説明

酸誘導体、ポリアミン、及びポリカルボン酸誘導体からの架橋スクシンイミド

【課題】酸誘導体、ポリアミン、ポリカルボン酸誘導体から誘導された、潤滑油及び炭化水素燃料中の分散剤及び付着防止剤として有用な、新規なポリスクシンイミド組成物を与える。
【解決手段】混合物を反応条件下で反応させることからなるポリスクシンイミドの製造方法において、前記混合物が、アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、及び第一不飽和酸性薬剤と、1,1−二置換オレフィン、との重合体、及びそれらの混合物、からなる群から選択された酸誘導体;ポリカルボン酸誘導体;及びポリアミン;からなり、然も、前記反応混合物が、前記カルボン酸誘導体を4〜40重量%含み、前記混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリカルボン酸誘導体の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有する、ポリスクシンイミドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸誘導体、ポリアミン、ポリカルボン酸誘導体から誘導された新規な架橋スクシンイミド組成物に関する。更に別の態様として、本発明は、それら組成物の製造方法、及び潤滑油中の分散剤及び炭化水素燃料中の付着防止剤としてそれらを使用することに関する。更に別の態様として、本発明は、そのような新規な組成物を含む濃厚物、潤滑油組成物、及び炭化水素燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
内燃機関のための潤滑油組成物は、一般に付着物、摩耗、腐食等を減少又は抑制する種々の添加剤を含む。同様に、内燃機関のための液体炭化水素燃料は、最低限、付着物の形成を抑制又は減少させる添加剤を含んでいる。本発明は、分散剤又は付着防止剤として有用な組成物に関する。
【0003】
潤滑油では、分散剤は、主に燃料の不完全な酸化、又は燃料中の不純物、又は潤滑油組成物に用いられる基礎油中の不純物により生成したスラッジ、炭素、及びワニスを抑制する機能を果たす。分散剤は、ディーゼルエンジン潤滑油中に煤が存在することにより粘度が増大を抑制し、スラッジ及び付着物の形成を防ぐ。
【0004】
燃料中の付着物防止剤は、同様に燃料の不完全燃焼により生ずるエンジン付着物を抑制又は減少する。そのような付着物は、キャブレーター部品、スロットル体、燃料噴射器、吸気部品、及びバルブ上に形成される。これらの付着物は加速の低下及び失速、燃費の増大及び排気汚染物の増大を含めた重要な問題を与えることがある。
【0005】
最も有効な種類の潤滑油分散物及び燃料付着物防止剤の一つは、ポリアルキレンスクシンイミドである。或る場合には、それらのスクシンイミドは、潤滑油組成物の流体変性特性、或は所謂粘度指数の保証を与えることも判明している。それは、もしそれがないと用いなければならなくなる粘度指数改良剤の量を減少させる結果になる。スクシンイミド分散剤の欠点は、一般にフルオロカーボンエラストマーの寿命を減少させることが判明していることである。一般に、与えられたスクシンイミド分散剤について、窒素含有量が大きくなると分散性はよくなるが、フルオロカーボンエラストマーとの両立性は悪くなる。
【0006】
従って、ポリアルキレンスクシンイミドの分散性及びVI保証性を改良するのと同様に、そのような分散剤のフルオロカーボンエラストマーとの両立性を改善することが望ましい。更に、ポリアルキレンスクシンイミドの安定性、特に加水分解安定性及び剪断応力安定性を改良することが望ましい。煤分散性、特に潤滑油をディーゼルエンジンのクランク室に用いることを目的としたものである場合には、その分散性を改良することも望ましい。
【0007】
ポリアルキレンスクシンイミドは、一般に対応するポリアルキレンコハク酸無水物と、ポリポリアミンとの反応により製造される。ポリアルキレンコハク酸無水物は、一般に数多くのよく知られた方法により製造される。例えば、よく知られた熱的方法(例えば、米国特許第3,361,673号参照)、同様によく知られた塩素化法(例えば、米国特許第3,172,892号参照)、熱的方法と塩素化法との組合せ(例えば、米国特許第3,912,764号参照)、遊離ラジカル法(例えば、米国特許第5,286,799号及び第5,319,030号参照)がある。そのような組成物には、1:1単量体付加物(例えば、米国特許第3,219,666号及び第3,381,022号参照)の外、高コハク酸比生成物、アルケニル誘導置換基一つ当たり少なくとも1.3のコハク酸基として、アルケニル誘導置換基が付加された付加物(例えば、米国特許第4,234,435号参照)が含まれる。
【0008】
ポリアルキレンコハク酸無水物は、米国特許第4,152,499号明細書に記載されているように、高メチルビニリデンポリブテンからも熱的に製造することができる。これは、更に米国特許第5,241,003号明細書にコハク酸比が1.3より小さい場合について論じられており、EP−0355895にはコハク酸比が1.3より大きい場合について論じられている。欧州特許出願EP−0602863及びEP−0587381及び米国特許第5,523,417号明細書には、高メチルビニリデンポリブテンから製造されたポリアルキレンコハク酸無水物からポリマレイン酸無水物樹脂を洗浄除去する方法が記載されている。コハク酸比が1.0のポリアルキレンコハク酸無水物が記載されている。高メチルビニリデンポリブテンからのポリアルキレンコハク酸無水物の一つの利点は、それが本質的に塩素を含まずに製造することができると言うことである。
【0009】
米国特許第3,361,673号及び第3,018,250号明細書には、アルケニル−又はアルキル−置換コハク酸無水物とポリアミンとを反応させて、アルケニル又はアルキルスクシンイミド潤滑油分散剤及び(又は)清浄剤添加物を形成することが記載されている。
【0010】
米国特許第4,612,132号明細書は、アルケニル又はアルキルスクシンイミドを環状又は線状カーボネート又はクロロホルメートとの反応により変性し、ポリアミン部分の窒素の一つ以上をヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロキシヒドロカルビルオキシカルボニル、又はヒドロキシポリ(オキシアルキレン)オキシカルボニルで置換することができることを教示している。これらの変性スクシンイミドは、潤滑油中で改良された分散性及び(又は)清浄性を示すものとして記載されている。
【0011】
米国特許第4,747,965号明細書には、米国特許第4,612,132号明細書に記載されているものに類似した変性スクシンイミドが記載されているが、それら変性スクシンイミドは、長鎖アルケニル置換基一つ当たり平均1.0より多くのコハク酸基を有するスクシンイミドから誘導されたものとして記載されている点が異なる。
【0012】
S.T.ロビー(Roby)、R.E.コルンブレッケ(Kornbrekke)、及びJ.A.サップ(Supp)による最近の論文「ガソリンエンジン中の付着物の組成、第2部、連続VE付着物に対する分散剤の効果」Journal of the Society of Tribologists and Lubrication Engineers, Vol. 50, 12, 989-995, Dec. (1994) は、分散剤アルキル側鎖の長さが付着物抑制性能に影響を与えることを教示しており、同じ窒素水準で、試験された分子量の低い(側鎖が1000ダルトン)分散剤は、試験した分子量の大きな(側鎖が2000ダルトン)スクシンイミド分散剤よりも良くないことを教示している。この教示は、950Mn側鎖スクシンイミドと2200Mnの側鎖スクシンイミドとを比較することによる我々の前の観察とも一致している。
【0013】
米国特許第4,234,435号明細書は、1500〜3200の範囲のMnを有する好ましいポリアルケン誘導置換基を教示している。ポリブテンについて特に好ましいMn範囲は1700〜2400である。この特許も、スクシンイミドが少なくとも1. 3のコハク酸比を持たなければならないことも教示している。即ち、ポリアルケン誘導置換基の1当量当たり少なくとも1.3のコハク酸基が存在すべきである。最も好ましくはコハク酸比は1.5〜2.5であるべきである。この特許は、更に、その分散剤も粘度指数を改良することになることを教示している。即ち、これらの添加剤は、それらを含む潤滑剤組成物に流動性改良特性を与える。このことは、マルチグレード潤滑油で用いるのには望ましいと考えられるが、シングルグレード潤滑油に対しては望ましくない。
