説明

配車管理装置

【課題】 車両や乗務員についての要望に沿った配車のための手間を削減できる配車管理装置を提供する。
【解決手段】 乗務員データベース記憶部31は、乗務員識別データと乗務員属性データを含む乗務員データベースを記憶している。運行管理テーブル記憶部37は、車両識別データと車両属性データを記録すると共に、各車両に乗車している乗務員の乗務員識別データを記録する運行管理テーブルを記憶している。乗務員識別コードが車載端末から受信されると、その乗務員識別データが該当車両と関連づくように運行管理テーブルに登録される。車両属性と乗務員属性とを含む配車要求データが入力されると、運行管理テーブルと乗務員データベースとを参照して、配車要求データに該当する適合車両が検索される。検索された適合車両が搭載する車載端末へ、配車指示が送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの配車を管理する配車管理装置に関し、特に、顧客の要望に適切に応えられる配車管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの配車は専ら無線装置を使って手作業のみで行われていた。これに対して、近年は、AVM(Automatic Vehicle Monitor)配車システムといわれる技術が実用化されている。GPS−AVM配車システムでは、車載端末(移動局)がGPSを使って現在位置を検出し、検出した現在位置を配車管理装置に送信する。配車管理装置では、各車両の位置を地図上に表示することができる。また、配車管理装置は、配車を希望する顧客に近い車両を自動的に検出することができる。AVM配車システムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−150491号公報(第6−9ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の配車管理装置においては、車両の種類や乗務員の属性についての顧客の要望に沿うためには、オペレータの手作業に頼る必要があり、この作業が繁雑であるという問題があった。
【0004】
上記の問題をさらに説明すると、タクシーの車両にもワゴン車等の種類があり、顧客が車両の種類を指定することがある。また、顧客は、乗務員についても、介護資格者等の属性を指定をすることがある。一方で、一台のタクシー車両が複数の乗務員により交替で使用されることがある。また、一人の乗務員が複数台の車両を乗り換えることもある。そのため、従来は、どの車両にどの乗務員が乗っているかが乗車勤務表を使って手作業で管理されている。そして、オペレータが、乗車勤務表を見ながら手作業で、顧客に要望に沿った車両であって、顧客が望む乗務員が乗った車両を探していた。あるいは、音声通信によって全車両に問い合わせを発することで、適当な車両が探されていた。このように、従来は手作業で顧客の要望に合う車両を探していたので、配車管理作業が繁雑であり、迅速なサービスという観点でも不利であった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、車両や乗務員についての要望に沿った配車のための手間を削減できる配車管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配車管理装置は、複数の車両の各々に搭載された車載端末と通信する通信部と、乗務員毎の乗務員識別データおよび乗務員属性データを含む乗務員データベースを記憶した乗務員データベース記憶部と、車両毎の車両識別データおよび車両属性データを記録すると共に、各車両に乗車している乗務員の乗務員識別データを記録する運行管理テーブルを記憶した運行管理テーブル記憶手段と、前記通信部により前記車載端末から受信された乗務員識別データを受け付ける乗務員識別データ受付手段と、前記乗務員識別データ受付手段により受け付けられた前記乗務員識別データを、該乗務員識別データを送ってきた前記車載端末に対応する車両識別データと関連づくように前記運行管理テーブルに登録するテーブル登録手段と、車両属性と乗務員属性とを含む配車要求データを入力する配車要求入力手段と、前記運行管理テーブルと前記乗務員データベースとを参照して、前記配車要求データの車両属性および乗務員属性に該当する適合車両を前記運行管理テーブルから検索する適合車両検索手段と、前記適合車両検索手段により検索された適合車両が搭載する車載端末へ前記通信部を介して配車指示を送信する配車指示送信処理手段とを備えている。
【0007】
