説明

重合体マレイミド類を調製する方法

マレイミドを有する重合体試薬を調製する方法が提供される。また、前記重合体試薬を備える組成、および説明された方法によって得られる重合体試薬によって調製される複合体も提供される。本発明は特に、a)置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう十分な非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップと、b)前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすことによって、結果としてマレイミド終端された水溶性重合体を生じるステップと、を含む、合成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マレイミド官能基を有する水溶性の非ペプチド性重合体を調製する方法に関し、特にマレイミド終端されたポリ(エチレングリコール)重合体、および同じものを含む組成および化学式に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
マレイミド類は、化学合成、および生物学的および薬理学的応用において広範囲におよぶ使用を見出す多用途誘導体である。マイケル受容体のように、マレイミド類はスルフヒドリル基とただちに反応して安定チオエーテル結合を形成する。この反応は、スルフヒドリル基およびアミン基両方が存在する場合に、タンパク質およびその同等物とともに広範囲にわたって使用される。およそ中性のpHで、マレイミド類は高選択性であり、スルフヒドリル基がアミン基よりも約1,000倍よく反応する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。8以上のより高いpH値で、アミン基とのマレイミド類の反応は有意に競合し始める(非特許文献4)。
【0003】
マイケル受容体として最もよく知られている一方で、マレイミド類はまた、ジエノフィル(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)およびダイポーラロフィル(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)としてもその反応性に役立つ。
【0004】
マレイミド基は、タンパク質およびその他の分子の重合体への共有結合を促進するために使用することができる。例えば、「PEG」として短縮される親水性重合体「ポリ(エチレングリコール)」は、生物活性分子を共役させてそれらを水媒体内で水溶性にするためにしばしば使用される(Harrisら、「ポリ(エチレングリコール)化学反応および生物学的応用」、ACSシンポジウムシリーズ、ACS、ワシントンDC、1997年)。PEG−マレイミドは、生物活性分子上でのチオールまたはアミノ基との反応に適している反応性重合体の例である。
【0005】
PEGマレイミド類を調製する方法の多くは、マレイミド基を備える小リンカー分子に活性化PEGを結合するステップを伴い、その多くは市販されている。いくつかの既知のPEGマレイミド類およびその生成のための方法に関連する様々な欠点がある。例えば、PEGとマレイミド基との間にリンカー基を持たないいわゆる「無リンカー」PEGマレイミド類は、2つの方法のうち1つを使用して直接PEGアミンからしばしば調製される。特許文献1を参照のこと。しかしこれらの方法は、開放環マレアミド酸含有誘導体が下記に説明するように完成品内に存在するため、通常結果として比較的不純な生成物となる。
【0006】
特許文献1で開示されている第一の方法では、水溶性の非ペプチド性重合体骨格は、無水マレイン酸と反応して開放環アミドカルボン酸中間体(マレアミド酸中間体)を形成する。そして中間体の環は、無水酢酸および酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムなどの酢酸塩の存在下で、中間体を約50℃から約140℃まで約0.2から5時間加熱することによって、第二ステップにおいて閉じられる。この2ステップ過程は、下記に定められる反応スキームIで要約される。
【0007】
【化4】

この方法によって作られた粗マレイミド終端された水溶性重合体含有組成は、相当量の開放環マレアミド酸中間体を含む場合がある。開放環マレアミド酸の出現の主な原因は、特に酸性種が生成される、または無水酢酸内の混入物質であれば、加熱ステップにある場合がある。このような条件下では、C=C結合を異性化することが可能であり、よって不可能ではないにしても閉環することが困難になる。結果として、イオン交換クロマトグラフィーなどの不純物を取り除くことができるなんらかの方法によって、重合体生成物を精製することが望ましい。しかし、マレイミド環系は塩基性または求核性部位を有するクロマトグラフィーカラムに耐容性がないため、精製がより困難になる。この合成経路の第二の問題は、PEGアミンの使用に由来する。
【0008】
同様に、Sakanoueらによる米国特許公開広報第2003/0065134A1号は、そこで生成されるPEG−マレイミド類が最終PEG酸素とマレイミド窒素との間にエチレン基よりもむしろプロピレン基を備えることを除いては、関連した方法を説明している。しかし、Sakanoueらに説明されている方法は、上記のような問題をかかえている。さらに参考文献は、PEGアミンが水素およびニッケル触媒を使用したニトリル基の還元によって製造され、それはアミン生成物とイミン中間体との間の反応により追加不純物の導入につながる可能性があることを教示している。
【0009】
特許文献1(「水性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路」)で説明されている第二の合成経路において、N−アルコキシカルボニルマレイミドは重合体アミンと反応し、マレイミド終端された水溶性重合体生成物を形成する。開環および閉環反応は上記のものと同様に発生する。前記反応は、約8.5のpHの水性重炭酸ナトリウム緩衝剤内でゆっくりと上昇する温度勾配で行われる。しかし、マレイミド基はそのような条件では安定せず、マレアミド酸への加水分解を受ける。したがって、マレイミド環の形成およびマレイミド環加水分解という2つの併発反応が合成中に発生する。
【0010】
問題に対処するための1つの方法は、最大量のマレイミド終端された水溶性重合体生成物が形成される時期に反応を止めることであろう。この方法が理論上適切と思われる一方で、場合で、反応温度が変化し、そこで、連続製造バッチ中に温度勾配を再生可能な方法で達成することが困難となり得るため、それは大量生産においてはほとんど不可能な作業である。例えば、特定のマレイミド終端された水溶性重合体の連続生産バッチは、65から80%のマレイミド純度および約20から35%のマレアミド酸含有量を有することが見出された。再度、イオン交換カラムの官能基に対するマレイミド基の感受性のため、クロマトグラフィーは実行可能な選択肢ではない。さらに、たとえ再生可能な方法で温度勾配を制御して適切な時期に反応を停止することが可能であっても、前記方法は緊密なモニタリングおよび付加的機器(例えば熱電温度計、熱カバーなど)を必要とすることによって、前記方法に複雑性を加える。
【0011】
マレイミド終端された水溶性重合体を生成するためのその他の方法は、特許文献2に説明されている。1つの方法(下記の「反応スキームII」として表示される)において、離脱基(「LG」)およびイミド塩(三環アミドのカリウム塩として示される)を備える重合体は、求核置換反応を介して反応して重合体中間体を形成し、それから逆ディールス・アルダー反応が続いてマレイミド機能性重合体およびフランを提供する。
【0012】
【化5】

上記に示される反応は比較的簡素な機能性重合体、およびいわゆる「無リンカー」マレイミド(マレイミド基が重合体に直接付属していることを意味する)を形成するよう反応するディールス・アルダー付加試薬を活用するが、前記反応は市販されていない試薬を必要とする。
【0013】
上述の方法にもかかわらず、例えば、特定の必要性に最も適している方法が使用できるように、マレイミド終端された水溶性重合体を調製するためのさらに他の方法を提供する必要性が残る。ここで説明される新規の方法は、とりわけ、高収率であって、かなりの量の重合体不純物、特にイオン交換クロマトグラフィーなどの従来の精製法を使用して容易に取り除くことができないかなりの量の重合体不純物が存在しないマレイミド終端された重合体を提供すると考えられる。
【特許文献1】米国特許第6,602,498号明細書
【特許文献2】国際公開第05/056636号パンフレット
【非特許文献1】Smythら、Biochem.J.、1964年、91、589
【非特許文献2】Gorinら、Arch.Biochem.Biophys.1966年、115、593
【非特許文献3】Partisら、J.Protein Chem、1983年、2、263−277
【非特許文献4】BrewerおよびRiehm、Anal.Biochem.1967年、18、248
【非特許文献5】Baldwinら、Tetrahedron Lett.、32、5877、1991年
【非特許文献6】PhilpおよびRobertson、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、1998年,879
【非特許文献7】Bravoら、複素環、2000年、53、81
【非特許文献8】Griggら、J.Chem.Soc.、Perkin Trans.1、1988年、2693
【非特許文献9】Konopikovaら、Collect.Czech.Chem.Commun.、1991年、57、1521
【非特許文献10】PhilpおよびBooth、Tetrahedron Lett.、1998年、39、6987
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の開示)
1つ以上の実施例において、置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を調製する方法であって、
a)置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう実質的非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップと、
a’)任意で、前記置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を分離するステップと、を含む方法が提供される。
【0015】
1つ以上の実施例において、マレイミド終端された水溶性重合体を調製する方法であって、
a)置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう実質的非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップと、
b)実質的非水条件下で前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすことによって、結果としてマレイミド終端された水溶性重合体を生じるステップと、を含む方法が提供される。
【0016】
本発明の1つ以上の実施例において、マレイミド終端された水溶性重合体含有組成であって、
a)マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう実質的非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップと、
b)実質的非水条件下で前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすことによって、結果としてマレイミド終端された水溶性重合体含有組成を生じるステップと、を含む方法に起因する組成が提供される。
【0017】
本発明の1つ以上の実施例において、複合体含有組成を調製する方法であって、チオール含有生物活性物質をここで提供されるようなマレイミド終端された水溶性重合体と組み合わせることによって、結果として複合体含有組成を生じるステップ含む方法が提供される。
【0018】
本発明の1つ以上の実施例において、複合体含有組成であって、チオール含有生物活性物質をここで提供されるようなマレイミド終端された水溶性重合体と組み合わせる方法に起因する組成が提供される。
【0019】
本発明の1つ以上の実施例において、化合物が提供され、前記化合物は単離形態において、次のような構造を有する。
【0020】
【化6】