【0014】
マンニッヒ塩基のような分散剤及び(又は)清浄剤として有用なポリアミノアルケニル又はアルキルスクシンイミド及び他の添加剤は、塩基性窒素を含んでいる。塩基度は、分散剤/清浄剤添加剤として持つべき重要な性質であるが、或るエンジンで用いられるフルオロカーボンエラストマー密封材に対する初期侵食は、塩基性窒素による侵食を含むものと思われる。この侵食はフッ化物イオンの損失をもたらし、最終的に密封材に亀裂を生じ、エラストマーの他の望ましい物理的性質を失わせる結果になる。
【0015】
アルケニルスクシンイミドの種々の性質を改良するための種々の後処理が当分野で知られており、その多くが米国特許第5,241,003号明細書に記載されている。
【0016】
米国特許第5,266,186号の実施例2には、或るポリイソブテニル・無水コハク酸付加物(表2の脚注2参照)をエチレンジアミンと反応させ、次に無水マレイン酸/α−オレフィン共重合体と反応させることにより分散剤を製造することが記載されている。この特許は、硫化鉄分散剤としての機能を果たすことにより、その生成物は、炭化水素供給原料の熱処理によって起きる精油所処理施設内のスラッジ付着物を防止するのに有用であることを教示している。
【0017】
米国特許第5,112,507号明細書には、はしご形重合体スクシンイミド分散物が記載されており、そこでは一般にはしごの各側鎖は、少なくとも約30個の炭素原子、好ましくは少なくとも約50個の炭素原子を有する長鎖アルキル又はアルケニルである。この分散物は、改良された加水分解安定性及び剪断応力安定性を有するとして記載されており、或る無水マレイン酸・オレフィン共重合体と或るポリアミンとの反応により製造される。この特許は、更にその重合体を種々の後処理剤で後処理してもよいことを教示しており、その重合体を環状カーボネート、線状モノ−又はポリ−カーボネート、硼素化合物(例えば、硼酸)、及びフルオロ燐酸及びそのアンモニア塩で後処理する方法を記載している。
【0018】
米国特許第5,334,321号及び第5,356,552号明細書には、改良されたフルオロカーボンエラストマーとの両立性を有する或る環状カーボネート後処理アルケニル又はアルキルスクシンイミドが記載されており、それらは、好ましくは対応する置換コハク酸無水物と、1分子当たり少なくとも4個の窒素原子を有するポリアミンとの反応より製造される。
【0019】
欧州特許出願EP−0682102A2には、オレフィンと無水マレイン酸との共重合体、非環式ヒドロカルビル置換コハク酸アシル化剤、及びアルキレンポリアミンを反応させることからなる方法が記載されている。これらの生成物は、粘度指数改良特性を有する分散剤として用いる添加剤として潤滑油組成物に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、混合物を反応条件下で反応させることにより製造されるポリスクシンイミド組成物を与える。その混合物は、酸誘導体、ポリカルボン酸誘導体、及びポリアミンからなる。酸誘導体はアルケニル又はアルキルコハク酸誘導体;不飽和酸性薬剤と1,1−二置換オレフィンとの共重合体;又はそれらの混合物にすることができる。混合物は、ポリカルボン酸誘導体を4〜40%含み、酸誘導体の酸基+ポリカルボン酸誘導体の酸基1当量当たり0.1〜1.5当量のポリアミンを含む。
【0021】
好ましくは、不飽和酸性薬剤は無水マレイン酸であり、1,1−二置換オレフィンは、500〜5,000の平均Mnを有する1,1−二置換ポリイソブチレンであり、ポリカルボン酸誘導体はポリマレイン酸無水物誘導体であり、ポリアミンは少なくとも三つの窒素原子及び4〜20個の炭素原子を有する。反応混合物は、第二不飽和酸性薬剤と1−オレフィンとの共重合体からなっていてもよく、この場合二つの不飽和酸性薬剤は同じでも異なっていてもよい。
【0022】
本発明は、更にこのスクシンイミド組成物20〜60重量%及び80〜40重量%の有機希釈剤からなる。潤滑油組成物は主成分量(major amount)の潤滑粘度の油及び少量のこのスクシンイミド組成物からなり、燃料組成物は主成分量のガソリン又はディーゼル燃料範囲内の沸点を有する炭化水素と、噴射器又は機関室付着物を減少させるのに有効な量のこのスクシンイミド組成物からなる。
【0023】
本発明は、この方法によって製造されたスクシンイミド組成物を、環状カーボネート、直鎖モノ又はポリ−カーボネート、又は硼素化合物を用いて反応条件下で処理することにより製造される後処理された重合体も包含する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最も広い態様として、本発明は、酸誘導体、ポリカルボン酸誘導体、及びポリアミンの混合物を反応条件下で反応させることにより製造された新規なポリスクシンイミド組成物を包含する。酸誘導体はアルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、第一不飽和酸性薬剤と1,1−二置換オレフィンとの共重合体、又はアルケニル又はアルキルコハク酸誘導体とその共重合体との混合物にすることができる。全反応混合物は、酸誘導体の酸基+ポリカルボン酸誘導体の酸基の1当量当たり0.1〜1.5当量のポリアミンを含む。
【0025】
定義
ここで用いる次の用語は、特に反することが述べられていない限り、次の意味を有する。
【0026】
用語「1−オレフィン」とは、1位置に二重結合を有するモノ置換オレフィンを指す。それらはα−オレフィンとも呼ばれており、次の構造:
CH=CHR
(式中、Rはオレフィン分子の残りである。)
を有する。
【0027】
用語「1,1−二置換オレフィン」とは、ビニリデンオレフィンとも呼ばれている二置換オレフィンを指し、それは次の構造:
CH=CR
(式中、R及びRは同じか又は異なり、オレフィン分子の残りを構成する。)
を有する。R又はRがメチル基で、他方がそうでないのが好ましい。
【0028】
用語「スクシンイミド」とは、アミド、イミド等、無水コハク酸とアミンとの反応によっても形成される物質の多くを含むものと当分野では理解されている。しかし、主要な生成物はスクシンイミドであり、この用語は、一般にアルケニル−又はアルキル−置換コハク酸又は無水物とポリアミンとの反応生成物を意味するものとして受け入れられている。アルケニル又はアルキルスクシンイミドは、多くの文献に記載されており、当分野でよく知られている。スクシンイミドの或る基本的な種類及び「スクシンイミド」の技術用語に含まれる関連する物質は、米国特許第2,992,708号、第3,018,291号、第3,024,237号、第3,100,673号、第3,219,666号、第3,172,892号、及び第3,272,746号明細書(それらの記載は参考のためここに入れてある)に教示されている。
【0029】
用語「全塩基価(TotalBase Number)」、又は「TBN」は、試料1g中のKOHのmg数に相当する塩基の量を指す。従って、TBN数が大きい程、一層アルカリ性の生成物であること、従って、一層大きなアルカリ性が保有されることを表している。試料のTBNは、ASTM試験番号D2896、又は他の同等な方法により決定することができる。
【0030】
用語「SAP」は、鹸化価(Saponification Number)を指し、それは試料1g当たりのKOHのmg数として報告され、試料1g中の酸基の量の尺度である。SAPは、ASTM D94に記載された方法又は他の同等な方法により決定することができる。
【0031】
用語「TAN」は、全酸価(Total Acid Number)を指し、それは試料1g中のKOHのmg数に相当する酸の量を指す。TANは、ASTM D664に記載された方法又は他の同等の方法により決定することができる。
【0032】
