説明

酸窒化物、酸窒化物蛍光体及びその酸窒化物蛍光体を用いた発光装置

【課題】酸素含有量が多く、一般的な技術を用いて製造できる、つまり工業生産に適した酸窒化物、温度消光の小さい酸窒化物蛍光体及びそれを用いた発光装置を提供する。
【解決手段】酸窒化物は、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される化合物であり、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値である。また、発光装置は、この酸窒化物を母体とする蛍光体を含む蛍光体2と、蛍光体2を励起させる発光素子1とを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸窒化物、酸窒化物蛍光体及びその酸窒化物蛍光体を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窒化物、酸窒化物等の窒化物系化合物は、構造材や蛍光体材料として注目されている。しかし、酸素を含まない純粋な窒化物や、窒素の含有量が多い窒化物系化合物は、その製造に高度な技術を要したり、アルカリ土類金属の窒化物等といった高価で入手が困難なだけでなく、大気中での取扱が困難な原料を用いたりする場合が多く、概して工業生産には不向きである。一方、酸窒化物は、酸素の含有割合が比較的高く、一般的な技術で製造可能である。
【0003】
酸窒化物としては、従来、化学式MSi222(Mは、少なくとも1つのアルカリ土類金属である。)で表される化合物が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。この酸窒化物は、発光中心イオンを添加することによって蛍光体となる。特にEu2+を添加した酸窒化物蛍光体は、温度消光の小さな蛍光体、100℃を超える温度条件であっても発光強度が低下しない蛍光体として、例えば高光束の白色発光ダイオード(白色LED)光源に用いる蛍光体として注目されている。
【0004】
また、上記酸窒化物蛍光体の性能改善を目的として、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)(Mは、少なくとも1つのアルカリ土類金属であり、x、y、zは、各々式0.5<x<1.5、式1.5<y<2.5、式1.5<z<2.5を満たす数値である。)で表される酸窒化物を母体とすることについて検討されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、上記xが1、yが3、zが4である化学式MSi342で表される酸窒化物(特に、BaSi342)やこれを母体とする酸窒化物蛍光体が実在し、製造できることを明らかにする記載はない。
【0005】
一方、発光装置としては、従来、発光素子であるエレクトロルミネッセンス(EL)素子が放つELと、このELで蛍光体を励起させて得たフォトルミネッセンス(PL)との混合光を用いた発光装置(例えば、白色LED光源等。)が知られている。上記蛍光体としては、上記化学式MSi222で表される酸窒化物を主体とした化合物を母体とする酸窒化物蛍光体がよく知られている。
【特許文献1】特表2005−530917号公報
【特許文献2】特開2005−248184号公報
【非特許文献1】Y.Q.Liほか著、「Chemistry of Materials(Chem.Mater.)」2005年、第17巻12号、p.3242〜3248
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸窒化物に求められる要求は、年々多様化している。そのため、新規な酸窒化物の開発が求められている。例えば、高温条件下であっても発光出力の高い発光装置(特に、白色LED光源。)を供給するために、温度消光の少ない酸窒化物蛍光体(特に、白色LED光源に用いる150℃〜200℃の高温条件下であっても効率よく発光する緑色蛍光体。)の母体となり得る酸窒化物が求められている。
【0007】
本発明は、酸素含有量が多く、一般的な技術を用いて製造できる、つまり工業生産に適した酸窒化物を提供する。また、本発明は、温度消光の小さい酸窒化物蛍光体、特に高温条件下であっても色純度の良好な緑色光を効率よく発光する緑色蛍光体を提供する。さらに、本発明は、温度消光の小さい酸窒化物蛍光体を用いた発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の酸窒化物は、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される化合物であり、上記Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、上記xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、上記yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、上記zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値であることを特徴とする。
【0009】
本発明の酸窒化物蛍光体は、酸窒化物に発光中心イオンが添加された酸窒化物蛍光体であって、上記酸窒化物は、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される化合物であり、上記Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、上記xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、上記yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、上記zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値であることを特徴とする。
【0010】
本発明の発光装置は、上記酸窒化物蛍光体と、上記酸窒化物蛍光体を励起させる励起源とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工業生産に適した新規な酸窒化物を提供できる。また、新規な酸窒化物を母体とする酸窒化物蛍光体、特に温度消光が小さい新規な酸窒化物蛍光体を提供できる。さらに、新規な酸窒化物蛍光体を発光源として含む発光装置、特に高温であっても出力が高い発光装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
(実施形態1)
まず、本発明の酸窒化物の実施形態について説明する。
【0014】
本発明の酸窒化物の一例は、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される組成の化合物である。但し、上記Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、上記xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、上記yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、上記zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値である。
【0015】
本実施形態の酸窒化物は、従来の酸窒化物とは組成と結晶構造の異なる、新規な化合物である。また、酸素含有量が多く、一般的な技術を用いて製造できるので、工業生産に適している。
【0016】
