説明

重合体膜製造装置およびポリパラキシリレン膜の製造方法

【課題】成膜対象物の形状に制限されることなく、かつ、成膜効率の良い、重合体膜製造装置およびポリパラキシリレン膜の製造方法を提供する。
【解決手段】重合体膜製造装置40では、固体原料を気化炉1で気化させ、分解炉2で分解してモノマー原料とし、成膜チャンバー3に供給し、内部の成膜対象物に重合体膜を成膜する。このとき、成膜チャンバー3から排出させる残存モノマー原料は連結部19dおよび循環用ポンプ5により分解炉2に循環させる。これにより残存モノマー原料を成膜に再利用できるので、成膜効率を向上することができる。上記重合体膜製造装置40は、特にパラキシリレン膜の成膜に好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体膜製造装置およびポリパラキシリレン膜の製造方法に関する。具体的には、成膜対象物の形状に限定されることなく、成膜効率の良い重合体膜製造装置およびポリパラキシリレン膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリパラキシリレンは、高い融点と低い誘電定数とを有しており、かつ、複雑な形状の対象物に均一に成膜することができる。そのため、従来から、電子分野、自動車産業分野、医療分野等で広く用いられている。
【0003】
上記ポリパラキシリレン膜を製造するための重合体膜製造装置として、例えば、図6に示すポリパラキシリレン重合体膜製造装置400が挙げられる。
【0004】
図6は、ポリパラキシリレン重合体膜製造装置400の模式的断面図である。
【0005】
従来のポリパラキシリレン重合体膜製造装置400は、気化炉101と、分解炉102とがパイプ119を介して形成されている。さらに、分解炉102は成膜チャンバー103とパイプ119を介して形成されており、成膜チャンバー103はパイプ119を介して、大気開放弁108、チラートラップ104真空ポンプ106と連結されている。
【0006】
気化炉101には、ポリパラキシリレン膜の原料である、(2,2)−パラシクロファンが設置されている。上記化合物の構造式(1)を以下の化学式1に示す。また、構造式(1)のモノマーである、パラキシレンラジカルおよび構造式(3)に示すパラキシリレンも共に示す。なお、構造式(3)におけるnは100以上の整数を示す。
【0007】
【化1】

【0008】
上記化合物が設置された後、真空ポンプ106にてポリパラキシリレン重合体膜製造装置400内が減圧される。減圧された状態で、気化炉101を加熱することで、ダイマーが気化する。その後、気化したダイマーは、分解炉102に移動する。
【0009】
分解炉102にて、気体状のダイマーはさらに加熱される。その結果、ダイマーは分解し、構造式(2)に示すラジカルのモノマーが発生する。発生したモノマーは、さらに、成膜チャンバー103に移動する。
【0010】
成膜チャンバー103内には、図示しないが成膜される対象である成膜対象物が設置されており、上記成膜対象物に対し成膜が行われる。成膜は周知の気相成長プロセスによって行われる。具体的には、上記対象物に気体のモノマーが蒸着し、さらに重合を繰り返すことで高分子量のポリパラキシリレン膜が成膜される。
【0011】
上記気相成長プロセスでは、モノマーは低温である方が、成膜の効率が良いことが知られている。そのため、成膜チャンバー103は常温に保たれている。また、成膜チャンバー103に隣接しているチラートラップ104は、低温に保たれており、ポリマー化されずに成膜形成しなかったモノマーは、チラートラップ104にて冷却され、高分子化された後に回収される。
【0012】
しかし、上記ポリパラキシリレン重合体膜製造装置400では、気相成長プロセスにおいて、モノマーの低温維持が十分ではないため、成膜効率が低い。すなわち、一定量の原料に対して、成膜される量が少ないという問題が生じる。
【0013】
そこで、上記問題を解決するため、成膜チャンバー103内に設置された成膜対象物の冷却アセンブリ(設置台)を冷却するシステムが備えられた蒸着方法および蒸着装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。モノマーは、低温であるほど、蒸着量が増加するため、原料の量に対し成膜される膜量を増加することを達成している。
【特許文献1】特表2000−508115号公報(平成12年(2000年)6月27日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の構成では、成膜対象物の形状に制限が生じるという問題を生じる。具体的には、成膜対象物を均一に成膜するためには、成膜対象物を均一に冷却する必要がある。そのため、成膜対象物の形状は、均一に冷却可能な形状に制限される。例えば、平坦な構造またはサイズが小さい構造である必要がある。
【0015】
複雑な形状の成膜対象物対しては、その形状に応じて、成膜対象物ごとに複雑な冷却アセンブリを作成することは可能であるが、形状が異なる複数の成膜対象物を成膜する場合、冷却アセンブリでは対応することが困難である。上記冷却アセンブリを作成するためには、莫大なコストが必要となる。また、対象物が冷却されることで問題が生じる場合には、使用できないという点も挙げられる。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、成膜対象物の形状に制限されることなく、成膜効率の良い重合体膜製造装置およびこれを用いたポリパラキシリレン膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、重合体膜製造装置に循環手段を備えることで、原料の量に対し、成膜される膜量を増加させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、本発明にかかる重合体膜製造装置は、上記課題を解決するために、気化したモノマー原料を重合させて重合体の膜を形成する成膜チャンバーを備える重合体膜製造装置であって、さらに、上記成膜チャンバーから排出される、重合しなかった残存モノマー原料を、当該成膜チャンバーに循環させる循環手段を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記の発明によれば、上記循環手段によって、成膜チャンバーから排出される残存モノマー原料を当該成膜チャンバーに循環させることができる。これにより、排出される残存モノマー原料を再度成膜チャンバーに循環させ、重合体膜を形成することができる。また、本発明では、冷却アセンブリがなくとも実施できる。そのため、成膜対象物の形状に制限されることなく、成膜効率の良い重合体膜製造装置を提供することができる。
【0020】
また、上記重合体膜製造装置では、さらに、気化状態のモノマー原料を成膜チャンバーに供給する気化原料供給手段を備えていることが好ましい。
【0021】
これにより、気化したモノマー原料を成膜チャンバーに供給できるため、モノマー原料の供給が容易となる。
【0022】
また、上記重合体膜製造装置では、上記気化原料供給手段には、モノマー前駆体を化学反応によりモノマー原料とするモノマー原料生成手段を備えており、上記循環手段は、残存モノマー原料をモノマー原料生成手段に戻すことが好ましい。
【0023】
これにより、取り扱いの簡便なモノマー前駆体を用い、モノマー原料を生成できる。また、上記循環手段は、残存モノマー原料を原料生成手段に戻すことによって、残存モノマー原料に含まれるモノマー前駆体を再度モノマー原料に戻すことができる。それゆえ、モノマー原料の純度を向上させることができ、重合体膜の物性が低下することを防止できる。
