説明

配線基板及び表示装置

【課題】製造歩留まりの改善が可能であるとともに製造コストの削減が可能な配線基板及びこの配線基板を備えた表示装置を提供ことを目的とする。
【解決手段】 接続対象物の複数のパッドとそれぞれ電気的に接続可能な電極部220と、電極部220のそれぞれと接続された配線パターン230と、配線パターン230の少なくとも1つと一体化されたアライメントマーク250と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板及び表示装置に係り、特に、配線基板と表示パネルとを接続する際の相対的な位置合せの目安となるアライメントマークの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
平面表示装置は、画像を表示する表示エリアを備えた表示パネルと、この表示パネルに接続されたフレキシブル配線基板(FPC)と、を備えている。フレキシブル配線基板は、表示パネルとの接続の際に相対的な位置合せの目安となるアライメントマークを備えている。アライメントマークは、例えばフレキシブル配線基板のベースフィルム上に独立した島状に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−109969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
表示パネルの一側縁に配置されたパッドとフレキシブル配線基板の電極部とを異方性導電膜を介して圧着する際にズレを生じたり、異物(特に導電性の異物)を噛み込んでしまったりすることがある。このような圧着不良が生じた表示パネルは、それ自身に異常がなければ、フレキシブル配線基板を剥がした後に再利用することが可能である。
【0004】
しかしながら、フレキシブル配線基板を表示パネルから剥がした際に、フレキシブル配線基板のアライメントマークが表示パネル側に転写されてしまうことがある。このような場合、表示パネルに転写されたアライメントマークを除去する工程が必要となり、製造歩留まりの低下及び製造コストの増大を招くおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、製造歩留まりの改善が可能であるとともに製造コストの削減が可能な配線基板及びこの配線基板を備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様による配線基板は、
接続対象物の複数のパッドとそれぞれ電気的に接続可能な電極部と、
前記電極部のそれぞれと接続された配線パターンと、
前記配線パターンの少なくとも1つと一体化されたアライメントマークと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明の第2の態様による表示装置は、
画像を表示する表示エリアを備えた表示パネルと、
前記表示パネルに接続された配線基板と、を備え、
前記配線基板は、前記表示パネルの一側縁に配置された複数のパッドとそれぞれ電気的に接続される電極部と、
前記電極部のそれぞれと接続された配線パターンと、
前記配線パターンの少なくとも1つと一体化され、前記表示パネルと前記配線基板とを接続する際の相対的な位置合せの目安となるアライメントマークと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、製造歩留まりの改善が可能であるとともに製造コストの削減が可能な配線基板及びこの配線基板を備えた表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の一実施の形態に係る配線基板及びこの配線基板を備えた表示装置について図面を参照して説明する。
【0010】
すなわち、図1及び図2に示すように、表示装置は、平板状の表示パネル(配線基板との接続対象物)100を備えている。この表示パネル100は、画像を表示する表示エリア102を備えている。この表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の表示画素PXによって構成されている。また、表示パネル100は、表示エリア102を囲む周辺エリア104に、画像を表示するのに必要な各種駆動信号を生成する駆動回路(例えば信号線に映像信号を供給する信号線駆動回路や走査線に制御信号を供給する走査線駆動回路)DCを備えている。周辺エリア104において表示パネル100の一側縁には、複数のパッド110が配置されている。
【0011】
また、表示装置は、表示パネル100に接続された配線基板200を備えている。この配線基板200は、表示パネル100に対して画像を表示するのに必要な各種信号を供給するものであり、自身に制御回路を備えていても良いし、別個の駆動回路基板と接続されても良い。
【0012】
配線基板200は、フレキシブル性を有したベースフィルム210を用いて構成されている。配線基板200の一端には、表示パネル100のパッド110とそれぞれ電気的に接続可能に形成された複数の電極部220が配置されている。すなわち、これらの電極部220は、表示パネル100のパッド110のそれぞれの間隔などを考慮して、所定の間隔をおいて配置されている。
【0013】
電極部220のそれぞれは、ベースフィルム210上の配線パターン230と接続されている。これらの電極部220及び配線パターン230は、例えば銅(Cu)などの金属材料によって形成されている。電極部220の表面は、金(Au)によってメッキ処理されている。配線パターン230は、カバーフィルム240によって覆われている。カバーフィルム240は、配線基板200の略全体にわたって配置されたベタ膜として、ポリイミドなどの樹脂材料よって形成されている。
【0014】
表示パネル100及び配線基板200は、異方性導電膜300などを介して電気的及び機械的に接続されている。すなわち、表示パネル100のパッド110と配線基板200の電極部220とは、異方性導電膜300に含まれる導電性部材により電気的に接続されるとともに、異方性導電膜300に含まれる接着剤により機械的に接続されている。
【0015】
ところで、配線基板200は、図3及び図4に示すように、表示パネル100との接続の際に相対的な位置合せの目安となるアライメントマーク250を備えている。このアライメントマーク250は、配線基板200を表示パネル100に接続した際に表示パネル100側への転写が抑制されるような構造としている。
【0016】
ここに示した例では、アライメントマーク250は、ベースフィルム210上に配置され、配線パターン230の少なくとも1つと一体化されている。つまり、アライメントマーク250は、島状に独立しておらず、配線基板200における他のパターンと接続されている。このため、配線基板200を表示パネル100に接続した後に表示パネル100から剥がした際、アライメントマーク250が他の配線パターン230とともに配線基板200側に残り、表示パネル100側への転写を抑制することができる。
【0017】
また、アライメントマーク250と一体化された配線パターン230は、カバーフィルム240によって覆われている。このカバーフィルム240は、配線基板200の略全体にわたるベタ膜であるため、大きな設置面積でベースフィルム210との間に配線パターン230を挟持している。このため、アライメントマーク250がベースフィルム210から剥がれたとしても、アライメントマーク250と一体化された配線パターン230のベースフィルム210からの剥がれが抑制され、アライメントマーク250の表示パネル100側への転写を抑制することができる。
