説明

配線不良検出用試験構造体及び配線不良検出方法

【課題】 一定周期で繰り返し配置される配線パターン上の特定の配線に電気的欠陥が周期的に発生しても、ボルテージコントラスト法のアレイ検査を用いて電気的欠陥を効率的に検出すること。
【解決手段】 半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置された複数の配線とからなる配線不良検出用の試験構造体において、
前記絶縁膜上に一定方向に配置された複数の配線不良検知用配線からなる配線不良検知用配線群を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなると配線不良検知領域と、
前記配線不良検知用配線を延長して形成された検査用配線からなり、前記配線不良検知用配線群に含まれる前記配線不良検知用配線の本数の整数倍(0を除く)に一致しない数の前記検査用配線を含む対比区間を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなるアレイ検査領域とからなることを特徴とする配線不良検出用の試験構造体による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線不良検出用試験構造体及びこれを用いた配線不良検出方法に関し、特に、システマチックに発生する欠陥に適用可能な配線不良検出用試験構造体及びこれを用いた配線不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置における配線不良、特に配線の断線や短絡は致命的な欠陥であり、このような不良のある半導体装置は良品として出荷することはできない。つまり、配線不良は半導体装置の製造歩留まりに大きな影響を与える。したがって、歩留まり向上のためには配線不良を未然に防ぐことが極めて重要である。
【0003】
かかる配線不良を未然に防止するため、半導体の製造ラインに定期的に配線不良検出用のウエハを流し、配線不良の有無及びその程度を評価することが行われている。不良箇所の検出方法には、光学的検査方法と走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたものがある。
【0004】
光学式検査方法は、高スループットであるが、微細な異物や欠陥の形状の確認が困難である。一方、SEM方式には、微細な異物や欠陥の観察が容易であるが、スループット(処理量)が低いという問題点がある。
【0005】
以上の検査方法は配線の形状を観察するものであるが、検査対象の配線に対して通電試験を行う電気的試験も行われている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この電気的試験のためには、検査対象となる配線の端部に予めパッドを設けておき、このパッドに電気プローブを接触させる必要がある。
【0006】
最近、これらの検査方法とは異なる、SEMを用いた新しい試験方法が利用され始めた。この方法は、ボルテージコントラスト法と呼ばれている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ボルテージコントラスト法は、微細な配線の検査が容易であるというSEM方式の特徴を保持しつつ、従来のSEM方式の問題点であったスループットの低さを解消している。また、この方法によれば、電気プローブ用のパッドを設けることなく、配線が電気的に断線しているか否かの判定が可能になる。
【0008】
ボルテージコントラスト法は、二次電子像強度の相違から配線の電気的欠陥を検出するものである。配線等の導電パターンに電子線を照射すると、導電パターンは、その電気的環境(例えば、半導体基板に電気的に接続されているか絶縁されているか等)に応じて帯電し、帯電量に応じた電位を持つようになる。この様にして生じた電位の相違は、電子線の照射によって発生する二次電子の発生量に影響する。すなわち、電位の低い導電パターンからは多くの二次電子が放出され、明るいSEM像が得られる。一方、電位の高い導電パターンからは少ない量の二次電子しか放出されず、暗いSEM像となる。この明るさの差(コントラスト)を利用して導電パターンに断線等の欠陥があるか否かを検出する検査方法が、ボルテージコントラスト法である。
【0009】
ボルテージコントラスト法の試験対象は、導電性を有する構造物である。このため、その一部に電子線を照射しただけで全体が帯電する。従って、ボルテージコントラスト法では、従来のSEM方式と異なり、電子線の照射を配線全体に対し行う必要はなく、配線の一部を照射するだけで十分である。故に、配線の全体像を観察する従来のSEM方式に比べ、ボルテージコントラスト法では、測定速度が飛躍的に向上し、スループットが向上した。
【特許文献1】特表2004−501505号公報(段落〔0005〕)
【特許文献2】特開平11-330181号公報(段落〔0005〕〜段落( 〔0008〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ボルテージコントラスト法では、通常「アレイ検査」が実行される。ボルテージコントラスト法は、この「アレイ検査」を実行した場合にスループットが最も高くなる。
【0011】
しかし、アレイ検査には、システマチックに発生する欠陥(一定のプロセス条件下、必然的に発生する欠陥)に対して有効に機能しないという問題がある。この点について、以下詳しく説明する。
【0012】
図15及び図16は、ボルテージコントラスト法に用いられる配線不良検出用試験構造体(以下、「試験構造体」と略す)の一例を示している。図15は試験構造体の平面図を、図16はそのA-A´断面図を示している。
