説明

酸化物層の形成方法及びそれを含む半導体素子の製造方法

【課題】酸化物層の形成方法及びそれを含む半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する段階と、反応抑制作用基の層上に金属前駆体または半導体前駆体の層を形成する段階と、金属酸化物または半導体酸化物の層を得るために金属前駆体または半導体前駆体を酸化させる段階と、を含む酸化物層の形成方法を提供する。これにより、優秀な厚さ均一性を持つ酸化物層が形成でき、故に電気的特性の優秀な半導体素子を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物層の形成方法、これを含む半導体素子及びこれらの半導体素子の製造方法に係り、さらに詳細には、優秀な厚さ均一性を持つ酸化物層の形成方法、これを含む半導体素子及びこれらの半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノート型パソコンなどの電子産業で、製品の軽量化、小型化、高速化、多機能化、高性能化、高い信頼性及び低コスト化へのニーズが高まりつつある。これらのニーズを満たすために、半導体記憶素子の集積度向上と共に半導体記憶素子の信頼性改善が共に要求されている。
【0003】
高集積化した半導体記憶素子の信頼性を改善するための方案の一つは、半導体記憶素子の製造工程で蒸着される膜質の段差塗布性を改善させることである。半導体記憶素子の集積度が向上することで、半導体記憶素子を構成する構成要素のサイズが小さくなり、縦横比が増大し、それによって構成要素上に蒸着される膜質の均一性が低減する。したがって、近年、均一な厚さの膜質を蒸着するための工程技術と関連して多様な研究が行われつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、優秀な厚さ均一性を持つ酸化物層を形成する方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、優秀な厚さ均一性を持つ酸化物層を提供することによって優秀な電気的特性を持つ半導体素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記第1の技術的課題を解決するために、基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する第1段階と、前記反応抑制作用基の層上に第1物質の前駆体層を形成する第2段階と、前記第1物質の酸化物の層を得るために前記第1物質の前駆体を酸化させる第3段階と、を含む酸化物層の形成方法を提供する。
【0007】
本発明の一部実施形態によれば、前記第1段階は、前記基板上に前記反応抑制作用基を含む有機化合物を含む第1反応ガスを提供する段階と、前記基板の表面に前記第1反応ガスを化学吸着させる段階と、を含む。このとき、前記反応抑制作用基を含む有機化合物は、ヒドロキシ基を含む有機化合物である。また、前記基板の表面に形成された前記反応抑制作用基は、炭素数1ないし4のアルコキシ基、炭素数6ないし10のアリールオキシ基、炭素数1ないし5のエステル基、または炭素数7ないし10のアリールエステル基を含む。
【0008】
本発明の一部実施形態によれば、前記第1段階において、前記基板の表面は、中心金属に結合された酸素ラジカルで終結される。また、前記中心金属と酸素ラジカルとの結合力は、シリコンと酸素ラジカルとの第1結合力、及びアルミニウムと酸素ラジカルとの第2結合力のうちいずれか一つより弱い。
【0009】
本発明の一部実施形態によれば、前記反応抑制作用基の層を形成する第1段階に先立って、前記基板の表面に反応活性要素の層を形成する段階をさらに含む。このとき、前記反応活性要素と前記基板との吸着強度は、前記反応活性要素と第3周期金属との結合強度より弱く、また前記反応活性要素と第3周期半導体との結合強度より弱い。特に、前記反応抑制作用基と前記第1物質の前駆体との吸着は、物理吸着でありうる。
【0010】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、基板の表面に反応活性要素の層を形成する段階と、前記反応活性要素の層上に第1物質の酸化物層を形成する段階と、前記第1物質の酸化物層上に第2物質の酸化物層を形成する段階と、を含み、前記第1物質は、第1金属または半導体を含み、前記第1物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の前駆体層を形成する段階と、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階とを含み、前記第2物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の酸化物層上に反応抑制作用基の層を形成する段階と、前記反応抑制作用基の層上に第2物質の前駆体層を形成する段階と、前記第2物質の前駆体層を酸化させる段階と、を含む酸化物層の形成方法を提供する。
【0011】
前記反応活性要素は、酸素、酸素ラジカル、またはヒドロキシ基を含むことができ、特に、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階によって得られる表面は、酸素、酸素ラジカル、またはヒドロキシ基で終結できる。
【0012】
前記第1物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の前駆体層を形成する段階と、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階とのサイクルを少なくとも2回含む。この時、前記第1物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の酸化物層上に反応抑制作用基の層を形成する段階を少なくとも1回含む。選択的に、前記第1物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の前駆体層を形成する段階に先立って反応抑制作用基の層を形成する段階をさらに含む。この時、前記第2物質は、第2金属または半導体である。前記第2金属は第3周期金属であり、特に、アルミニウムでありうる。また、前記第2物質としての前記半導体は、シリコンでありうる。また、前記第1金属は、第4周期ないし第6周期の第2族ないし第5族及びランタン族の金属から選択される1種以上でありうる。
【0013】
また、前記第2物質の前駆体層を酸化させる段階によって得られる表面が酸素ラジカルで終結され、前記第1物質の酸化物層を形成する段階と、前記第2物質の酸化物層を形成する段階とが交互に反復して行われる。また、前記第1物質の酸化物層を形成する段階の間に行われる前記第2物質の酸化物層を形成する段階は、1回のみ行われる。また、反復される前記第1物質の酸化物層を形成する段階において、少なくとも一回は他の第1物質と異なる第1物質が使われうる。
【0014】
また、前記基板の表面は、20以上の縦横比を持つフィーチャを含む。また。前記第2物質の酸化物層を形成する段階によって、前記第2物質の酸化物がモノレイヤーで形成される。
【0015】
本発明は、前記第2の技術的課題を解決するために、電極上に酸化物層を含む半導体装置を形成するための方法であり、前記電極の上部に反応抑制作用基の層を形成する段階と、前記反応抑制作用基上に第1物質の前駆体層を形成する段階と、第1物質の酸化物層を形成するために前記第1物質の前駆体を酸化させる段階と、を含む半導体装置の形成方法を提供する。また、前記形成方法は、前記第1物質の酸化物層上に配される他の電極を形成する段階をさらに含む。また、前記形成方法は、前記第1物質の酸化物層上に、前記第1物質と異なる第2物質の酸化物層を形成する段階をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態による酸化物層を形成するための基板処理装置を示す平面図である。
【図3A】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図3B】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図3C】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図3D】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図3E】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図3F】前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図4】基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する段階をさらに具体的に示すフローチャートである。
【図5】反応抑制作用基の層上に第1物質の前駆体層を形成する段階をさらに具体的に示すフローチャートである。
【図6】第1物質の酸化物の層を得るために前記第1物質の前駆体を酸化させる段階をさらに具体的に示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を説明するためのフローチャートである。
【図8A】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8B】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8C】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8D】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8E】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8F】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8G】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図8H】本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【図9】図8HのA、B、Cで表示された部分を拡大した部分拡大図である。
【図10】本発明の一実施形態によって製造したキャパシタの所定部位を撮影したTEMイメージである。
【図11】本発明の他の実施形態による半導体素子を示す側断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態による半導体素子を示す側断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態による半導体素子を示す斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態による半導体素子を示す斜視図である。
【図15】製造例1及び比較例1によって製造したキャパシタ誘電膜の電気的特性を比較したグラフである。
【図16】本発明の技術的思想による半導体素子を含むメモリモジュールの平面図である。
【図17】本発明の技術的思想による半導体素子を含むメモリカードの概略図である。
【図18】本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を用いて形成される半導体素子を含むメモリ装置の一例を示すブロック図である。
