説明

酸化ガリウム単結晶の製造方法

【課題】基礎吸収端が250〜260nmの範囲にあり、厚さ0.4mmにおける310〜620nmの波長領域(紫外光領域及び可視光領域)での内部透過率が80%以上の光透過率に優れたバルクの酸化ガリウム単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】FZ法(浮遊帯域溶融法)により作製した酸化ガリウム単結晶を原料棒に用いて更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得るようにして、多段階的にFZ法を適用する酸化ガリウム単結晶の製造方法であって、成長速度を2.5〜20mm/hの範囲で結晶成長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酸化ガリウム単結晶の製造方法に関し、具体的には紫外光領域及び可視光領域における透明性に優れたバルクの酸化ガリウム単結晶を得ることができる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶は、無色透明であってバンドギャップが広いため、紫外領域における光学材料をはじめとして、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を得るための半導体用基板、フラットパネルディスプレー、光学的エミッター、太陽電池等で使用される透明導電体、レーザ光共振キャビティ等の光学材料、高温酸素ガスセンサ等のガスセンサ材料、及び光記録材料など、各種材料や高性能デバイスへの応用が検討されている。
【0003】
また、酸化ガリウムは、結晶中に酸素欠損が生ずることでn型半導体としての挙動を示すことから、所定の元素をドープした酸化ガリウム単結晶からなる透明導電膜(特許文献1及び非特許文献1参照)や、Sn、Ge、Ti等を添加した酸化ガリウム粉末を焼結して得た焼結体を原料にして、浮遊帯域溶融法(floating zone method: FZ法)により育成された導電性を備えたバルクの酸化ガリウム単結晶(非特許文献2〜4参照)等が報告されている。そして、例えば、n型半導体としての性質を利用して、酸化ガリウム単結晶からなる基板上に化合物半導体膜(発光層)を設けた垂直構造の発光素子(特許文献2参照)等も提案されている。
【0004】
ところで、酸化ガリウム単結晶をいわゆる光デバイスとして利用する場合には、紫外光域まで透過性が高いことが必要であり、光吸収の短波長化が求められている。すなわち、光透過率がゼロになる点を示す基礎吸収端をより短波長側にシフトさせると共に、そのバンドギャップを更に広げるような試みが必要になる。酸化ガリウムのように透明導電材料となり得る酸化亜鉛(ZnO)等については、MgO等との混晶を形成することで、基礎吸収端を短波長側にシフトさせると共にそのバンドギャップを広げる可能性があることが知られている(例えば非特許文献5参照)。しかしながら、本発明者らが知る限りにおいて、これまでのところ酸化ガリウムについてはこのような具体的な報告例はない。
【0005】
上記で説明したような特性を備える酸化ガリウム単結晶を光デバイス、例えばLEDやLD等を得るための窒化物半導体用基板として用いる場合には、発光をより効率的に外部に取り出すために基板の透明性が十分確保されていることが必要である。特にNd:YAGレーザ(266nm)のような紫外光に対する透過率を向上させることは、光デバイスの研究・開発において重要な課題である。一般に、FZ法により作製された酸化ガリウム単結晶は、900℃で100〜136hアニールすることにより透明性が確保されることが知られている(例えば非特許文献2のFig.3)。しかしながら、アニールによって単結晶中の酸素欠損が酸素によって塞がれ、導電性が失われてしまう。導電性が失われるとデバイス材料としての用途が制限される。
【特許文献1】特開2002−93243号公報
【特許文献2】特開2004−56098号公報
【非特許文献1】Masahiro Orita et al. Appl. Phys. Lett., vol 77, No.25 (2000) 4166-4168
【非特許文献2】Naoyuki Ueda et al. Appl. Phys. Lett., vol 70, No.26 (1997) 3561-3563
【非特許文献3】Y. Tomm et al. Solar Engergy Materials & Solar Cell 66(2001) 369-374