【0024】
また、上記重合体膜製造装置では、さらに残存モノマー原料を回収する回収手段を備えていることが好ましい。
【0025】
これにより、残存モノマー原料を回収でき、再度重合体膜の製造に用いることができる。
【0026】
また、上記重合体膜製造装置では、さらに、連結部を介して上記成膜チャンバーに直接または間接的に接続されており、当該成膜チャンバー内を吸引する吸引手段を備えていることが好ましい。
【0027】
これにより、重合体膜製造装置内を減圧できる。そのため、モノマー前駆体を原料とし、より低温条件下で原料モノマーを生成でき、消費する熱エネルギーを低減できる。
【0028】
また、上記重合体膜製造装置では、上記吸引手段と成膜チャンバーとの間には、上記回収手段が設けられていることが好ましい。
【0029】
これにより、残存モノマー原料は、上記回収手段にて回収される。そのため、残存モノマー原料が、上記吸引手段に混入することを回避することができる。
【0030】
また、上記重合体膜製造装置では、さらに、上記成膜チャンバーにおけるモノマー原料の供給口の上流側であり、かつ、循環手段における残存モノマー原料の循環口の下流側に接続される連結部に、フィルターが設けられていることが好ましい。
【0031】
これにより、残存モノマー原料に含まれる異物または循環手段から生じるダストをフィルターにて除去することができる。そのため、重合体膜に異物が混入する量を低減できる。
【0032】
また、上記重合体膜製造装置では、残存モノマー原料の循環経路となる部位の少なくとも一部を加熱する循環経路加熱手段を備えていることが好ましい。
【0033】
これにより、循環経路となる部位を加熱でき、上記循環経路の内壁で、残存モノマー原料が重合し、重合体膜を形成することが抑制される。そのため、成膜チャンバーに循環される残存モノマー原料の量が減少することを防ぐことができる。また、上記循環経路の内壁で、重合体膜が形成されることで生じる上記循環経路の劣化または目詰まりを回避することができる。
【0034】
また、上記重合体膜製造装置では、上記循環手段がオイルレスの吸引ポンプを備えていることが好ましい。
【0035】
これにより、残存モノマー原料がポンプ中のオイルによって汚染されることを回避できるため、形成された重合体膜の純度が低下することを抑制することができる。
【0036】
また、上記重合体膜製造装置では、上記成膜チャンバーと吸引手段の間に弁が設けられていることが好ましい。
【0037】
これにより、弁を開閉しさせることで重合体膜製造装置内が減圧されることを妨げることができ、残存モノマー原料が吸引手段側に流入することが抑制される。そのため、強制的にモノマー原料を循環手段側へ流入させることができる。回収される残存モノマー原料の量を低減し、循環される残存モノマー原料の量を増加させることができる。
【0038】
また、上記重合体膜製造装置では、上記重合体がポリパラキシリレンであり、上記モノマー原料が、パラキシリレンダイマーを分解して得られるパラキシリレンモノマーラジカルであることが好ましい。
【0039】
これにより、ポリパラキシリレン膜を形成することができる。ポリパラキシリレン膜は、高い融点および低い誘電定数を有し、均一な膜厚で成膜できるため、広い分野において応用が可能である。
【0040】
また、上記重合体膜製造装置では、上記気化原料供給手段が備える上記モノマー原料生成手段が、パラキシリレンダイマーをパラキシリレンモノマーラジカルに熱分解する分解炉であるとともに、上記気化原料供給手段は、さらに、上記分解炉にパラキシリレンダイマーを気化して供給する気化炉を備えていることが好ましい。
【0041】
これにより、気化原料として、固体のパラキシリレンダイマーを用いることができる。固体のパラキシリレンダイマーは、気体であるパラキシリレンモノマーよりも取り扱いが容易である。そのため、より簡便にパラキシリレン膜を製造することができる。
【0042】
また、本発明にかかるポリパラキシリレン膜の製造方法は、上記課題を解決するために、気化したダイマーをモノマーラジカルに分解するモノマー生成工程と、当該モノマーラジカルを重合させて重合体膜を形成する重合工程を含むポリパラキシリレン膜の製造方法であって、さらに、重合工程後に排出される、重合しなかった残存モノマー原料を連続的に回収して、重合工程に循環供給することにより再利用する残存モノマー原料再利用工程を含むことを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、重合しなかった残存モノマー原料を回収し、重合工程に循環供給できる。上記残存モノマー原料は、再度重合工程にてポリパラキシレン膜の重合に用いられる。そのため、成膜対象物の形状に制限されることなく、成膜効率の良いポリパラキシリレン膜の製造方法を提供できる。
【0044】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、さらに、上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料中に含まれる異物を除去することが好ましい。
【0045】
これにより、残存モノマー原料に含まれる異物または循環手段から生じるダストを除去することができる。そのため、原料モノマーに異物が混入し、純度が低下することを抑制できる。
【0046】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料を加熱することが好ましい。
【0047】
これにより、上記残存モノマー原料が循環供給する工程で、重合することを抑制できる。そのため、残存モノマー原料が重合することにより、残存モノマー量が減少することを抑制できる。そのため、より効率の良いポリパラキシリレン膜の製造方法を提供できる。
【0048】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を、モノマー生成工程に戻してから重合工程に供給することが好ましい。
【0049】
これにより、残存モノマー原料が加熱されるため、残存モノマー中に含まれるモノマー前駆体を、再度モノマー原料に分解することができる。残存モノマー原料中のモノマーの濃度が増加し、ポリパラキシリレン膜の物性が低下することを製造することができる。
【0050】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、さらに、残存モノマー原料を回収する残存モノマー原料回収工程を含んでおり、上記残存モノマー原料再利用工程と残存モノマー原料回収工程とは、それぞれ切換可能に行われることが好ましい。
【0051】
これにより、残存モノマー原料回収工程を最小限に行うことができる。残存モノマー原料の回収量を最低限に抑えることで、循環される残存モノマー原料の量を増加させ、より効率良くポリパラキシリレン膜を製造できる。
【0052】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、上記モノマー生成工程の前段で、減圧しながら加熱することによりダイマーを気化するダイマー気化工程を含むことが好ましい。
【0053】
これにより、固体のダイマーをより低温で気化できるため、消費するエネルギーを低減することができる。
【0054】
また、上記ポリパラキシリレン膜の製造方法では、上記ダイマー気化工程では、加熱を段階的に行うことが好ましい。
【0055】
