説明

酸化ケイ素ベースの干渉顔料

本発明は、顔料粒子が、実質的に平行な2面を有しこの間の距離がコアの最も短い軸であるSiOy(0.70≦y≦1.8、特に1.40≦y≦1.8)のコアを含有し、(a)高屈折率材料、特に金属酸化物、;又は(a)半透明の金属薄層を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料;その製造方法及び、その塗料、インクジェット印刷における、生地の染色のための、顔料コーティング(ペイント)、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス用のうわぐすりの着色のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiOy(0.70≦y≦1.95、特に1.1≦y≦1.8)コアを有し、高屈折率の金属酸化物又は半透明な金属薄層を含む(干渉)顔料、干渉顔料の製造方法、及び塗料、インクジェット印刷における、生地の染色のための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス用のうわぐすりのための、その使用に関する。
【0002】
SiO2コアを有する干渉顔料は公知である(Gerhard Pfaff andPeter Reynders, Chem. Rev. 99(1999)1963-1981)。SiO2フレークは、たとえばWO93/08237に記載されている、ナトリウム水ガラス溶液を薄膜としてエンドレスバンド上に塗布し、凝固し、乾燥する方法により製造する。WO93/08237には、高屈折率の金属酸化物又は半透明な金属層でコーティングされたSiO2フレークも記載されている。
【0003】
WO98/53011には、高屈折率及び低屈折率の金属酸化物層(それぞれの間の屈折率差は0.1である)で交互にコーティングされた透明な支持体材料からなる多層コーティングされた干渉顔料が開示されている。金属酸化物層は、湿式法で、対応する水溶性金属化合物の加水分解、分別、乾燥、場合によりこのように得られた顔料を焼成することにより得られる。
【0004】
WO01/57287には、物理蒸着により基材材料、たとえば酸化ケイ素を製造し、得られたフレークをたとえばTiO2で湿式ケミカルコーティングする工程を含む方法が記載されている。WO01/57287の実施例4によれば、厚さ200nm、粒子寸法1〜100μmの酸化ケイ素フレークがPVDにより得られ、次に湿式ケミカル法によりTiO2でコーティングされる。
【0005】
EP-A-803549には、(a)本質的に透明な材料又は金属反射材料からなるコア、及び(b)ケイ素に対する酸素のモル比が0.25〜0.95である酸化ケイ素1種以上から本質的になる少なくとも一つのコーティング、を含有する有色顔料が開示されている。
【0006】
本発明の目的は、現在の技術水準から公知の干渉顔料に比べて、色の濃さ及び色純度が高い干渉顔料を提供することである。
【0007】
前記目的は、顔料粒子が、実質的に平行な2面を有し、この間の距離がコアの最も短い軸であるSiOy(0.70≦y≦1.95、特に1.1≦y≦1.8、最も好ましくは1.4≦y≦1.8)コアを含有し、(a)高屈折率材料、特に金属酸化物を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料、又は顔料粒子が、実質的に平行な2面を有し、この間の距離がコアの最も短い軸であるSiOy(0.70≦y≦1.95、特に1.1≦y≦1.8、最も好ましくは1.4≦y≦1.8)コアを含有し、(a)半透明な金属薄層を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料、により解決された。
【0008】
用語「0.70≦y≦1.95のSiOy」は、酸化ケイ素層のケイ素に対する酸素のモル比が平均値で0.70〜1.95であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)により測定することができる。
【0009】
本発明によれば、用語「アルミニウム」はアルミニウム及びアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえばG. Wassermann in Ullmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie,4.Auflage,Verlag Chemie,Weinheim,Band 7, S.281 to 292に記載されている。特に好適なのは、WO00/12634の10〜12頁に記載される耐食性アルミニウム合金であり、これはアルミニウムのほかにケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む。
【0010】
半透明な金属層に適当な金属は、たとえばCr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、又はNiである。半透明な金属層は通常厚さ5〜25nm、特に5〜15nmである。SiOy基材は平行な表面の一面だけに金属層を有してもよいが、金属層は基材の平行な面の両面上に存在するのが好ましい。
【0011】
金属/SiOy/金属フレークは次の工程
a)(可動)支持体上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)分離剤層の上に金属層を蒸着し、
c)金属層の上にSiOy層(0.70≦y≦1.80)を蒸着し、
d)SiOy層の上に金属層を蒸着し、
e)溶剤中で分離剤層を溶解し、次いで
f)溶剤から金属/SiOy/金属フレークを分離すること
を含むPVD法により製造する。
【0012】
あるいは、金属層は湿式ケミカルコーティングにより又は化学蒸着、たとえば金属カルボニルの気相被着により得ることができる。金属化合物が含まれる水性及び/又は有機溶剤含有媒体に基材を懸濁させ、還元剤を加えることにより基材に被着させる。金属化合物は、たとえば硝酸銀又はニッケルアセチルアセトネートである(WO03/37993)。
【0013】
US-B-3,536,520によれば、塩化ニッケルを金属化合物として用いることができ、次亜リン酸塩を還元剤として用いることができる。EP-A-353544によれば、次の化合物:アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド)、ケトン(アセトン)、カルボン酸及びその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)、ならびに還元糖(グルコース)を湿式ケミカルコーティング用還元剤として用いることができる。
【0014】
半透明な金属層が望ましいなら、金属層の厚さは通常5〜25nm、特に5〜15nmである。
【0015】
非金属外観を有する顔料が望ましいなら、金属層の厚さは>25nm〜100nm、好ましくは30〜50nmである。有色金属エフェクトを有する顔料が望ましいなら、有色又は無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物及び/又は金属の追加の層を被着させることができる。これらの層は透明又は半透明である。高屈折率層及び低屈折率層が交互になっているか、層内で屈折率が徐々に変化する1つの層が存在するのが好ましい。さらなるコーティングによって、耐候性を高めることが可能であり、これは同時にバインダー系へ最適な適応をもたらす(EP-A-268918及びEP-A-632109)。
【0016】
本発明の好適な実施態様では、干渉顔料は、本明細書では約1.65より高い屈折率と定義される「高」屈折率材料と、場合により、本明細書では屈折率約1.65以下と定義される「低」屈折率材料とを含む。無機材料、たとえば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハライド、金属硫化物、金属カルコゲニド、金属窒化物、金属オキシナイトライド、金属炭化物、これらの組合せなど、ならびに有機絶縁材料を含む種々の(絶縁)材料を使用することができる。これらの材料は、入手が容易で、物理もしくは化学蒸着法により、又は湿式ケミカルコーティング法により簡単に被着される。
【0017】
