、4fの各々から棒状体1が進入するように固定部4を回動(図示実施の形態においては、反時計回り方向に回動)することで、棒状体1を開口部4f、4fから抱持部4e、4eの内側に受け入れて抱持する(図7参照)。
【0045】
第1の工程:帯状体7を、配線・配管材2に回して保持部本体6(詳しくは保持基部6c)に設けられた挿入孔6aに、先端7cから挿入する(図8参照)。なお、この第1の工程に先立ち、帯状体7の基端7dは、保持部本体6(詳しくは保持基部6c)の基端挿入孔6fに挿入されることで、保持部本体6に取り付けられる。もっとも、この保持部本体6への帯状体7の取付けは、第1の工程の前であれば、仮固定の工程の前であっても構わない。
【0046】
第2の工程:前記帯状体7で配線・配管材2を締めるように、帯状体7を挿入孔6aから引き出して、配線・配管材2を保持する(図9参照)。
【0047】
第3の工程:挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除して、第2の帯状体9としての余長切除部7bを形成する(図10参照)。
【0048】
第4の工程:余長切除部7b(第2の帯状体9)を用いて、固定部4を棒状体1に固定(本固定)するように、余長切除部7b(第2の帯状体9)を、固定部4に設けられた第2挿入孔4aに挿入して保持する(図11、図12参照)。
【0049】
ところで、この固定方法においては、第1の工程の前に、仮固定の工程を備えるが、この仮固定の工程は、第1の工程の前でなくとも、第1の工程と第2の工程との間、第2の工程と第3の工程との間、または第3の工程と第4の工程との間に行ってもよい。
【0050】
次に、以上の構成からなる配線・配管材保持具3および配線・配管材2の固定方法の作用効果について説明する。この配線・配管材保持具3および配線・配管材2の固定方法によると、保持部5における帯状体7が配線・配管材2に回されて挿入孔6aに挿入され、さらに帯状体7が挿入孔6aから引き出されることで、その配線・配管材2は、保持部5に保持される。そして、挿入孔6aから引き出された帯状体7の端部を切除してなる余長切除部7b(第2の帯状体9)を用いることで、固定部4が棒状体1に固定され、これによって、配線・配管材2は、棒状体1に固定される。このように、配線・配管材2を保持するための帯状体7における余長切除部7bを利用して、固定部4を棒状体1に固定することで、その固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に確実かつ容易に固定することができる。
【0051】
ところで、この配線・配管材保持具3にあっては、第2の帯状体9は、帯状体7とは長さを除いて同一形状で固定部とは別体となっている。このため、同じ長尺材を適宜長さに切断したものを、帯状体7だけでなく第2の帯状体9として用いることも、前述した余長切除部7bを第2の帯状体9として用いることもできる。そこで、このような第2の帯状体9により、固定部4を棒状体1に固定することで、その固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に確実かつ容易に固定することができる。
【0052】
また、固定部4に備わる抱持部4eにより固定部4を棒状体1に仮固定することで、その後の、第2の帯状体9による棒状体1への固定部4の固定作業を効率良く行うことができる。さらには、この棒状体1への固定部4の固定が、抱持部4eと第2の帯状体9とで行われることで、固定部4、ひいては配線・配管材2を、棒状体1に一層確実に固定することができる。
【0053】
また、保持部本体6にける配線・配管材受部6dは、保持基部6cから上側および下側に対称に延設されており、保持される配線・配管材2の径が異なる場合であってもその配線・配管材2の中心が、上下(つまり、棒状体1の長手方向)に変動することがない(図11および図13参照)。
【0054】
また、前記仮固定の工程を、第1の工程よりも後(すなわち、第1、第2または第3の工程の後)に行う場合には、その仮固定の際に、固定部4を回動、つまり配線・配管材保持具3を回動することで、配線・配管材2も回動することとなるが、図示実施の形態においては、その回動の中心と配線・配管材2の軸心とが平行となるため、配線・配管材2の向きを一定に保ったまま仮固定することができる。
【0055】
また、固定部4において、基部4dには、抱持部4eの先端側と対向する位置に凹部4gが設けられている。このため、図14に示すように、二つの保持具本体3a(配線・配管材保持具3)を、互いの抱持部4eの先端側が相手の凹部4gに入るようにして、一本の棒状体1に対してその棒状体1の軸心回りに180°回転した位置に配置することができる。しかも、図示実施の形態においては、二つの配線・配管材保持具3は、互いの抱持部4eの先端側が相手の凹部4gに入ることで、相互に嵌まり合って、一本の棒状体1に固定されるため、各配線・配管材保持具3、3の固定部4、4は、開口部4f、4fの各々から棒状体1が抜け出る方向(すなわち、一方の配線・配管材保持具3における正面側から見て、その一方の配線・配管材保持具3にあっては時計回り方向であって、他方の配線・配管材保持具3にあっては反時計回り方向)に回動しにくく、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れにくい。
【0056】