これにより、加熱が急激になされることによって生じる、ダイマーの変性またはダイマーの周囲空気が膨張することによって生じるダイマーの飛散を低減することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明にかかる重合体膜製造装置は、以上のように、上記成膜チャンバーから排出される、重合しなかった残存モノマー原料を、当該成膜チャンバーに循環させる循環手段を備えているものである。
【0057】
上記循環手段によって、一度成膜チャンバーを通過した残存モノマー原料を、再度成膜チャンバーに循環できる。それゆえ、成膜に用いられるモノマー原料の割合を向上させることができる。その結果、成膜対象物の形状に制限されることなく、成膜効率の良い重合体膜製造装置を提供することができるという効果を奏する。また、原料として、ポリパラキシリレンダイマーを用いた場合には、成膜効率が良いポリパラキシリレン膜を製造することができる重合体膜製造装置を提供できるという効果を奏する。
【0058】
また、本発明にかかるポリパラキシリレン膜の製造方法は、以上のように、気化したダイマーをモノマーに分解するモノマー生成工程と、当該モノマーを重合させて重合体膜を形成する重合工程を含むポリパラキシリレン膜の製造方法であって、さらに、重合工程後に排出される、重合しなかった残存モノマー原料を連続的に回収して、重合工程に循環供給することにより再利用する残存モノマー原料再利用工程を含む製造方法である。
【0059】
上記残存モノマー原料再利用工程によって、重合しなかった残存モノマー原料を連続的に回収して、重合工程に循環供給できる。それゆえ、成膜されるモノマー原料の割合を向上させることができる。その結果、成膜対象物の形状に制限されることなく、成膜効率の良いパラキシリレン膜を製造できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明の一実施形態について図1から図5に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
本発明にかかる重合体膜製造装置40は、図1に示すように、気化原料供給手段である気化炉1と、モノマー原料生成手段である分解炉2とが連結部19aを介して連結されている。さらに、分解炉2は成膜チャンバー3と連結部19bを介して接続されており、成膜チャンバー3は、大気開放弁8、回収手段であるチラートラップ4、弁である電磁弁9、吸引手段である真空ポンプ6の順に連結部19cを介して連結されている。成膜チャンバー3と分解炉2とは、真空ポンプ6側とは別途の経路として、連結部19dを介して循環用ポンプ5に連結されている。
【0062】
また、上記循環手段である循環用ポンプ5と分解炉2とを介する連結部19dにはフィルター7が備えられている。循環用ポンプ5と成膜チャンバー3および分解炉2とを介する連結部19dの外部には、これらを加熱する循環経路加熱手段である循環経路用ヒーター10が備えられている。また、成膜チャンバー3の外部には、チャンバー内壁加熱手段である成膜チャンバー用ヒーター20が備えられている。
【0063】
気化炉1は、重合体膜の製造に用いる原料である気化状態のモノマー原料の供給またはモノマー前駆体を気化し、供給するものである。気化原料供給手段としては、モノマー原料またはモノマー前駆体を供給またはモノマー前駆体を気化させるため、加熱を行うことができれば特に限定されるものではなく、公知の加熱炉を好ましく用いることができる。また、本実施の形態においては、気体状態のモノマー原料を供給する手段(装置)は上記気化炉1に限定されるものではなく、炉以外の他の構成であってもよい。
【0064】
気化炉1には、図2に示すように原料を導入するためのドア11が備えられているが、原料を導入できればよく、このようなドアに限定されるものではない。ドア11は図2に示す矢印方向に開閉が可能である。
【0065】
ドア11を閉めた後、気化炉1内を密閉できるようO−リング12がドア11に備えられていてもよい。これにより、外部からの空気等の流入を妨げることができる。また、気化炉1に原料を導入するためのダイマーカップ13が設置されていてもよい。これにより、原料の導入および残存した原料の回収を速やかに行うことができる。
【0066】
気化炉1に導入する原料としては、重合体膜の製造に用いることができるものであればよく、特に限定されるものではないが、モノマー前駆体としてパラシクロファンおよびその誘導体を用いた場合、均一な膜厚で成膜されるため特に好ましい。
【0067】
固体のダイマーである(2,2)−パラシクロファンを用いることができる。また、その誘導体を用いることもできる。その場合、以下の化学式2に示すように、構造式(4)で示されるポリモノクロロパラキシリレン、構造式(5)で示されるポリジクロロパラキシリレン、構造式(6)で示されるポリフルオロパラキシリレン、構造式(7)で示されるポリメチルパラキシリレンなどを成膜することができる。なお、上記ダイマーだけでなく、オリゴマーであってもモノマー前駆体に含まれる。
【0068】
【化2】

【0069】
原料として、固体のダイマーでなく、気体のダイマーまたはモノマーを用いる場合、原料を気化させる必要がない。その場合、気化炉1は必ずしも必要ではなく、上記気体状の原料を後述する分解炉2に直接導入してもよい。
【0070】
モノマー原料生成手段は、モノマー前駆体を化学反応によってモノマー原料とするものである。化学反応としては、加熱分解する反応を好ましく用いることができる。例えば、モノマー前駆体である気体のダイマーが加熱され、モノマー原料であるモノマーラジカルに分解される。モノマー原料生成手段としては、分解炉2を用いることができる。
【0071】
分解炉2はモノマー前駆体を分解することができればよく、特に限定されるものではない。分解炉2としては、公知の熱分解炉を好ましく用いることができる。
【0072】
重合体膜製造装置40では、分解炉2と成膜チャンバー3とが一つの連結部19bで連結されているが、連結箇所数は特に制限されるものではない。複数箇所にて連結されている場合、成膜チャンバー3内でのモノマー原料の濃度を均一に保つことができるため好ましい。
【0073】
成膜チャンバー3には、成膜される対象物である図示しない成膜対象物が設置されている。成膜チャンバー3に、分解炉2からモノマー原料が移動し、成膜対象物と接触することによって、成膜対象物に重合体膜が成膜される。また、後述する残存モノマー原料が成膜対象物と接触することによって、重合体膜が成膜されてもよい。
【0074】
成膜チャンバー3では、モノマー原料の全量が重合しない。そのため、重合しなかったモノマー原料は、残存モノマー原料として成膜チャンバー3から排出される。残存モノマー原料の主成分は、モノマーラジカルであるが、モノマーラジカル同士が重合することによって生じるダイマーまたはオリゴマーを一部含むものである。
【0075】
図3に成膜チャンバー3の模式的断面図を示す。成膜チャンバー3には、成膜チャンバー3を開閉するための蓋部14が備えられている。また、成膜チャンバー3の側面には、分解炉2との連結を行うための連結部19b、チラートラップ4を介して真空ポンプ6との連結を行うための連結部19c、循環用ポンプ5との連結を行うための連結部19dが備えられている。図中左側(重合体膜製造装置40におけるモノマー原料の流れの上流側)には連結部19bが、図中右側(モノマー原料の流れの下流側)には連結部19c・19dが設けられており、循環経路となる連結部19dが上方に、吸引経路となる連結部19cが下方に配置される。
