説明

重合体の製造方法および金属触媒残渣除去方法

【課題】高効率、且つ簡便な工程によって重合体溶液に含まれる金属成分を効果的に除去し、含有金属成分が充分に低減された重合体溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】金属触媒残渣を含む粗重合体より該金属触媒残渣を除去して得られる重合体の製造方法であって、上記粗重合体が溶媒に溶解している粗重合体溶液と、上記溶媒と液液分離が可能なジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、および/またはN−メチル−2−ピロリドンからなる非プロトン性極性溶媒とを液液接触させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属触媒成分を除去した重合体の製造方法および新規な金属触媒残渣除去方法に関する。詳しくは金属触媒成分を含む粗重合体溶液と、この粗重合体溶液を構成する溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒とを接触させることにより、粗重合体溶液に含まれる金属触媒成分を効果的に除去し、含有金属成分が充分に低減された重合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウム、ニッケル、コバルト、ルテニウム、鉄、ロジウム、白金などの後周期遷移金属、および有機アルミニウム化合物を重合触媒あるいは水素化触媒として用いた重合体の製造については数多く知られている(特許文献1から特許文献9、および非特許文献1から非特許文献3)。しかし、これらの方法によって得られる重合体を光学材料あるいは電子材料の用途に用いるに際し、残存する金属成分によって、重合体の色相悪化、透明性低下、電気特性悪化、積層した他の材料への金属成分の移動による積層材料の性能低下などが問題となる。
【0003】
係る問題を解決するために、重合体中に含まれる金属成分を効果的に除去する方法が必要であり、たとえば重合後の反応混合物へ酸やキレート剤などの添加剤を添加し、凝集物をろ過あるいは遠心分離する方法、水、アルコール類、ケトン類またはエステル類などで抽出分離する方法、重合体を凝固分離する方法、珪藻土、シリカ、アルミナ、活性炭、イオン交換樹脂などにより処理する方法、あるいはこれらを組み合わせた方法などが一般的に用いられている(例えば特許文献10から特許文献13)。しかしながら、除去すべき金属成分によってはこれらの方法が有効でない場合もある。
【0004】
低分子の有機化合物や重合体溶液からの金属成分の除去方法はいくつか提案されているが、多量の溶媒使用、長時間を有するなどの理由により重合体を工業的に大量生産する場合には適さないことが多い。
【0005】
非特許文献4においては、トリフェニルホスフィンオキサイドまたはジメチルスルホキシドを用いたルテニウムの除去方法を報告している。しかしながら、該文献は12時間の反応後にろ過を行なう方法であり、長時間を要するなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−48060号公報
【特許文献2】特開2003−327673号公報
【特許文献3】特開平7−309941号公報
【特許文献4】特開平1−168725号公報
【特許文献5】特許3259476号公報
【特許文献6】特開平2−102221号公報
【特許文献7】特開平2−133413号公報
【特許文献8】特許2684796号公報
【特許文献9】特許3060532号公報
【特許文献10】特開昭61−130304号公報
【特許文献11】特許3072329号公報
【特許文献12】特許2518019号公報
【特許文献13】特開2002−371090号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chem. Mater., Vol.16 1313 (2004)
【非特許文献2】Macromolecules Vol.38, 658 (2005)
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. Vol.127, 10045 (2005)
【非特許文献4】Org. Lett. Vol.3, No.9 (2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、高効率、且つ簡便な工程によって重合体溶液に含まれる金属成分を効果的に除去し、含有金属成分が充分に低減された重合体の製造方法の提供を目的とする。更に、レンズなどの光学材料としての使用に耐え得る良好な透明性を有する重合体の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の非プロトン性極性溶媒と金属触媒残渣を含む粗重合体溶液を液液接触させることにより、粗重合体溶液中の金属成分を除去することが可能であることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明の重合体の製造方法は、金属触媒残渣を含む粗重合体より該金属触媒残渣を除去して得られる重合体の製造方法であって、上記粗重合体が溶媒に溶解している粗重合体溶液と、上記溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒とを液液接触させる工程を含むことを特徴とする。
特に、上記非プロトン性極性溶媒と上記溶媒との大気圧下での沸点差が10℃以上あることを特徴とする。
また、上記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略称する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略称する)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略称する)、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、および/またはN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)であることを特徴とする。
【0010】
上記金属触媒残渣となる金属触媒が開環重合触媒または重合体の水素化触媒であることを特徴とする。また、同金属触媒が周期表第4〜13族元素の金属を含む触媒であることを特徴とする。
