説明

配線基板およびその実装構造体

【課題】
本発明は、電子部品との接続信頼性を向上させる要求に応える配線基板およびその実装構造体を提供するものである。
【解決手段】
本発明の一形態にかかる配線基板3は、基体11と、該基体11の上面側のみに積層された複数の絶縁層14と、基体11の下面に部分的に形成された第1接続パッド7aと、基体11と該基体11に隣接する絶縁層14との間に部分的に形成された第1導電層10aと、隣接した絶縁層14同士の間に部分的に形成された第2導電層10bと、最上層に位置する絶縁層14の上面に部分的に形成された第2接続パッド7bと、を備え、基体11および絶縁層14の平面方向の熱膨張率は、第1接続パッド7a、第1導電層10a、第2導電層10bおよび第2接続パッド7bの平面方向の熱膨張率よりも小さく、絶縁層14の平面方向の熱膨張率は、基体11の平面方向の熱膨張率よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器(たとえば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ機器及びその周辺機器)等に使用される配線基板およびその実装構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に使用される電子装置としては、配線基板上に電子部品を実装した実装構造体が使用されている。
【0003】
特許文献1には、コア基板と、該コア基板の一方の主面上にのみ形成され、複数の絶縁体層及び配線層を有するビルドアップ層と、を備えた片面積層配線基板が記載されている。
【0004】
ところで、片面積層配線基板の平面方向の熱膨張率が大きいと、片面積層配線基板に熱が印加された場合に、片面積層配線基板及び電子部品の平面方向の熱膨張量の差が大きくなるため、片面積層配線基板と電子部品との接続部に応力が印加されやすくなる。
【0005】
また、コア基板及びビルドアップ層の熱膨張率が異なると、片面積層配線基板に熱が印加された場合に、片面積層配線基板に反りが生じやすくなり、片面積層配線基板と電子部品との接続部に応力が印加されやすくなる。
【0006】
その結果、片面積層配線基板と電子部品との接続信頼性が低下しやすくなり、ひいては実装構造体の電気的信頼性が低下しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−341077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電子部品との接続信頼性を向上させる要求に応える配線基板およびその実装構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態にかかる配線基板は、基体と、該基体の上面側のみに積層された複数の絶縁層と、前記基体の下面に部分的に形成された第1接続パッドと、前記基体と該基体に隣接する前記絶縁層との間に部分的に形成された第1導電層と、隣接した前記絶縁層同士の間に部分的に形成された第2導電層と、最上層に位置する前記絶縁層の上面に部分的に形成された第2接続パッドと、を備え、前記基体および前記絶縁層の平面方向の熱膨張率は、前記第1接続パッド、前記第1導電層、前記第2導電層および前記第2接続パッドの平面方向の熱膨張率よりも小さく、前記絶縁層の平面方向の熱膨張率は、前記基体の平面方向の熱膨張率よりも小さい。
【0010】
本発明の一形態にかかる実装構造体は、上記配線基板と、該配線基板上に搭載され、前記第2接続パッドに電気的に接続された電子部品とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態にかかる配線基板及びその実装構造体によれば、基体および絶縁層の平面方向の熱膨張率が、第1接続パッド、第1導電層、第2導電層および第2接続パッドの平面方向の熱膨張率よりも小さいことから、配線基板の平面方向の熱膨張率を低減することができ、且つ、絶縁層の平面方向の熱膨張率が、基体の平面方向の熱膨張率よりも小さいことから、配線基板内において、絶縁層側の領域及び基体側の領域における平面方向の熱膨張率の差を低減し、配線基板の反りを低減できる。それ故、電子部品との接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る実装構造体の厚み方向に沿った断面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線にて平面方向に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のII−II線にて平面方向に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2のIII−III線にて平面方向に沿った断面図である。
【図5】図5は、図2のIV−IV線にて平面方向に沿った断面図である。
【図6】図6は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。
【図7】図7は、図1に示す実装構造体の製造工程を説明する厚み方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板を含む実装構造体を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1乃至5に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置又はその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2と、該電子部品2がフリップチップ実装された配線基板3と、電子部品2と配線基板3との間に介されたバンプ4と、配線基板3と外部回路であるマザーボードとを接続するための半田ボール5と、を含んでいる。