この構成により、乗務員データベースと運行管理テーブルを設け、乗務員データベースに乗務員属性を登録し、運行管理テーブルに車両属性を登録するとともに、運行管理テーブル上で車両と乗務員をひもづけている。そして、配車要求データが入力されると、運行管理テーブルと乗務員データベースとを参照して、配車要求データの車両属性と乗務員属性に該当する適合車両が検索され、検索された適合車両に配車指示が送信されるので、顧客の要望に沿った配車のための手間を削減できる。
【0008】
また、本発明の配車管理装置において、前記適合車両検索手段は、各車両の車載端末から受信される車両位置データと前記配車要求データに含まれる顧客位置とに基づき、車両属性および乗務員属性に該当する適合車両の中で、顧客位置に最も近い車両を求めるように構成されている。この構成により、車両属性と乗務員属性の要求に適合する複数の車両がある場合に、距離の観点から最適な車両を選別できる。
【0009】
また、本発明の別態様は、複数の車両の各々に搭載された車載端末と、それら複数の車載端末と通信する通信部を有する配車管理装置と、を備えた配車システムである。この配車システムにおいては、前記配車管理装置が、複数の車両の各々に搭載された車載端末と通信する通信部と、乗務員毎の乗務員識別データおよび乗務員属性データを含む乗務員データベースを記憶した乗務員データベース記憶部と、車両毎の車両識別データおよび車両属性データを記録すると共に、各車両に乗車している乗務員の乗務員識別データを記録する運行管理テーブルを記憶した運行管理テーブル記憶手段と、前記通信部により前記車載端末から受信された乗務員識別データを受け付ける乗務員識別データ受付手段と、前記乗務員識別データ受付手段により受け付けられた前記乗務員識別データを、該乗務員識別データを送ってきた前記車載端末に対応する車両識別データと関連づくように前記運行管理テーブルに登録するテーブル登録手段と、車両属性と乗務員属性とを含む配車要求データを入力する配車要求入力手段と、前記運行管理テーブルと前記乗務員データベースとを参照して、前記配車要求データの車両属性および乗務員属性に該当する適合車両を前記運行管理テーブルから検索する適合車両検索手段と前記適合車両検索手段により検索された適合車両が搭載する車載端末へ前記通信部を介して配車指示を送信する配車指示送信処理手段とを備えている。この構成によっても、上述の本発明の利点が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、乗務員データベースに乗務員属性を登録し、運行管理テーブルに車両属性を登録するとともに、運行管理テーブル上で車両と乗務員をひも付け、これら運行管理テーブルと乗務員データベースとを参照して配車要求データの車両属性と乗務員属性に該当する適合車両を検索することにより、顧客の要望に沿った配車のための手間を削減できるという効果を有する配車管理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の配車管理装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、本発明がAVMタクシー配車システムに適用される。そして、AVMタクシー配車システムのAVM管理装置が、本発明の配車管理装置に相当する。
【0012】
本発明の実施の形態のAVMタクシー配車システム1を図1に示す。図1において、AVMタクシー配車システム1は、AVM管理装置3とAVM移動局装置5とで構成されている。AVM管理装置3はタクシー会社に設置されている。AVM移動局装置5は、各車両に搭載された車載端末であり、AVM管理装置3と通信する。AVM管理装置3は、配車端末7、電話受付端末9および顧客データベース装置11で構成されている。
【0013】
配車端末7は、キーボード、ディスプレイ、マイク、スピーカ等の入出力装置を備えたコンピュータであり、オペレータによって操作される。配車端末7において、制御部21は配車端末7の全体を制御している。画面処理部23はディスプレイに地図および車両位置マークなどを表示する処理を行う。画面処理部23は、配車のための検索等の画面も表示する。また、送受信装置25は本発明の通信部であり、AVM移動局装置5との間で無線通信を行う。通信処理部27は、電話受付端末9との間でデータを通信する。
【0014】
さらに、乗務員コード処理部29は、乗務員データベース記憶部31に記憶された乗務員データベースに対して更新および検索等の処理を行う。また、配車処理部33は、配車に関する処理を行う。配車処理部33は、例えば、地図データベース記憶部35に記憶された地図上に、AVM移動局装置5から受信した車両位置を表示する処理を行う。また、本実施の形態では、配車処理部33が、運行管理テーブル記憶部37に記憶された運行管理テーブルに対して読書きおよび検索等の処理を行い、運行管理テーブルを利用して配車処理を行うように構成されている。