上記xは、式0.9≦x≦1.1を満たす数値が好ましく、上記yは、式2.9≦y≦3.1を満たす数値が好ましく、上記zは、式3.9≦z≦4.1を満たす数値が好ましい。また、上記x、y及びzは、式1.7≦((2/3)x+(4/3)y−(2/3)z)≦2.3を満たす数値であることが好ましく、式1.9≦((2/3)x+(4/3)y−(2/3)z)≦2.1を満たす数値であることがより好ましい。従来の酸窒化物とは明らかに組成の異なる、化合物となるからである。さらに、上記xは1、上記yは3、上記zは4であることがより一層好ましい。換言すれば、本実施形態の酸窒化物は、化学式MSi342で表される酸窒化物よりも若干組成のずれた酸窒化物であり、より好ましくは化学式MSi342で表される酸窒化物である。
【0017】
上記Mは、Baを主体とすることが好ましく、上記Mの全量がBaであることがより好ましい。新規な酸窒化物として有用な化合物となるからである。なお、ここで「主体とする」とは、上記M全量に占める割合が50原子%以上であることをいう。
【0018】
本実施形態の酸窒化物の一例として、上記MがBaである酸窒化物を具体的に挙げると、例えば、BaSi342、(Ba,Sr)Si342、(Ba,Ca)Si342、(Ba,Sr,Ca)Si342、(Ba,Zn)Si342、Ba(Si,Ge)342、Ba(Si,Ti)342、一般式BaSi3-qAlq4+q2-qで表される化合物(上記qは、式0<q<0.5を満たす数値である。)及び一般式BaSi34-δN2+2/3δで表される化合物(上記δは、式0<δ<0.1を満たす数値である。)等がある。
【0019】
本実施形態の酸窒化物は、その結晶構造によって、特に限定されるものではない。化学式MSi342で表される酸窒化物の結晶構造を実質的に損ねていない構造が好ましい。なお、BaSi342の結晶構造は、単斜晶のBaSi222とは少なくとも異なる結晶構造であり、体心立方晶系、六方晶系及び正方晶系のいずれかではないかと考えられる。
【0020】
本実施形態の酸窒化物は、その性状等によって特に限定されるものではない。例えば、単結晶バルク、セラミックス成形体、厚さ数nm〜数μmの薄膜、厚さ数10μm〜数100μmの厚膜又は粉末(例えば、ナノ粒子、微粒子又は塊状等。)等であってもよい。また、上記酸窒化物の粒子自体の形状にも特に限定されるものではなく、例えば、球状、板状又は棒状等であってもよい。
【0021】
本実施形態の酸窒化物は、特性の改良等を目的として、微量の不純物(例えば、金属元素、ガス化元素等。)を添加することもできる。上記不純物としては、例えばアルカリ土類金属、遷移金属及びハロゲン等であり、不活性元素を除いたあらゆる元素を添加できる。なお、上記不純物の添加量の目安としては、酸窒化物中のMの原子数1個に対して、10原子%未満、好ましくは1原子%未満である。この不純物が添加された酸窒化物は、化学式MSi342で表される酸窒化物の結晶構造を損なわない範囲であることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態の酸窒化物は、特性の改良等を目的として、その構成元素M、Si、O及びNから選ばれる少なくとも1つの元素の一部を、上記元素以外の元素で置換することもできる。例えば、上記Mの一部は、価数が二価のイオンを形成し得るZn、一価のイオンを形成し得るLi、Na及びK、並びに三価のイオンを形成し得るY、La、Gd及びIn等の金属元素で置換可能である。また、構成元素Siの一部は、四価のイオンを形成し得るGeやTi、並びに三価のイオンを形成し得るBやAl等の金属元素で置換可能である。構成元素O及びNの一部は、2価のイオンを形成し得るSやSe、並びに一価のイオンを形成し得るFやCl等のガス化元素で置換可能である。これらの元素の置換量は50原子%未満、好ましくは1原子%以上10原子%未満であり、置換する元素によって適宜選択すればよい。この構成元素の置換された酸窒化物は、化学式MSi342で表される酸窒化物の結晶構造を損なわない範囲であることが好ましい。
【0023】
本実施形態の酸窒化物は、例えば、下記のような方法で製造できる。以下、本実施形態の酸窒化物を形成するための原料が全て粉末状の固体である場合について説明する。
【0024】
まず、上記酸窒化物の原料として、金属M又は金属Mを含む化合物、金属珪素又は珪素化合物を準備する。但し、上記原料には、必ず窒素を提供する原料が含まれるようにする。
【0025】
上記金属Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの金属である。上記金属Mを含む化合物は、酸窒化物MSi342を合成し得る金属Mの化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、アルカリ土類金属の窒化物(M32等)、アルカリ土類金属の酸化物(MO等)、アルカリ土類金属の炭酸塩(MCO3等)、アルカリ土類金属の蓚酸塩(MC24等)、アルカリ土類金属の水酸化物(M(OH)2等)及びアルカリ土類金属のハロゲン化物(MF2及びMCl2等)等の各種アルカリ土類金属塩が使用可能である。
【0026】
上記珪素化合物は、酸窒化物MSi342を合成し得る珪素化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si34)、酸窒化珪素(Si2ON2)、シリコンジイミド(Si(NH)2)、弗化珪素(SiF4)、塩化珪素(SiCl4)及びシランガス(SiH4)等の珪素化合物が使用可能である。
【0027】
次に、所望の原子割合の酸窒化物になるように、上記原料を秤量し、混合して、混合原料を得る。続いて、上記混合原料を、焼成容器に仕込み、真空雰囲気、中性雰囲気(不活性ガスあるいは窒素ガス雰囲気等)、還元雰囲気(CO中、窒素水素混合ガス中、アンモニアガス中等)のいずれかの雰囲気中で焼成し、本実施形態の酸窒化物を得る。
【0028】
上記雰囲気は、常圧雰囲気、高圧雰囲気、加圧雰囲気、減圧雰囲気及び真空雰囲気のいずれであってもよい。常圧雰囲気であれば、単純な設備を利用できるので好ましい。
【0029】
上記焼成の温度は、例えば1000℃以上1700℃以下である。また、上記焼成の時間は、例えば30分以上100時間以下であり、生産性を考慮すると、好ましい焼成時間は2時間以上8時間以下である。また、上記焼成は、異なる雰囲気中や同じ雰囲気中で数回に分けて行ってもよい。
【0030】
なお、本実施形態の酸窒化物は、上記製造方法によって製造されたものに限定されない。上述した固相反応だけでなく、上記以外の固相反応によっても製造可能であるし、例えば気相反応、液相反応等によっても製造可能である。
【0031】
(実施形態2)
次に、本発明の酸窒化物蛍光体の実施形態について説明する。
【0032】
本発明の酸窒化物蛍光体の一例は、実施形態1に記載の酸窒化物に、発光中心イオンが添加された酸窒化物蛍光体である。
【0033】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、従来の酸窒化物とは組成の異なる、新規な化合物を母体とする酸窒化物蛍光体である。また、酸素含有量が多く、一般的な技術を用いて製造できるので、工業生産に適している。
【0034】