特に好適な実施態様では、酸化ケイ素基材を主成分とする干渉顔料は、「高」屈折率、すなわち屈折率が約l.65よりも高い、好ましくは約2.0よりも高い、最も好ましくは約2.2よりも高い絶縁材料のさらなる層を含み、これをケイ素/酸化ケイ素基材の表面全体に被着する。このような絶縁材料の例として、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、酸化インジウム(In23)、酸化インジウムスズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ユウロピウム(Eu23)、酸化鉄(酸化鉄(II)/鉄(III)(Fe34)及び酸化鉄(III)(Fe23)など)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化サマリウム(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se23)、酸化スズ(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)又はこれらの組合せがある。絶縁材料は、金属酸化物が好ましい。金属酸化物は、吸収特性を有してもよいし有しなくてもよい、単独の酸化物又は酸化物の混合物、たとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、又はZnOであることが可能であり、TiO2が特に好ましい。
【0018】
TiO2層の上に、低屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はこれらの混合物、好ましくはSiO2を被着することにより、色がより濃くより透明な顔料を得ることが可能である(EP-A-892832、EP-A-753545、WO93/08237、WO98/53011、WO9812266、WO9838254、WO99/20695、WO00/42111及びEP-A-1213330)。使用することのできる適当な低屈折率絶縁材料の例として、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)及び金属フッ化物、たとえばフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化ナトリウムアルミニウム(たとえばNa3AlF6又はNa5Al314)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、これらの組合せ、又は屈折率約1.65以下の他の任意の低屈折率材料が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、ジエン又はアルケン、たとえばアクリレート(たとえば、メタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組合せなどを含む有機モノマー及びポリマーを低屈折率材料として用いることができる。さらに、上述の材料は、蒸発、凝縮及び架橋した透明なアクリレート層を含み、U.S. Pat. No. 5,877,895(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている方法により被着させることができる。
【0019】
したがって、好適な干渉顔料は(a)高屈折率金属酸化物のほかに、さらに(b)屈折率の差が少なくとも0.1である低屈折率金属酸化物を含む。
【0020】
示した順序で湿式ケミカル法によりコーティングされた酸化ケイ素(SiOy)基材をベースとする顔料が特に好ましい:
TiO2(基材:酸化ケイ素;層:TiO2、好ましくはルチル型)、(SnO2)TiO2、Fe23、Fe34、TiFe25、Cr23、ZrO2、Sn(Sb)O2、BiOCl、Al23、Ce23、MoS2、Fe23・TiO2(基材:酸化ケイ素;Fe23とTiO2の混合層)、TiO2/Fe23(基材:酸化ケイ素;第1層:TiO2;第2層:Fe23)、TiO2/ベルリンブルー、TiO2/Cr23、又はTiO2/FeTiO3。一般に、層厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmである。
【0021】
別の特に好適な実施態様では、本発明は、高屈折率及び低屈折率の少なくとも3層が交互になる、たとえば、TiO2/SiO2/TiO2、(SnO2)TiO2/SiO2/TiO2、TiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2又はTiO2/SiO2/Fe23などを含有する干渉顔料に関する。好適な層構造は次の通りである:
(A)屈折率>1.65のコーティング、
(B)屈折率≦1.65のコーティング、
(C)屈折率>1.65のコーティング及び
(D)場合により外側保護層。
【0022】
ベース基材上の高屈折率及び低屈折率の個々の層の厚さは、顔料の光学特性に重要である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用用途に左右され、通常10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0023】
(A)層の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。(B)層の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。(C)層の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0024】
(A)層に特に適当な材料は、金属酸化物、金属硫化物又は金属酸化物混合物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4の還元チタン種)、ビスマスバナデート、アルミン酸コバルト、さらにこれらの化合物と別の1種又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。金属硫化物コーティングは、スズ、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト及び/又はニッケルの硫化物から選択するのが好ましい。
【0025】
(B)層に特に適当な材料は、金属酸化物又は対応する酸化物水和物、たとえばSiO2、MgF2、Al23、AlOOH、B23又はこれらの混合物であり、SiO2が好ましい。
【0026】
(C)層に特に適当な材料は、無色又は有色金属酸化物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4の還元チタン種)、ビスマスバナデート、アルミン酸コバルト、さらにこれらの化合物と別の1種又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。TiO2層は、さらに吸収材料、たとえば炭素、選択的吸収着色剤、選択的吸収金属陽イオン(カチオン)を含有することができ、吸収材料でコーティングすることができ、又は部分的に還元することができる。
【0027】
吸収又は非吸収材料の中間層は、層(A)、(B)、(C)及び(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。
【0028】
この実施態様では、好適な干渉顔料は次の層構造を有する:
【表1】

【0029】
本発明の顔料は、所定の厚さが正確で、薄いSiOyフレークの表面が平滑であるという特徴がある。
【0030】
金属酸化物層をCVD(化学蒸着、chemical vapour deposition)により又は湿式ケミカルコーティングにより被着することができる。金属酸化物層は、水蒸気の存在下(比較的低分子量の金属酸化物、たとえば磁鉄鉱)又は酸素及び場合によっては水蒸気の存在下(たとえば、酸化ニッケル及び酸化コバルト)、金属カルボニルの分解により得ることができる。金属酸化物層は、特に、金属カルボニル(たとえば、鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル;EP-A-45 851)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(たとえば、チタン及びジルコニウムテトラ−n−及びイソ−プロパノラート;DE-A-41 40 900)又は金属ハロゲン化物(たとえば、四塩化チタン;EP-A-338 428)の気相加水分解によって、オルガニルスズ化合物(特にアルキルスズ化合物、たとえばテトラブチルスズ及びテトラメチルスズ;DE-A-44 03 678)の酸化分解によって、又はEP-A-668 329に記載されているオルガニルケイ素化合物(特にジ−t−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって被着され、コーティング作業は、流動床反応器中で行うことができる(EP-A-045 851及びEP-A-106 235)。Al23層(B)は、有利にも、他の方法では不活性ガス下で行う(DE-A-195 16 181)アルミニウムでコーティングした顔料を冷却する間の制御された酸化によって行うことができる。