【0013】
アレイ検査は、図15の様に同一形状の配線1を一定の周期で絶縁膜2の上に形成した試験構造体を用いて行われる。各配線1の一端は、図16に示すように半導体基板3に電気的に接続された配線(グランドコンタクト4)に接続される。グランドコンタクト4は、図16のようにビア5を介して半導体基板3に設けられた拡散層6に接続されている。従って、配線1は、半導体基板3と同電位となる。
【0014】
以上のように構成した試験構造体に対して配線1の他端を囲い込む細長い矩形のアレイ検査領域19を設定し、その領域内をSEMの電子線で走査する。
【0015】
配線1に欠陥がない場合には、電子線が照射され二電子が放出されても、配線1は半導体基板に接続されているので帯電せず電位は変化しない。すなわち、配線1の電位は、半導体基板3が接触しているSEMの試料ステージと同じ電位に保たれる。
【0016】
しかし、図17の様に配線1の一部に欠陥8が存在し配線1が断線している場合、二次電子が放出されても、これを補う電荷は半導体基板3から供給されない。このため、欠陥8より先の配線9はチャージアップし電位が高くなる。
【0017】
このためアレイ検査領域19に対して得られるSEM像は図18の様に、欠陥8によって断線している配線9では暗く、断線していない配線10では明るくなる。尚、SEM像は絶縁膜2の上が最も暗くなるが、図17との比較を容易にするため絶縁膜を最も明るく表示した。
【0018】
次に、得られたSEM像を、配線1の繰り返し周期11と同じ周期で繰り返される対比区間12に分割する(尚、図18では対比区間は分離している様に記載したが、実際は対比区間同士は接している。以下、同様である。)。
【0019】
ここで隣接した対比区間同士のSEMの画像信号を対比すると、断線していない区間同士では対比結果に差は生じないが、一方断線していない配線10と断線している配線9のSEM像では対比結果に差が生じる。従って、この対比結果から、断線している配線9を特定すること可能である。具体的には隣接した区間間で画像信号強度の差をとり、その差が一定の閾値を越えているか否かで断線の有無を判断する。
【0020】
以上説明した通り、「アレイ検査」では、繰り返し形成された配線1の一端でSEM像を観察するだけで、断線の有無を判断することができる。しかも、断線の有無は、配線端のSEM像を各配線の像毎に小区間に分割し,隣接した小区間毎に画像信号を比較するだけで良い。このため、高いスループットの検査が達成される。しかし、アレイ検査には以下のような問題点がある。
【0021】
図15に示したような試験構造体のアレイ検査は、配線1の形成過程で偶発的に発生する欠陥、例えば塵の付着による断線を発見するためには有効である。しかし、一定の条件下で必然的に発生する欠陥(システマチックな欠陥)を発見することは困難である。
【0022】
システマチックな欠陥として最も単純なものは、ドライエッチングの面内分布である。ドライエッチングでは、たとえば特定の条件下ではウエハの中央部でエッチングレートが大きく、その周辺部ではエッチングレートが小さくなりやすい。そのため、絶縁膜上に形成したメタル層をドライエッチングで加工して配線を形成する場合、ウエハの中央部で断線が起こりやすくなる。また、絶縁膜をエッチングしてビアホールを形成する場合には、ビアホールがウエハ周辺部では絶縁膜を貫通せず断線しやすくなる。
【0023】
ドライエッチングのエッチングレートは、配線間隔等にも影響される。例えば、特定の間隔で配線を形成した場合に、断線が起こり易くなることがある。同様の現象は、ドライエッチング以外の各種工程たとえばフォトリソグラフィ工程等で発生する。これらの現象が複合して、半導体装置の製造工程では、配線パターンに必然的に欠陥が発生してしまうことがある。
【0024】
図15の様な試験構造体で、配線1の間隔がシステマチックな欠陥を発生させるようなものである場合、全ての配線1に対して欠陥が同時に発生する。また、図3のように配線間隔が異なった配線群17a,17b,17cを並置した試験構造体では、配線群17bがシステマチックな欠陥を発生させるものである場合、配線群17bでは全ての配線に欠陥(例えば、断線)が生じ、配線群17a,17cでは欠陥が殆ど生じない。
【0025】
この様な場合、図15の試験構造体ではアレイ検査領域19内のSEM像は、全ての配線のSEM像が暗くなる。これに対して、偶発的に欠陥が発生している場合には、図18の様に、アレイ検査領域19のSEM像は明るい配線と暗い配線が混在したものとなる。
【0026】
システマチックな欠陥の発生により全ての配線像が暗くなったSEM像に対してアレイ検査を行うと、隣接区間同士で画像信号に差がないので、断線は無いとの誤った検査結果が導きだされてしまう。すなわち、ボルテージコントラスト法におけるアレイ検査には、システマチックな欠陥の検出が困難であるという問題がある。
【0027】
そこで、本発明は、システマチックな欠陥に対しても、アレイ検査が可能な試験構造体およびその試験構造体を用いた配線不良検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の目的を達成するために,本発明の第1の側面は、所定の配線を一定方向に複数配置した配線不良検知用配線群を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなる配線不良検知用領域と、前記配線を延長してなる検査用配線を配線不良検知用配線群とは異なる本数含む対比区間を所定の方向に一定周期で繰り返し配置したアレイ検査領域とからなる配線不良検出用の試験構造体である。