「コハク酸比(succinicratio)」又は「コハク酸化比(succination ratio)」は、米国特許第5,334,321号明細書(参考のためここに入れてある)の第5欄及び第6欄に記載された方法及び数式に従って計算された比を指す。計算は、アルケニル又はアルキル鎖一つ当たりアルケニル又はアルキルコハク酸無水物中のコハク酸基の平均数を表すものと主張されている。
【0033】
用語「アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体」とは、式:
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、L及びMは、独立に−OH、−Cl、−O−、低級アルキルからなる群から選択されるか、又は一緒になってアルケニル又はアルキルコハク酸無水物基を形成する−O−である。)
を有する構造体を指す。
【0036】
用語「不飽和酸性薬剤(unsaturated acidic reagent)」とは、一般式:
【0037】
【化2】

【0038】
(式中、X及びX′は同じか又は異なり、但しX及びX′の少なくとも一方は、アルコールをエステル化する反応、アンモニア又はアミンと共にアミド又はアミン塩を形成する反応、反応性金属又は塩基反応性金属化合物と金属塩を形成する反応を行うことができ、或はアシル化剤としての機能を果たすことができる基である。)
を有するマレイン酸又はフマール酸反応物を指す。典型的には、X及び(又は)X′は、−OH、−O−ヒドロカルビル、−OM(式中、Mは金属、アンモニウム、又はアミン陽イオンの1当量を表す)、−NH、−Cl、−Br、であるか、XとX′は一緒になって無水物を形成するような−O−である。好ましくは、X及びX′は、両方のカルボン酸機能がアシル化反応に入ることができるようなものである。無水マレイン酸が好ましい不飽和酸性反応物である。他の適当な不飽和酸性反応物には、電子欠乏オレフィン、例えば、モノフェニルマレイン酸無水物;モノメチル、ジメチル、モノクロロ、モノブロモ、モノフルオロ、ジクロロ及びジフルオロ マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、及び他の置換マレイミド;イソマレイミド;フマール酸、マレイン酸、アルキル水素マレエート、及びフマレート、ジアルキルフマレート及びマレエート、フマロニリックアシッド(fumaronilic acids) 、及びマレアニックアシッド(maleanic acids);及びマレオニトリル、及びフマロニトリルが含まれる。
【0039】
用語「ポリカルボン酸誘導体」とは、不飽和酸性薬剤の単独重合体、又は不飽和酸性薬剤の混合物の重合体を指す。好ましくはカルボン酸誘導体はポリマレイン酸無水物である。
【0040】
用語「%可溶性樹脂」とは、ポリイソブテニルコハク酸無水物生成物中に溶解するポリマレイン酸無水物の量を指す。可溶性樹脂の量は、次の式を樹脂%について解くことにより推定することができる。
【0041】
SAP(全)=[SAP(樹脂)×樹脂%]+[SAP(Pibsa)×(活性体%−樹脂%)]
樹脂%={SAP(全)−[SAP(Pibsa)×活性体%]}/[SAP(樹脂)−SAP(Pibsa)]
【0042】
ここで、SAP(全)は、生成物の全SAP値に等しい。
SAP(樹脂)は、606であると測定された可溶性樹脂のSAP値
に等しい。
SAP(Pibse)は、[112220/(ポリブテンMn+98)]に
等しい。
活性体%は、米国特許第5,286,799号明細書の第8欄に定義
してある通りに用いた。
【0043】
合成
本発明の化合物は、(a)アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、又は不飽和酸性薬剤と1,1−二置換オレフィンとの共重合体を、(b)ポリカルボン酸誘導体及び(c)ポリアミンと、反応条件下で接触させることにより製造することができる。
【0044】
上記反応は、酸誘導体と、4〜40重量%のポリカルボン酸誘導体及び酸誘導体+ポリカルボン酸誘導体の合計中の酸基の1当量当たりポリアミンのポリアミン当量の0.1〜1.5当量と接触させることにより行われるのが典型的である。この反応を行う場合、一般に先ず酸誘導体及びポリカルボン酸誘導体を一緒に添加し、次にポリアミンを添加するのが便利であることが見出されている。反応は不活性有機溶媒中で行うのが望ましい。最適溶媒は、特定の酸誘導体及びポリカルボン酸誘導体によって変化するが、文献の記載又は日常的実験によって決定することができる。
【0045】
反応は、約60℃〜180℃、好ましくは150℃〜170℃の範囲の温度で約1〜10時間、好ましくは4〜6時間行うのが典型的である。反応は、ほぼ大気圧で行うのが典型的であるが、一層高い又は低い圧力も、希望の反応温度、及び反応物又は溶媒の沸点によっては用いることができる。
【0046】
系中に存在しているか、又はこの反応により生じた水は、反応過程中、共沸又は蒸留によりその反応系から除去するのが好ましい。反応が完了した後、系を上昇させた温度(典型的には100℃〜250℃)で、減圧でストリップし、生成物中に存在しているかもしれない揮発性成分を全て除去することができる。
【0047】
アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体
約1.0:1〜2.5:1、好ましくは約1.0:1〜1.5:1の計算したコハク酸比を有するアルキル及びアルケニルコハク酸誘導体を、本発明の方法で用いることができる。一層好ましくは、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体は、約1.0:1〜1.2:1のコハク酸化比を有する。アルキル又はアルケニルコハク酸無水物を用いるのが最も好ましい。従って、熱的方法によって製造された物質の計算コハク酸化比が典型的には1.0〜1.2であること、及び塩素を合成で用いないため生成物が本質的に塩素を含まないことの両方の理由から、その熱的方法により製造されたアルケニルコハク酸無水物を用いるのが好ましい。
【0048】
ポリオレフィンと無水マレイン酸との熱的反応はよく知られており、例えば、米国特許第3,361,673号明細書に記載されている。それ程望ましくはないが、塩素化ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応を特徴とする塩素化法もよく知られており、例えば、米国特許第3,172,189号明細書に記載されている。熱的方法及び塩素化法の種々の変更法もよく知られており、その幾つかは米国特許第4,388,471号、第4,450,281号、第3,018,250号、及び第3,024,195号明細書に記載されている。アルケニルコハク酸無水物を製造するための遊離ラジカル法は、例えば、米国特許第5,286,799号及び第5,319,030号明細書に記載されている。米国特許第4,152,499号及び第5,241,003号明細書及び欧州特許出願EP−0355895に記載されているように、高メチルビニリデンポリイソブテンと、不飽和コハク酸誘導体との反応により製造されたアルケニルコハク酸無水物も望ましい。上で言及した特許は、全て参考のため全体的にここに入れてある。
【0049】
本発明により、アルケニル又はアルキルコハク酸無水物反応物を、1000〜5000のMn及び1:1〜5:1のMw/Mn比を有するポリオレフィンから誘導する。好ましい態様として、スクシンイミドのアルケニル又はアルキル基は、1800〜3000のMn値を有する。2000〜2500のMnを有するアルケニル又はアルキル置換基が最も好ましい。
【0050】
無水マレイン酸との反応に適したポリオレフィン重合体には、大部分がC〜Cモノオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソ−ブチレン、及びペンテンからなる重合体が含まれる。重合体は、ポリイソブチレンのような単独重合体の外、二種類以上のそのようなオレフィンの共重合体、例えば、エチレン及びプロピレン、ブチレン及びイソブチレン等の共重合体でもよい。他の共重合体には、少量(例えば、1〜20モル%)の共重合体単量体がC〜C非共役ジオレフィン、例えばイソブチレンとブタジエンとの共重合体、又はエチレン、プロピレン及び1,4−ヘキサジエンの三元重合体等である。
【0051】