【0031】
ホスフェート、クロメート及び/又はバナデートを含有するならびにホスフェート及びSiO2を含有する金属酸化物層は、DE-A-42 36 332及びEP-A-678 561に記載されている不動態化法にしたがって、金属の酸化ハロゲン化物(たとえば、CrO2Cl2、VOCl3)、特にリンオキシハロゲン化物(たとえば、POCl3)、リン酸及び亜リン酸エステル(たとえば、ジ及びトリメチルならびにジ及びトリエチルホスファイト)及びアミノ基含有オルガニルケイ素化合物(たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシ及びトリメトキシシラン)の気相加水分解又は気相酸化分解によって被着することができる。
【0032】
金属ジルコニウム、チタン、鉄及び亜鉛の酸化物、これらの金属の酸化水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン又はこれらの混合物の層は、湿式ケミカル法による沈殿により被着するのが好ましく、場合によっては、金属酸化物を還元することが可能である。湿式ケミカルコーティングの場合、真珠光沢顔料の製造用に開発された湿式ケミカルコーティング法を使用することができる。これらは、たとえばDE-A-14 67 468、DE-A-19 59 988、DE-A-20 09 566、DE-A-22 14 545、DE-A-22 15 191、DE-A-22 44 298、DE-A-23 13 331、DE-A-25 22 572、DE-A-31 37 808、DE-A-31 37 809、DE-A-31 51 343、DE-A-31 51 354、DE-A-31 51 355、DE-A-32 11 602及びDE-A-32 35 017、DE 195 99 88、WO 93/08237、WO 98/53001及びWO03/6558に記載されている。
【0033】
高屈折率金属酸化物はTiO2及び/又は酸化鉄が好ましく、低屈折率金属酸化物はSiO2が好ましい。TiO2の層はルチル型又はアナタース型にあることができ、ルチル型が好ましい。TiO2層はまた、EP-A-735,114、DE-A-3433657、DE-A-4125134、EP-A-332071、EP-A-707,050又はWO93/19131に記載されているように、公知の手段、たとえばアンモニア、水素、炭化水素蒸気又はこれらの混合物、あるいは金属粉末により還元することもできる。
【0034】
コーティングを目的として、基材粒子を水に懸濁させ、どんな副次的な沈殿も生じさせずに、金属酸化物又は金属酸化水和物が粒子上に直接沈殿するように選択した加水分解に適当なpHで、加水分解性金属塩を1種以上加える。pHは、同時に塩基を計量供給することにより通常一定に保つ。次いで、顔料を分別し、洗浄し、乾燥し、場合によっては焼成し、焼成温度は当該コーティングについて最適化することが可能である。必要なら、個々のコーティングを被着した後に、顔料を分別し、乾燥し、場合によっては焼成し、次にさらなる層を沈殿させるために再懸濁することもできる。
【0035】
金属酸化物層は、たとえばDE-A-195 01 307に記載されている方法と同様にして、場合によっては有機溶剤及び塩基性触媒の存在下で、ゾル−ゲル法によって、1種以上の金属酸エステルの制御された加水分解による金属酸化物層の製造により得られる。適当な塩基性触媒は、たとえばアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン及びメトキシプロピルアミンである。有機溶剤は、水混和性の有機溶剤、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0036】
適当な金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム及びホウ素のアルキル及びアリールアルコラート、カルボキシレート、ならびにカルボキシル基もしくはアルキル基もしくはアリール基置換アルキルアルコラート又はカルボキシレートから選択される。アルミン酸トリイソプロピル、チタン酸テトライソプロピル、ジルコン酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチル及びホウ酸トリエチルの使用が好ましい。さらに、前述の金属のアセチルアセトネート及びアセトアセチルアセトネートを使用できる。そのタイプの金属酸エステルの好適な例は、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート及びアセチルアルミン酸ジイソブチルオレイルアセトート塩又はジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトネート及び金属酸エステルの混合物、たとえば混合アルミニウム/ケイ素金属酸エステルであるDynasil(登録商標)(Huls)である。
【0037】
高屈折率の金属酸化物として、二酸化チタンを使用するのが好ましく、本発明の実施態様によれば、二酸化チタン層の被着には、US-B-3 553 001に記載されている方法を使用する。
【0038】
約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいたコーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくり加え、同時に塩基、たとえばアンモニア水溶液又はアルカリ金属水酸化物の水溶液を計量添加することにより、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5の実質的に一定のpH値に保つ。沈殿したTiO2が望ましい層厚さに達したら、チタン塩溶液と塩基の添加を止める。
【0039】
「滴定法」とも呼ばれるこの方法は、過剰のチタン塩を避けられるという事実により特徴づけられる。それは、水和TiO2で均一にコーティングするために必要であり、コーティングされる粒子の利用できる表面によって単位時間あたり吸収されることができる量だけを、単位時間当りの加水分解のために供給することによって達成される。基本的に、アナタース型TiO2が出発顔料の表面に生成する。しかし、少量のSnO2の添加により、ルチル構造を形成させることも可能である。たとえばWO93/08237に記載されているように、二酸化スズを被着させたのち二酸化チタンを沈殿させ、二酸化チタンでコーティングされた生成物を800〜900℃で焼成することができる。
【0040】
TiO2は場合により通常の方法:US-B-4,948,631(NH3、750〜850℃)、WO93/19131(H2、>900℃)又はDE-A-19843014(固体の還元剤、たとえばケイ素など、>600℃)によって還元することができる。
【0041】
場合によっては、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を被着することができる、そのために次の方法を用いることができる:約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱したコーティングされる材料の懸濁液に、ソーダ水ガラス溶液を計量添加する。10%塩酸の同時添加により、pHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液の添加後、30分攪拌を行う。
【0042】
TiO2層の上に、「低」屈折率、すなわち屈折率が約1.65より小さな金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23又はこれらの混合物、好ましくはSiO2を被着し、その層の上にさらなるFe23及び/又はTiO2層を被着することにより、色がより濃くより透明な顔料を得ることが可能である。このような酸化ケイ素基材ならびに高屈折率及び低屈折率の金属酸化物との交互の層を含むマルチコート干渉顔料は、WO98/53011及びWO99/20695に記載されている方法と同様に製造することができる。
【0043】
加えて、さらなる層、たとえば有色金属酸化物又はベルリンブルー、遷移金属、たとえばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物、又は有機化合物、たとえば染料又は染色レーキなどを被着することにより、顔料の粉末色を変えることが可能である。
【0044】
さらに、本発明による顔料はまた、難溶性で、固着性の無機又は有機着色剤でコーティングすることができる。染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキの使用が好ましい。そのために水酸化アルミニウム層を沈殿させ、それを第2工程で、染色レーキの使用により染色する(DE-A-24 29 762及びDE 29 28 287)。