特に、上記周期表第4〜13族元素の金属がタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムから選ばれた少なくとも1つの金属であることを特徴とする。
また、本発明の重合体の製造方法における重合体は環状オレフィン重合体を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の重合体溶液中の金属触媒残渣除去方法は、金属触媒残渣を含む粗重合体を溶媒に溶解させた粗重合体溶液と、上記溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒と、を液液接触させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の重合体の製造方法は、粗重合体溶液の溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒とを液液接触させる工程を含むので、簡便な工程であるにも関らず、粗重合体溶液に含まれる金属触媒残渣を効果的に除去し、含まれている金属触媒残渣を充分に低減することが可能である。また、金属触媒残渣除去方法は、簡便な方法で金属触媒残渣を含む粗重合体から金属触媒残渣を除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の重合体の製造方法において、粗重合体に含まれる金属触媒残渣は、重合体を重合あるいは重合後の高分子反応に用いた金属含有触媒、この金属含有触媒由来の金属イオン、または、該金属イオンの錯体等、この金属含有触媒およびこの触媒に由来する全ての金属成分を含む。重合体の好ましい重合方法としては開環重合法を、重合後の好ましい高分子反応としては重合体の水素化反応を挙げることができる。
【0014】
金属成分としては、リチウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金が挙げられる。特に金属触媒が周期表第4〜13族元素の金属を含む触媒であることが好ましく、周期表第4〜13族元素の金属の中でもタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムから選ばれた少なくとも1つの金属であることが好ましい。これらの金属を含む触媒は、例えば環状オレフィンの付加重合、メチレンシクロプロパンの開環重合、ポリフェニレンエチニレンの重合、ポリフェニレンビニレンの重合、オレフィンの付加重合、オレフィンおよび一酸化炭素の交互共重合、環状オレフィンの開環重合、環状オレフィン開環重合体の水素化反応、重合体のヒドロシリル化反応などに用いられる。上記重合などで得られる粗重合体を含む重合体溶液には本発明の金属成分除去方法が好適に適用される。中でも環状オレフィンの付加重合や、環状オレフィンの開環重合とそれに続く水素化反応で得られる環状オレフィン付加重合体や、環状オレフィン開環重合体水素化物は、優れた透明性、耐熱性、低吸水性、低誘電性を有することから光学材料や電子材料の用途に用いられるため、該粗重合体を含む重合体溶液は重合触媒あるいは水素化触媒に由来する金属成分の含有量を低減すべく本発明の重合体の製造方法または重合体溶液中の金属触媒残渣除去方法が好適に適用される。
【0015】
上記金属成分を含む金属触媒の残渣を含む粗重合体として、環状オレフィンの開環重合体の水素添加反応によって得られる重合体が挙げられる。重合体は下記式(1)で表される構造単位を少なくとも1種有するものが好ましい。
【0016】
【化1】

式(1)中、A1〜A4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、あるいは炭素数1〜20の酸素原子あるいは窒素原子を含む炭化水素基、炭素数3〜12のトリアルキルシリル基、炭素数0〜12の加水分解性シリル基から選ばれた置換基であり、また、A1とA2またはA1とA4は互いに結合してアルキレン基、アリーレン基、酸無水物、ラクトンを形成していてもよい。mは0または1である。
【0017】
上記式(1)で表される構造単位は、下記式(2)で表される環状オレフィン化合物を付加重合するか、あるいは開環重合した後に水素添加することにより形成することができる。
【化2】

式(2)中、A1〜A4およびmは式(1)と同じである。
【0018】
式(2)で表される環状オレフィン化合物の具体例として、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジt−ブチル、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5−イル酢酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸t−ブチル、酢酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル、5−トリメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリメトキシシリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリエトキシシリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、2−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2−[(3−メチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2−[(オキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2−[(3−メチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、2−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸[(オキセタン−3−イル)メチル]、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸[(3−メチルオキセタン−3−イル)メチル]、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0019】
環状オレフィンの付加重合によって得られる重合体には、さらに、下記式(3)で表される構造単位を含んでいてもよい。
【化3】

