説明

重合体組成物、ならびに汚染物を基板から除去するための方法

本発明は、水性重合体組成物と、水性組成物から形成されたフィルムとに関する。水性組成物は、汚染物質を基板から除去するための方法において用いてよい。水性重合体組成物は、水と、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体とを含んでよい。一実施態様では、水性組成物は、少なくとも1つのキレート剤および/または少なくとも1つの界面活性剤をさらに含んでよい。水性重合体組成物は、汚染された基板に塗布してよく、あるいは、清浄な基板に塗布した後、基板を汚染物質に曝露させてよい。水性組成物を脱水させ、および/または、重合体を架橋させてフィルムを形成させてよい。汚染された基板に塗布されるとき、フィルムは汚染物と結合してよい。清浄な基板に塗布されるとき、後で汚染物質をフィルムと接触させ、フィルムに付着させてよい。汚染物質と結合したフィルムは、基板から分離させてよく、その結果は汚染物質の基板からの除去である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、合衆国法規集35の119(e)にもとづき、2006年2月28日出願の米国特許仮出願第60/777,266号の優先権を主張する。この先出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、重合体組成物と、前記重合体組成物を用いて汚染物質を基板から除去するための方法とに関する。重合体組成物は、脱水および/または架橋されると、放射性核種、細菌、ウイルス、真菌、化学兵器および生物兵器、毒性化学物質ならびにその他の汚染物質を含む広範な汚染物を基板から除染することができる剥離可能フィルムまたは脱着可能フィルムを形成する水性組成物を含んでよい。このフィルムは、脱着可能ハイドロゲルまたは剥離可能ハイドロゲルと呼んでよい。
【背景技術】
【0003】
放射性表面除染技法を改善すれば、結果として、核施設の運転および停止のさまざまな局面に伴う清掃において、線量低下、停止時間減少、大幅なコスト削減をもたらすことができる。表面除染プロジェクトは、範囲、大きさおよび複雑さにおいて多岐にわたる。これらの方法を用いて、基板の表面を乱すことなく、固着および/または遊離汚染物質を取り除くことができる。用いることができる技術は、圧縮空気吹き付け法、低温CO吹き付け法、高圧水法、過熱水法、放水法、水蒸気清掃法、手動ブラシ法、自動ブラシ法、スポンジ吹き付け法、熱空気脱着法、乾熱法、溶媒洗浄法、真空清掃法および超音波清掃法などの化学的、機械的および熱的方法を含む。これらの技法のそれぞれに問題がある。本発明は、これらの問題の1つ以上への解決策を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水性重合体組成物と、この水性組成物から形成されるフィルムとに関する。フィルムは、ハイドロゲルと呼んでよい。水性重合体組成物は、汚染物質を基板から除去するための方法に用いてよい。水性重合体組成物は、水と、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体とを含んでよい。一実施態様では、水性重合体組成物は、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの界面活性剤、またはそれらの混合物をさらに含んでよい。一実施態様では、水性重合体組成物を汚染された基板に塗布した後、組成物を脱水させ、および/または重合体を架橋させてフィルムを形成させてよい。汚染された基板に塗布されるとき、フィルムは汚染物と結合してよい。汚染物と結合したフィルムを基板から分離(例えば、脱着または剥離)させてよく、その結果は基板からの汚染物の除去である。あるいは、フィルムを清浄な基板に塗布した後、汚染物質に曝露させてよく、汚染物質をフィルムの中または上に堆積させた後、フィルムとともに除去してよい。
【0005】
本発明は、容器に入れ、管理し、および/またはさらに処理しなければならない追加の廃液の流れを発生させることがある、当分野で用いられている諸技法に優る利点を提供する。例えば、塗布すると放射性になる液体は、流出およびさらに別の汚染の危険性をもたらすことがある。吹き付け法、または研磨法、磨砕法および荒仕上げ法など他の機械的除去技法は、破片、細片および塵埃を発生し、これらは、空中に浮遊し、人員への危険性をもたらし、汚染を広げることがある。
【0006】
本発明は、例えば、あらゆる場所の隅々に到達し、有害な汚染物質をカプセル化し、剥離除去して効力の度合いを増大させ、汚染の空中伝播を防ぐ助けとなり、さらなる伝播の危険性および害毒、ならびに煩雑な洗剤およびすすぎ溶液の廃液処理をなくすことができる水性重合体組成物を、表面に「塗る」ことを含んでよい。
【0007】
本発明は、病院またはその他の取り扱い施設において技術者が薬剤調合区域、階、医用器具、作業テーブル、移動ベッド、心臓ストレス試験室および類似施設の内部および周辺での自分たちの作業の途中で放射性除染を行う核医学の分野などでの、除染状況に利用することができる。放射性物質を利用する研究所において同様な状況が存在することがある。本発明は、放射性核種、細菌、ウイルス、真菌、化学兵器および生物兵器、毒性化学物質ならびにその他の汚染物質および類似物を含む除染状況に利用することができる。
【0008】
一実施態様では、本発明は、水、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体、少なくとも1つのキレート剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む組成物に関する。
【0009】
一実施態様では、本発明は、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体、少なくとも1つのキレート剤および少なくとも1つの界面活性剤を組み合わせることによって作られる組成物に関する。
【0010】
一実施態様では、本発明は、汚染物質を基板から除去するための方法に関する。この方法は、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体を含む水性組成物を汚染物質と接触する基板へ塗布すること、水性組成物を脱水させ、および/または重合体を架橋させてフィルムを形成させ、汚染物質をフィルムと結合させること、およびフィルムを基板から分離させることを含む。
【0011】
一実施態様では、本発明は、汚染物質を基板から除去するための方法に関する。この方法、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体を含む水性組成物を基板に塗布すること、水性組成物を脱水させ、および/または重合体を架橋させてフィルムを形成させること、汚染物質をフィルムの中または上に堆積させること、およびフィルムを基板から分離させることを含む。
【0012】
一実施態様では、本発明は、ラミネートに関する。ラミネートは、剥離ライナー、および剥離ライナーの片面の一部または全部の上にある前記の水性組成物から誘導されたフィルム層を含む。
【0013】
一実施態様では、本発明は、ラミネートに関する。ラミネートは、前記の水性組成物から誘導されたフィルム層であって、第1の面と第2の面とを有するフィルム層、フィルム層の第1の面の上にある第1の剥離ライナー、およびフィルム層の第2の面の上にある第2の剥離ライナーを含む。
【0014】
一実施態様では、本発明の方法を用いて、汚染物質を固定化し、後で処分を実行する固定剤を提供してよい。あるいは、処分を直ちに実行してよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語「水溶性」は、20℃の温度で1リットルの水あたり少なくとも約5グラムの物質の程度に水に溶ける物質を指すために用いてよい。用語「水溶性」は、水中でエマルジョンを形成する材料も指してよい。
【0016】
用語「水溶性フィルム形成性重合体」は、水に溶解し、水を蒸発させるとフィルムまたは被覆物層を形成する重合体を指してよい。
【0017】
用語「生分解性」は、分解して水とCOとを生成する材料を指してよい。
【0018】
