説明

配線基板ならびにその配線基板を備えた電子装置および電子モジュール装置

【課題】 実装信頼性が高い配線基板および電子装置ならびに電子モジュール装置を提供する。
【解決手段】 本発明の配線基板は、中央領域Mおよび周囲領域Sを有する上面を含んでおり、周囲領域Sに設けられておりそれぞれ電子部品Eが収納される複数の凹部3と中央領域Mまたは周囲領域Sに設けられており複数の凹部3を連結する連結部4とを有している絶縁基体2を備えており、同様の高さの部分をたどって中央領域Mから周辺領域Sを介して周辺領域Sの外側へつながる経路を有するように連結部4が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品が搭載される配線基板、ならびにその配線基板を備えた電子装置および電子モジュール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品を配線基板に半田等のろう材を介して搭載された電子装置が知られている。
【0003】
例えば、CCD型またはCMOS型等の撮像素子を配線基板に搭載した、デジタルカメラや光学センサ等に適用される撮像装置では、配線基板上に撮像素子を実装するとともに、レンズ固定部材によって撮像素子の上にレンズが配置されて、レンズおよびレンズ固定部材によって撮像素子が封止されており、撮像素子の周囲にコンデンサや抵抗等の電子部品が搭載されているものである。そして、このような撮像装置は、配線基板に搭載された撮像素子の受光部に入力された光(画像)を撮像素子によって電気信号に変換し、ボンディングワイヤ等の接続部材および配線基板の配線導体および外部端子を介してデジタルカメラ内の外部回路等に出力するものである。このような撮像装置として、撮像装置の面積を小さくして小型化するために、配線基板の上面に凹部を設け、配線基板の上面に凹部を塞ぐように撮像素子が配置されるとともに、凹部の底面に撮像素子からの電気信号を処理するためのコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品が半田等のろう材を介して複数搭載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−335533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品を複数搭載した電子装置においては、電子部品を外部環境から保護するために凹部内に樹脂を充填した場合には、加工のバラツキでそれぞれの凹部の寸法が異なる場合があり、また凹部内への樹脂の充填量を精密に制御することができないために、配線基板の上面と実質的に同一面にすることが極めて困難であった。また、樹脂が化学反応により硬化する際には体積が膨張または収縮するため、仮に樹脂の液面を実質的に同一面とすることができたとしても、硬化後には凹凸を生じるものであった。このようにして生じた凹凸は、例えば撮像素子といった電子デバイスを実装する際に、電子デバイスと配線基板との間に気泡が入り込んだり、電子デバイスが配線基板に対して傾斜して実装される原因となる。このようにして気泡が入り込んだ場合には、電子装置の周囲の環境の変化(例えば温度や気圧)によって電子デバイスを変形させたり、電子デバイスからの放熱を阻害する原因となる。また、傾斜して実装された場合には、例えば撮像素子である場合には像の歪み等が生じる原因となる。そして、これらの課題は、電子デバイスの小型・薄型化や発熱量の増大、撮像素子の高画素化にともなって、より顕著になるものであった。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、実装信頼性が高い配線基板および電子装置ならびに電子モジュール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様による配線基板は、絶縁基板を備えている。絶縁基板は、中央領域および周囲領域を有する上面を含んでおり、周囲領域に設けられておりそれぞれ電子部品が収納される複数の凹部と中央領域または周囲領域に設けられており複数の凹部を連結する連結部とを有している。連結部は同様の高さの部分をたどって中央領域から周辺領域を介して周辺領域の外側へつながる経路を有するように配置されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の配線基板と、配線基板に搭載された電子部品とを備えている。
【0009】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成において、凹部および連結部において、封止材が上側に突出するように形成されている。
【0010】
本発明の他の態様によれば、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置と、電子装置に搭載された電子デバイスとを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1つの態様による配線基板において、同様の高さの部分をたどって中央領域から周辺領域を介して周辺領域の外側へつながる経路を有するように連結部が配置されていることによって、凹部に封止材を充填したときに、絶縁基板の一方主面のいずれの領域も充填した封止材によって囲まれ孤立することがない。よって、電子装置を接合材を用いて実装する場合に、封止材によって囲まれた中央領域の接合材に気泡が生じたとしても、中央領域から周辺領域を介して電子モジュール装置の外部へ気泡が移動するものとなり、接合材に気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な配線基板となる。