【0015】
次に、電話受付端末9は、配車端末7と同様、キーボード、ディスプレイ、マイク、スピーカ等の入出力装置を備えたコンピュータである。電話受付端末9は、配車端末7と別々のオペレータによって操作されてもよく、また、配車端末7と同じオペレータによって操作されてもよい。電話受付端末9と配車端末7を一体化することも可能である。
【0016】
電話受付端末9において、制御部41は電話受付端末9の全体を制御しており、画面処理部43は、配車要求(依頼)入力用の画面や顧客情報の画面をディスプレイに表示する処理を行う。また、電話受付処理装置45は、電話の機能を有しており、顧客の電話と接続されて、配車の依頼を受け付けるために使用される。通信処理部47は、配車端末7の通信処理部27との間でデータを通信する。また、顧客データベース処理部49は、顧客データベース装置11の顧客データベース51に対して、顧客のデータを検索する処理を行う。
【0017】
また、顧客データベース装置11において、顧客データベース51は、過去に依頼を受けた顧客の名前、住所、電話番号、利用履歴といったデータを記憶している。顧客データベース処理装置53は、顧客データベース51の更新等の処理を行う。
【0018】
次に、AVM移動局装置5について説明する。AVM移動局装置5は、車両に搭載されるコンピュータ装置であり、スイッチ、ディスプレイ、マイク、スピーカ等の入出力装置を備えており、乗務員によって操作される。
【0019】
AVM移動局装置5において、制御部61はAVM移動局装置5の全体を制御しており、画面処理部63はディスプレイに必要な情報(例えば、配車後の迎車のための顧客住所等)を表示する処理を行う。また、送受信装置65は配車端末7の送受信装置25との間で無線通信を行う。位置検出部67は、GPS装置で構成されており、車両の現在位置を検出する。位置検出部67が、GPSと自立航法の両方を用いる構成を有してよいことはもちろんである。位置検出部67は、逐次検出した現在位置を制御部61に供給し、制御部61は、現在位置データを定期的に送受信装置65を介して配車端末7に送信する。
【0020】
乗務員コード入出力部69は、上述の入出力装置によって実現されており、乗務員コードを入力し、入力された乗務員コードを表示する。乗務員コード送信処理部71は、入力された乗務員コードを送受信装置65に配車端末7へ送信させる処理を行う。
【0021】
上記の構成において、本実施の形態では、特に、配車端末7に乗務員データベース記憶部31と運行管理テーブル記憶部37が設けられ、これらを使った情報処理によって好適な配車が行われる。
【0022】
図2は、乗務員データベースを示している。乗務員データベースは、各乗務員の乗務員名、乗務員コードおよび乗務員属性のテーブルである。乗務員名および乗務員コードは本発明の乗務員識別データに相当する。乗務員属性は、乗務員の性別と資格を有する。資格は、例えば、介護に関する資格である。ただし、乗務員属性はこれらに限定されず、さらに他の情報を含んでよい。
【0023】
図3は、運行管理テーブルを示している。運行管理テーブルは、各車両の車両番号、車両属性、配車対象設定および車両状態のテーブルである。車両番号は本発明の車両識別データに相当する。車両属性は、車両の種類であり、大型、小型、ワゴン等である。配車対象設定は、配車対象に設定されているか否かの情報である。後述する処理で配車対象に設定されると、配車対象設定の欄が、非対象から対象になる。また、車両状態は、空車、実車、迎車、回送等の車両の状態であり、AVM移動局装置5から受信された車両状態データが書き込まれている。なお、運行管理テーブルは複数に分割されていて、互いに関連づけられていてもよい(他のテーブルも同様)。
【0024】
図3に示されるように、運行管理テーブルには、さらに、各車両に乗車している乗務員の乗務員コードと乗務員名が登録される。乗務員コードおよび乗務員名は、後述する処理で、AVM移動局装置5から受信されて運行管理テーブルに書き込まれる。
【0025】
図4は、顧客データベース51を示している。図示のように、顧客データベース51は、過去に依頼を受けた顧客の名前、住所、電話番号、利用履歴といったデータを記憶している。
【0026】
次に、本実施の形態に係るAVMタクシー配車システム1の動作を説明する。図5および図6は、車両が運行を開始するときのAVM移動局装置5および配車端末7の動作を示すフローチャートである。
【0027】