水性重合体組成物は、水、および少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体を含んでよい。一実施態様では、水性組成物は、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの界面活性剤またはそれらの混合物をさらに含んでよい。水性重合体組成物は、通常の被覆膜形成技法、例えばブラッシ法、ローラー法、スプレイ法、展着法、含浸法、塗装法および類似技法を用いて基板に塗布してよい。一実施態様では、水性重合体組成物は、2成分反応性被覆用組成物を含んでよく、この場合、2成分を塗布前に混合するか、塗布時(例えばスプレイ吹き付けの間)に混合するか、または別個の被覆物として塗布する。基板は、汚染された基板を含んでよく、この場合、汚染された基板にフィルムを貼付し、汚染物質をフィルムに取り込む。あるいは、フィルムを清浄な基板に貼付し、続いて基板を汚染に曝露する。この場合、汚染物質をフィルムの上または中に堆積させ、次にフィルムとともに取り除く。水性重合体組成物を基板へ塗布した後、水性組成物を脱水させおよび/または重合体を架橋させてフィルムを提供してよい。ファン、減湿装置、発熱源またはそれらの組み合わせを用いて脱水を促進してよい。汚染物質を重合体組成物または重合体組成物の成分に取り込ませ、収着させ、および/または重合体組成物または重合体組成物の成分と錯体形成させてよい。汚染物質は、フィルムの表面にあってよい。汚染物質と結合したフィルムを基板の表面から分離し、汚染されていない表面または汚染レベルを低下させた表面を露出させてよい。例えば、フィルムを基板から脱着させるかまたは剥離させてよい。これを図1〜3に示す。重合体組成物を用いてヒトの皮膚、ヒトの皮膚中の創傷、多孔質および非多孔質基板および類似基板などの基板からほこり、生物剤、化学剤、重金属、放射性物質および類似物を除去してよい。水溶性フィルム形成性重合体は、疎水性主鎖と親水性ヒドロキシル基とを含んでよい。重合体は、1つ以上の疎水性ブロックと1つ以上の親水性ブロックとを有するブロック共重合体を含んでよい。重合体は、ビニルアルコール繰り返し単位を含んでよい。重合体は、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールの共重合体またはそれらの混合物を含んでよい。本明細書では、用語「共重合体」を用いて共重合体、三元重合体および類似重合体を包む、2つ以上の異なる繰り返し単位を有する重合体を指してよい。重合体は、1つ以上の多糖類を含んでよい。重合体は、1つ以上のビニルアルコール重合体および/または共重合体と1つ以上の多糖類との混合物を含んでよい。重合体は生分解性であってよい。重合体は架橋可能な重合体であってよく、重合体組成物中に架橋剤を含んで架橋を促進してよい。
【0019】
重合体は、アタクチックポリビニルアルコールを含んでよい。これらの重合体は、半結晶性の性格と、分子間および分子内水素結合をともに示す強い傾向とを有してよい。
【0020】
重合体は、式‐CH‐CH(OH)‐で表される繰り返し単位および‐CH‐CH(OCOR)‐で表される繰り返し単位を含んでよい。ここでRはアルキル基である。アルキル基は、1から約6の炭素原子、一実施態様では1から約2の炭素原子を含むとよい。式‐CH‐CH(OCOR)‐で表される繰り返し単位の数は、重合体中の繰り返し単位の約0.5%から約25%、一実施態様では繰り返し単位の約2から約15%の範囲であるとよい。エステル基をアセトアルデヒドまたはブチルアルデヒドのアセタールで置換してよい。
【0021】
重合体は、ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)構造を含んでよい。重合体は、1,2‐ジヒドロキシエチレンから導かれる共重合体単位などの1,2‐グリコール類の形のヒドロキシル基も含むビニルアルコール共重合体の形であってよい。共重合体は、最大約20モル%のそのような単位、一実施態様では最大約10モル%のそのような単位を含んでよい。
【0022】
重合体は、ビニルアルコールおよび/または酢酸ビニル繰り返し単位ならびに、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アリルアルコールおよび類似化合物の1つ以上から導かれる繰り返し単位を含む共重合体を含んでよい。共重合体は、最大約50モル%のビニルアルコールまたは酢酸ビニルの繰り返し単位以外の繰り返し単位、一実施態様では約1から約20モル%のビニルアルコールまたは酢酸ビニル以外のそのような繰り返し単位を含んでよい。
【0023】
用いてよいポリビニルアルコールは、セラニーズ(Celanese)からセルボール(Celvol)523(MW=85,000から124,000、加水分解率87〜89%)、セラニーズからセルボール508(MW=50,000から85,000、加水分解率87〜89%)、セラニーズからセルボール325(MW=85,000から130,000、加水分解率98〜98.8%)、エアープロダクツ(Air Products)からバイノール(Vinol)(商標)107(MW=22,000、加水分解率98〜98.8%)、ポリサイエンセズ(Polysciences)4397(MW=25,000、加水分解率98.5%)、チャンチュン(Chan Chun)からBF14、デュポン(DuPont)からエルバノール(Elvanol)(商標)90‐50およびユニチカからUF‐120の商用名で入手できるものを含んでよい。用いてよい重合体の他の製造業者は、日本合成(ゴーセノール(Gohsenol)(商標))、モンサント(Monsanto)(ゲルバトール(Gelvatol)(商標))、ワッカー(Wacker)(ポリビオール(Polyviol)(商標))または日本の製造業者クラレ、デリキおよび信越を含んでよい。
【0024】
重合体は、酢酸ビニル、加水分解酢酸ビニルまたは部分加水分解酢酸ビニル、および追加の共重合用単量体を含んでよい。これらは、例えば加水分解したエチレン‐酢酸ビニル(EVA)、塩化ビニル‐酢酸ビニル、N‐ビニルピロリドン‐酢酸ビニルまたは無水マレイン酸‐酢酸ビニルとして入手することができる。重合体が酢酸ビニルとN‐ビニルピロリドンとの共重合体なら、BASFからルビスコール(Luviskol)(商標)の名称で入手できる重合体を用いてよい。これらは、ルビスコールVA37HM、ルビスコールVA37EおよびルビスコールVA28を含んでよい。
【0025】
重合体は、1つ以上の水溶性多糖類を含んでよい。これらは、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、硝酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、メチルセルロース、デンプン、酢酸デンプン、1‐オクテニルコハク酸デンプン、リン酸デンプン、コハク酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、陽イオンデンプン、酸化デンプン、デキストリンまたはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
【0026】
重合体は、少なくとも約10,000g/モルの重量平均分子量を有するとよい。重合体は、最大約1,000,000g/モルの重量平均分子量を有するとよい。重合体は、約10,000から約1,000,000g/モル、一実施態様では約13,000g/molから約250,000g/mol、一実施態様では約13,000g/molから約186,000g/molの範囲の重量平均分子量を有するとよい。
【0027】
重合体は、約75%から約100%、一実施態様では約86%から約99.3%の範囲の加水分解レベルを有するとよい。
【0028】
水性重合体組成物中の水溶性フィルム形成性重合体の濃度は、約1から約60重量%、一実施態様では約5から約40重量の%範囲であるとよい。
【0029】
水性重合体組成物は、約40から約99重量%、一実施態様では約60から約95重量%の範囲の水の濃度を有するとよい。水は、任意の源から導いてよい。水は、脱イオン水または蒸留水を含んでよい。水は、水道水を含んでよい。
【0030】
キレート剤またはキラントは、金属イオンまたはその他の荷電粒子と配位結合を形成する2つ以上の電子供与体原子を含む1つ以上の有機化合物または無機化合物を含んでよい。第1のそのような配位結合の後、続いて結合する各供与体原子は、該金属または荷電粒子を含む環を作り出してよい。キレートの構造態様は、電子受容体として働いてよい金属または荷電粒子と、電子供与体として働いてよいキレート剤または配位子の分子中の2つ以上の原子との間の配位結合を含んでよい。キレート剤は、金属イオンまたは荷電粒子と同時に錯体形成することができる2つ、3つ、4つ、5つ以上の供与体原子を含むかどうかによって、二座配位、三座配位、四座配位、五座配位および類似配位であってよい。
【0031】
キレート剤は、炭化水素結合部と2つ以上の官能基とを含む有機化合物を含んでよい。単独のキレート剤の中に同じ官能基または異なる官能基が用いられてよい。官能基は、=X、‐XR、‐NR、‐NO、=NR、=NXR、=N‐R‐XR、
【化2】

式中、XはOまたはS、RはHまたはアルキル、Rはアルキレン,aはゼロから約10の範囲の数、を含んでよい。
【0032】