無水マレイン酸と反応させるのに特に好ましい種類のオレフィン重合体は、1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンの一種類以上の重合により製造されたポリブテンからなる。特に望ましいのは、イソブテンから誘導された単位を実質的な割合で含むポリブテンである。ポリブテンは少量のブタジエンを含んでいてもよく、それは重合体中に配合されていてもいなくてもよい。これらのポリブテンは、当業者によく知られている容易に入手できる商業的材料である。そのような材料の製造を例示する手順の例は、例えば、米国特許第3,215,707号、第3,231,587号、第3,515,669号、第3,579,450号、第3,912,764号、及び第4,605,808号明細書(適当なポリブテンについてのそれらの記載に対し参考のためここに入れてある)に見出すことができる。
【0052】
アルケニル又はアルキルコハク酸無水物も、米国特許第4,152,499号、第5,071,919号、第5,137,980号、第5,286,823号、第5,254,649号、国際特許出願公開番号WO9324539−A1、WO9310063−A1、欧州特許出願公開番号0355895−A、0565285A、及び0587381A(これらは全て参考のため全体的にここに入れてある)に記載されているように、所謂高度に反応性又は高メチルビニリデンポリアルキレン、最も一般的にはポリイソブテンを用いて製造することもできる。他のポリアルケンも用いることができ、それらには例えば、ドイツ特許出願公開DE4313088A1に記載されているように、メタロセン触媒を用いて製造されたポリアルケンが含まれる。
【0053】
共重合体
本発明で用いられる不飽和酸性薬剤共重合体は、ランダム共重合体又は交互共重合体でもよく、既知の方法により製造することができる。更に殆どの場合、夫々の種類の例は容易に商業的に入手することができる。そのような共重合体は、不飽和酸性薬剤と、対応するオレフィンとの遊離ラジカル反応により製造することができる。好ましくは不飽和酸性薬剤共重合体は、無水マレイン酸と対応するオレフィンとの遊離ラジカル反応により製造することができる。
【0054】
二つの共重合体の主な差は、用いたオレフィンである。最初の共重合体では、オレフィンは1,1−二置換オレフィンである。第二の共重合体ではオレフィンは1−オレフィンである。
【0055】
第二の共重合体について、C10〜C30のα−オレフィンを用いるのが好ましい。なぜなら、これらの材料は商業的に容易に入手することができ、分子末端の長さ及び非極性溶媒中での共重合体の溶解度の望ましい釣り合いを与えるからである。オレフィンの混合物、例えば、C14、C16、C18が特に望ましい。
【0056】
共重合体の重合度は広い範囲に亙って変えることができる。一般に大きな分子量の共重合体は低い温度で製造することができ、小さな分子量の共重合体は高温で製造することができる。
【0057】
共重合は、適当な遊離ラジカル開始剤、典型的には、過酸化物型開始剤、例えば、過酸化ジ(t−ブチル)、過酸化ジクミル、又はアゾ型開始剤、例えば、イソブチルニトリル型開始剤の存在下で行われる。ポリα−オレフィン共重合体を製造するための手順は、例えば、米国特許第3,560,455号及び第4,240,916号明細書(これは参考のため全体的にここに入れてある)に記載されている。両方の特許共、種々の開始剤を記載している。
【0058】
ポリカルボン酸誘導体
ポリカルボン酸誘導体は、不飽和酸性薬剤の単独重合体、不飽和酸性薬剤混合物の重合体、又はそれらの混合物からなる。ポリカルボン酸誘導体の製造方法は、B.C.トリベジ(Trivedi)及びB.M.カルバートソン(Culbertson)により「無水マレイン酸」(Maleic Anhydride)〔1982年、ニューヨーク及びロンドン、プレナムプレス(Plenum Press)〕第246頁〜第263頁及び第264頁に記載されている。ポリカルボン酸誘導体はポリマレイン酸無水物であるのが好ましい。例えば、ポリマレイン酸無水物を製造するための遊離ラジカル法は、西ドイツ特許第2,405,284号及び英国特許第1,529,092号明細書に記載されている。上記引用した特許は全て参考のため全体的にここに入れてある。好ましいポリカルボン酸誘導体は、高メチルビニリデンポリブテンと無水マレイン酸との熱的方法による反応中に、その場で製造されたポリマレイン酸無水物である。このポリカルボン酸誘導体は、屡々可溶性樹脂又はタールとして言及されている。
【0059】
ポリアミン
ポリアミン反応物は、1モル当たり少なくとも3個のアミン窒素原子、好ましくは1分子当たり4〜12個のアミン窒素を有するのがよい。最も好ましいのは、1分子当たり約6〜約10個の窒素原子を有するポリアミンである。ポリアミン1分子当たりのアミン窒素原子の数は、次のようにして計算する:
【0060】
【数1】

【0061】
式中、N%=ポリアミン又はポリアミン混合物中の窒素の%
pa=ポリアミン又はポリアミン混合物の数平均分子量
【0062】
好ましいポリアルキレンポリアミンも、約4〜約20個の炭素原子を有し、アルキレン単位1つ当たり2〜3個の炭素原子が存在するのが好ましい。ポリアミンは1:1〜10:1の炭素対窒素比を有するのが好ましい。
【0063】
本発明の化合物を形成するのに用いることができる適当なポリアミンの例には次のものが含まれる:テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ダウ(Dow)E−100(登録商標名)重質ポリアミン(Mn=303、ミシガン州ミドランドのダウ・ケミカル社から入手できる)、及びユニオン・カーバイドHPA−X重質ポリアミン(Mn=275、コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド社から入手できる)。そのようなアミンには分岐鎖ポリアミンのような異性体も含まれ、ヒドロカルビル置換ポリアミンを含めた、前に述べた置換ポリアミンも含まれる。HPA−X重質ポリアミン(HPA−X)は、1分子当たり平均約6.5のアミン窒素原子を有する。そのような重質ポリアミンは一般に優れた結果を与える。
【0064】
ポリアミン反応物は単一の化合物でもよいが、典型的には、商業的ポリアミンを反映した化合物の混合物になっているであろう。商業的ポリアミンは、一種類又は数種類の化合物が優勢で、指示された平均組成を有する混合物になっているのが典型的である。例えば、アジリジンの重合、又はジクロロエチレンとアンモニアとの反応によって製造されたテトラエチレンペンタミンは、低級及び高級両方のアミン物質、例えばトリエチレンテトラミン(TETA)、置換ピペラジン、及びペンタエチレンヘキサミンを含むであろうが、その組成物は殆どテトラエチレンペンタミンで、全アミン組成物の実験式はテトラエチレンペンタミンのそれに非常に近いであろう。
【0065】
適当なポリアミンの別の例には、種々の分子量のアミンの混合物が含まれる。これらの適当なポリアミンには、ジエチレントリアミン(DETA)及び重質ポリアミンの混合物が含まれる。好ましいポリアミン混合反応物は、上述の方法により決定して、20重量%のDETA及び80重量%のHPA−Xを含む混合物であり、この好ましいポリアミン反応物は、1モル当たり平均約5.2の窒素原子を有する。
【0066】
ポリアミンの製造方法及びそれらの反応は、シジェウイック(Sidgewick)の「窒素の有機化学」〔1966年、オックスフォード、クラレンドン・プレス(Clarendon Press)〕;ノラー(Noller)の「有機化合物の化学」第2版〔1957年、フィラデルフィア・サウンダーズ(Saunders)〕;及びカーク・オスマー(Kirk-Othmer)のエンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)、第2版、特に第2巻、第99頁〜第116頁に詳細に記述されている。
【0067】
任意的変性
ポリスクシンイミドは、グラフト粘度指数改良剤重合体の存在下で、分散剤性を有する粘度指数改良剤重合体を生ずる反応条件下で製造することもできる。そのようなグラフト粘度指数改良剤重合体の一例は、一つ又は二つの酸又は酸無水物部分を有するエチレン系不飽和カルボン酸物質とグラフトさせた、Mnが5000〜500,000の油溶性エチレン共重合体である。グラフト粘度指数改良剤重合体及びその製造についての記載は、米国特許第5,356,551号明細書(これは参考のため全体的にここに入れてある)に見出される。