ところで、既述の保持具本体3a(配線・配管材保持具3)は、第2挿入孔4a、4aが、第1当接部401を横方向に挟む両側に対称に設けられており、図14に示す実施の形態においては、二つの保持具本体3a(配線・配管材保持具3)の各第2挿入孔4a、4aが、互いに対向位置している。そこで、例えば、図15および図16に示すように、互いに対向位置する第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10を貫き通すことにより、各配線・配管材保持具3、3の固定部4、4が、開口部4f、4fの各々から棒状体1が抜け出る方向に回動するのを規制することができ、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れるのを確実に防止することができる。図15に示す例においては、第1当接部401を横方向に挟む両側おいて互いに対向する二対の第2挿入孔4a、4aのうちの、一対の第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10としての前記第2の帯状体9(前記余長切除部7b)を貫き通している。また、図16に示す例においては、前記二対の第2挿入孔4a、4aのそれぞれに、他の帯状体10としての前記第2の帯状体9(前記余長切除部7b)の各端部側を貫き通している。このように、前記二対の第2挿入孔4a、4aに、他の帯状体10を貫き通すことで、両配線・配管材保持具3、3が棒状体1から外れるのをより確実に防止することができる。なお、図示を省略するが、前記二対の第2挿入孔4a、4aのそれぞれに、別々の他の帯状体10を貫き通してもよい。
【0057】
また、図15および図16に示す例においては、第2の帯状体9(余長切除部7b)の、被掛止部7aが設けられていない側の面が、弾性片4hと向き合うように(すなわち、被掛止部7aに第2掛止部4bが掛からないように)、第2の帯状体9(余長切除部7b)を貫き通しているが、反対に、第2の帯状体9(余長切除部7b)の被掛止部7aが設けられた側の面が、弾性片4hと向き合うように(すなわち、被掛止部7aに第2掛止部4bが掛かるように)、第2の帯状体9(余長切除部7b)を貫き通してもよい。また、他の帯状体10は、必ずしも第2の帯状体9(余長切除部7b)でなくてもよく、さらには、帯状体7および第2の帯状体9(余長切除部7b)とは異なる形状のものであっても構わない。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、保持部5において、帯状体7は、保持部本体6に取り付けられるが、保持部本体6と一体に設けられてもよい。すなわち、例えば、配線・配管材保持具3は、帯状体7を含めて、合成樹脂材料により一体に成形されてもよい。
【0059】
また、固定部4は、抱持部4eを備え、その抱持部4eは、棒状体1の長手方向に隔てるとともに棒状体1を逆向きに抱えるように一対設けられるが、これら、抱持部4e、4eは、互いに向かい合う位置に設けられてもよく、棒状体1を同じ向きに抱えるように設けられてもよく、また、一対でなくとも、一つであってもよい。
【0060】
また、第2挿入孔4aは、固定部4の基部4dに設けられて、第2の帯状体9は、棒状体1の長手方向における、抱持部4eが抱える部分とは異なる部分に回されるが、第2挿入孔4aを、基部4dと抱持部4eの先端部分とに対向位置するように設けて、それら第2挿入孔4a、4aに第2の帯状体9を貫き通すことにより、抱持部4eの先端の先にある(つまり、抱持部4eの先端と基部4dとの間の)開口部4fを閉じるようにしてもよい。また、抱持部4e、4eを互いに向かい合うように設けて、それら抱持部4e、4eの先端部分に対向位置する第2挿入孔4a、4aを設けることで、それら第2挿入孔4a、4aを貫き通す第2の帯状体9で、抱持部4e、4eの先端の先にある(つまり、抱持部4e、4eの先端間の)開口部4fを閉じるようにしてもよい。
【0061】
また、固定部4における抱持部4eは、なくともよい。そして、この抱持部4eがない場合には、配線・配管材2の固定方法においては、当然に仮固定の工程はない。
【0062】
また、第2挿入孔4aには、第2掛止部4bが設けられているが、この第2掛止部4bはなくともよい。そして、この第2掛止部4bがない場合には、第2の帯状体9は、例えば、第2挿入孔4aの内面との摩擦により保持される。
【符号の説明】
【0063】
1 棒状体
2 配線・配管材
3 配線・配管材保持具
4 固定部
4a 第2挿入孔
4b 第2掛止部
4c 当接部
4d 基部
4e 抱持部
4f 開口部
5 保持部
6 保持部本体
6a 挿入孔
6b 掛止部
7 帯状体
7a 被掛止部
7b 余長切除部
7c 先端
9 第2の帯状体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具であって、
前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備え、
前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備え、
前記帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられ、
前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有し、
前記挿入孔を通過してその挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除してなる余長切除部で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記余長切除部が挿入されて保持される第2挿入孔が設けられることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項2】