用いてよいキレート剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プルシアンブルー、クエン酸、ペプチド、短鎖アミノ酸を含むアミノ酸、アミノポリカルボン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、有機ホスホン酸エステル、パミドロネートなどのビスホスホネート類、無機ポリリン酸エステルおよび類似化合物を含んでよい。前記のキレート剤の塩を用いてよい。これらは、前記化合物のナトリウム塩、カルシウム塩および/または亜鉛塩を含んでよい。DTPAのナトリウム塩、カルシウム塩および/または亜鉛塩、特にDTPAのナトリウム塩を用いるとよい。前記のキレート剤の塩は、例えば水酸化ナトリウムで中和すれば形成させることができる。
【0033】
水性重合体組成物中のキレート剤の濃度は、約0.1から約5重量%、一実施態様では約0.5から約2重量%の範囲であるとよい。
【0034】
界面活性剤は、グリフィン(Griffin)のシステムでゼロから約18、一実施態様では約0.01から約18の範囲の親水性親油性バランス(HLB)を有する1つ以上のイオン化合物および/または非イオン化合物を含んでよい。イオン化合物は、陽イオン化合物または両性化合物であってよい。例は、マッカチオンの界面活性剤および洗剤(McCutcheons Surfactants and Detergents)、1998年、北米版および国際版(North American & International Edition)に開示されているものを含んでよい。北米版の1〜235頁および国際版の1〜199頁は、そのような界面活性剤に関するそれらの開示を参照することによって本明細書に組み込まれる。用いてよい界面活性剤は、アルカノールアミン、アルキルアリールスルホン酸エステル、アミンオキシド、アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体を含むポリ(オキシアルキレン)化合物、カルボキシル化アルコールエトキシレート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンおよびアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステルおよび油、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、グリコールエステル、ソルビタンエステル、イミダゾリン誘導体、レシチンおよび誘導体、リグニンおよび誘導体、モノグリセリドおよび誘導体、オレフィンスルホン酸エステル、リン酸エステルおよび誘導体、プロポキシル化およびエトキシル化された脂肪酸またはアルコールまたはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステルおよび誘導体、硫酸エステルまたはアルコールあるいはエトキシル化されたアルコールまたは脂肪酸エステル、ドデシルおよびトリデシルベンゼンあるいは縮合ナフタレンまたは石油のスルホン酸エステル、スルホコハク酸エステルおよび誘導体、ならびにトリデシルおよびドデシルベンゼンスルホン酸を含んでよい。界面活性剤は、ラウリルスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび類似化合物を含んでよい。
【0035】
水性重合体組成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の最大約10重量%の範囲、一実施態様では約0.1から約5重量%の範囲、一実施態様では約0.5から約2重量%、一実施態様では約1から約2重量%の範囲であるとよい。
【0036】
重合体組成物は、1つ以上のチキソトロピー添加剤、偽可塑性添加剤、流動性改質剤、沈降防止剤、平滑化剤、消泡剤、顔料、染料、有機溶媒、可塑剤、粘度安定剤、殺生物剤、殺ウイルス剤、殺菌剤、化学兵器中和剤、架橋剤、保湿剤、中性子吸収剤、またはそれらの2つ以上の混合物をさらに含んでよい。チキソトロピー添加剤は、ヒュームドシリカ、処理済みヒュームドシリカ、粘土、ヘクトライト粘土、有機改質ヘクトライト粘土、チキソトロピー重合体、偽可塑性重合体、ポリウレタン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、修飾尿素、尿素修飾ポリウレタン、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。平滑化剤は、ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル改質ジメチルポリシロキサン、ポリエステル改質ジメチルポリシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル修飾ポリメチルアルキルシロキサン、アルコールアルコキシレート、ポリアクリレート、重合体フッ素化界面活性剤、フルオロ改質ポリアクリレート、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。有機溶媒は、1つ以上のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1つ以上のケトン、例えばアセトン、1つ以上の酢酸エステル、例えば酢酸メチル、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。可塑剤は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリブチレングリコール、グリセリン、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。粘度安定剤は、単官能または多官能ヒドロキシル化合物を含んでよい。これらは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリブチレングリコール、グリセリン、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。殺生物剤は、ケイソン(Kathon)LX(5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンおよび2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを含むロームアンドハース社(Rohm and Hass Company)の製品)またはダワシル(Dowacil)75(1‐(3‐クロロアリル)‐3,5,7‐トリアザ‐1‐アゾニアアダマンタンクロリドを含むダウケミカル(Dow Chemical)の製品)を含んでよい。架橋剤は、テトラホウ酸ナトリウム、グリオキサール、サンレズ(Sunrez)700(環状尿素/グリオキサール/ポリオール縮合体と特定されるセクアケミカルズ(Sequa Chemicals)の製品)、ベイコート(Bacote)‐20(安定化炭酸ジルコニウムアンモニウムと特定されるホプトンテクノロジー(Hopton Technology)の製品)、ポリカップ(polycup)‐172(ポリアミド‐エピクロロヒドリン樹脂と特定されるハーキュリーズ社(Hercules Inc.)の製品)、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。中性子吸収剤は、核分裂物質の汚染除去時に臨界危険性を減少させるために用いてよい。中性子吸収剤は、テトラホウ酸ナトリウムなどのホウ素原子を含んでよい化合物を含んでよい。殺生物剤、殺ウイルス剤または殺菌剤は、通常の生物兵器およびその他の抵抗性生物汚染物を殺す能力を有してよい。殺生物剤、殺ウイルス剤または殺菌剤は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、pH調整した次亜塩素酸ナトリウム、第四アンモニウムクロリド、pH調整した漂白剤(クロロックス(Clorox)(商標))、カスケイド(CASCAD)(商標)表面汚染除去発泡体(アレンバンガード(AllenVanguard))、ディコングリーン(DeconGreen)(エッジウッドケミカルバイオロジカルセンター(Edgewood Chemical Biological Center))、ジオキシガード(DioxiGuard)(フロンティアファーマシューティカル(Frontier Pharmaceutical)、イージーディコン(EasyDecon)200(エンバイロフォームテクノロジーズ(Envirofoam Technologies))、エクスターム(Exterm)‐6(クロルディシスソルーションズ(ClorDiSys Solutions))、ハイ‐クリーン(HI-Clean)605(ハワードインダストリーズ(Howard Industries))、HM‐4100(バイオセーフ(Biosafe))クリアウォーター(KlearWater)(ディスインフェクションテクノロジー(Disinfection Technology))、ペリドックス(Peridox)(クリーンアーステクノロジーズ(Clean Earth Technologies))、セレクトロサイド(Selectrocide)(バイオプロセスアソシエーツ(BioProcess Associates))、イージーディコン(EasyDECON)(商標)200汚染除去溶液、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。