上記発光中心イオンは、例えば遷移金属イオン、希土類イオン等から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、Mn2+、Fe3+、Cr3+、Sn2+、Sb3+、Ce3+、Ce4+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Sm2+、Eu3+、Eu2+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+及びYb2+等のイオンから単数又は複数組み合わせて用いることができる。なお、本実施形態の酸窒化物蛍光体を発光装置用として用いる場合に好ましい発光中心イオンは、Mn2+、Ce3+、Eu3+、Eu2+及びTb3+から選ばれる少なくとも1つのイオンであり、より好ましいイオンはEu2+である。このような発光中心イオンを添加した酸窒化物蛍光体は、発光効率と色調の面で好ましい蛍光体になる。
【0035】
上記発光中心イオンは、上記酸窒化物に添加されていれば、特に限定されるものではない。例えば、上記酸窒化物の結晶格子中に、発光中心イオンが配置されていればよい。実施形態1に記載の酸窒化物の構成元素の一部を置換するように添加されていることが好ましい。また、発光強度が大きな酸窒化物蛍光体を得る目的では、実施形態1に記載の上記構成元素M又はSiの一部が上記発光中心イオンに置換されていることが好ましく、上記Mの一部が置換されていることがより好ましい。つまり、発光強度が良好な酸窒化物蛍光体は、一般式(M1-pLcpxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される蛍光体、より好ましくは、一般式(M1-pLcp)Si342で表される蛍光体を主体とする蛍光体である。但し、上記Lcは発光中心イオンとなり得る少なくとも1つの元素である。また、上記pは、0<p<1を満たす数値であり、0.0001≦p≦0.3を満たす数値が好ましく、0.001≦p≦0.1を満たす数値がより好ましい。発光強度がより大きな酸窒化物蛍光体が得られるからである。
【0036】
上記酸窒化物は、実施形態1の記載のとおり、特性改良を目的として、不純物が添加されていても、構成元素が置換されていてもよい。
【0037】
本実施形態の酸窒化物蛍光体の一例として、具体的に挙げると、例えば、BaSi342:Eu2+、(Ba,Sr)Si342:Eu2+、(Ba,Ca)Si342:Eu2+、(Ba,Sr,Ca)Si342:Eu2+、Ba(Si,Ge)342:Eu2+、BaSi3-qAlq4+q2-q:Eu2+(上記qは、式0<q<0.5を満たす数値である。)、BaSi34-δN2+2/3δ:Eu2+(上記δは、式0<δ<0.1を満たす数値である。)、BaSi342:Ce3+、BaSi342:Pr3+、BaSi342:Eu3+、BaSi342:Gd3+、BaSi342:Tb3+、BaSi342:Ce3+,Eu2+及びBaSi342:Eu2+,Mn2+等である。
【0038】
なお、本明細書の蛍光体の表記に際して、例えば、化学式(Ba,Eu)Si342と表される、BaSi342を母体としてEu2+で付活された酸窒化物蛍光体を、BaSi342:Eu2+と記載する。
【0039】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、500nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有し、Eu2+で付活された酸窒化物蛍光体が好ましく、BaSi342:Eu2+がより好ましい。
【0040】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、上記発光中心イオンとしてEu3+を含むと、赤色光を放つ酸窒化物蛍光体になり、Eu2+又はTb3+を含むと、緑色光を放つ酸窒化物蛍光体となる。上記酸窒化物蛍光体は、色純度が良好で、例えば発光装置に用いることできるので好ましい。
【0041】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、その性状等によって特に限定されるものではなく、例えば、実施形態1に記載の酸窒化物と同様であればよい。発光装置への応用に用いる目的では、粉末であることが好ましく、より好ましくは、中心粒径(D50)が0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.5μm以上20μm以下の粉末である。また、上記酸窒化物蛍光体の粒子自体の形状にも特に限定されるものではなく、例えば、実施形態1に記載の形状と同様であればよい。さらに、ガラス中に上記酸窒化物蛍光体を分散させた構造、例えば結晶化ガラス等であってもよい。
【0042】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、その結晶構造によって、特に限定されるものではない。また、実施形態1に記載の酸窒化物と同様に、化学式MSi342で表される酸窒化物の結晶構造を実質的に損ねていない構造が好ましい。
【0043】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、電荷補償を目的として、電荷補償剤をさらに含んでもよい。例えば、上記発光中心イオンがCe3+、Eu3+及びTb3+等の価数が三価のイオンであり、上記酸窒化物を構成するイオンがBa2+等の価数が二価のイオンである場合、上記電荷補償剤として、価数が一価の金属イオン(例えば、Li+、Na+及びK+等のアルカリ金属イオン等)を用いることが好ましい。上記電荷補償剤は、上記発光中心イオンと、このイオンと価数が異なる酸窒化物を構成するイオンとを、置換する場合に用いれば、結晶のイオン的な中性度を保つことができる。酸窒化物蛍光体の結晶がイオン的に中性であれば、発光中心イオンを高い濃度で添加できるし、結晶性も良好となるので、高性能の酸窒化物蛍光体となり得る。
【0044】
本実施形態の酸窒化物蛍光体は、例えば、実施形態1に記載の酸窒化物の製造方法と、原料を変えた同様の方法で製造できる。
【0045】
まず、上記酸窒化物蛍光体の原料として、母体を形成するための原料となる実施形態1に記載の酸窒化物の原料と、発光中心イオンを形成するための原料となる希土類金属、希土類化合物、遷移金属及び遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1つの原料とを準備する。
【0046】
上記希土類金属は、Ce、Pr、Eu、Gd、Tbから選ばれる少なくとも1つの希土類元素を含有する金属である。上記希土類化合物は、発光中心イオンとなる希土類イオンを形成し得る希土類化合物であれば特に限定されるものではない。上記希土類元素(例えばCe、Pr、Eu、Gd及びTb等)を含有する化合物が使用可能であり、例えば、上記希土類元素の酸化物、窒化物及びハロゲン化物等が使用可能である。より具体的に説明すると、例えば、ユーロピウム化合物としては、酸化ユーロピウム、窒化ユーロピウム、塩化ユーロピウム及び弗化ユーロピウム等である。
【0047】
上記遷移金属は、Mn、Fe、Cr、Sn、Sbから選ばれる少なくとも1つの遷移金属元素を含有する金属である。上記遷移金属化合物は、発光中心イオンとなる遷移金属イオンを形成し得る遷移金属化合物であれば特に限定されるものではない。上記遷移金属元素を含有する化合物が使用可能であり、例えば、上記遷移金属元素の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭酸塩及び蓚酸塩等が使用可能である。より具体的に説明すると、例えば、マンガン化合物としては、酸化マンガン(MnO、Mn23、MnO2、Mn34等)、炭酸マンガン(MnCO3等)、蓚酸マンガン(MnC24等)、塩化マンガン(MnCl2等)、弗化マンガン(MnF2等)等である。
【0048】
次に、所望の原子割合の酸窒化物蛍光体になるように、上記原料を秤量し、実施形態1と同様の条件で混合及び焼成して、本実施形態の酸窒化物蛍光体を得る。