【0029】
本発明の第2の側面は、第1の側面に係る試験構造体を試験対象として、前記アレイ検査領域の二次電子像を撮影し、この二次電子像の強度を隣接した対比区間の間で対比して電気的欠陥を検出することを特徴とする配線不良の検出方法である。
【0030】
従って、本発明によれば、配線不良検知用領域で繰返し配置される配線パターンとアレイ検査領域で繰返し配置される配線パターンとでは、その構成配線本数が異なる。このため、たとえシステマチックな欠陥が発生したとしても、欠陥が発生したアレイ検査用配線の、対比区間内における位置が、隣接した対比区間で異なる。従って、システマチックな欠陥に対してもアレイ検査が可能になる。また、本発明によれば、配線不良検知用領域は一種類の配線パターンが繰り返し配置されているので、検査パターンのカバレッジ特性が高い。
【0031】
本発明の第3の側面は、所定の配線を一定方向に配線間のピッチを変化させながら複数配置した配線不良検知用配線群を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなる配線不良検出用の試験構造体である。
【0032】
本発明の第4の側面は、第3の側面に係る試験構造体を試験対象として、前記配線不良検知用配線の端部の二次電子像を撮影し、この二次電子像の強度を隣接した対比区間の間で対比して電気的欠陥を検出することである。
【0033】
従って、本発明によれば、配線不良検知用領域は一種類の配線パターンが繰り返し配置されているので、検査パターンのカバレッジ特性が高い。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、一定周期で繰り返し配置される配線パターン上の特定の配線に電気的欠陥が周期的に発生しても、ボルテージコントラスト法のアレイ検査を用いて電気的欠陥を効率的に検出することができる。すなわち、繰り返し配置される配線パターン上にシステマチックな欠陥が発生しても、高スループットを特徴とするアレイ検査が可能になり、検査効率の向上が図れる。
【0035】
また、本発明による試験構造体は、ただ一種類の検査パターンから構成されているので、検査パターンのカバレッジ特性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下,図面にしたがって、本発明の実施の形態を説明する。但し,本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0037】
(1)第1の実施の形態
本発明による試験構造体の一例について説明する。以下に説明する試験構造体は、ウエハ内に一定間隔で配置する専用チップの構成要素として形成しても良いし、スクライブ領域に形成しても良い。上記試験構造体を形成したウエハは、半導体製造ラインの不具合による配線不良を未然に防止するため、定期的に半導体製造ラインに流される。半導体製造ラインにおける配線工程の終了後、ボルテージコントラスト法によって、製造ラインで正常に配線形成が行われたか否か検査される。
【0038】
また、上記試験構造体はウエハ全体に形成しても良い。このようなウエハは、新しい製造工程を導入する際、製造パラメータの値を決定するのに有効である。そのような目的のためには、まず、導入しようとする製造工程のパラメータ値を種々変化させて、図1の試験構造体をウエハ全面に形成する。このようにして形成したウエハを、ボルテージコントラスト法で検査することによって、使用した製造パラメータの適否を知ることができる。
【0039】
(試験構造体の構成)
図1は、本実施の形態に係る試験構造体の平面図である。図2は、そのA-A´断面図である。
【0040】
本実施の形態の試験構造体は、半導体基板3上に形成された絶縁膜2と、一定の形状を有する配線不良検知用配線13をそのピッチ14を漸次増加させながら絶縁膜2の上に平行に形成した配線不良検知用配線群15を有する。更に、配線不良検知用配線群15は、配線不良検知用配線13に垂直な方向に一定周期で繰り返し配置され、配線不良検知領域40を構成する。
【0041】
尚、ここで「ピッチ」とは、平行に繰り返し配置された各配線の中心を長手方向に貫く中心線間の距離を意味するものとする。
【0042】
配線不良検知用配線13の一端は、半導体基板3に電気的に接続された配線(グランドコンタクト4)に接続される。グランドコンタクト4は、図2のようにビア5を介して半導体基板3に接続されている。
【0043】
一方、配線不良検知用配線13の他端は、延長されクランク状に折れ曲げられた後、等間隔に配置される。等間隔に配置された各配線端は、二次電子像観察用の配線(以下、検査用配線又はアレイ検査用配線16と呼ぶ)として使用される。
【0044】
上記アレイ検査用配線16を含む領域はアレイ検査のための対比区間12を構成し、対比区間12はアレイ検査用配線16に垂直な方向に一定周期で繰り返し配置されアレイ検査領域19を構成する。
【0045】
上記各配線13の材質、膜厚、線幅等は、検査したい製造ラインの工程によって決まる。一例を挙げれば、材質はCuであり、膜厚は200nmである。配線不良検知用配線13の間隔は、左端から順番に、100nm,200nm,400nm,800nm,800nmである。一方、アレイ検査用配線16の間隔は、460nm均一である。配線不良検知用配線13の長さ13aは約900μm、アレイ検査用配線16の長さ16aは約100μmである。
【0046】