化学兵器中和剤は、過マンガン酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキシモノ硫酸カリウム(ビルコンS(Virkon S)(商標))、モリブデン酸カリウム、過酸化水素、クロロイソシアヌル酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、pH調整した次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、酸化剤、求核剤、水酸化物イオン、触媒酵素、有機亜リン酸アンヒドロラーゼ、o‐ヨードソ安息香酸エステル、ヨードキシ安息香酸エステル、過ホウ酸エステル、過酢酸、m‐クロロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、ベンゾイルペルオキシド、ヒドロペルオキシ炭酸塩イオン、ポリオキシメタレート、第四アンモニウム錯体、サンディア発泡体(Sandia Foam)(サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories))、イージーディコン200汚染除去溶液、モデックのディコンフォーミュラ(Modec's Decon Formula)(モデック社(Modec, Inc.))、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。保湿剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸塩共重合体、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。水性重合体組成物中のこれらのそれぞれの濃度は、最大約25重量%、一実施態様では最大約10重量%であるとよい。
【0037】
水性重合体組成物は、水性重合体組成物が比較的深部の清浄化のために基板(すなわち清浄基板または汚染基板)の中に拡散することを可能にする広い範囲の粘度および流動学的性質を有し、ブラシ、ローラーまたはスプレイ機材による塗布を含むさまざまな塗布方法を可能にし、水平でない表面の上の十分に厚い濡れたフィルムから、フィルムを剥離させるかまたは脱着させることによる除去を可能にするのに十分な強度を有する乾いたフィルムを結果として得ることを可能にしてよい。界面活性剤を用いてこれらの流動学的性質を調節するかまたは促進してよい。水性重合体組成物のブルックフィールド(Brookfield)粘度は、25℃で試料に適した0.3〜60rpmおよびスピンドル1〜4の範囲のrpmおよびスピンドルで測定して、約100から約500,000センチポイズの範囲、一実施態様では約200から約200,000センチポイズの範囲であるとよい。
【0038】
重合体組成物が脱水され、および/または重合体が架橋されると、結果として得られるフィルム組成物は、疎水性物質と親水性物質との両方をカプセル化し、捕捉し、可溶化させるかまたは乳化させるとともに、化学トキシンおよび生物トキシンを中和させてよい。キレート剤を用いて金属イオンおよび他の荷電粒子(例えば重金属、放射性物質および類似物)などの汚染物質と錯体を形成させてよく、この場合、結果として得られる錯体は、重合体組成物とともに基板から除去してよい。フィルムは、約30から約97重量%、一実施態様では約50から約95重量%の範囲の水の濃度を有してよい。上記で示したように、このフィルムは、ハイドロゲル、一実施態様では脱着可能ハイドロゲルまたは剥離可能ハイドロゲルと呼んでよい。フィルムは、基板から脱着させるかまたは剥離させることを可能にするのに十分な厚さおよび引張り強さを有してよい。フィルム厚さは、約0.25から約50ミル、一実施態様では約0.5から約10ミルの範囲であるとよい。フィルムを基板から分離(例えば、脱着または剥離)すると、汚染物質はフィルムとともに取り去られ、それによって基板から除去されてよい。
【0039】
一実施態様では、ラミネート構造を用いて重合体組成物を基板に貼付してよい。ラミネート構造は、剥離ライナーの片面の一部または全部の上にあるフィルムの層を含んでよい。あるいは、フィルム層を2つの剥離ライナーの間に配置してよい。フィルム層は、通常の技法(例えば、ブラッシ法、ローラー塗布法、スプレイ法および類似技法)を用いて剥離ライナーの片面に水性重合体組成物を被覆物させた後、水性組成物を脱水させ、および/または重合体を架橋させてフィルム層を形成させることによって形成させてよい。ラミネート構造が第2の剥離ライナーを含むなら、次に、第2の剥離ライナーを第1の剥離ライナーとは反対の側のフィルム層の上に配置してよい。フィルム層は、約1から約500ミル、一実施態様では約5から約100ミルの範囲の厚さを有するとよい。剥離ライナー(単数または複数)は支持ライナーを含んでよく、支持ライナーに貼付された剥離被覆物層を有してよい。剥離被覆物層はフィルム層と接触し、フィルム層からの剥離ライナーの除去を容易にするために提供される。支持ライナーは、紙、布、重合体フィルム、またはそれらの組み合わせで作られていてよい。剥離被覆物は、当分野で既知の任意の剥離被覆物を含んでよい。これらは、ポリジメチルシロキサンを含むポリオルガノシロキサンなどのシリコーン剥離被覆物を含んでよい。ラミネート構造がフィルム層の片面上に剥離ライナーを含むとき、ラミネート構造はロール形で提供されてよい。フィルム層は、基板をフィルム層と接触させてから、剥離ライナーをフィルム層から除去することによって基板に貼付してよい。フィルム層は、基板に付着するのに十分な程度に粘着性であってよい。ラミネート構造がフィルム層の両面に剥離ライナーを含むとき、ラミネート構造は平板シートの形で提供されてよい。フィルム層は、剥離ライナーの一方をラミネート構造から剥離させ、基板をフィルム層と接触させ、基板上でフィルム層の位置を決めた後、他方の剥離ライナーをフィルム層から除去することによって基板に貼付してよい。
【0040】
本発明の重合体組成物で処理してよい基質は、ヒト皮膚および創傷、ならびに木材、金属、ガラス、コンクリート、塗面、プラスチック表面および類似物を含んでよい。基板は、多孔質材料または非多孔質材料を含んでよい。基板は、床、カウンター上面、テーブル上面、医療装置、移動ベッド、心臓ストレス試験室表面、便座などの水平に配置された非多孔質基板、ならびに蛇口、ツールおよびその他の種類の装置または基盤構造体および類似物などの複雑な三次元構造体を含んでよい。本発明の重合体組成物は、建築物、医療施設および工業物品、解体を意図した建築物および基盤構造体、軍事資産、飛行機、ならびに軍艦または民間船舶の船舶内装および外装の汚染除去に用いてよい。
【0041】
本発明の重合体組成物は、推進力および兵器としての核物質の使用に関連する活動の結果として潜水艦および航空母艦の内部または外装上に見いだされることがある放射能汚染物質を除去するために用いてよい。本発明の重合体組成物は、鉛、カドミウム、亜鉛、水銀、ヒ素および類似元素を含む廃棄物などの毒性化学物質の流出によって汚染された区域の汚染を浄化するために用いてよい。本発明の重合体組成物は、神経作用剤(例えば、タブン(Tabun)(ホスホラミコシアニド酸エチル‐N,N‐ジメチル)、サリン(Sarin)(ホスホロフルオリジン酸イソプロピルメチル)、ソマン(Soman)(ホスホロフルオリジン酸1‐メチル‐2:2‐ジメチルプロピルメチル)、VX(ホスホロチオール酸エチルS‐2‐ジイソプロピルアミノエチルメチル))およびびらん剤(例えばホスゲン、マスタードおよび類似物)、ならびに発癌物質、一般毒および類似化合物などの化学兵器で汚染された区域の汚染を浄化するために用いてよい。本発明の重合体組成物は、普通の細菌および真菌汚染などのありふれたものから、炭疽菌、HIVおよびエボラウイルスなどの極めて有害なものまでの範囲の汚染物質から生物学実験室および軍/政府生物兵器研究施設を浄化するために用いてよい。本発明の重合体組成物は、汚染された基板から有害な廃棄物質を除去するために用いてよい。本発明の重合体組成物は、核医療において用いられる放射性核種を含む基板の汚染を浄化するために用いてよい。本発明の重合体は、放射線分散デバイス(RDD)、あるいは化学もしくは生物トキシンまたは化学もしくは生物兵器を含む類似のデバイスの爆轟の後で、都市基盤設備、軍資産等を浄化する、テロリストの攻撃に対する対抗策として用いることができる。本発明の重合体組成物は、放射線、化学および生物兵器または他の製品のための現行および以前の製造環境における放射性物質を浄化するために用いてよい。