【0018】
アライメントマーク250と一体化された配線パターン230は、アライメントマーク250より大きな設置面積でベースフィルム210上に形成されていることが望ましい。すなわち、接地された配線パターンや、ベースフィルム210上において島状に配置されたパターン(電気的に浮遊した状態の配線パターンなど)などの比較的大きな設置面積のパターンとアライメントマーク250とを一体化する。これにより、例え、アライメントマーク250がベースフィルム210から剥がれたとしても、配線パターン230とともに配線基板200側に残り、表示パネル100側への転写を抑制することができる。
【0019】
また、アライメントマーク250は、配線パターン230と同一の金属材料によって形成されることが望ましい。これにより、アライメントマーク250のみを形成するための別個の工程が不要となる。
【0020】
さらに、アライメントマーク250は、複数の配線パターンを伴って一体化されても良い。図3に示した例では、アライメントマーク250の本体部251は、3本の配線パターン231、232、233を伴って一体化されている。これにより、アライメントマーク250は、比較的大きな設置面積の配線パターンと一体化されたことになり、表示パネル100への転写を抑制できる。
【0021】
また、配線基板200は、フレキシブル性を有したベースフィルム210を用いて形成されており、折り曲げて配置される場合が多い。アライメントマーク250と一体化される配線パターン231、232、233を他の配線パターン234、235より幅広に形成したり、狭ピッチで形成したりすると(P1<P2)、アライメントマーク250の周辺の折り曲げ性が他の部位より悪化するおそれがある。
【0022】
このため、これらの3本の配線パターン231、232、233のそれぞれの間隔P1は、電極部220と一体化された他の配線パターン、例えば図3における234,235のそれぞれの間隔P2と略同等であることが望ましい。また、これらの配線パターン231乃至235は、同等の幅に形成されていることが望ましい。これにより、配線基板200の折り曲げ性の悪化を抑制できる。
【0023】
図3及び図4に示した例では、アライメントマーク250は、少なくとも1つの配線パターン230と一体化されたが、図5及び図6に示したように、アライメントマーク250をベースフィルム210上に島状に形成し、配線パターン230とともにアライメントマーク250の一部をカバーフィルム240によって覆うように構成しても良い。このカバーフィルム240は、配線基板200の略全体にわたるベタ膜であるため、大きな設置面積でベースフィルム210との間にアライメントマーク250の一部を挟持することが可能である。このため、アライメントマーク250をベースフィルム210から剥がれにくくすることができ、アライメントマーク250の表示パネル100側への転写を抑制することができる。
【0024】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0025】
例えば、上述した実施の形態において、表示装置は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置などの自己発光型表示装置でも良いし、液晶表示装置であっても良い。有機EL表示装置の場合、表示パネル100は、各表示画素PXにおいて、画素回路及び画素回路によって駆動制御される表示素子を備えて構成されている。また、液晶表示装置の場合、表示パネル100は、一対の基板間に液晶層を保持して構成され、各表示画素PXにおいて、画素電極と対向電極との間に液晶層を保持した表示素子、画素電極に所定の電位を書き込むためのスイッチング素子などを備えて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る配線基板を備えた表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した表示装置をA−A線で切断したときの表示パネル及び配線基板の断面構造を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示した配線基板の構造を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示した配線基板をB−B線で切断したときの断面構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図2に示した配線基板の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示した配線基板をC−C線で切断したときの断面構造を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0027】
100…表示パネル、102…表示エリア、110…パッド、200…配線基板、210…ベースフィルム、220…電極部、230…配線パターン、240…カバーフィルム、250…アライメントマーク、300…異方性導電膜、PX…表示画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物の複数のパッドとそれぞれ電気的に接続可能な電極部と、
前記電極部のそれぞれと接続された配線パターンと、
前記配線パターンの少なくとも1つと一体化されたアライメントマークと、
を備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記配線パターンは、カバーフィルムによって覆われたことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記アライメントマークと一体化された前記配線パターンは、接地されたことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記アライメントマークは、複数の配線パターンを伴って一体化され、
前記アライメントマークと一体化された前記配線パターンのそれぞれの間隔は、電極部と接続された他の配線パターンの間隔と略同等であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
接続対象物の複数のパッドとそれぞれ電気的に接続可能な電極部と、
前記電極部のそれぞれと接続された配線パターンと、
アライメントマークと、
前記配線パターンを覆うとともに前記アライメントマークの一部を覆うカバーフィルムと、
を備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項6】
画像を表示する表示エリアを備えた表示パネルと、
前記表示パネルに接続された配線基板と、を備え、
前記配線基板は、前記表示パネルの一側縁に配置された複数のパッドとそれぞれ電気的に接続される電極部と、
前記電極部のそれぞれと接続された配線パターンと、
前記配線パターンの少なくとも1つと一体化され、前記表示パネルと前記配線基板とを接続する際の相対的な位置合せの目安となるアライメントマークと、
を備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−5540(P2007−5540A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183385(P2005−183385)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】