図5において、AVM移動局装置5では、エンジンが起動すると(S1)、乗務員コードが乗務員コード入出力部69から入力されて、制御部61に受け付けられる(S3)。制御部61は、入力された乗務員コードがダミーコードであるか否かを判定し(S5)、乗務員コードが所定のダミーコード(例えば、999といった数字)であれば、配車対象外モードで開局処理を行う(S7)。これにより、配車端末7で配車対象に設定されることなく、流し営業が実施されることになる。
【0028】
入力された乗務員コードがダミーコードでなければ、制御部61は、送受信装置65に配車端末7へ乗務員コードを送信させる(S9)。乗務員コードは、車両識別データである車両番号と共に配車端末7へ送信される。そして、乗務員コードの無線送信に成功したか否かが判定され(S11)、成功しなければ、配車対象外としての開局処理が行われ(S13)、ステップS9に戻って乗務員コードの送信を続ける。乗務員コードの送信に成功するまでは乗務員コードの送信を続けるとともに、流し営業が実施されることになる。乗務員コードの送信に成功すると、配車対象としての開局処理が行われる(S15)。なお、開局処理は、AVM移動局装置5を移動局として機能させ、適当な間隔で現在位置を配車端末7にアップするなどの移動局としての所定の動作を開始する処理である。
【0029】
図6に示されるように、配車端末7では、送受信装置25が乗務員コードを受信して制御部21に供給する(S31)。そして、配車処理部33が、運行管理テーブルの該当車両の配車対象設定を非対象から対象に変え、これにより該当車両が配車対象(配車される車両の候補)に設定される(S33)。さらに、乗務員コード処理部29が、乗務員データベース記憶部31の乗務員データベースから、乗務員コードに該当する乗務員名を検索する(S35)。該当する乗務員名があれば(S37、Yes)、乗務員コードおよび乗務員名が車両番号と関連づけられる(S39)。ここでは、配車処理部33が、運行管理テーブルの該当車両の欄に、受信された乗務員コードと検索された乗務員名を書き込む。そして、制御部21が、検索された乗務員名を通信処理部27にAVM移動局装置5へ送信させる(S41)。また、乗務員コードに該当する乗務員名が乗務員データベースに存在しなかったときは(S37、No)、制御部21がエラーメッセージを通信処理部27に送信させる(S43)。
【0030】
上記の配車端末7の処理では、制御部21、乗務員コード処理部29および配車処理部33が、乗務員識別データを受け付けて、該当車両と関連づくように運行管理テーブルに登録しており、本発明の乗務員識別データ受付手段およびテーブル登録手段として機能している。
【0031】
図5に戻り、AVM移動局装置5は、配車端末7から乗務員名またはエラーメッセージを受信して表示し(S17)、制御部61が確認操作の有無を判定する(S19)。乗務員名が表示され、その乗務員名が正しければ、乗務員により入力装置に対して確認操作が行われる。確認操作が受け付けられると、制御部61は、確認信号を送受信装置65に配車端末7へ送信させる(S21)。このようにして、本実施の形態では、入力された乗務員コードの正当性をシステムで確認することができる。
【0032】
乗務員がステップS3で間違った乗務員コードを入力していたとする。この場合、間違った乗務員コードがAVM移動局装置5から配車端末7に送られ、配車端末7は、間違った乗務員コードを使って乗務員名を乗務員データベースから検索する。この場合、間違った乗務員名が検索されて、AVM移動局装置5に返される。あるいは、該当する乗務員名がデータベースに存在しないため、エラーメッセージが返ってくる。この場合、確認操作が受け付けられず(S19、No)、乗務員コードが再入力され(S23)、乗務員コードが再送信され(S25)、信号送信が成功したか否かが再度判定される(S27)。信号送信に成功すれば、ステップS17以降の処理に再度進むことになる。また、配車端末7の側では、乗務員コードが受信されると、図6に示した処理をもう一度行うことになる。
【0033】
以上に、開局時の動作を説明した。次に、配車時の動作を説明する。図7および図8は、それぞれ、配車時の配車端末7およびAVM移動局装置5の動作を示している。
【0034】
配車の際は、図7の処理の前に、電話受付端末9が顧客から配車要求(配車の依頼)を受け付ける。電話受付端末9では、顧客からの電話を電話受付処理装置45が受ける。オペレータと顧客が会話し、オペレータは配車要求を電話受付端末9に入力する。新しい顧客の場合、オペレータは、顧客名、電話番号、顧客位置(住所)、顧客からの要望(リクエスト)を入力する。顧客の要望は、車両属性および乗務員属性である。車両属性は、ワゴン車等の車両の種類である。また、乗務員属性は性別および資格である。配車要求は所定の入力画面に入力されて、制御部41に受け付けられ、制御部41は、配車要求データを通信処理部47に配車端末7へ送信させる。