【0076】
成膜チャンバー3内の底部には、回転台17が設置されている。回転台17の上面には、支柱16が設置され、試料台15を支えている。この試料台15に図示しないが成膜する対象物である、成膜対象物が設置される。
【0077】
成膜チャンバー3の底面方向の外側には、回転台17を回転させるためのモーター18が設置され、回転台17と連結されている。回転台17の回転軸部分には、図示しないが、真空漏れを防止するためのO−リングが設置されている。また、図示しないがモーター18には電源が設置されている。
【0078】
成膜チャンバー3が上記構造を有することにより、上記回転台17が回転することによって試料台15に設置した成膜対象物も回転する。成膜対象物の方向によって、モノマー原料の濃度が不均一であっても、上記回転によって均一な膜厚で重合体膜の製造が可能となる。原料としてパラキシリレンおよびその誘導体を用いた場合、さらに、均一な膜厚での成膜が可能となる。
【0079】
成膜対象物としては、特に限定されるものではない。例えば、半導体部品、ゴム成形品、センサー、カテーテルなど電子分野、自動車分野、医療分野等で広く用いられる製品を用いることができる。
【0080】
成膜対象物以外の位置にて重合体膜が成膜された場合、例えば、回転台17の軸部分で重合した場合、モーター18からのトルクが伝達し難くなる。そのため、成膜対象物以外の位置で、残存モノマー原料が重合することを抑制するため、成膜チャンバー3の外壁部分に、図1に示す成膜チャンバー用ヒーター20が備えられていてもよい。
【0081】
これにより、成膜チャンバー3の内壁が加熱される。それゆえ、モノマー原料または残存モノマー原料が、成膜チャンバー3の内壁付近である回転台17の軸部分で重合することを抑制できる。成膜チャンバー3の内壁にて重合体膜が生じ難くなるため、上記内壁の劣化を防止することができる。加えて、清掃、検査、補修等の定期的なメンテナンスの頻度を抑えることができ、メンテナンス費用を削減することが可能である。
【0082】
成膜チャンバー用ヒーター20としては、成膜チャンバー3の内壁を加熱することができればよく、特に限定されるものではない。例えば、シリコンラバーヒーター、テープヒーター、フレキシブルリボンヒーターなどの公知の加熱手段を用いることができる。
【0083】
成膜チャンバー用ヒーター20によって、モノマー原料または残存モノマー原料を加熱する温度は、これらの重合を抑制できる温度であればよく、使用する原料の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、ポリパラキシリレン膜を製造する場合、重合体膜製造装置40内の上記内壁を60℃から80℃に加熱し、上記内壁にて過剰な成膜を防止することができる。
【0084】
成膜チャンバー用ヒーター20を用いる際は、図示しない電熱対によって、成膜チャンバー3の内壁温度を計測することが好ましい。これにより、計測された温度をフィードバック制御しながら適切な温度にて、上記内壁を加熱することができる。そのため、上記内壁でモノマー原料または残存モノマー原料の重合を抑制できる。
【0085】
循環用ポンプ5は、成膜チャンバー3で重合しなかった残存モノマー原料を、成膜チャンバー3から循環用ポンプ5を経て、再度成膜チャンバー3に循環させるものである。上記残存モノマー原料が循環されることにより、残存モノマー原料が重合体膜の製造に用いられる。そのため、原料であるダイマーの成膜効率を向上させることができる。
【0086】
循環用ポンプ5は、残存モノマー原料をモノマー原料生成手段に戻すことが好ましい。残存モノマー原料には、モノマー原料が重合することによって生成したダイマーまたはオリゴマーが含まれる。上記残存モノマー原料は、原料生成手段に戻され、加熱されることによって、ダイマーまたはオリゴマーは、モノマーラジカルに分解される。すなわち、残存モノマー原料を再びモノマー原料とすることができる。
【0087】
重合体膜製造装置40では、循環用ポンプ5は、成膜チャンバー3および分解炉2と連結されている。これにより、残存モノマー原料を原料生成手段である分解炉2に循環させることができる。
【0088】
循環用ポンプ5としては、残存モノマー原料を循環させることができればよく、例えば、循環用ポンプまたは循環用ファン等の公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0089】
循環用ポンプを用いる場合、オイルレスの真空ポンプを用いることが好ましい。潤滑油などを含む油拡散型真空ポンプ、油回転型真空ポンプなどを使用した場合、残存モノマー原料を循環させることは、可能であるが、残存モノマー原料に油蒸気が含まれることにより重合体膜の純度が下がる原因となる。
【0090】
また、回転翼型オイルレス真空ポンプを用いてもよい。上記回転翼型オイルレス真空ポンプは、機械的にしゅう動しながら動作するため摩擦熱が発生する。その摩擦熱を利用することで、残存モノマー原料が加熱される。重合は低温であるほど進行しやすいため、残存モノマー原料が、循環される過程で重合することを抑制することができる。
【0091】
フィルター7は、残存モノマー原料に含まれる異物を除去し、成膜された重合体膜に異物が混入することを低減するものである。
【0092】
重合体膜製造装置40内に存在する埃などの異物や、上記回転翼型オイルレス真空ポンプの作動時にしゅう動部分から発生するダストなどの異物を残存モノマー原料から除去することができる。
【0093】
フィルター7は、発生する異物によって、そのメッシュ数や材質を変更すればよく、公知のフィルターを用いることができ、特に限定されるものではない。メッシュ数については、使用する循環用ポンプにおける発塵状態等を考慮して適宜決定することが好ましい。
【0094】
重合体膜製造装置40は、循環用ポンプ5を備えるため、残存モノマー原料が、循環経路となる成膜チャンバー3と循環用ポンプ5とを連結する連結部19d、循環用ポンプ5、循環用ポンプ5と分解炉2とを連結する連結部19dを循環する。そのため、上記循環経路の内壁にて残存モノマー原料が、重合しうる。
【0095】
残存モノマー原料が上記循環経路の内壁で重合することによって、重合体膜製造装置40に対し以下の不具合が生じる。例えば、連結部19dがポリマーによって狭められることによって、真空ポンプ6による減圧速度が低下する。また、成膜チャンバー3の蓋部14に重合体膜が付着することで、隙間が生じる。そのため、重合体膜製造装置40内の減圧状況が低下する。さらに、重合体膜製造装置40の内壁と重合した膜との間に気泡を含んだ状態で成膜される。その後、成膜部分に亀裂が生じ、上記気泡が減圧雰囲気に開放され、減圧時における真空度の低下を生じさせる。
【0096】
そのため、残存モノマー原料の循環経路となる部位の少なくとも一部を加熱することによって、残存モノマー原料の重合を抑制できる。これにより、残存モノマー原料が上記循環経路の内壁で成膜される量を低減できる。
【0097】
重合体膜製造装置40では、循環経路用ヒーター10にて、残存モノマー原料の上記循環経路に含まれる連結部19d、循環用ポンプ5、フィルター7を加熱できるよう設置されている。これにより、上記循環経路に含まれる連結部19d、循環用ポンプ5、フィルター7の劣化または目詰まりを低減できる。
【0098】
循環経路用ヒーター10は、上記循環経路を加熱することができればよく、特に限定されるものではない。例えば、シリコンラバーヒーター、テープヒーター、フレキシブルリボンヒーターなどの公知のヒーターを用いることができる。