【0068】
後処理
本発明の重合体の分散性は、一般に環状カーボネートとの反応により更に改良されることが判明している。これは、フルオロカーボンエラストマーの両立性を幾らか低下する結果になることがある。しかし、これは、一般に分散性の増大を考慮に入れ、カーボネート化後処理重合体の濃度を減少させることにより相殺されて余りあるものである。環状カーボネート後処理は、フルオロカーボンエラストマー密封材を持たないエンジンでその分散剤を用いる場合には特に有利である。得られた変性重合体は、ヒドロキシヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロキシポリ(オキシアルキレン)オキシカルボニル、ヒドロキシアルキレン、ヒドロキシアルキレンポリ(オキシアルキレン)、又はそれらの混合物で置換されたポリアミノ部分の一つ以上の窒素を有する。
【0069】
環状カーボネート後処理は、環状カーボネートと、ポリアミノ置換基の第二級アミノ基との反応を起こすのに充分な条件下で行う。典型的には、反応は約0℃〜250℃、好ましくは約100℃〜200℃の温度で行われる。一般に約150℃〜180℃の温度で最良の結果が得られている。
【0070】
重合体と環状カーボネートの両方が適切な比率で一緒にされている場合、反応は単独でも、或は触媒(例えば、酸性、塩基性、又はルイス酸触媒)の存在下で適切に行うことができる。重合体反応物の粘度により、不活性有機溶媒又は希釈剤、例えば、トルエン、キシレンを用いて反応を行うのが望ましいことがある。適当な触媒の例には、例えば、燐酸、三フッ化硼素、アルキル又はアリールスルホン酸、アルカリ又はアルカリ土類炭酸塩が含まれる。
【0071】
ポリアミノアルケニル又はアルキルスクシンイミドと、環状カーボネートとの反応は当分野で知られており、米国特許第4,612,132号明細書(参考のため全体的にここに入れてある)に記載されている。一般に、ポリアミノアルケニル又はアルキルスクシンイミドを環状カーボネートで後処理するために記載された方法は、本発明の重合体を後処理するのにも適用することができる。
【0072】
特に好ましい環状カーボネートは1,3−ジオキソラン−2−オン(エチレンカーボネート)である。なぜなら、それは優れた結果を与え、更にそれは容易に商業的に入手することができるからである。
【0073】
後処理反応で用いられる環状カーボネートの導入モル量は、スクシンイミドのポリアミノ置換基に含まれる塩基性窒素の理論的数に基づくのが好ましい。例えば、1当量のテトラエチレンペンタミン(TEPA)を、1当量の無水コハク酸及び1当量の共重合体と反応させると、得られるビススクシンイミドは、理論的には三つの塩基性窒素を有するであろう。従って、2モルの導入量は、2モルの環状カーボネートを各塩基性窒素に対して添加すること、即ち、この場合にはTEPAから製造されたスクシンイミド又はポリアルキレンスクシンイミドの各1モル当量に対し6モルの環状カーボネートを添加することが必要になる。本発明の方法で用いたポリアミノアルケニルスクシンイミドの塩基性アミン窒素に対する環状カーボネートのモル比は、典型的には、約1:1〜約4:1の範囲にあるが、約2:1〜約3:1であるのが好ましい。
【0074】
米国特許第4,612,132号明細書に記載されているように、環状カーボネートがポリアミノアルケニル又はアルキルスクシンイミドの第一級及び第二級アミンと反応して二種類の化合物を形成する。第一の場合には、第一級アミン及び幾らかの第二級アミンのような立体障害のないアミンを含めた強塩基が等量の環状カーボネートと反応してカルバミン酸エステルを生ずる。第二の場合には、立体障害のある第二級アミンのような立体障害塩基が等量の同じ環状カーボネートと反応してヒドロキシアルキレンアミン結合を形成する。(カルバメート生成物とは異なって、ヒドロキシアルキレンアミン生成物はそれらの塩基性を維持する)。従って、環状カーボネートの反応は生成物の混合物を生ずるであろう。スクシンイミドの塩基性窒素に対する環状カーボネートの導入モル量が約1以下である場合、スクシンイミドの第一級及び第二級アミンの大部分はヒドロキシヒドロカルビルカルバミン酸エステルに転化し、幾らかのヒドロキシヒドロカルビルアミン誘導体も形成される。モル比を1より高く上昇させると、生成するカルバミン酸エステルとヒドロキシヒドロカルビルアミン誘導体とのポリ(オキシアルキレン)重合体の量は増大する。
【0075】
本発明の重合体及び後処理重合体の両方共、硼酸又は同様な硼素化合物と反応して、本発明の範囲内の有用性を有する硼酸化(borated)分散剤を形成することができる。硼酸(硼素酸)の外に、適当な硼素化合物の例には、硼素酸化物、硼素ハロゲン化物、及び硼酸のエステルが含まれる。一般に、変性スクシンイミドに対し約0.1当量〜10当量の硼素化合物を用いることができる。
【0076】
カーボネート及び硼酸後処理の外に、両方の化合物を、改良又は異なった性質を付与するように考えた種々の後処理で後処理するか、又は更に後処理してもよい。そのような後処理には、米国特許第5,241,003号明細書(参考のためここに入れてある)の第27欄〜第29欄に要約されているものが含まれる。そのような処理には次のようなものによる処理が含まれる。
【0077】
無機亜燐酸又は無水物(例えば、米国特許第3,403,102号及び第4,648,980号);
有機第一燐化合物(例えば、米国特許第3,502,677号);
五硫化第一燐;
既に上で述べたような硼素化合物(例えば、米国特許第3,178,663号及び第4,652,387号);
カルボン酸、ポリカルボン酸、無水物、及び(又は)酸ハロゲン化物(例えば、米国特許第3,708,522号及び第4,948,386号);
エポキシド ポリエポキシエート、又はチオエポキシド(例えば、米国特許第3,859,318号及び第5,026,495号);
アルデヒド又はケトン(例えば、米国特許第3,458,530号);
二硫化炭素(例えば、米国特許第3,256,185号);
【0078】
グリシドール(例えば、米国特許第4,617,137号);
尿素、チオ尿素、又はグアニジン(例えば、米国特許第3,312,619号、第3,865,813号、英国特許GB1,065,595);
有機スルホン酸(例えば、米国特許第3,189,544号及び英国特許GB2,140,811);
シアン化アルケニル(例えば、米国特許第3,278,550号及び第3,366,569号);
ジケテン(例えば、米国特許第3,546,243号);
ジイソシアネート(例えば、米国特許第3,573,205号);
アルカンスルトン(例えば、米国特許第3,749,695号);
1,3−ジカルボニル化合物(例えば、米国特許第4,579,675号);
アルコキシル化アルコール又はフェノールのサルフェート(例えば、米国特許第3,954,639号);
【0079】
環状ラクトン(例えば、米国特許第4,617,138号、第4,645,515号、第4,668,246号、第4,963,275号、及び第4,971,711号);
環状カーボネート、又はチオカーボネート線状モノカーボネート、又はポリカーボネート、又はクロロホーメート(例えば、米国特許第4,612,132号、第4,647,390号、第4,648,886号、第4,670,170号);
窒素含有カルボン酸(例えば、米国特許第4,971,598号、及び英国特許GB2,140,811);
ヒドロキシ保護クロロジカルボニルオキシ化合物(例えば、米国特許第4,614,522号);
ラクタム、チオラクタム、チオラクトン、又はジチオラクトン(例えば、米国特許第4,614,603号及び第4,666,460号);
環状カーボネート、環状チオカーボネート、又は環状ジチオカーボネート(例えば、米国特許第4,663,062号、及び第4,666,459号);
ヒドロキシ脂肪族カルボン酸(例えば、米国特許第4,482,464号、第4,521,318号、第4,713,189号);
酸化剤(例えば、米国特許第4,379,064号);
【0080】
五硫化燐とポリアルキレンポリアミンとの組合せ(例えば、米国特許第3,185,647号);