【0015】
電子部品2は、その電極がバンプ4に電気的に接続されており、例えばIC又はLSI等の半導体素子であり、母材が、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム又は炭化珪素等の半導体材料により形成されている。この電子部品2は、厚みが例えば0.1mm以上1mm以下に設定されており、平面方向(XY平面方向)及び厚み方向(Z方向)への熱膨張率が例えば3ppm/℃以上5ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば50GPa以上200GPa以下に設定されている。
【0016】
なお、電子部品2の厚みは、電子部品2を厚み方向に沿って切断し、その研摩面若しくは破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、厚み方向に沿った長さの平均値を算出することにより測定される。また、電子部品2の熱膨張率は、市販のTMA装置を用いてJISK7197‐1991に準じた測定方法により測定される。また、電子部品2のヤング率は、MTSシステムズ社製Nano Indentor XP/DCMを用いて測定される。以下、各部材の厚み、熱膨張率及びヤング率の測定方法は、上述した電子部品2における測定方法と同様に行う。
【0017】
バンプ4及び半田ボール5は、例えば鉛、錫、銀、金、銅、亜鉛、ビスマス、インジウム又はアルミニウム等を含む半田等の導電材料により構成されており、各方向の熱膨張率が例えば10ppm/℃以上40ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば10GPa以上150GPa以下に設定されている。
【0018】
配線基板3は、コア基板6と、コア基板6の下面に部分的に形成された第1接続パッド7aと、コア基板6の下面に部分的に形成され、第1接続パッド7aから離間した第1ダミー導体8aと、該コア基板6の上面のみに形成されたビルドアップ部9と、コア基板6とビルドアップ部9との間に部分的に形成された第1導電層10aと、ビルドアップ部9の上面に部分的に形成された第2接続パッド7bと、ビルドアップ部9の上面に部分的に形成され、第2接続パッド7bから離間した第2ダミー導体8bと、を備えている。
【0019】
このように配線基板3は、片面のみにビルドアップ部9を有する片面積層配線基板であるため、両面積層配線基板と比較して、絶縁層14の層数を低減することができ、配線基板3を薄型化することができる。また、片面積層配線基板は、両面積層配線基板と比較して、外部回路側の絶縁層を電子部品側に積層することができるため、基体11と電子部品2との間において応力緩和層として機能する絶縁層14の層数を増やすことによって、電子部品2との接続信頼性を向上させることができる。
【0020】
この配線基板3は、厚みが例えば0.2mm以上1.2mmに設定され、平面方向の熱膨張率が例えば8ppm/℃以上13ppm/℃以下に設定され、厚み方向の熱膨張率が例えば40ppm/℃以上60ppm/℃以下に設定されている。
【0021】
コア基板6は、配線基板3の剛性を高めるものであり、平板状の基体11と、基体11を厚み方向に貫通する円筒状のスルーホール導体12と、スルーホール導体12の内部に形成された柱状の絶縁体13と、を含んでいる。
【0022】
基体11は、コア基板5の主要部をなして剛性を高めるものであり、例えば樹脂材料と該樹脂材料に被覆された基材と樹脂材料に含有された無機絶縁フィラーとを含んでいる。この基体11は、厚みが例えば100μm以上400μm以下に設定され、平面方向の熱膨張率が例えば7ppm/℃以上11ppm/℃以下に設定され、厚み方向の熱膨張率が例えば30ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば15GPa以上45GPa以下に設定されている。
【0023】
基体11に含まれる樹脂材料は、基体11の主要部をなすものであり、例えばエポキシ樹脂、シアネート樹脂又は液晶ポリエステル樹脂等の樹脂材料を使用することができる。この樹脂材料は、各方向の熱膨張率が例えば30ppm/℃以上60ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば5GPa以上15GPa以下に設定されている。
【0024】
樹脂材料に被覆された基材は、基体11の剛性を高めつつ平面方向の熱膨張率を低減するものであり、例えば繊維により構成された織布若しくは不織布、又は繊維を一方向に配列したものを使用することができ、この繊維としては、例えばガラス繊維、樹脂繊維、炭素繊維又は金属繊維等を使用することができる。この基材は、平面方向の熱膨張率が例えば2ppm/℃以上6ppm/℃以下に設定され、厚み方向の熱膨張率が例えば2ppm/℃以上6ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば70GPa以上85GPa以下に設定されている。
【0025】
樹脂材料内に含有された無機絶縁フィラーは、基体11の熱膨張率を低減するとともに、基体11の剛性を高めるものであり、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は炭酸カルシウム等の無機絶縁材料により形成されたものを用いることができ、粒径が例えば0.5μm以上5.0μm以下に設定され、熱膨張率が例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下に設定され、基体11の樹脂材料内における含有量が例えば3体積%以上60体積%以下に設定されている。