【0049】
上記焼成の際に、酸窒化物蛍光体の高性能化を目的とした好ましい雰囲気は、高圧雰囲気であり、例えば、5気圧以上20気圧以下の、窒素ガスを主体にしてなる雰囲気である。このような高圧雰囲気にすると、高温焼成中に生じる上記原料の分解や酸窒化物蛍光体の分解を防止又は抑制でき、組成ずれを抑制して、発揮性能の高い蛍光体を製造できる。また、発光中心イオンを多く生成する目的で好ましい雰囲気は、還元雰囲気であり、例えば窒素水素混合ガス雰囲気である。また、酸窒化物蛍光体の高性能化を目的とした好ましい温度は1100℃以上1500℃以下であり、より好ましい温度は1200℃以上1400℃以下である。
【0050】
(実施形態3)
次に、本発明の発光装置の実施形態について説明する。
【0051】
本発明の発光装置の一例は、実施形態2に記載の酸窒化物蛍光体と、この酸窒化物蛍光体を励起させる励起源とを含む発光装置である。
【0052】
本実施形態の発光装置は、従来の酸窒化物蛍光体とは組成の異なる、新規な蛍光体を発光源として含む発光装置である。特に、温度消光の小さい酸窒化物蛍光体を用いることによって、動作環境が高温であっても、出力が高い発光装置である。
【0053】
上記励起源は、上記酸窒化物蛍光体を励起させるものであり、例えば、X線、紫外線、近紫外線、可視光線(紫色、青色の光線等)、近赤外線及び赤外線等から選ばれる少なくとも1つの電磁波、又は電子線等の粒子線を用いることができる。また、上記酸窒化物蛍光体に電界を加える、電子を注入する等によって、当該蛍光体を励起させて発光させるものを用いることもできる。
【0054】
本実施形態の発光装置は、上記電磁波又は加速電子(加速電圧は10V以上50kV未満程度)を、上記酸窒化物蛍光体に照射することによって、当該蛍光体が発光を放つように構成した発光装置が好ましい。例えば、下記(1)〜(6)の発光装置等である。
(1)蛍光ランプ(FL)
(2)プラズマディスプレイパネル(PDP)
(3)無機ELパネル
(4)フィールドエミッションディスプレイ(FED)
(5)電子管(CRT)
(6)白色LED光源
【0055】
より具体的には、本実施形態の発光装置は、白色LED、白色LEDを用いて構成した各種表示装置(例えば、ストップランプ、方向指示灯及び前照灯等の自動車用のLEDランプ、LED情報表示端末及びLED交通信号灯等。)、白色LEDを用いて構成した各種照明装置(例えば、LED屋内外照明灯、車内LED灯、LED非常灯、LED光源及びLED装飾灯等。)、白色LEDを用いない各種表示装置(例えば、PDP、無機ELパネル、FED及びCRT等。)、白色LEDを用いない各種照明装置(例えば、FL及びFEDランプ等。)である。
【0056】
また、別の見方をすれば、本実施形態の発光装置は、蛍光体として上述した実施形態2の酸窒化物蛍光体を、励起源として例えば近紫外光、紫色光又は青色光を放つ注入型EL素子(例えば、LED、半導体レーザー(LD)及び有機EL素子等。)や真性EL素子(DC型無機EL素子、AC型無機EL素子、粉末EL素子及び薄膜EL素子等)を、少なくとも組み合わせた白色発光素子、各種光源、照明装置及び表示装置等である。なお、少なくとも1つの上記白色発光素子を用いて構成した、表示装置、照明装置、光源及び光源システム(例えば医療用の内視鏡システム等。)等も上記発光装置に含まれる。
【0057】
ここで、注入型EL素子とは、電力を与え、蛍光物質に電子と正孔とを注入することによって、電気エネルギーを光エネルギーに変換し、発光を得ることができるように構成した光電変換素子のことを指す。一方、真性型EL素子とは、電力を与え、蛍光物質に10kV/cm以上10MV/cm未満程度の電界を加えることによって、電気エネルギーを光エネルギーに変換し、発光を得ることができるように構成した光電変換素子のことを指す。
【0058】
このような発光装置の場合、発光素子の光出力(励起光出力)を増すために投入電力を高めると、上記発光素子が高温となり、熱伝導して蛍光体も高温となる。蛍光体は、一般的に、高温になると発光効率が低下する傾向がある。しかし、本実施形態の発光装置は、温度消光の小さい酸窒化物蛍光体を用いているので、動作環境が高温であっても、蛍光体の発光効率が低下しない出力が高い発光装置となる。例えば、発光素子の光取出し面近傍に蛍光体を配置した構造の発光装置(例えば、蛍光体層で上記発光素子を覆う構造や封止した構造の光源等)であっても、高出力光が得られるようになる。
【0059】
本実施形態の発光装置は、好ましくは、上記酸窒化物蛍光体が放つ光と、上記励起源の放つ光とを出力光として放つ発光装置である。照明用の発光装置として応用分野の広い発光装置、例えば白色光源を提供できるからである。
【0060】
本実施形態の発光装置は、好ましくは上記実施形態2に記載のEu2+で付活された酸窒化物蛍光体(例えばBaSi342:Eu2+等)、より好ましくは500nm以上560nm以下の波長領域、特に510nm以上550nm以下の波長領域に発光ピークを有する緑色光を放つ蛍光体を発光源として用いた発光装置である。また、本実施形態の発光装置は、好ましくは360nm以上500nm未満の波長領域に発光ピークを有する光を放つ発光素子、より好ましくはEL素子を励起源として用いた発光装置である。
【0061】
上記緑色光を放つ酸窒化物蛍光体を発光源として用いて構成すれば、視感度の高い緑色発光成分の強度が強く平均演色評価数Raの数値も高い、高光束高演色の白色光を放つ発光装置を提供することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の発光装置は、一次光を放つ励起源と、上記励起源が放つ一次光を吸収して上記一次光よりも波長が長い可視光に波長変換する蛍光体とを組み合わせてなる発光装置において、上記蛍光体として、実施形態2の酸窒化物蛍光体を用いた発光装置であるといえる。より具体的には、360nm以上560nm未満の波長領域、好ましくは360nm以上500nm未満の波長領域に発光ピークを有する近紫外〜紫色〜青色系の光を放つ励起源と、上記励起源が放つ一次光を吸収して、上記一次光よりも波長が長い可視光、特に上記波長範囲の緑色光に波長変換する蛍光体とを組み合わせてなる発光装置であって、上記蛍光体として実施形態2の酸窒化物蛍光体、特に上記Eu2+で付活された酸窒化物蛍光体を用いる発光装置である。
【0063】
本実施形態の発光装置は、緑色光を放つ実施形態2の酸窒化物蛍光体だけでなく、さらに、上記発光素子が放つ光によって励起されて、600nm以上660nm未満、特に610nm以上650nm未満の波長領域に発光ピークを有する赤色光を放つ赤色蛍光体、特に、窒化物系の赤色蛍光体をさらに含むことが好ましい。このようにすると、上記白色光源が、演色性の良好な白色光を放つものとなる。特に、窒化物系の赤色蛍光体を用いた場合では、投入電力を増加しても色調がずれない高出力の白色光源になる。
【0064】
上記赤色蛍光体としては、例えば、下記(1)〜(4)のから選ばれる少なくとも1つの赤色蛍光体であり、好ましくは(1)又は(2)の蛍光体である。
(1)AE2Si5-qAlqq8-q:Eu2+
(2)AEAlSiN3:Eu2+
(3)AES:Eu2+
(4)Ln22S:Eu3+
(但し、上記AEは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから選ばれる少なくとも一つの元素、Lnは、Sc、Y、La、Gdから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記qは、0≦q≦2を満足する数値である。)
【0065】