【0012】
本発明の他の態様によれば、上記構成の配線基板と、配線基板に搭載された電子部品とを備えていることによって、電子部品が確実に封止され、環境変化等の影響を受けて不具合が生じる恐れのない電子装置となる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、上記構成において、凹部および連結部において、封止材が上側に突出するように形成されていることによって、電子デバイスを接合材を用いて実装する際に、平面視で凹部と重なる領域に気泡が留まりにくいものとなり、気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な電子装置となる。
【0014】
本発明の他の態様によれば、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本実施形態の電子装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)は図1(a)に示された電子装置のA−A線における断面を示す断面図である。
【図2】(a)は本実施形態の電子装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)は図2(a)に示された電子装置のA−A線における断面を示す断面図である。また、(c)は図2(a)に示された電子装置のB−B線における断面を示す断面図である。
【図3】(a)は本実施形態の電子装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)は図3(a)に示された電子装置のA−A線における断面を示す断面図である。また、(c)は図3(a)に示された電子装置のB−B線における断面を示す断面図である。
【図4】(a)は本実施形態の電子モジュール装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)は図4(a)に示された電子モジュール装置のA−A線における断面を示す断面図である。また、(c)は図4(a)に示された電子モジュール装置のB−B線における断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態における電子装置は、配線基板1と、配線基板1に搭載された電子部品Eとを備えている。
【0018】
配線基板1は、中央領域Mおよび周囲領域Sを有する上面を含んでおり、周囲領域Sに設けられておりそれぞれ電子部品Eが収納される複数の凹部3と中央領域Mまたは周囲領域Sに設けられており複数の凹部3を連結する連結部4とを有している。
【0019】
絶縁基板3は、上面にコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品Eを半田等のろう材を介して搭載するための凹部3を有し、例えば、酸化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・窒化珪素質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁性セラミックスや、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂、および四フッ化エチレン樹脂を始めとするフッ素系樹脂等の樹脂(プラスティックス)から成る略四角形の絶縁層を複数上下に積層して形成されている。
【0020】
絶縁基板2は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムの粉末に酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の焼結助剤を添加し、さらに適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して泥漿物を作るとともに、この泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってグリーンシート(生シート)とし、しかる後、このグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して略四角形状に加工するとともにこれを複数枚積層し、焼成することによって製作される。
【0021】
また、絶縁基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によって成形することによって形成することができる。また、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合は、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって形成することができる。
【0022】