【0026】
なお、無機絶縁フィラーの粒径は、基体11の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより測定される。また、基体11の樹脂材料における無機絶縁フィラーの含有量(体積%)は、基体11の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、基体11の樹脂材料に対する無機絶縁フィラーの面積比率(面積%)を10箇所の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
【0027】
基体11を厚み方向に貫通するスルーホール導体12は、第1接続パッド7aと第1導電層10aとを電気的に接続するものであり、例えば銅等の導電材料により形成されたものを使用することができる。
【0028】
スルーホール導体12の内部に形成された絶縁体13は、第1接続パッド7a及び第1導電層10aを支持するものであり、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂又はビスマレイミドトリアジン樹脂等の樹脂材料により形成されたものを使用することができる。
【0029】
第1接続パッド7aは、基体11の下面に部分的に複数形成され、スルーホール導体12及び半田ボール5を電気的に接続するものであり、平面方向の熱膨張率が基体11よりも大きい。このような第1接続パッド7aとしては、例えば例えば銅等の導電材料により形成されたものを使用することができる。
【0030】
この第1接続パッド7aは、平面視にて例えば直径が50μm以上150μm以下の円形状であり、厚みが4μm以上15μm以下に設定され、各方向の熱膨張率が例えば16ppm/℃以上19ppm/℃以下に設定され、平面方向の熱膨張率が基体11の1.5倍以上3.0倍以下に設定され、ヤング率が60GPa以上130GPa以下に設定され、ヤング率が基体11の1.5倍以上8.0倍以下に設定されている。
【0031】
また、複数の第1接続パッド7aは、例えば格子状に配列されている。すなわち、第1接続パッド7aは、格子を構成する各線分が交差する位置に配されている。該格子は、各線分が直交していることが望ましく、なかでも、第1接続パッド7a同士の距離が同一に設定された正方格子状であることが望ましい。なお、複数の第1接続パッド7aは、千鳥状に配列されていても構わない。
【0032】
第1ダミー導体8aは、基体11の下面に部分的に形成され、第1接続パッド7aと離間している。この第1ダミー導体8aは、第1接続パッド7aと同一の導電材料により形成されたものを使用することができ、厚み、各方向の熱膨張率及びヤング率は、第1接続パッド7aと同様に設定されている。
【0033】
一方、コア基板6の上面には、上述した如く、ビルドアップ部9が形成されており、多層配線部として機能する。このビルドアップ部9は、複数積層された絶縁層14と、隣接する絶縁層14同士の間に形成された第2導電層10bと、絶縁層14を厚み方向に貫通し、第2導電層10bに電気的に接続されたビア導体15と、を含んでいる。
【0034】
絶縁層14は、第2導電層10bを支持するとともに、第2導電層10b同士の短絡を抑制するものであり、第1接続パッド7a及び基体11よりも平面方向の熱膨張率が小さい。このような低熱膨張の絶縁層14としては、例えば、フィルム状で平面方向にて低熱膨張の第1樹脂層と、該第1樹脂層に接着された低ヤング率の第2樹脂層と、により構成されたものを用いることができる。
【0035】
この絶縁層14は、厚みが例えば8μm以上12μm以下に設定され、平面方向の熱膨張率が例えば−2ppm/℃以上2ppm/℃以下に設定され、平面方向の熱膨張率が基体11の例えば−0.2倍以上0.3倍以下に設定され、平面方向の熱膨張率が第1接続パッド7aの例えば−0.1倍以上0.2倍以下に設定され、厚み方向の熱膨張率が例えば200ppm/℃以上400ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば5GPa以上15GPa以下に設定され、ヤング率が基体11の例えば0.1倍以上0.7倍以下に設定され、ヤング率が第1接続パッド7aの例えば0.06倍以上0.3倍以下に設定されている。なお、絶縁層14のヤング率は、基体11と同一でも構わない。
【0036】
第1樹脂層は、絶縁層14の主要部をなして絶縁層14の剛性を高めつつ平面方向の熱膨張率を小さくするものであり、第2樹脂層と比較して、剛性が高く(ヤング率が大きく)、且つ、平面方向の熱膨張率が小さい。このような第1樹脂層としては、樹脂分子の分子鎖の長手方向が平面方向に平行となるように樹脂分子が配されたフィルム状のものであって、平面方向の熱膨張率が厚み方向の熱膨張率よりも小さいものを用いることができ、例えばポリイミド樹脂等の樹脂材料により形成されたものを用いることができる。また、第1樹脂層は、厚みが例えば5μm以上15μm以下に設定され、平面方向の熱膨張率が例えば−2ppm/℃以上2ppm/℃以下に設定され、厚み方向の熱膨張率が例えば100ppm/℃以上150ppm/℃以下に設定され、ヤング率が例えば4GPa以上12GPa以下に設定されている。
【0037】