ここで
ポリは水溶性重合体であり、
(b)は0または1であり、
X1は存在する場合、スペーサー部分であり、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明の一つ以上の実施形態を詳細に説明する前に、特定の重合体、試薬、および同様のものは変化してもよいことから、本発明はそれらに限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0022】
本明細書と特許請求の範囲で用いられるように、単数形の「一つの」および「前記」には、文脈がそうでないと明確に指示していない限りは、複数の指示対象が含まれることに留意しなければならない。故に、例えば「一つの重合体」への言及には、単一の重合体だけでなく、同の二つ以上または異なる重合体が含まれ、「一つの乾燥剤」は単一の乾燥剤のほかに、同の二つ以上または異なる乾燥剤、および同様のものを意味する。
【0023】
本発明を説明し請求の範囲に記載する上で、下記に示される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0024】
本書で使用される、「PEG」、「ポリエチレングリコール」、ならびに「ポリ(エチレングリコール)」は互いに交換して使用できる。典型的には、本発明に従って使用されるPEGには、以下の構造が含まれる:(n)が2〜4000の場合の「−(OCHCH−」。本書で使用されるとき、PEGは、末端酸素が置換されているかどうかに応じて、「−CHCH−O(CHCHO)n−CHCH−」および「−(OCHCHO−」をも含む。明細書と特許請求の範囲を通して、用語「PEG」は、様々な末端基または「末端のキャッピング」基を持つ構造を含むことを忘れてはならない。用語「PEG」は、−OCHCH−または−CHCHO−繰り返しサブユニットの大部分、すなわち50%を越えるそれらを含む重合体をも意味する。特定の形態に関しては、PEGは、下記にさらに詳細を説明するように、様々な分子量のほかに、例えば「分岐」、「直鎖」、「フォーク型」、「多官能性」などの、構造または配置をいくらでもとることができる。
【0025】
用語「エンドキャップされた」および「末端がキャッピングされた」は、エンドキャップしている部分を持つ重合体の末端または終末部に言及するために、互いに交換して本書で使用できる。典型的には、必ずしもそうとは限らないが、エンドキャップしている部分は、ヒドロキシ基またはC1−20アルコキシ基を含み、より好ましくはC1−10アルコキシを含み、さらにより好ましくはC1−5アルコキシ基を含む。故に、エンドキャップしている部分の例には、アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、およびベンジルオキシ)のほかに、アリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロなどが含まれる。エンドキャップしている部分は、重合体中の末端モノマーの一つ以上の原子[例えば、CH(OCHCH−中のエンドキャップしている部分である「メトキシ」]を含んでもよいことを忘れてはならない。加えて、前述のそれぞれの飽和型、不飽和型、置換型、および非置換型が想定される。さらに、エンドキャップしている基はシランであってもよい。エンドキャップしている基はまた、検出可能な標識を有利に含んでもよい。重合体が、検出可能な標識を含むエンドキャップしている基を持つ場合、重合体および/またはその重合体が結合する部分(例えば活性物質)の量または位置を、適切な検知器を用いて決定することができる。そのような標識には、蛍光物質、化学発光物質、酵素標識に用いられる構成部分、比色分析部分(例えば色素)、金属イオン、放射性部分などが、無制限に含まれる。適切な検知器には、光度計、フィルム、分光計、および同様のものが含まれる。エンドキャップしている基はまた、リン脂質を有利に含むことができる。重合体が、リン脂質を含むエンドキャップしている基を持つ場合、重合体と結果として得られる複合体に独自の特性が与えられる。典型的なリン脂質には、ホスファチジルコリンと呼ばれるリン脂質の種類から選ばれるものが無制限に含まれる。具体的なリン脂質には、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステロイルホスファチジルコリン、ベヘノイルホスファチジルコリン、アラキドイルホスファチジルコリン、およびレシチンからなるグループから選ばれるものが無制限に含まれる。
【0026】
重合体に関して本書で説明される「非自然発生の」は、全体として天然に認められない重合体を意味する。しかし、非自然発生の重合体は、全体的な重合体の構造が天然に認められない限りは、自然発生の一つ以上のモノマーまたはモノマーの部分を含んでもよい。
【0027】
「水溶性高分子」で使われる用語「水溶性」は、室温で水に溶ける高分子である。典型的には、水溶性高分子は、ろ過後に同じ溶液によって伝えられる光の少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約95%を伝える。重量ベースでは、水溶性高分子は、好ましくは少なくとも約35(重量)%が水に溶け、より好ましくは少なくとも約50(重量)%が水に溶け、さらにより好ましくは約70(重量)%が水に溶け、さらにより好ましくは約85(重量)%が水に溶ける。しかし、水溶性高分子が約95(重量)%水に溶ける、または水に完全に溶けることが最も好ましい。
【0028】
水溶性高分子、例えばPEGに関連する分子量を、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかとして表すことができる。他に指示がない限り、本書の分子量に関する全ての言及は重量平均分子量を意味する。数平均と重量平均の両方の分子量決定を、ゲル浸透クロマトグラフィーまたはその他の液体クロマトグラフィー技術を用いて測定できる。分子量の値を測定するためのその他の方法、例えば数平均分子量を決定するための末端基分析または束一的性質(例えば凝固点降下、沸点上昇、または浸透圧)の測定の使用、または重量平均分子量を決定するための、光散乱法、超遠心分離法、または粘度測定法の使用などもまた使用できる。本発明の重合体は典型的には多分散性(すなわち、重合体の数平均分子量と重量平均分子量は等しくない)であり、好ましくは約1.2より小さく、より好ましくは約1.15より小さく、さらにより好ましくは約1.10より小さく、その上さらにより好ましくは約1.05より小さく、最も好ましくは約1.03より小さい低い多分散性の値を持つ。本書では、重量平均分子量または数平均分子量を持つ単一の水溶性高分子に対して折に触れて言及し、そのような言及は、単一の水溶性高分子が、述べられた分子量を持つ水溶性高分子の組成から得られたことを意味すると理解されるであろう。
【0029】
特定の官能基とともに使用される場合の用語「活性の」または「活性化された」は、別の分子上で求電子試薬または求核試薬と容易に反応する反応性官能基を意味する。これは、反応するために強力な触媒または非常に実行不可能な反応条件を必要とする基(すなわち、「非反応性の」または「不活性」な基)と対照的である。
【0030】
本書では、用語「官能基」またはその同義語は、その保護された形態とともに保護されていない形態を含むように意図されている。
【0031】
用語「スペーサー部分」、「結合」、または「リンカー」は、相互連結する部分、例えば重合体の末端と活性物質、または活性物質の求電子試薬または求核試薬を結合するために使用される、原子または原子の一群を意味するように本書で使用される。スペーサー部分は加水分解に安定であってもよいか、または生理学的に加水分解できる連結または、酵素的に分解可能な連結を含んでもよい。
【0032】
「アルキル」は炭化水素鎖を意味し、長さが典型的には約1〜15個の原子の範囲にある。そのような炭化水素鎖は、好ましくは、しかし必ずしもそうではないが飽和しており、典型的には直鎖が好ましいが、分岐鎖または直鎖であってもよい。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、3−メチルペンチルなどが含まれる。本書では、「アルキル」には、シクロアルキルだけでなく、シクロアルキレン含有アルキルも含まれる。
【0033】
「低級アルキル」は1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、直鎖または分岐鎖でもよい。低級アルキルの限定されない例には、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルが含まれる。
【0034】
「シクロアルキル」は、架橋した、縮合した、またはスピロ環の化合物を含む飽和または不飽和の環状炭素水素鎖を意味し、好ましくは3〜約12個の炭素原子、より好ましくは3〜約8個の炭素原子で構成される。「シクロアルキレン」は、環系中のいずれか二つの炭素で鎖が結合することによって、アルキル鎖に挿入されるシクロアルキル基を意味する。
【0035】
「アルコキシ」は、一つの−O−R基を意味し、Rはアルキルまたは置換アルキル、好ましくはC1−6アルキル(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシなど)である。
【0036】
例えば「置換アルキル」に使われる用語「置換」は、一つ以上の非干渉の置換基、例えば、これに限定されない、アルキルと、シクロプロピル、シクロブチルなどのようなC3−8シクロアルキルと、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードなどのハロと、シアノと、アルコキシと、低級フェニルと、置換フェニルなどと置換された一つの部分(例えばアルキル基)を意味する。「置換アリール」は、一つ以上の非干渉の置換基を持つアリールである。フェニル環上での置換に関しては、置換基はどの位置(すなわち、オルト、メタ、パラ)にあってもよい。
【0037】
「非干渉の置換基」は、分子中に存在するとき、典型的にはその分子内に含まれる他の官能基と反応しない基である。
【0038】
「アリール」は、一つ以上の芳香環を意味し、それぞれ5または6個の中心炭素原子を持つ。アリールには、ナフチル中に見られるように縮合されてもよい、またはビフェニル中に見られるように縮合していなくてもよい、複数のアリール環が含まれる。アリール環はまた、一つ以上の環状炭素水素、ヘテロアリール、または複素環と縮合していてもしていなくてもよい。本書では、「アリール」にはヘテロアリールが含まれる。
【0039】
ヘテロアリール」は、1〜4個のヘテロ原子、好ましくは硫黄、酸素、または窒素、あるいはそれらの組み合わせを含む一つのアリール基である。ヘテロアリール環はまた、一つ以上の環状炭素水素、複素環、アリール、またはヘテロアリール環と縮合してもよい。
【0040】
「複素環」または「複素環の」は、不飽和または芳香族性を持つまたは持たず、炭素でない少なくとも一つの環の原子を持つ、5〜12個の原子、好ましくは5〜7個の原子の一つ以上の環を意味する。好ましいヘテロ原子には、硫黄、酸素、窒素が含まれる。
「置換ヘテロアリール」は、一つ以上の非干渉基を置換基として持つヘテロアリールである。
【0041】
「置換複素環」は、非干渉置換基から形成される一つ以上の側鎖を持つ複素環である。
【0042】
本書で用いる「有機基」は、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールを含むものとする。
【0043】
「求電子試薬」および「求電子基」は、イオン性であってもよく、一つの求電子中心、すなわち求核試薬と反応できる、電子を求める中心を持つ一つのイオンまたは原子、または原子の一群を意味する。
【0044】
「求核試薬」および「求核基」は、イオン性であってもよく、一つの求核中心、すなわち求電子中心を求めるか、あるいは求電子試薬と反応できる中心を持つ一つのイオンまたは原子、または原子の一群を意味する。
【0045】
「生理学的に切断できる」または「加水分解できる」結合は、生理学的条件下で、水と反応する(すなわち、加水分解される)結合である。好ましいものは、pH8、25℃で、約30分より短い加水分解半減期を持つ結合である。水の中で結合が加水分解する傾向は、二つの与えられた原子を結合する結合の一般型だけでなく、これらの二つの与えられた原子に結合した置換基にもよる。加水分解に不安定または弱い適切な結合には、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、およびオリゴヌクレオチドが含まれるがこれに限定されない。
【0046】
「酵素的に分解可能な結合」は、一つ以上の酵素によって分解されやすい結合を意味する。
【0047】
「加水分解に安定な」結合(linkage)または結合(bond)は、水の中で十分に安定である化学結合、典型的には共有結合、すなわち、生理学的条件下で長期間にわたって、感知されうる程度まで加水分解を起こさない化学結合を意味する。加水分解に安定な結合の例には、これに限定されないが、炭素−炭素結合(例えば脂肪族鎖中の)、エーテル、アミド、ウレタンなどが含まれる。一般的には、加水分解に安定な結合は、生理学的条件下で一日につき約1〜2%より少ない加水分解率を示すものである。代表的な化学結合の加水分解率は、大部分の標準的な化学テキストに見られる。
【0048】
「薬剤として許容される賦形剤」は、組成物中に任意に含まれてもよく、投与に際して患者に重大な毒物学的副作用を引き起こさない賦形剤を意味する。
【0049】
「治療上有効な量」は、所望のレベルの複合体(または対応する複合していない活性物質)を、投与後に血流中または標的組織中に提供するのに必要な、その複合体の量を意味するように本書で用いられる。正確な量は、多くの因子、例えば特定の活性物質、治療上の組成物の成分と生理学的特性、対象とする患者集団、投与方法、個々の患者の検討材料などに依存し、当業者が容易に決定できる。
【0050】
「多官能」は、それに含まれる三つ以上の官能基を持つ重合体を意味し、官能基は同じであっても異なってもよい。多官能性重合体試薬は、典型的に多くの官能基を以下の一つ以上の範囲で含む:約3〜100の官能基、3〜50の官能基、3〜25の官能基、3〜15の官能基、3〜10の官能基。官能基の典型的な数には、高分子骨格内に3、4、5、6、7、8、9、10の官能基が含まれる。
【0051】
「任意の」または「任意に」は、続いて説明される状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その説明がその状況が起こる例とそれが起こらない例を含むようにする。
【0052】
「十分に」は(他の場所で特定の文脈に関して明確に定義されていない、または文脈が明確にそうでないと指示していない限りは)、ほぼ、あるいは完全にを意味し、例えば、以下の一つ以上を満たすことを意味する:条件の50%を上回る、および条件の51%以上、75%以上、80%以上、90%以上、95%以上。
【0053】
語句「十分に非水の条件」は、10,000ppm未満の水(1%未満)を持ち、より好ましくは1,000ppm未満の水(0.1%未満)を持ち、さらにより好ましくは100ppm未満の水(0.01%未満)を持ち、さらにより好ましくは10ppm未満の水(0.001%未満)を持つ、化合物または反応媒体を意味する。好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、十分に非水な条件には、不活性雰囲気が含まれる。
【0054】
文脈がそうでないと明確に示さない限りは、用語「約」が数値の前に置かれる場合、その数値は述べられる数値の±10%を意味するものと理解される。
【0055】
置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法
本発明の一つ以上の実施形態では、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法が提供される。方法は、
a)置換マレアミド酸終端水溶性高分子を作るために、十分に非水な条件下で、アミン終端の水溶性高分子をマレイミド試薬と混合するステップと、
a’)置換マレアミド酸終端水溶性高分子を、任意に分離するステップとを含む。
【0056】
混合する手順は、出発物質として一つのアミン終端の水溶性高分子を必要とする。本書では、「アミン終端の水溶性高分子」は、そのアミン基が実際にその水溶性高分子の末端に位置するかどうかにかかわらず、少なくとも一つのアミン基(「−NH」)を持ついずれかの水溶性高分子である。典型的には、必ずしもというわけではないが、アミン終端の水溶性高分子はただ一つのアミン基を持つが、アミン終端の水溶性高分子は一つ以上のアミン基を持つことができる。故に、アミン終端の水溶性高分子は、(例えば)一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、および十のうちのどれか一つの総数のアミン基を持つことができる。
【0057】
典型的なアミン終端の水溶性高分子は以下の構造を含む:
ポリ−(X)c−NH
(化学式II)
ここで、
ポリは水溶性高分子(好ましくは直鎖または分岐鎖、また好ましくはCHO−(CHCHO)−CHCH−であり、ポリが直鎖のとき(n)は2〜4000である)であって、
(c)は0または1(好ましくは0)であって、
は、存在する場合はスペーサー部分である。
【0058】
混合手順はまた、マレイミド試薬を必要とする。マレイミド試薬は、アミン終端の水溶性高分子との混合において、以下のうちの一つの形成をもたらす試薬である:マレイミド終端水溶性高分子、または置換マレアミド酸終端水溶性高分子。
【0059】
典型的なマレイミド試薬は以下の構造を含む:
【0060】
【化7】