【0042】
本発明の重合体組成物は、散布および除去にあたって最小限の訓練しか必要としない迅速展開可能および低コスト化学生物放射性核種(CBRN)浄化製品を含んでよい。重合体組成物は、処分のために容易に密閉してよく、その結果、急速に回復する稼動へのアクセスを提供し、ハード資産および基盤設備に対する攻撃/事故の効果を最小化する。重合体組成物は、『隅々のいたる所』へ入り込み、汚染物質をカプセル化し、乾いて堅牢なフィルムを形成し、放射能汚染、化学および生物剤、親水性化合物および疎水性化合物ならびに望ましくない粒子状物質の剥離除去を可能にするために用いてよい。本発明の重合体組成物は、汚染物質の空中拡散を予防し、危険性と、汚染物質のそれ以上の拡散を制御する困難さをなくすかまたは減らし、洗剤/漂白剤およびすすぎ液の使用に伴って必要になるような通常の廃棄物処理の必要性を減らすかまたはなくすために用いてよい。本発明の重合体組成物は、軍資産、建築物および構造表面、製造施設、発電所、海上輸送および陸上輸送ハブならびに関連交通基盤設備および類似設備の内装および外装を浄化するために用いてよい。
【0043】
フィルムの剥離性または脱着性は、主観的に測定してよい。タイル、フォーマイカ、磁器、クロム、ステンレス鋼、ガラス、密封グラウト、非密封グラウト、ゴム、皮革、プラスチック、塗面、コンクリート、木材、反応器、貯槽および類似物などの基板からの剥離性または脱着性は、非常に良好なことがある。
【実施例1】
【0044】
98,000の分子量を有するポリビニルアルコール(PVA)(シグマオールドリッチ(Sigma Aldrich)によって供給された)十五(15)グラムと水85mlとを250mLビーカーに加え、撹拌する。ビーカーを温度96℃のシリコーン油浴中で2時間加熱する。PVAを水に溶解させる。次に、混合物を室温に冷却する。10mlのドデシル硫酸ナトリウム溶液(水中10重量%)と5グラムのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)とを混合物に加え、撹拌して所望の水性重合体組成物を得る。ブラシを用いて重合体組成物100mlを370インチ(2387cm)の表面積に塗布し、均一な被覆物を得る。被覆物を基板上に20℃の温度で12時間放置する。重合体組成物から水が蒸発する。結果として得られるフィルムを剥離させると処分に適している。
【実施例2】
【0045】
実施例1で特定したPVA十(10)グラムと水75mlとを250mlビーカーに加え、撹拌する。ビーカーを96℃の温度のシリコーン油浴中で2時間加熱する。PVAを水に溶解させる。次に、混合物を室温に冷却する。10mlのドデシル硫酸ナトリウム溶液(水中10重量%)、5グラムのDTPAおよび10mlのペルオキシモノ硫酸カリウム溶液(水中10重量%)を混合物に加え、撹拌して所望の水性重合体組成物を得る。ポンプ式スプレイ装置を用いて水性重合体組成物100mlを370インチ(2387cm)の面積を有する基板に塗布する。2〜3回の塗りに分けて水性重合体組成物を塗布し、塗りの合間に1〜2時間乾燥させる。結果として得られる被覆物を基板上に20℃の温度で12時間放置する。重合体組成物から水が蒸発する。結果として得られるフィルムを剥離させると処分に適している。
【実施例3】
【0046】
実施例1で特定したPVA十(10)グラムと水75mlとを250mlビーカーに加え、撹拌する。ビーカーをシリコーン油浴中に2時間置く。シリコーン油浴を96℃の温度にする。PVAを水に溶解させる。次に、混合物を室温に冷却する。10mlのドデシル硫酸ナトリウム溶液(水中10重量%)、5グラムのDTPAおよび10mlの次亜塩素酸ナトリウム溶液(水中5重量%)を混合物に加え、撹拌して所望の水性重合体組成物を得る。ポンプ式スプレイ装置を用いて水性重合体を基板に塗布する。結果として得られる被覆物は、2〜3回の塗りに分けて塗布し、塗布の合間に1〜2時間乾燥させる。被覆物を基板上に20℃で12時間放置する。重合体組成物から水が蒸発する。結果として得られるフィルムを剥離させると処分に適している。
【実施例4】
【0047】
実施例1で特定したPVA十(10)グラムと水75mlとを250mlビーカーに加える。結果として得られる混合物を撹拌し、ビーカーをシリコーン油浴中に2時間置く。シリコーン油浴を96℃の温度にする。PVAを水に溶解させる。混合物を室温に冷却する。10mlのドデシル硫酸ナトリウムの溶液(水中10重量%)、5グラムのDTPAおよび10mlのペルオキシモノ硫酸カリウム(水中10重量%)を混合物に加え、撹拌して所望の水性重合体組成物を得る。ポンプ式スプレイ装置を用いて水性重合体組成物を基板に塗布する。被覆物は、2〜3回の塗りに分けて塗布する。塗りの合間に被覆物を1〜2時間乾燥させる。結果として得られる被覆物を基板上に20℃の温度で12時間放置する。重合体組成物から水が蒸発する。結果として得られるフィルムを剥離させると処分に適している。
【実施例5】
【0048】
手動ポンプ式スプレイ装置または細毛幅広ブラシを用いて実施例1に開示の水性重合体組成物をレコード盤の両面に塗布する。結果として得られる被覆物を4時間から1日乾燥させ、結果としてフィルムを形成させる。フィルムをレコードから剥離させてレコードの溝を清掃する。
【実施例6】
【0049】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モーターを備えるジャケット付き3リットル反応器に、2200gの蒸留水、45.90gのDTPA、6.89gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および65.6gの10N水酸化ナトリウムを仕込む。結果として得られる水性重合体組成物を塩が溶解するまで攪拌する。続いて、344.4gのセルボール325(MW=85,000から130,000g/モル、加水分解率98〜98.8%のポリビニルアルコールと特定されるセラニーズの製品)を加える。混合物を90℃に加熱し、90℃に30分間保持した後、冷却して調合物Aを得る。調合物Aは、5100センチポイズ(cps)(3rpm、スピンドル3、25℃)および5480cps(30rpm、スピンドル3、25℃)のブルックフィールド粘度と、pH=6.39とを有する。
【0050】
塗装ブラシまたは塗装ローラーを用いて、調合物Aを鋼、アルミニウム、スレート、ガラス、コンクリートおよび台所タイルの水平基板に塗布する。結果として得られるフィルムを一夜乾燥させた後、各基板から剥離させる。フィルムをコンクリートから剥離させるとき、薄い基板の層が除去される。青色および赤色の着色チョークを表面に引いた台所タイルからフィルムを剥離させる。着色チョークを用いて粒子汚染をシミュレーションする。フィルムをタイル基板から剥離させた後、タイル上に眼に見えるチョークはない。次に、剥離フィルムのチョーク側を白いペーパータオルでこすっても、タオルへ移る着色チョークはなく、チョークが剥離フィルム中に非常に良好にカプセル化されることを示す。
【0051】
現地試験における劣化ウラン汚染に関して調合物Aを試験し、複数の表面上のこの物質に対する浄化因子(DF)を測定する。これらの試験では100cmのSHP380アルファシンチレーションプローブを有するエバーライン(Eberline)E600メーターをアルファスケーラモードで用いる。1分間静止計数を用いる。プローブの位置を決め、「シャーピー(Sharpie)」(油性マジックインキ)を用いてプローブの外側に線を引き、続く測定のために再現性のある幾何配置を定める。マスク用テープをシャーピー線上に貼って被検区域を定める。1インチのスポンジブラシを用いて調合物Aをこの区域全体上に塗布し、結果として得られるフィルムを除去しやすくするためにマスク用テープ上に重ねて塗る。まずテープ除去を用いて、次に調合物Aを用いて、劣化ウランを機械加工するために用いられる区域の床を浄化させる。基礎床は、最初9,420cpm/100cmの汚染レベルを有する。1回のテープ押圧除去後、それは8,500cpm/100cmである。2回目のテープ押圧除去の後、それは8,800cpm/100cmである。調合物Aによる浄化後、活性は357cpm/100cm、DFは24.6または96%である。
【0052】
コンクリート内の目地を試験する。目地材料は、低温目地に用いられる普通のフェルトである。調合物Aは、被覆される100cmの面積の一部としてのジョイント中に塗布する。初期活性は24,400cpm/100cmである。浄化後レベルは480cpm/100cm、DFは49.9または98%である。
【0053】
さまざまな基板上のその他の試験を下に要約する。
【0054】
【表1】

【実施例7】
【0055】