【0099】
循環経路用ヒーター10によって、残存モノマー原料を加熱する温度は、上記循環経路で残存モノマー原料の重合を抑制できる温度であればよく、残存モノマー原料の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、ポリパラキシリレン膜を製造する場合、上記循環経路を60℃から80℃に加熱し、上記循環経路にて過剰な成膜を抑制することができる。
【0100】
循環経路用ヒーター10を用いる際は、図示しないが電熱対によって、内壁温度を計測することが好ましい。これにより、計測された温度をフィードバック制御しながら適切な温度にて、上記内壁を加熱することができることについては、成膜チャンバー用ヒーター20を用いる際と同様である。
【0101】
成膜チャンバー3は、大気開放弁8、チラートラップ4、電磁弁9、真空ポンプ6がそれぞれ連結部19cを介して連結されている。
【0102】
吸引手段である真空ポンプ6は、重合体膜製造装置40内を真空引きするためのものである。真空引きにより、重合体膜製造装置40内を減圧し、原料であるダイマーが気化し易くなる。真空ポンプ6としては、特に限定されるものではなく、公知の真空ポンプを用いることができる。
【0103】
電磁弁9は、電磁的に開閉し、真空ポンプ6による減圧を妨げるものである。減圧が妨げられている際には、重合しなかった残存モノマー原料は成膜チャンバー3から真空ポンプ6側に流入しない。そのため、残存モノマー原料を後述する循環用ポンプ5側のみに循環させることができ、残存モノマー原料の消費を低減することができる。電磁弁9は、連結部19cを開閉することができれば、特に限定されるものではなく、公知の電磁弁を用いることができる。
【0104】
回収手段であるチラートラップ4は、残存モノマー原料が真空ポンプ6または電磁弁9に混入しないよう、残存モノマー原料を回収するものである。
【0105】
チラートラップ4は、残存モノマー原料を冷却し、回収する構造を有していればよく、特に限定されるものではない。チラートラップ4としては、公知のチラートラップを用いることができる。例えば、水、油、有機溶媒またはドライアイス等を用いるものであってもよい。
【0106】
大気開放弁8は、減圧された重合体膜製造装置40内の減圧を大気圧に戻すものである。大気開放弁8は、特に限定されるものではなく、公知の大気開放弁を用いることができる。大気開放弁8は、重合体膜製造装置40の作動時には閉じられている。成膜が終了した後、大気開放弁8が開放されることで、重合体膜製造装置40内の圧力が大気圧に戻される。
【0107】
連結部19a〜19dは、気化炉1などの各装置同士を連結させるものである。連結部19a〜19dとしては、各装置同士を連結させることができればよく、特に限定されるものではない。例えば、配管など公知の連結部材を用いることができる。連結部19a〜19dの材質としては、特に限定されるものではないが、重合体膜製造装置40内は、上記加熱機構によって加熱されるため、耐熱性を有することが好ましい。例えば、石英管等を用いることが好ましい。また、各装置の連結状態は特に限定されるものではなく、例えば、気化炉1と分解炉2とが直接連結されていてもよい。
【0108】
本発明にかかる重合体膜製造装置40では、真空ポンプ6によって、重合体膜製造装置40内が減圧され、原料である固体のダイマーを温和な温度条件にて気化することができる。モノマー前駆体である気化炉1で気化されたダイマーは、分解炉2でモノマーラジカルであるモノマー原料が生成される。
【0109】
さらに、モノマー原料は、成膜チャンバー3に移動し、成膜対象物に対し重合する。重合しなかった残存モノマー原料は、循環用ポンプ5によって、分解炉2に循環される。
【0110】
これにより、残存モノマー原料が分解炉2を経由し、成膜チャンバー3に移動するため、原料の成膜量の効率を向上させることができる。また、循環用ポンプ5と分解炉2との間には、フィルター7が備えられているため、残存モノマー原料に含まれる異物等を除去することができる。
【0111】
また、チラートラップ4によって、残存モノマー原料を回収することができ、真空ポンプ6に残存モノマー原料が混入しない。さらに、真空ポンプ6によって重合体膜製造装置40内が減圧されることを、電磁弁9によって妨げることができ、残存モノマー原料が真空ポンプ6側に移動しないよう制御できる。これにより、残存モノマー原料が循環用ポンプ5側にのみ流入する。
【0112】
そのため、チラートラップ4にて残存モノマー原料が回収され、原料であるダイマーの成膜される効率を向上できる。成膜終了後は、大気開放弁8を開放することで、重合体膜製造装置40内の圧力を大気圧に戻すことができる。
【0113】
次に、本発明にかかる重合体膜製造装置40の動作について、より具体的に説明する。図1、図4、図5に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。図5は、本実施の形態における重合体膜製造装置40の動作において各工程を示すフローチャートである。
【0114】
図5に示すように、重合体膜製造装置40の動作は、ダイマー気化工程(ステップ1、以下ステップを適宜にSと略す)、モノマー生成工程(S2)、重合(成膜)工程(S3)、残存モノマー再利用工程(S4)、残存モノマー原料回収工程(S5)の5工程を含む動作とみなすことができる。
【0115】
次に、本発明にかかる重合体膜製造装置40の動作について、より具体的に説明する。図5に示すように、重合体膜製造装置40の動作は、ダイマー気化工程(ステップ1、以下ステップを適宜にSと略す)、モノマー生成工程(S2)、重合(成膜)工程(S3)、残存モノマー再利用工程(S4)、残存モノマー原料回収工程(S5)の5工程を含む動作とみなすことができる。
【0116】
まず、S1のダイマー気化工程では、気化炉1により、固体のダイマー、すなわち(2,2)−パラシクロファンを減圧しながら加熱することにより、上記ダイマーを気化させる。この工程を経ることにより、ダイマーをより低温条件下で気化させることができる。そのため、原料が熱によって変質することを防止でき、かつ、低エネルギーでの膜製造が可能となる。
【0117】
本実施の形態では、気化炉1においてダイマーを減圧しながら加熱する。例えば、減圧を行うため、真空ポンプ6を用いて行うことができる。また、固体のダイマーが(2,2)−パラシクロファンである場合、例えば、1.3Pa以上4.0Pa以下(10mTorr以上30mTorr以下)の減圧下で、110℃以上160℃以下の範囲内で原料を気化させることができる。なお、このダイマー気化工程の条件は一例であり、特に限定されるものではなく、用いるモノマー原料や重合されるポリパラキシリレンの種類等に応じて適切な条件を適宜設定すればよい。
【0118】
ダイマー気化工程についてより具体的に説明すると、まず、気化炉1としては、気化温度が100℃以上200℃以下に設定が可能なものを用いる。この気化炉1に、固体のダイマーである(2,2)−パラシクロファンを導入する。導入方法は特に限定されるものではない。
【0119】
例えば、実験プラント等のように小規模な製造であって、(2,2)−パラシクロファンを少量用いる場合であれば、電子天秤等の秤量装置で秤量し、ドア11から気化炉1内に投入すればよい。一方、大規模なプラントで製造する場合、(2,2)−パラシクロファンを大量に用いるような場合には、原料投入ホッパー等を用いて(2,2)−パラシクロファンを連続的に気化炉1に導入すればよい。もちろん使用する原料の量や供給方法等については、希望する膜厚によって適宜変更すればよい。