【図19】本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を用いて形成される半導体素子を含む電子システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の実施形態は色々な他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施形態によって限定されると解釈されてはならない。本発明の実施形態は当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されると解釈されることが望ましい。同じ符号は終始同じ要素を意味する。さらに、図面における多様な要素及び領域は概略的に図示されたものである。したがって、本発明は、添付した図面に図示された相対的なサイズや間隔により制限されるものではない。
【0018】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われうるが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せずに第1構成要素は第2構成要素と称され、逆に第2構成要素は第1構成要素と称されることがある。
【0019】
本願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現も含む。本願で、“含む”または“持つ”などの表現は、明細書に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0020】
別途に定義されていない限り、ここで使われるあらゆる用語は、技術用語と科学用語を含めて当業者が共通に理解しているところと同じ意味を持つ。また、通例的に使われる、辞書に定義されたような用語は、関連技術の脈絡でこれらが意味するところと一貫する意味を持つと解釈されねばならず、ここで明示的に定義しない限り、過度に形式的な意味で解釈されてはならないということを理解できるであろう。
【0021】
本発明は、基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する第1段階、前記反応抑制作用基の層上に第1物質の前駆体層を形成する第2段階、及び前記第1物質の酸化物の層を得るために前記第1物質の前駆体を酸化させる第3段階を含む酸化物層の形成方法を提供する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示すフローチャートである。図2は、本発明の一実施形態による酸化物層を形成するための基板処理装置10の平面図である。図3Aないし図3Fは、前記実施形態による酸化物層の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。図4は、基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する段階をさらに具体的に示すフローチャートである。
【0023】
図1及び図2を参照すれば、前記基板処理装置10の中央に位置して真空状態に維持される伝達チャンバ18の周囲にロードロックチャンバ20及びアンロードロックチャンバ20’が備えられ、複数の反応チャンバ12が配される。複数の基板が収納された基板カセットを前記ロードロックチャンバ20内に詰め込めば、基板移送装置16が、基板101を前記ロードロックチャンバ20から各反応チャンバ12にローディングできる(S10)。
【0024】
図1及び図3Aを参照すれば、前記基板101の表面上に反応抑制作用基−Xの層を形成する(S11)。前記基板101の表面に反応抑制作用基−Xの層を形成する段階(S11)は、図4に示したように、前記基板上に、前記反応抑制作用基−Xを含む有機化合物を含む第1反応ガスを提供する段階(S111)、前記基板101の表面に前記第1反応ガスを化学吸着させる段階(S112)、及び余分の前記第1反応ガスをパージする段階(S113)を含む。
【0025】
前記基板101は、前記反応抑制作用基−Xの層を表面に形成できる基板ならば、いずれも可能であり、特別に限定されない。例えば、前記基板101は、半導体物質、例えば、IV族半導体、III−V族化合物半導体、またはII−VI族酸化物半導体を含む。例えば、IV族半導体は、シリコン、ゲルマニウムまたはシリコン−ゲルマニウムを含む。または、前記基板101は、SOI(silicon−on−insulator)基板;SiOまたは金属酸化物などの絶縁体基板;チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、タングステン(W)、タングステン窒化物(WN)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、タンタル窒化物(TaN)などの金属導電体または金属窒化物導電体;ガラス基板などを含む。また、前記基板101は、単一物質からなる基板であってもよく、いろいろな物質が積層された複合基板であってもよい。
【0026】
特に、前記基板101で前記反応抑制作用基−Xが付着される表面は、縦横比20以上のフィーチャを含む。ここで、前記縦横比は、隣接する両段間の距離に対する両段の高さの比率を意味し、図3Aでは、A2/A1の比率を表す。
【0027】
前記反応抑制作用基−Xは、例えば、炭素数1ないし4のアルコキシ基、炭素数6ないし10のアリールオキシ基、炭素数1ないし5のエステル基、及び/または炭素数7ないし10のアリールエステル基を含む。これらの反応抑制作用基−Xは、これらの反応抑制作用基−Xを含む任意の化合物を前記基板101の表面に化学吸着させることで得られる。前記反応抑制作用基−Xを含む化合物は、例えば、ヒドロキシ基−OHを含む任意の有機化合物でありうる。さらに具体的に例を挙げれば、前記有機化合物は、メタノール(CHOH)、エタノール(COH)、プロパノール(COH)、ブタノール(COH)、ギ酸(HCOOH)、アセト酸(CHCOOH)、プロパン酸(CCOOH)、ブタン酸(CCOOH)、ペンタン酸(CCOOH)、フェノール(COH)、安息香酸(CCOOH)などでありうる。
【0028】
前記反応抑制作用基−Xは、前記基板101の表面上にモノレイヤーで形成できる。モノレイヤーで形成された前記反応抑制作用基−X上に、前記反応抑制作用基−Xを含む余分の有機化合物が物理的にさらに吸着できる。このように物理吸着された余分の有機化合物は、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスまたは窒素(N)を用いてパージされる。また完全に吸着されていない前記反応抑制作用基−Xを含む余分の有機化合物も、本パージによって前記チャンバの外部に排出される。このようにパージすることで前記余分の有機化合物と、前記チャンバ内に後続的に提供される他のガスとの不要な反応を防止または最小化できる。
【0029】
選択的に、前記反応抑制作用基−Xを前記基板101の表面に形成する前に、前記基板101の表面に反応活性要素(図示せず)の層を形成する段階をさらに含む。前記反応活性要素は、例えば、酸素を含む不完全な結合を持つ原子または作用基でありうる。例えば、前記反応活性要素は、酸素ラジカルまたはヒドロキシ作用基でありうる。これらの反応活性要素は、基板101の表面を、オゾン(O)、酸素(O)、水(HO)、過酸化水素(H)、亜酸化窒素(NO)などの酸化剤を用いて処理することで得ることができる。その結果、基板の表面は、半導体元素または中心金属に結合された反応活性要素で終結できる。これについては、後述する。
【0030】
図1及び図3Bを参照すれば、前記反応抑制作用基−Xの層上に第1物質の前駆体層を形成できる(S12)。前記第1物質は、金属及び/または半導体を含むことができる。図3Bで、MLは、第1物質の前駆体である金属前駆体及び/または半導体前駆体を示す。前記反応抑制作用基−Xの層上に第1物質の前駆体層を形成する段階(S12)は、図5に示したように、前記反応抑制作用基−Xの層上に前記第1物質の前駆体を含む第2反応ガスを提供する段階(S121)、前記反応抑制作用基−Xの層上に前記第2反応ガスを物理吸着させる段階(S122)、及び余分の前記第2反応ガスをパージする段階(S123)を含む。
【0031】
図3Bの基板101の下部底面と垂直に延びる面とが合うコーナー側において、一部の反応抑制作用基−X及び前駆体MLの記載が省略されているが、これは、作用基の表示が重なることを防止するためのものであり、一部の作用基が化学的に分離されるか、または消えることを意味するのではないということを理解できるであろう。これは、図3Cないし図3Fでも同様である。
【0032】
前記金属前駆体は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Lu)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、またはイッテルビウム(Yb)から選択される少なくとも一つの金属の前駆体でありうる。
【0033】
アルミニウム前駆体は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum、TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、メチルピロリジンアラン(MPA)、ジメチルエチルアミンアラン(DMEAA)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)、及びトリメチルアミンアランボラン(TMAAB)からなる群から選択される1以上の金属の前駆体でありうる。
【0034】
チタン前駆体は、チタンテトラキス(イソプロポキシド)(Ti(O−iProp))、チタンハライド、シクロペンタジエニルチタン、チタンビス(イソプロポキシド)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)(Ti(O−iProp)(thd))、チタンビス(4−(2−メチルエトキシ)イミノ−2−ペンタノエート)(Ti(2meip))、チタンビス[4−(エトキシ)イミノ−2−ペンタノエート](Ti(eip))、及びチタンビス[2,2−ジメチル−5−(2−メチルエトキシ)イミノ−3−ヘプタノエート](Ti(22dm2meih))からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
前記ジルコニウム前駆体は、例えば、ジルコニウムターシャリーブトキシド(Zr(OBu)、ZTB)、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(Zr(NEt、TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(Zr(NEtMe)、TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(Zr(NMe、TDMAZ)、テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ハフニウム(Hf(mmp))、テトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ジルコニウム、Zr(mmp))、ハフニウムテトラクロライド(HfCl)、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl)、ZrCpMe、Zr(tBuCp)Me、及びZr(NiPropからなる群から選択される1種以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記ハフニウム前駆体は、例えば、ハフニウムターシャリーブトキシド(Hf(OBu)、HTB)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(Hf(NEt、TDEAH)、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(Hf(NEtMe)、TEMAH)、及びテトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(Hf(NMe、TDMAH)からなる群から選択される1種以上を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