調合物Aに0.072重量%の青色食品着色料(マコーミックアンドカンパニー社(McCormick and Company, Inc.)の製品)を加えて調合物Bを得る。青色食品着色料は、塗布時の湿潤フィルム厚さの見やすさを改善するために加える。癌治療において用いられるヨウ素‐131(I‐131)汚染を除去する病院環境で調合物Bを試験する。この調合物を用いて、レイディアックウォッシュ(Radiacwash)(商標)で既に浄化済みであるが依然として非許容レベルで汚染されているさまざまな区域を浄化する。レイディアックウォッシュは、核医療において用いられる放射性核種を浄化するために用いる標準洗剤である。調合物Bを用いる浄化の前後に除去可能汚染物質を測定する。結果を次の表に示す。
【0056】
【表2】

【実施例8】
【0057】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き3リットル反応器に、2295.0gの蒸留水、27.0gのDTPA、27.0gのドデシル硫酸ナトリウム、27.6gの10N水酸化ナトリウム、4.05gのByk‐028(疎水性固体およびポリシロキサンと特定されるBYKヘミー(BYK Chemie)の製品)を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌し、続いて405.0gのセルボール523を加える。混合物を85℃に加熱し、85℃に30分間保持した後、冷却する。8.8gの1N NaOHを加えて混合物のpHを調節し、pH=5.5の水性重合体組成物を得る。13.5gのBYK‐345(ポリエーテル改質ジメチルポリシロキサンと特定されるBYKヘミーの製品)および13.5gの青色食品着色料を加え、続いて20.3gのBYK‐420(改質ウレタンと特定されるBYKヘミーの製品)および20.3gのBYK‐425(尿素改質ポリウレタンと特定されるBYKヘミーの製品)を滴下して加える。調合物を200〜250mlに分割し、ハミルトンビーチ(Hamilton Beach)HMD200ミキサーの目盛り1で15分間分散させる。次に、分割したものをすべて併せた2876.6gに蒸留水224.0gを加えて調合物Cを得る。
【0058】
プルトニウム最終処理プラントにおける核分裂物質処理区域の浄化について、調合物Cを用いて人間工学試験を行った。この試験では、核分裂物質を取り扱うために用いる非汚染ステンレス鋼グローブボックス中の塗布および除去特性に焦点を合わせる。被検表面は、水平および垂直ステンレス、錆びた炭素鋼および錆びていない炭素鋼、レキサン(Lexan)、皮革およびハイパロン(Hypalon)ゴム手袋を含んでいた。調合物Cの塗布および除去は、水平表面上と垂直表面上との両方で実際的であり、同時に機能的である。乾燥後のフィルムは、丸めた後で広げ、核分裂性物質によって高度に汚染された表面を浄化するときの臨界の懸念を小さくする。
【実施例9】
【0059】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き6リットル反応器に、5100gの蒸留水、60.0gのDTPA、60.0gのドデシル硫酸ナトリウム、65.8gの10N水酸化ナトリウム、30gのByk‐028(疎水性固体およびポリシロキサンと特定されるBYKヘミーの製品)および30gのByk‐080A(ポリシロキサン共重合体と特定されるBYKヘミーの製品)を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌し、続いて900.0gのセルボール523を加える。混合物を85℃に加熱し、85℃に30分間保持した後、冷却して調合物Dを得る。調合物Dは、8560cps(1rpm、スピンドル3、25℃)および10,580cps(10rpm、スピンドル3、25℃)のブルックフィールド粘度を有する。pHは5.74である。
【実施例10】
【0060】
3リットルの容器に2539.7の調合物Dを仕込む。1000〜3000rpmの速度で動作する1.5インチのカウルズブレード(Cowels Blade)を備えるメルトン(Melton)CM‐100分散機を用いて調合物を攪拌する。12.60gのBYK‐345(ポリエーテル改質ジメチルポリシロキサンと特定されるBYKヘミーの製品)を加え、続いて19.0gのBYK‐420を約10分間にわたって滴下して加える。添加している間にカウルズブレードの回転を増して渦を保持する。添加が完了した後、調合物を3000rpmで45分間分散させ、続いて19.0gのBYK‐425を滴下して加える。次に、調合物を3000rpmで15分間分散させ、続いて203.2gの蒸留水を加える。調合物を3000rpmでさらに15分間分散させる。結果として得られる2039.6gの調合物に5.4gの青色食品着色料を加えて調合物Eを得る。調合物Eは、19,960cps(3rpm、スピンドル4、25℃)および15,790cps(30rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールド粘度を有する。
【0061】
調合物Eを用いて形成されるフィルムを、青色および赤色チョークで着色した半多孔質表面の台所タイルから剥離させる。チョークは、半多孔質表面中に引かれている。着色チョークは、粒子汚染をシミュレーションするために選ぶ。フィルムを基板から剥離させた後、タイルの上に眼に見えるチョークはない。剥離フィルムのチョーク側を白いペーパータオルでこすっても着色チョークはタオルへ移らず、優れたチョークのカプセル化を示す。
【0062】
癌治療において用いられるヨウ素‐131(I‐131)汚染を除去する病院環境で調合物Eを評価する。調合物Eを用いる汚染除去の前後にさまざまな基板の表面上の除去可能汚染物質を測定し、優れた浄化を示す結果を得る。さらに、乾燥後の剥離フィルムの上表面および接触面上の除去可能汚染物質を浄化の前後に測定し、優れた汚染物質のカプセル化を示す結果を得る。結果を次の表に要約する。
【0063】
【表3】

【実施例11】
【0064】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き6リットル反応器に、3027gの蒸留水、2018.4gの変性エタノール、116.0gのDTPQ、17.4gのドデシル硫酸ナトリウム、110.2gの10N水酸化ナトリウム、8.7gのByk‐028および754.0gのセルボール523を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌する。続いて900.0gのセルボール523、29.0gのByk‐345、29.0gのByk‐420および29.0gのByk‐425を加える。混合物を82〜85℃に加熱し、30分間保持し、冷却する。29.0gの青色食品着色料および1.1gの10N NaOHを加えて調合物Fを得る。調合物Fは、23,940cps(3rpm、スピンドル4、25℃)および14,150cps(30rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールド粘度とpH=5.2とを有する。
【0065】
プルトニウム最終処理プラントにおいて、核分裂性物質加工区域の浄化について、同じ表面上で調合物Fを調合物Cとともに評価し、同様な結果を得たが、強力換気環境では乾燥時間が速くなった。
【実施例12】
【0066】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き6リットル反応器に、5100gの蒸留水、60.0gのDTPA、60.0gのドデシル硫酸ナトリウム、60.0gの10N水酸化ナトリウムおよび9.0gのByk‐028を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌し、続いて900.0gのセルボール523を加える。混合物を85℃に加熱し、85℃に30分間保持した後、冷却して調合物Gを得る。調合物Gは、13,210cps(3rpm、スピンドル4、25℃)および14,030cps(30rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールド粘度とpH=5.52とを有する。
【実施例13】
【0067】
385.4gの調合物Gに218.3gの蒸留水、3.50gのByk‐348、1.75gの青色食品着色料および14.1重量%のベントンDE(ヘクトライト粘土と特定されるエレメンティススペシャルティーズ(Elementis Specialties)の製品)のプレゲル87.5gを加える。プレゲルは、1.5インチのカウルズブレードを備えるメルトンCM‐100分散装置上4000rpmで45分間蒸留水中に分散させる。混合物をブレンドして調合物Hを得る。調合物Hは、105,960cps(3rpm、スピンドル4、25℃)および19,020cps(30rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールド粘度を有する。
【0068】