【0120】
その後、重合体膜製造装置40内の圧力を、真空ポンプ6を用い減圧する。60分間真空引きを行い、重合体膜製造装置40内の圧力を1.3Pa以上4.0Pa以下(10mTorr以上30mTorr以下)にする。また、減圧開始と同時にチラートラップ4を作動させる。チラートラップ4の設定温度は、原料の種類および減圧の状況から−90℃以上−70℃以下に設定する。設定温度に関しては適宜成膜の条件に応じて変更すればよい。これにより、断熱圧縮の効果を利用し真空引きを効率的に行うことができる。
【0121】
そして気化炉1内にて(2,2)−パラシクロファンを加熱し、気化させる。ここで、気化炉1は段階的に加熱することが好ましい。例えば、図4は、本実施の形態において、気化炉1の昇温と、電磁弁9および循環用ポンプの動作との関係を同一時間軸で示したチャートである。図4に示すように、成膜開始から60分ごとに、気化炉1の設定温度を、110℃から160℃まで10℃ずつ段階的に変化させる。これによって、固体のダイマーの加熱が段階的に行われる。これにより、加熱が急激になされることによって生じる、ダイマーの変性またはダイマーの周囲空気が膨張することによって生じるダイマーの飛散を防止することができる。また、気化炉1が急激に加熱されることによって気化炉1に故障が生じることを防止できる。なお、電磁弁9および循環用ポンプ5との動作の連携については後述する。
【0122】
次に、S2のモノマー生成工程では、分解炉2において、気化したダイマーをモノマーに分解する。モノマー生成工程とは、気化したダイマーをモノマーに分解する工程である。本工程によって、ポリパラキシリレン膜を重合するための、モノマー原料を得ることができる。また、後述する残存モノマー原料再利用工程にて、循環供給された残存モノマー原料を、再度加熱することによって、残存モノマー原料に含まれるダイマーまたはオリゴマーを再度モノマーに戻すことができる。
【0123】
本工程は、例えば、図1に示すモノマー原料生成手段である分解炉2を用いて行うことができる。分解炉2としては、公知の分解炉を用いることができ、特に限定されるものではない。原料として気化したダイマーである(2,2)−パラシクロファンを用いる場合、後述する気化工程を伴う場合、600℃以上700℃以下にてダイマーの分解が可能である。
【0124】
分解炉2としては、分解炉2内を450℃以上700℃以下に設定が可能な分解炉2を使用することができる。本具体例では、分解炉2の設定温度を600℃とし、前記構造式(1)で示されるダイマーを構造式(2)で示されるパラキシリレンラジカルであるモノマーに分解する。
【0125】
次に、S3の重合工程では、S2で生成したモノマーラジカルを成膜させる対象物に対し重合させることによって、重合体膜を形成する。上記重合工程は、例えば、成膜チャンバー3を用いて行うことができる。重合の条件は特に限定されるものではないが、例えば、用いられるモノマー原料が構造式(2)のパラキシリレンラジカルであり、重合体膜製造装置40内の圧力が上記の範囲内であれば、重合温度を0℃以上30℃以下の範囲内とすればよい。また重合時間は、ポリパラキシリレン膜の膜厚に応じて適宜設定され、特に限定されないが、例えば、膜厚が1μm以上2μm以下の範囲内であれば、50分以上90分以下の範囲内とすることができる。これにより、成膜チャンバー3に設置された図示しない成膜対象物にポリパラキシリレン膜を形成することができる。
【0126】
S4の残存モノマー原料再利用工程では、重合工程にて、重合しなかった残存モノマー原料を回収して、重合工程に循環供給する。これにより、重合工程で、残存モノマー原料を用い重合することが可能となる。
【0127】
残存モノマー原料再利用工程は、例えば、循環用ポンプ5を用いて行うことができる。上記残存モノマー原料再利用工程は、さらに、回収した残存モノマー原料を重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料中に含まれる異物を除去する工程であってもよい。異物が除去されることにより、重合工程で重合されるポリパラキシリレン膜に異物が混入することを防止でき、ポリパラキシリレン膜の純度が低下することを防止できる。
【0128】
上記異物の除去には、フィルター7を用いることによって、上記異物の除去を行うことができる。循環用ポンプ5と分解炉2との間には、フィルター7として、SUS304製のメッシュ数400×3000(/1インチ)、濾過精度6μmの綾畳織りフィルターが設置されている。これにより、残存モノマー原料に含まれる異物を好ましく除去することができる。なお、フィルターの構成はこれに限定されるものではなく、除去すべき異物のサイズに応じて適切なフィルターを選択してもちいればよい。また、異物を除去する装置や部材についてもフィルターに限定されず、例えば、遠心分離型(サイクロン型)の集塵装置を用いてもよい。
【0129】
循環用ポンプ5として、回転翼型オイルレス真空ポンプを用いている。成膜チャンバー3内で重合されなかったモノマーは、残存モノマー原料として、循環用ポンプ5によって、成膜チャンバー3から循環用ポンプ5、さらに分解炉2へと循環される。図4に示すように、本実施の形態では、気化炉1を加熱した後30分後から360分後まで、循環用ポンプ5を作動させている。
【0130】
上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマーを重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料を加熱してもよい。これにより、残存モノマー原料が、残存モノマー原料再利用工程中で重合することを抑制することができる。
【0131】
上記残存モノマー原料の加熱は、例えば、循環経路用ヒーター10によって、連結部19d、循環用ポンプ5を加熱する、または、成膜チャンバー用ヒーター20によって成膜チャンバー3の内壁を加熱することによって行うことができる。加熱温度は特に限定されるものではなく、残存モノマー原料の重合を抑制できる程度の温度範囲であればよい。本実施の形態では、例えば、50℃以上100℃以下の範囲内であればよい。
【0132】
また、上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を、モノマー生成工程に戻してから重合工程に供給してもよい。これにより、残存モノマー原料が加熱されるため、残存モノマー中に含まれるモノマー原料が重合したダイマーまたはオリゴマーを、再度モノマー原料に分解することができる。ダイマーまたはオリゴマーがポリパラキシリレン膜に含まれる量が低減され、ポリパラキシリレン膜の物性が低下することを防止することができる。
【0133】
上記残存モノマー原料再利用工程で、回収した残存モノマー原料を、モノマー生成工程に戻してから重合工程に供給するためには、例えば、重合体膜製造装置40のように、循環用ポンプ5と分解炉2とが連結されていればよい。これにより、残存モノマー原料をモノマー生成工程に戻すことができる。
【0134】
本実施の形態では、上記S1〜S4の各工程に加えてさらにS5の残存モノマー原料回収工程を含んでおり、上記残存モノマー原料再利用工程と残存モノマー原料回収工程とは、切換可能に行われてもよい。
【0135】
残存モノマー原料回収工程とは、残存モノマー原料を回収し、吸引手段に残存モノマー原料が混入することを防止する工程である。本工程は、チラートラップ4を用いて行うことができる。
【0136】