上記式(3)中、Rは水素原子、炭素数1から10の炭化水素基、酸素原子および/またはケイ素原子を含む有機基から選ばれた置換基である。
式(3)で表される構造単位は、下記式(4)で表されるα−オレフィン化合物あるいは芳香族ビニル化合物を付加共重合することにより形成される。
【0020】
【化4】

式(4)中、Rは式(3)と同じである。
上記式(4)で表されるα−オレフィンおよび芳香族ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ビニルトリメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシランなどが挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
環状オレフィンの開環重合に用いられる重合触媒としては上記金属成分を含む公知のものを適宜用いることができる。例えばタングステン、モリブデン、レニウムのアルコキシド、フェノキシド、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物と、有機リチウム類、有機マグネシウム類、有機アルミニウム類、有機亜鉛類などとを組み合わせてなる重合触媒や、タングステン、モリブデン、ルテニウムのシクロブタンまたはカルベン錯体などを好適に用いることができ、さらに必要に応じて触媒活性向上剤などを組み合わせてもよい。
触媒活性活性向上剤は低分子量成分(オリゴマー等)の生成を抑制することができ、アミン、ニトリル、ケトン、エーテル、及びエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。また、アルコールの併用も可能である。
【0022】
環状オレフィン開環重合体を水素化するにあっては、公知の方法を適宜用いることができる。また、例えば5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエンなど重合に関与しないオレフィン性不飽和結合を有するものを用いた場合には、重合した後に当該不飽和結合を水素化してもよい。
【0023】
環状オレフィンを開環重合して得られた重合体の水素化反応は、通常、水素圧1.0〜15MPaの範囲、温度50〜250℃の範囲で行なわれる。水素化反応触媒は、均一系であっても不均一系であってもよく、コバルト、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ニッケル、チタンから選ばれた金属を含む触媒が好適に用いられる。水素化触媒は、遷移金属原子換算で、環状オレフィン開環重合体に対し10〜1,000ppmの範囲で使用される。
【0024】
本発明の重合体の製造方法において、重合体の平均分子量は金属成分除去の効率から重量平均で1,000,000以下、好ましくは500,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。1,000,000をこえると除去効率が低下し、あるいは修飾した単体の分離工程に支障を生じることがある。溶液中に含有される重合体の濃度は特に制限はなく、重合体の分子量や溶液の粘度などに応じて適宜選択されるが、通常、80重量%以下、好ましくは1〜50重量%である。80重量%をこえると重合体溶液の粘度が高くなりすぎるなどから除去効率が低下することがある。
平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ法により標準ポリスチレン換算値として得られる。
【0025】
本発明において粗重合体溶液を構成する溶媒は、重合体を溶解するものならば特に制限はなく使用できる。また、たとえ重合体を溶解しないものであっても該重合体が析出しない割合の範囲で混合し用いることができる。本発明における粗重合体溶液は、溶液重合あるいは水素化反応に用いた溶媒を除去することなく用いてもよいし、凝固、減圧、加熱などの方法によって、重合体溶液から一旦溶媒を除去した後にあらためて再溶解してもよい。
【0026】
溶媒の具体例としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエーテル系あるいはアルコール系溶媒などを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明は、上記粗重合体溶液に、この粗重合体溶液を構成する溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒を混合して相互に液液接触させることにより、金属触媒残渣が非プロトン性極性溶媒に移行して、重合体溶液より金属成分を除去することができる。ここで、「液液分離が可能」とは、重合体溶液の溶媒と非プロトン性極性溶媒とを液液接触させるために混合したとき、両者が目視で2層に分離できることをいう。好ましくは重合体溶液の溶媒への非プロトン性極性溶媒の溶解度、または非プロトン性極性溶媒への重合体溶液の溶媒の溶解度がそれぞれ極めて小さいことであり、より好ましくは両者が相互溶解しない場合である。相互溶解しないことで、非プロトン性極性溶媒層へ抽出された金属触媒成分が液液分離によって効率的に除去することができる。
【0028】
液液分離に使用できる非プロトン性極性溶媒と、重合体溶液を構成する溶媒とは、大気圧下での沸点差が10℃以上あることが好ましい。非プロトン性極性溶媒の沸点が重合体溶液の溶媒の沸点よりも10℃以上高い場合、あるいはその逆の場合であってもよく、好ましくは重合体溶液の溶媒を回収・精製する際のプロセス上の理由で前者の場合である。
【0029】
本発明で使用できる非プロトン性極性溶媒としては、DMSO、DMF、N,N−ジエチルホルムアミド、DMAc、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、NMP、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、イソホロン等が例示される。これらの中で、DMSO、DMF、N,N−ジエチルホルムアミド、DMAc、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、およびNMPが粗重合体溶液を構成する溶媒であるシクロヘキサンなどのプロセス溶媒と容易に液液分離可能な非プロトン性極性溶媒であり、また金属触媒残渣分離能に優れるため好ましい。これらは単独でまたは混合物として用いることができる。
【0030】