【0035】
顧客が新規でない場合、顧客データベース51に登録された顧客情報が利用される。例えば、オペレータは、顧客から聞いた電話番号を入力して、顧客情報を検索する。画面には、名前、電話番号、住所といった顧客情報が表示される。この顧客情報が配車要求データに加えられてよい。
【0036】
以上のようにして、配車要求データが電話受付端末9から配車端末7に送られ、配車端末7の通信処理部27に受信され、制御部21に供給される。このとき、通信処理部27は、配車要求データを入力する配車要求入力手段として機能する。配車要求データが入力されると、図7の処理が開始する。
【0037】
図7では、制御部21が配車要求データを受け付け、配車処理部33に渡す(S51)。配車処理部33は、配車呼出信号を生成し、生成した配車呼出信号を全車両に送信する処理を行う(S53)。配車呼出信号には、配車要求の中の顧客位置(住所)が含められる。配車呼出信号は、配車端末7の送受信装置27から無線通信で各AVM移動局装置5へ送信される。
【0038】
そして、図8に示すように、各々のAVM移動局装置5では、送受信装置65が、配車呼出信号を受信して制御部61に供給し(S81)、制御部61は応答信号を送信するか否かを判定する(S83)。このステップでは、制御部61は、配車呼出信号に含まれた顧客位置を取得し、顧客位置を、現在位置検出部67が検出する現在位置と比較する。そして、制御部61は、顧客位置と現在位置の距離を計算し、この距離が所定のしきい値以下であるか否かを判定する。車載の地図データベースを用いてナビゲーション技術により距離を計算することが好適である。そして、顧客位置と現在位置の距離がしきい値以下であれば、ステップS83の判定がYesになる。上記しきい値は、例えば、500mといった距離である。また、制御部61は、車載の地図データベースを用いてナビゲーション技術により現在位置から顧客位置までの到達時間(走行時間または旅行時間ともいう)を計算し、所定のしきい値(時間)と比較してもよい。この場合、到達時間がしきい値以下であれば、ステップS83の判定がYesになる。ステップS83の判定がNoであれば、制御部61は、配車呼出信号を無視する処理を行い、配車端末7に応答しない(S91)。ステップS83の判定がYesであれば、制御部61は、送受信装置65に配車端末7へ応答信号を送信させる(S85)。このとき、制御部61は、位置検出部67で検出された最新の現在位置データを含んだ応答信号を生成および送信する。また、応答信号は、該当車両の車両番号を含んでいる。
【0039】
上記のようにして、AVM管理装置3は、配車要求を受け付けると、まず、配車呼出信号を送り、顧客に比較的近い車両から現在位置を含む応答信号を受信する。なお、AVM管理装置3は、配車要求が入力されなくても、各車両から適当な間隔で現在位置を受信している。しかし、この現在位置は、所定の距離を走行するたびに、あるいは、所定の時間が経過するたびに取得され、最新の位置情報ではない。これに対して、配車呼出信号を受け付けたときは、AVM移動局装置5は最新の現在位置をAVM配車管理装置3に送信し、したがって、AVM配車管理装置3は各車の最新の車両位置を用いて配車の処理を行う。
【0040】
図7に示すように、AVM配車管理装置3では、送受信装置27が、現在位置を含む応答信号を受信し、配車処理部33に供給する(S55)。また、配車処理部33は、配車要求データを解析して、車両条件があるか否か(配車要求データに車両属性が含まれているか否か)を判定し(S57)、車両条件があれば、その車両条件(車両属性)を検索キーとしてセットする(S59)。また、配車処理部33は、配車要求データに乗務員条件があるか否か(配車要求データに乗務員属性が含まれているか否か)を判定し(S61)、乗務員条件があれば、その乗務員条件(乗務員属性)を検索のキーとしてセットする(S63)。
【0041】
そして、配車処理部33は、乗務員コード処理部29と共に機能して、セットした検索条件の車両属性と乗務員属性に該当する適合車両を検索する(S65)。適合車両は、配車対象(候補)に設定されている車両の中から検索される(図6のステップS33で設定)。また、適合車両は、ステップS53で応答信号が受信された車両の中から選ばれ、さらに、後述するように顧客位置に最も近い車両が選ばれる。
【0042】