【非特許文献4】E.G. Villora et al. Journal of Crystal Growth 270(2004) 420-426
【非特許文献5】A. Ohtomo et al. Appl. Phys. Lett., 72(1998)2466
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者等は、アニール等を必要とせずに、酸化ガリウム単結晶の紫外光領域における透明性を一層向上させる手段について鋭意検討した結果、驚くべきことには、FZ法により作製した酸化ガリウム単結晶を原料として更にFZ法により酸化ガリウム単結晶を育成することで、得られる酸化ガリウム単結晶の基礎吸収端が短波長側にシフトすることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明の目的は、紫外光領域及び可視光領域における光透過率に優れたバルクの酸化ガリウム単結晶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、浮遊帯域溶融法(floating zone method: FZ法)により作製した酸化ガリウム単結晶を原料棒に用いて、更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得ることを特徴とする酸化ガリウム単結晶の製造方法である。
【0009】
本発明においては、FZ法により作製した酸化ガリウム単結晶を原料として、更にFZ法によって目的の酸化ガリウム単結晶を得る。目的とする酸化ガリウム単結晶を育成する際の成長速度は2.5〜20mm/h、好ましくは5〜10mm/hであり、この速度下で<001>方向に酸化ガリウム単結晶を成長させるのがよい。成長速度が2.5mm/hより遅いと融液がいたずらにたれ易くなって結晶成長に支障をきたすおそれがあり、反対に20mm/hより速いと結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶を得ることが難しくなる。
【0010】
また、目的とする酸化ガリウム単結晶を成長させる際の雰囲気については、酸素含有雰囲気である必要がある。酸素含有雰囲気であれば、酸化ガリウム自体の蒸発が抑えられて、結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶を得ることができる。この酸素含有雰囲気については、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスと酸素との混合ガス雰囲気を挙げることができ、ドライエアや空気であってもよい。酸素含有雰囲気における酸素の混合割合(流量比)については好ましくは5%〜95%となるようにするのがよい。酸素の割合が5%より少ないと結晶成長そのものが困難になり、反対に95%より多くなると融液内にバブルが発生し、それが単結晶中にとりこまれて結晶品質が低下するおそれがある。酸素含有雰囲気で酸化ガリウム単結晶を育成させる際には大気圧下で行うことができるが、2〜3atmで行ってもよい。また、FZ法における加熱方法については通常用いられる方法を採用することができ、例えば光による直接加熱、電子ビーム又は高周波による間接加熱を例示することができる。
【0011】
一方、本発明において原料棒に用いる酸化ガリウム単結晶については、FZ法により得られたものであれば特に制限はないが、具体的には、酸化ガリウム(β-Ga2O3)の粉末、好ましくは純度99.99%以上の酸化ガリウム粉末を焼成して得た酸化ガリウム焼結体を原料棒にして、FZ法により作製した酸化ガリウム単結晶であるのがよい。焼結体を得る際には、酸化ガリウム粉末にSn、Ge、Si等の金属元素又はこれらの酸化物等を添加した粉末材料を用いて酸化ガリウム焼結体を得てもよい。これらの添加物を含んだ粉末材料を用いることで、ドーピング効果により導電性を発現させることができる。
【0012】
原料棒にする酸化ガリウム単結晶をFZ法により作製する際には、通常用いられる条件で行うことができるが、好ましくは酸化ガリウム粉末を静水圧50〜600MPaで1〜3分間ラバープレスして圧縮成形し、これを1400〜1600℃の温度で焼結して酸化ガリウム焼結体を得るのがよい。焼結雰囲気については大気雰囲気で行なうことができる。
【0013】