第2樹脂層は、第1樹脂層同士を接着するものであり、第1樹脂層と比較して、ヤング率が小さく、他部材との接着強度が高い。また、第2樹脂層は、第1樹脂層よりも平面方向の熱膨張率が大きいが、第1樹脂層よりもヤング率が極めて小さいことから、絶縁層14にて熱膨張への寄与がほとんどなく、絶縁層14の平面方向の熱膨張率の増加を抑制できる。このような第2樹脂層としては、樹脂分子の分子鎖の長手方向が互いに異なるようにランダムに樹脂分子が配されたものであって、各方向の熱膨張率が同一のものを用いることができ、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料により形成されたものを用いることができる。また、第2樹脂層は、厚みが例えば3μm以上7μm以下に設定され、各方向の熱膨張率が例えば100ppm/℃以上400ppm/℃以下に設定され、平面方向の熱膨張率が第1樹脂層の例えば−0.005倍以上0.02倍以下に設定され、ヤング率が例えば0.001GPa以上0.1GPa以下に設定され、ヤング率が第1樹脂層の0.00001倍以上0.001倍以下に設定されている。
【0038】
第2導電層10bは、各絶縁層14上に配され、厚み方向に互いに離間している。この第2導電層10bは、上述した第1接続パッド7aと第1接続パッド7aと同一の導電材料により形成されたものを使用することができ、厚み、各方向の熱膨張率及びヤング率は、第1接続パッド7aと同様に設定されている。
【0039】
第2導電層10bに電気的に接続されるビア導体15は、厚み方向に互いに離間した第2導電層10b同士を相互に接続するものであり、例えば平面方向に沿った断面の面積がコア基板6に向って小さくなる柱状(テーパー状)に形成されており、例えば銅等の導電材料により形成されたものを使用することができる。
【0040】
一方、第1導電層10aは、基体11と絶縁層14との間に部分的に形成されており、スルーホール導体12及びビア導体15を電気的に接続するものである。
【0041】
また、第2接続パッド7bは、最上層の絶縁層14の上面に部分的に複数形成されており、ビア導体15及びバンプ4を電気的に接続するものであり、平面形状が第1接続パッド7aよりも面積の小さい円形状である。また、複数の第2接続パッド7bは、第1接続パッド7aと同様に、例えば格子状に配列されている。該格子は、該2方向が直交していることが望ましく、なかでも、正方格子状であることが望ましい。なお、複数の第2接続パッド7bは、千鳥状に配列されていても構わない。
【0042】
また、第2ダミー導体8bは、最上層の絶縁層14の上面に部分的に形成されており、第2接続パッド7bから離間している。
【0043】
この第1導電層10a、第2接続パッド7b及び第2ダミー導体8bは、上述した第1接続パッド7aと第1接続パッド7aと同一の導電材料により形成されたものを使用することができ、厚み、各方向の熱膨張率及びヤング率は、第1接続パッド7aと同様に設定されている。
【0044】
上述した第1接続パッド7a、スルーホール導体12、第1導電層10a、ビア導体15、第2導電層10b及び第2接続パッド7bは、互いに電気的に接続されており、複数組の配線部を構成している。この配線部は、信号用配線として機能する第1配線部L1と、接地用配線又は電力供給用配線として機能する第2配線部L2と、を有する。また、この配線部において、第1接続パッド7aは、外部回路との接続部材として機能し、第2接続パッド7bは、電子部品2との接続部材として機能する。なお、第1ダミー導体8a及び第2ダミー導体8bは、この配線部とは電気的に接続されておらず、配線としての機能を有していない。
【0045】
また、後述する各部材の体積は、同一層内に配された同一部材の体積の合計値とする。例えば、第1接続パッド7aの体積は、基体11の下面に配された全ての第1接続パッド7aの体積の合計値とする。この体積は、厚みと平面視における面積との積により算出される。
【0046】
ここで、本実施形態の配線基板4において、基体11及び絶縁層14の平面方向の熱膨張率は、第1接続パッド7a、第1導電層10a、第2導電層10b及び第2接続パッド7bの平面方向の熱膨張率よりも小さい。このように平面方向の熱膨張率が小さい基体11及び絶縁層14を用いることによって配線基板4の平面方向の熱膨張率を低減することができるため、配線基板4と電子部品2との平面方向の熱膨張率の差を低減することができ、ひいては、配線基板4と電子部品2との接続信頼性を高めることができる。
【0047】
ところで、このような基体11及び絶縁層14を用いた場合、ビルドアップ部9は、平面方向の熱膨張率が基体11及び絶縁層14よりも大きい第2導電層10bを内部に含んでいるため、ビルドアップ部9の平面方向の熱膨張率が、コア基板6の平面方向の熱膨張率よりも大きくなりやすい。すなわち、配線基板4内において、絶縁層14側の領域の平面方向の熱膨張率が、基体11側の領域の平面方向の熱膨張率よりも大きくなりやすい。
【0048】
一方、本実施形態の配線基板4においては、絶縁層14の平面方向の熱膨張率が、基体11の平面方向の熱膨張率よりも小さい。したがって、配線基板4内において、絶縁層14側の領域及び基体11側の領域の平面方向の熱膨張率の差を低減することができるため、配線基板4に熱が印加された場合に、配線基板4の反りを低減することができ、ひいては、配線基板4と電子部品2との接続信頼性を高めることができる。
【0049】
また、仮に、絶縁層14及び該絶縁層14上面の第2導電層10bそれぞれ1層からなるもの(以下、配線層16とする)の平面方向の熱膨張率が、基体11の平面方向の熱膨張率よりも大きいと、ビルドアップ部9において配線層16の層数を増加させた場合、配線基板4の平面方向の熱膨張率が増加しやすいが、これに対し、本実施形態の配線基板4においては、絶縁層14の平面方向の熱膨張率が基体11の平面方向の熱膨張率よりも小さいことから、配線層16と基体11との熱膨張率の差が低減されているため、配線基板4の平面方向の熱膨張率を維持しつつ、ビルドアップ部9において配線層16の層数を増加させることができる。