以下、本実施形態の発光装置を図面を用いて説明する。
【0066】
図1、図2、図3は、実施形態2の酸窒化物蛍光体を含む蛍光体と発光素子とを組み合わせた発光装置の代表的な実施形態である半導体発光装置(素子)の断面図である。
【0067】
図1は、サブマウント素子4の上に、少なくとも1つの発光素子1を導通搭載するとともに、実施形態2の酸窒化物蛍光体を少なくとも含む蛍光体2を内在し、蛍光体層3を兼ねる母材(例えば、透明樹脂及び低融点ガラス等)のパッケージによって発光素子1を封止した構造の半導体発光装置(素子)を示す。図2は、リードフレーム5のマウント・リードに設けたカップ6に、少なくとも1つの発光素子1を導通搭載するとともに、カップ6内に、実施形態2の酸窒化物蛍光体を少なくとも含む蛍光体2を内在した母材で形成した蛍光体層3を設け、全体を、例えば樹脂等の封止材7で封止した構造の半導体発光装置(素子)を示す。図3は、筐体8内に、少なくとも1つの発光素子1を配置するとともに、筐体8内に、実施形態2の酸窒化物蛍光体を少なくとも含む蛍光体2を内在した母材で形成した蛍光体層3を設けた構造のチップタイプの半導体発光装置(素子)を示す。
【0068】
図1〜図3において、発光素子1は、電気エネルギーを光に換える光電変換素子であり、具体的には、注入型EL素子や真性EL素子等が該当する。特に、高出力な半導体発光装置には、LED、LD又は無機EL素子を用いることが好ましい。
【0069】
発光素子1が放つ光の波長は、特に限定されないが、実施形態2の酸窒化物蛍光体を励起させる波長領域、例えば250nmを超え500nm以下の波長領域に発光ピークを有すればよい。340nmを超え500nm以下の波長領域、好ましくは350nmを超え420nm以下又は420nmを超え500nm以下の波長領域、より好ましくは360nmを超え410nm以下又は440nmを超え480nm以下の波長領域、すなわち、近紫外、紫色又は青色のいずれかの波長領域に発光ピークを有すれば、実施形態2の酸窒化物蛍光体が高効率で励起され、かつ、白色光を放つ発光性能の高い半導体発光装置となるので好ましい。
【0070】
また、図1〜図3において、蛍光体層3は、実施形態2の酸窒化物蛍光体を少なくとも含む蛍光体2を内在した蛍光体層であり、例えば、透明樹脂(例えば、エポキシ樹脂及びシリコン樹脂等)や低融点ガラス等の透明母材に蛍光体2を分散させて構成する。上記酸窒化物蛍光体の透明母材中における含有量は、上記酸窒化物蛍光体の粒径及び発光中心イオンの添加量等によって、蛍光体の光吸収特性が変動するため一概に決定できるものではないが、上記透明樹脂の場合、その含有量は、蛍光体層3の5重量%〜80重量%である。
【0071】
蛍光体層3中に内在する蛍光体2は、駆動によって発光素子1が放つ光の一部又は全部を吸収して、発光する。そのため、半導体発光装置(素子)の出力光は、実施形態2の酸窒化物蛍光体が放つ発光成分も含むこととなる。
【0072】
したがって、発光素子1と蛍光体2とを、例えば下記(1)〜(4)の組み合わせにすると、発光素子1が放つ光と蛍光体層3が放つ光との混色等によって白色系の光が得られ、需要の多い白色系の光を放つ半導体発光装置(素子)になる。なお、紫外光(波長250nm以上300nm未満)のいずれかの光を放つ発光素子1と、上記酸窒化物蛍光体からなる蛍光体2との組み合わせによっても、このような半導体発光装置の提供は可能である。
(1)近紫外光(波長300nm以上380nm未満、出力の面から好ましくは350nm以上380nm未満)又は紫色光(波長380nm以上420nm未満、出力の面から好ましくは395nm以上415nm未満)のいずれかの光を放つ発光素子1と、青色蛍光体、赤色蛍光体及び実施形態2の酸窒化物蛍光体(好ましくは緑色蛍光体)からなる蛍光体2との組み合わせ。
(2)上記近紫外光又は上記紫色光のいずれかの光を放つ発光素子1と、青色蛍光体、赤色蛍光体、黄色蛍光体及び上記酸窒化物蛍光体からなる蛍光体2との組み合わせ。
(3)青色光(波長420nm以上490nm未満、出力の面から好ましくは450nm以上480nm未満)を放つ発光素子1と、赤色蛍光体、黄色蛍光体及び上記酸窒化物蛍光体からなる蛍光体2との組み合わせ。
(4)上記青色光を放つ発光素子1と、赤色蛍光体及び上記酸窒化物蛍光体からなる蛍光体2との組み合わせ。
【0073】
上記青色蛍光体、上記赤色蛍光体、上記黄色蛍光体としては、例えば、Eu2+で付活されたアルミン酸塩系蛍光体、Eu2+で付活されたハロ燐酸塩系蛍光体、Eu2+で付活された燐酸塩系蛍光体、Eu2+で付活された珪酸塩系蛍光体、Ce3+で付活されたガーネット系蛍光体(特に、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce系蛍光体)、Eu2+又はCe3+で付活されたチオガレート系蛍光体、Eu2+又はCe3+で付活されたチオアルミネート系蛍光体、Eu2+又はCe3+で付活された窒化物系蛍光体(特に、Ca−α−サイアロン:Eu2+系蛍光体)、Eu3+で付活された酸化物蛍光体及びEu3+で付活された酸硫化物蛍光体等を用いればよい。より具体的には、例えば、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+青色蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu2+青色蛍光体、(Ba,Sr,Ca)3MgSi28:Eu2+青色蛍光体、(Y,Gd)3Al512:Ce3+黄色蛍光体、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+黄色蛍光体、CaGa24:Eu2+黄色蛍光体、Y2Si46C:Ce3+黄色蛍光体、CaAlSiN3:Ce3+黄色蛍光体、(Ba,Sr,Ca)3MgSi28:Eu2+,Mn2+赤色蛍光体、(Ba,Sr,Ca)2Si58:Eu2+赤色蛍光体、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+赤色蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu2+赤色蛍光体及び(La,Y)22S:Eu3+赤色蛍光体等を用いることができる。
【0074】
なお、シミュレーションによれば、例えば、近紫外光又は紫色光のいずれかの光を放つ発光素子1と組み合わせることによって、平均演色評価数Raはもちろんのこと、演色評価数R1〜R8及び特殊演色評価数R9〜R15の全てが80を超える白色光を放つ発光装置を提供できる。さらに、材料の組み合わせを最適化することによって、上記平均演色評価数、演色評価数及び特殊演色評価数の全てが90を超える白色光を放つ発光装置も提供できる。
【0075】
本実施形態の半導体発光装置は、蛍光体層3を複層又は多層構造として、この複層又は多層構造の中の一部の層を、実施形態2の酸窒化物蛍光体を少なくとも含む蛍光体2を内在した蛍光体層としてもよい。このような構造にすることにより、発光の色斑や出力の斑を抑制できる半導体発光装置となるので好ましい。
【0076】
(実施形態4)
本発明の発光装置の他の一例は、実施形態3に記載の半導体発光装置を少なくとも1つ用いて構成された照明・表示装置及びその装置を組み込んだ発光装置である。
【0077】
図4及び図5は、本発明の発光装置の一例として照明・表示装置の構成を示す概略図である。
【0078】