その他の金属前駆体は、次の化学式1を持つ。
<化学式1>
ML
【0038】
ここで、Mはバナジウム(V)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Lu)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1種以上であり、L,L,Lは、それぞれ独立的に陰イオン性リガンドであり、Dは、中性の供与体リガンドであり、xは、0、1、2または3の整数であり、xが0である場合は、中性の供与体リガンドを持っていないことを意味する。
【0039】
具体的に、前記L,L,Lは、それぞれ独立的にアルコキシド、ハライド、アリールオキシド、アミド、シクロペンタジエニル(Cp)、アルキル、シリル、アミジネート、β−ジケトネート、ケトイミネート、シラノエート、及びカルボキシレートの群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、前記Dは、エーテル、フラン、ピリジン、ピロール、ピロリジン、アミン、クラウンエーテル、グライム、及びニトリルの群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
Lグループの前記アルコキシドは、例えば、ターシャリーブトキシド、イソプロポキシド、エトキシド、1−メトキシ−2,2−ジメチル−2−プロピオネート(mmp)、1−ジメチルアミノ−2,2’−ジメチル−プロピオネート、アミロキシド、及びネオペントキシドを含む群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。前記ハライドは、例えば、フッ化物、塩化物、ヨウ化物、及び臭化物からなる群から選択される1種以上である。
【0042】
前記アリールオキシドは、例えば、フェノキシドまたは2,4,6−トリメチルフェノキシドであるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
前記アミドは、ビス(トリメチルシリル)アミドジ・ターシャリー・ブチルアミドまたは2,2,6,6−テトラメチルピペリジドであるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
前記シクロペンタジエニルは、クロロペンタジエニル、1−メチルシクロペンタジエニル、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル、1−エチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、1−イソプロピルシクロペンタジエニル、1−n−プロピルシクロペンタジエニル、及び1−n−ブチルシクロペンタジエニルを含む群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
前記アルキル基は、ビス(トリメチルシリル)メチル、トリス(トリメチルシリル)メチル、及びトリメチルシリルメチルを含む群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
前記シリル基はトリメチルシリルであるが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記アミジネートは、N,N’−ジ−ターシャリー−ブチルアセトアミジナート、N,N’−ジ−イソプロピルアセトアミジネート、N,N’−ジ−イソプロピル−2−ターシャリー−ブチルアミジナート、及びN,N’−ジ−ターシャリー−ブチル−2−ターシャリー−ブチルアミジナートからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
前記β−ジケトネートは、2,2,6,6−テトラメチル−3.5−ヘプタンジオネート、ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、及び6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネートからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
前記ケトイミネートは、2−イソプロピルイミノ−4−ペンタノネートであるが、これに限定されるものではない。
【0050】
前記シラノエートは、トリ−ターシャリー−ブチルシロキシドまたはトリエチルシロキシドであるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
前記カルボキシレートは2−エチルヘキサノエートであるが、これに限定されるものではない。
【0052】
前記Dリガンドは、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、12−クラウン−6,10−クラウン−4、ピリジン、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アセトニトリル、及び2,2−ジメチルプロピオニトリルからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
イットリウム(Y)の前駆体は、例えば、Y(N(SiMe、Y(N(i−Prop)、Y(N(t−Bu)SiMe、Y(TMPD)、CpY、(MeCp)Y、((n−Prop)Cp)Y、((n−Bu)Cp)Y、Y(THD)、Y(OCMeCHNMe、Y[OOCCH(C)C、Y(C1119CH(OCHCHOCH、Y(CFCOCHCOCF、Y(OOCC10、Y(OOC1019、及びY(O(i−Prop))からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
ランタン(La)の前駆体は、例えば、La(N(SiMe、La(N(i−Prop)、La(N(t−Bu)SiMe、La(TMPD)、((i−Prop)Cp)La、CpLa、CpLa(NCCH、La(MeNCCp)、La(THD)、La[OOCCH(C)C、La(C1119・CH(OCHCHOCH、La(C1119・CH(OCHCHOCH、La(O(i−Prop))、La(OEt)、La(acac)、La(((t−Bu)N)CMe)、La(((i−Prop)N)CMe)、La(((i−Prop)N)CH)、La(((t−Bu)N)C(t−Bu))、La(((i−Prop)N)C(t−Bu))、及びLa(FOD)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
セリウム(Ce)の前駆体は、例えば、Ce(N(SiMe、Ce(N(i−Prop)、Ce(N(t−Bu)SiMe、Ce(TMPD)、Ce(FOD)、((i−Prop)Cp)Ce、CpCe、Ce(MeCp)、Ce(OCMeCHNMe、Ce(THD)、Ce[OOCCH(C)C、Ce(C1119・CH(OCHCHOCH、Ce(C1119・CH(OCHCHOCH、Ce(O(i−Prop))、及びCe(acac)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
プラセオジム(Pr)の前駆体は、例えば、Pr(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Pr、CpPr、Pr(THD)、Pr(FOD)、(CMeH)Pr、Pr[OOCCH(C)C、Pr(C1119・CH(OCHCHOCH、Pr(O(i−Prop))、Pr(acac)、Pr(hfac)、Pr(((t−Bu)N)CMe)、Pr(((i−Prop)N)CMe)、Pr(((t−Bu)N)C(t−Bu))、及びPr(((i−Prop)N)C(t−Bu))からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
ネオジム(Nd)の前駆体は、例えば、Nd(N(SiMe、Nd(N(i−Prop)、((i−Prop)Cp)Nd、CpNd、(CMeH)Nd、Nd(THD)、Nd[OOCCH(C)C、Nd(O(i−Prop))、Nd(acac)、Nd(hfac)、Nd(F3CC(O)CHC(O)CH3)、及びNd(FOD)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
サマリウム(Sm)の前駆体は、例えば、Sm(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Sm、CpSm、Sm(THD)、Sm[OOCCH(C)C、Sm(O(i−Prop))、Sm(acac)、及び(CMeSmからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
ユーロピウム(Eu)の前駆体は、例えば、Eu(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Eu、CpEu、(Me4Cp)Eu、Eu(THD)、Eu[OOCCH(C)C、Eu(O(i−Prop))、Eu(acac)、及び(CMeEuからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
ガドリニウム(Gd)の前駆体は、例えば、Gd(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Gd、CpGd、Gd(THD)、Gd[OOCCH(C)C、Gd(O(i−Prop))、Gd(acac)、及び(CMeGdからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
テルビウム(Tb)の前駆体は、例えば、Tb(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Tb、CpTb、Tb(THD)、Tb[OOCCH(C)C、Tb(O(i−Prop))、Tb(acac)、及び(CMeTbからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
ジスプロシウム(Dy)の前駆体は、例えば、Dy(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Dy、CpDy、Dy(THD)、Dy[OOCCH(C)C、Dy(O(i−Prop))、Dy(acac)、(CMeDy、及びDy(OC(CHCHからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
ホルミウム(Ho)の前駆体は、例えば、Ho(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Ho、CpHo、Ho(THD)、Ho[OOCCH(C)C、Ho(O(i−Prop))、Ho(acac)、及び(CMeHoからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
エルビウム(Er)の前駆体は、例えば、Er(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Er、((n−Bu)Cp)Er、CpEr、Er(THD)、Er[OOCCH(C)C、Er(O(i−Prop))、Er(acac)、及び(CMeErからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