重合体溶液を構成する溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒を混合して相互に液液接触させる方法としては、重合体溶液へ非プロトン性極性溶媒を添加してもよく、重合反応容器に直接投入してもよい。
また、非プロトン性極性溶媒は、重合体溶液中に添加して重合体溶液と液液接触させた後、移行した金属成分と共に重合体溶液から分離する工程が必要である。非プロトン性極性溶媒を金属成分と共に重合体溶液から分離する工程としては、デカンテーション、遠心分離などが挙げられる。
【0031】
液液接触させるときの接触温度は0℃以上とすることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。接触温度が低くすぎると金属成分の除去速度が極端に低下し、充分な効果が得られない場合がある。また重合体およびその分子量の選択によって変化するため一概には言えないが、低温においては重合体溶液の粘度が高くなりすぎるため、充分な接触効率が得られない場合もある。接触温度の上限は好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。接触温度が200℃をこえると、重合体の分子鎖切断などの副反応や熱劣化が起こる可能性がある。
【0032】
非プロトン性極性溶媒の使用量は、粗重合体溶液中に含有される金属触媒量によって適宜選択され、含有される金属量1ミリモルに対し、好ましくは0.05グラム以上、より好ましくは0.1グラム以上使用される。
【0033】
本発明方法によって、簡便な操作によって、要求される残留金属/色相(YI)/収率を達成することができる。且つ、設備に負担のかかる可能性があり、樹脂の劣化が懸念される酸を使用せず、また少量の抽出溶媒の使用のみで、重合体中に含有される金属成分を充分に低減することができる。金属触媒残渣を含む粗重合体より金属成分除去後の重合体における、許容される金属成分の残存量は、用途などによって異なるため一概には規定されないが、色相(YI)や収率を犠牲にすることなく許容される量は、金属原子に換算して好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下、最も好ましくは5ppm以下である。
【0034】
本発明の製造方法によって得られる重合体は、色相、透明性、電気特性に優れるため、たとえばITOなどの透明導電膜、酸素および/または水蒸気のバリアー膜、ハードコート、反射防止膜などを必要に応じ付与して、液晶表示素子、有機EL素子、プラズマディスプレイおよび電子ペーパー、ディスプレイ用カラーフィルターの基板、導光板、偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、近赤外線カットフィルム、液晶バックライト、タッチパネル、光導波路、光ファイバー、偏光板、透明導電性フィルム、表面保護フィルム、OHPフィルム、コートフィルム、高反射フィルム、半透過半反射フィルム、NDフィルター、ダイクロイックフィルター、電磁波シールドフィルム、ビームスプリッター、光通信用フィルター、フレネルレンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、F−θレンズ、プリズム、MD、CD、DVDなどの光学記録基板などに用いることができる。また、電子部品の絶縁層材料、接着剤、さらには薬品用パッケージ材料、滅菌容器、シリンジ、パイプ、チューブ、アンプルなどの医療器具、トレイ、キャリアテープ、セパレーションフィルム、絶縁フィルム、プリント基板用材料などにも用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、分子量、光線透過率および共重合体中の構造単位の割合は、下記の方法で測定または評価した。
(1)数平均分子量、重量平均分子量
東ソー社製HLC-8020(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)含有金属成分量
誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS:パーキン・エルマー製 ELAN DRC plus)を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行なった。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
(4)固有粘度[ηinh
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロベンゼン中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃とし、固有粘度を測定した。
(5)重合溶液の黄色度差△YIの評価
黄色度差△YIは、10重量%の樹脂のシクロヘキサン溶液を試験液とし、試験液の黄色度(YI,イエローインデックス)をJIS−K7103によりスガ試験機株式会社製、タッチパネル式SMカラーコンピューター・SM−T45を用いて、ブランクをシクロヘキサンとして測定し、測定した黄色度YIより、シクロヘキサンのみの黄色度YIを差し引いた値を、樹脂溶液の△YIとして求める。なお、測定は3回行ない、その平均値を評価する。
【0036】
合成例1:環状オレフィン重合体の水素添加物の調製
下記式(5)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、DNMと略称する)75重量部、ジシクロペンタジエン(以下、DCPと略称する)24重量部、2−ノルボルネン1重量部、分子量調節剤の1−へキセン9重量部およびシクロヘキサン200重量部を、窒素置換した反応容器に仕込んで110℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム0.005重量部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630:427 重量比)0.005部を加え1時間反応させることにより重合体を得た。
【0037】
【化5】

【0038】
得られた重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにシクロヘキサンを200重量部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3を0.006重量部添加し、90℃まで加熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行ない、水素添加物の共重合体(1a)を得た。