尚、配線不良検知用配線13は、形状が同一である必要はなく、検査したい配線不良の内容によって適宜変更すれば良い。例えば、配線不良検知用配線13の幅が、配線毎に変化しても良い。この場合においても、アレイ検査用配線16の幅は一定であることが好ましい。
【0047】
また、配線不良検知用配線13のピッチ14を、漸増させることは必ずしも必要でない。漸減又はランダムに変化させても良い。更に、ピッチは一定として、配線不良検知用配線13の幅を変化させても良い。
【0048】
すなわち、配線不良検知用配線13の形状及びピッチは、検査したい配線不良の内容に応じて適宜変更して良い。
【0049】
(機 能)
次に、この様な構成が、システマチックな欠陥に対して何故有効であるのかを説明する。
【0050】
システマチックな欠陥を検知するため、発明者等は、最初、従来の試験構造体を改良した簡単な構造の試験構造体を考案した。しかし、その様な試験構造体を用いると、種々の問題が発生することに気付いた。
【0051】
発明者等が最初に考えた試験構造体の平面図を図3に示す。この試験構造体には、配線間のピッチを一定とした第1の配線不良検知用配線群17aを設け、続いてピッチを僅かに増加させた第2の配線不良検知用配線群17bを隣接して設け、以後ピッチを漸増させながら第3、第4の配線不良検知用配線群を形成する。各配線の一端は、グランドコンタクト4に接続される。すなわち、本試験構造体は、ピッチを漸増させながら従来の試験構造体を水平方向に並置したものである。
【0052】
図3の試験構造体では、各配線不良検知用配線群のグランドコンタクト4とは反対側の端に夫々ピッチの異なるアレイ検査領域19を個別に設定する。個別にアレイ検査領域19を設定するのは、配線不良検知用配線群毎に配線ピッチが異なるためである。すなわち、配線不良検知用配線群毎に、比較対照する区間の幅が異なっているためである。
【0053】
このような試験構造体でシステマチックな欠陥が発生した場合、同一の配線不良検知用配線群内だけでアレイ検査を実施しても、欠陥の発生を検知することはできない。
【0054】
例えば、第2の配線不良検知用配線群17bにシステマチックな欠陥が発生し、第1及び第3の配線不良検知用配線群17a,17cにはシステマチックな欠陥が発生しない場合、第2の配線不良検知用配線群17bのSEM像は全て暗くなる(第1及び第3の配線不良検知用配線群17a,17cのSEM像は全て明るくなる。)。従って、欠陥の発生している第2の配線不良検知用配線群17bの内部だけで、対比区間19のSEM像を比較しても差が生じない。
【0055】
しかし、欠陥の発生していない配線不良検知用配線群と欠陥の発生している配線不良検知用配線群の間でもアレイ検査を実施することによって、システマチックな欠陥の検知が可能になる。
【0056】
第1の配線不良検知用配線群17aの最右端に位置する対比区間のSEM像は明く、第2の配線不良検知用配線群17bの最左端に位置する対比区間ではSEM像が暗い。従って、第1の配線不良検知用配線群17aの最右端と第2の配線不良検知用配線群17bの最左端で対比区間のSEM像を比較すれば、システマチックな欠陥の検出が可能になる。
【0057】
しかし、この様な試験構造体には次の様な欠点がある。まず、既に述べた通り、各アレイ検査領域19で比較対照する区間21の幅が異なるので、アレイ検査領域ごとに異なった区間幅を検査装置に設定しなければならないという欠点がある。
【0058】
また、システマチックな欠陥の発生条件が、ウエハや専用チップ内での位置に依存する場合には別の問題が生じる。
【0059】
例えば、システマチックな欠陥が発生するか否かが、配線間隔等の配線構造や反応ガス流量等のプロセス条件だけに依存するのではなく、配線不良検知用配線群の専用チップ内での配置位置たとえば専用チップの端に配置されたか中央に配置されたかというようなことに依存している場合である。
【0060】
例えば、ピッチの狭い第1の配線不良検知用配線群17aがピッチの広い第2の配線不良検知用配線群17bの内側に配置された専用チップで、第1の配線不良検知用配線群17aにシステマチックな欠陥が生じるものとする。しかし、仮に、このような欠陥は専用チップの端近傍では発生しないものとすると、第1の配線不良検知用配線群17aを専用チップの左端に配置した専用チップを準備した場合にはシステマチックな欠陥の発生を検知することはできない。これは、ある特定のピッチを有する配線群による、専用チップ又はウエハ全体に対する被覆度(カバレジ)が、低いために引き起こされる問題である。
【0061】
この様な問題を解決した配線構造が、図1の配線不良検知用配線群15である。
【0062】
図1の配線不良検知用配線群15は、配線不良検知用配線群の内部で配線間のピッチが漸増している。すなわち、1種類の配線パターンで、種々の配線間隔を実現している。このため、図4のようにこの配線群を一定周期22で繰り返し配置するだけで、配線間隔に依存したシステマチックな欠陥の検出が可能になる。
【0063】
しかも図4の試験構造体では、配置される配線群はただ一種類である。従って、そのカバレッジは100%である。すなわち、カバレジの問題は解消される。
【0064】
しかし、この様な構造を採用すると、アレイ検査に特有な新たな問題が生じる。
【0065】
図4の試験構造体における繰り返しの単位は、配線不良検知用配線群15である。従って、アレイ検査の単位となる対比区間23は、配線不良検知用配線群15に含まれる全ての配線を含むことになる。
【0066】