ここで:
はOまたはS(好ましくはO)であり、
はOまたはS(好ましくはO)であり、
(a)は1〜20の整数(好ましくは1または2)であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基(好ましくはHであり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基(好ましくはH)であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基(好ましくはH)であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基(好ましくはH)である。
【0061】
好適なマレイミド試薬は、特にアルコキシが低級アルコキシであるとき、N−アルコキシカルボニルマレイミドである。好適なN−アルコキシカルボニルマレイミドであるN−メトキシカルボニルマレイミドを下記に示す:
【0062】
【化8】

混合手順は、アミン終端の水溶性高分子をマレイミド試薬と接触させるステップを含み、当業者に既知の方法で実行することができる。例えば、アミン終端の水溶性高分子を含む化合物と、マレイミド試薬を含む化合物を反応容器中で混合することができる。しかし、混合手順は水の導入を最小限にするように行われる。
【0063】
混合手順に続いて、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法は、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を分離する手順を任意で含む。
【0064】
置換マレアミド酸終端水溶性高分子を分離することを(そして置換マレアミド酸終端水溶性高分子を分離する任意の手順を実施することを)目的とする場合、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を分離するために、当技術分野で既知の手法を用いることができ、本発明はこの点において限定されない。例えば、クロマトグラフィー(例えば、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLCクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなど)、電気泳動法、沈殿法(例えば、再結晶法を含む)、抽出法からなるグループから選択される分離手法を、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を分離するために使用できる。好適な分離手法は、当技術分野に既知の方法(例えば、沈殿産物をもたらすために、過剰のイソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、MTBE、ヘプタン、THF、ヘキサンなどを加えるステップ)を用いて実施できる沈殿法である。沈殿法は乾燥置換マレアミド酸−終端水溶性高分子をもたらす。乾燥置換マレアミド酸−終端水溶性高分子をもたらすためにその他の手法を用いることもできる。
【0065】
置換マレアミド酸終端水溶性高分子は様々な形態をとることができる。好適な形態は、以下の構造を含む置換マレアミド酸終端水溶性高分子である:
【0066】
【化9】