【0050】
ところで、第1導電層10aは、接地用配線又は電力供給用配線であることから、平板状(ベタ状)に形成されて体積が増加しやすいのに対し、第1接続パッド7a及び第2接続パッド7bは、電子部品2又はマザーボードとの接続部材に過ぎず、円形状に形成されて体積が減少しやすい。それ故、第1導電層10aの体積は、第1接続パッド7aの体積及び第2接続パッド7bの体積よりも大きくなりやすい。したがって、配線基板4に熱が印加されると、第1導電層10aが第1接続パッド7a及び第2接続パッド7bよりも平面方向に大きく熱膨張するため、コア基板6及びビルドアップ部9それぞれにおいて、第1導電層10a側の熱膨張量が大きくなり、それぞれ反対方向へ反る応力が印加されやすい。
【0051】
一方、本実施形態の配線基板4においては、基体11の下面に第1接続パッド7aから離間した第1ダミー導体8aが形成されている。その結果、配線基板4に熱が印加された場合に、コア基板6において第1導電層10a側及び第1接続パッド7a側の熱膨張量の差を低減することができる。したがって、コア基板6の反りを低減することにより、該反りに起因したコア基板6とビルドアップ部9との境界部における剥離を低減することができる。
【0052】
また、最上層に位置する絶縁層14の上面に第2接続パッド7bから離間した第2ダミー導体8bが形成されている。その結果、配線基板4に熱が印加された場合に、ビルドアップ部9の第1導電層10a側及び第2接続パッド7b側の熱膨張量の差を低減することができる。したがって、ビルドアップ部9の反りを低減することにより、該反りに起因したコア基板6とビルドアップ部9との境界部における剥離を低減することができる。
【0053】
なお、第1ダミー導体8aの体積及び第1接続パッド7aの体積の合計値は、第1導電層10aの体積よりも小さいことが望ましい。その結果、コア基板6において第1接続パッド7a側の熱膨張量が第1導電層10a側よりも大きくなることを抑制し、コア基板6に印加される反りの応力を低減することができる。
【0054】
また、第2ダミー導体8bの体積及び第2接続パッド7bの体積の合計値は、第1導電層10aの体積よりも小さいことが望ましい。その結果、ビルドアップ部9の第2接続パッド7b側の熱膨張量が第1導電層10a側よりも大きくなることを低減し、ビルドアップ部9に印加される反りの応力を低減することができる。
【0055】
また、第1ダミー導体8aの体積、第1接続パッド7aの体積、第2ダミー導体8bの体積及び第2接続パッド7bの体積の合計値は、第1導電層10aの体積と同一に設定されていることが望ましい。その結果、コア基板6において第1導電層10a側及び第1接続パッド7a側の熱膨張量の差を低減しつつ、ビルドアップ部9において第1導電層10a側及び第2接続パッド7b側の熱膨張量の差を低減することができ、ひいては、コア基板6及びビルドアップ部9の双方に印加される反りの応力を低減することができる。なお、第1ダミー導体8aの体積、第1接続パッド7aの体積、第2ダミー導体8bの体積及び第2接続パッド7bの体積の合計値は、第1導電層10aの体積の例えば60%以上80%以下に設定されていても構わない。
【0056】
また、第1ダミー導体8aの体積及び第1接続パッド7aの体積の合計値は、第2ダミー導体8bの体積及び第2接続パッド7bの体積の合計値よりも大きいことが望ましい。その結果、第1ダミー導体8aの体積及び第1接続パッド7aの体積の合計値が大きいことから、配線基板3の下面にて局所的に平面方向の熱膨張率を増加させることにより、配線基板3よりも平面方向の熱膨張率が大きいマザーボードと配線基板3との熱膨張率の差を局所的に低減して、マザーボードと配線基板3との電気的接続信頼性を高めることができる。さらに、第2ダミー導体8bの体積及び第2接続パッド7bの体積の合計値が小さいことから、配線基板3の上面にて局所的に平面方向の熱膨張率を減少させることにより、配線基板3よりも平面方向の熱膨張率が小さい電子部品2と配線基板3との熱膨張率の差を局所的に低減して、電子部品2と配線基板3との電気的接続信頼性を高めることができる。なお、マザーボードは、平面方向の熱膨張率が例えば15ppm/℃以上20ppm/℃以下に設定されている。
【0057】
一方、第1ダミー導体8aは、図5に示すように、第1格子状導体17aと、第1格子状導体17aを取り囲む第1環状導体18aと、を有しており、第1接続パッド7aが第1格子状導体17aの1格子内に配されている。
【0058】
第1格子状導体17aは、互いに長手方向が平行である複数の第1線状導体17a1と、互いに長手方向が平行であり、該長手方向が第1線状導体17a1の長手方向と異なる複数の第2線状導体17a2と、を有しており、第1線状導体17a1と第2線状導体17a2とは、互いに交差して格子状をなすことにより、第1格子状導体17aを構成している。この第1格子状導体17aによって、第2ダミー導体8aの導体部分が、基体11の下面により均一に分布されるため、基体11の下面において平面方向の熱膨張率をより均一にすることができる。また、第1導電層10a又は第2導電層10bにおいてチップの中心から引き回された直線状の配線に対して、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2のいずれか一方が平行になりやすいため、該直線状の配線に起因して局所的に熱膨張率が変化した箇所に第2ダミー導体8aの導体部分を対応させることができ、ひいては配線基板3の反りを低減させることができる。
【0059】
また、第1格子状導体17aは、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2の幅又は間隔を調整することにより、第2ダミー導体8aの導体部分の分布を均一に維持しつつ、容易に第2ダミー導体8aの体積を調整することができる。