ツリウム(Tm)の前駆体は、例えば、Tm(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Tm、CpTm、Tm(THD)、Tm[OOCCH(C)C、Tm(O(i−Prop))、Tm(acac)、及び(CMeTmからなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
イッテルビウム(Yb)の前駆体は、例えば、Yb(N(SiMe、Yb(N(i−Prop)、((i−Prop)Cp)Yb、CpYb、Yb(THD)、Yb[OOCCH(C)C、Yb(O(i−Prop))、Yb(acac)、(CMeYb、Yb(hfac)、及びYb(FOD)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
ルテニウム(Lu)の前駆体は、例えば、Lu(N(SiMe、((i−Prop)Cp)Lu、CpLu、Lu(THD)、Lu[OOCCH(C)C、Lu(O(i−Prop))、及びLu(acac)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
前記半導体前駆体は、シリコンの前駆体でありうる。
【0069】
前記シリコン前駆体は、例えば、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、モノクロロシラン(SiClH)、ジクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiClH)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、ジエチルシラン(EtSiH)、テトラエチルオルトシリケート(Si(OCHCH、TEOS)、またはアルキルアミノシラン系化合物であるが、これらに限定されるものではない。前記アルキルアミノシラン系化合物は、例えば、ジイソプロピルアミノシラン(HSi(N(i−Prop)))、ビス(ターシャリー−ブチルアミノ)シラン((CHN)SiH)、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン(Si(NMe)、テトラキス(エチルメチルアミノ)シラン(Si(NEtMe))、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン(Si(NEt)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(HSi(NMe)、トリス(エチルメチルアミノ)シラン(HSi(NEtMe))、トリス(ジエチルアミノ)シラン(HSi(NEt)、トリス(ジメチルヒドラジノ)シラン(HSi(NHNMe)、ビス(ジエチルアミノ)シラン(HSi(NEt)、ビス(ジイソプロピルアミノ)シラン(HSi(N(i−Prop))、トリス(イソプロピルアミノ)シラン(HSi(N(i−Prop))、または(ジイソプロピルアミノ)シラン(HSi(N(i−Prop))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0070】
ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、i−Propはイソプロピル基、n−Propはn−プロピル基、Buはブチル基、n−Buはn−ブチル基、Cpはシクロペンタジエニル基、THDは2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、TMPDは2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、acacはアセチルアセトネート、hfacはヘキサフルオロアセチルアセトネート、そして、FODは6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネートを表す。
【0071】
前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLは、前記反応抑制作用基−Xの層上にモノレイヤーまたは2つ以上の層で物理吸着される。前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLと前記反応抑制作用基−Xとの物理吸着による結合力は、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLと、前記基板101の表面に形成された前記反応活性要素(例えば、酸素ラジカルまたはヒドロキシ作用基)との結合力より弱い。
【0072】
前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが前記反応抑制作用基−Xに物理吸着されるため、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが物理吸着された第1層の上に、再び前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが物理吸着された第2層が形成される確率は非常に低くなる。
【0073】
非常に弱い結合力で物理吸着された余分の金属前駆体及び/または半導体前駆体MLは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスまたは窒素(N)を用いてパージされる。また完全に吸着されない余分の金属前駆体及び/または半導体前駆体MLも、本パージによって前記反応チャンバ12の外部に排出される。このようにパージすることで、前記余分の金属前駆体及び/または半導体前駆体MLと、前記チャンバ内に後続的に提供される他のガスとの不要な反応を防止または最小化できる。
【0074】
図1及び図3Cを参照すれば、金属酸化物及び/または半導体酸化物MOの層を得るために、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させる(S13)。前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させる段階(S13)は、図6に示したように、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体の層上に、酸化剤を含む第3反応ガスを提供する段階(S131)、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体を前記酸化剤と反応させて、金属酸化物及び/または半導体酸化物の層を生成する段階(S132)、及び余分の前記酸化剤を含む第3反応ガスをパージする段階(S133)を含む。
【0075】
前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させるために、これらが吸着された表面上に酸化剤が提供される。前記酸化剤は、例えば、オゾン(O)、酸素(O)、水(HO)、過酸化水素(H)、または亜酸化窒素(NO)などの酸化剤であるが、これらに限定されるものではない。このような酸化剤の酸化作用によって金属酸化物及び/または半導体酸化物MOの層が形成される。
【0076】
場合によって、前記金属酸化物及び/または前記半導体酸化物MOの層の表面は、反応活性要素−Rで終結される。前記反応活性要素−Rは、例えば、酸素、酸素ラジカル、及び/またはヒドロキシ基−OHを含む。例えば、前記酸化剤としてオゾンまたは酸素などを利用する場合には、反応活性要素−Rが酸素または酸素ラジカルを含む。また、前記酸化剤として水または過酸化水素を利用する場合には、反応活性要素−Rが酸素、酸素ラジカル、またはヒドロキシ基−OHを含む。
【0077】
前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させるために、前記酸化剤はガス状態で提供されてもよく、プラズマ状態で提供されてもよい。
【0078】
選択的に、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが酸化される時、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが吸着されていた反応抑制作用基−Xが除去される。
【0079】
図3Bを参照した説明で述べたように、金属前駆体及び/または半導体前駆体MLを基板の表面に優秀な厚さ均一性に形成し、これを酸化剤で酸化させたので、結局に優秀な厚さ均一性を持つ金属酸化物及び/または半導体酸化物MOを得ることができる。
【0080】
本発明の一部実施形態によれば、前記酸化剤は炭素を含まない無機化合物でありうる。したがって、前記金属酸化物及び/または半導体酸化物MO内に含まれている炭素の量を最小化でき、それにより、前記金属酸化物及び/または半導体酸化物MOの物性を改善して信頼性を確保できる。
【0081】
前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させた後、余分の酸化剤は前記チャンバからパージできる。このようにパージすることで、前記余分の酸化剤と前記チャンバ内に後続的に提供される他のガスとの不要な反応を防止または最小化できる。
【0082】
図1を参照すれば、以上の過程で形成された酸化物層110の形成が完了したかどうかを判断する(S14)。このような酸化物層110の形成が完了したかどうかは、例えば、前記酸化物層110をなす物質、前記酸化物層110の厚さ、前記酸化物層110の誘電率などを考慮して判断できる。
【0083】
もし、さらに前記酸化物層110を形成する必要があるならば、前述した段階S11ないしS13の過程を1回以上さらに行える。一方、前記酸化物層110の形成が完了したと判断されるならば、前記酸化物層110を形成するための工程を終了できる。
【0084】
図1及び図3Dを参照すれば、段階S14で前記酸化物層110をさらに形成する必要があると判断される場合、段階S11を再び行う。すると、図3Dに示したように、金属酸化物及び/または半導体酸化物MOの上に反応抑制作用基−Xが生成される。前記反応抑制作用基−Xが形成された後、余分の第1反応ガスは反応チャンバ12からパージされる。
【0085】
図1及び図3Eを参照すれば、段階S12を行って、前記反応抑制作用基−Xに金属前駆体及び/または半導体前駆体MLを物理吸着させる。前記で図3Cを参照して説明したように、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLは、前記反応抑制作用基−Xの層上にモノレイヤーまたは2つ以上の層で物理吸着される。前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLの層が2層以上に形成される場合、前記反応抑制作用基−Xに直接吸着される層は、物理吸着をなして比較的弱い結合をなす。一方、前記反応抑制作用基−Xに物理吸着された前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLの第1層上に、再び物理吸着された前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLの第2層は、前記第1層とさらに弱い結合力を持つ。
【0086】
もし、前記反応抑制作用基−Xがなければ、前記第1層は、前記反応活性要素−Rに化学吸着される。この場合、前記第2層とその以後の層とは、前記反応抑制作用基−Xが存在する場合に比べてさらに強力な物理吸着をなして厚さ均一性が低下する。
【0087】
また、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが物理吸着される速度は、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLがフィーチャの内部に広がる速度に比べてさらに遅い。この場合、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLの物理吸着が著しく進められる前に、縦横比の大きい構造物またはフィーチャ内部まで、前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLが広げられる。それにより、優秀な厚さ均一性を持つ金属前駆体及び/または半導体前駆体MLの層を形成できる。しかし、本発明が特定の理論によって限定されるものではない。