ここで:
ポリは水溶性高分子であり、
(b)は0または1であり、
は、存在するとき、スペーサー部分であり、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1〜20の整数であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基であり、
は、各例において、独立してHまたは一つの有機基である。
【0067】
置換マレアミド酸終端水溶性高分子が単離された形態、つまり、化合物中の全ての重合体の種類の少なくとも約70%(より好ましくは少なくとも80%、また最も好ましくは少なくとも90%)が、置換マレアミド酸終端水溶性高分子の形態である(そしてアミン終端水溶性形態またはマレイミド終端水溶性高分子の形態でない)、化合物でもたらされるのが好ましい。
【0068】
単離された置換マレアミド酸終端水溶性高分子を用いる前に、マレアミド酸終端水溶性高分子を非水系中に再び発生させるために、単離された(そして典型的には乾燥した)置換マレアミド酸終端水溶性高分子を再溶解させる追加手順を行うのが典型的である。
【0069】
マレイミド終端水溶性高分子を調製するために用いられる方法のステップは、典型的には有機溶媒中で行われる。どのような有機溶媒を用いてもよく、本発明はこの点において限定されないが、典型的な有機溶媒には、ハロゲン化脂肪族炭化水素、アルコール、芳香族炭化水素、アルコール、ハロゲン化芳香族炭化水素、アミド(DMFを含む)、ニトリル(アセトニトリルを含む)、ケトン(アセトンを含む)、酢酸塩(酢酸エチルを含む)、エーテル、環状エーテル、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される溶媒が含まれる。好適な有機溶媒の例には、塩化メチレン(すなわちジクロロメタン)、クロロホルム、オクタノール、トルエン、メチルt−ブチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、酢酸エチル、炭酸ジエチル、アセトン、アセトニトリル、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO、ジメチルアセトアミド、N−シクロヘキシルピロリジノン、シクロヘキサン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選ばれるものが含まれる。
【0070】
マレイミド終端水溶性高分子の形成において有用である、中間体をもたらすことから(本書で後述する)、とりわけ置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法は有用である。方法を実施することによって、アミン終端水溶性高分子から、より多く再現性のある収量の置換マレアミド酸終端水溶性高分子ををもたらし、これにより、より純粋なマレイミド終端高分子化合物と、それから形成される対応する共役化合物をもたらすことができる、より純粋な中間体をもたらすことが可能である。さらに、方法は、化合物中のマレアミド酸に基づく不純物がより少ない化合物を提供する。
【0071】
マレイミド終端水溶性高分子を調製するための方法
本発明の一つ以上の実施形態では、マレイミド終端水溶性高分子を調製するための方法が提供され、この方法は、
a)置換マレアミド酸終端水溶性高分子を形成するために、十分に非水な条件下で、アミン終端水溶性高分子をマレイミド試薬と混合するステップと、
b)十分に非水な条件下で、マレアミド酸終端水溶性高分子を脱離条件にさらして、これによりマレイミド終端水溶性高分子をもたらすステップとを含む。
【0072】
置換マレアミド酸終端水溶性高分子を形成するために、十分に非水な条件下で、アミン終端水溶性高分子をマレイミド試薬と混合する手順を、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法に関して上記で説明したように実施できる。
【0073】
ひとたび混合手順が実施された後は、マレイミド終端水溶性高分子を調製するためのこの方法はまた、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を単離して再溶解する任意のステップを含む。これらの任意のステップのそれぞれ(任意の単離手順と任意の再溶解手順)を、置換マレアミド酸終端水溶性高分子を調製するための方法に関して上記で説明したように実施できる。
【0074】
マレイミド終端水溶性高分子を調製するためのこの方法のステップは、マレアミド酸終端水溶性高分子を熱するステップを含む、マレアミド酸終端水溶性高分子を脱離条件にさらす手順を含む。当技術分野で既知のどのような除去条件を用いてもよく、本発明はこの点において限定されない。例えば、適切な脱離条件は、少なくとも約35℃、より好ましくは 少なくとも約40℃より高い温度で、酸終端水溶性高分子を還流するステップを含む。
【0075】
脱離条件への曝露はまた、例えばマレアミド酸終端水溶性高分子を乾燥剤(例えばNaHCO、NaCO、CaCl、CaSO、MgSO、KOH、NaSO、KCO、KHCO 、およびこれらの組み合わせを添加する)、分子篩(例えば、ケイ酸アルミニウム)、共沸蒸留、および上記の組み合わせに曝露することによって、反応媒体から水を除去するステップを含む。
【0076】
方法の反応速度を高めるために触媒を用いることもできる。この点では、触媒、例えば非求核性アミン触媒または塩基性触媒の存在下で、マレイミド終端水溶性高分子を調製するためのこの方法を実施するのが好ましい。非求核性アミン触媒に関しては、立体障害の非求核性アミン触媒が好ましい。非求核性アミン触媒の例には、DMAP(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン)、DBU(1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン)、DABCO(1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、n−メチルモルホリンからなるグループから選択されるものが含まれる。立体障害の非求核性アミン触媒の例にはDMAP(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン)、DBU(1,8−ジアゾビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン)、DABCO(1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジイソプロピルエチルアミンが含まれる。塩基性触媒の例には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムが含まれる。
【0077】
マレイミド終端水溶性高分子を調製するために用いられる方法のステップは、典型的には有機溶媒中で実施される。どのような有機溶媒を用いてもよく、本発明はこの点において限定されないが、典型的な有機溶媒には、ハロゲン化脂肪族炭化水素、アルコール、芳香族炭化水素、アルコール、ハロゲン化芳香族炭化水素、アミド(DMFを含む)、ニトリル(アセトニトリルを含む)、ケトン(アセトンを含む)、酢酸塩(酢酸エチルを含む)、エーテル、環状エーテル、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される溶媒が含まれる。好適な有機溶媒の例には、塩化メチレン(すなわちジクロロメタン)、クロロホルム、オクタノール、トルエン、メチル t−ブチルエーテル、THF、酢酸エチル、炭酸ジエチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO、ジメチルアセトアミド、N−シクロヘキシルピロリジノン、シクロヘキサン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選ばれるものが含まれる。
【0078】
マレイミド終端水溶性高分子は様々な構造を持つことができ、それから生成される置換マレアミド酸終端水溶性高分子の構造に依存する。本方法に従って調製される、典型的なマレイミド終端水溶性高分子は以下の構造である:
【0079】
【化10】

ここでポリ、X、および(c)のそれぞれは化学式IIに示されるように定められ、RとRのそれぞれは化学式IIIに示されるように定められる。
【0080】
特に好適なマレイミド終端水溶性高分子は以下の構造を含む:
【0081】
【化11】

ここで、(n)は2〜約4000の整数である。
【0082】
マレイミド終端水溶性高分子含有化合物
本発明の一つ以上の実施形態では、マレイミド終端水溶性高分子含有化合物が提供され、この化合物は、
a)マレアミド酸終端水溶性高分子を形成するために、十分に非水な条件下で、アミン終端水溶性高分子をマレイミド試薬と混合するステップと、
b)十分に非水な条件下で、マレアミド酸終端水溶性高分子を脱離条件にさらして、これによりマレイミド終端水溶性高分子含有化合物をもたらすステップとを含む方法からもたらされる。
【0083】
故に、本発明の範囲に含まれるのは、提供される方法に従って形成される、マレイミド終端水溶性高分子の化合物である。方法によって生じる化合物は、これまでに知られる方法よりも高い純度を持つと考えられる。具体的には、マレイミド終端水溶性高分子含有化合物は、比較的低い割合のマレアミド酸終端水溶性高分子を含有する(例えば、典型的には4%より少なく、2%より少ないことが多い)。加えて、マレイミド終端水溶性高分子含有化合物は、十分にフランを含んでおらず、好ましくは全くフランを含まない。
【0084】
本発明の別の実施例では、マレイミド終端水溶性高分子含有化合物が提供され、そのような化合物は、重合体の種類を含み、そこで、化合物中の重合体の種類の少なくとも70%がマレイミド終端、水溶性高分子重合体の種類を含み、さらに、化合物は開放環エステル重合体の種類を含む。開放環エステル重合体の種類は、以下の構造を持ち、
【0085】
【化12】

ここで、ポリ、X、(a)、(b)、R、R、R、R、Y、Yのそれぞれは、化学式Iに関して定められたものの通りである。この「開放環エステル」は、マレイミド終端水溶性高分子を調製するための、水性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路に関連して認められることはない。
【0086】
複合体含有化合物を調製するための方法
本発明の一つ以上の実施形態では、複合体含有化合物を調製する方法が提供され、この方法は、チオール含有生理活性物質(例えばシステイン含有タンパク質またはポリペプチド)をマレイミド終端水溶性高分子化合物と本書に示すように混合し(反応容器中で)、これにより複合体含有化合物をもたらすステップを含む。マレイミド終端水溶性高分子をチオール含有生理活性物質混合するための方法は述べたが、典型的な方法は、マレイミド終端水溶性高分子を脱イオン水に溶解して10%試薬溶液を作るステップと、チオール含有生理活性物質と混合するステップと(チオール含有生理活性物質に対して、5倍から20倍のモル濃度の過剰な重合体で)、よく攪拌するステップとを含む。室温で約1時間反応させた後、十分な反応時間を確保するために、反応バイアルを約12時間冷却し攪拌してもよい。反応のpH約7で行ってよい。
【0087】
故に、本発明の範囲に含まれるのは、本発明の発明されるマレイミド終端水溶性高分子化合物を用いて複合体含有化合物を調製するための方法である。チオール含有活性物質は、タンパク質内のジスルフィド結合に関与していない、システイン残基を含有するタンパク質であってもよい。
【0088】
複合体含有化合物
本発明の一つ以上の実施形態では、複合体含有化合物が提供され、この化合物は、本書に示すように、チオール含有活性物質をマレイミド終端水溶性高分子含有化合物と混合するステップを含む方法によってもたらされる。
【0089】
故に、本発明の範囲に含まれるのは、複合体含有化合物を調製するための、示された方法に従って形成される複合体含有化合物である。この方法によってもたらされる化合物は、これまでに知られている方法よりも高い純度を持つと考えられる。それらを作成するために使用されるマレイミド終端水溶性高分子化合物のような複合体含有化合物は、比較的低い割合のマレアミド酸終端水溶性高分子を含有する(例えば、典型的には4%より少なく、2%より少ないことが多い)。加えて、複合体含有化合物は、十分にフランを含んでおらず、好ましくは全くフランを含まない。
【0090】
水溶性高分子(「ポリ」)
本書では、用語「水溶性高分子」は、生体適合性があり、非免疫原性の水溶性高分子を含み、具体的には生体適合性がなく、非免疫原性でない水溶性高分子セグメントは含まない。生体適合性に関しては、生体組織に関連して(例えば患者への投与)、物質単独での使用、または別の物質(例えば活性物質)と併用しての使用に関連する、有効な効果が有害効果を上回ると、臨床医療担当者、例えば医師によって評価された場合、物質は生体適合性があると考えられる。非免疫原性に関しては、もしも、生体内での物質の使用目的が望ましくない免疫応答(例えば、抗体の産生)を引き起こさないか、もし免疫応答が引き起こされた場合、、そのような応答は臨床的な意義を持ったり、重要であると見なされないと臨床医によって評価された場合、物質は非免疫原性であると考えられる。本書で説明される水溶性高分子セグメントおよび複合体が生体適合性があり、非免疫原性であることが特に好ましい。
【0091】
高分子に関して言及する場合、前述の高分子は、多くの水溶性および非ペプチド性高分子、例えば本発明での使用に適しているものとして本書で説明されるもののうちいずれであってもよいことを理解すべきである。好適には、ポリ(エチレングリコール)(すなわちPEG)は前述の高分子である。用語PEGは、直鎖形状、分岐または多分岐形状(例えば、フォーク型PEGまたはポリオールの中心に結合したPEG)、ペンダントPEG、またはその内部に分解可能な結合を持つPEGを含む、多くの配列または形態のポリ(エチレングリコール)を含み、これについては下記にさらに十分に説明する。
【0092】
高分子が持つ官能基の数と、官能基の位置は様々であってもよい。典型的には、重合体は1〜約25の官能基、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の官能基を含む。直鎖の重合体、例えばPEG重合体は典型的には、重合体の鎖の末端に位置する一つまたは二つの官能基を含む。もしPEG重合体が単官能基である場合(すなわち、直鎖mPEG)、この重合体は単一の官能基を持つ。もしPEG重合体が二官能性である場合、重合体は二つの独立して選択される官能基を、重合体の鎖のそれぞれの末端に一つずつ持っても良い。理解されるであろうが、多分岐または分岐した重合体は、より多くのの官能基を含んでもよい。
【0093】
多分岐または分岐したPEG分子、例えば米国特許No.5,932,462で説明されるものも、PEG重合体として用いてもよい。一般的に言えば、多分岐または分岐した重合体は、中心の分岐点から伸びる、二つ以上の重合体の「腕」を持つ。例えば、典型的な分岐PEG重合体は以下の構造を持つ:
【0094】
【化13】