カルボン酸又はアルデヒド又はケトンと、硫黄又は塩化硫黄との組合せ(例えば、米国特許第3,390,086号、第3,470,098号);
ヒドラジンと二硫化炭素との組合せ(例えば、米国特許第3,519,564号);
アルデヒドとフェノールとの組合せ(例えば、米国特許第3,649,229号、第5,030,249号、第5,039,307号);
アルデヒドと、ジチオ燐酸のO−ジエステルとの組合せ(例えば、米国特許第3,865,740号);
ヒドロキシ脂肪族カルボン酸と硼酸との組合せ(例えば、米国特許第4,554,086号);
ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、次にホルムアルデヒドとフェノールの組合せ(例えば、米国特許第4,636,322号);
ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、次に脂肪族ジカルボン酸の組合せ(例えば、米国特許第4,663,064号);
【0081】
ホルムアルデヒド及びフェノール、次にグリコール酸の組合せ(例えば、米国特許第4,699,724号);
ヒドロキシ脂肪族カルボン酸又は蓚酸、次にジイソシアネートの組合せ(例えば、米国特許第4,713,191号);
燐の無機酸又は無水物、又はその部分的又は全硫黄類似体及び硼素化合物の組合せ(例えば、米国特許第4,857,214号);
有機ジアシッド(diacid)、次に不飽和脂肪酸、次にニトロソ芳香族アミン、場合により次に硼素化合物、次にグリコール化剤の組合せ(例えば、米国特許第4,973,412号);
アルデヒドとトリアゾールとの組合せ(例えば、米国特許第4,963,278号);
アルデヒド及びトリアゾール、次に硼素化合物の組合せ(例えば、米国特許第4,981,492号);
環状ラクトン及び硼素化合物の組合せ(例えば、米国特許第4,963,275号、及び第4,971,711号)。
【0082】
潤滑油組成物及び濃厚物
本発明の組成物は、それらが潤滑油中の清浄剤及び分散剤添加物として有効な濃度で、フルオロカーボンエラストマー密封材と両立することができる。このようにして用いた場合、変性ポリアミノアルケニル又はアルキルスクシンイミド添加剤は、通常全組成物に対し1〜5重量%(乾燥重合体を基にして)、好ましくは3重量%未満(乾燥又は活性重合体を基にして)で存在する。乾燥又は活性体基準とは、本発明の活性成分だけを考慮に入れ、組成物(例えば、潤滑油組成物、潤滑油濃厚物、燃料組成物、又は燃料濃厚物)の残りに対する添加剤の量を決定することを指している。希釈剤及び他の不活性物は除外する。別に指示しない限り、潤滑油及び最終的組成物又は濃厚物を記述する際、乾燥又は活性成分含有量はポリスクシンイミドに対するものである。これは、本発明の新規なポリスクシンイミド及び分散剤としての機能を果たす反応生成物混合物中の他の反応生成物又は副生成物も含んでいる。
【0083】
本発明の添加剤組成物と共に用いられる潤滑油は、潤滑粘度の鉱油又は合成油、好ましくは内燃機関のクランク室に用いるのに適した油である。クランク室潤滑油は、−17.8℃(0°F)での約1300cStから、99℃(210°F)での22.7cStの粘度を有するのが典型的である。潤滑油は合成又は天然原料から誘導されたものでもよい。本発明の基礎油として用いられる鉱油には、パラフィン油、ナフテン系油、及び通常潤滑油組成物に用いられる他の油が含まれる。合成油には炭化水素合成油及び合成エステルの両方が含まれる。有用な合成炭化水素油には、適切な粘度を有するαオレフィンの液体重合体が含まれる。特に有用なのは、1−デセントリマーのようなC〜C12αオレフィンの水素化液体オリゴマーである。同様に、ジドデシルベンゼンのような適当な粘度のアルキルベンゼンを用いることができる。有用な合成エステルには、モノカルボン酸及びポリカルボン酸の両方のエステル、その他モノヒドロキシアルカノール及びポリオールが含まれる。典型的な例は、アジピン酸ジドデシル、テトラカプロン酸ペンタエリトリトール、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジラウリル、等である。モノ及びジ−カルボン酸、及びモノ及びジ−ヒドロキシアルカノールの混合物から製造された複雑なエステルも用いることができる。
【0084】
炭化水素油と合成油との混合物も有用である。例えば、10〜25重量%の水素化1−デセントリマーと、75〜90重量%の150SUS(100°F)鉱油との混合物は、優れた基礎潤滑油を与える。
【0085】
配合物中に存在していてもよい他の添加剤には、清浄剤(過塩基性及び非過塩基性)、防錆剤、消泡剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、ジチオ燐酸亜鉛、及び種々の他のよく知られた添加剤が含まれる。
【0086】
本発明の変性スクシンイミドは、作動流体、船舶クランク室潤滑油等中の分散剤及び清浄剤として用いることも考慮に入れられている。そのように用いた場合、変性スクシンイミドは、油に対し0.1〜5重量%(乾燥変性スクシンイミド基準)、好ましくは0.5〜5重量%(乾燥変性スクシンイミド基準)で添加する。
【0087】
添加剤濃厚物も本発明の範囲に含まれる。本発明の濃厚物は、通常、90〜10重量%の有機液体希釈剤及び10〜90重量%(乾燥変性スクシンイミド基準)の本発明の添加剤を含む。濃厚物は、出荷及び貯蔵中、それらを取扱い易くするのに充分な希釈剤を含有するのが典型的である。濃厚物に適した希釈剤には、濃厚物を潤滑油と混合して潤滑油組成物を調製し易くすることができるような、どのような不活性希釈剤でも含まれ、好ましくは潤滑油粘度の油が含まれる。希釈剤として用いることができる適当な潤滑油は、典型的には38℃(100°F)で約35〜約500の範囲のセイボルト・ユニバーサル・セカンズ(Saybolt Universal Seconds)(SUS)粘度を有するが、潤滑粘度の油を用いてもよい。
【0088】
燃料組成物及び濃厚物
典型的には、燃料組成物は、重量で基礎燃料の約10〜10,000ppm、好ましくは30〜2,000ppmであろう。これは、他の分散剤反応生成物を含めた活性成分に基づいているが、不活性物、例えば、希釈剤油及び未反応アルケン又はポリα−オレフィン等の、ポリアルキレン無水コハク酸の製造から持ち込まれたものを除外する。もし他の清浄剤が存在する場合、変性スクシンイミドの使用量は少なくしてもよい。最適濃度は特定の基礎油及び他の添加剤の存在によって変化させることができるが、日常的方法により決定することができる。
【0089】
本発明の組成物は、約65℃〜205℃(約150°F〜400°F)の範囲で沸騰する不活性で安定な親油性有機溶媒を用いて燃料濃厚物として配合してもよい。ベンゼン、トルエン、キシレン、又は一層高沸点の芳香族又は芳香族シンナーのような脂肪族又は芳香族炭化水素溶媒を用いるのが好ましい。炭化水素溶媒と組合せて、イソプロパノール、イソブチルカルビノール、n−ブタノール等のような約3〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールも燃料添加剤と共に用いるのに適している。本発明の燃料濃厚物は、活性成分基準で約20〜60重量%の本発明の組成物を含むのが典型的である。
【0090】
製造及び実施例
次の製造及び実施例により本発明を更に理解することができるであろうが、それらは本発明を限定するものではない。特に反することが述べられていない限り、全ての温度及び温度範囲は摂氏で示されており、「周囲」又は「室温」は約20℃〜25℃を指す。用語「%」は重量%を意味し、用語「モル」はgモルを意味する。用語「当量」とは、1モルに等しい反応物の量を指し、有限のモル数又は有限の重量又は体積に関し、その例で言及した前又は後の反応物のモル数を意味する。
【実施例】
【0091】
例1
酸誘導体(ポリイソブテニルコハク酸無水物)中ポリカルボン酸誘導体(ポリマレイン酸無水物)9.5%混合物の製造。