この絶縁基板2において、凹部3の底面に複数の電極が被着形成されており、また撮像素子等の電子デバイスCが搭載される上面にビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を含む配線導体5が被着形成されている。複数の電極および配線導体5は、絶縁基板2がセラミックスから成る場合は、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末メタライズから成り、絶縁基板2用のセラミックグリーンシートに複数の電極および配線導体5用の導体ペーストをスクリーン印刷法等によって所定形状で印刷して、セラミックグリーンシートと同時に焼成することによって、絶縁基板2の所定位置に形成される。内部導体のうち、セラミックグリーンシートを厚み方向に貫通する貫通導体は、導体ペーストを印刷することによってセラミックグリーンシートに形成した貫通孔を充填しておけばよい。このような導体ペーストは、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、絶縁基板2との接合強度を高めるために、ガラスやセラミックスを含んでいても構わない。
【0023】
また、複数の電極および配線導体5は、絶縁基板2が樹脂から成る場合には、銅,金,
アルミニウム,ニッケル,クロム,モリブデン,チタンおよびそれらの合金等の金属材料から成る。例えば、ガラスエポキシ樹脂から成る樹脂シート上に配線導体の形状に加工した銅箔を転写し、銅箔が転写された樹脂シートを積層して接着剤で接着することによって形成する。内部導体のうち、樹脂シートを厚み方向に貫通する貫通導体は、導体ペーストの印刷やめっき法によって樹脂シートに形成した貫通孔の内面に被着形成するか、貫通孔を充填して形成すればよい。また、金属箔や金属柱を樹脂から成る絶縁基板に一体化させたり、絶縁基板2にスパッタリング法,蒸着法等,めっき法等を用いて被着させたりして形成される。なお、外部回路基板と電気的に接続するために配線基板1の下面に形成された外部電極6もまた、前述の電極と同様にして形成される。
【0024】
電極は、凹部3の底面に複数形成されており、半田等のろう材を介してコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品Eの端子にそれぞれ電気的に接続されている。
【0025】
電子部品Eは、凹部3に収納されている。また、電子部品Eは、複数の端子を有している。電子部品Eの各端子は、半田等のろう材を介して凹部の底面に形成された複数の電極のそれぞれに電気的に接続されている。
【0026】
本実施形態の配線基板1においては、中央領域Mおよび周囲領域Sを有する上面を含んでおり、周囲領域Sに設けられておりそれぞれ電子部品Eが収納される複数の凹部3と中央領域Mまたは周囲領域Sに設けられており複数の凹部3を連結する連結部4とを有している絶縁基体2を備えており、同様の高さの部分をたどって中央領域Mから周辺領域Sを介して周辺領域Sの外側へつながる経路を有するように連結部4が配置されている。なお、本実施形態の配線基板1において連結部4は凹部3に平面視で櫛歯状に連結されているものとなっている。
【0027】
このように、同様の高さの部分をたどって中央領域Mから周辺領域Sを介して周辺領域Sの外側へつながる経路を有するように連結部4が配置されていることによって、凹部3に樹脂等の封止材7を充填したときに、絶縁基板2の一方主面のいずれの領域も充填した封止材7によって囲まれ孤立することがない。よって、電子装置を樹脂等の接合材9を用いて実装する場合に、封止材7によって囲まれた中央領域Mの接合材9に気泡が生じたとしても、中央領域Mから周辺領域Sを介して電子モジュール装置の外部へ気泡が移動するものとなり、接合材9に気泡を含有したまま接合されることを抑制するされるものとなって、本実施形態の一つの態様による配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0028】
次に、本実施形態の配線基板1の製造方法について説明する。
【0029】
絶縁基板2は、例えば酸化アルミニウム(Al)質焼結体からなり、その上面に電子部品Eが収納される凹部3を有している。この絶縁基板2は、主成分が酸化アルミニウム(Al)である酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、Alの粉末に焼結助材としてシリカ(SiO),マグネシア(MgO),カルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダ、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、従来周知のドクターブレード法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0030】
このセラミックグリーンシートを用いて、以下の(1)〜(5)の工程により配線基板1が作製される。
【0031】
(1)凹部の側壁および連結部の側壁となる部位の打ち抜き金型を用いた打ち抜き工程。
【0032】
(2)凹部の底面に形成される複数の電極、電子デバイスCが搭載される上面にビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を含む配線導体5をそれぞれ形成するための導体ペーストの印刷塗布工程。
【0033】
(3)各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する工程。
【0034】