得られた焼結体について、これを原料棒にしてFZ法により原料用の酸化ガリウム単結晶を育成する。この際、成長速度は5〜20mm/hで<001>方向に酸化ガリウム単結晶を育成するのが好ましい。また、単結晶を成長させる際の雰囲気については、好ましくは酸素含有雰囲気であるのがよい。この酸素含有雰囲気については、目的の酸化ガリウム単結晶をFZ法により製造する際と同様のものを用いることができる。これらの条件下でFZ法により作製した酸化ガリウム単結晶を原料棒にして、更にFZ法により本発明の目的とする酸化ガリウム単結晶を育成すれば、高品質の酸化ガリウム単結晶が作製できることが期待できる。
【0014】
また、上述した本発明の酸化ガリウム単結晶の製造方法を最低限2回繰り返し適用することで結晶性及び透明性がより一層向上した酸化ガリウム単結晶を得ることができる。すなわち、FZ法により作製した酸化ガリウム単結晶を原料棒に用いて更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得る本発明の酸化ガリウム単結晶の製造方法を1サイクルとした場合、この得られた酸化ガリウム単結晶を原料棒として用いて、更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得るようにして2サイクル以上繰り返すことはより好適な結果をもたらす。
【0015】
本発明者等は、本発明における酸化ガリウム単結晶の製造方法によって得られた酸化ガリウム単結晶が、これまでFZ法において一般的とされてきた酸化ガリウム多結晶(焼結体)を原料棒にして得た酸化ガリウム単結晶と比べ、その基礎吸収端がより短波長側にシフトすることを見出した。この理由については、原料棒に用いる焼結体と単結晶との密度差がひとつの要因であると推測される。すなわち、焼結体は単結晶より密度が低く、その分だけFZ法により溶融させて単結晶を成長させる際にガス放出等が多くなり、得られる単結晶の結晶性や光透過率等の光学特性に影響を及ぼすものと考えられる。本発明のように理論密度に近い単結晶を原料棒に用いることで、結晶性及び透明性に優れた高品質の酸化ガリウム単結晶を得ることが可能になる。
【0016】
具体的には、本発明の製造方法によれば、基礎吸収端が250〜260nmの範囲にあって紫外光領域における透明性に優れた酸化ガリウム単結晶を得ることができる。また、厚さ0.4mmにおける310〜620nmの波長領域での内部透過率が80%以上、好ましくは310〜800nmの波長領域での内部透過率が80%以上、更に好ましくは310〜1500nmの波長領域での内部透過率が80%以上の可視光領域の透明性にも優れた酸化ガリウム単結晶を得ることができる。ここで、基礎吸収端とは光透過率がゼロになる点を示す。また、内部透過率とは、薄膜表面における光の反射の寄与を取り除いた透過率であって、紫外可視分光光度計を用いて測定した光透過率Tと反射率Rを用いて、下記式(1)に従い算出される値(Tint)である。これは、薄膜中に入射した光が薄膜中を透過した比率を百分率で示したものである。
int=100×T/(100−R) … …(1)
【0017】
基礎吸収端が250〜260nmの範囲にある酸化ガリウム単結晶であれば、例えばNd:YAGレーザ(266nm)に対する透過率を向上させることができる。また、基礎吸収端が短波長側にシフトすることは酸化ガリウム単結晶のバンドギャップを広げる要因にもなるため、紫外域での発光材料としても好適であり、更にはガスセンサ、高密度光記録用レーザ、各種光情報センシング等のデバイス性能を更に向上させることが可能となる。一方、310〜620nmの波長領域での内部透過率が80%以上であれば、例えば可視域における垂直構造の発光素子を形成するための基板として好適である。更には、種々の発光素子やセンサ等の高性能デバイス作製に供する透明導電性材料としても好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、酸化ガリウム単結晶を用いて多段階的にFZ法を適用して酸化ガリウム単結晶を作製するため、紫外光領域における光透過率に優れたバルクの酸化ガリウム単結晶を得ることができる。特に本発明によって得られた酸化ガリウム単結晶は、一般的なFZ法のように焼結体を原料として得た単結晶と比べて、基礎吸収端が短波長側にシフトするため、例えばNd:YAGレーザ(266nm)に対する透過率を向上させることができる。FZ法は、一般に、るつぼを使用せず、結晶成長の雰囲気を制御することが可能であることから、高品質の単結晶を育成することができる長所を有する上、本発明の製造方法によって得られた酸化ガリウム単結晶は、紫外光領域のみならず、可視光領域における透明性にも優れるため、LEDやLD等を得るための半導体用基板をはじめ、各種光デバイス材料として特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
