説明

配線基板

【課題】簡単な作業でICの接続端子をメタルコア材に接続することが可能な配線基板を提供する。
【解決手段】導電性のメタルコア材21と、メタルコア材21の外周面を覆うように配設される絶縁層41,43と、複数の接続端子17a,18aを有し、絶縁層の少なくとも一方の面に実装されるIC12を備え、IC12に設けられる少なくとも一つの接続端子の領域に存在する絶縁層を除去し、この領域に銅板15を設ける。そして、接続端子とメタルコア材21とを、銅板15を介して電気的に接続する。これにより、簡単な作業でIC12の接続端子をメタルコア材21に接続することができ、ひいては放熱特性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルコア層を備える配線基板に係り、特に基板表面に実装される電子部品の放熱特性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される配線基板は、通電することにより基板に実装されたIC等の電子部品の温度が上昇するので、この熱を効率よく放熱することが望まれる。そこで、従来より、例えば、特許文献1に開示されているように、電子部品の接続端子を基板のコア層や基板の裏面側に設けられるバスバー等の放熱性に優れた部分に接続することにより、電子部品に蓄積される熱を効率良く放熱することが提案されている。
【0003】
図5は従来におけるメタルコア層を有する配線基板100の平面図、図6は同断面図であり、図5に示すように、基板113の略中央にはIC等の電子部品101が実装されている。また、図6に示すように、基板113の中間には導電性のコア層102が設けられ、その上面、及び下面にそれぞれ絶縁層103,104が形成され、絶縁層103の上面側には配線パターン105が形成され、絶縁層104の下面側には配線パターン106が形成されている。また、基板表面にはIC等の電子部品101が実装されている。また、コア層102の一部は外側に突起しており、外部機器と接続するための端子部102aとされている
更に、絶縁層104の一部は開口部107とされ、この開口部107とされた部分は、コア層102が表面に露出している。そして、電子部品101の接続端子111は配線パターン105に接続され、接続端子112は、開口部107を通してコア層102に接続されている。
【0004】
従って、接続端子112に流れる電流はコア層102を経由して流れることになるので、接続端子112の導電性が高まると共に、伝熱特性が高まり、該接続端子112に大電流が流れる場合であっても、電子部品101の温度上昇を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−100553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示した従来の配線基板100では、電子部品101の接続端子112を絶縁層103に形成された開口部107の下側に設けられるコア層102まで引き伸ばす必要があるので、汎用の電子部品をそのまま基板上に実装することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡単な作業で電子部品の接続端子をメタルコア材に接続することが可能な配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、導電性のメタルコア材(21)と、前記メタルコア材の外周面を覆うように配設される絶縁層(41,43)と、複数の接続端子(17a〜17e,18a,18b)を有し、前記絶縁層の少なくとも一方の面に実装される電子部品(12)と、を備え、前記電子部品に設けられる少なくとも一つの前記接続端子の領域に存在する前記絶縁層を除去し、この領域に導電板(例えば、銅板15)を設け、前記接続端子と前記メタルコア材とを、前記導電板を介して電気的に接続することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記導電板は、その表面が前記絶縁層の表面と一致するように配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記メタルコア材と同一となる層に、外側に向けて突起する導電性で長尺状の端子部(22a〜22d)を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記メタルコア材は、複数のコア部材(21a〜21c)に分離され、各コア部材は、前記導電板を介してそれぞれ異なる前記接続端子に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、メタルコア材の上面を覆う絶縁層の、端子部の領域となる部分を除去し、この領域に導電板を設け、更に端子部を導電板に接続するので、配線基板に実装される電子部品より発生する熱を効率よくメタルコア材に伝達することができ、放熱特性を向上させることができる。
【0013】
請求項2の発明では、絶縁層の表面と導電板の表面が一致するように、導電板が配置されるので、基板表面を平準化することができ、汎用の電子部品を容易に実装することが可能となる。
【0014】
請求項3の発明では、メタルコア材と同一となる層に端子部が設けられるので、他の電子部品と接続するためのコネクタとして用いることができ、配線基板の接続を容易に行うことができる。
【0015】
請求項4の発明では、メタルコア材が複数のコア部材に分離されるので、電子部品に設けられる複数の接続端子を複数のコア部材に接続して、放熱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る配線基板の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る配線基板の、メタルコア層を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る配線基板の、概略的な断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る配線基板を樹脂でモールドした構成を示す断面図である。
【図5】従来におけるメタルコア材を用いた配線基板の平面図である。
【図6】従来におけるメタルコア材を用いた配線基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1,図2は、本発明の一実施形態に係る配線基板51の構成を示す説明図であり、図1は平面図、図2は基板内部のメタルコア材21(コア部材21a,21b,21c)が設けられる層の平面図である。また、図3は配線基板51の概略断面図である。
【0018】
図1に示すように、この配線基板51は、全体が矩形状をなす基板本体11を有しており、該基板本体11の表面にはIC12(電子部品)、及び各種の部品13が実装されている。また、図3に示すように、この配線基板51は多層構造を有しており、中央の層には導電性のメタルコア材21(メタルコア材;例えば、銅板)が設けられ、その上面(図2に示すメタルコア材21の上側)には絶縁層41が積層され、下面(図2に示すメタルコア材21の下側)には絶縁層43が積層されている。即ち、メタルコア材21の周囲を覆うように絶縁層41,43が積層されている。