【0088】
図3Eで物理吸着される金属前駆体及び/または半導体前駆体MLは、図3Bで物理吸着された金属前駆体及び/または半導体前駆体MLと同じ物質でも、異なる物質でもよい。すなわち、段階S11ないし段階S13を含むサイクルを複数回行う時、各サイクルで使われる金属前駆体及び/または半導体前駆体MLは互いに異なる。または、一つの金属前駆体及び/または半導体前駆体を所定回数のサイクルで使用した後、それ以後に他の種類の金属前駆体及び/または半導体前駆体を使用してもよい。
【0089】
選択的に、第1物質の酸化物を形成し、その上に第2物質の酸化物を積層できる。特に、前記第1物質の酸化物と前記第2物質の酸化物とを交互に複数回積層できる。前記第1物質の酸化物を形成するために、第1金属の前駆体及び/または第1半導体の前駆体を用いて、段階S11ないし段階S13を含むサイクルを1回以上行える。次いで、前記第2物質の酸化物を形成するために、第2金属の前駆体及び/または第2半導体の前駆体を用いて、段階S11ないし段階S13を含むサイクルを1回以上行える。
【0090】
この時、各サイクルにおいて、前記反応活性要素−Rがその下部の、既に基板の一部になった金属または半導体と結合される強度は、金属または半導体の種類によって変わる。前記第1金属は、前記第1金属と前記反応活性要素との結合強度が、第3周期金属と前記反応活性要素との結合強度より弱くなるように選択される。前記第3周期金属は、例えば、アルミニウム(Al)であるが、これに限定されるものではない。または、前記第1金属は、前記第1金属と前記反応活性要素との結合強度が、第3周期半導体と前記反応活性要素との結合強度より弱くなるように選択される。前記第3周期半導体はシリコンでありうる。
【0091】
これらの第1金属は、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Lu)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)からなる群から選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
特定の理論によって限定されるものではないが、第1金属をこのように選択する場合、第1金属と反応活性要素との結合強度がやや低いため、反応抑制作用基の層が全体の表面にわたって形成される。その結果、反応抑制作用基−Xが全体のフィーチャにわたって金属前駆体及び/または半導体前駆体の化学吸着を防止可能になり、それにより、その上に形成される第2物質の酸化物がシリコン酸化物及び/またはアルミニウム酸化物である場合にも、依然として厚さ均一性の優れた第2物質の酸化物を得ることができる。
【0093】
選択的に、前記第1物質の酸化物上に形成された前記第2物質の酸化物がシリコン酸化物であるか、またはアルミニウム酸化物である場合には、S11ないしS13のサイクルを1回のみ行って前記第1物質の酸化物を形成するサイクルを行える。または、前記第1物質の酸化物上に形成された前記第2物質の酸化物がシリコン酸化物であるか、またはアルミニウム酸化物である場合には、シリコン酸化物またはアルミニウム酸化物のモノレイヤーが形成されるようにS11ないしS13のサイクルを1回以上行い、次いで、前記第1物質の酸化物を形成するサイクルを行える。
【0094】
図1及び図3Fを参照すれば、段階S13を行って前記金属前駆体及び/または前記半導体前駆体MLを酸化させることで、金属酸化物及び/または半導体酸化物の層を得ることができる。次いで、酸化物層112の形成が完了したかどうかを判断できる(S14)。もし、さらに前記酸化物層110を形成する必要があるならば、前述した段階S11ないしS13の過程を1回以上さらに行える。一方、前記酸化物層110の形成が完了したと判断されるならば、前記酸化物層110を形成するための工程を終了できる。
【0095】
段階S11ないしS13のサイクルを数回ないし数百回繰り返しても、前述したようにサイクル毎に優秀な厚さ均一性を持つ酸化物のモノレイヤーが得られるので、結果的に得られる全体酸化物層110も優秀な厚さ均一性を持つ。
【0096】
以下では、本発明の一実施形態による半導体素子の製造方法を説明する。図7は、本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を説明するためのフローチャートである。図8Aないし図8Hは、本発明の一実施形態による半導体素子の形成方法を順序に沿って示す側断面図である。
【0097】
図7及び図8Aを参照すれば、基板210上に層間絶縁膜211、コンタクトプラグ212及びエッチング阻止膜213を形成し、その上にキャパシタ形成のための第1モールド膜214を形成できる(S20)。前記第1モールド膜214の上部には支持層232Lを形成できる。前記支持層232Lは、約10nm〜500nmの厚さを持つ。前記支持層232L上には、支持層をパターニングするためのマスクパターン240を形成できる。前記マスクパターン240は、今後形成される支持パターンに対応するパターンを持つように形成される。前記マスクパターン240は、例えば、フォトレジストパターンでありうる。
【0098】
前記基板210は、シリコン基板、ゲルマニウム基板、またはシリコン−ゲルマニウムでありうる。しかし、前記基板210はこれらに限定されず、図3Aを参照して前述した基板のうちいずれか一つでもありうる。
【0099】
前記層間絶縁膜211は誘電物質を含む。例えば、前記層間絶縁膜211は、酸化物、窒化物及び/または酸窒化物でありうる。前記層間絶縁膜211は、単一層からなるか、または2以上の層を含めてもよい。
【0100】
前記基板210上に、前記層間絶縁膜211を貫通するコンタクトプラグ212を形成できる。前記コンタクトプラグ212は、ドーピングされたポリシリコンなどの半導体物質;タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属;タングステン窒化物(WN)、チタン窒化物(TiN)、タンタル窒化物(TaN)などの金属窒化物;チタンシリコン窒化物(TiSiN)、タングステンシリコン窒化物(WSiN)などの金属シリコン窒化物;及びタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドからなる群から選択される1種以上で形成される。
【0101】
図面には図示されていないが、前記基板210上には互いに交差する複数のワードライン及びビットラインが形成され、これらラインは、前記層間絶縁膜211で覆われている。前記各ワードラインの両側の基板210内にドーピング領域が配され、前記コンタクトプラグ212のそれぞれは一つのドーピング領域と接続される。また、前記コンタクトプラグ212は、対応するスイッチング素子に電気的に連結されている。前記スイッチング素子は、トランジスタやダイオードなどの任意の能動素子でありうる。
【0102】
前記エッチング阻止膜213上には、前記第1モールド膜214が形成される(S20)。前記第1モールド膜214は、酸化膜、窒化膜、または酸窒化膜のうち少なくとも一つを含む。
【0103】
図示されていないが、前記第1モールド膜214と前記エッチング阻止膜213との間にバッファ膜(図示せず)がさらに形成される。前記バッファ膜は、酸化膜または窒化膜のうち少なくとも一つを含む。
【0104】
前記支持層232Lは、第1モールド膜214に対してエッチング選択比を持つ物質で形成できる。例えば、前記第1モールド膜214の全部または一部を除去する時にLAL(Limulus Amebocyte Lysate)リフトオフ工程を利用する場合、LALに対してエッチング速度が低く、誘電体特性を持つ物質で形成できる。
【0105】
もし、前記第1モールド膜214がSiO、SiGe、Si及び炭素系物質のうちいずれか一つ以上の物質で形成される場合、前記支持層232Lは、SiN、SiCN、TaO、及びTiOから選択されるいずれか一つを用いて形成される。しかし、本発明はこれら物質に限定されるものではない。
【0106】
図8Bを参照すれば、前記マスクパターン240をエッチングマスクとして用いて、露出された前記支持層232Lを異方性エッチングして支持層パターン232Pを形成する。前記異方性エッチングによって支持層パターン232Pの間に第1モールド膜214の一部が露出される。
【0107】
図8Cを参照すれば、前記第1モールド膜214及び前記支持層パターン232P上に第2モールド膜215を形成する。前記第2モールド膜215は、第1モールド膜214と同じ物質で形成するか、または第1モールド膜214と類似したエッチング速度、例えば、LALリフト工程を通じて第1モールド膜214と第2モールド膜215とを除去する場合、LALによる第2モールド膜215のエッチング速度が、前記第1モールド膜214のエッチング速度に比べて10%以下の差を持つ物質で形成できる。前記第2モールド膜215は、前記支持層パターン232Pをいずれも覆うことができる厚さに形成できる。例えば、前記第2モールド膜215は、少なくとも50nmの厚さを持つように形成できる。また前記第1モールド膜214及び第2モールド膜215の厚さの和は、約1,000Åないし約4,000Åでありうる。
【0108】
図7及び図8Dを参照すれば、シリンダー型の第1電極を形成する位置に、前記コンタクトプラグ212が露出されるまで第2モールド膜215、支持層パターン232P、第1モールド膜214及びエッチング阻止膜213をエッチングして、複数の開口部Hを形成する(S21)。前記開口部Hは、少なくとも一つの他の開口部Hと前記支持層パターン232Pによって連結される。しかし、必ずしも連結されるべきものではない。
【0109】
前記開口部Hは、前記コンタクトプラグ212の上部面を露出させることができる。前記開口部Hは、前記開口部Hを定義するためのマスクパターンを前記第2モールド膜215上に形成し、前記マスクパターンをエッチングマスクとして用いて、前記第1モールド膜214、第2モールド膜215及び支持層パターン232Pをエッチングすることで形成される。一実施形態によれば、前記開口部Hは、ホール状に形成される。
【0110】
図7及び図8Eを参照すれば、前記基板210の結果物全面、すなわち、開口部Hの内壁及び前記第2モールド膜215上に導電性物質を蒸着した後、各開口部Hの内壁の導電性物質を分離して複数の第1電極220を形成する(S22)。前記第1電極220は導電性物質を類似して形成した後、開口部Hを埋め込めるように基板110上の結果物全面に埋め込み層(図示せず)を形成し、エッチバック及び/または化学機械的研磨(CMP)工程を通じて、第2モールド膜215が露出されるまで前記埋め込み層及び導電性物質を除去する平坦化工程を行うことで形成される。前記第1電極220は、前記コンタクトプラグ212と電気的に接続される。一実施形態によれば、前記第1電極220は、前記コンタクトプラグ212と接触する平板部、及び前記平板部のエッジから垂直方向に延びる側壁部を備える。したがって、前記第1電極220は、前記平板部及び前記側壁部によって規定される空の空間を持つ。例えば、前記第1電極220はシリンダー型でありうる。
【0111】
前記第1電極220は、例えば、ドーピングされたポリシリコンなどの半導体物質;ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)及び/またはタンタル(Ta)などの金属;チタンナイトライド(TiN)、タンタルナイトライド(TaN)、タングステンナイトライド(WN)などの導電性金属窒化膜;酸化イリジウム(IrO)などの導電性金属酸化物;及び/またはこれらの複合物で形成される。前記第1電極220は単一層に形成されてもよく、2以上の層が積層された構造でもありうる。