【0060】
また、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2は直交していることが望ましく、なかでも、第1格子状導体17aが正方格子状であることが望ましい。その結果、第2ダミー導体8aの導体部分を基体11の下面により均一に分布することができる。
【0061】
また、第1格子状導体17aは、第1接続パッド7aで構成された格子と交差することが望ましい。その結果、第1導電層10a又は第2導電層10bにおいてチップの中心から放射状に引き回された直線状の配線に対して、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2のいずれか一方が平行になりやすいため、該直線状の配線に起因して局所的に熱膨張率が変化した箇所に第2ダミー導体8aの導体部分を対応させることができる。なお、第1接続パッド7aで構成された格子と第1格子状導体17aとが交差してなす角度は、35°以上55°以下に設定されていることが望ましく、なかでも45°に設定されていることが望ましい。
【0062】
また、第1環状導体18aには、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2の端部、すなわち、格子状導体17aの端部に接続されている。その結果、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2の端部に印加される応力を緩和し、第1線状導体17a1及び第2線状導体17a2の端部が基体14の下面から剥離することを抑制できる。なお、第1環状導体18aの線幅は、例えば40μm以上80μm以下に設定されている。
【0063】
また、第1環状導体18aは、矩形状であり、その角部が曲線状であること望ましい。その結果、第1環状導体18aの角部に印加される応力を緩和することができる。なお、該角部の曲率半径は、例えば25μm以上100μm以下に設定されている。
【0064】
一方、第2ダミー導体8bは、図2に示すように、第2格子状導体17bと、第2格子状導体17bを取り囲む第2環状導体18bと、第2環状導体18bを取り囲む第3格子状導体17cと、第3格子状導体17cを取り囲む第3環状導体18cと、をしており、第2接続パッド7bが第2格子状導体17bの1格子内に配されている。
【0065】
第2格子状導体17b及び第3格子状導体17cは、第1格子状導体17aと同様の構成及び効果を有している。
【0066】
また、第2格子状導体17b及び第3格子状導体17cを構成する線状導体の幅は、第1格子状導体17aを構成する線状導体の幅よりも小さい。その結果、第2ダミー導体8bの体積を、第1ダミー導体8aの体積よりも容易に小さくすることができる。
【0067】
また、第2格子状導体17bを構成する線状導体の幅は、第3格子状導体17cを構成する線状導体の幅よりも小さい。その結果、配線基板3の上面の熱膨張率を、熱膨張率の小さい電子部品2の直下領域において局所的に低減することができ、ひいては配線基板3と電子部品2との電気的接続信頼性を高めることができる。
【0068】
第2環状導体18b及び第3環状導体18cは、第1環状導体18aと同様の構成及び効果を有している。
【0069】
また、第2環状導体18bは、第2格子状導体17b及び第3格子状導体17cの端部に接続されており、第3環状導体18cは、第3格子状導体17cの端部に接続されている。その結果、第2格子状導体17b及び第3格子状導体17cを構成する線状導体の端部に印加される応力を緩和することができる。
【0070】
また、第2環状導体18b及び第3環状導体18cの線幅は、第1環状導体18aよりも小さいことが望ましい。その結果、第2ダミー導体8bの体積を、第1ダミー導体8aの体積よりも容易に小さくすることができる。また、第2環状導体18bの線幅は、第3環状導体18cよりも小さいことが望ましい。その結果、配線基板3の上面の熱膨張率を、熱膨張率の小さい電子部品2の直下領域において局所的に低減することができ、ひいては配線基板3と電子部品2との電気的接続信頼性を高めることができる。
【0071】
かくして、上述した実装構造体1は、外部回路から配線基板3を介して供給される電源や信号に基づいて電子部品2を駆動若しくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
【0072】
次に、上述した実装構造体1の製造方法を説明する。
【0073】
(1)図6aに示すように、第1接続パッド7a、第1ダミー導体8a及び第1導電層10aが形成されたコア基板6を準備する。具体的には、以下のように行う。
【0074】
まず、例えば未硬化の樹脂シートを複数積層するとともに最外層に銅箔を積層し、該積層体を加熱加圧して硬化させることにより、基体11を作製する。なお、未硬化は、ISO472:1999に準ずるA‐ステージ又はB‐ステージの状態である。次に、例えばドリル加工やレーザー加工等により、基体11を厚み方向に貫通したスルーホールを複数形成する。次に、例えば無電解めっき法、蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等により、スルーホールの内壁に導電材料を被着させて円筒状のスルーホール導体12を形成する。次に、円筒状のスルーホール導体12の内部に、樹脂材料等を充填し、絶縁体13を形成する。次に、導電材料を絶縁体13の露出部に被着させた後、従来周知のフォトリソグラフィー技術、エッチング等を用いて、基体11の上面及び下面の導電材料及び銅箔をパターニングすることによって、第1接続パッド7a、第1ダミー導体8a及び第1導電層10aを形成する。なお、このパターニングの際に、第1接続パッド7a、第1ダミー導体8a及び第1導電層10aを所望の形状にパターニングすることができる。