図4は、実施形態2の酸窒化物蛍光体を含む蛍光体と発光素子とを組み合わせた半導体発光装置9を、少なくとも1つ用いて構成した照明・表示装置を示す。図5は、発光素子1と、実施形態2の酸窒化物蛍光体を含む蛍光体2を内在した蛍光体層3とを組み合わせてなる照明・表示装置を示す。半導体発光装置9、発光素子1及び蛍光体層3は、図1〜図3で示したものと同様のものを使用できる。また、このような構成の照明・表示装置の作用や効果等も、図1〜図3で示した半導体発光装置の場合と同様である。なお、図4、図5において、10は出力光を示す。
【0079】
図6〜図11は、図4及び図5で概略を示した本実施形態の照明・表示装置を発光部11として組み込んだ各種発光装置の具体例を示す図である。
【0080】
図6は、一体型の発光部11を有する照明モジュール12を示す斜視図である。図7は、複数の発光部11を有する照明モジュール12を示す斜視図である。図8は、発光部11を有し、スイッチ13によってON−OFF制御や光量制御可能な卓上スタンド型の照明装置を示す斜視図である。図9は、ねじ込み式の口金14と、反射板15と、複数の発光部11を有する照明モジュール12とを備えた照明装置を示す側面図Aと底面図Bである。図10は、発光部11を備えた平板型の画像表示装置を示す斜視図である。図11は、発光部11を備えたセグメント式の数字表示装置を示す斜視図である。
【0081】
本実施形態の照明・表示装置は、従来の酸窒化物蛍光体とは組成の異なる、新規な蛍光体を含む半導体発光装置を備えた装置である。特に、温度特性が良好な酸窒化物蛍光体を用いることによって、動作環境が高温であっても高光束又は高輝度な、信頼性に優れる照明・表示装置である。すなわち、実施形態2の蛍光体は、80℃以上200℃以下(特に、100℃以上180℃以下)の温度条件下に曝されても、温度消光が小さく、化学的に安定なので、光束又は輝度が高くなる。さらに、上記酸窒化物蛍光体は、合理的に製造でき、コストがかからないので、安価な照明・表示装置を提供することもできる。とりわけ、注入型EL素子等の発光素子を蛍光体の励起源として用い、この発光素子と、温度特性が良好な酸窒化物蛍光体を含む蛍光体層とが接触している発光装置を構成すると、発光素子の放つ光を効率よく蛍光体層に照射できるので、その発光性能が高まることとなり、より好ましい。
【0082】
なお、上述した発光装置以外に、本発明にかかる発光装置としては、例えば下記(1)〜(3)の発光装置等がある。
(1)電子放出源が放つ加速電子を、実施形態2の酸窒化物蛍光体に照射することによって放たれる光を表示画素として利用する、例えば、上記VFD、FED及びCRT等の画像表示装置
(2)気体放電、或いは金属蒸気放電によって生じる、真空紫外〜紫外域の放電光を、実施形態2の酸窒化物蛍光体に照射することによって放たれる光を表示画素、或いは照明光として利用する、例えば、上記PDP等の画像表示装置及び上記FL等の照明装置
(3)EL現象によって発生した光の一部又は全部を、実施形態2の酸窒化物蛍光体に照射することによって波長変換された光を表示画素の一部又は全部として利用する、例えば、色変換(波長変換)型ELパネル等の画像表示装置
【実施例】
【0083】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0084】
本発明の実施例として、化学式(Ba0.98Eu0.02)Si342で表される酸窒化物蛍光体(つまりBaSi342:Eu2+)を下記のように製造した。
【0085】
本実施例では、酸窒化物蛍光体の原料として、下記(1)〜(4)の化合物を用いた。
(1)炭酸バリウム粉末(BaCO3:純度99.98%):19.34g
(2)酸化ユーロピウム粉末(Eu23:純度99.9%):0.35g
(3)窒化珪素粉末(Si34:純度99.9%):7.41g
(4)二酸化珪素粉末(SiO2:純度99.99%):9.01g
【0086】
上記(1)〜(4)の原料を、大気中で秤量し、自動乳鉢を用いて十分混合した。その後、この混合粉末をカーボン坩堝に仕込み、雰囲気炉中の所定の位置に配置し、1350℃の窒素水素混合ガス(窒素97体積%、水素3体積%)雰囲気中で2時間加熱した。なお、簡略化のため、解砕、分級及び洗浄等の後処理については省略した。
【0087】
以下、上記製造方法によって得られた酸窒化物蛍光体の特性を説明する。
【0088】
上記製造方法によって得られた本実施例の酸窒化物蛍光体の体色は淡い緑色であった。また、本実施例の酸窒化物蛍光体は、CIE色度座標における発光の色度(x、y)が、x=0.228、y=0.621であり、約65nmのスペクトル半値幅を有する色純度の良好な緑色光を放つ緑色蛍光体であることがわかった。
【0089】
図12は、上記酸窒化物蛍光体の波長250nmの光で励起させたときの発光スペクトル16と、励起スペクトル17とを示した図である。図12より、本実施例の酸窒化物蛍光体は、波長520nmに発光ピークを有し、220nm〜500nmの広い波長範囲の光、すなわち、紫外〜近紫外〜紫色〜青色光で励起可能であることがわかった。また、発光スペクトル形状から、本蛍光体の緑色光は、発光中心イオンであるEu2+の4f7−4f65d1電子エネルギー遷移に基づく発光であることがわかった。
【0090】
なお、従来公知の化学式(Ba0.98Eu0.02)Si222で表される酸窒化物蛍光体は、波長495nm付近に発光ピークを有するので、図12に示した本実施例の発光ピークとは異なる。したがって、上述した実施例の製造によって、(Ba0.98Eu0.02)Si222が、偶発的に形成されることはなかったと考えられる。
【0091】
また、本実施例の酸窒化物蛍光体に、異なる結晶相の蛍光体が混在しているのかを確認する目的で、250nm〜480nmの波長範囲において、スペクトル半値幅が約10nmのモノクロ光を波長10nmのピークステップ毎に照射して、上記酸窒化物蛍光体の発光スペクトルの形状変化を調べた。その結果、発光スペクトルの形状に大きな変化はなかった。この結果は、本実施例の酸窒化物蛍光体は、単一の化合物が蛍光体として機能していることを示している。
【0092】
次に、X線マイクロアナライザー(XMA)(日本電子社製“JXA−8900”)等を用いて、本実施例の酸窒化物蛍光体の構成元素を半定量分析した。その結果、いずれの試料もBa、Sr、O及びNを主要構成元素とする化合物であった。また、ICP発光分析法と重量法とを併用して、上記酸窒化物蛍光体を構成する金属元素を定量分析した。その結果、金属元素の原子割合は、Ba:Eu:Si=0.984:0.016:3.17であり、本実施例の仕込み組成とほぼ同じ組成であることがわかった。これらの結果は、本実施例の酸窒化物蛍光体が、化学式(Ba0.98Eu0.02)Si342で表される組成の化合物からなることを示している。
【0093】
次に、本実施例の酸窒化物蛍光体のX線回析パターンを調べて、その結晶構成を評価した。図13は、上記酸窒化物蛍光体のX線回折パターンを示した図である。図13より、上記酸窒化物蛍光体は、少なくともX線回折角2θが、27〜28°の範囲に主ピークを有し、30〜31.5°、23〜24.5°、41〜42.5°、36〜37°、50〜51.5°、43.5〜44.5°、38.5〜40°、46〜47°、56〜57.5°、48〜49°、13〜14.5°、19〜20°及び58〜59.5°等の範囲に各々明瞭なピークを有するシンプルなパターンであることがわかった。このX線回析パターンは、上記従来公知の酸窒化物蛍光体BaSi222:Eu2+のX線回析パターンとも、PDF(Powder Diffraction File:JCPDS−International Centre for Diffraction Data 2000)に登録された化学式BaSi222で表される化合物のX線回析パターンとも一致しなかった。また、上記PDFに登録された回析パターンの中で、Ba、Eu、Si、O、Nの組み合わせによって得られる化合物の回析パターンの全部を、上記本実施例の回析パターンの一部に含むものでもなかった。これらの結果は、本実施例の酸窒化物蛍光体が、単一結晶相の化合物である可能性が高く、いずれの従来公知の化合物とも異なる化合物であることを示している。