【0045】
さらに、本発明による顔料は、錯塩顔料、特にシアノ鉄酸錯体を用いてさらなるコーティングを有してもよい(EP-A-141 173及びDE-A-23 13 332)。
【0046】
用途の分野に左右されるが、耐候安定性及び光安定性を高めるために、多層酸化ケイ素フレークに表面処理を行うことができる。有用な表面処理は、たとえばDE-A-2215191、DE-A-3151354、DE-A-3235017、DE-A-3334598、DE-A-4030727、EP-A-649886、WO97/29059、WO99/57204及びUS-A-5,759,255に記載されている。前記表面処理は、顔料の取り扱い、特に種々の適用媒体へのその練込を容易にすることもできる。
【0047】
SiOyフレークは、工程a)(可動)支持体上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)分離剤層の上にSiOy層(0.70≦y≦1.8)を蒸着し、
c)溶剤中で分離剤層を溶解し、次いで
d)溶剤からSiOyを分離すること
を含む方法(WO03/68868)によって製造する。
【0048】
SiOy(y>1.0)は、酸素の存在下でSiOを蒸発することにより得ることができる。蒸発の間、生長するSiOy層にUV光を照射すると、本質的に吸収のない層を得ることができる(DE-A-1621214)。可視領域を吸収せず550nmでの屈折率が1.55であるSiO1.5層を、純酸素雰囲気中でのSiOのいわゆる「反応性蒸発」により得ることが可能である(E. Ritter, J. Vac. Sci. Technol. 3(1966)225)。
【0049】
工程b)で、SiOy層を、SiとSiO2の混合物、SiOy又はこれらの混合物(SiとSiO2との重量比は、好ましくは0.15:1〜0.75:1の範囲である)を含む、特にSiとSiO2の化学量論混合物を含む装入材料を含有する蒸発器から、あるいはケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素(0.70≦y<1.0)を含む装入材料を含有する蒸発器から蒸着させる。工程c)は、工程a)及びb)の圧力よりも高く、大気圧よりも低い圧力で行うのが有利である。この方法により得られるSiOyフレークは、厚さの範囲が好ましくは20〜2000nm、特に20〜500nm、最も好ましくは50〜350nmであり、面平行構造の表面積に対する厚さの比が好ましくは0.01μm-1未満である。これにより生成した面平行構造は、厚さの均一性が高く、平坦性に優れ、平滑(表面ミクロ構造)であるという特徴がある。
【0050】
工程b)で、酸化ケイ素層を、蒸発器中、1300℃より高い温度でSiとSiO2の混合物の反応により生成した一酸化ケイ素蒸気から形成するのが好ましい。
【0051】
工程a)及びb)では、蒸着は<0.5Paの真空下で行うのが好ましい。工程c)では、分離剤層の溶解は、好ましくは1〜5×104Pa、特に600〜104Pa、さらに特に103〜5×103Paの範囲の圧力で行う。
【0052】
工程a)で支持体上に蒸着させる分離剤は、ラッカー(コーティング)、ポリマー、たとえば(熱可塑性プラスチック)ポリマー、特にUS-B-6,398,999に記載されているようなアクリル又はスチレンポリマー又はこれらの混合物、有機溶剤又は水に可溶性で真空中で蒸発可能な有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンゾイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル-2,2-ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミド及びそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリン及びその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール又はこれらの物質の少なくとも2種の混合物であることができる。分離剤は、水溶性であり、真空中で蒸発可能な無機塩(たとえばDE 198 44 357を参照)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムナトリウム及び四ホウ酸二ナトリウムが好ましい。
【0053】
可動支持体は、軸の周りを回転する円板、円柱又は他の回転対称体の1個以上からなることが可能で(WO01/25500を参照)、ポリマーコーティング付きもしくはなしの連続した金属ベルト1個以上又はポリイミド又はポリエチレンテレフタレートベルト1個以上からなる(US-B-6,270,840)のが好ましい。
【0054】
工程d)は、洗浄及び後続のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション及び/又は蒸発を含むことができる。一方、工程d)で、SiOyの面平行構造を溶剤とともに凍結し、次に凍結乾燥のプロセスを行ってもよく、そうすると三重点未満での昇華の結果、溶剤が分別され、乾燥SiOyが個々の面平行構造の形態で後に残る。
【0055】
本発明は、この方法により得られる、厚さが好ましくは20〜2000nm、特に20〜500nm、最も好ましくは50〜350nmの範囲にあるSiOyの面平行構造にも関する。
【0056】
超高真空下を除き、数10-2Paの工業的な真空中では、蒸発したSiOは常にSiOy(1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.8)として凝縮するが、それは高真空装置は、表面からガスが放出する結果、蒸発温度で易反応性のSiOと反応する水蒸気を常に微量含有するからである。
【0057】
さらなる行程では、閉じてループを形成したベルト状支持体を公知の構造形態のダイナミック真空ロックチャンバー(US-B-6,270,840を参照)により1〜5×104Paの圧力、好ましくは600〜104Paの圧力、特に103〜5×103Paの圧力の領域に通し、そこで溶解浴に浸漬する。溶剤の温度は、その蒸気圧が示された圧力範囲にあるように選択するべきである。機械的援助を用いて、分離剤層は迅速に溶解し、生成物層はフレークに粉砕し、そしてそのフレークは溶剤中に懸濁液の形態で存在する。さらなる行程では、ベルトを乾燥し、まだそれに付着するあらゆる汚染物質を除去する。それを第二の群のダイナミック真空ロックチャンバーによりもとの蒸発チャンバーに通し、分離剤及びSiOの生成物層をコーティングする工程を繰り返す。
【0058】
いずれにしても、生成物構造ならびに溶剤及びその中に溶解した分離剤を含む、両方の場合に存在する懸濁液を、さらなる処理で公知技術にしたがって分別する。そのために、生成物構造をまず液体で濃縮し、溶解した分離剤を洗い流すために新たな溶剤で数回すすぐ。次に、まだ湿った固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発により分別する。
【0059】
次に、生成物を、液体媒体中で超音波によって又は高速スターラーを用いる機械的手段によって、又はロータリー分級機を備えたエアジェットミル中で、破片を乾燥した後、又は粉砕もしくは風篩の手段で望ましい粒径にし、次の使用に送ることができる。
【0060】
ケイ素/酸化ケイ素フレークの製造では、変形が可能である。
【0061】
いくつかの分離剤及び生成物蒸発器を、蒸発区域でベルトの動く方向に、順々に配列することが可能である。この手段により、装置の点からはわずかな追加の費用で、層シーケンスS+P+S+P(Sは分離剤層であり、Pは生成物層である)が得られる。蒸発器の数が倍になりベルト速度が同じなら、生成物の量は2倍得られる。
【0062】
洗浄後の面平行構造の大気圧での分別は、固形分約50%まで濃縮した懸濁液を凍結し、それを公知の方法で、約−10℃、圧力50Paで凍結乾燥を行うことにより、温和な条件下で行うことができる。乾燥質が生成物として後に残り、それをコーティング又は化学転換によってさらに処理する工程を行うことができる。
【0063】
連続したベルトを使用する代わりに、WO01/25500に記載の回転体を有する装置中で、分離剤及びSiOの蒸着、溶解ならびに支持体の乾燥の工程を行うことにより、生成物を製造することが可能である。回転体は、円板、円柱又は他の回転対称体1個以上とすることができる。
【0064】
SiOyフレークを、酸素含有ガス、たとえば空気などを用いて少なくとも200℃、特に400℃より高い温度で、好ましくはばら材料の形態で、流動床中で又は酸化炎に導入することにより、好ましくは500〜1000℃の範囲の温度で、酸化させて、SiOyの面平行構造を形成することができる(WO03/068868)。