【0019】
また、図2に示すように、メタルコア材21は、複数個(この例では3個)のコア部材21a〜21cに分割されている。更に、基板本体11の一部の領域は絶縁層41が除去されており、この除去された領域に銅板(導電板)15が設けられている。この際、銅板15の表面と絶縁層41の表面とが一致するように設けられる。
【0020】
銅板15は、スポット溶接、圧入等を用いてメタルコア材21に接続することができる。また、接続端子18aと銅板15との接続は、スポット溶接、或いは半田付けを用いることができる。
【0021】
更に、絶縁層41の上面には配線パターン14(14a,14b)が形成され、絶縁層43の下面には配線パターン44が形成されている。なお、配線パターン14,44は、必要に応じて配索されるので、配線パターン14,44が存在しない領域も存在し、この領域では図3に示す絶縁層41,43が表面、及び裏面に露出することになる。なお、図3の断面図に示す配線パターン14,44は、理解を促進するために厚さを誇張して記載している。従って、実際には配線パターン14,44の厚さは、絶縁層41,43に対して薄い。
【0022】
また、図1に示すように、IC12は接続端子17a〜17e、及び接続端子18a,18bを有しており、このうち接続端子17aは、配線パターン14aに接続されている。また、該配線パターン14aには、スルーホール16aが穿設されており、図2に示すように、このスルーホール16aはコア部材21aに電気的に接続され、ひいてはコア部材21aと一体化されて外部に突起する端子部22aに接続される。
【0023】
更に、図1に示すように、接続端子18bは、配線パターン14bに接続され、該配線パターン14bにはスルーホール16bが穿設されている。従って、配線パターン14bは図2に示すコア部材21cに電気的に接続され、ひいてはコア部材21cと一体化されて外部に突起する端子部22dに接続される。
【0024】
また、接続端子18aは銅板15に接続され、更に銅板15はコア部材21bに接続されている。更には、コア部材21bと一体化されて外部に突起する端子部22b,22cに接続されている。従って、IC12の接続端子18aは、コア部材21bに接続され、ひいては該コア部材21bから外部に突起するように設けられる端子部22b,22cと電気的に接続されることになる。
【0025】
そして、この配線基板51は、図3に示すように、絶縁層41の一部を除去し、この除去した部分に銅板15を設ける構成としているので、IC12の接続端子18aを銅板15に接続することにより、該銅板15を経由して接続端子18aとコア部材21bと電気的に接続することができる。また、IC12を放熱特性の高いコア部材21bに接続することができる。
【0026】
このようにして、本実施形態に係る配線基板51では、IC12の接続端子18aを銅板15を経由してコア部材21aに接続し、ひいては端子部22b,22cに接続するので、配線パターン及びスルーホールを介して接続端子とメタルコア材とを接続する場合と対比して、導電性を高めることができる。また、IC12で発生する熱は、接続端子18a、銅板15を介して放熱特性の高いコア部材21bに連結されるので、IC12で発生する熱を効率よく放熱することができ、IC12の温度上昇を抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態に係る配線基板51は、図4に示すように、周囲を外装材32で覆設し、その内部に樹脂31を充填して全体をモールドし、配線基板51をモジュール化する構成とすることにより、銅板15と樹脂31とが接触するので、IC12で発生した熱を銅板15を介して樹脂31に伝達することができ、より一層の放熱効果を達成することが可能となる。
【0028】
以上、本発明の配線基板を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、一つの接続端子18aをコア部材21bに接続する例について説明したが、他の接続端子17a〜17e,18bを、導電板を介してコア部材21a或いは21cに接続する構成としても良い。
【0030】
また、上述した実施形態では、絶縁層41を除去した部分に導電性を有する板材(導電板)として銅板15を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の材質の導電板を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、配線基板の放熱性を高めることに利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
11 基板本体
12 IC
13 部品
14(14a,14b) 配線パターン
15 銅板
16a,16b スルーホール
17a〜17e 接続端子
18a,18b 接続端子
21 メタルコア材
21a〜21c コア部材
22a〜22d 端子部
31 樹脂
32 外装材
41,43 絶縁層
44 配線パターン
51 配線基板
100 配線基板
101 電子部品
102 コア層
102a 端子部
103,104 絶縁層
105 配線パターン
107 開口部
111,112 接続端子
113 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のメタルコア材と、
前記メタルコア材の外周面を覆うように配設される絶縁層と、
複数の接続端子を有し、前記絶縁層の少なくとも一方の面に実装される電子部品と、を備え、
前記電子部品に設けられる少なくとも一つの前記接続端子の領域に存在する前記絶縁層を除去し、この領域に導電板を設け、前記接続端子と前記メタルコア材とを、前記導電板を介して電気的に接続することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記導電板は、その表面が前記絶縁層の表面と一致するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記メタルコア材と同一となる層に、外側に向けて突起する導電性で長尺状の端子部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の配線基板。
【請求項4】
前記メタルコア材は、複数のコア部材に分離され、各コア部材は、前記導電板を介してそれぞれ異なる前記接続端子に接続されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74244(P2013−74244A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214315(P2011−214315)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】