ここでPEGとPEGは、本書で説明される形態と配列を持ち、同じか異なってもよいPEG重合体であり、L’は加水分解に安定な結合である。典型的な分岐PEGは以下の構造を持つ:
【0095】
【化14】

ここで、polyとpolyはPEG骨格、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)であり、R”は非反応性部分、例えばH、メチル、またはPEG骨格であり、PとQは非反応性結合である。好適な実施例では、分岐PEG重合体はメトキシポリ(エチレングリコール)二基置換リジンである。
【0096】
下記に示すように、分岐PEGの構造は第三のオリゴマーまたは重合体の鎖に結合することができる:
【0097】
【化15】

ここでPEGは第三のPEGオリゴマーまたは重合体の鎖であり、PEGおよびPEGと同じか異なってもよい。
【0098】
PEG重合体は代替的には、フォーク型PEGを含むことができる。一般的にいえば、フォーク型構造を持つ重合体は、その重合体中の加水分解に安定な分岐点から伸びる共有結合を介して、二つ以上の官能基に結合している重合体の鎖を持つものとして特徴付けられる。フォーク型PEGの例は、PEG−YCHZに表され、ここで生理活性物質に対する共有結合のための、Yは連結基で、Zは活性化された末端基である。定められた長さの原子の鎖で、Z基はCHに結合する。米国特許No.6,362,254は、本発明で使用できる様々なフォーク型PEG構造を開示する。Z官能基(例えば、ヒドロキシル基)を分岐炭素原子に結合させる原子の鎖は、テザー基として機能し、例えば、アルキル鎖、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0099】
PEG重合体は、PEG鎖の末端よりむしろ、PEG骨格の長さに沿って共有結合している反応基(例えばヒドロキシル基)を持つペンダントPEG分子を含んでもよい。ペンダント反応基は、PEG骨格に直接、または連結部分、例えばアルキレン基を介して結合することができる。
【0100】
上述のPEGの形態に加えて、重合体骨格中の、一つ以上の加水分解に安定な、または分解可能な結合を用いて、重合体を調製することができ、これには上述の重合体が含まれる。例えば、加水分解しやすい、重合体骨格のエステル結合を用いてPEGを調製できる。下記に示すように、この加水分解はより小さい分子量の断片をもたらす、重合体の切断をもたらす:
【0101】
【化16】