【0065】
本発明では取り上げないが、TiO2/SiOy粒子を400℃より高い、特に400〜1100℃の温度で加熱することにより、SiOyによるTiO2の還元
TiO2+SiOy→SiOy+b+TiO2-b
及び/又はSiO2及びSi中でSiOyの不均化が起こる。
SiOy→(y/y+a)SiOy+a+(1−(y/y+a))Si
【0066】
この不均化で、(1−(y/y+a))Si、(0.03≦y≦1.95、特に0.70≦y≦0.99又は1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.97、特に0.05≦a≦1.30、yとaの合計は2以下)を含有するSiOy+aフレークが形成する。SiOy+aは酸素リッチのケイ素亜酸化物である。
【0067】
本発明のフレークは均一な形状ではない。それでも、簡潔に説明するために、フレークは「直径」を有するものとして参照する。SiOyフレークは、面平行度が高く、所定の厚さが平均厚さの±10%、特に±5%の範囲にある。SiOyフレークの厚さは20〜2000nm、特に20〜500nm、特に好ましくは50〜350nmである。本発明ではフレークの直径は好ましくは約1〜60μmの範囲、より好ましくは約5〜40μmの範囲にあるのが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましくは約2〜3000の範囲、より好ましくは約14〜800の範囲にある。TiO2層を高屈折率材料として被着させるなら、TiO2層は厚さ20〜200nm、特に20〜100nm、さらに特に20〜50nmである。SiOyフレークの厚さのバラツキは、市販されているSiO2と比べて小さいので、より色純度の高いフレークエフェクト顔料が得られる。
【0068】
WO93/08237に記載されている方法により得られたマイカフレーク又はSiO2基材の代わりに、本発明のSiOy基材を用いると、優れた鮮明性、透明で濃い色、強い色フロップ、改良された色の濃さ及び色純度を有する干渉顔料を得ることができる。
【0069】
本発明の別の好適な実施態様では、SiOyフレークの厚さは20〜200nm、特に40〜150nm、最も好ましくは60〜120nmである。SiOyフレークは、面平行度が高く、所定の厚さが平均厚さの±30%、特に±10%の範囲にある。本発明では、フレークの直径は好ましくは約1〜60μmの範囲、特に2〜50μm、より好ましくは約5〜40μmの範囲にあるのが好ましい。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましくは約4〜1250の範囲、より好ましくは約42〜670の範囲にある。TiO2層を高屈折率材料として被着させるなら、TiO2層の厚さは20〜200nm、特に50〜200nmである。TiO2でコーティングされたSiOyフレークの合計厚さは、特に150〜450nmである。たとえば厚さ90nm±30%のSiOyフレーク(y=1.4〜1.8)から出発して、TiO2層の厚さの選択によって、赤(約73nm)、緑(約150nm)、又は青(約130nm)の干渉顔料を得ることが可能である。SiOyフレークの厚さのバラツキが小さいために、色純度の高いエフェクト顔料が得られる。SiOyフレークを、酸素含有ガス、たとえば空気などを用いて200℃以上、特に400℃より高い温度で、好ましくはばら材料の形態で、流動床中で又は酸化炎に導入することにより、好ましくは500〜1000℃の範囲の温度で、酸化させて、SiOyの面平行構造を形成することができる(WO03/068868)。あるいは、SiOyフレークを酸素を含まない雰囲気中、たとえばアルゴン及び/又はヘリウム又は13Pa(10-1Torr)未満の真空下で、少なくとも400℃、特に400℃より高い温度で、好ましくはばら材料の形態で、流動床中で、好ましくは900〜1100℃の範囲の温度で加熱して、ケイ素/酸化ケイ素フレークを形成することができる。SiO2フレークならびにケイ素/酸化ケイ素フレークの両方をエフェクト顔料用の基材としてSiOyフレークの代わりに使用することができる。
【0070】
金属又は非金属の無機プレートレット(platelet)形状粒子又は顔料は、エフェクト顔料(特に金属エフェクト顔料又は干渉顔料)であり、すなわち、適用媒体に色を付与するほかに、さらなる特性、たとえば色の角度依存性(フロップ)、ラスター(表面光沢ではない)又はテクスチャーを付与する顔料である。金属エフェクト顔料では、指向性顔料粒子で実質的に指向性の反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果は、高屈折性薄層中での光の干渉現象によるものである。
【0071】
本発明による(エフェクト)顔料は、全ての通常の目的に使用することができ、たとえばポリマーの練込み着色、コーティング(自動車分野用を含む特殊効果仕上げ塗料を含む)及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ及びフレキソ印刷を含む)、さらに、たとえば化粧品、インクジェット印刷、生地の染色、セラミック及びガラスのうわぐすり、ならびに紙及びプラスチックのレーザーマーキングにおける用途に使用することができる。このような用途は、参考資料、たとえば"Industrielle Organische Pigmente"(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition,1995)から公知である。
【0072】
本発明による顔料が干渉顔料(エフェクト顔料)である場合、それはゴニオクロマチック(goniochromatic)であり、鮮明で、高彩度の(光沢のある)色をもたらす。したがって、これらの顔料は、従来の透明な顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどと組合せるのに非常に適し、透明な顔料がエフェクト顔料と類似した色を有することが可能である。しかし、たとえばEP-A-388 932又はEP-A-402 943と同様に、透明な顔料の色とエフェクト顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組合せの効果が得られる。高分子量有機材料を着色するために、本発明による顔料を使用すると優れた結果を得ることができる。
【0073】
本発明の顔料又は顔料組成物を使用して着色することができる高分子量有機材料は、天然由来でも合成品でもよい。高分子量有機材料は、分子量が通常、約103〜108g/mol又はそれより大きい。これらは、たとえば天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン又はこれら誘導した天然物質、たとえば塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロース又はニトロセルロースとすることができるが、特に、重合、重縮合又は重付加により得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチック)が挙げられる。重合樹脂のクラスから、特に、ポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン、及び置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合生成物、ならびに前記モノマーの共重合物、特にABS又はEVAを挙げることができる。
【0074】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、たとえばホルムアルデヒドとフェノール類の縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト及び表面コーティング樹脂として用いるポリエステル、アルキド樹脂などの飽和樹脂又はマレエート樹脂などの不飽和樹脂、さらに直鎖状ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンを挙げることができる。
【0075】
前記高分子量化合物は、単独又は混合物で、プラスチック素材又は溶融物の形で含有できる。それらは、それらのモノマーの形態で又は重合した状態で、コーティングもしくは印刷インク用の膜形成剤又はバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解した形態で存在してもよい。
【0076】