【0094】
なお、本実施例の酸窒化物蛍光体における結晶構造について、図13に示したX線回折パターンより、体心立方晶系、六方晶系及び正方晶系から選ばれるいずれか1つであるよう伺える。
【0095】
上述した酸窒化物蛍光体の特性によれば、本実施例の酸窒化物蛍光体は、化学式(Ba0.98Eu0.02)Si342で表され、かつ単一結晶相である新規化合物を主体とするものであろう。また、本実施例の化合物は、Ba:Eu:Si:O:N=0.98:0.02:3:4:2の原子比の化合物を形成する割合となるBaCO3、Eu23、Si34及びSiO2を反応させることによって合成され、かつ、図12に示した発光特性と、図13に示したX線回折パターンの全部又は一部を構成する回折パターンとによって特徴付けられる酸窒化物蛍光体であるということもできる。
【0096】
次に、本実施例の酸窒化物蛍光体の温度消光を調べて、下記比較例1〜6の従来公知の蛍光体と比較した。
(比較例1)Y3Al512:Ce3+緑色蛍光体(発光ピーク:537nm)
(比較例2)(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+緑色蛍光体(発光ピーク:525nm)
(比較例3)SrSi222:Eu2+緑色蛍光体(発光ピーク:538nm)
(比較例4)(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+赤色蛍光体(発光ピーク:640nm)
(比較例5)(Y,Gd)3Al512:Ce3+黄色蛍光体(発光ピーク:570nm)
(比較例6)(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+黄色蛍光体(発光ピーク:575nm)
【0097】
図14は、本実施例の酸窒化物蛍光体及び比較例1〜6の蛍光体の蛍光体温度による相対発光強度(発光ピークの強度)の変化を示した図であり、図14中の相対発光強度18〜24は、各々、実施例及び比較例1〜6の蛍光体の相対発光強度を示す。ここで相対発光強度とは、比較例1及び5ついては、波長460nmの光によって励起された蛍光体の各蛍光体温度における発光強度、実施例、比較例2〜4及び6については、波長405nmの光によって励起された蛍光体の各蛍光体温度における発光強度を、各蛍光体の室温(25℃)における発光強度を100%として表したものである。励起光の波長が異なるのは、蛍光体の発光強度上の都合であり、励起波長を若干変えても、温度消光にはほとんど影響しないので、考慮しなくてよいことを確認している。
【0098】
図14より、本実施例の酸窒化物蛍光体は、白色LED光源用として使用又は使用検討されている比較例1〜3の緑色蛍光体よりも、特に蛍光体温度が150℃を超える領域において、温度消光が改善されていることがわかった。つまり、本実施例の酸窒化物蛍光体は、特に高耐熱性として知られる比較例1の蛍光体よりも、耐熱性の良好な蛍光体であることがわかった。また、図14より、本実施例の酸窒化物蛍光体は、温度消光が小さい蛍光体として知られる比較例4の赤色蛍光体と、類似した温度消光特性を示すことがわかった。本実施例の酸窒化物蛍光体と比較例4の蛍光体とを組み合わせて用いた発光装置(例えば図1〜3の発光装置等)は、色ずれが抑制されると考えられる。このような発光装置では、例えば発光素子から高い出力の光を得るために投入電力を増したことによって、発光素子が発熱して高温(150℃〜200℃程度)になったとしても、上記蛍光体は高い波長変換効率を維持できるからである。したがって、本実施例の酸窒化物蛍光体を用いた発光装置は、発光素子に近接して配置した構造(例えば、蛍光体層で発光素子の主光取り出し面を覆う構造)であっても、前記発光素子への投入電力を十分高めることができ、高光束の発光装置とすることができる。なお、一般に、点光源に近い光源ほど配光制御が容易であり、発光素子に近接して蛍光体を配置した構造の発光装置は、より点光源に近い光源を形成する上で有利な構造であるので、スポットライトのような光源を提供する上で、好ましい。
【0099】
なお、本実施例では、上記Mを100%Baとし、酸窒化物を構成するBaの2原子%をEu2+で置換した(Ba0.98Eu0.02)Si342酸窒化物の場合を説明したが、本発明の酸窒化物は、基本的には組成式MSi342で表される組成物(但し、Mは、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも一つの元素であり、Mの過半数をBaが占める。)を主体にしてなることを特徴とする酸窒化物、好ましくは、化学式MSi342で表される化合物を主体にしてなることを特徴とする酸窒化物であれば良く、上記Mの構成元素、発光中心イオンの種類及び発光中心イオンの置換量(添加量)等については、本明細書の記載内容を逸脱しない範囲で特に限定されるものではない。
【0100】
上記Mが、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、特に、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも一つの元素であり、上記Mの過半数をBaが占める蛍光体とした場合でも、アルカリ土類金属元素等の化学的性質の類似性から固溶体を形成し、本実施例と同様の緑色蛍光体となることは予測できる。なお、温度消光の面で良好な特性を得るためには、一般に、上記Mをイオン半径の大きなイオン(本発明の酸窒化物の場合ではBa)が多く占めるようにして構成すればするほど良く、実質的にMの全部をBaとすることが好ましい。
【0101】
また、上記MであるBaに対するEu2+の置換量(添加量)は、発光強度の程度を問わなければ、少なくともEu2+が含まれていれば蛍光体となり得るものであり、2原子%に限定されるものではない。
【0102】
例えば、Eu2+添加量を2原子%よりも多くした場合(例えば、2原子%を超え30原子%以下)では、紫〜青色光の吸収が大きくなり、当該光励起下における蛍光体の外部量子効率を高めることができ好ましいだけでなく、発光ピーク波長が長波長側に移動して、視感効率の良い緑色光を放つ蛍光体になるため好ましい。
【0103】
逆に、Eu2+の添加量を2原子%よりも少なくした場合(例えば、0.1原子%以上2原子%未満)では、温度消光特性が一層良好なものになるため好ましい。
【0104】
上記Mが、BaとSrである場合、Baに対するSrの置換量は、Baの30原子%以下、BaとCaである場合、Baに対するCaの置換量は、Baの10原子%以下であることが好ましい。上記Mを全てBaとする蛍光体と、そのBaの30原子%以下の元素をSrで置換した蛍光体又は10原子%以下の元素をCaで置換した蛍光体とは、酸窒化物の結晶構造が変わらないからである。
【0105】
また、上記Mを占めるBaの一部を、Sr又はCaで置換した場合、発光スペクトルのピーク波長は、その置換量の増加とともに長波長側にシフトする。例えば、上述したSrの置換量が30原子%以下又はCaの置換量が10原子%以下であれば、530nm以上550nm以下の波長領域に発光ピークがシフトすることを確認している。この波長領域に発光ピークを有する蛍光体は、近紫外〜紫〜青色光の励起下で、強い緑色蛍光体になるので好ましい。これは、発光ピークが長波長側にシフトすることによって、青色光の吸収効率が高くなるからである。
【0106】