【0112】
前記第2モールド膜215上の前記導電性物質は、化学機械的研磨工程を通じて、そして前記埋め込み層は、エッチバックによりそれぞれ除去できる。前記埋め込み層は、第1モールド膜214及び/または第2モールド膜215と同一材質で形成するか、または類似したエッチング率を持つ物質で形成できる。埋め込み層は、例えば、酸化膜である。
【0113】
図7及び図8Fを参照すれば、前記第1電極220を形成した後、第1モールド膜214及び第2モールド膜215を除去する(S23)。また、埋め込み層は、第1モールド膜214及び第2モールド膜215と共に除去するか、または別途に除去してもよい。例えば、第1モールド膜214、第2モールド膜215及び埋め込み層は、フッ化アンモニウム(NHF)、フッ酸(HF)及び水を含むLALまたはフッ酸を用いて、リフトオフ工程方法を用いて除去される。したがって、前述したように、支持層パターン232Pをなす物質は、LALに対して第1モールド膜214及び第2モールド膜215に比べて低いエッチング率を有するように選択される。前記第1電極220の少なくとも一部は、支持パターン232によって支持される。図8Fでは、支持パターン232がシリンダー型構造物、すなわち、シリンダー型の第1電極220の端部より低く形成されている。しかし、支持パターン232は、前記第1電極220の端部と同一高さに形成されてもよい。
【0114】
図7及び図8Gを参照すれば、第1モールド膜214、第2モールド膜215及び埋め込み層を除去した後、前記第1電極220上にキャパシタ誘電膜222を類似して形成する(S24)。前記キャパシタ誘電膜222は、例えば、図1及び図3Aないし図3Fを参照して説明した方法によって形成された金属酸化物及び/または半導体酸化物を含む。以下では、キャパシタ誘電膜222の製造方法をさらに具体的に説明する。
【0115】
まず、前記第1電極220が形成された基板210を反応チャンバ内にローディングする。
【0116】
前記ローディングされた基板210に対して、前記第1電極220の表面に金属酸化物及び/または半導体酸化物を含むキャパシタ誘電膜222を形成するために、基板210の表面上に反応活性要素の層を形成できる。次いで、前記反応活性要素の層上に第1物質の酸化物層を形成できる。
【0117】
前記第1物質の酸化物層を形成するために、前記第1物質の前駆体層を形成した後で前記第1物質の前駆体層を酸化させる。前記第1物質は、第1金属または半導体でありうる。前記第1金属は、第4周期ないし第6周期の第2族ないし第5族及びランタン族の金属から選択される少なくとも1種であり、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Lu)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、またはイッテルビウム(Yb)から選択される少なくとも一つでありうる。これらの前駆体については前述したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0118】
また、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階によって得られる表面は、酸素、酸素ラジカル、またはヒドロキシ基で終結されるが、これらは再び反応活性要素として作用できる。
【0119】
選択的に、前記第1物質の酸化物層を形成するために、前記第1物質の前駆体層を形成する段階と、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階とのサイクルを2回以上繰り返して行える。前記サイクルの繰り返しは、所望の厚さの第1物質の酸化物層を得るまで続く。また、前記第1物質の酸化物層を形成する時、第1物質の酸化物上に反応抑制作用基の層を形成する段階を少なくとも1回以上行える。この場合、前記サイクルが行われるに当って、反応抑制作用基が適用されるサイクルもあり、反応抑制作用基が適用されないサイクルもありうる。
【0120】
または、選択的に、前記第1物質の酸化物層を形成するための前記サイクルにおいて、前記第1物質の前駆体層を形成する段階に先立って反応抑制作用基の層を形成する段階をさらに含む。この場合、前記サイクルのそれぞれは反応抑制作用基の層を形成する段階を含むようになる。
【0121】
これらの方法で第1物質の酸化物層を形成した後、前記第1物質の酸化物層上に第2物質の酸化物層を形成できる。特に、前記第2物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の酸化物層上に反応抑制作用基の層を形成する段階と、前記反応抑制作用基の層上に第2物質の前駆体層を形成する段階と、前記第2物質の前駆体層を酸化させる段階と、を含む。
【0122】
前記第2物質は第2金属または半導体でありうる。前記第2金属は第3周期金属であり、例えば、アルミニウム(Al)でありうる。前記第2物質としての前記半導体はシリコンでありうる。
【0123】
前記第2物質の酸化物層はモノレイヤーで形成される。選択的に、前記第2物質の酸化物層を形成するための反応抑制作用基の層を形成する段階、第2物質の前駆体層を形成する段階、及び前記第2物質の前駆体層を酸化させる段階のサイクルは1回のみ行われてもよい。
【0124】
前記第1物質の酸化物の層を形成する段階と、前記第2物質の酸化物の層を形成する段階とは、交互に反復して行われる。このために、前記第2物質の前駆体層を酸化させた後で得られる表面が酸素ラジカルで終結される。前記酸素ラジカルは、前述した反応活性要素として作用できる。
【0125】
第1物質の酸化物層を形成するための各サイクルにおいて、必ずしも単一の第1物質が使われる必要はない。前述の色々な第1物質のうち相異なる第1物質が各サイクルに使われてもよい。すなわち、あるサイクルでは第1物質としてジルコニウムが使われてもよく、他のサイクルでは第1物質としてハフニウムが使われてもよい。
【0126】
使われる第1物質と第2物質との種類及び濃度によって酸化物層の物性が大きく変わるため、第1物質と第2物質との種類は、酸化物層の所望の用途によって適当に選択される。
【0127】
このように形成される酸化物層は、例えば、ジルコニウムハフニウムシリケート(ZrHf(SiO))を含む。
【0128】
図7及び図8Hを参照すれば、前記キャパシタ誘電膜222上に第2電極224を形成して(S25)、キャパシタを完成できる。前記第2電極224は、例えば、ドーピングされたポリシリコンなどの半導体物質;ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)及び/またはタンタル(Ta)などの金属;チタンナイトライド(TiN)、タンタルナイトライド(TaN)、タングステンナイトライド(WN)などの導電性金属窒化膜;酸化イリジウム(IrO)などの導電性金属酸化物;及び/またはこれらの複合物で形成される。前記第2電極224は単一層で形成されてもよく、2以上の層が積層された構造であってもよい。
【0129】
前記第1電極220の縦横比ARは、下記の数式1で定義できる。
【0130】
<数式1>
【数1】

(ここで、aは、前記第1電極の内径、bは、前記第1電極間の離隔距離、cは、前記第1電極の外面の垂直高さであり、min(a,b)は、aとbのうち相対的にさらに小さな数である)
【0131】
前記第1電極220の縦横比ARは20以上であり、または30以上である。また、前記第1電極220の表面に形成されるキャパシタ誘電膜222の厚さは、あらゆる位置で完全に同一にはならないが、前記第1電極220の表面に形成されるキャパシタ誘電膜222の最も厚い厚さに対する、前記キャパシタ誘電膜222の最も薄い厚さの比率は約0.85以上であり、または約0.9以上であり、または約0.95以上でありうる。
【0132】
図9は、図8HのA、B、Cで表示された部分を拡大した部分拡大図である。図9の(a)は図8HのA部分に対応し、(b)は図8HのB部分に対応し、(c)は図8HのC部分に対応する。前記キャパシタ誘電膜222の厚さは位置によって変わり、結晶状態も位置によって変わる。
【0133】
前記キャパシタ誘電膜222の厚さは、ヘッド側((a)参照)が最も厚い。この場合、前記キャパシタ誘電膜222の厚さは、コンタクトプラグ212側に近づくほど段々薄くなる。一方、(c)に示したように、底側においてはコーナー部分で最も薄く、底部の中心へ行くほど段々厚くなる。前記コーナー部分では水平方向でも、垂直方向でも、またはその他の方向でも、前記キャパシタ誘電膜222の表面と前記第1電極220との距離が最も短い寸法を、前記キャパシタ誘電膜222の厚さと見なす。また、これらの厚さを用いて、前記キャパシタ誘電膜222の最も厚い厚さに対する前記キャパシタ誘電膜222の最も薄い厚さの比率を計算できる。
【0134】
前記キャパシタ誘電膜222の結晶状態は、ヘッド側((a)参照)、トップ付近((b)参照)、及び底面上((c)参照)で実質的に同一であり、ほぼ同程度の結晶化度を示す。また、これら領域で少なくとも部分的に結晶化している。これらの結晶化度を確認するために透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を利用できる。言い換えれば、TEMを用いて前記第1電極220の底面上に形成された前記キャパシタ誘電膜222の結晶化度を測定した時、結晶性パターンが観察されれば結晶化したと見なすことができ、同一測定条件でかかる結晶性パターンの強度に比例して結晶化度が高いと判断できる。特に、前記第1電極220のヘッド側((a)参照)、トップ付近((b)参照)、及び底面上((c)参照)の各領域で形成された前記キャパシタ誘電膜222に、単結晶性または多結晶性のグレインが形成されている。
【0135】
図10は、本発明の実施形態によって製造したキャパシタのヘッド側((a)参照)、トップ付近((b)参照)、及び底面上((c)参照)を撮影したTEMイメージである。図10の(a)ないし(c)を参照すれば、各位置で若干結晶化していることが分かり、その程度も類似していることが分かる。
【0136】
図11は、本発明の他の実施形態による半導体素子を示す側断面図である。
【0137】
図11を参照すれば、図8Aないし図8Hの実施形態と比較して第1電極220aの形態が異なり、その他の部分は同一であるので、重なる説明は省略する。第1電極220aは、前記数式1で定義される縦横比ARを持つことができ、前記縦横比ARは、例えば、20以上である。または、前記縦横比ARは、例えば、30以上である。
【0138】
前記第1電極220aは、大きく2つの部分を含む。すなわち、シリンダー状の上部部分220cと柱(Pillar)状の下部部分220pとを含む。これら2つの部分220c、220pは、互いに同じ物質で形成されてもよく、異なる物質で形成されてもよい。
【0139】
前記キャパシタ誘電膜222aの最も厚い厚さに対する、前記キャパシタ誘電膜222aの最も薄い厚さの比率は約85%以上であり、または約90%以上であり、または約95%以上である。
【0140】
前記キャパシタ誘電膜222aの結晶状態は、図8Hに示したキャパシタ誘電膜222と類似しており、第1電極220aのヘッド側(A部分)、トップ付近(B部分)及び第1電極220a間の底面(C部分)上で実質的に同一である。
【0141】
図12は、本発明の他の実施形態による半導体素子を示す側断面図である。
【0142】
図12を参照すれば、図8Aないし図8Hの実施形態と比較して第1電極220bの形態が異なり、その他の部分は同一であるので、重なる説明は省略する。第1電極220bは、下記の数式2で定義される縦横比AR’を持ち、前記縦横比AR’は、例えば、20以上である。または、前記縦横比AR’は、例えば、30以上である。