使用目的によって、本発明によるエフェクト顔料又はエフェクト顔料組成物をトナーとして、又は調製物の形態で用いるのが有利であることがわかった。高分子量有機材料、特にポリエチレンの着色用エフェクト顔料の使用に悪影響を及ぼさないという条件で、コンディショニング法又は対象とする用途によって、コンディショニング工程の前又は後に、所定量のテクスチャー改良剤をエフェクト顔料に加えるのが有利であるかもしれない。適当な薬剤は、特に、炭素原子数少なくとも18の脂肪酸、たとえばステアリン酸又はベヘン酸、又はそれらのアミドもしくは金属塩、特にマグネシウム塩、ならびに可塑剤、ロウ、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール又は脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール、又は炭素原子数8〜22の脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオール、さらに変性松やにマレイン酸樹脂又はフマル酸松やに樹脂である。テクスチャー改良剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15%重量の量で加えられる。
【0077】
本発明による(エフェクト)顔料は、着色される高分子量有機材料に着色有効量で加えることができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明の顔料とを含む着色された組成物が有利である。実際には濃度1〜20重量%、特に約10重量%用いることが多い。
【0078】
高濃度、たとえば30重量%を超える濃度は、通常、比較的低い顔料含量を有する色付き材料を製造するための着色剤として使用することができる濃縮物(マスターバッチ)の形態にある。本発明による顔料は、通常の配合物中で極めて低い粘度を有するため、それでも良好に加工できる。
【0079】
有機材料の着色において、本発明によるエフェクト顔料は単独で使用できる。しかし、種々の色合い又は色効果を得るために、本発明によるエフェクト顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白色、有色、黒色又はエフェクト顔料を高子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料を本発明によるエフェクト顔料との混合で用いる場合、合計量は高分子量有機材料に基づいて0.1〜10重量%であるのが好ましい。本発明によるエフェクト顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって、特に高い角度依存呈色性(goniochromicity)が得られ、エフェクト顔料を用いて得られる着色と、有色顔料を用いて得られる着色とは、測定角度10°での色相の差(△H*)が20〜340、特に150〜210である。
【0080】
本発明によるエフェクト顔料は透明な有色顔料と組み合わせるのが好ましく、透明な有色顔料は本発明によるエフェクト顔料と同じ媒体中に存在しても隣接する媒体中に存在してもよい。エフェクト顔料及び有色顔料が有利にも隣接する媒体中に存在する構成の例は、多層エフェクトコーティングである。
【0081】
本発明による顔料を用いる高分子量有機物質の着色は、たとえば、ロールミル又は混合又は粉砕装置を用いて、場合によってはマスターバッチの形態にある当該顔料を基材と混合することにより行う。次に、着色された材料を、そのもの公知方法、たとえばカレンダリング、圧縮成形、押出し、コーティング、注型又は射出成形を用いて望ましい最終形態に至らせる。プラスチック工業で一般的な添加剤、たとえば可塑剤、充填剤又は安定剤を、一般的な量で、顔料の練込みの前又は後で、ポリマーに加えることができる。特に、非剛性の成形品を製造するため又はその脆性を減らすために、可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを、成形の前に高分子量化合物に加えるのが望ましい。
【0082】
コーティング及び印刷インクの着色において、高分子量有機材料及び本発明によるエフェクト顔料を、場合によっては通常の添加剤、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、同じ有機溶剤又は溶剤混合物中に微細に分散又は溶解する。このとき、個々の成分を別々に溶解又は分散させるか、いくつかの成分を一緒に溶解又は分散させ、その後初めて全ての成分を合わせることができる。
【0083】
着色される高分子量有機材料への本発明によるエフェクト顔料の分散、及び本発明による顔料組成物の加工は、エフェクト顔料がより小さな部分に砕散しないように、比較的弱い剪断力しか発生しない条件下で行うのが好ましい。
【0084】
プラスチックは、本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含む。コーティングの分野では、本発明の顔料を0.1〜10重量%の量で使用する。バインダー系の着色、たとえば、凹版、オフセット又はスクリーン印刷用の塗料及び印刷インクでは、顔料を印刷インクに0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で配合する。
【0085】
たとえばプラスチック、コーティング又は印刷インク、特にコーティング又は印刷インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた特性、特に極めて高い彩度、優れた堅牢性、及び高い角度依存呈色性であるという特徴がある。
【0086】
着色される高分子量材料がコーティングである場合、それは特に特殊コーティング、とりわけ自動車の仕上げ塗料である。
【0087】
本発明によるエフェクト顔料は、唇又は皮膚のメイクアップ及び髪又は爪の着色にも適している。
【0088】
したがって、本発明は、化粧品調製物又は配合物の合計重量に基づいて、本発明の顔料、特にエフェクト顔料を0.0001〜90重量%、化粧品に適したキャリア材料を10〜99.9999%含む化粧品調製物又は配合物にも関する。
【0089】
このような化粧品調製物又は配合物は、たとえば口紅、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液及びヘアシャンプーである。
【0090】
顔料は単独又は混合物の形態で用いることができる。さらに、本発明による顔料とともに他の顔料及び/又は着色剤、たとえば前述したような又は化粧品調製物で知られているような組合せで使用することが可能である。本発明による化粧品調製物及び配合物は、本発明による顔料を調製物の合計重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有するのが好ましい。
【0091】
本発明による化粧品調製物及び配合物に適したキャリア材料は、このような組成物に用いる通常の材料を含む。
【0092】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態とすることができる。これらは、たとえば口紅、マスカラ剤、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はマニキュア液である。
【0093】
調製物がスティックの形態、たとえば口紅、アイシャドウ、ほお紅又はファンデーションならば、調製物は、そのかなりの部分が脂肪成分からなり、脂肪成分は1種以上のロウ、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、微晶質ロウ、カルナウバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、25℃で固体であるモノ−、ジ−もしくはトリグリセリド又はこれらの脂肪エステル、シリコーンロウ、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、マツ脂及びその誘導体、たとえばアビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である水添油、糖グリセリドならびにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩からなることができる。
【0094】