したがって、本発明の酸窒化物蛍光体は、上記Mの置換量によって放つ光の色調を調整することができ、発光ピークが515nm以上550nm以下の波長領域である好ましい緑色蛍光体を得ることもできる。
【0107】
なお、言うまでもなく、同様の製造方法によって、Eu2+を含まない酸窒化物MSi342の形成も可能である。
【0108】
発光中心イオンとしては、Eu2+だけでなく、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+及びMn2+等も適宜選択して使用可能であり、これら発光中心イオンで付活された酸窒化物蛍光体の形成も可能である。例えば、Eu3+で付活された蛍光体は、紫外〜近紫外光によって高効率励起でき、580〜630nmの波長領域に発光ピークを有する、半値幅の狭い輝線状の発光を放つ赤色蛍光体になるため、高効率光源あるいは画像表示装置用として好ましいものとなる。Tb3+で付活された蛍光体では、紫外〜近紫外光によって高効率励起でき、540〜550nm付近に発光ピークを有する、半値幅の狭い輝線状の発光を放つ緑色蛍光体になるため、高効率光源あるいは画像表示装置用として好ましいものとなる。また、Gd3+で付活された蛍光体では、真空紫外〜紫外光によって高効率励起でき、310nm付近に発光ピークを有する、半値幅の狭い輝線状の発光を放つ紫外蛍光体になるため、特殊光源用として好ましいものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、酸素含有量が多く、一般的な技術を用いて製造できる新規な酸窒化物を提供できる。特に、工業生産でき、かつ温度消光の小さい酸窒化物蛍光体(例えば、高効率の緑色光を放つ酸窒化物蛍光体等。)の母体となり得る新規な酸窒化物を提供できる。
【0110】
また、本発明は、新規な酸窒化物を母体とする酸窒化物蛍光体を提供できる。特に、温度消光が小さく、色純度の良好な蛍光体、例えば緑色光を放つ蛍光体を提供できる。
【0111】
さらに、本発明は、新規な酸窒化物蛍光体を用いた発光装置を提供できる。特に、高温であっても高い出力を発揮する発光装置、例えば白色LED光源を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体発光装置の断面図である。
【図4】本発明の実施形態における照明・表示装置の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態における照明・表示装置の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態における照明モジュールの斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における照明モジュールの斜視図である。
【図8】本発明の実施形態における照明装置の斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における照明装置の側面図Aと底面図Bである。
【図10】本発明の実施形態における画像表示装置の斜視図である。
【図11】本発明の実施形態における数字表示装置の斜視図である。
【図12】本発明における実施例の酸窒化物蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルとを示した図である。
【図13】本発明における実施例の酸窒化物蛍光体のX線回折パターンを示した図である。
【図14】本発明における実施例及び比較例1〜6の蛍光体の相対発光強度と蛍光体温度との関係を示した図である。
【符号の説明】
【0113】
1 発光素子
2 蛍光体
3 蛍光体層
4 サブマウント素子
5 リードフレーム
6 カップ
7 封止材
8 筐体
9 半導体発光装置
10 出力光
11 発光部
12 照明モジュール
13 スイッチ
14 口金
15 反射板
16 酸窒化物蛍光体の発光スペクトル
17 酸窒化物蛍光体の励起スペクトル
18 実施例の酸窒化物蛍光体の相対発光強度
19 比較例1の蛍光体の相対発光強度
20 比較例2の蛍光体の相対発光強度
21 比較例3の蛍光体の相対発光強度
22 比較例4の蛍光体の相対発光強度
23 比較例5の蛍光体の相対発光強度
24 比較例6の蛍光体の相対発光強度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される化合物であり、
前記Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
前記xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、
前記yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、
前記zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値であることを特徴とする酸窒化物。
【請求項2】
前記x、前記y及び前記zは、式1.7≦((2/3)x+(4/3)y−(2/3)z)≦2.3を満たす数値である請求項1に記載の酸窒化物。
【請求項3】
前記Mは、Baを主体とする請求項1に記載の酸窒化物。
【請求項4】
酸窒化物に発光中心イオンが添加された酸窒化物蛍光体であって、
前記酸窒化物は、一般式MxSiyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z)で表される化合物であり、
前記Mは、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
前記xは、式0.7≦x≦1.3を満たす数値であり、
前記yは、式2.7≦y≦3.3を満たす数値であり、
前記zは、式3.7≦z≦4.3を満たす数値であることを特徴とする酸窒化物蛍光体。
【請求項5】
前記x、前記y及び前記zは、式1.7≦((2/3)x+(4/3)y−(2/3)z)≦2.3を満たす数値である請求項4に記載の酸窒化物蛍光体。
【請求項6】
前記Mは、Baを主体とする請求項4に記載の酸窒化物蛍光体。
【請求項7】
前記発光中心イオンは、Eu2+である請求項4に記載の酸窒化物蛍光体。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項に記載された酸窒化物蛍光体と、前記酸窒化物蛍光体を励起させる励起源とを含むことを特徴とする発光装置。
【請求項9】
前記励起源は、360nm以上500nm未満の波長領域に発光ピークを有する光を放つ発光素子である請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子である請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記酸窒化物蛍光体が放つ蛍光と、前記励起源が放つ光とを、少なくとも放つ請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
600nm以上660nm未満の波長領域に発光ピークを有する窒化物系蛍光体をさらに含み、前記励起源は、前記窒化物系蛍光体を励起させる請求項8に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−223864(P2007−223864A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49027(P2006−49027)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】