【0143】
<数式2>
【数2】

(ここで、a’は、前記第1電極の柱直径、bは、前記第1電極間の離隔距離、cは、前記第1電極の外面の垂直高さであり、min(a’,b)は、a’とbのうち相対的にさらに小さな数である)
【0144】
前記第1電極220bは、シリンダー状の図8Hの第1電極220とは異なって柱状を持つことができる。このような柱状の第1電極220bを作るために、第1モールド膜214内の開口部Hを完全に埋め込むように導電性物質を形成できる。また、図12では、図8Hのような支持パターン232が省略されたが、必要に応じて支持パターンを形成でき、支持パターンの形成方法は図8Aないし図8Hの製造方法で詳細に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0145】
また、前記キャパシタ誘電膜222bも、図8Aないし図8Hを参照して説明した方法と同じ方法で製造できる。
【0146】
前記第1電極220bの表面に形成されるキャパシタ誘電膜222bの厚さは、あらゆる位置で完全に同一になるわけではないが、前記キャパシタ誘電膜222bの最も厚い厚さに対する、前記キャパシタ誘電膜222bの最も薄い厚さの比率は約0.85以上であり、または約0.9以上であり、または約0.95以上である。
【0147】
また、前記キャパシタ誘電膜222bの結晶状態は、位置によって変わる。
【0148】
前記キャパシタ誘電膜222bの結晶状態は、図8Hに示したキャパシタ誘電膜222と類似して、第1電極220bのヘッド側(A部分)、トップ付近(B部分)及び第1電極220b間の底面(C部分)上で実質的に同一である。これは、前述した通りにTEMを用いて確認できる。言い換えれば、TEMを用いて各領域での結晶化度を測定した時、結晶性パターンが観察されれば結晶化したと見なすことができ、同一測定条件でこれらの結晶性パターンの強度が強く表れるほど結晶化度が高いと判断できる。特に、第1電極220bのヘッド側、トップ付近及び第1電極220b間の底面それぞれに、単結晶性または多結晶性のグレインが形成されている。
【0149】
図13は、本発明のさらに他の実施形態による半導体素子250を示す斜視図である。
【0150】
図13を参照すれば、基板210上にx方向に延びる浅いトレンチ253によって活性領域252が定義される。また、前記浅いトレンチ253は、浅いトレンチ絶縁膜254によって少なくとも部分的に埋め込まれる。特に、前記活性領域252の側面の少なくとも一部分及び上部表面が露出されるように、前記浅いトレンチ絶縁膜254が形成される。このように浅いトレンチ絶縁膜254を形成する方法は、いわゆる浅いトレンチ分離方法(Shallow Trench Isolation、STI)を用いて容易に行える。前記STIについては、周知であるため詳細な説明は省略する。
【0151】
次いで、前記活性領域252の上部表面及び側面上に酸化物層258を形成する。前記酸化物層258は、図8Aないし図8Hを参照して前述したキャパシタ誘電膜222の形成方法と同じ方法で形成できる。したがって、ここでは詳細な説明を省略する。
【0152】
次いで、前記酸化物層258を介して前記活性領域252の側面の少なくとも一部分及び上部表面を取り囲む電極256を形成できる。前記電極256は導電性物質で形成でき、例えば、ドーピングされたポリシリコンなどの半導体物質;タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属;タングステン窒化物(WN)、チタン窒化物(TiN)、タンタル窒化物(TaN)などの金属窒化物;チタンシリコン窒化物(TiSiN)、タングステンシリコン窒化物(WSiN)などの金属シリコン窒化物;及びタングステンシリサイド(WSi)などの金属シリサイドからなる群から選択される1種以上で形成できる。
【0153】
特に、前記電極256は、機能的にゲート電極の役割を行える。前記電極256がゲート電極であり、その両側の露出された活性領域252に不純物領域を形成する場合、前記半導体素子250はフィン型電界効果トランジスタ(fin Field Effect Transistor、FinFET)である。しかし、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0154】
特に、前記活性領域は、下記の数式3で定義される縦横比AR’’を持つ。
【0155】
<数式3>
【数3】

(ここで、bは、前記露出された活性領域間の離隔距離であり、cは、前記露出された活性領域の高さである)
【0156】
前記縦横比AR’’は3以上であり、または、前記縦横比AR’’は5以上である。この時、露出された前記活性領域252上で前記酸化物層258の厚さは完全に均一なわけではない。露出された前記活性領域252上で前記酸化物層258の最も厚い厚さに対する、前記酸化物層258の最も薄い厚さの比は0.85以上であり、または0.9以上である。または、露出された前記活性領域252上で前記酸化物層258の最も厚い厚さに対する、前記酸化物層258の最も薄い厚さの比は0.95以上である。
【0157】
図13には、浅いトレンチ253のみ示したが、一群の浅いトレンチ253と活性領域252とがy方向に反復形成されていて、前記浅いトレンチ253より深い深さを持つ深いトレンチによって半導体素子の群を区分させてもよい。しかし、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0158】
図14は、本発明のさらに他の実施形態による半導体素子を示す斜視図である。
【0159】
図14を参照すれば、x方向及びy方向に延びる主面を持つ基板300上に、環状の半導体領域330がx方向及びy方向に所定間隔離隔して配される。前記半導体領域330は、底面で前記基板300と接触できる。また、環状の前記半導体領域330の内部には絶縁性柱340が備えられ、前記絶縁性柱340の上面を導電層335が覆う。
【0160】
また、不純物領域302が前記基板300の主面に隣接してy方向に延びつつ、x方向に離隔して配列される。また、前記不純物領域302上には絶縁層370が形成される。
【0161】
一つのメモリセルストリングは、2つの接地選択トランジスタGST1、GST2、複数のメモリセルMC1,MC2,…,MCn−1,MCn、及び2つのストリング選択トランジスタSST1、SST2を含む。ここでは、メモリセルが4つであると図示されているが、さらに多くの、またはさらに少ないメモリセルが配列されてもよい。各半導体領域330に対するこれらのメモリセルストリングがy方向に離隔して配列される。第1ストリング選択トランジスタSST1は、前記導電層335を通じてビットラインに共通に連結される。また、第1接地選択トランジスタGST1は、隣接した不純物領域302に電気的に連結される。
【0162】
また、ゲート電極360が、半導体領域330のx方向の両側面に沿って基板300からz方向に離隔して配列される。前記ゲート電極360は、それぞれ接地選択トランジスタGST1、GST2、メモリセルMC1,MC2,…,MCn−1,MCn、及び/またはストリング選択トランジスタSST1、SST2のゲートである。前記ゲート電極360は、y方向に配列された隣接するメモリセルストリングに共通に連結される。また、層間絶縁膜320が前記ゲート電極360の間に配列される。前記層間絶縁膜320もz方向に互いに離隔し、かつy方向に延びるように配列される。
【0163】
ゲート誘電膜350が、前記半導体領域330と前記ゲート電極360との間に配される。前記ゲート誘電膜350は、ゲート電極360の上面及び下面を覆うように配される。また、前記ゲート誘電膜350は、半導体領域330と接触しない層間絶縁膜320の一側面を覆うように配される。前記ゲート誘電膜350は、金属酸化物または半導体酸化物の層を含む。
【0164】
前記ゲート誘電膜350に含まれた前記金属酸化物または半導体酸化物の層を形成する方法は、図3Aないし図3Fの説明部分で前述した方法によって製造できる。前記ゲート誘電膜350に含まれる金属酸化物または半導体酸化物を形成する時、ホール内への物質拡散に比べて非常に高いレベルの物質伝達抵抗が発生する。しかし、前述したように、図3Aないし図3Fによって優秀な厚さ均一性を持つ金属酸化物または半導体酸化物を形成できるため、このような高いレベル物質伝達抵抗を持つ場合にも、優秀な厚さ均一性を持つ金属酸化物及び/または半導体酸化物を含むゲート誘電膜350を形成できる。
<製造例>
【0165】
図8Aないし図8Hに示した方法によって、DRAMセルに電気的に連結されたシリンダー型キャパシタを製造した。第1電極の縦横比は7であり、前記第1電極の物質は窒化チタンであり、第2電極の物質は窒化タングステンであった。各製造例において、下記の表1及び表2のように、キャパシタ誘電膜のみを変化させて厚さ均一性を測定した。
【0166】
製造例1ないし製造例3において、前記第1電極上に有機化合物を化学吸着させた後、金属前駆体を供給して物理吸着させ、次いで酸化剤で酸化させるサイクルを50回行った。比較例1ないし比較例3は、有機化合物を化学吸着させる段階を省略したことを除いては、製造例1ないし製造例3の方法と同一に行った。
【0167】
【表1】

【0168】
前記表1から分かるように、反応抑制作用基−Xを含む有機化合物(MeOHまたはEtOH)で処理した後で酸化させた場合には、95%以上の高い厚さ均一性が得られる。一方、有機化合物で処理しない場合には、80%未満の厚さ均一性が得られるということが分かる。
【0169】
図15は、反応抑制作用基−Xを含む有機化合物で処理して金属前駆体を物理吸着させることで優秀な厚さ均一性を持たせたキャパシタ誘電膜と、前記有機化合物で処理せずに製造されたキャパシタ誘電膜との電気的特性を比較するグラフである。
【0170】
図15の横軸は、任意の単位で表した静電容量を示し、縦軸のテイクオフ電圧は、約1フェムトアンペア(fA)の漏れ電流をもたらす最小印加電圧を任意の単位で表したものである。テイクオフ電圧、すなわち、約1フェムトアンペア(fA)の漏れ電流をもたらす最小印加電圧が高いほど、キャパシタ誘電膜の絶縁特性が優秀であると評価できる。
【0171】
図15のグラフから分かるように、製造例1で製造したサンプルのテイクオフ電圧が比較例1で製造したサンプルのテイクオフ電圧よりさらに高い。したがって、本発明の実施形態によって製造した酸化物、及びそれを用いて製造した半導体素子が電気的にさらに優秀な性質を持つということが分かる。
【0172】
前記の製造例1ないし製造例3、比較例1ないし比較例3は、単一物質でキャパシタ誘電膜を製造する例を示した。製造例4ないし製造例9では、第1金属/半導体前駆体を用いて第1金属/半導体の酸化物を形成するサイクルを9回行った後、第2金属/半導体前駆体を用いて第2金属/半導体の酸化物を形成するサイクルを1回行った。この時、各サイクルで反応抑制作用基−Xを含む有機化合物で処理する過程をいずれも含む。
【0173】
このように異なる前駆体を使用して9:1のサイクル数の割合で行う過程を7回繰り返した。次いで、第2電極を形成した後、生成されたキャパシタ誘電膜の厚さ均一性を測定した。
【0174】
【表2】

【0175】
表2から分かるように、各第1金属/半導体酸化物のサイクルの間に、シリコン酸化物またはアルミニウム酸化物を生成するサイクルが1回のみ行われた場合には、95%以上の高い厚さ均一性のキャパシタ誘電膜を得ることができた。
【0176】
一方、比較例4では、シリコン酸化物を生成するサイクルを9回行った後、ジルコニウム酸化物を生成するサイクルを1回行った。このようにシリコン酸化物を生成するサイクルと、ジルコニウム酸化物を生成するサイクルとを9:1の割合で行う過程を7回繰り返した後、同じ方法で厚さ均一性を測定した。製造例4ないし製造例9のように、各サイクルで反応抑制作用基−Xを含む有機化合物で処理する過程をいずれも含む。しかし、生成されたキャパシタ誘電膜は71%の低い厚さ均一性を持っている。