また、上記残存モノマー原料再利用工程と残存モノマー原料回収工程との切換は、電磁弁9を用いて行うことができる。電磁弁9の切換えは、所定の時間に基づいて行われてもよく、また、成膜時の条件に基づいて行われてもよい。
【0137】
所定の時間に基づいて、切換えが行われる場合、使用する原料の量、モノマー生成工程の温度、重合体膜製造装置40のサイズなどの諸条件から、図示しない制御装置に、あらかじめ電磁弁9を開閉する時間を設定する。その後、図4に示すように、制御装置からの信号によって、所定の時間毎に電磁弁9は開閉される。
【0138】
成膜時の条件に基づいて切換えが行われる場合、重合体膜製造装置40内に図示しない温度センサおよび圧力センサが備えられていることを要する。また、ポリパラキシリレン膜の原料の種類によって、重合に適切な温度または圧力に基づく条件を制御装置に設定することを要する。重合時には、温度センサおよび圧力センサによって計測された温度および圧力に基づき、上記の重合に適切な条件を満たす場合、図示しない制御装置から電磁弁9に信号が送られ、連結部19cは閉じた状態となる。そのため、残存モノマー原料は、循環用ポンプ5側に強制的に流入することになる。
【0139】
一方、上記の重合に適切な条件を満たさない場合、同様に電磁弁9に信号が送られ、連結部19cは開いた状態となる。連結部19cが開放されている場合、重合体膜製造装置40内を真空ポンプ6によって減圧できるため、上記装置内を重合に適切な条件にすることができる。上記状態では、循環用ポンプ5は作動しているため、同時に循環工程も行われる。
【0140】
残存モノマー原料回収工程について、他の工程との関連も含めて図4に基づいて具体的に説明する。前記ダイマー気化工程で説明したように、気化炉1を段階的に加熱する場合、気化炉1が動作(on)し加熱が開始(図中0分)されると、30分間は電磁弁9も循環用ポンプ5も動作しない。言い換えれば、この30分間は余熱段階であり、残存モノマー原料もほとんど発生しないので、残存モノマー原料回収工程や残存モノマー原料再利用工程を実施する必要がない。なお、このとき気化炉1は110℃に加熱されている。また、気化炉1の加熱に合わせて分解炉2の加熱も開始される。
【0141】
次に、30分後に電磁弁9が動作するとともに、循環用ポンプ5も動作する。これにより、残存モノマー原料が連結部19cを介してチラートラップ4で回収されるとともに、連結部19dを介して残存モノマー原料が再利用される。その後30分間は、電磁弁9は開放されつづけ、残存モノマー原料の回収は継続される。そして、開放開始から30分後、すなわち気化炉1の加熱開始から60分後には電磁弁9が閉鎖されるが、循環用ポンプ5は動作しつづけ、残存モノマー原料の再利用は継続される。また、この時点で、気化炉1の加熱温度は、110℃から10℃上昇して120℃となる。
【0142】
その後、気化炉1の加熱温度は60分ごとに10℃ずつ上昇するように制御されるが、気化炉1の加熱温度が上昇してから30分後には電磁弁9が動作する。換言すれば、本実施の形態では、ダイマー気化工程(あるいはモノマー生成工程)において条件が変更(例えば、気化温度の10℃上昇)されてから一定時間(例えば30分後)に残存モノマー原料回収工程を実施するように制御する。これにより、成膜チャンバー3から排出される残存モノマー原料が経時的に増加しても残存モノマー原料を適宜回収することができ、その結果、残存モノマー原料再利用工程の再利用条件を安定化させることができる。
【0143】
なお、図4に示す例では、気化炉1の加熱温度は、上記の通り、0〜60分間では110℃、60〜120分間では120℃、120〜180分間では130℃、180〜240分間では140℃、240〜300分間では150℃、300〜360分間では160℃となり、加熱開始から360分で加熱動作が終了する。電磁弁9は、上記温度上昇に合わせて、30〜60分間、90〜120分間、150〜180分間、210〜240分間、270〜300分間、330〜360分間に動作する。また、循環用ポンプ5は、加熱開始から30〜360分間動作する。重合体膜製造装置40の制御はもちろんこの例に限定されるものではなく、例えば、循環用ポンプ5の動作は適宜停止してもよいし、電磁弁9の開放も定期的にではなく、残存モノマー原料の濃度等に応じて開閉するようになっていてもよい。
【0144】
図4に示す例では、気化炉1の加熱が360分後に終了することで、他の部材の動作も全て終了する。その後、成膜チャンバー3から成膜された対象物を取り出すときには、気化炉1(および/または分解炉2)が常温になった後に、大気開放弁8を開いて装置内部を大気圧に戻せばよい。この制御は手動で行ってもよいし、制御により自動で行ってもよい。
【0145】
なお、本工程により得られたポリパラキシリレン膜は、確認のため膜厚を測定することが好ましい。したがって、本発明では重合工程の後に膜厚測定工程が含まれてもよい。ポリパラキシリレン膜の膜厚の測定は、例えば、成膜対象物として、一部にマスキングしたガラス基板を用い、成膜が終了した後に、成膜部分とマスキングされた非成膜部分との差を段差計によって計測することによって測定されるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0146】
上述した条件例で重合体膜製造装置40を動作させた場合、成膜効率は約2倍程度上昇する。具体的には、例えば、膜厚の測定方法としては、成膜対象物として5.2cm×5.2cm、厚み1mmの一部にマスキングしたガラス基板をサンプルモニターとして用い、成膜終了後、成膜部分とマスキングされた非成膜部分との差を段差計する。原料である(2,2)−パラシクロファンを30g用いた場合には、5.1μmの膜厚でポリパラキシリレン膜が成膜される。これに対して、循環用ポンプ5および電磁弁9を作動させずに、すなわち、図5において、S4を行わずS5のみを行った場合には、成膜されたポリパラキシリレン膜の膜厚は、2.5μmである。この実験結果では、得られるポリパラキシリレンの膜厚は2.04倍となるため、使用する原料を約1/2削減することが可能になる。この結果からも、S4を行うとともに、電磁弁9を適宜切換える制御を行った方が好ましいことが分かる。
【0147】
このように、本発明にかかる重合体膜製造装置40は、上述した動作によって、成膜対象物に対してポリパラキシリレン膜を効率的かつ高品位に成膜することができる。換言すれば、本発明には、上述した各工程を適宜包含するポリパラキシリレン膜の製造方法も含まれる。
【0148】
具体的には、本発明にかかるポリパラキシリレン膜の製造方法は、上記5工程のうち、少なくとも、S2のモノマー生成工程と、S3の重合工程と、S4の残存モノマー原料再利用工程を含んでいればよく、S1のダイマー気化工程やS5の残存モノマー原料回収工程を含んでいることがより好ましい。