一方、システマチックな欠陥8は、図5のように、配線不良検知用配線群15内部の特定のピッチに対応する配線で起こる。従って、アレイ検査領域19を電子線走査して得られる二次電子像すなわちSEM像は、図6のように、どの対比区間23を取っても同じものとなってしまう。このため図4の試験構造体に対してアレイ検査を実行すると、欠陥が存在しないとの誤った結論が得られてしまう。
【0067】
図1に示す本発明の試験構造体では、この様な問題が解決されている。
【0068】
図1の試験構造体は、図4の試験構造体において、コンタクトグランド4とは反対側で配線不良用配線13の端部が、延長されクランク状に折れ曲げられた後、等間隔に配置されている。
【0069】
図7は、図1に示す試験構造体にシステマチックな欠陥8が発生した場合のSEM像である。配線間隔が等間隔となったアレイ検査領域19は、一本の配線だけを含む領域26,27,28,29,30が、繰り返しの単位になっている。この区間をアレイ検査におけるSEM像の対比の単位すなわち対比区間とすれば、システマチックな欠陥の発生を検出することができる。
【0070】
図8は、アレイ検査に用いられるSEM像すなわちアレイ検査領域19のSEM像である。第1の対比区間26と第2の対比区間27ではSEM像は一致するが、第2の対比区間27と第3の対比区間28ではSEMが相違する。同様に、第3の対比区間28と第4の対比区間29ではSEM像に相違が生じ、第4の対比区間29と第5の対比区間30ではSEM像は一致する。この結果から、第3の対比区間28に端部が延長されている配線不良検知用配線に欠陥が存在することが分かる。
【0071】
図1の試験構造体でシステマチックな欠陥の検出が可能になったのは、内蔵する配線間のピッチが相互に異なっている配線不良検知用配線群15が繰返し配置される周期と、アレイ検査領域19内に延長された配線が繰返し配置される周期が異なっているからである。
【0072】
図1では対比区間に含まれる検査用配線の本数は1本であるが、アレイ検査が有効に機能するための要件として、対比区間に含まれる配線の数が1本であるということは必須ではない。例えば、配線不良検知用配線群15に含まれる配線の数が10本であった場合、対比区間に含まれる配線の本数は5本(又は15本)であっても良い。
【0073】
対比区間に含まれる配線の本数は、その数が少ないほど対比検査の感度が高くなる。一方、対比区間に含まれる配線の本数が多くなれば、それだけ検査効率が向上する。従って、対比区間に含ませる配線の本数は、配線不良の存否を確認すべき条件を考慮して適宜設計すればよい。
【0074】
例えば、検査感度を重視する合には配線の本数を1本とし、検査効率を重視する場合には、上述した例のように配線不良検知用配線群15に含まれる配線の数の0.5倍又は1.5倍が好ましい(ただし、配線不良検知用配線群15に含まれる配線は、4以上の偶数とする。)。
【0075】
ただし、対比区間に含まれる配線の本数が、配線不良検知用配線群15に含まれる配線の本数の整数倍(×1、×2、×3・・・)であってはならない。例えば、図1の試験構造体では、配線不良検知用配線群15に含まれる配線の本数は5本であるので、対比区間に含まれる検査用配線の本数は、5本、10本、15本・・・であってはならない。この様な場合には、システマチックな欠陥に対して各対比区間内のSEM像が同一なものとなってしまうからである。
【0076】
尚、対比区間内の配線のピッチが、一定である必要はない。ピッチが一定でなくても、同一構造の対比区間が一定周期的で繰り返し配置されていれば、SEM像の対比は可能だからである。
【0077】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、システマチックに発生する欠陥を効率的に検出することができる。また、検査パターン(欠陥検出の単位となる配線群)のカバレッジ特性が向上する。
【0078】
(2)第2の実施の形態
次に、本発明による試験構造体の他の例について説明する。
【0079】
図9は、第2の実施の形態に係る試験構造体の平面図である。図10は、その断面図である。
【0080】
本試験構造体は、ビアチェーンからなる配線不良検知用配線13をそのピッチを漸次増加させながら平行に形成した配線不良検知用配線群15を有する。更に、配線不良検知用配線群15が、配線不良検知用配線13に垂直な方向に一定周期で繰り返し配置された配線不良検知領域40を有する。
【0081】
配線不良検知用配線13は、第1〜第4の層間絶縁膜2a,2b,2c,2dの中に埋め込まれた第1及び第2の金属層31,32とこれらを接続するビア5によって構成される。
【0082】
配線不良検知用配線群15を構成する各配線不良検知用配線13の一端は、半導体基板3に電気的に接続された配線(グランドコンタクト4)に接続される。グランドコンタクト4は、図10のようにグランドコンタクト用ビア5a,5bを介して半導体基板3に接続されている。
【0083】
一方、各配線不良検知用配線13の他端は、延長されクランク状に折れ曲げられた後、等間隔に配置される。等間隔に配置された各配線端は、ボルテージコントラスト測定用の配線すなわちアレイ検査用配線16として使用される。
【0084】
配線13の構造は、試験したい製造工程によって決まる。一例を挙げれば、第1及び第2の金属層31,32の材質はCuであり、膜厚は200nmである。また、ビア5は、Cu(材質)からできている。第1〜第4の層間絶縁膜2a,2b,2c,2dの膜厚は夫々200nmである。配線不良検知用配線の間隔は、左端から順番に、100nm,200nm,400nm,800nm,800nm,100nm,200nm・・・である。ビアホールの平面形状は一辺100nmの正方形であり、ビア間隔は200nmある。一方、アレイ検査用配線16の間隔は、460nm一定である。配線不良検知用配線の長さは約900μm、アレイ検査用配線の長さは約100μmである。