[原料棒の作製]
純度99.99%の酸化ガリウム粉末(株式会社高純度化学研究所製)を直径10mm×長さ約80mmのラバーチューブに入れ、プレス機を用いて静水圧60MPaで3分間プレス成形して円柱状に固めた。次いで、この円柱状に固めた酸化ガリウム冷間成型体をラバーチューブから取り出し、これを電気炉に入れて大気中1600℃で20時間焼結し、酸化ガリウム焼結体を得た。得られた酸化ガリウム焼結体の密度をアルキメデス法で測定した結果、〜5.8157g/cm3であった。
【0021】
次いで、上記で得られた酸化ガリウム焼結体を原料棒として双楕円の赤外線集光加熱炉(ASGAL社製SS-10W)の上軸に設置し、下軸には種結晶として酸化ガリウム単結晶の<001>方向が軸方向に向くように設置した。この種結晶は、予め酸化ガリウム多結晶を用いて光FZ法によって得た単結晶から切出したものである。また、結晶育成雰囲気については窒素と酸素との混合ガス(N2:79vol%、O2:21vol%)となるようにして、赤外線集光加熱炉の透明石英管内にこの混合ガスを500ml/minで供給した。
【0022】
赤外線集光加熱炉のハロゲンランプ(1.5kW)の光が原料棒と種結晶との先端に集光するようにそれぞれ炉中心に移動させて溶解接触させ、原料棒と種結晶とをそれぞれ20rpmの回転速度で互いに逆向きに回転させながら、<001>方向に結晶成長速度が5mm/hとなるように上下軸を移動させて1気圧下で酸化ガリウム単結晶の育成を行った。上記のようにして、FZ法により直径約9mm×長さ約50mmの酸化ガリウム単結晶Aを得た。この酸化ガリウム単結晶Aの密度をアルキメデス法で測定した結果、〜5.9910g/cm3であった。
【0023】
[酸化ガリウム単結晶の作製]
上記で得た酸化ガリウム単結晶Aを原料棒として、以下のようにしてFZ法により本実施例1で目的とする酸化ガリウム単結晶Bを作製した。
上記と同じ赤外線集光加熱炉の上軸に酸化ガリウム単結晶Aからなる原料棒を設置し、下軸には種結晶として酸化ガリウム単結晶の<001>方向が軸方向に向くように設置した。この種結晶は、予め酸化ガリウム多結晶を用いて光FZ法によって得た単結晶を切出したものである。また、結晶育成雰囲気については窒素と酸素との混合ガスとして乾燥空気(N2:79vol%,O2:21vol%)を赤外線集光加熱炉の透明石英管内に500ml/minで供給した。
【0024】
赤外線集光加熱炉のハロゲンランプ(1.5kW)の光が原料棒と種結晶との先端に集光するようにそれぞれ炉中心に移動させて溶解接触させ、原料棒と種結晶とをそれぞれ20rpmの回転速度で互いに逆向きに回転させながら、<001>方向に結晶成長速度が5mm/hとなるように上下軸を移動させて1気圧下で酸化ガリウム単結晶の育成を行った。その結果、直径約9mm×長さ約50mmの酸化ガリウム単結晶Bを得た。
【0025】
[透過率測定]
上記で得られた酸化ガリウム単結晶Bの(100)面を切り出し、図1に示すように、厚さ(d)が0.4mmであって、約8mm×7mmの酸化ガリウム単結晶試料基板1を用意した。この試料基板1について、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV-3100PC)を用い、スリット幅5nmで室温にて内部透過率を測定した。結果を図2に示す。
【0026】
図2から明らかなように、本実施例1で得られた酸化ガリウム単結晶Bは、as grownの状態で、少なくとも310〜620nmの波長領域での内部透過率が80%以上であり、310〜800nmの波長領域では90%以上であり、可視光領域における透明性に優れていることが確認された。
【0027】
また、図3は、厚さ(d)を1mmにした以外は先の図1を用いて説明した場合と同様にして用意した酸化ガリウム単結晶試料基板1(酸化ガリウム単結晶B)の波長240〜300nmにおける透過率(破線)を示す。この図3には、参考例として、酸化ガリウム単結晶Aからなる厚さ1mmの試料基板の透過率(実線)をあわせて示している。
【0028】