共重合体(1a)は、重量平均分子量(Mw)=7.2×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.3、固有粘度(ηinh)=0.59、ガラス転移温度(Tg)=143℃であった。なお、1H−NMR測定により共重合体(1a)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。また、共重合体(1a)の△YIの値は、2.5であり、タングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量は5.3ppmであった。この共重合体(1a)を金属触媒残渣を含む粗重合体(1)とする。
【0039】
合成例2:環状オレフィン重合体の水素添加物の調製
DNM75重量部、DCP24重量部、2−ノルボルネン1重量部、分子量調節剤の1−へキセン9重量部およびシクロヘキサン200重量部を、窒素置換した反応容器に仕込んで100℃に加熱した。これにトリイソブチルアルミニウム0.005重量部、メタノール0.003重量部を加え、更に、WCl6を0.005重量部加え、1時間反応させることにより重合体を得た。
得られた重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにシクロヘキサンを200重量部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3を0.006重量部添加し、90℃まで加熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行ない、水素添加物の共重合体(2a)を得た。
共重合体(2a)は、重量平均分子量(Mw)=5.2×104、分子量分布(Mw/Mn)=2.6、固有粘度(ηinh)=0.49、ガラス転移温度(Tg)=143℃であった。なお、1H−NMR測定により共重合体(2a)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。また、共重合体(2a)の△YIの値は2.9であり、タングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量は7.3ppmであった。この共重合体(2a)を金属触媒残渣を含む粗重合体(2)とする。
【0040】
合成例3:環状オレフィン重合体の水素添加物の調製
トリシクロペンタジエン71.9重量部、DNM37.5重量部、2−ノルボルネン22.1重量部、分子量調節剤として1−ヘキセン9重量部をシクロヘキサン280重量部に添加し、105℃に加熱攪拌した。別途にトリイソブチルアルミニウム0.005重量部、メタノール0.003重量部を加え、更に、WCl6を0.005重量部加え、1時間反応させることにより重合体を得た。
得られた重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにシクロヘキサンを200重量部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3を0.006重量部添加し、90℃まで加熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行ない、水素添加物の共重合体(3a)を得た。
共重合体(3a)は、重量平均分子量(Mw)=5.0×104、分子量分布(Mw/Mn)=2.8、固有粘度(ηinh)=0.48、ガラス転移温度(Tg)=139℃であった。なお、1H−NMR測定により共重合体(3a)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。また、共重合体(3a)の△YIの値は3.1であり、タングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量は7.8ppmであった。この共重合体(3a)を金属触媒残渣を含む粗重合体(3)とする。
【0041】
合成例4:環状オレフィン重合体の水素添加物の調製
合成例1の水素添加触媒をジナフテン酸ニッケル0.06重量部、トリイソブチルアルミニウム0.12重量部に変えた以外は合成例1と同様の操作を行ない、水素添加物の共重合体(4a)を得た。
共重合体(4a)は重量平均分子量(Mw)=7.0×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.3、固有粘度(ηinh)=0.58、ガラス転移温度(Tg)=143℃であった。なお、1H−NMR測定により共重合体(4a)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。また、共重合体(4a)の△YIの値は、8.5であり、タングステン、アルミニウム、ニッケルの金属含有総量は16.5ppmであった。この共重合体(4a)を金属触媒残渣を含む粗重合体(4)とする。
【0042】
実施例1
合成例1で得た粗重合体(1)の20重量%シクロヘキサン溶液100重量部に対し、DMSOを10重量部加えて、50℃で2時間攪拌した。攪拌後、室温条件下で静置することで、上層に透明な樹脂溶液層が、下層に黄色に変色したDMSO層が観察された。上層を回収し、△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は0.5、金属含有総量は0.05ppmであり、色相、金属量共に粗重合体(1)よりも優れており、これらの値は実使用に問題無い結果であった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は、97重量%であり良好であった。結果を表1に記載する。
【0043】
実施例2
粗重合体(1)を合成例2で得た粗重合体(2)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、脱触検討を実施した。得られた上層を回収し、△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は0.4、金属含有総量は0.08ppmであり、色相、金属量共に粗重合体(2)よりも優れており、これらの値は実使用に問題無い結果であった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は、96重量%であり良好であった。結果を表1に記載する。