重合体骨格内の分解可能な結合として有用な、その他の加水分解に分解可能な結合には、カーボネート結合と、例えば、アミンとアルデヒドの反応によってもたらされるイミン結合(例えば、Ouchiら、Polymer Preprints、38(1):582〜3(1997)を参照)と、例えば、アルコールをリン酸エステル基と反応させることによって形成されるリン酸エステルエステル結合と、ヒドラジドとアルデヒドの反応によって典型的に形成されるヒドラゾン結合と、アルデヒドとアルコールの間の反応によって典型的に形成されるアセタール結合と、例えば、酸誘導体とアルコールの間の反応によって形成されるオルトエステル結合と、例えば、重合体の末端にある、例えば、ホスホロアミダイト基と、オリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基によって形成されるオリゴヌクレオチド結合とが含まれる。多くの上述の分解可能な結合の使用は、アミン基との不安定な結合の多くが求核反応性を持つためあまり好ましくない。
【0102】
用語ポリ(エチレングリコール)またはPEGは、上述の形態のPEGの全てを代表しこれを含むことを、当業者は理解する。
【0103】
他の非ペプチド性および水溶性高分子の鎖を含む様々な他の重合体も、本発明で使用できる。重合体は直鎖であってもよく、または上述の形態(例えば、分岐、フォーク型など)のどれをとってもよい。適切な重合体の例には、その他のポリ(アルキレングリコール)、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α−ヒドロキシ酢酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)、例えば米国特許No.5,629,384で説明されるもの、ならびにそれらの共重合体、三元重合体、および混合物が含まれるが、これに限定されない。
【0104】
所望の用途、重合体構造の形態、分岐の程度などによって前記水溶性重合体の分子量は変化し得るが、分子量は、100ダルトンを超える値、200ダルトンを超える値、400ダルトンを超える値、500ダルトンを超える値、750ダルトンを超える値、900ダルトンを超える値、1,000ダルトンを超える値、1,400ダルトンを超える値、1,500ダルトンを超える値、1,900ダルトンを超える値、2,000ダルトンを超える値、2,200ダルトンを超える値、2,500ダルトンを超える値、3,000ダルトンを超える値、4,000ダルトンを超える値、4,900ダルトンを超える値、5,000ダルトンを超える値、6,000ダルトンを超える値、7,000ダルトンを超える値、7,500ダルトンを超える値、9,000ダルトンを超える値、10,000ダルトンを超える値、11,000ダルトンを超える値、14,000ダルトンを超える値、15,000ダルトンを超える値、16,000ダルトンを超える値、19,000ダルトンを超える値、20,000ダルトンを超える値、21,000ダルトンを超える値、22,000ダルトンを超える値、25,000ダルトンを超える値、および30,000ダルトンを超える値のうちの1つ以上を満たす。ここで有用なあらゆる所定の水溶性重合体セグメントに対する分子量の最大限度は約300,000ダルトン未満であることが理解される。
【0105】
前記重合体の分子量は典型的に、約100ダルトンから約100,000ダルトン、約200ダルトンから約60,000ダルトン、約300ダルトンから約40,000ダルトンという範囲のうちの少なくとも1つに該当する。
【0106】
前記水溶性重合体に対する典型的な分子量は、約100ダルトン、約200ダルトン、約300ダルトン、約350ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、約550ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約5,000ダルトン、約6,000ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約20,000ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約50,000ダルトン、約60,000ダルトン、および約75,000ダルトンを含む。
【0107】
前記重合体の分岐した種類について、前記重合体の総分子量に対する適切なサイズの典型的な範囲は、(2つの水溶性重合体部分の総合重量に実質的に基づくと)約200ダルトンから約100,000ダルトン、約1,000ダルトンから約80,000ダルトン、約2,000ダルトンから約50,000ダルトン、約4,000ダルトンから約25,000ダルトン、および約10,000ダルトンから約40,000ダルトンを含む。さらにとりわけ、本発明の前記重合体の分岐した種類の総重量平均分子量は、400、1,000、1,500、2,000、3,000、4,000、10,000、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000または80,000のうちの1つに相当する。
【0108】
「−(CHCHO)−」または「−(OCHCH」などの反復型エチレン酸化物単量体を備える構造を提供することができるPEGについて、(n)に対する好ましい値は、約3から約3,000、約10から約3,000、約15から約3,000、約20から約3,000、約25から約3,000、約30から約3,000、約40から約3,000、約50から約3,000、約55から約3,000、約75から約3,000、約100から約3,000、および約225から約3,000を含む。
【0109】
スペーサー部分(「X」、「X」など)
任意で、スペーサー部分は前記水溶性重合体をマレイミドと結び付け、および/またはマレイミジル部分からチオール含有活性物質の残留物に結び付けることができる。典型的なスペーサー部分は、−O−、−S−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−NH−、−O−C(O)−NH−、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−O−CH−、−CH−C(O)−O−CH−、−CH−CH−C(O)−O−CH−、−C(O)−O−CH−CH−、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、−O−C(O)−NH−[CH0−6−(OCHCH0−2−、−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−NH−C(O)−NH−(CH1−6−NH−C(O)−、−O−C(O)−CH−、−O−C(O)−CH−CH−、−O−C(O)−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、二価シクロアルキル基、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH−、O−C(O)−NH−[CH−(OCHCH−、および前述のうち2つ以上の組み合わせを含み、(f)は0から6であり、(n)は0から20(好ましくは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10など0から10、さらに好ましくは4)である。また、前述の炭素含有スペーサー部分は、それに付属する分岐アルキル基を有することができる。二価シクロアルキル(シクロアルキレンなど)基の限定されない例は、シクロプロパジイル(1,1−,シス−11,2−、またはトランス−1,2−シクロプロピレンなど)、シクロブタジイル、シクロペンタジイル、シクロヘキサジイル、およびシクロヘプタジイルの様々な異性体などのC3−8シクロアルキルを含む。シクロアルキレン基は、1つ以上のアルキル基、好ましくはC−Cアルキル基と置換することができる。
【0110】
生物活性複合体
本発明はまた、スクシンイミド環連鎖を通して反応性重合体に共有結合しているマイケル付加の能力がある求核生物活性分子を備える安定化生物活性複合体も含む。前記生物活性物質は好ましくは、チオールまたはアミノ基を有するタンパク質である。
【0111】
適切な生物活性物質は、例えば、睡眠薬および鎮静剤、精神賦活剤、精神安定剤、呼吸器薬、抗けいれん薬、筋肉弛緩剤、抗パーキンソン病薬(ドーパミン拮抗薬)、鎮痛剤、抗炎症薬、抗不安剤(抗不安薬)、食欲抑制剤、抗片頭痛薬、筋肉収縮剤、抗感染薬(抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、ワクチン)、抗関節炎薬、抗マラリア薬、制吐薬、抗てんかん薬、気管支拡張薬、サイトカイン、増殖因子、抗癌剤、抗血栓剤、降圧剤、心臓脈管薬、不整脈治療剤、酸化防止剤、抗ぜんそく薬、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経興奮剤、利尿薬、脂質調節剤、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗凝血剤、新生物薬、抗新生物薬、血糖降下薬、栄養剤および栄養補助食品、成長補助食品、抗腸炎薬、ワクチン、抗体、診断用薬、および造影剤より選択することができる。
【0112】
本発明の前記反応性重合体との共有結合における使用に適している活性物質の例は、カルシトニン、エリスロポエチン(EPO)、第VIII因子、第IX因子、セレデース、セレザイム、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、アルファ−1プロティナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロン・アルファ、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ、インターロイキン−1受容体、インターロイキン−2、インターロイキン−1受容体拮抗薬、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、第IX因子インスリン、プロインスリン、インスリン類似体(米国特許第5,922,675号に説明されているようなモノアシル化インスリンなど)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドサイモシンアルファ1、IIb/IIIa阻害剤、アルファ−1抗トリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4阻害剤、ビスフォスフォネート、呼吸器合胞ウイルス抗体、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(ディーエヌアーゼ)、殺菌性/透過性亢進タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、13−シスレチノイン酸、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン、およびスウィノリドAなどのマクロライド類;シプロフロキサシン、オフロキサシン、レポフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシンなどのフルオロキノロン類;ゲンタマイシン、ネチルミシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、およびストレプトマイシンなどのアミノグリコシド抗生物質;バンコマイシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、硫酸コリスチン、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム類などのポリミキシン類;ペニシリンG、ペニシリンVのようなペニシリラーゼ感受性薬、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリンのようなペニシリナーゼ抵抗性薬、アンピシリン、アモキシシリン、およびヘタシリンのようなグラム陰性菌活性剤、シリン、およびガラムピシリンを含むペニシリン類;カルベニシリン、チカルシリン、アゾシリン、メズロシリン、およびピペラシリンのような抗緑膿菌性ペニシリン類;セフポドキシム、セフプロジル、セフトブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラジン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフメタゾール、セフタジジム、ロラカルベフ、およびモキサラクタムのようなセファロスポリン類;アズトレオナムのようなモノバクタム類;およびイミペネム、メロペネム、イセチオ酸ペンタミジン、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、酢酸トリアムシノロン、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモグリク酸ナトリウム、酒石酸エルゴタミンなどのカルバペネム類、および適用できる場合は、上記の類似体、作動薬、拮抗薬、阻害剤、および薬学的に容認できる塩の構造を含むがそれに限定されない。ペプチドおよびタンパク質に関して、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、PEG化構造、および生物活性断片およびその類似体を包含することを目的としている。
【0113】
本発明はまた、医薬品賦形剤と組み合わせてここで提供されるような複合体を備える医薬品も含む。概して、前記複合体自体は、固形(沈殿物など)となり、固形または液体形態のいずれかとなり得る適切な医薬品賦形剤と組み合わせることができる。
【0114】
典型的な賦形剤は、制限なく、炭水化物、無機塩類、抗菌薬、酸化防止剤、界面活性剤、緩衝剤、酸、塩基、およびその組み合わせから成るグループより選択されるものを含む。
【0115】
糖、アルジトールなどの誘導体化糖、アルドン酸、エステル化糖、および/または糖重合体などの炭水化物が賦形剤として存在することができる。具体的な炭水化物賦形剤は、例えば、フルクトース、麦芽糖、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖類、乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン類、デキストラン、デンプンなどの多糖類、およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトールなどのアルジトール類を含む。
【0116】
前記賦形剤はまた、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、およびその組み合わせなどの無機塩類および緩衝剤を含むことができる。
【0117】
前記製剤はまた、微生物増殖を防止または阻止するための抗菌薬を含むこともできる。本発明に適している抗菌薬の限定されない例はまた、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルゾル、およびその組み合わせも含む。
【0118】
酸化防止剤も同様に、前記製剤中に存在することができる。酸化防止類を、酸化を防止するために使用することによって、前記複合体または前記製剤のその他の構成要素の劣化を防止する。本発明における使用に対する適切な酸化防止剤は、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびその組み合わせを含む。
【0119】
界面活性剤が賦形剤として存在することができる。典型的な界面活性剤は、「ツイーン20」および「ツイーン80」などのポリソルベート類およびF68およびF88などのプルロニック類(両方ともニュージャージー州マウントオリーブのBASFより入手可能)、ソルビタンエステル類、レシチンおよびその他のホスファチジルコリン類などのリン脂質類、ホスファチジルエタノールアミン類(しかしリポソーム構造でないことが好ましい)、脂肪酸および脂肪酸エステルなどの脂質類、コレステロールなどのステロイド類、およびEDTA、亜鉛、およびその他のそのような適切な陽イオン類などのキレート剤を含む。
【0120】
酸または塩基は前記製剤における賦形剤として存在することができる。使用することができる酸の限定されない例は、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、およびその組み合わせから成るグループより選択される酸を含む。適切な塩基の例は、制限なく、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびその組み合わせから成るグループより選択される塩基を含む。
【0121】
前記医薬品は、全ての種類の剤形、特に懸濁および溶液としても再構成することができる粉末など、注射に適しているものを包含する。前記組成内の前記複合体(つまりここで説明される活性物質と重合体との間に形成される複合体)の量は、因子の数によって変化するが、好ましくは、前記組成が単位用量容器(バイアルなど)内に保存される場合に治療効果のある用量となる。また、前記医薬品は注射器に収納することができる。治療効果のある用量は、どの量が臨床的に望ましい終点を引き起こすのかを決定するために、漸増量の前記複合体の反復投与によって実験的に決定することができる。
【0122】
前記組成中の個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性および前記組成の特定の必要性によって変化する。典型的に、個々の賦形剤の最適量は、定期実験を通して、つまり各種量の前記賦形剤を含む組成(低から高へおよぶ)を調整し、前記組成の安定性およびその他のパラメータを検討し、そして重大な副作用なしに最適性能が達成される範囲を決定することによって、決定される。
【0123】
しかし、概して前記賦形剤は、約1重量%から約99重量%の量での組成において、好ましくは約5重量%から99重量%、より好ましくは約15から95重量%の賦形剤で、30重量%未満の濃度が最も好まれて存在する。
【0124】
その他の賦形剤とともにこれら前述の医薬品賦形剤は、「レミントン:薬学の科学および実践」、第19版、Williams&Williams(1995年)、「医師の机上参考資料」、第52版、医療経済学、ニュージャージー州モントベール(1998年)、およびKibbe,A.H.、医薬品賦形剤のハンドブック、第3版、米国薬剤師会、ワシントンD.C.、2000年に説明されている。
【0125】
本発明の医薬品は、典型的に、必要ではないが、注射を介して投与され、よって概して、投与の直前には液体懸濁液または溶液である。前記医薬品はまた、シロップ、クリーム、軟膏、錠剤、粉末などのその他の形をとることもできる。肺、直腸、経皮、経粘膜、経口、くも膜下、皮下、動脈内などのその他の様式の投与も含まれる。
【0126】
前述のように、前記複合体は静脈注射によって、または好ましさは低いが筋肉または皮下注射によって、非経口的に投与することができる。非経口製剤に対する適切な剤形の種類は、とりわけ、すぐに注射できる溶液、使用前に溶剤と組み合わせるための乾燥粉末、すぐに注射できる懸濁、使用前に媒介物と組み合わせるための乾燥不溶性組成、および投与前希釈用の乳剤および原液を含む。
【0127】
本発明はまた、ここで提供されるような複合体を、複合体による治療に反応する症状に苦しむ患者に投与する方法も提供する。前記方法は、概して注射を介して、治療効果のある量の前記複合体(好ましくは医薬品の一部として提供される)を投与するステップを含む。前記投与方法は、特定の複合体の投与によって改善または予防することができる症状を治療するために使用することができる。当業者は、どの症状を具体的な複合体が有効に治療できるかを十分理解する。投与される実際の用量は、患者の年齢、体重および全身状態、ならびに治療されている症状の重症度、医療従事者の判断、および投与されている複合体によって変化する。治療効果のある量は当業者には周知であり、および/または関連参考資料および文献に説明されている。概して、治療効果のある量は、約0.001mgから100mgに及び、好ましくは0.01mg/日から75mg/日の用量、より好ましくは0.10mg/日から50mg/日の用量である。
【0128】
あらゆる所定の複合体(再度、好ましくは医薬品の一部として提供される)の単位用量は、臨床医療担当者の判断、患者の必要性などによって、様々な投与スケジュールで投与することができる。具体的な投与スケジュールは当業者であれば周知であり、または通常の方法を使用して実験的に決定することができる。典型的な投与スケジュールは、制限なく、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回の投与、およびその組み合わせを含む。臨床的エンドポイントが達成されると、前記組成の投与は中断される。
【0129】
本発明はその好ましい具体的な実施例と併せて説明されているが、前述の説明ならびにそれに続く例は、本発明の範囲を解説するが制限する目的ではないことが理解される。本発明の範囲内のその他の側面、利点、および変更は、本発明に関連する分野の当業者であれば明白であろう。具体的な用語がここで採用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味のみで使用され、制限の目的ではない。
【実施例】
【0130】
(実験)
本発明の実践は、特に指示がない限り、当技術分野の範囲内である有機合成、生化学、タンパク質精製などの従来技術を採用する。そのような技術は文献中で十分説明されている。例えば、前記、J.March、先進有機化学:反応機構および構造、第4版(ニューヨーク:ワイリー・インターサイエンス、1992年)、を参照のこと。
【0131】
下記の例において、使用される数(例えば、量、温度など)について精度を確実にするための努力を行ったが、いくらかの実験誤差および偏差が計上されるべきである。特に指示がない限り、温度は摂氏温度であり、圧力は海水位での大気圧またはそれに近い。下記の例のそれぞれは、ここで説明される実施例のうちの1つ以上を実行するために、当業者にとって有益であると考えられる。全てのH NMRデータは、Bruker製の300または400MHz NMRスペクトロメータによって生成された。実施例5ないし12において、下記の特徴を有する業務用mPEG(20k Da)−アミンが使用された:アミンの置換率、94.6から100%;ヒドロキシmPEG不純物率、0から4.2%;二量体率(2つの機能化PEG種の相互の反応から形成される種類)、0.6から2.1%、三量体率(3つの機能化PEG種の相互の反応から形成される種類)、0から0.3%。
【0132】
実施例1
置換マレアミド酸終端された水溶性重合体の調製
【0133】
【化17】