ステップS65の処理について詳細に説明すると、配車処理部33は、運行管理テーブル記憶部37の運行管理テーブルから適合車両を検索する。このとき、乗務員データベース記憶部31の乗務員データベースが利用される。そして、配車処理部33は、「(1)配車要求の車両属性に運行管理テーブル上で該当している車両であって、かつ、(2)乗務員データベース上で配車要求の乗務員属性に該当する乗務員識別データと運行管理テーブル上で関連づけられている車両」、を検索する。
【0043】
例えば、配車要求の車両属性が「大型」であり、乗務員属性が「介護2種資格者」であったとする。配車処理部33は、運行管理テーブルから、車両属性が大型車の車両番号を抽出し、さらに、抽出された車両番号と運行管理テーブルで関連づけられた乗務員コードを求める。そして、乗務員コード処理部29が、抽出された乗務員コードのうちで、「介護2種資格者」に該当する乗務員コードを乗務員データベースから検索する。この検索された乗務員コードに運行管理テーブルで関連づけられた車両番号が、適合車両として求められる。
【0044】
配車処理部33は、上記のようにして検索された適合車両のうちで、ステップS53で応答信号を送ってきたAVM移動局装置5が搭載された車両であって、顧客位置に最も近い車両を求める。
【0045】
ここでは、配車処理部33は、各AVM移動局装置5から受信された応答信号中の車両番号と現在位置を参照する。そして、配車処理部33は、適合車両の車両番号中で、応答信号に含まれた車両番号を抽出する。さらに、配車処理部33は、各車両の現在位置と顧客位置の距離を計算する。顧客位置は配車要求データに含まれている。そして、配車処理部33は、最も距離が小さい車両を求める。距離の代わりに時間(現在位置から顧客位置までの到達時間)が計算され、最も時間が小さい車両が求められてもよい。距離または時間は、地図データベース記憶部35の地図データベースを用いて計算される。ナビゲーション技術を用いて距離または時間が計算されてよい。
【0046】
上記のようにして、本実施の形態ではステップS65にて適合車両が求められる。このとき、配車処理部33および乗務員コード処理部29が、適合車両検索手段として機能しており、運行管理テーブルおよび乗務員データベースを参照して配車要求データの車両属性および乗務員属性に該当する適合車両を検索しており、そして、適合車両の中で顧客に最も近い車両を求めている。
【0047】
そして、配車処理部33は、配車メッセージを生成し、ステップS63で求めた顧客に最も近い適合車両に配車メッセージを送信する(S67)。このとき、配車処理部33は配車指示送信処理手段として機能している。配車メッセージは本発明の配車指示に相当し、顧客の名前、電話番号、位置を含むデータである。配車メッセージは、送受信装置25からAVM移動局装置5の送受信装置65に送信される。したがって、前段で応答信号を送った車両のうちで、配車メッセージを受け取った車両が、配車されたことになる。AVM移動局装置5では、図8に示されるように、配車メッセージが受信されたか否かが判定され(S87)、配車メッセージが受信されると(S87、Yes)、その配車メッセージが表示される(S89)。
【0048】
上記の処理において、顧客が車両属性と乗務員属性の一方を指定する場合もある。この場合、配車要求データに一方の属性が含まれ、ステップS59、63の一方にて検索条件として設定され、この検索条件を基に検索が行われることになる。また、顧客が車両属性も乗務員属性も指定しない場合もあり得る。この場合、図7のステップS65では、距離(または時間)のみに基づいて適合車両が探索されてよい。
【0049】
以上に本発明の実施の形態に係るAVMタクシー配車システム1とその配車管理装置について説明した。本実施の形態によれば、上述のような乗務員データベースと運行管理テーブルを設け、乗務員データベースに乗務員属性を登録し、運行管理テーブルに車両属性を登録するとともに、運行管理テーブル上で車両と乗務員をひもづけている。そして、配車要求データが入力されると、運行管理テーブルと乗務員データベースとを参照して、配車要求データの車両属性と乗務員属性に該当する適合車両が検索され、検索された適合車両に配車指示が送信される。したがって、車両属性と乗務員属性についての顧客の要望に沿った配車のための手間を削減できる。
【0050】
また、本実施の形態は、各車両の車載端末から受信される車両位置データと配車要求データに含まれる顧客位置とに基づき、車両属性および乗務員属性に該当する適合車両の中で、顧客位置に最も近い車両を求めるように構成されており、したがって、車両属性と乗務員属性の要求に適合する複数の車両がある場合に、距離の観点から最適な車両を選別できる。