脂肪成分はまた、少なくとも1種のロウと、少なくとも1種の油との混合物からなっていてもよく、その場合、たとえば次の油が適当である:パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、沸点約310〜410℃の鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、たとえば小麦胚芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコール(たとえばグリコール及びグリセロール)のオクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコール(たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレート及びオクチルドデカノール)のリシノレエート。
【0095】
スティックの形態のこのような調製物中の脂肪成分は、通常、調製物の合計重量の99.91重量%まで占めることができる。
【0096】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、その上さらなる成分、たとえばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマー、無機又は有機の充填剤、防腐剤、UVフィルタ又は化粧品で通例である他の添加物及び添加物、たとえば天然又は合成もしくは部分的に合成のジ−もしくはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪アルコール、Guerbetアルコールもしくはそのエステル、日焼け止めフィルタを含む親油性の機能的化粧品有効成分、又はこのような物質の混合物を含むことができる。
【0097】
皮膚化粧品に適した親油性機能的化粧品有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、経皮的又は局所的な適用に関して認可されている成分又は成分の混合物である。例として以下を挙げることができる。
【0098】
―皮膚表面及び毛髪に対して清浄作用を有する有効成分。これらには、皮膚を清浄するように働くすべての物質、たとえば油、石鹸、合成洗剤及び固形物質がある。
【0099】
―脱臭及び制汗作用を有する有効成分。これらには、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む脱臭剤ならびに吸臭剤、たとえばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と種々の添加物との組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(場合によっては酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンと組み合わされている)又はイオン交換樹脂がある。
【0100】
―陽光に対する防護を提供する有効成分(UVフィルタ)。適当な有効成分は、陽光からのUV線を吸収し、それを熱に転換することができるフィルタ物質(日焼け止め)である。所望の作用に依存して、以下の光防護剤が好ましい。約280〜315nmの範囲の、日焼けを生じさせる高エネルギーUV線を選択的に吸収し、より長い、たとえば315〜400nmの波長範囲(UV−A範囲)を透過させる光防護剤(UV−B吸収剤)ならびにより長い315〜400nmのUV−A範囲の波長の放射線だけを吸収する光防護剤(UV−A吸収剤)。適当な光防護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1個以上の有機ケイ素基を含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスからの有機UV吸収剤及び/又は酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛もしくは雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
【0101】
―昆虫に対する有効成分(駆除剤)は、昆虫が皮膚に触れ、そこで活性化することを防ぐための薬剤である。昆虫を駆逐し、ゆっくりと揮発する。もっともよく使用される駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である。他の一般的な駆除剤は、たとえば、「Pflegekosmetik」(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)の161頁に見られる。
【0102】
―化学的及び機械的な影響に対する防護のための有効成分。これらは、皮膚と外部の有害物質との間にバリヤを形成するすべての物質、たとえば、水溶液に対する防護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及びラノリン、有機溶媒の影響に対する防護のための膜形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル又は皮膚に対する激しい機械的応力に対する防護のための「潤滑剤」としての、鉱油、植物油もしくはシリコーン油に基づく物質を含む。
【0103】
―保湿物質。たとえば以下の物質が水分調整剤(保湿剤)として使用される。乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸。
【0104】
―角質新生効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール。
【0105】
―抗微生物剤、たとえばトリクロサン又は第四級アンモニウム化合物。
【0106】
―経皮的に適用することができる油性又は油溶性ビタミン又はビタミン誘導体、たとえばビタミンA(遊離酸又はその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
【0107】
―ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
【0108】
―ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
【0109】
―植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
【0110】
―動物抽出物、たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質又は胸腺抽出物。
【0111】
―経皮的に適用することができる化粧油:Miglyol 812タイプのニュートラルオイル、アプリコット核油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマ−オリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、サクランボ種子油、サーモン油、アマニ油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、ライスシード油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、グレープシード油又は小麦胚芽油。
【0112】
スティック形状の調製物は無水であるのが好ましいが、特定の場合には所定量の水を含んでもよい。しかし、一般に化粧品調製物の合計重量に基づいて40重量%を超えない。
【0113】
本発明による化粧品調製物及び配合物が半固形製品の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態であるなら、それらは同様に無水又は水性とすることができる。このような調製物及び配合物は、たとえばマスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドウ、又は目の下のくまを手入れするための組成物である。
【0114】
一方、このような軟膏又はクリームが水性であるなら、それらは特に、顔料のほかに、脂肪相1〜98.8重量%、水性相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0115】
このような軟膏及びクリームは、さらに従来の添加剤、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無着色ポリマー及び無機又は有機充填剤も含むことができる。
【0116】
調製物が粉末の形態であるなら、それらは実質的にミネラル又は無機又は有機充填剤、たとえばタルク、カオリン、スターチ、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末、及び補助剤、たとえばバインダー、着色剤などからなる。
【0117】
このような調製物は、たとえば芳香剤、酸化防止剤、防腐剤などの通常化粧品に使用される種々の補助剤を同様に含む。
【0118】