【0085】
この様な試験構造体を用いると多層配線の不良を検知できる。例えば、ビアホールの形成不良による断線を発見することができる。
【0086】
(3)第3の実施の形態
次に、本発明の一実施形態による配線不良の検知方法について説明する。図11は、本検知方法に用いる検査装置の概略図である。図12は、この検査装置で用いる検査プログラムのフローチャートである。
【0087】
本検査方法の実施の前段階として、まず、本検査方法の対象となる検査用試料を、配線工程の良否を判定したい半導体素子製造ラインで製造する。
【0088】
検査試料としては、図1または図9の試験構造体からなる専用チップを、同一製造ラインで生産中の集積回路と一緒に、半導体ウエハ上に縦方向および一定方向に一定間隔で配置したものを使用する。また、図1または図9の試験構造体を、上記半導体ウエハのスクライブ領域に配置してもよい。
【0089】
また、上記専用チップを、半導体ウエハ全面に配置した専用ウエハであっても良い。このような専用ウエハは、新しい半導体プロセスの導入または開発においてプロセスパラメータの決定に有効に活用できる。
【0090】
本実施形態では、このようにして準備したウエハを検査試料として、ボルテージコントラスト法によって配線の良否を検査する。
【0091】
ボルテージコントラスト法は、絶縁膜上に配置した複数の導電体(例えば、配線)に、電子線を照射して帯電させ導電体の電気的欠陥を検出するものである。電子線に代えて、集束イオンビームや光線(光子からなる粒子線)等の二次電子生成可能な粒子線を用いることも可能である。粒子線照射による帯電量は、上記導電体の電気的環境(例えば、配線が途中で断線し、半導体基板から電気的に分離されている等)によって変化する。この帯電量の相違に応じて各導電体には、異なった電位が発生する。この電位の相違は、上記導電体から発生する二次電子の強度に影響を与える。すなわち、高電位に帯電した導電体ほど電子を強く引き付けるので、二次電子の発生量が減少する。従って、上記導電体の二次電子像を撮影することによって、上記導電体の置かれた電気的環境を検知することができる。
【0092】
ボルテージコントラスト法では、通常二次電子像を解析に用いる。二次電子像とは、粒子線照射によって発生した二次電子の強度分布を画像化したものである。しかし、ボルテージコントラスト法には、平面的な二次元像が必須ではなく、粒子線を直線状に走査して得られる一次元像に基づいても解析可能である。
【0093】
上記二次電子像の解析方法には複数の方法があるが、本発明に係る試験構造体はアレイ検査に特に適している。本発明に係る試験構造体は、図1に示すとおり上記導電体を延長して形成した端部を所定の本数含む区間を、所定の方向に一定の周期で繰返し配置したアレイ検査領域19を有している。
【0094】
本実施形態のアレイ検査では、アレイ検査領域19の二次電子像を上記区間を単位として分割する。次に、各区間に対応する二次電子像の強度を隣の区間と対比して、両区間の二次電子像強度の相違を検出する。この結果に基づいて、上記導電体の置かれた電気的環境(例えば、電気的欠陥(断線等の有無)を検知する。
【0095】
次に、図11のボルテージコントラスト検査装置および図12の検査プログラムについて説明する。
【0096】
本ボルテージコントラスト検査装置は、電子線を発生させるための電子銃51、この電子線を集束して平行ビームにするコンデンサレンズ52、集束された電子線を偏向するための偏向コイル53、偏向された電子線を試料表面で集束させる対物レンズ54、試料55を載せるための試料ステージ56、試料55から発生した二次電子を検出する二次電子検出器57、電子銃51等を制御する電子ビーム制御装置58、および試料ステージの移動を制御するステージ制御部59からなる走査型電子顕微鏡本体(SEM本体60)を有する。
【0097】
本ボルテージコントラスト検査装置は、更に、SEM本体60を制御して二次電子像を撮影する本体制御部61、SEM本体60の制御プログラム64やアレイ検査のためのプログラム65を記録する記録装置66、および撮影された二次電子像の画像情報(画像ファイル62)を記録する記録装置63を有する。
【0098】
試験構造体に対する二次電子像の撮影からアレイ検査までの一連の工程は、本体制御部61によって制御される。図12は、この制御のためのプログラムのフローチャートである。このフローチャートに従って、本検査方法の手順を説明する。
【0099】
本検査装置のオペレータは、上記配線不良検出用ウエハすなわち試料55をSEM本体60の試料ステージ56に設置し、アレイ検査領域の左端(または右端)がステージの中央に位置するように試料ステージ56の位置を調整する。尚、SEM本体60の制御プログラム64は、これらの工程以前に記録装置66から本体制御部61に読み込ませておく。
【0100】
次に、オペレータは、本体制御部61に、記録装置66に格納されたアレイ検査プログラム65を読み込ませる。その後、検査プログラムを起動させ、アレイ検査用のパラメータ(対比区間の縦及び横の寸法、対比区間の繰返し回数、各試験構造体のウエハ内における位置、隣接対比区間の二次電子像を対比するためのしき値等)を入力する(S1)。
【0101】