【0044】
実施例3
粗重合体(1)を合成例3で得た粗重合体(3)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、脱触検討を実施した。得られた上層を回収し、△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は0.4、金属含有総量は0.07ppmであり、色相、金属量共に粗重合体(3)よりも優れており、これらの値は実使用に問題無い結果であった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は、98重量%であり良好であった。結果を表1に記載する。
【0045】
実施例4〜実施例7
粗重合体(1)を用いて、以下の表1に示す非プロトン性極性溶媒を添加して、実施例1と同様に脱触検討を実施した。結果を表1に記載する。
【0046】
実施例8
粗重合体(1)を合成例2で得た粗重合体(4)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、脱触検討を実施した。得られた上層を回収し、△YIおよびタングステン、アルミニウム、ニッケルの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は0.5、金属含有総量は0.12ppmであり、色相、金属量共に粗重合体(4)よりも優れており、これらの値は実使用に問題無い結果であった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は、97重量%であり良好であった。結果を表1に記載する。
【0047】
比較例1
非プロトン性極性溶媒に代えて、同量の1重量%の塩酸水溶液を加えた以外は実施例1と同様の操作を行なった。得られた樹脂溶液層を回収し、△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は1.5、金属含有総量は3.9ppmであり、色相、金属量共に実施例1に比較して効果が低かった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は92%であり良好であった。結果を表2に記載する。
【0048】
比較例2
合成例1で得た粗重合体(1)の20重量%シクロヘキサン溶液100重量部に対し、乳酸0.37重量部を添加して60℃で30分間攪拌し、次いで、メタノールを250重量部添加して60℃で1時間攪拌した。その後、室温まで冷却して貧溶媒相(メタノール相)と良溶媒相(重合体含有相)とを分離させ、当該良溶媒相を回収した。△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は1.6、金属含有総量は4.2ppmであり、実施例1と比較して効果が低かった。なお、本脱触工程でのポリマー収率は81%であった。結果を表2に記載する。
【0049】
比較例3
比較例2で回収した粗重合体(1)を含有した良溶媒相に、さらに乳酸0.37重量部、メタノールを50重量部添加して、60℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後、貧溶媒相と良溶媒相に分離させた。当該良溶媒相を回収し、再びメタノール添加、60℃で1時間攪拌、室温まで冷却後、良溶媒相を回収した。△YIおよびタングステン、アルミニウム、ルテニウムの金属含有総量を評価した結果、△YIの値は0.5、金属含有総量は0.06ppmであり、実施例1と比較して同等な効果となったが、本脱触工程でのポリマー収率は70%と低収率であった。結果を表2に記載する。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、簡便な工程を追加することによって重合体溶液に含まれる金属成分を効果的に除去し、含有金属成分が充分に低減され、且つ色相が改善された重合体を高収率で製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒残渣を含む粗重合体より該金属触媒残渣を除去して得られる重合体の製造方法であって、
前記粗重合体が溶媒に溶解している粗重合体溶液と、前記溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒と、を液液接触させる工程を含むことを特徴とする重合体の製造方法。
【請求項2】
前記非プロトン性極性溶媒と前記溶媒との大気圧下での沸点差が10℃以上あることを特徴とする請求項1記載の重合体の製造方法。
【請求項3】
前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、およびN−メチル−2−ピロリドンから選ばれた少なくとも1つの溶媒であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の重合体の製造方法。
【請求項4】
前記金属触媒残渣となる金属触媒が開環重合触媒または重合体の水素化触媒であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の重合体の製造方法。
【請求項5】
前記金属触媒残渣となる金属触媒が周期表第4〜13族元素の金属を含む触媒であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項6】
前記周期表第4〜13族元素の金属がタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムから選ばれた少なくとも1つの金属であることを特徴とする請求項5記載の重合体の製造方法。
【請求項7】
前記重合体が環状オレフィン重合体を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
金属触媒残渣を含む粗重合体を溶媒に溶解させた粗重合体溶液と、前記溶媒と液液分離が可能な非プロトン性極性溶媒と、を液液接触させることを特徴とする重合体溶液中の金属触媒残渣除去方法。

【公開番号】特開2012−92258(P2012−92258A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242010(P2010−242010)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】