前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備え、
前記基部から延設される前記抱持部の先端の先に、前記棒状体を前記抱持部の内側に受け入れる開口部が設けられ、
前記棒状体に対し、その棒状体を抱える前記抱持部によって仮固定された前記固定部が、前記余長切除部によって本固定されることを特徴とすることを特徴とする、請求項1に記載の配線・配管材保持具。
【請求項3】
前記基部から延設される前記抱持部の先端と前記基部との間が、前記開口部となり、
前記第2挿入孔は、前記抱持部とは前記棒状体の長手方向にずれた位置の、前記基部に設けられて、前記余長切除部は、前記棒状体の長手方向における、前記抱持部が抱える部分とは異なる部分に回されて、その余長切除部の各端部側が前記第2挿入孔に挿入されることを特徴とする、請求項2に記載の配線・配管材保持具。
【請求項4】
前記抱持部は、一対設けられ、それら一対の抱持部は、前記棒状体の長手方向に、その棒状体の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体を逆向きに抱えることができるように、前記基部から立ち上がって延び、
前記棒状体が前記一対の抱持部間に位置するように、前記固定部を前記棒状体に宛がい、前記開口部の各々から前記棒状体が進入するように前記固定部を回動することで、前記棒状体を前記開口部から前記抱持部の内側に受け入れて抱持可能であって、
前記第2挿入孔は、前記棒状体における、前記一対の抱持部間の露出した部分に回された前記余長切除部の各端部側が挿入されるように、前記基部における前記一対の抱持部間に設けられることを特徴とする請求項3に記載の配線・配管材保持具。
【請求項5】
前記第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記余長切除部の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【請求項6】
棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具であって、
前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備え、
前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備え、
前記帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられ、
前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有し、
前記帯状体とは長さを除いて同一形状であって前記固定部とは別体の第2の帯状体で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記第2の帯状体が挿入可能な第2挿入孔が設けられ、その第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記第2の帯状体の戻りを止めるようにその第2の帯状体の被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項7】
棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて配線・配管材を保持する保持部とを備えるとともに、前記保持部が、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える、配線・配管材保持具を用いて、前記棒状体に対して前記配線・配管材を固定する、配線・配管材の固定方法であって、
前記帯状体を、前記配線・配管材に回して前記保持部本体に設けられた挿入孔に、先端から挿入する第1の工程と、
前記帯状体で前記配線・配管材を締めるように、前記帯状体を前記挿入孔から引き出して、前記配線・配管材を保持する第2の工程と、
前記挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除して余長切除部を形成する第3の工程と、
前記余長切除部を用いて、前記固定部を前記棒状体に固定するように、前記余長切除部を、前記固定部に設けられた第2挿入孔に挿入して保持する第4の工程とを備えることを特徴とする、配線・配管材の固定方法。
【請求項8】
前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備え、
前記第1の工程の前、前記第1の工程と前記第2の工程との間、前記第2の工程と前記第3の工程との間、または前記第3の工程と前記第4の工程との間に、前記棒状体を前記抱持部で抱えて、前記固定部を前記棒状体に仮固定することを特徴とする、請求項7に記載の配線・配管材の固定方法。
【請求項1】
棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具であって、
前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備え、
前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備え、
前記帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられ、
前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有し、