床タイル、フォーマイカ(樹脂名)のカウンター上面、磁器製流しおよびトイレ、クロムめっき備品、封止グラウト(隙間材)および非封止グラウトを含む病院室および病院浴室で普通に見られるものを含むさまざまな基板上で調合物Hを試験する。それぞれの場合の剥離性は非常に良い。
【0069】
調合物A、E、F、GおよびHの特性を次の表に要約する。
【0070】
【表4】

上の表で、チキソトロピー指数=低せん断粘度(3rpm、スピンドル4、25℃)/高せん断粘度(30rpm、スピンドル4、25℃)である。湿時垂直フィルム厚=乾燥フィルム厚さおよび理論固体から推定した過剰の被覆物の塗布後に垂直表面上に残る湿潤フィルムの厚さである。乾時垂直フィルム厚さ=脱水後のフィルム厚さの測定値である。
【実施例14】
【0071】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き6リットル反応器に、5100gの蒸留水、60.0gのDTPA、60.0gのドデシル硫酸ナトリウム、60.0gの10N水酸化ナトリウムおよび9.0gのByk‐028を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌する。続いて、900.0gのセルボール508(MW=50,000から85,000、加水分解率87〜89%のポリビニルアルコールと特定されるセラニーズの製品)を加える。混合物を85℃に加熱し、85℃に30分間保持した後、冷却して調合物Iを得る。調合物Iは、787cps(3rpm、スピンドル4、25℃)および922cps(30rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールズ粘度を有し、pH=5.25である。
【実施例15】
【0072】
250mlの容器に撹拌しながら172.5gの調合物I、1.00gのByk‐348、1.00gのByk‐080A、0.50gの青色食品着色料および14.1重量%のベントンDEのプレゲル(1.5インチのカウルズブレードを備えるメルトンCM‐100分散装置上4000rpmで45分間蒸留水中に分散させる)25.0gを仕込んで調合物Jを得る。調合物Jをワグナーパワーペインタープロ(Wagner Power Painter Pro)2400psiエアーレススプレイ装置(airless sprayer)からスプレイし、乾燥させると剥離性フィルムになる被覆物層を形成させる。水性重合体組成物は、10,260cps(6rpm、スピンドル4、25℃)および6170cps(60rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールズ粘度を有する。脱水フィルムを台所床タイルから一枚のシートとして剥離させる。
【実施例16】
【0073】
250mlの容器に撹拌しながら168.5gの調合物I、1.00gのByk‐348、1.00gのByk‐080A、0.50gの青色食用着色料、4.00gのプロピレングリコールおよび14.1重量%のベントンDEのプレゲル(1.5インチのカウルズブレードを備えるメルトンCM‐100分散装置上4000rpmで45分間蒸留水中に分散させる)25.0gを仕込んで調合物Kを得る。ワグナーパワーペインタープロ2400psiエアーレススプレイ装置を用いて調合物Kを垂直タイルに塗布し、乾燥させて剥離性フィルムを形成させる。調合物Kは、9,500cps(6rpm、スピンドル4、25℃)および5,100cps(60rpm、スピンドル4、25℃)のブルックフィールズ粘度を有する。脱水フィルムを台所床タイルから一枚のシートとして剥離させる。
【実施例17】
【0074】
1リットルの容器に撹拌しながら380.4gの調合物D、218.3gの脱イオン水、3.50gのByk‐348、1.75gの青色食用着色料、14.1重量%のベントンDEのプレゲル(1.5インチのカウルズブレードを備えるメルトンCM‐100分散装置上4000rpmで45分間蒸留水中に分散させる)87.5gを仕込んで調合物Lを得る。調合物Lを基板に塗布し、乾燥させて剥離性フィルムを形成させる。
【実施例18】
【0075】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き3リットル反応器に、1700.0gの脱イオン水、20.0gのDTPA、20.0gのドデシル硫酸ナトリウム、10.00gのByk‐028および10.00gのByk‐080Aを仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌し、続いて300gのセルボール523を加える。混合物を85℃に加熱し、85℃に30分間保持してから冷却する。100gの次亜塩素酸ナトリウムを加え、酢酸または10N NaOHでpHを6.8に調節する。次に、水性組成物を3リットルの容器に加える。1.5インチのカウルズブレードを備えるメルトンCM‐100分散装置を用いて1000〜3000rpmで撹拌しながら10.80gのBYK‐348を加え、続いて16.2gのBYK‐420を約10分間かけて滴下して加える。添加の間、カウルズブレードの回転数を上げて渦を保持する。添加が完了した後、調合物を3000rpmで45分間分散させ、続いて16.2gのByk‐425を滴下して加える。次に、調合物を3000rpmで15分間分散させ、続いて5.40gの青色食用着色料と150.0gの蒸留水とを加える。混合物を3000rpmでさらに15分間分散させて調合物Mを得る。調合物Mを基板に塗布し、乾燥させて剥離性フィルムを形成させる。
【実施例19】
【0076】
熱電対、コンデンサーおよび撹拌モ−ターを備えるジャケット付き6リットル反応器に、撹拌しながら3027gの脱イオン水、2018.4gの変性エタノール、58.0gのDTPA、58.0gのドデシル硫酸ナトリウム、110.2gの10N水酸化ナトリウム、8.7gのByk‐028および754.0gのセルボール325を仕込む。結果として得られる水性組成物を塩が溶解するまで攪拌する。続いて、900.0gのセルボール523、29.0gのByk‐345、29.0gのByk420および29.0gのByk425を加える。混合物を82〜85℃に加熱し、30分間保持し、冷却する。29.0gの青色食品着色料および116.0gの次亜塩素酸カリウムを加える。水性組成物のpHを10N NaOHで9.0に調節して調合物Nを得る。調合物Nを基板に塗布し、乾燥させて剥離性フィルムを形成させる。
【0077】
さまざまな実施態様に関連させて本発明を説明してきたが、本明細書を読めば、これらの実施態様のさまざまな変更形が当業者にさらに明らかになると理解するべきである。従って、本発明は、添付の請求項の範囲に属するそのような変更形をすべて包含すると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】水性重合体組成物の基板への塗布を示す写真である。
【図2】水性重合体組成物からの水の蒸発の後の写真である。
【図3】結果として得られたフィルムの基板からの除去を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体、少なくとも1つのキレート剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物は、1つ以上のチキソトロープ添加剤、偽塑性添加剤、流動性改質剤、沈降防止剤、平滑剤、消泡剤、顔料、染料、有機溶媒、可塑剤、粘度安定剤、殺生物剤、殺ウイルス剤、殺菌剤、化学兵器中和剤、架橋剤、保湿剤、中性子吸収剤またはそれらの2つ以上の混合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記重合体は生分解性である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記重合体は、疎水性主鎖とヒドロキシル基とを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記重合体は、疎水性ブロックと親水性ブロックとを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記重合体は、ビニルアルコール繰り返し単位を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記重合体は、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールの共重合体、またはそれらの混合物を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記重合体は、式‐CH‐CH(OH)‐によって表される繰り返し単位と、Rをアルキル基として式‐CH‐CH(OCOR)‐によって表される繰り返し単位とを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記重合体は、ビニルアルコール繰り返し単位と酢酸ビニル繰り返し単位とを含