本発明による化粧品調製物及び配合物がマニキュア液なら、それらは本質的に、溶剤系の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成ポリマーからなり、その溶液が他の補助剤、たとえば真珠光沢剤を含むことが可能である。
【0119】
その実施態様では、着色されたポリマーを約0.1〜5重量%の量で含む。
【0120】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、毛髪の着色に使用することもでき、その場合それらは化粧品工業で慣例的に用いるベース物質及び本発明による顔料で構成されるシャンプー、クリーム又はゲルの形で用いる。
【0121】
本発明による化粧品調製物及び配合物は、たとえば各成分を、場合によっては混合物を溶融するように加熱しながら、一緒に混合又は攪拌することによる、従来の方法で調製する。
【0122】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、%及び部はそれぞれ重量%及び重量部である。
【0123】
実施例
実施例1
基本的な点でUS-B-6,270,840に記載されている系と同様に構成されている真空システムで、分離剤として、約900℃で塩化ナトリウム(NaCl)、SiとSiO2の反応生成物として、1350〜1550℃で一酸化ケイ素(SiO)を蒸発器から順次蒸発させた。NaClの層厚さは通常30〜50nm、SiOyの層厚さは、最終生成物の使用目的に依存するが、100〜2000nm、この場合は200nmである。蒸発は約0.02Paで行い、1分当りNaCl約11g及びSiO72gになる。続いて、分離剤の溶解により層を剥離するために、蒸着を行った支持体に約3000Paで脱イオン水をスプレーし、スクレーパ及び超音波を用いる機械的援助で処理した。NaClは溶解し、不溶性であるSiOy層はフレークに粉砕した。懸濁液を溶解チャンバーから連続的に取り出し、大気圧で、ろ過によって濃縮し、脱イオン水で数回すすいでNa+及びCl-イオンを除去した。500〜600℃に加熱した空気が通るオーブン中で面平行SiOy構造をばら材料の形態で、500〜600℃で2時間乾燥及び加熱する工程を行った。冷却後、微粉砕し、風篩による分級を行った。
【0124】
実施例2
2層系
1)TiO2層:
実施例1で得られたSiOyフレーク100gを完全脱イオン水1.5Lに懸濁させ、75℃に加熱した。この懸濁液にTiCl4の水溶液(TiCl4400g/L)160mLを90分で計量供給した。pHを32%水酸化ナトリウム溶液によってpH=2.2に一定に保った。この溶液を加えた後、混合物を75℃でさらに約30分攪拌した。
【0125】
2)SiO2層:
懸濁液のpHを水酸化ナトリウム溶液によって7.5に上げ、75℃でナトリウム水ガラス溶液720mlを3.5時間で計量供給した(SiO2125g/L)。添加の間、10%塩酸によってpHを一定に保った。この溶液を加えた後、混合物を75℃でさらに約30分攪拌した。
【0126】
このように得られた顔料は濃い青干渉色の特性を示す。
【0127】
実施例3
Fe23層を含む3層系
1)TiO2層:
実施例1に記載されているようにTiO2層を得た。
【0128】
2)SiO2層:
実施例1に記載されているようにSiO2層を得た。
【0129】
3)Fe23層:
TiO2及びSiO2を順次コーティングした酸化ケイ素フレークの懸濁液のpHを10%塩酸によって3.0に制御した。次に75℃でFeCl3−Losung水溶液(Fe35g/L)1750mlを5時間で加えた。同時に32%NaOHを添加することによりpHを一定に保った。この溶液を加えた後、混合物を75℃でさらに約45分攪拌した。懸濁液を室温に冷却した後、生成物をろ過し、水で洗浄して無塩とし、110℃で乾燥した。次に顔料を850℃で30分焼成した。
【0130】
実施例4
黒のバックグラウンドに緑色を有する厚さ295nmのSiOy(y約1.7〜1.8)フレーク(平均直径約50μm)250mgを脱イオン水35ml中で混合し、次に60℃に加熱した。pHを1N塩酸で1.4に調節した。水酸化ナトリウムの連続添加によりpHを1.4に維持しながら、この溶液に、TiOCl2(チタン1.5%を含む溶液となるように1NHClで希釈)10mlを5時間で加えた。液体を室温に冷却し、20ミクロンふるいでろ過した。得られた粉末を空気中60℃で1時間乾燥した。黒のバックグラウンド上で見ると明るい青色を有する、白色に見えるフレークを得た。色は観察角度に依存し、視角が大きくなると紫、そして黄色に変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料粒子が、実質的に平行な2面を有し、この間の距離がコアの最も短い軸であるSiOy(0.70≦y≦1.95、特に1.1≦y≦1.8)コアを含有し、(a)高屈折率材料、特に金属酸化物を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料。
【請求項2】
顔料粒子が、実質的に平行な2面を有し、この間の距離がコアの最も短い軸であるSiOy(0.70≦y≦1.95、特に1.1≦y≦1.8)コアを含有し、(a)半透明な金属薄層を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ20nm〜2μm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料。
【請求項3】
顔料がさらに(b)屈折率の差が少なくとも0.1である低屈折率の金属酸化物を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項4】
高屈折率の金属酸化物が、TiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO若しくはこれらの酸化物の混合物、又はチタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン若しくはこれらの化合物の混合物及び/若しくは混合相である、請求項1又は3記載の顔料。
【請求項5】
低屈折率の金属酸化物が、SiO2、Al23、AlOOH、B23又はこれらの混合物であり、追加の成分としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物を含有してもよい、請求項1、3、又は4のいずれか記載の顔料。
【請求項6】
SiOyコアが、厚さ20〜200nm、特に50〜150nm、最も好ましくは60〜120nmである、請求項1〜5のいずれか記載の顔料。
【請求項7】
SiOyフレークを、高屈折率金属酸化物及び低屈折率金属酸化物で、湿式法で、対応する水溶性の金属化合物の加水分解により交互にコーティングし、分別し、乾燥し、場合によりこのようにして得られた顔料を焼成する工程を含む、請求項1及び3〜6のいずれか記載の干渉顔料の製造方法。
【請求項8】
SiOyフレークを金属化合物が含まれる水性及び/又は有機溶剤を含有する媒体に懸濁させ、還元剤を加えることにより金属化合物をSiOyフレーク上に被着させる、請求項2記載の顔料の製造方法。
【請求項9】
顔料粒子が、SiOyフレーク(0.70≦y≦1.80、特に1.1≦y≦1.8)を酸素を含まない雰囲気中で少なくとも400℃の温度で加熱することにより得られ、実質的に平行な2面を有し、この間の距離がコアの最も短い軸であり、厚さが20〜200nm、特に40〜150nm、最も好ましくは60〜120nmであるSiO2コア又はケイ素/酸化ケイ素コアを含有し、高屈折率材料、特に金属酸化物又は半透明な金属薄層及び場合によりさらなる層を含む、通常、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、長さ対厚さの比が少なくとも2:1である顔料。
【請求項10】
塗料、インクジェット印刷における、生地の染色のための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス用のうわぐすりの着色のための、請求項1〜6又は9のいずれか記載の顔料の使用。
【請求項11】
請求項1〜6又は9のいずれか記載の顔料を用いて顔料着色した、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス。

【公表番号】特表2006−505636(P2006−505636A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544096(P2004−544096)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011077
【国際公開番号】WO2004/035693
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】