【0177】
一方、製造例10では、シリコン酸化物を生成するサイクルを9回行う代わりに1回行った。このようにシリコン酸化物を生成するサイクルと、ジルコニウム酸化物を生成するサイクルとを1:1の割合で行う過程を35回繰り返した後、同じ方法で厚さ均一性を測定した。比較例4と同様に、各サイクルで反応抑制作用基−Xを含む有機化合物で処理する過程をいずれも含む。その結果、生成されたキャパシタ誘電膜が96%の高い厚さ均一性を持つことが確認できる。
【0178】
比較例4と製造例10とを比較するところ、厚さ均一性の劣化は、シリコン酸化物を生成するサイクルを連続して複数回行うのに起因すると判断される。
【0179】
図16は、本発明の技術的思想による半導体素子を含むメモリモジュール1000の平面図である。
【0180】
具体的に、メモリモジュール1000は、印刷回路基板1100及び複数の半導体パッケージ1200を含む。
【0181】
複数の半導体パッケージ1200は、本発明の技術的思想による実施形態による半導体メモリ素子を含む。特に、複数の半導体パッケージ1200は、前述した本発明の技術的思想による実施形態による半導体メモリ素子から選択される少なくとも一つの半導体メモリ素子の構造を含む。
【0182】
本発明の技術的思想によるメモリモジュール1000は、印刷回路基板の片面のみに複数の半導体パッケージ1200を載せたSIMM(Single In−lined Memory Module)、または複数の半導体パッケージ1200が両面に配列されたDIMM(Dual In−lined Memory Module)である。また、本発明の技術的思想によるメモリモジュール1000は、外部からの信号を複数の半導体パッケージ1200にそれぞれ提供するAMB(Advanced Memory Buffer)を持つFBDIMM(Fully Buffered DIMM)である。
【0183】
図17は、本発明の技術的思想による半導体素子を含むメモリカード2000の概略図である。
【0184】
具体的に、メモリカード2000は、コントローラ2100とメモリ2200とが電気的な信号を交換するように配される。例えば、コントローラ2100で命令を下せば、メモリ2200はデータを伝送できる。
【0185】
メモリ2200は、本発明の技術的思想による実施形態による半導体メモリ素子を含む。特に、メモリ2200は、前述した本発明の技術的思想による実施形態による半導体メモリ素子から選択される少なくとも一つの半導体素子の構造を含む。
【0186】
メモリカード2000は、多様な種類のカード、例えば、メモリスティックカード、スマートメディアカード(SM)、セキュアデジタルカード(SD)、ミニ−セキュアデジタルカード(ミニSD)、及びマルチメディアカード(MMC)などの多様なメモリカードを構成できる。
【0187】
図18は、本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を用いて形成される半導体素子を含むメモリ装置の一例を示すブロック図である。
【0188】
図18を参照すれば、本発明の一実施形態によるメモリ装置3200はメモリモジュール3210を含む。前記メモリモジュール3210は、前述した実施形態に開示された方法により形成される半導体素子のうち少なくとも一つを含む。また、前記メモリモジュール3210は、他の形態の半導体記憶素子(例えば、不揮発性記憶装置及び/またはSRAM装置など)をさらに含む。前記メモリ装置3200は、ホストと前記メモリモジュール3210とのデータ交換を制御するメモリコントローラ3220を含む。
【0189】
前記メモリコントローラ3220は、メモリカードの全般的な動作を制御するプロセシングユニット(CPU)3222を含む。また、前記メモリコントローラ3220は、前記プロセシングユニット3222の動作メモリとして使われるSRAM 3221を含む。これに加えて、前記メモリコントローラ3220は、ホストインターフェース3223、メモリインターフェース3225をさらに含む。前記ホストインターフェース3223は、メモリ装置3200とホストとの間のデータ交換プロトコルを備える。前記メモリインターフェース3225は、前記メモリコントローラ3220と前記記憶装置3210とを接続させる。さらには、前記メモリコントローラ3220は、エラー訂正ブロック(ECC)3224をさらに含む。前記エラー訂正ブロック3224は、前記メモリモジュール3210から読み出されたデータのエラーを検出及び訂正できる。図示していないが、前記メモリ装置3200は、ホストとのインターフェーシングのためのコードデータを保存するROM装置をさらに備えてもよい。前記メモリ装置3200は、コンピュータシステムのハードディスクを代替できる固状ディスク(SSD)でも具現できる。
【0190】
図19は、本発明の一実施形態による酸化物層の形成方法を用いて形成される半導体素子を含む電子システムの一例を示すブロック図である。
【0191】
図19を参照すれば、本発明の一実施形態による電子システム4100は、コントローラ4110、入出力装置(I/O)4120、メモリ装置4130、インターフェース4140及びバス4150を含む。前記コントローラ4110、入出力装置4120、メモリ装置4130及び/またはインターフェース4140は、前記バス4150を通じて互いに結合される。前記バス4150は、データが移動する通路(path)に該当する。
【0192】
前記コントローラ4110は、マイクロプロセッサー、デジタル信号プロセス、マイクロコントローラ、及びこれらと類似した機能を行える論理素子のうち少なくとも一つを含む。前記入出力装置4120は、キーパッド、キーボード及びディスプレイ装置などを含む。前記メモリ装置4130は、データ及び/または命令語などを保存する。前記メモリ装置4130は、前述した実施形態に開示された半導体メモリ素子のうち少なくとも一つを含む。また、前記メモリ装置4130は、他の形態の半導体メモリ素子(例えば、不揮発性メモリ装置及び/またはSRAM装置など)をさらに含む。前記インターフェース4140は、通信ネットワークに/からデータを送信/受信する機能を行える。前記インターフェース4140は有線または無線の形態である。例えば、前記インターフェース4140は、アンテナまたは有無線トランシーバーなどを含む。図示していないが、前記電子システム4100は、前記コントローラ4110の動作を向上させるための動作メモリ素子であり、高速のDRAM素子及び/またはSRAM素子などをさらに含んでもよい。
【0193】
前記電子システム4100は、個人携帯用情報端末機(PDA)、ポータブルコンピュータ、ウェブタブレット、無線電話機、携帯電話、デジタルミュージックプレーヤー、メモリカード、または情報を無線環境で送信及び/または受信できるあらゆる電子製品に適用できる。
【0194】
以上で述べたように、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、当業者ならば、特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を逸脱せずに本発明をいろいろ変形して行える。したがって、本発明の今後の実施形態の変更は本発明の技術を逸脱できない。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、半導体素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0196】
10 基板処理装置
12 反応チャンバ
16 基板移送装置
18 伝達チャンバ
20 ロードロックチャンバ
20’ アンロードロックチャンバ
101、210 基板
110、112 酸化物層
211 層間絶縁膜
212 コンタクトプラグ
213 エッチング阻止膜
214、215 モールド膜
232L 支持層
232P 支持層パターン
240 マスクパターン
H 開口部
220 第1電極
222 キャパシタ誘電膜
224 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に反応抑制作用基の層を形成する第1段階と、
前記反応抑制作用基の層上に第1物質の前駆体層を形成する第2段階と、
前記第1物質の酸化物の層を得るために前記第1物質の前駆体を酸化させる第3段階と、
を含む酸化物層の形成方法。
【請求項2】
前記第1段階は、
前記基板上に前記反応抑制作用基を含む有機化合物を含む第1反応ガスを提供する段階と、
前記基板の表面に前記第1反応ガスを化学吸着させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項3】
前記反応抑制作用基を含む有機化合物は、ヒドロキシ基を含む有機化合物であることを特徴とする請求項2に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項4】
前記基板の表面に形成された前記反応抑制作用基は、炭素数1ないし4のアルコキシ基、炭素数6ないし10のアリールオキシ基、炭素数1ないし5のエステル基、または炭素数7ないし10のアリールエステル基を含むことを特徴とする請求項2に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項5】
前記第1段階において、
前記基板の表面は、中心金属に結合された酸素ラジカルで終結されており、
前記中心金属と酸素ラジカルとの結合力は、シリコンと酸素ラジカルとの第1結合力、及びアルミニウムと酸素ラジカルとの第2結合力のうちいずれか一つより弱いことを特徴とする請求項1に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項6】
前記反応抑制作用基の層を形成する第1段階に先立って、前記基板の表面に反応活性要素の層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項7】
前記反応活性要素と前記基板との吸着強度は、前記反応活性要素と第3周期金属との結合強度より弱く、また前記反応活性要素と第3周期半導体との結合強度より弱いことを特徴とする請求項6に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項8】
基板の表面に反応活性要素の層を形成する段階と、
前記反応活性要素の層上に第1物質の酸化物層を形成する段階と、
前記第1物質の酸化物層上に第2物質の酸化物層を形成する段階と、
を含み、
前記第1物質は、第1金属または半導体を含み、
前記第1物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の前駆体層を形成する段階と、前記第1物質の前駆体層を酸化させる段階とを含み、
前記第2物質の酸化物層を形成する段階は、前記第1物質の酸化物層上に反応抑制作用基の層を形成する段階と、前記反応抑制作用基の層上に第2物質の前駆体層を形成する段階と、前記第2物質の前駆体層を酸化させる段階と、を含む酸化物層の形成方法。
【請求項9】
前記第2物質は、第2金属または半導体を含むことを特徴とする請求項8に記載の酸化物層の形成方法。
【請求項10】
前記第2金属はアルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項9に記載の酸化物層の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−235125(P2012−235125A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104559(P2012−104559)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】