(4)このセラミックグリーンシート積層体を個々の絶縁基板2となる積層体に切断分離し、これらを焼成して各凹部3を有する焼結体を得る工程。
【0035】
(5)複数の電極を保護して酸化防止するとともにろう付けを容易にするための金属めっき層を複数の電極2の表面に被着する工程。
【0036】
この配線基板1は、これを多数個取りで一括して作製できることから、セラミックスからなる基板上に金属製の枠体を設けたタイプの半導体パッケージに比べて低コストで製造でき高い汎用性を有する。なお、セラミックグリーンシート積層体の上面に設けられる、凹部の側壁の一部および連結部4の側壁となる貫通孔を形成するには、上述のようにセラミックグリーンシートを打ち抜き金型で打ち抜いて形成してもよいし、セラミックスラリーをスクリーン印刷法等の方法によってセラミックグリーンシート積層体上に所定パターンに印刷することによって形成してもよい。また、上述の焼結体にセラミックスラリーをスクリーン印刷法等の方法によって所定パターンに印刷し、焼成して形成してもよい。
【0037】
本実施形態の配線基板1において、セラミックグリーンシート積層体から切り出した個々の積層体を焼成することにより、各電極および配線導体5が焼成されて被着形成される。すなわち、凹部の底面の複数の電極は5〜10μmの厚さで形成され、また、電子デバイスCが電気的に接続される入出力端子の配線導体5が、5〜10μmの厚さで形成される。
【0038】
さらに、各電極を保護するとともに酸化防止をし、またその上へのロウ付けを容易かつ強固に行なうために、複数の電極の表面に、厚さ0.5〜10μmのNiメッキ層を被着させるか、またはこのNiメッキ層および厚さ0.5〜2μmの金(Au)メッキ層を順次被着させるのがよい。
【0039】
このようにして形成された配線基板1に、凹部3内に電子部品Eを収納するとともに、半田ペースト等で電気的に接続することで電子装置となる。
【0040】
また、前述の電子部品Eが収納された凹部3内に電子部品Eを覆うように封止樹脂等の封止材7を充填する。これにより、電子部品Eが被覆され、耐湿性に優れたものとなっている。封止材7は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の非導電性の樹脂である。エポキシ樹脂等の極性の強い樹脂を用いる場合には、配線基板1の表面に空気中の水分等が付着し親水性となり、封止材7が配線基板1の表面に広がってしまうことがあるため、事前に配線基板1の表面に界面活性剤を塗布して水分の付着を防止しておくとよい。
【0041】
さらに、凹部3内および連結部4に封止樹脂等の封止材7を上側に突出するように充填する。これにより、電子デバイスEを接合樹脂等の接合材9を用いて実装する際に、平面視で凹部と重なる領域に気泡が留まりにくいものとなり、気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な電子装置となる。
【0042】
また、前述の電子装置の上面に、電子部品Eより大きい形状の電子デバイスCを接合樹脂等の接合材9を介して実装し、接続部材を用いて配線導体5と電気的に接続することで電子デバイスCと電子部品Eとが配線導体5を介して電気的に接続された電子モジュール装置となる。接合材9は、例えば銀エポキシ樹脂等の熱伝導性に優れた樹脂である。なお、配線基板1の表面に界面活性剤が塗布されている場合には、平面視で電子デバイスCと重なる配線基板1の表面において界面活性剤が除去されていると、気泡が入りづらくなるため好ましい。
【0043】
電子デバイスCは例えばCCD型撮像素子またはCMOS型撮像素子等の半導体素子である。接続部材8としては、例えば金(Au)等からなるボンディングワイヤが用いられる。なお、上述のように、凹部3内に封止樹脂等の封止材7を充填することおよび電子装置の上面に電子デバイスCを接合樹脂等の接合材9を介して実装することにより、電子デバイスCからの放熱を促進する効果を有することとなる。
【0044】
本実施形態の配線基板1において、同様の高さの部分をたどって中央領域から周辺領域を介して周辺領域の外側へつながる経路を有するように連結部が配置されていることによって、凹部に封止材を充填したときに、絶縁基板の一方主面のいずれの領域も充填した封止材によって囲まれ孤立することがない。よって、電子装置を接合材を用いて実装する場合に、封止材によって囲まれた中央領域の接合材に気泡が生じたとしても、中央領域から周辺領域を介して電子モジュール装置の外部へ気泡が移動するものとなり、接合材に気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な配線基板となる。
【0045】
本実施形態の配線基板1において、上記構成の配線基板と、配線基板に搭載された電子部品とを備えていることによって、電子部品が確実に封止され、環境変化等の影響を受けて不具合が生じる恐れのない電子装置となる。
【0046】
本実施形態の配線基板1において、上記構成において、凹部および連結部において、封止材が上側に突出するように形成されていることによって、電子デバイスを接合材を用いて実装する際に、平面視で凹部と重なる領域に気泡が留まりにくいものとなり、気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な電子装置となる。
【0047】