上記パラメータが入力されると本体制御部61は、入力されたパラメータに基づいて、SEM本体60を動作させて各試験構造体のアレイ検査領域19の二次電子像を撮影し(S2)、得られた二次電子像を電子化し画像ファイルとして記録装置63に記録する(S2)。
【0102】
二次電子像は、電子線を試料表面を面状に走査し、その時発生した二次電子線強度を測定することによって得られる。電子線の面状走査は、電子銃51で発生させた電子線を、偏向コイル53で斜め方向に繰返し走査するとともに、試料ステージを一方向に走査することによって得られる。
【0103】
電子線の照射によって生じた二次電子は、二次電子検出器57によって検出され、その強度が記録される。本体制御部61は、記録された二次電子強度と電子線の照射位置から二次電子像を構築する。
【0104】
全ての試験構造体の二次電子像撮影が終了すると、本体制御部61は、記録した画像ファイルを記録装置62から読み出す(S3)。
【0105】
次に、本体制御部61は、読み出した画像ファイルを上記パラメータに基づいて対比区間ごとに分割する(S4)。この後、隣接する対比区間の間でその二次電子像を対比し、この対比結果が入力済みの「しきい値」を超えるか否かを比較(S5)する。
【0106】
対比結果がしきい値以下であれば正常との結果を、しきい値以上であれば異常との結果を、夫々の対比区間の組合せとともに記録する(S6)。以上のステップ(S5〜S6)を、第4のスッテプ(S4)で分割した対比区間全てについて繰り返す(S7)。
【0107】
全ての対比区間に対して上記処理が終了すると、本体制御部61は、表示画面等の出力部に検査結果(異常と判断された対比区間の組合せとその位置)を出力して検査プログラムが終了する(S8)。
【0108】
次に、上記工程に従って得られる二次電子像およびその電子像からどのようにして配線等の良否を判断するのか説明する。
【0109】
まず、図13のように欠陥8の存在する試験構造体に、電子線を照射した場合について説明する。配線不良検知用配線13は、グランドコンタクト4に接続されている。配線不良検知用配線13に欠陥がない場合には、電子線照射によって二電子が放出されても、配線不良検知用配線13には半導体基板3から電子が補給されるので配線不良検知用配線13は帯電せず電位は変化しない。すなわち、配線不良検知用配線13の電位は、半導体基板3が接触しているSEMの試料ステージと同じ電位に保たれる。従って、二次電子の発生量は、電子線の照射によって影響を受けない。このため、配線不良検知用配線13の二次電子像は明るいままである。
【0110】
一方、欠陥8によって断線している配線35に電子線が照射され二次電子が発生すると、欠陥8より先には半導体基板3から電子が供給されない。このため、欠陥8より先の部分では、配線35はチャージアップし電位が高くなる。従って、二次電子の発生量は、欠陥8のない場合に比べ少なくなり二次電子像は暗くなる。
【0111】
従って、図13の試験構造体全体に電子線を照射したとすると、図7のような二次電子像が得られる。
【0112】
図13の検査プログラムのステップS3では、図7に示すアレイ検査領域19に対する二次電子像のみを撮影する。得られる二次電子像は、欠陥8によって断線している配線不良検知配線を延長した配線35では暗く、欠陥8の存在しない配線不良検知配線を延長した配線13では明るくなる。
【0113】
ステップS4では、得られた二次電子像を入力された対比区間の幅に基づいて図8のように分割し、ステップS5で隣接した対比区間26〜30同士の二次電子像の強度を対比し、この対比結果が入力済みの「しきい値」を超えるか否かを判定する。対比区間26と対比区間27の組合せについては「しき値」以下と判定され、対比区間27と対比区間28の組合せについては「しき値」以上と判断される。同様に、対比区間28と対比区間29の組合せについては「しき値」以上、対比区間29と対比区間30の組合せについては「しき値」以下と判定される。これらの結果を、夫々の対比区間組合せとともに記録する。
【0114】
対比区間としては、図13に示したようにアレイ検査用配線を1本ずつ含むようなものでなくても良い。例えば、2本ずつ含むものであっても良いし、4本ずつ含むものであっても良い。ただし、配線不良検知配線群に含まれる配線数と同数(5本)、またはその整数倍(10本、15本・・・)であってはならない。このような場合には、対比区間の繰り返し周期が、システマチックな欠陥の発生周期(または、その整数倍)と一致してしまうからである。
【0115】
図14は、本発明に係る試験構造体の現実のSEM像の一例である。この写真は、アレイ検査領域19の近傍を撮影したものである。この例では、一つの配線不良検知用配線群内15に2箇所断線した配線36が存在する。
【0116】
(4)第4の実施の形態
以上の実施の形態によれば、システマチックに発生する欠陥の検出が効率的に行えるとともに検査パターンのカバレッジ特性が向上する。しかし、半導体の製造ラインにおける配線不良の評価では、塵等による偶発的な欠陥の発生だけが評価の対象になることもある。
【0117】
この様な場合には、図1のような複雑な試験構造体を用いなくても、図4のような試験構造体によって、検査パターンのカバレッジ特性を向上させた配線不良の検査が可能になる。
【0118】
この試験構造体では、ピッチが漸増する配線群15が規則的に繰り返されている。ピッチが漸増しているので、配線群15は、異なったサイズの欠陥に対して有効である。従って、図4の試験構造体は一種類の配線パターンのみによって構成されており、検査パターンのカバレッジは100%である。
【0119】