1219の数平均分子量及び73%のメチルビニリデン含有量を有する高メチルビニリデンポリブテン(HMV)4000g(3.28モル)を反応器へ入れ、238℃に加熱した。次にこれに1266g(12.9モル)の無水マレイン酸を5.5時間に亙って添加した。無水マレイン酸/HMV比は3.93であった。反応工程中、反応圧力は33.0psiaに維持した。次に反応を更に0.5時間加熱し、次に真空を適用して過剰の無水マレイン酸を除去した。生成物(ポリイソブテニルコハク酸無水物)をフィルター床を通して濾過し、形成された可能性のある全ての不溶性樹脂を除去した。この反応からの生成物は、試料1g当たり127.6mgKOHのSAP値を有し、90.8%の活性体を含んでいた。この生成物は、ポリイソブテニルコハク酸無水物中に9.6%のポリマレイン酸無水物可溶性樹脂が溶解した混合物であった。
【0092】
例2
酸誘導体(ポリイソブテニルコハク酸無水物)中ポリカルボン酸誘導体(ポリマレイン酸無水物)2.8%混合物の製造。
例1の手順を繰り返した。但し無水マレイン酸/HMV比は1.5であった。これにより、試料1g当たり73.0mgKOHのSAP値及び68.4%の活性体を有するポリイソブテニルコハク酸無水物を生じた。これは、この生成物中2.8%のポリマレイン酸無水物を与えた。
【0093】
例3
9.5%ポリマレイン酸無水物及びHPAとポリイソブテニルコハク酸無水物とからのポリスクシンイミドの製造。
機械的撹拌器、窒素導入管、滴下漏斗、ディーン・スターク・トラップ(Dean Stark trap)を具えた2リットル三口フラスコに、例1の9.6%のポリマレイン酸無水物を含むポリイソブテニルコハク酸無水物438.47gを添加した。ポリイソブテニルコハク酸無水物+ポリマレイン酸無水物の合計50mMを添加した。これを100℃に加熱し、これにHPA−X、68.55g、25mMを添加した。全てのHPA−Xを添加し終わった時、温度を170℃に上昇させ、7時間維持した。次に生成物を冷却した。生成物は1.98%のN、42.0のTBN、0.91のTAN、及び100℃で103.7cStの粘度を持っていた。
【0094】
例4〜11
表1に示した異なった薬剤を用いて、例3の手順を用いて例4〜11を行なった。或る場合にはポリスクシンイミドをエチレンカーボネートと次のようにして反応させた。先ず撹拌しながら窒素中で160℃に加熱した。次にエチレンカーボネートを添加し、次に混合物を160〜170℃で4時間加熱した。次に生成物を冷却した。どの場合でもアミンはHPAであった。
【0095】
[表1]
表1
例 PIB 樹脂% A/P EC N% TBN TAN 粘度
MW CMR CMR
3 1219 9.6 0.5 0 1.98 42.0 0.91 103.7
4 1219 9.6 0.5 1.03 1.84 28.4 <0.05 273.1
5 1219 9.6 0.5 3.08 1.81 24.1 <0.05 715.4
6 1219 9.6 0.6 0 2.43 50.1 1.41 102.4
7 1219 9.6 0.6 1.03 2.16 32.0 0.29 289.5
8 1219 9.6 0.6 3.08 1.89 28.6 <0.05 1179
9 1219 9.6 0.7 0 2.55 66.1 1.37 98.73
10 1219 9.6 0.7 1.03 2.45 41.5 0.24 242.6
11 1219 9.6 0.7 3.08 2.17 33.4 0.21 1878
【0096】
例12(比較例)
2.8%のポリマレイン酸無水物及びHPAとポリイソブテニルコハク酸無水物とからのポリスクシンイミドの製造。
機械的撹拌器、窒素導入管、及びディーン・スターク・トラップを具えた3リットル三口フラスコに、例2の2.8%の樹脂を含むポリイソブテニルコハク酸無水物900.11g、0.563モルを添加した。これに、100℃でHPA−X、77.41g、0.281モルを添加し、撹拌を容易にするため423.7gの希釈剤油を添加した。アミン/酸無水物CMRは0.5であった。次にこれを175℃に8時間加熱した。これを冷却し、分析した。この生成物は1.80%のN、試料の単位重量につき4.4mgKOH/gのTBN、0.35mgKOH/gのTAN、及び100℃で359.6cStの粘度を持っていた。
【0097】
例13〜21(比較例)
表2の薬剤及びCMRを用いて、例12の手順を用いて例13〜21を行なった。或る場合にはポリスクシンイミドをエチレンカーボネートと次のようにして反応させた。先ず撹拌しながら窒素中で160℃に加熱した。次にエチレンカーボネートを添加し、次に混合物を160〜170℃で4時間加熱した。次に生成物を冷却した。
【0098】
[表2]
表2
例 PIB 樹脂% A/P EC %N TBN TAN 粘度
MW CMR CMR
12 1219 2.8 0.5 0 1.80 44.4 0.35 359.6
13 1219 2.8 0.5 1.03 1.81 26.1 <0.05 620.9
14 1219 2.8 0.5 3.08 1.67 22.3 0.09 706.2
15 1219 2.8 0.5 4.31 1.48 20.7 <0.05 891.5
16 1219 2.8 0.6 0 2.14 39.2 0.58 282.3
17 1219 2.8 0.6 1.31 2.01 31.6 <0.05 676.3
18 1219 2.8 0.6 3.94 1.75 24.3 <0.05 859.5
19 1219 2.8 0.7 0 2.47 55.5 0.51 265.5
20 1219 2.8 0.7 1.26 2.26 37.2 <0.05 761.4
21 1300 2.8 0.7 3.77 1.98 29.3 0.06 1409
【0099】
本発明を特定の態様に関して記述してきたが、本出願は、特許請求の範囲の本質及び範囲から離れることなく当業者によって行えるような種々の変更及び置き換えを含むものである。
本発明に関して、更に以下の内容を開示する。
(1) 混合物を反応条件下で反応させることからなるポリスクシンイミドの製造方法において、前記混合物が、
(a)(1)アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、及び
(2)(i)第一不飽和酸性薬剤と、
(ii)1,1−二置換オレフィン、
との共重合体、及び
(3)それらの混合物、
からなる群から選択された酸誘導体;
(b)ポリカルボン酸誘導体;及び
(c)ポリアミン;
からなり、然も、前記反応混合物が、前記カルボン酸誘導体を4〜40重量%含み、前記混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリカルボン酸誘導体の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有する、ポリスクシンイミド製造方法。
(2) 反応混合物を反応条件下で反応させることにより製造されるポリスクシンイミド組成物において、前記反応混合物が、
(a)(1)アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、及び
(2)(i)第一不飽和酸性薬剤と、
(ii)1,1−二置換オレフィン、
との共重合体、及び
(3)前記アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体及び前記共重合体の
混合物、
からなる群から選択された酸誘導体;
(b)ポリカルボン酸誘導体;及び
(c)ポリアミン;
からなり、然も、前記反応混合物が、前記カルボン酸誘導体を4〜40重量%含み、前記反応混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリカルボン酸誘導体の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有する、ポリスクシンイミド組成物。
(3) 第一不飽和酸性薬剤が無水マレイン酸である、(2)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(4) 1,1−二置換オレフィンが、500〜5,000の平均Mnを有する、(2)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(5) 1,1−二置換オレフィンが、1,1−二置換ポリイソブチレンである、(4)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(6) ポリカルボン酸誘導体が、ポリマレイン酸無水物誘導体である、(2)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(7) ポリアミンが、少なくとも3個の窒素原子及び4〜20個の炭素原子を有するポリアミンである、(2)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(8) 反応混合物が、第二不飽和酸性薬剤と1−オレフィンとの共重合体を更に含み、第一不飽和酸性薬剤と前記第二不飽和酸性薬剤が同じか又は異なる、(2)に記載のポリスクシンイミド組成物。