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記重合体は、ビニルアルコールおよび/または酢酸ビニル繰り返し単位と、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アリルアルコール、またはそれらの2つ以上の混合物の1つ以上から誘導された繰り返し単位とを含む共重合体を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記重合体は、1つ以上の多糖類を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記重合体は、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、硝酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、メチルセルロース、デンプン、酢酸デンプン、1‐オクテニルコハク酸デンプン、リン酸デンプン、コハク酸デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、陽イオンデンプン、酸化デンプン、デキストリン、またはそれらの2つ以上の混合物の1つ以上を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記キレート剤は、炭化水素結合部と2つ以上の官能基とを含む有機化合物を含み、前記官能基は、=X、‐XR、‐NR、‐NO、=NR、=NXR、=N‐R‐XR、
【化1】

式中、XはOまたはS、RはHまたはアルキル、Rはアルキレン、aはゼロから約10の範囲の数である、の1つ以上を含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、クエン酸、ペプチド、アミノ酸、アミノポリカルボン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、有機ホスホン酸エステル、ビスホスホン酸エステル、無機ポリリン酸エステル、またはそれらの2つ以上の混合物を含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤は、ゼロから約18の範囲の疎水性親水性バランスを有する、請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤は、1つ以上のアルカノールアミン、アルキルアリールスルホン酸エステル、アミンオキシド、ポリ(オキシアルキレン)化合物、アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体、カルボキシル化アルコールエトキシレート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンおよびアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステルおよび油、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、グリコールエステル、ソルビタンエステル、イミダゾリン誘導体、レシチンおよび誘導体、リグニンおよび誘導体、モノグリセリドおよび誘導体、オレフィンスルホン酸エステル、リン酸エステルおよび誘導体、プロポキシル化およびエトキシル化脂肪酸またはアルコールまたはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステルおよび誘導体、硫酸エステルまたはアルコールまたはエトキシル化アルコールまたは脂肪酸エステル、ドデシルおよびトリデシルベンゼンまたは縮合ナフタレンまたは石油のスルホン酸エステル、スルホコハク酸エステルおよび誘導体、トリデシルまたはドデシルベンゼンスルホン酸、またはそれらの2つ以上の混合物を含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤は、ラウリルスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミドまたはそれらの混合物を含む、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体、少なくとも1つのキレート剤および少なくとも1つの界面活性剤を組み合わせることによって作られた組成物。
【請求項19】
剥離ライナー、および
前記剥離ライナーの片面の一部または全部の上にある、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の組成物から誘導されたフィルム層
を含むラミネート。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の組成物から誘導されたフィルム層であって、第1の面と第2の面とを有するフィルム層、
前記フィルム層の前記第1の面の上にある第1の剥離ライナー、および
前記フィルム層の前記第2の面の上にある第2の剥離ライナー
を含むラミネート。
【請求項21】
汚染物質を基板から除去するための方法であって、
少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体を含む水性組成物を前記汚染物質と接触している前記基板へ塗布すること、
前記水性組成物を脱水させ、および/または前記重合体を架橋させてフィルムを形成させ、前記汚染物質を前記フィルムと結合させること、および
前記フィルムを前記基板から分離させること
を含む方法。
【請求項22】
前記水性組成物は、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの界面活性剤、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
汚染物質を基板から除去するための方法であって、
少なくとも1つの水溶性フィルム形成性重合体を含む水性組成物を前記基板に塗布すること、
前記水性組成物を脱水させ、および/または前記重合体を架橋させてフィルムを形成させること、
汚染物質を前記フィルムの中または上に堆積させること、および
前記フィルムを前記基板から分離させること
を含む方法。
【請求項24】
前記水性組成物は、少なくとも1つのキレート剤、少なくとも1つの界面活性剤、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
汚染物質を基板から除去するための方法であって、
前記基板を請求項19に記載のラミネートと接触させ、前記フィルム層を前記汚染物質と接触させ、結合させること、
前記剥離ライナーを前記フィルム層から分離させること、および
前記フィルム層を前記基板から分離させること
を含む方法。
【請求項26】
汚染物質を基板から除去するための方法であって、
前記基板を請求項19に記載のラミネートと接触させ、前記フィルム層を前記基板と接触させること、
前記剥離ライナーを前記フィルム層から分離させること、
前記汚染物質を前記フィルム層の上に堆積させること、および
前記フィルム層を前記基板から分離させること
を含む方法。
【請求項27】
請求項20に記載のラミネートを用いて汚染物質を基板から除去する方法であって、
前記第1の剥離ライナーを前記ラミネートから除去すること、
前記基板を前記フィルム層と接触させ、前記フィルム層を前記汚染物質と接触させ、結合させること、
前記第2の剥離ライナーを前記フィルム層から分離させること、および
前記フィルム層を前記基板から分離させること
を含む方法。
【請求項28】
請求項20に記載のラミネートを用いて汚染物質を基板から除去する方法であって、
前記第1の剥離ライナーを前記ラミネートから除去すること、
前記基板を前記フィルムと接触させること、
前記第2の剥離ライナーを前記フィルム層から分離させること、
前記汚染物質を前記フィルム層の上に堆積させること、および
前記フィルム層を前記基板から分離させること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−532512(P2009−532512A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557351(P2008−557351)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/005181
【国際公開番号】WO2007/100861
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(506121560)セルラー・バイオエンジニアリング・インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】CELLULAR BIOENGINEERING, INC.
【Fターム(参考)】