この図3から明らかなように、本実施例1における酸化ガリウム単結晶B(単結晶Aを原料棒に用いたFZ法によって得たもの)の基礎吸収端は258nmであり、酸化ガリウム単結晶A(焼結体を原料棒に用いたFZ法によって得たもの)の基礎吸収端268nmと比べて短波長側にシフトしていることが確認された。また、基礎吸収端付近のスペクトルの立ち上がりも単結晶Bの方が急峻であることが分かる。この点について、図3中に、酸化ガリウム単結晶B及びAのバンドギャップを表すグラフをあわせて示している。このグラフは(αhν)2−hνプロット(α:吸収係数、h:プランク定数、ν:振動数)により単結晶のバンドギャップを求めたものである。これによれば、単結晶A(4.52eV)に比べて単結晶B(4.69eV)のバンドギャップが広がっていることが確認された。すなわち、本実施例1で得られた酸化ガリウム単結晶Bは、紫外光領域における透過率に優れた材料であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の製造方法によって得られた酸化ガリウム単結晶は、結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶であって紫外光領域及び可視光領域における光透過率が優れることから、紫外領域における光学材料をはじめ、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を得るための半導体用基板、フラットパネルディスプレー、光学的エミッター、太陽電池等で使用される透明導電体、レーザ光共振キャビティ等の光学材料、高温酸素ガスセンサ等のガスセンサ材料、及び光記録材料など、各種材料や高性能デバイスに利用するのに適している。特に、本発明の製造方法によれば、アニールを行わなくても透明性に優れた単結晶を得ることができることから光デバイスの作製に好適であり、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)、又はこれらの混晶からなるような窒化物半導体を成長させる基板として適しており、いわゆる垂直型素子構造の発光素子を得ることが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る酸化ガリウム単結晶から用意した試料基板の斜視説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例に係る酸化ガリウム単結晶B(厚さ0.4mmで測定)の内部透過率を示す。
【図3】図3は、本発明の実施例に係る酸化ガリウム単結晶Bの基礎吸収端付近の透過率を示す(破線)。尚、参考例として酸化ガリウム単結晶Aの基礎吸収端付近の透過率(実線)を併せて示す(いずれも厚さ1mmで測定)。
【符号の説明】
【0031】
1 酸化ガリウム単結晶試料基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FZ法により作製した酸化ガリウム単結晶を原料棒に用いて、更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得ることを特徴とする酸化ガリウム単結晶の製造方法。
【請求項2】
成長速度2.5〜20mm/hの範囲で結晶成長させる請求項1に記載の酸化ガリウム単結晶の製造方法。
【請求項3】
得られる酸化ガリウム単結晶の基礎吸収端が250〜260nmの範囲にある請求項1又は2に記載の酸化ガリウム単結晶の製造方法。
【請求項4】
得られる酸化ガリウム単結晶は、厚さ0.4mmにおける310〜620nmの波長領域での内部透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の酸化ガリウム単結晶の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られた酸化ガリウム単結晶を原料棒に用いて、更にFZ法により酸素含有雰囲気下で酸化ガリウム単結晶を得ることを特徴とする酸化ガリウム単結晶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−37725(P2008−37725A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217675(P2006−217675)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】