(9) 20〜60重量%の(2)に記載のポリスクシンイミド組成物と、80〜40重量%の有機希釈剤とからなる濃厚物。
(10) 主成分量の潤滑粘度の油と、少量の(2)に記載のポリスクシンイミド組成物とからなる潤滑油組成物。
(11) 主成分量のガソリン又はディーゼル燃料範囲内の沸点を有する炭化水素と、噴射又は機関室付着物を減少させるのに有効な量の(2)に記載のポリスクシンイミド組成物とからなる燃料組成物。
(12) (2)に記載のポリスクシンイミド組成物を、環状カーボネート又は線状モノ−又はポリ−カーボネートで反応条件下で処理することにより製造される後処理されたポリスクシンイミド組成物。
(13) 環状カルボネートがエチレンカーボネートである、(12)に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物。
(14) 主成分量の潤滑粘度の油と、少量の(12)に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物とからなる潤滑油組成物。
(15) 20〜60重量%の(12)に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物と、80〜40重量%の有機希釈剤とからなる濃厚物。
(16) (2)に記載のポリスクシンイミド組成物を、酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼酸、及び硼酸エステルからなる群から選択された硼素化合物で反応条件下で処理することにより製造される後処理された重合体。
(17) 酸誘導体、ポリアミン、ポリカルボン酸誘導体から誘導された、潤滑油及び炭化水素燃料中の分散剤及び付着防止剤として有用な、新規なポリスクシンイミド組成物を与える。
混合物を反応条件下で反応させることからなるポリスクシンイミドの製造方法において、前記混合物が、アルケニル又はアルキルコハク酸誘導体、及び第一不飽和酸性薬剤と、1,1−二置換オレフィン、との重合体、及びそれらの混合物、からなる群から選択された酸誘導体;ポリカルボン酸誘導体;及びポリアミン;からなり、然も、前記反応混合物が、前記カルボン酸誘導体を4〜40重量%含み、前記混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリカルボン酸誘導体の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有する、ポリスクシンイミドの製造方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を反応条件下で反応させることからなるポリスクシンイミド組成物の製造方法において、前記混合物が、
(a)(i)(1)無水マレイン酸である第一不飽和酸性薬剤と、
(2)500〜5,000の平均Mn及び1:1〜5:1のMw/Mn比
を有するポリイソブチレン
との、遊離ラジカル反応により製造された、共重合体、
(ii) ポリイソブテニルコハク酸無水物、及び、
(iii)前記共重合体とポリイソブテニルコハク酸無水物の混合物、
からなる群から選択された酸誘導体;
(b)ポリマレイン酸無水物;及び
(c)少なくとも3個の窒素原子及び4〜20個の炭素原子及び1:1〜10:1の
炭素対窒素比を有するポリアミン;
からなり、
然も、前記反応混合物が、前記ポリマレイン酸無水物を4〜40重量%含み、前記反応混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリマレイン酸無水物の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有し、
然も、ポリスクシンイミドのポリイソブテニル基は、1800〜3000のMn値を有する、ポリスクシンイミド組成物の製造方法。
【請求項2】
反応混合物を反応条件下で反応させることにより製造されるポリスクシンイミド組成物において、前記反応混合物が、
(a)(i)(1)無水マレイン酸である第一不飽和酸性薬剤と、
(2)500〜5,000の平均Mn及び1:1〜5:1のMw/Mn比
を有するポリイソブチレン
との、遊離ラジカル反応により製造された、共重合体、
(ii) ポリイソブテニルコハク酸無水物、及び、
(iii)前記共重合体とポリイソブテニルコハク酸無水物の混合物、
からなる群から選択された酸誘導体;
(b)ポリマレイン酸無水物;及び
(c)少なくとも3個の窒素原子及び4〜20個の炭素原子及び1:1〜10:1の炭
素対窒素比を有するポリアミン;
からなり、
然も、前記反応混合物が、前記ポリマレイン酸無水物を4〜40重量%含み、前記反応混合物が、前記酸誘導体の酸基+前記ポリマレイン酸無水物の酸基の1当量当たり、0.1〜1.5当量の前記ポリアミンを含有し、
然も、ポリスクシンイミドのポリイソブテニル基は、1800〜3000のMn値を有する、ポリスクシンイミド組成物。
【請求項3】
反応混合物が、第二不飽和酸性薬剤と1−オレフィンとの共重合体を更に含み、第一不飽和酸性薬剤と前記第二不飽和酸性薬剤が同じか又は異なる、請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物。
【請求項4】
20〜60重量%の請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物と、80〜40重量%の有機希釈剤とからなる濃厚物。
【請求項5】
99重量%〜95重量%の潤滑粘度の油と、1重量%〜5重量%の請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物とからなる潤滑油組成物。
【請求項6】
ガソリン又はディーゼル燃料範囲内の沸点を有する炭化水素と、噴射又は機関室付着物を減少させるのに有効な量の請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物とからなる燃料組成物。
【請求項7】
請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物を、環状カーボネート又は線状モノ−又はポリ−カーボネートで反応条件下で処理することにより製造される後処理されたポリスクシンイミド組成物。
【請求項8】
環状カルボネートがエチレンカーボネートである、請求項に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物。
【請求項9】
99重量%〜95重量%の潤滑粘度の油と、1重量%〜5重量%の請求項に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物とからなる潤滑油組成物。
【請求項10】
20〜60重量%の請求項に記載の後処理ポリスクシンイミド組成物と、80〜40重量%の有機希釈剤とからなる濃厚物。
【請求項11】
請求項2に記載のポリスクシンイミド組成物を、酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼酸、及び硼酸エステルからなる群から選択された硼素化合物で反応条件下で処理することにより製造される後処理された組成物。

【公開番号】特開2010−43272(P2010−43272A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230169(P2009−230169)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願平9−222601の分割
【原出願日】平成9年8月19日(1997.8.19)
【出願人】(596101956)シェブロン ケミカル カンパニー (2)
【Fターム(参考)】