【0051】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる配車管理装置は、車両や乗務員についての要望に沿った配車のための手間を削減できるという効果を有し、タクシー配車システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態におけるAVMタクシー配車システムのブロック図
【図2】乗務員データベースを示す図
【図3】運行管理テーブルを示す図
【図4】顧客データベースを示す図
【図5】開局時のAVM移動局装置の動作を示すフローチャート
【図6】開局時の配車端末の動作を示すフローチャート
【図7】配車時の配車端末の動作を示すフローチャート
【図8】配車時のAVM移動局装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0054】
1 AVMタクシー配車システム
3 AVM管理装置
5 AVM移動局装置
7 配車端末
9 電話受付端末
11 顧客データベース装置
21 制御部
23 画面処理部
25 送受信装置
27 通信処理部
29 乗務員コード処理部
31 乗務員データベース記憶部
33 配車処理部
35 地図データベース記憶部
37 運行管理テーブル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各々に搭載された車載端末と通信する通信部と、
乗務員毎の乗務員識別データおよび乗務員属性データを含む乗務員データベースを記憶した乗務員データベース記憶部と、
車両毎の車両識別データおよび車両属性データを記録すると共に、各車両に乗車している乗務員の乗務員識別データを記録する運行管理テーブルを記憶した運行管理テーブル記憶手段と、
前記通信部により前記車載端末から受信された乗務員識別データを受け付ける乗務員識別データ受付手段と、
前記乗務員識別データ受付手段により受け付けられた前記乗務員識別データを、該乗務員識別データを送ってきた前記車載端末に対応する車両識別データと関連づくように前記運行管理テーブルに登録するテーブル登録手段と、
車両属性と乗務員属性とを含む配車要求データを入力する配車要求入力手段と、
前記運行管理テーブルと前記乗務員データベースとを参照して、前記配車要求データの車両属性および乗務員属性に該当する適合車両を前記運行管理テーブルから検索する適合車両検索手段と、
前記適合車両検索手段により検索された適合車両が搭載する車載端末へ前記通信部を介して配車指示を送信する配車指示送信処理手段と、
を備えたことを特徴とする配車管理装置。
【請求項2】
前記適合車両検索手段は、各車両の車載端末から受信される車両位置データと前記配車要求データに含まれる顧客位置とに基づき、車両属性および乗務員属性に該当する適合車両の中で、顧客位置に最も近い車両を求めることを特徴とする請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
複数の車両の各々に搭載された車載端末と、それら複数の車載端末と通信する通信部を有する配車管理装置と、を備え、
前記配車管理装置は、
複数の車両の各々に搭載された車載端末と通信する通信部と、
乗務員毎の乗務員識別データおよび乗務員属性データを含む乗務員データベースを記憶した乗務員データベース記憶部と、
車両毎の車両識別データおよび車両属性データを記録すると共に、各車両に乗車している乗務員の乗務員識別データを記録する運行管理テーブルを記憶した運行管理テーブル記憶手段と、
前記通信部により前記車載端末から受信された乗務員識別データを受け付ける乗務員識別データ受付手段と、
前記乗務員識別データ受付手段により受け付けられた前記乗務員識別データを、該乗務員識別データを送ってきた前記車載端末に対応する車両識別データと関連づくように前記運行管理テーブルに登録するテーブル登録手段と、
車両属性と乗務員属性とを含む配車要求データを入力する配車要求入力手段と、
前記運行管理テーブルと前記乗務員データベースとを参照して、前記配車要求データの車両属性および乗務員属性に該当する適合車両を前記運行管理テーブルから検索する適合車両検索手段と、
前記適合車両検索手段により検索された適合車両が搭載する車載端末へ前記通信部を介して配車指示を送信する配車指示送信処理手段と、
を備えたことを特徴とする配車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−276961(P2006−276961A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90928(P2005−90928)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】