無水ジクロロメタン(350ml)中のmPEG(20k Da)−アミンの溶液(Nektar Therapeutics、50.0g、0.0025モル)に、N−メトキシカルボニルマレイミド(0.80g、0.0051モル)を加え、前記溶液をアルゴン雰囲気下で室温にて1時間攪拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.0ml)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下で室温にて一晩攪拌した。次に反応混合物を200mlまでのジクロロメタンを蒸留することによって濃縮し、生成物をエチルエーテルで沈殿させた。乾燥後の収量は46.3gであった。NMR(d−DMSO):3.24ppm(s、PEG−OCH)、3.51ppm(s、PEG骨格)、3.86ppm(s、CHO−NH−)、6.20ppm(m、−CH=CH−)、8.46ppm(−NH)。
【0134】
実施例2
mPEG(20k Da)マレイミドの調整
【0135】
【化18】

無水アセトニトリル(100ml)中の実施例1で調整された前記置換マレアミド酸終端された水溶性重合体(10.0g)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(10ml)を加え、反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温にて44時間攪拌した。次に前記混合物を80mlまでのアセトニトリルを蒸留することによって濃縮し、生成物をエチルエーテルで沈殿させて8.5gのmPEG(20K Da)マレイミドを生じた。NMR(d−DMSO):3.24ppm(s、PEG−OCH)、3.51ppm(s、PEG骨格)、7.01ppm(s、−CH=CH−、マレイミド);置換93.5%。
【0136】
実施例3
置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を調製するための手順
【0137】
【化19】

【0138】
【化20】

(化学式IIについて)
ポリは水溶性重合体(好ましくは線状または分岐、および好ましくはCHO−(CHCHO)n−CHCH−であり、ポリが線状の場合(n)は2から4000である)であり、
(c)は0または1(好ましくは0)であり、
は存在する場合、スペーサー部分であり、
(化学式IIIについて)
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
(化学式Iについて)
ポリは水溶性重合体であり、
(b)は0または1であり、
X1は存在する場合、スペーサー部分であり、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基である。
【0139】
前記アミン終端された水溶性重合体(化学式II)をジクロロメタン(20重量/体積%の溶液)中に溶解させ、全てのジクロロメタンが取り除かれるまで40℃にて減圧下で蒸留する。これは水を伴う共沸混合物を形成し、残った重合体から水を効果的に取り除く。このステップをもう一度繰り返す。所望であれば真空下に置いて固形物にまで完全に乾燥させる(必要ではない)。
【0140】
不活性ガス雰囲気下で前記重合体を無水ジクロロメタン(20重量/体積%の溶液)中で再溶解させる。1.5相当量のマレイミド試薬を加える(化学式III)。溶解後、0.5相当量のジイソプロピルエチルアミン滴を加える。少なくとも1時間(一晩は結構であるが、閉環マレイミドを形成する場合がある)不活性雰囲気下で室温にて攪拌させる。
【0141】
高粘度の油様溶液が生じるまで(分子量に応じて1グラムの水溶性重合体につき約0.5−1.5mLの溶液)、25−30℃にて減圧下で溶剤を蒸留する。イソプロピルアルコールを前記攪拌溶液にゆっくりと加える(約25mL/gの水溶性重合体)。少なくとも30分間室温にて攪拌させる。前記液体をろ過する。十分なイソプロピルアルコールを再び加えて前記水溶性重合体のスラリーを作り、そして前記液体を再びろ過する。全てのイソプロピルアルコールが取り除かれるまで、真空下で固形物を乾燥させる。
【0142】
実施例4
マレイミド終端された水溶性重合体を調製するための手順
【0143】
【化21】

ここで(化学式Iについて)、
ポリは水溶性重合体であり、
(b)は0または1であり、
X1は存在する場合、スペーサー部分であり、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
ここで(化学式Vについて)ポリ、Xおよび(c)のそれぞれは化学式IIで定められるように定義され、RおよびRのそれぞれは化学式IIIで定められるように定義される。
【0144】
実施例3からの前記置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を、無水ジクロロメタン中で溶解さて10重量/体積%溶液を作る。無水硫酸ナトリウムを加える(PEG1gにつき0.5g)。無水炭酸ナトリウムを加える(水溶性重合体1gにつき0.5g)。不活性ガス雰囲気下で加熱して還流する(約40℃)。5時間還流において攪拌する。熱を取り除いて35℃未満にまで冷却する。固形物をろ過する。高粘度の油様溶液が生じるまで、25−40℃にて減圧下で溶剤を蒸留する。実施例3にあるように、イソプロピルアルコールで沈殿させる。
【0145】
実施例5
マレイミド終端された水溶性重合体の非水調製
共沸mPEG(20k Da)−アミン、0.01重量%ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびジクロロメタンを40℃にて混合した。より揮発性のある構成要素の蒸発は、回転蒸発器を使用して行った。含水量を試験し、56ppmであることが分かった(100ppm以下が望ましい)。この混合物に、それぞれ1gあたり0.5gの粉砕炭酸ナトリウムおよび粒状硫酸ナトリウムを加えた。前記粉砕炭酸ナトリウムおよび粒状硫酸ナトリウムの追加後、混合物を攪拌して5℃にまで冷却し、冷たいPEG溶液を形成した。
【0146】
別々に、3相当量(0.56g)のN−メトキシカルボニルマレイミドをジクロロメタン中に溶解し、3%(重量/体積パーセント)溶液を作った。結果として生じた混合物を30秒間ボルテックスした。前記ボルテックスされた混合物には混濁した外観があった。前記ボルテックスされた混合物を前記冷たいPEG溶液に加え、5℃または約5℃で21時間攪拌した。
【0147】
攪拌後、前記混合物を40℃にまで徐々に加熱して45分以上還流した。その後、サンプルを回収して、H NMRによって反応完了を決定した。
【0148】
還流にて8.5時間後、前記混合物を室温にまで冷却し、セリット床を通してろ過し、その後回転蒸発器および30℃の浴槽を使用してジクロロメタン溶剤を取り除くことによって、油を生成した。生成物は、イソプロピルアルコール(IPA)による沈殿によって回収した(30分間攪拌)。
【0149】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0150】
実施例6
マレイミド終端された水溶性重合体の非水調製
下記の例外/注釈を伴って実施例5の手順を繰り返した。前記粉砕炭酸ナトリウムおよび粒状硫酸ナトリウムの追加後、混合物を5℃にまで10時間冷却した。還流を7時間行った(6時間目に6%前駆体を示した)。
【0151】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0152】
実施例7
マレイミド終端された水溶性重合体の非水調製
下記の例外/注釈を伴って実施例5の手順を繰り返した。前記粉砕炭酸ナトリウムおよび粒状硫酸ナトリウムの追加後、混合物を攪拌し、5.7℃にまで9.5時間冷却した。加熱して還流するのではなく、前記混合物を還流前に室温で45分間攪拌した。還流を6.5時間行った(5時間目に6%前駆体を示した)。
【0153】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0154】
実施例8
マレイミド終端された水溶性重合体の非水調製
下記の例外/注釈を伴って実施例5の手順を繰り返した。前記粉砕炭酸ナトリウムおよび粒状硫酸ナトリウムの追加後、混合物を攪拌し、最初は5.75℃にまで冷却し、そして徐々に5℃まで2時間かけて冷却し、合計15時間の攪拌を伴った。加熱して還流するのではなく、還流前に室温で1時間前記混合物をかき混ぜた。還流を8時間行った(6時間目に12%前駆体を示した)。
【0155】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0156】
実施例9(比較例)
「水溶性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路」
7.6%(重量/体積パーセント)重炭酸ナトリウム溶液中のmPEGアミン(20k Da)の17.5%溶液(重量/体積パーセント)を6℃にまで冷却した。アセトニトリル中のN−メトキシカルボニルマレイミド(3相当量、5.3%)の10%溶液(重量/体積パーセント)を加え、混合物を15分間攪拌した。十分な蒸留水を前記溶液に加えて量を2倍にした。前記溶液をまず冷却し、そして45分かけて13℃にまで暖めさせた。
【0157】
前記溶液のpHをリン酸で3.0に調整し、そして十分な塩化ナトリウムを加えて15%塩化ナトリウム(重量/体積パーセント)の食塩水を提供した。前記食塩水を15分間攪拌し、そして同等量のジクロロメタンで抽出することによって、ジクロロメタン溶液を提供した。
【0158】
前記ジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムで(3.5g/100mL)で乾燥させ、蒸発させて結果として油を生じた。イソプロピルアルコール(17.5mL/g)による沈殿、ろ過、および乾燥により白い固形物を生じた。
【0159】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0160】
実施例10(比較例)
「水溶性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路」
7.6%(重量/体積パーセント)重炭酸ナトリウム溶液中のmPEGアミン(20k Da)の17.5%溶液(重量/体積パーセント)を3.8から5.9℃にまで冷却した。一晩での室温への温度逸脱が、冷却装置の問題によって発生した。アセトニトリル中のN−メトキシカルボニルマレイミド(3相当量、4.4%)の10%溶液(重量/体積パーセント)を加え、混合物を15分間攪拌した。十分な蒸留水を前記溶液に加えて量を2倍にした。前記溶液をまず冷却し、そして45分かけて13℃にまで暖めさせた。
【0161】
前記溶液のpHをリン酸で3.0に調整し、そして十分な塩化ナトリウムを加えて15%塩化ナトリウム(重量/体積パーセント)の食塩水を提供した。前記食塩水を15分間攪拌し、そして同等量のジクロロメタンで抽出することによって、ジクロロメタン溶液を提供した。
【0162】
前記ジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムで(3.5g/100mL)で乾燥させ、蒸発させて結果として油を生じた。イソプロピルアルコール(17.5mL/g)による沈殿、ろ過、および乾燥によって白い固形物を生じた。
【0163】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0164】
実施例11(比較例)
「水溶性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路」
7.6%(重量/体積パーセント)重炭酸ナトリウム溶液中のmPEGアミン(20k Da)の17.5%溶液(重量/体積パーセント)を4℃にまで冷却した。アセトニトリル中のN−メトキシカルボニルマレイミド(3相当量、5.4%)の10%溶液(重量/体積パーセント)を加え、混合物を15分間攪拌した。十分な蒸留水を前記溶液に加えて量を2倍にした。前記溶液をまず冷却し、そして45分かけて8から9℃にまで暖めさせた。
【0165】
前記溶液のpHをリン酸で3.0に調整し、そして十分な塩化ナトリウムを加えて15%塩化ナトリウム(重量/体積パーセント)の食塩水を提供した。前記食塩水を15分間攪拌し、そして同等量のジクロロメタンで抽出することによって、ジクロロメタン溶液を提供した。
【0166】
前記ジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムで(3.5g/100mL)で乾燥させ、蒸発させて結果として油を生じた。イソプロピルアルコール(17.5mL/g)による沈殿、ろ過、および乾燥により白い固形物を生じた。
【0167】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0168】
実施例12(比較例)
「水溶性N−アルコキシカルボニルマレイミド経路」
7.6%(重量/体積パーセント)重炭酸ナトリウム中のmPEGアミン(20k Da)の17.5%溶液(重量/体積パーセント)を6℃にまで冷却した。アセトニトリル中のN−メトキシカルボニルマレイミド(3相当量、5.3%)の10%溶液(重量/体積パーセント)を加え、混合物を15分間攪拌した。十分な蒸留水を前記溶液に加えて量を2倍にした。前記溶液をまず冷却し、そして45分かけて13℃にまで暖めさせた。
【0169】
前記溶液のpHをリン酸で3.0に調整し、そして十分な塩化ナトリウムを加えて15%塩化ナトリウム(重量/体積パーセント)の食塩水を提供した。前記食塩水を15分間攪拌し、そして同等量のジクロロメタンで抽出することによって、ジクロロメタン溶液を提供した。
【0170】
前記ジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムで(3.5g/100mL)で乾燥させ、蒸発させて結果として油を生じた。イソプロピルアルコール(17.5mL/g)による沈殿、ろ過、および乾燥により白い固形物を生じた。
【0171】
本実施例に関連する分析は表1および2に提供され、実施例13に論じられている。
【0172】
実施例13
実施例5から12より得られた生成物を、HPLC、GFCおよびH NMRを使用して分析した。RI検出物(カルボン酸機能化チオール種で誘導体化される生成物であり、置換は誘導体化および非誘導体化範囲の比較によって決定される)の使用とともに10mM HEPESの移動相、1.0mL/分の流速、および25℃の温度でShodexタンパク質KW−803 GFCカラムを使用したAgilent 1100 HPLCシステム(Agilent)を使用して、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。RI検出物の使用とともに1xリン酸緩衝生理食塩水の移動相、1.0mL/分の流速および25℃の温度でShodexタンパク質KW−803 GFCカラムを使用して、GFC(ゲルろ過クロマトグラフィー)を行った。結果は表1および2に提供されている。表1について、「ジマレイミジル種の割合」は、所望のマレイミド生成物とおよそ同じ分子量であるが、2つのマレイミジル末端を有する重合体を参照し、表2について、「MALの二量体の割合」は2つの機能化PEG種の相互の反応から形成される種を参照し、MALの三量体の割合は3つの機能化PEG種の相互の反応から形成される種を参照し、「三量体より高い分子量の割合」は4つ以上の機能化PEG種の相互の反応から形成される種を参照する。
【0173】
【化22】