【0075】
以上のようにして、第1接続パッド7a、第1ダミー導体8a及び第1導電層10aが形成されたコア基板6を作製することができる。
【0076】
(2)図6bに示すように、2つのコア基板6を接着させる。具体的に例えば以下のように行う。
【0077】
まず、熱可塑性樹脂等からなる仮止め部材19を準備する。次に、2つのコア基板6それぞれの第1接続パッド7a側主面を仮止め部材19に当接させて加熱し、仮止め部材19を介して2つのコア基板6を接着させる。接着された2つのコア基板6は、両主面の内、第1導電層10a側主面のみが露出されている。
【0078】
以上のようにして、2つのコア基板6を接着させることができる。
【0079】
(3)図7aに示すように、接着された2つのコア基板6それぞれの第1導電層10a側主面のみにビルドアップ部9、第2接続パッド7b及び第2ダミー導体8bを形成することにより、接着された2つの配線基板3を作製する。具体的には、例えば以下のように行う。
【0080】
まず、接着された2つのコア基板6それぞれの第1導電層10a側主面に、未硬化の第2樹脂層前駆体を介してフィルム状の第1樹脂層を貼り合わせた後、第2樹脂層前駆体を熱硬化させて第2樹脂層を形成することにより、2つのコア基板6それぞれの第1導電層10a側主面に絶縁層14を形成する。次に、例えばYAGレーザー装置又は炭酸ガスレーザー装置を用いて、2つのコア基板6それぞれの絶縁層14にビア孔を形成し、ビア孔内に第1導電層10aの少なくとも一部を露出させる。次に、例えばセミアディティブ法、サブトラクティブ法又はフルアディティブ法等により、ビア孔にビア導体13を形成するとともに絶縁層14の露出した主面に第2導電層10bを形成する。なお、第2導電層10bは、例えば所望の形状のレジストを用いることにより、所望の形状に形成することができる。
【0081】
かかる工程を繰り返すことにより、ビルドアップ部9を形成することができる。また、第2接続パッド7b及び第2ダミー導体8bは、第2導電層10bと同様に形成することができる。
【0082】
以上のようにして、接着された2つの配線基板3を作製することができる。
【0083】
(4)図7bに示すように、仮止め部材19から2つの配線基板3それぞれを剥離し、接着された2つの配線基板3を互いに剥離することにより、配線基板3を2つ得る。
【0084】
(5)第1接続パッド7a上に半田ボール5を形成するとともに第2接続パッド7b上にバンプ4を形成し、バンプ4を介して配線基板3に電子部品2をフリップチップ実装することにより、図5cに示す実装構造体1を作製する。
【0085】
以上のようにして、実装構造体1を作製することができる。本実施形態の配線基板の製造方法においては、上述した如く、2つのコア基板6を接着させた後、それぞれのコア基板6に対し、ビルドアップ部9、第2接続パッド7b及び第2ダミー導体8bを形成し、2つの配線基板3を作製しているため、製造工程を削減することができ、生産効率を高めることができる。
【0086】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
【0087】
例えば、上述した実施形態において、電子部品に半導体素子を用いた構成を例に説明したが、電子部品としてはコンデンサ等を用いても構わない。
【0088】
また、成就した実施形態において、電子部品を配線基板にフリップチップ実装した構成を例に説明したが、電子部品を配線基板にワイヤボンディング実装しても構わない。
【0089】
また、上述した実施形態において、ビルドアップ部が3層の絶縁層及び2層の第2導電層を有する構成を例に説明したが、絶縁層及び第2導電層は何層でも構わない。
【0090】
また、上述した実施形態において、基体が基材を含む構成を例に説明したが、基体は基材を含まなくても構わない。
【0091】
また、上述した実施形態において、基体の樹脂材料は無機絶縁フィラーを含有する構成を例に説明したが、絶縁層の樹脂材料が無機絶縁フィラーを含有しても構わない。
【0092】
また、上述した実施形態において、第2環状導体は第2格子状導体及び第3格子状導体の端部に接続された構成を例に説明したが、第2環状導体は第2格子状導体の端部のみに接続されていても構わない。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0094】
表1は、本実施例の配線基板の各層における構成を積層順に示したものである。この配線基板について、各部材の平面方向の熱膨張率、体積比率及びヤング率から、配線基板において、基体側の領域及び絶縁層側の領域における平面方向の熱膨張率を算出し、配線基板への影響を検討した。以下、熱膨張率は、平面方向の熱膨張率とする。また、各層の残銅率は、各層において、配線基板全体の面積に対し、銅からなる部材の面積の合計が占める割合を算出したものである。
【0095】
【表1】

【0096】
(配線基板の構成)
第1接続パッド、第1ダミー導体、第1導電層、第2導電層、第2接続パッド及び第2ダミー導体は、銅からなるものを用いた。
【0097】
基体は、液晶ポリエステル樹脂をガラスクロスに含浸してなるものを用いた。
【0098】
絶縁層は、フィルム状のポリイミド樹脂からなる第1樹脂層と、接着部材であるエポキシ樹脂からなる第2樹脂層と、からなるものを用いた。なお、第2樹脂層のヤング率(0.05GPa)が、第1樹脂層のヤング率(8.0GPa)よりも極めて小さいため、絶縁層の熱膨張率は、第1樹脂層の熱膨張率とみなすことができる。