【0149】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、本発明では、循環機構を備えているため、原料効率のよい成膜を行うことが可能となる。特に、ポリパラキシリレン膜を好ましく製造することができる。そのため、本発明は、重合体膜製造装置に代表される各種コーティング装置やその部品を製造する電子分野、自動車産業分野、医療分野等に利用することができるだけでなく、さらには、高成膜量が実現できるため高分子フィルムの製造に関わる分野にも広く応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、重合体膜製造装置全体の模式的断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、重合体膜製造装置の気化炉の模式的斜視図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、重合体膜製造装置の成膜チャンバーの模式的断面図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、重合体膜製造装置の成膜工程における、各種制御内容を同一時間軸で示したグラフである。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、ポリパラキシリレン膜の製造方法における各工程を示すフローチャートである。
【図6】従来技術を示すものであり、ポリパラキシリレン膜製造装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0152】
1 気化炉(気化原料供給手段)
2 分解炉(モノマー原料生成手段)
3 成膜チャンバー
4 チラートラップ(回収手段)
5 循環用ポンプ(循環手段)
6 真空ポンプ(吸引手段)
7 フィルター
8 大気開放弁
9 電磁弁(弁)
10 循環経路用ヒーター(循環経路加熱手段)
19a〜19d 連結部
20 チャンバー用ヒーター(チャンバー内壁加熱手段)
40 重合体膜製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化したモノマー原料を重合させて重合体の膜を形成する成膜チャンバーを備える重合体膜製造装置であって、
さらに、上記成膜チャンバーから排出される、重合しなかった残存モノマー原料を、当該成膜チャンバーに循環させる循環手段を備えていることを特徴とする重合体膜製造装置。
【請求項2】
さらに、気化状態のモノマー原料を成膜チャンバーに供給する気化原料供給手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の重合体膜製造装置。
【請求項3】
上記気化原料供給手段には、モノマー前駆体を化学反応によりモノマー原料とするモノマー原料生成手段を備えており、
上記循環手段は、残存モノマー原料をモノマー原料生成手段に戻すことを特徴とする請求項2に記載の重合体膜製造装置。
【請求項4】
さらに残存モノマー原料を回収する回収手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項5】
さらに、連結部を介して上記成膜チャンバーに直接または間接的に接続されており、当該成膜チャンバー内を吸引する吸引手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項6】
上記吸引手段と成膜チャンバーとの間には、上記回収手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の重合体膜製造装置。
【請求項7】
さらに、上記成膜チャンバーにおけるモノマー原料の供給口の上流側であり、かつ、循環手段における残存モノマー原料の循環口の下流側に接続される連結部に、フィルターが設けられていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項8】
残存モノマー原料の循環経路となる部位の少なくとも一部を加熱する循環経路加熱手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項9】
上記成膜チャンバーの内壁を加熱するチャンバー内壁加熱手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項10】
上記循環手段がオイルレスの吸引ポンプを備えていることを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項11】
上記成膜チャンバーと吸引手段の間に弁が設けられていることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項12】
上記重合体がポリパラキシリレンであり、上記モノマー原料が、パラキシリレンダイマーを分解して得られるパラキシリレンモノマーラジカルであることを特徴とする請求項1ないし11の何れか項に記載の重合体膜製造装置。
【請求項13】
上記気化原料供給手段が備える上記モノマー原料生成手段が、パラキシリレンダイマーをパラキシリレンモノマーラジカルに熱分解する分解炉であるとともに、
上記気化原料供給手段は、さらに、上記分解炉にパラキシリレンダイマーを気化して供給する気化炉を備えていることを特徴とする請求項12に記載の重合体膜製造装置。
【請求項14】
気化したダイマーをモノマーラジカルに分解するモノマー生成工程と、当該モノマーラジカルを重合させて重合体膜を形成する重合工程を含むポリパラキシリレン膜の製造方法であって、
さらに、重合工程後に排出される、重合しなかった残存モノマー原料を連続的に回収して、重合工程に循環供給することにより再利用する残存モノマー原料再利用工程を含むことを特徴とするポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項15】
上記残存モノマー原料再利用工程では、さらに、回収した残存モノマー原料を重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料中に含まれる異物を除去することを特徴とする請求項14に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項16】
上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を重合工程に循環供給する過程で、残存モノマー原料を加熱することを特徴とする請求項14または15に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項17】
上記残存モノマー原料再利用工程では、回収した残存モノマー原料を、モノマー生成工程に戻してから重合工程に供給することを特徴とする請求項14ないし16の何れか1項に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項18】
さらに、残存モノマー原料を回収する残存モノマー原料回収工程を含んでおり、
上記残存モノマー原料再利用工程と残存モノマー原料回収工程とは、それぞれ切換可能に行われることを特徴とする請求項14ないし17の何れか1項に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項19】
上記モノマー生成工程の前段で、減圧しながら加熱することによりダイマーを気化するダイマー気化工程を含むことを特徴とする請求項14ないし18の何れか1項に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。
【請求項20】
上記ダイマー気化工程では、加熱を段階的に行うことを特徴とする請求項19に記載のポリパラキシリレン膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−217468(P2007−217468A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36945(P2006−36945)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】