本実施形態の配線基板1において、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0048】
(第2の実施形態)
図2〜図4を参照して本発明の第2の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態と異なる点は、凹部と連通部との連結構造である。第1の実施形態において、連結部が凹部に平面視で櫛歯状に連結されている構造であったが、本実施形態においては連結部が凹部に平面視で蛇行するように連結されている構造である。
【0049】
なお、図3の電子装置では電子部品Eが収納された凹部3内に電子部品Eを覆うように封止樹脂等の封止材7を充填している。これにより、電子部品Eが被覆され、耐湿性に優れたものとなっている。
【0050】
また、凹部3内および連結部4に封止樹脂等の封止材7を上側に突出するように充填する。これにより、電子デバイスEを接合樹脂等の接合材9を用いて実装する際に、平面視で凹部と重なる領域に気泡が留まりにくいものとなり、気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な電子装置となる。
【0051】
さらに、図4の電子モジュール装置では前述の電子装置の上面に、電子部品Eより大きい形状の電子デバイスCを接合樹脂等の接合材9を介して実装し、接続部材を用いて配線導体5と電気的に接続することで電子デバイスCと電子部品Eとが配線導体5を介して電気的に接続された電子モジュール装置となる。電子デバイスCは例えばCCD型撮像素子またはCMOS型撮像素子等の半導体素子である。接続部材8としては、例えば金(Au)等からなるボンディングワイヤが用いられる。なお、上述のように、凹部3内に封止樹脂等の封止材7を充填することおよび電子装置の上面に電子デバイスCを接合樹脂等の接合材9を介して実装することにより、電子デバイスCからの放熱を促進する効果を有することとなる。
【0052】
本実施形態の配線基板1において、同様の高さの部分をたどって中央領域から周辺領域を介して周辺領域の外側へつながる経路を有するように連結部が配置されており、連結部が凹部を平面視で蛇行するように連結されていることによって、凹部に封止材を充填したときに、絶縁基板の一方主面のいずれの領域も充填した封止材によって囲まれ孤立することがない。よって、電子装置を接合材を用いて実装する場合に、封止材によって囲まれた中央領域の接合材に気泡が生じたとしても、中央領域から周辺領域を介して電子モジュール装置の外部へ気泡が移動するものとなり、接合材に気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な配線基板となる。
【0053】
本実施形態の配線基板1において、上記構成の配線基板と、配線基板に搭載された電子部品とを備えていることによって、電子部品が確実に封止され、環境変化等の影響を受けて不具合が生じる恐れのない電子装置となる。
【0054】
本実施形態の配線基板1において、上記構成において、凹部および連結部において、封止材が上側に突出するように形成されていることによって、電子デバイスを接合材を用いて実装する際に、平面視で凹部と重なる領域に気泡が留まりにくいものとなり、気泡を含有したまま接合されることを抑制することが可能な電子装置となる。
【0055】
本実施形態の配線基板1において、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【符号の説明】
【0056】
1・・・・・配線基板
2・・・・・絶縁基板
3・・・・・凹部
4・・・・・連結部
5・・・・・配線導体
7・・・・・封止材
9・・・・・接合材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域および周囲領域を有する上面を含んでおり、前記周囲領域に設けられておりそれぞれ電子部品が収納される複数の凹部と前記中央領域または前記周囲領域に設けられており前記複数の凹部を連結する連結部とを有している絶縁基体を備えており、
同様の高さの部分をたどって前記中央領域から前記周辺領域を介して該周辺領域の外側へつながる経路を有するように前記連結部が配置されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載された配線基板と、
該配線基板に形成された各前記凹部に収納された電子部品とを備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
前記電子部品を覆うように封止材を前記凹部内に充填しており、前記凹部および前記連結部において、前記封止材が上側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載された前記電子装置の上面に、前記電子部品より大きい形状の電子デバイスが接合材を介して実装されていることを特徴とする電子モジュール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98236(P2013−98236A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237454(P2011−237454)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】