【0099】
(熱膨張率の計算)
以下のようにして、配線基板における基体側領域及び絶縁層側領域それぞれの平面方向の熱膨張率を算出した。
【0100】
なお、配線基板における基体側領域は、第1導電層の基体側半分と、基体と、第1接続パッドと、第1ダミー導体と、からなるものとした。また、配線基板における絶縁層側領域は、第1導電層の基体側半分と、絶縁層と、第2絶縁層第1接続パッドと、第1ダミー導体と、からなるものとした。
【0101】
まず、基体側領域について、各部材の厚みの比率と面積の比率との積を計算することにより、各部材の体積比率を算出する。また、絶縁層側領域の各部材の体積比率についても同様に算出する。なお、絶縁層及び基体の面積比率は、100%とし、銅からなる部材の面積比率は、残銅率とする。
【0102】
次に、基体側領域について、各部材のヤング率と体積比率との積を計算してその合計値を求めることにより、基体側領域全体のヤング率を算出する。また、絶縁層側領域全体のヤング率についても同様に算出する。
【0103】
次に、基体側領域について、各部材の熱膨張率と体積比率とヤング率との積を計算してその合計値を求め、該合計値を絶縁層側領域全体のヤング率で割ることにより、基体側領域全体の熱膨張率を算出する。また、絶縁層側領域全体の熱膨張率についても同様に算出する。
【0104】
以上のようにして、表1の配線基板について、基体側領域及び絶縁層側領域それぞれの平面方向の熱膨張率に計算したところ、基体側領域の平面方向の熱膨張率は、11.47ppm/℃であり、絶縁層側領域の平面方向の熱膨張率は、12.08ppm/℃であった。
【0105】
このように、本実施例の配線基板は、基体側領域と絶縁層側領域との平面方向の熱膨張率の差が小さいため、反りが良好に抑制される。
【符号の説明】
【0106】
1 実装構造体
2 電子部品
3 配線基板
4 バンプ
5 半田ボール
6 コア基板
7a 第1接続パッド
7b 第2接続パッド
8a 第1ダミー導体
8b 第2ダミー導体
9 ビルドアップ部
10a 第1導電層
10b 第2導電層
11 基体
12 スルーホール導体
13 絶縁体
14 絶縁層
15 ビア導体
16 配線層
L1 第1配線部
L2 第2配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、該基体の上面側のみに積層された複数の絶縁層と、前記基体の下面に部分的に形成された第1接続パッドと、前記基体と該基体に隣接する前記絶縁層との間に部分的に形成された第1導電層と、隣接した前記絶縁層同士の間に部分的に形成された第2導電層と、最上層に位置する前記絶縁層の上面に部分的に形成された第2接続パッドと、を備え、
前記基体および前記絶縁層の平面方向の熱膨張率は、前記第1接続パッド、前記第1導電層、前記第2導電層および前記第2接続パッドの平面方向の熱膨張率よりも小さく、
前記絶縁層の平面方向の熱膨張率は、前記基体の平面方向の熱膨張率よりも小さいことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記第1導電層の体積は、前記第1接続パッドの体積および第2接続パッドの体積の合計値よりも大きく、
前記基体のヤング率は、前記絶縁層のヤング率よりも大きく、
前記基体の下面に部分的に形成され、前記第1接続パッドから離間した第1ダミー導体をさらに備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板において、
最上層に位置する前記絶縁層の上面に部分的に形成され、前記第2接続パッドから離間した第2ダミー導体をさらに備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項4】
請求項3に記載の配線基板において、
前記第1ダミー導体の体積および前記第1接続パッドの体積の合計値は、前記第2ダミー導体の体積および前記第2接続パッドの体積の合計値よりも大きいことを特徴とする配線基板。
【請求項5】
請求項2に記載の配線基板において、
前記第1ダミー導体は、複数の第1線状導体と該第1線状導体に交差した複数の第2線状導体とからなる格子状導体と、該第1格子状導体17aを取り囲む環状導体と、を有していることを特徴とする配線基板。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板において、
前記環状導体は、前記第1線状導体及び前記第2線状導体の端部に接続されていることを特徴とする配線基板。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板において、
前記第1接続パッド、前記第1導電層、前記第2導電層および前記第2接続パッドは、同一の導電材料からなることを特徴とする配線基板。
【請求項8】
請求項1に記載の配線基板において、
前記第1接続パッドは、外部回路に電気的に接続されるためのものであり、
前記第2接続パッドは、電子部品に電気的に接続されるためのものであることを特徴とする配線基板。
【請求項9】
請求項1に記載の配線基板と、
該配線基板上に搭載され、前記第2接続パッドに電気的に接続された電子部品と
を備えたことを特徴とする実装構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−249711(P2011−249711A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123924(P2010−123924)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】