【0174】
【化23】

【0175】
【化24】

【0176】
【化25】

表1より、実施例5ないし8で採用された一般的方法は、結果として比較実施例9ないし12で従った水性基盤の方法に従って生成された組成よりも大きいマレイミド置換を有する組成を生じたことが明らかである。しばしば、実施例5ないし8で採用された一般的方法は、86パーセント以上のマレイミド置換を提供した。また、表1は実施例5ないし8で採用された一般的方法は、結果として4パーセント未満、およびさらには2パーセント未満のマレアミド酸(「mPEG−マレアミド酸」)を有する一定の割合の重合体を有する組成を生じ、それは比較実施例9ないし12で従った水性基盤の方法で達成できたものよりも良いことを実証する。
【0177】
表2より、ガスろ過クロマトグラフィーを通して分析されたより高い分子量種(マレイミドの二量体の割合、マレイミドの三量体の割合、およびその他の高分子量種)を例外として、M−MAL 20k前駆体および開環エステル不純物の割合などのパラメータは、試験された実施例間でかなり一貫していると思われる。
【0178】
最後に、表1および2より、実施例5ないし8で採用された一般的方法は、比較実施例で採用された一般的方法と比較すると、一貫性のある良好な収量を提供したことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう十分な非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップと、
b)前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすことによって、結果としてマレイミド終端された水溶性重合体を生じるステップと、
を含む、合成方法。
【請求項2】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすステップの前に、前記置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を単離するステップは、乾燥したマレアミド酸終端された水溶性重合体を調製する沈殿によって達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
沈殿は、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、MTBE、ヘプタン、THF、ヘキサン、およびその混合物から成るグループより選択される過度の物質を加えることによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を再生するよう前記乾燥したマレアミド酸終端された水溶性重合体を溶解させるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
有機溶剤において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶剤は、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、アミド類、ニトリル類、ケトン類、酢酸塩類、エーテル類、環状エーテル類、およびその組み合わせから成るグループより選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶剤は、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、オクタノール、酢酸エチル、炭酸ジエチル、アセトン、シクロヘキサンおよびその組み合わせから成るグループより選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶剤はジクロロメタンまたはアセトニトリルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう十分に非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせるステップは、塩基性触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすステップは、塩基の存在下の前記有機溶剤内である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウムから成るグループより選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすステップは、10から60℃の温度である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすステップは、非求核アミン触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記非求核アミン触媒は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、n−メチルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンから成るグループより選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすステップは、乾燥剤の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥剤は、NaHCO、NaCO、CaClCaSO、MgSO、KOH、NaSO、KCO、KHCO、分子篩、およびその組み合わせから成るグループより選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アミン終端された水溶性重合体は、末端アミン基を有する水溶性重合体であり、前記水溶性重合体は、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリル樹脂)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α−ヒドロキシ酢酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)、およびその共重合体または三元重合体から成るグループより選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記水溶性重合体はポリ(エチレングリコール)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリ(エチレングリコール)は、約100から100,000ダルトンの分子量を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記マレイミド試薬は下記の化学式であり、
【化1】

ここで、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記マレアミド酸終端された水溶性重合体は下記の化学式であり、
【化2】

ここで、
ポリは水溶性重合体であり、
(b)は0または1であり、
X1は存在する場合、スペーサー部分であり、
はOまたはSであり、
はOまたはSであり、
(a)は1から20の整数であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ポリは線状水溶性重合体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ポリはCHO−(CHCHO)−CHCHであり、(a)は1であり、さらに(n)は2から4000である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ポリは分岐している、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記マレイミド終端された水溶性重合体は下記の化学式であり、
【化3】

ここで、:
ポリは水溶性重合体であり、
(b)は0または1であり、
X1は存在する場合、スペーサー部分であり、
は各例において単独でHまたは有機基であり、
は各例において単独でHまたは有機基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ポリは線状水溶性重合体である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ポリはCHO−(CHCHO)−CHCH−であり、(n)は2から4000である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ポリは分岐している、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記十分な非水条件は、1000ppm未満の水を有する反応媒質を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記十分な非水条件は、100ppm未満の水を有する反応媒質を表す、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記十分な非水条件は、60ppm未満の水を有する反応媒質を表す、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の70パーセントより多くがマレイミド終端された水溶性重合体であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の80パーセントより多くがマレイミド終端された水溶性重合体であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の90パーセントより多くがマレイミド終端された水溶性重合体であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の93パーセントより多くがマレイミド終端された水溶性重合体であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の86パーセントより多くがmPEG−マレイミド類であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
組成は、組成中の前記水溶性重合体種の93パーセントより多くがmPEG−マレイミド類であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記組成は、請求項1の方法を行うステップに起因する。
【請求項40】
共役条件下で、チオール含有生理活性物質を(i)置換マレアミド酸終端された水溶性重合体を形成するよう十分な非水条件下でアミン終端された水溶性重合体をマレイミド試薬と組み合わせることによって、および(ii)前記マレアミド酸終端された水溶性重合体を脱離条件にさらすことによって、結果としてマレイミド終端された水溶性重合体を生じることによって、調製されるマレイミド終端された水溶性重合体と組み合わせるステップを含む、
複合体を調製する方法。
【請求項41】
請求項40によって調製される複合体。
【請求項42】
組成中の前記重合体種の少なくとも70%はマレイミド終端された水溶性重合体であり、さらに前記組成は開放環エステル重合体種を備える、重合体種を備える組成。


【公表番号】特表2009−503150(P2009−503150A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522977(P2008−522977)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/028271
【国際公開番号】WO2007/012059
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500321438)ネクター セラピューティックス エイエル,コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】