この試験構造体を用いる配線不良の検査は、第3の実施の形態と同様にボルテージコントラスト法とアレイ検査法を用いて行われる、ただし、対比区間23に含まれる配線の本数は図4のように、配線群15の本数と同数(又は、その整数倍)とする。この様にしても、塵による欠陥等に基づく偶発的な配線不良は検出可能である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、半導体製造産業において利用可能である。また、半導体製造業を営む者からの依頼に応じて、半導体装置の検査を行う試験検査業においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】第1の実施の形態による配線不良検出用の試験構造体の平面図
【図2】第1の実施の形態による配線不良検出用の試験構造体の断面図
【図3】システマチックに発生する欠陥を検出するために、本発明者が最初に考案した第1の試験構造体の平面図
【図4】システマチックに発生する欠陥を検出するために、本発明者が最初に考案した第2の試験構造体の平面図
【図5】図4の試験構造体で、システマチックな欠陥が発生した場合を示す模式図
【図6】図5に示す試験構造体のアレイ検査領域のSEM像
【図7】図1に示す試験構造体にシステマチックな欠陥8が発生した場合のSEM像
【図8】アレイ検査に用いられるSEM像(アレイ検査領域19のSEM像)
【図9】第2の実施の形態による配線不良検出用の試験構造体の平面図
【図10】第2の実施の形態による配線不良検出用の試験構造体の断面図
【図11】第3の実施の形態で用いられる検査装置の概略図
【図12】第3の実施の形態で用いられる検査プログラムのフローチャート
【図13】第3の実施の形態で用いられる試験構造体の平面図
【図14】本発明に係る試験構造体のSEM像(写真)
【図15】従来のボルテージコントラスト法用の試験構造体の平面図
【図16】従来のボルテージコントラスト法用の試験構造体の断面図
【図17】従来の試験構造体に欠陥が発生した場合の概念図
【図18】従来の試験構造体に対してアレイ検査を実施した場合の模式図
【符号の説明】
【0122】
1 配線
2 絶縁膜
3 半導体基板
8 欠陥
13 配線不良検知用配線
15 配線不良検知用配線群
16 アレイ検査用配線
19 アレイ検査領域
23 対比区間
40 配線不良検知領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置された複数の配線とからなる配線不良検出用の試験構造体において、
前記絶縁膜上に一定方向に配置された複数の配線不良検知用配線からなる配線不良検知用配線群を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなる配線不良検知領域と、
前記配線不良検知用配線を延長して形成された検査用配線からなり、前記配線不良検知用配線群に含まれる前記配線不良検知用配線の本数の整数倍(0を除く)に一致しない数の前記検査用配線を含む対比区間を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなるアレイ検査領域とからなることを特徴とする配線不良検出用の試験構造体。
【請求項2】
前記配線不良検知用配線間のピッチが相互に異なように形成されたことを特徴とする請求項1記載の配線不良検出用の試験構造体。
【請求項3】
絶縁膜上に配置した複数の導電体に二次電子生成可能な粒子線を照射して帯電させ、帯電量に応じて生じた電位の相違に起因する、前記複数の導電体に対する二次電子像の強度の相違を利用して、前記導電体の電気的欠陥を検出する配線不良の検出方法において、
請求項1又は請求項2に記載の試験構造体を試験対象として、前記アレイ検査領域の二次電子像を撮影する第1の工程と
前記二次電子像の強度を隣接した前記対比区間の間で対比して、前記配線不良検知用配線に生じた電気的欠陥を検出する第2の工程とを有することを特徴とする配線不良の検出方法。
【請求項4】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置された複数の配線とからなる配線不良検出用の試験構造体において、
前記絶縁膜上に一定方向に配置された複数の配線不良検知用配線からなり、前記配線不良検知用配線間のピッチが相互に異なように形成された配線不良検知用配線群を、所定の方向に一定の周期で繰り返し配置してなる配線不良検出用の試験構造体。
【請求項5】
絶縁膜上に配置した複数の導電体に二次電子生成可能な粒子線を照射して帯電させ、帯電量に応じて生じた電位の相違に起因する、前記複数の導電体に対する二次電子像の強度の相違を利用して、前記導電体の電気的欠陥を検出する配線不良の検出方法において、
請求項4に記載の試験構造体を試験対象として、前記複数の配線不良検知用配線の端部の二次電子像を撮影する第1の工程と、
前記二次電子像を、前記配線不良検知用配線群を構成する配線不良検知用配線の本数と同数又は整数倍の配線を有する複数の対比区間に分割する第2の工程と、
前記二次電子像の強度を、隣接した前記対比区間の間で対比して、前記配線不良検知用配線に生じた電気的欠陥を検出する第3の工程とを有することを特徴とする配線不良の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−28279(P2008−28279A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201524(P2006−201524)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】