前記挿入孔を通過してその挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除してなる余長切除部で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記余長切除部が挿入されて保持される第2挿入孔が設けられることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項2】
前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備え、
前記基部から延設される前記抱持部の先端の先に、前記棒状体を前記抱持部の内側に受け入れる開口部が設けられ、
前記棒状体に対し、その棒状体を抱える前記抱持部によって仮固定された前記固定部が、前記余長切除部によって本固定されることを特徴とすることを特徴とする、請求項1に記載の配線・配管材保持具。
【請求項3】
前記基部から延設される前記抱持部の先端と前記基部との間が、前記開口部となり、
前記第2挿入孔は、前記抱持部とは前記棒状体の長手方向にずれた位置の、前記基部に設けられて、前記余長切除部は、前記棒状体の長手方向における、前記抱持部が抱える部分とは異なる部分に回されて、その余長切除部の各端部側が前記第2挿入孔に挿入されることを特徴とする、請求項2に記載の配線・配管材保持具。
【請求項4】
前記抱持部は、一対設けられ、それら一対の抱持部は、前記棒状体の長手方向に、その棒状体の径よりも間隔を隔てるとともに、その棒状体を逆向きに抱えることができるように、前記基部から立ち上がって延び、
前記棒状体が前記一対の抱持部間に位置するように、前記固定部を前記棒状体に宛がい、前記開口部の各々から前記棒状体が進入するように前記固定部を回動することで、前記棒状体を前記開口部から前記抱持部の内側に受け入れて抱持可能であって、
前記第2挿入孔は、前記棒状体における、前記一対の抱持部間の露出した部分に回された前記余長切除部の各端部側が挿入されるように、前記基部における前記一対の抱持部間に設けられることを特徴とする請求項3に記載の配線・配管材保持具。
【請求項5】
前記第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記余長切除部の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【請求項6】
棒状体に取り付けられて配線・配管材を保持する配線・配管材保持具であって、
前記棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて前記配線・配管材を保持する保持部とを備え、
前記保持部は、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備え、
前記帯状体には、長手方向に並ぶ複数の被掛止部が設けられ、
前記保持部本体は、前記帯状体が先端から挿入される挿入孔と、その挿入された帯状体の戻りを止めるように前記被掛止部に掛かる掛止部とを有し、
前記帯状体とは長さを除いて同一形状であって前記固定部とは別体の第2の帯状体で、前記固定部を前記棒状体に固定すべく、前記固定部には、前記第2の帯状体が挿入可能な第2挿入孔が設けられ、その第2挿入孔には、その第2挿入孔に挿入された前記第2の帯状体の戻りを止めるようにその第2の帯状体の被掛止部に掛かる第2掛止部が設けられることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項7】
棒状体に取付け固定される固定部と、その固定部から連設されて配線・配管材を保持する保持部とを備えるとともに、前記保持部が、保持部本体と、その保持部本体に取り付けられ、またはその保持部本体と一体に設けられて、前記配線・配管材に回される帯状体とを備える、配線・配管材保持具を用いて、前記棒状体に対して前記配線・配管材を固定する、配線・配管材の固定方法であって、
前記帯状体を、前記配線・配管材に回して前記保持部本体に設けられた挿入孔に、先端から挿入する第1の工程と、
前記帯状体で前記配線・配管材を締めるように、前記帯状体を前記挿入孔から引き出して、前記配線・配管材を保持する第2の工程と、
前記挿入孔から引き出された前記帯状体の端部を切除して余長切除部を形成する第3の工程と、
前記余長切除部を用いて、前記固定部を前記棒状体に固定するように、前記余長切除部を、前記固定部に設けられた第2挿入孔に挿入して保持する第4の工程とを備えることを特徴とする、配線・配管材の固定方法。
【請求項8】
前記固定部は、前記棒状体の周面に当接する当接部を有してその棒状体を受ける基部と、その基部から延設されて前記棒状体を抱えることができるように湾曲または屈曲して形成された抱持部とを備え、
前記第1の工程の前、前記第1の工程と前記第2の工程との間、前記第2の工程と前記第3の工程との間、または前記第3の工程と前記第4の工程との間に、前記棒状体を前記抱持部で抱えて、前記固定部を前記棒状体に仮固定することを特徴とする、請求項7に記載の配線・配管材の固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−163199(P2012−163199A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32618(P2011−32618)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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